(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】医療装置、プログラミング装置、無線端末、および医療システム
(51)【国際特許分類】
G16H 40/00 20180101AFI20221011BHJP
A61M 5/24 20060101ALI20221011BHJP
A61M 5/31 20060101ALI20221011BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20221011BHJP
G16H 20/10 20180101ALI20221011BHJP
【FI】
G16H40/00
A61M5/24 500
A61M5/31 520
G06K7/10 240
G16H20/10
(21)【出願番号】P 2019550600
(86)(22)【出願日】2018-02-05
(86)【国際出願番号】 EP2018052802
(87)【国際公開番号】W WO2018166712
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-01-29
(32)【優先日】2017-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アラン シュミトリン
(72)【発明者】
【氏名】マリオ イオッビ
(72)【発明者】
【氏名】エーリッヒ シュトゥーダー
(72)【発明者】
【氏名】アンドルー ブライアント
(72)【発明者】
【氏名】チンマイ デオダー
(72)【発明者】
【氏名】ラジャン パテル
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル クンデト
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヴェク ガジェラ
(72)【発明者】
【氏名】パカシュ パーマー
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-527940(JP,A)
【文献】特表2008-535569(JP,A)
【文献】国際公開第2011/108225(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02249275(EP,A1)
【文献】国際公開第2015/156134(WO,A1)
【文献】米国特許第07413123(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61M 5/31
A61M 5/24
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置(100;100a,100b)であって、
容器(120)を収容および保持するように構成された容器収容ユニット(110)であって、当該容器(120)は、医薬品(125)を格納し、前記医薬品(125)に関する情報を保存するように構成された第1の通信タグ(130)を含む、容器収容ユニット(110)と、
前記第1の通信タグ(130)から前記情報を無線で読み取るように構成されたリーダユニット(140)と、
前記第1の通信タグ(130)から読み取られた前記情報に基づいて前記医療装置(100)を制御するように構成された制御ユニット(150)と、
を含み、
前記医療装置(100a)に、第2の通信タグ(180)が固定的に設けられており、
前記第2の通信タグは、前記医薬品の処方、前記医療装置のランタイムパラメータの設定、前記医療装置のデバッグ、および前記医療装置の較正のうちの少なくとも1つに関する情報を、無線で受信して保存するように構成され、
前記リーダユニット(140)は、前記第2の通信タグ(180)に保存されている情報を無線で読み取るように構成されており、
前記制御ユニット(150)は、前記第2の通信タグ(180)から読み取られた前記情報に基づいて前記医療装置(100;100a,100b)を制御するように構成されている、
ことを特徴とする、医療装置(100;100a,100b)。
【請求項2】
前記容器収容ユニット(110)に挿入された前記容器(120)を少なくとも部分的に外側から見えるようにする開口部または透明窓(165)を含み、
前記リーダユニット(140)は、第1のアンテナユニット(142,144)を含み、
前記容器収容ユニット(110)に挿入された前記容器(120)は、(i)前記開口部または前記透明窓(165)と、(ii)前記第1のアンテナユニット(142,144)との間に位置している、
請求項1記載の医療装置(100;100a,100b)。
【請求項3】
前記医療装置(100;100a,100b)が前記開口部(165)を含んでおり、前記容器収容ユニット(110)が前記容器(120)を保持している場合に、前記容器収容ユニット(110)は、前記医療装置(100;100a,100b)のユーザが、前記容器(120)をその中心軸線を中心にして回転させることを可能にするように構成されている、請求項2記載の医療装置(100;100a,100b)。
【請求項4】
前記第1のアンテナユニット(142,144)は、前記容器収容ユニット(110)に挿入された前記容器(120)を部分的にのみ取り囲んでいる、請求項2または3記載の医療装置(100;100a,100b)。
【請求項5】
前記第1のアンテナユニット(142,144)は、第1の平面に沿って延在する第1のアンテナ部分(142)と、第2の平面に沿って延在する第2のアンテナ部分(144)とを含み、
前記第1の平面と前記第2の平面とは、90°から120°の範囲の角度(α)で互いに交差しており、当該角度(α)は、前記容器収容ユニット(110)に挿入された前記容器(120)に面している、
請求項2から4までのいずれか1項記載の医療装置(100;100a,100b)。
【請求項6】
前記リーダユニット(140)は、前記第2の通信タグ(180)に保存されている情報を読み取るように構成された第2のアンテナユニット(146)を含む、請求項
1から5までのいずれか1項記載の医療装置(100;100a,100b)。
【請求項7】
前記リーダユニット(140)に接続されたスイッチユニット(185)をさらに含み、
前記リーダユニット(140)は、3つのアンテナ(142,144,146)を含み、
前記スイッチユニット(185)は、前記3つのアンテナ(142,144,146)から受信した信号を、連続的に前記制御ユニット(150)に切り替えるように構成されている、
請求項1記載の医療装置(100;100a,100b)。
【請求項8】
無線端末(300)と無線通信するように構成された通信ユニット(195)をさらに含み、
前記通信ユニット(195)はさらに、
前記医療装置(100)の状態に関する情報をリアルタイムで前記無線端末(300)に送信し、
前記医療装置(100;100a,100b)に関するデバッグデータを前記無線端末(300)に送信し、かつ/または
前記医療装置(100;100a,100b)の使用に関するデータを前記無線端末(300)に送信する
ように構成されている、
請求項1から
7までのいずれか1項記載の医療装置(100;100a,100b)。
【請求項9】
前記医療装置(100;100a,100b)は、注射器装置である、請求項1から
8までのいずれか1項記載の医療装置(100;100a,100b)。
【請求項10】
送信ユニット(210)を含むプログラミング装置(200)であって、前記送信ユニット(210)は、医薬品(125)の処方、医療装置(100;100a,100b)の設定、医療装置(100;100a,100b)のデバッグ、および医療装置(100;100a,100b)の較正のうちの少なくとも1つに関する情報を、請求項1から
9までのいずれか1項記載の医療装置(100;100a,100b)に送信するように構成されている、プログラミング装置(200)。
【請求項11】
ユーザインターフェース(220)をさらに含み、前記ユーザインターフェース(220)は、医薬品(125)の処方、医療装置(100;100a,100b)の設定、医療装置(100;100a,100b)のデバッグ、および医療装置(100;100a,100b)の較正のうちの少なくとも1つに関する情報を入力するように構成されている、請求項
10記載のプログラミング装置(200)。
【請求項12】
請求項1から
9までのいずれか1項記載の医療装置(100;100a,100b)と無線通信するように構成された通信ユニット(310)を含む無線端末(300)であって、
前記通信ユニット(310)はさらに、
前記医療装置(100;100a,100b)から当該医療装置(100;100a,100b)の状態に関する情報をリアルタイムで受信し、
前記医療装置(100;100a,100b)から当該医療装置(100;100a,100b)に関するデバッグデータを受信し、かつ/または
前記医療装置(100)から当該医療装置(100;100a,100b)の使用に関するデータを受信する
ように構成されている、
無線端末(300)。
【請求項13】
前記医療装置(100;100a,100b)から受信したデータを処理するように構成された処理ユニット(320)をさらに含む、請求項
12記載の無線端末(300)。
【請求項14】
請求項1から
9までのいずれか1項記載の医療装置(100;100a,100b)と、
請求項
10または
11記載のプログラミング装置(200)および請求項
12または
13記載の無線端末(300)のうちの少なくとも一方と、
を含む、医療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置に関し、医療装置のためのプログラミング装置に関し、医療装置のための無線端末に関し、医療装置と、プログラミング装置および無線端末のうちの少なくとも一方とを含む医療システムに関する。
【0002】
医療装置、例えば注射器装置には、医薬品を格納する容器を装填することが可能である。医療装置を規定された通りに使用するためには、医療装置に正しい容器が装填されること、および医療装置において正しい容器が使用されることを保証する必要がある。さらに、医療装置と共に正しい医薬品が使用されていることを保証する必要がある。例えば医療装置が、期限切れの医薬品と共に使用されないように保証しなければならない。
【0003】
欧州特許出願公開第2249275号明細書は、医療用流体と、医療用流体のための容器と、そのような医療用流体を患者に投与するための医療用流体投与装置とに関する情報を管理することに関する。容器には、データタグ(例えばRFIDタグ)が関連付けられており、医療用流体投与装置に関連付けられた電磁装置を使用して、このデータタグから電磁的に読み取ること、および/またはこのデータタグに書き込むことが可能である。
【0004】
本発明は、医療装置の誤った使用を防止する改善された医療装置を提供するという課題に関するものである。
【0005】
上記の課題は、請求項1記載の医療装置と、請求項11記載のプログラミング装置と、請求項13記載の無線端末と、請求項15記載の医療システムとによって解決される。
【0006】
本医療装置は、容器を収容および保持するように構成された容器収容ユニットであって、当該容器は、医薬品を格納し、医薬品に関する情報を保存するように構成された第1の通信タグを含む、容器収容ユニットと、第1の通信タグから情報を無線で読み取るように構成されたリーダユニットと、第1の通信タグから読み取られた情報に基づいて医療装置を制御するように構成された制御ユニットとを含む。
【0007】
医療装置は、医薬品を格納する容器またはカートリッジが装填されるように適合された任意の種類の医療機器であり得る。好ましい実施形態によれば、医療装置は、注射器装置であり、この注射器装置は、皮膚針を押し出し、容器に格納された医薬品を、押し出された皮膚針を介して人間または動物の体の皮膚を通して分配するように構成されている。医療装置が注射器装置として実現されている場合には、「医薬品」という用語は、注射器装置の中空針を制御された方法で通過するように構成された、液体、溶液、ゲル、または微細懸濁液のような流動性の薬剤を含む、任意の薬剤を包含することを意味する。
【0008】
容器収容ユニットは、容器を固定的に収容および保持するように適合された任意の種類の機械式保持ユニットであり得る。例えば、容器収容ユニットは、ドアまたはシャッターを有する容器受容装置であり得るか、またはばねによって少なくとも部分的に医療装置から出るように移動可能な容器受容装置であり得る。
【0009】
第1の通信タグは、リーダユニットによって無線で読み取ることができるデータを保存するように適合された任意の種類の記憶手段であり得る。好ましい実施形態では、第1の通信タグは、近距離通信(NFC)タグであり、リーダユニットは、NFCイニシエータ装置である。NFCタグは、NFCフォーラムによって定義されているNFCタイプのうちのいずれかであり得る。NFCタグを、読み取り専用とすることができ、容器の製造元によってのみエンコードすることができる。代替的に、NFCタグは、読み取り能力および書き込み能力を有してもよい。特に、装置は、NFCパッシブモードで動作することができ、このNFCパッシブモードでは、イニシエータ装置がキャリアフィールドを提供し、ターゲット装置、すなわち第1の通信タグが、このキャリアフィールドを変調することによって応答する。NFCシステムは、典型的に、イニシエータ装置とターゲット装置との間で10cm以下の最大間隔を必要とする短距離無線技術として設計されているので、本開示の医療装置では、エアインターフェースを介したデータの不正操作を防止するために、NFCシステムを使用することが好ましい。代替的に、第1の通信タグは、バーコード、または超高周波(UHF)無線周波数識別(RFID)タグであってもよい。
【0010】
制御ユニットは、第1の通信タグから読み取られた情報に基づいて医療装置を制御するように構成された任意の種類の制御装置、例えばマイクロコントローラであり得る。例えば、制御ユニットは、第1の通信タグから読み取られた情報が、医薬品が期限切れであることを示している場合に、医療装置が容器に格納されたこの医薬品を分配することを防止することができる。
【0011】
好ましい実施形態によれば、医療装置は、容器収容ユニットに挿入された容器を少なくとも部分的に外側から見えるようにする開口部または透明窓を含み、リーダユニットは、第1のアンテナユニットを含み、容器収容ユニットに挿入された容器は、(i)開口部または透明窓と、(ii)第1のアンテナユニットとの間に位置している。
【0012】
医療装置のハウジングの、好ましくは容器収容ユニットに容器を挿入することができる場所の近傍に、開口部または透明窓を設けることができる。開口部または透明窓とリーダユニットとの間に容器を配置することにより、医療装置のユーザが外側から容器を観察する(例えば、容器に付けられた印刷ラベルを読む)ことを可能にすると共に、リーダユニットが第1の通信タグから医薬品に関する情報を無線で読み取り得ることを保証するという二重の機能が提供される。したがって、医療装置と、医療装置のユーザとによる容器の二重チェックが可能になる。
【0013】
さらに好ましい実施形態によれば、医療装置が、容器収容ユニットに挿入された容器を少なくとも部分的に外側から見えるようにする開口部を含んでおり、容器収容ユニットが容器を保持している場合に、容器収容ユニットは、医療装置のユーザが、容器をその中心軸線を中心にして回転させることを可能にするように構成されている。例えばラベルが、ほぼ円筒状の形状を有する容器に付けられている場合であって、しかしながら、この容器が、外側からラベルが見えなくなるように容器収容ユニットに挿入されている場合には、医療装置のユーザは、ラベルが外側から見えるようになるまで、自分の指で開口部を通して、容器をその中心軸線を中心として回転させることができる。この回転を可能にするために、容器の遠位端部および近位端部のみが容器収容ユニットに支持されるように、容器を容器収容ユニットに保持することができる。
【0014】
開口部または透明窓を通して容器を外側から見ることを可能にすると同時に、第1の通信タグからの情報が第1のアンテナユニットを介して読み取られ得ることを保証するために、第1のアンテナユニットは、容器収容ユニットに挿入された容器を部分的にのみ取り囲むことができる。好ましくは、第1のアンテナユニットと、開口部または透明窓とが、容器を完全に取り囲んでおり、すなわち、実質的に円筒状に形成された容器の側面領域を完全に取り囲んでいる。さらに、好ましい実施形態では、第1のアンテナユニットの断面積は、容器の断面積の50%~30%を取り囲んでいる。したがって、構成要素の材料および重量を節約することが可能であり、このことは、手持ち式の医療装置に関係している場合に有利である。
【0015】
第1の通信タグからの情報が第1のアンテナユニットを介して読み取られ得ることを保証するために、第1のアンテナユニットは、第1の平面に沿って延在する第1のアンテナ部分と、第2の平面に沿って延在する第2のアンテナ部分とを含むことができる。第1のアンテナ部分と、第2のアンテナ部分とは、別個のアンテナであり得る。第1のアンテナ部分および第2のアンテナ部分の各々は、実質的に正方形、円形、ループ状、または長方形の形状を有することができる。例えば、第1のアンテナ部分および第2のアンテナ部分の各々は、ワイヤループアンテナおよびスタンプアンテナのうちの少なくとも一方であり得る。第1のアンテナ部分および第2のアンテナ部分の各々は、参照により本明細書に組み込まれるISO/IEC14443において定義されたアンテナクラスのうちのいずれかであってもよい。代替的に、第1のアンテナ部分および第2のアンテナ部分は、1つのフレキシブルアンテナの一部であってもよい。
【0016】
好ましくは、第1の平面と第2の平面とは、90°~120°の範囲の角度で互いに交差しており、当該角度は、容器収容ユニットに挿入された容器に面している。アンテナ部分をこのように配置および配向することにより、ユーザによって容器が回転された場合であっても、第1のアンテナ部分および第2のアンテナ部分のうちの少なくとも一方が、カートリッジ上の第1の通信タグからの信号を検出することが可能となるということを保証することができる。
【0017】
別の実施形態によれば、医療装置は、第2の通信タグを含む。第2の通信タグは、医薬品の処方、医療装置の設定、医療装置のデバッグ、および医療装置の較正のうちの少なくとも1つに関する情報を、無線で受信して保存するように構成され得る。例えば、第2の通信タグは、リーダユニットおよび/または外部装置によって読み取り可能であり、外部装置によって書き込み可能である。第1の通信タグと同様に、第2の通信タグは、NFCタグであり得る。第2の通信タグは、パッシブモードまたはアクティブモードで動作することができる。パッケージングされた医療装置の無菌性を維持するために、第2の通信タグにより、医療装置を開ける必要なく外側から医療装置をプログラミングすることが可能となる。例えば、データを第2の通信タグに送信することにより、医療装置のランタイムパラメータ、例えば注射器装置から皮膚針を押し出すための押し出し速度を外部で設定することが可能となる。
【0018】
好ましい実施形態によれば、リーダユニットは、第2の通信タグに保存されている情報を読み取るように構成された第2のアンテナユニットを含み、制御ユニットは、第2の通信タグから読み取られた情報に基づいて医療装置を制御するように構成されている。例えば、第2の通信タグにデータを無線で書き込むように構成されたプログラミング装置を使用することにより、薬剤師は、特定の患者の処方に基づいて、ただし、医療装置を開けて医療装置の無菌性を損ねる必要なしに、販売する時点に、医療装置の特定のパラメータを設定することができる。第2の通信タグを、デバッグおよび設定の目的で、医療装置に情報を非接触で伝送するために使用することもできる。例えば、第2の通信タグに保存されている情報を使用して、医療装置を特定のデバッグモードへと移行させることができ、なお、このようなデバッグモードには、例えば、医療装置内のセンサ(例えば皮膚センサ)を較正するためのモードや、リーダユニットによって第1の通信タグの角度を検出する能力をチェックするためのモードや、注射器装置の針の注射速度および/または皮膚センサの検出閾値のようなパラメータを変更するためのシステム設定モードなどがある。
【0019】
好ましい実施形態によれば、制御ユニットは、第2の通信タグから読み取られた情報と、第1の通信タグから読み取られた情報とに基づいて医療装置を制御するように構成され得る。
【0020】
別の実施形態によれば、医療装置は、リーダユニットに接続されたスイッチユニットをさらに含み、リーダユニットは、3つのアンテナを含み、スイッチユニットは、3つのアンテナから受信した信号を、連続的に制御ユニットに切り替えるように構成されている。好ましくは、第1のアンテナおよび第2のアンテナは、第1の通信タグに保存されている情報を読み取るために使用される。さらに、好ましくは、第3のアンテナは、第3の通信タグに保存されている情報を読み取るために使用される。したがって、第1のアンテナから第3のアンテナを回転方式で切り替えることにより、第1のアンテナから第3のアンテナの各々を介してデータを続けて読み取ることが可能となる。
【0021】
1つの実施形態によれば、医療装置は、無線端末と無線通信するように構成された通信ユニットをさらに含み、通信ユニットはさらに、医療装置の状態に関する情報をリアルタイムで無線端末に送信し、医療装置に関するデバッグデータを無線端末に送信し、かつ/または医療装置の使用に関するデータを無線端末に送信するように構成されている。例えば、通信ユニットは、無線端末内の対応するBluetoothトランシーバユニットと通信するように構成されたBluetoothトランシーバユニットであり得、例えば、受信したデータを処理するようにプログラミングされた特定のソフトウェアまたはアプリを実行するスマートフォンであり得る。したがって、医療装置からデータを受信する無線端末は、健康管理の監視、医療装置の使用の監視、患者の遵守の監視、過去の薬剤の追跡、インターネットを介した新しい薬品の注文、履歴検索、投与量情報の確認、使用手順に関するユーザへのガイダンスの提供、および/またはトラブルシューティングのような、医療装置の拡張機能を可能にすることができる。追加的に、医療装置および無線端末は、トレーニングモードに移行することができ、このトレーニングモードでは、無線端末が、医療装置の状態をリアルタイムで追跡し、アニメーション、ビデオ、または説明書の形態で、実行すべき次のステップをユーザに表示することができる。医療装置および無線端末は、デバッグモードに移行することもでき、このデバッグモードでは、医療装置と無線端末との間の接続を使用すると共に、医療装置の内部変数を表示するための無線端末上で実行されている対応するアプリを使用して、医療装置のプロセッサ上で実行されている制御ソフトウェアをデバッグすることができる。
【0022】
本発明はさらに、プログラミング装置であって、当該プログラミング装置は、送信ユニットを含み、送信ユニットは、医薬品の処方、医療装置の設定、医療装置のデバッグ、および医療装置の較正のうちの少なくとも1つに関する情報を、医療装置に送信するように構成されている、プログラミング装置に関する。好ましくは、プログラミング装置は、医療装置に情報を無線で送信する。プログラミング装置は、データを受信、処理、および送信するように適合された任意の種類のコンピューティングデバイスであり得る。好ましい実施形態では、プログラミング装置は、NFCイニシエータ装置を含み、このNFCイニシエータ装置は、医療装置内に配置された第2の通信タグにデータを無線で書き込むように構成されている。イニシエータ装置およびターゲット装置(すなわち第2の通信タグ)は、パッシブモードで動作することができる。しかしながら、イニシエータ装置およびターゲット装置がアクティブモードで動作することも可能である。
【0023】
プログラミング装置は、例えばアプリを表示するタッチスクリーンのようなユーザインターフェースをさらに含むことができ、ユーザインターフェースは、医薬品の処方、医療装置の設定、医療装置のデバッグ、および医療装置の較正のうちの少なくとも1つに関する情報を入力するように構成されている。さらに、イニシエータ装置およびターゲット装置がアクティブモードで動作する場合には、プログラミング装置は、第2の通信タグから受信したデータを処理する処理装置をさらに含むことができる。
【0024】
本発明はさらに、無線端末であって、当該無線端末は、医療装置と無線通信するように構成された通信ユニットを含み、通信ユニットはさらに、医療装置から当該医療装置の状態に関する情報をリアルタイムで受信し、医療装置から当該医療装置に関するデバッグデータを受信し、かつ/または医療装置から当該医療装置の使用に関するデータを受信するように構成されている、無線端末に関する。無線端末は、任意の種類の無線通信端末、例えばスマートフォンであり得る。通信ユニットは、例えば、医療装置内の対応するBluetoothトランシーバユニットと通信するように構成されたBluetoothトランシーバユニットを含むことができる。医療装置と無線端末との間の通信のために、Wi-Fi、LTE、WLAN、WiMAX、またはZigBeeのような他の無線通信標準を使用することもできる。さらに、無線端末は、インターネットを介して、医療装置および/または医療装置のユーザに関連するデータを保存する外部ウェブサーバと通信するように構成され得る。
【0025】
1つの実施形態によれば、無線端末は、医療装置から受信したデータを処理するように構成された処理ユニットをさらに含む。例えば、処理ユニットは、医療装置から当該医療装置の状態に関する情報をリアルタイムで受信し、医療装置のユーザが実行すべき次の所要のステップに関するアニメーション、ビデオ、および/または説明書を表示するように、無線端末内の表示ユニットを制御することができる。
【0026】
本発明はさらに、医療装置と、プログラミング装置および無線端末のうちの少なくとも一方とを含む、医療システムに関する。
【0027】
以下では、本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照しながらさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】第1の実施形態による第1の医療装置を概略的に示す図である。
【
図3】容器のための例示的なラベルを示す図である。
【
図5】第2の医療装置の部分断面図を概略的に示す図である。
【
図6】第3の医療装置の部分断面図を概略的に示す図である。
【
図7】第4の医療装置の部分斜視図を概略的に示す図である。
【
図8】第4の医療装置の部分断面図を概略的に示す図である。
【
図9】医療装置およびプログラミング装置を含む、第2の実施形態による医療システムを概略的に示す図である。
【
図10】スイッチングユニットを有する受信ユニットを概略的に示す図である。
【
図11】医療装置および無線端末を含む、第3の実施形態による医療システムを概略的に示す図である。
【0029】
図1は、第1の実施形態による第1の医療装置100を概略的に示す。医療装置100は、容器120を収容および保持するように構成された容器収容ユニット110と、第1のアンテナ142および第2のアンテナ144を含むリーダユニット140と、制御ユニット150と、イグニッションボタン170と、リーダユニット140に接続されたスイッチユニット185とを含む。
【0030】
医療装置100の各構成要素は、ハウジング160内に設けられている。医療装置100は、ハウジング160の一方の側において開口部165を含む。開口部165の代わりに、透明窓を設けてもよい。開口部165は、この開口部165を通して医療装置100の内部を観察したときに、容器収容ユニット110に挿入された容器120がユーザによって外側から見えるように、容器収容ユニット110に近接した位置に設けられている。
【0031】
容器120は、医薬品125を格納するように適合されており、ラベル135を含み、このラベル135は、容器120の外周を取り巻くように固定されており、容器120に格納された医薬品125に関する情報(例えば、製品名、バッチ番号、有効期限など)を表示する。さらに、容器120は、第1のNFCタグ130を含み、この第1のNFCタグ130は、容器120の外周を取り巻くように固定されており、医薬品125に関する情報(例えば、製品名、バッチ番号、有効期限など)を保存するように構成されている。したがって、開口部または透明窓165は、ユーザがラベル135を見ることを可能にするが、医療装置100から容器120が脱落することを許容しないような、任意の形状および寸法を有することができる。
【0032】
図2は、容器120の外周を取り巻くように固定された印刷ラベル135を有する容器120の一例を示す。容器120は、実質的に円筒状の形状を有する。
図2の破線は、容器120の中心軸線を示す。容器120は、その遠位端部において、封止された分配ポート122を含み、容器120内で軸線方向に移動可能に設けられたピストンが、この分配ポート122を通して薬剤(
図2には図示せず)を押し出すと、容器120内に保存されたこの薬剤を分配することができるようになっている。
【0033】
図3は、例示の目的で、巻き付けられていない未貼付の形態の例示的なラベル135を示す。ラベル135は、外側から見えないようにラベル135のシートに組み込まれたNFCタグ130を含む(
図3には図示せず)。
【0034】
図4には、例示の目的で、ラベル135から分離された形態の例示的なNFCタグ130が示されている。NFCタグ130は、医薬品125に関する情報が保存されるメモリ131と、RFIDアンテナ132とを含む。
図4による実施形態では、NFCタグ130は、3ml容器120の外側表面の周面に適合するように設計されている。さらに、NFCタグ130は、容器120に貼付されたときに360°全ての角度から読み取ることができるように設計されている。
【0035】
ここで
図1に戻ると、ハウジング160に設けられた開口部165は、ユーザが自分の指で開口部165を通して容器120に触れることができるような寸法を有し、容器収容ユニット110に挿入された容器120は、ユーザが自分の指で開口部165を通して容器120に触れることができるような近さで、開口部165に近接して位置している。したがって、ユーザがラベル135を適切に読み取ることができない場合には、ユーザは、自分の指で容器収容ユニット110の内部の容器120を回転させることができる。このために容器収容ユニット110を、その遠位端部および近位端部でのみ容器120を支持するように構成することができ、これによって容器120は、容器収容ユニット110の内部で、自身の中心軸線(
図2参照)を中心にして回転することができるようになっている。とりわけ、ユーザによって容器120が回転されている最中にも、第1のアンテナ142および第2のアンテナ144は、第1のNFCタグ130に保存されている情報を読み取ることを可能にする。
【0036】
さらに、開口部165には、容器120を医療装置100に挿入するため、すなわち容器収容ユニット110に挿入するために使用され得るドアまたはシャッター、もしくは任意の他のアクセス機構が含まれ得る。
【0037】
リーダユニット140は、第1のNFCタグ130から情報を無線で読み取るように構成されており、制御ユニット150は、第1のNFCタグ130から読み取られた情報に基づいて医療装置100を制御するように構成されている。例えば、第1のNFCタグ130が医薬品125の有効期限に関するデータを保存しており、リーダユニット140が第1のNFCタグ130からこの情報を読み取る場合には、制御ユニット150は、受信した情報を処理し、期限切れになった医薬品125の分配が不可能となるように、医療装置100を制御することができる。このために制御ユニット150は、ユーザがイグニッションボタン170を押したときに医療装置100が当該医療装置100から医薬品125を分配しないように、医療装置100を制御することができる。
【0038】
ユーザが外側からラベル135を読み取ることを可能にすると同時に、リーダユニット140が第1のNFCタグ130からデータを読み取り得ることを保証するために、容器収容ユニット110は、開口部165とリーダユニット140との間に設けられている。特に、開口部165およびリーダユニット140は、容器120を保持する容器収容ユニット110に直接的に設けられている。
【0039】
スイッチユニット185は、第1のアンテナ142および第2のアンテナ144の各々を介して受信された入力信号を、回転方式で制御ユニット150に切り替えるように適合されている。このためにスイッチユニット185は、制御ユニット150によって制御されている。したがって、第1のNFCタグ130に保存されているデータを、第1のアンテナ142および第2のアンテナ144を介して読み取ることができる。
【0040】
図5は、第2の医療装置の部分断面図を概略的に示す。第2の医療装置は、
図1に示される第1の医療装置100に対応しており、したがって、同じ参照符号は、同じ要素に関係している。
【0041】
図1に示される第1の医療装置100とは異なり、
図5に部分的に示される第2の医療装置は、ハウジング160において開口部の代わりに透明窓165を含む。しかしながら、開口部を用いて同様の技術的効果を達成することもできる。
【0042】
とりわけ、
図5は、例示的な実施形態を図示するものとして、第1のアンテナ142および第2のアンテナ144を、容器120に対してどのようにして配置することができるかを示しており、これによって、第1のNFCタグ130(
図5には図示せず)を、少なくとも1つの第1のアンテナ142および第2のアンテナ144を介して常に読み取ることが可能となっており、ラベル135(
図5には図示せず)を、外側から透明窓165を通して見ることが可能となっている。
【0043】
第1のアンテナ142は、第1の平面に沿って延在しており、第2のアンテナ144は、第2の平面に沿って延在している。第1のアンテナ142および第2のアンテナ144の各々は、実質的に正方形の形状を有する。第1のアンテナ142は、
図5に示されるその断面において、容器120の直径よりも短い長さを有する。さらに、第2のアンテナ144は、
図5に示されるその断面において、容器120の直径よりも短い長さを有する。第1の平面と第2の平面とは、互いに実質的に垂直である。したがって、第1のアンテナ142は、第2のアンテナ144と一緒に、容器120を部分的にのみ取り囲んでいる。特に、第1のアンテナ142の断面積は、第2のアンテナ144と合わせて、容器120の断面積の50%~30%を取り囲んでいる。したがって、容器120がどのような回転方向で容器収容ユニット110(
図5には図示せず)に挿入されているかに関係なく、第1のアンテナ142または第2のアンテナ144のうちのいずれかが、第1のNFCタグ130に保存されているデータを読み取ることができ、そして、ユーザが、外側から透明窓165を通してラベル135を読み取ることができるということを保証することが可能である。したがって、任意の所与の角度では、第1のアンテナ142または第2のアンテナ144のうちの少なくとも一方が、容器120と十分に重なり合っている。
【0044】
図6は、第3の医療装置の部分断面図を概略的に示す。第3の医療装置は、
図1に示される第1の医療装置100に対応しており、したがって、同じ参照符号は、同じ要素に関係している。
【0045】
図1に示される第1の医療装置100とは異なり、
図6に部分的に示される第3の医療装置は、開口部の代わりに透明窓165を含む。しかしながら、開口部を用いて同様の技術的効果を達成することもできる。さらに、
図5に示される第2の医療装置とは異なり、
図6に示される第3の医療装置では、透明窓165が、より大きな寸法を有している。とりわけ、
図6に破線で示されているように、ハウジング160に設けられた透明窓165を介した視界が、より大きくなっていることが見て取れる。
【0046】
図5による実施形態と同様に、
図6による実施形態では、第1のアンテナ142は、第1の平面に沿って延在しており、第2のアンテナ144は、第2の平面に沿って延在している。さらに、第1のアンテナ142および第2のアンテナ144の各々は、実質的に正方形の形状を有する。しかしながら、
図5による実施形態とは異なり、
図6による実施形態では、第1の軸線と第2の軸線とが、互いに90°より大きい角度αで交差する。好ましくは、角度αは、90°~120°の範囲にある。したがって、第1のアンテナ142および第2のアンテナ144は、その断面においてV字形である。さらに好ましくは、
図6に示される断面において、第1のアンテナ142および第2のアンテナ144の各々は、容器120の直径にほぼ相当する長さを有する。
【0047】
図7は、第4の医療装置の部分斜視図を概略的に示す。第4の医療装置は、
図1に示される第1の医療装置100および
図6に示される第3の医療装置に対応しており、したがって、同じ参照符号は、同じ要素に関係している。
図7に示される部分斜視図から、第1のアンテナ142および第2のアンテナ144の平面領域を見て取ることができる。
図7に示される第1のアンテナ142および第2のアンテナ144の各々は、実質的に長方形の形状を有するが、第1のアンテナ142および第2のアンテナ144の各々は、別の形状、例えば実質的に正方形、円形、またはループ状の形状を有してもよい。
【0048】
図8は、第4の医療装置の部分断面図を概略的に示す。
図8に示される医療装置は、
図1に示される医療装置100であり得る。
図8に示される医療装置は、
図5に示される医療装置に類似しているが、第1のアンテナ部分142aおよび第2のアンテナ部分144aを有するただ1つのフレキシブルアンテナが設けられているという点で、
図5に示される医療装置とは異なっている。フレキシブルアンテナは、アンテナ回路が表面上に印刷されたフレキシブル基板から構成することができる。
図8に示される医療装置は、実質的に長方形の形状を有し、90°の角度で曲げられている。しかしながら、他の形状および他の曲げ角度、例えば
図1および5~7に関連して説明した形状および角度も可能である。
【0049】
図9は、医療装置100aおよびプログラミング装置200を含む、第2の実施形態による医療システムを概略的に示す。
図9に示される医療装置100aは、
図1に示される医療装置100に基づいており、したがって、同じ参照符号は、同じ要素に関係しており、同じ要素に関する重複する説明は、省略される。
【0050】
図1に示される第1の実施形態による医療装置100に加えて、
図9に示される第2の実施形態による医療装置100aは、第2のNFCタグ180を含み、レシーバユニット140は、第3のアンテナ146を含む。
【0051】
第2のNFCタグ180は、医療装置100aに固定的に設けられている。好ましくは、第2のNFCタグ180は、第2のNFCタグ180に保存されているデータが第3のアンテナ146を介して読み取られ得るように、第3のアンテナ146に近接した位置に設けられている。第2のNFCタグ180から第3のアンテナ146を介して読み取られた情報に基づいて、制御ユニット150は、医療装置100aを制御することができる。例えば、制御ユニット150は、医療装置100aが容器120から医薬品125を分配することを可能にする前に、第1のNFCタグ130および第2のNFCタグ180の両方から情報を取得して処理することができる。
【0052】
第2のNFCタグ180は、医薬品125の処方、医療装置100aの設定、医療装置100aのデバッグ、および医療装置100aの較正のうちの少なくとも1つに関する情報を、無線で受信して保存するように構成されている。したがって、制御ユニット150は、これらの情報のうちのいずれかに基づいて医療装置100a、すなわち医療装置100aの各構成要素を制御することができる。
【0053】
スイッチユニット185は、第1のアンテナ142、第2のアンテナ144、および第3のアンテナ146の各々を介して受信された入力信号を、回転方式で制御ユニット150に切り替えるように適合されている。このためにスイッチユニット185は、制御ユニット150によって制御されている。したがって、第1のNFCタグ130に保存されているデータを、第1のアンテナ142および第2のアンテナ144を介して読み取ることができ、第2のNFCタグ180に保存されているデータを、第3のアンテナ146を介して読み取ることができる。
【0054】
図9に示される医療システム100aは、プログラミング装置200をさらに含む。プログラミング装置200は、送信ユニット210と、ユーザインターフェース220とを含む。
【0055】
送信ユニット210は、医薬品125の処方、医療装置100aの設定、医療装置100aのデバッグ、および医療装置100aの較正のうちの少なくとも1つに関する情報を、医療装置100aに送信するように構成されている。とりわけ、送信ユニット210は、これらの情報のうちのいずれかを第2のNFCタグ180に送信するように構成されており、第2のNFCタグ180は、受信した情報を自身のメモリに保存する。送信ユニット220は、例えば、NFCイニシエータ装置であり得る。送信ユニット220および第2のNFCタグ180は、パッシブモードで動作することができる。しかしながら、送信ユニット220および第2のNFCタグ180は、アクティブモードで動作することもできる。この場合、プログラミング装置200は、第2のNFCタグ180から受信したデータを処理するように構成された処理ユニット(
図9には図示せず)を追加的に含む。
【0056】
ユーザインターフェース220は、医薬品125の処方、医療装置100aの設定、医療装置100aのデバッグ、および医療装置100aの較正のうちの少なくとも1つに関する情報を、プログラミング装置200に入力するように構成されている。したがって、薬剤師は、医療装置100aを開けて医療装置100aの無菌性を損ねる必要なしに、プログラミング装置200を使用して、販売する時点に、医療装置100aの特定のパラメータを設定することができる。さらに、プログラミング装置200を、第2のNFCタグ180に情報を伝送するために使用することができ、制御ユニット150は、第2のNFCタグ180を使用して、医療装置100を特定のデバッグモードへと移行させることができ、なお、このようなデバッグモードには、例えば、医療装置100a内の較正センサ(例えば、注射器装置内の皮膚センサ)を較正するためのモードや、リーダユニット140によって第1のNFCタグ130の角度を検出する能力をチェックするためのモードや、医療装置100aが注射器装置として実現されている場合には、針の注射速度および/または皮膚センサの検出閾値のようなパラメータを変更するためのシステム設定モードなどがある。
【0057】
アクティブモードで動作する第2のNFCタグ180から受信して、処理ユニットによって処理したデータを、ユーザインターフェース220のディスプレイに表示することもできる。
【0058】
図10は、スイッチユニット185を有する受信ユニット142,144,146の一例を概略的に示す。受信ユニット142,144,146およびスイッチユニット185は、
図9に示されるユニットであり得る。したがって、同じ参照符号は、同じ要素に関係している。
【0059】
図10から見て取れるように、スイッチユニット185には、RFIDリーダ/ライタ集積回路190が接続されている。スイッチユニット185は、スイッチユニット185を起点にした4つの矢印によって表されているように、4つの入力信号を4つのチャネルに分割するように適合されている。したがって、この例示的な実施形態では、最大で4つのアンテナをスイッチユニット185に接続することができる。しかしながら、スイッチユニット185には、第1のアンテナ142、第2のアンテナ144、および第3のアンテナ146のみが接続されている一方で、第4の入力部は使用されていない。したがって、スイッチユニット185は、第1のアンテナ142、第2のアンテナ144、および第3のアンテナ146の各々を、回転方式で読み取ることができる。したがって、第1のアンテナ142および第2のアンテナ144のうちの少なくとも一方が、容器120に設けられた第1のNFCタグ130(
図10には図示せず)を検出することを、保証することが可能である。
【0060】
図11は、医療装置100bおよび無線端末300を含む、第3の実施形態による医療システムを概略的に示す。
【0061】
図11に示される第3の実施形態による医療装置100bは、
図1に示される第1の実施形態による医療装置100に基づいている。
【0062】
したがって、同じ参照符号は、同じ構成要素に関係しており、同じ要素に関する重複する説明は、省略される。
【0063】
さらに、
図11による第3の実施形態を、
図9による第2の実施形態と組み合わせることができ、すなわち、
図9の医療装置100aに追加的に示される要素を、
図11に示される医療装置100bに含めることができる。さらに、
図11による第3の実施形態の医療システムに、
図9に示されるプログラミング装置200を追加的に設けてもよい。
【0064】
図11に示される第3の実施形態による医療装置100bは、医療装置100bに通信ユニット195が追加的に設けられているという点で、
図1に示される第1の実施形態による医療装置100とは異なっている。通信ユニット195は、無線端末300と無線通信するように構成されたBluetoothトランシーバユニットである。
【0065】
無線端末300は、Bluetoothトランシーバユニットとして実現された第1の通信ユニット310を含み、この第1の通信ユニット310は、医療装置100b内の通信ユニット195と無線通信するように構成されている。さらに、無線端末300は、処理ユニット320と、表示ユニット330と、第2の通信ユニット340とを含む。
【0066】
医療装置100bの通信ユニット195は、制御ユニット150に接続されている。制御ユニット150は、通信ユニット195から第1の通信ユニット310へのエアインターフェースを介したデータ送信を制御する。とりわけ、制御ユニット150は、無線端末300内の第1の通信ユニット310に医療装置100bの状態に関する情報をリアルタイムで送信するように、通信ユニット195を制御する。通信ユニット195は、同様にまたは追加的に、医療装置100bに関するデバッグデータ、および/または医療装置100bの使用に関するデータを、第1の通信ユニット310に送信することもできる。
【0067】
無線端末300内の処理ユニット320は、医療装置100bから受信したデータを処理するように構成されている。例えば、処理ユニット320は、医療装置100bの状態に関する情報をリアルタイムで受信し、医療装置100bのユーザが実行すべき次の所要のステップに関するアニメーション、ビデオ、および/または説明書を表示するように、表示ユニット330を制御する。
【0068】
第2の通信ユニット340は、インターネットへの接続を設定するように構成されている。このために第2の通信ユニット340は、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)モジュールとして実現されている。代替的に、第2の通信ユニット340を、インターネットへの接続を設定するように構成されたロングタームエボリューション(LTE)モジュールまたは任意の他の無線モジュールとして実現してもよい。WLANルータ400を介して、WLANモジュール340は、インターネットへの接続を設定し、ウェブサーバ500と通信するように構成されている。
【0069】
ウェブサーバ500は、例えば、製薬会社または薬剤師に属することができ、これによって、医療装置100bから受信した情報、および/または無線端末300に保存されている情報が、医療装置100bのユーザが新しい容器120を必要としていることを示した場合に、無線端末300によって新しい容器120を注文することが可能となる。さらに、ウェブサーバ500は、医療装置100bのアップデートおよび/またはデバッグに関するデータを保存することができる。医療装置100bから受信した情報を、他の医療装置からのデータと比較するためにウェブサーバ500に送信してもよい。