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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】蓄電池装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20221011BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20221011BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20221011BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20221011BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20221011BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20221011BHJP
   H01M 10/62 20140101ALI20221011BHJP
   H01M 10/627 20140101ALI20221011BHJP
   H01M 10/6552 20140101ALI20221011BHJP
   H01M 10/6553 20140101ALI20221011BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20221011BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20221011BHJP
   B60L 58/26 20190101ALN20221011BHJP
   B60L 3/00 20190101ALN20221011BHJP
   B60L 50/64 20190101ALN20221011BHJP
【FI】
H01M10/6556
H02J7/04 L
H02J7/02 H
H01M50/20
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/62
H01M10/627
H01M10/6552
H01M10/6553
H01M10/6563
H01M10/653
B60L58/26
B60L3/00 J
B60L50/64
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019091488
(22)【出願日】2019-05-14
(65)【公開番号】P2020187915
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 和人
(72)【発明者】
【氏名】関野 正宏
(72)【発明者】
【氏名】西牧 章
(72)【発明者】
【氏名】山崎 英生
(72)【発明者】
【氏名】小暮 光義
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 洋介
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-216360(JP,A)
【文献】特開2011-009402(JP,A)
【文献】国際公開第2017/073258(WO,A1)
【文献】特開2015-115275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/60-10/667
H01M 50/20-50/298
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池セルから構成されるセルユニットと、
前記複数の単電池セルから供給される電力あるいは前記複数の単電池セルに供給する電力の電流流路を形成する電流流路部材と、
前記電流流路部材と熱的に結合された放熱器と、
前記セルユニットと前記電流流路部材を介して電気的に接続され、前記セルユニットの電力を昇圧して出力するとともに、前記セルユニットに外部からの電力を降圧して出力するDC/DCコンバータと、
前記単電池セル同士を接続するバスバーに電気的に接続され、前記セルユニットを管理する電池管理ユニットと、を備え、
前記放熱器は、前記DC/DCコンバータと熱的に結合され、内部に冷媒を流すことが可能な中空部を有し、
前記DC/DCコンバータと前記電池管理ユニットとは、前記中空部を介して前記放熱器の対向する面上にそれぞれ配置されて、前記放熱器に熱的に結合されている、
蓄電池装置。
【請求項2】
前記電流流路部材は、前記単電池セル同士を接続するバスバーを含み、
前記放熱器は、前記単電池セル同士を接続するバスバーと熱的に結合されている、
請求項1記載の蓄電池装置。
【請求項3】
前記電流流路部材は、前記単電池セルを構成する正極側端子及び負極側端子を含み、
前記放熱器は、前記正極側端子及び前記負極側端子と熱的に結合されている、
請求項1又は請求項2記載の蓄電池装置。
【請求項4】
前記電流流路部材は、前記セルユニットと前記DC/DCコンバータとを接続する前記バスバーを含み、
前記放熱器は、前記セルユニットとDC/DCコンバータとを接続するバスバーと熱的に結合されている、
請求項1記載の蓄電池装置。
【請求項5】
前記放熱器に前記冷媒として冷却風を送るための送風機を備えた、
請求項1記載の蓄電池装置。
【請求項6】
前記放熱器は、ヒートパイプとして構成されている、
請求項1乃至請求項4のいずれか一項記載の蓄電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蓄電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来様々な分野で蓄電池装置が利用されている。
この蓄電池装置を構成している単電池セルの出力電圧は数Vであることから、例えば、産業やハイブリッド自動車等でよく使われる48Vの電圧を得るには、必要数分だけ直列に接続するか、あるいは、DC/DCコンバータを使用して昇圧するかのどちらかの方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-185863号公報
【文献】特開2004-306726号公報
【文献】特開2016-220363号公報
【文献】特開2019-016564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
DC/DCコンバータを使用する場合、例えば、組電池出力24Vから産業機器やハイブリッド自動車で使われる48Vへ2倍昇圧して出力すると、組電池側の電流は出力電流の2倍以上になる。
このとき、銅損による発熱はオームの法則により電流の2乗に比例することから、組電池内の電流が流れる経路の発熱量は4倍となる。
【0005】
また、負荷は変動するので蓄電池装置は一時的に大きな電流を許容することが一般的であるが、電池材料で満たされている電池セルの熱的時定数に比べて端子やバスバー等の充放電流路を構成している電流流路部材は、熱的時定数が小さいため、一時的な大電流によって急激に温度が上昇する。
【0006】
したがって、出力電流よりも組電池側の電流が数倍大きくなるDC/DCコンバータ搭載の蓄電池装置は、電流流路部材における一時的な発熱を速やかに除熱することが求められる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電流流路部材を効率よく冷却して小型化が容易で、出力の大きな蓄電池装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の蓄電池装置は、複数の単電池セルから構成されるセルユニットと、複数の単電池セルから供給される電力あるいは複数の単電池セルに供給する電力の電流流路を形成する電流流路部材と、電流流路部材と熱的に結合された放熱器と、セルユニットと電流流路部材を介して電気的に接続され、セルユニットの電力を昇圧して出力するとともに、セルユニットに外部からの電力を降圧して出力するDC/DCコンバータと、単電池セル同士を接続するバスバーに電気的に接続され、セルユニットを管理する電池管理ユニットと、を備え、放熱器は、DC/DCコンバータと熱的に結合され、内部に冷媒を流すことが可能な中空部を有し、DC/DCコンバータと電池管理ユニットとは、中空部を介して放熱器の対向する面上にそれぞれ配置されて、放熱器に熱的に結合されている
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態の蓄電池装置の概要構成説明図である。
図2図2は、実施形態の蓄電池装置の制御系構成ブロック図である。
図3図3は、第1実施形態の蓄電池装置の放熱器よりも下の部分の平面図である。
図4図4は、熱伝導絶縁材の設置部分の拡大図である。
図5図5は、第2実施形態の蓄電池装置の概要構成説明図である。
図6図6は、第3実施形態の蓄電池装置の概要構成説明図である。
図7図7は、第4実施形態の蓄電池装置の概要構成説明図である。
図8図8は、第5実施形態の蓄電池装置の概要構成説明図である。
図9図9は、第6実施形態の蓄電池装置の概要構成説明図である。
図10図10は、第7実施形態の蓄電池装置の概要構成説明図である。
図11図11は、第7実施形態の蓄電池装置の放熱器よりも下の部分の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に好適な実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
以下の説明においては、実施形態の蓄電装置は、無人搬送車(AGV)に搭載される蓄電装置を例とするが、これに限られるものではない。
【0011】
[1]第1実施形態
図1は、第1実施形態の蓄電池装置の概要構成説明図である。
蓄電池装置10は、大別すると、筐体11、単位電池セル(以下、単にセルという。)12、電池管理ユニット13、放熱器14、DC/DCコンバータ15、バスバー16、充放電端子17N及び熱伝導材18を備えている。
ここで、電気的に接続された複数のセル12は、全体としてセルユニット12Uを構成している。
【0012】
筐体11は、例えば、樹脂製材料で構成されており、複数のセル12、電池管理ユニット13、放熱器14、DC/DCコンバータ15、複数のバスバー16及び複数の熱伝導材18を収納し、正極側充放電端子17P及び充放電端子17Nが突設されている。
【0013】
セル12は、それぞれ正極側セル充放電端子12TP及び負極側セル充放電端子12TNを備えている。
【0014】
図2は、実施形態の蓄電池装置の制御系構成ブロック図である。
電池管理ユニット13は、無人搬送車の車両本体の図示しないコントローラからの起動信号SWUにより起動されるととともに、通信線を介して通信データCOMのやり取りを可能な構成となっている。
【0015】
また電池管理ユニット13は、セル12の電圧及び温度を検出して充放電管理を行うとともに、必要に応じて制御信号SCを出力してDC/DCコンバータ15により主回路(無人搬送車側回路)からの電流遮断を行う。
【0016】
この場合において、図1に示すように、電池管理ユニット13の基板には、バスバー16を放熱器14に熱的に結合するスペースを確保するための複数の貫通孔13THが設けられている。
【0017】
放熱器14は、中空部14Tを有する筒形状を有しており、バスバー16を介して伝達されたセル12からの熱、電池管理ユニット13からの熱及びDC/DCコンバータ15からの熱を放熱して、セル12、電池管理ユニット13及びDC/DCコンバータ15の温度をそれぞれの所定温度以下に維持する。
このように放熱器14を挟んでバスバー16とDC/DCコンバータ15とを、対向して配置しているので、中空部14Tに十分な冷媒を流せば、バスバー16及びDC/DCコンバータ15双方から発生した熱が除去されるので、放熱器14を介して熱が互いに伝達して影響するのを防ぐことができる。
【0018】
DC/DCコンバータ15は、正極側充放電端子17P及び充放電端子17Nを介して無人搬送車本体側に接続された図示しない充電装置からの充電電力をセル12側に供給するとともに、セル12側からの放電電力を昇圧して、正極側充放電端子17P及び充放電端子17Nを介して無人搬送車本体側に供給する。
さらにDC/DCコンバータ15は、電池管理ユニット13から制御信号SCが入力されると、電流遮断を行う。
【0019】
バスバー16は、大別すると、二つのセル12間(一方のセル12の正極側セル充放電端子12TPと他方セル12の負極側セル充放電端子12TNとの間)を接続するバスバー16Iと、最も高電位側のセル12の正極側セル充放電端子12TPをDC/DCコンバータ15の図示しない高電位側端子に接続するバスバー16Pと、最も低電位側のセル12の負極側セル充放電端子12TNをDC/DCコンバータ15の図示しない低電位側端子に接続するバスバー16Nと、を備えている。
【0020】
図3は、第1実施形態の蓄電池装置の放熱器よりも下の部分の平面図である。
蓄電池装置10の平面視、手前側には、放熱器14に熱的に結合された電池管理ユニット13が配置され、電池管理ユニット13が設けられていない部分及び電池管理ユニット13の基板に設けられた貫通孔13THの形成部分からバスバー16I、バスバー16P及びバスバー16Nが設けられている。
【0021】
図3の例の場合、バスバー16Pと、バスバー16Nとの間に12個のセル12が直列に接続されている。
また、各バスバー16Iは、電気接続部16ITを介して電池管理ユニット13に電気的に接続されている。
【0022】
同様にバスバー16Pは、電気接続部16PTを介して電池管理ユニット13に電気的に接続され、バスバー16Nは、電気接続部16NTを介して電池管理ユニット13に電気的に接続されている。
【0023】
これらの場合において、バスバー16I、バスバー16P及びバスバー16Nと、セル12の正極側セル充放電端子12TPあるいは負極側セル充放電端子12TNとは、図3の例の場合、円形状のバスバー開口部16Hにおいて溶接により接続されている。
【0024】
また、電気接続部16IT、電気接続部16PT及び電気接続部16NTと、電池管理ユニット13の基板との電気的な接続は、半田付けあるいはねじ止めにより実現される。
これにより電池管理ユニット13は、各セル12の充放電管理を行うこととなる。
【0025】
図4は、熱伝導絶縁材の設置部分の拡大図である。
熱伝導材18は、例えば、放熱性(伝熱性)を有する絶縁シートとして構成されている。熱伝導材18は、図4に示すように、放熱器14を筐体に固定した状態で、放熱器14側からバスバー16の方向に圧縮力を印加して密着されている。この場合において、熱伝導材18の両面に粘着性を付与して、製造性(組立性)を改善することも可能である。
【0026】
なお、放熱器14が絶縁性を有している場合、例えば、放熱器14の表面に絶縁性の樹脂製フィルムあるいは絶縁性のセラミクス(例えば、窒化アルミニウム)が設けられている場合、あるいは、放熱器14自体が絶縁性材料で形成されている場合には、熱伝導材18として、熱伝導性接着剤を用いることも可能である。
【0027】
本第1実施形態においては、図1に示すように、バスバー16Iの放熱接続部16ICを電池管理ユニット13の貫通孔13THを介して、熱伝導材18を放熱器14に絶縁状態で熱的に結合させている。
【0028】
同様に、バスバー16Pの放熱接続部16PC及びバスバー16Nの放熱接続部16NCについては、図1に示すように、電池管理ユニット13の基板が設けられていない部分(貫通孔13THとすることも可)において、熱伝導材18を放熱器14に絶縁状態で熱的に結合させている。
【0029】
またバスバー16Iの放熱接続部16IC、バスバー16Pの放熱接続部16PC及びバスバー16Nの放熱接続部16NCの幅(図3における上下方向の長さ)は、バスバー16I、バスバー16P及びバスバー16Nの他の部分の幅よりも長くすることで放熱効率を高くするようにされている。
【0030】
なお、バスバー16Iの放熱接続部16IC、バスバー16Pの放熱接続部16PC及びバスバー16Nの放熱接続部16NCの形状はこれに限られるものでは無く、放熱器14側により効率よく放熱できる構造であれば適宜採用することが可能である。
【0031】
本第1実施形態によれば、バスバー16(バスバー16I、バスバー16P、バスバー16N)を効果的に冷却することができ、ひいては、正極側セル充放電端子12TP及びセル12の負極側セル充放電端子12TNを介してセル12を効果的に冷却することができるので、各セル12の出力制限を回避して、出力を大きくすることができる。
【0032】
従って、同一出力であれば、小型の蓄電池装置を構成することができ、同一規模であれば、出力の大きな蓄電池装置を提供することが可能となる。
【0033】
[2]第2実施形態
本第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、バスバー16を放熱器14に熱的に結合するのに代えて、セル12の電極端子(正極側セル充放電端子12TP及び負極側セル充放電端子12TN)を放熱器14に熱的に結合している点である。
図5は、第2実施形態の蓄電池装置の概要構成説明図である。
図5において、図1の第1実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとして、その詳細な説明を援用する。
【0034】
放熱器14は、中空部14Tを有する筒形状を有するとともに、セル12の正極側セル充放電端子12TP及び負極側セル充放電端子12TNに熱的に結合するための突起部14Pが複数設けられている。
【0035】
そして電池管理ユニット13の基板には、この突起部14Pをセル12の正極側セル充放電端子12TP及び負極側セル充放電端子12TNに熱的に結合するためのスペースを確保するための複数の貫通孔13THが設けられている。
【0036】
そして突起部14に対向しているセル12の正極側セル充放電端子12TPあるいは負極側セル充放電端子12TNとの間に熱伝導材18が配置され、放熱器14を筐体に固定した状態で、放熱器14側から正極側セル充放電端子12TP及び負極側セル充放電端子12TNの方向に圧縮力を印加して密着されている。
【0037】
この結果、放熱器14は、各突起部14Pに熱的に結合されたセル12の正極側セル充放電端子12TPあるいは負極側セル充放電端子12TNから伝達されたセル12からの熱を放熱して、セル12の温度を所定温度以下に維持する。
【0038】
また、これと並行して放熱器14は、電池管理ユニット13からの熱及びDC/DCコンバータ15からの熱を放熱して、電池管理ユニット13及びDC/DCコンバータ15の温度をそれぞれの所定温度以下に維持する。
【0039】
本第2実施形態によれば、セル12の正極側セル充放電端子12TPあるいは負極側セル充放電端子12TNを効果的に冷却することができ、ひいては、正極側セル充放電端子12TP及びセル12の負極側セル充放電端子12TNを介してセル12を効果的に冷却することができるので、各セル12の出力制限を回避して、出力を大きくすることができる。
従って、本第2実施形態によっても、同一出力であれば、小型の蓄電池装置を構成することができ、同一規模であれば、出力の大きな蓄電池装置を提供することが可能となる。
【0040】
[3]第3実施形態
図6は、第3実施形態の蓄電池装置の概要構成説明図である。
図6において、図1の第1実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとして、その詳細な説明を援用する。
【0041】
本第3実施形態が第1実施形態と異なる点は、放熱器14の中空部14Tの両端に継手21を設け、冷媒供給循環装置を継手21を介して接続し、中空部14T内に冷媒を流すことができるようにした点である。
【0042】
このような構成を採ることにより、本第3実施形態によれば、バスバー16(バスバー16I、バスバー16P、バスバー16N)を第1実施形態の場合と比較して、より効果的に冷却することができ、ひいては、正極側セル充放電端子12TP及びセル12の負極側セル充放電端子12TNを介してセル12を効果的に冷却することができるので、各セル12の出力制限を回避して、出力を大きくすることができる。
【0043】
従って、より一層の蓄電池装置の小形化、あるいは、より一層の蓄電池装置の大出力化が図れる。
【0044】
[4]第4実施形態
図7は、第4実施形態の蓄電池装置の概要構成説明図である。
図7において、図1の第1実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとして、その詳細な説明を援用する。
【0045】
本第4実施形態が第1実施形態と異なる点は、放熱器14の一端側の中空部14Tに送風機25を配置し、フィルタ26を通過後の空気を強制的に中空部14T内に供給し、中空部14Tの他端側の開口を介して強制的に排出するように構成した点である。
【0046】
このような構成を採ることにより、放熱器14において熱を回収して、バスバー16、セル12、電池管理ユニット13及びDC/DCコンバータ15をより効果的に冷却することができるので、蓄電池装置の小型化、あるいは、大出力化をより一層図ることが可能となる。
【0047】
[5]第5実施形態
図8は、第5実施形態の蓄電池装置の概要構成説明図である。
図8において、図1の第1実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとして、その詳細な説明を援用する。
本第5実施形態が第1実施形態と異なる点は、放熱器14に代えて、ヒートパイプ30を備えた点である。
【0048】
ヒートパイプ30は、内部にウィックが形成され、作動液が封入されている。
さらにヒートパイプ30は、バスバー16、電池管理ユニット13及びDC/DCコンバータ15が熱的に結合された蒸発(吸熱)部30Hと、蒸発部30Hと断熱部30Iを介して接続され、放熱器31が設けられた凝縮(放熱)部30Cと、を備えている。
【0049】
上記構成によれば、蒸発部30Hにおいて作動液が蒸発することにより、バスバー16、セル12、電池管理ユニット13及びDC/DCコンバータ15から熱を回収するとともに、蒸発した作動液が凝縮部30Cに高速で移動する。
【0050】
そして、凝縮部30Cにおいて作動液は凝縮して、蒸発潜熱を放出し、蓄電池装置10外にバスバー16、電池管理ユニット13及びDC/DCコンバータ15から回収した熱を放出する。
このとき、作動液は、ウィックの毛細管現象により蒸発部30Hに環流される。
【0051】
以上の説明のように、ヒートパイプ30において、熱を回収して、バスバー16、セル12、電池管理ユニット13及びDC/DCコンバータ15をより効果的に冷却することができるので、蓄電池装置の小型化、あるいは、大出力化をより一層図ることが可能となる。
【0052】
また、蒸発部30H(放熱面)を任意の場所に設けることが可能となるので、設置場所の限られる自動車等に好適である。
【0053】
[6]第6実施形態
図9は、第6実施形態の蓄電池装置の概要構成説明図である。
図9において、図1の第1実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとして、その詳細な説明を援用する。
【0054】
本第6実施形態が第1実施形態と異なる点は、バスバー16の放熱接続部(例えば、放熱接続部16IC、16PC、16NC)を熱伝導材18を導電性として、電池管理ユニット13の基板に電気的に接続するとともに、電池管理ユニット13の基板を介して放熱器14に熱的に結合するように構成した点である。
【0055】
この場合においては、バスバー16と電池管理ユニット13の基板とは、導電性接着剤、板ばね、ねじ等を用いて、電気的、かつ、熱的に接続される。
このような構成を採ることにより、放熱器14において電池管理ユニット13の基板を介して、バスバー16ひいてはセル12の熱を回収することができる。
【0056】
したがって、本第6実施形態によっても、バスバー16、セル12、電池管理ユニット13及びDC/DCコンバータ15をより効果的に冷却することができるので、蓄電池装置の小型化、あるいは、大出力化をより一層図ることが可能となる。
【0057】
[7]第7実施形態
図10は、第7実施形態の蓄電池装置の概要構成説明図である。
図10において、図1の第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付すものとする。
【0058】
第7実施形態において、第1実施形態と異なる点は、電池管理ユニット13及びDC/DCコンバータ15を放熱器14のセル12側の面に配置した点と、正極側充放電端子17P及び充放電端子17Nを筐体の同一の側面側に配置した点である。
【0059】
蓄電池装置10Aは、大別すると、筐体11、単位電池セル(以下、単にセルという。)12、電池管理ユニット13、放熱器14、DC/DCコンバータ15、バスバー16、充放電端子17N及び熱伝導材18を備えている。
【0060】
筐体11は、例えば、樹脂製材料で構成されており、複数のセル12、電池管理ユニット13、放熱器14、DC/DCコンバータ15、複数のバスバー16及び複数の熱伝導材18を収納し、正極側充放電端子17P及び充放電端子17Nが同一の側面(図10では、左側面)突設されている。
【0061】
セル12は、それぞれ正極側セル充放電端子12TP及び負極側セル充放電端子12TNを備えている。
【0062】
図11は、第7実施形態の蓄電池装置の放熱器よりも下の部分の平面図である。
蓄電池装置10Aの平面視、手前右側には、放熱器14に熱的に結合された電池管理ユニット13が配置され、手前左側には、放熱器14に熱的に結合されたDC/DCコンバータ15が配置されている。
【0063】
さらに、電池管理ユニット13が設けられていない部分、電池管理ユニット13の基板に設けられた貫通孔13THの形成部分及びDC/DCコンバータ15が設けられていない部分15THには、バスバー16I、バスバー16P及びバスバー16Nが設けられている。
【0064】
図11の例の場合、バスバー16Pと、バスバー16Nとの間に12個のセル12が直列に接続されている。
また、各バスバー16Iは、電気接続部16ITを介して電池管理ユニット13に電気的に接続されている。
【0065】
同様にバスバー16Pは、電気接続部16PTを介して電池管理ユニット13に電気的に接続され、バスバー16Nは、電気接続部16NTを介して電池管理ユニット13に電気的に接続されている。
これにより電池管理ユニット13は、各セル12の充放電管理を行うこととなる。
【0066】
本第7実施形態においては、図10に示すように、バスバー16Iの放熱接続部16ICを電池管理ユニット13が設けられていない部分、電池管理ユニット13の基板に設けられた貫通孔13THの形成部分及びDC/DCコンバータ15が設けられていない部分15THを介して、熱伝導材18を放熱器14に絶縁状態で熱的に結合させている。
【0067】
同様に、バスバー16Pの放熱接続部16PC及びバスバー16Nの放熱接続部16NCについては、図1に示すように、DC/DCコンバータ15の基板が設けられていない部分(電池管理ユニット13が設けられていない部分あるいは貫通孔13THとすることも可)において、熱伝導材18を放熱器14に絶縁状態で熱的に結合させている。
【0068】
この場合において、より好ましくは、図10に矢印で示すように、より発熱の少ない電池管理ユニット13側からより発熱の多いDC/DCコンバータ15側に冷媒を流すことにより、より効率的に冷却を行うことができる。
【0069】
以上の説明のように、本第7実施形態によれば、よりコンパクトな構成で、電池管理ユニット13、DC/DCコンバータ15及びバスバー16(バスバー16I、バスバー16P、バスバー16N)を効果的に冷却することができ、ひいては、正極側セル充放電端子12TP及びセル12の負極側セル充放電端子12TNを介してセル12を効果的に冷却することができるので、各セル12の出力制限を回避して、出力を大きくすることができる。
【0070】
従って、同一出力であれば、小型の蓄電池装置を構成することができ、同一規模であれば、出力の大きな蓄電池装置を提供することが可能となる。
【0071】
以上の説明においては、電池管理ユニット13の基板と、DC/DCコンバータ15の基板とが、別体のものであるとして説明したが、同一基板上に構成して放熱器14に熱的に結合するように構成することも可能である。
【0072】
[8]実施形態の変形例
以上の説明においては、バスバー16の形状については、詳細に述べなかったが、より放熱が可能なように表面積を大きくしたり、発熱を抑制したりするために、正極側セル充放電端子12TP及び負極側セル充放電端子12TNとの接触面積を大きくするようにすることが可能である。
【0073】
以上の説明においては、複数のセル12を直列接続してセルユニット12Uを構成していたが、これに限らず、複数のセル12を直並列接続してセルユニット12Uを構成することも可能である。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
10、10A 蓄電池装置
11 筐体
12 セル
12TN 負極側セル充放電端子
12TP 正極側セル充放電端子
12U セルユニット
13 電池管理ユニット
13TH 貫通孔
14 放熱器
14P 突起部
14T 中空部
15 DCコンバータ
16 バスバー
16H バスバー開口部
16I バスバー
16IC 放熱接続部
16IT 電気接続部
16N バスバー
16NC 放熱接続部
16NT 電気接続部
16P バスバー
16PC 放熱接続部
16PT 電気接続部
17N 負極側充放電端子
17P 正極側充放電端子
18 熱伝導材
21 継手
26 フィルタ
30 ヒートパイプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11