(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】ヒトIL-15に特異的に結合する抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20221011BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20221011BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221011BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20221011BHJP
C07K 16/24 20060101ALI20221011BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221011BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20221011BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20221011BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20221011BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20221011BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20221011BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20221011BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20221011BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20221011BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20221011BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12P21/08
C07K16/24
A61K39/395 N
A61K39/395 Y
A61P37/08
A61P19/02
A61P1/00
A61P3/10
A61P17/06
A61P17/14
A61P35/02
A61P37/02
A61P29/00
A61P43/00 105
(21)【出願番号】P 2019533652
(86)(22)【出願日】2017-12-21
(86)【国際出願番号】 US2017067917
(87)【国際公開番号】W WO2018119246
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-18
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506423475
【氏名又は名称】セファロン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ホセ・サイモン・レイン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ポラード
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・ジェラルド・ドイル
(72)【発明者】
【氏名】リン・ドロシー・ポールトン
(72)【発明者】
【氏名】アダム・ウィリアム・クラーク
【審査官】吉門 沙央里
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-133276(JP,A)
【文献】米国特許第07329405(US,B2)
【文献】国際公開第2016/001275(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号16のアミノ酸配列を含むHCDR1と、配列番号17のアミノ酸配列を含むHCDR2と、配列番号20のアミノ酸配列を含むHCDR3と、配列番号25のアミノ酸配列を含むLCDR1と、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR2と、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR3と、を含む抗体であって、前記抗体が、ヒトIL-15に特異的に結合し、前記IL-15がIL-15受容体アルファ(IL-15Rα)と複合体を形成している、前記抗体。
【請求項2】
前記抗体が、配列番号18のアミノ酸配列を含むHCDR2を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記抗体が、配列番号26のアミノ酸配列を含むLCDR1と、配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3と、を含む;
前記抗体が、配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR1と、配列番号31のアミノ酸配列を含むLCDR3と、を含む;
前記抗体が、配列番号26のアミノ酸配列を含むLCDR1と、配列番号31のアミノ酸配列を含むLCDR3と、を含む;
前記抗体が、配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR1と、配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3と、を含む;または
前記抗体が、配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR1と、配列番号519のアミノ酸配列を含むLCDR3と、を含む、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項4】
前記抗体が、(i)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、(ii)配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域若しくは配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む;
前記抗体が、(i)配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、(ii)配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域若しくは配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む;
前記抗体が、(i)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、(ii)配列番号455のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域若しくは配列番号456のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む;
前記抗体が、(i)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、(ii)配列番号457のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域若しくは配列番号458のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む;
前記抗体が、(i)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、(ii)配列番号459のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域若しくは配列番号460のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項3に記載の抗体。
【請求項5】
前記抗体が、配列番号19のアミノ酸配列を含むHCDR2と、配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR1と、配列番号31のアミノ酸配列を含むLCDR3と、配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖FR3と、を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項6】
前記抗体が、(i)配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(ii)配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域または配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖と、を含む、請求項5に記載の抗体。
【請求項7】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を含む抗体であって、前記抗体が、ヒトIL-15に特異的に結合し、前記IL-15がIL-15受容体アルファ(IL-15Rα)と複合体を形成している、前記抗体。
【請求項8】
前記抗体が、
(a)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(b)配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(c)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号455のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(d)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号457のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または
(e)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号459のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、を含む、請求項7に記載の抗体。
【請求項9】
ヒトIL-15に特異的に結合する抗体であって、前記IL-15がIL-15受容体アルファ(IL-15Rα)と複合体を形成し、前記抗体が、
(a)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(b)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号503のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(c)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号505のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(d)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号507のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(e)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号509のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(f)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号510のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(g)配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号455のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(h)配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号503のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(i)配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号457のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(j)配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号505のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(k)配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号506のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(l)配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号507のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(m)配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(n)配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号509のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または
(o)配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号510のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、を含む、前記抗体。
【請求項10】
前記抗体が、IgG定常ドメインを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項11】
前記抗体が、IgG4定常ドメインを含む、請求項10に記載の抗体。
【請求項12】
前記IgG4定常ドメインが、配列番号49、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号50、及び配列番号51からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の抗体。
【請求項13】
前記抗体が、ナチュラルキラー(NK)細胞の増殖を、NK細胞増殖アッセイにおいて、約0.1pM~約900pMのIC
50にて阻害する;
前記抗体が、NK細胞の増殖を、NK細胞増殖アッセイにおいて、約1pM~約60pMのIC
50にて阻害する;
前記抗体が、NK細胞の増殖を、NK細胞増殖アッセイにおいて、約5pM~約35pMのIC
50にて阻害する;
及び/又は
前記抗体が、IL-15を中和することができ
る、請求項1~12のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項14】
前記抗体が、ヒトIL-15のQ108残基を含むエピトープに結合する、請求項1~13のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項15】
前記抗体が、表面プラズモン共鳴により決定された約1.8×10
-9M未満の解離定数(KD)を含む、または前記解離定数(KD)が1×10
-9M未満である、ヒトIL-15に対する親和性を有する、請求項1~14のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項16】
重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、IL-15受容体アルファ(IL-15Rα)と複合体を形成しているIL-15に結合する抗体であって、前記重鎖可変領域が、配列番号4のアミノ酸配列を含み、及
び、前記軽鎖可変領域が、配列番号5のアミノ酸配列を含む、前記抗体。
【請求項17】
前記抗体が、配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む;
前記抗体が、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域をさらに含む;または
前記抗体が、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域をさらに含み、配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項16に記載の抗体。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体と、薬学的に許容可能な担体または賦形剤とを含む組成物。
【請求項19】
対象におけるセリアック病の治療のための医薬の製造における、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体の使用。
【請求項20】
グルテン過敏症、グルテンアレルギー、またはセリアック病を有する対象において小腸の粘膜を修復するための医薬の製造における、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体の使用。
【請求項21】
グルテン過敏症、グルテンアレルギー、またはセリアック病を有する対象において平均絨毛高さ対陰窩深さ(V/C)比を増加させるための医薬の製造における、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体の使用。
【請求項22】
グルテン過敏症、グルテンアレルギー、またはセリアック病を有する対象において小腸の絨毛高さを増加させるための医薬の製造における、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体の使用。
【請求項23】
対象における抗グリアジン抗体を減少させるための医薬の製造における、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体の使用。
【請求項24】
グルテン誘発性小腸粘膜傷害を修復するための医薬の製造における、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体の使用。
【請求項25】
前記対象が、グルテン過敏症、グルテンアレルギー、またはセリアック病を有する、請求項23または24に記載の使用。
【請求項26】
前記セリアック病が、難治性である、請求項19~21または25のいずれか1項に記載の使用。
【請求項27】
グルテン過敏症またはグルテンアレルギーを有する対象におけるグルテン曝露の1つ以上の症状を抑制するための医薬の製造における、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体の使用。
【請求項28】
前記対象がグルテン含有食を摂取する、請求項19~27のいずれか1項に記載の使用。
【請求項29】
対象における関節リウマチを治療するための医薬の製造における、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体の使用。
【請求項30】
対象における乾癬を治療するための医薬の製造における、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体の使用。
【請求項31】
対象における炎症性腸疾患を治療するための医薬の製造における、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体の使用。
【請求項32】
対象における1型糖尿病を治療するための医薬の製造における、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体の使用。
【請求項33】
対象における円形脱毛症を治療するための医薬の製造における、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体の使用。
【請求項34】
対象におけるT細胞大顆粒リンパ球性白血病を治療するための医薬の製造における、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体の使用。
【請求項35】
対象における自己免疫疾患を治療するための医薬の製造における、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体の使用。
【請求項36】
前記自己免疫疾患が、IL-15が調節不全である自己免疫疾患である、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
対象における炎症性疾患または炎症状態を治療または抑制するための医薬の製造における、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体の使用。
【請求項38】
前記炎症性疾患または炎症状態が、IL-15が調節不全である炎症性疾患または炎症状態である、請求項37に記載の使用。
【請求項39】
前記抗体が、薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む組成物中にある、請求項19~38のいずれか1項に記載の使用。
【請求項40】
セリアック病、難治性セリアック病、関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患、1型糖尿病、円形脱毛症、T細胞大顆粒リンパ球性白血病、自己免疫疾患、IL-15が調節不全である自己免疫疾患、炎症性疾患もしくは炎症状態、またはIL-15が調節不全である炎症性疾患もしくは炎症状態を治療する医薬の製造のための、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体の使用。
【請求項41】
グルテン曝露の症状を治療または抑制する医薬の製造のための、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体の使用。
【請求項42】
前記症状が、筋肉痛、身体痛、関節痛、疲労、鼓腸、ガス、吐き気、けいれん、便秘、下痢、皮膚発疹、頭痛、片頭痛、うつ病、不安、脳霧、及び過敏性の1つ以上を含む、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体を対象から単離した組織試料と接触させて、IL-15受容体アルファと複合体を形成した抗体-IL-15を形成することと、前記組織試料中の前記複合体を検出することとを含む、対象から単離した組織試料中のIL-15またはIL-15とIL-15受容体アルファとの複合体を検出するin vitro方法。
【請求項44】
請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体を発現する形質転換細胞。
【請求項45】
前記細胞が哺乳動物細胞である、請求項44に記載の形質転換細胞。
【請求項46】
前記哺乳動物細胞がチャイニーズハムスター卵巣細胞である、請求項45に記載の形質転換細胞。
【請求項47】
請求項44に記載の細胞を培養することを含む、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15に特異的に結合する抗体の作製方法。
【請求項48】
配列番号1または配列番号4のアミノ酸配列を含む抗体可変重鎖をコードする核酸配列
と、配列番号2または配列番号5のアミノ酸配列を含む抗体可変軽鎖をコードする核酸配列とを含むポリヌクレオチド。
【請求項49】
請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチド。
【請求項50】
請求項48
または49に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項51】
請求項5
0に記載のベクターによってトランスフェクトされた細胞。
【請求項52】
請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体の可変重鎖をコードする核酸を含むポリヌクレオチド、及び前記抗体の可変軽鎖をコードする核酸を含むポリヌクレオチドを含む細胞。
【請求項53】
前記可変重鎖をコードする前記核酸及び前記可変軽鎖をコードする前記核酸が、同じベクター上にある、請求項5
2に記載の細胞。
【請求項54】
前記可変重鎖をコードする前記核酸及び前記可変軽鎖をコードする前記核酸が、異なるベクターである、請求項5
3に記載の細胞。
【請求項55】
前記細胞が哺乳動物タンパク質発現細胞である、請求項5
1~5
4のいずれか1項に記載の細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表の参照
本出願は2017年12月18日に作成された215,523バイトのサイズの2873.273PC01_SequenceListing_ST25.textと名付けられた配列表を含む。該配列表は、参考として組み込まれる。
【0002】
本開示は一般に、組換え抗体産生の分野に関する。より詳細には、本開示は、非複合型であるか、またはIL-15受容体アルファと複合体を形成しているかにかかわらず、ヒトIL-15に特異的に結合する組換え抗体に関する。
【背景技術】
【0003】
特許、公開された特許出願、技術論文、配列受託番号、及び他の参考文献を含む様々な参考文献が、本明細書を通じて引用される。そのような各参考文献は、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に参考として組み込まれる。
【0004】
サイトカインインターロイキン15(IL-15)は、単球、マクロファージ、樹状細胞(DC)、ケラチノサイト、線維芽細胞、及び神経細胞を含む多数の細胞型及び組織によって分泌されるIL-2スーパーファミリーのメンバーである。IL-15は、IL-2受容体ベータ鎖(CD122)及び共通ガンマ鎖(ガンマ-C、CD132)からなる複合体に結合し、それらを介してシグナル伝達する。in vitroでは、IL-15はIL-2といくつかの生物学的活性を共有する。in vivoでは、IL-15対IL-2の特異性は、IL-15Rα/IL-2Rβγヘテロ三量体高親和性受容体複合体を完成させる独特のプライベートα鎖受容体(IL-15Rα)によって提供される。
【0005】
IL-15は関節リウマチ患者由来の滑膜組織から単離され、腫瘍壊死因子-α、IL-1βのような炎症性サイトカイン及びケモカインを誘導することが報告されている(Waldman TA(2004)Arthritis Res.Ther.6:174-177)。ヒト乾癬の異種移植マウスモデルにおけるIL-15活性の遮断は、乾癬の消散をもたらした(Villadsen LS et al.(2003)J.Clin.Invest.112:1571-80)。T細胞大顆粒リンパ球性白血病、γΔ/ΔT細胞性リンパ腫の患者においては、IL-15複合体のレベルの増加が報告されている(Chen J et al.(2012)Blood.119:137-143)。
IL-15欠損マウスを使用して、研究者らはまた、IL-15シグナル伝達経路の阻害が、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE;多発性硬化症のモデル)、大腸炎、炎症性腸疾患、乾癬、及び関節炎などのいくつかの免疫媒介状態において予防または治療効果をもたらすことができることを示した。
【0006】
マウスモデルでは、腸上皮細胞におけるIL-15の過剰発現は、セリアック病様腸症を引き起こす。ヒトでは、IL-15発現の上方制御は、セリアック病の特徴である。IL-15は、健常対照者及びグルテンフリー食治療を受けたセリアック病患者と比較して、活動性の未処置のセリアック病患者の固有層及び腸上皮の両方において過剰発現しており、腸内のIL-15レベルは粘膜損傷の程度と相関する(Abadie V et al.(2014)Immunol.Rev.260:221-234)。
【0007】
DISC0280は、in vitro及びin vivoで反対の作用機序を有する強力な抗IL-15抗体である(Finch DK et al.(2011)Br.J.Pharmacol.162:480-490)。不都合なことに、可溶性IL-15受容体αによるトランス提示と同様に、DISC0280は、in vivoでDISC0280によるIL-15のトランス提示を可能にするIL-15上のIL-15受容体α結合部位に結合することが見出された。したがって、DISC0280は、in vivoでIL-15のアゴニストとして作用する。
【0008】
2つの抗IL-15抗体は、IL-15のIL-15Rαへの結合と競合することなくIL-15の活性を中和することができると説明されてきた。完全ヒトモノクローナル抗IL-15抗体、AMG 714(Amgen)は、活動性関節リウマチ患者における第I~II相の用量漸増試験において疾患活動性の改善を示した(Baslund B et al.(2005)Arthritis Rheum.52:2686-2692)。huB-E29と命名されたヒト化抗体はまた、IL-15のIL-15Rαへの結合と競合することなく、マウスモデルにおいてin vitro及びin vivoでIL-15活性を遮断することも説明されてきた(WO16/001275)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
セリアック病の治療のための新たな治療法を検査する臨床試験は、それらの評価項目として以下のものが挙げられる:a)V/C比によって測定されるグルテン誘発性小腸粘膜障害の軽減。V/Cは、腸生検試料から採取した陰窩の深さに対する小腸絨毛の長さの形態計測的尺度である。(b)組織学的切片における上皮細胞間リンパ球(IEL)の計数により測定されるグルテン誘発性小腸粘膜炎症の軽減。(c)抗グリアジン抗体及びトランスグルタミナーゼに対する自己抗体などのグルテン誘発性血清抗体の軽減。前述の評価項目によって測定されるようなセリアック病の治療に有効性が示される治療薬は現在存在しない。本開示は、セリアック病のアカゲザルモデルにおいて測定される際に、グルテン誘発性小腸粘膜傷害を軽減し(V/C比の改善)、グルテン誘発性小腸粘膜炎症を軽減し(IEL数の減少)、かつグルテン誘発性血清抗体を軽減(抗グリアジン抗体の減少)する抗体を特徴とする。本開示の抗体は、IL-15が関与するセリアック病及び他の炎症性疾患を有する患者のための新たな治療法を提示する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様では、本開示は、可変重鎖及び可変軽鎖を含む抗体を特徴とし、この抗体は、ヒトIL-15(例えば、該IL-15はIL-15Rαと複合体を形成している)のGln108残基を含むエピトープに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、ヒトIL-15は、配列番号511のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、エピトープは、ヒトIL-15(例えば、該IL-15はIL-15Rαと複合体を形成している)のSer7及びAsn112残基をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、抗体は、好ましくは、表面プラズモン共鳴により決定された約1.8×10-9M未満のKDを含むエピトープに対する親和性を有する。いくつかの実施形態では、KDは、約1.0×10-9M未満であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、好ましくは、表面プラズモン共鳴により決定された約2×10-10M未満のKDを含むエピトープに対する親和性を有する。いくつかの実施形態では、KDは、表面プラズモン共鳴により決定された約1.6×10-10M~約1.8×10-10Mであり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、ナチュラルキラー(NK)細胞、例えばNK-92細胞の増殖を、NK細胞増殖アッセイにおいて、約0.1pM~約900pMを含む、約900pM未満のIC50にて阻害し得る。いくつかの実施形態では、抗体は、NK細胞の増殖を、NK細胞増殖アッセイにおいて、約1pM~約60pMのIC50にて阻害し得る。いくつかの実施形態では、抗体は、NK細胞の増殖を、NK細胞増殖アッセイにおいて、約5pM~約35pMのIC50にて阻害し得る。抗体は、NK細胞の増殖を、NK細胞増殖アッセイにおいて、約5pM~約25pMのIC50にて阻害し得る。抗体は、IL-15を中和することができる場合がある。抗体は、循環NK細胞を減少させることができる場合がある。
【0012】
別の態様では、本開示は、ヒトIL-15に特異的に結合し、配列番号16のアミノ酸配列を含むHCDR1と、配列番号17のアミノ酸配列を含むHCDR2と、配列番号20のアミノ酸配列を含むHCDR3と、配列番号25のアミノ酸配列を含むLCDR1と、配列番号28のアミノ酸配列を含むLCDR2と、配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR3とを含む抗体を特徴とする。ヒトIL-15は、IL-15受容体アルファと複合体を形成し得る。抗体は、IL-15アンタゴニストである。このような抗体をコードするポリヌクレオチドが、さらに提供される。
【0013】
いくつかの実施形態では、抗体(例えば、それぞれ配列番号16、17、20、25、28、及び29のアミノ酸配列を含む、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む抗体)は、配列番号18のアミノ酸配列を含むHCDR2を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、それぞれ配列番号16、17または18、20、25、28、及び29のアミノ酸配列を含む、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む抗体)は、配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR1及び配列番号31のアミノ酸配列を含むLCDR3を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る、及び/または配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、それぞれ配列番号16、17または18、20、25、28、及び29のアミノ酸配列を含む、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む抗体)は、配列番号12または配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖FR3を含み得る。このような抗体をコードするポリヌクレオチドが、さらに提供される。
【0014】
いくつかの実施形態では、抗体(例えば、それぞれ配列番号16、17または18、20、25、28、及び29のアミノ酸配列を含む、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む抗体)は、配列番号26のアミノ酸配列を含むLCDR1及び配列番号31のアミノ酸配列を含むLCDR3を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、それぞれ配列番号16、17または18、20、25または26、28、及び29または31のアミノ酸配列を含む、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む抗体)は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号455のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る、及び/または配列番号456のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。このような抗体をコードするポリヌクレオチドが、さらに提供される。
【0015】
いくつかの実施形態では、抗体(例えば、それぞれ配列番号16、17または18、20、25、28、及び29のアミノ酸配列を含む、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む抗体)は、配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR1及び配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、それぞれ配列番号16、17または18、20、27、28、及び30のアミノ酸配列を含む、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む抗体)は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号457のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る、及び/または配列番号458のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。このような抗体をコードするポリヌクレオチドが、さらに提供される。
【0016】
いくつかの実施形態では、抗体(例えば、それぞれ配列番号16、17または18、20、25、28、及び29のアミノ酸配列を含む、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む抗体)は、配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR1及び配列番号29のアミノ酸配列を含むLCDR3を含み得、配列番号29のXaa5はPhe(例えば、配列番号519)である。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、それぞれ配列番号16、17または18、20、27、28、及び519のアミノ酸配列を含む、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む抗体)は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号459のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る、及び/または配列番号460のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。このような抗体をコードするポリヌクレオチドが、さらに提供される。
【0017】
いくつかの実施形態では、抗体(例えば、それぞれ配列番号16、17または18、20、25、28、及び29のアミノ酸配列を含む、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、ならびに所望により配列番号12または13のアミノ酸配列を含むHFR3を含む抗体)は、配列番号26のアミノ酸配列を含むLCDR1及び配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR3を含み得る。いくつかの実施形態では、(例えば、それぞれ配列番号16、17または18、20、26、28、及び30のアミノ酸配列を含む、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む抗体)抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含むHCDR2及び配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖FR3を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、それぞれ配列番号16、17または18、20、26、28、及び30のアミノ酸配列を含む、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、ならびに所望により配列番号12または13のアミノ酸配列を含むHFR3を含む抗体)は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、それぞれ配列番号16、17または18、20、26、28、及び30のアミノ酸配列を含む、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、ならびに所望により配列番号12または13のアミノ酸配列を含むHFR3を含む抗体または配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体)は、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る、及び/または配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。このような抗体をコードするポリヌクレオチドが、さらに提供される。
【0018】
いくつかの実施形態では、抗体(例えば、それぞれ配列番号16、17、20、25、28、及び29のアミノ酸配列を含む、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、ならびに所望により配列番号12のアミノ酸配列を含むHFR3を含む抗体)は、配列番号19のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号31のアミノ酸配列を含むLCDR3、及び配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖FR3を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、それぞれ配列番号16、19、20、27、28、及び31のアミノ酸配列を含む、HCR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、ならびに配列番号14のアミノ酸配列を含むHFR3を含む抗体)は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る、及び/または配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。このような抗体をコードするポリヌクレオチドが、さらに提供される。
【0019】
別の態様では、本開示は、ヒトIL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したIL-15)に特異的に結合し、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体を特徴とする。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号455のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号457のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号459のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。このような抗体をコードするポリヌクレオチドが、さらに提供される。
【0020】
別の態様では、本開示は、ヒトIL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したIL-15)に特異的に結合し、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号503のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号505のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号507のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号509のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号510のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号455のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号503のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号457のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号505のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号506のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号507のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号509のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号510のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体を特徴とする。このような抗体をコードするポリヌクレオチドが、さらに提供される。
【0021】
抗体VHのコンセンサス配列は配列番号1であり、配列番号4及び配列番号454のVH配列を包含する。抗体VLのコンセンサス配列は配列番号2であり、配列番号5、配列番号8、配列番号455、配列番号457、及び配列番号459のVL配列を包含する。抗体L鎖のコンセンサス配列は配列番号3であり、配列番号6、配列番号9、配列番号456、配列番号458、及び配列番号460のL鎖配列を包含する。抗体VH FR3のコンセンサス配列は配列番号12であり、配列番号13及び配列番号14のVH FR3配列を包含する。抗体VH CDR1のコンセンサス配列は配列番号17であり、配列番号18及び配列番号19のVH配列を包含する。抗体VL CDR1のコンセンサス配列は配列番号25であり、配列番号26及び配列番号27のVH配列を包含する。抗体VL CDR3のコンセンサス配列は配列番号29であり、配列番号30及び配列番号31及び配列番号519のVH配列を包含する。
【0022】
前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示されるIL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する任意の抗体は、IgG定常ドメインを含み得る。いくつかの実施形態では、IgG定常ドメインは、IgG1定常ドメインを含み得る。いくつかの実施形態では、IgG1定常ドメインは、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38または配列番号39を含み得る。いくつかの実施形態では、IgG定常ドメインは、IgG2定常ドメインを含み得る。いくつかの実施形態では、IgG2定常ドメインは、配列番号40、配列番号41、配列番号42、または配列番号43を含み得る。いくつかの実施形態では、IgG定常ドメインは、IgG4定常ドメインを含み得る。いくつかの実施形態では、IgG4定常ドメインは、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50または配列番号51を含み得る。
【0023】
前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示されるIL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する任意の抗体は、担体または賦形剤を有する組成物として配合され得る。担体は、薬学的に許容可能な担体を含み得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、セリアック病を治療する方法は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する抗体をそれを必要とする対象に投与することを含む。IL-15抗体の投与は、対象の小腸の粘膜を修復することができる。IL-15抗体の投与は、対象の平均絨毛高さ対陰窩深さ(V/C)比を増加させることができる。IL-15抗体の投与は、対象の小腸の絨毛高さを増加させることができる。IL-15抗体の投与は、対象の抗グリアジン抗体を減少させることができる。IL-15抗体の投与は、対象のグルテン誘発性小腸粘膜傷害を修復することができる。
【0025】
前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示されるIL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する任意の抗体は、それを必要とする対象へと治療レジメンの一部として投与され得る。したがって、別の態様では、本開示は、それを必要とする対象をIL-15抗体で治療するための方法を特徴とする。対象は、好ましくはヒトである。抗体は、IL-15が調節不全である(特にIL-15が上方制御されている)任意の自己免疫性または炎症性の疾患または状態を治療するための治療レジメンの一部として投与され得る。
【0026】
いくつかの詳細な実施形態では、方法は、セリアック病を治療するためのものであり得、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する、前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示される任意の抗体を対象に投与することを含む(抗体は組成物中にあってもよく、それは薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含んでもよい)。いくつかの実施形態では、グルテン過敏症、グルテンアレルギー、またはセリアック病を有する対象において小腸粘膜を修復する方法は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する、前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示される任意の抗体を対象に投与することを含む(抗体は組成物中にあってもよく、それは薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含んでもよい)。いくつかの実施形態では、グルテン過敏症、グルテンアレルギー、またはセリアック病を有する対象において平均絨毛高さ対陰窩深さ(V/C)比を増加させる方法は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する、前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示される任意の抗体を対象に投与することを含む(抗体は組成物中にあってもよく、それは薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含んでもよい)。いくつかの実施形態では、グルテン過敏症、グルテンアレルギー、またはセリアック病を有する対象において小腸の絨毛高さを増加させる方法は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する、前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示される任意の抗体を対象に投与することを含む(抗体は組成物中にあってもよく、それは薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含んでもよい)。いくつかの実施形態では、それを必要とする対象において抗グリアジン抗体を減少させるための方法は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する、前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示される任意の抗体を対象に投与することを含む(抗体は組成物中にあってもよく、それは薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含んでもよい)。いくつかの実施形態では、グルテン誘発性小腸粘膜傷害を修復する方法は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する、前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示される任意の抗体を対象に投与することを含む(抗体は組成物中にあってもよく、それは薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含んでもよい)。いくつかの実施形態では、対象は、グルテン過敏症、グルテンアレルギー、またはセリアック病を有する。いくつかの実施形態では、方法は、難治性セリアック病を治療するためのものであり得、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する、前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示される任意の抗体を対象に投与することを含む(抗体は組成物中にあってもよく、それは薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含んでもよい)。いくつかの実施形態では、方法は、関節リウマチを治療するためのものであり得、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する、前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示される任意の抗体を対象に投与することを含む(抗体は組成物中にあってもよく、それは薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含んでもよい)。いくつかの実施形態では、方法は、乾癬を治療するためのものであり得、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する、前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示される任意の抗体を対象に投与することを含む(抗体は組成物中にあってもよく、それは薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含んでもよい)。いくつかの実施形態では、方法は、炎症性腸疾患を治療するためのものであり得、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する、前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示される任意の抗体を対象に投与することを含む(抗体は組成物中にあってもよく、それは薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含んでもよい)。いくつかの実施形態では、方法は、1型糖尿病を治療するためのものであり得、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する、前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示される任意の抗体を対象に投与することを含む(抗体は組成物中にあってもよく、それは薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含んでもよい)。いくつかの実施形態では、方法は、円形脱毛症を治療するためのものであり得、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する、前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示される任意の抗体を対象に投与することを含む(抗体は組成物中にあってもよく、それは薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含んでもよい)。いくつかの実施形態では、方法は、T細胞大顆粒リンパ球性白血病を治療するためのものであり得、IL-15(例えば、IL-15受容体アルファと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する、前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示される任意の抗体を対象に投与することを含む(抗体は組成物中にあってもよく、それは薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含んでもよい)。いくつかの実施形態では、方法は、グルテン曝露、例えば、グルテン過敏症またはアレルギーを有する患者におけるグルテン曝露の症状を治療または抑制するためのものであり得、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する、前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示される任意の抗体を対象に投与することを含む(抗体は組成物中にあってもよく、それは薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含んでもよい)。グルテン曝露の1つ以上の症状は、筋肉痛、身体痛、関節痛、疲労、鼓腸、ガス、吐き気、けいれん、便秘、下痢、皮膚発疹、頭痛、片頭痛、うつ病、不安、脳霧、及び/または過敏性の1つ以上を含み得る。Biesiekierski JR(2015)United European Gastroenterol.J.3:160-165を参照のこと。
【0027】
前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示されるIL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する任意の抗体は、医薬の製造に使用され得る。そのような抗体はいずれも、IL-15が調節不全である任意の自己免疫疾性または炎症性の疾患または状態を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態では、抗体は、セリアック病を治療するため、またはセリアック病を治療するための医薬の製造に使用され得る。抗体は、難治性セリアック病を治療するため、または難治性セリアック病を治療するための医薬の製造に使用され得る。いくつかの実施形態では、抗体は、関節リウマチを治療するため、または関節リウマチを治療するための医薬の製造に使用され得る。いくつかの実施形態では、抗体は、乾癬を治療するため、または乾癬を治療するための医薬の製造に使用され得る。いくつかの実施形態では、抗体は、炎症性腸疾患を治療するため、または炎症性腸疾患を治療するための医薬の製造に使用され得る。いくつかの実施形態では、抗体は、1型糖尿病を治療するため、または1型糖尿病を治療するための医薬の製造に使用され得る。いくつかの実施形態では、抗体は、円形脱毛症を治療するため、または円形脱毛症を治療するための医薬の製造に使用され得る。いくつかの実施形態では、抗体は、T細胞大顆粒リンパ球性白血病を治療するため、またはT細胞大顆粒リンパ球性白血病を治療するための医薬の製造に使用され得る。
【0028】
前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示されるIL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する任意の抗体は、対象から単離された組織試料中のIL-15(場合によりIL-15Rαと複合体を形成している)を検出するためのin vitro法において使用され得、該方法は、抗体を対象から単離した組織試料と接触させて、抗体-IL-15複合体(場合によりさらにIL-15受容体アルファと複合体を形成したもの)を形成することと、該組織試料中の該複合体を検出することとを含む。前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示されるIL-15に結合する任意の抗体は、対象から単離された組織試料中のIL-15受容体アルファと複合体を形成しているIL-15を検出するためのin vitro法において使用され得、該方法は、抗体を対象から単離した組織試料と接触させて、抗体とIL-15及びIL-15受容体α複合体との抗体-抗原複合体を形成することと、該組織試料中の抗体-抗原複合体を検出することとを含む。
【0029】
別の態様では、本開示は、前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示されるIL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する任意の抗体を発現する形質転換細胞をさらに特徴とする。いくつかの実施形態では、形質転換細胞は、哺乳動物細胞であり得る。いくつかの実施形態では、形質転換細胞は、チャイニーズハムスター卵巣細胞であり得る。
【0030】
別の態様では、本開示は、前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示されるIL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する任意の抗体をコードするポリヌクレオチドをさらに特徴とする。いくつかの実施形態では、抗体重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは、配列番号517の核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは、配列番号518の核酸配列を含む。これらのポリヌクレオチドを含むベクターもまた提供される。これらのポリヌクレオチドまたはベクターを含む細胞もまた提供される。前述の段落のいずれかのものを含む、本明細書に記載または例示されるIL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する抗体の可変重鎖をコードする核酸及び前記抗体の可変軽鎖をコードする核酸を含むポリヌクレオチドを含む細胞もまた提供される。可変重鎖をコードする核酸及び可変軽鎖をコードする核酸は、同じベクター上または異なるベクター上にあり得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】IL-15受容体アルファとのヒトIL-15複合体、または非複合型IL-15Rαに対する抗IL-15抗体の結合を示す。非複合型組換えヒトIL-15Rα、またはIL-15受容体アルファとの組換えIL-15複合体への代表的なハイブリドーマ上清の結合を、細胞ELISA(cELISA)及びELISAによって測定した。結果は、相対蛍光単位で表される。
【
図2A】
図2A及び2Bは、抗IL-15抗体によるIL-15媒介性CTLL-2増殖の用量反応阻害を示す。
図2Aは、2000、200、及び20pMに希釈した代表的な抗IL-15抗体によるIL-15媒介性CTLL-2増殖の阻害を示し、
図2Bは72時間の全用量反応における阻害を示す。結果は、相対発光単位として表される。
【
図2B】
図2A及び2Bは、抗IL-15抗体によるIL-15媒介性CTLL-2増殖の用量反応阻害を示す。
図2Aは、2000、200、及び20pMに希釈した代表的な抗IL-15抗体によるIL-15媒介性CTLL-2増殖の阻害を示し、
図2Bは72時間の全用量反応における阻害を示す。結果は、相対発光単位として表される。
【
図3】代表的な抗IL-15抗体、AMG714、またはアイソタイプ対照(抗KLH C3 IgG1)によるIL-15媒介性NK-92増殖の阻害を示す。読み取りは72時間目に行われ、相対発光単位として表される。結果は、平均±誤差3反復として表される。
【
図4】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
【
図5】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
【
図6】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
【
図7】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
【
図8】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
【
図9】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
【
図10】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
【
図11】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
【
図12】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
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図13】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
【
図14】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
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図15】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
【
図16】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
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図17】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
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図18】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
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図19】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
【
図20】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
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図21】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
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図22】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
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図23】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
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図24】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
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図25】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
【
図26】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
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図27】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
【
図28】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
【
図29】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
【
図30】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
【
図31】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
【
図32】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
【
図33】親抗体である抗体4と比較した、抗体捕捉レベル、シングルポイント親和性測定値、及び配列変化を詳述する抗IL-15変異体のBIACORE(登録商標)プロファイルを示す。
【
図35】親抗体、抗体4、及び他の抗IL-15抗体と比較した、IL-15媒介性NK-92増殖の阻害が改善された抗体4の変異体を示す。読み取りは72時間後に行われ、相対発光単位として表される。
【
図36】IL-15受容体アルファと複合体を形成したIL-15への抗体4の変異体及びAMG714の結合キネティクスを示す。結合キネティクスは、Biacore T200(GE Healthcare)システムで表面プラズモン共鳴を用いて測定した。抗体4の変異体は、AMG714よりも高い親和性でIL-15複合体に結合した。
【
図37】NK-92細胞ベースアッセイにおける抗IL-15抗体の比較を示す。48時間にわたる抗IL-15抗体による25pMのIL-15複合体媒介性NK-92増殖の阻害は、相対発光単位として表される。抗体70変異体は、互いに類似した効力を有し、AMG-714よりも低いIC-50値を有する。
【
図38】部位特異的変異誘発によってIL-15上の表面露出残基がアラニンに変換され、EXPI293(登録商標)F細胞においてヒトIL-15Rαと共発現されたことを示す。精製IL-15変異体への抗IL-15抗体の結合は、BICAORE(登録商標)T200(GE Healthcare)システムで表面プラズモン共鳴を用いて評価した。急速な解離またはより速い解離速度によって特徴付けられるように、AMG714は、E98A、Q101A、H105A、またはQ108Aへの結合を著しく減少させるか、または全く結合させなかった。会合速度の低下及び急速な解離によって特徴付けられるように、抗体70aはQ108Aへの結合が低かった。
【
図39-1】
図39A及び
図39Bは、抗体70a.FAb/IL-15複合体及び四次IL-15受容体複合体の結晶構造を示す。(
図39A)ヒトIL-15を結合する抗体70a.FAbの可変領域の漫画図の正面図及び側面図である。(
図39B)機能性IL-15複合体の四次構造である。IL-15Rα、IL-2Rβ、及びIL-2Rγに結合したヒトIL-15の漫画図である(pdbコード、4GS7)。抗体70a.FAbは、IL-2Rβ及びIL-2RγへのIL-15の結合を妨げる。抗体70a FAbは、IL-15Rαより遠位のIL-15に結合し、IL-15/IL-15Rα複合体に結合することができる。
【
図39-2】
図39C、
図39D、及び
図39Eは、抗体70a、IL-2Rγ、及びIL-2Rβと相互作用するIL-15の重要な結合残基を示す。水素結合を介してそれぞれのパートナータンパク質と接触するIL-15残基のみが図示され、番号付けされている。(
図39C)抗体70a FAbとの相互作用のためにIL-15によって使用される残基(
図39D)Q108、N112を含む、IL-2Rγとの水素結合を媒介する選択されたIL-15残基である。(
図39E)IL-15残基であるS7は、IL-2Rβと水素結合を形成する。
【
図39-3】
図39F、
図39G、及び
図39Hは、抗体70aを伴うヒトIL-15の結晶構造を示す。(
図39F)ヒトIL-15に結合する抗体FAbを示す漫画図である。(
図39G)CDRH2中にY52/54/56を含む三重チロシンモチーフは、ヒトIL-15を伴う抗体の重要な結合決定基である。(
図39H)ヒトIL-15との相互作用を媒介する抗体70aのYYYモチーフのクローズアップ図である。このモチーフは、IL-15のヘリックス4の周りの疎水性残基を覆って保護し、溶媒和を防ぐ。この相互作用に関与する残基のIL-15及びCDRH2の側鎖は、それぞれ白い棒及び黒い棒で示される。
【
図40】抗体70変異体のヒトIL-15への結合を示す。抗IL-15 mAbによる細胞外及び細胞内IL-15結合をヒト単球サブセット:古典的単球、中間型単球、及び非古典的単球で評価した。抗KLH C3 IgG1アイソタイプ対照が分析に含まれた(塗りつぶし)。代表的なドナーAのデータが示されている。
【
図41】例示的な抗IL-15抗体によるマウスにおけるIL-15活性の阻害を示す。提示された結果は、ビヒクル対照またはIL-15/IL-15Rα-Fc複合体、続いて例示的な抗IL-15抗体または抗KLH C3 IgG1アイソタイプ対照を注射したマウスの脾臓における循環NK細胞の計数である。結果は、群あたり8匹の動物の平均±標準偏差として表される。
【
図42】例示的な抗IL-15抗体によるカニクイザルにおける循環中央NK細胞数の阻害を示す。10mg/kgまたは1mg/kgで試験した例示的な抗IL-15抗体を注射したカニクイザルの循環中央NK細胞の計数である。循環中央NK細胞数を、NK細胞マーカーCD159a(NKG2A)及びCD16の発現によって定量した。結果は各サルについての個々の時点として表され、実線は1群あたりの中央NK細胞数を示す(n=4)。
【
図45A】アカゲザルセリアック病モデルの試験デザインを示し、2つの群における段階、評価項目、及び抗IL-15抗体による処置を示す。
【
図45B】小腸の絨毛高さと陰窩深さとの間の比(V/C)によって測定される、抗IL15処置によるグルテン誘発性小腸粘膜傷害の軽減を示す。6ヶ月のGD食、群1のアカゲザルにおける35日間の抗IL15処置(TD35)、及び群2のアカゲザルにおける61日間の処置(TD61)に対応する時点で2つの群のアカゲザルから採取した空腸楔状生検を用いてV/C比を決定した。
【
図45C】組織学的切片における上皮細胞間リンパ球(IEL)の計数によって測定した抗IL-15処置によるグルテン誘発性小腸粘膜炎症の軽減を示す。時点は、6ヶ月間のGD食、3ヶ月間のGFD食、群1のアカゲザルにおける抗IL15処置後35日間(TD35)、及び群2のアカゲザルにおける61日間の処置(TD61)を反映する。青い破線は健常対照者のベースラインを示す。
【
図45D】抗IL-15処置によるグルテン誘発性血清抗体(抗グリアジン抗体)の軽減を示す。AGAは抗グリアジン抗体であり、TG2は抗トランスグルタミナーゼ2自己抗体である。時点間の距離は、2週間隔に相当する。陰性ベースラインレベルは破線で示されている。抗IL15処置の開始は矢印で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0032】
開示の態様に関する様々な用語は、本明細書及び特許請求の範囲を通して使用される。かかる用語は、他に指示がない限り、当該技術分野において通常の意味を有するものとする。他の特別に定義された用語は、本明細書で提供される定義と一致するように解釈されるものとする。
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別段明確に記載されない限り、複数形の言及を含む。
【0033】
用語「対象」及び「患者」は、互換的に使用され、任意の動物を含む。コンパニオン哺乳動物(例えば、ネコ、イヌ)、家畜哺乳動物(例えば、ブタ、ウマ、ウシ)、げっ歯類(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット)、及び非ヒト霊長類を含む哺乳動物が好ましい。ヒトが、非常に好ましい。
【0034】
本明細書で使用される場合、「IL-15複合体」は、IL-15とIL-15受容体アルファ(IL-15Rα)との間の相互作用を指す。
【0035】
抗体-抗原相互作用の文脈における「特異性」は、必ずしも絶対的な名称ではないが、抗原に対する抗体の選択性の程度を意味する相対用語を構成することがある。抗原に対する抗体の特異性は、抗体の可変領域によって、そして通常は抗体の相補性決定領域(CDR)によって左右される。
【0036】
本開示は、遊離(非複合型)ヒトインターロイキン15(IL-15)、及びIL-15受容体アルファ(IL-15Rα)に結合したIL-15(IL-15複合体)に特異的に結合する組換え産生抗体を提供する。抗体はそれらの抗原に高い親和性で結合し、免疫細胞のIL-15媒介性増殖を大幅に減少させる。抗体は、IL-15をアンタゴナイズする。
【0037】
好ましい態様では、抗体は、少なくとも108位のグルタミンを含むヒトIL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)上のエピトープに結合する。エピトープは、ヒトIL-15の7位のセリン及び112位のアスパラギン(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)のうちの1つ以上をさらに含み得る。
【0038】
所与の抗体/抗原相互作用に対するエピトープは、様々な実験的エピトープマッピング法を用いて解明することができる。実験的方法には、突然変異誘発(アラニンスキャニングを含む)、X線結晶構造解析、及び当技術分野において周知の様々な他の方法が含まれる。
【0039】
抗原と抗体との間の相互作用に対するエピトープは、抗原-抗体相互作用において存在する原子接触を定義する空間座標を含み得る。エピトープは、抗原と抗体との間の原子接触を定義する空間座標によって特性決定することができる。エピトープは、特定の基準によって、例えば原子(例えば、非水素原子)間の距離によって定義されるアミノ酸残基によって特性決定することができる。
【0040】
抗体、例えばFAbフラグメントとその抗原間の複合体の空間座標によって定義されるX線由来の結晶構造の文脈において、エピトープという用語は、原子対間の水媒介性水素結合;2.5~3.5Åのヘテロ原子の水素結合;または芳香環内の供与体/受容体原子に対応する水素結合、を有することを特徴とするIL-15残基を含む。あるいは、所与のIL-15アミノ酸残基は、それが原子対間の疎水性相互作用またはファンデルワールス相互作用に関与する場合、エピトープの一部であると見なされる。
【0041】
エピトープはまた、他のアミノ酸による置換が抗体と抗原との間の相互作用の特徴を変える(例えばアラニンスキャニングを使用して)アミノ酸残基をより一般的に含むことができる。アラニンスキャニング突然変異誘発実験は、IL-15ポリペプチドの様々な残基がアラニンで置き換えられている変異体IL-15を使用して実施することができる。抗体の変異体IL-15への結合を評価することによって、抗体結合に対する特定のIL-15残基の重要性を評価することができる。しかしながら、非極性側鎖の埋没が抗原と抗体の結合中に起こり、抗原に対する側鎖のパッキングをもたらす場合、この位置でのアラニン変異は結合に大きな影響を与えない可能性がある。アラニン変異は抗体による結合の低下をもたらすかもしれないが、これは、残基が接触していることを意味するのではなく、むしろアラニンの導入によってIL-15の局所的三次元構造が乱され得ることを意味する。X線結晶構造解析などによる複合体のさらなる構造分析は、抗体と抗原との間の接触残基を評価するために必要となり得る。
【0042】
抗IL-15抗体は、好ましくは、ナチュラルキラー(NK)細胞及びCD8+T細胞などの増殖免疫細胞を阻害、減少、または防止することができる。いくつかの態様では、抗IL-15抗体は、NK増殖アッセイにおいて約900pM未満のIC50で増殖を阻害する。いくつかの態様では、抗IL-15抗体は、NK増殖アッセイにおいて0pM超かつ約900pM未満のIC50で増殖を阻害する。抗IL-15抗体は、NK増殖アッセイにおいて約1pM~約500pMのIC50で増殖を阻害し得る。抗IL-15抗体は、NK増殖アッセイにおいて約1pM~約250pMのIC50で増殖を阻害し得る。抗IL-15抗体は、NK増殖アッセイにおいて約1pM~約200pMのIC50で増殖を阻害し得る。抗IL-15抗体は、NK増殖アッセイにおいて約1pM~約150pMのIC50で増殖を阻害し得る。抗IL-15抗体は、NK増殖アッセイにおいて約1pM~約100pMのIC50で増殖を阻害し得る。抗IL-15抗体は、好ましくは、NK増殖アッセイにおいて約1pM~約60pMのIC50で増殖を阻害する。抗IL-15抗体は、好ましくは、NK増殖アッセイにおいて約5pM~約35pMのIC50で増殖を阻害する。抗IL-15抗体は、好ましくは、NK増殖アッセイにおいて約5pM~約30pMのIC50で増殖を阻害する。
【0043】
好適なNK増殖アッセイの一部として、CTLL-2細胞などの細胞を培養し、好適な濃度のIL-15とIL-15受容体アルファとの複合体を用いて増殖を誘導してもよい。したがって、CTLL-2増殖アッセイは、増殖阻害に関する抗体のIC50を測定するために使用され得る。本明細書に記載または例示される任意の抗IL-15抗体を細胞培養液に添加し、次いで、細胞を48時間を含む好適な期間インキュベートし、その後、細胞生存率アッセイによる方法を含む、抗体の存在による増殖または増殖の阻害について評価する。
【0044】
本明細書に記載または例示されるように、CDR及びFRに割り当てられたアミノ酸位置は、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1987及び1991(本明細書ではKabat番号付けシステムとも呼ばれる)にしたがってもよい。加えて、CDR及びFRに割り当てられたアミノ酸位置は、強化Chothia番号付けスキーム(www.bioinfo.org.uk/mdex.html)にしたがってもよい。
【0045】
Kabatの番号付けシステムにしたがって、VH FR及びCDRは、以下のように配置され得る:残基1~30(FR1)、31~35(CDR1)、36~49(FR2)、50~65(CDR2)、66~94(FR3)、95~102(CDR3)及び103~113(FR4)、ならびにVL FR及びCDRは、以下のように配置される:残基1~23(FR1)、24~34(CDR1)、35~49(FR2)、50~56(CDR2)、57~88(FR3)、89~97(CDR3)及び98~107(FR4)。場合によっては、可変領域は長さが増加することがあり得、Kabat番号付けシステムにしたがって、いくつかのアミノ酸は数字とそれに続く文字によって示され得る。本明細書は、Kabat番号付けシステムによって定義されるFR及びCDRに限定されず、標準番号付けシステムまたはChothia et al.(1987)J.Mol.Biol.196:901-17;Chothia et al.(1989)Nature 342:877-83;及び/またはAl-Lazikani et al.(1997)J.Mol.Biol.273:927-48のもの;Honnegher et al.(2001)J.Mol.Biol.,309:657-70の番号付けシステム;またはGiudicelli et al.(1997)Nucleic Acids Res.25:206-11で説明されるIMGTシステムを含む全ての番号付けシステムを含む。好ましい態様では、CDRは、Kabat番号付けシステムにしたがって定義される。
【0046】
いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の任意の重鎖CDR2サブドメインに関しては、Kabat番号付けシステムにしたがって、5つのC末端アミノ酸が抗原結合に直接関与しない場合があり、したがって、抗原結合に実質的に悪影響を及ぼすことなく、これら5つのC末端アミノ酸のうちの任意の1つ以上を別の天然に存在するアミノ酸で置換することができることが理解されよう。いくつかの態様では、本明細書に記載の任意の軽鎖CDR1サブドメインに関しては、Kabat番号付けシステムにしたがって、4つのN末端アミノ酸は抗原結合に直接関与しない場合があり、したがって、抗原結合に実質的に悪影響を及ぼすことなく、これら4つのアミノ酸のうちの任意の1つ以上を別の天然に存在するアミノ酸で置換することができることが理解されよう。例えば、Padlan et al.(1995)FASEB J.9:133-139によって記載されているように、重鎖CDR2の5つのC末端アミノ酸及び/または軽鎖CDR1の4つのN末端アミノ酸は、抗原結合に関与しない場合がある。いくつかの態様では、重鎖CDR2及び軽鎖CDR1の両方が、抗原結合に直接関与しない。
【0047】
いくつかの態様では、抗体は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合し、配列番号16のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3を含む。いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2を含み、いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2を含む。抗体は、配列番号12、配列番号13、または配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域FR3を含み得る。抗体は、軽鎖可変領域または軽鎖をさらに含み得る。軽鎖可変領域は、配列番号2、配列番号5、配列番号8、配列番号455、配列番号457、または配列番号459のアミノ酸配列を含み得る。軽鎖可変領域は、配列番号503、配列番号505、配列番号506、配列番号507、配列番号509、または配列番号510のアミノ酸配列を含み得る。軽鎖は、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号456、配列番号458、または配列番号460のアミノ酸配列を含み得る。
【0048】
重鎖可変領域CDR1は、配列番号453または配列番号52~配列番号135のいずれか1つのアミノ酸配列を含み得る。重鎖可変領域CDR2は、配列番号136~配列番号226のいずれか1つのアミノ酸配列を含み得る。重鎖可変領域CDR3は、配列番号227~配列番号272のいずれか1つのアミノ酸配列を含み得る。重鎖可変領域CDR1、CDR2、及びCDR3ドメインの好適な組み合わせは、
図43A~43Cに示す。このような重鎖可変領域CDR1、CDR2、もしくはCDR3ドメインを含む抗体、または
図43A~43Cに示す重鎖可変領域CDR1、CDR2、及びCDR3ドメインの組み合わせを含む抗体は、軽鎖可変領域または軽鎖をさらに含み得る。軽鎖可変領域は、配列番号2、配列番号5、配列番号8、配列番号455、配列番号457、または配列番号459のアミノ酸配列を含み得る。軽鎖可変領域は、配列番号503、配列番号505、配列番号506、配列番号507、配列番号509、または配列番号510のアミノ酸配列を含み得る。軽鎖は、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号456、配列番号458、または配列番号460のアミノ酸配列を含み得る。
【0049】
いくつかの態様では、抗体は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合し、配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、及び配列番号29のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号27のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1を含み、そしていくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1を含む。いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含み、そしていくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。抗体は、重鎖可変領域をさらに含み得る。重鎖可変領域は、配列番号1、配列番号4、配列番号7、または配列番号454のアミノ酸配列を含み得る。
【0050】
軽鎖可変領域CDR1は、配列番号273~配列番号329のいずれか1つのアミノ酸配列を含み得る。軽鎖可変領域CDR2は、配列番号330~配列番号390のいずれか1つのアミノ酸配列を含み得る。軽鎖可変領域CDR3は、配列番号391~配列番号452のいずれか1つのアミノ酸配列を含み得る。軽鎖可変領域CDR1、CDR2、及びCDR3ドメインの好適な組み合わせは、
図44A~44Cに示す。このような軽鎖可変領域CDR1、CDR2、もしくはCDR3ドメインを含む抗体、または
図44A~44Cに示す軽鎖可変領域CDR1、CDR2、及びCDR3ドメインの組み合わせを含む抗体は、重鎖可変領域をさらに含み得る。重鎖可変領域は、配列番号1、配列番号4、配列番号7、または配列番号454のアミノ酸配列を含み得る。
【0051】
いくつかの態様では、抗体は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合し、配列番号16のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、及び配列番号29のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。抗体は、配列番号12、配列番号13、または配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域FR3をさらに含み得る。
【0052】
いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、及び配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。抗体は、配列番号12または配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域FR3をさらに含み得る。
【0053】
いくつかの態様では、抗体は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合し、配列番号16のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号27のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。抗体は、配列番号12、配列番号13、または配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域FR3をさらに含み得る。
【0054】
いくつかの態様では、抗体は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合し、配列番号16のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号27のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。抗体は、配列番号12または配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域FR3をさらに含み得る。
【0055】
いくつかの態様では、抗体は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合し、配列番号16のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。抗体は、配列番号12または配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域FR3をさらに含み得る。
【0056】
いくつかの態様では、抗体は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合し、配列番号16のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号27のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、及び配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。抗体は、配列番号12または配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域FR3をさらに含み得る。
【0057】
いくつかの態様では、抗体は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合し、配列番号16のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号27のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、及び配列番号29のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3(配列番号29のXaa5はFである(配列番号519))を含む。抗体は、配列番号12または配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域FR3をさらに含み得る。
【0058】
いくつかの態様では、抗体は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合し、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR2を含む重鎖可変領域、及び軽鎖可変領域または軽鎖を含む。軽鎖可変領域は、配列番号2、配列番号5、配列番号8、配列番号455、配列番号457、または配列番号459のアミノ酸配列を含み得る。軽鎖可変領域は、配列番号503、配列番号505、配列番号506、配列番号507、配列番号509、または配列番号510のアミノ酸配列を含み得る。軽鎖は、配列番号6、配列番号9、配列番号456、配列番号458、または配列番号460のアミノ酸配列を含み得る。
【0059】
抗体は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合し得、そして以下の表に示されるアミノ酸配列を含むサブドメインを含む重鎖可変領域を含むか、またはさらに含む:
【表1】
【0060】
抗体は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合し得、そして以下の表に示されるアミノ酸配列を含むサブドメインを含む軽鎖可変領域を含むか、またはさらに含む:
【表2】
【0061】
いくつかの態様では、抗体は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合し、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。抗体は、軽鎖可変領域または軽鎖をさらに含み得る。軽鎖可変領域は、配列番号2、配列番号5、配列番号8、配列番号454、配列番号457、または配列番号459のアミノ酸配列を含み得る。軽鎖可変領域は、配列番号503、配列番号505、配列番号506、配列番号507、配列番号509、または配列番号510のアミノ酸配列を含み得る。軽鎖は、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号456、配列番号458、または配列番号460のアミノ酸配列を含み得る。
【0062】
いくつかの態様では、抗体は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合し、配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号455のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号457のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号459のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号503のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号505のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号506のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号507のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号509のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号510のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。抗体は、重鎖可変領域をさらに含み得る。重鎖可変領域は、配列番号1、配列番号4、配列番号7、または配列番号454のアミノ酸配列を含み得る。
【0063】
いくつかの態様では、抗体は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合し、配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号456のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号458のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの好ましい態様では、抗体は、配列番号460のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。抗体は、重鎖可変領域をさらに含み得る。重鎖可変領域は、配列番号1、配列番号4、配列番号7、または配列番号454のアミノ酸配列を含み得る。
【0064】
抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号455のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号457のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号459のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。このような重鎖可変領域及び軽鎖可変領域対を含む抗体は、好ましくは、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合する。
【0065】
抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号455のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号457のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号459のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号503のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号505のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号507のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号509のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号510のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号455のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号503のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号457のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号505のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号506のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号507のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号509のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号510のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。このような重鎖可変領域及び軽鎖可変領域対を含む抗体は、好ましくは、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合する。
【0066】
抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号456のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号458のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号460のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。このような重鎖可変領域及び軽鎖対を含む抗体は、好ましくは、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合する。
【0067】
抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号456のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号458のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号460のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。抗体は、配列番号454のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。このような重鎖可変領域及び軽鎖対を含む抗体は、好ましくは、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合する。
【0068】
いくつかの態様では、抗体は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合し、配列番号461、配列番号462、配列番号463、配列番号464、配列番号465、配列番号466、配列番号467、配列番号468、配列番号469、配列番号470、配列番号471、配列番号472、配列番号473、配列番号474、配列番号475、配列番号476、配列番号477、配列番号478、配列番号479、配列番号480、配列番号481、配列番号482、配列番号483、配列番号484、配列番号485、配列番号486、配列番号487、配列番号488、配列番号489、または配列番号490のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び軽鎖可変領域または軽鎖を含む。いくつかの態様では、抗体は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合し、配列番号461、配列番号462、配列番号463、配列番号464、配列番号465、配列番号466、配列番号467、配列番号468、配列番号469、配列番号470、配列番号471、配列番号472、配列番号473、配列番号474、配列番号475、配列番号476、配列番号477、配列番号478、配列番号479、配列番号480、配列番号481、配列番号482、配列番号483、配列番号484、配列番号485、配列番号486、配列番号487、配列番号488、配列番号489、または配列番号490のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び軽鎖可変領域または軽鎖を含み、軽鎖可変領域は、配列番号491、配列番号492、配列番号493、配列番号494、配列番号495、配列番号496、配列番号497、配列番号498、または配列番号499のいずれか1つであり得る。いくつかの態様では、抗体は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合し、配列番号491、配列番号492、配列番号493、配列番号494、配列番号495、配列番号496、配列番号497、配列番号498、または配列番号499のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、及び重鎖可変領域を含む。このような重鎖可変領域及び軽鎖対を含む抗体は、好ましくは、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合する。
【0069】
いくつかの態様では、抗体は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合し、配列番号7、配列番号454、及び配列番号4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、ならびに軽鎖可変領域または軽鎖を含む。いくつかの態様では、抗体は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合し、配列番号7、配列番号454、及び配列番号4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、ならびに軽鎖可変領域または軽鎖を含み、軽鎖可変領域は、配列番号5、配列番号8、配列番号455、配列番号457、配列番号459、配列番号503、配列番号505、配列番号506、配列番号507、配列番号509、または配列番号510のいずれか1つであり得る。いくつかの態様では、抗体は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合し、配列番号5、配列番号8、配列番号455、配列番号457、配列番号459、配列番号503、配列番号505、配列番号506、配列番号507、配列番号509、または配列番号510のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、及び重鎖可変領域を含む。
【0070】
抗体は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合し得、そして以下の表に示されるアミノ酸配列を含むVH及びVLまたは軽鎖対を含む:
【表3】
【0071】
抗体は、IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に特異的に結合し得、そして以下の表に示されるアミノ酸配列を含むVH及びVLまたは軽鎖対を含む:
【表4】
【0072】
本明細書に記載または例示される任意の抗体はIL-15(好ましくはヒトIL-15である)に結合する。抗体は、非複合型IL-15、またはIL-15受容体アルファ(IL-15R-アルファまたはIL-15Rα)と複合体を形成している際のIL-15(IL-15複合体)に結合し得る。いくつかの態様では、ヒトIL-15は、配列番号511のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-15R-アルファは、AVI及びHisタグを含まない、配列番号512のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、IL-15R-アルファは、配列番号520のアミノ酸配列を含む。
【0073】
抗体は、約1×10-2M未満の解離定数(KD)を有するIL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に対する親和性を持ち得る。いくつかの実施形態では、KDは約1×10-3M未満である。他の実施形態では、KDは約1×10-4M未満である。いくつかの実施形態では、KDは約1×10-5M未満である。さらに他の実施形態では、KDは約1×10-6M未満である。他の実施形態では、KDは約1×10-7M未満である。他の実施形態では、KDは約1×10-8M未満である。他の実施形態では、KDは約1×10-9M未満である。他の実施形態では、KDは約1×10-10M未満である。さらに他の実施形態では、KDは約1×10-11M未満である。いくつかの実施形態では、KDは約1×10-12M未満である。他の実施形態では、KDは約1×10-13M未満である。他の実施形態では、KDは約1×10-14M未満である。さらに他の実施形態では、KDは約1×10-15M未満である。いくつかの態様では、KDは約1.8×10-9M未満である。いくつかの態様では、KDは約1.2×10-10M~約2×10-10Mである。いくつかの態様では、KDは約1.3×10-10M~約1.9×10-10Mである。いくつかの態様では、KDは約1.33×10-10M~約1.93×10-10Mである。いくつかの態様では、KDは約1.6×10-10M~約1.8×10-10Mである。いくつかの態様では、KDは約1.7×10-10Mである。親和性値は、BIACORE(登録商標)分析などの表面プラズモン共鳴(SPR)またはOCTET(登録商標)Red 96(Forte Bio)Dip-and-Readシステムを用いた分析を含む標準的手法により得られるものを指す。好ましい実施形態では、解離定数はSPRによって決定される。
【0074】
一般的なBIACORE(登録商標)SPR分析では、抗体をセンサーチップ表面に固定し、好適な濃度のIL-15またはIL-15受容体アルファと複合体を形成したIL-15を表面に通過させる。屈折率の変化を検出し、ソフトウェアを使用して分析用のセンサーグラムを作成する。固定化抗体とIL-15またはIL-15複合体との間の相互作用は、約1~約2分を含む、任意の好適な期間にわたって実施することができる。相互作用の温度は、約25℃を含む任意の好適な温度であり得る。
【0075】
IL-15(例えば、IL-15Rαと複合体を形成したヒトIL-15)に結合する抗体は、モノクローナル抗体であり得る。好ましくは、抗体は、重鎖及び軽鎖を含む完全長の抗体である。いくつかの態様では、抗体は、完全長親抗体分子(例えば、IL-15に対する)の、抗原結合特異性を保持する、かつ好ましくは親和性もまた実質的に保持する抗体の誘導体またはフラグメントまたは部分を含む。例えば、誘導体は単一の可変領域(重鎖または軽鎖可変領域のいずれか)を含み得る。好適な抗体誘導体及びフラグメントの他の例としては、限定するものではないが、ポリエピトープ特異性を有する抗体、ダイアボディ、ミニボディ、FAb、F(Ab’)2、Fd、Fabc、及びFv分子、一本鎖(Sc)抗体、一本鎖Fv抗体(scFv)、個々の抗体軽鎖、個々の抗体重鎖、抗体鎖と他の分子間の融合体、重鎖モノマーまたは二量体、軽鎖モノマーまたは二量体、1つの重鎖と1つの軽鎖からなる二量体、及び他の多量体が挙げられる。一本鎖Fv抗体は、多価であってよい。抗体誘導体、フラグメント、及び/または部分は、組換え産生され得、原核生物または真核生物の任意の細胞型によって発現され得る。
【0076】
完全長抗体では、各重鎖は重鎖可変領域(本明細書ではHCVRまたはVHと略する)及び重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2、及びCH3からなる。各軽鎖は軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと略する)及び軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLからなる。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域が点在する相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域にさらに細分化することができる。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端にかけて、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順にて並ぶ3つのCDR及び4つのFRからなる。典型的には、抗体の抗原結合特性は、CDR配列に対する変化よりもFR配列に対する変化により妨害される可能性が低い。免疫グロブリン分子は、任意の種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)またはサブクラスであり得る。
【0077】
抗IL-15抗体は、好ましくは完全ヒト型である。完全ヒト抗体は、全分子がヒトであるか、またはそうでなければヒト起源のものであるか、または抗体のヒト形態と同一のアミノ酸配列を含むものである。完全ヒト抗体は、例えば、抗体の可変領域をコードするヒト遺伝子が組換え発現される場合、ヒトV遺伝子ライブラリーから得られるものを含む。完全ヒト抗体は、他の生物において発現され得る(例えば、マウス及びxenomouse技術)か、またはヒト抗体をコードする遺伝子によって形質転換された他の生物由来の細胞において発現され得る。完全ヒト抗体は、WO08/151081にしたがって、OMNIRAT(登録商標)ラットシステム(OMT,Inc.)において発現され得る。それにもかかわらず、完全ヒト抗体は、天然に存在するヒト配列によってコードされないアミノ酸残基、例えばランダムまたは部位特異的変異によって導入される変異を含み得る。
【0078】
いくつかの態様では、抗IL-15抗体は、非免疫グロブリン由来のタンパク質フレームワークを含み得る。例えば、抗原結合のために選択されたCDRを作製するためにランダム化した2つのループを有する4ヘリックスバンドルタンパク質シトクロムb562について記載している(Ku et al.(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:6552-6556)を参照してもよい。
【0079】
抗IL-15抗体は、抗体活性、循環半減期、または保存/貯蔵安定性に影響を及ぼし得る翻訳後修飾または部分を含み得る。例えば、抗体は、メチル化、アセチル化、グリコシル化、硫酸化、リン酸化、カルボキシル化、及び/またはアミド化されていてもよく、または当技術分野で周知の他の好適な部分を含んでいてもよい。部分は、循環中の免疫グロブリン分子上に一般に見出だされるか、または原核生物及び真核生物発現系を含む組換え発現系によって抗体に付加される、任意の化学基または基の組み合わせを含む。
【0080】
本開示によって企図される側鎖修飾の例としては、アルデヒドとの反応による還元的アルキル化、それに続くNaBH4による還元などによるアミノ基の修飾;メチルアセトイミデートによるアミジン化;無水酢酸によるアシル化;シアネートによるアミノ基のカルバモイル化;2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)によるアミノ基のトリニトロベンジル化;無水コハク酸及び無水テトラヒドロフタル酸によるアミノ基のアシル化;ならびにピリドキサール-5-ホスフェートによるリジンのピリドキシル化、それに続くNaBH4による還元、が挙げられる。
【0081】
アルギニン残基のグアニジン基は、2,3-ブタンジオン、フェニルグリオキサール、及びグリオキサールなどの試薬との複素環式縮合生成物の形成によって修飾され得る。カルボキシル基は、O-アシルイソ尿素形成を介したカルボジイミド活性化とそれに続くその後の誘導体化(例えば対応するアミドへの)によって修飾され得る。スルフヒドリル基は、ヨード酢酸またはヨードアセトアミドによるカルボキシメチル化;システイン酸への過ギ酸酸化;他のチオール化合物との混合ジスルフィドの形成;マレイミド、無水マレイン酸、または他の置換マレイミドとの反応;4-クロロ水銀ベンゾエート、4-クロロ水銀フェニルスルホン酸、塩化フェニル水銀、2-クロロ水銀-4-ニトロフェノール、及び他の水銀を用いた水銀誘導体の形成;アルカリ性pHでのシアネートによるカルバモイル化などの方法によって修飾され得る。トリプトファン残基は、例えば、N-ブロモスクシンイミドによる酸化、または2-ヒドロキシ-5-ニトロベンジルブロミドもしくはスルフェニルハライドによるインドール環のアルキル化によって修飾され得る。他方、チロシン残基は、テトラニトロメタンによってニトロ化し、3-ニトロチロシン誘導体を形成することにより変化し得る。ヒスチジン残基のイミダゾール環の修飾は、ヨード酢酸誘導体を用いたアルキル化またはジエチルピロカーボネートを用いたN-カルベトキシル化(carbethoxylation)によって達成し得る。
【0082】
抗IL-15抗体は、血清半減期及び生体内分布を調節する改変を含み得、これには限定されるものではないが、異化からIgGを保護する上で重要な役割を果たす受容体である新生児Fc受容体(FcRn)との抗体の相互作用を調節する改変が含まれ、高い血清抗体濃度を維持する。血清半減期調節改変は、米国特許第7,083,784号に記載されているように、M252Y/S254T/T256E(EU番号付けシステムによる番号付け(Edelman,GM et al.(1969)Proc.Natl.Acad.USA 63:78-85))の三重置換を含む、IgG1、IgG2、またはIgG4のFc領域で起こり得る。他の置換は、250位及び428位(例えば、米国特許第7,217,797号を参照のこと)、ならびに307位、380位、及び434位(例えば、PCT公開第WO00/042072号を参照のこと)で起こり得る。Fc受容体への結合、及びこれらの受容体によって媒介されるその後の機能(FcRn結合及び血清半減期を含む)を調節する定常ドメインアミノ酸置換の例は、米国特許出願公開第2009/0142340号、第2009/0068175号、及び第2009/0092599号に記載されている。どのクラスの抗体でも、不均一性を低減するために重鎖C末端リジンを省略または除去することができる(ΔK)。ヒトIgG4におけるS228P(EU番号付け)の置換は、in vivoでの抗体Fabアームの交換を安定化することができ(Labrin et al.(2009)Nature Biotechnol.27:8;767-773)、この置換は、M252Y/S254T/T256E及び/またはΔK改変と同時に存在し得る。
【0083】
抗IL-15抗体は、好ましくはヒト定常ドメインを含む。重鎖定常ドメインは、好ましくはヒトIgG1、IgG2、またはIgG4定常ドメインである。軽鎖定常ドメインは、好ましくはヒトラムダ定常ドメインである。
【0084】
抗IL-15抗体と共に使用され得るヒト重鎖IgG1定常領域は、ヒトIgG1(配列番号32)、ヒトIgG1(ΔK)(配列番号33)、ヒトIgG1 252Y/254T/256E(配列番号34)、ヒトIgG1 252Y/254T/256E(ΔK)(配列番号35)、ヒトIgG1 L235A/G237A(配列番号36)、ヒトIgG1 L235A/G237A(ΔK)(配列番号37)ヒトIgG1 L234A/L235A/G237A(配列番号38)、及びヒトIgG1 L234A/L235A/G237A(ΔK)(配列番号39)の中から選択され得る。抗IL-15抗体と共に使用され得るヒト重鎖IgG2定常領域は、ヒトIgG2(配列番号40)、ヒトIgG2(ΔK)(配列番号41)、ヒトIgG2 A330S/P331S(配列番号42)、及びヒトIgG(ΔK)(配列番号43)の中から選択され得る。抗IL-15抗体と共に使用され得るヒト重鎖IgG4定常領域は、ヒトIgG4(配列番号44)、ヒトIgG4(ΔK)(配列番号45)、ヒトIgG4 S228P(配列番号46)、ヒトIgG4 S228P(ΔK)(配列番号47)、ヒトIgG4 228P/252Y/254T/256E(配列番号48)、ヒトIgG4 228P/252Y/254T/256E(ΔK)(配列番号49)、ヒトIgG4 252Y/254T/256E(配列番号50)、及びヒトIgG4 252Y/254T/256E(ΔK)(配列番号51)の中から選択され得る。
【0085】
抗IL-15抗体は、任意の化学的部分または生体分子部分に標識、結合、またはコンジュゲートし得る。標識抗体は、治療的、診断的、または基礎的な研究用途に用途を見出すことができる。このような標識/コンジュゲートは、蛍光色素、電気化学発光プローブ、量子ドット、放射性標識、酵素、蛍光タンパク質、及び発光タンパク質のように検出可能であり得るか、またはビオチンもしくはPEGを含み得る。
【0086】
抗体は、タンパク質分解的切断を防止するため、または活性もしくは安定性を増強するため、既知の保護基/ブロック基によって誘導体化されてもよい。
【0087】
抗IL-15抗体、それらのドメイン(例えば、VH及びVLドメイン)、及びそれらのサブドメイン(例えば、FR及びCDR)をコードするポリヌクレオチド配列は、本開示において特徴とされる。ポリヌクレオチドとしては、RNA、DNA、cDNA、RNAとDNAのハイブリッド、及びRNA、DNA、またはこれらのハイブリッドの一本鎖、二本鎖または三本鎖のストランドが挙げられるが、これらに限定されない。相補的核酸配列もまた本開示の範囲内である。
【0088】
いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号4、または配列番号7のアミノ酸配列を含む抗体重鎖可変領域をコードする第1の核酸配列を含む。ポリヌクレオチドは、配列番号2、配列番号5、または配列番号8のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖可変領域をコードする第2の核酸配列をさらに含み得る。ポリヌクレオチドは、配列番号3、配列番号6、または配列番号9のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖をコードする第2の核酸配列をさらに含み得る。ポリヌクレオチドは、本明細書に記載のIgG1、IgG2、またはIgG4定常領域のいずれかなどの抗体重鎖定常領域をコードする第3の核酸配列をさらに含み得る。
【0089】
いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号4、配列番号7、または配列番号454のアミノ酸配列を含む抗体重鎖可変領域をコードする第1の核酸配列を含む。ポリヌクレオチドは、配列番号5、配列番号8、配列番号455、配列番号457、配列番号459、配列番号503、配列番号505、配列番号506、配列番号507、配列番号509、または配列番号510のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖可変領域をコードする第2の核酸配列をさらに含み得る。ポリヌクレオチドは、配列番号6、配列番号9、配列番号456、配列番号458、または配列番号460のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖をコードする第2の核酸配列をさらに含み得る。ポリヌクレオチドは、本明細書に記載のIgG1、IgG2、またはIgG4定常領域のいずれかなどの抗体重鎖定常領域をコードする第3の核酸配列をさらに含み得る。
【0090】
いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号2、配列番号5、または配列番号8のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖可変領域をコードする第1の核酸配列を含む。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号3、配列番号6、または配列番号9のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖をコードする第1の核酸配列を含む。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号517の核酸配列を含む。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号518の核酸配列を含む。
【0091】
いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号5、配列番号8、配列番号455、配列番号457、配列番号459、配列番号503、配列番号505、配列番号506、配列番号507、配列番号509、または配列番号510のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖可変領域をコードする第1の核酸配列を含む。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号6、配列番号9、配列番号456、配列番号458、または配列番号460のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖をコードする第1の核酸配列を含む。
【0092】
任意のそのようなポリヌクレオチドは、ベクター内に含まれ得る。したがって、ポリヌクレオチドを含むベクターは本開示の一部として提供される。ベクターは発現ベクターであり得る。目的のポリペプチドをコードする配列を含む組換え発現ベクターは、このようにして提供される。発現ベクターは、これらに限定されないが、調節配列、選択マーカー、精製タグ、またはポリアデニル化シグナルなどの1つ以上の追加の配列を含み得る。このような調節要素は、転写プロモーター、エンハンサー、mRNAリボソーム結合部位、または転写及び翻訳の終結を制御する配列を含み得る。
【0093】
発現ベクター、特に哺乳動物発現ベクターは、複製起点、発現されるべき遺伝子に連結された好適なプロモーター及びエンハンサー、他の5’もしくは3’隣接非転写配列、5’もしくは3’非翻訳配列(必要なリボソーム結合部位など)、ポリアデニル化部位、スプライスドナー及びアクセプター部位、または転写終結配列などの1つ以上の非転写エレメントを含み得る。特定の宿主において複製する能力を付与する複製起点もまた組み込まれ得る。
【0094】
ベクターを用いて、任意の、当業者に周知の多様な宿主細胞、好ましくは抗体を発現することができる宿主細胞を形質転換することができる。ベクターは、プラスミド、ファージミド、コスミド、バクミド、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)、及びバキュロウイルス、ならびに他の細菌、真核生物、酵母、及びウイルスベクターを含むがこれらに限定されない。好適な宿主細胞には、CHO細胞、NS0細胞、HEK293細胞、または既知もしくは産生された任意の真核生物の安定細胞株が含まれるが、これらに限定されず、バクテリア、酵母、及び昆虫細胞もまた含まれる。
【0095】
抗体は、ハイブリドーマ細胞によっても産生され得る;ハイブリドーマを産生する方法は、当該分野において周知であり、確立されている。
【0096】
本開示はまた、抗IL-15抗体を含む組成物を提供する。組成物は、本明細書に記載及び/または例示される任意の抗体と、薬学的に許容可能な担体などの許容可能な担体とを含んでもよい。好適な担体は、抗体の生物学的活性を妨害せず、好ましくは該抗体が投与される宿主に対して毒性ではない任意の媒体を含む。担体は水溶液であってよい。組成物は、本明細書に記載及び/または例示される任意の抗体と、薬学的に許容可能な賦形剤とを含んでもよい。
【0097】
抗IL-15抗体は、IL-15が調節不全である自己免疫疾患を含む自己免疫疾患を治療するために使用され得る。抗IL-15抗体は、IL-15が調節不全である炎症性疾患を含む炎症性疾患を治療するために使用され得る。抗IL-15抗体は、IL-15が調節不全である炎症性障害を含む炎症性障害を治療するために使用され得る。いくつかの態様では、抗IL-15抗体は、対象においてセリアック病、難治性セリアック病、関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患、1型糖尿病、円形脱毛症、及びT細胞大顆粒リンパ球性白血病などの特定の種類のがんを治療するために使用され得る。したがって、本開示は、治療方法を特徴とする。
【0098】
いくつかの態様では、治療方法は、自己免疫疾患が対象において治療されるように、IL-15が調節不全である自己免疫疾患の治療を必要とする対象に、抗IL-15抗体またはその組成物を投与することを含む。抗IL-15抗体は、対象においてIL-15が調節不全である自己免疫疾患を治療するのに有効な量で、好ましくは投与される。有効量は、例えば、対象の必要性または状態にしたがって変化し得る。投与は、医師の指示または管理下にあり得る。
【0099】
いくつかの態様では、治療方法は、炎症性疾患が対象において治療されるように、IL-15が調節不全である炎症性疾患の治療を必要とする対象に、抗IL-15抗体またはその組成物を投与することを含む。抗IL-15抗体は、対象においてIL-15が調節不全である炎症性疾患を治療するのに有効な量で、好ましくは投与される。有効量は、例えば、対象の必要性または状態にしたがって変化し得る。投与は、医師の指示または管理下にあり得る。
【0100】
いくつかの態様では、治療方法は、炎症性障害が対象において治療されるように、IL-15が調節不全である炎症性障害の治療を必要とする対象に、抗IL-15抗体またはその組成物を投与することを含む。抗IL-15抗体は、対象においてIL-15が調節不全である炎症性障害を治療するのに有効な量で、好ましくは投与される。有効量は、例えば、対象の必要性または状態にしたがって変化し得る。投与は、医師の指示または管理下にあり得る。
【0101】
いくつかの態様では、治療方法は、セリアック病が対象において治療されるように、セリアック病の治療を必要とする対象に、抗IL-15抗体またはその組成物を投与することを含み、該セリアック病は難治性であり得る。難治性セリアック病(RCD)は、6~12ヵ月の厳格なグルテンフリー食の後、及び他の症状の原因(悪性腫瘍を含む)が除かれた後に、治癒せずに継続的なセリアック病の症状を示す患者を襲う。また、長期のグルテンフリー食が以前は効いていたが、厳格なグルテンフリー食を維持しながらも現在はセリアック病の症状を示している患者にも起こる可能性がある(Rishi et al.Expert Review of Gastroenterology&Hepatology:10 537-546(2016))。抗IL-15抗体は、対象においてセリアック病を治療するのに有効な量で、好ましくは投与される。有効量は、例えば、対象の必要性または状態にしたがって変化し得る。投与は、医師の指示または管理下にあり得る。
【0102】
抗IL-15抗体は、例えば、グルテンの摂取によって引き起こされるような、グルテン曝露の1つ以上の症状を治療または抑制するために使用され得る。前記1つ以上の症状は、筋肉痛、身体痛、関節痛、疲労、鼓腸、ガス、吐き気、けいれん、便秘、下痢、皮膚発疹、頭痛、片頭痛、うつ病、不安、脳霧、及び過敏性が含まれる。一般に、本方法は、グルテン曝露の1つ以上の症状が対象において抑制または治療されるように、グルテンに曝露されたグルテン過敏症を有する対象に、抗IL-15抗体またはその組成物を投与することを含む。抗IL-15抗体は、対象においてグルテン曝露の1つ以上の症状を治療または抑制するのに有効な量で、好ましくは投与される。有効量は、例えば、対象の必要性または状態にしたがって変化し得る。投与は、医師の指示または管理下にあり得る。
【0103】
いくつかの態様では、治療方法は、関節リウマチが対象において治療されるように、関節リウマチの治療を必要とする対象に、抗IL-15抗体またはその組成物を投与することを含む。抗IL-15抗体は、対象において関節リウマチを治療するのに有効な量で、好ましくは投与される。有効量は、例えば、対象の必要性または状態にしたがって変化し得る。投与は、医師の指示または管理下にあり得る。
【0104】
いくつかの態様では、治療方法は、乾癬が対象において治療されるように、乾癬の治療を必要とする対象に、抗IL-15抗体またはその組成物を投与することを含む。抗IL-15抗体は、対象において乾癬を治療するのに有効な量で、好ましくは投与される。有効量は、例えば、対象の必要性または状態にしたがって変化し得る。投与は、医師の指示または管理下にあり得る。
【0105】
いくつかの態様では、治療方法は、炎症性腸疾患が対象において治療されるように、炎症性腸疾患の治療を必要とする対象に、抗IL-15抗体またはその組成物を投与することを含む。抗IL-15抗体は、対象において炎症性腸疾患を治療するのに有効な量で、好ましくは投与される。有効量は、例えば、対象の必要性または状態にしたがって変化し得る。投与は、医師の指示または管理下にあり得る。
【0106】
いくつかの態様では、治療方法は、1型糖尿病が対象において治療されるように、1型糖尿病の治療を必要とする対象に、抗IL-15抗体またはその組成物を投与することを含む。抗IL-15抗体は、対象において1型糖尿病を治療するのに有効な量で、好ましくは投与される。有効量は、例えば、対象の必要性または状態にしたがって変化し得る。投与は、医師の指示または管理下にあり得る。
【0107】
いくつかの態様では、治療方法は、円形脱毛症が対象において治療されるように、円形脱毛症の治療を必要とする対象に、抗IL-15抗体またはその組成物を投与することを含む。抗IL-15抗体は、対象において円形脱毛症を治療するのに有効な量で、好ましくは投与される。有効量は、例えば、対象の必要性または状態にしたがって変化し得る。投与は、医師の指示または管理下にあり得る。
【0108】
いくつかの態様では、治療方法は、T細胞大顆粒リンパ球性白血病が対象において治療されるように、T細胞大顆粒リンパ球性白血病の治療を必要とする対象に、抗IL-15抗体またはその組成物を投与することを含む。抗IL-15抗体は、対象においてT細胞大顆粒リンパ球性白血病を治療するのに有効な量で、好ましくは投与される。有効量は、例えば、対象の必要性または状態にしたがって変化し得る。投与は、医師の指示または管理下にあり得る。
【0109】
抗IL-15抗体は、医薬の製造に使用され得る。例えば、抗IL-15抗体は、セリアック病の治療に使用するための医薬の製造または調製に使用され得る。抗IL-15抗体は、難治性セリアック病の治療に使用するための医薬の製造または調製に使用され得る。抗IL-15抗体は、関節リウマチの治療に使用するための医薬の製造または調製に使用され得る。抗IL-15抗体は、乾癬の治療に使用するための医薬の製造または調製に使用され得る。抗IL-15抗体は、炎症性腸疾患の治療に使用するための医薬の製造または調製に使用され得る。抗IL-15抗体は、1型糖尿病の治療に使用するための医薬の製造または調製に使用され得る。抗IL-15抗体は、円形脱毛症の治療に使用するための医薬の製造または調製に使用され得る。抗IL-15抗体は、T細胞大顆粒リンパ球性白血病の治療に使用するための医薬の製造または調製に使用され得る。抗IL-15抗体は、グルテン曝露、例えばグルテン過敏症またはアレルギーを有する患者におけるグルテン曝露の1つ以上の症状の治療または抑制に使用するための医薬の製造または調製に使用され得る。前記1つ以上の症状は、筋肉痛、身体痛、関節痛、疲労、鼓腸、ガス、吐き気、けいれん、便秘、下痢、皮膚発疹、頭痛、片頭痛、うつ病、不安、脳霧、及び/または過敏性を含み得る。
【0110】
抗IL-15抗体は、セリアック病の治療に使用するためのものであり得る。抗IL-15抗体は、難治性セリアック病の治療に使用するためのものであり得る。抗IL-15抗体は、関節リウマチの治療に使用するためのものであり得る。抗IL-15抗体は、乾癬の治療に使用するためのものであり得る。抗IL-15抗体は、炎症性腸疾患の治療に使用するためのものであり得る。抗IL-15抗体は、1型糖尿病の治療に使用するためのものであり得る。抗IL-15抗体は、円形脱毛症の治療に使用するためのものであり得る。抗IL-15抗体は、T細胞大顆粒リンパ球性白血病の治療に使用するためのものであり得る。抗IL-15抗体は、グルテン曝露、例えばグルテン過敏症またはアレルギーを有する患者におけるグルテン曝露の1つ以上の症状の治療または抑制に使用するためのものであり得る。前記1つ以上の症状は、筋肉痛、身体痛、関節痛、疲労、鼓腸、ガス、吐き気、けいれん、便秘、下痢、皮膚発疹、頭痛、片頭痛、うつ病、不安、脳霧、及び/または過敏性を含み得る。
【0111】
本開示は、任意の抗IL-15抗体を含むキットも特徴とし、これらのキットは、とりわけ診断法、基礎研究法、または治療法にて使用するための抗体及び他の薬剤を供給するために使用され得る。いくつかの態様では、キットは、本明細書に記載または例示される任意の抗IL-15抗体、及びセリアック病を治療するための方法において該抗体を使用するための説明書を含む。いくつかの態様では、キットは、本明細書に記載または例示される任意の抗IL-15抗体、及び難治性セリアック病を治療するための方法において該抗体を使用するための説明書を含む。いくつかの態様では、キットは、本明細書に記載または例示される任意の抗IL-15抗体、及び例えばグルテン過敏症またはアレルギーを有する患者におけるグルテン曝露の1つ以上の症状を治療または抑制する方法において該抗体を使用するための説明書を含む。いくつかの態様では、キットは、本明細書に記載または例示される任意の抗IL-15抗体、及び関節リウマチを治療するための方法において該抗体を使用するための説明書を含む。いくつかの態様では、キットは、本明細書に記載または例示される任意の抗IL-15抗体、及び乾癬を治療するための方法において該抗体を使用するための説明書を含む。いくつかの態様では、キットは、本明細書に記載または例示される任意の抗IL-15抗体、及び炎症性腸疾患を治療するための方法において該抗体を使用するための説明書を含む。いくつかの態様では、キットは、本明細書に記載または例示される任意の抗IL-15抗体、及び1型糖尿病を治療するための方法において該抗体を使用するための説明書を含む。いくつかの態様では、キットは、本明細書に記載または例示される任意の抗IL-15抗体、及び円形脱毛症を治療するための方法において該抗体を使用するための説明書を含む。いくつかの態様では、キットは、本明細書に記載または例示される任意の抗IL-15抗体、及びT細胞大顆粒リンパ球性白血病を治療するための方法において該抗体を使用するための説明書を含む。
【0112】
対象から単離した組織試料中のIL-15を検出するための方法もまた提供する。一般的に、このような方法は、本明細書に記載または例示される任意の抗IL-15抗体を対象から単離した組織試料と接触させて、IL-15受容体アルファとの抗体-IL-15複合体を形成することと、該組織試料中の複合体を検出することとを含む。本方法は、対象から組織試料を単離することをさらに含み得る。組織試料は、食道組織、胃組織、小腸組織、大腸組織、及び胃腸管由来の他の組織を含む胃腸組織由来であり得る。抗体は、検出可能な標識にコンジュゲートさせることができる。抗体は、検出可能な標識で標識されている二次抗体によって検出することができる。このような方法は、in vivo、in vitro、またはin situで実施され得る。
【0113】
対象から単離された組織試料中のIL-15とIL-15受容体アルファとの複合体を検出するための方法もまた提供する。一般的に、このような方法は、本明細書に記載または例示される任意の抗IL-15抗体を対象から単離した組織試料と接触させて、IL-15及びIL-15受容体アルファの複合体に結合した抗IL-15抗体の抗体-抗原複合体を形成することと、組織試料中の抗体-抗原複合体を検出することとを含む。本方法は、対象から組織試料を単離することをさらに含み得る。組織試料は、食道組織、胃組織、小腸組織、大腸組織、及び胃腸管由来の他の組織を含む胃腸組織由来であり得る。抗体は、検出可能な標識にコンジュゲートさせることができる。抗体は、検出可能な標識で標識されている二次抗体によって検出することができる。このような方法は、in vivo、in vitro、またはin situで実施され得る。
【0114】
以下の実施例は、本開示をより詳細に説明するために提供される。それらは、本開示を例示することを意図しており、限定することを意図しない。実施例では、他に指示がない限り、残基の位置への言及は、本明細書に記載の関連配列中の位置への言及である。
【0115】
実施例1 トランスジェニックラットの作製、免疫化、及びハイブリドーマの産生
1.1 IL-15タンパク質及びIL-15Rαタンパク質
【0116】
ヒトインターロイキン15(IL-15)を購入するか(Sigma)、またはヒトIL-15及び可溶性IL-15受容体α(IL-15Rα)をコードするプラスミドを用いて、1:1の比のN末端に位置するHISタグ及びAVIタグ(配列番号512)と共に、ヒトインターロイキン15(IL-15)を哺乳動物HEK293F発現システムにおいて産生した。
1.2 トランスジェニックラットの作製
【0117】
トランスジェニックラットは、PCT公開第WO08/151081号に記載されているように作製した。簡単に言えば、メガヌクレアーゼ発現構築物を対象動物のゲノムに組み込んだ。生殖細胞におけるメガヌクレアーゼの発現は、内在性ラット免疫グロブリン遺伝子における二本鎖切断をもたらした。そのようなトランスジェニックラットの交配は、変異/不活性化された内因性ラット免疫グロブリン遺伝子を有する子孫をもたらした。
【0118】
トランスジェニックラットは、ラットが完全ヒト可変領域を有する抗体を産生することができるように、人工ヒト免疫グロブリン遺伝子を保有するようにさらに改変される。
1.3 免疫化
【0119】
IL-15受容体アルファとのIL-15複合体に対する完全ヒトモノクローナル抗体を作製するため、トランスジェニックラット(上記のように作製)を、ヒトIL-15をコードするDNA及びヒトIL-15RαをコードするDNAによって免疫した。
【0120】
10匹の動物を免疫し、免疫応答を顎下出血によって得られた血漿試料による免疫の過程にわたってモニターした。血漿をELISAによって抗体発現についてスクリーニングし、十分な力価の抗IL-15抗体を有する動物を融合及びハイブリドーマ作製のために選択した。高力価を有する動物を、屠殺する5日前に組換えヒトIL-15複合体によって皮下に追加免疫した。
1.4 IL-15複合体に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの作製
【0121】
IL-15受容体アルファとのIL-15複合体に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製するために、免疫した動物の脾細胞及びリンパ節細胞を単離し、不死化細胞株に融合した。リンパ球の単細胞懸濁液を、P3X63Ag8.653非分泌型マウス骨髄腫細胞(ATCC,CRL-1580)に融合した。平底マイクロタイタープレートに細胞を約1×105細胞/mLで蒔き、続いて、通常の試薬の他に、10%胎児クローン血清及び1×HAT(Sigma)を含有する選択培地中で2週間インキュベートした。次いで、個々のウェルをELISA及びBIACORE(登録商標)によって高親和性のヒトIL-15 IgG抗体についてスクリーニングした。
【0122】
実施例2 ハイブリドーマのスクリーニング
2.1 IL-15複合体に結合するが非複合体型IL-15受容体αには結合しない抗体を選択するためのELISAの使用
【0123】
マイクロタイタープレートを精製IL-15または精製IL-15Rαまたは精製IL-15複合体によってコーティングした。簡潔に言えば、マイクロタイタープレートをPBS中の精製タンパク質によってコーティングし、その後、PBSで希釈したウシ血清アルブミン(BSA)などの無関係なタンパク質でブロックした。ハイブリドーマ上清の希釈液を各ウェルに添加し、37℃で1~2時間インキュベートした。プレートをPBS/TWEEN(登録商標)20で洗浄し、その後、好適な検出試薬(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)アルカリホスファターゼにコンジュゲートさせたヤギ抗ヒトIgG Fc特異的ポリクローナル試薬と共に37℃で1時間インキュベートした。洗浄後、プレートを好適な基質(例えば、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンTMD)で現像し、405のODで分析した。IL-15複合体では陽性反応性を示すがIL-15Rαでは陽性反応性を示さない抗体を産生するハイブリドーマを、さらなる特性化のために選択した。
2.2 IL-15複合体に結合するが非複合型IL-15受容体αには結合しない抗体を選択する細胞ベースELISA(cELISA)の使用
【0124】
上記のように試験した各ハイブリドーマをさらに、細胞ベースの酵素結合免疫吸着法(cELISA)で試験し、IL-15複合体に結合するが非複合型IL-15Rαには結合しない抗体を選択した。
【0125】
cELISAを、以下のように実施した。HEK細胞をIL-15及びIL-15RαをコードするDNAによってトランスフェクトし、これらがIL-15複合体を発現するようにした。トランスフェクトしたHEK細胞をELISAプレート上にコーティングし、ハイブリドーマ上清の希釈液をプレートに適用し、これが細胞の表面上に発現したIL-15複合体に結合できるようにした。IL-15RαによってトランスフェクトされたHEK細胞を用いてアッセイを繰り返し、これらが非複合型IL-15Rαを発現するようにした。古典的なELISAに加えてcELISAを使用する利点は、天然のタンパク質複合体が抗体をスクリーニングするために使用されることである。
【0126】
陽性対照として、抗ヒトIL-15-フィコエリスリン(PE)抗体(R&D Systems,カタログ番号IC2471P)を用いて、IL-15複合体または非複合型IL-15Rαの細胞表面発現を分析した。IL-15複合体では陽性反応性を示すがIL-15Rαでは陽性反応性を示さない抗体を産生するハイブリドーマをさらなる特徴付けのために選択した。
【0127】
結果の代表的な選択されたものを
図1に示す。抗体4は、非複合型IL-15及びIL-15複合体に結合したが、非複合型IL15Rαには結合しなかった。抗体1A6は、非複合型IL-15、IL-15複合体、またはIL-15Rαに結合しなかったので、さらなる特性化のために選択しなかった。抗体1B3は、非複合型IL-15、IL-15複合体、及びIL-15Rαに結合した。非複合型IL-15Rαへの結合は、クローンがIL-15特異的ではないことを示しているため、有益ではない。
【0128】
実施例3 さらなる産生のための候補抗体の同定
3.1 CTLL-2細胞ベースアッセイ
【0129】
IL-15複合体に結合したがIL-15αには結合しなかった1500個のハイブリドーマ試料を、マウスCTLL-2細胞ベースのアッセイで試験し、どれがIL-15の生物学的活性を中和するかを決定した。CTLL-2細胞株は、細胞傷害性T細胞リンパ腫(ATCC:TIB-214)に由来し、IL-2及びIL-15の両方に反応する。
【0130】
ハイブリドーマ上清(未精製抗体)を、CTLL-2細胞のIL-15誘導増殖を中和するためのそれらの能力について試験した。
【0131】
CTLL-2細胞を、試験前の4時間、IL-2またはIL-15を含まない完全培地中でインキュベートした。CTLL-2細胞(5×104個/ウェル)を、200pMでIL-15受容体αとのIL-15複合体と共に96ウェルプレート中でインキュベートし、細胞増殖を誘導した。ハイブリドーマ上清をプレートに添加し、48時間インキュベートした。次いで、細胞増殖の阻害を製造元の指示にしたがってCELLTITER-GLO(登録商標)発光細胞生存率アッセイ(Promega)を用いて評価し、GLOMAX(登録商標)96マイクロプレート照度計(Promega)で読み取った。データは図示せず。
3.2 BIACORE(登録商標)アッセイ
【0132】
上記の細胞ベースアッセイと並行して、1500個のハイブリドーマをIL-15複合体結合活性についても試験し、それらの親和性を測定した。表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイを使用した。SPRスクリーニングは、単一濃度分析物通過アッセイにてBIACORE(登録商標)4000バイオセンサー(GE Healthcare)を使用して実施した。CM5シリーズS(GE Healthcare)をマシンにドッキングした。Biaノーマライズ溶液(GE Healthcare)によるノーマライズを使用した。流体力学的処理がドッキングチップにおいて実施され、内部品質管理検査に合格した。
【0133】
アミンカップリングキット(GE Healthcare)を用いて抗ラットFcフラグメント抗体(Bethyl A110-136A)をCM5センサーチップの表面に固定した。固定化のために抗体をpH4.5の酢酸ナトリウムで50μg/mLの濃度に希釈し、HBS-EP+緩衝液(GE Healthcare)及び10分間のカップリング時間を用いて、フローセル1~4上のスポット1、2、4、5上に固定化した。全ての相互作用を25℃で測定した。これにより、4つのフローセル上の各スポットについて10,000~12,000レスポンスユニットの固定化レベルが得られた。細胞を100mMのリン酸緩衝液を用いて再生した。
【0134】
ハイブリドーマ結合評価のため、70μLのHBS-EP+ランニング緩衝液を50μLのラットハイブリドーマ上清に添加した。以下の方法を使用した:
始動-再生は30μL/分でそれぞれ10秒間の3サイクル
サンプルラン:
捕捉-スポット1-フローセル1~4-130秒間注入-30μL/分-通常注入-4つのフローセルのそれぞれからスポット1に4つの異なる試料がこのステップで充填される
捕捉-スポット5-フローセル1~4-130秒間注入-30μL/分-通常注入-4つのフローセルのそれぞれからスポット1に4つの異なる試料がこのステップで充填される
試料-全スポット、全フローセル-60秒間注入、60秒間オフレート-30μL/分-通常注入-ヒトIL-15複合体(20μg/mL;バッチ491p90A)を全フローセル及び全スポットに注入。
再生1-20秒100mMリン酸
再生2-15秒100mMリン酸
再生3-10秒100mMリン酸
各96ウェルプレート間で別の再生サイクルを始動サイクル毎に実行した。
【0135】
分析
BiaEvaluationソフトウェアを使用して、キネティクスによる捕捉を分析に使用した。5-4及び1-2のセンサーグラムを分析した。これにより抗体を含まないスポットからIL-15複合体シグナルが除去された。スポット3は分析には使用しなかった。次いで、各センサーグラムを分析し、複合体への抗体の結合を示さなかったそれらの試料は認めず、IL-15受容体アルファとのIL-15複合体への結合を示すものは承認された。カーブフィッティングを実施し、親和性測定値の表を得た。
3.3 可変領域シーケンシング
【0136】
選択された非クローン性ハイブリドーマペレット中の抗体可変領域の分子同一性は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応によって確立された。
【0137】
簡潔に言えば、ハイブリドーマペレットを含有する96ウェルプレートを、RNALATER(登録商標)(Thermo)中で-80℃で凍結保存した後に解凍した。プレートを1000×gで5分間回転させて、細胞をペレット化し、RNALATER(登録商標)緩衝液を除去した。GENELUTE(商標)96ウェル全RNA精製キット(Sigma#RTN9602、RTN9604)を製造元のプロトコルにしたがって使用して、ハイブリドーマのプレートからRNAを単離した。得られたRNA試料の濃度及び品質は、NANODROP(登録商標)8000分光光度計(Thermo)を用いて測定した。オリゴ(dT)プライマー及びAccuScript逆転写酵素(Agilent#600184)を用いてRNAをcDNAに逆転写した。製造業者のプロトコルにしたがってcDNA合成反応を組み立て、cDNA合成を42℃で30分間実施した。
【0138】
トランスジェニックげっ歯類由来ハイブリドーマのヒト抗体可変領域の増幅は、製造業者の指示にしたがってPfuUltraII(Agilent)またはQ5高忠実度DNAポリメラーゼ(NEB)のいずれかを用いてPCRによって実施した。げっ歯類重鎖定常領域DNA配列及びヒト重鎖リーダー配列のDNA配列に特異的なプライマー対を用いて重鎖を増幅した。λ軽鎖可変領域を、ヒトラムダ定常領域DNA配列及びヒトラムダ鎖リーダー配列のDNA配列に特異的なプライマー対を用いて同様に増幅した。
【0139】
可変領域の増幅が成功したことは、e-ゲル電気泳動システム(Thermo)を用いて少量のPCR反応物をゲル上で泳動することによって確認した。製造元のプロトコルにしたがってGENELUTE(商標)96ウェルPCRクリーンアップシステム(Sigma#PCR9604)を使用して、反応のポストPCRクリーンアップを実施した。得られた精製DNAの濃度をNanodrop分光光度計を用いて評価した。重鎖または軽鎖アンプリコンに内部で結合するように設計されたオリゴを使用してPCRフラグメントのサンガーシーケンシングを実施した。得られたDNA配列は、完全長抗体鎖作製におけるそれらの使用の前に、さらなる分析のためにアミノ酸配列に概念的に翻訳された。独特なアミノ酸配列(完全な配列中に少なくとも1つのアミノ酸変化を有する)を有する抗体可変領域を、完全長のヒト抗体への変換のために選択した。
3.4 抗体産生用プラスミドの作製
【0140】
得られた新規なDNAを合成オリゴヌクレオチド(GeneArt,Germany)のアセンブリによって合成する前に、GENEOPTIMIZER(登録商標)技術を用いて可変領域配列をDNA配列に逆翻訳した。合成した重鎖及び軽鎖可変領域配列を、ヒトIgG1重鎖定常領域(例えばSwissprotアクセッション番号PO1857)またはヒトラムダ定常領域(Swissprotアクセッション番号P0CG05)のいずれかを含有する哺乳動物発現ベクターにサブクローニングして完全長抗体鎖を得た。
3.5 抗体の発現
【0141】
抗体重鎖及び軽鎖をコードするプラスミドをEXPI293(登録商標)細胞(Life Technologies)に同時トランスフェクトすることによって抗体を産生した。トランスフェクションの前日、実験に必要な細胞数を決定した。トランスフェクション20mL毎に、3.6×107個の細胞が20mLのEXPI293(登録商標)発現培地に必要であった。トランスフェクションの前日に、細胞をTPP50mLバイオリアクターチューブに0.9×106生細胞/mLの密度で播種し、200rpmで回転するオービタルシェーカー上で空気中8%CO2の加湿雰囲気にて37℃で一晩インキュベートした。トランスフェクションの当日、自動セルカウンターを用いて細胞数及び生存率を測定した。>98%の生細胞を含む培養液のみを使用した。トランスフェクション20mL毎に、脂質-DNA複合体は、OPTI-MEM(登録商標)I血清低減培地(カタログ番号31985-062)中の10μgの重鎖DNA及び10μgの軽鎖DNAを全容積1.0mLに希釈することによって調製した。54μLのEXPIFECTAMINE(登録商標)293試薬をOPTI-MEM(登録商標)I培地で全容積1.0mLに希釈した。両方のバイアルを穏やかに混合し、室温で5分間インキュベートした。インキュベーション後、希釈したDNAを希釈したEXPIFECTAMINE(登録商標)293試薬と混合し、DNA-EXPIFECTAMINE(登録商標)293試薬混合物を、室温でさらに20分間インキュベートし、DNA-EXPIFECTAMINE(登録商標)293試薬複合体を形成させた。インキュベーション後、2mLのDNA-EXPIFECTAMINE(登録商標)293試薬複合体を各TPP50mLバイオリアクターチューブに添加した。陰性対照チューブには、DNA-EXPIFECTAMINE(登録商標)293試薬複合体の代わりに2mLのOPTI-MEM(登録商標)I培地を添加した。細胞を200rpmで回転するオービタルシェーカー上で空気中8%CO2の加湿雰囲気にて37℃でインキュベートした。トランスフェクションから約16~18時間後、100μLのEXPIFECTAMINE(登録商標)293トランスフェクションエンハンサー1と1.0mLのEXPIFECTAMINE(登録商標)293トランスフェクションエンハンサー2を各チューブに添加した。トランスフェクションから約72時間後に抗体を回収した。
3.6 抗体の精製
【0142】
トランスフェクトしたEXPI293(登録商標)細胞の培養液を50mLのファルコンチューブ内で3000×gで20分間スピンダウンし、上清を、0.22μmフィルター(Corning)を使用して濾過した。Gilson ASPEC GX274ロボットを用いてプロテインAクロマトグラフィーにより抗体含有上清を精製した。簡潔に言えば、1.2mLのMABSELECT SURE(登録商標)プロテインA樹脂(GE Healthcare)を充填したSPEカートリッジ(Agilent,12131014)を3カラム容積の1×PBSで予め平衡化した。18mLの上清をカラムに流し、続いて4mLの1×PBS洗浄をした。各カラムから0.9mLの0.1Mクエン酸、pH2.9を予め溶出させた。精製抗体を2mLの0.1Mクエン酸、pH2.9で溶出した。抗体をPD-10カラム(GE Healthcare)を用いて、Sоrensens PBS(59.5mM KH2PO4、7.3mM Na2HPO4.2H2O、145.4mM NaCl(pH約5.8))に脱塩した。
3.7 CTLL-2細胞に対する3点希釈
【0143】
各精製抗体をCTLL2細胞のIL-15媒介性増殖を阻害するその能力について3つの異なる希釈剤で試験した。
【0144】
CTLL-2細胞を、試験前に4時間、IL-2またはIL-15を含まない完全培地中でインキュベートした。細胞(5×104個/ウェル)を、最大細胞増殖の50%を誘導する濃度(EC50)である200pMのIL-15受容体アルファとのIL-15複合体と共に96ウェルプレート中でインキュベートした。抗体希釈液をプレートに添加し、48時間インキュベートした。3つの抗IL-15抗体希釈液:2000pM、200pM及び20pMを使用した。次いで、細胞増殖の阻害を製造元の指示にしたがって、CELLTITER-GLO(登録商標)発光細胞生存率アッセイ(Promega)を用いて評価し、GLOMAX(登録商標)96マイクロプレート照度計(Promega)で読み取った。データは、相対発光単位(存在するATPの定量に基づく培養液中の生細胞数、代謝的に活性な細胞の指標)として表した。
【0145】
IL-15の生物学的活性を機能的に中和する抗体の能力のこのクルードな用量反応は、さらなる分析のために抗体を選択するために使用された。結果の代表的な選択されたものを
図2Aに示す。抗体4は、IL-15活性の非常に強力なアンタゴニストであった。
3.8 CTLL-2細胞に対する全用量反応
【0146】
全用量反応曲線を作成する目的で、選択された抗体を上記のCTLL-2細胞アッセイの10点バージョンで実行した。
【0147】
結果の代表的な選択されたものを
図2Bに示す。各抗体の相対的な阻害プロファイルは、IC
50値(細胞増殖が半分に減少する抗IL-15抗体の濃度)を用いて評価した。試験した抗体のうち、最も強力な抗体は抗体4及び抗体10Fであった。
3.9 NK-92細胞に対する全用量反応
【0148】
CTLL-2細胞アッセイにおける最も強力な抗体を、NK-92細胞を用いたさらなる細胞アッセイに供した。細胞株は、NK悪性非ホジキンリンパ腫(ATCC:CRL-2407)に由来する。
【0149】
NK-92細胞を、試験前に4時間、IL-2またはIL-15を含まない完全培地中でインキュベートした。細胞(5×104個/ウェル)を、25pM(EC50)でIL-15受容体アルファと複合体を形成したIL-15と共に96ウェルプレート中でインキュベートし、細胞増殖を誘導した。抗体用量をプレートに添加し、48時間インキュベートした。次いで、上述のように、細胞増殖の阻害を製造元の指示にしたがって、CELLTITER-GLO(登録商標)発光細胞生存率アッセイ(Promega)を用いて評価し、GLOMAX(登録商標)96マイクロプレート照度計(Promega)で読み取った。データは、相対発光単位として表した。
【0150】
結果の代表的な選択されたものを
図3に示す。各抗体の相対的な阻害プロファイルは、IC
50値を用いて評価した。抗体4は、最も低い阻害IC
50値(0.1nM)を有し、IL-15駆動型細胞ベース増殖の最も強力なインヒビターとして同定された。
【0151】
実施例4 抗体の改変
抗体4は、抗体の生物物理学的特性に良い影響をもたらすこと、及び効力を向上させることを目的として変更された。
4.1 結合に重要なアミノ酸の位置
【0152】
CDR配列中の各残基を改変し、抗体の効力及び結合特性に対する効果を評価すること(CDRスキャニング)により、親抗体の変異体を作製した。各CDR位置での9つの変異体は、残基をアラニン(A)、アスパラギン酸(D)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、ロイシン(L)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)に修飾することによって作製した。表1に示されるように、これら9つのアミノ酸はそれらの特性の範囲のために選択され、その結果、全ての機能特性が試験された。
【表5】
【0153】
これにより、抗体4と1アミノ酸異なる約520の抗体4の変異体が選択された。抗体は先に記載されたように作製され、CM5プロテインA(GE Healthcare)チップを用いてBiacore T200(GE Healthcare)システムで表面プラズモン共鳴を用いてスクリーニングを実施した。使用したランニングバッファーはHBS-EP+(GE Healthcare)であり、全ての相互作用は25℃で測定し、データ収集速度は10Hzに設定した。本方法を実行する前に、始動サイクルが、チップの両方のフローセルを0.1Mのクエン酸(pH3.0)の2回連続した60秒間のパルスで洗浄して実施された。
【0154】
抗体変異体を共発現するEXPI293(登録商標)F細胞の上清を、HBS-EP+(GE Healthcare)中で100分の1に希釈し、ヒトIL-15複合体を同じ緩衝液中で10μg/mLに希釈した。抗体をチップの第2のフローセル上に捕捉させ、結合は、両方のフローセルにわたって30μL/分の流速で30μLのヒトIL-15複合体を注入し、解離時間を120秒間とることによって測定した。両方のフローセル上で0.1Mクエン酸(pH3.0)の2回連続した60秒間のパルスによってサイクル間にチップ表面を再生した。
【0155】
分析にはFC2-1のデータを使用した。得られたセンサーグラムは、2つのカスタムレポートポイントを作成することによって分析し、それぞれ、試料注入の5秒後(「初期結合(early binding)」)または解離の終了前5秒(「後期結合(late binding)」)のいずれかで始まる1秒のウィンドウに対して計算される。解離速度の推定値として、これら2つのレポートポイントの比率(「後期結合」/「初期結合」)に基づいて抗体をランク付けした。相対的な捕捉レベルは生産性の大まかな指標として使用された。CDR改変実験の結果を
図5~34に示す。
図5~33は、抗体の改善をもたらす単一の改変を示し(灰色の網掛け)、
図34は、改善された抗体をもたらす、試験された単一及び複数の改変についてまとめる。
【0156】
これらの実験は、結合及び効力にとって重要であるアミノ酸、ならびに結合または効力の変化なしに置換され得るアミノ酸を同定した。驚くべきことに、重鎖のCDR2の54位または56位のアミノ酸を芳香族アミノ酸YまたはWで置換すると、抗体の効力が増加することがわかった。
【0157】
芳香族アミノ酸フェニルアラニン(F)による重鎖のCDR2の54位または56位のアミノ酸の置換を試験するために、さらなる変異体を作製した。これら2つの変異体はまた、NK-92細胞増殖アッセイにおいて効力の増加を示した。
【0158】
重鎖のCDR2の54位または56位にあるアミノ酸の両方が、Y、WまたはFのいずれかに改変されている二重変異体を作製した。二重変異体の効力は、セクション3.9に記載のようにNK-92細胞増殖アッセイにおいて評価した。結果を表2に示す。
表2 54-56二重変異体
【表6】
【0159】
54位及び56位に2個の芳香族アミノ酸を含むことの効果が、中和性よりもむしろ、効力の累積的な改善をもたらすことが見出された。
【0160】
抗体11(54Y及び56Yを含む)は、抗体4と比較して、NK-92細胞増殖アッセイにおいて少なくとも10倍IC
50が改善されている(
図35及び表3)。
4.2 潜在的な免疫原性エピトープを減少させるための抗体4の改変
【0161】
抗体中の潜在的な免疫原性エピトープを除去するため、この領域中の配列を生殖細胞系抗体配列に戻すためにペプチド配列に置換を行うことができる。重鎖にI82aSを置換すると(抗体63)、生殖細胞系配列が得られ、この領域の予測された免疫原性ペプチドが除去された。表3に示すように、この置換はNK-92アッセイにおける効力に影響を及ぼさなかった(抗体11と比較した抗体63)。
【0162】
軽鎖にN30Sを置換すると(抗体73)、生殖細胞系配列が得られ、この領域における予測された免疫原性ペプチドが除去された。表3に示すように、この置換はNK-92アッセイにおける効力にわずかな影響を与えた(抗体11と比較した抗体73)。
【0163】
両方の置換が、1つの抗体、抗体64に組み合わされた場合、抗体11と比較して効力のわずかな減少が観察された(
図35)。
【表7】
4.3 製造性を改善するための抗体64の改変
【0164】
抗体64及び関連する抗体の可変重鎖及び軽鎖配列のアミノ酸分析は、異性化を受け得るアミノ酸を同定した。これらのアミノ酸への変化は、時間の経過とともに、抗体の安定性を変え得る。軽鎖では、D92及びS93は、潜在的なアスパラギン酸異性化部位として同定された。これらの予測された問題の潜在的な影響を減らすため、これらの位置に保存的または半保存的アミノ酸置換を含む抗体64の変異体を生成した。これらの置換及び得られた変異体の効力に対するそれらの影響を表4に列挙する。
図35は、NK-92細胞増殖アッセイにおいて試験した変異体の代表的な選択されたものを示す。
【0165】
D92を変えることによって製造性を高めるための改変は、効力の喪失をもたらす(抗体11と比較して抗体68を参照のこと)S93をL93に変えると、驚くべきことに、表3及び
図35に示すように抗体の効力が改善された。
【0166】
抗体70を作製するために抗体4になされた改変の概要を表4に示す。
【表8】
【0167】
実施例5 抗体70変異体の受容体親和性及び選択性
抗体70の定常領域変異体を作製した。抗体70の重鎖可変領域を、表5に記載のヒトIgGアイソタイプ定常ドメインとインフレームで合成した。
【表9】
【0168】
IL-15は、IL-15Rα、IL-2Rβ、及びIL-2Rγからなる複合体に結合し、それらを介してシグナル伝達する。抗体を、IL-15Rα、ならびにIL-2、IL-4、IL-7、IL-9、及びIL-21などの共通受容体IL-2Rβ/γを共有するサイトカインと結合するそれらの能力について評価した。抗体70変異体は、IL-15Rα、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、及びIL-21に結合しなかった。
【0169】
IL-15受容体アルファと複合体を形成したヒトIL-15への抗体70変異体の結合を、プロテインAセンサーチップ(GE Healthcare)を用いてBIACORE(登録商標)T200(GE Healthcare)システムで表面プラズモン共鳴を用いて評価した。抗体は、第2のフローセルに150~200RUのレベルで捕捉された。精製サイトカインをHBS-EP+中で10μg/mLに希釈した。結合は、両方のフローセルにわたって30μL/分の流速で45μLの各サイトカインを注入し、解離時間を180秒間とることによって測定した。50mM水酸化ナトリウムの2回の10秒間のパルスによってサイクル間にチップ表面を再生した。使用したランニングバッファーはHBS-EP+(GE Healthcare)であり、全ての相互作用は25℃で測定し、データ収集速度は10Hzに設定した。
【0170】
表面プラズモン共鳴データの概要は、
図36に示す。親和性は、KD(抗体とその抗原との間の平衡解離定数)によって測定することができる。抗体70変異体は、抗体4(平均KD=0.629nM)及びAMG714(平均KD=1.84nM)と比較して、最低のKD値(0.133~0.193nM)を有した。抗体70の変異体及びAMG714間のKDの大きな差は、解離速度(kd)によって引き起こされる。IL-15は、抗体70変異体からのIL-15の解離速度よりも10倍速い速度でAMG714から解離する。IL-15に結合すると、抗体70及びその変異体は、より長い間結合したままであり、したがってIL-15活性を阻害することにおいて優れている。これを細胞ベースの効力アッセイで試験した。
【0171】
実施例3に記載のような細胞増殖を誘導するために、25pM(EC50)でIL-15受容体アルファと複合体を形成したIL-15を用いたNK-92増殖アッセイにおいて、抗体70変異体及びAMG714の効力を評価した。
図37及び表6は、抗体70変異体のIC
50が、AMG714のIC
50よりも83~98倍低かったことを示す。したがって、抗体70は、細胞ベースの効力アッセイにおいてIL-15活性を阻害することにおいて優れていた。
【表10】
【0172】
抗体70Fを用いたその後の研究は、430pMのKDを有するエピトープに対する平均親和性をもたらした。概して、これらの結果は、抗体70変異体がAMG714と比較してヒトIL-15に対して改善された結合能力、親和性、及び効力を有することを示唆している。
【0173】
実施例6 抗体70のエピトープマッピング
エピトープマッピングは、アラニンスキャニング実験を用いて実施した。IL-15Rαの結合に関与していなかったIL-15上の有望な露出残基を決定するためにモデリング分析を実施した。次いで、これらの理論的に露出した残基のそれぞれがアラニンで置換されたIL-15構築物を設計した。これらの変異体のリストを表7に列挙した。
【表11A】
【表11B】
【0174】
次いで、これらの構築物をIL-15Rαと共発現させ、発現培養液の上清をタンパク質発現及び抗体70aへの結合についてSPRを用いて試験した。
【0175】
使用したランニングバッファーはHBS-EP+(GE Healthcare)であった。全ての相互作用を25℃で測定し、データ収集速度は10Hzに設定した。分析にはFC2-1のデータを使用した。得られたセンサーグラムは、2つのカスタムレポートポイントを作成することによって分析し、それぞれ、試料注入の10秒後(「初期結合」)または解離の終了前10秒(「後期結合」)のいずれかで始まる5秒のウィンドウに対して計算される。これらの値を未トランスフェクト対照の値から差し引いて、相対的解離速度を最初に推定し、これら2つのカスタムレポートポイントの比(「後期結合」/「初期結合」)を得た。次いで、得られた値をIL-15受容体アルファと複合体を形成した野生型ヒトIL-15について計算された値の一部として得た(データ示さず)。
【0176】
上清スクリーニングからの結果を確認するには、IL-15受容体アルファと複合体を形成した野生型ヒトIL-15と比較してより速い解離速度を示した試料を精製し、SPRにより再試験した。プロテインAセンサーチップ(GE Healthcare)を使用して、抗体70aを第2のフローセルに捕捉し、150~200RUの捕捉レベルを得た。精製したIL-15アラニンスキャン構築物をHBS-EP+中で10μg/mLに希釈し、その後、2倍希釈系列を作製した。結合は、両方のフローセルにわたって30μL/分の流速で45μLの各希釈液を注入し、解離時間を600秒間とることによって測定した。50mM水酸化ナトリウムの10秒間のパルスによってサイクル間にチップ表面を再生した。使用したランニングバッファーはHBS-EP+(GE Healthcare)であり、全ての相互作用を25℃で測定し、データ収集速度は10Hzに設定した。分析にはFc2-1のデータを使用し、生成されたセンサーグラムを、1:1ラングミュア方程式(局所Rmaxフィッティングを用いて)を用いてフィッティングし、KDを決定した。試験した抗IL-15抗体への結合の低下を示した、IL-15Rαと共発現した全てのIL-15アラニン変異体についてのデータを
図38に示す。抗体70aは、Q108A置換を有する変異型IL-15への結合が低かった。AMG714は、以下のアミノ酸置換:E98A、Q101A、H105A及びQ108Aを有する変異型IL-15と結合しないか、または結合が著しく低下している。これらの結果は、これら4つのアミノ酸の変異が、IL-15受容体アルファとのIL-15複合体へのAMG714の結合を妨げていることを示しており、Q108の変異のみが、IL-15受容体αと複合体を形成したIL-15に対する抗体70aの結合を妨げている。
図38の結果は、試験されたIL-15中の残基に関して、IL-15に対する抗体の高い親和性を考慮すると、AMG714抗体の結合は残基の変化により低下するが、抗体70aの結合は変化により低下しなかった;IL-15におけるQ108の変化のみが抗体70aによる結合の低下をもたらしたことを示す。
【0177】
両方の抗体(抗体70a及びAMG714)がIL-15のQ108A変異体に対して結合性が低いか、または全くないことを考慮して、Q108A変異体が正しく折り畳まれていることを示す同等の親和性でQ108及び野生型IL-15複合体を結合する別の抗IL-15抗体を用いて抗体70aに対してさらなるスクリーニングを実施した。アラニンスキャニングは、変異した際に、抗体のIL-15への結合を妨げ得る残基を同定する。IL-15と接触する正確な残基を決定し、それにより抗体70a結合エピトープを決定するために、抗体70aとヒトIL-15との相互作用が、X線結晶構造解析によって特性決定された。
【0178】
結晶化実験の準備として、組換えヒトIL-15を細菌から発現させ、精製した。抗体70aFab(ここで、FAbは抗原結合性フラグメントである)は、抗体ヒンジのパパイン媒介性切断によって生成され、これは抗体FAbをFcから分離する。FAbを標準的なプロテインAクロマトグラフィー法により精製し、IL-15と複合体を形成させた。FAb:IL-15をサイズ排除クロマトグラフィーにより精製し、スパースマトリックス結晶化スクリーンを使用して結晶化スクリーニング用に準備した。回折データ収集に使用した最終結晶は、10%ポリエチレングリコール(PEG)20000、20%PEG 500モノメチルエーテル(MME)、30mM CaCl
2、30mM MgCl
2、100mMの不特定イミダゾール/カコジル酸ナトリウム/MES(酸)/ビス-トリス緩衝液混合物、pH6.5中で形成した。ダイヤモンドシンクロトロン施設のビームラインi04で2.25Åまでの回折データを収集した。モデル構築のためのテンプレートとして、ヒトIL-15及びFAb分子の公開されている構造を用いて分子置換により構造を解明した。実験データに対して構造を繰り返し精密化し、R/Rフリー値を23.6/28.9とした。構造は、抗体70aの可変領域がヒトIL-15のIL-2Rγ及びIL-2Rβ結合部位に結合することを示し、これにより、これらの受容体単位とIL-15との相互作用をブロックする(
図39A及び39B)。このことは、IL-15側鎖とFAbの側鎖との相互作用を観察し、これらをIL-2Rγ及びIL-2Rβと相互作用するIL-15側鎖と比較し、両方の相互作用に共通する側鎖または残基を探すことによって、さらに実証される。
【0179】
表8は、IL-15側鎖と抗体70aのFAbフラグメントの側鎖との間の相互作用を列挙する。IL-15と接触する抗体70aFAbの側鎖は、抗体70a及び関連する抗体のパラトープを形成する。表に示されている説明は以下のものと対応する:「疎水性相互作用」-原子対間のファンデルワールス相互作用;「水媒介」-原子対間の水媒介性水素結合;「水素結合」-2.5~3.5Åのヘテロ原子の水素結合;「H-π水素結合」-芳香族内の供与体/受容体原子に対応する水素結合
【表12A】
【表12B】
【0180】
四次IL-15受容体複合体(pdbコード4GS7)のX線構造について同様の分析を実施した。表9は、IL-15側鎖とIL-2Rγ及びIL-2Rβの側鎖との間に生じる水素結合に基づいて、IL-15複合体のIL-2Rγ及びIL-2Rβへの結合に重要なIL-15残基を示す。
【表13】
【0181】
抗体70とヒトIL-15との相互作用により形成される溶媒接触表面積は2270.9Å2である。この値は、Strake and Rupley(1973)J.Mol.Biol.79:351-71の方法を用いてPYMOLで算出された。
【0182】
抗体70aFAbとIL-15との側鎖相互作用ならびにIL-2Rベータ及びガンマ鎖とIL-15との側鎖相互作用の比較により、いくつかの共通の残基が同定される。S7(Ser7)はIL-2Rβと水素結合を形成し、Q108(Gln108)及びN112(Asn112)はIL-2Rγと水素結合を形成する(
図39C~39E)。これらの3つの残基はまた、抗体70aFAbが結合して水素結合を形成するIL-15上のエピトープを形成し、これにより、IL-15とIL-2Rβ及びIL-2Rγとの相互作用を妨げる。
【0183】
抗体70aの親和性及び効力の成熟の間に発見された、CDRH2中のY52/54/56を含むトリプルチロシンモチーフは、ヒトIL-15との抗体の重要な結合決定基である。結晶構造を調べると(
図39F~39H)、このモチーフはIL-15のヘリックス4の周りの疎水性残基を覆って保護し、溶媒和を防ぎ、構造を安定化していることを理解できる。
【0184】
実施例7
初代ヒト細胞上のIL-15に結合する変異体のフローサイトメトリー検出
【0185】
抗体をさらに特性決定するために、初代ヒト細胞上のIL-15に結合するそれらの能力を試験した。Lymphoprep(Axis-Shield,Lymphoprep)を用いて、軟膜からヒト末梢単核細胞(PBMC)を単離、精製し、フローサイトメトリー分析によりリード抗体の結合を評価した。
【0186】
96ウェルポリプロピレンプレート(Sigma/Corning)に1ウェルあたり1×106個の生存PBMCを最初に播種し、4℃で20分間、Zombie Violet色素(Biolegend)で染色した。細胞を、FACS緩衝液中に希釈したTruStain FcX Fcブロック(Biolegend)を用いて室温で10分間さらに染色した。表面染色の場合、PBMCを10μg/mLの試験抗体またはアイソタイプ対照抗体(表10に列挙)で染色し、4℃で20分間インキュベートした。免疫染色後、次いで、試料を製造元の指示にしたがってBD cytofix/cytoperm(BD Biosciences)で固定し、分析するまで4℃で保存した。細胞内染色の場合、染色の前にPBMCをBD cytofix/cytoperm(BD Biosciences)で固定した。試料をBD FACSCanto II(BD Biosciences)を用いて分析した。
【0187】
分析から細胞凝集体を除去するために最初のダブレット識別(doublet discrimination)を全ての細胞事象に対して実施した。生存色素を用いて死細胞を排除した後、生細胞を選択した。白血球の初期ゲーティングは細胞を以下に分離した:CD3-CD8-細胞、CD3+CD8+T細胞、及びCD3+CD8-(推定上CD4+)T細胞。CD3-集団のさらなる分析は、細胞をCD19+B細胞とCD19-細胞集団とに分離した。後者の集団はまた、CD56dimCD16+及びCD56briCD16dim/-NK細胞を選択するためにさらにゲートをかけられた。さらに、CD14とCD16の発現レベルに基づいて、単球(HiSSC集団)は、続いて3つの主要な単球サブセット:古典的(CD14+CD16-)、中間型(CD14intCD16int)、及び非古典的(CD14dimCD16+)に細分された。
【0188】
FLOWJO(登録商標)分析ソフトウェアV.10を用いてデータ分析を行った。
【表14】
【0189】
抗体70変異体の代表的な結合が単球上にあることを
図40に示す。抗体70変異体の中程度の結合が、全ての単球サブセット(古典的、中間型及び非古典的)の細胞表面上に検出された。より高い結合レベルが、全ての単球サブセットにおける細胞内結合において報告された。結合検出レベルにおけるわずかな差が、両方の抗体70変異体の間に見出された。T CD4
+及びCD8
+細胞、ならびにNK細胞の全てのサブセットの表面上には結合が検出されなかったか、または低かった(データ示さず)。これらの結果は、抗体70変異体が初代細胞上のヒトIL-15に結合することができたことを示している。
【0190】
実施例8 動物モデルにおける抗IL-15抗体の有効性
8.1 ヒトIL-15及びIL-15受容体アルファと複合体を形成したIL-15のin vivo中和
【0191】
この研究は、組換えヒトIL-15またはIL-15/IL-15Rα複合体がC57BL/6マウスにおいてNK細胞及びNKT細胞増殖を誘導できる程度、及び本発明の例示的な抗体がそのような誘導を中和できる程度を決定するために行われた。
【0192】
8匹のオスC57Bl/6マウスの群に単回用量の抗体70f(10、3、1、0.3または0.1mg/kg)またはアイソタイプ対照(10mg/kg)を1日目に腹腔内投与した(最初のサイトカイン注射の1時間前に)。NK1.1+細胞を、1日目から3日目までの3日間、毎日、組換えIL-15複合体(IL-15RαはFcキメラである)を腹腔内注射(1.5μg/マウス)することにより誘導した。4日目に、マウスの脾臓を採取した。細胞懸濁液を各マウスの全脾臓から調製し、自動セルカウンターで計数した。全脾細胞の%に基づいてフローサイトメトリーにより細胞懸濁液からNK1.1+数を評価した。フィコエリスリン-コンジュゲート抗マウスNK-1.1(BD553165)を使用した。50,000イベント/試料をサイトメーターで取得した。
【0193】
図41に示すように、IL-15/IL-15Rα複合体の注射は、マウス脾臓においてNK1.1+細胞蓄積を誘導した。この蓄積は、0.3mg/kgの抗体70fでの処置によって著しく抑制され得るが、ヒトアイソタイプ対照抗体ではそうではない。
8.2 非ヒト霊長類の循環NK細胞数に対する抗IL-15抗体の効果
【0194】
抗IL-15抗体の投与は、カニクイザルにおける循環NK細胞数を減少させることがすでに示されている(Lebrec et al.(2013)J.Immunol.191:5551-5558)。抗体70をさらに特性決定するために、循環NK細胞に対するIL-15活性の拮抗作用の結果をin vivoで試験した。4匹の雄のカニクイザルの群に、1もしくは10mg/kgの抗体70fまたは10mg/kgの抗体70bを単回静脈内注射した。循環するNK細胞数は、投与前及び試験の2、5、8、15、30、45、60、75、90、102、120及び150日目の全血試料のフローサイトメトリー分析によって測定した、NK細胞マーカーCD159a(NKG2A)の発現によって定量した。
【0195】
各サルの個々のタイムポイント及び中央値(実線)の末梢血NK細胞数を
図42に示す。1もしくは10mg/kgの抗体70fまたは10mg/kgの抗体70bの投与は、試験の7日目から投与前の循環NK細胞数を下回る著しい減少をもたらし、これは大多数の動物において試験120日目まで持続した。
8.3 非ヒト霊長類のセリアック病のアカゲザルモデルにおける抗IL-15抗体の効果
【0196】
「グルテン過敏性腸症」と名付けられた慢性下痢性疾患は、グルテン含有飼料を給餌された飼育アカゲザルのサブセットにおいて説明されてきた。グルテン含有食を摂取すると、グルテン過敏性アカゲザルは、腸組織トランスグルタミナーゼ自己抗体、抗グリアジン血清抗体の存在、栄養素の吸収の減少、生体異物代謝の減少、絨毛萎縮、腸内微生物叢の多様性の減少、慢性下痢、体重減少、がん素因、及び免疫遺伝学的(MHC II結合性)会合を含むセリアック病の徴候及び症状を示した(Bethune MT et al.(2008)PLoS ONE.3(2):e1614)。グルテンフリー食は、これらの臨床的、組織学的、及び血清学的特徴を逆転させたが、食事性グルテンの再摂取が急速な再発を引き起こした。興味深いことに、グルテン過敏性アカゲザルの生検は、空腸組織においてIL-15の過剰発現を示した(Sestak K et al.(2016)Nutrients.8(7):401)。
【0197】
本発明の抗IL-15抗体がグルテン誘発症状を抑制する能力を、グルテン過敏性腸症を患うアカゲザルにおいて試験した。グルテンフリー(GFD)及びグルテン含有(GD)食を6匹全てのグルテン過敏性アカゲザルに投与して免疫学的寛解及び再発の段階をそれぞれ誘導し、Sestak et al.,2015;2016に記載されているような抗グリアジン(AGA)及び抗トランスグルタミナーゼ2(TG2)陽性及び陰性血漿抗体反応によって特性決定した。AGA/TG2抗体再発を誘導した後、抗体70fを、3匹の動物に28日間(群1)、及び3匹の動物に90日間(群2)、10mg/kg(BW)の用量で毎週静脈内(i.v.)投与し、一方、アカゲザルは依然としてグルテン含有食を給餌された。試験の段階で腸生検を実施し、絨毛の高さと陰窩深さの比、及び上皮細胞間リンパ球(IEL)数を測定した。トランスグルタミナーゼ-2に対する自己抗体及び抗グリアジン抗体の存在を血清試料から測定した。試験デザインを
図45Aに示す。
【0198】
AGA及びTG2血漿(IgG)抗体、小腸の絨毛高さ対陰窩深さの形態計測評価、すなわちV/C比を含むGS腸症の評価は、以前に確立されたプロトコルSestak et al.,2015;2016にしたがって行った。免疫学的再発(GD)及び寛解(GFD)、ならびに抗IL-15抗体処置期間の開始及び終了に対応する時点で小腸生検を採取した。Sestak et al.,2016に記載されているように、生検を採取し、上皮細胞間リンパ球(IEL)数を得るために処理した。
【0199】
結果:
抗IL-15抗体処置の前、最中、及び後にグルテン過敏性アカゲザルから採取した空腸生検組織の評価により、小腸組織構造の形態学的評価、すなわち絨毛の高さ対陰窩深さ(V/C)比における腸症の改善が明らかとなった。グルテン食では、両群のアカゲザルは、絨毛の高さ、陰窩深さの組織構造が著しく喪失した(
図45B)。全ての処置動物がそれらの小腸の絨毛高さの増加(すなわち、健康で年齢が一致した対照と比較して同程度のV/C比(
図45B))を示したので、V/C比は、抗IL15抗体処置で著しく改善され(p<0.0001)、両群のセリアックアカゲザルに有益であった。
【0200】
グルテン過敏性アカゲザルにおける抗IL-15抗体処置の有効性を評価するため、小腸IELの数を、GD食(6ヶ月)、GFD(3ヶ月)、及びGD中に抗IL-15抗体処置(35日及び61日)を代表する時点で採取した生検試料間で比較した(
図45C)。動物がGD中であった早期時点で採取したIEL数と比較して、両方の抗IL15抗体処置群は著しく低いIEL数であった(p<0.0001)。グルテン含有食が給餌されているにもかかわらず、群1の処置後35日目(TD35)及び群2のアカゲザルのTD61に、抗IL15抗体処置を測定したところ、3ヶ月目のGFDに関連するものよりもIELが大幅に減少した(p<0.0001)(
図45C)。
【0201】
処置の前に、5/6匹の動物において、抗グリアジン抗体のレベルはグルテンへの曝露時に増加し、グルテンフリー食で減少し(動物1BはAGA応答なし)、このことは該動物がグルテン過敏性であることを示した(
図45D)。抗IL-15処置は、驚くべきことに、これらの動物が依然としてGDに曝露されていても、処置前に高いAGAレベルを有していた5/5匹の動物において抗グリアジン(AGA)抗体を減少させた。
【0202】
要約すると、抗IL-15抗体処置は、セリアック病のアカゲザルモデルで測定される際に、グルテン誘発性小腸粘膜傷害を軽減し(V/C比の改善)、グルテン誘発性小腸粘膜炎症を軽減し(IEL数の減少)、かつグルテン誘発性血清抗体を軽減した(抗グリアジン抗体の減少)。
【0203】
本開示は、上記で説明及び例示された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の範囲内で変更及び修正が可能である。
【配列表】