(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】熱処理装置の基板搬送ユニット
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20221011BHJP
H01L 21/324 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/324 S
(21)【出願番号】P 2020118016
(22)【出願日】2020-07-08
【審査請求日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】10-2020-0067348
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520252033
【氏名又は名称】コヨ サーモ システム コリア カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】ロ ヒョンレ
(72)【発明者】
【氏名】ナカニシ サトル
(72)【発明者】
【氏名】キム ジンヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム ミンチョル
(72)【発明者】
【氏名】ハ ジェウク
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-021556(JP,A)
【文献】特開2008-174361(JP,A)
【文献】特開2003-302568(JP,A)
【文献】特開2018-024068(JP,A)
【文献】特開平08-070007(JP,A)
【文献】特開2011-233776(JP,A)
【文献】特開2010-076849(JP,A)
【文献】特開2008-281207(JP,A)
【文献】国際公開第2005/003001(WO,A1)
【文献】米国特許第4696583(US,A)
【文献】特開2007-230722(JP,A)
【文献】実開昭58-113491(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/324
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒーターが実装配置されたチャンバー、及び前記チャンバーの内部にヒーターの表面を横切って設置された多数のラックを含む熱処理装置と、
前記ラックの表面に沿って突出するように適所に配置され、前記熱処理装置による熱処理前後の基板に対する搬送と移積載を誘導するボールトランスファーとを含
み、
前記ボールトランスファーが、前記ラックの表面垂直方向に突出し、内部にはハウジングが形成されたヘッドブロックと、前記ハウジングに収容され、基板を垂直方向から支えるボールと、前記ヘッドブロックを弾力的に支持するために前記熱処理装置のチャンバー内部のラック上にインサート方式で組み立てられるベースブロックと、前記ヘッドブロックとベースブロックとの間に介在し、前記ヘッドブロックとベースブロックとの間を弾性変形スペースとして形成する緩衝ばねとを含み、
前記緩衝ばねは、上部に比べて下部が広い円錐型螺旋式のコイルばねであることを特徴とする熱処理装置の基板搬送ユニット。
【請求項2】
ヒーターが実装配置されたチャンバー、及び前記チャンバーの内部にヒーターの表面を横切って設置された多数のラックを含む熱処理装置と、
前記ラックの表面に沿って突出するように適所に配置され、前記熱処理装置による熱処理前後の基板に対する搬送と移積載を誘導するボールトランスファーとを含
み、
前記ボールトランスファーが、前記ラックの表面垂直方向に突出し、内部にはハウジングが形成されたヘッドブロックと、前記ハウジングに収容され、基板を垂直方向から支えるボールと、前記ヘッドブロックを弾力的に支持するために前記熱処理装置のチャンバー内部のラック上にインサート方式で組み立てられるベースブロックと、前記ヘッドブロックとベースブロックとの間に介在し、前記ヘッドブロックとベースブロックとの間を弾性変形スペースとして形成する緩衝ばねとを含み、
前記緩衝ばねは、上部と下部が狭く且つ中間が広い壺型螺旋式のコイルばねであることを特徴とする熱処理装置の基板搬送ユニット。
【請求項3】
前記ヘッドブロックの下端部及び前記ベースブロックの上端部が、それぞれ緩衝ばねを定着させるフランジ部で構成されたことを特徴とする、請求項1または2に記載の熱処理装置の基板搬送ユニット。
【請求項4】
前記ヘッドブロックのハウジングには、上部に積載される基板を支えるボールの回転転がり運動を誘導する多数のローリングボールが充填されて構成されたことを特徴とする、請求項1または2に記載の熱処理装置の基板搬送ユニット。
【請求項5】
前記ベースブロックが、前記熱処理装置のチャンバー内部のラック上に設けられる組立孔に沿ってインサート方式で組み立てられる下部の組立ヘッド、及び前記組立ヘッドの下方離脱を防止するために上部が下部に比べて拡張された面積を持つフランジ部で構成されたことを特徴とする、請求項1または2に記載の熱処理装置の基板搬送ユニット。
【請求項6】
前記ベースブロックは、前記ベースブロックのフランジ部の下側に設けられ、前記熱処理装置のチャンバー内部のラック上に設けられる組立孔に対してインサート方式で設けられる組立ヘッドを有し、
前記ベースブロックのフランジ部は、前記組立ヘッドの下方離脱を防止するように広がることを特徴とする、請求項3に記載の熱処理装置の基板搬送ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板を熱処理または搬送するために熱処理装置のラック(rack)に装着して使用される、熱処理装置の基板搬送ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置及びLCDなどのフラットパネルディスプレイは、いろんな種類の画像機器、例えばTV、携帯電話、モニターなどに適用されており、近年、フラットパネルディスプレイの製造では、性能と歩留まりを向上させるための装備の改善が続けられている。フラットパネルディスプレイ製造工程で使用される熱処理装置(oven chamber)の性能改善も続けられている。
【0003】
例えば、TFT LCD(Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)などのフラットパネルディスプレイは、薄膜トランジスタ、画素電極、RGB画素及び共通電極をガラス基板に蒸着する薄膜蒸着工程、フォトレジストコーティング工程、ベーキング(Baking)工程、露光工程、現像工程、エッチング工程などを経て製造されている。
【0004】
フラットパネルディスプレイ製造工程で使用される熱処理装置(oven chamber)は、内部のヒーターをホットプレート(Hot plate)の熱源としてフォトレジストコーティング設備に投入する前にガラス基板に熱を加えて乾燥及び予熱させるか、或いはフォトレジスト膜がコーティングされたガラス基板を一定時間加熱してフォトレジスト膜を硬化させるベーキング工程などに使われている。
【0005】
ガラス基板熱処理装置は、特許文献1及び特許文献2に「LCDガラスオーブンチャンバー」で提案されている。
【0006】
一方、フラットパネルディスプレイの大きさは、持続的に大型化されている傾向にある。例えば、第5世代のガラス基板が1,100×1,250mm、第6世代のガラス基板が1800×2,100mmのサイズを持つなど、次第に大型化されている。
【0007】
熱処理ガラス基板に対する熱処理作業または熱処理作業済みのガラス基板の搬送を行うためには、熱処理装置に別個の搬送ユニット(transfer unit)を備える。
【0008】
熱処理装置に別個の搬送ユニットを備える場合、高温に耐える耐熱性と被加熱体であるガラス基板よりも低い硬度を持ってこそ、高温で腐食せずに繰り返し使用が可能である。
【0009】
また、熱処理装置に別個の搬送ユニットを備える場合、ガラス基板に損傷を与えることなく、いかなる方式であれ、ガラス基板の搬送または移積載中に衝撃を吸収したり摩擦を減らしたりすることができるかについて検討されるべきである。
【0010】
搬送ユニットとガラス基板とが接触するとき、ガラス基板に傷が生じると、ディスプレイの製作時に不良品と判定されるため、コスト損失が発生する。
【0011】
もしガラス基板の搬送または移積載中に衝撃が吸収されず摩擦が発生した場合、ガラス基板のコーティング面にスクラッチを含むムラが発生するおそれがあり、ガラス基板が局部的な熱応力を受けて次の工程で不良が発生するか或いはわずかの衝撃でも容易に破損してしまうおそれがある。
【0012】
これにより、ガラス基板を熱処理する熱処理装置の周辺部には、ガラス基板を効率よく搬送または移積載することができるように誘導することにより、製品の歩留まりの向上とコストの削減で高効率を得ることができる新しい基板搬送ユニットが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0001672号公報(2020年1月7日公開)
【文献】韓国登録特許第10-1471028号公報(2014年12月10日公告)
【文献】韓国登録特許第10-2081801号公報(2020年2月26日公告)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、熱処理装置のラックに装着して使用することができる、熱処理装置の基板搬送ユニットを提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、ガラス基板を搬送または移積載する過程でガラス基板に伝達される衝撃を吸収し或いは受け流すことができるようにして、ガラス基板に対する耐スクラッチ性を確保する、熱処理装置の基板搬送ユニットを提供することにある。
【0016】
本発明の別の目的は、製作コストを削減し、高温耐熱性に優れた、熱処理装置の基板搬送ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的は、本発明によれば、ヒーターが実装配置されたチャンバー、及び前記チャンバーの内部にヒーターの表面を横切って設置された多数のラックを含む熱処理装置と、前記ラックの表面に沿って突出するように適所に配置され、前記熱処理装置による熱処理前後の基板に対する搬送と移積載を誘導するボールトランスファーと、を含む、熱処理装置の基板搬送ユニットにより達成される。
【0018】
本発明の実施形態によれば、前記ボールトランスファーは、前記ラックの表面垂直方向に突出し、内部にはハウジングが形成されたヘッドブロックと、前記ハウジングに収容され、基板を垂直方向から支えるボールと、前記ヘッドブロックを弾力的に支持するために前記熱処理装置のチャンバー内部のラック上にインサート方式で組み立てられるベースブロックと、前記ヘッドブロックとベースブロックとの間に介在し、前記ヘッドブロックとベースブロックとの間を弾性変形スペースとして形成する緩衝ばねと、を含んで構成できる。
【0019】
本発明の実施形態によれば、前記ヘッドブロックの下端部及び前記ベースブロックの上端部は、それぞれ緩衝ばねを定着させる広幅面のフランジ部で構成できる。
【0020】
本発明の実施形態によれば、前記ヘッドブロックのハウジングには、上部に積載される基板を支えるボールの回転転がり運動を誘導する多数の粒状ローリングボールが充填されて構成できる。
【0021】
本発明の実施形態によれば、前記ベースブロックは、前記熱処理装置のチャンバー内部のラック上に設けられる組立孔に沿ってインサート方式で組み立てられる下部の組立ヘッド、及び前記組立ヘッドの下方離脱を防止するために、上部が下部に比べて拡張された面積を持つフランジで構成できる。
【0022】
本発明の実施形態によれば、前記緩衝ばねは、ストレート型のコイルばね、上部に比べて下部が広い円錐型螺旋式のコイルばね、上部と下部が狭く且つ中間が広い壺型螺旋式のコイルばねの中から選択されたいずれか一つで構成できる。
【0023】
本発明の実施形態によれば、前記緩衝ばねはインコネル(inconel)ばねで構成できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る熱処理装置の基板搬送ユニットは、熱処理装置のラックに装着して使用できるように熱処理装置のチャンバー内部にボールトランスファーを構成することにより、比較的単純な構成を介して設備追加コストを削減しながら、熱処理装置からガラス基板を効果的に搬送または移積載することができるという効果がある。
【0025】
本発明に係る熱処理装置の基板搬送ユニットは、熱処理装置からガラス基板を搬送または移積載する過程でガラス基板に伝達される衝撃を吸収し或いは受け流すことができるようにして、ガラス基板に対する耐スクラッチ性を確保することにより、高品質のガラス基板の製造歩留まりを得ることができるという効果がある。
【0026】
本発明に係る熱処理装置の基板搬送ユニットは、高温でも使用可能なニッケル-クロム耐熱合金鋼であるインコネル(inconel)ばねを使ってボールトランスファーを含む搬送ユニットを構成することにより、約705℃の温度で酸化せずに高温耐久性を確保することができ、弛緩に対する優れた耐性を持っており、高温で繰り返し使用することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】熱処理装置のチャンバーを説明する例示である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る熱処理装置のチャンバー、及びチャンバーの内部に設置された基板搬送ユニットを示す例示である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る熱処理装置の基板搬送ユニットを説明する例示である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る熱処理装置の基板搬送ユニットを構成するボールトランスファーを抜粋して示す例示である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る基板搬送ユニットを構成するボール転がり回転式ボールトランスファーの例示である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る基板搬送ユニットを構成するボール固定式ボールトランスファーの例示である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るインコネルコイルばねを示す例示であって、(a)はストレート型のコイルばね、(b)円錐型螺旋式のコイルばね、(c)は壺型螺旋式のコイルばねを示す例示である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態に係る「熱処理装置の基板搬送ユニット」の具体的な内容を説明する。
【0029】
本発明の説明で使用される用語のうち、「熱処理装置」は「LCDガラスオーブンチャンバー」と混用されることがある。「基板」は「ガラス基板」と混用されることがある。
【0030】
【0031】
熱処理装置100は、
図1に示すように、ヒーター200が設置されたチャンバー110を備え、プロセスガスを投入して基板GLを加熱または乾燥させる機能を行うように構成される。
【0032】
チャンバー110は、加熱乾燥を必要とするガラス発光表示装置またはLCDガラス基板(以下、「基板GL」または「ガラス基板」という)などの基板GLを通過させる投入口111が一側に備えられる。
【0033】
チャンバー110にはヒーター200が実装され、その発熱エネルギーで投入口111を介して投入される基板GLを加熱するか或いは水分を蒸発乾燥させるように構成される。
【0034】
より具体的には、ヒーター200の上/下部には、ヒーター200の熱を受けて発熱する上/下部熱伝達ホットプレート(図示せず)を層構造の積層型に配置した面状発熱体から構成して、チャンバー110内に実装型に配置して基板GLを加熱するか或いは水分を蒸発乾燥させるように構成されてもよい。
【0035】
さらに、チャンバー110の周辺部には、基板GLの加熱乾燥効率性を高めるために、プロセスガスを含む流体を流入させる吸気口112、及びチャンバー110内の流体を排気させる排気口113を備え、チャンバー110を支持及びサポートするラグ121付きフレーム120と、ヒーター200の発熱線を接続して電流を通電させる多数のバスバー131が接続された導電部130とを含んで構成できる。
【0036】
チャンバー110の内部にはヒーター200の表面を横切る多数のラック140を備え、熱処理工程前後のガラス基板GLをのせて搬送または移積載するように構成できる。
【0037】
ところが、従来の熱処理装置100は、ガラス基板GLを効果的に搬送または移積載することができる効果的な搬送ユニットが欠如している。
【0038】
したがって、従来の熱処理装置100を運用する場合には、例えば、ガラス基板GLを投入して加熱工程を行った後、加熱処理された基板GLを搬送または移積載する作業過程でガラス基板GLに伝達される衝撃を効果的に吸収することが難しい。
【0039】
また、基板GLを搬送または移積載する過程で基板GLの表面にスクラッチが発生することがあるので、高品質のガラス基板を製造し難く、低い製造歩留まりを示しているという問題がある。
【0040】
これにより、本発明は、熱処理装置のチャンバー内部に構成されるラックを中心にボールトランスファーを配置することにより、設備追加コストを削減しながら熱処理装置からガラス基板を効果的に搬送または移積載することができる、熱処理装置の基板搬送ユニットを提示する。
【0041】
また、本発明は、熱処理装置からガラス基板を搬送または移積載する過程でガラス基板に伝達される衝撃を吸収し或いは受け流すことができるようにして、ガラス基板に対する耐スクラッチ性を確保することにより、高品質のガラス基板の製造歩留まりを得るように誘導する熱処理装置の基板搬送ユニットを提示する。
【0042】
また、本発明は、高温でも使用可能なニッケル-クロム耐熱合金鋼であるインコネル(inconel)ばねを用いてボールトランスファーを含む搬送ユニットを構成することにより、約705℃の温度で酸化せずに高温耐久性を確保することができ、弛緩に対する優れた耐性を持つようにして、高温での繰り返し使用が可能な熱処理装置の基板搬送ユニットを提示する。
【0043】
図2は本発明の一実施形態に係る熱処理装置のチャンバー、及びチャンバー内に設置された基板搬送ユニットを示す例示である。
【0044】
図3は本発明の一実施形態に係る熱処理装置の基板搬送ユニットを説明する例示である。
【0045】
本発明に係る熱処理装置100の基板搬送ユニットAは、
図2及び
図3に示すように、熱処理装置100のチャンバー110内に設置されるラック140を中心に設置して構成できる。
【0046】
その主要部分は、
図2及び
図3に示すように、ヒーター200が配置されたチャンバー110と、チャンバー110内にヒーター200の表面を横切って設置された多数のラック140とを含む熱処理装置100で構成される。
【0047】
さらに、熱処理装置の基板搬送ユニットAは、熱処理装置100のチャンバー110内に設置されるラック140の表面に沿って突出するように適所に配置され、基板GLの搬送と移積載を誘導するボールトランスファー300を含んで構成できる。
【0048】
図4は本発明の一実施形態に係る熱処理装置の基板搬送ユニットを構成するボールトランスファーを抜粋して示す例示である。
【0049】
図5は本発明の一実施形態に係る基板搬送ユニットを構成するボール転がり回転式ボールトランスファーの例示である。
【0050】
図6は本発明の一実施形態に係る基板搬送ユニットを構成するボール固定式ボールトランスファーの例示である。
【0051】
ボールトランスファー300は、
図4乃至
図6に示すように、熱処理装置100のチャンバー110内に設置されるラック140の表面垂直方向に突出し、内部にはハウジング302が形成されたヘッドブロック301で構成される。
【0052】
さらに、ボールトランスファーは、ハウジング302に収容され、基板GLを垂直方向から支えるボール330を含む。
【0053】
さらに、ボールトランスファーは、ヘッドブロック301を弾力的に支持するために、前記熱処理装置100のチャンバー110内部のラック140上にインサート方式で組み立てられるベースブロック310を含む。
【0054】
さらに、ボールトランスファーは、ヘッドブロック301とベースブロック310との間に介在し、ヘッドブロック301とベースブロック310との間を弾性変形スペースとして形成する緩衝ばね320を含んで構成できる。
【0055】
このようなボールトランスファー300を介して、熱処理装置100を用いたガラス基板GLの熱処理前後の基板GLの搬送または移積載過程でガラス基板に伝達される垂直方向の荷重W1の衝撃を緩衝ばね320を介して効果的に吸収することにより、基板に加わるダメージを最小限に抑えることができる。
【0056】
基板GLに加わる横方向荷重S1は、ボール330を介して摩擦抵抗なしにそのまま受け流すことができるようにして、ガラス基板GLに対する耐スクラッチ性を確保することができる。
【0057】
また、熱処理装置100の基板搬送ユニットAを構成するボールトランスファー300は、
図4乃至
図6に示すように、ヘッドブロック301の下端部とベースブロック310の上端部が、それぞればね320を安定的に遊動なく定着させるためにヘッドブロック301の上部とベースブロック310の下部に比べて拡張された直径または幅を持つ広幅面のフランジ部303、313で構成できる。
【0058】
また、熱処理装置100の基板搬送ユニットAを構成するボールトランスファー300は、
図4乃至
図6に示すように、ヘッドブロック301のハウジング302には、上部に積載される基板GLを支えるボール330の回転転がり運動を誘導する多数のローリングボール331をハウジング302の空きスペース内に充填して構成できる。
【0059】
このように基板GLを支えるボール330の回転転がり運動を誘導する多数のローリングボール331をヘッドブロック301のハウジング302の空きスペースに充填して構成し、その空間にメインボール330を挿入して組み立てる場合、基板GLから伝達される縦横方向の荷重W1、S1に応じてメインボール330の自体の転がり運動を誘導することができる。
【0060】
これにより、基板GLに伝達される縦横方向の荷重W1、S1に対してボール330がローリング作用で応答することができるので、基板GLに伝達される縦横方向の荷重W1、S1による摩擦抵抗を最小限に抑えて基板GLの表面スクラッチまたは摩擦によるダメージを効果的に低減することができる。
【0061】
また、熱処理装置100の基板搬送ユニットAを構成するボールトランスファー300は、
図4乃至
図6に示すように、ベースブロック310が、熱処理装置100のチャンバー110内部のラック140上に設けられる組立孔141に沿ってインサート方式で組み立てられる下部の組立ヘッド311を含んで構成できる。
【0062】
さらに、ボールトランスファーは、組立ヘッド311の下方離脱を防止するために、上部が下部に比べて拡張された面積を持つフランジ部313で構成できる。
【0063】
図7の(a)、(b)及び(c)は本発明の一実施形態に係るインコネルコイルばねを示す例示である。
【0064】
本発明に係る熱処理装置100の基板搬送ユニットAを構成するボールトランスファー300は、
図7に示すように、様々な形状と構造の緩衝ばね320が適用できる。
【0065】
好ましくは、
図7の(a)、(b)及び(c)のようなインコネルコイルばねが選択的に適用できる。
【0066】
例えば、ストレート型のコイルばね、上部に比べて下部が広い円錐形螺旋式のコイルばね、上部と下部が狭く且つ中間が広い壺型螺旋式のコイルばねの中から選択できる。
【0067】
図7の(a)は緩衝ばね320としてストレート型のコイルばねがボールトランスファーに適用できる例である。
【0068】
ストレート型のコイルばねは、上部のヘッドブロック301と下部のベースブロック310との間に弾性変形スペースを均一な力の分布で変形させることにより、ボール330を介して伝達される垂直荷重W1により歪むことなく収縮変形し、基板GLに伝達される衝撃を比較的安定的に均一な分布で吸収緩和させることができる有利な形状であり得る。
【0069】
図7の(b)は緩衝ばね320として円錐型螺旋式のコイルばねがボールトランスファーに適用できる例である。
【0070】
円錐形螺旋式のコイルばねは、上部の緩衝反応が下部に比べて敏感であって、基板GLに伝達される垂直荷重W1に迅速に応答して微細な収縮変形を誘導することができるので、基板GLに伝達される微細衝撃を吸収緩和させるのに有利な形状であり得る。
【0071】
図7の(c)は緩衝ばね320として壺型螺旋式のコイルばねがボールトランスファーに適用できる例である。
【0072】
壺型螺旋式のコイルばねは、上部と下部の緩衝が均一であって、基板GLから伝達される垂直荷重W1をばねの上部と下部で迅速に吸収緩和させ、基板GLに伝達される衝撃を中間部で分散させることにより、基板GLに伝達される微細衝撃を吸収緩和させるのに有利な形状であり得る。
【0073】
緩衝ばね320は、好ましくは、高温でも使用可能なニッケル-クロム耐熱合金鋼であるインコネル(inconel)ばねを用いて構成することが好ましい。
【0074】
インコネルばねは、ニッケルを主体として15%のクロム、6~7%の鉄、2.5%のチタン、1%以下のアルミニウム、マンガン、ケイ素を添加して製造された耐熱合金素材で製造されたばねであり得る。
【0075】
このように耐熱合金素材で製造されたインコネルばねは、耐熱性が良いので、900℃以上の熱処理装置周辺部に置かれても、酸化気流の中でも酸化せず、大気中にも浸漬されないという利点がある。
【0076】
そして、伸張、引張強さ、降伏点などの機械的性質も、600℃程度まで変化しないので、熱処理装置のチャンバー周辺部に設置することが可能な好ましい素材として選択できる。
【0077】
インコネルばねが適用されたボールトランスファーを含む搬送ユニットは、熱処理装置のチャンバー周辺部の温度である約705℃内外の温度で酸化しないので、高温耐久性を確保することができ、弛緩に対する耐性を確保することができるので、高温の熱処理装置のチャンバーに設置して交換なしに繰り返し使用することができる。
【0078】
このように、本発明に係る熱処理装置の基板搬送ユニットは、熱処理装置のラックに装着して使用することができるように熱処理装置のチャンバー内にボールトランスファーを構成することにより、比較的単純な構成を介して設備追加コストを削減しながら、熱処理装置からガラス基板を効果的に搬送または移積載することができる利点がある。
【0079】
また、本発明に係る熱処理装置の基板搬送ユニットは、熱処理装置からガラス基板を搬送または移積載する過程でガラス基板に伝達される衝撃を吸収し或いは受け流すことができるようにして、ガラス基板に対する耐スクラッチ性を確保することにより、高品質のガラス基板の製造歩留まりを得ることができるという利点がある。
【0080】
本発明は、図示された一実施形態を参照して説明されたが、実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱することなく修正及び変更して実施することができ、それらの修正と変更も本発明の技術思想に含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0081】
A 基板搬送ユニット
GL 基板(ガラス基板)
100 熱処理装置
110 チャンバー
140 ラック
141 組立孔
200 ヒーター
300 ボールトランスファー
301 ヘッドブロック
302 ハウジング
303 フランジ部
310 ベースブロック
311 組立ヘッド
320 緩衝ばね
330 ボール(メインボール)
331 ローリングボール(サブボール)