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特許7155137不動態層で被覆されたコアを備えるナノ粒子、その製造のためのプロセスおよびその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】不動態層で被覆されたコアを備えるナノ粒子、その製造のためのプロセスおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/02 20060101AFI20221011BHJP
   C01B 33/06 20060101ALI20221011BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20221011BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20221011BHJP
   H01M 4/134 20100101ALI20221011BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20221011BHJP
   H01M 4/70 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
C01B33/02 Z
C01B33/06
H01M4/36 C
H01M4/38 Z
H01M4/134
H01M4/62 Z
H01M4/70 A
【請求項の数】 58
(21)【出願番号】P 2019547121
(86)(22)【出願日】2018-03-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 CA2018050247
(87)【国際公開番号】W WO2018157256
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-02-24
(31)【優先権主張番号】62/466,769
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/466,794
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513138072
【氏名又は名称】ハイドロ-ケベック
(73)【特許権者】
【識別番号】503389611
【氏名又は名称】テクナ・プラズマ・システムズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】グオ, ジャイン
(72)【発明者】
【氏名】ドルベック, リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ボウロス, マヘル
(72)【発明者】
【氏名】ルブラン, ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ジェルフィ, アブデルバスト
(72)【発明者】
【氏名】ザジーブ, カリム
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-508166(JP,A)
【文献】国際公開第2016/102208(WO,A1)
【文献】特表2013-534899(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103311511(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/02
C01B 33/06
H01M 4/36
H01M 4/38
H01M 4/134
H01M 4/62
H01M 4/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子を製造する方法であって、前記ナノ粒子のそれぞれは、コアおよび前記コアを被覆する不動態層を備え、前記コアは、ケイ素またはその合金で作製されており、
前記方法は、
a.前記ケイ素またはその合金を含むコア前駆体を提供するステップと、
b.前記コア前駆体から前記ケイ素またはその合金の蒸気を生成させる温度でプラズマを生成する誘導プラズマトーチを備えるプラズマ反応器を提供するステップであって、前記プラズマトーチは、前記プラズマトーチの下流側に位置するクエンチゾーンと流体連通しており、前記クエンチゾーンは、前記蒸気を凝縮させる温度までクエンチガスにより冷却される、ステップと、
c.前記プラズマトーチ内に前記コア前駆体を供給し、それにより前記ケイ素またはその合金の前記蒸気を生成するステップと、
d.前記蒸気を前記クエンチゾーンに移動させ、それにより前記蒸気を冷却し、前記蒸気を前記ケイ素またはその合金で作製された前記コアに凝縮させるステップと
を含み、
前記クエンチガスは不動態化ガス前駆体を含み、前記不動態化ガス前駆体は、前記クエンチゾーン内で前記コアの表面と反応して、前記プラズマ反応器内において前記コアを被覆する前記不動態層を生成し、それにより前記ナノ粒子を生成する、方法。
【請求項2】
前記不動態化ガス前駆体が、アンモニア、窒素、メタンまたはアセチレンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記不動態化ガス前駆体が、アンモニアまたは窒素である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記コア前駆体が、
金属形態の前記ケイ素もしくはその合金、または
前記ケイ素もしくはその合金の水素化物もしくは塩化物である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記コア前駆体が、微粉末形態またはガス状形態である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記コア前駆体が、微粉末形態である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
微粉末形態の前記コア前駆体の粒子サイズが、μm~00μmの間ある、請求項に記載の方法。
【請求項8】
微粉末形態の前記コア前駆体のサイズ分布が、 90/d10<3ある、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
微粉末形態の前記コア前駆体が、金属形態の前記ケイ素またはその合金ある、請求項6からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
微粉末形態の前記コア前駆体が、冶金グレードケイ素金属(MG-Si)またはケイ素鉄ある、請求項6からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記コア前駆体が、ガス状形態である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ガス状形態の前記コア前駆体が、前記ケイ素またはその合金の水素化物または塩化物ある、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ガス状形態の前記コア前駆体が、シラン、トリクロロシランまたは四塩化ケイ素ある、請求項1または1に記載の方法。
【請求項14】
前記コア前駆体が、少なくとも90%の純度ある、請求項1から1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
供給するステップc)が、前記コア前駆体をキャリアガスと混合することを含み、前記キャリアガスは、前記コア前駆体を、前記プラズマトーチ内におよび前記プラズマトーチを通して輸送し、次いで、前記ケイ素またはその合金の前記蒸気を、前記クエンチゾーンに輸送する、請求項1から1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記キャリアガスが、アルゴンである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記プラズマが、Ar/Hプラズマである、請求項1から1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記プラズマトーチ内でシースガスが使用される、請求項1から1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記シースガスが、アルゴン、またはアルゴンと水素および前記不動態化ガス前駆体のいずれかもしくは両方との混合物ある、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記クエンチガスが、前記不動態化ガス前駆体で構成される、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記クエンチガスが、アルゴンおよび前記不動態化ガス前駆体の混合物である、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記クエンチガスが、前記クエンチゾーンに導入される際に室温である、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記プラズマ反応器から前記ナノ粒子を排出するステップをさらに含む、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ナノ粒子上に導電性炭素の層を生成するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
導電性炭素の前記層が、
前記ナノ粒子を炭素前駆体と混合して、混合物を形成すること、および
酸素の非存在下で前記混合物を熱分解して、前記ナノ粒子の表面の少なくとも一部に前記導電性炭素の層を形成すること
により生成される、請求項2に記載の方法。
【請求項26】
前記炭素前駆体が、炭素骨格を有するポリマーもしくはオリゴマー、炭水化物もしくは炭水化物ポリマー、芳香族炭化水素、またはそれらの混合物である、請求項2に記載の方法。
【請求項27】
前記炭素前駆体が、ポリエチレン、ポリプロピレン、グルコース、フルクトース、スクロース、キシロース、ソルボース、デンプン、セルロースもしくはそのエステル、エチレンおよびエチレンオキシドのブロックポリマー、フルフリルアルコールのポリマー、またはそれらの混合物である、請求項2に記載の方法。
【請求項28】
複合Si/炭素凝集体を生成するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項29】
前記複合Si/炭素凝集体が、
前記ナノ粒子を炭素前駆体と混合して、混合物を形成すること、および
前記混合物を熱分解して、前記複合Si/炭素凝集体を形成すること
により生成される、請求項2に記載の方法。
【請求項30】
前記炭素前駆体が、ポリ(アクリル酸)(PAA)、カーボンブラックもしくは気相成長炭素繊維(VGCF)、またはそれらの混合物である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記炭素前駆体が、ポリ(アクリル酸)(PAA)、カーボンブラックおよび気相成長炭素繊維(VGCF)の混合物である、請求項3に記載の方法。
【請求項32】
前記混合物が、前記混合物の総重量を基準として.1~5wt%の間前記炭素前駆体を含む、請求項2から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記混合物が、溶媒さらに含む、請求項2から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記混合物が、熱分解の前に乾燥される、請求項3に記載の方法。
【請求項35】
前記熱分解が、還元雰囲気中で行われる、請求項2から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記熱分解が、00~100℃の間温度で行われる、請求項2から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
酸水溶液を使用して前記ナノ粒子の表面を活性化し、次いで前記ナノ粒子を官能化するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項38】
前記ナノ粒子が前記酸水溶液と混合され、次いで官能化試薬が混合物に添加される、請求項3に記載の方法。
【請求項39】
前記酸水溶液が、2%HF水溶液である、請求項3または3に記載の方法。
【請求項40】
官能化試薬が、トリメトキシシランある、請求項3から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
官能化ナノ粒子を単離するステップをさらに含む、請求項3から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記官能化ナノ粒子が液液抽出により単離される、請求項4に記載の方法。
【請求項43】
コアおよび前記コアを被覆する不動態層を備えるナノ粒子であって、前記コアは、ケイ素またはその合金で作製されており
ここで、前記不動態層が、前記ケイ素もしくはその合金の窒化物の層であり、
ここで、前記ナノ粒子が、実質的に球形の形状であり、そして20ナノメートル~300ナノメートルの間の平均粒子サイズを有し、そして
ここで、前記ナノ粒子が、SiO およびSiOH表面種を実質的に含まない
ナノ粒子。
【請求項44】
前記不動態層が、Siの層である、請求項4に記載のナノ粒子。
【請求項45】
前記不動態層が、最大nmの厚さある、請求項43または44に記載のナノ粒子。
【請求項46】
前記コアが、ケイ素またはケイ素鉄で作製されている、請求項4から4のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項47】
前記コアが、ケイ素で作製されている、請求項4から46のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項48】
0nm~60nmの間平均粒子サイズを有する、請求項4から47のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項49】
200nm未満平均直径を有する、請求項4から48のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項50】
0nm~00nmの間平均直径を有する、請求項4から49のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項51】
前記ナノ粒子の表面の少なくとも一部を被覆する導電性炭素の層をさらに備える、請求項4から5のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項52】
前記ナノ粒子の総重量を基準として.1~0wt%の間の導電性炭素を含む、請求項51に記載のナノ粒子。
【請求項53】
複合Si/炭素凝集体内に含まれる、請求項4から5のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項54】
電極製造における、請求項4から5のいずれか一項に記載のナノ粒子の使用。
【請求項55】
請求項4から5のいずれか一項に記載のナノ粒子、電子伝導体および結合剤の混和物で被覆された集電体を含む電
【請求項56】
前記電子伝導体が、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、炭素繊維またはグラフェンある、請求項55に記載の電極。
【請求項57】
前記結合剤が、アルギン酸ナトリウムである、請求項55または56に記載の電極。
【請求項58】
前記集電体が、金属箔またはグリッドである、請求項55から57のいずれか一項に記載の電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2017年3月3日に出願された米国仮特許出願第62/466,769号、および2017年3月3日に出願された米国仮特許出願第62/466,794号に対して35U.S.C.§119(e)の下の利益を主張する。上記の全ての文書は、本明細書にその全体が参考として援用される。
発明の分野
本発明は、コアおよびコアを被覆する不動態層を備えるナノ粒子を製造するためのプロセスであって、コアはケイ素またはその合金で作製されている、プロセスに関する。本発明は、さらに、ナノ粒子、およびアノードの製作におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導プラズマトーチを使用してナノ粒子を合成するプロセスが公知である。具体的には、誘導プラズマトーチを使用して材料を気化させ、次いで得られた蒸気を凝縮してナノ粒子を形成させることが公知である。この一般的なプロセスは、参照により本明細書に組み込まれるUS8,013,269、US2012/201266A1、US6,994,837、US7,501,599、US8,859,931、およびUS2002/155059A1を含む、様々な米国特許および特許出願に記載されている。
【0003】
また、参照により本明細書に組み込まれるUS5,200,595、US9,380,693、またはUS6,693,253に記載のもの等、様々な誘導プラズマトーチが公知である。
【0004】
また、蒸気のナノ粒子への凝縮を補助するためにクエンチガスを使用することが公知である。
【0005】
化合物のその環境との望ましくない反応を防止するために使用される不動態層もまた公知である。具体的には、不動態層を使用して、表面の酸化から保護することが公知である。
【0006】
ケイ素ナノ粉末、およびリチウムイオンアノードに使用されるアノード材料としてのその使用もまた公知である。そのようなアノードの製作は、例えば、カーボンブラックおよびナトリウムカルボキシメチルセルロース(Na-CMC)、またはアルギン酸ナトリウムを結合剤として使用して水溶液中で達成され得る。
【0007】
また、トリメチルアルミニウムを前駆体として使用して原子層堆積(ALD)によりアルミナコーティング(Al)を堆積させることで、SiOの形成からケイ素ナノ粉末表面を保護することが公知である。
さらに、例えば、冶金グレードケイ素(MG-Si)に対する機械的粉砕(乾式および湿式)を使用した、または誘導結合プラズマを使用した、ケイ素ベースナノ粒子を合成する様々な方法が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第8,013,269号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/201266号明細書
【文献】米国特許第6,994,837号明細書
【文献】米国特許第7,501,599号明細書
【文献】米国特許第8,859,931号明細書
【文献】米国特許出願公開第2002/155059号明細書
【文献】米国特許第5,200,595号明細書
【文献】米国特許第9,380,693号明細書
【文献】米国特許第6,693,253号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明にしたがって、以下が提供される:
1. ナノ粒子を製造する方法であって、各ナノ粒子は、コアおよび前記コアを被覆する不動態層を備え、前記コアは、ケイ素またはその合金で作製されており、
前記方法は、
a.前記ケイ素またはその合金を含むコア前駆体を提供するステップと、
b.前記コア前駆体から前記ケイ素またはその合金の蒸気を生成させる温度でプラズマを生成する誘導プラズマトーチを備えるプラズマ反応器を提供するステップであって、前記プラズマトーチは、前記プラズマトーチの下流側に位置するクエンチゾーンと流体連通しており、前記クエンチゾーンは、前記蒸気を凝縮させる温度までクエンチガスにより冷却される、ステップと、
c.前記プラズマトーチ内に前記コア前駆体を供給し、それにより前記ケイ素またはその合金の前記蒸気を生成するステップと、
d.前記蒸気を前記クエンチゾーンに移動させ、それにより前記蒸気を冷却し、前記蒸気を前記ケイ素またはその合金で作製された前記コアに凝縮させるステップと
を含み、
前記クエンチガスは不動態化ガス前駆体を含み、前記不動態化ガス前駆体は、前記クエンチゾーン内で前記コアの表面と反応して、前記コアを被覆する前記不動態層を生成し、それにより前記ナノ粒子を生成する、方法。
2. 前記不動態化ガス前駆体が、アンモニア、窒素、メタンまたはアセチレンである、項1に記載の方法。
3. 前記不動態化ガス前駆体が、アンモニアまたは窒素である、項1または2に記載の方法。
4. 前記コア前駆体が、
金属形態の前記ケイ素もしくはその合金、または
前記ケイ素もしくはその合金の水素化物もしくは塩化物である、項1から3のいずれか一項に記載の方法。
5. 前記コア前駆体が、微粉末形態またはガス状形態である、項1から4のいずれか一項に記載の方法。
6. 前記コア前駆体が、微粉末形態である、項1から5のいずれか一項に記載の方法。
7. 微粉末形態の前記コア前駆体の粒子サイズが、
約1μm、約2μm、約5μm、約10μm、約15μmもしくは約20μm、もしくはそれより大きい、かつ/または
約100μm、約90μm、約80μm、約70μm、約60μmもしくは約50μm、もしくはそれ未満である、項6に記載の方法。
8. 微粉末形態の前記コア前駆体の粒子サイズが、約1μm~約100μmの間、好ましくは約20~約50μmの間である、項6または7に記載の方法。
9. 微粉末形態の前記コア前駆体のサイズ分布が、約d90/d10<3、好ましくは約2<d90/d10<3である、項6から8のいずれか一項に記載の方法。
10. 微粉末形態の前記コア前駆体が、金属形態の前記ケイ素またはその合金、好ましくはケイ素金属またはケイ素鉄、より好ましくはケイ素金属である、項6から9のいずれか一項に記載の方法。
11. 微粉末形態の前記コア前駆体が、冶金グレードケイ素金属(MG-Si)またはケイ素鉄、好ましくは冶金グレードケイ素金属(MG-Si)である、項6から10のいずれか一項に記載の方法。
12. 前記コア前駆体が、ガス状形態である、項1から5のいずれか一項に記載の方法。
13. ガス状形態の前記コア前駆体が、前記ケイ素またはその合金の水素化物または塩化物、好ましくはケイ素の水素化物または塩化物である、項12に記載の方法。
14. ガス状形態の前記コア前駆体が、シラン、トリクロロシランまたは四塩化ケイ素、好ましくはシランである、項12または13に記載の方法。
15. 前記コア前駆体が、少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも98%の純度、より好ましくは少なくとも99%の純度である、項1から14のいずれか一項に記載の方法。
16. 供給するステップc)が、前記コア前駆体をキャリアガスと混合することを含み、前記キャリアガスは、前記コア前駆体を、前記プラズマトーチ内におよび前記プラズマトーチを通して輸送し、次いで、前記ケイ素またはその合金の前記蒸気を、前記クエンチゾーンに輸送する、項1から15のいずれか一項に記載の方法。
17. 前記キャリアガスが、アルゴンである、項16に記載の方法。
18. 前記プラズマが、Ar/Hプラズマである、項1から17のいずれか一項に記載の方法。
19. 前記プラズマトーチ内でシースガスが使用される、項1から18のいずれか一項に記載の方法。
20. 前記シースガスが、アルゴン、またはアルゴンと水素および前記不動態化ガス前駆体のいずれかもしくは両方との混合物、好ましくはアルゴンと水素との混合物である、項19に記載の方法。
21. 前記クエンチガスが、前記不動態化ガス前駆体で構成される、項1から20のいずれか一項に記載の方法。
22. 前記クエンチガスが、アルゴンおよび前記不動態化ガス前駆体の混合物である、項1から20のいずれか一項に記載の方法。
23. 前記クエンチガスが、前記クエンチゾーンに導入される際に室温である、項1から22のいずれか一項に記載の方法。
24. 前記プラズマ反応器から前記ナノ粒子を排出するステップをさらに含む、項1から23のいずれか一項に記載の方法。
25. 前記ナノ粒子上に導電性炭素の層を生成するステップをさらに含む、項24に記載の方法。
26. 導電性炭素の前記層が、
前記ナノ粒子を炭素前駆体と混合して、混合物を形成すること、および
酸素の非存在下で前記混合物を熱分解して、前記ナノ粒子の表面の少なくとも一部に導電性炭素の層を形成すること
により生成される、項25に記載の方法。
27. 前記炭素前駆体が、炭素骨格を有するポリマーもしくはオリゴマー、炭水化物もしくは炭水化物ポリマー、芳香族炭化水素、またはそれらの混合物である、項26に記載の方法。
28. 前記炭素前駆体が、ポリエチレン、ポリプロピレン、グルコース、フルクトース、スクロース、キシロース、ソルボース、デンプン、セルロースもしくはそのエステル、エチレンおよびエチレンオキシドのブロックポリマー、フルフリルアルコールのポリマー、またはそれらの混合物である、項27に記載の方法。
29. 複合Si/炭素凝集体を生成するステップをさらに含む、項24に記載の方法。
30. 前記複合Si/炭素凝集体が、
前記ナノ粒子を炭素前駆体と混合して、混合物を形成すること、および
前記混合物を熱分解して、前記複合Si/炭素凝集体を形成すること
により生成される、項29に記載の方法。
31. 前記炭素前駆体が、ポリ(アクリル酸)(PAA)、カーボンブラック、例えばDenka Black、もしくは気相成長炭素繊維(VGCF)、またはそれらの混合物である、項30に記載の方法。
32. 前記炭素前駆体が、ポリ(アクリル酸)(PAA)、カーボンブラック、例えばDenka Black、および気相成長炭素繊維(VGCF)の混合物である、項31に記載の方法。
33. 前記混合物が、前記混合物の総重量を基準として約0.1~約25wt%の間、好ましくは約0.3~約1.5wt%の間の前記炭素前駆体を含む、項26から32のいずれか一項に記載の方法。
34. 前記混合物が、溶媒、好ましくは水またはメタノール、より好ましくはメタノールをさらに含む、項26から33のいずれか一項に記載の方法。
35. 前記混合物が、熱分解の前に乾燥される、項34に記載の方法。
36. 前記熱分解が、還元雰囲気中で行われる、項26から35のいずれか一項に記載の方法。
37. 前記熱分解が、約500~約1100℃の間、好ましくは約500~約800℃の間の温度で行われる、項26から36のいずれか一項に記載の方法。
38. 酸水溶液を使用して前記ナノ粒子の表面を活性化し、次いで前記ナノ粒子を官能化するステップをさらに含む、項24に記載の方法。
39. 前記ナノ粒子が前記酸水溶液と混合され、次いで官能化試薬が混合物に添加される、項38に記載の方法。
40. 前記酸水溶液が、2%HF水溶液である、項38または39に記載の方法。
41. 官能化試薬が、トリメトキシシラン、好ましくは、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシ(ビニル)シランまたはトリメトキシフェニルシランである、項38から40のいずれか一項に記載の方法。
42. 官能化ナノ粒子を単離するステップをさらに含む、項38から41のいずれか一項に記載の方法。
43. 前記官能化ナノ粒子が、好ましくは抽出相としてジクロロメタン(CHCl)を使用して、液液抽出により単離される、項42に記載の方法。
44. コアおよび前記コアを被覆する不動態層を備えるナノ粒子であって、前記コアは、ケイ素またはその合金で作製されている、ナノ粒子。
45. 項1から24のいずれか一項の方法により製造される、項44に記載のナノ粒子。
46. 前記不動態層が、
前記ケイ素もしくはその合金の窒化物の層、または
非晶質炭素の層
である、項44または45に記載のナノ粒子。
47. 前記不動態層が、前記ケイ素またはその合金の窒化物の層である、項44から46のいずれか一項に記載のナノ粒子。
48. 前記不動態層が、Siの層である、項44から47のいずれか一項に記載のナノ粒子。
49. 前記不動態層が、最大約5nmの厚さ、好ましくは最大約3nmの厚さである、項44から48のいずれか一項に記載のナノ粒子。
50. 前記コアが、ケイ素またはケイ素鉄で作製されている、項44から49のいずれか一項に記載のナノ粒子。
51. 前記コアが、ケイ素で作製されている、項44から50のいずれか一項に記載のナノ粒子。
52. 約20ナノメートル~約300ナノメートルの間の平均粒子サイズを有する、項44から51のいずれか一項に記載のナノ粒子。
53. 約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、約60nmもしくは約70nm、もしくはそれよりも大きい、かつ/または
約300nm、約280nm、約260nm、約250nm、約240nm、約220nm、約200nm、約180nm、約160nm、約150nm、約140nm、約120nm、約100nm、約90nmもしくは約80nm、もしくはそれ未満
の平均粒子サイズを有する、項44から52のいずれか一項に記載のナノ粒子。
54. 約60nm~約260nmの間、好ましくは約70nm~約100nmの間の平均粒子サイズを有する、項44から53のいずれか一項に記載のナノ粒子。
55. 200nm未満、好ましくは約100nm未満の平均直径を有する、項44から54のいずれか一項に記載のナノ粒子。
56. 約40nm~約200nmの間、好ましくは約60nm~約100nmの間の平均直径を有する、項44から55のいずれか一項に記載のナノ粒子。
57. 実質的に球形の形状である、項44から56のいずれか一項に記載のナノ粒子。
58. SiOおよびSiOH表面種を実質的に含まない、項44から57のいずれか一項に記載のナノ粒子。
59. 前記ナノ粒子の表面の少なくとも一部を被覆する導電性炭素の層をさらに備える、項44から57のいずれか一項に記載のナノ粒子。
60. 前記ナノ粒子の総重量を基準として約0.1~約10wt%の間の導電性炭素を含む、項39に記載のナノ粒子。
61. 複合Si/炭素凝集体内に含まれる、項44から57のいずれか一項に記載のナノ粒子。
62. 電極、好ましくはアノードの製造における、項44から58のいずれか一項に記載のナノ粒子の使用。
63. 項44から58のいずれか一項に記載のナノ粒子、電子伝導体および結合剤の混和物で被覆された集電体を含む電極、好ましくはアノード。
64. 前記電子伝導体が、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、炭素繊維またはグラフェン、好ましくはアセチレンカーボンブラックである、項63に記載の電極。
65. 前記結合剤が、アルギン酸ナトリウムである、項63または64に記載の電極。
66. 前記集電体が、金属箔またはグリッドである、項63から65のいずれか一項に記載の電極。
【図面の簡単な説明】
【0010】
添付の図面において:
図1図1は、ナノ粒子を合成するための、誘導プラズマトーチを実装したプラズマ反応器構成を示す図である。
図2A図2(a)は、ナノ粒子の合成に使用するための誘導プラズマトーチの断面図である。
図2B図2(b)は、同じ誘導プラズマトーチの斜視図である。
図3A図3(a)は、ナノ粒子の合成における使用のための、コア前駆体として使用されるマイクロ粒子、この場合ではケイ素金属粉末のSEM写真である。
図3B図3(b)は、ケイ素金属粉末のXRD回折を示す。
図3C図3(c)は、ケイ素金属粉末の粒子サイズ分布を示す。
図4A図4(a)は、実施例1のナノ粒子を示すSEM/EDX(TESCAN)顕微鏡写真である。
図4B図4(b)は、これらのナノ粒子のSiおよびN元素マッピングを示す。
図5図5(a)および図5(b)は、それぞれ実施例2および実施例1のナノ粒子のFT-IRスペクトルを示す。
図6図6(a)および図6(b)は、異なる倍率での実施例1のナノ粒子のSEM顕微鏡写真である。
図7図7(a)および図7(b)は、実施例1のナノ粒子(窒化物不動態層を有するケイ素ナノ粒子、クエンチガスとして窒素を使用して合成)の(それぞれ数および体積での)粒子サイズ分布を示す。
図8AB図8(a)~図8(e)は、それぞれC、N、O、Na、およびSiの元素マップを示し、他方、図8(f)は、実施例1において生成されたナノ粒子の対応する電子画像を示す。
図8CD図8(a)~図8(e)は、それぞれC、N、O、Na、およびSiの元素マップを示し、他方、図8(f)は、実施例1において生成されたナノ粒子の対応する電子画像を示す。
図8EF図8(a)~図8(e)は、それぞれC、N、O、Na、およびSiの元素マップを示し、他方、図8(f)は、実施例1において生成されたナノ粒子の対応する電子画像を示す。
図9図9は、実施例1において生成されたナノ粒子を示す顕微鏡写真である。
図10A図10(a)は、実施例1Aのナノ粒子を示すSEM/EDX(TESCAN)顕微鏡写真である。
図10B図10(b)は、これらのナノ粒子の元素マッピングを示す。
図11図11(a)および図11(b)は、異なる倍率での実施例2のナノ粒子のSEM顕微鏡写真である。
図12図12(a)および図12(b)は、実施例2のナノ粒子(不動態層がなく、クエンチガスとしてアルゴンを使用して合成)の(それぞれ数および体積における)粒子サイズ分布を示す。
図13図13は、実施例3のナノ粒子(前駆体としてシランを使用して形成された不動態層のないナノ粒子)のSEM写真である。
図14図14は、実施例4において出発材料として使用されたケイ素ナノ粒子の顕微鏡写真である。
図15図15は、トリメトキシメチルシランによるケイ素ナノ粉末の表面改質のための反応スキームを示す。
図16図16は、トリメトキシフェニルシランにより官能化されたケイ素ナノ粉末粒子のTEM顕微鏡写真を示す。
図17図17は、電極スラリー製作中のケイ素ナノ粉末の水溶媒との反応性を示す。
図18図18は、供給されたままのケイ素ナノ粉末から作製された電極、および異なるシラン(トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ(3,3,3-トリフルオロプロピル)シラン、トリメトキシメチルシラン、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、およびトリメトキシビニルシラン)による官能化処理後のケイ素ナノ粉末から作製された電極の形成サイクリングを示す。
図19図19は、供給されたままのケイ素ナノ粉末から作製された電極、および異なるシラン(トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ(3,3,3-トリフルオロプロピル)シラン、トリメトキシメチルシラン、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、およびトリメトキシビニルシラン)による官能化処理後のケイ素ナノ粉末から作製された電極の安定性サイクリングを示す。
図20図20(a)は、供給されたままのケイ素ナノ粉末粒子の顕微鏡写真であり、図20(b)は、実施例5aの複合ケイ素ナノ粉末/炭素粒子の顕微鏡写真である。
図21図21は、噴霧乾燥を使用したケイ素ナノ粉末/炭素複合体の合成を示す。
図22図22は、複合ケイ素ナノ粉末/炭素粒子から作製された電極の形成サイクリングを示す。
図23図23は、複合ケイ素ナノ粉末/炭素粒子から作製された電極の安定性サイクリングを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、コアおよびコアを被覆する不動態層を備えるナノ粒子を製造するための方法であって、コアはケイ素またはその合金で作製されている、方法に関する。本発明はまた、ナノ粒子自体、およびアノードの製作における前記ナノ粒子の使用に関する。
ナノ粒子を製造する方法
【0012】
ここで、本発明をより詳細に見てみると、参照により本明細書に組み込まれるUS8,013,269、US2012/201266A1、US6,994,837、US7,501,599、US8,859,931、およびUS2002/155059A1に記載のものを含む、ナノ粒子の合成のための誘導プラズマトーチを使用して上述の公知のプロセスからの改善が提供される。
【0013】
プラズマトーチは通常、プラズマ生成のために高純度ガスを使用するため、上述の技術を使用して従来的に生成されたナノ粒子は通常、望ましいことに表面汚染がない。しかしながら、ナノ粒子は極めて反応性のダングリングボンドを有する表面を有し、これによってナノ粒子は、望ましくない酸化物層を形成しやすい。
【0014】
例えば、ケイ素ナノ粉末が誘導プラズマトーチにより従来的に形成され、次いで周囲空気に曝露された場合、水分および酸素が即座にケイ素表面と反応し、それによりケイ素表面上にSiO層が生成される。また、以下の反応を介してシラノール(-SiOH)が生成され得る。
2Si+2HO=2SiOH+H(g)
ケイ素ナノ粉末の極めて反応性の性質のため、ナノ粉末は慎重に扱われるべきである。そのようなナノ粉末の酸化は、空気へのより長い曝露と共に増加し、電気絶縁性のSiO層の表面厚さもまた経時的に増加する。さらに悪いことに、このケイ素ナノ粉末が水性媒体を使用した(例えばリチウムイオンバッテリーにおける使用のための)複合電極の製作に直接使用される場合、水素ガスが発生して、あらゆる密閉容器を危険なほどに加圧し得る。この水素生成反応は、以下の通りである。
Si+2HO→SiO+2H
【0015】
さらに、不可避の絶縁性SiO層は、電子およびリチウムイオンの電気経路をブロックすることによりケイ素アノードの性能を劣化させる。また、ケイ素粒子における合金化反応によりリチウムイオンが還元されると、酸化物層との逆反応が安定な形態でそれを消費し、それにより電気化学電池の容量を低下させる。
【0016】
典型的には原子層堆積(ALD)反応器内で行われる化学気相堆積(CVD)は、従来のナノ粒子の生成後、その上に不動態層を堆積させるために使用され得る。しかしながら、そのような場合でも、ナノ粒子が生成されるプラズマ反応器からALD反応器にナノ粒子を移送する間、依然としてナノ粒子を空気に曝露せざるを得ない。
【0017】
本発明の方法において、ナノ粒子は、in situで(すなわち、酸素/空気および水分/水への任意の潜在的曝露の前にプラズマ反応器内で)不動態層により被覆される。この不動態層は、生成されたナノ粒子の酸素、水分および水に対する反応性を大幅に低減し、それにより酸化物層の望ましくない形成を回避、低減または抑制する。したがって、実施形態では、本発明のナノ粒子は、酸化物層が低減されており、好ましくはそれを含まない。本発明の様々な利点に関するさらなる詳細は、以下の別個のセクションにおいて提供される。
【0018】
より具体的には、ナノ粒子を製造する方法であって、各ナノ粒子は、コアおよびコアを被覆する不動態層を備え、コアは、ケイ素またはその合金で作製されており、
方法は、
a.ケイ素またはその合金を含むコア前駆体を提供するステップと、
b.コア前駆体からケイ素またはその合金の蒸気を生成させる温度でプラズマを生成する誘導プラズマトーチを備えるプラズマ反応器を提供するステップであって、プラズマトーチは、プラズマトーチの下流側に位置するクエンチゾーンと流体連通しており、クエンチゾーンは、蒸気を凝縮させる温度までクエンチガスにより冷却される、ステップと、
c.プラズマトーチ内にコア前駆体を供給し、それによりケイ素またはその合金の蒸気を生成するステップと、
d.蒸気をクエンチゾーンに移動させ、それにより蒸気を冷却し、蒸気をケイ素またはその合金で作製されたコアに凝縮させるステップと
を含み、
クエンチガスは不動態化ガス前駆体を含み、不動態化ガス前駆体は、クエンチゾーン内でコアの表面と反応して、コアを被覆する不動態層を生成し、それによりナノ粒子を生成する、方法が提供される。
【0019】
上記方法により生成されたナノ粒子の平均粒子サイズは、好ましくは約20ナノメートル~約300ナノメートルの間である。ナノ粒子の平均サイズが300nmより大きい場合、ナノ粒子がアノードの製作に使用されるとき、望ましくないことに体積および応力の変化を制御する能力が低減される。本発明の実施形態では、ナノ粒子の平均粒子サイズは、
約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、約60nmもしくは約70nm、もしくはそれよりも大きい、かつ/または
約300nm、約280nm、約260nm、約250nm、約240nm、約220nm、約200nm、約180nm、約160nm、約150nm、約140nm、約120nm、約100nm、約90nmもしくは約80nm、もしくはそれ未満である。
好ましくは、ナノ粒子の平均サイズは、約60nm~約260nmの間であり、最も好ましくは、約70nm~約100nmの間である。さらに、好ましくは、ナノ粒子の平均直径は、好ましくは200nm未満、好ましくは約100nm未満である。好ましくは、ナノ粒子は、約40nm~約200nmの間、最も好ましくは約60nm~約100nmの間の平均直径を有する。コアのサイズおよび粒子サイズ分布(PSD)は、ナノ粒子のサイズおよびPSDとほぼ同じであるが、但し、不動態層の形成に起因して、ナノ粒子のサイズがコアと比較してやや大きいことに留意されたい。
【0020】
実施形態では、ナノ粒子の粒子は、実質的に球形の形状である。
【0021】
本発明のナノ粒子のコアは、ケイ素またはその合金で作製される。ケイ素およびその合金は、アノードとして使用される場合、改善された容量を提供し、ケイ素のナノ粒子の使用は、体積および応力の変化の制御を助けることにより、得られるアノードのサイクル性能を改善する。
【0022】
コアは、ケイ素またはその合金の蒸気の凝縮により形成される。この蒸気は、コア前駆体から生成される。換言すれば、コア前駆体は、ケイ素またはその合金を含む。コア前駆体は、誘導プラズマトーチ内に供給されたときケイ素またはその合金の蒸気を生成する任意の化合物である。実施形態では、コア前駆体は、金属形態のケイ素もしくはその合金、またはその水素化物もしくは塩化物である。好ましい実施形態では、コア前駆体は、ケイ素金属またはシラン(すなわち水素化ケイ素)である。
【0023】
本発明の実施形態では、コア前駆体は、微粉末形態またはガス状形態である。
【0024】
本発明の実施形態では、コア前駆体は、微粉末形態である。微粉末前駆体の粒子サイズが大きすぎると、プラズマ誘導トーチに供給されるときに、望ましくないことに完全に気化されない可能性がある。したがって、実施形態では、得られるナノ粒子は、一部の残留コア前駆体と混合される。しかしながら、微粉末前駆体の粒子サイズが小さすぎると、表面積が増加し、これがプラズマの放射損失、ひいてはエネルギー損失を増加させ、それによりプロセスを実行するのにより多くのエネルギーが必要となる。したがって、微粉末前駆体の粒子サイズは、好ましくは約1μm~約100μmの間である。本発明の実施形態では、微粉末の粒子の平均サイズは、
約1μm、約2μm、約5μm、約10μm、約15μmもしくは約20μm、もしくはそれより大きい、かつ/または
約100μm、約90μm、約80μm、約70μm、約60μmもしくは約50μm、もしくはそれ未満である。
好ましくは、微粉末の平均サイズは、約20~約50μmの間である。好ましい実施形態では、微粉末前駆体のサイズ分布は、約d90/d10<3である。より好ましい実施形態では、微粉末前駆体のサイズ分布は、約2<d90/d10<3である。好ましい実施形態では、微粉末前駆体は、金属形態のケイ素またはその合金である。より好ましい実施形態では、微粉末前駆体は、ケイ素金属またはケイ素鉄、好ましくはケイ素金属であり、低コストの供給源から提供されるか、またはより高純度で提供され、例えば、Siemensプロセスにより得られるものなどである。実施形態では、微粉末前駆体は、冶金グレードケイ素金属(MG-Si)またはケイ素鉄である。より好ましい実施形態では、微粉末前駆体は、MG-Siである。
【0025】
本発明の代替の実施形態では、コア前駆体は、ガス状形態である。好ましいそのような実施形態では、ガス状コア前駆体は、ケイ素またはその合金の、好ましくはケイ素の水素化物または塩化物である。より好ましい実施形態では、ガス状コア前駆体は、シラン(すなわち四水素化ケイ素、SiH)、トリクロロシラン(SiHCl)または四塩化ケイ素(SiCl)である。本発明の最も好ましい実施形態では、コア前駆体は、シランである。
【0026】
コア前駆体の純度レベルに関して、高純度についての要件はない。しかしながら、生成されるナノ粒子のコアの化学組成は、コア前駆体の化学組成に直接関連する。好ましい実施形態では、コア前駆体は、少なくとも90%の純度である。より好ましい実施形態では、コア前駆体は、少なくとも98%の純度である。最も好ましい実施形態では、コア前駆体は、少なくとも99%の純度である。
【0027】
最も好ましい実施形態では、コアは、ケイ素で作製されており、コア前駆体は、冶金グレードケイ素金属(MG-Si)またはシランである。
【0028】
プラズマは、当技術分野において周知であるようにガスからプラズマトーチにより生成される。したがって、プラズマは、キャリアガスおよび中心ガスを含み得る。好ましい実施形態では、プラズマは、ArおよびHの混合物を含む。プラズマは、コア前駆体から生成された蒸気をさらに含む。
【0029】
本発明の供給ステップc)は、一般に当技術分野において公知であるように行うことができる。ステップc)は、典型的には、コア前駆体をキャリアガスと混合することを含み、キャリアガスは、コア前駆体を、誘導プラズマトーチ内におよび誘導プラズマトーチを通して輸送し、次いで、得られる蒸気をクエンチゾーンに輸送する。キャリアガスは、コア前駆体と有害に反応しない当技術分野において一般に公知である任意のキャリアガスであり得る。本発明の好ましい実施形態では、キャリアガスは、アルゴンを含む。キャリアガスは、ヘリウム等の他のガスをさらに含んでもよい。
【0030】
供給速度は、キャリアガス中のコア前駆体の濃度、ならびにコア前駆体が誘導プラズマトーチ内におよび誘導プラズマトーチを通って通過する速さに影響する。コア前駆体が固体粉末形態である場合、供給速度が速すぎるとき、コア前駆体の一部が気化しない可能性がある。しかしながら、供給速度が遅すぎると、供給が経時的に安定でなくなる可能性があり、また凝縮ステップが適切に生じない可能性がある。したがって、供給速度は、コア前駆体の完全気化が確実となるように十分遅い速度であるべきであり、得られる蒸気の適切な凝縮が確実となるように十分速い速度であるべきである。当然ながら、コア前駆体が固体粉末形態である場合、必要な供給速度はコア前駆体のサイズおよびサイズ分布、ならびにプラズマトーチの出力を含む反応器に依存する。
【0031】
プラズマ反応器は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるUS8,013,269、US2012/201266A1、US6,994,837、US7,501,599、US8,859,931、およびUS2002/155059A1に記載のもの、ならびに図1に示されるものを含む、当技術分野において公知であるような任意の反応器であり得る。反応器は、コア前駆体からケイ素またはその合金の蒸気を生成させる温度でプラズマを生成する誘導プラズマトーチを含む。プラズマトーチは、プラズマトーチの下流側に位置するクエンチゾーンと流体連通する。クエンチゾーンは、蒸気を凝縮させる温度までクエンチガスにより冷却される。
【0032】
本発明の誘導プラズマトーチは、コア前駆体からケイ素またはその合金の蒸気を生成することができる、当技術分野において公知である任意の誘導プラズマトーチであり得る。換言すれば、トーチにより生成されるプラズマは、コア前駆体から出発して蒸気を生成させる温度にある。蒸気生成は、物理変化(例えば前駆体の蒸発もしくは昇華)および/または化学変化(例えば前駆体の解離もしくは分解)を介して生じ得る。好ましい実施形態では、誘導プラズマトーチは、US5,200,595、US9,380,693、US6,693,253に記載の誘導プラズマトーチ、PQ-35 Tekna製誘導プラズマトーチ、PL-35 Tekna製誘導プラズマトーチ、PL-50 Tekna製誘導プラズマトーチ、PL-70 Tekna製誘導プラズマトーチ、PL-100 Tekna製誘導プラズマトーチ、PN-70 Tekna製誘導プラズマトーチ、PN-35 Tekna製誘導プラズマトーチ、またはPN-50 Tekna製誘導プラズマトーチ、ならびに図2(a)および図2(b)に示されるトーチのいずれか1つである。より好ましい実施形態では、誘導プラズマトーチは、PN-35 Tekna製誘導プラズマトーチである。
【0033】
本発明の実施形態では、プラズマトーチは、シースガスの使用を実装する。シースガスは、プラズマの安定化を助け、閉込め媒体としてプラズマ閉込め管を保護するガスである。シースガスは、当技術分野において公知である任意のシースガスであり得る。本発明の実施形態では、シースガスは、アルゴン、アルゴンおよび水素の混合物、アルゴンおよび不動態化ガス前駆体の混合物、またはアルゴン、水素および不動態化ガス前駆体の混合物である。好ましい実施形態では、シースガスは、アルゴンおよび水素の混合物である。
【0034】
実施形態では、プラズマ反応器は、図1に示されるように、(誘導プラズマトーチにコア前駆体を供給するための)供給部、サイクロンコレクタ、およびフィルタコレクタをさらに備えてもよい。
【0035】
クエンチガスの注入は、本発明の方法の間、クエンチゾーン内でクエンチガスが蒸気と接触するように行われる。クエンチガスは、蒸気を凝縮させる温度までクエンチゾーンを冷却する。典型的には、凝縮は、蒸気がクエンチガスと接触する際に生じる。しかしながら、いくつかの場合において、蒸気はプラズマ反応器を通って移動する間に冷えるため、凝縮は、蒸気がクエンチガスに達する前に開始し得る。
【0036】
クエンチガスは、プラズマおよび蒸気と有害に反応しない限り、ならびに不動態化ガス前駆体を含有する限り、当技術分野において公知である任意のクエンチガスであってよい。好ましい実施形態では、クエンチガスは、完全に不動態化ガス前駆体で構成されてもよい。本発明の他の実施形態では、クエンチガスは、アルゴン等の公知のクエンチガスおよび不動態化ガス前駆体の混合物である。
【0037】
クエンチガスがクエンチゾーンに導入される温度は、蒸気の凝縮、およびコアの不動態化ガス前駆体との反応に影響する。クエンチガスが蒸気と接触する温度は、コアのサイズおよび粒子サイズ分布(PSD)の決定を助ける。具体的には、より冷たいクエンチガスは、蒸気が凝縮する速度を増加させ、それによりコアの粒子サイズおよびPSDを減少させる。逆に、より熱いクエンチガスは、一般に、粒子サイズおよびPSDの増加をもたらす。同様に、より高い温度は、コアが不動態化ガス前駆体と反応する時間を増加させ、これはより厚い不動態層をもたらし、一方、より低い温度は、一般に、より薄い不動態層をもたらす。したがって、クエンチガスがプラズマ流に導入される温度は、所望のサイズおよびPSDのコアを生成するのに十分であるべきであり、また所望の厚さを有する不動態層を生成するのに十分な時間コアを不動態化ガス前駆体と反応させるのに十分であるべきである。当然ながら、温度範囲は、使用される蒸気、具体的にはケイ素またはその合金の化学組成に依存する。本発明の好ましい実施形態では、クエンチガスは、室温で導入される。
【0038】
不動態化ガス前駆体は、コアと反応するとコア上に所望の不動態層を生成するガスである。好ましい実施形態では、不動態化ガス前駆体は、アンモニア、窒素、メタンまたはアセチレンである。より好ましい実施形態では、不動態化ガス前駆体は、アンモニアまたは窒素である。
【0039】
不動態層は、コアの表面上での不動態化ガス前駆体の化学反応により、コア上に形成される。不動態層は、一度形成されると、コアを酸素および他の汚染物質との反応から保護しつつ、ナノ粒子との望ましくない反応も生じない、任意の層であり得る。上述のように、不動態層の組成は、選択される不動態化ガス前駆体に依存する。例えば、アンモニアまたは窒素の不動態化ガス前駆体は、ケイ素またはその合金の窒化物で作製されている不動態層をもたらし、一方メタンまたはアセチレンの不動態化ガス前駆体は、非晶質炭素不動態層をもたらす。本発明の実施形態では、不動態層は、窒化物不動態層または非晶質炭素不動態層である。より好ましい実施形態では、不動態層は窒化物不動態層であり、ナノ粒子がケイ素である場合のより好ましい実施形態では、不動態層はSiである。
【0040】
一般に、クエンチガス中のより高濃度の不動態化ガス前駆体は、より多くの不動態化ガス前駆体分子が所与の時間内にコアと反応する機会を有するため、より厚い不動態層をもたらし、一方、より低濃度の不動態化ガス前駆体は、一般により薄い不動態層をもたらす。したがって、不動態化ガス前駆体の濃度は、所望の不動態層厚となるように調整されるべきである。
【0041】
蒸気の凝縮は、クエンチゾーン内で蒸気が冷える際に生じ、それによりコアが形成される。前述のように、蒸気をより急速に冷却すると、一般に蒸気が凝縮される速度が増加し、それによりコア(ひいてはナノ粒子)の粒子サイズおよびPSDが減少する。逆に、蒸気が冷える速度を低下させると、一般に粒子サイズおよびPSDが増加する。蒸気の冷却速度は、前述のように、クエンチガスの温度と共に、クエンチゾーンの温度を決定する任意の他の因子、例えば蒸気の元の温度等に依存する。
【0042】
クエンチゾーン内でコアが不動態化ガス前駆体に曝露されると、コア上に不動態層が形成され、ここで、不動態化ガス前駆体は、コアの表面上で反応を生じ、それにより所望の不動態化層を生成する。上述のように、本発明の方法により、不動態層の生成はプラズマ反応器内でin situで行われる。この不動態層は、ナノ粒子の酸素/空気および水分/水に対する反応性を低減し、それにより酸化物層の形成を回避、低減または抑制する。
【0043】
コアの不動態化ガス前駆体との反応は、反応を生じさせる温度範囲内の温度でコアが不動態化ガス前駆体と接触するときに生じる。この温度範囲は、当然ながら、コアおよび不動態化ガス前駆体の両方の性質に依存する。さらに、言うまでもなく、この温度範囲の下限は、蒸気が凝縮してコアが形成する温度より低くなければならず、さもなくば、反応が生じる必要のある温度でコアが形成されない。例えば、ナノ粒子がケイ素であり、不動態化ガス前駆体がNである場合、反応温度は、約3265℃(ケイ素の気化点)未満でありながら、利用可能な滞留時間の間SiおよびNが反応するための最低温度より上に維持されなければならない。
【0044】
不動態層の厚さは、多くの因子に依存するが、最終的には、コアの表面上の不動態化ガス前駆体の反応の程度によって決定される。反応がより高い程度まで生じると、一般により厚い不動態層がもたらされ、またその逆も成り立つ。本発明の方法において、以下の因子が、不動態層の厚さを増加させる傾向を有する。
・温度が、蒸気の凝縮が生じるには十分低いが、ナノ粒子と不動態化ガス前駆体との間の反応が生じるのに十分高いクエンチゾーンの前記部分においてコアが滞在する時間の増加。これは、以下によって増加され得る。
- クエンチゾーンのこの部分の体積の増加。
- クエンチゾーンの前記部分におけるコアの移動速度の減少(中心ガス流速および粉末キャリア流速に依存する)。
・クエンチゾーン内のコアの濃度の増加。
・クエンチゾーン内の不動態化ガス前駆体の濃度の増加。
・不動態化ガス前駆体の温度の増加。
・滞留時間を増加させるための、参照により本明細書に組み込まれるUS9,516,734に記載のような補助的加熱の提供。
【0045】
電子およびイオンに対する層の伝導特性を保つために、不動態層の厚さは、好ましくは最大約5nm、好ましくは最大約3ナノメートルである。したがって、上記因子は、ナノ粒子および不動態化ガス前駆体の組成を考慮して、そのような不動態層を生成するために当業者に周知であるように調節され得る。
【0046】
プラズマトーチの以下の設定もまた、供給、凝縮および反応ステップのための理想的環境を提供するために調節され得る:プレート出力、シースガス流速、プローブの存在、プローブシースガス流速、および反応器圧力。
【0047】
好ましくは、コア前駆体がMG-Siである場合、方法は、以下の条件下で行うことができる。
・プラズマトーチ:PN-35トーチ
・Ar/Hプラズマ
・プレート出力:50kW
・シースガス流速:(10slpm H+70slpm Ar)
・中心ガス流速:20slpm Ar
・SG953/260プローブ
・プローブシースガス流速:10slpm Ar
・粉末キャリア流速:6slpm Ar
・反応器圧力:15psia
・クエンチガス流:
- 下部クエンチセクションにおけるQ1=300lpm N
- 上部クエンチセクションにおけるQ2=700lpmリサイクルガス
ナノ粒子のさらなる改質-導電性炭素層
【0048】
本発明の追加的な実施形態では、上述の方法は、ナノ粒子の生成およびプラズマ反応器からの排出後に、ナノ粒子上の導電性炭素の層の生成をもたらす以下のステップをさらに含む。
a)ナノ粒子を炭素前駆体と混合して、混合物を形成するステップ、および
b)混合物を熱分解してナノ粒子の表面の少なくとも一部に導電性炭素の層を形成するステップ。
【0049】
混合するステップは、ナノ粒子および炭素前駆体が十分に混合される限り、任意の様式で行うことができる。これは、混合がナノ粒子または炭素前駆体のいずれかとの化学反応をもたらさない限り、例えば高エネルギーミキサー(SPEX)もしくは高せん断ミキサー(アグロマスタ、ホソカワミクロン)等の機械的ミキサーにより、またはさらには手作業で行われてもよい。
【0050】
導電性炭素の層の被覆程度、および層の厚さは、混合物のナノ粒子:炭素前駆体重量比に依存する。導電性炭素層の厚さはまた、混合物がどれほど均一に混合されているかに依存する。
【0051】
炭素前駆体は、ナノ粒子と望ましくない反応を生じず、熱分解されると導電性炭素層を形成する任意の有機化合物である。炭素前駆体は、熱分解ステップ後に得られる材料の粒子が本質的にナノ粒子の形態および粒度分析分布を有するように選択される。炭素前駆体は、熱分解の時点で炭素ブリッジ(架橋)を構成する炭素導電体の堆積物をナノ粒子の表面(層)上および/またはナノ粒子間に残すように選択される。好ましい実施形態では、炭素前駆体は、炭素骨格を有するポリマーもしくはオリゴマー、炭水化物(例えば糖)もしくは炭水化物ポリマー、芳香族炭化水素、またはそれらの混合物である。
【0052】
より好ましい実施形態では、炭素前駆体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、グルコース、フルクトース、スクロース、キシロース、ソルボース、デンプン、セルロースもしくはそのエステル、エチレンおよびエチレンオキシドのブロックポリマー、フルフリルアルコールのポリマー、またはそれらの混合物である。
【0053】
好ましい実施形態では、混合物中に存在する炭素前駆体の量は、好ましくは、混合物の総重量を基準として約0.1~約25wt%の間、より好ましくは約0.3~約1.5wt%の間である。
【0054】
好ましい実施形態では、炭素前駆体は、ナノ粒子との混合の時点で容易に分散可能であるように選択される。密なおよび/または均質な混合物は、好ましくは、溶媒の存在下または非存在下での激しい撹拌により、および/または機械的粉砕により、および/または超音波均質化により、あるいは1種もしくは複数種の前駆体の溶液および/または懸濁液および/またはエマルジョンの噴霧乾燥により生成される。溶媒は、ケイ素と反応することなく炭素前駆体を溶解する低沸点液体、例えばヘキサン、トルエン、イソプロパノール、アセトンである。
【0055】
したがって、本発明の方法の好ましい実施形態では、混合は、ナノ粒子および炭素前駆体を乾燥状態または溶媒中で密に粉砕すること、および必要な場合には乾燥することをさらに含み、熱分解は、制御還元雰囲気によるスカベンジングを伴う熱加工を含む。
【0056】
混合ステップa)の間、混合物は、溶媒をさらに含んでもよい。溶媒は、ナノ粒子とも炭素前駆体とも有害に反応しない当技術分野において公知である任意の溶媒である。実施形態では、溶媒は、水またはメタノールである。好ましい実施形態では、溶媒は、メタノールである。
【0057】
実施形態では、混合物は、熱分解ステップの前に乾燥される。このステップは、溶媒が使用される場合、溶媒を蒸発させるために使用され得る。本発明の好ましい実施形態では、混合物は、噴霧乾燥機、例えばMini噴霧乾燥機、Buchi、モデルB-290を使用して乾燥される。
【0058】
熱分解ステップは、炭素前駆体が分解し、それによりナノ粒子上に導電性炭素層を残すように酸素(または任意のハロゲン)の非存在下で混合物を加熱することを含む。このステップは、当技術分野において公知である任意の熱分解技術を使用して行うことができる。熱分解が生じるために必要な温度は、選択される炭素前駆体に依存する。本発明の好ましい実施形態では、炭素前駆体は、不活性雰囲気(N)中で管状炉を使用して熱分解される。
【0059】
好ましい実施形態では、熱分解は、還元雰囲気の存在下で通常の温度から約500~約1100℃の間の温度まで加熱することにより行われる。より好ましい実施形態では、温度は、約500~約800℃の間である。
【0060】
好ましい実施形態では、熱分解後の導電性炭素の量は、ナノ粒子の総重量を基準として約0.1~約10wt%の間である。
【0061】
導電性炭素層は、炭素前駆体が分解する際にナノ粒子上に形成される。当然ながら、導電性炭素層の正確な組成は、炭素前駆体の組成に依存する。
ナノ粒子のさらなる改質-Si/炭素凝集体の形成
【0062】
本発明の追加的な実施形態では、上述の方法は、ナノ粒子の生成およびそのプラズマ反応器からの排出後に、複合Si/炭素凝集体の生成をもたらす以下のステップをさらに含む。
a)ナノ粒子を炭素前駆体と混合して、混合物を形成するステップ、および
b)混合物を熱分解して、複合Si/炭素凝集体を形成するステップ。
【0063】
これらの2つのステップは、好ましい実施形態では、炭素前駆体は、ポリ(アクリル酸)(PAA)、カーボンブラック、例えばDenka Black、もしくは気相成長炭素繊維(VGCF)、またはそれらの任意の混合物である以外は前のセクションで定義した通りである。より好ましい実施形態では、炭素前駆体は、ポリ(アクリル酸)(PAA)、カーボンブラック、例えばDenka Black、および気相成長炭素繊維(VGCF)の混合物である。
ナノ粒子のさらなる改質-官能化
【0064】
本発明の追加的な実施形態では、上述の方法は、ナノ粒子を官能化するステップをさらに含む。この官能化のステップは、ナノ粒子成分に依存して、当技術分野において公知である任意の技術を使用して行うことができる。
【0065】
実施形態では、ナノ粒子は、まずそれらを酸水溶液で活性化し、次いで例えばそれらを官能化試薬と反応させることでそれらを官能化することによって官能化される。活性化および官能化は共に、ナノ粒子を酸水溶液と混合し、次いで官能化試薬を添加することにより行うことができる。この混合は、当技術分野において公知である任意の技術を使用して行われ、ナノ粒子を活性化させ、その後官能化させるのに十分な時間および十分な温度で行われる。本発明の実施形態では、混合は、磁気撹拌棒を使用して行われる。
【0066】
本発明の実施形態では、ナノ粒子は、まず酸溶液中に混合され、次いで官能化試薬と混合され得る。酸溶液は、所望の官能基がナノ粒子の表面に導入されるようにナノ粒子を追加的な化合物と反応性にする任意の酸溶液である。本発明の実施形態では、酸溶液は、2%HF水溶液である。
【0067】
追加的な化合物は、ナノ粒子の表面上に導入される官能基を決定する。したがって、追加的な化合物は、所望の官能基に基づいて選択される。官能基は、ナノ粒子を水分、空気酸化、水分解(H発生)からさらに保護しながら、リチウムイオン電池内の電解質との反応性を低下させる、または結合剤との接着促進剤として使用されるように選択され得る。好ましい実施形態では、官能基は、シラン層である。実施形態では、追加的な化合物は、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシ(ビニル)シランおよびトリメトキシフェニルシランなどのトリメトキシシランである。
【0068】
本発明の好ましい実施形態では、方法は、液液抽出により水性反応混合物から官能化ナノ粒子を単離するステップをさらに含んでもよい。実施形態では、抽出は、抽出相としてジクロロメタン(CHCl)を使用して行われる。さらなる実施形態では、水相からの抽出相の分離は、遠心分離を使用して行われる。さらなる実施形態では、酸を含有する水相は、ナノ粒子を含有するジクロロメタン相から分離され、次いで必要に応じて、任意の微量の酸を除去するためにジクロロメタン相が水で洗浄される。追加的な実施形態では、ナノ粒子の懸濁液を含有するジクロロメタン相は、次いで例えば噴霧乾燥機を使用して乾燥される。
ナノ粒子
【0069】
別の態様では、本発明は、コアおよびコアを被覆する不動態層を備えるナノ粒子を提供し、コアはケイ素またはその合金で作製されている。
【0070】
ナノ粒子は、不動態層で被覆された、ケイ素またはその合金で作製されたコアを備える。実施形態では、ナノ粒子は、SiOおよびSiOH表面種を実質的に含まない。
【0071】
実施形態では、ナノ粒子の粒子は、実質的に球形の形状である。
【0072】
ナノ粒子、コア、ケイ素およびその合金、ならびに不動態層は、全て前のセクションにおいて説明した通りである。しかしながら、これらの要素は明確性のために以下で再び議論される。
【0073】
我々は、本発明のナノ粒子のコアが、ケイ素またはその合金を含むことを上で述べた。実際は、コアは好ましくはケイ素またはその合金を含みながら、本発明の方法は、任意のIVa族元素またはその合金で作製されていてもよいコアを有するナノ粒子を生成するために使用され得る。
【0074】
本発明の好ましい実施形態では、ナノ粒子のコアは、ケイ素で作製されている。
【0075】
不動態層は、ナノ粒子のコアを被覆し、酸素/空気および水分/水に対するその反応性を低減する。不動態層は、ナノ粒子が酸素/空気および水分/水と反応するのを防止しながら、アノードとして使用された際にその性能を阻害しない、任意の層であり得る。実施形態では、不動態層は、ケイ素もしくはその合金の窒化物または非晶質炭素層である。本発明の好ましい実施形態では、不動態層は、ケイ素またはその合金の窒化物である。好ましい実施形態では、不動態層は、Siである。
【0076】
好ましい実施形態では、不動態層は、最大約3ナノメートルの厚さである。
【0077】
好ましい実施形態では、ナノ粒子の平均サイズは、約20ナノメートル~約300ナノメートルの間である。本発明の実施形態では、ナノ粒子の平均粒子サイズは、
約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、約60nmもしくは約70nm、もしくはそれよりも大きい、かつ/または
約300nm、約280nm、約260nm、約250nm、約240nm、約220nm、約200nm、約180nm、約160nm、約150nm、約140nm、約120nm、約100nm、約90nmもしくは約80nm、もしくはそれ未満である。
好ましくは、ナノ粒子の平均サイズは、約60nm~約260nmの間であり、最も好ましくは、約70nm~約100nmの間である。さらに、好ましくは、ナノ粒子の平均直径は、好ましくは200nm未満、好ましくは約100nm未満である。好ましくは、ナノ粒子は、約40nm~約200nmの間、最も好ましくは約60nm~約100nmの間の平均直径を有する。
【0078】
実施形態では、
【0079】
【0080】
好ましい実施形態では、ナノ粒子は、前のセクションに記載した方法を使用して製造されている。
ナノ粒子の使用
【0081】
本発明の実施形態では、ナノ粒子は、電極の、最も好ましくはアノードの製作に使用される。実際、微小サイズのナノ粒子は、それらがアノードに使用された場合に、改善されたサイクル性能を可能にする。サイズの低減は、ナノ粒子の体積および応力の変化の制御に役立つ。
【0082】
アノードは、ナノ粒子(不動態層およびコアを含む)の組成を考慮して、ナノ粉末からアノードを作製する公知の任意の方法を使用して製作され得る。さらなる実施形態では、前記アノードは、電気化学電池または電気化学的貯蔵エネルギー装置用のものであり、好ましい実施形態では、リチウムイオン二次バッテリー用を含む。
【0083】
実施形態では、アノードは、ナノ粒子を電子伝導体、結合剤および溶媒と混合してスラリーを形成することにより製作される。次いで、スラリーを集電体全体に塗り伸ばすことができ、ここで、溶媒が蒸発し、所望の電極が残される。
【0084】
本発明の実施形態では、電子伝導体は、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、炭素繊維またはグラフェンである。好ましい実施形態では、電子伝導体は、アセチレンカーボンブラック、例えばDenka Blackである。
【0085】
実施形態では、結合剤は、ナノ粒子を互いにおよび基材に結合する、絶縁性または導電性ポリマーである。本発明の好ましい実施形態では、結合剤は、アルギン酸ナトリウムである。
【0086】
溶媒は、ナノ粒子、結合剤および電子伝導体と有害に反応しない、当技術分野において公知である任意の溶媒である。好ましい実施形態では、溶媒は、水である。
【0087】
好ましい実施形態では、約8500cPの粘度を達成するように溶媒として水を使用して、ナノ粒子、アセチレンカーボンブラック(Denka Black)、およびアルギン酸ナトリウムが、約50:25:25の体積比で混合される。
【0088】
ナノ粒子、電子伝導体、結合剤および溶媒は、当技術分野において公知である任意の方法を使用して混合され得る。好ましい実施形態では、それらは、高エネルギーミキサー、例えばSPEX Certiprepを用いて混合される。
【0089】
集電体は、スラリーと有害に反応しない公知の任意の集電体である。実施形態では、集電体は、薄い金属箔またはグリッドである。好ましい実施形態では、集電体は、銅箔である。
【0090】
好ましい実施形態では、スラリーは、およそ0.6mg/cmの投入量を達成するように集電体上にコーティングされる。
【0091】
溶媒を蒸発させるステップは、当技術分野において公知である任意の方法を使用して行うことができる。実施形態では、電極は、対流炉内で、穏やかな真空下で、またはそれらの組合せを使用して乾燥される。好ましい実施形態では、電極は、その後対流炉内で75℃で予備乾燥され、次いで穏やかな真空下で110℃で12時間乾燥される。
本発明の利点
【0092】
実施形態では、本発明は、以下の利点の1つまたは複数を有する。
【0093】
非晶質炭素または窒化物等の安定な不動態層のin situでの適用は、生成されたナノ粒子の酸素/空気、水分/水およびリチウムイオン電池の電解質との反応性を低減する。不動態層は、ナノ粒子の表面での望ましくない酸化物層の形成を防止、低減または抑制する。高レベルの酸素はリチウムイオンバッテリー用途において使用されるアノードの電気化学的性能に悪影響を与えるため、酸化物層は極めて望ましくない。したがって、本発明のナノ粒子は、SiO種を実質的に含まず、より酸化物層を形成しにくいため、前記ナノ粒子を使用して製作されたアノードの性能は改善される。さらに、不動態層の薄さは、電子およびイオンに対する層の伝導特性を保つのを助ける。
【0094】
本発明は、不動態化層を有するナノ粒子を製作するための単純な方法を提供する。プラズマ反応器内でin situで不動態層を形成することにより、望ましいことに全てのステップが1つの単純な操作に統合される。また、望ましくない表面酸化物層の形成が回避、低減または抑制、好ましくは回避され、それにより酸素レベルが低減される。不動態層の形成は、プラズマ反応器内で生じるため、ナノ粒子生成後に行われる別個のプロセスと比較すると、本発明のナノ粒子が適切に保護される前に空気に曝露される機会がはるかに低減される。その結果、ナノ粒子合成プロセスは単純化され、プロセスの安全性が改善され、汚染源が除去され、プロセスのコストが低減される。
【0095】
アノードの製作に使用される場合、本発明のナノ粒子は、不可逆的容量の低減によって、改善されたサイクル性能、および改善されたバッテリー性能を提供する。具体的には、微小サイズの粒子は、それらが経験する体積変化および応力の制御を助けながら、ナノ粒子に存在する酸素の低減が、リチウムによる酸素の還元を防止することにより、高い不可逆的容量の回避を助ける。
【0096】
さらに、ナノ粒子を導電性炭素層でさらにコーティングすることにより、体積変化が存在する場合でも電気経路が維持される。したがって、これは、集電体との接触が失われることを回避するのを助ける。
定義
【0097】
本発明の説明の文脈において(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)、「a」および「an」および「the」という用語ならびに同様の呼称の使用は、本明細書において別段の指定がない限り、または文脈により明確に矛盾しない限り、単数および複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。
【0098】
「備える」、「有する」、「含む」および「含有する」という用語は、別段に指定されない限り、非制限的用語である(すなわち「含むがそれに限定されない」ことを意味する)と解釈されるべきである。
【0099】
本明細書において別段の指定がない限り、本明細書における値の範囲の列挙は、単に、その範囲内に含まれるそれぞれの別個の値を個々に示す簡単な方法として働くことを意図し、それぞれの別個の値は、それが個々に本明細書において列挙されているのと同等に本明細書に組み込まれる。範囲内の値の全ての部分集合もまた、個々に本明細書において列挙されているのと同等に本明細書に組み込まれる。
【0100】
本明細書に記載の方法は全て、本明細書において別段の指定がない限り、または文脈により別段に明確に矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行され得る。
【0101】
本明細書に提供のありとあらゆる例または例示的言語(例えば「等」)の使用は、単に本発明をより良く例示することを意図し、別段に特許請求されない限り、本発明の範囲を制限するものではない。
【0102】
明細書におけるいかなる言語も、本発明の実践に必須であるいずれかの特許請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0103】
本明細書において、「約」という用語は、その通常の意味を有する。実施形態では、これは、適格な数値のプラスもしくはマイナス10%、またはプラスもしくはマイナス5%を意味し得る。
【0104】
別段に定義されていない限り、本明細書において使用される技術的および科学的用語は全て、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
【0105】
本発明の他の目的、利点および特徴は、添付の図面を参照して例示のみを目的として提供される、以下の具体的実施形態の非制限的な説明を読むことにより、より明らかとなる。
例示的実施形態の説明
【0106】
本発明は、以下の非限定的な例によってさらに詳細に例示される。
【実施例
【0107】
(実施例1)
ケイ素金属粉末を使用して得られた本発明によるナノ粒子
この実験では、コア前駆体としてケイ素金属粉末を使用した。具体的には、SI-102ケイ素金属粉末(Atlantic Equipment Engineers製)を使用した。粉末のSEM顕微鏡写真を図3(a)に示す。そのX線回折パターンを図3(b)に示す。この金属粉末の粒子サイズ分布を図3(c)に示すし、これはおよそ10ミクロンの平均粒子サイズを示している。ケイ素金属粉末は、約0.207%のO不純物を含有していた。
【0108】
金属粉末を誘導プラズマトーチに注入した。その構成を図1に示す。合成のための誘導プラズマトーチの操作条件は、以下の通りであった。
プラズマトーチ:PN-35トーチ
Ar/Hプラズマ
プレート出力:50kW
シースガス流速:(10slpmのH+70slpmのAr)
中心ガス流速:20slpmのAr
SG953/260プローブ(コイル中心から1cm下)
プローブシースガス流速:10slpmのAr
粉末キャリア流速:6slpmのAr
反応器圧力:15psia
クエンチガス流:
下部クエンチセクションにおけるQ1=300lpmのN
上部クエンチセクションにおけるQ2=700lpmのリサイクルガス
【0109】
上記実験では、図4(a)および(b)に示されるような、窒化ケイ素(Si)不動態層を有するケイ素ナノ粒子が生成された。この層は、図4(a)に示される顕微鏡写真において、より薄い色の領域として現れる。不動態層の存在はまた、得られた粒子において測定される窒素の存在(N%=4.6%)によって実証される。図4(b)を参照されたい。図5(b)において確認され得るように、これらのナノ粒子は非常に微量の酸素(O%=0.79%)を含有していたが、これは、ナノ粒子の表面上に非常に微量のSiOが形成されたことを意味する。図6(a)および図6(b)は共に、生成されたナノ粒子を示す顕微鏡写真であり、一方、図7(a)および図7(b)はそれぞれ、生成されたナノ粒子の数および体積での粒子サイズ分布を示す。
【0110】
図8(a)~(e)は、生成されたナノ粒子に対して測定された元素マップおよび対応する電子画像(図8(f))を示す。これらの結果もまた、窒化ケイ素(Si)不動態化層の存在を示している。
【0111】
図9は、これらのナノ粒子が球形の形状であり、直径が20~300nmの間であったことを示している。粒子の平均サイズは非常に小さかった(およそ85nm)。これによってさらにナノ粒子がアノードの製作における使用に理想的となる。
(実施例1A)
ケイ素金属粉末を使用して得られた本発明によるナノ粒子
本発明のナノ粒子の別のバッチを、上記プロセスに従って調製した。図10(a)は、得られたナノ粒子を示すSEM/EDX(TESCAN)顕微鏡写真である。図10(b)は、これらのナノ粒子の元素マッピングを示す。Siナノ粒子の表面に、窒素に富む相が明確に認められる。測定されたNM量は、およそ2wt%である。
(実施例2)
不動態層のないナノ粒子(比較例)
【0112】
この実験では、実施例1において使用されたのと同じケイ素金属粉末を使用した。また、実施例1と同じ構成を使用して、ケイ素金属粉末を誘導プラズマトーチに注入した。クエンチガスとしてNの代わりにArを使用した以外は、また、実施例1と同じ条件下で実験を行った。
【0113】
得られたナノ粒子は、窒化物不動態層を有しなかった(ケイ素および酸素のみが存在していたため)。結果として、これらのナノ粒子にはより多量の酸素が存在したが、これはおそらくナノ粒子の表面上でのSiOの形成によるものである。この酸素含量の増加は図5(a)において確認することができ、酸素の存在がより多いことが明らかである(0.79%と比較して1.233%)。したがって、実施例1では微量の窒素が存在するが、それでも存在する酸素の量は減少していた。
【0114】
図11(a)および図11(b)は共に、不動態層が生成されないナノ粒子を示す顕微鏡写真であり、一方、図12(a)および図12(b)はそれぞれ、不動態層が生成されないナノ粒子の数および体積での粒子サイズ分布を示す。粒子の平均サイズもまた、クエンチガスとしてNを使用した場合よりも大きかった(121nm)。これは、クエンチガスとして使用された場合、Arに対するNのより高い熱容量および熱伝導率に起因して、NがArよりも高い冷却速度を提供するためである。
(実施例3)
シランを使用して得られたケイ素ナノ粒子
3a-不動態層のないナノ粒子
【0115】
この実施例は、シランからケイ素ナノ粒子を得ることができることを示す。
【0116】
我々は、誘導プラズマトーチ内にケイ素金属粉末の代わりにシランを供給することにより、ケイ素ナノ粒子を生成した。クエンチガスはアルゴンであった。実験構成はまた図1において示される通りであった。
【0117】
ケイ素ナノ粒子が得られ、これは図13において確認され得る。10gの試料サイズで、得られたBETは54m/g=48nmであった。クエンチガス中に不動態化ガス前駆体は存在しなかったため、ナノ粒子上に窒化物不動態層は形成されなかった。
3b-本発明によるナノ粒子
【0118】
コア前駆体としてシランを使用してナノ粒子を得ることができることを示す実施例3aに基づいて、本発明による不動態層を有するナノ粒子もまた同様に、シランを使用して得ることができる。実施例3ではクエンチガスはアルゴンであった(不動態層が形成されないことを意味する)が、不動態層を有するナノ粒子は、同じまたは同様の条件および構成を使用し、上で規定された不動態化ガス前駆体を含有するクエンチガスを使用して形成され得る。
(実施例4)
ケイ素ナノ粒子の表面官能化
4a-不動態層を有さないナノ粒子の表面官能化
【0119】
この実施例は、不動態層のないケイ素ナノ粒子の表面が官能化され得ることを示す。出発ナノ粒子は図14で示され得るが、自然の表面酸化物層が認められる。
【0120】
不動態層のない10グラムのケイ素ナノ粒子を、Nalgeneビーカー(600mL)に入れ、100mLの2%HFを添加した。ミックスを磁気撹拌器でガス発生が停止するまで(1時間)激しく撹拌した。2.0mLの量のトリメトキシシランをミックスに添加した。表面改質反応を生じさせるために、ミックスを室温で2時間撹拌した(図15の反応スキームを参照されたい)。
【0121】
50mLのジクロロメタン(CHCl)を使用した液液抽出により、反応混合物からケイ素ナノ粒子を分離した。HFを含有する水相をジクロロメタンから分離し、抽出相を水で洗浄していかなる微量のHFも除去した。噴霧乾燥機(Mini噴霧乾燥機、Buchi、モデルB-290)を使用して、ケイ素ナノ粒子の懸濁液を乾燥させた。
【0122】
シラン層はケイ素ナノ粒子を被覆し(厚さ3~4nm)(図16のナノ粒子を参照されたい)、それを水分および空気酸化、水分解(H発生)から保護し、リチウムイオン電池内の電解質との反応性を低下させる。
【0123】
官能化ケイ素ナノ粉末は、図17に示されるように、ケイ素が水と反応して水素ガスを生成するのを防止し、ここで、水と混合された際の不動態層のないケイ素ナノ粒子と官能化ケイ素ナノ粒子との反応同士が10分後および24時間後で比較されている。
4b-実施例4aの官能化ナノ粒子の電気化学的試験
【0124】
溶媒として水を使用して、実施例4aの官能化ケイ素ナノ粉末を、アセチレンカーボンブラック(Denka Black)およびアルギン酸ナトリウム(Aldrich)と50:25:25の比で混合して、コーティングのための約8500cPの粘度を達成した。高エネルギーミキサー(SPEX Certiprep)を使用して、ナノ粉末を脱凝集させ、混合した。およそ0.6mg/cmの投入量を達成するように、スラリーを銅箔上にコーティングした。電極を対流炉内で75℃で予備乾燥し、次いで穏やかな真空下で110℃で12時間慎重に乾燥させた。
【0125】
He充填グローブボックス内で、Celgard 3501セパレータおよび200μmリチウム箔アノード(FMC Lithium)を使用してCR2032コイン電池(宝泉)を組み立てた。電解質を、10V%のフルオロエチレンカーボネート(FEC)(Ube)を添加したエチレンカーボネート(EC)およびジエチルカーボネート(DEC)(体積で7:3)の混合物中の1M LiPFで構成した。VMP3サイクラ(Bio-Logic)を使用して、0.005~1.0V対Li/Li+の電圧範囲にわたり、形成サイクルに対してはC/24の速度で、およびライフサイクルに対してはC/6の速度で25℃で電池を定電流で充電および放電させた。
【0126】
形成サイクリングの結果を図18に示す。この図は、電池の2つの第1サイクル(放電/充電)を示す。安定性サイクリングの結果を図19に示す。これらの結果は、実施例1のナノ粒子より低い初期容量、およびそれと同等のサイクリング安定性を示している。サイクリング実験中の3日間、ポテンショスタットが停止されていたことに留意することが重要である。供給されたままのケイ素ナノ粒子以外、全ての電池を停止後の同じ容量から再始動した。シラン層は、Si粒子を電解質との反応から保護していると考えられる。
4c-表面官能化を伴う本発明によるナノ粒子
【0127】
実施例4aおよび4bに照らして、本発明による(すなわち不動態層を有する)ナノ粒子は、電極の製造において、同様に官能化し使用することができる。官能化および電極の製造は、不動態層のないケイ素ナノ粒子の代わりに本発明のナノ粒子が使用して、それぞれ実施例4aおよび4bと同じ手順を使用して行われる。
(実施例5)
噴霧乾燥を使用したケイ素ナノ粒子/炭素複合体の調製
5a-不動態層のないナノ粒子を含む複合体
【0128】
不動態層のないケイ素ナノ粒子(図20(a)に示される)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、カーボンブラック(Denka Black)および気相成長炭素繊維(VGCF)を、メタノール中で混合した。噴霧乾燥機(Mini噴霧乾燥機、Buchi、モデルB-290)を使用して、懸濁液を乾燥させた。次いで、不活性雰囲気(N)中で管状炉を使用して複合粒子を熱分解させた(図21の反応ステップを参照されたい)。
【0129】
得られたケイ素ナノ粒子/炭素複合材料を図20(b)に示す。
【0130】
電極を実施例4bのように調製した。形成サイクリングの結果を図22に示す。安定性サイクリングの結果を図23に示す。
5b-本発明によるナノ粒子を含む複合体
【0131】
実施例5aに照らして、本発明によるナノ粒子および炭素の複合体の組成物もまた、不動態層のないケイ素ナノ粒子の代わりに本発明によるナノ粒子を使用して、実施例5aの手順を使用して形成することができる。
したがって、これによって、本発明によるナノ粒子が導電性炭素層でコーティングされたナノ粒子/炭素複合体が生成され得る。次いで、この複合体を使用して、実施例4aの官能化ケイ素ナノ粉末の代わりに複合体を使用して、実施例4bの手順を使用して電極を作製することができる。不動態層がナノ粒子上の酸化物層の存在を低減するため、本発明によるナノ粒子を含む複合体は、不可逆的容量の低減によって、改善されたサイクル性能、および改善されたバッテリー性能を提供し得る。
参考文献
【0132】
本記載はいくつかの文献を参照するが、それらの内容は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。それらの文献には以下が含まれるが、これらに限定されない。
【表1-1】
【表1-2】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
ナノ粒子を製造する方法であって、各ナノ粒子は、コアおよび前記コアを被覆する不動態層を備え、前記コアは、ケイ素またはその合金で作製されており、
前記方法は、
a.前記ケイ素またはその合金を含むコア前駆体を提供するステップと、
b.前記コア前駆体から前記ケイ素またはその合金の蒸気を生成させる温度でプラズマを生成する誘導プラズマトーチを備えるプラズマ反応器を提供するステップであって、前記プラズマトーチは、前記プラズマトーチの下流側に位置するクエンチゾーンと流体連通しており、前記クエンチゾーンは、前記蒸気を凝縮させる温度までクエンチガスにより冷却される、ステップと、
c.前記プラズマトーチ内に前記コア前駆体を供給し、それにより前記ケイ素またはその合金の前記蒸気を生成するステップと、
d.前記蒸気を前記クエンチゾーンに移動させ、それにより前記蒸気を冷却し、前記蒸気を前記ケイ素またはその合金で作製された前記コアに凝縮させるステップと
を含み、
前記クエンチガスは不動態化ガス前駆体を含み、前記不動態化ガス前駆体は、前記クエンチゾーン内で前記コアの表面と反応して、前記コアを被覆する前記不動態層を生成し、それにより前記ナノ粒子を生成する、方法。
(項2)
前記不動態化ガス前駆体が、アンモニア、窒素、メタンまたはアセチレンである、上記項1に記載の方法。
(項3)
前記不動態化ガス前駆体が、アンモニアまたは窒素である、上記項1または2に記載の方法。
(項4)
前記コア前駆体が、
金属形態の前記ケイ素もしくはその合金、または
前記ケイ素もしくはその合金の水素化物もしくは塩化物である、上記項1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項5)
前記コア前駆体が、微粉末形態またはガス状形態である、上記項1から4のいずれか一項に記載の方法。
(項6)
前記コア前駆体が、微粉末形態である、上記項1から5のいずれか一項に記載の方法。
(項7)
微粉末形態の前記コア前駆体の粒子サイズが、
約1μm、約2μm、約5μm、約10μm、約15μmもしくは約20μm、もしくはそれより大きい、かつ/または
約100μm、約90μm、約80μm、約70μm、約60μmもしくは約50μm、もしくはそれ未満である、上記項6に記載の方法。
(項8)
微粉末形態の前記コア前駆体の粒子サイズが、約1μm~約100μmの間、好ましくは約20~約50μmの間である、上記項6または7に記載の方法。
(項9)
微粉末形態の前記コア前駆体のサイズ分布が、約d 90 /d 10 <3、好ましくは約2<d 90 /d 10 <3である、上記項6から8のいずれか一項に記載の方法。
(項10)
微粉末形態の前記コア前駆体が、金属形態の前記ケイ素またはその合金、好ましくはケイ素金属またはケイ素鉄、より好ましくはケイ素金属である、上記項6から9のいずれか一項に記載の方法。
(項11)
微粉末形態の前記コア前駆体が、冶金グレードケイ素金属(MG-Si)またはケイ素鉄、好ましくは冶金グレードケイ素金属(MG-Si)である、上記項6から10のいずれか一項に記載の方法。
(項12)
前記コア前駆体が、ガス状形態である、上記項1から5のいずれか一項に記載の方法。
(項13)
ガス状形態の前記コア前駆体が、前記ケイ素またはその合金の水素化物または塩化物、好ましくはケイ素の水素化物または塩化物である、上記項12に記載の方法。
(項14)
ガス状形態の前記コア前駆体が、シラン、トリクロロシランまたは四塩化ケイ素、好ましくはシランである、上記項12または13に記載の方法。
(項15)
前記コア前駆体が、少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも98%の純度、より好ましくは少なくとも99%の純度である、上記項1から14のいずれか一項に記載の方法。
(項16)
供給するステップc)が、前記コア前駆体をキャリアガスと混合することを含み、前記キャリアガスは、前記コア前駆体を、前記プラズマトーチ内におよび前記プラズマトーチを通して輸送し、次いで、前記ケイ素またはその合金の前記蒸気を、前記クエンチゾーンに輸送する、上記項1から15のいずれか一項に記載の方法。
(項17)
前記キャリアガスが、アルゴンである、上記項16に記載の方法。
(項18)
前記プラズマが、Ar/H プラズマである、上記項1から17のいずれか一項に記載の方法。
(項19)
前記プラズマトーチ内でシースガスが使用される、上記項1から18のいずれか一項に記載の方法。
(項20)
前記シースガスが、アルゴン、またはアルゴンと水素および前記不動態化ガス前駆体のいずれかもしくは両方との混合物、好ましくはアルゴンと水素との混合物である、上記項19に記載の方法。
(項21)
前記クエンチガスが、前記不動態化ガス前駆体で構成される、上記項1から20のいずれか一項に記載の方法。
(項22)
前記クエンチガスが、アルゴンおよび前記不動態化ガス前駆体の混合物である、上記項1から20のいずれか一項に記載の方法。
(項23)
前記クエンチガスが、前記クエンチゾーンに導入される際に室温である、上記項1から22のいずれか一項に記載の方法。
(項24)
前記プラズマ反応器から前記ナノ粒子を排出するステップをさらに含む、上記項1から23のいずれか一項に記載の方法。
(項25)
前記ナノ粒子上に導電性炭素の層を生成するステップをさらに含む、上記項24に記載の方法。
(項26)
導電性炭素の前記層が、
前記ナノ粒子を炭素前駆体と混合して、混合物を形成すること、および
酸素の非存在下で前記混合物を熱分解して、前記ナノ粒子の表面の少なくとも一部に導電性炭素の層を形成すること
により生成される、上記項25に記載の方法。
(項27)
前記炭素前駆体が、炭素骨格を有するポリマーもしくはオリゴマー、炭水化物もしくは炭水化物ポリマー、芳香族炭化水素、またはそれらの混合物である、上記項26に記載の方法。
(項28)
前記炭素前駆体が、ポリエチレン、ポリプロピレン、グルコース、フルクトース、スクロース、キシロース、ソルボース、デンプン、セルロースもしくはそのエステル、エチレンおよびエチレンオキシドのブロックポリマー、フルフリルアルコールのポリマー、またはそれらの混合物である、上記項27に記載の方法。
(項29)
複合Si/炭素凝集体を生成するステップをさらに含む、上記項24に記載の方法。
(項30)
前記複合Si/炭素凝集体が、
前記ナノ粒子を炭素前駆体と混合して、混合物を形成すること、および
前記混合物を熱分解して、前記複合Si/炭素凝集体を形成すること
により生成される、上記項29に記載の方法。
(項31)
前記炭素前駆体が、ポリ(アクリル酸)(PAA)、カーボンブラック、例えばDenka Black、もしくは気相成長炭素繊維(VGCF)、またはそれらの混合物である、上記項30に記載の方法。
(項32)
前記炭素前駆体が、ポリ(アクリル酸)(PAA)、カーボンブラック、例えばDenka Black、および気相成長炭素繊維(VGCF)の混合物である、上記項31に記載の方法。
(項33)
前記混合物が、前記混合物の総重量を基準として約0.1~約25wt%の間、好ましくは約0.3~約1.5wt%の間の前記炭素前駆体を含む、上記項26から32のいずれか一項に記載の方法。
(項34)
前記混合物が、溶媒、好ましくは水またはメタノール、より好ましくはメタノールをさらに含む、上記項26から33のいずれか一項に記載の方法。
(項35)
前記混合物が、熱分解の前に乾燥される、上記項34に記載の方法。
(項36)
前記熱分解が、還元雰囲気中で行われる、上記項26から35のいずれか一項に記載の方法。
(項37)
前記熱分解が、約500~約1100℃の間、好ましくは約500~約800℃の間の温度で行われる、上記項26から36のいずれか一項に記載の方法。
(項38)
酸水溶液を使用して前記ナノ粒子の表面を活性化し、次いで前記ナノ粒子を官能化するステップをさらに含む、上記項24に記載の方法。
(項39)
前記ナノ粒子が前記酸水溶液と混合され、次いで官能化試薬が混合物に添加される、上記項38に記載の方法。
(項40)
前記酸水溶液が、2%HF水溶液である、上記項38または39に記載の方法。
(項41)
官能化試薬が、トリメトキシシラン、好ましくは、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシ(ビニル)シランまたはトリメトキシフェニルシランである、上記項38から40のいずれか一項に記載の方法。
(項42)
官能化ナノ粒子を単離するステップをさらに含む、上記項38から41のいずれか一項に記載の方法。
(項43)
前記官能化ナノ粒子が、好ましくは抽出相としてジクロロメタン(CH Cl )を使用して、液液抽出により単離される、上記項42に記載の方法。
(項44)
コアおよび前記コアを被覆する不動態層を備えるナノ粒子であって、前記コアは、ケイ素またはその合金で作製されている、ナノ粒子。
(項45)
上記項1から24のいずれか一項の方法により製造される、上記項44に記載のナノ粒子。
(項46)
前記不動態層が、
前記ケイ素もしくはその合金の窒化物の層、または
非晶質炭素の層
である、上記項44または45に記載のナノ粒子。
(項47)
前記不動態層が、前記ケイ素またはその合金の窒化物の層である、上記項44から46のいずれか一項に記載のナノ粒子。
(項48)
前記不動態層が、Si の層である、上記項44から47のいずれか一項に記載のナノ粒子。
(項49)
前記不動態層が、最大約5nmの厚さ、好ましくは最大約3nmの厚さである、上記項44から48のいずれか一項に記載のナノ粒子。
(項50)
前記コアが、ケイ素またはケイ素鉄で作製されている、上記項44から49のいずれか一項に記載のナノ粒子。
(項51)
前記コアが、ケイ素で作製されている、上記項44から50のいずれか一項に記載のナノ粒子。
(項52)
約20ナノメートル~約300ナノメートルの間の平均粒子サイズを有する、上記項44から51のいずれか一項に記載のナノ粒子。
(項53)
約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、約60nmもしくは約70nm、もしくはそれよりも大きい、かつ/または
約300nm、約280nm、約260nm、約250nm、約240nm、約220nm、約200nm、約180nm、約160nm、約150nm、約140nm、約120nm、約100nm、約90nmもしくは約80nm、もしくはそれ未満
の平均粒子サイズを有する、上記項44から52のいずれか一項に記載のナノ粒子。
(項54)
約60nm~約260nmの間、好ましくは約70nm~約100nmの間の平均粒子サイズを有する、上記項44から53のいずれか一項に記載のナノ粒子。
(項55)
200nm未満、好ましくは約100nm未満の平均直径を有する、上記項44から54のいずれか一項に記載のナノ粒子。
(項56)
約40nm~約200nmの間、好ましくは約60nm~約100nmの間の平均直径を有する、上記項44から55のいずれか一項に記載のナノ粒子。
(項57)
実質的に球形の形状である、上記項44から56のいずれか一項に記載のナノ粒子。
(項58)
SiO およびSiOH表面種を実質的に含まない、上記項44から57のいずれか一項に記載のナノ粒子。
(項59)
前記ナノ粒子の表面の少なくとも一部を被覆する導電性炭素の層をさらに備える、上記項44から57のいずれか一項に記載のナノ粒子。
(項60)
前記ナノ粒子の総重量を基準として約0.1~約10wt%の間の導電性炭素を含む、上記項39に記載のナノ粒子。
(項61)
複合Si/炭素凝集体内に含まれる、上記項44から57のいずれか一項に記載のナノ粒子。
(項62)
電極、好ましくはアノードの製造における、上記項44から58のいずれか一項に記載のナノ粒子の使用。
(項63)
上記項44から58のいずれか一項に記載のナノ粒子、電子伝導体および結合剤の混和物で被覆された集電体を含む電極、好ましくはアノード。
(項64)
前記電子伝導体が、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、炭素繊維またはグラフェン、好ましくはアセチレンカーボンブラックである、上記項63に記載の電極。
(項65)
前記結合剤が、アルギン酸ナトリウムである、上記項63または64に記載の電極。
(項66)
前記集電体が、金属箔またはグリッドである、上記項63から65のいずれか一項に記載の電極。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6a
図6b
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e
図8f
図9
図10A
図10B
図11a
図11b
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20a
図20b
図21
図22
図23