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特許7155144組織因子標的化IgG3免疫複合体に関連する方法及び組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】組織因子標的化IgG3免疫複合体に関連する方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20221011BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20221011BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20221011BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20221011BHJP
   C07K 14/745 20060101ALI20221011BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20221011BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20221011BHJP
   C12N 15/861 20060101ALI20221011BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20221011BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221011BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221011BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20221011BHJP
   A61K 38/36 20060101ALI20221011BHJP
   A61K 41/00 20200101ALI20221011BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221011BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20221011BHJP
   A61K 35/761 20150101ALI20221011BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20221011BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20221011BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20221011BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/12
C12N15/13
C07K19/00
C07K14/745
C07K16/28
C12N15/63 Z
C12N15/861 Z
C12N15/864 100Z
A61P35/00
A61P35/02
A61P35/04
A61K38/36
A61K41/00
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K35/76
A61K35/761
A61K48/00
A61K47/68
A61K47/64
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019550815
(86)(22)【出願日】2018-03-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 US2018022443
(87)【国際公開番号】W WO2018170134
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】62/471,045
(32)【優先日】2017-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/576,278
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/623,269
(32)【優先日】2018-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514137997
【氏名又は名称】オハイオ・ステイト・イノベーション・ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】フ・ツィウェイ
【審査官】林 康子
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-500744(JP,A)
【文献】特表2013-534427(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0024730(US,A1)
【文献】特表2003-504315(JP,A)
【文献】Trends in Biotechnology, 2016, Vol.34, No.11, pp.895-908
【文献】Oncotarget, 2017, Vol.8, No,1, pp.1481-1494
【文献】Cancer Res, 2008, Vol.68, No.10, pp.3863-3872
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00
C07K 1/00~19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫複合体タンパク質を含む組成物であって、前記免疫複合体タンパク質が、第VII因子の軽鎖と複合化されたIgG3免疫グロブリンのFc領域と第VII因子の軽鎖と複合化されたIgG3免疫グロブリンのFc領域との二量体を含む、組成物。
【請求項2】
(i)前記第VII因子の軽鎖が、ヒト又はマウスの第VII因子の軽鎖を含むか
i)前記組成物が、組織因子(TF)発現細胞を標的とするか、
(iii前記IgG3免疫グロブリンが、R435Hにおける変異を含むか、又は、
v)光感受性物質が、前記免疫複合体タンパク質と結合されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記免疫複合体タンパク質が、配列番号2又は配列番号のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
核酸であって、配列番号1又は配列番号の核酸配列を含む、核酸。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の免疫複合体タンパク質をコードする発現ベクター
【請求項6】
前記発現ベクターが、複製欠損アデノウイルスベクター又はアデノ随伴発現ベクターである、請求項5に記載の発現ベクター。
【請求項7】
免疫複合体タンパク質を含む組成物であって、前記免疫複合体タンパク質が、第VII因子の軽鎖と複合化されたIgG1免疫グロブリンのFc領域と第VII因子の軽鎖と複合化されたIgG3免疫グロブリンのFc領域との二量体を含む、組成物。
【請求項8】
(i)前記第VII因子の軽鎖が、ヒト又はマウスの第VII因子の軽鎖を含むか
)前記組成物が、組織因子(TF)発現細胞を標的とするか、
iii前記IgG3免疫グロブリンが、R435Hにおける変異を含むか、又は、
iv)光感受性物質が、前記免疫複合体タンパク質と結合されている、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記光感受性物質が、光線力学色素を含む、請求項2又は8に記載の組成物。
【請求項10】
a)前記第VII因子の軽鎖と複合化された前記IgG3免疫グロブリンの前記Fc領域が、配列番号2のアミノ酸配列を含み、前記第VII因子の軽鎖と複合化された前記IgG1免疫グロブリンの前記Fc領域が、配列番号14のアミノ酸配列を含むか、
b)前記第VII因子の軽鎖と複合化された前記IgG3免疫グロブリンの前記Fc領域が、配列番号2のアミノ酸配列を含み、前記第VII因子の軽鎖と複合化された前記IgG1免疫グロブリンの前記Fc領域が、配列番号16のアミノ酸配列を含むか、
c)前記第VII因子の軽鎖と複合化された前記IgG3免疫グロブリンの前記Fc領域が、配列番号2のアミノ酸配列を含み、前記第VII因子の軽鎖と複合化された前記IgG1免疫グロブリンの前記Fc領域が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
d)前記第VII因子の軽鎖と複合化された前記IgG3免疫グロブリンの前記Fc領域が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、前記第VII因子の軽鎖と複合化された前記IgG1免疫グロブリンの前記Fc領域が、配列番号16のアミノ酸配列を含むか、
e)前記第VII因子の軽鎖と複合化された前記IgG3免疫グロブリンの前記Fc領域が、配列番号6のアミノ酸配列を含み、前記第VII因子の軽鎖と複合化された前記IgG1免疫グロブリンの前記Fc領域が、配列番号18のアミノ酸配列を含むか、
f)前記第VII因子の軽鎖と複合化された前記IgG3免疫グロブリンの前記Fc領域が、配列番号のアミノ酸配列を含み、前記第VII因子の軽鎖と複合化された前記IgG1免疫グロブリンの前記Fc領域が、配列番号14のアミノ酸配列を含む、請求項又はに記載の組成物。
【請求項11】
分泌される分子として、請求項7、8、又は10のいずれか一項に記載の免疫複合体タンパク質をコードする発現ベクター
【請求項12】
前記発現ベクターが、複製欠損アデノウイルスベクター又はアデノ随伴発現ベクターである、請求項11に記載の発現ベクター。
【請求項13】
医薬組成物であって、
請求項1~3、7、8、又は10のいずれか一項に記載の組成物と、薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項14】
疾患の治療又は予防を必要とする対象においてそれを行う方法に使用され、
前記方法が、有効量の請求項1~3、7、8、若しくは10のいずれか一項に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、請求項1~3、7、8、若しくは10のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記疾患が、組織因子(TF)発現に関連する、請求項14に記載の組成物又は医薬組成物。
【請求項16】
前記疾患が、血管新生腫瘍、血栓形成、関節リウマチ、子宮内膜症、又は黄斑変性を伴う病理学的血管新生を含む、請求項15に記載の組成物又は医薬組成物。
【請求項17】
前記疾患が、TFを発現するマクロファージに関連する、請求項14に記載の組成物又は医薬組成物。
【請求項18】
前記疾患が、ウイルス感染又はアテローム性動脈硬化である、請求項14に記載の組成物又は医薬組成物。
【請求項19】
請求項1に記載の組成物が、がんの転移を予防又は治療することができる、請求項14に記載の組成物又は医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2017年3月14日に出願された米国特許仮出願第62/471,045号、2017年10月24日に出願された米国特許仮出願第62/576,278号、及び2018年1月29日に出願された米国特許仮出願第62/623,269号の利益を主張するものであり、これら3つの全ては、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔政府支援条項〕
本発明は、国立先進トランスレーショナル科学センターによって与えられた助成金番号UL1TR001070の下、政府支援でなされた。政府は、本発明において、ある特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
組織因子(「TF」)は、凝固カスケードの主要な初発因子である膜貫通糖タンパク質である。正常な生理学的条件下では、活性TFは血液と接触していない。血管損傷中に、内皮下のTF及びコラーゲンの血液への曝露が、凝固因子及び血小板の活性化を引き起こし、続いて止血栓の形成を引き起こす。様々な臨床現場におけるTF発現の不適切な誘導は、生命を脅かす血栓症を引き起こし、かつ/又は病理学的合併症の原因になり得る。プラーク破裂後のTF曝露は、急性心筋梗塞及び脳卒中につながる血栓閉塞の原因であると考えられる。これらの環境では、凝固因子によって活性化される炎症誘発性シグナル伝達経路もまた、浮腫の形成及び梗塞サイズの増加の一因となる。血管形成に関連する血管損傷は、再狭窄に関連する細胞シグナル伝達経路を誘導すると考えられるSMC上のTFの上方制御を引き起こす。がん及びグラム陰性敗血症におけるTF過剰発現は、生命を脅かす血栓症及び炎症経路の活性化を引き起こす。
【0004】
TFは、病理学的血管形成のモジュレータである。生体内研究により、TFは患者又は動物モデルからの腫瘍血管系(Contrino et al.1996、Folkman et al.1996、Hu et al.1999、Hu et al.2001、Cheng et al.2011、Duanmu et al.2011)、眼(Bora et al.2003)、及び子宮内膜(Krikun et al.2010)の血管新生における生体内での血管新生VEC上の選択的発現のため、生体内で特有な病理学的血管新生血管内皮細胞(VEC)表面受容体でもあることが明らかになった。血管内皮成長因子(VEGF)は、黄斑変性(Klagsbrun et al.1987)、関節リウマチ(Afuwape et al.2002)、子宮内膜症(Fujimoto et al.1999)などの血管形成依存性のがん及び非悪性ヒト疾患(Ferrara et al.2002)において中心的な役割を果たす。具体的には、VEGFは、これらの血管形成依存性の疾患の病理学的血管新生(通常は微小血管又は毛細血管)のVEC上のVEGR受容体と結合することにより、血管形成を誘発する(Hu et al.Angiogenesis2016)。VEGF誘導の生体内血管形成の血管内皮モデルを使用して、TFが血管形成に特異的な受容体であり、第VII因子を標的とした治療薬の標的であることが示され、TF標的化剤が、がん(固形がん及び白血病)、湿潤型の加齢黄斑変性(AMD)、子宮内膜症及び関節リウマチを治療する治療上の可能性を有し得ることを示唆している。
【0005】
TFは、固形がんにおけるがん細胞、がん幹細胞(CSC)(Hu et al.Oncotarget2016)、及び腫瘍血管内皮細胞の一般的かつ特異的なバイオマーカー及び治療標的である。TFは、これらのがん細胞内で高発現しており、例えば、乳がんでは80%~100%、トリプルネガティブ乳がん(Hu et al.Cancer Immunol Res2018)では50%~85%、肺がんでは40%~80%、及び卵巣がんでは84%である。これら3種類のがんは制御が難しいだけでなく、更に米国及び世界中の死亡の主な原因であり、化学療法及び放射線療法(Vidal et al.2014、Moncharmont et al.2012、Koch et al.2010)に対するCSCに基づく耐性を多くの場合に発症する。乳がん、肺がん、卵巣がんに加えて、TFは、他の多くのヒト固形がん、並びに白血病及び肉腫でも高い割合で発現しており(Hu.Antibodies2018)、例えば、原発性黒色腫では95%及び転移性黒色腫では100%、膵臓がんでは53%~90%、結腸直腸がんでは57%~100%、肝細胞がんでは63%~100%、原発性及び転移性の前立腺がんでは60%~78%、並びに神経膠腫では47%~75%である。ごく最近では、TFは、乳がん、肺がん、及び卵巣がんにおけるがん幹細胞によって発現され、TF標的化剤は、薬剤耐性を有さないTF発現がん幹細胞を根絶することができることが示された(Hu et al.Oncotarget2016)。
【0006】
TFは、実験動物において、脈絡膜血管新生(CNV)、AMDのモデルで発現される(Bora et al.2003)ことも示されている。TFは、子宮内膜病変内の血管新生血管内皮細胞で発現(Krikun et al.2010)されたことも示されている。
【0007】
必要なのは、TF発現血管形成VEC及びがん細胞を特異的に標的とし、TF発現細胞を標的とする他の薬剤よりも強い抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)を示す免疫標的化剤に関連する方法及び組成物である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
免疫複合体タンパク質を含む組成物であって、当該免疫複合体タンパク質が、第VII因子の軽鎖又は完全長(K341Aを有するか又は有さない)と複合化されたIgG3免疫グロブリンのFc領域を含む、組成物が本明細書に開示される。これらの免疫複合体は、本明細書では、第3世代の組織因子標的化ICONと称され、それぞれL-ICON3及びICON3と命名された。L-ICON3及びICON3を使用するための方法及びキットも開示される。
【0009】
免疫複合体タンパク質を含む組成物も本明細書に開示され、当該免疫複合体タンパク質が、第VII因子の軽鎖又は完全長(K341Aを有するか又は有さない)と複合化されたIgG1及びIgG3の免疫グロブリンのハイブリッドFc領域を含む。これらの免疫複合体は、本明細書では、第4世代の組織因子標的化ICONと称され、それぞれL-ICON4及びICON4と命名された。
【0010】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細が、添付の図面及び以下の説明において開示される。本発明の他の特性、目的、及び利点は、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から、明らかとなろう。
【0011】
本明細書に組み込まれ、また本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示のいくつかの態様を例証し、以下の説明と共に、本開示の原理を説明するよう機能する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】第3世代及び第4世代の組織因子標的化免疫複合体(ICON)の図面及び特性評価を示す。1Aは、TF標的化免疫複合体(ICON)の第1世代、第2世代、第3世代(L-ICON3及びICON3)、及び第4世代(L-ICON4及びICON4)の図面を示す。注釈:ロードされた、L-ICON1及びICON1タンパク質の量は3μg/レーンであり、L-ICON3タンパク質の量はL-ICON1及びICON1の約半量(1.5μg)であった。
図1B】第3世代及び第4世代の組織因子標的化免疫複合体(ICON)の図面及び特性評価を示す。1Bは、ICON1、L-ICON1、L-ICON3、及びICON3の分子量を示す。注釈:ロードされた、L-ICON1及びICON1タンパク質の量は3μg/レーンであり、L-ICON3タンパク質の量はL-ICON1及びICON1の約半量(1.5μg)であった。
図1C】第3世代及び第4世代の組織因子標的化免疫複合体(ICON)の図面及び特性評価を示す。1Cは、L-ICON1及びL-ICON3の蛍光ウエスタンブロッティングを示す。注釈:ロードされた、L-ICON1及びICON1タンパク質の量は3μg/レーンであり、L-ICON3タンパク質の量はL-ICON1及びICON1の約半量(1.5μg)であった。
図2】組換えL-ICON1タンパク質とL-ICON3タンパク質との間のアフィニティ精製の違いを示す。L-ICON1又はL-ICON3のCHOプロデューサ細胞からの、1μg/mlビタミンK1(Sigma)を添加した無血清培地(SFM4CHO)1mLは、プロテインA又はプロテインG磁気マイクロビーズ(Bio-Rad)と共に培養され、捕捉されたタンパク質は1×SDSローディングバッファで溶出され、SDS-PAGE、続いて1:10,000希釈抗ヒトIgG HRP conjugate(Sigma)及びECL試薬(Peirce)を使用したウエスタンブロッティングにより分析された。L-ICONタンパク質を含まない新鮮な無血清培地(SFM)は、陰性培地対照として使用された。
図3A】L-ICON3タンパク質がマウス及びヒトのがん細胞の両方と結合でき、これにより、動物研究からヒト臨床試験への変換が可能になり、L-ICON3療法は様々な固形がんを治療する治療上の可能性を有することを示す。(ns:有意差なし)。
図3B】L-ICON3タンパク質がマウス及びヒトのがん細胞の両方と結合でき、これにより、動物研究からヒト臨床試験への変換が可能になり、L-ICON3療法は様々な固形がんを治療する治療上の可能性を有することを示す。(ns:有意差なし)。
図3C】L-ICON3タンパク質がマウス及びヒトのがん細胞の両方と結合でき、これにより、動物研究からヒト臨床試験への変換が可能になり、L-ICON3療法は様々な固形がんを治療する治療上の可能性を有することを示す。(ns:有意差なし)。
図3D】L-ICON3タンパク質がマウス及びヒトのがん細胞の両方と結合でき、これにより、動物研究からヒト臨床試験への変換が可能になり、L-ICON3療法は様々な固形がんを治療する治療上の可能性を有することを示す。(ns:有意差なし)。
図3E】L-ICON3タンパク質がマウス及びヒトのがん細胞の両方と結合でき、これにより、動物研究からヒト臨床試験への変換が可能になり、L-ICON3療法は様々な固形がんを治療する治療上の可能性を有することを示す。(ns:有意差なし)。
図3F】L-ICON3タンパク質がマウス及びヒトのがん細胞の両方と結合でき、これにより、動物研究からヒト臨床試験への変換が可能になり、L-ICON3療法は様々な固形がんを治療する治療上の可能性を有することを示す。(ns:有意差なし)。
図4A】L-ICON3が、標的とするがん細胞を死滅させる、ADCC及びCDC(補体依存性細胞傷害)を引き起こすことができることを示す。図4Aは、生体外において、L-ICON3が、L-ICON1よりもADCCを媒介してヒト卵巣がん細胞を死滅させるのに有効であることを示す。ヒトIgG(hIgG)は、アイソタイプ陰性対照として使用された。
図4B】L-ICON3が、標的とするがん細胞を死滅させる、ADCC及びCDC(補体依存性細胞傷害)を引き起こすことができることを示す。図4Bは、CDCを示す。ヒトIgG(hIgG)は、アイソタイプ陰性対照として使用された。
図5A】生体外において、L-ICON1が、ICONよりもがん細胞(MDA-MB-231)に強く結合し、CB-17SCIDマウスの同所性マウスモデルの生体内でのヒトのがん(MDA-MB-231)の治療でより有効であることを示す。ICON、L-ICON1をコードする、又は対照として挿入物をコードしないアデノウイルスベクター(Adブランク)が毎週の腫瘍内注射によって投与された(矢線)。
図5B】生体外において、L-ICON1が、ICONよりもがん細胞(MDA-MB-231)に強く結合し、CB-17SCIDマウスの同所性マウスモデルの生体内でのヒトのがん(MDA-MB-231)の治療でより有効であることを示す。ICON、L-ICON1をコードする、又は対照として挿入物をコードしないアデノウイルスベクター(Adブランク)が毎週の腫瘍内注射によって投与された(矢線)。図5Bの各群には、5匹のマウスが存在した。
図6A】生体内において、マウスTNBCの同所性マウスモデルで、L-ICON3がL-ICON1よりも有効であることを示す。図6Aは、L-ICON3タンパク質が、マウスのトリプルネガティブ乳がん(TNBC)4T1細胞と結合できることを示す。
図6B】生体内において、マウスTNBCの同所性マウスモデルで、L-ICON3がL-ICON1よりも有効であることを示す。図6Bは、生体内において、マウスTNBC4T1の同所性マウスモデルで、L-ICON3がL-ICON1よりも有効であることを示す。図6B図6Cの各群には、5匹のマウスが存在した。
図6C】生体内において、マウスTNBCの同所性マウスモデルで、L-ICON3がL-ICON1よりも有効であることを示す。図6Cは、L-ICON1及びL-ICON3の治療後の全てのマウスが生存した一方で、アデノウイルスベクターの腫瘍内注射の開始後11日目で、全ての対照マウスが死亡したことを示す。図6B図6Cの各群には、5匹のマウスが存在した。
図7】CB-17SCIDマウスの同所性患者由来異種移植片(PDX)マウスモデルにおいて、L-ICON3が、患者のTNBCの治療に有効であることを示す。同所性TNBC PDXモデルは、ドナーNSGマウス(NOD SCIDガンマ)(Jackson Laboratory,JAX TM00089、乳腫瘍マーカー:TNBC ER/PR/HER2、BRCA1V757fs)からのBRCA-1変異を有するTNBC PDXを、4週齢の雌CB-17SCID(Taconic Farms)の第4の左乳腺脂肪パッドに移植することによって、0日目に生成された。腫瘍が平均体積130mm(9日目)に達したら、マウスは対照群とL-ICON3群(各群n=5)とに無作為化され、腫瘍内(i.t.)に、Adブランク(対照ベクター)及びAdL-ICON3アデノウイルスベクターの1×1010ウイルス粒子(VP)がそれぞれ注射された。追加の腫瘍内注射は、13、17、及び20日目に行われた。治療効果は、腫瘍の幅(W)及び長さ(L)を、ノギスによってミリメートル(mm)で測定し、式(W)×L/2(mm)を使用して腫瘍体積(mm)を計算することで決定された。データは平均±SEMとして提示され、Prismソフトウェア(GraphPad)を使用して統計的有意性についてt検定により分析される。
図8図8A及び図8Bは、L-ICON1及びL-ICON3に特異的なプライマーを使用したPCRにより、L-ICON3挿入cDNAが、アデノ随伴ウイルス血清型9(AAV9)を作製する前のプラスミドDNA(pAAV-CMV)、及び未処理のAAV9ウイルスベクター(AAV9-L-ICON3)に正しいサイズで存在することを示す。M:キロベース(Kb)のDNAラダー。eGFP:陰性対照ベクターとしての高感度緑色蛍光タンパク質。
図9】AAV9-L-ICON3の1回の静脈内注射によるL-ICON3療法(n=5)が、図7で説明した同所性マウスモデルにおける患者のTNBC PDXの治療に有効であることを示す。AAV9-eGFPは、陰性対照ベクター(n=2)であった。
図10A】第VII因子ヒト発色性アッセイによって決定された、L-ICON1及びICONの凝固促進活性を示す。陽性凝固対照としての活性型fVII(FVIIa)(American Diagnostica);FVIIa-FFR:凝固非活性対照としての活性部位阻害FVIIa(American Diagnostica)。これらの凝固活性は、表1にも列挙される。代表的なデータは、2つの独立した実験からの平均±SEMとして提示される。図10A図10Bは、L-ICON1が検出可能な凝固促進活性を有さず、一方、ICONがFVIIa(100%)の約5~6%の凝固促進活性を有することを示す。図10は、非凝固の軽鎖を有するICONの修飾により、L-ICON1及びL-ICON3からの凝固促進活性が完全に枯渇したことを示唆する。
図10B】第VII因子ヒト発色性アッセイによって決定された、L-ICON1及びICONの凝固促進活性を示す。陽性凝固対照としての活性型fVII(FVIIa)(American Diagnostica);FVIIa-FFR:凝固非活性対照としての活性部位阻害FVIIa(American Diagnostica)。これらの凝固活性は、表1にも列挙される。代表的なデータは、2つの独立した実験からの平均±SEMとして提示される。図10A図10Bは、L-ICON1が検出可能な凝固促進活性を有さず、一方、ICONがFVIIa(100%)の約5~6%の凝固促進活性を有することを示す。図10は、非凝固の軽鎖を有するICONの修飾により、L-ICON1及びL-ICON3からの凝固促進活性が完全に枯渇したことを示唆する。
図11】血管形成依存性のヒト疾患及びマクロファージ関連のヒト疾患における組織因子の選択的発現のフロー図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
「a」及び「an」という冠詞は、冠詞の文法上の目的語の1つ、又は1つを超える(即ち、少なくとも1つ)を指すために本明細書で使用される。例として、「1つの要素」は、1つの要素又は1つを超える要素を意味する。
【0014】
「約」とは、本明細書において使用される際、量、時間的な持続時間など等の測定可能な値を指すとき、かかる変動が、開示される方法を実施するのに適切である際、指定される値から.+-.20%又は.+-.10%、より好ましくは.+-.5%、更により好ましくは.+-.1%、なおより好ましくは.+-.0.1%の変動を包含することを意味する。
【0015】
「予防的」治療は、病変を発症するリスクを減少させる目的で、疾患の兆候を呈しないか、又は早期兆候のみを呈する対象に施される治療である。本発明の化合物は、病変を発症する可能性を低減するため、又は発症した場合、病変の重症度を最小化するために、予防的治療として与えることができる。
【0016】
「治療的」処置は、病変の兆候又は症状を呈する対象に、それらの兆候又は症状を減退又は排除する目的で施される治療である。兆候又は症状は、生化学的、細胞的、組織学的、機能的、自覚的、又は他覚的であり得る。
【0017】
ポリペプチドの「断片」は、全長ポリペプチド又はタンパク質発現産物よりも小さい、ポリペプチドの任意の部分を指す。断片は、一態様において、1つ以上のアミノ酸残基が、全長ポリペプチドのアミノ末端及び/又はカルボキシ末端から除去されている、全長ポリペプチドの欠失アナログである。したがって、「断片」は、以下に記載される欠失アナログのサブセットである。
【0018】
互換的に使用される「アナログ(analogue)」、「アナログ(analog)」、又は「誘導体」は、自然発生の分子に対して、特定の場合では異なる程度に、構造において実質的に同様であり、同じ生物活性を有する化合物、例えばペプチド又はポリペプチドを指す。アナログは、(i)ポリペプチドの1つ以上の末端、及び/又は自然発生のポリペプチド配列の1つ以上の内部領域の、1つ以上のアミノ酸残基の欠失、(ii)ポリペプチドの1つ以上の末端(通常は「付加」アナログ)及び/又は天然ポリペプチド配列の1つ以上の内部領域(通常は「挿入」アナログ)の、1つ以上のアミノ酸の挿入若しくは付加、又は(iii)自然発生のポリペプチド配列内の他のアミノ酸での1つ以上のアミノ酸の置換を伴う1つ以上の変異に基づいて、そのアナログが由来する自然発生のポリペプチドと比較して、アミノ酸配列の組成が異なる。
【0019】
「異常」という用語は、生物、組織、細胞、又はその構成要素の文脈において使用されるとき、「正常な」(予想される)それぞれの特徴を示す、生物、組織、細胞、又はその構成要素とは少なくとも1つの観察可能な又は検出可能な特徴(例えば、年齢、治療、時刻など)が異なる、生物、組織、細胞、又はその構成要素を指す。1つの細胞又は組織型に対して正常であるか、又は予想される特徴は、異なる細胞又は組織型に対しては異常である場合がある。
【0020】
本明細書において使用される場合、疾患を「緩和する」ことは、疾患又は障害の少なくとも1つの兆候又は症状の頻度又は重症度を低減することを意味する。
【0021】
「核酸」は、ポリヌクレオチドを指し、ポリリボヌクレオチド及びポリデオキシリボヌクレオチドを含む。本発明による核酸は、ピリミジン及びプリン塩基、好ましくはシトシン、チミン、及びウラシル、並びにアデニン及びグアニンのそれぞれの任意のポリマー又はオリゴマーを含み得る。(Albert L.Lehninger,Principles of Biochemistry,793-800(Worth Pub.1982)を参照されたく、これは、全ての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる)。実際に、本発明は、任意のデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、又はペプチド核酸成分、及びこれらの塩基のメチル化、ヒドロキシメチル化又はグルコシル化形態などのような任意の化学的バリアントを企図する。ポリマー又はオリゴマーは、組成が異種又は同種であり得、自然発生源から単離され得るか、又は人工的又は合成的に生成され得る。更に、核酸はDNA若しくはRNA、又はこれらの混合物であり得、ホモ二量体、ヘテロ二量体、及びハイブリッド状態を含む、一本鎖又は二本鎖の形態で永久的又は過渡的に存在し得る。
【0022】
本明細書において使用される場合、「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、同義的に使用され、ペプチド結合によって共有結合されたアミノ酸残基で構成される化合物を指す。タンパク質又はペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含有しなければならず、タンパク質又はペプチドの配列を含むことができるアミノ酸の最大数に制限は設けられない。ポリペプチドは、ペプチド結合によって互いに接合された2つ以上のアミノ酸を含む、任意のペプチド又はタンパク質を含む。本明細書において使用される場合、この用語は、短鎖(当該技術分野において、例えば、ペプチド、オリゴペプチド、及びオリゴマーとしても一般的に称される)、並びにより長い鎖(当該技術分野において、タンパク質として一般的に称され、これには多くの型が存在する)の両方を指す。「ポリペプチド」としては、とりわけ、例えば、生物学的に活性な断片、実質的に相同的なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモダイマー、ヘテロダイマー、ポリペプチドの変異体、修飾されたポリペプチド、誘導体、アナログ、融合タンパク質が挙げられる。ポリペプチドとしては、天然ペプチド、組換えペプチド、合成ペプチド、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0023】
本明細書で使用される「ポリヌクレオチド」には、cDNA、RNA、DNA/RNAハイブリッド、アンチセンスRNA、スモールヘアピンRNA(shRNA)、リボザイム、ゲノムDNA、合成形態、及び混合ポリマーのセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方が含まれ、非天然若しくは誘導体化、合成、又は半合成のヌクレオチド塩基を含むように化学的又は生化学的に修飾することができる。また、野生型若しくは合成遺伝子の改変が想定され、欠失、挿入、1つ以上のヌクレオチドの置換、又は他のポリヌクレオチド配列への融合が含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書で使用される、「診断」という用語は、疾患又は障害の存在の決定を指す。本発明のいくつかの実施形態において、特定の疾患又は障害の存在の決定を可能にする診断を行うための方法が提供される。
【0025】
「疾患」は、対象が恒常性を維持することができず、疾患が改善されない場合、対象の健康が悪化し続ける、対象の健康状態である。対照的に、対象における「障害」は、対象が恒常性を維持することができるが、対象の健康状態が、障害がないときよりも良くない、健康状態である。未治療のまま放置されると、障害は、対象の健康状態における更なる悪化を必ずしも引き起こさない。
【0026】
本明細書において使用される場合、「療法」又は「治療レジメン」という用語は、障害又は疾患状態を緩和又は改変するために採用される活動、例えば、薬理学的、外科的、食物的、及び/又は他の技術を使用して、疾患又は障害の少なくとも1つの兆候又は症状を低減又は排除することが意図される治療過程を指す。治療レジメンは、処方された投与量の1つ以上の薬物又は手術を含み得る。療法は、ほとんどの場合有益であり、かつ障害又は疾患状態の少なくとも1つの兆候又は症状を低減又は排除するが、一部の例において、療法の効果は、望ましくない作用、又は副作用を有する。療法の効果はまた、対象の生理学的状態、例えば、年齢、性別、遺伝的特徴、体重、他の病状などによって影響を受ける。本明細書に開示される組成物を使用する本明細書に開示される療法は、独立型の療法として、又は手術、放射線療法、化学療法、他の形態の免疫療法(免疫チェックポイント遮断、CAR-NK及び-T細胞、サイトカイン、ナチュラルキラー細胞、光線力学療法などが含まれるが、これらに限定されない)と組み合わせて使用することができる。
【0027】
「治療有効量」という用語は、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床医によって求められている、組織、系、又は対象の生物学的又は医学的応答を生じさせる、対象化合物の量を指す。「治療有効量」という用語は、投与されるとき、治療されている障害又は疾患の兆候又は症状のうちの1つ以上の発症を予防するか、あるいはある程度緩和させるのに十分である、化合物の当該量を含む。治療有効量は、化合物、疾患及びその重症度、並びに治療される対象の年齢、体重などに応じて、変動するであろう。
【0028】
疾患を「治療する」ことは、この用語が本明細書において使用される場合、対象によって経験される疾患又は障害の少なくとも1つの兆候又は症状の頻度又は重症度を低減することを意味する。
【0029】
「細胞」という用語は、本明細書において使用される場合、具体的に示されない限り、個々の細胞、細胞株、初代培養物、又はこのような細胞に由来する培養物も指す。「培養物」は、同じ又は異なる種類の単離された細胞を含む組成物を指す。細胞株は、無限に再現することができ、このため、細胞株を「不死」にする、特定の種類の細胞の培養物である。細胞培養物は、寒天等の培地上で成長させた細胞の集団であり得る。初代細胞培養物は、細胞からの培養物であるか、又は生きた生物から直接採られ、これは、不死化されていない。
【0030】
「生物学的試料」という用語は、組織(例えば、組織生検)、器官、細胞(培養物において維持される細胞を含む)、細胞溶解物(若しくは溶解物画分)、細胞若しくは細胞性物質に由来する生体分子(例えば、ポリペプチド若しくは核酸)、又は対象からの体液を指す。体液の非限定的な例としては、血液、尿、血漿、血清、涙液、リンパ液、胆汁、脳脊髄液、間質液、房水若しくは硝子体液、初乳、痰、羊水、唾液、肛門及び膣分泌物、汗、精液、浸出液、滲出液、並びに滑液が挙げられる。
【0031】
範囲:本開示を通じて、本発明の種々の態様は、範囲形式において提示され得る。範囲形式での説明は、便宜性及び簡潔性のためであるに過ぎず、本発明の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の説明は、具体的に開示された全ての可能な部分範囲、並びにその範囲内の個々の数値を有すると見なされるべきである。例えば、1~6等の範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6など等の具体的に開示された部分範囲、並びにその範囲内の個々の数値、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、及び6を有すると見なされるべきである。これは、その範囲の幅にかかわらず適用される。
【0032】
本明細書において教示される方法によると、対象は、有効量の薬剤が投与される。有効量及び有効投与量という用語は、同義的に使用される。有効量という用語は、所望の生理学的応答をもたらすために必要な任意の量として定義される。薬剤を投与するための有効量及びスケジュールは、経験的に判定され得、このような判定を行うことは、当該技術分野の技術内である。投与のための投与量範囲は、疾患又は障害の1つ以上の症状が影響される(例えば、低減又は遅延される)、所望の効果をもたらすのに十分に大きいものである。投与量は、望ましくない交差反応、アナフィラキシー反応などの相当な有害な副作用を引き起こすほど大きくあるべきではない。一般的に、投与量は、年齢、状態、性別、疾患の種類、疾患若しくは障害の程度、投与経路、又は他の薬物がレジメンに含まれているかどうかと共に変動し、当業者によって判定することができる。投与量は、いずれかの禁忌がある場合には、個々の医師によって調整することができる。投与量は、変更することができ、かつ1回以上の投与で毎日、1日、又は数日間投与することができる。指針は、所与のクラスの医薬製品に対する適切な投与量に関する文献において見出すことができる。
【0033】
本明細書において使用される際、治療(treatment)、治療する(treat)、又は治療している(treating)という用語は、疾患若しくは状態、又は疾患若しくは状態の症状の影響を低減する方法を指す。このため、開示される方法において、治療は、確立された疾患若しくは状態、又は疾患若しくは状態の症状の重症度の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の低減を指し得る。例えば、疾患を治療するための方法は、対照と比較して、対象における疾患の1つ以上の症状の10%の低減が存在する場合、治療と見なされる。したがって、低減は、未感作又は対照レベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%又は10%~100%の任意の割合の低減であり得る。治療が、必ずしも、疾患、状態、又は疾患若しくは状態の症状の治癒又は完全切除を指すわけではないことが理解される。
【0034】
本明細書において使用される場合、疾患又は障害を予防する(prevent)、予防している(preventing)、及び予防(prevention)という用語は、対象が疾患又は障害の1つ以上の症状を示し始める前、又はそれとほぼ同時に行われる、行為、例えば、治療薬の投与を指し、これは、疾患又は障害の1つ以上の症状の発病又は増悪を阻害又は遅延する。本明細書において使用される場合、減少、低減、又は阻害への言及は、対照レベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれ以上の変化を含む。このような用語は、完全な排除を含むことができるが、必ずしも含まない。
【0035】
概説
TF発現の血管新生血管内皮細胞(VEC)及びがん細胞を標的とする第1世代の薬剤が以前に報告されている。第1世代は、IgG1のFc領域に融合したK341Aの変異を有するマウス又はヒトの第VII因子(1~406aa、組織因子への天然リガンド)からなるICONと名付けられた免疫複合体剤と呼ばれる(図1A)(Hu et al.1999、米国特許出願第2005/0214298号、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。ICONでコードされた酵素前駆体第VII因子の前凝固作用は、位置341(K341A)(Hu et al.2001)に存在するリジンの標的化された変異を介して有意に排除された。ICONは、組換えタンパク質の静脈内注射又はアデノウイルスベクターの病巣内注射によって投与されることができる。実験に基づく黒色腫、前立腺及び頭頸部腫瘍の病巣内ICON免疫療法は、顕著な腫瘍抑制、場合によっては、正常組織に影響を与えることなく(Hu et al.BMC Immunology2010、Hu et al.PNAS2000)完全な根絶をもたらす。TF発現がん細胞と結合すると、ICONはその作用機序として、ナチュラルキラー細胞(NK)依存性の抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)、及び補体依存性細胞傷害(CDC)を媒介できる。TF標的化されたPDTの場合、Huらは、単量体のfVIIペプチドを光感受性物質(PS)ベルテポルフィン(VP)及びSn(IV)クロリンe6(SnCe6)(それぞれfVII-VP及びfVII-SnCe6と呼ばれる)と複合化させ、ヒトの乳がん(Duanmu et al.2011、Hu et al.BMC Cancer2010、Hu et al.2011)及び肺がん(Cheng et al.2011)のマウスモデルにおいて、fVII標的化されたPDTが生体内及び生体外で血管新生血管内皮細胞及びがん細胞を選択的かつ効果的に殺傷できることが示された。
【0036】
ICONは、相対的に大きな分子量(210kDa)を有し、腫瘍組織内に浸透する能力を制限することがあり得る。ICONの分子量(MW)を小さくし、免疫療法の安全性(凝固活性の低下)を高めるために、IgG1Fcに融合したfVIIの軽鎖(1~152aa)のみで構成される、本明細書でL-ICON1(GenBank受託番号KX760097)と呼ばれる第2世代のICONが設計された(図1a)。L-ICON1の分子量は約100kDaであり(腫瘍微小環境へのより良い浸透のため)、これはIgG1抗体の分子量のわずか3分の2であり、ICONよりも50%以上縮小し(図1b)、L-ICON1は凝固活性を有さないが(生体内でより安全)(図7及び表1)、凝固活性部位に変異(K341A)を有する第1世代のICONは、FVIIaの5%の凝固活性のままである(図7及び表1)。L-ICON1は、同所性マウスモデルのトリプルネガティブ乳がんの治療においてICONよりも有効である。
【0037】
本明細書で開示される第3世代のTF標的化ICONタンパク質(ICON)は、本明細書ではL-ICON3及びICON3と呼ばれ、K341Aを有する第VII因子(fVII)の軽鎖又は完全長のfVIIが組換えDNA技術によりIgG3Fcに融合される(図1a)。図1に示すように、第3世代のL-ICON3及び第2世代のL-ICON1は、がん細胞などの組織因子(TF)を発現する細胞と同様の結合活性を有するが、L-ICON3は、生体外で第2世代のL-ICON1よりも強力なADCC細胞傷害をがん細胞に対して引き起こすことができる。
【0038】
本明細書に配列番号2のアミノ酸配列が開示され、これはL-ICON3を表す。配列番号1も開示され、これはL-ICON3をコードする核酸である。
【0039】
本明細書に配列番号3のアミノ酸配列が開示され、これはICON3を表す。配列番号4も開示され、ICON3をコードする核酸である。
【0040】
ヒトIgG3は、全てのIgGサブクラスの最も強力なエフェクタ機能を示すが、未解明の理由のために短い半減期を有する。IgG3は、IgGサルベージ受容体(FcRn)と結合するが、IgG1とIgG3との間の細胞内競合に起因して、IgG1の存在下では、FcRnを介したIgG3の輸送及びレスキューが阻害される。これは、IgG3が、全ての他のIgGサブクラスに見出されるヒスチジンの代わりにアルギニンを有する、位置435における単一のアミノ酸違いによって生じることが示されている。したがって、血液循環内における生体内でのL-ICON3タンパク質の半減期を延長するために、R435H変異は、部位特異的変異誘発法によりL-ICON3のIgG3Fcドメインに導入できる(Kim et al.1999、Stapleton et al.2011)。
【0041】
L-ICON3の第VII因子の軽鎖の組織因子との結合は、播種性血管内凝固の原因とならないように留意することが重要である。したがって、L-ICON3は、血液凝固を引き起こさない(L-ICON1内のfVII軽鎖のものと同様であり、図7及び表1を参照)。
【0042】
全ての第3(L-ICON3及びICON3)及び第4(L-ICON4及びICON4)ICONは、それを必要とする対象に対して投与されることができる。投与は、治療に関与する病態の種類に応じて局所的又は全身的である。投与は、例えば、精製された組換え免疫複合体タンパク質又は複製欠損アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)又は分泌型の免疫複合体をコードするcDNAを運ぶ他のウイルスベクターの静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮下、滑液嚢内、眼内、斑内、又は皮内注射のような当該技術分野で即知である任意の方法を介することができる。
【0043】
TF標的化ICONは、単独療法として、並びに手術、放射線療法、化学療法、他の治療用抗体、抗体薬物複合体、免疫チェックポイント遮断、キメラ抗原受容体(CAR)T及びNK細胞、樹状細胞、ワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、サイトカイン、及び/又は骨髄由来サプレッサ細胞(MDSC)、制御性T細胞(Treg)、腫瘍関連マクロファージ(TAM)などのような免疫サプレッサ細胞の枯渇、と組み合わせて使用されることができる。併用免疫療法は、がん細胞、腫瘍血管新生、がん幹細胞、MDSC、Treg、TAM、を含むがこれに限定されない、一部又は全ての主要な腫瘍区画上の異なる分子を標的とすることができ、又は理想的には、これらの主要な腫瘍区画で一般的に発現される同様の分子を標的とする。
【0044】
他の投与経路は、流体の非経口投与などであり得る。対象は、1つ以上の免疫複合体タンパク質の静脈内若しくは腫瘍内注射、若しくは他の部位での注射、又は1種類以上の免疫複合体タンパク質の分泌型をコードするcDNAを保有する1つ以上の発現ベクターの静脈若しくは腫瘍内注射、若しくは他の部位での注射によって治療されることができる。いくつかの実施形態では、対象は、有効量の1つ以上の複製欠損アデノウイルスベクター、又は1種類以上の免疫複合体タンパク質の分泌型をコードするcDNAを保有する1つ以上のアデノ随伴ベクターの静脈若しくは腫瘍内注射によって治療されることができる。多くの典型的な実施形態は、有効量の、免疫複合体の分泌型をコードするベクターの腫瘍内及び/又は筋肉内注射を伴う。
【0045】
治療的処置をもたらすために必要なL-ICON3の量はそれ自体固定されておらず、医薬担体と組み合わせて投与される組成物中の成分の濃度、以下により詳細に説明される免疫系応答を向上させる、投与される組成物中の補助化合物、並びに治療される患者の年齢、体重、及び臨床状態に必然的に依存する。好ましい組成物は、患者に許容不可能な毒性を生じることなく、有効量で免疫複合体を送達する。
【0046】
本発明の医薬組成物又は製剤は、他の担体、アジュバント、安定剤、防腐剤、分散剤、及び論点の薬剤の種類を考慮した当該技術分野で従来の他の薬剤も含み得る。
【0047】
がんに適用される場合、本発明は、ヒト腫瘍細胞、CSC若しくは腫瘍血管内皮細胞、又は3つ全ての腫瘍区画を特異的に標的とする標的化ドメイン、及び標的化された細胞に対する細胞溶解性免疫応答又は細胞傷害効果を活性化するエフェクタドメインを有する免疫複合体を使用する。
【0048】
がん治療では、抗腫瘍免疫複合体は、様々ながん(固形がん、白血病、リンパ腫)、特に、黒色腫、腎臓、前立腺、乳房、卵巣、脳、神経芽細胞腫、頭頸部、膵臓、膀胱、及び肺のがんを含む、原発性又は転移性固形腫瘍の治療、及び予防に使用される。免疫複合体は、腫瘍脈管系、特に血管内皮細胞、CSC及び/又は腫瘍細胞を標的とするために使用され得る。腫瘍の脈管構造は、以下のように、免疫療法のためのいくつかの利点を提供する。(i)組織因子を含む血管を標的とする一部は、全ての腫瘍に対して同様なはずである。(ii)脈管構造に標的化された免疫複合体は、それらの標的に到達するために腫瘍塊に浸潤する必要はない。(iii)各血管は、その生存率が血管の機能的完全性に依存する多数の腫瘍細胞に栄養を与えるため、腫瘍血管系を標的とすることにより、増幅された治療反応が生じるであろう。(iv)血管の内側を覆う内皮層全体の調節を必要とするため、血管系は、免疫複合体に対する耐性を発達させる可能性が低い。新しい血管の成長を阻害する前述の抗血管形成法とは異なり、L-ICON3は血管新生に対する細胞溶解反応を誘発できる。本明細書に開示される組成物は、転移性がんを特異的に治療することができ、又はがんの転移を予防できることに留意されたい。
【0049】
L-ICON3は、関節リウマチ、滲出性(「湿潤」)型の黄斑変性症、子宮内膜症、ウイルス感染症、アテローム性動脈硬化、血栓形成、及び血管新生に関連する他の疾患の患者の治療にも有効であり得る。
【0050】
一実施形態では、TF標的化光線力学療法(PDT)又は抗体薬物複合体(ADC)療法のために、光感受性物質又は薬物をL-ICON3と結合させることができる。標的化分子と複合化され得る光感受性物質は、光線力学色素を含む。色素は、適切な種類の放射線、例えば、典型的には約630nm~約750nmの特定の波長の光への曝露後に標的化された組織に損傷を引き起こすことが可能でなければならない。多数の利用可能な光線力学色素のいずれか、例えば、ジヘマトポルフィリンエーテル並びにヘマトポルフィリンの二量体及び三量体のような、誘導体(その例は米国特許第4,968,715号及び同第5,190,966号に開示される)を含むヘマトポルフィリンを含む、米国特許第6,693,093号及び同第6,443,976号に開示されたもの、及びその改善物であって、後述の例が、米国特許第5,028,621号、同第4,866,168号、同第4,649,151号、及び同第5,438,071号に開示されている、もの;米国特許第5,079,262号に開示及び例示されるような、光線力学化合物の供給源としてのアミノレブリン酸(ヘマトポルフィリンの前駆体);ホウ素化ポルフィリン、ベンゾポルフィリン、及びそれらの誘導体を含み、米国特許第4,883,790号、同第4,920,143号、同第5,095,030号、及び同第5,171,749号に開示される緑色ポルフィリンによって更に例示されるような、ポルフィリン;メロシアニン;ポルフィセン:ポルフィマーナトリウム;ベルテポルフィン(Vysudine(商標)、CIBA Vision);フォトフリンII(商標);PH-10(商標);メソ-テトラ(ヒドロキシフェニル)-クロリン及びバクテリオクロリンによって例示されるようなクロリンであって、後者が米国特許第5,171,741号、同第5,173,504号に例示されている、もの;米国特許第5,166,197号に開示されるような亜鉛フタロシアニン;スズエチルエチオプルプリン(SnET2(商標)、Miravant)のようなプルプリン;例が米国特許第5,198,460号、同第5,002,962号、及び同第5,093,349号に開示されている、フェオフォルバイド;上記のそれぞれのモノクローナル抗体-色素複合体、任意で上記のいずれか若しくは全ての混合物を使用できる。
【0051】
化合物に対して特定に言及して上述されたが、活性化合物の鏡像異性体、立体異性体、代謝産物、誘導体、及び塩を利用することもできる。これらの化合物の合成方法は、当業者に既知である。薬学的に許容される塩の例として、アミンなどの塩基性残基の鉱酸又は有機酸塩、及びカルボン酸の酸性残基のアルカリ塩又は有機塩などが含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩として、例えば、非毒性無機酸又は有機酸から形成される、親化合物の従来の非毒性塩又は第四級アンモニウム塩が含まれる。従来の非毒性塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導されたもの、及び酢酸、プロピオン、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などの有機酸から調製された塩が含まれる。薬学的に許容される塩は、従来の化学法によって、塩基性部分又は酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般に、そのような塩は、水中若しくは有機溶媒中、又は2種の混合物中、これらの化合物の遊離酸又は遊離塩基の形態を化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させることにより調製することができ、一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。好適な塩の一覧は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418に記載されている。
【0052】
プロドラッグは、生体内で活性な親薬物を放出する共有結合した物質である。プロドラッグは、化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製することができ、常用の操作又は生体内のいずれかでこの修飾が開裂されて親化合物がもたらされるように行われる。プロドラッグには、ヒドロキシ基又はアミノ基が、プロドラッグが哺乳動物対象に投与されたとき、開裂してそれぞれ遊離ヒドロキシル又は遊離アミノを形成する任意の基に結合されている化合物が含まれる。プロドラッグの例としては、アルコール及びアミン官能基の酢酸、ギ酸及び安息香酸誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
更に、配列番号2によって表されるL-ICON3に追加の修飾を加えることができることが想定される。例えば、修飾されていないバージョンと同等の少なくとも1つの機能的活性を示し、更に修飾されたタンパク質又はポリペプチドが、例えば、生産費が安い、副作用が少ない、及び/又はより良い若しくはより長い有効性、若しくは生物学的利用能を有するなどの修飾されていないバージョンよりも追加の利点を保有する、修飾されたL-ICON3を作製できる。
【0054】
修飾されたL-ICON3は、アミノ酸の欠失及び/又は置換を保有することができ、したがって、欠失を有するタンパク質、置換を有するタンパク質、並びに欠失及び置換を有するタンパク質は、修飾されたタンパク質である。いくつかの実施形態では、これらの修飾タンパク質は、例えば一緒に、融合タンパク質又はリンカーを有するタンパク質のような挿入又は付加されたアミノ酸を更に含み得る。
【0055】
置換又は代替バリアントは、典型的には、ポリペプチド内の1つ以上の部位で1つのアミノ酸の別のアミノ酸への交換を含み、ポリペプチドの1つ以上の特性、特にそのエフェクタ機能及び/又は生物学的利用能を調節するように設計され得る。実施形態のキメラポリペプチドにおける確実な特定のアミノ酸交換は、上記で詳述されている。更なる置換は、保存的であり得、若しくは非保存的であり得、すなわち、1つのアミノ酸は、類似の型及び電荷のうちの1つに代替えされる。保存的置換は、当該技術分野において周知であり、例えば、アラニンに対してセリン、アルギニンに対してリジン、アスパラギンに対してグルタミン又はヒスチジン、アスパルテートに対してグルタメート、システインに対してセリン、グルタミンに対してアスパラギン、グルタメートに対してアスパルテート、グリシンに対してプロリン、ヒスチジンに対してアスパラギン又はグルタミン、イソロイシンに対してロイシン又はバリン、ロイシンに対してバリン又はイソロイシン、リジンに対してアルギニン、メチオニンに対してロイシン又はイソロイシン、フェニルアラニンに対してチロシン、ロイシン、又はメチオニン、セリンに対してトレオニン、トレオニンに対してセリン、トリプトファンに対してチロシン、チロシンに対してトリプトファン又はフェニルアラニン、及びバリンに対してイソロイシン又はロイシンへの変更が含まれる。
【0056】
欠失又は置換に加えて、修飾されたポリペプチドは、典型的にはポリペプチド内の少なくとも1つの残基の付加を伴う残基の挿入を保有し得る。これは、標的化ポリペプチド又は単純に単一の残基の挿入を含み得る。融合タンパク質と呼ばれる末端付加については、以下に開示される。
【0057】
また、アミノ酸及び核酸配列は、付加的なN若しくはC末端アミノ酸又は5’若しくは3’配列のような付加的な残基を含み得、更に、タンパク質発現が関係する生物学的タンパク質活性の維持を含む上記の基準を配列が満たす限り、本質的に本明細書に開示される配列の1つに記載されるとおりであることも理解されるであろう。末端配列の付加は、例えば、遺伝子内に生じることが知られている、コード領域の5’若しくは3’部分のいずれかに隣接する様々な非コード配列を含み得るか、又は様々な内部配列、すなわちイントロンを含み得る、核酸配列に特に適用される。
【実施例
【0058】
実施例1:L-ICON3及びICON3
図1aに示すように、第3世代(第3世代)のICON、すなわちL-ICON3及びICON3は、ヒトIgG3Fcドメインに融合したfVII軽鎖(1~152aa)又は完全長(K341A変異を有する406aa)で構成される。L-ICON3(配列番号1)及びICON3(配列番号3)のmRNA配列は、GenBank(それぞれ、受託番号KY223609及びKY223610)に寄託されている。
【0059】
L-ICON3及びICON3の分子量(MW)
L-ICON3ペプチドのモノマーは、419アミノ酸残基(配列番号2)を含む。モノマーL-ICON3タンパク質の重量は、47キロダルトンである。二量体L-ICON3の推定分子量は、94kDaである。SDS-PAGEでのL-ICON3の実際の分子量は、約100kDaである(図1b)。L-ICON3のFc部分は、検出用の抗ヒトIgG抗体を使用したウエスタンブロッティングによって更に検証された(図1c)。
【0060】
ICON3ペプチドのモノマーは、「MVSQALRLLC」(配列番号4)から開始する673残基を含む。推定されたモノマーICON3タンパク質の重量は、75kDaである。
【0061】
L-ICON3及びICON3の親和性精製の方法
L-ICON3及びICON3の親和性精製のための方法を開発するために、免疫沈殿ウエスタンブロッティング(IP-WB)が実施された。図2の結果は、L-ICON3タンパク質はプロテインG親和性カラムでのみ精製できるのに対し、L-ICON1はプロテインA及びプロテインG親和性カラムで精製できることを示した。同様に、ICON3は、プロテインG親和性カラムによって精製することができる。
【0062】
ヒト及びマウスがん細胞に対するL-ICON3タンパク質の結合活性
L-ICON3の結合活性は、高TF発現ヒトトリプルネガティブ乳がん株MDA-MB-231を使用して、がん細胞のELISAにおけるL-ICON1の結合活性と比較された。図3aの結果は、L-ICON3及びL-ICON1が、MDA-MB-231細胞に等しく結合できることを示した(ns:有意差なし)。がん細胞のELISAの結果は、L-ICON3がヒトTNBC(図3a及び3bのMDA-MB-231)、黒色腫(図3cのSK-Mel-28)、及び卵巣がん(図3dのOVCAR5)、並びにマウスTNBC(図3eの4T1)及び黒色腫(図3fのB16F10)を含む2つの非常に攻勢なマウスがん株と結合できることを更に示した。
【0063】
がん細胞の殺傷におけるL-ICON3依存性ADCC及びCDC効果
図4aの結果は、L-ICON3タンパク質が、標的とするがん細胞(ヒト卵巣がんOVCAR5細胞)を殺傷するADCCが引き起こすことができることを示した。実際に、L-ICON3依存性ADCCは、第2世代のICON(L-ICON1)よりも強い効果を有した(図4a)。図4bの結果は、L-ICON3が、標的とするがん細胞(MDA-MB-231細胞)を殺傷するために補体依存性細胞傷害を引き起こすことができ、その効果は、L-ICON1と同様(ns:有意差なし)であることを示した。
【0064】
実施例2:血管形成依存性のヒト疾患及びマクロファージ関連のヒト疾患を治療する可能性を有する組織因子に対する治療用抗体様免疫複合体
組織因子(TF)は、47kDaの膜結合細胞表面受容体(1~3)である。これは、凝固第III因子、又はCD142である、トロンボプラスチンとしても既知である。生理学的条件下では、TFは、循環末梢血リンパ球(PBL)及び静止血管内皮細胞によって発現されない。TF発現は、血液と直接接触していない細胞、例えば、周皮細胞、線維芽細胞、及び平滑筋細胞のような細胞に制限され、これらは、内皮下血管壁に局在し、循環凝固因子VII(fVII)から隔離される。これらの細胞では、TFの大部分は、細胞内プール(4)に局在される。血管壁の完全性を破壊すると、周皮細胞及び平滑筋細胞のTFが放出され、fVIIによって結合され、血液循環から漏出して、出血を止めるために血液凝固を引き起こすことができる(5、6)。凝固の最初のイニシエータとしての役割に加えて、TFはまた、病理学的血管形成のモジュレータでもある(7~9)。
【0065】
血管形成は、既存の血管からの新しい毛細血管の形成であり、生理学的条件(再生及び組織修復)、並びにがん(10、11)、加齢黄斑変性(AMD)、子宮内膜症、及び関節リウマチ(RA)(12~14)を含むがこれらに限定されない20以上のヒト疾患(10)の両方に関与する。がんにおいて、血管形成は、良性過形成小瘤から悪性病変(11)への過渡期にこのプロセスが非常に重要であるという認識により、Hanahan及びWeinberg(15、16)によって「がんの特徴」の1つとして特定された。病理学的血管新生の内層である血管形成血管内皮細胞に特異的な標的とする分子の同定は、これらの血管形成依存性の一般的なヒト疾患の血管新生標的化療法の発見と開発に重要である。
【0066】
がん、加齢黄斑変性、子宮内膜症の病理学的血管新生における組織因子
血管内皮増殖因子(VEGF)は、黄斑変性(18)、関節リウマチ(19)、及び子宮内膜症(20)などの血管形成依存性のがん及び非悪性ヒト疾患(17)において中心的な役割を果たす。具体的には、VEGFは、これらの血管形成依存性の疾患の病理学的血管新生(通常は微小血管又は毛細血管)のVEC上のVEGR受容体と結合することにより、血管形成を誘発する。VEGFは、血管形成の研究で一般的に使用されるVECモデルであるヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)上でTF発現を誘導できることが以前から知られている。VEGF受容体は腫瘍VECでより高いレベルで相対的に発現しているが、それらは通常のVECでも発現されており(21)、VEGF受容体が血管新生細胞に特異的ではないことを表す。病理学的血管形成をより良好に模倣するために、理想的な血管形成のVECモデルは、微小又は毛管血管から誘導されるべきである。血管内皮成長因子誘導の生体外の血管新生血管内皮モデルを使用して、VEGFRとは異なり、TFは血管新生特異的受容体であり、fVII-IgG1Fc免疫複合体(ICONと命名され、後述される)を使用した第VII因子(fVII)が標的化された免疫療法、及びfVII複合化された光感受性物質を使用した光線力学療法の標的であることが報告された(22)。更にTFは、動物モデルから患者の腫瘍血管(7,23-27)、眼(12)、及び子宮内膜症(14)の血管新生における生体内の血管形成VEC上での選択的発現により、生体内で特有な病理学的血管形成内皮細胞表面受容体でもある。
【0067】
がんの病理学的血管新生における組織因子
腫瘍血管内皮細胞でのTF発現は、1996年に7人の乳がん患者からの原発性腫瘍組織においてContrinoらによって最初に報告された(23)。重要なことに、TF発現が隣接する乳房組織の正常な血管内皮細胞で検出されなかったことも報告した。HU及びGarenは、TFが生体外及び生体内においてヒト黒色腫異種移植片の腫瘍血管新生において選択的に発現されたことを独立して報告した(24、28)。TFは、ヒト肺(26)及び化学療法抵抗性の乳房(27)腫瘍異種移植片の腫瘍血管内皮細胞に特異的に発現したが、マウスの脳、肺、脾臓の静止した血管内皮細胞(26)には発現されなかったことが更に示された。
【0068】
加齢黄斑変性の血管新生における組織因子
加齢黄斑変性(AMD)は、先進国及び発展途上国の高齢者集団(55歳以上)の失明の主な原因である。中心視力の重度の喪失は、網膜の黄斑領域を損傷する病理学的脈絡膜血管新生(CNV)の形成の結果として、AMDの滲出性(湿潤)形態で生じることが多い。Louisville大学での在職中にKaplan研究所と協力して、2003年にBora、Huらは、CNV膜の内皮細胞は、ブタモデル(12)でTFを選択的に発現した一方、正常な網膜血管内皮はTFを発現しなかったことを報告した。正常な脈絡膜内皮もTF(12)を発現しなかった。別の研究において、Grossniklausらは、27歳~84歳までの7人の女性及び3人の男性から得られた10個の外科的に切除された中心窩下のCNV検体内、並びに74歳~99歳までの女性4人及び6人の男性からの10個のアイバンクの中心窩下CNVについて、VEGF及びTF発現の免疫染色を行った。VEGFがマクロファージ内において可変的に発現され、網膜色素上皮内(RPE)で強く発現し、検死後の眼及び外科用標本の両方でCNVの主要成分であることが見出された。VEGFは、更に線維芽細胞内及び光受容体内でも発現した。TFは、マクロファージ内で強く発現され、RPE内で可変的に発現された。炎症活性の外科的に切除されたCNV対炎症非活性の外科的に切除されたCNVにおいてVEGF及びTFに対するより強い染色が存在した(29)。
【0069】
子宮内膜症の血管新生における組織因子
子宮内膜症は、子宮内膜組織、子宮の内側層、子宮の外側の存在によって特徴付けられる婦人科疾患である。子宮内膜病変は、骨盤腹膜及び卵巣上に主に位置するが、心膜、胸膜、肺、及び更に脳内に位置することもできる。この疾患は、全ての再生産年齢の女性の最大10%に影響を及ぼし、不妊女性での普及率は20~50%に上昇する。Lockwood博士実験室は、子宮内膜症におけるTFの発現を広範に調査した(30-33)。正常な子宮内膜では、TF発現は、分泌期の間質細胞に限定され、腺上皮における発現ははるかに低い。しかしながら、子宮内膜症では、TFは、腺上皮細胞及び間質細胞の両方において大幅に過剰発現される。興味深いことに、最も強いTF免疫染色は、子宮内膜組織のマクロファージ上で観察された。2010年、LockwoodグループのKrikunと共同でHuらは、異所性子宮内膜病変の内皮細胞はTFを高度に発現(14)したが、一方で患者の正常な増殖性子宮内膜の腺細胞、間質細胞、内皮細胞及び血管壁にはTFは検出されなかった(14)ことを報告した。
【0070】
がんにおける組織因子発現
固形がん、白血病、及び肉腫のがん細胞上の組織因子発現
腫瘍血管新生における発現に加えて、TFはまた、多くの種類の固形がん(34~36)及び白血病(AML及びALL)(36)のがん細胞上で高度に発現される。例えば、TF発現は、乳がん患者80%~100%、肺がん患者40%~80%、及び卵巣がん患者84%(36)のがん細胞上で検出される。乳がん、肺がん、卵巣がんと同様に、TFは他の多くのヒト固形がんでも高い割合で発現され(36、37)、例えば、原発性黒色腫では95%及び転移性黒色腫では100%、膵臓がんでは53%~90%、結腸直腸がんでは57%~100%、肝細胞がんでは63%~100%、原発性及び転移性前立腺がんでは60%~78%、並びに神経膠腫では47%~75%である。
【0071】
白血病は、骨髄に由来する末梢血、及び多くの場合に脾臓、肝臓、リンパ節にも浸潤する造血組織の悪性新生物である。AML及びALLを含む急性白血病は、未成熟細胞又は芽球の増殖によって特徴付けられる。未治療の場合、ほとんどの場合、死亡は通常6か月以内に発生する。ALLは、最も一般的な小児悪性疾患及び2番目に一般的な成人白血病であり、AMLは、2番目に一般的な小児悪性疾患である。TFは、ヒト白血病HL-60(38~42)、Molt-4(43)、THP-1(43)細胞株、並びにAML(38、44~48)及びALL(39、49)患者の白血病細胞上で発現することが報告された。TFは、エンドトキシ又は他のサイトカイン(41)によって刺激されない限り、正常な末梢単核細胞上、そして骨髄前駆細胞上(45)でも発現されない。Tfは、白血病患者の血漿中(39、49)及びHL-60培地中(39)でも検出された。
【0072】
肉腫において、TF発現もまた、マウスMeth-A肉腫細胞上(50)、ラット骨肉腫細胞上(51)、及びカポジ肉腫上(52)の血管由来でも検出された。TFが、ヒト肉腫内で発現しているかを調査することが残存する。
【0073】
がん幹細胞上の組織因子発現
がん細胞及び腫瘍の血管新生の他に、がん幹細胞(CSC)もまた、腫瘍微小環境において重要な腫瘍区画である。CSCは、腫瘍の血管形成、複数の治療に対する耐性(53、54)及び転移(53、55、56)に寄与する。標的化CSC療法は、根本的にがんを治療することができ、薬剤耐性、再発、及び転移を克服することができる。TFはまた、CD133+及びCD24-CD44+がん始原幹細胞でも発現され、TFは、ヒトのがん細胞株(乳がん、肺がん、卵巣がん、頭頸部がんなど)、腫瘍異種移植片及び乳がん患者から単離されたCSCの新規ながん標的として機能することができることが示されている。更に、TF標的化免疫療法剤ICONは、薬剤耐性を有さないCSCを根絶することができる(37)。
【0074】
総合すると、TFは、がん細胞、腫瘍血管新生、及びがん幹細胞に対するがんの一般的かつ選択的な治療標的であり、TF標的化療法は、これら3つの主要な腫瘍区画を選択的かつ効果的に標的とする及び排除する能力を有する新規な治療的アプローチを表すと思われる。これらの発見は、再発や薬剤耐性のないICONの顕著な効果の結果、すなわち、ヒト及びマウスの前立腺、黒色腫、及び頭頸部がん(25、28、57)のマウスモデルにおける十分に確立された原発腫瘍(最大600mm)及び転移の完全な根絶の観察を明白にし得る。
【0075】
関節リウマチにおける組織因子
関節リウマチ(RA)は慢性的であり、多くの場合に原因不明の進行性の全身性炎症状態である。滑膜組織への単核浸潤(T細胞、B細胞、形質細胞及びマクロファージ)、及び末梢関節の対称性びらん性関節炎が特徴となるが、全身症状も引き起こし得る。腫瘍壊死因子α(TNFα)は、RA(58)の病因において重要な役割を果たす。
【0076】
関節炎の関節におけるTF発現
Bussoら(59)は、RA患者10人の滑膜組織標本を免疫組織化学的に染色し、TF発現が、線維芽細胞、平滑筋細胞、及びマクロファージにおいて検出されたが、内皮細胞では検出されなかったことを報告した。Chenら(60)は、KI-67陽性滑膜細胞、B細胞及び内皮細胞上でTF発現を観察した。RAの内皮細胞におけるTF発現に関する議論の結果は、TF発現が評価された時点に起因し得る。内皮細胞(HMVEC及びHUVEC)上のTNFαによるTFの誘導は一過性であり、TNFαとのインキュベーションの4~6時間後にピークになることが示されている。したがって、炎症誘発性サイトカイン及び成長因子の刺激により、内皮細胞はRAの初期段階(急性期)でTFを発現し、その後、内皮TF発現はRAの後期段階(慢性期)で減少又は消失し得ると思われる。したがって、TFは、マクロファージ、B細胞、Ki-67陽性滑膜細胞、及びRA内の血管形成VECによって発現される。
【0077】
RAにおける血管形成及び血管形成内皮TF。RAはまた血管新生に関連しており、これにより、炎症した滑膜組織(10、61~70)への白血球の内皮下浸潤を可能にする。TNFα及びVEGFのような多数の血管形成メディエータ、並びに関節炎の毛細血管形成の増加をもたらす不均衡を有するRA滑膜の内在性阻害剤がある。具体的には、血管内皮細胞(VEC)は、滑膜炎症(71)の根底にある多数の機構に関与する。血管形成VECは、血管透過性の増加、白血球の血管外浸潤(炎症の主要な特徴)、並びにRAの開始及び進行中の多数の炎症性メディエータの分泌に関与する。抗血管形成は、RA(61)の治療において試験されている。TNFα、IL-1、及びVEGFのような多数の炎症誘発性サイトカイン及び成長因子は、VEC(72)上でのTFを誘導するための既知の刺激である。したがって、血管形成VECは、RAのTF標的化治療のための標的として機能することができる。
【0078】
TFを発現するRAにおけるマクロファージ。マクロファージが、RAの開始及び進行においていくつかの役割を果たすことが十分に報告されている。第1に、マクロファージは、自己抗原を異常に提示し、自己反応性T細胞の活性化をもたらす抗原提示細胞のうちの1つとして機能できる。第2に、マクロファージは、炎症誘発性サイトカイン、ケモカイン、成長因子、並びにTNFα、IL-1、IL-6、IL-18、IL-15、及びIL-32のような酵素を産生及び分泌して、他の細胞を更に活性化し、疾患の進行に寄与する。第3に、マクロファージは、滑膜細胞を刺激して、コラゲナーゼ及びプロテアーゼのような酵素を放出させ、軟骨及び骨の損傷を引き起こし得る。標的化マクロファージは、RAの治療のための新規な治療的アプローチであることを表す。TFは、リウマチ滑膜(59、60)内のマクロファージによって発現されることが報告されている。重要なことに、TFは、非刺激単球(73、74)によって通常発現されないが、TFは、細菌LPS(75)、TNFα(76)、及びIL-1(77)を含む炎症性メディエータによって単球上に誘導されることができる。
【0079】
TFを発現するRAにおける線維芽細胞。TFは、ヒト線維芽細胞株(78、79)及びヒト胚性線維芽細胞(80)上で発現されることが報告されている。滑膜線維芽細胞は、広範なサイトカイン、ケモカイン、成長因子、及びMMPのような酵素を分泌することによってRAの病因に関与する。研究は、滑膜線維芽細胞の増殖を阻害することにより、炎症性関節炎(81)の重症度を軽減できることを示した。したがって、TFとの結合を介した線維芽細胞の標的化は、RAの治療のための新規な治療薬の開発につなげることができる。
【0080】
TFを発現するRAにおけるB細胞。B細胞は、RAにおける関節炎の関節に浸潤する別の種類の免疫細胞である。B細胞はRAの病因に重要な役割を果たし、自己抗体産生の形質細胞の前駆体としてだけでなく、抗原提示、T細胞活性化、サイトカイン産生(82)にも関与している。したがって、B細胞指向療法は、RAの治療(83~85)に治療効果を提供することができる。最近の研究では、ヒトRAにおけるB細胞がTF(60)を発現するのに対し、正常なB細胞はTF(86)を発現しないことを示した。RAに関連したB細胞がTFを発現する理由は依然として不明である。これは、炎症性サイトカイン及びケモカインのうち1つ又は混合物による誘導に起因し得る。証拠として、総B細胞の30%に相当する正常なヒトB細胞の亜集団(CD19+CD79b+CD38+CD40+CD5-)は、ホルボールミリスチン酸アセテート(PMA)(86、87)による誘導後にTFを発現した。興味深いことに、T細胞及びNK細胞は、LPS又はPMA(86)による刺激後でもTFを発現しない。NK細胞は、がんの動物モデル(57)における生体外及び生体内でのTF標的化ICON免疫療法のADCC効果を媒介する主要なエフェクタ細胞であることが観察された。NK細胞における陰性のTF発現の発見は、有効性をより良好に理解するだけでなく、臨床試験におけるTF標的免疫複合体の安全性を確保にするためにも非常に重要である。
【0081】
Tf及び血管形成の誘導に寄与するRA、子宮内膜症、及び腫瘍の微小環境におけるサイトカイン及び成長因子(Hu.Antibodies.2018(印刷中))。炎症促進性サイトカイン(例えば、IL-1、IL-6、TNF1996</Year><RecNum>88</RecNum><IFNn、GM-CSFなど)、抗炎症性サイトカイン(IL-10、IL-1Rα、TGFβ、IL-11、IL-13など)、ケモカイン(例えば、IL-8、MIP-1L-8、MIP-1P-1P-110など)、成長因子(例えば、VEGF、PDGF、FGF)を含む多数のサイトカイン及びケモカインが、関節リウマチ滑膜(88)及び/又はRA患者(89~91)の血漿中に存在する。これらの刺激の一部は、VEC(例えば、VEGF)(19)の血管形成及び血管透過性の増加、及び/又はVEC(例えば、TNF</A(92)若しくは単球(LPS)(75)、TNFN(76)、IL-1(77)でのTFの誘導に寄与することができる。それらのうちのいくつか、例えば、強力な成長因子であるVEGFは、血管形成依存性のがん、及びAMD(18)、RA(19)、子宮内膜症(20)のような非悪性ヒト疾患(17)で中心的及び共通の役割を果たす。
【0082】
マクロファージに関連するヒト疾患における組織因子
アテローム性動脈硬化における組織因子
アテローム性動脈硬化は、冠動脈のような中型から大型の動脈に脂質が蓄積することを特徴とする進行性疾患である。アテローム性動脈硬化中の、血管壁におけるアテローム性動脈硬化プラークの形成は、動脈の内腔の狭窄をもたらす。アテローム性動脈硬化及びその後のアテローム血栓症は、世界中の主要な死亡の原因となる。アテローム性動脈硬化プラークは、主に、プラーク内のマクロファージ上及び血管平滑筋細胞、並びに壊死性の核内の微小胞(微粒子又は細胞外小胞としても既知である)及び泡沫細胞由来の破片に発現されるTFのレベルが高いことに起因して凝固促進性が高い。興味深いことに、プラーク内の90%を超える微小胞はCD14陽性であり(93)、単球/マクロファージのそれらの起源を示唆する。Mackmanのグループを含むいくつかのグループは、アテローム血栓症化及びアテローム性動脈硬化(94~99)におけるTFを簡潔に再調査した。アテローム性動脈硬化における動物モデルは、マウス、ウサギ、ブタ、及び非ヒト霊長類において開発されており、このなかでマウス及びウサギは、最も一般的に使用されるモデルである。重要なのは、ヒトのアテローム性動脈硬化と同様に、ウサギモデル及びApoe-/-マウスモデルのおけるアテローム性動脈硬化病変にも高レベルのTFが存在することである(Tatsumi及びMackmanによる批評を参照)(95)。これらの動物モデルにおけるTF発現の所見は非常に重要である。これは、基礎科学研究のためにヒトのアテローム性動脈硬化の進行を模倣する動物モデルだけでなく、ヒトのアテローム性動脈硬化の治療のためのTF標的化治療薬を試験するための動物モデルも提供するためである。更に、高脂血症及びII型家族性高コレステロール血症を有する患者は、高濃度のTF発現単球及びTF陽性微小胞のレベルが高い。重要なことに、TFは、非刺激単球(73,74)によって通常発現されないが、TFは、細菌リポ多糖(LPS、エンドトキシンとしても既知)(75)、TNFα(76)、及びIL-1(77)を含む炎症性メディエータによって単球上に誘導されることができる。
【0083】
HIVに感染したマクロファージ上の組織因子発現
ヒト免疫不全ウイルス-1(HIV-1)の発見後すぐに、HIV-1には、生体内の末梢血に2種類の主要な標的とする細胞、すなわち広範に研究されてきたTリンパ球及びマクロファージ(100、101)を有することが見出され、これらは軽視されているが、以下で説明する観察に基づいて広範に調査する価値がある。ウイルス複製サイクルは通常T細胞において迅速及び細胞変性であるが、感染したマクロファージは生体外及び生体内で数か月間生存し、感染性ウイルス粒子を含む大きな液胞を蓄積する。結果として、HIV遺伝子が活発に発現し、ウイルス粒子は、HIVに感染したマクロファージ(100)に組み入れられる。したがって、マクロファージは、宿主内での初期段階のウイルス伝播及び伝播のためのHIV感染の病因において重要な役割を果たし、より重要なことには、ウイルス持続の貯蔵庫として、重要な役割を果たす。更に、慢性HIV感染におけるマクロファージは、細胞膜受容体の組織因子(TF)(102)を選択的に発現する。しかしながら、TFは、刺激を受けていない単球(73)、並びに血管壁の他の静止血液細胞及び血管内皮細胞(24、25、103~105)によっては通常発現されない。マクロファージ上のTFの上昇は、生体内凝固、すなわち動脈及び静脈血栓症のリスクの増加に寄与し、高活性抗レトロウイルス療法(HAART)(102)後のHIV患者における一般的な副作用である。更に、マクロファージTFのレベルは、血漿中のHIVレベル(102)と相関した。TF発現は、細菌リポ多糖(LPS)(102)によって単球上に誘導され得、これは胃腸管由来の細菌産物であり、慢性的にHIVに感染した個体(106)において高い循環レベルを有する。したがって、HIVに感染したマクロファージは、ウイルスを拡散させるための貯蔵庫であると考えられ、組織因子発現による血管内血栓症のリスクの増加に寄与する。
【0084】
エボラに感染したマクロファージにおける組織因子発現
エボラウイルスは、重度の出血性発熱に起因して、ヒトにおける発生では約80%、サルモデルではほぼ100%の急性死亡率を引き起こし得る。エボラ出血熱の凝固異常を裏付ける機構は、エボラウイルスが、ウイルス複製(107)中に霊長類単球及びマクロファージにおいてTF発現を誘導できることである。組換え線虫抗凝固タンパク質c2(rNAPc2)によるfVIIa/TFの遮断は、エボラ出血熱のアカゲザルモデルにおけるTF活性のレベルを低下させ、治療された非ヒト霊長類の生存率を有意に増加させた(108)。
【0085】
組織因子は、T細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞によって発現されない
興味深いことに、T細胞及びNK細胞は、LPS又はPMA(86)による刺激後でもTFを発現しない。以前に、NK細胞が、がんの動物モデル(57)における生体外及び生体内でのTF標的化ICON免疫療法の抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)効果を媒介する主要なエフェクタ細胞であることを観察した。NK細胞における陰性のTF発現の発見は、有効性をより良好に理解するだけでなく、臨床試験におけるTF標的免疫複合体の安全性を確保にするためにも非常に重要である。上記のように、TFは、非刺激単球(73、74)及びB細胞(86)によって通常発現されないが、TFは、LPS(75)、TNFα(76)、及びIL-1(77)を含む炎症性メディエータによって単球上、及びPMA(86、87)によってB細胞上に誘導されることができる。
【0086】
前臨床研究におけるTF抗体及び抗体様免疫複合体の標的化
第2及び第3世代のTF標的化抗体様免疫複合体(より軽いICONのためのL-ICON)
L-ICON1をより有効にするために、L-ICON3(GenBank受託番号KY223609)及びICON3(GenBank受託番号KY223610)と命名された第3世代ICONが生成された。L-ICON3及びICON3は、IgG3Fc(第3世代、図1a及び図1b)に融合されたFVII軽鎖(最初の152aa)又は完全長(K341Aを有するか又は有さない)で構成される。IgG3抗体は、IgG1抗体よりも有効なADCC及び/又はCDC効果を引き起こすことができることが、十分に報告されている。第3世代のL-ICON3及び第2世代のL-ICON1は、がん細胞に対して同様の結合活性を有し、L-ICON3は、生体外での第2世代のICON(L-ICON1)よりも強いADCC細胞傷害を引き起こすことができる。L-ICON3はまた、がんの動物モデルにおいてL-ICON1よりも有効である。
【0087】
第4世代のTF標的化抗体様免疫複合体
IgG1抗体(より長い血清半減期)及びIgG3抗体(より強いADCC及び/又はCDC)の利点を組み合わせるために、IgG1及びIgG3のFcのハイブリッドは、第VII因子の軽鎖又は第VII因子の完全長(K341Aを有するか又は有さない)のC末端に融合され、第4世代のICONとして、それぞれL-ICON4及びICON4と命名された。ADCC及びCDC活性は、IgG1/IgG3混合アイソタイプ(109)の改変抗体において増強されたことが以前に示された。
【0088】
TF標的化抗体及び抗体薬物複合体(ADC)
いくつかのヒト化モノクローナル抗体(TF-HuMab)及び/又は抗体薬物複合体(TF-ADC)は、前臨床試験及び臨床研究(110、111)で研究されている。オランダ内のグループは、TF及びTF発現NSO細胞(110)の細胞外ドメインの精製ペプチドを使用して、ヒト化マウスにおけるTFに対するヒト化IgG1抗体(組織因子HuMab)を生成した。TF-011、-098及び-111と命名されたこれらのうちの3つは、TF:fVII依存性細胞内シグナル伝達の効率的な阻害、ADCC、及び急速な受容体の内在化を誘導することができたが、生体外でのTF凝固活性に最小限の影響を有した。これらのTF HuMabクローンを細胞傷害剤MMAE又はMMAFと複合化させ、TF-011-MMAE(HuMax-TF-ADC)が最も強力なADCであり、生体内での作用の主要な機構はアウリスタチンを介した腫瘍細胞の殺傷であることを示した。TF-011-MMAEは、TF発現レベルが変化する患者由来異種移植片(PDX)モデルにおける完全な腫瘍退縮を誘導した。興味深いことに、TF標的化ADCは、それらの腫瘍細胞の25%~50%でTFを発現するPDXモデルにおいても有効であった。低TF発現の腫瘍細胞モデルにおけるADCの有効性の理由は、TF標的化ADCが、生体外(22、37)及び生体外(24、28)内のTF標的化ICONによって個別に標的化され及び根絶され得る、腫瘍血管新生及び/又はがん幹細胞のような他のTF陽性腫瘍の区画も標的とし得ることである。ADCの結果は、ADCを使用したTF標的化免疫療法が、それらの腫瘍細胞上で低レベルのTF発現を伴っても、複数種類の固形がんにおいて治療の可能性を有し得ることを、独立して実証した。
【0089】
同じグループは、TF標的化ADCの有効性を、EGFR及びHER2(112)のような他のがん細胞受容体を標的化するものと更に比較した。TF、EGFR、及びHER2に特異的な抗体を、抗体を介した内在化により強力な細胞傷害を誘導する毒素であるduostatin-3と複合化させた。TF-ADCが、異種移植片マウスモデルにおけるEGFR-及びHER2-ADCと比較して、腫瘍成長の低減において相対的に強力であったことを示した。
【0090】
結論
要約すると、TFは、血管形成依存性のヒト疾患、特に固形がん、AMD、子宮内膜症、及びRAの血管新生における血管形成血管内皮細胞上に選択的に発現される。がんにおいて、TFは、固形がん細胞、AML及びALL白血病細胞、並びに肉腫細胞を含むがん細胞、がん幹細胞によっても過剰発現される。更に、TFは、腫瘍微小環境においてTAM及びMDSC(Hu et al.未公開データ)による可能性がある。RAにおいて、TFは、関節炎の関節における、マクロファージ、B細胞、線維芽細胞、及びKi-67陽性滑膜細胞によって局所的に更に発現される。マクロファージに関連するヒト疾患では、TFは、アテローム性動脈硬化における単球由来マクロファージ及び泡沫細胞、並びにHIV及びエボラに感染したマクロファージによって異常に発現される。これらのTF発現細胞(血管新生VEC、がん細胞、CSC、マクロファージ/泡沫細胞、線維芽細胞、B細胞)は全て疾患の進行に関与するが、正常なVEC、単球、T及びNK細胞はTFを発現しない。したがって、標的化TFは、これらの臨床的に有意な疾患を広く治療する能力を有する新規な治療的アプローチを表す。
【0091】
上述のように、TFに対する治療抗体を作製するための2つのアプローチが存在する。一方のアプローチは、TFの天然リガンドであるfVIIをIgG1又はIgG3Fcに融合することであり、もう一方のアプローチはヒト抗体を作製することであった。fVIIを含む抗体様免疫複合体(ICON及びL-ICON)は、TFに対する親和性が高く、ヒト化の必要がないため、抗TFヒト化抗体及び抗体薬物複合体(ADC)を超える利点を有する。ICON及びL-ICON分子は、その天然リガンドfVIIを使用してTFと結合するように設計されており、凝固促進活性部位変異(K341A)を有する完全長のペプチド又は凝固促進活性が完全に枯渇した軽鎖ペプチドのいずれかであり、それぞれ、抗TF抗体で達成できるよりもはるかに高い親和性と特異性を有する。ICON及びL-ICONは、抗TF Ab及びTF-ADCと比較していくつかの重要な利点を有する:(i)TF対して10-8~10-9M(114)の範囲のKdを有する抗TF抗体とは対照的に、TFと結合するfVIIの解離定数(Kd)は最大10-12M(113)である。(ii)ICON及びL-ICONは、組換えDNA技術によって生成され、これらのTF標的化タンパク質剤を、モノクローナル抗体(110)に必要とされるヒト化プロセスを必要とせずに、臨床試験のためにヒト源から作製されることを可能にする。(iii)ADCが強力な薬物を抗体に共有結合させることによって作製されているという事実により、ADCの大部分は不均質な混合物として存在し、高度な部位特異的な複合技術(115)を必要とする。更に、ADCにおけるTFに対するこれらの抗体は、ADCC及びCDCを介した治療抗体ではなく、抗体/抗原結合時の内在化を介して、細胞傷害剤をがん細胞に送達する標的化分子のように機能する。ADCのアプローチは、fVII標的化された光線力学療法(36)のアプローチと類似しており、fVIIは、内在化を介してTF発現がん細胞(26、27、104、105)、腫瘍VEC(22、26、27、104、105)、及びCSC(22)に光感受性物質を選択的に送達する標的化分子として機能する(TFへのfVII結合後30分でピークの内在化に達する)(104)。
【0092】
3つの世代のTF標的化ICONのなかで、データは、第2世代のL-ICON1が第1世代のICONよりも有効(図5)であり、並びに第3世代のL-ICON3が、生体外でのがん細胞へのADCCの媒介(図4a)、及びステージIVのヒト乳がん動物であるマウス乳がん4T1の生体内での同所性マウスモデルの治療(図6b)において第2世代のL-ICON1よりも有効であることを示す。TF標的化抗体様免疫複合体又は抗体のいずれかの理想的な特徴は、TFと結合するだけであり、これらのヒト疾患における播種性血管内凝固障害を引き起こさないように、凝固促進活性を有さないことである。この点に関して、L-ICON3は、その凝固促進活性が完全に枯渇しているため、理想的である。
【0093】
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【0094】
実施例3:第4世代のICON
1.L-ICON4:L-ICON1及びL-ICON3の組み合わせ
上記のように、L-ICON1(配列番号14)、L-ICON1(WT)(配列番号16)、及びL-ICON1(E333A)(配列番号18)と命名された3つのL-ICON1タンパク質が存在する。それらのcDNA配列は、それぞれ受託番号KX760097、KX760098、及びKX760099でGenBankに寄託されている。
【0095】
L-ICON3(WT)(配列番号)又はL-ICON3(GenBank受託番号KY223609)、及びL-ICON3(R435H)(配列番号)と命名された、2つのL-ICON3タンパク質も存在する。
【0096】
L-ICON4は、3つのL-ICON1タンパク質のうちのそれぞれと、2つのL-ICON3タンパク質のうちのそれぞれとの組み合わせから誘導されることができる。これらは表2に列挙される。
【0097】
2.ICON4:ICON1及びICON3の組み合わせ
ICON1(WT)(配列番号10)、及びICON1(E333A)(配列番号12)と命名された、2つのICON1タンパク質も存在する。これらの新規なICON1タンパク質内のIgG1Fc配列は、元のICON配列(ヒトICON GenBank AF272774)とは異なる。これらの新規なICON1における主な違いは、元のICON(又はICON1、AF272774と呼ばれる)と比較して、6アミノ酸残基の短いヒンジ領域を有することである。
【0098】
ICON3(WT)(GenBank受託番号KY223610)(配列番号)、及びICON3(R435H)(配列番号)と命名された、2つのICON3タンパク質が存在する。
【0099】
したがって、ICON4は、2つのL-ICON1のうちのそれぞれと2つのICON3のうちのそれぞれとの組み合わせから誘導されることができる(表3)。
【0100】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、開示される発明に属する当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において引用される刊行物及びそれらが引用される資料は、参照により具体的に組み込まれている。
【0101】
当業者であれば、日常的な実験のみを使用して、本明細書に記載の本発明の具体的な実施形態に対する多くの等価物を理解するか、又は解明することができる。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【0102】
配列
配列番号1:ヒト第VII因子軽鎖-ヒトIgG3Fc(L-ICON3)mRNAの完全なコード配列(GenBank受託番号KY223609)。
【表1】
【0103】
(HindIII-EcoRI-Kozak-ATG-hfVIIL-BamHI-hIgG3Fc-終止-NotI)
【0104】
配列番号2:ICON3ペプチドのモノマー
【表2】
【0105】
配列番号3:ヒト第VII因子(K341A)-ヒトIgG3Fc(ICON3)mRNAの完全なコード配列(GenBank受託番号KY223610)。
【0106】
【表3】
【0107】
配列番号4:ICON3ペプチドのモノマー
【表4】
【0108】
配列番号5:L-ICON3(R435H)
【表5】
【0109】
配列番号6:L-ICON3(R435H)のモノマー
【表6】
【0110】
配列番号7:ICON3(R435H)
【表7】
【0111】
配列番号8:ICON3(R435H)のモノマー
【表8】
【0112】
配列番号9:ICON1(WT)
【表9】
【0113】
配列番号10:ICON1のモノマー(WT)
【表10】
【0114】
配列番号11:ICON1(E333A)
【表11】
【0115】
配列番号12:ICON1のモノマー(E333A)
【表12】
【0116】
配列番号13:L-ICON1(GenBank KX760097)
【表13】
【0117】
配列番号14:L-ICON1のモノマー
【表14】
【0118】
配列番号15:L-ICON1(WT)(GenBank KX760098)
【表15】
【0119】
配列番号16:L-ICON1(WT)のモノマー
【表16】
【0120】
配列番号17:L-ICON1(E333A)(GenBank KX760099)
【表17】
【0121】
配列番号18:L-ICON1(E333A)のモノマー
【表18】
【0122】
【0123】
【表19】

L-ICON1及びICONの比較のために、10nM FVIIaの凝固活性は100%と指定される。
**FVIIaの濃度は1.00nMであったが、他のタンパク質は1.25nMに希釈された。
【0124】
【表20】
【0125】
【表21】
【0126】
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【0127】
〔実施の態様〕
(1) 免疫複合体タンパク質を含む組成物であって、前記免疫複合体タンパク質が、第VII因子と複合化されたIgG3免疫グロブリンのFc領域を含む、組成物。
(2) 前記第VII因子が第VII因子の軽鎖である、実施態様1に記載の組成物。
(3) 前記第VII因子が完全長である、実施態様1に記載の組成物。
(4) 前記第VII因子が、K341Aにおける変異を含む、実施態様3に記載の組成物。
(5) 前記組成物が、組織因子(TF)発現細胞を標的とする、実施態様1に記載の組成物。
(6) 第VII因子の軽鎖が、ヒト及びマウスの第VII因子を含む、実施態様2に記載の組成物。
(7) IgG3が、R435Hにおける変異を含む、実施態様1に記載の組成物。
(8) 前記免疫複合体タンパク質が、配列番号2を含む、実施態様1に記載の組成物。
(9) 前記免疫複合体タンパク質が、配列番号1を含む核酸よってコードされる、実施態様1に記載の組成物。
(10) 前記免疫複合体タンパク質が、発現ベクター中で分泌される分子としてコードされる、実施態様1に記載の組成物。
(11) 前記発現ベクターが、複製欠損アデノウイルスベクターである、実施態様6に記載の組成物。
(12) 前記発現ベクターが、アデノ随伴発現ベクターである、実施態様6に記載の組成物。
(13) 光感受性物質が、前記免疫複合体と結合される、実施態様1に記載の組成物。
(14) 前記光感受性物質が、光線力学色素を含む、実施態様10に記載の組成物。
(15) 疾患の治療又は予防を必要とする対象においてそれを行う方法であって、有効量の実施態様1に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
(16) 前記疾患が、組織因子(TF)発現に関連する、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記疾患が、血管新生腫瘍、血栓形成、関節リウマチ、子宮内膜症、又は黄斑変性を伴う病理学的血管新生を含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記疾患が、TFを発現するマクロファージに関連する、実施態様15に記載の方法。
(19) 前記疾患が、エボラ又はHIVなどのウイルス感染である、実施態様15に記載の方法。
(20) 前記疾患が、アテローム性動脈硬化である、実施態様15に記載の方法。
(21) 実施態様1に記載の組成物が、がんの転移を予防することができる、実施態様15に記載の方法。
(22) 実施態様1に記載の組成物が、転移性がんを治療することができる、実施態様15に記載の方法。
(23) 前記対象が、薬学的に許容される担体中の前記免疫複合体タンパク質の投与によって治療される、実施態様15に記載の方法。
(24) 免疫複合体タンパク質を含む組成物であって、前記免疫複合体タンパク質が、第VII因子と複合化されたIgG1及びIgG3の免疫グロブリンのハイブリッドFc領域を含む、組成物。
(25) 前記第VII因子が第VII因子の軽鎖である、実施態様24に記載の組成物。
(26) 前記第VII因子が完全長である、実施態様24に記載の組成物。
(27) 前記第VII因子が、K341Aにおける変異を含む、実施態様24に記載の組成物。
(28) 前記組成物が、組織因子(TF)発現細胞を標的とする、実施態様24に記載の組成物。
(29) 第VII因子の軽鎖が、ヒト及びマウスの第VII因子を含む、実施態様25に記載の組成物。
(30) IgG3が、R435Hにおける変異を含む、実施態様24に記載の組成物。
(31) 前記免疫複合体タンパク質が、発現ベクター中で分泌される分子としてコードされる、実施態様24に記載の組成物。
(32) 前記発現ベクターが、複製欠損アデノウイルスベクターである、実施態様31に記載の組成物。
(33) 前記発現ベクターが、アデノ随伴発現ベクターである、実施態様31に記載の組成物。
(34) 光感受性物質が、前記免疫複合体と結合される、実施態様24に記載の組成物。
(35) 前記光感受性物質が、光線力学色素を含む、実施態様34に記載の組成物。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
【配列表】
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