(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】コイル状シートのボビンを巻き出すための方法、およびボビンに巻かれた材料シートを巻き出すキット
(51)【国際特許分類】
B65H 16/00 20060101AFI20221011BHJP
A24B 3/14 20060101ALI20221011BHJP
B65H 75/02 20060101ALI20221011BHJP
B65H 20/02 20060101ALI20221011BHJP
B65H 23/26 20060101ALI20221011BHJP
B65H 23/182 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
B65H16/00
A24B3/14
B65H75/02 Z
B65H20/02 Z
B65H23/26
B65H23/182
(21)【出願番号】P 2019565527
(86)(22)【出願日】2018-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2018064285
(87)【国際公開番号】W WO2018220071
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-04-30
(32)【優先日】2017-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】クリプフェル ヨリック
(72)【発明者】
【氏名】ペランジャケ マルク
【審査官】前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公告第00956961(GB,A)
【文献】実開平03-130254(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0097787(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 16/00 - 16/10
A24B 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
均質化されたたばこシートを含むコイル状シートのボビンを巻き出すための方法であって、前記方法が、
アルカロイドを含む材料シートを含むコイル状シートのボビンを提供する工程であって、ボビンが第一の回転軸を有し、ボビンから巻き出されたシートの遊離部分を含み、前記遊離部分が、前記コイル状シートの前記遊離部分と残りの部分を分離する線として接触線を画定する工程と、
前記第一の回転軸と実質的に平行な第二の回転軸を有するローラーを提供する工程と、
前記ローラーを前記接触線にて前記ボビンと接触させる工程と、
前記シートの遊離部分と前記接触線での前記ボビンの半径との間の角度が約110度~約150度、または約200度~約300度であるように、前記シートを、巻き出す方向に引っ張って前記ボビンから前記シートを巻き出す工程と、
前記ボビンから前記シートを巻き出す間に、前記ローラーを前記ボビン
の外表面と接触した状態に保つ工程とを含む、方法。
【請求項2】
前記ローラーが、巻き出し中に前記ボビンに対するローラーの角度位置を移動する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
巻き出し中に前記ボビンの回転方向と反対の方向に前記ローラーを回転させる工程を含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記ローラーの周辺部の少なくとも約40パーセントに等しい長さにわたり、前記シートの自由端部分を前記ローラーと接触させる工程を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
スクレーパーが前記ボビンにコイル状にされた前記シートと接触するような方法で、前記シートの前記遊離部分と前記ボビンにコイル状にされた前記シートの残りの部分との間に前記スクレーパーを配置する工程を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法であって、
前記ボビンの真円度を判定する工程と、
前記判定された
真円度に基づいて、前記ボビンの巻出速度を選択する工程とを含む、方法。
【請求項7】
前記ボビンの直径を感知する工程を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ボビンに巻かれた材料シートを巻き出すキットであって、前記キットが、
ボビンから巻き出されたシート外表面と遊離部分を画定する均質化されたたばこシートを含むコイル状シートのボビンであって、前記遊離部分が、前記コイル状シートの前記遊離部分と残りの部分を分離する線として接触線を画定するものと、
装置であって、
第一の軸を中心に回転可能にボビンを保持するボビンホルダーと、
第一の回転軸と実質的に平行な第二の回転軸を有するローラーであって、前記ローラーが前記接触線にて前記ボビン
の外表面と接触しているローラーと、
前記ボビンの前記シートの前記遊離部分を巻き出し方向に沿って引っ張るように適合された引張装置と、を含む装置を備え、
巻き出し方向に沿った前記シートの前記遊離部分と前記接触線での前記ボビンの半径との間の角度が約110度~約150度または約200度~約300度であるように、前記ローラーおよび前記引張装置がそれぞれ位置付けられているものを含む、キット。
【請求項9】
前記ローラーが、前記
ボビンホルダーに対して角度的に移動可能な位置に配置されている、請求項8に記載のキット。
【請求項10】
スクレーパーが前記ボビンにコイル状にされた前記シートと接触するような方法で、前記シートの前記遊離部分と前記ボビンにコイル状にされた前記シートの残りの部分との間に配置された前記スクレーパーを前記装置が含む、請求項8~9のいずれか一項に記載のキット。
【請求項11】
前記装置が、前記ボビンホルダーの前記第一の軸を中心に回転する速度を変化させるための速度調節器を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載のキット。
【請求項12】
前記装置が、前記ボビンの直径を判定するための直径センサーを含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル状シートのボビンを巻き出すための方法と、ボビンに巻かれた材料シートを巻き出すキットとに関する。特定の実施形態において、方法およびキットはボビンに巻かれた均質化したたばこ材料シートの巻き出しを対象とする。
【背景技術】
【0002】
コイル状にされてボビンを形成する材料が、巻き出すためにかなり強い力を加える必要のある粘着性であると同時に、簡単に裂けてばらばらになりうる脆弱性である時、材料のボビンの巻き出しは困難な作業でありうる。こうした材料は例えば均質化したたばこシートがあり、これは例えば均質化したたばこ材料シートをキャスティングすることで得ることができる。均質化したたばこシートは、ボビンにコイル状にされた時、その粘稠度と、熱に対する感度と、低い引張強さとのすべてが、例えばボビンを巻き出すためにシートにかけられる力を簡単に増大することを妨げるため、巻き出すことが困難である。
【0003】
均質化したたばこ材料の現行の製造プロセスにおいて、ボビンは、オペレーターによって、または自動システムによって回転シャフトに定置される。設備の起動中、およびボビンが巻き出しシステム内の定位置に置かれると、均質化したたばこ材料シートを引っ張っている間、一定の張力が加えられる。設備速度が巡航速度まで増加する間に、シートに加えられる張力は、均質化したたばこ材料シートの破裂および全破損を回避するために、一定の範囲内で調節される必要がある。このように、均質化したたばこシートが裂けるのをできる限り防止するために、巻き出し速度を下げなければならず、これは結果として製造速度および時間当たりの製造量を自動的に減少させる。
【0004】
均質化したたばこ材料シートが破壊する場合、例えば捲縮機器に供給するための巻出プロセス中に、その緩衝システム内に存在する均質化したたばこ材料シートの量が枯渇した後に捲縮機器が停止する。バッファー付き材料は通常は短く、これは均質化したたばこ材料シートのボビンを変更する推定時間から、一般的に補正および回復するだけであるためである。こうした装置の停止は、時間経過に伴って、均質化したたばこ材料シートの化学的構造の変化から生じるボビンの粘性に起因して起こる場合がよくあり、これがボビン内の均質化したたばこ材料シートの層間での高度の接着をもたらす。粘着性に起因して、ボビンを巻き出すために必要な張力および引っ張り力が、均質化したたばこ材料シートの破断および完全な破損を招く力に勝るため、均質化したたばこ材料シートを壊すことなくボビンを巻き出すことは困難な場合がある。
【0005】
均質化したたばこ材料シートボビンの粘着性の問題は、温度制御された低温室内に均質化したたばこ材料を貯蔵後、貯蔵期間が1日または2日を超える時に発生しうる。
【0006】
材料の低い引張強さに加えて、均質化したたばこシートの一部のボビンは、それぞれがかなり変わった形状を有し、そのため、この形状の不均質性は、均質化したたばこシートのボビンを巻き出すための装置および方法において考慮される場合がある。
【0007】
従って、均質化したたばこ材料シートの巻き出しを最適化するために、コイル状シートのボビン、特に、低い繊維強度を有する、および/または粘着性のある材料シートのボビンを巻き出す方法およびキットのニーズがある。方法およびキットは、捲縮機器が連続的に作動して、製造の停止、関連する費用、および製造におけるすべての関連するマイナスの影響を低減しうるように、材料の破損を最小化することが好ましい。これらの方法およびキットは、巻き出し速度を増加させる能力を有することが好ましく、これによって生産ラインの残りの部分は全体的な製造速度を増加することができる。さらに、方法およびキットでは、異なるボビン形状に起因して位置を調節することだけでなく、ボビンの巻き出しに起因して位置を調節することも考慮に入れることが好ましい。
【発明の概要】
【0008】
第一の態様において、本発明は、コイル状シートのボビンを巻き出すための方法に関し、方法は、コイル状シートのボビンを提供する工程であって、ボビンが第一の回転軸を有し、かつボビンから巻き出されたシートの遊離部分を備え、遊離部分が、コイル状シートの遊離部分と残りの部分とを分離する線として接触線を画定する工程と、第一の回転軸に実質的に平行な第二の回転軸を有するローラーを提供する工程と、ローラーを接触線にてボビンと接触させる工程と、シートをボビンから巻き出して、ローラーをボビンの外表面と接触した状態に保つ工程とを含む。
【0009】
さらなる態様において、本発明は、コイル状シートのボビンを巻き出すための方法に関し、方法は、コイル状シートのボビンを提供する工程であって、ボビンが第一の回転軸を有し、かつボビンから巻き出されたシートの遊離部分を備え、遊離部分が、コイル状シートの遊離部分と残りの部分とを分離する線として接触線を画定する工程と、第一の回転軸に実質的に平行な第二の回転軸を有するローラーを提供する工程と、ローラーを接触線にてボビンと接触させる工程と、シートをボビンから巻き出して、接触線でのシートの遊離部分とボビンの半径との間の角度が約110度~約150度または約200度~約300度であるように、シートを巻出方向に引く工程と、シートをボビンから巻き出す間に、ローラーをボビンの外表面と接触した状態に保つ工程とを含む。
【0010】
ボビンを適切に巻き出すために、その考えられる粘着性および脆弱性を念頭に置きながら、それ故に破損を最小化しつつも同時に比較的高い巻き出し速度を保ちながら、ボビンから巻き出されたシートの遊離部分をボビンの残りの部分から分離する接触線にて、巻き出されるボビンの外表面と接触する巻出ローラーを配置することが本発明により提案されている。巻出ローラーは、主要ボビンの近くに配置されていて、巻き出し中に、巻き出されたシートと接触し、巻き出されたシートは自然な接点の下流に位置する点で主要ボビンから強制的に取り外される。
【0011】
ボビンから巻き出されたシートの遊離部分を引っ張ることによってボビンを巻き出す時、ローラーの提供は、シートの遊離部分と接触線でのボビンの半径の接線との間の角度を小さくする。このようにして、巻き出し中にシート上に印加された機械的応力が許容可能な範囲内で安定化および制御されることができ、それ故にシートの破壊/破損を回避または最小化しつつ、比較的速い巻出速度を維持することが分かっている。これは、巻き出すためにかなり強い力を加える必要のある粘着性であると同時に、簡単に裂けてばらばらになる脆弱性でもある傾向のある、均質化したたばこ材料のような材料の場合に、特に有利である。均質化したたばこ材料のコイル状シートで作製された巻き出しボビンを、本発明による方法を用いて巻き出す時、シートの破壊/破損の低減または除去は、場合によっては巻き出し速度を増加し、全体的な製造速度も増加する場合がある。
【0012】
さらに、本発明の方法は適用するのが比較的単純であり、高価または複雑な機械を必要としない。
【0013】
本明細書で使用される「シート」という用語は、その厚さより実質的に大きい幅および長さを有する薄層状の要素を意味する。シートの幅は、約10ミリメートルより大きいことが好ましく、約20ミリメートルまたは約30ミリメートルより大きいことがより好ましい。シートの幅は、約100ミリメートル~300ミリメートルであることがなおより好ましい。
【0014】
好ましい一つの実施形態において、シートは均質化したたばこ材料シートである。
【0015】
本明細書で使用される「均質化したたばこ材料」という用語は、アルカロイドニコチンを含有する、粒子状たばこを凝集することによって形成される材料を意味する。
【0016】
均質化したたばこ材料の最も一般的に使用される形態は、再構成たばこシートおよびキャストリーフである。均質化したたばこ材料シートを形成するプロセスは一般的に、たばこダストと結合剤を混合してスラリーを形成する工程を含む。次に、たばこウェブを作り出すためにスラリーが使用される。例えば、粘性のあるスラリーを、移動する金属ベルト上にキャスティングすることによって、いわゆるキャストリーフを製造する。別の方法として、再構成たばこを作り出すために、粘性が低くかつ含水量が高いスラリーを、製紙と似たプロセスで使用することができる。
【0017】
均質化したたばこ材料シートは、再構成されたシート材料と呼ばれることができ、たばこ組成物を形成するために、粒子状たばこ(例えば、再構成たばこ)またはたばこ微粒子のブレンド、湿潤剤、および水性溶剤を使用して形成されうる。このたばこ組成物は次に、キャスティング、押出成形、圧延、またはプレスされて、たばこ組成物由来のシート材料を形成する。紙様の材料を作製するためにたばこの微粉が使用される湿式プロセス、またはたばこの微粉が結合剤材料と一緒に混合されて、移動するベルトの上へとキャスティングされてシートを形成するキャストリーフプロセスを利用して、たばこのシートを形成することができる。
【0018】
均質化したたばこ材料シートは次に、ボビンに巻き込まれて(さらに処理するために巻き出される必要がある)、例えばエアロゾル形成物品の一部となり、これがエアロゾル形成物品のエアロゾル形成基体に含まれるようになる。「燃やさない加熱式」エアロゾル発生物品では、エアロゾル形成基体はエアロゾルを形成するがたばこ材料の燃焼を防止するために、比較的低い温度に加熱される。さらに、均質化したたばこシート中に存在するたばこは典型的に唯一のたばこであるか、このような「燃やさない加熱式」エアロゾル発生物品の均質化したたばこ材料中に存在するたばこの大半を含む。これは、このような「燃やさない加熱式」エアロゾル発生物品によって発生されるエアロゾル組成物が実質的に、均質化したたばこ材料のみに基づくことを意味する。
【0019】
本明細書で使用される「エアロゾル形成材料」という用語は、加熱に伴い揮発性化合物を放出してエアロゾルを生成する能力を有する材料を意味する。エアロゾル形成体を含む均質化したたばこのシートは、エアロゾル形成材料として分類されうる。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成材料を含みうるか、またはエアロゾル形成材料から成ってもよい。
【0020】
均質化したたばこシートは概して、たばこに加えて、結合剤およびエアロゾル形成体(グアーおよびグリセリンなど)を含む。この組成物は「粘着性」であるシートをもたらし、すなわちこれは隣接する物体に接着し、また同時に比較的低い引張強さを有し、どちらかというと脆弱性である。
【0021】
均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で約5パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量を有してもよい。別の方法として、均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で約5~約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有しうる。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉の葉柄のうちの一方または両方を粉砕することによって、または別の方法で細かく砕くことによって得られた粒子状のたばこを凝集することによって形成されてもよく、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、例えばたばこの処理、取り扱いおよび輸送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉およびその他の粒子状のたばこ副産物のうちの一つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこの凝集を助けるために、一つ以上の本来備わっている結合剤(すなわち、たばこ内在性結合剤)、一つ以上の外来的な結合剤(すなわち、たばこ外来性結合剤)、またはこれらの組み合わせを含んでもよいが、別の方法としてまたは加えて、均質化したたばこ材料シートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填材、水性および非水性の溶剤、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないその他の添加物を含んでもよい。
【0022】
適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0023】
本発明の開始点は、コイル状のシートのボビンである。シートは任意の材料で形成されうる。
【0024】
ボビンは、ボビンに巻かれたシートの端(遊離端と呼ばれる)を含む外表面を画定する。シートの端はまとめられていない、すなわち端の上に巻かれたシートの追加的な層によってボビンに対して遮断されていない。従って、ボビンの端部を引っ張ることができ、またボビンは巻き出してもよい。下にある層と依然として接触している巻かれたシートの最後のコイルの部分と、シートのいかなるさらなる層とも触れてないシートの部分との間の分割線は、ボビンの接触線と呼ばれる。
【0025】
均質化したたばこ材料シートなどの材料シートは製造されると、多くの場合で、さらに加工される前に少なくとも一定時間、貯蔵される必要がある。破損のリスクなく、もしくは最小限の破損のリスクで、または過大な空間を占めることなく、シートを適切に貯蔵するために、シートは一般的にボビンへと巻かれる。しかしながら、このようにある特定の材料シートをボビンに巻くことは、シートの「粘着性」特性に起因して、その後の巻き出しにおいて幾つかの問題を生じる場合がある。一部のシートが粘着性である場合があるという事実に起因して、それ自体に巻かれたシートによってボビンに形成された層は、一方が他方の上に接着しやすく、巻き出しを妨げる。
【0026】
本発明は特に、上記で定義されている通り、均質化したたばこ材料で作製されたボビンを巻き出すように適合されているが、しかしながらこうした特徴を有するシートをボビンから巻き出す必要のある任意のプロセスでも同様に適用することができる。
【0027】
ボビン形状はあらゆる形状でありうる。これは実質的に円筒状の形状を有することができるが、楕円形、または基礎を成す円筒状の形状が変形した突出部を有するボビンなどの何らかの形に変形された形状も、本発明の教示の適用を妨げない。
【0028】
ボビンを巻き出すために、シートの自由端が引かれる。引っ張りは、任意の手段によって実施されうる。シートを引っ張ることは、所与の力がシートにかけられることを意味する。シートの自由端は、ボビンに巻かれたシートの残りとの「接触線」を画定する。
【0029】
ローラーは、ボビンの外部表面と接触した状態にされる。ローラーと引っ張り力の存在に起因して、シートの接触線はローラーの位置にシフトする。従って、シートはローラーの位置でボビンから取り外される。
【0030】
従って、ボビン上に位置するこうした巻出ローラーの追加は、一定の「剥離」線を提供する。この一定の線の存在は、シートに作用する力の組み合わせの安定性と、全体的なプロセスの一貫性とを保つことを可能にしうる一方、「剥離」線にあるシートで引き起こされる機械的な労力を低減する。これはまた、ボビンの自由端およびボビンの残りの部分によって形成された角度や、巻き出し中の機械の供給口の地点を制御することを可能にしうる。
【0031】
本発明による方法は、上述の利点を備えたボビンを処理することができる構成を創出するほか、粘着性のボビンが回復されうるため、動作性能の向上をもたらし、それ故におそらくは収量の増加につながる。
【0032】
ローラーは、巻き出す間にボビンに対するローラーの角度位置を移動することが好ましい。ローラーは、ボビンが消耗する間、ボビンに接触したままである。接触線に触れるボビンの半径とボビンに巻かれたシートの自由端との間に形成された角度は、約90度(接線の状況)~約300度であることが好ましく、シートはローラーの周りに巻かれて、ボビンに向かって「戻る」。
【0033】
本発明では、ローラーを介してボビンの周囲からボビンを巻き出すことを提案している。剥離角度はボビン粘着性を示す良い指標であることが一般的に認められている。ボビンと移動ローラーの周辺部からの距離は、ボビンの直径の減少とともに増加し、シートの揺動を増大させる。この振動は、脆弱なシート特性を克服することがよくあるむち打ち効果を生じさせる。
【0034】
本発明の方法は、シートの遊離部分と接触線でのボビンの半径との間の角度が約90度~約300度であるように、シートの遊離部分を巻出方向に引っ張ることを含むことが好ましい。この角度は約110度~約150度、および約130度であることがより好ましい。このようにして、ボビンを巻き出す間の接触線に垂直な機械的応力の構成要素は低減され、それ故にシートの粘着性が巻き出しに及ぼす影響が低減される。さらに、これは巻き出しプロセスをボビンに対して再現可能かつ「安定」なものにする。所与のサイズおよび材料のすべてのボビンについて、シートに加えられる応力の制御が得られるため、同一の巻き出しの特徴が予想される。
【0035】
シートの遊離部分はまた、ローラーの周りに「Uターン」を作製してもよい。すなわち、遊離部分は、ローラーの周辺部の大半に接触してもよく、次いで引き続き直線で引っ張られてもよい。この場合に、接触線を接続する半径と再び直線になるシートの遊離部分との間に形成された角度は、約200度~約300度であることが好ましい(考慮される角度は半径とボビンに面する端部分との間の角度である)。これは約250度~約290度、および約270度であることがより好ましい。
【0036】
180度を超える角度は、シートが圧縮要素の周りに「Uターン」を実施する状況を示す。
【0037】
「Uターン」が実施される場合、Uターンが実施されない場合と比べて、ボビンの巻き出し中に圧縮要素の周辺部とシートの遊離部分との間の拡張された接触が得られる。シートと圧縮要素の間の接触は、シートの比較的「長い」部分に対して起こる。シートは、圧縮要素に、圧縮要素の外周の少なくとも約20パーセント、好ましくは少なくとも約40パーセント、好ましくは少なくとも約60パーセント接触することが好ましい。シートは、圧縮要素に実質的に「巻き付く」。これは、許容可能な範囲内で巻き出し中にシート上に印加された機械的応力の安定化および制御を改善し、それ故にシートの破壊/破損をさらに回避または最小化することを可能にする。
【0038】
接触線でのボビンの半径とは、ボビンの中心と接触線を結ぶボビンの半径を意味する。
【0039】
接触線でのボビンの半径とシートの遊離部分との間の角度とは、定義された半径と、ボビンの残りの部分に接続されたシートの遊離部分によって定義された方向との間に形成された角度であり、シートは「無関連」の厚さを有すると見なされる。
【0040】
従って、シートの遊離部分、および接触線での半径は、特に、粘着性のあるボビンおよびより好ましくは不均一な様態において粘着性であるボビンの巻き出しに最適である第一の範囲内または第二の範囲内のいずれかの角度を形成することが好ましい。
【0041】
本発明の方法は、巻き出し中にボビンの回転方向と反対の方向にローラーを回転させることを含むことが好ましい。シートの巻き出しおよびローラー上の結果的な摩擦は、ボビンの回転と反対方向のローラーの回転を誘発する。
【0042】
本発明の方法は、ローラーの周辺部の少なくとも約40パーセントに等しい長さにわたり、シートの自由端部分をローラーと接触させることを含むことが好ましい。このように、材料シートが損傷しないように、安定した接触線が形成され、材料シートは、ローラーから離れて移動する前にローラーの周りを所定の十分な長さだけ包む。
【0043】
本発明の方法は、シートの遊離部分と接触線でのボビンの半径との間の角度が巻き出し中に約90度~約300度であるように、シートを巻き出す間にローラーの位置を動かすことを含むことが好ましい。角度は、巻き出し中に約110度~約150度、および約130度に保たれることがより好ましい。角度は、巻き出し中に約200度~約300度に保たれることがより好ましい。上記で述べた利点は、ボビンの完全な巻き出し中に保持されていることが好ましい。
【0044】
本発明の方法は、スクレーパーがボビンにコイル状にされたシートと接触するような方法で、シートの遊離部分とボビンにコイル状にされたシートの残りの部分との間にスクレーパーを配置することを含むことが好ましい。有利なことに、スクレーパーは、ボビンの残りの部分からのシートの自由端の取り外しを補助する。
【0045】
本発明の方法は、ボビンの真円度を判定することと、判定された真円度に基づいてボビンの巻出速度を選択することとを含むことが好ましい。
【0046】
ボビンの真円度を判定するために、接触センサーなどのセンサーが使用されることが好ましい。ボビンが円筒状である場合、速度の調整は不要であることが好ましい。ボビンが変形している場合、速度が調整(例えばスロットルで調整)されることが好ましい。
【0047】
本発明の方法は、ボビンの直径を感知することを含むことが好ましい。これは、巻き出し中の、およびボビンを交換する必要がある時を検出中の任意の時点でローラーを正しく位置付けることを可能にする。
【0048】
シートはアルカロイドを含有する材料シートであることが好ましい。シートは、均質化したたばこ材料シートであることがより好ましい。
【0049】
「アルカロイド含有材料」は、一つ以上のアルカロイドを含有する材料である。アルカロイドのうち、ニコチンが好ましいアルカロイドであり、これはたばこ中に見いだされうる。
【0050】
アルカロイドは、塩基性の窒素原子を主に含有する天然の化合物の群である。この群はまた、中性、およびさらに弱酸性特性を有する一部の関連する化合物も含む。類似の構造の一部の合成化合物もアルカロイドと呼ばれる。炭素、水素、窒素に加えて、アルカロイドはまた、酸素、硫黄、および、より稀に塩素、臭素、リンなどのその他の要素も含みうる。
【0051】
アルカロイドは細菌、真菌、植物、動物を含む多種多様な生物体によって生成される。これらは、これらの生物体の粗抽出物から酸塩基抽出によって精製されうる。カフェイン、ニコチン、テオブロミン、アトロピン、ツボクラリンがアルカロイドの例である。
【0052】
さらなる態様によると、本発明はボビンに巻かれた材料シートを巻き出すキットに関し、キットは、外表面とボビンから巻き出されたシートの遊離部分とを画定するコイル状シートのボビンであって、遊離部分が、コイル状シートの遊離部分と残りの部分とを分離する線として接触線を画定するものと、第一の軸を中心に回転可能なボビンを保持するボビンホルダーを含む装置と、第一の回転軸に実質的に平行な第二の回転軸を有するローラーであって、ローラーが接触線にてボビンの外表面と接触するものとを含む。
【0053】
さらなる態様によると、本発明はボビンに巻かれた材料シートを巻き出すキットに関し、キットは、外表面とボビンから巻き出されたシートの遊離部分とを画定するコイル状シートのボビンであって、遊離部分が、コイル状シートの遊離部分と残りの部分とを分離する線として接触線を画定するものと、第一の軸を中心に回転可能なボビンを保持するボビンホルダーを含む装置と、第一の回転軸に実質的に平行な第二の回転軸を有するローラーであって、ローラーが接触線にてボビンの外表面と接触するものと、ボビンのシートの遊離部分を巻出方向に沿って引くように適合された引張装置とを含み、ここでローラーおよび引張装置は、巻出方向に沿ったシートの遊離部分と接触線でのボビンの半径との間の角度が、約110度~約150度、または約200度~約300度となるようにそれぞれ位置付けられている。
【0054】
このキットの利点は、本発明による上記の方法を参照しながら既に概説されていて、ここでは繰り返さない。
【0055】
ローラーは、ホルダーに対して角度的に移動可能な位置に配置されることが好ましい。
【0056】
装置は、シートの遊離部分と接触線でのボビンの半径との間の角度が約90度~約300度であるように配置された引張装置を含むことが好ましい。 この角度は約110度~約150度、および約130度であることがより好ましい。角度は約200度~約300度であることが好ましい(考慮される角度は、半径とボビンに面する端部分との間の角度である)。これは約250度~約290度、および約270度であることがより好ましい。
【0057】
装置は、スクレーパーがボビンにコイル状にされたシートと接触するような方法で、シートの遊離部分とボビンにコイル状にされたシートの残りの部分との間に配置されたスクレーパーを含むことが好ましい。シートの自由端の取り外しは、より簡単に達成されうる。
【0058】
装置は、ボビンホルダーの第一の軸を中心に回転する速度を変化させるための速度調節器を含むことが好ましい。従って、巻出速度が制御されうる。
【0059】
装置は、ボビンの直径を判定するための直径センサーを含むことが好ましい。
【0060】
本発明のさらなる利点は、添付の図面の非制限的な参照とともに、その詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】
図1は、比較実施形態によるボビンに巻かれた材料シートを巻き出す装置の概略側面図である。
【
図2】
図2は、
図1のボビンの概略側面図であって、ボビンの巻き出し中に関与する力が示されている。
【
図3】
図3は、本発明によるボビンに巻かれた材料シートを巻き出す装置の第一の実施形態の概略側面図である。
【
図4】
図4は、本発明によるボビンを巻き出すための装置の第二の実施形態の概略側面図である。
【
図5】
図5は、
図3の装置の概略側面図であって、ボビンの巻き出し中に関与する力が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図1および
図2をまず参照すると、比較例によるボビンに巻かれた材料シート13を巻き出す装置が表されていて、参照番号10で示されている。
【0063】
装置10は、ボビン12を巻き出すように適合されている。
【0064】
例えば、ボビン12は、均質化したたばこ材料のボビンであってもよい。ところが、本発明は、例えば製紙産業、またはボビンにコイル状にされたポリマーシートを使用する産業といった、粘着性および脆弱性のシートを有するボビンの巻き出しが製造工程に含まれるあらゆる産業に適用されうる。
【0065】
図1および
図2に示すボビン12は、丸い、例えば円筒状の形状を有する。しかしながら、本発明は、ボビンが丸い形状を有しない時でさえも、ボビンとうまく機能する。
【0066】
装置10は、ボビン12が定置されているボビンホルダー20を備える。
【0067】
ボビンホルダー20はボビン12を保持する。ボビンホルダー20の中心は、ボビン12の中心17と一致することが好ましい。ボビン12はボビンホルダー20の中に挿入されていることが好ましい。ボビンホルダー20は、その中心を通過する軸を中心に回転可能である。
【0068】
ボビン12は、コイル状シート13によって形成されている。装置10は、
図1および
図2に示す通り、ボビン12のコイル状シート13を巻き出すように適合されている。
【0069】
ボビン12は材料シート13を巻くことによって形成されていて、これはボビン12から巻き出されたシート13の遊離部分14を画定し、また外表面15を画定する。
【0070】
シート13の遊離部分14とボビン12の残りの部分との間の分離線は、接触線16と呼ばれる。さらに、ボビン12は半径18(
図2において点線で表されている)を画定する。
【0071】
巻出装置10の比較実施形態はまた、たばこキャストリーフボビン12を巻き出して、捲縮機械60に供給するための関連する設定と、ボビン12を巻き出すプロセス中に関与する力の組み合わせとを含む。
【0072】
キャストリーフシート13は、捲縮機械60の供給口に向かって引き出され、ボビン12からのキャストリーフシート13の取り外し点(横断線(すなわち、接触線16))が、ボビン12内のキャストリーフシート13の最後の2層間の粘着性に応じて移動する。この取り外し点は、関与する力の組み合わせの観点から、
図2に記述された通りになる傾向がある。
【0073】
図2の矢印として描写され、5と6の符号が付けられた破線の力は引っ張り力(反作用を伴う)であり、点線の矢印3は圧縮力であり、実線の矢印4は上記のすべての力の結果的な力である。
【0074】
図3、
図5および
図6を参照すると、本発明によるボビン12に巻かれた材料シート13を巻き出すための装置110の第一の実施形態が表されている。シートおよびボビンは、比較例を参照して説明した通りであり、それ故に同一の参照番号が使用されている。
【0075】
装置10の構成要素と類似または機能的に同等である装置110の構成要素は、同一の参照番号で示されていて、ここでは繰り返さない。
【0076】
コイル状シート13のボビン12は、外表面15とボビン12から巻き出されたシート13の遊離部分14とを画定する。遊離部分14は、遊離部分14およびコイル状シート13の残りの部分を分離する線として接触線16を画定する。
【0077】
装置110は、ボビン12を第一の回転軸を中心に回転可能に保持するボビンホルダー20と、第一の回転軸と実質的に平行な第二の回転軸を有するローラー30とを含む。
【0078】
ローラー30はボビン12の外表面15と接触し、接触線16を画定し、これは遊離部分14が以下に詳述されている通りに引っ張られる時に、遊離部分14をボビン12の残りの部分から分離する。
【0079】
ローラー30は、巻き出し中にボビン12の回転方向21と反対の方向に回転する。
図3の側面図において、回転方向21は反時計回り方向である。
【0080】
ローラー30の第二の回転軸は、ボビンホルダー20の第一の回転軸を含む垂直平面の近くで、ボビン12の実質的に下に位置している。
【0081】
ローラー30は、ホルダー20に対して固定位置に配置されている。別の方法として、装置110は、ボビンホルダー20内にあるボビン12の寸法に応じてボビンホルダー20に対するローラー20の位置を変化させるように適合された位置調節システムを備えうることが好ましい。この場合、装置110は、位置調節システムに接続された、かつボビン12の寸法が巻き出しのため減少するにつれて、位置調節システムに命令してローラー30をボビン12に向けて移動させるように適合された制御ユニットを備える。
【0082】
装置110は有利なことに、関連する捲縮機械の巻出工程/供給工程において、現時点でたばこキャストリーフ捲縮の直前にある巻出プロセスで使用されうる。装置110(これは実質的に圧延装置である)は、既存のシステムに統合されていて、現行の全体的な機器の設定において関連する変更を伴わない。
【0083】
ボビン12内のキャストリーフを巻き出す間に捲縮機器に供給する引っ張り力によって引き起こされる張力は、ボビン12の回転速度および外径とは独立して、まず感知され、ボビン12内のキャストリーフの最後の層/外部層/シート13と常に接触するローラー30によって幾つかの部分に変換される(
図5参照)。
【0084】
本発明によると、コイル状シート12のボビン12を巻き出すための方法は、ローラー30を接触線16にてボビン12と接触させる工程と、ボビン12からシート13を巻き出して、ローラー30をボビン12の外表面15と接触した状態に保つ工程とを含む。
【0085】
本発明によると、装置110は、ローラー30による接触「剥離」で、キャストリーフボビン12をその外周から巻き出す。ローラー30を備える装置110によって、取り外し点/線(すなわち、接触線16)がどこで発生するかを、必要に応じて常に同じ場所で制御することが可能である。
【0086】
ボビン12上に置かれたそのような巻出ローラー30を追加することは、一定の「剥離」点/線の定置を提供し、これは力の組み合わせの安定性と、全体的なプロセスの一貫性とを保つことを可能にする一方、「剥離」の点/線(すなわち、接触線16)にあるキャストリーフシート13で生じる機械的な労力を低減する。これはまた、ボビン12の中心17に関連する角度や、巻き出し中の機械の供給口の地点を制御することを可能にする。
【0087】
装置110は、巻出方向にシート13の遊離部分14の引張装置40を含む。
【0088】
引張装置40は一対のローラー42を備え、かつ巻き出し方向に沿ってボビン12の遊離部分14を引っ張る。引張装置40とボビン12の間の距離は、ボビン12のタイプ、シート材料、巻き出し速度に依存する。
【0089】
機能中に遊離部分14は、引張装置40によって巻出方向に沿って引っ張られる。角度は、ボビン12の半径とシート13の遊離部分14との間に形成されている。この角度は、引張装置40の位置と、ローラー30およびボビン12の位置に依存する。この角度は、ボビン12のサイズ(半径)が減少するため、巻き出し中に変化する。
【0090】
引張装置40は、シート13の遊離部分14と接触線16でのボビン12の半径との間の角度が、約110度~約150度(下記で説明する
図4の実施形態)または約200度~300度(
図3の実施形態)のどちらかであるように配置されている。
【0091】
シート13の自由端部分14は、ローラー30の周辺部の少なくとも約40パーセントに等しい長さにわたりローラー30と接触して定置されている。
【0092】
装置110は、ボビン12の直径を判定するための直径センサー(表示せず)を含む。
【0093】
装置110は、ボビンホルダー20の第一の軸を中心に回転する速度を変化させるための速度調節器(図示せず)を含みうる。
【0094】
装置110によって実施される巻出方法は、ボビン12の真円度を判定することと、判定された真円度に基づきボビン12の巻出速度を選択することとを含みうる。
【0095】
一つの実施形態(図示せず)において、装置110は、スクレーパーがボビン12にコイル状にされたシート13と接触するような方法で、シート13の遊離部分14とボビン12にコイル状にされたシート13の残りの部分との間に配置されたスクレーパーを含む。
【0096】
図4を参照すると、本発明によるボビン12に巻かれた材料シート13を巻き出すための装置210の第二の実施形態が表されている。
【0097】
装置110の構成要素と類似または機能的に同等である装置210の構成要素は、同一の参照番号で示されていて、ここでは繰り返さない。
【0098】
装置110は、ボビン12を第一の回転軸を中心に回転可能に保持するボビンホルダー220と、第一の回転軸と実質的に平行な第二の回転軸を有するローラー230とを含む。
【0099】
ローラー230は、接触線16にてボビン12の外表面15と接触している。
【0100】
ローラー230は、巻き出し中にボビン12の回転方向22と反対の方向に回転する。
図4の側面図において、回転方向22は時計回り方向である。
【0101】
ローラー230の第二の回転軸は、ボビンホルダー220の第一の回転軸を含む水平平面の近くで、ボビン12の実質的に横に位置している。
【0102】
図5の矢印として描写され、6の符号が付けられた破線の力は引っ張り力(反作用を伴う)であり、点線の矢印3は圧縮力であり、実線の矢印4は上記のすべての力の結果的な力である。接触線が示されている
図6は
図5の拡大図であり、ここでシートはボビンから取り外される。巻出装置110は、コイル状またはロール状にされた細長いシート13のコイル/ロールを展開してボビン12を形成するように配置されている。
【0103】
本発明の装置110を使用することによって、シート13の破損の発生は減少し、シート材料の収量は有利なことに増加する。
【0104】
その上、本発明の装置110は、シート13に伝達される熱を制限する。よって、たばこキャストリーフボビン12の場合において、たばこキャストリーフは損傷されない。
【0105】
さらに、本発明の装置110は、ボビン12の巻出速度を増加させることを可能にする。