(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】分散型無線腔内撮像システムに対する機能的測定患者インタフェースモジュール(PIM)
(51)【国際特許分類】
A61B 5/07 20060101AFI20221011BHJP
A61B 5/022 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
A61B5/07 100
A61B5/022 100B
(21)【出願番号】P 2019551558
(86)(22)【出願日】2018-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2018058327
(87)【国際公開番号】W WO2018178351
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-01
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】クオ ヤンニック マラマ
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン ニコラス ウォンケウン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ ホア
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-515660(JP,A)
【文献】特表2016-507266(JP,A)
【文献】国際公開第2012/138874(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2014/0180140(US,A1)
【文献】特表2015-502206(JP,A)
【文献】特表2012-529929(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0272538(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 - 5/22
A61B 1/00 - 1/32
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的センサを有する腔内装置と通信し、信号リンクを介して無線ルータと通信し、前記無線ルータと無線通信する計算装置と通信する患者インタフェースモジュール(PIM)、
を有する腔内感知システムにおいて、
前記PIMが、
前記生理学的センサからセンサ信号を受信し、
少なくとも前記センサ信号に基づいて生理学的データを決定する、
ように構成された処理コンポーネントと、
前記信号リンクから電力を受け取り、
前記信号リンク及び前記無線ルータを介して前記計算装置に前記生理学的データを送信する、
ように構成された電力及び通信コンポーネントと、
を有する、
腔内感知システム。
【請求項2】
前記電力及び通信コンポーネントが、前記信号リンク及び前記無線ルータを介して前記計算装置から制御信号を受信するように更に構成され、前記処理コンポーネントが、少なくとも前記制御信号に基づいて前記センサ信号を受信するように更に構成される。請求項1に記載の腔内感知システム。
【請求項3】
前記電力及び通信コンポーネントが、前記信号リンク及び前記無線ルータを介して前記計算装置から制御信号を受信するように更に構成され、前記処理コンポーネントが、前記制御信号に基づいて前記生理学的データを決定するように更に構成される。請求項1に記載の腔内感知システム。
【請求項4】
前記電力及び通信コンポーネントが、前記信号リンクから受け取られた電力を前記腔内装置の前記生理学的センサに提供するように更に構成される。請求項1に記載の腔内感知システム。
【請求項5】
前記電力及び通信コンポーネントが、前記信号リンクから受け取られた電力を前記処理コンポーネントに提供するように更に構成される、請求項1に記載の腔内感知システム。
【請求項6】
前記PIMが、前記処理コンポーネントに結合され、前記生理学的データを記憶するように構成されたメモリを更に含む、請求項1に記載の腔内感知システム。
【請求項7】
前記PIMが、前記処理コンポーネントに結合され、前記生理学的データを表示するように構成されたディスプレイを更に含む、請求項1に記載の腔内感知システム。
【請求項8】
前記電力及び通信コンポーネントが、前記信号リンク及び前記無線ルータを介して血行動態システムから近位圧力測定を受信するように更に構成され、前記処理コンポーネントが、
前記センサ信号に基づいて遠位圧力測定を決定し、
前記近位圧力測定及び前記遠位圧力測定に基づいて圧力比を決定する、
ことにより前記生理学的データを決定するように更に構成される、請求項1に記載の腔内感知システム。
【請求項9】
前記処理コンポーネントが、
前記センサ信号に基づいて流れ関連値を決定する、
ことにより前記生理学的データを決定するように更に構成される、請求項1に記載の腔内感知システム。
【請求項10】
前記腔内装置を更に有する、請求項1に記載の腔内感知システム。
【請求項11】
前記生理学的センサが、圧力センサ又は流れセンサの少なくとも一方を有する、請求項10に記載の腔内感知システム。
【請求項12】
前記PIMが、前記電力及び通信コンポーネントと前記処理コンポーネントとの間に結合された患者絶縁回路を更に有する、請求項1に記載の腔内感知システム。
【請求項13】
前記処理コンポーネントが、前記生理学的データを表示するのに前記計算装置により使用可能なフォーマットに前記生理学的データをフォーマットするように構成され、前記電力及び通信コンポーネントが、前記生理学的データを表示するのに前記計算装置により使用可能な前記フォーマットで前記生理学的データを送信するように構成される、請求項1に記載の腔内感知システム。
【請求項14】
前記PIMが、前記無線ルータと無線通信する第2の計算装置と通信し、前記電力及び通信コンポーネントが、前記信号リンク及び前記無線ルータを介して前記第2の計算装置に前記生理学的データを送信するように更に構成される、請求項1に記載の腔内感知システム。
【請求項15】
生理学的感知を実行する患者インタフェースモジュール(PIM)
の作動方法において、
前記PIMが、腔内感知装置からセンサ信号を受信するステップと、
前記PIM
が、少なくとも前記センサ信号に基づいて生理学的データを決定するステップと、
前記PIM
が、信号リンクを介して無線ルータから電力を受け取るステップと、
前記PIM
が、前記信号リンク及び前記無線ルータを介して前記生理学的データを計算装置に送信するステップと、
を有する
、方法。
【請求項16】
前記PIM
が、前記信号リンク及び前記無線ルータを介して前記計算装置から制御信号を受信するステップを更に有し、前記センサ信号を受信するステップが、少なくとも前記制御信号に基づいて前記センサ信号を受信することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記PIM
が、前記信号リンク及び前記無線ルータを介して前記計算装置から制御信号を受信するステップを更に有し、前記生理学的データを決定するステップが、少なくとも前記制御信号に基づいて前記生理学的データを決定することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記PIM
が、前記信号リンク及び前記無線ルータを介して血行動態システムから近位圧力測定を受信するステップを更に有し、前記生理学的データを決定するステップが、
前記センサ信号に基づいて遠位圧力測定を決定するステップと、
前記近位圧力測定及び前記遠位圧力測定に基づいて圧力比を決定するステップと、
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記生理学的データを決定するステップが、流れ関連値を決定することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記PIM
が、前記計算装置の表示フォーマットに従って前記生理学的データをフォーマットするステップを更に有し、前記生理学的データを送信するステップが、前記計算装置の前記表示フォーマットにおいて前記生理学的データを送信することを含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、腔内機能的測定に関し、具体的には、機能的測定(FM)‐患者インタフェースモジュール(PIM)において生理学的データを計算し、計算された生理学的データを無線ルータを介して無線で複数の診断コンソール及び/又は制御システムに分配することにより制御及び表示から生理学的機能的評価アルゴリズム及び処理を分離することに関する。
【背景技術】
【0002】
腔内圧力及び/又は流れ測定により心血管及び末梢血管疾患の機能的重要性を評価することは、アテローム性動脈硬化症の治療をガイドするのに有益であることができる。感知及び機能的測定(FM)能力を持つ腔内装置は、様々なタイプの測定を実行するように開発されている。例えば、腔内装置は、前記腔内装置の先端において圧力センサ及び/又は流れセンサを含んでもよい。前記腔内装置は、患者身体の血管内に挿入されてもよく、前記圧力センサ及び/又は前記流れセンサは、前記血管内の圧力及び/又は流れを測定しうる。特に、病変を治療する決定において心臓専門医をガイドするように冠動脈に対する指標が、開発されている。圧力ベースの指標の例は、血流予備量比(FFR、fractional flow reserve)及び瞬時ウェイブフリー比(iFR、instantaneous wave free ratio)を含んでもよい。流れベースの指標の例は、冠血流予備比(CFR、coronary flow reserve)を含んでもよい。圧力ベース及び流れベースの指標の組み合わせの例は、充血性狭窄抵抗(HSR、hyperemic stenosis resistance)を含んでもよい。これらの圧力ベース及び/又は流れベースの指標は、血管造影評価単独と比較して治療決定に対するより良好なガイドを提供することができる。
【0003】
腔内感知装置の動作は、例えば、電力を受け取り、表示及び制御に対するコンソール及び/又は様々な生理学的データ計算に対する計算システムと通信するために、複数の有線接続を要求しうる。例えば、センサは、前記センサを動作するための有線接続を介して電力を受け取ってもよく、センサ信号は、処理(例えば、増幅及び/又はフィルタ処理)され、前記有線接続を介して前記コンソールに、及び/又は診断に対して意味のある及び/又は有用なデータを得るための前記計算システムにおける更なる計算及び処理に対して出力されてもよい。
【0004】
腔内処置は、カテーテル処置室及びオフィスベースの研究室(OBL、office-based labs)において実行されてもよい。カテーテル処置室及びOBLにおける腔内装置の使用は、カテーテル処置室及びOBLにおけるケーブルの数を増加し、カテーテル処置室及びOBLの作業空間を散らかす。一部の例において、様々な態様のワークフローに対して複数の診断システムに対してセンサデータ信号を出力することが、望ましいかもしれず、これは、ケーブルの量を更に増加する。これらの状況は、患者診断に対する医療データを集める医師の能力をより難しくするかもしれない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既存の腔内感知システムが有用であると証明されているが、カテーテル処置室及びOBLにおけるシステムと腔内感知装置との間のケーブルの量を減少させる改良されたシステム及び技術に対する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施例は、生理学的センサから収集されたセンサ信号に基づいて生理学的データを計算し、無線ルータに対するイーサネット(登録商標)(PoE)接続上の電力を介して複数のシステムに無線で前記生理学的データを分配するFM-PIMを提供する。例えば、前記FM-PIMは、圧力センサ又は流れセンサでありうる少なくとも1つの生理学的センサを含む腔内感知装置と、前記PoE接続を提供するイーサネットケーブルを介する無線ルータとに結合される。前記FM-PIMは、前記生理学的センサに結合された処理コンポーネントと、前記イーサネットケーブルに結合されたPoEコンポーネントとを含む。前記PoEコンポーネントは、前記イーサネットケーブルから電力を受け取り、前記FM-PIM及び前記腔内感知装置に電力供給する。医療処置又は診断処置中に、前記腔内感知装置は、患者の血管内に挿入されることができ、前記生理学的センサは、前記血管に関連付けられた測定を得ることができる。前記処理コンポーネントは、前記センサからセンサ信号を受信し、前記受信されたセンサ信号から生理学的データを決定するように生理学的分析アルゴリズムを適用する。前記処理コンポーネントは、前記生理学的データを表示に適したフォーマットにフォーマットする。前記PoEコンポーネントは、前記無線ルータと無線通信する1以上のシステムに前記生理学的データを送信及び分配する。前記PoEコンポーネントは、前記生理学的測定及び/又は生理学的データ計算を容易化するように制御及び/又はデータ信号を受信することもできる。
【0007】
一実施例において、腔内感知システムが、提供される。前記腔内感知システムは、生理学的センサを有し、患者の身体内腔内に配置される腔内装置と通信し、信号リンクを介して無線ルータと通信し、前記無線ルータと無線通信する計算装置と通信する患者インタフェースモジュール(PIM)を含み、前記PIMは、前記生理学的センサからセンサ信号を受信し、少なくとも前記センサ信号に基づいて生理学的データを決定する処理コンポーネントと、前記信号リンクから電力を受け取り、前記信号リンク及び前記無線ルータを介して前記計算装置に前記生理学的データを送信する電力及び通信コンポーネントとを有する。
【0008】
一部の実施例において、前記電力及び通信コンポーネントは、前記信号リンク及び前記無線ルータを介して前記計算装置から制御信号を受信するように更に構成され、前記処理コンポーネントは、少なくとも前記制御信号に基づいて前記センサ信号を受信するように更に構成される。一部の実施例において、前記電力及び通信コンポーネントは、前記信号リンク及び前記無線ルータを介して前記計算装置から制御信号を受信するように更に構成され、前記処理コンポーネントは、前記制御信号に基づいて前記生理学的データを決定するように更に構成される。一部の実施例において、前記電力及び通信コンポーネントは、前記信号リンクから受け取られた電力を前記腔内装置の前記生理学的センサに提供するように更に構成される。一部の実施例において、前記電力及び通信コンポーネントは、前記信号リンクから受け取られた電力を前記処理コンポーネントに提供するように更に構成される。一部の実施例において、前記PIMは、前記処理コンポーネントに結合され、前記生理学的データを記憶するように構成されるメモリを更に含む。一部の実施例において、前記PIMは、前記処理コンポーネントに結合され、前記生理学的データを表示するように構成されたディスプレイを更に含む。一部の実施例において、前記電力及び通信コンポーネントは、前記信号リンク及び前記無線ルータを介して血行動態システムから近位圧力測定を受信するように更に構成され、前記処理コンポーネントは、前記センサ信号に基づいて遠位圧力測定を決定することにより前記生理学的データを決定し、前記近位圧力測定及び前記遠位圧力測定に基づいて圧力比を決定するように更に構成される。一部の実施例において、前記処理コンポーネントは、前記センサ信号に基づいて前記身体内腔に関連付けられた流れ関連値を決定することにより前記生理学的データを決定するように更に構成される。一部の実施例において、前記腔内感知システムは、前記腔内装置を更に有する。一部の実施例において、前記生理学的センサは、圧力センサ又は流れセンサの少なくとも一方を有する。一部の実施例において、前記PIMは、前記電力及び通信コンポーネントと前記処理コンポーネントとの間に結合された患者絶縁回路を更に有する。一部の実施例において、前記処理コンポーネントは、前記生理学的データを、前記生理学的データを表示するのに前記計算装置により使用可能なフォーマットにフォーマットするように構成され、前記電力及び通信コンポーネントは、前記生理学的データを表示するのに前記計算装置により使用可能な前記フォーマットで前記生理学的データを送信するように構成される。一部の実施例において、前記PIMは、前記無線ルータと無線通信する第2の計算装置と通信し、前記電力及び通信コンポーネントは、前記信号リンク及び前記無線ルータを介して前記第2の計算装置に前記生理学的データを送信するように更に構成される。
【0009】
一実施例において、生理学的感知を実行する方法が、提供される。前記方法は、患者インタフェースモジュール(PIM)により、腔内感知装置から患者の身体内腔に関連付けられたセンサ信号を受信するステップと、前記PIMにより、少なくとも前記センサ信号に基づいて生理学的データを決定するステップと、前記PIMにより、信号リンクを介して無線ルータから電力を受け取るステップと、前記PIMにより、前記信号リンク及び前記無線ルータを介して計算装置に前記生理学的データを送信するステップとを含む。
【0010】
一部の実施例において、前記方法は、前記PIMにより、前記信号リンク及び前記無線ルータを介して前記計算装置から制御信号を受信するステップを更に含み、前記センサ信号を受信するステップは、少なくとも前記制御信号に基づいて前記センサ信号を受信することを含む。一部の実施例において、前記方法は、前記PIMにより、前記信号リンク及び前記無線ルータを介して前記計算装置から制御信号を受信するステップを更に含み、前記生理学的データを決定するステップは、更に少なくとも前記制御信号に基づいて前記生理学的データを決定することを含む。一部の実施例において、前記方法は、前記PIMにより、前記信号リンク及び前記無線ルータを介して血行動態システムから近位圧力測定を受信するステップを更に含み、前記生理学的データを決定するステップは、前記センサ信号に基づいて遠位圧力測定を決定するステップと、前記近位圧力測定及び前記遠位圧力測定に基づいて圧力比を決定するステップとを含む。一部の実施例において、前記生理学的データを決定するステップは、前記身体内腔に関連付けられた流れ関連値を決定するステップを含む。一部の実施例において、前記方法は、前記PIMにより、前記計算装置の表示フォーマットに従って前記生理学的データをフォーマットするステップを更に含み、前記生理学的データを送信するステップは、前記計算装置の前記表示フォーマットで前記生理学的データを送信するステップを含む。
【0011】
本開示の追加の態様、フィーチャ及び利点は、以下の詳細な記載から明らかになる。
【0012】
本開示の実例的な実施例は、添付の図面を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の態様による分散型無線腔内感知システムの概略図である。
【
図2】本開示の態様による腔内感知装置の斜視図である。
【
図3】本開示の態様による分散型無線腔内感知システムに対する使用事例シナリオを示す。
【
図4】本開示の態様による機能的測定(FM)‐患者インタフェースモジュール(PIM)のアーキテクチャを示す概略図である。
【
図5】本開示の態様によるFM-PIMの機能ブロックを示す概略図である。
【
図6】本開示の態様による生理学的感知を実行する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の原理の理解を促進する目的で、図面に示された実施例が参照され、特定の用語が、同じものを説明するのに使用される。それでもなお、本開示の範囲の限定が意図されないと理解される。記載された装置、システム及び方法に対するいかなる変更及び更なる修正、並びに本開示の原理の任意の更なる応用は、完全に予期され、本開示が関連する分野の当業者に通常に気が付くものとして本開示内に含まれる。特に、1つの実施例に関して記載されたフィーチャ、コンポーネント及び/又はステップは、本開示の他の実施例に関して記載されたフィーチャ、コンポーネント及び/又はステップと組み合わせられてもよい。簡潔さのため、しかしながら、これらの組み合わせの多くの反復は、別々に記載されない。
【0015】
図1は、本開示の態様による分散型無線腔内感知システム100の概略図である。システム100は、腔内感知装置102と、FM-PIM130と、無線ルータ132と、例えば、血行動態システム134a、FM制御システム134b及びFMコンソールシステム134cを含む、複数の分散型システム134とを含んでもよい。FM-PIM130は、腔内感知装置102及び無線ルータ132と通信する。FM-PIM130は、イーサネットケーブル140を介して無線ルータ132に接続される。イーサネットケーブル140は、矢印142により示されるようにFM-PIM130及び腔内感知装置102に電力を供給し、矢印144により示されるようにFM-PIM130と無線ルータ132との間でデータを転送する信号リンク又はPoEリンクとして機能する。無線ルータ132は、無線周波数(RF)信号150により示されるようにシステム134と無線通信する。したがって、FM-PIM130は、無線ルータ132を介してシステム134の1以上と通信することができる。
【0016】
腔内感知装置102は、カテーテル、ガイドワイヤ又はガイドカテーテルであってもよい可撓性の細長い部材158を含んでもよい。可撓性の細長い部材158は、遠位部分108と、近位部分106と、遠位部分108に隣接して配置されるハウジング112とを含む。ハウジング112は、腔内感知装置102の遠位先端から距離(例えば、約3センチメートル(cm))に配置されてもよい。ハウジング112は、1以上の生理学的センサ、トランスデューサ、及び/又は身体内腔又は血管120に関する診断情報を得るように構成された他のモニタリング素子を含んでもよいセンサアセンブリ(
図2に示されるセンサアセンブリ116)を含んでもよい。例えば、可撓性の細長い部材158は、患者の血管120内に挿入されることができ、前記センサは、血管120内の流体の圧力、流れ、温度及び/又は体積でありうる生理学的特性を測定することができる。
【0017】
血管120は、自然及び人工の両方の流体充填又は囲まれた構造を表しうる。血管120は、患者の身体内でありうる。血管120は、心臓血管系、末梢血管系、神経脈管、腎血管系、及び/又は体内の他の適切な内腔を含む、患者の脈管系の動脈又は静脈のような血管でありうる。腔内装置102は、一部の実施例において、血管内装置である。腔内撮像装置102は、肝臓、心臓、腎臓、胆嚢、膵臓、肺、管、腸を含む器官、脳、硬膜嚢、脊髄及び末梢神経を含む神経系、尿路、及び心臓の血液内の弁、心室若しくは他の部分、並びに/又は身体の他の系を含むが、これらに限定されない任意の数の解剖学的位置及び組織タイプを検査するのに使用されうる。腔内装置102は、上記の解剖学的場所における任意の内腔を検査するのに使用されてもよい。自然の構造に加えて、腔内装置102は、心臓弁、ステント、シャント、フィルタ及び他の装置を含むが、これらに限定されない人工の構造を検査するのに使用されてもよい。
【0018】
腔内感知装置102は、前記センサアセンブリとFM-PIM130との間の通信を提供するようにハウジング112内の前記センサアセンブリに結合されたケーブル(
図2に示されるケーブル117)を更に含んでもよい。例えば、前記通信ケーブルは、前記センサ測定をFM-PIM130に転送し、FM-PIM130から前記センサアセンブリに電力を伝達することができる。電気信号は、ケーブル146を介してFM-PIM130と腔内感知装置102との間で伝達されることができる。
【0019】
FM-PIM130は、例えば、前記センサ測定に信号処理アルゴリズム及び/又は生理学的分析アルゴリズムを適用することにより、前記センサ測定に基づいて生理学的データを決定及び計算するように構成されたハードウェア及び/又はソフトウェアを含んでもよい処理コンポーネント(
図4及び5に示される処理コンポーネント410)を含む。生理学的データの一部の例は、圧力比、血流予備量比(FFR)、瞬時ウェイブフリー比(iFR)、冠血流予備比(CFR)、流量、熱流、温度、及び/又は他の適切な値を含んでもよい。前記生理学的データは、治療決定及び/又は治療処置を支援してもよい。
【0020】
FM-PIM130は、イーサネットケーブル140により無線ルータ132に結合された電力及び通信コンポーネント(
図4に示されるPoEコンポーネント430)を更に含む。例えば、無線ルータ132は、電力供給機器として機能し、FM-PIM130は、電源装置として機能する。イーサネットケーブル140は、複数のツイストペアを含む。イーサネットケーブル140は、電気電子技術者協会(IEEE)802.3規格に記載されるように同じツイストペア又は異なるツイストペア上で電力及びデータを伝達することができる。FM-PIM130の内部コンポーネントは、
図4及び5に関してより詳細に記載される。FM-PIM130は、イーサネットケーブル140を介して無線ルータ132に前記生理学的データを通信する。
【0021】
無線ルータ132は、データ及び電力を伝達するサポート(例えば、PoEサポート)とともに構成される任意の無線通信装置又はアクセスポイントであってもよい。無線ルータ132は、IEEE802.11(WiFi)規格、ブルートゥース、ジグビー及びウルトラワイドバンド(UWB)のような任意の適切な無線通信プロトコルに従ってシステム134と通信するように構成された送受信器及びアンテナを含んでもよい。例えば、無線ルータ132は、システム134から受信された信号をFM-PIM130に転送してもよい。逆方向において、無線ルータ132は、FM-PIM130に電力を伝達し、例えば、IEEE802.3規格に従って、イーサネットケーブル140を介してデータを伝達するように構成された電力及び通信コンポーネントを含んでもよい。
【0022】
システム134は、生理学的評価及び測定を制御及び/又はモニタするためにハードウェア及び/又はソフトウェアを含む計算装置、コンソール、キーボード、表示モニタ、及び/又はタッチスクリーンを含んでもよい。システム134は、無線ルータ132と無線通信する送受信器及びアンテナを含む無線通信装置を更に含んでもよい。前記無線通信装置は、無線ルータ132と通信するために無線ルータ132と同様の無線通信プロトコルを実施してもよい。したがって、一部の実施例において、システム134は、無線コンピュータワークステーション、無線タブレット、及び/又は任意のモバイル装置であってもよい。
【0023】
FM制御システム134bは、腔内感知装置102を使用して医療診断又は治療処置を実行するコマンドを伝える制御信号を送信することができ、無線ルータ132は、前記制御信号をFM-PIM130に転送することができる。例えば、FM制御システム134bは、ベッドサイドコントローラと同様に機能してもよい。FM-PIM130は、前記制御信号に従って腔内感知装置102内の前記センサアセンブリを制御する及び/又は生理学的測定データを計算することができる。例えば、医療診断又は治療処置中に、臨床医は、センサ測定を取得することを開始する開始コマンド、前記センサ測定を記録する記録コマンド、及び/又は前記取得を停止する停止コマンドを送信することによりFM制御システム134bを動作してもよい。FM-PIM130は、無線ルータ132を介して表示のために前記計算された生理学的測定データをFM制御システム134bに送信してもよい。一部の実施例において、FM-PIM130は、無線ルータ132を介して表示のためにFM制御システム134b及びFMコンソールシステム134cに前記計算された生理学的測定データを同時に送信してもよい。一部の実施例において、FMコンソールシステム134cは、FM制御システム134bとは異なる態様のワークフローを実行する他のコントローラとして機能してもよい。
【0024】
血行動態システム134aは、血行動態測定及び血行動態分析を実行し、様々な生理学的測定を容易化することができる。例えば、血行動態システム134aは、大動脈又は近位圧力測定及び/又は心電図(ECG)測定を実行する器具を含んでもよい。血行動態システム134aは、ここにより詳細に記載されるように、FM-PIM130において生理学的データの計算を容易化するように大動脈又は近位圧力測定及び/又はECG測定を無線ルータ132を介してFM-PIM130に送信することができる。
【0025】
図2は、本開示の態様による腔内感知装置102の斜視図である。腔内感知装置102は、内部センサ取り付け部110、外部ハウジング112、センサアセンブリ116、近位可撓性部材114、遠位可撓性部材118、及び近位電気インタフェース122を含む。
【0026】
近位電気インタフェース122は、信号(例えば、電力及びデータ)を通信するためにセンサアセンブリ116をFM-PIM130に電気的に接続するように構成される。これに従って、電気インタフェース122は、センサアセンブリ116と電気通信する。電気インタフェース122は、FM-PIM130上の対応する接点と係合及び通信する外面上の一連の導電性接点を含んでもよい。
【0027】
センサアセンブリ116は、1以上のセンサを含んでもよい。センサアセンブリ116は、患者の生理学的特性を測定するように配置及び構成される。腔内感知装置102上で使用される場合に、センサアセンブリ116は、心臓血管のような血管自体の生理学的特性を測定するように配置及び構成される。一実施例において、センサアセンブリ116は、血管120の内腔内の圧力をモニタするように構成された圧力モニタリング素子を含んでもよい。前記圧力モニタリング素子は、ピエゾ抵抗圧力センサ、圧電圧力センサ、容量性圧力センサ、電磁圧力センサ、光学的圧力センサ、及び/又はこれらの組み合わせの形を取ることができる。一部の例において、前記圧力モニタリング素子の1以上のフィーチャは、半導体及び/又は他の適切な製造技術を使用して製造された半導体コンポーネントとして実装される。
【0028】
他の実施例において、センサアセンブリ116は、血管120の内腔内の流れをモニタするように構成された流れモニタリング素子を含んでもよい。前記流れモニタリング素子は、流速センサ又は流量センサであってもよい。他の実施例において、センサアセンブリ116は、血管120の内腔内の温度をモニタするように構成された温度センサを含んでもよい。
【0029】
他の実施例において、センサアセンブリ116は、前記患者の1以上の特性を検出し、前記検出された生理学的特性に関するフィードバック又は情報を提供するように構成された複数のセンサを含む。センサアセンブリ116は、例えば、腔内感知装置102の最遠位端174から約5cm以下に配置されてもよい。一実施例において、センサアセンブリ116は、腔内感知装置102の最遠位端174から約3cmに配置される。
【0030】
腔内感知装置102は、センサアセンブリ116から近位電気インタフェース122に延在するケーブル117を含む。ケーブル117は、センサアセンブリ116と近位電気インタフェース122との間で信号及び/又は電力を伝達するように構成された電気ケーブル又はワイヤであってもよい導体を含んでもよい。一部の実施例において、前記導体は、コアワイヤ119を持つ腔内感知装置102の長さに沿って延在することができるコアワイヤ119と一体化される。一部の実施例において、3つの導体が設けられているが、しかしながら、任意の特定の実施例における導体の数は、部分的に腔内感知装置102内に配置されたセンサのタイプ又は数に依存してもよい。例えば、導体の数は、約1乃至20の導体、1乃至10の導体、1乃至5の導体、1乃至4の導体、1乃至3の導体等の範囲内であることができる。
【0031】
外部ハウジング112は、近位可撓性部材114と遠位可撓性部材118との間に配置され、センサアセンブリ116をカバー及び保護するように構成される。一実施例において、センサアセンブリ116は、エポキシを使用して、短い管又はハイポチューブでありうる内部センサ取り付け部110内に取り付けられてもよい。
【0032】
近位可撓性部材114は、内部センサ取り付け部110から近位電気インタフェース122に向けて近位方向に延在する。近位可撓性部材114は、高分子管、コイル埋め込み高分子管、又はコイルであってもよい。遠位可撓性部材118は、近位可撓性部材114と同様であってもよく、放射線不透過コイルを含んでもよい。腔内感知装置102は、最遠位端174を更に含む。最遠位端174は、腔内感知装置102が患者の脈管構造を通ってフィードされると組織に対して滑らかにスライドすることができる丸められた端部であってもよい。
【0033】
図3は、本開示の態様による分散型無線腔内感知システム100に対する使用事例シナリオ300を示す。シナリオ300は、カテーテル処置室310及び制御室320を含む。カテーテル処置室310は、医師又は臨床医が、例えば、腔内感知装置102を使用して、患者に医療治療又は診断処置を実行しうる病院又はクリニック内の検査室である。制御室320は、他の医師又は臨床医が前記処置中に前記医療処置から得られた前記生理学的データをモニタしうる病院又はクリニック内の他の部屋であってもよい。例えば、腔内感知装置102、FM-PIM130、無線ルータ132、血行動態システム134a、及びFM制御システム134bは、カテーテル処置室310内に配置され、FMコンソールシステム134cは、制御室320内に配置される。
【0034】
医療処置中に、医師は、関心のある患者血管(例えば、血管120)内に腔内感知装置102を挿入しうる。前記医師は、挿入の前にFM制御システム134b及び/又は血行動態システム134aを動作することにより腔内感知装置102をノーマライズ及び/又は較正しうる。前記医師は、前記医療処置を実行するためにFM制御システム134bを動作しうる。例えば、前記医師は、データ取得を開始、記録、及び/又は停止しうる。前記医師は、データ取得を開始するように、例えば、FM制御システム134上のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)ディスプレイを介して、開始ボタンを押しうる。FM制御システム134は、開始コマンドを伝達する制御信号を無線ルータ132に送信する。無線ルータ132は、前記制御信号をFM-PIM130に転送する。FM-PIM130は、腔内感知装置102上の前記センサからセンサ測定を収集し始める。FM-PIM130は、例えば、特定の診断モダリティを表す生理学的データを計算する。FM-PIM130は、表示のためにFM制御システム134b及び/又はFMコンソールシステム134cに前記生理学的データを送信する。前記医師又は臨床医は、前記データ取得の開始と同様のメカニズムを使用して前記データ取得を記録及び/又は停止することを開始しうる。
【0035】
一部の実施例において、血行動態システム134aは、FM-PIM130において生理学的データ計算を容易化してもよい。上記のように、血行動態システム134aは、大動脈又は近位圧力測定及び/又はECG測定を収集する器具を含むことができる。例えば、血行動態システム134aは、腔内感知装置102が前記患者から遠位圧力測定を行っている間に前記患者から大動脈又は近位圧力測定及び/又はECG測定を収集することができる。血行動態システム134aは、前記大動脈近位圧力及び/又はECG測定を伝達するデータ信号を無線ルータ132に送信してもよい。無線ルータ132は、前記データ信号をFM-PIM130に転送する。FM-PIM130は、腔内感知装置102により測定された前記遠位圧力測定及び血行動態システム134aから受信された前記大動脈又は近位圧力測定に基づいてFFRを計算してもよい。一部の例において、FM-PIM130は、(例えば、抵抗が自然に一定であり、最小化される場合に、ECG信号波形に基づくような)心周期中に診断窓を識別し、前記診断窓中に得られた前記近位及び遠位圧力測定に基づいてiFR値を計算してもよい。
【0036】
図4は、本開示の態様によるFM-PIM130のアーキテクチャを示す概略図である。
図5は、本開示の態様によるFM-PIM130の機能ブロックを示す概略図である。FM-PIM130は、ハウジング400に入れられた処理コンポーネント410と、患者絶縁回路420と、PoEコンポーネント430と、メモリ440と、ディスプレイ450とを含む。ハウジング400は、プラスチック及び/又は金属のような剛体材料から構築されうる。処理コンポーネント410は、メモリ440、ディスプレイ450、及び腔内感知装置102のセンサアセンブリ116に結合される。処理コンポーネント410は、マイクロコントローラ412、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)414、及びアプリケーション処理コンポーネント416を含む。患者絶縁回路420は、PoEコンポーネント430を処理コンポーネント410に結合する。
【0037】
PoEコンポーネント430は、イーサネットケーブル140を介して電力を取り、データを通信するように構成される。例えば、PoEコンポーネント430は、PoEコントローラ、イーサネット装置、直流(DC)/DCコンバータを含んでもよい。前記PoEコントローラは、イーサネットケーブル140を介して無線ルータ132から電力を取る又は要求する。前記PoE装置コントローラは、PoE通信に対して要求される信号伝達を処理してもよい。前記DC/DCコンバータは、無線ルータ132から受信された入力電圧を、処理コンポーネント410及びセンサアセンブリ116を動作するのに適した電圧レベルに変換する。例えば、PoEコンポーネント430は、FM-PIM130及び腔内感知装置102の電気インタフェース122に結合される。前記イーサネット装置は、イーサネットプロトコルに従って、無線ルータ132とデータを通信するように構成された媒体アクセス制御(MAC)プロセッサ及び送受信器を含んでもよい。データ及び電力の輸送は、同じツイストペア又は異なるツイストペア上であってもよい。
【0038】
患者絶縁回路420は、PoEコンポーネント430と腔内感知装置102との間に電気的絶縁を提供するように構成され、使用時に患者身体と接する回路を含む。例えば、短絡又は電気的故障が生じる場合に、患者絶縁回路420は、PoEコンポーネント430から腔内感知処置を受けている患者まで通る線間電圧を制限してもよい。患者絶縁回路420は、前記患者身体に通されてもよいローレベルRF信号の量を制限してもよい。
【0039】
メモリ440は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、プログラム可能読取専用メモリ(PROM)、消去可能プログラム可能読取専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能読取専用メモリ(EEPROM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、及びこれらの組み合わせを含む、いかなる適切なメモリタイプの揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含みうる。メモリ440は、処理コンポーネント410により生成された生理学的データを記憶するように構成される。
【0040】
ディスプレイ450は、ハウジング400と一体のディスプレイパネルを持つ任意の適切な表示装置であってもよい。ディスプレイ450は、FFR、iFR、CFR及び/又は他の適切な量のような、処理コンポーネント410により計算された生理学的データを表示するように構成される。
【0041】
図5に示されるように、FPGA414は、信号調整コンポーネント514に結合された1以上のアナログ‐デジタルコンバータ(ADC)512を含む。ADC512は、例えば、センサアセンブリ116上の圧力及び/又は流れセンサから、アナログセンサ信号を受信し、前記アナログセンサ信号をデジタルセンサ信号に変換するように構成された回路を含む。信号調整コンポーネント514は、ADC512に結合される。信号調整コンポーネント514は、前記デジタルセンサ信号に対して信号調整を実行するように構成される。信号調整は、信号増幅、フィルタ処理、及び/又はノイズ低減を含んでもよい。
【0042】
マイクロコントローラ412は、FPGA414に結合される。例えば、制御ファームウェアは、メモリ440に記憶され、マイクロコントローラ412により実行されてもよい。前記制御ファームウェアは、FPGA414の動作を制御するように構成される状態機械510を含んでもよい。例えば、状態機械510は、特定の信号調整回路の開始及び終了を制御してもよい。マイクロコントローラ412が、FPGA414とは別のコンポーネントとして示されるが、一部の実施例において、マイクロコントローラ412は、FPGA414の一部として実装されることができる。
【0043】
アプリケーション処理コンポーネント416は、FPGA414に結合される。アプリケーション処理コンポーネント416は、ハードウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。一部の実施例において、アプリケーション処理コンポーネント416は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、及び/又は特定用途向け集積回路(ASIC)を含んでもよい。アプリケーション処理コンポーネント416は、前記調整されたセンサ信号から生理学的データを生成するように構成される。アプリケーション処理コンポーネント416は、前記調整されたセンサ信号に対して信号処理アルゴリズム及び/又は生理学的分析アルゴリズムを適用してもよい。例えば、アプリケーション処理コンポーネント416は、複数のFMコンポーネント516を含んでもよい。FMコンポーネント516は、流れ関連及び/又は圧力関連でありうる様々なモダリティの生理学的データを決定するように構成されてもよい。アプリケーション処理コンポーネント416は、システム134上の表示に対して適切な表示フォーマットに従って前記生理学的データをフォーマットするデータフォーマットコンポーネント518を更に含んでもよい。データフォーマットコンポーネント518は、無線ルータ132を介したシステム134に対する送信のために前記生理学的データをパケット化することもできる。
【0044】
一実施例において、FMコンポーネント516の1つは、FFRを計算するように構成される。FFRは、血管抵抗が一定である場合に圧力が流速の変化に比例するという生理学的原理に基づいて動作する。FFRを効果的に測定するために、充血剤が、冠動脈内の血管抵抗を減少及び安定化するように試験下の患者に投与される。FFRは、(狭窄の近位側で取られる)近位圧力測定に対する(狭窄の遠位側で取られる)遠位圧力測定の比の計算である。例えば、前記遠位圧力測定は、圧力センサを備えた腔内感知装置102を血管内に挿入することにより取られることができ、前記近位圧力測定は、血行動態システム134aを使用して取られることができる。一実施例において、FM-PIM130は、イーサネットケーブル140及び無線ルータ132を介して血行動態システム134aから前記近位圧力測定を伝達するデータ信号を受信してもよい。FFRは、j治療が要求される程度で閉塞が血流を制限しているかどうかの決定を可能にする狭窄深刻度の指標を提供する。FFR値は、フォーマット及び/又はパッケージ化され、表示のためにディスプレイ450及び/又はシステム134の1以上に同時に送信されることができる。前記FFR値は、メモリ440に記録及び記憶されることもできる。
【0045】
一実施例において、FMコンポーネント516の1つは、iFRを計算するように構成される。iFRモダリティは、血管圧力を安定化するのに充血剤に依存しない。iFRは、ウェイブフリー期間中の狭窄を横切る瞬時圧力比を指す。ウェイブフリー期間は、血管抵抗が自然に一定である心周期の静穏な間隔を指す。例えば、心周期内の静穏な間隔を表す診断窓は、近位圧力測定及び/又は遠位圧力測定に基づいて識別され、この後に、iFRが、前記診断窓中の血管内の流体の流れの流速測定に基づいて決定される。血管評価メカニズムの詳細は、参照によりここに全体的に組み込まれる、"DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR ASSESSING A VESSEL"と題された米国特許第9339348に記載されている。iFR値は、ディスプレイ450及び/又はシステム134の1以上に同時に送信されることができる。iFRモダリティは、リアルタイム又はライブ測定及びモニタリングを可能にする。iFR値は、メモリ440に記録及び記憶されることもできる。
【0046】
一実施例において、FMコンポーネント516の1つは、CFRを計算するように構成される。CFRは、安静時と可能な最大冠血流との間の比である。例えば、血管内の流速の測定は、流れセンサを備えた腔内感知装置102を血管内に進めることにより行われることができる。CFRは、流速測定及び前記血管の断面積に基づいて計算されることができる。血管面積は、血管造影及び/又は光学コヒーレンストモグラフィ測定に基づいて推定又は測定されることができる。CFR値は、ディスプレイ450及び/又はシステム134の1以上に同時に送信されることができる。CFR値は、メモリ440に記録及び記憶されることもできる。
【0047】
FMコンポーネント516及びデータフォーマットコンポーネント518をPIM130内に実装することにより、前記処理された生理学的データは、システム134の任意の適切なディスプレイにより表示するためのフォーマットで有利に分配されることができる。前の構成において、PIMからのデータは、前記データが処理される特定の計算装置(例えば、コンソール)に送信される。本開示によると、前記データは、特定のシステムに送信されることなしにPIM130において処理されることができ、前記データは、表示フォーマットで任意の数のシステム134に送信されることができる。例えば、生理学的データ処理及びフォーマットは、PIM130内で全体的に完了されることができ、表示する前記生理学的データは、前記PIMから表示のための任意の適切なコンピュータ/モニタに送信されることができる。このようにして、前記生理学的データ処理及びフォーマットは、大きな、かさばるコンピュータシステムから分離され、比較的小さな軽い可動性のPIM130内で完了されることができる。
【0048】
一部の実施例において、FFR測定、iFR測定、及び/又はCFR測定は、更に、狭窄深刻度を推定し、適切な治療を支援するように医師に臨床ガイダンスを提供するように血管造影測定と併せて関連付け及び/又は分析されることができる。
図5は、アプリケーション処理コンポーネント416上に実装されるFMコンポーネント516を示すが、一部の実施例において、FMコンポーネント516は、マイクロコントローラ412及び/又はFPGA414により実装されることができる。
【0049】
一部の実施例において、FM-PIM130は、開始、停止及び/又は記録のような制御コマンドを伝える制御信号を受信してもよく、処理コンポーネント410は、これに従ってFPGA414及び/又はアプリケーション処理コンポーネント416における生理学的データ計算及び/又はセンサアセンブリ116を制御してもよい。
【0050】
図6は、本開示の態様による生理学的感知を実行する方法600のフロー図である。方法600のステップは、FM-PIM130のようなPIMの計算装置(例えば、プロセッサ、処理回路、及び/又は他の適切なコンポーネント)により実行されることができる。方法600は、
図3、4及び5に関して記載されたのと同様のメカニズムを採用しうる。図示されるように、方法600は、複数の列挙されたステップを含み、方法600の実施例は、列挙されたステップの前、後、及び間に追加のステップを含んでもよい。一部の実施例において、列挙されたステップの1以上が、省略されてもよく、又は異なる順序で実行されてもよい。
【0051】
ステップ610において、方法600は、腔内感知装置(例えば、腔内感知装置102)から患者の身体内腔に関連付けられたセンサ信号を受信するステップを含む。前記センサ信号は、圧力センサ信号又は流れセンサ信号であってもよい。
【0052】
ステップ620において、方法600は、少なくとも前記センサ信号に基づいて生理学的データ(例えば、FFR、iFR及び/又はCFR)を決定するステップを含む。
【0053】
ステップ630において、方法600は、信号リンク(例えば、イーサネットケーブル140)を介して無線ルータ(例えば、無線ルータ132)から電力(例えば、矢印142により示される電力信号)を受け取るステップを含む。
【0054】
ステップ640において、方法600は、計算装置(例えば、システム134)の表示フォーマットに従って前記生理学的データをフォーマットするステップを含む。
【0055】
ステップ650において、方法600は、前記信号リンク及び前記無線ルータを介して前記計算装置(例えば、システム134)に対して前記表示フォーマットにおける前記生理学的データを送信するステップを含む。
【0056】
本開示の態様は、複数の利益を提供しうる。例えば、電力及びデータ通信の両方に対するPoEリンクの使用は、腔内システムにおいて典型的に要求されるケーブルの量を減少することができる。無線ルータに対するPoEリンクの結合は、追加のケーブル接続なしで複数のシステムに対する生理学的データの分配を可能にする。加えて、FM-PIMにおいて生理学的データ計算することは、腔内感知装置に対する直接的な有線接続を持つ目標システムにおいて典型的に計算されるFMアルゴリズムをオフロードすることができる。したがって、生理学的データをモニタする他のシステムは、軽量、低コストの無線装置及びシステムであることができる。
【0057】
当業者は、上に記載された装置、システム及び方法が、様々な形で修正されることができることを認識する。したがって、当業者は、本開示により含まれる実施例が、上に記載された特定の典型的な実施例に限定されないことを理解する。これに関して、実例的な実施例が、図示及び記載されているが、幅広い範囲の修正、変更及び代用が、先行する開示において予期される。このような変化が、本開示の範囲から逸脱することなしに上述のものになされうることが、理解される。したがって、添付の請求項が、本開示と一貫した形で、幅広く解釈されることが、理解される。