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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】選択的触媒還元物品およびシステム
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/46 20060101AFI20221011BHJP
   B01J 37/10 20060101ALI20221011BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20221011BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20221011BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20221011BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20221011BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
C01B39/46 ZAB
B01J37/10
B01J35/04 301E
B01J29/76 A
B01D53/94 222
B01D53/94 400
F01N3/08 B
F01N3/28 Q
F01N3/28 301G
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2019506363
(86)(22)【出願日】2017-08-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 IB2017054803
(87)【国際公開番号】W WO2018025244
(87)【国際公開日】2018-02-08
【審査請求日】2020-08-03
(31)【優先権主張番号】62/371,532
(32)【優先日】2016-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】シュエ,ウェン-メイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】ロス,スタンリー エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヴォス,ケネス イー.
(72)【発明者】
【氏名】シャー,サンディプ ディー
(72)【発明者】
【氏名】モハナン,ジャヤ,エル.
(72)【発明者】
【氏名】フー,チー
(72)【発明者】
【氏名】プラサッド,サブラマニアン
(72)【発明者】
【氏名】スラウスキー,バルバラ ケイ
【審査官】廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-536756(JP,A)
【文献】国際公開第2015/128663(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/020806(WO,A1)
【文献】特表2016-500562(JP,A)
【文献】国際公開第2015/087816(WO,A1)
【文献】特表2015-505290(JP,A)
【文献】特表2009-519817(JP,A)
【文献】EICHELBAUM Maik et al.,Applide Catalysis B:Environmental,米国,ELSEVIER,2010年,97,98-107
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20-39/54
B01J 21/00-38/74
B01D 53/73,53/86-53/90
B01D 53/94.53/96
F01N 3/04-3/38
F01N 3/00,3/02
F01N 9/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄含有モレキュラーシーブ粉末を活性化する方法であって、
モレキュラーシーブに鉄を添加して鉄含有モレキュラーシーブを形成する工程、および
水蒸気の存在下で、約650℃~約750℃の温度で約20分~約2時間にわたり、前記鉄含有モレキュラーシーブ粉末の蒸気焼成を実施する工程、
を含み、
蒸気活性化した鉄含有モレキュラーシーブが、8員環の小細孔モレキュラーシーブであることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記鉄を前記モレキュラーシーブに添加する工程が、イオン交換、鉄塩の含浸、およびモレキュラーシーブを酸化鉄と混合することからなる群から選択されるプロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
触媒物品を製造する方法であって、請求項1に従って製造された蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブ粉末を含む触媒コーティングを基材に塗布する工程を含む、方法。
【請求項4】
コーティングされた前記基材が、さらなる蒸気処理なしで、高速SCR条件下にて250℃で90%を超えるNOx転化率を達成するように構成されている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
軸方向長さを画定する前部上流端および後部下流端を有する基材を含み、前記基材はその上に触媒コーティングを有する、選択的触媒還元物品であって、前記触媒コーティングが、
蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブを含む第1コーティング層と、
銅含有モレキュラーシーブを含む第2コーティング層、
とを含み、
鉄含有モレキュラーシーブが、約500℃~約800℃で約20分~約12時間、水蒸気の存在下で蒸気活性化されており、及び
前記蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブおよび前記銅含有モレキュラーシーブがそれぞれ、8員環の小細孔モレキュラーシーブであることを特徴とする選択的触媒還元物品。
【請求項6】
前記触媒コーティングが、区分けされており、
前記蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブを含む前記第1コーティング層を含む第1の上流ゾーンと、
前記銅含有モレキュラーシーブを含む前記第2コーティング層を含む第2の下流ゾーン、
とを含む、請求項5に記載の選択的触媒還元物品。
【請求項7】
前記基材が、多孔質ウォールフローフィルタ、またはフロースルーモノリスである、請求項5に記載の選択的触媒還元物品。
【請求項8】
前記銅含有モレキュラーシーブに対する前記蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブの質量比が、約1:10~約10:1であること、
前記銅含有モレキュラーシーブ中の酸化銅に対する前記蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブ中の酸化鉄の質量比が、約1:15~約15:1であること、
という条件の一方または両方が当てはまる、請求項5に記載の選択的触媒還元物品。
【請求項9】
前記蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブが、前記鉄含有モレキュラーシーブの総質量に対して約1wt%~約15wt%の量の酸化鉄を含み、前記銅含有モレキュラーシーブが、前記銅含有モレキュラーシーブの総質量に対して約1wt%~約10wt%の量の酸化銅を含む、請求項5に記載の選択的触媒還元物品。
【請求項10】
前記銅含有モレキュラーシーブは、約0.05~約0.55のCu/Al原子比を有すること、
前記蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブは、約0.05~約2.0のFe/Al原子比を有すること、
という条件の一方または両方が当てはまる、請求項5に記載の選択的触媒還元物品。
【請求項11】
前記第1コーティング層が、前記基材の前部の上流端から前記基材の後部の下流端に向かってある距離だけ延びて、前記第2コーティング層の一部に重なっており、前記第2コーティング層が、前記基材の後部の下流端から前記基材の前部の上流端に向かってある距離だけ延びている、請求項5に記載の選択的触媒還元物品。
【請求項12】
前記第1コーティング層が、前記基材の前部の上流端から前記基材の後部の下流端へ延びて、前記第2コーティング層の全体に重なっており、前記第2コーティング層が、前記基材の後部の下流端から前記基材の前部の上流端へ延びている、請求項5に記載の選択的触媒還元物品。
【請求項13】
前記第2コーティング層が、前記基材の前部の上流端から前記基材の後部の下流端に向かってある距離だけ延びて、前記第1コーティング層の一部に重なっており、前記第1コーティング層が、前記基材の後部の下流端から前記基材の前部の上流端に向かってある距離だけ延びている、請求項5に記載の選択的触媒還元物品。
【請求項14】
前記第2コーティング層が、前記基材の前部の上流端から前記基材の後部の下流端へ延びて、前記第1コーティング層の全体に重なっており、前記第1コーティング層が、前記基材の後部の下流端から前記基材の前部の上流端へ延びている、請求項5に記載の選択的触媒還元物品。
【請求項15】
前記第1コーティング層と前記第2コーティング層とが隣接しており、互いに重ならない、請求項5に記載の選択的触媒還元物品。
【請求項16】
前記第1コーティング層と前記第2コーティング層が、互いに直接接触している、請求項5に記載の選択的触媒還元物品。
【請求項17】
前記蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブおよび前記銅含有モレキュラーシーブが、両方とも独立して、AEI、AFT、AFX、CHA、EAB、ERI、KFI、LEV、SAS、SATおよびSAVからなる群から選択される構造を有するゼオライトである、請求項に記載の選択的触媒還元物品。
【請求項18】
前記蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブおよび前記銅含有モレキュラーシーブのそれぞれが、CHA結晶構造および約5~約40のシリカ対アルミナ比(SAR)を有するアルミノシリケートゼオライトである、請求項に記載の選択的触媒還元物品。
【請求項19】
前記基材が、前記下流ゾーンにAMOx触媒を含むアンダーコートを含む、請求項に記載の選択的触媒還元物品。
【請求項20】
蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブを含む第1の触媒コーティング層を含む第1基材から形成されている第1の選択的触媒還元物品と、
銅含有モレキュラーシーブを含む第2の触媒コーティング層を含む第2基材から形成されている第2の選択的触媒還元物品、
とを含み、
前記第1の選択的触媒還元物品および前記第2の選択的触媒還元物品が、流体連通しており、
鉄含有モレキュラーシーブが、約500℃~約800℃で約20分~約12時間、水蒸気の存在下で蒸気活性化されており、及び
前記蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブおよび前記銅含有モレキュラーシーブがそれぞれ、8員環の小細孔モレキュラーシーブであることを特徴とする選択的触媒還元システム。
【請求項21】
前記第1の選択的接触還元物品の前記第1基材が、請求項に従って区分けされており、
第2基材から形成されている前記第2の選択的触媒還元物品が、銅含有モレキュラーシーブを含む第2の触媒コーティング層を含み、
前記第1の選択的触媒還元物品および前記第2の選択的触媒還元物品が、流体連通している、請求項20に記載の選択的触媒還元システム。
【請求項22】
前記第1基材および前記第2基材が、それぞれ独立して、多孔質ウォールフローフィルタおよびフロースルーモノリスからなる群から選択される、請求項20に記載の選択的触媒還元システム。
【請求項23】
前記第2基材が、AMOx触媒を含むアンダーコートを含む、請求項20に記載の選択的触媒還元システム。
【請求項24】
請求項5に記載の選択的触媒還元物品と
前記選択的触媒還元物品と流体連通し、その上流にある、還元剤注入器、
とを含み、及び
任意に、ディーゼル酸化触媒、煤煙フィルタ、アンモニア酸化触媒及び内燃機関のうちの1種または複数種をさらに含むことを特徴とする排ガス処理システム。
【請求項25】
NOxを含有する排気流を処理する方法であって、前記排気流を、請求項5に記載の選択的触媒還元物品に通過させることを含む、方法。
【請求項26】
請求項20に記載の選択的触媒還元システムと、
前記選択的触媒還元システムと流体連通し、その上流にある、還元剤注入器、
とを含み、及び
任意に、ディーゼル酸化触媒、煤煙フィルタ、アンモニア酸化触媒及び内燃機関のうちの1種または複数種をさらに含むことを特徴とする排ガス処理システム。
【請求項27】
NOxを含有する排気流を処理する方法であって、前記排気流を、請求項20に記載の選択的触媒還元システムに通過させることを含む、方法。
【請求項28】
NOxを含有する排気流を処理する方法であって、前記排気流を、請求項24に記載の排ガス処理システムに通過させることを含む、方法。
【請求項29】
NOxを含有する排気流を処理する方法であって、前記排気流を、請求項26に記載の排ガス処理システムに通過させることを含む、方法。
【請求項30】
蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブが、約650℃~約750℃で約20分~約2時間、水蒸気の存在下で蒸気焼されていることを特徴とする請求項5に記載の選択的触媒還元物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気処理における使用に好適な選択的触媒還元(SCR)物品およびシステムを目的としている。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトなどのモレキュラーシーブは、ある種の化学反応、例えば、アンモニア、尿素または炭化水素などの還元剤による窒素酸化物の選択的触媒還元(SCR)の触媒において使用される。ゼオライトは、ゼオライトの種類ならびにゼオライト格子に含まれるカチオンの種類および量に応じて、直径が約3~約25オングストロームの範囲である、かなり均一な孔径を有する結晶性材料である。8員環細孔開口部および二重6員環二次構築単位を有するゼオライト、特にケージ状構造体を有するゼオライトは、SCR触媒として関心が寄せられている。この範疇に含まれるのは、チャバザイト(CHA)結晶構造を有するゼオライトであり、これは、その3次元多孔性によりアクセス可能な8員環細孔開口部(約3.8オングストローム)を有する小細孔ゼオライトである。ケージ状構造は、4つの環による二重6員環構築単位の連結から生じる。
【0003】
SCRプロセスで使用する触媒は、理想的には、水熱条件下で、広範囲の使用温度条件、例えば約150℃~約600℃またはそれ以上の温度にわたって良好な触媒活性を保持できなければならない。水は燃料燃焼の副生成物であるので、実用では水熱条件に遭遇し、炭素質粒子の除去に使用される排ガス処理システムの構成要素である煤煙フィルタの再生の際などのディーゼル排ガス用途では、高温の水熱条件が生じる。
【0004】
SCRプロセスは、窒素酸化物(NOx)を窒素(N)および水(HO)に転換する。望ましくないSCR副生成物は亜酸化窒素(NO)である。望ましくないNOの形成を最小限に抑えながら、内燃機関の排気流内のNOxをNに選択的に変換するための改良された物品、システムおよびプロセスが望まれている。望ましくないNO形成は、(NO+NO)からNOへのモル百分率転化率として観察され得る。
【0005】
窒素酸化物(NOx)は、NO、NO、N、NO、N、NまたはNOを含んでもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つまたは複数の実施形態では、本開示は、窒素酸化物を含有する排ガス流を処理するための触媒物品、システムおよび方法を提供する。物品、システムおよび方法は、高いNOx転化率を示すと同時にNO生成量を最小にする。ある種の実施形態では、物品、システムおよび方法は、ディーゼル内燃機関の希薄排ガス流を処理するのに好適である。
【0007】
1つまたは複数の実施形態では、本開示は、選択的触媒還元物品、そのような物品を組み込んだシステム、ならびにそのような物品およびシステムを利用する方法に関する。この選択的触媒還元物品は、少なくとも2種の異なる触媒活性モレキュラーシーブを利用するので、有利なことに、高いNOx転化率を低いNO生成量とともにもたらす。より具体的には、少なくとも第1の蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブおよび第2の銅含有モレキュラーシーブを利用する。蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブおよび銅含有モレキュラーシーブは、少なくとも1つの基材上にコーティングする。例えば、第1の蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブの第1コーティング層および第2の銅含有モレキュラーシーブの第2コーティング層を、少なくとも1つの基材上にコーティングする。第1および第2コーティング層は、同じ基材上にまたは異なる基材上にコーティングすることができる。例えば、第1の基材は、その上に(例えば、ウォッシュコートの形態で)第1の蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブが設けられた第1コーティング層を有することができ、第2の基材は、その上に(例えば、ウォッシュコートの形態で)第2の銅含有モレキュラーシーブが設けられた第2コーティング層を有することができる。好ましくは、第1コーティング層を有する第1の基材は、排気流の流路に対して、第2コーティング層を有する第2の基材の上流に設けられる(第2コーティング層を有する第2の基材は、第1コーティング層を有する第1の基材の下流に設けられる)。別の例として、基材は、その上に(例えば、ウォッシュコートの形態で)第1の蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブが設けられた第1コーティング層を有することができ、同じ基材は、その上に(例えば、ウォッシュコートの形態で)第2の銅含有モレキュラーシーブが設けられた第2コーティング層を有することができる。そのような構成では、第2コーティング層は、排気流の流路に対して第1コーティング層の下流に好ましくは設けられる(したがって、第1コーティング層は第2コーティング層から上流にある)。したがって、第1ゾーンが第1コーティング層を含み、第2ゾーンが第2コーティング層を含むように基材を区分けする。ゾーン(および、したがってコーティング層)は、所望であれば、重なってもよく、または重ならなくてもよい。第1の蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブおよび第2の銅含有モレキュラーシーブを提供することにより、特に第1の蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブが第2の銅含有モレキュラーシーブの上流に位置する場合に、NOx転化率および低いNO生成量に関して、本明細書に記載の結果を有利に達成することが見出された。本開示は、特に、いくつかの実施形態において、軸方向長さを画定する前部上流端部および後部下流端を有する基材を含み、基材がその上に触媒コーティングを有する、選択的触媒還元物品であって、触媒コーティングは、鉄含有モレキュラーシーブを含む第1コーティング層と、銅含有モレキュラーシーブを含む第2コーティング層とを含む、選択的触媒還元物品を提供する。
【0008】
有利には、触媒コーティングは区分けされており、鉄含有モレキュラーシーブを含む第1コーティング層を含む第1ゾーンと、銅含有モレキュラーシーブを含む第2コーティング層を含む第2ゾーンとを含む。鉄含有モレキュラーシーブは、例えば蒸気活性化FeCHA粉末を含む。
【0009】
鉄含有モレキュラーシーブを含む第1の触媒コーティング層を含む第1基材を含む第1の選択的触媒還元物品および銅含有モレキュラーシーブを含む第2の触媒コーティング層を含む第2基材を含む第2の選択的触媒還元物品を含み、第1および第2の物品が流体連通している選択的触媒還元システムもまた開示される。
【0010】
還元物品または還元システムと、この物品またはシステムと流体連通し、その上流にある還元剤注入器とを含む排ガス処理システムも開示される。
【0011】
NOxを含有する排気流を処理する方法であって、排気流を還元物品、還元システムまたは処理システムに通過させることを含む方法も開示される。
【0012】
また、鉄含有モレキュラーシーブを活性化する方法であって、鉄をモレキュラーシーブに添加し、続いて、得られた鉄含有ゼオライト粉末を、水蒸気の存在下で、約500℃~約800℃で約20分~約12時間にわたり、または好ましくは、水蒸気の存在下で、約650℃~約750℃で約20分~約2時間にわたり、蒸気焼成することを含む方法も開示される。基材に塗布された予備活性化鉄含有ゼオライトは、コーティングされた基材をさらに水熱処理しなくても、優れたSCR性能を提供する。
【0013】
過渡エンジン試験条件下で、唯一のSCR触媒として均一濃度のCuCHAを含む選択的触媒還元物品またはシステムの≧90%(好ましくは≧99%)のNOx転化率および≦50%(好ましくは≦40%)のNO生成量をそれぞれもたらすことができる、選択的触媒還元物品またはシステムもまた開示される。より具体的には、本開示の選択的触媒還元物品、システムまたは方法は、>90%のNOx転化率を提供しながら≦1.5%のNO生成量ももたらすように構成することができ、特に、NO生成量は、本明細書に別途記載されている過渡エンジン試験条件下で、唯一のSCR触媒として均一濃度の高Cu含有CuCHAを含むかまたは使用する物品、システムまたは方法と比較して、その≦40%である。本開示の実施形態はまた、区分けを利用することによる性能の向上に関する。例えば、本開示による選択的触媒還元物品、システムまたは方法は、触媒コーティングを含む前部上流ゾーンおよび触媒コーティングを含む第2の下流ゾーンを有する基材を含むことができ、>90%の総NOx転化率をもたらすように改変させることができ、特に前部上流ゾーンが総NOx転化率の約30%~約80%をもたらす。
【0014】
軸方向長さを画定する前部上流端および後部下流端を有する基材を含み、前記基材がその上に触媒コーティングを有し、触媒コーティングが蒸気活性化FeCHA粉末およびCuCHAを含む、SCR物品も開示される。
【0015】
本発明は、限定するものではないが、以下の実施形態を含む、すなわち、
実施形態1:鉄含有モレキュラーシーブ粉末を活性化する方法であって、モレキュラーシーブに鉄を添加して鉄含有モレキュラーシーブを形成する工程、および水蒸気の存在下で、約650℃~約750℃の温度で約20分~約2時間にわたり、鉄含有モレキュラーシーブ粉末の蒸気焼成を実施する工程を含む、方法。
【0016】
実施形態2:鉄をモレキュラーシーブに添加する工程が、イオン交換、鉄塩の含浸、およびモレキュラーシーブを酸化鉄と混合することからなる群から選択されるプロセスを含む、任意の先行するまたは後続の実施形態に記載の方法。
【0017】
実施形態3:触媒物品を製造する方法であって、先行する実施形態のいずれかに従って製造された蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブ粉末を含む触媒コーティングを基材に塗布することを含む、方法。
【0018】
実施形態4:コーティングされた基材が、さらなる蒸気処理なしで、高速SCR条件下にて250℃で90%を超えるNOx転化率を達成するように改変されている、先行するまたは後続のいずれかの実施形態の方法。
【0019】
実施形態5:軸方向長さを画定する前部上流端および後部下流端を有する基材を含み、基材はその上に触媒コーティングを有する、選択的触媒還元物品であって、触媒コーティングが、蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブを含む第1コーティング層と、銅含有モレキュラーシーブを含む第2コーティング層とを含む、選択的触媒還元物品。
【0020】
実施形態6:触媒コーティングが区分けされており、蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブを含む第1コーティング層を含む第1の上流ゾーンと、銅含有モレキュラーシーブを含む第2コーティング層を含む第2の下流ゾーンとを含む、先行するまたは後続のいずれかの実施形態の選択的触媒還元物品。
【0021】
実施形態7:基材が、多孔質ウォールフローフィルタ、またはフロースルーモノリスである、任意の先行するまたは後続の実施形態の選択的触媒還元物品。
【0022】
実施形態8:銅含有モレキュラーシーブに対する蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブの質量比が、約1:10~約10:1であること、銅含有モレキュラーシーブ中の酸化銅に対する蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブ中の酸化鉄の質量比が、約1:15~約15:1であること、という条件の一方または両方が当てはまる、先行するまたは後続のいずれかの実施形態の選択的触媒還元物品。
【0023】
実施形態9:蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブが、鉄含有モレキュラーシーブの総質量に対して約1wt%~約15wt%の量の酸化鉄を含み、銅含有モレキュラーシーブが、銅含有モレキュラーシーブの総質量に対して約1wt%~約10wt%の量の酸化銅を含む、先行するまたは後続のいずれかの実施形態の選択的触媒還元物品。
【0024】
実施形態10:銅含有モレキュラーシーブは、約0.05~約0.55のCu/Al原子比を有すること、蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブは、約0.05~約0.5のFe/Al原子比を有すること、という条件の一方または両方が当てはまる、先行するまたは後続のいずれかの実施形態の選択的触媒還元物品。
【0025】
実施形態11:第1コーティング層が、基材の前部の上流端から基材の後部の下流端に向かってある距離だけ延びて、第2コーティング層の一部に重なっており、第2コーティング層が、基材の後部の下流端から基材の前部の上流端に向かってある距離だけ延びている、先行するまたは後続のいずれかの実施形態の選択的触媒還元物品。
【0026】
実施形態12:第1コーティング層が、基材の前部の上流端から基材の後部の下流端へ延びて、第2コーティング層の全体に重なっており、第2コーティング層が、基材の後部の下流端から基材の前部の上流端へ延びている、先行するまたは後続のいずれかの実施形態の選択的触媒還元物品。
【0027】
実施形態13:第2コーティング層が、基材の前部の上流端から基材の後部の下流端に向かってある距離だけ延びて、第1コーティング層の一部に重なっており、第1コーティング層が、基材の後部の下流端から基材の前部の上流端に向かってある距離だけ延びている、先行するまたは後続のいずれかの実施形態の選択的触媒還元物品。
【0028】
実施形態14:第2コーティング層が、基材の前部の上流端から基材の後部の下流端へ延びて、第1コーティング層の全体に重なっており、第1コーティング層が、基材の後部の下流端から基材の前部の上流端へ延びている、先行するまたは後続のいずれかの実施形態の選択的触媒還元物品。
【0029】
実施形態15:第1コーティング層と第2コーティング層とは隣接しており、互いに重ならない、先行するまたは後続のいずれかの実施形態の選択的触媒還元物品。
【0030】
実施形態16:第1コーティング層と第2コーティング層が、互いに直接接触している、先行するまたは後続のいずれかの実施形態の選択的触媒還元物品。
【0031】
実施形態17:蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブおよび銅含有モレキュラーシーブがそれぞれ、8員環の小細孔モレキュラーシーブである、先行するまたは後続のいずれかの実施形態の選択的触媒還元物品。
【0032】
実施形態18:蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブおよび銅含有モレキュラーシーブが、両方とも独立して、AEI、AFT、AFX、CHA、EAB、ERI、KFI、LEV、SAS、SATおよびSAVからなる群から選択される構造を有するゼオライトである、先行するまたは後続のいずれかの実施形態の選択的触媒還元物品。
【0033】
実施形態19:蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブおよび銅含有モレキュラーシーブのそれぞれが、CHA結晶構造を有する、先行するまたは後続のいずれかの実施形態の選択的触媒還元物品。
【0034】
実施形態20:蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブおよび銅含有モレキュラーシーブのそれぞれが、CHA結晶構造および約5~約40のシリカ対アルミナ比(SAR)を有するアルミノシリケートゼオライトである、先行するまたは後続のいずれかの実施形態の選択的触媒還元物品。
【0035】
実施形態21:基材が、下流ゾーンにAMOx触媒を含むアンダーコートを含む、先行するまたは後続のいずれかの実施形態の選択的触媒還元物品。
【0036】
実施形態22:蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブを含む第1の触媒コーティング層を含む第1基材から形成されている第1の選択的触媒還元物品と、銅含有モレキュラーシーブを含む第2の触媒コーティング層を含む第2基材から形成されている第2の選択的触媒還元物品とを含み、第1の選択的触媒還元物品および第2の選択的触媒還元物品が、流体連通している、選択的触媒還元システム。
【0037】
実施形態23:第1の選択的触媒還元物品の第1基材が、第1の触媒コーティング層を含む第1ゾーンと、高銅含有モレキュラーシーブを含む共触媒を含む第2ゾーンとを有するように区分けされている、先行するまたは後続のいずれかの実施形態の選択的触媒還元システム。
【0038】
実施形態24:第1基材および第2基材が、それぞれ独立して、多孔質ウォールフローフィルタおよびフロースルーモノリスからなる群から選択される、先行するまたは後続のいずれかの実施形態の選択的触媒還元システム。
【0039】
実施形態25:第2基材が、AMOx触媒を含むアンダーコートを含む、先行するまたは後続のいずれかの実施形態の選択的触媒還元システム。
【0040】
実施形態26:先行するまたは後続のいずれかの実施形態の選択的触媒還元物品または選択的触媒還元システムと、この選択的触媒還元物品またはこの選択的触媒還元システムと流体連通し、その上流にある、還元剤注入器とを含む、排ガス処理システム。
【0041】
実施形態27:ディーゼル酸化触媒、煤煙フィルタおよびアンモニア酸化触媒のうちの1種または複数種をさらに含む、先行するまたは後続のいずれかの実施形態の排ガス処理システム。
【0042】
実施形態28:選択的触媒還元物品または選択的触媒還元システムと流体連通し、その上流にある、内燃機関をさらに含む、先行するまたは後続のいずれかの実施形態の排ガス処理システム。
【0043】
実施形態29:NOxを含有する排気流を処理する方法であって、排気流を、先行するいずれかの実施形態の選択的触媒還元物品、選択的触媒還元システムまたは排ガス処理システムに通過させることを含む、方法。
【0044】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様および利点は、以下に簡単に説明する添付の図面とともに以下の詳細な説明を読むことから明らかになろう。本発明は、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の上述の実施形態の任意の組み合わせ、ならびに本開示に記載の任意の2個、3個、4個またはそれ以上の特徴または要素であって、そのような特徴または要素が本明細書の特定の実施形態の説明において明示的に組み合わされているかどうかにかかわらず、それらの特徴または要素の組み合わせを含む。本開示は、その様々な態様および実施形態のいずれかにおいて、開示された発明の任意の分離可能な特徴または要素が、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、組み合わせ可能であると見なされるように全体的に読まれることを意図する。本発明の他の態様および利点は以下から明らかになるであろう。
【0045】
本発明の実施形態の理解を提供するために添付の図面を参照するが、図面は必ずしも原寸に比例して描かれておらず、図面中の参照番号は本発明の例示的な実施形態の構成要素を指す。図面は例示的なものにすぎず、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明によるウォッシュコート組成物の形態の触媒物品を含むことができるハニカム型基材担体の斜視図である。
図2図1に関する拡大部分断面図であり、図1の基材担体の端面に平行な平面に沿って切り取っており、基材担体がモノリシックフロースルー基材である一実施形態における、図1に示した複数のガス流路の拡大図を示す。
図3図1に関する拡大した部分の破断図であり、図1におけるハニカム型基材担体がウォールフローフィルタ基材モノリスを表している。
図4図4a~図4jは、本開示の例示的実施形態による1つまたは複数の基材上のコーティング層および/またはコーティングゾーンを示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
モレキュラーシーブとは、一般に四面体型の部位を含み、比較的均一な細孔径の細孔分布を有する、酸素イオンの広範な三次元ネットワークを有する材料を指す。ゼオライトは、モレキュラーシーブの具体例であり、さらにケイ素およびアルミニウムを含む。触媒層中の「非ゼオライト担体」または「非ゼオライト担体」への言及は、ゼオライトではなく、会合、分散、含浸、または他の好適な方法を通じて、貴金属、安定剤、促進剤、バインダーなどを受容する材料を指す。そのような非ゼオライト担体の例としては、これらに限定されないが、高表面積の高融点金属酸化物が挙げられる。高表面積高融点金属酸化物担体は、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニア、セリア、ランタナ、バリアおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される活性化合物を含み得る。
【0048】
本モレキュラーシーブは、例えば、8員環細孔開口部および二重6員環二次構築単位を有し、例えば以下の構造タイプ、すなわち、AEI、AFT、AFX、CHA、EAB、ERI、KFI、LEV、SAS、SATまたはSAVを有するものを含む。同じ構造タイプを有するSAPO、AlPOおよびMeAPO材料などの、あらゆる同位体骨格材料が含まれる。
【0049】
アルミノシリケートゼオライト構造は、骨格内で同型置換されたリンまたは他の金属を含まない。すなわち、「アルミノシリケートゼオライト」は、SAPO、AlPOおよびMeAPO材料などのアルミノホスフェート材料を除外し、一方、より広い用語「ゼオライト」は、アルミノシリケートおよびアルミノホスフェートを含む。
【0050】
8員環小細孔モレキュラーシーブとしては、アルミノシリケート、ボロシリケート、ガロシリケート、MeAPSOおよびMeAPOが挙げられる。これらには、これらに限定されないが、SSZ-13、SSZ-62、天然チャバザイト、ゼオライトK-G、リンデD、リンデR、LZ-218、LZ-235、LZ-236、ZK-14、SAPO-34、SAPO-44、SAPO-47、ZYT-6、CuSAPO-34、CuSAPO-44およびCuSAPO-47が含まれる。特定の実施形態では、8員環小細孔モレキュラーシーブは、SSZ-13およびSSZ-62などのアルミノシリケート組成を有する。
【0051】
1つまたは複数の実施形態では、8員環小細孔モレキュラーシーブはCHA結晶構造を有し、CHA結晶構造を有するアルミノシリケートゼオライト、SAPO、AlPOおよびMeAPOからなる群から選択される。特に、CHA結晶構造を有する8員環小細孔モレキュラーシーブは、CHA結晶構造を有するアルミノシリケートゼオライトである。特定の実施形態では、CHA結晶構造を有する8員環小細孔モレキュラーシーブは、SSZ-13およびSSZ-62などのアルミノシリケート組成を有する。銅含有チャバザイトおよび鉄含有チャバザイトは、CuCHAおよびFeCHAと称される。
【0052】
モレキュラーシーブは、ゼオライト系(ゼオライト)であり得るか、または非ゼオライト系であり得る。ゼオライト系モレキュラーシーブおよび非ゼオライト系モレキュラーシーブの両方とも、チャバザイト結晶構造を有することができ、これはInternational Zeolite AssociationによりCHA構造とも称される。ゼオライト系チャバザイトは、近似式(Ca,Na,K,Mg)AlSi12O(すなわち、含水カルシウムアルミニウムシリケート)を有するゼオライト群の天然のテクトシリケート鉱物を含む。ゼオライト系チャバザイトの3つの合成形態は、1973年にJohn Wiley&Sonsによって刊行されたD.W.Breckによる「Zeolite Molecular Sieves」に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。Breckによって報告された3つの合成形態は、J.Chem.Soc.、p.2822(1956)、Barrerらに記載されているゼオライトK~G、英国特許第868,846号(1961年)に記載されているゼオライトD、および米国特許第3,030,181号に記載されているゼオライトRであり、これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。ゼオライト系チャバザイトの他の合成形態であるSSZ-13の合成は、米国特許第4,544,538号に記載されている。チャバザイト結晶構造を有する非ゼオライト系モレキュラーシーブの合成形態であるシリコアルミノホスフェート34(SAPO-34)の合成は、米国特許第4,440,871号および米国特許第7,264,789号に記載されている。チャバザイト構造を有するさらに別の合成非ゼオライト系モレキュラーシーブであるSAPO-44の製造方法は、例えば、米国特許第6,162,415号に記載されている。
【0053】
合成8員環小細孔モレキュラーシーブ(例えばCHA構造を有する)は、アルカリ性水性条件下でシリカ源、アルミナ源および構造規定剤を混合することによって製造することができる。典型的なシリカ源としては、様々な種類のヒュームドシリカ、沈降シリカおよびコロイドシリカ、ならびにシリコンアルコキシドが挙げられる。典型的なアルミナ源としては、ベーマイト、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、亜硫酸アルミニウムまたはアルミン酸ナトリウムなどのアルミニウム塩、およびアルミニウムアルコキシドが挙げられる。典型的には水酸化ナトリウムを反応混合物に添加する。この合成のための典型的な構造規定剤は、アダマンチルトリメチルアンモニウムヒドロキシドであるが、他のアミンおよび/または四級アンモニウム塩を置換または添加することができる。反応混合物を圧力容器中で撹拌しながら加熱して結晶性生成物を得る。典型的な反応温度は、約100℃~約200℃、例えば約135℃~約170℃の範囲である。典型的な反応時間は約1時間~約30日であり、特定の実施態様では、例えば10時間~3日である。反応終了時に、任意にpHを約6~約10、例えば約7~約7.5に調整し、生成物を濾過して、水で洗浄する。任意の酸、例えば硝酸をpH調整に使用することができる。任意に、生成物を遠心分離してもよい。有機添加物を使用して、固体生成物の取扱いおよび単離を助けることができる。噴霧乾燥は、製品の加工における任意の工程である。固体生成物は空気中または窒素中で熱処理する。あるいは、各ガス処理は様々な順序で適用することができ、またはガスの混合物を適用することができる。典型的な焼成温度は、約400℃~約850℃である。
【0054】
CHA構造を有するモレキュラーシーブは、例えば、米国特許第4,544,538号および6,709,644号に開示されている方法に従って製造することができる。
【0055】
第1および第2のモレキュラーシーブはそれぞれ、約1~約50または約5~約40のシリカ対アルミナ比(SAR)を有することができる。
【0056】
本モレキュラーシーブは、銅含有または鉄含有である。銅または鉄は、モレキュラーシーブのイオン交換部位(細孔)に存在し、モレキュラーシーブと会合しているが、モレキュラーシーブの細孔「内」に存在していなくてもよい。焼成時に、交換されていない銅塩は、CuOに分解され、本明細書で「遊離銅」または「可溶性銅」とも呼ばれる。遊離銅は、米国特許第8,404,203号に開示されているように有利であり得る。遊離銅の量は、イオン交換銅の量より少なくても、等しくても、または多くてもよい。
【0057】
銅含有または鉄含有のモレキュラーシーブは、例えばNa含有モレキュラーシーブ(Na型)から例えばイオン交換により製造する。Na型は、一般に、イオン交換を伴わない焼成型を指す。この形態では、モレキュラーシーブは一般に交換部位にNaおよびHカチオンの混合物を含有する。Naカチオンが占める部位の割合は、特定のゼオライトバッチおよびレシピによって変わる。任意に、アルカリ金属モレキュラーシーブはNH 交換され、NH 型は、銅または鉄とのイオン交換に使用する。任意に、NH 交換モレキュラーシーブをH型に焼成し、これは銅または鉄カチオンとのイオン交換にも使用することができる。
【0058】
例えば、米国特許第9,242,238号に開示されているように、酢酸銅、硫酸銅、塩化鉄、酢酸鉄、硝酸鉄、硫酸鉄などの銅塩または鉄塩を用いて、銅または鉄を、アルカリ金属、NH またはH型のモレキュラーシーブ中にイオン交換する。例えば、Na、NH またはH型のモレキュラーシーブを塩水溶液と混合し、高温で好適な時間撹拌する。スラリーを濾過し、フィルタケーキを洗浄し、乾燥させる。
【0059】
鉄含有モレキュラーシーブを活性化する方法は、鉄をモレキュラーシーブに添加し、続いて、得られた鉄含有モレキュラーシーブ粉末を、水蒸気の存在下で、約500℃~約800℃で約20分~約12時間、または水蒸気の存在下で約650℃~約750℃で約20分~約2時間、蒸気焼成することを含む。蒸気焼成時間は、例えば、約20分~約1時間または1.5時間である。
【0060】
蒸気活性化工程は還元条件を必要としない。
【0061】
得られた蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブ粉末は、噴霧乾燥または空気乾燥させることができる。
【0062】
得られた蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブは、例えば蒸気活性化FeCHA粉末である。
【0063】
鉄の添加は、例えば、イオン交換プロセス、鉄塩の含浸、またはモレキュラーシーブと酸化鉄との混合を含む。
【0064】
好適な鉄含有モレキュラーシーブは、例えば、米国特許第9,011,807号に開示されている。
【0065】
本蒸気活性化FeCHAモレキュラーシーブは、Feをモレキュラーシーブへイオン交換する工程と、それに続く蒸気焼成工程を含む方法によって製造する。1回の焼成工程のみを必要とする。FeCHA粉末の蒸気活性化のための本方法は、基材上にコーティングする前に触媒を予備活性化するための方法を提供する。
【0066】
蒸気活性化FeCHAモレキュラーシーブを含有するSCR物品は、例えば、定常状態の高速SCR条件下では、250℃で、または350~600℃の範囲にわたって、≧90%、≧91%、≧92%、≧93%、≧94%または≧95%のNOx転化率をもたらすことができる。NOx活性は、例えば、定常状態条件下で、NOが500ppm、NHが500ppm、Oが10%、HOが5%、残部がNのガス混合物中において、80,000h-1の体積基準の空間速度で、最大NHスリップ条件にて測定する。
【0067】
あるいは、鉄含有モレキュラーシーブを含むコーティング層を含む本基材は、コーティングされた後に蒸気活性化されてもよい。すなわち、本コーティングを有する完成モノリスは、蒸気処理することができる。
【0068】
NOx転化率は、NOとNOとを組み合わせたmol%転化率として定義する。高い値が望ましい。NO生成量は、NOとNOとを組み合わせたNOへのmol%転化率として定義する。低い値が望ましい。NOxからNOへのパーセント転化率は、NOの各分子が、1分子のNOxおよび1分子のNHから生成されるという仮定に基づいて計算する。
【0069】
NOx転化率およびNO生成量などのSCR性能は、例えば、0.5℃/分の温度傾斜で200℃~600℃、NOxが500ppm(高速SCR条件:NO/NOx=0.5、または標準SCR条件:NO/NOx=0)、NHが500ppm、Oが10%、HOが5%、残部がNのガス混合物中において、擬似定常状態条件下で、80000h-1のガスの体積基準毎時空間速度で測定する。そのようなSCR活性測定値は、米国特許第8,404,203号に示されている。
【0070】
NOx転化率は、NOとNOとを組み合わせたmol%転化率として定義する。高い値が望ましい。NO生成量は、NOとNOとを組み合わせたNOへのmol%転化率として定義する。低い値が望ましい。
【0071】
蒸気活性化FeCHAを含有するSCR物品は、有利には、最初にFeCHAを蒸気焼成し、続いてそれを触媒コーティングで基材に塗布することによって製造する。すなわち、物品を形成する前に、FeCHAを蒸気活性化させる。
【0072】
あるいは、FeCHAを含有する触媒コーティングを基材に塗布してもよく、そのコーティングされた基材を蒸気焼成して活性化FeCHAを提供してもよい。
【0073】
さらに、触媒活性金属の少なくとも一部は、調整コロイドが構造規定剤、シリカ源、アルミナ源および金属イオン(例えば、銅)源を含むように、モレキュラーシーブ合成プロセスの際に含まれてもよい。
【0074】
鉄含有モレキュラーシーブ中の鉄の量は、モレキュラーシーブの総質量に対して、例えば、約1.0~約15wt%であり、銅含有モレキュラーシーブ中の銅の量は、例えば、約0.4~約7.0wt%、例えば、約1~約10wt%である。
【0075】
いくつかの実施形態では、銅含有モレキュラーシーブ中の銅の量は、約2~約8wt%、約2.5~約6wt%、または約3~約5wt%である。特定の実施形態では、銅含有モレキュラーシーブは、例えば異なる銅濃度を有する銅含有モレキュラーシーブの2種以上のゾーンを有する、ゾーン構成で提供し得る。例えば、高銅ゾーンは、約3wt%以上(例えば、約3~約10wt%、約3~約8wt%、約3~約6wt%、または約3~約4wt%)の銅濃度を有する銅含有モレキュラーシーブを含むことができる。例えば、低銅ゾーンは、約2.5wt%以下(最小0.1wt%と理解される)の銅濃度を有する銅含有モレキュラーシーブを含むことができる。例えば、低銅ゾーンは、約0.5~約2.5wt%、約1~約2.5wt%、または約2~約2.5wt%の銅濃度を有することができる。いくつかの実施形態において、前部ゾーン(例えば、基材の入口に隣接するゾーン)は低銅ゾーンであり得、後部ゾーン(例えば、基材の出口に隣接するゾーン)は高銅ゾーンであり得る。黄色で強調表示されている部分は、より正確に他の特許にある。
【0076】
モレキュラーシーブ中の銅または鉄などの触媒金属の量は、酸化物、CuOまたはFeとして報告される。
【0077】
モレキュラーシーブの総乾燥質量は、銅または鉄などの任意の添加された/交換された金属を含む。
【0078】
モレキュラーシーブ、例えばアルミノシリケートゼオライト中の銅の量は、銅対アルミニウム原子比によっても定義され得る。例えば、Cu/Al原子比は、約0.05~約0.55であり得る。
【0079】
モレキュラーシーブ、例えばアルミノシリケートゼオライト中の鉄の量は、鉄対アルミニウム原子比によっても定義され得る。例えば、Fe/Al原子比は、約0.05~約2.0であり得る。より高いFe/Al比では、鉄の一部は従来のイオン交換部位には存在せず、むしろ小さい酸化鉄粒子として存在する。
【0080】
上流および下流ゾーンのモレキュラーシーブは同じでも異なっていてもよい。例えば、それらはそれらのSARに関して同じでも異なっていてもよい。例えば、第1のモレキュラーシーブは、第2のモレキュラーシーブのSARより低い、等しい、またはそれより高いSARを有し得る。
【0081】
銅を含有する8員環小細孔モレキュラーシーブはそれぞれ、焼成モレキュラーシーブの総質量に対して、2wt%未満のナトリウム含有量(揮発物質フリーベースでNaOとして報告)を有することができる。より具体的な実施形態では、ナトリウム含有量は1wt%未満または2500ppm未満である。モレキュラーシーブはそれぞれ、約0.7未満、例えば約0.02~約0.7のナトリウム対アルミニウム原子比を有し得る。モレキュラーシーブはそれぞれ、約0.5より大きい、例えば約0.5~約50の銅対ナトリウム原子比または鉄対ナトリウム原子比を有し得る。
【0082】
本銅含有または鉄含有のモレキュラーシーブは、DIN66131に従って測定して、少なくとも約400m/g、少なくとも約550m/gまたは少なくとも約650m/g、例えば約400~約750m/gまたは約500~約750m/gのBET表面積を示し得る。本モレキュラーシーブは、SEMにより測定される場合、約10ナノメートル~約10ミクロン、約50ナノメートル~約5ミクロン、または約0.1ミクロン~約0.5ミクロンの平均結晶サイズを有し得る。例えば、モレキュラーシーブ微結晶は、0.1ミクロンまたは1ミクロン超5ミクロン未満の平均結晶サイズを有し得る。
【0083】
モレキュラーシーブは、好適な改質剤と混合されているかまたは好適な改質剤でコーティングされている、粉末または噴霧乾燥材料の形態で提供し得る。改質剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアおよび高融点金属酸化物バインダー(例えば、ジルコニウム前駆体)が挙げられる。粉末または噴霧材料は、好適な改質剤による混合またはコーティングの後に、任意に、例えば水を用いてスラリーに形成することができ、このスラリーは、例えば米国特許第8,404,203号に開示されるように好適な基材上に堆積させる。
【0084】
有利には、本発明の物品およびシステムにおける鉄含有モレキュラーシーブの量対銅含有モレキュラーシーブの量は、質量比で約1:10~約10:1である。例えば、これらは、上流ゾーンの鉄含有モレキュラーシーブ対下流ゾーンの銅含有モレキュラーシーブの質量比を表す。
【0085】
有利には、本発明の物品およびシステムにおける鉄対銅の質量比は、酸化物の質量を基準として、約1:15~約15:1である。これは、上流ゾーンの鉄対下流ゾーンの銅の質量比を表し得る。
【0086】
鉄含有モレキュラーシーブのモレキュラーシーブは、8員環モレキュラーシーブを含んでもよく、あるいはまた10員環または12員環モレキュラーシーブを含んでもよい。
【0087】
「触媒」という用語は、化学反応を促進する物質を指す。触媒は、「触媒活性種」および活性種を支持または担持する「担体」を含む。例えば、ゼオライトを含むモレキュラーシーブは、本銅および鉄活性触媒種用の担体/支持体である。同様に、高融点金属酸化物粒子は、白金族金属触媒種用の担体であり得る。
【0088】
触媒活性種はまた、化学反応を促進するので「促進剤」とも称される。例えば、本銅含有または鉄含有モレキュラーシーブは、銅促進または鉄促進モレキュラーシーブと称してもよい。「促進モレキュラーシーブ」とは、触媒活性種が意図的に添加されているモレキュラーシーブを指す。
【0089】
窒素酸化物(NOx)の選択的触媒還元(SCR)とは、Nへの選択的還元を意味する。
【0090】
「基材」という用語は、一般に、触媒コーティングがその上に配置されているモノリシック材料、例えばフロースルーモノリスまたはモノリシックウォールフローフィルタを指す。1つまたは複数の実施形態では、基材は、ハニカム構造を有するセラミックまたは金属である。基材の入口端部から出口端部まで延び、通路が流体の流れに対して開口している、微細で平行なガス流路を有するタイプのモノリシック基材などの、任意の好適な基材を使用し得る。通路は、それらの流体入口からそれらの流体出口まで実質的に直線経路であり、通路を通って流れるガスが触媒材料と接触するように触媒コーティングが配置される壁によって画定される。モノリシック基材の流路は薄壁のチャネルであり、台形、長方形、正方形、正弦波、六角形、三角形などのような任意の好適な断面形状およびサイズであり得る。このような構造体は、1平方インチの断面あたり約60~約900以上のガス入口開口部(すなわちセル)を含んでもよい。
【0091】
本基材は、長さ、直径および体積を有する、円柱に類似した、三次元である。形状は必ずしも円柱に一致する必要はない。長さは、入口端部と出口端部とによって画定される軸方向の長さである。
【0092】
フロースルーモノリス基材は、例えば、約50in~約1200inの体積、1平方インチあたりのセル数(cpsi)が約60~約500cpsiまたは最大約900cpsi、例えば約200~約400cpsiのセル密度、および約50~約200ミクロンまたは約400ミクロンの壁厚を有する。
【0093】
基材は、上記の「フロースルー」モノリスであり得る。あるいは、触媒コーティングをウォールフローフィルタ煤煙フィルタ上に配置して、触媒煤煙フィルタ(CSF)を製造してもよい。ウォールフロー基材を利用する場合、得られるシステムはガス状汚染物質と共に粒子状物質を除去することが可能である。ウォールフローフィルタ基材は、コージェライト、チタン酸アルミニウムまたは炭化ケイ素などの当技術分野において一般的に既知の材料から製造することができる。ウォールフロー基材への触媒コーティングの充填は、多孔度および壁厚などの基材特性に依存し、典型的にはフロースルー基材への触媒充填よりも低い。
【0094】
SCR触媒コーティングを担持するのに有用なウォールフローフィルタ基材は、基材の長手方向軸に沿って延びている複数の微細で実質的に平行なガス流路を有する。典型的には、各通路は基材本体の一端で塞がれ、互い違いになっている通路は反対側の端面で塞がれる。このようなモノリシック担体は、1平方インチの断面あたり約700以上の流路(または「セル」)を含んでもよいが、はるかに少ないものを用いてもよい。例えば、典型的な担体は通常、平方インチあたりのセル数(「cpsi」)が約100~約300個である。セルは、長方形、正方形、三角形、六角形、または他の多角形の断面を有することができる。ウォールフロー基材は、典型的には、約50ミクロン~約500ミクロン、例えば約150ミクロン~約400ミクロンの壁厚を有する。ウォールフローフィルタは一般に、触媒コーティングを配置する前に、少なくとも40%の壁多孔度を有し、平均孔径が少なくとも10ミクロンである。例えば、ウォールフローフィルタは、触媒コーティングを配置する前に、約50~約75%の壁多孔度および約10~約30ミクロンの平均孔径を有する。
【0095】
図1および図2は、本明細書に記載のウォッシュコート組成物でコーティングされたフロースルー基材の形態の例示的基材2を示す。図1を参照すると、例示的基材2は、円筒形状と、円筒形外面4と、上流端面6と、端面6と同一の、対応する下流端面8とを有する。基材2は、その中に形成された複数の微細で平行なガス流路10を有する。図2に見られるように、流路10は壁12によって形成され、担体2を通って上流端面6から下流端面8まで延び、通路10は遮られておらず、流体、例えばガス流は、担体2の長手方向に、担体のガス流路10を介し、担体を通って流れることができる。図2でより容易に分かるように、壁12は、ガス流路10が実質的に規則的な多角形形状を有するように寸法決められ、構成される。示されるように、ウォッシュコート組成物は、所望ならば複数の異なる層に塗布することができる。図示の実施形態では、ウォッシュコートは、担体部材の壁12に付着した別個のボトムウォッシュコート層14と、ボトムウォッシュコート層14上にコーティングされた第2の別個のトップウォッシュコート層16との両方からなる。本発明は、1層または複数(例えば、2、3または4)層のウォッシュコート層を用いて実施することができ、例示された2層の実施形態に限定されない。
【0096】
あるいは、図1および図3は、本明細書に記載のウォッシュコート組成物でコーティングされたウォールフローフィルタ基材の形態の例示的基材2を示すことができる。図3に見られるように、例示的基板2は、複数の通路52を有する。通路は、フィルタ基材の内壁53によって管状に囲まれている。基材は入口端部54と出口端部56を有する。互い違いになっている通路は、入口端部で入口プラグ58により、出口端部で出口プラグ60により塞がれて、入口54と出口56で逆の市松模様を形成する。ガス流62は、塞がれていないチャネル入口64を通って入り、出口プラグ60によって止められ、チャネル壁53(これは多孔質である)を通って出口側66に拡散する。ガスは、入口プラグ58のために壁の入口側に戻ることはできない。本発明において使用される多孔質壁流れフィルタは、前記要素の壁が、その上に1種または複数種の触媒材料を有するかまたはその中に含むことから、触媒作用を受ける。触媒材料は、要素壁の入口側のみ、出口側のみ、入口側と出口側の両方に存在してもよく、または壁自体、全部もしくは一部が、触媒材料からなってもよい。本発明は、要素の入口壁および/または出口壁に触媒材料の1層または複数層の層を使用することを含む。
【0097】
触媒ウォールフローフィルタは、例えば、米国特許第7,229,597号に開示されている。この参考文献は、触媒コーティングを多孔質壁に浸透させる、すなわち壁全体に分散させるように触媒コーティングを塗布する方法を教示している。フロースルー基材およびウォールフロー基材は、例えば、WO2016/070090として公開されている、米国特許出願第62/072,687号にも教示されている。
【0098】
例えば、本システムでは、第1基材は多孔質ウォールフローフィルタであり、第2基材はフロースルーモノリスであるか、あるいは第1基材はフロースルーモノリスであり、第2基材は多孔質ウォールフローフィルタである。あるいは、両方の基材は同一であってもよく、フロースルー基材またはウォールフロー基材であってもよい。
【0099】
本触媒コーティングは、壁面上および/または壁の細孔内、すなわちフィルタ壁「内」および/または「上」にあってもよい。したがって、「その上に触媒コーティングを有する」という語句は、任意の表面上、例えば壁面上および/または細孔表面上を意味する。
【0100】
「排気流」または「排ガス流」という用語は、固体または液体の粒子状物質を含み得る流動ガスの任意の組み合わせを指す。流れはガス状成分を含み、例えば、リーンバーンエンジンの排気であり、これは液滴、固体微粒子などのようなある種の非ガス状成分を含有し得る。リーンバーンエンジンの排気流は、通常、燃焼生成物、不完全燃焼の生成物、窒素酸化物、可燃性および/または炭素質の粒子状物質(煤煙)、ならびに未反応の酸素および/または窒素をさらに含む。
【0101】
ある種の実施形態は、化学量論的燃焼に必要な量を超える空気を用いた燃焼条件、すなわち希薄条件で作動する、内燃機関、特にディーゼルエンジンの排ガスからNOxを除去するための物品、システムおよび方法の使用に関する。
【0102】
基材の入口端とは、「上流」端または「前部」端と同義である。出口端とは、「下流」端または「後部」端と同義である。基材は長さおよび幅を有する。上流ゾーンは下流ゾーンの上流にある。触媒基材のゾーンは、その上にある種のコーティング構造を有する断面として定義される。
【0103】
本排ガス処理方法では、排ガス流は、上流端に入り、下流端から出ることによってSCR物品、SCRシステムまたは排ガス処理システムを通過する。
【0104】
セラミック基材は、任意の好適な高融点材料、例えば、コージェライト、コージェライト-α-アルミナ、アルミニウムチタネート、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコンムライト、スポジュメン、アルミナ-シリカ-マグネシア、ジルコンシリケート、シリマナイト、マグネシウムシリケート、ジルコン、ペタライト、α-アルミナ、アルミノシリケートなどから製造されてもよい。
【0105】
本発明において有用な基材はまた、金属性であり得、1種または複数種の金属もしくは金属合金で構成され得る。金属基材は、ペレット、波形シートまたはモノリシックフォームなどの様々な形状で使用することができる。金属基材の具体例としては、耐熱性の卑金属合金、特に鉄が実質的であるまたは主成分である合金が挙げられる。このような合金は、ニッケル、クロムおよびアルミニウムのうちの1種または複数種を含むことができ、これらの金属の合計は、有利には合金の少なくとも約15wt%(質量パーセント)、例えば約10~約25wt%のクロム、約1~約8wt%のアルミニウム、および0~約20wt%のニッケルを含むことができる。
【0106】
触媒コーティングは、活性触媒種を含有する1種または複数種の担体を含有する。触媒コーティングは、典型的には、その上に触媒活性種を有する担体を含むウォッシュコートの形態で塗布することができる。ウォッシュコートは、液体ビヒクル中に担体の特定の固形分(例えば、10~60質量%)を含有するスラリーを製造することによって形成し、次にこれを基材上にコーティングし、乾燥させ、焼成させてコーティング層を提供する。複数のコーティング層を塗布する場合、各層を塗布した後および/または所望の複数の層を塗布した後に、基材を乾燥させ焼成する。
【0107】
モレキュラーシーブのコーティング層は、バインダー、例えば、酢酸ジルコニルなどの好適な前駆体または硝酸ジルコニルなどの任意の他の好適なジルコニウム前駆体から誘導されるZrOバインダーを使用して製造することができる。酢酸ジルコニルバインダーは、熱エージング後、例えば触媒が少なくとも約600℃、例えば約800℃以上の高温、および約10%以上の高水蒸気環境にさらされた場合に、均質かつ無傷のままである触媒コーティングを提供する。場合により好適な他のバインダーとしては、これらに限定されないが、アルミナおよびシリカが挙げられる。アルミナバインダーとしては、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、およびオキシ水酸化アルミニウムが挙げられる。アルミニウム塩およびコロイド形態のアルミナもまた使用する。シリカバインダーは、コロイダルシリカを含む様々な形態のSiOを含む。バインダー組成物は、ジルコニア、アルミナ、およびシリカの任意の組み合わせを含み得る。
【0108】
本コーティング層はいずれも、ZrOまたはAlバインダーを含有してもよい。
【0109】
触媒コーティングは、2層以上の薄い付着層を含み得る。コーティングは、基材上に配置して基材に付着させる。コーティング全体は、個々の「コーティング層」を含む。触媒コーティングは、「区分け」されており、区分けされた触媒層を含む。これはまた、「横方向ゾーン」とも記載され得る。例えば、第1層は、入口端から出口端に向かって、基材の長さの約5%~約100%、約10%~約90%、または約20%~約50%だけ延びていてもよい。第2層は、出口端から入口端に向かって、基材の長さの約5%~約100%、約10%~約90%、または約20%~約50%延びていてもよい。第1層と第2層は互いに隣接し、互いに重ならないようにすることができる。あるいは、第1および第2層は互いの一部に重なり、第3の「中間」ゾーンを提供してもよい。中間ゾーンは、例えば、基材の長さの約5%~約80%、例えば基材の長さの約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、または約70%だけ延びていてもよい。あるいは、第1層は出口端から延び、第2層は入口端から延びていてもよい。
【0110】
第1および第2層はそれぞれ、基材の全長にわたって延びていても、または基材の長さの一部にわたって延びていてもよく、部分的または全体的に互いの上にまたは下に重なっていてもよい。第1および第2層のそれぞれは、入口端部または出口端部のどちらかから延びていてもよい。
【0111】
第1コーティング層は、基材の全長にわたって延びていてもよく、第2コーティング層は、第1層の一部または全体の上にまたは下に重なっていてもよい。例えば、第2コーティング層は、出口端から入口端に向かって基材の長さの約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%または約80%だけ延びていてもよい。
【0112】
第2コーティング層は、基材の全長にわたって延びていてもよく、第1コーティング層は、第2層の一部または全体の上にまたは下に重なっていてもよい。例えば、第1コーティング層は、入口端から出口端に向かって基材の長さの約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%または約80%だけ延びていてもよい。
【0113】
本ゾーンは、第1および第2コーティング層の関係によって画定される。第1および第2コーティング層に関して、上流および下流ゾーンのみが存在してもよく、または上流ゾーン、中間ゾーンおよび下流ゾーンが存在してもよい。第1層と第2層が隣接していて重ならない場合、上流と下流のゾーンのみが存在する。第1層と第2層がある程度重なっている場合は、上流、下流、および中間ゾーンが存在する。例えば、第1コーティング層が基材の全長にわたって延び、第2コーティング層が出口端から一定の長さだけ延びて第1コーティング層の一部に重なる場合、上流および下流ゾーンのみが存在する。
【0114】
第1および/または第2コーティング層は、基材と直接接触していてもよい。あるいは、1層または複数層の「アンダーコート」が存在してもよく、それにより、第1および/または第2コーティング層の少なくとも一部は、基材と直接接触しない(むしろアンダーコートと接触する)。1層または複数層の「オーバーコート」もまた存在してもよく、それにより、第1および/または第2コーティング層の少なくとも一部は、ガス流または大気に直接さらされない(むしろオーバーコートと接触する)。
【0115】
第1および第2コーティング層は、「中間」の重なり合うゾーンなしで、互いに直接接触していてもよい。あるいは、第1および第2コーティング層は、2つのゾーン間に「ギャップ」を伴って、直接接触していなくてもよい。「アンダーコート」または「オーバーコート」の場合、第1のSCR層と第2のSCR層との間のギャップは「中間層」と呼ばれる。
【0116】
アンダーコートはコーティング層の「下」の層であり、オーバーコートはコーティング層の「上」の層であり、中間層は2層のコーティング層の「間」の層である。
【0117】
中間層、アンダーコートおよびオーバーコートは、1種または複数種の触媒を含有してもよく、または触媒を含まなくてもよい。
【0118】
本触媒コーティングは、2層以上の同一の層、例えば2層以上の第1および/または第2層を含み得る。
【0119】
本発明の最も単純な物品は、モノリスまたはフィルタの入口端から出口端に向かって延びている第1コーティング層と、出口端から入口端に向かって延びている第2コーティング層とを有する、フロースルー基材またはウォールフローフィルタを含む。
【0120】
本触媒コーティング、ならびに触媒コーティングの各ゾーンまたはコーティングの任意の部分は、例えば、基材に基づいて、約0.3g/in~約4.5g/in、または約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、もしくは約1.0g/in~約1.5g/in、約2.0g/in、約2.5g/in、約3.0g/in、約3.5g/inもしくは約4.0g/inの濃度(充填量)で、基材上に存在する。これは、基材の体積あたりの、例えばハニカムモノリスの体積あたりの乾燥固形分質量を指す。卑金属、例えば銅の量は、モレキュラーシーブも含む触媒コーティングのほんの一部である。体積あたりの銅の量は、例えば上記の値の約0.2%~約10%である。体積あたりの銅の量が銅濃度である。体積あたりの鉄の量が鉄濃度である。体積あたりの卑金属含有モレキュラーシーブの量がモレキュラーシーブ濃度である。濃度は、基材の断面または基材全体に基づく。
【0121】
「触媒物品」という用語は、所望の反応を促進するために使用する要素を指す。本触媒物品は、その上に配置された触媒コーティングを有する基材を含む。
【0122】
システムには2種以上の物品、例えば第1SCR物品および第2SCR物品が含まれる。システムはまた、還元剤注入器、ディーゼル酸化触媒(DOC)、煤煙フィルタまたはアンモニア酸化触媒(AMOx)またはリーンNOxトラップ(LNT)を含有する1種または複数種の物品を含み得る。
【0123】
還元剤注入器を含む物品は、還元物品である。還元システムは、還元剤注入器および/またはポンプおよび/またはリザーバなどを含む。
【0124】
本処理システムは、ディーゼル酸化触媒および/または煤煙フィルタおよび/またはアンモニア酸化触媒をさらに含み得る。煤煙フィルタは、触媒作用を受けなくてもよく、または触媒作用を受けてもよい(CSF)。例えば、本処理システムは、上流から下流に向かって、DOC、CSF、尿素注入器を含む物品、本ゾーン化SCR物品、または第1のSCR物品および第2のSCR物品、ならびにAMOxを含む物品を含んでもよい。リーンNOxトラップ(LNT)も含まれ得る。
【0125】
AMOx触媒を含むアンダーコート層は、基材の下流ゾーンに存在してもよい。例えば、AMOxアンダーコート層は、出口端から入口端に向かって、本物品の基材の長さの約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%または約80%だけ延びていてもよい。
【0126】
AMOxアンダーコート層はまた、第2の下流物品の第2基材上に存在してもよい。このアンダーコート層は、第2基材の全長、または第2基材の長さの約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%または約90%だけ延びていてもよい。
【0127】
AMOx触媒は、例えば米国特許出願公開第2011/0271664号に教示されている。アンモニア酸化(AMOx)触媒は、排ガス流からアンモニアを除去するのに有効である担持貴金属成分であり得る。貴金属としては、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀または金を挙げてもよい。例えば、貴金属成分は、貴金属の物理的混合物または化学的もしくは原子的にドープされた組み合わせを含む。貴金属成分は、例えば白金を含む。白金は、AMOx触媒に対して、約0.008%~約2wt%の量で存在し得る。
【0128】
貴金属成分は、典型的には、高表面積の高融点金属酸化物支持体上に堆積する。好適な高表面積高融点金属酸化物の例としては、アルミナ、シリカ、チタニア、セリアおよびジルコニア、ならびにそれらの物理的混合物、化学的組合せおよび/または原子的にドープされた組合せが含まれる。特定の実施形態では、高融点金属酸化物は、シリカ-アルミナ、非晶質または結晶性アルミノシリケート、アルミナ-ジルコニア、アルミナ-ランタナ、アルミナ-バリア、アルミナ-セリアなどの混合酸化物を含有してもよい。例示的な高融点金属酸化物は、約50~約300m/gの比表面積を有する高表面積γ-アルミナを含む。
【0129】
AMOx触媒には、例えばCHA、FAU、BEA、MFIおよびMORタイプのものから選択されるゼオライト系または非ゼオライト系モレキュラーシーブが含まれ得る。モレキュラーシーブは、酸化物担持白金成分と物理的に混合することができる。代替的実施形態では、白金は、モレキュラーシーブの外面上またはチャネル、キャビティもしくはケージ内に分布していてもよい。
【0130】
第1の選択的触媒還元物品および第2の選択的触媒還元物品を含む本実施形態は、「多成分」または「マルチブリック(multi-brick)」系と呼ばれることがある。「ブリック(brick)」は、モノリスまたはフィルタなどの単一物品を指すことがある。
【0131】
有利には、多成分系の物品はそれぞれ、本明細書に開示される区分けされたコーティングを含む基材を含み得る。
【0132】
触媒物品は、還元剤、例えばアンモニアまたは尿素の存在下で、窒素酸化物(NOx)の還元を触媒するのに有効である。作動中、還元剤は、SCR物品の上流の位置から排気流に周期的に計量供給される。注入器はSCR物品とその上流で流体連通している。注入器はまた、還元剤リザーバおよびポンプと関連している。
【0133】
本物品、システムおよび方法は、トラックおよび自動車などの移動排出源からの排ガス流の処理に好適である。物品、システムおよび方法は、発電装置などの固定排出源からの排気流の処理にも好適である。
【0134】
アンモニアは、固定発電装置の排ガス処理用のSCR反応のための典型的な還元剤であり、一方、尿素は、移動排出源の排ガス処理用に使用する典型的なSCR還元剤である。尿素は、SCR触媒と接触する前またはSCR触媒上でアンモニアと二酸化炭素に分解され、アンモニアはNOxの還元剤として働く。
【0135】
本明細書に記載の物品、システムおよび方法は、例えば、高いNOx転化率をもたらすことができる。例えば、本触媒物品は、80000h-1のガス毎時空間速度で測定して、200℃で少なくとも50%、少なくとも55%または少なくとも60%のエージングNOx転化率を示し得る。本触媒物品は、定常状態条件下で、NOが500ppm、NHが500ppm、Oが10%、HOが5%、残部がNのガス混合物中において、80000h-1のガスの体積基準毎時空間速度で測定して、450℃で少なくとも70%、少なくとも75%または少なくとも80%のエージングNOx転化率を示し得る。管状炉内で、10%のHO、10%のO、残部Nを含有するガス流中において、コアを、750℃で5時間水熱エージングさせる。このようなSCR活性測定値は、米国特許第8,404,203号に示されている。
【0136】
さらに、本明細書の物品、システムおよび方法は、過渡HDD FTP条件下で、≧90%のNOx転化率、および≦1.5%のNO生成量をもたらすことができる。
【0137】
例えば、いくつかの本選択的接触還元物品またはシステムは、過渡エンジン試験条件下で、唯一のSCR触媒として均一濃度のCuCHAを含有する物品またはシステムと比較して、それぞれ≧90%のNOx転化率および≦40%のNO生成量をもたらすことができる。均一濃度のCuCHAを含有する物品は、基材上に均一濃度のCuCHAを含む触媒コーティングを含有する。CuCHAは、基準として存在する唯一のSCR触媒である。同様に、システム基準として、両方の基材は、均一濃度の同じCuCHAを唯一のSCR触媒として含有する。
【0138】
すなわち、本物品およびシステムは、より少ないNOを形成しながら、同程度に良好な、またはより良好なNOx転化率を提供する。
【0139】
前部上流端(入口を画定することができる)および後部下流端(出口を画定することができる)を有する基材を含むSCR物品であって、2個の端部は軸方向長さを画定し、基材は、2個の端部間の軸方向長さに沿って、少なくとも部分的にその上に触媒コーティングを有し、触媒コーティングは、蒸気活性化FeCHAおよびCuCHAを含む、SCR物品もまた開示する。この場合、コーティングは、基材の全長、または出口もしくは入口端からの部分長、例えば、軸方向長さの約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%または約90%だけ延びていてもよい。
【0140】
触媒コーティングが蒸気活性化FeCHAおよびCuCHAの両方を含有する場合、質量比は、約1:10~約10:1、例えば約1:9、約1:8、約1:7、約1:6、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1または約9:1であり得る。
【0141】
本選択的触媒接触還元物品またはシステムまたは方法は、y総NOx転化率を提供することができ、例えば過渡HDD FTP条件下で測定して、前部上流ゾーンは、約0.6y~約0.9yの総NOx転化率をもたらす。例えば、上流ゾーンは、約0.5y、約0.6y、約0.7y、約0.8yまたは約0.9yの総NOx転化率をもたらす。
【0142】
本発明の例示的実施形態を以下に示す。実施形態は例として提供され、触媒コーティングのさらなる組み合わせを包含すると理解される。さらに、例示されるように、コーティングゾーンおよびコーティング層は、コーティング層がコーティングゾーンを画定し得ることから交換可能であり得る。
【0143】
一実施形態では、図4aに見られるように、基材100は、複数の触媒活性モレキュラーシーブの組み合わせである単一のコーティング層101でコーティングすることができる。例えば、単一コーティング101は、蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブ(例えば、約1~約10wt%の酸化鉄を含む)と銅含有モレキュラーシーブとの組み合わせであり得、好ましくは高銅濃度(例えば、約3~約10wt%)であり得る。別の実施形態では、再び図4aを参照すると、基材100は、銅に対し鉄の比率が高い(例えば、鉄対銅が10:1~1:1)鉄および銅含有モレキュラーシーブと、銅に対し鉄の比率が低い(例えば、鉄対銅が1:1~1:100)鉄および銅含有モレキュラーシーブとの組み合わせである単一層101でコーティングすることができる。
【0144】
さらなる実施形態では、基材100は、2つの重ならないゾーンでコーティングすることができる。図4bに見られるように、基材100の前部または入口端100aに隣接する第1ゾーン102は、以下のうちのいずれか1種を含むことができる。すなわち、蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブ(例えば、約1~約10wt%の酸化鉄を含む);銅に対し鉄の比率が高い(例えば、鉄対銅が10:1~1:1)、鉄および銅含有モレキュラーシーブ;銅含有モレキュラーシーブに対し鉄含有モレキュラーシーブの比率が高い(例えば、鉄含有モレキュラーシーブ対銅含有モレキュラーシーブの質量比が、約100:1~約1:1である)鉄含有モレキュラーシーブと銅含有モレキュラーシーブとの組み合わせ、である。基材100の後部または出口端100bに隣接する第2ゾーン103は、以下のうちのいずれか1種を含むことができる。すなわち、好ましくは高銅濃度(例えば、約3~約10wt%)の、銅含有モレキュラーシーブ;銅に対し鉄の比率が低い(例えば、鉄対銅が1:1~1:100)、鉄および銅含有モレキュラーシーブ;銅含有モレキュラーシーブに対し鉄含有モレキュラーシーブの比率が低い(例えば、鉄含有モレキュラーシーブ対銅含有モレキュラーシーブの質量比が、約1:1~約1:100である)鉄含有モレキュラーシーブと銅含有モレキュラーシーブとの組み合わせ、である。
【0145】
さらに別の実施形態では、図4cに見られるように、基材100は、基材100の前部または入口端100aから基材100の後部または出口端100bまで延びている第1コーティング層104、および基材100の後部または出口端100bに隣接する第1コーティング層104の上にコーティングされ、基材100の長さの一部だけに渡って延びている(すなわち、100aの前部または入口端100aに達する前に終了する)第2コーティング層105で、コーティングすることができる。第1コーティング層104は、以下のうちのいずれか1種を含むことができる。すなわち、蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブ(例えば、約1~約10wt%の酸化鉄を含む);銅に対し鉄の比率が高い(例えば、鉄対銅が10:1~1:1)鉄および銅含有モレキュラーシーブ;銅含有モレキュラーシーブに対し鉄含有モレキュラーシーブの比率が高い(例えば、鉄含有モレキュラーシーブ対銅含有モレキュラーシーブの質量比が、約100:1~約1:1である)鉄含有モレキュラーシーブと銅含有モレキュラーシーブとの組み合わせ、である。第2コーティング層105は、以下のうちのいずれか1種を含むことができる。すなわち、好ましくは高銅濃度(例えば、約3~約10wt%)の、銅含有モレキュラーシーブ;銅に対し鉄の比率が低い(例えば、鉄対銅が1:1~1:100)鉄および銅含有モレキュラーシーブ;銅含有モレキュラーシーブに対し鉄含有モレキュラーシーブの比率が低い(例えば、鉄含有モレキュラーシーブ対銅含有モレキュラーシーブの質量比が、約1:1~約1:100である)鉄含有モレキュラーシーブと銅含有モレキュラーシーブとの組み合わせ、である。
【0146】
別の実施形態では、図4dに見られるように、基材100は、基材100の前部または入口端100aから基材100の後部または出口端100bまで延びている第1コーティング層106、および基材100の前部または入口端100aに隣接する第1コーティング層106の上にコーティングされ、基材100の長さの一部だけに渡って延びている(すなわち、基材100の後部または出口端100bに達する前に終了する)第2コーティング層107で、コーティングすることができる。第1コーティング層106は、以下のうちのいずれか1種を含むことができる。すなわち、好ましくは高銅濃度(例えば、約3~約10wt%)の銅含有モレキュラーシーブ;銅に対し鉄の比率が低い(例えば、鉄対銅が1:1~1:100)鉄および銅含有モレキュラーシーブ;銅含有モレキュラーシーブに対し鉄含有モレキュラーシーブの比率が低い(例えば、鉄含有モレキュラーシーブ対銅含有モレキュラーシーブの質量比が、約1:1~約1:100である)鉄含有モレキュラーシーブと銅含有モレキュラーシーブとの組み合わせ、である。第2コーティング層107は、以下のうちのいずれか1種を含むことができる。すなわち、蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブ(例えば、約1~約10wt%の酸化鉄を含む);銅に対し鉄の比率が高い(例えば、鉄対銅が10:1~1:1)鉄および銅含有モレキュラーシーブ;銅含有モレキュラーシーブに対し鉄含有モレキュラーシーブの比率が高い(例えば、鉄含有モレキュラーシーブ対銅含有モレキュラーシーブの質量比が、約100:1~約1:1である)鉄含有モレキュラーシーブと銅含有モレキュラーシーブとの組み合わせ、である。
【0147】
さらに別の実施形態では、図4eに見られるように、基材100は、基材100の前部または入口端100aから基材100の後部または出口端100bまで延びている第1コーティング層108、および第1コーティング層108の上にコーティングされ、また基材100の前部または入口端100aから基材100の後部または出口端100bへ延びている第2コーティング層109で、コーティングすることができる。第1コーティング層108は、以下のうちのいずれか1種を含むことができる。すなわち、好ましくは高銅濃度(例えば、約3~約10wt%)の、銅含有モレキュラーシーブ;銅に対し鉄の比率が低い(例えば、鉄対銅が1:1~1:100)鉄および銅含有モレキュラーシーブ;銅含有モレキュラーシーブに対し鉄含有モレキュラーシーブの比率が低い(例えば、鉄含有モレキュラーシーブ対銅含有モレキュラーシーブの質量比が、約1:1~約1:100である)鉄含有モレキュラーシーブと銅含有モレキュラーシーブとの組み合わせ、である。第2コーティング層109は、以下のうちのいずれか1種を含むことができる。すなわち、蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブ(例えば、約1~約10wt%の酸化鉄を含む);銅に対し鉄の比率が高い(例えば、鉄対銅が10:1~1:1)鉄および銅含有モレキュラーシーブ;銅含有モレキュラーシーブに対し鉄含有モレキュラーシーブの比率が高い(例えば、鉄含有モレキュラーシーブ対銅含有モレキュラーシーブの質量比が、約100:1~約1:1である)鉄含有モレキュラーシーブと銅含有モレキュラーシーブとの組み合わせ、である。
【0148】
更なる実施形態では、図4fに見られるように、第1基材100は、第1コーティング層110でコーティングし、第2の別の基材100’は、第2コーティング層111でコーティングすることができる。第1基材100上の第1コーティング層110は、以下のうちのいずれか1種を含むことができる、すなわち、蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブ(例えば、約1~約10wt%の酸化鉄を含む);銅に対し鉄の比率が高い(例えば、鉄対銅が10:1~1:1)、鉄および銅含有モレキュラーシーブ;銅含有モレキュラーシーブに対し鉄含有モレキュラーシーブの比率が高い(例えば、鉄含有モレキュラーシーブ対銅含有モレキュラーシーブの質量比が、約100:1~約1:1である)鉄含有モレキュラーシーブと銅含有モレキュラーシーブとの組み合わせ、である。第2の別の基材100’上の第2コーティング層111は、以下のうちのいずれか1種を含むことができる。すなわち、好ましくは高銅濃度(例えば、約3~約10wt%)の、銅含有モレキュラーシーブ;銅に対し鉄の比率が低い(例えば、鉄対銅が1:1~1:100)、鉄および銅含有モレキュラーシーブ;銅含有モレキュラーシーブに対し鉄含有モレキュラーシーブの比率が低い(例えば、鉄含有モレキュラーシーブ対銅含有モレキュラーシーブの質量比が、約1:1~約1:100である)鉄含有モレキュラーシーブと銅含有モレキュラーシーブとの組み合わせ、である。第1基材100は、排気流の流路に対して第2の別の基材100’の上流にある。第1コーティング層110は、第1基材100の前部または入口端100aから後部または出口端100bまで延びることができ、第2コーティング層111は、第2基材100’の前部または入口端100a’から後部または出口端100b’まで延びることができる。
【0149】
さらに別の実施形態では、図4gおよび図4iに見られるように、基材100は、基材100の前部または入口端100aに隣接し、基材100の長さに沿って部分的にのみ延びる(すなわち、基材100の後部または出口端100bに達する前に終了する)第1コーティング層112でコーティングされ得る。基材100は、第2コーティング層113でコーティングすることができる。図4fに見られるように、第2コーティング層113は、基材100の前部または入口端100aから基材100の後部または出口端100bまで延びる(したがって、第1コーティング層112上を完全にコーティングする)。図4hに見られるように、第2コーティング層113は、基材100の後部または出口端100bから基材100の前部または入口端100aに向かってある地点まで一部の長さだけ延び、したがって、第2コーティング層113は、基材100の一部をコーティングし、第1コーティング層112の一部もまたコーティングする。基材100上の第1コーティング層112は、以下のうちのいずれか1種を含むことができる。すなわち、蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブ(例えば、約1~約10wt%の酸化鉄を含む);銅に対し鉄の比率が高い(例えば、鉄対銅が10:1~1:1)鉄および銅含有モレキュラーシーブ;銅含有モレキュラーシーブに対し鉄含有モレキュラーシーブの比率が高い(例えば、鉄含有モレキュラーシーブ対銅含有モレキュラーシーブの質量比が、約100:1~約1:1である)鉄含有モレキュラーシーブと銅含有モレキュラーシーブとの組み合わせ、である。基材100上の第2コーティング層113は、以下のうちのいずれか1種を含むことができる。すなわち、好ましくは高銅濃度(例えば、約3~約10wt%)の、銅含有モレキュラーシーブ;銅に対し鉄の比率が低い(例えば、鉄対銅が1:1~1:100)、鉄および銅含有モレキュラーシーブ;銅含有モレキュラーシーブに対し鉄含有モレキュラーシーブの比率が低い(例えば、鉄含有モレキュラーシーブ対銅含有モレキュラーシーブの質量比が、約1:1~約1:100である)鉄含有モレキュラーシーブと銅含有モレキュラーシーブとの組み合わせ、である。上記のように、第2コーティング層113は、第1コーティング層112を部分的に覆うことができ、または第1コーティング層112を完全に覆うことができる。
【0150】
追加の実施形態では、図4hおよび図4jに見られるように、基材100は、基材100の後部または出口端100bに隣接し、基材100の長さに沿って部分的にのみ延びる(すなわち、基材100の前部または入口端100aに達する前に終了する)第1コーティング層115でコーティングされ得る。基材100は、第2コーティング層114でコーティングすることができる。図4hに見られるように、第2コーティング層114は、基材100の前部または入口端100aから基材100の後部または出口端100bまで延びる(したがって、第1コーティング層115上を完全にコーティングする)。図4jに見られるように、第2コーティング層114は、基材100の前部または入口端100aから基材100の後部または出口端100bに向かってある地点まで一部の長さだけ延び、したがって、第2コーティング層114は、基材100の一部をコーティングし、第1コーティング層115の一部もまたコーティングする。基材100上の第1コーティング層115は、以下のうちのいずれか1種を含むことができる。すなわち、蒸気活性化鉄含有モレキュラーシーブ(例えば、約1~約10wt%の酸化鉄を含む);銅に対し鉄の比率が高い(例えば、鉄対銅が10:1~1:1)鉄および銅含有モレキュラーシーブ;銅含有モレキュラーシーブに対し鉄含有モレキュラーシーブの比率が高い(例えば、鉄含有モレキュラーシーブ対銅含有モレキュラーシーブの質量比が、約100:1~約1:1である)鉄含有モレキュラーシーブと銅含有モレキュラーシーブとの組み合わせ、である。基材100上の第2コーティング層114は、以下のうちのいずれか1種を含むことができる。すなわち、好ましくは高銅濃度(例えば、約3~約10wt%)の銅含有モレキュラーシーブ;銅に対し鉄の比率が低い(例えば、鉄対銅が1:1~1:100)、鉄および銅含有モレキュラーシーブ;銅含有モレキュラーシーブに対し鉄含有モレキュラーシーブの比率が低い(例えば、鉄含有モレキュラーシーブ対銅含有モレキュラーシーブの質量比が、約1:1~約1:100である)鉄含有モレキュラーシーブと銅含有モレキュラーシーブとの組み合わせ、である。上記のように、第2コーティング層114は、第1コーティング層115を部分的に覆うことができ、または第1コーティング層115を完全に覆うことができる。
【0151】
「白金族金属成分」とは、白金族金属またはそれらの酸化物のうちの1つを指す。「希土類金属成分」とは、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムを含む、元素の周期表に定義されたランタン系列の1つまたは複数の酸化物を指す。
【0152】
「実質的に含まない」とは、例えば「ほとんどまたは全くない」ことを意味し、例えば「意図的に添加されていない」ことを意味し、微量および/または不注意による量のみを有することを意味する。例えば、それは、表示の組成物全体の質量に対して、2wt%(質量%)未満、1.5wt%未満、1.0wt%未満、0.5wt%未満、0.25wt%または0.01wt%未満を意味する。
【0153】
「実質的にすべて」とは、例えば、質量または数で、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%を意味する。
【0154】
本明細書における冠詞「a」および「an」は、その文法的対象の1つまたは2つ以上(例えば、少なくとも1つ)を指す。本明細書で引用される全ての範囲は包括的である。全体を通して使用される「約」という用語は、小さな変動を記述し説明するために使用する。例えば、「約」とは、数値が±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、±0.5%、±0.4%、±0.3%、±0.2%、±0.1%、または±0.05%だけ変更されていてもよいことを意味し得る。明示的に示されているかどうかにかかわらず、すべての数値は「約」という用語によって変更される。「約」という用語によって変更された数値は、特定の同定値を含む。例えば、「約5.0」は、5.0を含む。
【0155】
特に指示がない限り、すべての部および百分率は、質量による。特に指示がない限り、質量パーセント(wt%)は、いかなる揮発性物質も含まない組成物全体に基づく、すなわち乾燥固形分含有量に基づく。
【0156】
本明細書で言及したすべての米国特許出願、公開特許出願および特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0157】
SCR物品、製造および試験の例
【実施例1】
【0158】
蒸気活性化FeCHA
CHA構造を有するモレキュラーシーブを、米国特許第4,544,538号および6,709,644号に開示されている方法に従って製造する。シリカ対アルミナ(SAR)比が約30のCHAゼオライトを使用する。酢酸アンモニウムの存在下で、硝酸鉄(3+)または硫酸鉄(2+)を使用して、pH約4、約60℃で約2時間のFeイオン交換により、鉄をCHAゼオライトに中に取り込む。次いで、混合物を脱イオン水で洗浄し、濾過し、真空/空気乾燥する。鉄ゼオライトに基づいて2.3wt%のFe充填量を目標として試料を製造する。空気乾燥ゼオライト粉末の後処理は、1)空気乾燥のみ、2)450℃の空気中で焼成すること、または3)パイロットスケールの回転焼成機で、蒸気存在下にて650~800℃の温度で焼成すること、である。
【0159】
ウォッシュコートスラリーは、水とFeCHAとを混合して、バインダーも含有する目標40質量%の固形分スラリーを生成することによって製造する。FeCHAゼオライトを含有する触媒コーティングを、400cpsiのセル密度および6milの壁厚を有するセルセラミックモノリス上にウォッシュコートプロセスにより堆積させる。コーティングモノリスを110℃で乾燥させる。コーティングプロセスは、2.1g/inの触媒充填量をもたらす。
【0160】
コーティングされたモノリスの蒸気による水熱処理は、特定の時間で、9000h-1の空間速度で必要な温度(650℃または750℃)で、モノリス上のN流に、およそ10%のO、10%のHOを流すことによって達成する。
【0161】
NOx転化率およびNO生成量は、0.5℃/分の温度傾斜で200℃~600℃で、500ppmのNOx(高速SCR条件:NO/NOx=0.5、または標準SCR条件:NO/NOx=0)、500ppmのNH、10%のO、5%のHO、残部Nのガス混合物中において、擬似定常状態条件下で、80000h-1のガスの体積基準毎時空間速度で測定する。高速条件下でのNOx転化率結果は以下の通りである。NOx転化率は、mol%として報告し、NOおよびNOとして測定する。
【0162】
【表1】
【0163】
試験1の製造粉末は、1)空気乾燥のみによって後処理する。試験2の製造粉末は、2)空気中450℃で焼成することによって後処理する。試験3の製造粉末は、750℃で蒸気焼成することによって後処理する。続いてモノリスを、このように後処理された触媒粉末でコーティングする。「未加工」とは、モノリスが熱水処理されていないことを意味する。
【0164】
FeCHAの蒸気活性化は、低温(250℃)SCR性能を大幅に改善し、2回以上の焼成工程は必要とされないことが分かる。さらに、鉄-ゼオライトの蒸気焼成は、高温(600℃)SCR性能に悪影響を及ぼさない。ゼオライト粉末の蒸気焼成は、このように、コーティング前に触媒を予備活性化する方法を提供する。
【実施例2】
【0165】
区分けされたFeCHA/CuCHA触媒コーティング
FeCHAゼオライトおよびCuCHAゼオライトを含有する触媒コーティングを、400cpsiのセル密度および6milの壁厚を有するセルセラミックモノリス上にウォッシュコートプロセスにより配置する。コーティングしたコアを110℃で乾燥させ、約450℃で1時間焼成する。全てのCuCHA触媒は3.0g/inの充填量を有し、全てのFeCHA触媒は2.1g/inの充填量を有する。前部および後部ゾーンは、コーティング体積が等しいゾーンである。全ての試料は、10%のHO/空気の存在下で、750℃で5時間水熱エージングさせる。前部ゾーンはコアの入口端からコアの全長の約50%まで延び、後部ゾーンはコアの出口端からコアの全長の約50%まで延びる。参照用試料は、均一なコーティングを有する。
【0166】
エージングさせた試料のSCRテストは、Heavy Duty Diesel US Federal Test Procedure(HDD FTP)サイクル条件下で実施する。HDD FTPテストの過渡温度は225℃~325℃の範囲である。1サイクル(1200秒)あたりの累積入口NOxは、5g/Lである。過渡空間速度は、20K~120Khr-1の範囲である。HDDのFTP NOx転化率およびNO生成の結果を報告する。前部および後部ゾーンの鉄および銅は、ゼオライトの総質量に基づいた質量%である。質量パーセントCuはCuOとして報告し、質量パーセントFeはFeとして報告する。
【0167】
NOx転化率は、NOとNOとを組み合わせたmol%転化率として定義する。高い値が望ましい。NO生成量は、NOとNOとを組み合わせたNOへのmol%転化率として定義する。低い値が望ましい。NOxからNOへのパーセント転化率は、NOの各分子が、1分子のNOxおよび1分子のNHから生成されるという仮定に基づいて計算する。
【0168】
【表2】
【0169】
【表3】
【0170】
参照用試料は、様々な質量パーセントでCuCHAを含有する均一なコーティングである。本発明の試料2a~2nは、参照用資料と比較して、NO生成量を大幅に低減しながら、優れたNOx転化率(一般に≧90%)を示し、全体としてより良い性能をもたらすことが分かる。本発明の試料2c、2g、2h、2i、2l、2mおよび2nは、≧91%のNOx転化率および≦約1.8%の最大NO生成量を達成する。
図1
図2
図3
図4