(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】湿った圧縮ガスを乾燥させるためのデバイス及び方法、及びそのようなデバイスを備えた圧縮機設備
(51)【国際特許分類】
B01D 53/28 20060101AFI20221011BHJP
B01D 53/22 20060101ALI20221011BHJP
B01D 71/70 20060101ALI20221011BHJP
B01D 69/04 20060101ALI20221011BHJP
B01D 69/08 20060101ALI20221011BHJP
F04B 39/06 20060101ALI20221011BHJP
F04B 39/02 20060101ALI20221011BHJP
F04B 41/00 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
B01D53/28
B01D53/22
B01D71/70 500
B01D69/04
B01D69/08
F04B39/06 Q
F04B39/02 W
F04B41/00 B
(21)【出願番号】P 2019569699
(86)(22)【出願日】2018-06-04
(86)【国際出願番号】 IB2018053971
(87)【国際公開番号】W WO2018229593
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2020-01-08
(32)【優先日】2017-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】ヘールツ バルト
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-064554(JP,A)
【文献】特開平01-099631(JP,A)
【文献】特開平05-264069(JP,A)
【文献】特開昭64-056118(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101975421(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26-53/28
B01D 53/22,61/00-71/82
C02F 1/44
F04B 39/00-39/16
F04B 25/00-37/20,41/00-41/06
F24F 3/00-3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体乾燥剤が備えられ、そして圧縮ガスを圧縮ガスから水分を吸収することができる該乾燥剤との接触状態にもたらすように構成された乾燥機がデバイス(2)に設けられた湿潤圧縮ガスを乾燥させるデバイスであって、
前記乾燥機は、膜乾燥機(11)であり、
圧縮ガスを乾燥させるデバイス(2)が、前記液体乾燥剤が置かれた回路(20)と、膜(13)の一方の側の該圧縮ガスと他方の側の該液体乾燥剤の間に仕切りを形成する該膜(13)を有する前記膜乾燥機(11)を連続的に通る該回路(20)内の該乾燥剤の循環を可能にする手段とを収容し、それによって該膜(13)は、該圧縮ガス内のガスに対して不透過性であるが、該圧縮ガス内の水分に対して選択的に透過性であり、熱交換器(29)が、該液体乾燥剤を加熱するためのものであり、再生器(22)が、該液体乾燥剤に吸収された該水分をこれが次のサイクルのために該膜乾燥機(11)を通して戻される前に少なくとも部分的に除去するのに使用され、それによって該再生器(22)は、ハウジング(23)によって形成され、該ハウジング(23)を通して、吸収された該水分をそこに有する該液体乾燥剤は、該ハウジング(23)を通して同時に誘導されて接触時に該液体乾燥剤から水分を吸収することができる洗浄剤との水分移送接触状態で誘導され、かつ
前記回路(20)には、前記再生器(22)から下流で前記膜乾燥機(11)から上流の前記回路内の分岐点と該膜乾燥機(11)から下流で該再生器(22)から上流の該回路内の合流点との間に閉鎖可能なバイパス(45)が設けられ、
前記液体乾燥剤の前記回路(20)には、脱気器(48)が設けられる、
ことを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記圧縮ガスの側の圧力を前記液体乾燥剤の側の圧力に等しいか又はそれよりも高く保つように構成された調節手段が設けられることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記液体乾燥剤は、以下の物質:
モノプロピレングリコール、又は略してMPG;
ジプロピレングリコール、又は略してDPG:
トリプロピレングリコール、又は略してTPG;
モノエチレングリコール、又は略してMEG;
ジエチレングリコール、又は略してDEG;
トリエチレングリコール、又は略してTEG;
化学式LiClを有する塩化リチウム;
化学式LiBrを有する臭化リチウム;
化学式CaCl
2を有する塩化カルシウム;
のうちの1又は2以上と、水とを含有する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記膜乾燥機(11)内の前記膜(13)の材料が、孔隙のない疎水性材料である、及び/又は
15ナノメートルと100ナノメートルの間のサイズの孔隙を有する微多孔性材料であることを特徴とする請求項1から請求項3の
いずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記膜乾燥機(11)内の前記膜(13)の材料が、以下のリストの材料:
ポリプロペン、又は略してPP;
ポリテトラフルオロエテン、又は略してPTFE;
ポリフッ化ビニリデン、又は略してPVDF;
ポリエーテルスルホン、又は略してPES;
ポリエーテルイミド、又は略してPEI;
ポリエテン、又は略してPE;
ポリジメチルシロキサン、又は略してPDMS;
ポリイミド、又は略してPI;
化学式TiO
2を有する二酸化チタン;
又はその組合せから選択される、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の
いずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記膜乾燥機(11)は、乾かされる前記ガスのための入口(15)及び該乾燥させたガスのための出口(16)を有するハウジング(12)内の個別の区画(14)と、前記液体乾燥剤のための入口(18)及び出口(19)を有する該ハウジング(12)内の個別の区画(17)とで作られることを特徴とする請求項1から請求項5の
いずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記膜乾燥機(11)の前記膜(13)には、撥油性又は耐油性の保護層が設けられる、及び/又はシリコーン又はフルオロポリマーの層が設けられることを特徴とする請求項1から請求項6の
いずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記再生器(22)は、一方の側に前記液体乾燥剤を有し、かつ他方の側に前記洗浄剤を有する膜(31)を有する膜再生器であり、それによって該膜(31)は、該液体乾燥剤に対して不透過性であるが、該液体乾燥剤によって前記膜乾燥機(11)内で吸収される水分に対して選択的に透過性であることを特徴とする請求項1から請求項7の
いずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記再生器(22)は、前記液体乾燥剤のための入口(33)及び出口(34)を有するハウジング(23)内の個別の区画(32)と、洗浄ガスのための入口(36)及び出口(37)を有する該ハウジング(23)内の個別の区画(35)とを収容することを特徴とする請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記再生器(22)は、前記液体乾燥剤の前記回路(20)に接続されて該乾燥剤を通して空気を吹き込んでそれを運び去るように構成された容器であることを特徴とする請求項1から請求項7の
いずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記液体乾燥剤の前記回路(20)には、前記再生器(22)から下流で前記膜乾燥機(11)から上流に冷却器(43)が設けられることを特徴とする請求項1から請求項10の
いずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記液体乾燥剤の前記回路(20)には、前記膜乾燥機(11)から発する液体乾燥剤のための緩衝容器(40)が設けられ、その液体乾燥剤が、前記熱交換器(29)を通してそれを循環させることによって該緩衝容器(40)内で加熱されることを特徴とする請求項1から請求項11の
いずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記液体乾燥剤の循環を可能にする前記手段は、少なくとも1つのポンプ(21,28)を含むことを特徴とする請求項1から請求項12の
いずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
ガスの圧縮のための少なくとも1つの圧縮機要素(3)を有する圧縮機設備であって、
圧縮機設備(1)が、前記圧縮機要素(3)から発する圧縮ガスを乾燥させる請求項1から請求項13の
いずれか1項に記載のデバイス(2)を収容する、
ことを特徴とする圧縮機設備。
【請求項15】
前記熱交換器(29)は、前記圧縮機要素(3)内の残留熱を使用して前記再生器(22)から上流で前記液体乾燥剤を加熱することを特徴とする請求項14に記載の圧縮機設備。
【請求項16】
湿潤圧縮ガスを乾燥させる方法であって、
前記圧縮ガス内のガスに対して不透過性であるが、該圧縮ガス内の水分に対して選択的に透過性である膜(13)を膜乾燥機(11)に設ける段階と、
接触時に乾かされる前記圧縮ガスから水分を吸収することができる前記膜(13)の一方の側で前記膜乾燥機(11)を通る液体乾燥剤の循環を可能にする段階と、
乾かされる前記ガスを前記液体乾燥剤の側の圧力よりも高い圧力で前記膜乾燥機(11)を通して前記膜(13)の他方の側に沿って送る段階と、
前記液体乾燥剤をそれが前記膜乾燥機(11)を通して誘導された状態で加熱する段階と、
前記液体乾燥剤をそこに吸収された水分の少なくとも一部をそれが前記膜乾燥機(11)を通る次のサイクルで循環される前に接触時に該液体乾燥剤から水分を吸収することができる洗浄剤との接触状態にそれをもたらすことによって除去するために再生させる段階と、
前記再生された液体乾燥剤の一部を、開放位置にある閉鎖可能なバイパス(45)を通じて送る段階と、これをさらに前記膜乾燥機(11)を通すことなく続けて再生する段階と、
前記圧縮ガスから前記液体乾燥剤に漏れたガスを脱気する段階を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記液体乾燥剤の前記再生のために選択される前記洗浄剤は、水を含有して再生される該液体乾燥剤との接触状態にもたらされる洗浄液、又は空気を含有して再生される該液体乾燥剤との接触状態にもたらされる洗浄ガスであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば圧縮機要素から発する湿潤圧縮ガスを乾燥させるデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
圧機縮要素によって吸い込まれたガス、例えば、湿潤外気はまた、圧縮に続いて水蒸気の形態のある量の水分で充満されることは公知である。
【0003】
圧縮ガス内の水分は、圧縮機によって供給される圧縮ガスの消費機器に損傷を引き起こす可能性がある。
【0004】
この理由のために、圧縮ガスは、そのような消費機器に供給される前に典型的には乾かされる。
【0005】
本発明は、しかし、水蒸気で充満された圧縮空気の乾燥に限定されない。
【0006】
圧縮ガスを乾燥させる様々なタイプのデバイスは既に公知である。
【0007】
本発明は、より具体的には、圧縮ガスから水分を抽出してそれを吸収することができる乾燥剤との接触状態に圧縮ガスがもたらされる乾燥機が設けられたタイプのデバイスに関する。
【0008】
液体乾燥剤が、乾かされる圧縮ガスの流れに噴霧され、従って、ガスから水分を除去し、その後に乾燥剤が集められて吸収された水分と共に除去されるか、又は乾燥剤を再生させるために処理される、言い換えれば、乾燥剤を乾燥のために再利用することができるように吸収された水分を回収するそのようなタイプのデバイスは既に公知である。
【0009】
そのようなタイプのデバイスの欠点は、ガスと液体間の直接接触である。液体とガスを完全に分離することは不可能であるので、液体乾燥剤は必然的に乾燥ガスと共に運ばれ、逆に、圧縮ガスも液体乾燥剤に同伴され、これは、両方の場合に損失を引き起こし、水分を吸収する乾燥剤の機能を低減する。
【0010】
別の欠点は、ガス内のいずれの汚染も乾燥剤内に落ち着き、更に蓄積する可能性もあることであり、これは、乾燥剤を早期に交換しなければならないことを意味する。
【0011】
別の欠点は、そのような方法を100%周囲相対湿度では適用することができないことである。
【0012】
圧縮ガス内の水分に対して選択的に透過性である膜が使用され、それにより、乾かされる圧縮ガスが膜の一方の側を流れ、それによって膜の他方の側では、洗浄ガスが使用されてその流れ内を通ることを可能にされた水分を同伴する別タイプのデバイスが既に公知である。
【0013】
このタイプの乾燥デバイスの欠点は、それが、典型的にあまり効果がないことである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【文献】Mike Lancaster著「環境に優しい化学-序文-第3版」、20頁、1.6毒性測定、ISBN 978-1-78262-294-9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、費用効果が高くて効率的な方式で湿潤圧縮ガスを乾燥させる比較的簡単なデバイスに関する。
【0016】
ガスは、この場合は、N2、O2、CO2のようなほぼ純粋なガス、又はHe又はArのような希ガス、又は例えば空気のようなガス混合物を指すと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的のために、本発明は、圧縮ガスから水分を吸収することができる乾燥剤との接触状態に圧縮ガスがもたらされる乾燥機が設けられたデバイスであって、乾燥機が膜乾燥機であり、圧縮ガスを乾燥させるデバイスが、液体乾燥剤が膜の一方の側の圧縮ガスと他方の側の液体乾燥剤とを分離する膜を有する膜乾燥機を連続的に通って循環される回路を収容し、それによって膜が、圧縮ガス内のガスに対して完全に不透過性又は不透過性同然であるが、圧縮ガス内の水分に対して選択的に透過性であり、それによって圧縮ガスの側の圧力が、液体乾燥剤の側の圧力に等しいか又はそれよりも高く、熱交換器が、液体乾燥剤を加熱するためのものであり、再生器が、液体乾燥剤に吸収された水分をこれが膜乾燥機を通して次のサイクルのために再送される前に少なくとも部分的に除去するためのものであり、それによって再生器が、ハウジングによって形成され、そこでは吸収された水分を含有する液体乾燥剤が、ハウジングを通して同時に誘導されて液体乾燥剤から水分を吸収することができる洗浄剤と水分移送の目的ために接触状態にもたらされ、回路には、再生器から下流で膜乾燥機から上流の回路内の分岐点と膜乾燥機から下流で再生器から上流の回路内の合流点との間に閉鎖可能なバイパスが設けられることを特徴とする上記デバイスに関する。
【0018】
膜と液体乾燥剤とを有する乾燥機を備えた本発明によるそのようなデバイスは、以下の事実を含む多くの利点を提供することができる:
-圧縮ガスを水の露点まで冷却することを必要とせずに水分を除去することができ;
-そのようなデバイスは、液体乾燥剤を再生する際の使用に圧縮ガスの一部を必要とすることなく作動することができ;
-放出された場合にオゾン層により少ない又はより大きい程度の悪影響を及ぼす場合があり、及び/又は地球温暖化として公知のものに寄与する場合があり、及び/又は大なり小なり健康に有害である可能性がある冷却剤を使用することなく、そのようなデバイスを作動させることができ;
-圧縮ガスから除去される水分量は、容易にかつ異なる方法で、例えば、乾燥させた圧縮ガスの露点を典型的に約-20℃の露点から約10℃の露点までの広範囲にわたって自由に選択することができるように液体乾燥剤の流れを調節することによって調節することができ;
-デバイスは、圧縮ガスの大きい圧力領域内で使用することができ;
-乾かされるガスと液体乾燥剤の間の直接接触がなく;
-例えば圧縮機からの、特に同じく液体注入式圧縮機、例えば水注入式又はオイル注入式圧縮機からの残留熱のような低温での残留熱の回収を含むエネルギ回収が可能にされ、それによって水又はオイルの温度が、それぞれ圧縮機内で単に限られた範囲まで上昇し;
-デバイスは、恐らくは1又はいくつかのポンプ、及び/又は送風機、通風機、又はファンを除いて可動部品のない簡単な構造を有し、これは、デバイスをより静かに作動させることができ、かつ保守をほとんど必要としないことを意味し;
-デバイスは、信頼性が高く;
-デバイスは、膜のタイプに基づいて、圧縮ガス内に少量のオイルも存在する可能性があるオイル注入式圧縮機に適する又は適するようにすることができる。
【0019】
液体乾燥剤は、好ましくは高吸湿性であり、乾かされる圧縮ガス内の水分の蒸気圧よりも低い水蒸気圧を特徴とする。
【0020】
液体乾燥剤はまた、好ましくは、以下の特徴のうちの1又は2以上を特徴とする:無毒又は実質的に無毒であり、非腐食性又は実質的に非腐食性であり、低粘性であり、かつ安定である。
【0021】
液体乾燥剤は、好ましくは、10℃で250センチポアズよりも低く、より好ましくは200センチポアズよりも低く、最も好ましくは150センチポアズよりも低い粘性を有する。低粘性は、回路内の乾燥剤をポンプで循環させる処理を簡素化し、それが膜乾燥機及び/又は再生器を通って流れる時に圧力降下が制限されることを可能にし、かつ乾燥剤をより迅速に置き換えることによって乾燥と再生の両方に対するより良い性能を与える。
【0022】
液体乾燥剤の毒性は、好ましくは、Hodge及びSternerスケールの下でクラス4(軽度毒性)として、又はそれよりも高く、好ましくはクラス5(実質的に無毒性)又はそれよりも高く分類される。このスケールの定義に関して、Mike Lancaster著「環境に優しい化学-序文-第3版」、20頁、1.6毒性測定、ISBN 978-1-78262-294-9を参照されたい。
【0023】
本発明によるデバイスに使用するための液体乾燥剤は、好ましくは、以下に列挙する物質のうちの1又は2以上及び潜在的に水を含有する:
-モノプロピレングリコール、又は略してMPG;
-ジプロピレングリコール、又は略してDPG;
-トリプロピレングリコール、又は略してTPG;
-モノエチレングリコール、又は略してMEG;
-ジエチレングリコール、又は略してDEG;
-トリエチレングリコール、又は略してTEG;
-化学式LiClの塩化リチウム:
-化学式LiBrの臭化リチウム;
-化学式CaCl2の塩化カルシウム。
【0024】
例えば酸化のようなある一定の劣化過程を例えば防止する及び/又は遅くすることによって安定性を高めるために、乾燥剤に添加物が追加される場合がある。例えば腐食抑制剤のような添加物はまた、乾燥剤と接触状態になるデバイス内の材料の劣化及び/又は分解を防止又は制限するために乾燥剤に追加される場合がある。
【0025】
膜乾燥機内の膜に対して最も適する材料は、孔隙が液体乾燥剤で飽和状態になるのを回避するために実質的に孔隙のない疎水性材料である。
【0026】
他の適する材料は、サイズが15ナノメートルと100ナノメートルの間に及ぶ孔隙を有する微多孔構造を有するものを含む。
【0027】
以下の非包括的リストからの材料は、膜乾燥機内の膜のための材料として使用することができる:
-ポリプロペン、又は略してPP;
-ポリテトラフルオロエテン、又は略してPTFE;
-ポリフッ化ビニリデン、又は略してPVDF;
-ポリエーテルスルホン、又は略してPES;
-ポリエーテルイミド、又は略してPEI;
-ポリエテン、又は略してPE;
-ポリジメチルシロキサン、又は略してPDMS;
-ポリイミド、又は略してPI。
【0028】
例えばTiO2のようなセラミック材料も、セラミック材料とプラスチック材料の組合せと同様に膜乾燥機内の膜のための材料として使用される場合がある。
【0029】
全てのこれらの材料は、程度の差はあっても微多孔性である場合があり、又は微多孔性でない場合がある。
【0030】
好ましくは、圧縮ガスが膜乾燥機を通過するのにかかる時間は、可能な限り短く保たれ、それによって膜乾燥機は、好ましくは、乾かされるガスのための入口及び乾燥させたガスのための出口を有するハウジングと、液体乾燥剤のための入口及び出口を有する該ハウジング内の個別の区画とで構成され、かつその区画にわたって延びて乾かされるガスのための入口と出口を接続する1又は2以上の管状膜で構成される。
【0031】
このようにして、圧縮ガス内の水分が液体乾燥剤にそれにわたって浸透することができる広大な膜面が形成され、それによってより小さい膜面と比べて必要な接触時間が短縮される。このようにして、膜乾燥機はまた、より小型にすることができる。
【0032】
更に良いのは、管状膜が、中空繊維によって形成され、例えば実質的に孔隙のない疎水性材料から形成されて、更に大きい膜面が生成され、必要な接触時間が更に短縮され、かつ膜乾燥機がより一層小型にされることを可能にする膜構造である。
【0033】
これに加えて、中空繊維で形成された管状膜を有するそのような膜構造は、液体乾燥剤の圧力により良く耐えることができ、これは、それが曲がることを防止する。
【0034】
中空繊維で形成された管状膜を有するそのような膜構造は、大抵は平坦膜皮よりも良い選択であるが、何らかの場合では、平坦膜皮は、そのような平坦膜皮が負荷損失をより少なく生じさせることができ、かつ生産し易いので推奨される。
【0035】
本発明はまた、ガスの圧縮のための少なくとも1つの圧縮機要素を有する圧縮機設備に関し、それによって圧縮機設備は、圧縮機要素から発する圧縮ガスを乾燥させる本発明によるデバイスを収容する。
【0036】
この場合に、再生器から上流の上述の熱交換器内で液体乾燥剤を加熱又は予熱するために圧縮機要素からの残留熱を費用効果的に使用することができる。
【0037】
このようにして、再生のために外部熱は全く又はより少なくしか必要とされず、他に失われ易い残留熱は、有用な事柄に使用され、エネルギは、回収することができる。
【0038】
具体的には、圧縮機要素からの残留熱は、圧縮機要素内の冷却ジャケット及び上述の熱交換器を通して冷却媒体を連続的に誘導することにより、液体乾燥剤を加熱又は予熱するのに使用することができる。
【0039】
圧縮ガスを冷却するために圧縮機要素の後に後置冷却器が設けられる時に、この後置冷却器内で除去された熱の一部を使用して液体乾燥剤を温めることができる。これは、例えば、後置冷却器及び上述の熱交換器を通して冷却媒体を連続的に誘導することによるものとすることができる。例えば、これはまた、後置冷却器によって温められた外気を膜乾燥機から下流で再生器から上流の乾燥剤の回路の一部を横切って吹き付けることによるものとすることができる。
【0040】
圧縮機要素からの残留熱を用いて乾燥剤を必要な再生に到達するための十分に高い温度まで温めることができない場合に、それを行うために、例えば、電気加熱、熱ネットワーク、例えば、蒸気ネットワーク、又は別の処理からの残留熱のような他の及び/又は追加の熱源を使用することも可能である。
【0041】
本発明はまた、乾かされる圧縮ガス内のオイルの存在に対して非感受性又は実質的に非感受性である材料から作られた膜を選択することにより、及び/又はオイル分離器及び/又はフィルタを使用することによって使用される膜に問題を生じないレベルまで圧縮ガス内のオイルの量を低減することにより、少なくとも1つのオイル注入式圧縮機要素を有する圧縮機設備と共に使用することができる。
【0042】
例えばPP、PE、PEI、PES、PI、PDMS、PTFE、又はPVDFのような例えば微多孔プラスチックからの膜のようなオイルの存在に対して程度の差はあっても感受性である膜は、微多孔性PTFEから作られた膜の場合に特に推奨される例えばシリコーン内の保護層又はフルオロポリマーで作られた非晶質保護層を付加することにより、保護層、例えば、撥油性又は耐油性の層の付加を用いてオイルの存在に対して非感受性にする又は感受性を低くすることができる。
【0043】
オイル注入式圧縮機要素は、圧縮機要素にオイルが注入されることを可能にするオイル回路を常に収容し、それによって注入されたオイルは、圧縮ガスから分離され、圧縮機要素に再び注入される前に冷却される。
【0044】
この場合に、オイル回路は、好ましくは、オイルを冷却する一方でオイルから熱を回収することによって液体乾燥剤を同時に加熱するために上述の熱交換器に通して誘導される。
【0045】
上述の熱交換器はまた、圧縮機要素によって圧縮されたガスの少なくとも一部が、直接的又は間接的に関わらず、例えば熱交換のための別の媒体を使用して熱を液体乾燥剤に放出し、それによって圧縮ガスが同時に冷却されるように製造することができる。
【0046】
ガスを乾燥させるためのデバイスでは、好ましくは、2バールよりも高い、好ましくは3バールよりも高い、より好ましくは4バールよりも高い圧力差が膜乾燥機内の膜の両側の間に印加される。
【0047】
ここで、外気は、ほぼ大気圧の圧力で再生される液体乾燥剤との接触状態にもたらされる洗浄ガスとして再生器内で有益に使用することができる。
【0048】
このようにして、低圧は、ほぼ大気圧の液体乾燥剤の回路に使用することができる。
【0049】
ガスを乾燥させるデバイスの好ましい特徴により、再生器は、一方の側に液体乾燥剤を有し、かつ他方の側に上述の洗浄ガスを有する膜を備えた再生器であり、それによって膜は、液体乾燥剤に対して不透過性又は実質的に不透過性であるが、液体乾燥剤によって乾燥機に吸収される水分に対して選択的に透過性である。
【0050】
再生器内の膜は、好ましくは、疎水性材料から作られる。
【0051】
再生器内の膜の材料は、以下の非包括的リストからの好ましくは1又は2以上の材料を含有する:
-ポリプロペン、又は略してPP;
-ポリテトラフルオロエテン、又は略してPTFE;
-ポリフッ化ビニリデン、又は略してPVDF、
それによってPTFE及びPVDFは、両方の材料がそれらの化学的及び熱的安定性に関して公知であるので最も好ましいものである。
【0052】
例えばTiO2のようなセラミック材料も、セラミック材料とプラスチック材料の組合せと同様に再生器内の膜のための材料として使用することができる。
【0053】
この場合に、撥油性又は耐油性のいずれかである保護層を付加することもできる。
【0054】
この場合に、膜はまた、例えば中空繊維の形態の管状膜で構成することができる。
【0055】
洗浄ガスではなく、水を使用して液体乾燥剤を再生することも可能である。再生器内の液体乾燥剤と膜の組合せにおける良好な選択が行われることを前提として、水が再生器内の乾燥剤から水分を除去することも可能である。これの利点は、除去された水分を洗浄ガスと共に運び去るのではなく収集することができることである。
【0056】
乾燥剤はまた、それを通して空気を吹き込むことによって再生させることができる。それらが乾燥剤を通過する時に、気泡は、水蒸気の形態で乾燥剤内の水分の一部を吸収することになる。従って、気泡が乾燥剤から漏れ出る時に、水蒸気を有する空気は、運び去ることができる。乾燥剤の回路では、「湿潤」乾燥剤を追加することができる容器が好ましくは設けられ、そこからは「より乾燥した」乾燥剤を運び去ることができ、容器には、好ましくは容器のベースでかつ微細な泡の形態で空気を吹き込む手段が設けられ、かつ湿った空気の形態で泡が漏れ出ることを可能にする手段が設けられる。送風機又は通風機を使用して空気を吹き込むことができる。好ましくは、空気は、乾燥剤のいずれの汚染も制限する又は更に好ましくは防止するためにそれを吹き込む前に濾過されることになる。
【0057】
液体乾燥剤の回路は、再生器から下流で膜乾燥機から上流に冷却器を有する費用効果的方式で設けることができ、それによって膜式乾燥器内の液体乾燥剤の吸収容量が高められる。この冷却器は、例えば、それにわたって外気を吹き付ける通風機によって冷却することができ、又は利用可能である場合がある冷却回路に接続することができる。
【0058】
膜乾燥機から発する液体乾燥剤は、それが上述の熱交換器を通して連続的に循環することを可能にすることにより、それを望ましい温度までより安定的に温めることができる緩衝容器に格納することができる。
【0059】
同様に、再生器から発する液体乾燥剤も、より安定的な冷却のために緩衝容器に格納することができる。
【0060】
液体乾燥剤の回路には、好ましくは脱気器が設けられ、膜乾燥機内の膜を通して又は不完全シールのような他の漏れを通じて圧縮ガスから液体乾燥剤に漏れたガスが、これが他に圧縮ガスからの水分の置換に悪影響を及ぼすか又は回路に乱れを引き起こす場合があるので、回路から除去されることを可能にする。
【0061】
オプションとして、回路には、再生器から下流で膜乾燥機から上流の回路内の分岐点と膜乾燥機から下流で再生器から上流の回路内の合流点との間に閉鎖可能なバイパスを設けることができ、それによってより迅速に作動状態になるように弁をデバイスの始動時に開くことができる。
【0062】
本発明はまた、本発明によるデバイス又は圧縮機設備を使用する湿潤圧縮ガスを乾燥させる方法に関する。
【0063】
より一般的に、本発明はまた、以下の段階を含む湿潤圧縮ガスを乾燥させる方法に関する:
-圧縮ガス内のガスに対して不透過性又は実質的に不透過性であるが、圧縮ガス内の水分に対して選択的に透過性である膜を膜乾燥機に設ける段階、
-接触時に乾かされる圧縮ガスから水分を吸収することができる膜の一方の側で膜乾燥機を通る液体乾燥剤の循環を可能にする段階、
-液体乾燥剤の側での圧力よりも高い圧力で膜乾燥機を通して膜の他方の側に沿って乾かされるガスを送る段階、
-液体乾燥剤をそれが膜乾燥機を通して誘導された後に加熱する段階、及び
-液体乾燥剤をそれが膜乾燥機を通る次のサイクルで循環される前に、接触時に液体乾燥剤から水分を吸収することができる洗浄剤との接触状態にそれをもたらすことにより、そこに吸収された水分の少なくとも一部を除去するために再生させる段階。
【0064】
選択される洗浄剤は、好ましくは、空気を含有して再生される液体乾燥剤との接触状態にもたらされる洗浄ガスであることになる。
【0065】
空気は、それが自由に利用可能であり、かつ何も費用がかからないという利点を有する。
【0066】
液体乾燥剤は、圧縮ガスを乾燥させるために膜乾燥機に送り戻される前に、好ましくは最初に再生後に冷却されることになる。
【0067】
このようにして、膜乾燥機内の液体乾燥剤は、乾かされるガスから水分を吸収する際により効率的であるとすることができる。
【0068】
本発明による方法を使用して、-20℃と+10℃の間にある乾燥させた圧縮ガスの露点を達成することができる。
【0069】
本発明の特徴をより良く示すために、圧縮ガスを乾燥させる本発明によるデバイス及び方法、並びにそのようなデバイスを備えた圧縮機設備の一部の好ましい実施形態をいずれの限定性もなく一例として添付図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】圧縮機から発する圧縮ガスを乾燥させる本発明によるデバイスを有する本発明による圧縮機設備の概略図である。
【
図2】本発明によるデバイスの異なる変形を示す図である。
【
図3】本発明によるデバイスの異なる変形を示す図である。
【
図4】本発明によるデバイスの異なる変形を示す図である。
【
図5】本発明によるデバイスの異なる変形を示す図である。
【
図6】本発明によるデバイスの異なる変形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1に示すデバイスは、本発明によりガスを乾燥させるデバイス2を収容する圧縮機設備1である。
【0072】
圧縮機設備1は、ガス(この場合は外気5)を引き込むことができる空気フィルタに接続された入口4と、圧縮機要素3によって高圧に圧縮されたガスを図示しない空気ドリル、パーカッションハンマ、又は他のツール又はデバイスのユーザネットワーク8に提供するために圧力導管7が接続された出口6とを有する圧縮機要素3を収容する。
【0073】
圧縮ガスをそれがユーザネットワーク8に供給される前に冷却するために、圧力導管7には公知の方法で後置冷却器9が組み込まれる。圧縮ガス内に存在する水は、後置冷却器9で冷却された状態で凝縮し、凝縮分離器10を通して運び去られる。
【0074】
ガスを乾燥させるためのデバイス2は、圧力導管7内の後置冷却器9から下流に含まれてハウジング12から構成される膜乾燥機11を収容し、ハウジング12は、平坦な膜13を使用して2つの区画又はチャネルに分割され、それぞれ、第1の区画14には後置冷却器9から矢印Aの方向へ第1の区画14を通りユーザネットワーク8に誘導される圧縮ガスのための入口15及び出口16を有し、第2の区画17には液体乾燥剤のための入口18及び出口19を有する。
【0075】
ガスを乾燥させるデバイス2はまた、膜乾燥機11の第2の区画17が含まれ、第2の区画17を横切って矢印Aとは反対方向の矢印Bの方向にポンプ21を使用して液体乾燥剤を循環させる回路20を収容する。
【0076】
液体乾燥剤は、圧縮ガスから水分を吸収することができなければならず、好ましくは吸湿性が高く、言い換えれば水分を引きつけ、デバイスが作動している時に回路内で支配的な圧力及び温度の下で、乾かされる圧縮ガス内での水分の蒸気圧よりも低い水に対する蒸気圧を特徴とする。
【0077】
適切な液体乾燥剤の例は、MPG、DPG、TPG,MEG、DEG、TEG、LiCl、LiBr,及びCaCl2、又は場合により水を添加したその組合せである。しかし、このリストは包括的なものではない。
【0078】
膜乾燥機11内の膜13は、圧縮ガス内のガスに対して不透過性又は実質的に不透過性であるが、圧縮ガス内の水蒸気形態の水分に対して選択的に透過性であるという特徴を有する。
【0079】
膜13は、約15ナノメートルと100ナノメートルの間の孔隙を有する疎水性、言い換えれば撥水性の微多孔性材料で作られることが好ましい。
【0080】
そのような材料の例を以下に包括的ではないリストにまとめる:すなわち、PP(ポリプロペン)、PTFE(ポリテトラフルオロエテン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PES(ポリエーテルスルホン)、多孔性PEI(ポリエーテルイミド)、微多孔性PE(ポリエテン)、PDMS(ポリジメチルシロキサン)及びPI(ポリイミド)である。
【0081】
二酸化チタンのようなセラミック材料も、セラミック材料とプラスチック材料の組合せと同様に膜乾燥機内の膜のための材料として使用することができる。
【0082】
これに加えて、ガスを乾燥させるデバイス2は、回路20に含まれてハウジング23の形態で作られる再生器22を収容し、そのハウジング23を通して環境5からの外気が、矢印Cの方向に通風機又は送風機24などを使用して洗浄ガスとして引き込まれる。
【0083】
液体乾燥剤は、回路20によって矢印Cと反対方向に再生器22を通して誘導され、接触器26上で再生器22内のネブライザ25を使用して上部で霧化され、外気がその接触器26に沿って及び/又はそれを通って、霧化された乾燥剤との接触状態にもたらされるように流れ込み、それによって乾燥剤に吸収された水分が洗浄ガスに吸収され、吸収された水分と共に環境5の中に吹き戻される。
【0084】
液体乾燥剤はトレイ27の底部に集められ、そこから第2のポンプ28を使用して液体乾燥剤が回路20にポンプで戻される。
【0085】
送風機24の設置により、再生器22内に僅かな負圧が行き渡るが、送風機24が再生器を通して外気を吹き込む時に僅かな正圧が存在する場合もある。
【0086】
回路20では、膜乾燥機11から下流で再生器22から上流に熱交換器29を設けて膜乾燥機11から発する液体乾燥剤を加熱する。
【0087】
図1に示す例では、熱交換器29は電気抵抗30を含有する。
【0088】
圧縮機設備の作動は非常に簡単であり、以下の通りである。
【0089】
作動中に、圧縮機要素3は、湿潤圧縮ガスのある一定の流れを供給し、それによってガスは後置冷却器9を通して誘導され、そこでガスが冷却され、ガス内に存在する水分の一部が凝縮分離器10によって凝縮物としてガスから除去される。
【0090】
圧縮ガスは、次に、100%の相対湿度で膜乾燥機11を通して誘導され、そこで、水分を移送するために圧縮ガスが膜13を通して膜13の他方の側の液体乾燥剤との接触状態にもたらされる。
【0091】
そうする際に、圧縮ガスからの水分は膜13を通って拡散し、かつそこで液体乾燥剤によって吸収され、膜13の2つの側の間の圧力差によって位置的に支持される。
【0092】
熱交換器29で加熱することにより、乾燥剤内の水蒸気圧が増加する。熱交換器29を通過した後に、液体乾燥剤は再生器22を通して誘導され、そこで洗浄ガス、ここでは外気と直接に接触する。加熱された乾燥剤内の蒸気圧は洗浄ガス内の蒸気圧よりも高まっているので、洗浄ガスは乾燥剤に吸収された水分を乾燥剤から抽出する。続いて、洗浄ガスは、ガス乾燥のためのデバイス2から来た乾燥剤から抽出された水分と共に送風機24によって排出され、環境5の中に吹き出される。送風機24の吸引効果はまた、再生器22内に負圧を生成し、これは、洗浄ガスが更により効率的に乾燥剤から水分を除去することができることを意味する。
【0093】
乾燥剤を例えば90℃まで加熱することにより、洗浄ガスによる水分の吸収が促進される。
【0094】
次に、トレイ27に集められた低水分の液体乾燥剤は、再び膜乾燥機11を通して誘導され、圧縮ガスから水分を再度抽出する。
【0095】
従って、液体乾燥剤を回路20内で連続的に循環させ、湿気を圧縮ガスから連続的に抽出し、それによって膜乾燥機11を出るガスは乾燥圧縮ガスになる。
【0096】
図2に示す本発明による圧縮機設備1の変形は、
図1の圧縮機設備1と類似するが、以下の2つの違いがある;
-この場合に、熱交換器29は、液体乾燥剤が流れる1次的部分29aと、熱交換のために1次的部分29aと接触し、作動中に温かい媒体が誘導される2次的部分29bとを有する熱交換器であり;
-再生器は、ハウジング23を2つの区画に分割する膜31を収容し、これの区画は、熱交換器29内で加熱された後に液体乾燥剤が矢印Dの方向に送られる入口33及び出口34を有する第1の区画32と、送風機24を使用して対向流において洗浄ガスが矢印Cの方向に吸い込まれる入口36及び出口37を有する第2の区画35とである。
【0097】
膜31は、液体乾燥剤に対して不透過性又は実質的に不透過性であるが、液体乾燥剤によって膜乾燥機11内で吸収される水分に対して選択的に透過性である。
【0098】
この膜は、例えば、PP(ポリプロペン)、PTFE(ポリテトラフルオロエテン)、又はPVDF(ポリフッ化ビニリデン)のような疎水性材料で作られることが好ましい。
【0099】
他にこの変形デバイスの作動は、
図1によるデバイスの作動と同等であるが、異なるのは、この場合に再生器22内の液体乾燥剤と洗浄ガスとの接触が直接ではなく、膜31を通して間接的に行われることである。
【0100】
図3は、本発明による圧縮機設備1の改善された変形であり、それによってこの場合に圧縮機要素3からの残留熱を使用して熱交換器29内で液体乾燥剤を加熱する。
【0101】
これは、例えば、熱交換器29の2次的部分29bも含まれる閉回路39内で循環ポンプ38を使用して冷却媒体が圧縮機要素3上の冷却ジャケットを通って循環することを可能にすることによって行うことができる。
【0102】
これに加えて、膜乾燥機11から来て水分を含有する液体乾燥剤のための緩衝容器40が回路20に含まれる。
【0103】
液体乾燥剤は、熱交換器29の1次的部分29aを通る閉回路42内で循環ポンプ41を使用してこの緩衝容器40から誘導され、それによってデバイスは作動条件の変化に対してより安定して応答する。
【0104】
緩衝容器40には、膜乾燥機11内の膜13が、圧縮ガスからのガスがそれを通って流れることも可能にし、それによって回路20内の圧力が上昇する場合があり、これがデバイスの乾燥容量に悪影響を及ぼす場合があり、かつそれによってガスが回路20のある一定の部分に更に蓄積するかもしれず、かつデバイス1の性能低下又は更に作動停止に至る可能性がある乾燥剤の流れの妨害又は遮断さえも引き起こす場合がある事象において回路20を通気する役割を果たす自動脱気器48又は換気口を設けることができる。
【0105】
圧縮機要素3から残留熱を回収する別の可能性は、圧縮機要素3の潤滑及び冷却のために圧縮機要素にオイルを注入するのに使用されるオイル回路を有するオイル注入式圧縮機要素の場合でのものである。
【0106】
この場合に、回路39で温かいオイルを使用して液体乾燥剤を加熱することができる。
【0107】
オイル注入式圧縮機要素では、圧縮ガスに非常に少量のオイルが典型的に存在する。
【0108】
膜乾燥機11内の膜13を製造する材料に応じて、この膜13に撥油性又は耐油性の保護層を設けることが必要な場合がある。
【0109】
膜13が、例えば、PP、PE、PEI、PES、PI、PDMS、PTFE、又はPVDFのような微多孔プラスチックから作られる場合に、例えばシリコーンで作られた保護層、又は例えばテフロン(登録商標)のようなフルオロポリマーで作られた非晶質保護層を付加することができ、例えば、これは、微多孔性PTFEで作られた膜の場合に特に推奨される。
【0110】
図4は、冷却器43が再生器22から下流で膜乾燥機11から上流に回路20に含まれ、かつ冷却器43から発する低水分の冷却された液体乾燥剤を格納するために緩衝容器44が存在するという点で
図3の圧縮機設備とは異なる本発明による圧縮機設備1の別の変形を示している。
【0111】
水分の多い液体乾燥剤の緩衝容器40と低水分の液体乾燥剤の緩衝容器44の間に閉鎖可能なバイパス45を設け、ガスを乾燥させるデバイス2を始動させる時により迅速に作動させるのに使用することができる。
【0112】
そうする際に、低水分の液体乾燥剤を格納するための緩衝容器44を冷却器43から上流で再生器22から下流に設定することは排除されない。冷却器43は、次に、上流に膜乾燥機11の直前に位置付けられる。このようにして液体乾燥剤は、より高い温度で緩衝容器40及び44内に留まり、液体乾燥剤の蒸気圧をより高くして液体乾燥剤のより効率的な再生をもたらす。
【0113】
図5は、この場合に膜乾燥機11が平坦な膜13ではなく、むしろ例えば中空繊維46の形態のような様々な管状膜から構成される膜13を有するという点で
図4のデバイスとは異なる別の変形を示している。
【0114】
ここでは、ハウジング12には、液体乾燥剤のための入口18及び出口19を有する第2の区画17と、圧縮ガスのための入口15及び出口16をそれぞれ有する2つの副区画14a及び14bとを定める2つの仕切り47が設けられ、2つの副区画14aと14bは、区画17にわたって延びる上述の繊維46によって流体接続され、繊維46を通して圧縮ガスが副区画14aから副区画14bに誘導され、その際に中空繊維46の壁を通してその水分を液体乾燥剤に渡す。
【0115】
同様に、再生器には、平坦な膜31とは対照的に管状又は繊維状の膜を設けることができる。
【0116】
図6では、個別の再生器22が回路20に含まれないという点で
図4のデバイスとは異なる更に別の変形を示している。この場合に、乾燥剤の再生は、乾燥剤に空気を吹き込むことによって行われる。
図6は、緩衝容器40に空気を吹き込むことによってこれが達成可能である方法を示すが、この目的に別の又は追加の容器を使用することができる。送風機又は通風機を使用して空気がフィルタ50に吹き込まれ、導管51を通して容器40に誘導される。フィルタ50は必須ではなく、かつ異なる方法で組み込むこともできる。フィルタ50は、埃又は他の汚染物質が乾燥剤に吹き込まれないように防ぐ。導管51が容器40に入る箇所では、緩衝容器40内の乾燥剤に吹き込まれた空気、例えば、微細気泡の望ましい分布を達成するために、あらゆる種類の公知の手段、例えば、微細開口部を備えた管又は膜から作られた又は多孔性材料から作られた拡散器を設けることができる。気泡は乾燥剤から水分の一部を抽出し、これを水蒸気として運び去ることになる。このようにして、乾燥剤を非常に簡単な方法で再生することができる。
【0117】
本発明は、例示的に説明して図面に示す実施形態に決して限定されず、むしろ圧縮ガスを乾燥させるための本発明によるデバイス及び方法、並びにそのようなデバイスを有する圧縮機設備は、本発明の範囲から逸脱することなくすべての種類の実施形態に実現することができる。
【符号の説明】
【0118】
1 圧縮機設備
2 ガスを乾燥させるデバイス
8 ユーザネットワーク
11 膜乾燥機
22 再生器