(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】デジタルエンボス加工およびその他の隆起印刷用途用の硬化性ゲル化剤組成物を適用するための方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/106 20170101AFI20221011BHJP
B29C 64/386 20170101ALI20221011BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20221011BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20221011BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20221011BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20221011BHJP
C08F 2/46 20060101ALI20221011BHJP
C09D 11/101 20140101ALI20221011BHJP
G03G 8/00 20060101ALI20221011BHJP
B41M 5/00 20060101ALN20221011BHJP
【FI】
B29C64/106
B29C64/386
B33Y10/00
B33Y50/00
B33Y70/00
B41J2/01 129
B41J2/01 501
C08F2/46
C09D11/101
G03G8/00
B41M5/00 100
B41M5/00 120
(21)【出願番号】P 2019056148
(22)【出願日】2019-03-25
【審査請求日】2022-03-25
(32)【優先日】2018-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー・エル・ベレリー
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・エヌ・クレティエン
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ジェイ・マコンヴィル
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・オニール
(72)【発明者】
【氏名】バーケフ・コシュケリアン
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・エス・コンデロ
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0282448(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0123014(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0218540(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0152396(US,A1)
【文献】特開2010-058509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスであって、
平坦な印刷画像を基材上に提供することと、
前記印刷画像と位置合わせして前記印刷画像上に硬化性ゲル化剤組成物を配置することと、
前記印刷画像と位置合わせして前記印刷画像上に硬化性非ゲル化剤組成物を配置して、前記印刷画像と位置合わせした隆起画像を作成することと、
前記
隆起画像を硬化させることと、を含む、プロセス。
【請求項2】
請求項1に記載のプロセスであって、
前記硬化性ゲル化剤組成物の追加量を連続的に堆積させて、前記印刷画像と位置合わせした隆起画像を作成することと、
前記堆積した隆起画像を硬化させることと、を含む、プロセス。
【請求項3】
前記印刷画像が、電子写真画像である、請求項1
又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記プロセスが、インラインプロセスを含む、請求項1
~3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項5】
前記硬化された隆起画像が、30マイクロメートルを超える高さを有する、請求項1
~4のいずれかに記載のプロセス。
【請求項6】
前記隆起画像が、
40マイクロメートル~
60マイクロメートルの高さを有する、請求項1
~5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項7】
前記
隆起画像を硬化させることが、前記硬化性非ゲル化剤組成物および硬化性ゲル化剤組成物の連続的な追加量の最後の部分が堆積された後に硬化させることを含む、請求項
2に記載のプロセス。
【請求項8】
前記堆積した硬化性ゲル化剤組成物を硬化させることが、前記硬化性ゲル化剤組成物の連続的な追加量の最後の部分が堆積された後に硬化させることを含む、請求項
2に記載のプロセス。
【請求項9】
前記硬化性ゲル化剤
組成物が、着色剤を含まない、請求項1
~8のいずれかに記載のプロセス。
【請求項10】
作成された前記隆起画像が、点字画像である、請求項1
~9のいずれかに記載のプロセス。
【請求項11】
前記硬化性ゲル化剤組成物および前記硬化性非ゲル化剤組成物が、前記
平坦な印刷画像上に順次配置され、
前記硬化性ゲル化剤組成物が最初に配置され、前記硬化性非ゲル化剤組成物が次に配置される、請求項1
~10のいずれかに記載のプロセス。
【請求項12】
前記硬化性非ゲル化剤組成物が、放射線硬化性モノマーまたはプレポリマー、光開始剤、および任意のシリコーンポリマーまたはプレポリマーを含み、
前記硬化性ゲル化剤組成物が、放射線硬化性モノマーまたはプレポリマー、光開始剤、任意のシリコーンポリマーまたはプレポリマー、およびゲル化剤を含む、請求項1
~11のいずれかに記載のプロセス。
【請求項13】
前記少なくとも1つの硬化性モノマーまたはプレポリマーが、多官能アクリレートまたはメタクリレート化合物である、請求項1
2に記載のプロセス。
【請求項14】
前記光開始剤が、ベンジルケトン、単量体ヒドロキシルケトン、α-アルコキシベンジルケトン、α-アミノケトン、アシルホスフィンオキシド、メタロセン、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、イソプロピルチオキサンテノン、アリールスルホニウム塩、およびアリールヨードニウム塩からなる群から選択される、請求項1
2に記載のプロセス。
【請求項15】
前記硬化性ゲル化
剤組成物が、シリコーンポリマーまたはプレポリマーをさらに含む、請求項1
~14のいずれかに記載のプロセス。
【請求項16】
前記基材が、普通紙、罫線付きノートブック紙、ボンド紙、シリカコート紙、光沢コート紙、透明材料、布地、織物製品、プラスチック、ポリマーフィルム、金属、木材、ワックス、および塩からなる群の部材を含む、請求項1
~15のいずれかに記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されるのは、実質的に平坦な印刷画像を基材上に提供することと、印刷画像と位置合わせして印刷画像上に硬化性ゲル化剤組成物を配置することであって、この硬化性ゲル化剤組成物は、放射線硬化性モノマーまたはプレポリマー、光開始剤、およびゲル化剤を含み、ゲル化剤組成物の追加量を連続的に堆積させて、印刷画像と位置合わせした隆起画像を作成する、配置することと、堆積した隆起画像を硬化させることと、を含むプロセスである。
【0002】
さらに開示されるのは、印刷画像を基材上に提供することと、印刷画像と位置合わせして印刷画像上に硬化性ゲル化剤組成物を配置することと、印刷画像と位置合わせして印刷画像上に硬化性非ゲル化剤組成物を配置して、印刷画像と位置合わせした隆起画像を作成することと、堆積した隆起画像を硬化させることと、を含むプロセスである。
【0003】
さらに開示されるのは、放射線硬化性モノマーまたはプレポリマー、光開始剤、シリコーンポリマーまたはプレポリマー、およびゲル化剤を含む紫外線硬化性相変化ゲル化剤組成物である。
【0004】
隆起プリントは、招待状、本、名刺、はがき、グリーティングカード、点字、および文書認証を含む多くの用途で使用される。従来のサーモグラフィプロセスでは、細い線をエンボス加工するのが難しく、すべての色がサーモグラフィプロセスと互換性があるわけではない。さらに、現在のインクジェット技術は、遅く、デジタルプリンタと一致しないことがある。
【0005】
現在のところ、インラインプロセスを使用して、同じ文書に平坦プリントと隆起プリントの両方を適用する方法はほとんど存在しない。
【0006】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,491,960号は、その要約において、隆起プリントを有する印刷物を製造するための方法を記載し、それは、複数の平坦インク色分解および少なくとも1つの隆起プリント色分解を含有するプリプレスフォーマット文書を受け取ることと、平坦インクを使用した平坦インク色分解および次元インクを使用した少なくとも1つの隆起プリント色分解を基材上に印刷することと、平坦インクおよび次元インクを乾燥させることと、適用された次元インクが粘着性になる温度までインク付けした基材を加熱することと、サーモグラフィ粉末が粘着性のある次元インクに付着するように、サーモグラフィ粉末を加熱されたインク付けした基材に適用することと、次元インクが適用されていない基材の領域からサーモグラフィ粉末を除去することと、シートを再加熱して、サーモグラフィ粉末を溶融させることと、シートを冷却して、平坦および隆起印刷内容の両方を有するプリント製品を得ることと、を含む。この特許は、平坦インクおよび次元インクを異なるヘッドから同じ文書に適用する方法を記載している。熱を適用して、平坦インクを乾燥させ、次元インクを「粘着性」にする。次元インクのみに付着するサーモグラフィ粉末を適用し、過剰分は、無次元インク領域から除去される。サーモグラフィ効果を活性化するために、プリントを再度加熱する。
【0007】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,925,043号は、実施形態において、マーキング材料画像を作成し、かつマーキング材料認証画像を作成するために、画像領域内の媒体上にマーキング材料を堆積することによって記録媒体上に認証マークを作成するシステムおよび方法を記載する。認証画像領域内のマーキング材料認証画像に関連付けられたマーキング材料の量を増加させるために、認証画像領域内の媒体上に所定量の追加のマーキング材料がさらに堆積される。認証画像領域に関連付けられた固定マーキング材料は、触覚的に認識可能な認証マークであり、認証マークに関連付けられた固定マーキング材料は、媒体の表面に対して、触覚的に認識可能な高さを有する。
【0008】
イスラエル、Rosh Ha‘ayinのScodix Ltd.は、透明な紫外線硬化性インクがCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の平坦印刷シートにオフラインで適用されるScodix1200(商標)UV Digital Embossing(商標)プレスを製造する。硬化後、画像の高さは、20~80マイクロメートルである。
【0009】
ニューヨーク州ロチェスターのEastman Kodak Companyによって製造されたKodak Nexpress S3600は、平坦画像と隆起画像が一緒に生成される単回通過プロセスで第5のハウジングから透明な次元インクを適用する。次元インクは、CMYK印刷プロセス中に特定の領域に選択的に適用される。このプロセスを用いて達成可能な厚さは、約30マイクロメートルである。
【0010】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,697,194号は、その要約において、インクベースの画像および電子写真ベースの画像をオーバーコートするのに適切な実質的に無色の放射線硬化性オーバーコート組成物を記載する。オーバーコートは、少なくとも1つのゲル化剤、少なくとも1つのモノマー、少なくとも1つの実質的に黄変しない光開始剤、任意に硬化性ワックス、および任意に界面活性剤を含む。
【0011】
現在利用可能な隆起プリントプロセスは、それらの意図する目的に適切であるかもしれないが、隆起プリントプロセスおよび組成物を改善する必要性が残っている。さらに、インライン隆起プリントプロセスおよびそのための組成物を改善する必要性が残っている。さらに、約40~約60マイクロメートルなど、30マイクロメートルを超える隆起プリント高さを達成することができるインラインの隆起プリントプロセスおよび組成物の必要性が残っている。さらに、頑強な隆起プリントにおいて約40~約60マイクロメートルの所望の隆起プリント高さを達成することができるインラインプロセスで平坦プリントおよび隆起プリントの両方を調製するためのプロセスおよび組成物の必要性が残っている。さらに、所望の隆起プリントを電子写真画像上に配置することができるようなプロセスおよび組成物の必要性が残っている。さらに、粗い表面上への隆起プリント、さらには層間の中間UV硬化(またはUV「ピン止め」)を伴わない印刷の必要性が残っている。さらに、色適合性を高めた隆起印刷、および速度を上げた隆起印刷プロセスの必要性が残っている。
【0012】
前述の米国特許および特許公報の各々の適した構成要素およびプロセス態様は、本開示のために、その実施形態において選択されてもよい。さらに、本出願を通して、様々な刊行物、特許、および公開された特許出願が、特定の引用によって参照される。本出願に記述される刊行物、特許、および公開された特許出願の開示は、これらの実施形態が関係する技術水準をより完全に説明するために、本開示に参照により組み込まれる。
【0013】
実質的に平坦な印刷画像を基材上に提供することと、印刷画像と位置合わせして印刷画像上に硬化性ゲル化剤組成物を配置することであって、硬化性ゲル化剤組成物は、放射線硬化性モノマーまたはプレポリマー、光開始剤、およびゲル化剤を含み、ゲル化剤組成物の追加量を連続的に堆積させて、印刷画像と位置合わせした隆起画像を作成することと、堆積した隆起画像を硬化させることと、を含むプロセスが記載される。
【0014】
また、印刷画像を基材上に提供することと、印刷画像と位置合わせして印刷画像上に硬化性ゲル化剤組成物を配置することと、印刷画像と位置合わせして印刷画像上に硬化性非ゲル化剤組成物を配置して、印刷画像と位置合わせした隆起画像を作成することと、堆積した隆起画像を硬化させることと、を含むプロセスも記載される。
【0015】
また、放射線硬化性モノマーまたはプレポリマー、光開始剤、シリコーンポリマーまたはプレポリマー、およびゲル化剤を含む紫外線硬化性相変化ゲル化剤組成物も記載される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本出願の紫外線硬化性ゲル化剤組成物を用いて調製された隆起構造の図である。
【
図2】本出願の紫外線硬化性ゲル化剤組成物を用いて印刷された隆起画像の図である。
【
図3】電子写真画像に対応する隆起画像を形成するために、本出願の無色の紫外線硬化性ゲル化剤組成物で重ね刷りされたXerox(登録商標)iGen(登録商標)5Pressを用いて印刷された電子写真画像の図である。
【
図4】
図3の単語「Day」中の文字「a」の高さ測定値を提供する図およびグラフである。
【
図5】本プロセスの実施形態に従って作成されたプリントの図である。
【0017】
紫外線硬化性ゲル化剤組成物は、インラインプロセスで、電子写真印刷画像をデジタルエンボス加工するため、実施形態では印刷された電子写真画像、例えば、Xerox(登録商標)iGen(登録商標)Pressを用いて印刷された電子写真画像をデジタルエンボス加工するための材料として提供される。実施形態では、紫外線硬化性ゲル化剤組成物は、着色剤を実質的に含まない。組成物は、放射線硬化性モノマーおよび/またはオリゴマー、光開始剤、ならびにゲル化剤を含む。紫外線硬化性ゲル化剤組成物は、例えば、約85℃の温度で約10~約15センチポアズの粘度、および周囲の基材温度(すなわち室温)である程度の機械的安定性(例えば、約105~約106センチポアズ)を有するなど、高温で頑強な噴射を示す。ゲル組成物が基材上で冷却すると、組成物は、その場で「ピン留め」され、処理方向にいくつかのプリントヘッドを使用しながら、中間硬化または紫外線照射ピン止めを必要とせずに隆起プリントを構築することができる。印刷後、マーキングは、完全に硬化されて、頑強な隆起画像または構造を提供する。
【0018】
実施形態では、本明細書のプロセスは、印刷画像上、実施形態では電子写真画像上、実施形態では実質的に平坦な印刷画像上に隆起テキストの作成を可能にし、隆起テキストは、約30マイクロメートルを超えるパイル高さを有し、実施形態では約30~約100マイクロメートル、または約40~約80マイクロメートル、または約40~約60マイクロメートルの高さを有する。本明細書のプロセスおよびゲル化剤組成物は、Xerox(登録商標)iGen(登録商標)150の速度または約585ミリメートル/秒の速度に適合する。ゲル化剤組成物のゲル化は、プリントヘッド間で中間のUV硬化(「ピン止め」)が必要とされないことを提供し、それは、以前から知られているプロセスよりも複雑でなく、かつ効率的なプリントプロセスを提供する。電子写真画像、実施形態ではトナー画像が表面を完全にシールしない普通紙上では、ゲル化剤組成物のゲル化は、それが紙に浸透するのを防止する。紙の浸透は、完成までの硬化を困難にし、裏写りのような他の望ましくない効果をもたらす。本ゲル化剤組成物の相変化性質のために、材料は、印刷中に定位置にピン止めされる。結果として、約30マイクロメートルを超える、または約30~約100マイクロメートル、または約40~約80マイクロメートル、または約40~約60マイクロメートル、または1.5ミリメートルを超える高さを有する構造体または隆起画像は、層間の硬化を必要とせずに印刷され得る。この特徴は、本ゲル化剤組成物およびプロセスを使用して印刷構造を単純化し、改善された印刷効率および速度を提供する。
【0019】
実施形態では、放射線硬化性相変化ゲル化剤組成物は、印刷された平坦な画像をデジタルエンボス加工するための材料として提供される。実施形態では、ゲル化剤組成物は、電子写真画像を「隆起させる」、またはもしする場合、電子写真画像をデジタルエンボス加工し、隆起画像を得るために、画像を重ね刷りするため、実施形態では実質的に平坦な画像、実施形態では電子写真画像、特定の実施形態では、トナー画像を重ね刷りするためのインラインプロセスで提供される。ゲル化剤組成物は、任意の適切なまたは所望の技術によって配置され得る。製造技術は、例えば、インクジェットベースのデジタル製造およびラピッドプロトタイピング技術を含み得る。ゲル化剤組成物は、放射線硬化性モノマー、プレポリマー、および/またはオリゴマー、光開始剤パッケージ、ならびにゲル化剤からなる。顔料または他の機能性粒子が、所望の用途に応じて任意に含まれてもよい。特定の実施形態では、ゲル化剤組成物は、着色剤を有さず、すなわち、組成物中に着色剤化合物を含有しない。本組成物のレオロジー特性は、高温(例えば、実施形態では約85℃)での頑強な噴射、および周囲の基材温度(すなわち、室温)である程度の機械的安定性(例えば、実施形態では約105~約106センチポアズ)を達成するように調整され得る。粘度が約105~約106センチポアズに増加すると、隆起プリントが電子写真画像上に、かつそれと位置合わせして構築されることが可能になる。しかしながら、硬化する前に、隆起プリントは、歯磨き粉に似た濃度を有することがあり、触れることによって変更され得る。硬化することによって、構造は、頑強になる。室温における本材料のゲル性質は、印刷された液滴の広がりまたは移動を防ぎ、三次元構造および隆起印刷画像の容易な構築を可能にする。この材料の放射線硬化性質のために、印刷された隆起画像は、製造プロセスの任意の時点での紫外線への露光により硬化され得、高度の機械的強度を有する頑強な画像が得られる。本明細書の実施形態では、本明細書の放射線硬化性相変化ゲル化剤組成物は、必要に応じて、隆起画像の各層の堆積後に硬化され得る。あるいは、時間の観点から、ゲル化剤組成物は、隆起画像のすべての層の堆積が完了したら硬化され得る。実施形態では、堆積した紫外線硬化性相変化ゲル化剤組成物を硬化させることは、紫外線硬化性相変化ゲル化剤組成物の連続的な追加量の最後の部分が堆積された後に硬化させることを含む。
【0020】
実施形態では、本明細書のプロセスは、印刷画像を基材上に提供することと、印刷画像と位置合わせして印刷画像上に硬化性相変化ゲル化剤組成物を配置することであって、この硬化性相変化ゲル化剤組成物は、放射線硬化性モノマーまたはプレポリマー、光開始剤、およびゲル化剤を含み、紫外線硬化性相変化ゲル化剤組成物の追加量を連続的に堆積させて、印刷画像と位置合わせした隆起画像を作成する、配置することと、堆積した紫外線硬化性相変化ゲル化剤組成物を硬化させることと、を含む。
【0021】
特定の実施形態では、本明細書のプロセスは、電子写真画像を基材上に印刷することと、インラインプロセスで、印刷された電子写真画像と位置合わせして硬化性相変化ゲル化剤組成物で電子写真画像を重ね刷りすることであって、この硬化性相変化ゲル化剤組成物は、放射線硬化性モノマーまたはプレポリマー、光開始剤、およびゲル化剤を含み、紫外線硬化性相変化ゲル化剤組成物の追加量を連続的に堆積させて、印刷された電子写真画像と位置合わせした隆起画像を作成する、重ね刷りすることと、堆積した紫外線硬化性相変化ゲル化剤組成物を硬化させることと、を含むインラインプロセスである。
【0022】
実施形態では、本明細書の方法は、硬化性ゲル化剤組成物の連続層を堆積させて、平坦な印刷画像と位置合わせした、実施形態では電子写真画像と位置合わせした、選択された高さおよび形状を有する画像を形成することを含む。硬化性ゲル化剤組成物の連続層は、三次元物体または隆起プリント画像を層状に構築するために堆積させ得る。本明細書の実施形態では、ミクロサイズ規模からマクロサイズ規模の電子写真画像上に、ほとんどすべてのデザインの画像を作成することができ、細い線を含む単純なテキスト画像および複雑な幾何学的形状を有する物体の画像を含み得る。本明細書の組成物および方法は、非接触の加色法(コンピュータ数値制御機械加工などの減法混色とは対照的に)を提供し、計量された量の本組成物を時間および空間における正確な位置に送達するための組込み能力を提供する。
【0023】
実施形態では、本明細書のプロセスは、印刷画像を基材上に提供することを含む。印刷画像は、実質的に平坦な、または隆起していない画像である。実施形態では、印刷画像は、電子写真画像である。特定の実施形態では、平坦な印刷画像および硬化性相変化ゲル化剤組成物がインラインプロセスで提供される。
【0024】
実施形態では、本明細書のゲル化剤組成物は、インクジェット印刷を使用して配置される。インクジェットプリントヘッドでは、個々の圧電式、熱式、または音響式アクチュエータが、発射信号と称されることもある電圧信号に応答して、インク充填圧力チャンバから開口部を通してインクを噴出する機械的力を生成する。発射信号の振幅、周波数、または持続時間は、各液滴中に噴出されるインクの量に影響を与える。発射信号は、画像データに従ってプリントヘッドコントローラによって生成される。インクジェットプリンタは、受像部材上の特定の位置に個々のインク滴のパターンを印刷することによって、画像データに従って印刷画像を形成する。インク滴が着弾する位置は、「インク滴位置」、「インク滴の場所」、または「ピクセル」と呼ばれることがある。したがって、印刷動作は、画像データに従う受像部材上のインク滴の配置として見られ得る。
【0025】
画像データによって表される画像物体および色に対する忠実度の両方に関して、印刷画像が画像データに密接に対応するためには、プリントヘッドは、結像面を基準にして、およびプリンタ内の他のプリントヘッドを基準にして位置合わせされなければならない。プリントヘッドの位置合わせは、プリントヘッドを動作させて既知のパターンでインクを噴出させ、次に噴出したインクの印刷画像を分析して、受像面およびプリンタ内の他のプリントヘッドを基準にしてプリントヘッドの配向を決定するプロセスである。画像データに対応してインクを噴出させるためにプリンタ内のプリントヘッドを動作させることは、プリントヘッドが受像面を横切る幅と同じ高さであり、プリントヘッド内のすべてのインクジェット噴出器が動作可能であると推定する。しかしながら、プリントヘッドの配向に関する推定は、仮定されるのではなく、検証されなければならない。さらに、プリントヘッドの適切な動作のための条件が検証できない場合、印刷画像の分析が、プリントヘッドを調整して印刷のための推定条件によりよく一致させるか、または推定条件からのプリントヘッドの逸脱を補うかのいずれかのために使用され得るデータを生成するべきである。さらなる詳細に関しては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,939,536号を参照されたい。
【0026】
実施形態では、本明細書のゲル化剤組成物は、平坦な画像上、実施形態では電子写真画像上にゲル化剤組成物をインクジェット印刷することによって配置される。特定の実施形態では、印刷された電子写真画像に関連するデータを捕捉するためにスキャナが使用され、印刷された電子写真画像と位置合わせしたゲル化剤組成物の配置を制御するために、データがインクジェットプリンタに中継される。
【0027】
実施形態では、本明細書のゲル化剤組成物は、任意の適切な硬化性モノマーまたはプレポリマーを含み得る。実施形態では、少なくとも1つの硬化性モノマーまたはプレポリマーは、多官能性アクリレートまたはメタクリレート化合物である。適切な材料の例には、相変化担体としての使用に適切な、アクリレートおよびメタクリレートモノマー化合物などの放射線硬化性モノマー化合物が含まれる。比較的非極性のアクリレートおよびメタクリレートモノマーの具体例としては、(これらに限定されないが)イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、カプロラクトンアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、ブチルアクリレートなど、ならびにそれらの混合物および組み合わせが挙げられる。さらに、多官能性アクリレートおよびメタクリレートモノマーおよびオリゴマーは、反応性希釈剤として、および硬化された画像の架橋密度を増加させることができ、それによって硬化された画像の靱性を高めることができる材料として相変化担体中に含められ得る。硬化された画像の可塑性または弾性を調整するために、異なるモノマーおよびオリゴマーが添加され得る。適切な多官能性アクリレートおよびメタクリレートモノマーおよびオリゴマーの例としては、(これらに限定されないが)ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、1,2-エチレングリコールジアクリレート、1,2-エチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,12-ドデカノールジアクリレート、1,12-ドデカノールジメタクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート(Sartomer CO.Inc.からSR9003として入手可能)、ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、アミン変性ポリエーテルアクリレート(Laromer(登録商標)PO83F、PO8869、および/またはPO8889として入手可能(すべてBASF Corporationから入手可能)、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールプロポキシレートトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(Sartomer Co.Inc.からSR494として入手可能)など、ならびにそれらの混合物および組み合わせが挙げられる。反応性希釈剤が担体材料に添加されるとき、反応性希釈剤は任意の所望のまたは有効な量、一実施形態では担体の少なくとも約1重量パーセント、別の実施形態では担体の少なくとも約35重量パーセント、一実施形態では担体の約80重量パーセント以下、別の実施形態では担体の約70重量パーセント以下で添加されるが、希釈剤の量は、これらの範囲外であってもよい。
【0028】
実施形態では、ゲル化剤組成物は、液体に溶解されると比較的狭い温度範囲にわたって粘度が比較的急激に増加するという点でゲル様挙動を示すことができる少なくとも1つの化合物、例えば紫外線などの放射線に露光されると硬化性モノマーのように作用するそれらの化合物を含有する。そのような液体硬化性モノマーの一例は、Sartomer Co.Inc.から市販されているSR9003などのプロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレートである。
【0029】
一実施形態では、本明細書に開示されているようないくつかの化合物は、少なくとも約103センチポアズ、別の実施形態では少なくとも約105センチポアズ、さらに別の実施形態では少なくとも約106センチポアズの粘度の変化を、一実施形態では少なくとも約30℃、別の実施形態では少なくとも約10℃、さらに別の実施形態では少なくとも約5℃の温度変化にわたって受けるが、粘度変化および温度範囲は、これらの範囲外であってもよく、これらの範囲内で変化を受けない化合物も本明細書に含まれる。
【0030】
本明細書に開示されている化合物の少なくともいくつかの実施形態は、第1の温度で半固体ゲルを形成することができる。例えば、化合物が相変化組成物に組み込まれるとき、この温度は、組成物が噴射される特定の温度より低い。半固体ゲル相は、1つ以上の固体ゲル化剤分子および液体担体を含む動的平衡として存在する物理的ゲルである。半固体ゲル相は、水素結合、ファンデルワールス相互作用、芳香族非結合相互作用、イオン結合または配位結合、ロンドン分散力などの非共有相互作用によってまとめられた分子成分の動的網目構造集合体であり、これは、温度、機械的攪拌などの物理的な力、またはpH、イオン強度などの化学的な力による刺激によって、巨視的レベルで液体から半固体状態への可逆的転移を受け得る。ゲル化剤分子を含有する溶液は、温度が溶液のゲル化点より上または下で変化すると、半固体ゲル状態と液体状態との間で熱可逆的転移を示す。半固体ゲル相と液相との間の転移のこの可逆的サイクルは、溶液製剤中で何度も繰り返され得る。
【0031】
実施形態では、本明細書に開示されているゲル化剤組成物は、任意の適切な光開始剤を含み得る。具体的な開始剤の例としては、これらに限定されないが、とりわけ、いずれもBASFから市販されているIrgacure(登録商標)379およびIrgacure(登録商標)819が挙げられる。適切な開始剤のさらなる例としては、(これらに限定されないが)ベンゾフェノン、ベンジルケトン、モノマーヒドロキシルケトン、ポリマーヒドロキシルケトン、α-アルコキシベンジルケトン、α-アミノケトン、アシルホスフィンオキシド、メタロセン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、α-ヒドロキシアルキルフェノン、α-アミノアルキルフェノン、BASFからIrgacure(登録商標)の商品名で販売されているアシルホスフィン光開始剤などが挙げられる。具体例としては、オリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン(IGM Resins Esacure(登録商標)KIP150として入手可能)、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-(4-モルホリニル)フェニル)-1-ブタノン、2-メチル-1-(4-メチルチオ)フェニル-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノン、ジフェニル-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ベンジル-ジメチルケタール、イソプロピルチオキサントン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF Irgacure(登録商標)TPOとして入手可能)、2、4,6-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド(BASF Irgacure(登録商標)TPO-Lとして入手可能)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニル-ホスフィンオキシド(BASF Irgacure(登録商標)819として入手可能)および他のアシルホスフィン、2-メチル-1-(4-メチルチオ)フェニル-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノン(BASF Irgacure(登録商標)907として入手可能)および1-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン(BASF Irgacure(登録商標)2959として入手可能)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン-1(BASF Irgacure(登録商標)369として入手可能)、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イルフェニル)-ブタノン(BASF Irgacure(登録商標)379として入手可能)、チタノセン、イソプロピルチオキサントン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、ジフェニル-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチルエステル、オリゴ(2-ヒドロキシ-)2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、ベンジル-ジメチルケタールなど、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0032】
任意に、ゲル化剤組成物は、光開始剤に水素原子を供与し、それによって、重合を開始させるラジカル種を形成することができる共開始剤であるアミン相乗剤を含有することもでき、また、フリーラジカル重合を阻害する溶存酸素を消費し、それによって重合の速度を増加させることができる。適切なアミン相乗剤の例には、(これらに限定されないが)エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-4-ジメチルアミノベンゾエートなど、およびそれらの混合物が含まれる。
【0033】
本明細書に開示される組成物のための開始剤は、任意の所望のまたは有効な波長、一実施形態では少なくとも約200~約560ナノメートル、または約200~約420ナノメートルの放射線を吸収することができるが、波長は、これらの範囲外であってもよい。
【0034】
任意に、光開始剤は、任意の所望のまたは有効な量で、一実施形態ではUV硬化性組成物の少なくとも約0.5重量パーセント、別の実施形態ではUV硬化性組成物の少なくとも約1重量パーセント、一実施形態ではUV硬化性組成物の約15重量パーセント以下、別の実施形態ではUV硬化性組成物の約10重量パーセント以下でUV硬化性組成物中に存在するが、量は、これらの範囲外であってもよい。
【0035】
硬化性モノマーまたはプレポリマーは、限定されないが、UV硬化性組成物の約50重量%を超える、またはUV硬化性組成物の少なくとも70重量%、またはUV硬化性組成物の少なくとも80重量%を形成し得る。実施形態では、硬化性モノマーまたはプレポリマーは、UV硬化性組成物の総重量に基づいて、約50重量%~約80重量%、または約50重量%~約70重量%の量で含まれ得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、実施形態では、ゲル化剤は、水素結合、ファンデルワールス相互作用、芳香族非結合相互作用、イオン結合または配位結合、ロンドン分散力などの非共有相互作用によってまとめられた分子成分の動的網目構造集合体を形成することができる任意の材料であり、この集合体は、温度、機械的攪拌などの物理的な力、またはpH、イオン強度などの化学的な力による刺激によって、巨視的レベルで液体から半固体状態への可逆的転移を受け得る。ゲル化剤分子を含有する溶液は、温度が溶液のゲル化点より上または下で変化すると、半固体ゲル状態と液体状態との間で熱可逆的転移を示す。半固体ゲル相と液相との間の転移のこの可逆的サイクルは、溶液製剤中で何度も繰り返され得る。
【0037】
本明細書の組成物には、任意の適切なゲル化剤が使用され得る。実施形態では、本明細書の組成物での使用に適切なゲル化剤としては、硬化性ポリアミド-エポキシドアクリレート成分およびポリアミド成分からなる硬化性ゲル化剤、硬化性エポキシ樹脂およびポリアミド樹脂からなる硬化性複合ゲル化剤、アミドゲル化剤などが挙げられる。
【0038】
実施形態では、米国特許第7,625,956号に開示されているようなゲル化剤が使用され得、その開示は、参照により本明細書に全体的に組み込まれ、ゲル化剤は、以下の式の化合物であり、
【0039】
【0040】
式中、R1は、
【0041】
(i)アルキレン基(ここで、アルキレン基は、直鎖および分岐鎖、飽和および不飽和、環状および非環状、ならびに置換および非置換のアルキレン基を含む、二価の脂肪族基もしくはアルキル基として定義され、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などのヘテロ原子は、アルキレン基中に存在してもしなくてもよい)であり、一実施形態では少なくとも1個の炭素原子~約12個の炭素原子、もしくは約1~約4個の炭素原子、もしくは約2個以下の炭素原子を有するが、炭素原子の数は、これらの範囲外であってもよい、アルキレン基、
【0042】
(ii)アリーレン基(ここで、アリーレン基は、置換および非置換のアリーレン基を含む、二価の芳香族基もしくはアリール基として定義され、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などのヘテロ原子は、アリーレン基中に存在してもしなくてもよい)であり、一実施形態では少なくとも約5個の炭素原子~約14個の炭素原子、もしくは約6個の炭素原子、一実施形態では約14個以下の炭素原子、もしくは約6~約10個の炭素原子、もしくは約6個以下の炭素原子を有するが、炭素原子の数は、これらの範囲外であってもよい、アリーレン基、
【0043】
(iii)アリールアルキレン基(ここで、アリールアルキレン基は、置換および非置換のアリールアルキレン基を含む、二価のアリールアルキル基として定義され、アリールアルキレン基のアルキル部分は、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和、および環状もしくは非環式であり得、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などのヘテロ原子は、アリールアルキレン基のアリールもしくはアルキル部分のいずれかに存在してもしなくてもよい)であり、一実施形態では少なくとも約6個の炭素~約32個の炭素原子、もしくは少なくとも約7個の炭素原子~約22個の炭素原子を有するが、炭素原子の数は、これらの範囲外であってもよい、アリールアルキレン基、または
【0044】
(iv)アルキルアリーレン基(ここで、アルキルアリーレン基は、置換および非置換のアルキルアリーレン基を含む、二価のアルキルアリール基として定義され、アルキルアリーレン基のアルキル部分は、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和、および環式もしくは非環式であり得、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などのヘテロ原子は、アルキルアリーレン基のアリールもしくはアルキル部分のいずれかに存在してもしなくてもよい)であり、一実施形態では約6~32個の炭素原子、もしくは約7~約22個の炭素原子を有するが、炭素原子の数は、これらの範囲外であってもよく、置換アルキレン、アリーレン、アリールアルキレン、およびアルキルアリーレン基上の置換基は、(これらに限定されないが)ハロゲン原子、シアノ基、ピリジン基、ピリジニウム基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルフィド基、ニトロ基、ニトロソ基、アシル基、アゾ基、ウレタン基、尿素基、それらの混合物などであり得、2つ以上の置換基が一緒になって環を形成することができる、アルキルアリーレン基、であり、
【0045】
R2およびR2’は、互いに独立して、各々、
【0046】
(i)アルキレン基(ここで、アルキレン基は、直鎖および分岐鎖、飽和および不飽和、環状および非環状、ならびに置換および非置換のアルキレン基を含む、二価の脂肪族基もしくはアルキル基として定義され、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などのヘテロ原子は、アルキレン基中に存在してもしなくてもよい)であり、一実施形態では少なくとも1個の炭素原子~約54個の炭素原子、もしくは約1~約36個の炭素原子を有するが、炭素原子の数は、これらの範囲外でもよい、アルキレン基、
【0047】
(ii)アリーレン基(ここで、アリーレン基は、置換および非置換のアリーレン基を含む、二価の芳香族基またはアリール基として定義され、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などのヘテロ原子は、アリーレン基中に存在してもしなくてもよい)であり、一実施形態では少なくとも約5個の炭素原子~約14個の炭素原子、もしくは約6個の炭素原子~約10個の炭素原子、もしくは約7~約10個の炭素原子を有するが、炭素原子の数は、これらの範囲外でもよい、アリーレン基、
【0048】
(iii)アリールアルキレン基(ここで、アリールアルキレン基は、置換および非置換のアリールアルキレン基を含む、二価のアリールアルキル基として定義され、アリールアルキレン基のアルキル部分は、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和、および環状もしくは非環状であり得、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などのヘテロ原子は、アリールアルキレン基のアリールもしくはアルキル部分のいずれかに存在してもしなくてもよい)であり、一実施形態では少なくとも6個の炭素原子~約32個の炭素原子を、もしくは少なくとも約7~約22個の炭素原子を、もしくは約8個以下の炭素原子を有するが、炭素原子の数は、これらの範囲外であってもよい、アリールアルキレン基、または
【0049】
(iv)アルキルアリーレン基(ここで、アルキルアリーレン基は、置換および非置換のアルキルアリーレン基を含む、二価のアルキルアリール基として定義され、アルキルアリーレン基のアルキル部分は、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和、および環状もしくは非環状であり得、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などのヘテロ原子は、アルキルアリーレン基のアリールもしくはアルキル部分のいずれかに存在してもしなくてもよい)であり、一実施形態では少なくとも約6個の炭素原子を、別の実施形態では少なくとも約7~約32個の炭素原子を、もしくは約7~約22個の炭素原子を有するが、炭素原子の数は、これらの範囲外であってもよく、置換アルキレン、アリーレン、アリールアルキレン、およびアルキルアリーレン基上の置換基は、(これらに限定されないが)ハロゲン原子、シアノ基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、ホスフィン基、ホスホニウム基、リン酸基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナト基、ウレタン基、尿素基、それらの混合物などであり得、2つ以上の置換基が一緒になって環を形成することができる、アルキルアリーレン基、であり、
【0050】
R3およびR3’は、互いに独立して、各々基であり、それは、
【0051】
(i)アルキル基(直鎖および分岐鎖、飽和および不飽和、環状および非環状、ならびに置換および非置換のアルキル基を含み、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などのヘテロ原子は、アルキル基中に存在してもしなくてもよい)であり、一実施形態では少なくとも約2個の炭素原子~約100個の炭素原子を、もしくは少なくとも約3~約60個の炭素原子を、もしくは少なくとも約4~約30個の炭素原子を有するが、炭素原子の数は、これらの範囲外であってもよい、アルキル基、
【0052】
(ii)アリール基(置換および非置換のアリール基を含み、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などのヘテロ原子は、アリール基中に存在してもしなくてもよい)、例えばフェニルなどであり、一実施形態では少なくとも約5~約100個の炭素原子を、または少なくとも約6~約60個の炭素原子を、または約6~約30個の炭素原子を有するが、炭素原子の数は、これらの範囲外であってもよい、アリール基、
【0053】
(iii)アリールアルキル基(置換および非置換のアリールアルキル基を含み、アリールアルキル基のアルキル部分は、直鎖もしくは分枝鎖、飽和もしくは不飽和、および環状または非環状であり得、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などのヘテロ原子は、アリールアルキル基のアリールもしくはアルキル部分のいずれかに存在してもしなくてもよい)、例えばベンジルなどであり、一実施形態では少なくとも約6~約100個の炭素原子を、もしくは約7~約60個の炭素原子を、もしくは約7~約30個の炭素原子を有するが、炭素原子の数は、これらの範囲外であってもよい、アリールアルキル基、または
【0054】
(iv)アルキルアリール基(置換および非置換のアルキルアリール基を含み、アルキルアリール基のアルキル部分は、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和、および環状もしくは非環状であり得、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などのヘテロ原子は、アルキルアリール基のアリールもしくはアルキル部分のいずれかに存在してもしなくてもよい)、例えばトリルなどであり、一実施形態では少なくとも約6~約100個の炭素原子、もしくは約7~約60個の炭素原子、もしくは約7~約30個の炭素原子を有するが、炭素原子の数は、これらの範囲外であってもよく、置換アルキル、アリールアルキル、およびアルキルアリール基上の置換基は、(これらに限定されないが)ハロゲン原子、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルフィド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、カルボキシレート基、カルボン酸基、ウレタン基、尿素基、それらの混合物などであり得、2つ以上の置換基が一緒になって環を形成することができる、アルキルアリール基であり、
【0055】
XおよびX’は、互いに独立して、酸素原子または式-NR4-の基であり、ここでR4は、
【0056】
(i)水素原子、
【0057】
(ii)直鎖および分岐鎖、飽和および不飽和、環状および非環状、ならびに置換および非置換のアルキル基を含むアルキル基であり、ヘテロ原子は、アルキル基中に存在してもしなくてもよく、一実施形態では1個の炭素原子~約100個の炭素原子、もしくは約1~約60個の炭素原子、もしくは約1~約30個の炭素原子を有するが、炭素原子の数は、これらの範囲外であってもよい、アルキル基、
【0058】
(iii)置換および非置換アリール基を含むアリール基であり、ヘテロ原子は、アリール基中に存在してもしなくてもよく、一実施形態では少なくとも約5~約100個の炭素原子、もしくは約6~約100個の炭素原子、もしくは約6~約30個の炭素原子を有するが、炭素原子の数は、これらの範囲外であってもよい、アリール基、
【0059】
(iv)置換および非置換のアリールアルキル基を含むアリールアルキル基であり、アリールアルキル基のアルキル部分は、直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和、および環状または非環状であり得、ヘテロ原子は、アリールアルキル基のアリールもしくはアルキル部分のいずれかに存在してもしなくてもよく、一実施形態では少なくとも約6個の炭素原子を、別の実施形態では少なくとも約7~約100個の炭素原子、もしくは約7~約60個の炭素原子、もしくは約7~30個の炭素原子を有するが、炭素原子の数は、これらの範囲外であってもよい、アリールアルキル基、または
【0060】
(v)置換および非置換のアルキルアリール基を含むアルキルアリール基であり、アルキルアリール基のアルキル部分は、直鎖もしくは分枝鎖、飽和もしくは不飽和、および環状もしくは非環状であり得、ヘテロ原子は、アルキルアリール基のアリールもしくはアルキル部分のいずれかに存在してもしなくてもよく、一実施形態では少なくとも約6~約100個の炭素原子、もしくは約7~約100個の炭素原子、もしくは約7~約30個の炭素原子を有するが、炭素原子の数は、これらの範囲外であってもよく、置換アルキル、アリール、アリールアルキル、およびアルキルアリール基上の置換基は、(これらに限定されないが)ハロゲン原子、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、硫酸基、スルホネート基、スルホン酸基、スルフィド基、スルホキシド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホン基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、カルボキシレート基、カルボン酸基、ウレタン基、尿素基、それらの混合物などであり得、2つ以上の置換基が一緒になって環を形成することができる、アルキルアリール基である。
【0061】
特定の一実施形態では、R2およびR2’は、互いに同じであり、別の特定の実施形態では、R2およびR2’は、互いに異なる。特定の一実施形態では、R3およびR3’は、互いに同じであり、別の特定の実施形態では、R3およびR3’は、互いに異なる。
【0062】
特定の一実施形態では、R2およびR2’は、各々、式-C34H56+a-の基であり、式の異性体(これらに限定されないが)を含む、不飽和および環状基を含み得る分岐鎖アルキレン基であり、ここでaは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12の整数である。
【0063】
【0064】
特定の一実施形態では、R1は、エチレン(-CH2CH2-)基である。
【0065】
特定の一実施形態では、R3およびR3’は、両方とも以下のとおりである。
【0066】
【0067】
特定の一実施形態では、化合物は、以下の式の化合物であり、
【0068】
【0069】
式中、-C34H56+a-は、式の異性体(これらに限定されないが)を含む、不飽和および環式基を含み得る分岐アルキレン基を表し、ここで、aは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12の整数である。
【0070】
【0071】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,563,489号に開示されるような硬化性エポキシ樹脂およびポリアミド樹脂からなる適切な複合ゲル化剤もまた、本明細書の実施形態において選択され得る。
【0072】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,632,546号に開示されるような硬化性ポリアミド-エポキシアクリレート成分およびポリアミド成分からなる適切なゲル化剤もまた、本明細書の実施形態において選択され得る。
【0073】
各々参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,276,614号および同第7,279,587号に開示されるようなアミドゲル化剤もまた、本明細書の実施形態において選択され得る。
【0074】
ゲル化剤は、任意の適切なまたは所望の量でUV硬化性組成物中に含まれてもよい。実施形態では、ゲル化剤は、UV硬化性組成物総重量に基づいて、約1~約50重量パーセント、または約2~約20重量パーセント、または約3~約10重量パーセントの量で含まれる。
【0075】
実施形態では、UV硬化性組成物は、シリコーンポリマーまたはプレポリマーを含む。任意の適切なまたは所望のシリコーンポリマーまたはプレポリマーが選択され得る。例えば、ACR Di-50の名称で販売されている線状二官能性アクリレート末端シリコーンプレポリマーは、Siltech Corporationから入手可能なSilmer(登録商標)であり、選択され得る。Dow Corning Corporationから入手可能なポリアミド系複合材料中の添加剤として使用される固体シリコーンポリマーであるDow Corning(登録商標)31-441添加剤もまた、選択され得る。
【0076】
実施形態では、本明細書のUV硬化性組成物は、実質的に無色である。本明細書で使用される場合、「実質的に無色」とは、硬化の前後で実質的にまたは完全に透明またはクリアである組成物を指す。このために、UV硬化性組成物は、着色剤を実質的に有しなくてもよい。本明細書のUV硬化性組成物は、硬化しても黄変せず、実質的にまたは完全に透明かつクリアのままであり、すなわち、L*a*b*値、またはK、C、M、Yのいずれにも測定可能な差異はほとんどまたはまったく見られない。「実質的に黄変しない」または「実質的にまたは完全に透明またはクリア」とは、約15パーセント未満、または約10パーセント未満、または約5パーセント未満、例えば、ゼロパーセントの量で、硬化時に色または色相が変化するUV硬化性組成物を指す。
【0077】
実施形態では、UV硬化性組成物は、顔料、染料、またはそれらの混合物などの着色剤を実質的にまたは完全に含まない。
【0078】
他の実施形態では、UV硬化性組成物は、1つ以上の任意の着色剤を含んでもよい。任意の着色剤は、存在する場合、UV硬化性組成物の総重量に基づいて、任意の適切なまたは所望の量、例えば約0.5~約75重量パーセント、または約1~約50重量パーセント、または約1~約25重量パーセントで存在してもよい。
【0079】
本明細書の実施形態では、染料、顔料、またはそれらの組み合わせを含む任意の適切な着色剤が使用され得る。着色剤として、例には、ビヒクル中に分散または溶解することができる任意の染料または顔料が含まれてもよい。
【0080】
適切な顔料の例としては、例えば、Paliogen Red Violet5411(BASF)、Heliogen Green L8730(BASF)、Sunfast[1]Blue15:4(Sun Chemical)、Hostaperm Blue B4G(Clariant)、Permanent Red P-F7RK、Hostaperm Violet RL02(Clariant)、Paliogen Red3580K(BASF)、SunBrite Yellow155、Heliogen Blue L6600F、L7085(BASF)、Heliogen Blue K6902、K6911(BASF)、Heliogen Blue D6700、D7079(BASF)、Paliogen Blue6470(BASF)、Sudan Orange220(BASF)、Paliotol Yellow K1841(BASF)、Novoperm Yellow FGL(Clariant)、Hostaperm Pink E02(Clariant)、Hansa Brilliant Yellow5GX03(Clariant)、Permanent Yellow GRL03(Clariant)、Permanent Rubine F6B(Clariant)、Cinquasia Magenta(BASF)、Paliogen Black L0086(BASF)、ならびにREGAL(登録商標)350A120および250R (Cabot)などのカーボンブラック、それらの混合物などが挙げられる。
【0081】
本明細書の放射線硬化性ゲル化剤組成物はまた、任意に酸化防止剤を含有することができる。任意の酸化防止剤は、画像を酸化から保護することができ、また、調製プロセスの加熱部分の間の酸化から成分を保護することもできる。適切な抗酸化安定剤の具体例としては、コネチカット州ダンベリーのAddivantから市販されているNAUGARD([1]登録商標)445およびNAUGARD([1]登録商標)I-403、BASFから市販されているIRGANOX([1]登録商標)1010およびIRGASTAB([1]登録商標)UV22、スイス国チューリッヒのRahn AGから市販されているGENORAD16およびGENORAD40など、ならびにそれらの混合物が挙げられる(これらに限定されないが)。存在する場合、任意の酸化防止剤は、任意の所望のまたは有効な量、一実施形態では担体の少なくとも約0.01重量パーセント、別の実施形態では担体の少なくとも約0.1重量パーセント、さらに別の実施形態では担体の少なくとも約1重量パーセント、一実施形態では担体の約20重量パーセント以下、別の実施形態では担体の約5重量パーセント以下、さらに別の実施形態では担体の約3重量パーセント以下で存在するが、量は、これらの範囲外であってもよい。
【0082】
放射線硬化性ゲル化剤組成物は、所望であれば、そのような添加剤に関連付けられる既知の機能性を利用する添加剤を含有することもできる。そのような添加剤は、例えば、消泡剤、滑り剤およびレベリング剤、顔料分散剤、界面活性剤など、ならびにそれらの混合物を含んでもよい。組成物は、必要に応じて追加のモノマーまたはポリマー材料を含むこともできる。
【0083】
本組成物の硬化は、得られる画像を任意の所望のまたは有効な波長、一実施形態では少なくとも約200ナノメートル、一実施形態では約480ナノメートル以下の化学線に露光させることによって達成され得るが、波長は、これらの範囲外であってもよい。化学線への露光は、任意の所望のまたは有効な期間、一実施形態では少なくとも約0.2秒間、別の実施形態では少なくとも約1秒間、さらに別の実施形態では少なくとも約5秒間、一実施形態では約30秒以下、別の実施形態では約15秒以下であり得るが、露光期間は、これらの範囲外であってもよい。硬化とは、製剤中の硬化性化合物が、例えば、(これらに限定されないが)架橋、鎖延長など、化学線への露光の際に分子量の増加を受けることを意味する。
【0084】
放射線硬化性組成物は、一般に、噴射温度(一実施形態では約50℃以上、別の実施形態では約60℃以上、さらに別の実施形態では約70℃以上、一実施形態では約120℃以下、別の実施形態では約110℃以下であるが、噴射温度は、これらの範囲外でもよい)で、一実施形態では約30センチポアズ以下、別の実施形態では約20センチポアズ以下、さらに別の実施形態では約15センチポアズ以下、一実施形態では約2センチポアズ以上、別の実施形態では約5センチポアズ以上、さらに別の実施形態では約7センチポアズ以上の溶融粘度を有するが、溶融粘度はこれらの範囲外であってもよい。
【0085】
特定の一実施形態では、組成物は、低温、特に約110℃より低い温度、一実施形態では約40℃~約110℃、別の実施形態では約50℃~約110℃、さらに別の実施形態では約60℃~約90℃で噴射されるが、噴射温度は、これらの範囲外であってもよい。このような低い噴射温度では、組成物中の急速な相変化(すなわち、液体から固体へ)を起こすための、噴射された組成物と、その上に組成物が噴射される基材との間の温度差の従来の使用は、効果的ではない。したがって、ゲル化剤を使用して、基材上の噴射された組成物の粘度を急速に上昇させることができる。特に、噴射された組成物の液滴は、組成物が液体状態からゲル状態(または半固体状態)への有意な粘度変化を受ける相変化転移の作用により、組成物の組成物噴射温度よりも低い温度で維持される、紙もしくは透明材料などの最終記録基材、またはトランスフューズドラムもしくはベルトなどの中間転写部材などの受容基材上の位置に固定され得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、組成物がゲル状態を形成する温度は、噴射温度より低い任意の温度、一実施形態では噴射温度より約5℃以上低い任意の温度である。一実施形態では、ゲル状態は、少なくとも約25℃の温度で、別の実施形態では少なくとも約30℃の温度で、一実施形態では約100℃以下、別の実施形態では約70℃以下、さらに別の実施形態では約50℃以下で形成され得るが、温度は、これらの範囲外であってもよい。組成物が液体状態にある噴射温度から、組成物がゲル状態にあるゲル温度まで冷却すると、組成物の粘度が急激に大きく上昇する。粘度増加は、特定の一実施形態では、少なくとも102.5倍の粘度増加である。
【0087】
実施形態では、本プロセスは、互いに協働して使用される、硬化性ゲル化剤組成物と非ゲル化剤硬化性組成物との組み合わせを使用することを含む。この実施形態では、制御されたパターニングのための能力の向上と同様に、中実充填領域のための滑らかな仕上げが達成される。印刷後、マーキングは、硬化されて、頑強な構造を提供する。実施形態では、硬化性ゲル化剤組成物および非ゲル化剤硬化性組成物が実質的に平坦な画像上に順次印刷され、隆起画像を作成するように硬化される。特定の実施形態では、硬化性ゲル化剤組成物は、最初に、印刷された平坦な画像上に配置され、次に、非ゲル化剤硬化性組成物が印刷された平坦な画像上に配置され(すなわち、非ゲル化剤硬化性組成物は、配置された硬化性ゲル化剤組成物の後または上に配置される)、硬化が行われ、実施形態では、硬化は、硬化性ゲル化剤組成物層および非ゲル化剤硬化性組成物層のすべてが配置された後に行われる。
【0088】
したがって、ある実施形態では、硬化性ゲル化剤組成物と非ゲル化性硬化性組成物との組み合わせを使用して、インラインプロセスで、Xerox(登録商標)iGen(登録商標)プリントなどのプリントをデジタルエンボス加工する。実施形態では、非ゲル化剤組成物は、放射線硬化性モノマーおよび/またはオリゴマー、光開始剤パッケージ、ならびに湿潤剤を含む。非ゲル化剤組成物は、ゲル化剤を含まず、すなわち、それを含有しない。放射線硬化性モノマーおよび/またはオリゴマー、光開始剤、ならびに湿潤剤は、ゲル化剤含有組成物について上記したものから選択され得る。実施形態では、硬化性ゲル化剤組成物は、放射線硬化性モノマーまたはプレポリマー、光開始剤、任意のシリコーンポリマーまたはプレポリマー、およびゲル化剤を含み、上記の通りであり得る。
【0089】
実施形態では、硬化性非ゲル化剤組成物および硬化性ゲル化剤組成物は各々、印刷画像と位置合わせした基材上の印刷画像上に別々に印刷される。硬化性非ゲル化剤組成物および硬化性ゲル化剤組成物は、硬化性非ゲル化剤組成物および硬化性ゲル化剤組成物の1つ以上の層を連続的に交互にするなど、任意の適切なまたは所望の方法で印刷画像上に1つ以上の層で印刷され得る。
【0090】
実施形態では、硬化性ゲル化剤組成物および硬化性非ゲル化剤組成物は、印刷画像上に順次配置され、硬化性ゲル化剤組成物が最初に配置され、硬化性非ゲル化剤組成物が次に配置される。
【0091】
実施形態では、湿潤剤は、定着ロールオイル用に特定して選択される。適切な湿潤剤の例には、Siltech Corporationから入手可能な、Silmer(登録商標)シリコーンアクリレートプレポリマーであるACR Di-10、Siltech Corporationから入手可能な、Silmer(登録商標)線状二官能性アクリレート末端シリコーンプレポリマーであるACR Di-50、Siltech Corporationから入手可能な、カルビノール官能性シリコーングリコールコポリマーであるSiltech(登録商標)C-20、Siltech Corporationから入手可能な、シリコーンポリエーテルコポリマーであるSiltech(登録商標)C-42、BYKからのシリコーン含有表面添加剤であるBYK-UV3510、Dow Corning Corporationから入手可能な、ポリアミド系複合材料中の添加剤として使用される固体シリコーンポリマーであるDow Corning(登録商標)31-441、およびそれらの混合物が含まれる。
【0092】
UVゲル化剤組成物は、さらにゲル化剤を含有する。実施形態では、ゲル化剤は、上記のゲル化剤から選択される。ゲル組成物は、高温(10~15cPs)での頑強な噴射および周囲の基材温度(すなわち、室温)での機械的安定度(105~106CPS)を有する。UVゲル化剤組成物は、ゲルが基材上に冷却するにつれて所定の位置に「ピン留め」され、処理方向にいくつかのプリントヘッドを使用しながら、中間硬化またはUVピン止めを必要とせずに隆起プリントを構築できる。印刷後、マーキングは、完全に硬化されて、頑強な構造を提供する。ゲル化剤組成物と非ゲル化剤組成物との両方を一緒に印刷すると、固体充填物は、「より滑らか」に見え、パターニングはより制御可能になる。
【0093】
本プロセスの実施形態では、テキストのパイル高は、約40~約60マイクロメートルである。いくつかのXerox(登録商標)Mクラスプリントヘッドは、この仕様を満たし、iGen(登録商標)150の速度または585mm/秒と互換性がある。上述の実施形態と同様に、組成物のゲル化は、プリントヘッド間でUVピン止めが必要とされないことを提供し、それは、それほど複雑ではなく、より効率的なプリントプロセスをもたらす。さらに、電子写真印刷画像が表面を完全にはシールしない粗い紙の上では、ゲル化は、UV硬化性ゲル化剤組成物が紙の中に浸透するのを止める。紙の浸透は、完成までの硬化を困難にし、裏写りなどの他の望ましくない効果をもたらす。
【0094】
組成物は、任意の所望のまたは好適な方法によって調製され得る。例えば、原料は、一実施形態では少なくとも約80℃、一実施形態では約120℃以下の温度で一緒に混合された後、加熱されるが、温度は、この範囲外であってもよく、均質な組成物が得られるまで撹拌され、続いて組成物を周囲温度(典型的には約20℃~約25℃)に冷却され得る。組成物は、周囲温度でゲルである。
【0095】
UV硬化性組成物は、画像の生成に続いて、基材上にインクベースまたは電子写真ベースの画像を生成することと、所望の隆起画像高さに従って1つの層または連続層でそれと位置合わせして生成された画像上に本ゲル化剤組成物をインクジェットすることと、堆積したゲル化剤組成物を硬化させることと、を含む、画像プロセス、実施形態ではインライン画像プロセスにおいて使用され得る。
【0096】
本発明の紫外線硬化性ゲル化剤材料、および本明細書の方法は、立体物プリンタ、サーマルインクジェットプリンタ(室温で液体のインクと相変化インクとの両方を有する)、圧電式インクジェットプリンタ(室温で液体のインクと相変化インクとの両方を有する)、音響インクジェットプリンタ(室温で液体のインクおよび相変化インクを有する)、熱転写プリンタ、グラビアプリンタ、静電写真印刷法(乾式マーキング材料を用いる方法および液体マーキング材料を用いる方法の両方)などの三次元物体を調整するのに適したシステムを含む任意の所望の印刷システムと共に使用され得る。代替の実施形態では、UV硬化性材料は、所望の三次元物体を調製するために、金型の使用を通して、または材料の手動堆積によるなど、三次元物体の手動調製に使用され得る。
【0097】
特定の実施形態では、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,061,791号に記載されているようなインクジェット印刷装置が使用され得る。インクジェット印刷機は、少なくともインクジェットプリントヘッドと、インクジェットプリントヘッドからインクが噴射されるプリント領域表面とを含み、インクジェットプリントヘッドとプリント領域表面との間の高さ距離は調整可能である。そこでは、インクジェットプリントヘッドは、通常の高さの印刷のための第1の位置から、第1の高さ距離よりも大きい(すなわち、インクジェットプリントヘッドとプリント領域表面との間の間隔がより大きい)第2の高さの距離までインクジェットプリントヘッドを動かすことができるように、プリント領域表面に対する間隔において調整可能である。第2の高さ距離は、固定されず、所与の印刷に対して必要に応じて変更され得る。さらに、第2の高さ距離はそれ自体、必要に応じて、印刷中に変更され得る。例えば、画像がインクジェットプリントヘッドによって構築されるにつれて、高さ距離を第1の位置から第2の位置へ調節し、次に画像が構築され続けるにつれて、インクジェットプリントヘッドを第2の位置から、プリント領域表面からの間隔がさらにより増加する第3の位置へ調節するなどを必要に応じて行い、物体または隆起テキスト画像の構築を完了することが望ましい場合がある。
【0098】
本開示は、極めて小さい物体から極めて大きい物体までの範囲にわたる隆起画像または物体の製造を包含する。例えば、高さまたは最長寸法が約1マイクロメートル~約10,000マイクロメートルの物体を調製することができるが、高さは、これらの範囲に限定されない。物体を所望の総プリント高さおよび所望の形状に構築することができるように、適した数の通過またはインクジェットが選択され得る。
【0099】
三次元印刷では、プリントヘッドまたはターゲットステージは、x、y、およびzの三次元で移動可能であり、任意の所望のサイズの物体の構築を可能にする。作成できる物体の高さや全体のサイズに制限はないが、しかしながら、非常に大きな物体は、堆積プロセスにおいて中間硬化を必要とする場合がある。画像を構築する際、例えば、隆起画像を含むように画像の部分上にプリントヘッドを複数回通過させる代わりに、物体または物体の一部が所望のプリント高さおよび幾何学的形状を有するように、インクの連続層を堆積することによって。
【0100】
インクジェットヘッドは、単色印刷またはフルカラー印刷をサポートする場合がある。フルカラー印刷では、インクジェットヘッドは通常、異なる色を印刷するための異なるチャネルを含む。インクジェットヘッドは、4つの異なる組のチャネル、例えばシアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの各々に対して1つのチャネルを含んでもよい。このような実施形態では、プリントヘッドは、インクジェットヘッドがプリント領域表面から最小距離に設定されているときはフルカラーの標準高さプリント、またはインクジェットヘッドがプリント領域表面からの最小距離より大きい距離にあるときは任意の色の隆起高さプリントを印刷することができる。
【0101】
例えば、三次元物体は、所望の物体の高さおよび幾何学的形状を達成するために、ある領域にわたってインクジェットプリントヘッドを適した複数回通過させて形成され得る。単回通過の間にインクジェットヘッドの複数の異なるインクジェットから画像の同じ位置に向かってインクを噴射することもまた、隆起した高さの物体を形成するために使用されてもよい。上述したように、実施形態では、各インク層は、画像の高さに対して約4μm~約80μmの高さを追加してもよい。所望の総印刷高さを知ることにより、適した数の通過または噴射が容易に決定され得る。
【0102】
次に、画像内に所望のプリント高さおよび全体の幾何学的形状を有する画像を得るために、コントローラがインクジェットプリントヘッドを制御して、画像の位置に適した量および/または層のインクを堆積する。
【0103】
本明細書で調製される三次元物体または隆起テキスト画像は、自立部品または物体、ラピッドプロトタイピング装置、基材上の隆起構造、例えば地形図、または他の所望の物体であり得る。実施形態では、本明細書のプロセスによって作成された隆起画像は、点字画像である。
【0104】
任意の好適な基材、記録シート、または取り外し可能な支持体、ステージ、プラットフォームなどが使用され得、普通紙、例えばXEROX(登録商標)4024紙、XEROX(登録商標)Image Series紙、Courtland4024DP紙、罫線入りノートブック紙、ボンド紙、シリカコート紙、例えばSharp Companyシリカコート紙、Jujo紙、HAMMERMILL LASERPRINT(登録商標)紙など、光沢コート紙、例えばXEROX(登録商標)Digital Color Gloss、Sappi Warren Papers LUSTROGLOSS(登録商標)[1]など、透明材料、布地、織物製品、プラスチック、ポリマーフィルム、無機基材、例えば金属および木材、ならびに自立物体用の取り外し可能な支持体の場合の溶融性または溶解性基材、例えばワックスまたは塩などを含む。
【0105】
実施形態では、基材は、電子写真画像が印刷されたものである。特定の実施形態では、電子写真画像は、トナー画像である。実施形態では、本実施形態に従って電子写真ベースの画像をデジタルエンボス加工するとき、最初に溶融電子写真ベースのプリントが得られ、次に本硬化性相変化ゲル化剤組成物を含有するインクジェットプリンタに供される。電子写真ベースのプリントは、任意の適切な従来の電子写真技術またはその変形によって調製され得る。実施形態では、電子写真ベースのプリントおよびその上に隆起画像を形成する硬化性相変化ゲル化剤組成物は、インラインプロセスで達成される。
【0106】
実施形態では、インクベースの画像をデジタルエンボス加工するとき、インクベースの画像が最初に生成され、次に本硬化性相変化ゲル化剤組成物を含有するインクジェットプリンタに供され得る。実施形態では、これは、インラインプロセスで達成される。
【0107】
以下の実施例は、本開示の様々な種類をさらに定義するために提出されている。これらの実施例は、例証に過ぎないことを意図し、本開示の範囲を限定することを意図していない。また、部分およびパーセンテージは、特に指示がない限り、重量によるものである。
【0108】
以下の成分を使用して、以下に提供される実施例を調製した。
【0109】
SR9003は、Sartomer Co.,Inc.から入手可能な二官能性アクリレートモノマー(プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート)である。
【0110】
アミドゲル化剤は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,279,587号の実施例VIIIに記載されるように調製された硬化性アミドゲル化剤である。
【0111】
SR399LVは、Sartomer Co.,Incから入手可能なジペンタエリスリトールペンタアクリレートである。
【0112】
Irgacure(登録商標)819は、光開始剤(BASFから入手)である。
【0113】
KIP150は、オリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン](IGM Resins USA Inc.からEsacure(登録商標)KIP150として入手可能)の光開始剤である。
【0114】
ACR Di-10は、Siltech Corporationから入手可能な、シリコーンアクリレートプレポリマーであるSilmer(登録商標)である。
【0115】
ACR Di-50は、Siltech Corporationから入手可能な、線状二官能性アクリレート末端シリコーンプレポリマーであるSilmer(登録商標)である。
【0116】
Irgastab(登録商標)は、BASFから入手可能なフリーラジカル捕捉剤である。
【0117】
Dow Corning(登録商標)31-441添加剤は、Dow Corning Corporationから入手可能な、ポリアミド系複合材料において添加剤として使用される固体シリコーンポリマーである。
【0118】
表1に記載の量の成分を有する紫外線硬化性相変化ゲル化剤組成物を調製した。すべての成分を90℃で1時間一緒に撹拌した。
【0119】
【0120】
実施例1の材料を90℃で溶融し、流体組成物を手でガラスピペットからコーティングされていないMylar(登録商標)のシート上に分配した。組成物の相変化の性質により、分配された流体は、室温のマイラーと接触すると急速にゲル化し、高さ数ミリメートルの自立構造の形成を可能にした。
図1は、実施例1の本相変化材料の、室温基材上への堆積から作成された、UV硬化後の定規に沿った自立ポストを示す。次に、堆積した三次元構造体を、「D」バルブを使用してUV Fusion Light Hammer6Ultraviolet Lamp Systemを備えたUV Fusion LC-6B Benchtop ConveyorからのUV光に最低1秒間露光することによって硬化させて、非常に頑強なポリマーポストを得た。
図2は、実施例1の組成物を用いて印刷された隆起画像の図である。
【0121】
図3は、実施例1の組成物で重ね刷りしたテキストの図である。
図3のテキストは、Xerox(登録商標)iGen(登録商標)5Press上で生成した。次に、iGen(登録商標)5電子写真画像を、ゼロックス(登録商標)M-クラスのプリントヘッドを使用して、実施例1の無色の紫外線硬化性ゲル組成物を用いてデジタル的に重ね刷りし、続いて「D」バルブを使用してUV Fusion Light Hammer6Ultraviolet Lamp Systemを備えたUV Fusion LC-6B Benchtop ConveyorからのUV光に最低1秒間露光することによって頑強な仕上がりに硬化させた。
【0122】
ゲル化剤組成物を配置するために、複数回の通過が使用され得る。実施形態では、ゲル組成物は、単回の通過で築くことができるが、50μmのパイル高さを達成するために、非常に高い処理方向DPI(ドット/インチ)またはいくつかのプリントヘッド(すなわち、4つ)のいずれかと組み合わせて使用される。高速が必要な場合、複数のプリントヘッドオプションが使用される(iGen(登録商標)150の速度は、585mm/秒である)。
【0123】
このプロセスを使用して、Xerox(登録商標)iGen(登録商標)5Pressによって生成された細い線とテキスト、およびすべての印刷された色は、インラインで隆起プリントに変換され得る。これらの特徴は、従来のサーモグラフィプロセスを用いても現在達成することができない。隆起した画像およびテキストの縁は、触ると「シャープ」に感じ、それは、望ましい特徴である。
【0124】
図4は、
図3の単語「Day」中の文字「a」の高さ測定値を提供する。
図4は、40~60マイクロメートルの高さ要件を検証する文字の実際の測定高さを示し、指先で感じられたテキストの質感を実証する。
【0125】
UV硬化性非ゲル化剤組成物およびUV硬化性ゲル化剤組成物を含む実施例2は、表2に概説した配合に従って調製した。すべての成分を90℃で1時間一緒に撹拌した。
【0126】
【0127】
図5は、実施例2のUV硬化性非ゲル化剤組成物およびUV硬化性ゲル化剤組成物で重ね刷りしたテキストの図である。
図5のテキストは、Xerox(登録商標)iGen(登録商標)5Press上で生成した。次に、iGen(登録商標)5電子写真画像を、実施例2のUV硬化性非ゲル化剤組成物およびUV硬化性ゲル化剤組成物を用いて順次様式でデジタル的に重ね刷りした。
【0128】
図5を参照すると、1(非ゲル+ピン+ゲル)で示される最上部のプリントは、表2に示される非ゲル化剤部分Aを印刷し、印刷された非ゲル化剤部分Aを24WのLEDランプでピン止めし、表2に示されるゲル化剤部分Bを印刷し、表3に示されるように出力読み取り(ナノメートル/mJ/cm
2)を用いて540mm/秒でプライムUVランプの下で1~3回通過させて最終画像を硬化させることによって調製した。
【0129】
【0130】
2(ゲル+非ゲル)で示される、
図5に示される中央のプリントは、UVゲル化剤組成物部分BおよびUV硬化性非ゲル化剤組成物部分Aを順次印刷し、続いて540mm/秒でプライムUVランプの下で1~3回通過させて最終画像を硬化させることによって調製した。
【0131】
3(ゲル+ゲル)で示される、
図5に示される最右のプリントは、UVゲル化剤組成物部分Bを印刷し、540mm/秒でプライムUVランプの下で1~3回通過させて最終画像を硬化させることによって調製された。
【0132】
プリントプロセスオプション2(UVゲル組成物および非ゲルUV組成物を順次印刷し、最終画像を硬化させる)は、最も制御された画像を生成し、最も良い見掛けであった。単独で印刷されたときのUV非ゲル組成物は、基材に浸透する可能性があり、特定の用途に必要な外観および高さを生み出すことができない。UVゲル組成物の2つのプリントヘッドを使用する場合、画像は、粗い質感(滑らかではない「コーデュロイ状」)を有することがあり、UV硬化性配合物を流動させるために基材を加熱する必要がある。UVゲル組成物と非ゲル組成物との組み合わせを使用することにより、基材への移動が少なく、良好な高さ、および滑らかな仕上がりを有する高品質の「エンボス加工」効果が可能になる。
【0133】
したがって、実施形態では、実質的に平坦な画像をオーバーコートして、隆起テキストおよび線を製造するためのプロセスは、本明細書に記載される単一のUV硬化性材料を用いて提供される。他の実施形態では、隆起テキストおよび線を製造するため、実施例ではより大きい隆起領域を覆うため、または強化された制御パターニングを達成するために、実質的に平坦な画像をオーバーコートするためのプロセス、二重材料プロセスが、UV硬化性非ゲル化剤組成物とUV硬化性ゲル化剤組成物との組み合わせを使用して提供している。実施形態では、UV硬化性ゲル化剤組成物およびUV硬化性非ゲル化剤組成物は、実質的に平坦な印刷画像上に順次配置されて、平坦な印刷画像に従って隆起テキストおよび線を製造する。