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特許7155220ドープされたニッケル酸塩化合物を含む組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】ドープされたニッケル酸塩化合物を含む組成物
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/525 20100101AFI20221011BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20221011BHJP
   H01M 10/054 20100101ALI20221011BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20221011BHJP
   C01G 53/00 20060101ALI20221011BHJP
   G02F 1/155 20060101ALI20221011BHJP
   C04B 35/01 20060101ALN20221011BHJP
【FI】
H01M4/525
H01M4/36 B
H01M4/36 E
H01M10/054
H01M4/505
C01G53/00 A
G02F1/155
C04B35/01 600
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020175395
(22)【出願日】2020-10-19
(62)【分割の表示】P 2016568825の分割
【原出願日】2015-05-20
(65)【公開番号】P2021036523
(43)【公開日】2021-03-04
【審査請求日】2020-10-19
(31)【優先権主張番号】1409163.1
(32)【優先日】2014-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514065058
【氏名又は名称】ファラディオン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】セイヤーズ,ルース
(72)【発明者】
【氏名】バーカー,ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ヒープ,リチャード
【審査官】小川 進
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/081839(WO,A1)
【文献】特開2010-129509(JP,A)
【文献】国際公開第2014/057258(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/009722(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/009710(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/009724(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0264381(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00- 4/62
H01M 10/05-10/0587
C01G 53/00-53/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合相をドープされたニッケル酸塩含有組成物を含む電極であって、
前記混合相をドープされたニッケル酸塩含有組成物は、
O3構造を有する1つ又は複数の成分を含む第1の成分タイプを、P2構造を有する1つ又は複数の成分を含む第2の成分タイプと、P3構造を有する1つ又は複数の成分を含む第3の成分タイプとから選択される1つ又は複数の成分タイプと共に含み、
加重平均式
A’’’a’’’1’’’ v’’’2’’’ w’’’3’’’ x’’’4’’’ y’’’5’’’ z’’’
ここで、
A’’’は、ナトリウムを含み、
1’’’は、酸化状態2+のニッケルであり、
2’’’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
3’’’は、マグネシウム、カルシウム、銅、及び亜鉛から選択される、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
4’’’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
5’’’は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
ここで、
0.4≦a’’’<1であり、
0<v’’’<0.5であり、
w’’’及びy’’’の少なくとも一方は、>0であり、
x’’’>0であり、
z’’’≧0であり、
a’’’、v’’’、w’’’、x’’’、y’’’、及びz’’’は、電気的中性を維持するように選択される:
によって表される、混合相をドープされたニッケル酸塩含有組成物を含む電極。
【請求項2】
前記混合相をドープされたニッケル酸塩含有組成物が、
i)P2構造及びP3構造の一方又は両方を有する成分の不連続領域と共に、O3構造を有する1つ又は複数の成分を含有する不連続領域を含む単一化合物、又は、
ii)P2構造及び/又はP3構造を有する1つ又は複数の化合物と共に、O3構造を有する1つ又は複数の化合物を含む物理的混合物、
のいずれかを含む、又は、
iii)それはi)とii)との混合物になる、請求項1に記載の電極。
【請求項3】
前記混合相をドープされたニッケル酸塩含有組成物において、M2’’’は、マンガン、チタン、及びジルコニウムから選択される1つ又は複数の金属を含み、M4’’’は、マンガン、チタン、及びジルコニウムから選択される1つ又は複数の金属を含み、M5’’’は、アルミニウム、鉄、コバルト、モリブデン、クロム、バナジウム、スカンジウム及びイットリウムから選択される1つ又は複数の金属を含む、請求項1から2のいずれか一項に記載の電極。
【請求項4】
前記混合相をドープされたニッケル酸塩含有組成物は、
O3/P2-Na0.833Ni0.317Mn0.467Mg0.100Ti0.117
O3/P2-Na0.750Ni0.296Mn0.508Mg0.079Ti0.117
O3/P2-Na0.85Ni0.4Mn0.5Mg0.025Ti0.075
O3/P2-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083
O3/P2-Na0.8Ni0.2667Mn0.2667Mg0.1333Ti0.3333
O3/P2-Na0.75Ni0.25Mn0.25Mg0.125Ti0.375
O3/P2-Na0.7Ni0.2333Mn0.2333Mg0.1167Ti0.4167
から選択される加重平均式を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の電極。
【請求項5】
応用デバイスにおける、請求項1から4のいずれか一項に記載の電極の使用。
【請求項6】
前記応用デバイスがエネルギー貯蔵デバイス、電池、再充電電池、電気化学デバイス、エレクトロクロミックデバイス及びNaイオンセルから選択される、請求項5に記載の電極の使用。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電極を含む応用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、特定のドープされたニッケル酸塩含有組成物を含む新規の電極に;エネルギー貯蔵デバイスで、例えば、電池、特に充電式電池、電気化学デバイス及びエレクトロクロミックデバイス等における、1つ又は複数のこれらの電極の使用に;及び、特定のドープされたニッケル酸塩含有組成物を含む1つ又は複数の電極を含むエネルギー貯蔵デバイスに関する。更に、本発明は、ある新規のドープされたニッケル酸塩含有組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
ナトリウムイオン電池は、多くの点で、現在一般的に使用されているリチウムイオン電池と類似している。それらは、共に、アノード(負極)、カソード(正極)、及び電解質材料を含む再使用可能な二次電池であり、両者ともエネルギーを貯蔵することができ、それらは、共に類似した反応機構により充放電する。ナトリウムイオン(又はリチウムイオン電池)を充電する場合には、Na(又はLi)イオンは、カソードから脱離して、アノード内に入る。一方で、電荷のバランスをとる電子は、カソードから充電部を含む外部回路を通り、電池のアノード内に入る。放電の間、同じプロセスが生じるが、反対方向である。
【0003】
リチウムイオン電池技術は、近年多くの関心を享受し、今日使用されるほとんどの電子デバイスに好ましいポータブル電池を提供している。しかしながら、リチウムは安価に入手できる金属ではなく、大規模用途での使用には、高価過ぎると考えられている。それとは対照的に、ナトリウムイオン電池技術は、まだ比較的その初期段階にあるが、有利であるとみられている。ナトリウムは、リチウムより格段に豊富であり、一部の研究者は、これは、将来、エネルギーを貯蔵する、より安価でより耐久性のある手段、特に大規模用途、例えば配電網のエネルギー貯蔵などを提供するであろうと予測している。けれども、ナトリウムイオン電池が商品化される前に、多くの研究が更に行われる必要がある。
【0004】
一般式AMOの金属酸化物(Aは1つ又は複数のアルカリ金属イオンを表し、Mは、1つ又は複数の金属イオンを表し、その少なくとも1つはいくつかの酸化状態であり、例えば、遷移金属である)は、いくつかの異なる層状構造で結晶化することが知られている。これは、C.Delmasらによる“Structural Classification and Properties of the Layered Oxides”、Physica 99B(1980)81-85に詳細に記載されている。要約すると、構造体は、(MOシートを形成するMOエッジ共有八面体から全て構成されている。これらのシートは、1つのシート上に別のシートが積み重ねられ、アルカリ金属原子によって分離されている。アルカリ金属の正確な位置により、金属酸化物の全体構造を八面体(O)、四面体(T)、又はプリズム(P)と表すかが決定される。六角形のシートからなる格子において、酸素原子には3つの可能な位置があり、通常、A、B、及びCと呼ばれる。O、T、及びPの環境を決めるのは、これらのシートが一緒に積層される配列である。数字2又は3は、積層に対して垂直な繰返し単位におけるアルカリ金属層の数を表すためにも使用される。例えば、ABCABC配列で層を積層する場合、O3構造が得られる。これは、繰返し単位において3つのアルカリ金属層があり、各アルカリ金属は八面体環境にあると言い換えられる。このような材料は、八面体配位にあるアルカリ金属イオンによって特徴付けられ、この構造体の代表的な化合物はAMO(x≦1)である。四面体配位のアルカリ金属イオンのABAB配列では、AMO化合物に代表されるT1の構造が得られる。ABBA配列でシートを積層することにより、P2構造が得られ、プリズムの半分がMO八面体のエッジを共有し、残りの半分は面を共有する。代表的な化合物はA≒0.7MOである。そして最後に、ABBCCA配列で積層することにより、P3構造型が得られ、全てのプリズムは、1つのMO八面体と1つの面を共有し、隣接するシートの3つのMO八面体と3つのエッジを共有する。A≒0.5MO化合物はP3構造をとることが分かっている。AMO材料中に存在するアルカリ金属の量は、金属酸化物の全体構造に直接影響することに留意されたい。
【0005】
更に、Y.J.Shinらは、Solid State Ionics 132(2000)131-141において、層状酸化物NaNix/2Ti1-x/2(式中、xは0.6≦x≦1.0の範囲である)の調製と構造特性を報告している。特に、これらの研究者は、0.72<x≦1.0の場合、菱面体(O型)が観測され、0.6≦x≦0.72の場合、六方格子(P型)が観測され、生成物が約1223K(約950℃)において固体状態プロセスで作製される場合、O型とP型の両構造が混合物として存在することを明らかにしている。
【0006】
過去10年にわたり、多数の研究者がP2又はO3構造のいずれかを有する単相金属酸化物の電気化学的特性を研究している。例えば、C.Delmasらは、P2-NaCoOの相変態及び電気化学挙動を報告しており、例えば、J.Solid State Chem.、2004、177、2790-2802、及びInorg.Chem.、2009、48、9671-9683を参照されたい。更に、Delmasらは、層状O3型物質NaVO、NaCrO、NaMnO及びNaFeOは充放電時にNaイオンを取り込むことができ、優れた比容量性能を有しているが、それにもかかわらず、著しい容量低下を生じると報告している。LuとDahnは、J.Electrochem.Soc.、2001、148、A710-715で、Na半電池においてP2-層状酸化物Na2/3[Ni1/3Mn2/3]OはNaイオンを可逆的に交換できるが、これらの酸化物化合物は、特に2.3~4.5Vの間でC/100において乏しいサイクル性能を示すことが予想されると示している。
【0007】
更に最近、Kimらは、Adv.Energy Mater.、2011、1、333-336において、単相P2リチウム置換化合物、例えばNa1.0Li0.2Ni0.25Mn0.75内のリチウムの存在は、サイクル中の構造安定性において多少の改善を提供するが、酸化還元活性を有する2価のNiの量が限られる(25%)ために、これらの化合物の可逆容量はなお低すぎることを報告している。180mAhg-1の理論値により近づくように容量を高める試みは、Kimらにより、The 17th International Meeting on Lithium Batteries June 10-14、2014 Como、Italyで発表された彼らのプレゼンテーションのアブストラクトで報告され、その試みでは、Na1-xLiNi0.5Mn0.5(Na/Li=1.0)が用いられている。この研究の過程で、Kimらは、彼らが仮説を立てている、この材料中のP2及びO3層状相の相互成長の存在が、結晶構造を安定化し、そして可逆容量の改善につながることに言及している。最高容量の結果はx=0.3の化合物であると報告されており、その化合物は、P2の割合が最も高い化合物であることとも一致している。O3積層であるx=0の材料は、最低の性能である。Y.Shirley MengとD.H.Leeによる別の最近の論文、Phys.Chem.Chem.Phys.、2013、15、3304では、P2-Na2/3[Ni1/3Mn2/3]Oは、優れたサイクリングとハイレート(high rate)性能を示すことが報告されているが、これらの結果は、その材料が4.22V未満で充電される場合にだけ達成され、4.22Vより大きい場合には、充電容量はP2からO2への相変態のためサイクリングの間維持されない。
【発明の概要】
【0008】
結論として、上述の研究された金属酸化物は、低い比充電容量又は特に充電電圧の広い範囲にわたる乏しいサイクル安定性のいずれかにより支障を生じ、結果としてNaイオンセルでのこれらの化合物の商業的用途は制限される。
【0009】
現在の研究者は、サイクリングがほとんど又は全く劣化しないことと共に、優れた比容量性能を発揮することができる特定のドープされたニッケル酸塩含有組成物を含む新規の電極を開発した。更に、本発明の電極で用いられるドープされたニッケル酸塩含有組成物が、典型的にP2からO2へのそれらの相変態となる電圧条件下でこれらの優れた結果を達成することが見出された。これは、先行技術に記載された電極に使用された化合物に対する大幅な改善である。したがって、本発明は、充電容量の著しい損失なしに複数回再充電することができる電極を提供するために使用し得る。有利なことに、これらの電極は、電池、特に二次電池、電気化学デバイス、及びエレクトロクロミックデバイスに使用し得る。
【0010】
したがって、本発明は、
一般式

(式中
Aは、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
は、酸化状態2+のニッケルであり、
は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中、
0.85≦a≦1、好ましくは0.90≦a≦1、更に好ましくは0.95≦a≦1であり、
0<v<0.5、好ましくは0<v≦0.45、理想的には0<v≦0.333であり、
w及びyの少なくとも一方は、>0であり、
x≧0、好ましくはx>0であり、
z≧0であり、
式中、a、v、w、x、y及びzは、電気的中性を維持するように選択される)のO3構造を有する1つ又は複数の成分を含む第1の成分タイプを、
一般式
A’a’1’ v’2’ w’3’ x’4’ y’5’ z’
(式中、
A’は、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
1’は、酸化状態2+のニッケルであり、
2’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
3’は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
4’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
5’は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中、
0.4≦a’<1、好ましくは0.5≦a’<0.85、更に好ましくは0.6≦a’≦0.7であり、
0<v’<0.5、好ましくは0<v’≦0.45、理想的には0<v’≦0.333であり、
w’及びy’の少なくとも一方は、>0であり、
x’≧0、好ましくはx’>0であり
z’≧0であり、
式中、a’、v’、w’、x’、y’及びz’は、電気的中性を維持するように選択される)のP2構造を有する1つ又は複数の成分を含む第2の成分タイプと、
一般式
A’’a’’1’’ v’’2’’ w’’3’’ x’’4’’ y’’M5’’ z’’
(式中、
A’’は、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
1’’は、酸化状態2+のニッケルであり、
2’’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
3’’は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
4’’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
5’’は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中
0.4≦a’’<1、好ましくは0.5≦a’’<0.85、更に好ましくは0.6≦a’’≦0.7であり、
0<v’’<0.5、好ましくは0<v’’≦0.45、理想的には0<v’’≦0.333であり、
w’’及びy’’の少なくとも一方は、>0であり、
x’’≧0、好ましくはx’’>0であり、
z’’≧0であり、
式中、a’’、v’’、w’’、x’’、y’’、及びz’’は、電気的中性を維持するように選択される)のP3構造を有する1つ又は複数の成分を含む第3の成分タイプと
から選択される1つ又は複数の成分タイプと共に、
含む、ドープされたニッケル酸塩含有組成物を含む電極を提供する。
【0011】
好ましくは、アルカリ金属A及び/又はA’及び/又はA’’は、ナトリウム又はナトリウムを主成分とする混合アルカリ金属のいずれかから選択される。
【0012】
好ましい電極は、以下を含むドープされたニッケル酸塩含有組成物を含む。
一般式

(式中、
Aは、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
は、酸化状態2+のニッケルであり、
は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中、
0.95≦a≦1であり、
0.3≦v≦0.333であり、
w及びyの少なくとも一方は、>0であり、
x>0、
z≧0であり、
式中、a、v、w、x、y及びzは、電気的中性を維持するように選択される)のO3構造を有する1つ又は複数の成分を含む第1の成分タイプ、
及び、
一般式
A’a’1’ v’2’ w’3’ x’4’ y’5’ z’
(式中、
A’は、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
1’は、酸化状態2+のニッケルであり、
2’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
3’は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
4’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
5’は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中、
0.6<a’<0.85、
0.25<v’≦0.333、
w’及びy’の少なくとも一方は、>0であり、
x’>0、
z≧0であり、
式中、a’、v’、w’、x’、y’、及びz’は、電気的中性を維持するように選択される)のP2構造を有する1つ又は複数の成分を含む第2の成分タイプ。
【0013】
好ましいO3構造を有する第1の成分は、
Na1-σNi(1-σ)/3Mn1-σ)/3Mg(1/6)-(1/6)σTi(1/6)+(5/6)σ(式中、0≦σ≦0.15であり、
好ましくは、0.001≦σ≦0.05である)、
Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083、および
NaNi0.33Mn0.33Mg0.167Ti0.167
を含む。
【0014】
好ましいP2構造を有する第2の成分は、
Na0.67Ni0.33Mn0.67
Na0.67Ni0.3Mn0.6Mg0.033Ti0.067
Na0.67Ni0.267Mn0.533Mg0.067Ti0.133
Na0.67Ni0.25Mg0.083Mn0.667
Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.1
Na0.67Ni0.25Mn0.667Mg0.083
を含む。
【0015】
好ましいP3構造を有する第3の成分は、
Na0.667Ni0.25Mn0.65Mg0.0835Ti0.0165
Na0.6Ni0.28Mn0.6530Mg0.02Ti0.047
Na0.7Ni0.32Mn0.594Mg0.03Ti0.056
Na0.667Ni0.25Mn0.5Mg0.0835Ti0.1165
を含むことが好ましい。
【0016】
金属M及びMは、酸化状態4+である同じ金属又は異なる金属であってもよい。更に、M及びMは、互いに交換可能である。M=Mの場合は、O3構造を有する1つ又は複数の成分を含む第1の成分タイプは、

又は、
w+y
又は、
y+w
のいずれかのように表されることができ、
これらの式の形態の全ては同等とみなされるべきである。
【0017】
P2構造を有する1つ又は複数の成分を含む第2の成分タイプにおけるM2’及びM4’についても同様であり、また、P3構造を有する1つ又は複数の成分を含む第3の成分タイプにおけるM2’’及びM4’’についても同様である。
【0018】
好ましくは、本発明の電極に用いられるドープされたニッケル酸塩含有組成物の第1、第2、及び第3の成分タイプの1つにおける成分の少なくとも1つは、選択されたアルカリ金属としてナトリウムのみを含む。
【0019】
また、本発明の更に好ましい電極では、ドープされたニッケル酸塩含有組成物中のM、M2’及びM2’’の各々は、マンガン、チタン及びジルコニウムから選択される酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、M、M3’及びM3’’の各々は、マグネシウム、カルシウム、銅、亜鉛及びコバルトから選択される酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、M、M4’及びM4’’の各々は、マンガン、チタン及びジルコニウムから選択される酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、M、M5’及びM5’’の各々は、アルミニウム、鉄、コバルト、モリブデン、クロム、バナジウム、スカンジウム及びイットリウムから選択される酸化状態+3の1つ又は複数の金属を含む。
【0020】
本発明の電極に使用されるドープされたニッケル酸塩含有組成物中の、第1の成分タイプ(O3):第2の成分タイプ(P2):第3の成分タイプ(P3)の間に可能な連続する比があり、これは、第1、第2、及び第3の成分タイプの選択に応じて変動するであろう。実際には、選択される比は、必要な優れた比容量とサイクル性能を提供するために、実験によって見出されたものである。適切な比の例は、
1(O3):1(P2):0(P3)、
1(O3):3(P2):0(P3)、
3(O3):1(P2):0(P3)、
1(O3):1(P2):1(P3)
を含む。
【0021】
本発明の電極に用いられるドープされたニッケル酸塩含有組成物は、一般式

(式中、
Aは、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
は、酸化状態2+のニッケルであり、
は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中、
0.85≦a≦1、好ましくは0.90≦a≦1、更に好ましくは0.95<a≦1であり、
0<v<0.5、更に好ましくは0<v≦0.45、理想的には0<v≦0.333であり、
w及びyの少なくとも一方は、>0であり、
x≧0、好ましくはx>0であり、
z≧0であり、
式中、a、v、w、x、y及びzは、電気的中性を維持するように選択される)のO3構造を有する1つ又は複数の成分を含む第1の成分タイプを、
一般式
a’1’ v’2’ w’3’ x’4’ y’5’ z’
(式中、
A’は、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
1’は、酸化状態2+のニッケルであり、
2’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
3’は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
4’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
5’は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中、
0.4≦a’<1、好ましくは0.5≦a’<0.85、更に好ましくは0.6≦a’≦0.7であり、
0<v’<0.5、好ましくは0<v’≦0.45、理想的には0<v’≦0.333であり、
w’及びy’の少なくとも一方は、>0であり、
x’≧0、好ましくはx’>0であり
z’≧0であり、
式中、a’、v’、w’、x’、y’、及びz’は、電気的中性を維持するように選択される)のP2構造を有する1つ又は複数の成分を含む第2の成分タイプと、
一般式
A’’a’’1’’ v’’2’’ w’’3’’ x’’4’’ y’’5’’ z’’
(式中、
A’’は、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
1’’は、酸化状態2+のニッケルであり、
2’’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
3’’は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
4’’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
5’’は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中
0.4≦a’’<1、好ましくは0.5≦a’’<0.85、更に好ましくは0.6≦a’’≦0.7であり、
0<v’’<0.5、好ましくは0<v’’≦0.45、理想的には0<v’’≦0.333であり、
w’’及びy’’の少なくとも一方は、>0であり、
x’’≧0、好ましくはx’’>0であり、
z’’≧0であり、
式中、a’’、v’’、w’’、x’’、y’’、及びz’’は、電気的中性を維持するように選択される)のP3構造を有する1つ又は複数の成分を含む第3の成分タイプと
から選択される1つ又は複数の成分タイプと共に、
混合することにより調製することができる。
【0022】
上記の方法は、第1、第2、第3の成分タイプを構成する個々の成分(この場合は個別の化合物である)の物理的混合物を含む、ドープされたニッケル酸塩含有組成物を生成する。個別の化合物は、あらゆる簡便な方法、例えば、500~1200℃での固体状態での方法を用いて調製される。適切な方法はまた、PCT/GB2013/051821、PCT/GB2013/051822、PCT/2013/051808、PCT/GB2013/051824、及びPCT/GB2013/052620に記載されている。
【0023】
第1、第2、及び第3の成分タイプの成分を、あらゆる公知の方法を用いて混合することができる。しかし、好ましくは、混合は、例えば、乳棒と乳鉢、マイクロナイザー又はミキサーミルを用いて、固体状態で混合することによって行う。分散剤(低沸点材料など、例えばアセトン)の使用は、この分散剤を少なくとも実質的に合成前に、即ち加熱ステップの前に除去しなければならないが、混合工程を支援するのに有用であることがわかっている。第1の成分タイプの成分と、第2及び第3の成分タイプの一方又は両方の成分とを一緒に、十分に混合することを確実にすることは、特に有利である。電極スラリーを作製する工程の間に、第1の成分タイプの成分を、第2及び第3の成分タイプの一方又は両方の成分と混合することも可能である。
【0024】
別の方法において、本発明の電極に用いられるドープされたニッケル酸塩含有組成物は、第1の成分タイプの成分の前駆体物質を、第2及び第3の成分タイプの第2及び第3の成分の一方又は両方の前駆体物質と、一緒に反応させることによりそれぞれ直接合成され、第1、第2、及び第3の成分タイプの成分が化合物中に存在する単一の化合物が得られる。そのような単一の化合物は、上記で定義したP2構造を有する1つ又は複数の成分を含む第2の成分タイプと上記で定義したP3構造を有する1つ又は複数の成分を含む第3の成分タイプとの一方又は両方と共に、上記で定義したO3構造を有する1つ又は複数の成分を含む第1の成分タイプでできたその構造内に不連続の領域を含み得る(Such a single compound,may comprise discrete regions within its structure of the first component-type comprising one or more components with an O3 structure as defined above,together with one or both of a second component-type comprising one or more components with a P2 structure as defined above and a third component-type comprising one or more components with a P3 structure as defined above)。所望の組成物のために必要に応じて、第1、第2、及び第3の成分タイプの1つ又は複数を予め作製し、その後、残りの第1、第2、及び第3の成分タイプの前駆体物質と混合することも可能である。
【0025】
したがって、第2の側面において、本発明は、一般式

(式中、
Aは、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
は、酸化状態2+のニッケルであり、
は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中
0.85≦a≦1、好ましくは0.90≦a≦1、更に好ましくは0.95<a≦1であり、
0<v<0.5、更に好ましくは0<v≦0.45、理想的には0<v≦0.333であり、
w及びyの少なくとも一方は、>0であり、
x≧0、好ましくはx>0であり、
z≧0、
式中、a、v、w、x、y及びzは、電気的中性を維持するように選択される)のO3構造を有する1つ又は複数の成分のいずれか、及び/又は、O3構造を有する1つ又は複数の成分を調製するための前駆体物質を含む第1の成分タイプを、
一般式
a’1’ v’2’ w’3’ x’4’ y’5’ z’
(式中、
は、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
1’は、酸化状態2+のニッケルであり、
2’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
3’は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
4’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
5’は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中、
0.4≦a’<1、好ましくは0.5≦a’<0.85、更に好ましくは0.6≦a’≦0.7であり、
0<v’<0.5、好ましくは0<v’≦0.45、理想的には0<v’≦0.333であり、
w’及びy’の少なくとも一方は、>0であり、
x’≧0、好ましくはx’>0であり
z’≧0であり、
式中、a’、v’、w’、x’、y’及びz’は、電気的中性を維持するように選択される)のP2構造を有する1つ又は複数の成分のいずれか、及び/又は、P2構造を有する1つ又は複数の成分を調製するための前駆体物質を含む第2の成分タイプと、
一般式
A’’a’’1’’ v’’2’’ w’’3’’ x’’4’’ y’’5’’ z’’
(式中、
A’’は、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
1’’は、酸化状態2+のニッケルであり、
2’’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
3’’は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
4’’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
5’’は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中、0.4≦a’’<1、好ましくは0.5≦a’’<0.85、更に好ましくは0.6≦a’’≦0.7であり、
0<v’’<0.5、好ましくは0<v’’≦0.45、理想的には0<v’≦0.333であり、
w’’及びy’’の少なくとも一方は、>0であり、
x’’≧0、好ましくはx’’>0であり
z’’≧0であり、
式中、a’’、v’’、w’’、x’’、y’’及びz’’は、電気的中性を維持するように選択される)のP3構造を有する1つ又は複数の成分のいずれか、及び/又は、P3構造を有する1つ又は複数の成分を調製するための前駆体物質を含む第3の成分タイプと
から選択される1つ又は複数の成分タイプと共に、
化学的及び/又は物理的に混合することを含む、ドープされたニッケル酸塩含有組成物を製造するための方法を提供する。
【0026】
本発明の電極に用いられるドープされたニッケル酸塩含有組成物は、便宜的には、1つ又は複数の第2及び第3の成分タイプと共に、第1の成分タイプの加重平均を使用する式によって表される。例えば、O3化合物を含む第1の成分タイプ、例えばO3-NaNi0.33Mn0.33Mg0.167Ti0.167、及びP2化合物を含む第2の成分タイプ、例えばP2-Na0.67Ni0.300Mn0.600Mg0.033Ti0.067を有するドープされたニッケル酸塩含有組成物(O3:P2は1:1の比である)は、次の加重平均の式Na0.833Ni0.317Mn0.467Mg0.100Ti0.117で表すことができる。
【0027】
ドープされたニッケル酸塩含有組成物が、化学的混合によって作製される場合、第1、第2、及び第3の成分タイプの各々の成分の正確な構造は、実際には、O3相、P2相及びP3相の最も熱力学的に安定な構造がどれであるかによって決定され、これは、用いる前駆体物質の比に基づいている可能性が高いことは、注目に値する。したがって、上記の例では、O3相及びP2相は、それぞれNa1-εNi0.33±εMn0.33±εMg0.167±εTi0.167±ε及びNa0.67±εNi0.300±εMn0.600±εMg0.033±εTi0.067±ε(式中、εは未知数を指す)によって表すことができる。
【0028】
第3の側面において、本発明は、P2構造を有する1つ又は複数の成分を含む第2の成分タイプと、P3構造を有する1つ又は複数の成分を含む第3の成分タイプとから選択される1つ又は複数の成分タイプと共に、O3構造を有する1つ又は複数の成分を含む第1の成分タイプを含み、一般式
A’’’a’’’1’’’ v’’’2’’’ w’’’3’’’ x’’’4’’’ y’’’5’’’ z’’’
(式中、
A’’’は、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
’’’は、酸化状態2+のニッケルであり、
’’’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
’’’は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
’’’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
’’’は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中、
0.4≦a’’’<1、好ましくは0.5≦a’’’≦0.95、更に好ましくは0.6≦a’’’≦0.9、及び理想的には0.7≦a’’’≦0.9であり、
0<v’’’<0.5、更に好ましくは0<v’’’≦0.45、理想的には、0<v’’’≦0.333、或いは0.2≦v’’’≦0.333であり、
w’’’及びy’’’の少なくとも一方は>0であり、
x’’’≧0、好ましくはx’’’>0であり、
z’’’≧0であり、
a’’’、v’’’、w’’’、x’’’、y’’’、及びz’’’は、電気的中性を維持するように選択される)で表される加重平均式を有する、ドープされたニッケル酸塩含有組成物を含む、電極を提供する。
【0029】
A’’’は、A、A’及びA’’について上記で定義したものと同じである。M1’’’は、M、M1’及びM1’’について上記で定義したものと同じである。M2’’’は、M、M2’及びM2’’について上記で定義したものと同じである。M3’’’は、M、M3’及びM3’’について上記で定義したものと同じである。M4’’’は、M、M4’及びM4’’について上記で定義したものと同じである。M5’’’は、M、M5’及びM5’’について上記で定義したものと同じである。
【0030】
本発明の電極に用いられる好ましいドープされたニッケル酸塩含有組成物は、以下の加重平均式によって表される。
O3/P2-Na0.833Ni0.317Mn0.467Mg0.100Ti0.117
O3/P2-Na0.750Ni0.296Mn0.508Mg0.079Ti0.117
O3/P2-Na0.85Ni0.4Mn0.5Mg0.025Ti0.075
O3/P2-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083
O3/P2-Na0.8Ni0.2667Mn0.2667Mg0.1333Ti0.3333
O3/P2-Na0.75Ni0.25Mn0.25Mg0.125Ti0.375、及び
O3/P2-Na0.7Ni0.2333Mn0.2333Mg0.1167Ti0.4167
【0031】
本発明の電極は、エネルギー貯蔵デバイス、例えば電池、二次電池、電気化学デバイス及びエレクトロクロミックデバイス等において、広く使用され得るナトリウムイオン電池、及び/又はリチウムイオン電池、及び/又はカリウムイオン電池を含む多くの異なる用途に使用するのに適している。好ましくは、本発明の電極は、対向電極及び1つ又は複数の電解質材料と組み合わせて使用してもよい。電解質材料は、あらゆる従来の又は既知の材料であってもよく、及び水性電解質又は非水電解質のいずれかを含んでもよい。
【0032】
有利には、本発明の電極はカソード電極である。
【0033】
第4の側面において、本発明は、エネルギー貯蔵デバイス、例えば電池、二次電池、電気化学デバイス及びエレクトロクロミックデバイス等において、上述のドープされたニッケル酸塩含有組成物を含む電極の使用を提供する。
【0034】
第5の側面において、本発明は、上述のドープされたニッケル酸塩含有組成物を含む電極を含む、エネルギー貯蔵デバイス、例えば電池、二次電池、電気化学デバイス及びエレクトロクロミックデバイス等を提供する。
【0035】
第6の側面において、本発明は、
一般式

(式中
Aは、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
は、酸化状態2+のニッケルであり、
は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中、
0.85≦a≦1、好ましくは0.90≦a≦1、更に好ましくは0.95≦a≦1であり、
0<v<0.5、好ましくは0<v≦0.333であり、
w及びyの少なくとも一方は、>0であり、
x≧0であり、
z≧0であり、
式中、a、v、w、x、y及びzは、電気的中性を維持するように選択される)のO3構造を有する1つ又は複数の成分を含む第1の成分タイプと、
一般式
A’a’1’ v’2’ w’3’ x’4’ y’5’ z’
(式中、
A’は、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
1’は、酸化状態2+のニッケルであり、
2’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
3’は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
4’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
5’は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中、
0.4≦a’<1、好ましくは0.5≦a’<0.85、更に好ましくは0.6≦a’≦0.7であり、
0<v’<0.5、好ましくは0<v’≦0.45、理想的には0<v’≦0.333であり、
w’及びy’の少なくとも一方は、>0であり、
x’≧0、好ましくはx’>0であり
z’≧0であり、
式中、a’、v’、w’、x’、y’、及びz’は、電気的中性を維持するように選択される)のP2構造を有する1つ又は複数の成分を含む第2の成分タイプと、
一般式
A’’a’’1’’ v’’2’’ w’’3’’ x’’4’’ y’’5’’ z’’
(式中、
A’’は、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
1’’は、酸化状態2+のニッケルであり、
2’’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
3’’は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
4’’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
5’’は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中
0.4≦a’’<1、好ましくは0.5≦a’’<0.85、更に好ましくは0.6≦a’’≦0.7であり、
0<v’’<0.5、好ましくは0<v’’≦0.45、理想的には0<v’’≦0.333であり、
w’’及びy’’の少なくとも一方は、>0であり、
x’’≧0であり、
z’’≧0であり、
式中、a’’、v’’、w’’、x’’、y’’、及びz’’は、電気的中性を維持するように選択される)のP3構造を有する1つ又は複数の成分を含む第3の成分タイプと
から選択される1つ又は複数の成分タイプを含む、ドープされたニッケル酸塩含有組成物を提供する。
【0036】
本発明の好ましいドープされたニッケル酸塩含有組成物において、x、x’及びx’’の少なくとも1つは、>0である。
【0037】
本発明の第6の側面によるドープされたニッケル酸塩含有組成物は、加重平均式
A’’’a’’’1’’’ v’’’2’’’ w’’’3’’’ x’’’4’’’ y’’’5’’’ z’’’
(式中、
A’’’は、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
’’’は、酸化状態2+のニッケルであり、
’’’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
’’’は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
’’’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
’’’は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中、
0.4≦a’’’<1、好ましくは0.5≦a’’’≦0.95、更に好ましくは0.6≦a’’’≦0.9、及び理想的には0.7≦a’’’≦0.9であり、
0<v’’’<0.5、更に好ましくは0<v’’’≦0.45、理想的には、0<v’’’≦0.333、或いは0.2≦v’’’≦0.333であり、
w’’’及びy’’’の少なくとも一方は>0であり、
x’’’≧0、好ましくはx’’’>0であり、
z’’’≧0であり、
式中、a’’’、v’’’、w’’’、x’’’、y’’’、及びz’’’は、電気的中性を維持するように選択される)
で表すことができる。
【0038】
A、A’、A’’、A’’’、M、M1’、M1’’、M1’’’、M、M2’、M2’’、M2’’’、M、M3’、M3’’、M3’’’、M、M4’、M4’’、M4’’’、M、M5’、M5’’、及びM5’’’の全ては、本発明の電極に用いられるドープされたニッケル酸塩含有組成物に関して、上記で定義した通りである。上記の説明から分かるように、本発明の第6の側面の組成物は、i)P2構造及びP3構造の一方又は両方を有する成分の不連続領域と共に、O3構造を有する1つ又は複数の成分を含有する不連続領域を含む単一化合物、又は、ii)P2構造及び/又はP3構造を有する1つ又は複数の化合物と共に、O3構造を有する1つ又は複数の化合物を含む物理的混合物、又は、iii)i)とii)との混合物のいずれかである。
【0039】
本発明の第6の側面によるドープされたニッケル酸塩含有組成物は、エネルギー貯蔵デバイス、例えば電池、二次電池、電気化学デバイス及びエレクトロクロミックデバイス等に使用し得る。このようなエネルギー貯蔵デバイスにおける電極での使用が好ましい。
【0040】
本発明の第6の側面による最も好ましいドープされたニッケル酸塩含有組成物は、
O3/P2-Na0.833Ni0.317Mn0.467Mg0.100Ti0.117
O3/P2-Na0.750Ni0.296Mn0.508Mg0.079Ti0.117
O3/P2-Na0.85Ni0.4Mn0.5Mg0.025Ti0.075
O3/P2-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083
O3/P2-Na0.8Ni0.2667Mn0.2667Mg0.1333Ti0.3333
O3/P2-Na0.75Ni0.25Mn0.25Mg0.125Ti0.375
O3/P2-Na0.7Ni0.2333Mn0.2333Mg0.1167Ti0.4167
から選択される。
【0041】
第6の側面によるドープされたニッケル酸塩含有組成物を、上述の手順に従って調製し得る。
【0042】
ドープされたニッケル酸塩含有組成物を作製する場合には、イオン交換法を用いて、ナトリウムイオン誘導体を、混合リチウムイオン/ナトリウムイオン材料へ変換することが可能である。
【0043】
NaからLiイオンへの変換を達成する典型的な方法は、
1.ナトリウムイオン材料を、リチウム含有材料、例えばLiNOと混合し、LiNOの融点(264℃)を超えるまで加熱し、冷却し、洗浄して過剰のLiNO及び副反応生成物を除去するステップ、
2.Naイオン材料を、リチウム塩の水溶液、例えば水中の1MのLiClで処理するステップ、及び、
3.Naイオン材料を、リチウム塩の非水溶液、例えば、ヘキサノール、プロパノールなどの1つ又は複数の脂肪族アルコール中のLiBrで処理するステップ
を含む。
【0044】
図面の簡単な説明
ここで、本発明を、以下の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1A図1(A)は、例1で用いられる公知の化合物P2-Na0.67Ni0.33Mn0.67(比較材料)のXRDプロファイルである。
図1B図1(B)は、ハードカーボン//Na0.67Ni0.33Mn0.67セルの、最初の4回の充電/放電サイクルのセル電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図1C図1(C)は、プロピレンカーボネート(PC)による0.5M NaClO中の、30℃、1.0~4.2Vの電圧範囲における、ハードカーボン(Carbotron P(J)、クレハ)及びP2-Na0.67Ni0.33Mn0.67、及びセパレータとして用いられるガラスフィルターペーパー(GF/A)を含むフルNaイオンセル(full Na-ion Cell)の、定電流サイクル(CC/CV)を示す。
図2A図2(A)は、例2で用いられる化合物P2-Na0.67Ni0.3Mn0.6Mg0.033Ti0.067(比較材料)のXRDプロファイルである。
図2B図2(B)は、ハードカーボン//P2-Na0.67Ni0.30Mn0.60Mg0.033Ti0.067 セルの、最初の4回の充電/放電サイクルのセル電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図2C図2(C)は、0.5M NaClOプロピレンカーボネート(PC)中の、30℃、1.0~4.2Vの電圧範囲における、ハードカーボン(Carbotron P(J)、クレハ)及びP2-Na0.67Ni0.3Mn0.6Mg0.033Ti0.067及びGF/Aを含むフルNaイオンセルの、定電流サイクル(CC/CV)を示す。
図3A図3(A)は、例3で用いられる化合物P2-Na0.67Ni0.267Mn0.533Mg0.067Ti0.133(比較材料)のXRDプロファイルである。
図3B図3(B)は、ハードカーボン//P2-Na0.67Ni0.267Mn0.533Mg0.067Ti0.133 セルの、最初の4回の充電/放電サイクルのセル電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図3C図3(C)は、0.5M NaClOプロピレンカーボネート(PC)中の、30℃、1.0~4.2Vの電圧範囲における、ハードカーボン(Carbotron P(J)、クレハ)及びP2-Na0.67Ni0.267Mn0.533Mg0.067Ti0.133及びGF/Aを含むフルNaイオンセルの、定電流サイクル(CC/CV)を示す。
図4A図4(A)は、例4で用いられる化合物P2-Na0.67Ni0.25Mn0.667Mg0.083(比較材料)のXRDプロファイルである。
図4B図4(B)は、ハードカーボン//P2-Na0.67Ni0.25Mn0.667Mg0.083 セルの、最初の4回の充電/放電サイクルのセル電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図4C図4(C)は、0.5M NaClOプロピレンカーボネート(PC)中の、30℃、1.0~4.2Vの電圧範囲における、ハードカーボン(Carbotron P(J)、クレハ)及びP2-Na0.67Ni0.25Mn0.667Mg0.083及びGF/Aを含むフルNaイオンセルの、定電流サイクル(CC/CV)を示す。
図5A図5(A)は、例5で用いられる化合物P2-Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.1(比較材料)のXRDプロファイルである。
図5B図5(B)は、ハードカーボン//P2-Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.10 セルの、最初の4回の充電/放電サイクルのセル電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図5C図5(C)は、0.5M NaClOプロピレンカーボネート(PC)中の、30℃、1.0~4.2Vの電圧範囲における、ハードカーボン(Carbotron P(J)、クレハ)及びP2-Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.1及びGF/Aを含むフルNaイオンセルの、定電流サイクル(CC/CV)を示す。
図6A図6(A)は、例6で使用される材料O3-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1563Ti0.2083(比較材料)のXRDプロファイルである。
図6B図6(B)は、ハードカーボン//O3-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083 セルの、最初の4回の充電/放電サイクルのセル電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図6C図6(C)は、0.5M NaClOプロピレンカーボネート(PC)中の、30℃、1.0~4.2Vの電圧範囲における、ハードカーボン(Carbotron P(J)、クレハ)及びO3-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1563Ti0.2083及びGF/Aを含むフルNaイオンセルの、定電流サイクル(CC/CV)を示す。
図7A図7(A)は、ハードカーボン//(75質量% P2-Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.10及び25質量% O3-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083)セルの、最初の4回の充電/放電サイクルのセル電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図7B図7(B)は、例7で使用されるとおりの、0.5M NaClOプロピレンカーボネート(PC)中の、30℃、1.0~4.2Vの電圧範囲における、ハードカーボン(Carbotron P(J)、クレハ)、及びP2-Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.1(75%)とO3-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1563Ti0.2083(25%)の物理的混合物を含む本発明のドープされたニッケル酸塩含有組成物及びGF/Aを含むフルNaイオンセルの、定電流サイクル特性(CC/CV)を示す。
図8A図8(A)は、ハードカーボン//(50質量% P2-Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.10及び50質量% O3-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083)セルの、最初の4回の充電/放電サイクルのセル電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図8B図8(B)は、例8で使用されるとおりの、0.5M NaClOプロピレンカーボネート(PC)中の、30℃、1.0~4.2Vの電圧範囲における、ハードカーボン(Carbotron P(J)、クレハ)、及びP2-Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.1(50%)とO3-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1563Ti0.2083(50%)の物理的混合物を含む本発明のドープされたニッケル酸塩含有組成物及びGF/Aを含むフルNaイオンセルの、定電流サイクル(CC/CV)を示す。
図9A図9(A)は、例9で使用されるとおりの加重平均式:O3/P2-Na0.833Ni0.317Mn0.467Mg0.1Ti0.117を有する本発明のドープされたニッケル酸塩含有組成物のXRDプロファイルである。
図9B図9(B)は、ハードカーボン//混合相O3/P2-Na0.833Ni0.317Mn0.467Mg0.100Ti0.117セルの、最初の4回の充電/放電サイクルのセル電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図9C図9(C)は、0.5M NaClOプロピレンカーボネート(PC)中の、30℃、1.0~4.2Vの電圧範囲における、ハードカーボン(Carbotron P(J)、クレハ)、及び加重平均式:O3/P2-Na0.833Ni0.317Mn0.467Mg0.1Ti0.117を有する本発明のドープされたニッケル酸塩含有組成物及びGF/Aを含むフルNaイオンセルの、定電流サイクル(CC/CV)を示す。
図10A図10(A)は、例10で使用されるとおりの加重平均式:O3/P2-Na0.753Ni0.296Mn0.509Mg0.079Ti0.117を有する本発明のドープされたニッケル酸塩含有組成物のXRDプロファイルである。
図10B図10(B)は、ハードカーボン//混合相O3/P2-Na0.753Ni0.296Mn0.509Mg0.079Ti0.117セルの、最初の4回の充電/放電サイクルのセル電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図10C図10(C)は、0.5M NaClOプロピレンカーボネート(PC)中の、30℃、1.0~4.2Vの電圧範囲における、ハードカーボン(Carbotron P(J)、クレハ)、及び加重平均式:O3/P2-Na0.75Ni0.296Mn0.508Mg0.079Ti0.117を有する本発明のドープされたニッケル酸塩含有組成物及びGF/Aを含むフルNaイオンセルの、定電流サイクル(CC/CV)を示す。
図11A図11(A)は、例11で使用されるとおりの加重平均式:O3/P2-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083を有する本発明のドープされたニッケル酸塩含有組成物のXRDプロファイルである。
図11B図11(B)は、ハードカーボン//混合相O3/P2-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083セルの、最初の4回の充電/放電サイクルのセル電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図11C図11(C)は、0.5M NaClOプロピレンカーボネート(PC)中の、30℃、1.0~4.2Vの電圧範囲における、ハードカーボン(Carbotron P(J)、クレハ)、及び加重平均式:O3/P2-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083を有する本発明のドープされたニッケル酸塩含有組成物及びGF/Aを含むフルNaイオンセルの、定電流サイクル特性(CC/CV)を示す。
図12A図12(A)は、例12で使用されるとおりの加重平均式:O3/P2-Na0.75Ni0.296Mn0.508Mg0.079Ti0.117を有する本発明のドープされたニッケル酸塩含有組成物のXRDプロファイルである。
図12B図12(B)は、ハードカーボン//混合相O3/P2-Na0.75Ni0.296Mn0.508Mg0.079Ti0.117セルの、4回の充電/放電サイクルのセル電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。
図12C図12(C)は、0.5M NaClOプロピレンカーボネート(PC)中の、30℃、1.0~4.2Vの電圧範囲における、ハードカーボン(Carbotron P(J)、クレハ)、及び加重平均式:O3/P2-Na0.75Ni0.296Mn0.508Mg0.079Ti0.117を有する本発明のドープされたニッケル酸塩含有組成物及びGF/Aを含むフルNaイオンセルの、定電流サイクル(CC/CV)を示す。
図13図13は、加重平均式P3/P2-Na0.666Ni0.3Mn0.6Mg0.033Ti0.067(試料番号S0842)のX線回折パターンを示す。
図14図14は、加重平均式P3/P2-Na0.6667Ni0.2500Mn0.5833Mg0.0833Ti0.0833(試料番号S1430A)のX線回折パターンを示す。
図15図15は、加重平均式O3/P2/P3-Na0.8292Ni0.2886Mn0.4622Mg0.126Ti0.1233(試料番号S1458B)のX線回折パターンを示す。
図16図16は、加重平均式O3/P2/P3-Na0.8188Ni0.2860Mn0.4561Mg0.1234Ti0.1346(試料番号S1459B)のX線回折パターンを示す。
【0046】
詳細な説明
本発明のドープされたニッケル含有組成物を作製するために、あらゆる簡便な方法を使用することができ、上述のように、1つ又は複数の第1、第2、及び第3の成分タイプの1つ又は複数の既成の成分間の化学反応を用いて、それらを直接調製することができる。或いは、第1、第2、及び第3の成分タイプの1つ又は複数の成分の前駆体を、一緒に反応させることができる。或いは更に、第1、第2、及び第3の成分タイプの1つ又は複数の既成の成分の組み合わせを、1つ又は複数のそれぞれの成分の前駆体と共に、使用しても良い。
【0047】
簡便な化学反応は、以下の一般的な方法を使用し得る。
一般的な方法:
1)出発物質(これらは1つ若しくは複数の第1、第2、及び第3の成分タイプの1つ若しくは複数の成分の前駆体、又はそれらの既製の成分、又は前駆体と既成の成分とのあらゆる組み合わせ)を正確な化学量論比で一緒に十分に混合し、加圧してペレットにする。
2)得られた混合物を、炉内で、例えば、周囲空気、窒素又は不活性雰囲気(例えば、アルゴン)を含む(ガスが流れることができる)適切な雰囲気下で、例えば400℃~1500℃の間の炉温度で、反応生成物が生成されるまで加熱する。
3)生成物を冷却し、任意に粉末に粉砕する。
【0048】
或いは、ドープされたニッケル酸塩含有組成物は、第1、第2、及び第3の成分タイプの間の化学反応によらず、上記の第1、第2、及び第3の成分タイプの成分(即ち、既製の成分)を物理的に混合することにより、作製し得る。個々の成分の各々は、上記の一般的方法を用いて予め作製され、混合することによってステップ2)又はステップ3)から作製されたとおりに直接用いて、本発明の電極に用いられるドープされたニッケル酸塩含有組成物を生成し得る。
【0049】
以下の表1は、ドープされたニッケル酸塩含有組成物を調製するために使用される出発物質及び加熱条件をリスト化する。
【0050】
【表1】




【0051】
XRDを使用する生成物分析
所望の目的のドープされたニッケル酸塩含有組成物が調製されたことを確認し、生成物材料の相純度を確定し、及び存在する不純物のタイプを決定するために、Siemens D5000粉末回折計を用いて、X線回折法による分析を実施した。この情報から、単位セルの格子定数を決定することが可能である。
【0052】
材料を分析するために使用される一般的なXRDの操作条件は、以下の通りである。
スリットサイズ:1mm、1mm、0.1mm
範囲:2θ=5°~60°
X線波長=1.5418Å(オングストローム)(Cu Kα)
速度:1.0秒/ステップ
増分:0.025°
【0053】
電気化学的結果
目的のドープされたニッケル酸塩含有組成物を、ハードカーボンアノードを用いたNaイオン試験セルを用いて検査した。セルは、以下の手順を用いて作製し得る。
【0054】
活物質を含有するNaイオン電気化学試験セルは、次のように構成される。
【0055】
ハードカーボンのNaイオンセルを作製する一般的な手順
正極を、活物質、導電性カーボン、バインダ及び溶媒のスラリーを溶媒キャストすることにより作製する。用いる導電性カーボンは、Super P(Timcal)である。PVdFをバインダとして用い、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を溶媒として使用する。次いで、スラリーをアルミニウム箔上にキャストし、大部分の溶媒が蒸発するまで加熱して、電極フィルムを形成する。次に、電極を、動的真空下、約120℃で乾燥させる。電極フィルムは、重量%で表される以下の成分を含む。活物質(ドープされたニッケル酸塩含有組成物)80%、Super Pカーボン6%、及びPVdFバインダ6%である。
【0056】
負極を、ハードカーボン活物質(Carbotron P/J、供給元クレハ)、導電性カーボン、バインダ及び溶媒のスラリーを溶媒キャストして調製する。用いる導電性カーボンは、Super P(Timcal)である。PVdFをバインダとして用い、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を溶媒として使用する。次いで、スラリーをアルミニウム箔上にキャストし、大部分の溶媒が蒸発するまで加熱して、電極フィルムを形成する。次に、電極を、動的真空下、約120℃で更に乾燥させる。電極フィルムは、重量%で表される以下の成分を含む。活物質89%、Super Pカーボン2%、及びPVdFバインダ9%である。
【0057】
セル試験
定電流サイクル法を用いて、以下のようにセルを試験する。
【0058】
セルは、予め設定された電圧制限値内で、所定の電流密度で充放電させる。Maccor Inc.(Tulsa、OK、USA)製の市販の電池充放電器が用いられる。充電中に、アルカリイオンがカソード活物質から抽出される。放電中に、アルカリイオンは、カソード活物質中に再挿入される。
【0059】
結果の考察
【0060】
例1:P2-Na0.67Ni0.33Mn0.67
図1(A)は、既知材料Na0.67Ni0.33Mn0.67(試料番号X1657)のX線回折パターンを示す。パターンは、この材料が層状P2型構造に一致することを示している。
【0061】
図1(B)~(C)に関して:
図1(B)~(C)に示されるデータは、カソード材料がハードカーボン(Carbotron P(J))のアノード材料と結合されたNaイオンセル(セル#311044)のNa0.67Ni0.33Mn0.67カソード活物質の定電流サイクルデータから導出される。用いられる電解質は、プロピレンカーボネート中の0.5M NaClO溶液であった。定電流データは、1.00~4.20Vの電圧制限値の間において、約0.125mA/cmの電流密度で収集された。Naイオンセルを完全に充電することを確実にするために、定電流充電工程の終点において、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、セルを4.2Vで定電圧保持した。試験は30℃で実施された。
【0062】
セルの充電工程の間、ナトリウムイオンはカソード活物質から抽出され、ハードカーボンアノード中へ挿入される。続く放電工程の間、ナトリウムイオンは、ハードカーボンから抽出され、カソード活物質中に再挿入される。
【0063】
図1(B)は、ハードカーボン//Na0.67Ni0.33Mn0.67セルの最初の4回の充電/放電サイクルのセルの電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシス(即ち、充電プロセスと放電プロセスの間の電圧差)のレベルが大きく、このカソード材料中のNaイオンの抽出挿入反応の比較的乏しい動力学的可逆性を示すことを実証している。
【0064】
図1(C)は、定電流サイクル寿命プロファイル(即ち、ハードカーボン//Na0.67Ni0.33Mn0.67セルについて、放電カソード比容量[mAh/g]とサイクル数との関係)を示す。1サイクルでは、カソードの放電比容量は、約127mAh/gである。20サイクルでは、カソードの放電比容量は約61mAh/gである。これは、20サイクル終了時に約52%の、又はサイクル毎に平均2.6%の容量低下を示している。被試験カソード材料は、比較的乏しい容量保持挙動を明確に実証している。
【0065】
例2:P2-Na0.67Ni0.3Mn0.6Mg0.033Ti0.067
図2(A)は、Na0.67Ni0.3Mn0.6Mg0.033Ti0.067(試料番号X1659)のX線回折パターンを示す。パターンは、この試料が層状P2型構造に一致することを示している。
【0066】
図2(B)~(C)に関して:
図2(B)~(C)に示されるデータは、カソード材料がハードカーボン(Carbotron P(J))のアノード材料と結合されたNaイオンセル(セル#311051)のP2-Na0.67Ni0.30Mn0.60Mg0.033Ti0.067カソード活物質の定電流サイクルデータから導出される。用いる電解質は、プロピレンカーボネート(PC)中の0.5M NaClO溶液であった。定電流データは、1.00~4.20Vの電圧制限値の間において、約0.2mA/cmの電流密度で収集した。Naイオンセルを完全に充電することを確実にするために、定電流充電工程の終点において、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、セルを4.2Vで定電圧保持した。試験は30℃で実施した。
【0067】
セルの充電工程の間、ナトリウムイオンはカソード活物質から抽出され、ハードカーボンアノード中へ挿入される。続く放電工程の間、ナトリウムイオンは、ハードカーボンから抽出され、カソード活物質中に再挿入される。
【0068】
図2(B)は、ハードカーボン//P2-Na0.67Ni0.30Mn0.60Mg0.033Ti0.067セルの最初の4回の充電/放電サイクルのセル電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシス(即ち、充電プロセスと放電プロセスの間の電圧差)のレベルが小さく、Naイオンの抽出挿入反応の優れた動力学的可逆性を示すことを実証している。更に、充電/放電電圧プロファイルの概して対称的な性質は、抽出挿入反応の優れた可逆性を確認する。
【0069】
図2(C)は、定電流サイクル寿命プロファイル(即ち、ハードカーボン//P2-Na0.67Ni0.30Mn0.60Mg0.033Ti0.067セルについてのカソードの放電比容量[mAh/g]とサイクル数との関係)を示す。1サイクルでは、カソードの放電比容量は、約117mAh/gである。30サイクルでは、カソードの放電比容量は、約106mAh/gである。これは、30サイクル終了時に約9.4%の、又はサイクル毎に平均0.3%の容量低下を示している。被試験カソード材料は、優れた容量の保持挙動を明確に実証している。
【0070】
例3:P2-Na0.67Ni0.267Mn0.533Mg0.067Ti0.133
図3(A)は、Na0.67Ni0.267Mn0.533Mg0.067Ti0.133(試料番号X1663)のX線回折パターンを示す。パターンは、この試料が層状P2型構造に一致することを示している。
【0071】
図3(B)~(C)に関して:
図3(B)~(C)に示されるデータは、カソード材料がハードカーボン(Carbotron P(J))のアノード材料と結合されたNaイオンセル(セル#311058)のP2-Na0.67Ni0.267Ti0.133Mg0.067Mn0.533カソード活物質の定電流サイクルデータから導出される。用いられる電解質は、プロピレンカーボネート中の0.5M NaClO(PC)溶液であった。定電流データは、1.00~4.20Vの電圧制限値の間において、約0.2mA/cmの電流密度で収集された。Naイオンセルを完全に充電することを確実にするために、定電流充電工程の終点において、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、セルを4.2Vで定電圧保持した。試験は30℃で実施された。
【0072】
セルの充電工程の間、ナトリウムイオンはカソード活物質から抽出され、ハードカーボンアノード中へ挿入される。続く放電工程の間、ナトリウムイオンは、ハードカーボンから抽出され、カソードの活物質中に再挿入される。
【0073】
図3(B)は、ハードカーボン//P2-Na0.67Ni0.267Ti0.133Mg0.067Mn0.533セルの最初の4回の充電/放電サイクルのセル電圧プロファイル(即ちNaイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシス(即ち、充電プロセスと放電プロセスの間の電圧差)のレベルが小さく、Naイオンの抽出挿入反応の優れた動力学的可逆性を示すことを実証している。更に、充電/放電電圧プロファイルの概して対称的な性質は、抽出挿入反応の優れた可逆性を確認する。
【0074】
図3(C)は、定電流サイクル寿命プロファイル(即ち、ハードカーボン//P2-Na0.67Ni0.267Ti0.133Mg0.067Mn0.533セルについてのカソードの放電比容量[mAh/g]とサイクル数との関係)を示す。1サイクルでは、カソードの放電比容量は、約105mAh/gである。30サイクルでは、カソードの放電比容量は、約101mAh/gである。これは、30サイクル終了時に約3.8%の、又はサイクル毎に平均0.13%の容量低下を示している。被試験カソード材料は、優れた容量の保持挙動を明確に実証している。
【0075】
例4:P2-Na0.67Ni0.25Mg0.083Mn0.667
図4(A)は、Na0.67Ni0.25Mg0.083Mn0.667(試料番号X1684)のX線回折パターンを示す。パターンは、この試料が層状P2型構造に一致することを示している。
【0076】
図4(B)~(C)に関して:
図4(B)~(C)に示されるデータは、カソード材料がハードカーボン(Carbotron P(J))のアノード材料と結合されたNaイオンセル(セル#312020)のP2-Na0.67Ni0.25Mg0.083Mn0.667カソード活物質の定電流サイクルデータから導出される。用いられる電解質は、プロピレンカーボネート中の0.5M NaClO溶液であった。定電流データは、1.00~4.20Vの電圧制限値の間において、約0.125mA/cmの電流密度で収集された。Naイオンセルを完全に充電することを確実にするために、定電流充電工程の終点において、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、セルを4.2Vで定電圧保持した。試験は30℃で実施された。
【0077】
セルの充電工程の間、ナトリウムイオンはカソード活物質から抽出され、ハードカーボンアノード中へ挿入される。続く放電工程の間、ナトリウムイオンは、ハードカーボンから抽出され、カソード活物質中に再挿入される。
【0078】
図4(B)は、ハードカーボン//P2-Na0.67Ni0.25Mg0.083Mn0.667セルの最初の4回の充電/放電サイクルのセル電圧プロファイル(即ちNaイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシス(即ち、充電プロセスと放電プロセスの間の電圧差)のレベルが小さく、Naイオンの抽出挿入反応の優れた動力学的可逆性を示すことを実証している。更に、充電/放電電圧プロファイルの概して対称的な性質は、抽出挿入反応の優れた可逆性を確認する。
【0079】
図4(C)は、定電流サイクル寿命プロファイル(即ち、ハードカーボン//P2-Na0.67Ni0.25Mg0.083Mn0.667セルについてのカソードの放電比容量[mAh/g]とサイクル数との関係)を示す。1サイクルでは、カソードの放電比容量は、約96mAh/gである。30サイクルでは、カソードの放電比容量は、約95mAh/gである。これは、30サイクル終了時に約1.0%の、又はサイクル毎に平均0.03%の容量低下を示している。被試験カソード材料は、優れた容量の保持挙動を明確に示している。
【0080】
例5:P2-Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.1
図5(A)は、Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.1(試料番号X1713)のX線回折パターンを示す。パターンは、この試料が層状P2型構造に一致することを示している。
【0081】
図5(B)~(C)に関して:
図5(B)~(C)に示されるデータは、カソード材料がハードカーボン(Carbotron P(J))のアノード材料と結合されたNaイオンセル(セル#401018)のP2-Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.10カソード活物質の定電流サイクルデータから導出される。用いられる電解質は、プロピレンカーボネート中の0.5M NaClO溶液であった。定電流データは、1.00~4.20Vの電圧制限値の間において、約0.125mA/cmの電流密度で収集された。Naイオンセルを完全に充電することを確実にするために、定電流充電工程の終点において、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、セルを4.2Vで定電圧保持した。試験は30℃で実施された。
【0082】
セルの充電工程の間、ナトリウムイオンはカソード活物質から抽出され、ハードカーボンアノード中へ挿入される。続く放電工程の間、ナトリウムイオンは、ハードカーボンから抽出され、カソード活物質中に再挿入される。
【0083】
図5(B)は、ハードカーボン//P2-Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.10セルの最初の4回の充電/放電サイクルのセル電圧プロファイル(即ちNaイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシス(即ち、充電プロセスと放電プロセスの間の電圧差)のレベルが小さく、Naイオンの抽出挿入反応の優れた動力学的可逆性を示すことを実証している。更に、充電/放電電圧プロファイルの概して対称的な性質は、抽出挿入反応の優れた可逆性を確認する。
【0084】
図5(C)は、定電流サイクル寿命プロファイル(即ち、ハードカーボン//P2-Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.10セルについてのカソードの放電比容量[mAh/g]とサイクル数との関係)を示す。1サイクルでは、カソードの放電比容量は、約97mAh/gである。30サイクルでは、カソードの放電比容量は、約92mAh/gである。これは、30サイクル終了時に約5.2%の、又はサイクル毎に平均0.17%の容量低下を示している。被試験カソード材料は、優れた容量の保持挙動を明確に実証している。
【0085】
例6:O3-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083
図6(A)は、既知材料であるNa0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083(試料番号X1714)のX線回折パターンを示す。パターンは、この試料が層状O3型構造に一致することを示している。
【0086】
図6(B)~(C)に関して:
図6(B)~(C)に示されるデータは、カソード材料がハードカーボン(Carbotron P(J))のアノード材料と結合されたNaイオンセル(セル#401020)のO3-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083カソード活物質の定電流サイクルデータから導出される。用いられる電解質は、プロピレンカーボネート中の0.5M NaClO溶液であった。定電流データは、1.00~4.20Vの電圧制限値の間において、約0.125mA/cmの電流密度で収集された。Naイオンセルを完全に充電することを確実にするために、定電流充電工程の終点において、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、セルを4.2Vで定電圧保持した。試験は30℃で実施された。
【0087】
セルの充電工程の間、ナトリウムイオンはカソード活物質から抽出され、ハードカーボンアノード中へ挿入される。続く放電工程の間、ナトリウムイオンは、ハードカーボンから抽出され、カソード活物質中に再挿入される。
【0088】
図6(B)は、ハードカーボン//O3-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083セルの最初の4回の充電/放電サイクルのセル電圧プロファイル(即ちNaイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシス(即ち、充電プロセスと放電プロセスの間の電圧差)のレベルが小さく、Naイオンの抽出挿入反応の優れた動力学的可逆性を示している。更に、充電/放電電圧プロファイルの概して対称的な性質は、抽出挿入反応の優れた可逆性を確認する。
【0089】
図6(C)は、定電流サイクル寿命プロファイル(即ち、ハードカーボン//O3-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083セルについてのカソードの放電比容量[mAh/g]とサイクル数との関係)を示す。1サイクルでは、カソードの放電比容量は、約145mAh/gである。15サイクルでは、カソードの放電比容量は、約134mAh/gである。これは、15サイクル終了時に約7.6%の、又はサイクル毎に平均0.51%の容量低下を示している。被試験カソード材料は妥当な容量保持挙動を実証している。
【0090】
例7:75質量% P2-Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.10及び25質量% O3-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083
図7(A)~(B)に関して:
図7(A)~(B)に示すデータは、カソード材料がハードカーボン(Carbotron P(J))のアノード材料と結合されたNaイオンセル(セル#401021)の物理的に混合された(75質量% P2-Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.10及び25質量% O3-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083)を含む活性カソードの定電流サイクルデータから導出される。用いられた電解質は、プロピレンカーボネート中の0.5M NaClO溶液であった。定電流データは、1.00~4.20Vの電圧制限値の間において、約0.125mA/cmの電流密度で収集された。Naイオンセルを完全に充電することを確実にするために、定電流充電工程の終点において、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、セルを4.2Vで定電圧保持した。試験は30℃で実施された。
【0091】
セルの充電工程の間、ナトリウムイオンはカソード活物質から抽出され、ハードカーボンアノード中へ挿入される。続く放電工程の間、ナトリウムイオンはハードカーボンから抽出され、カソードの活物質中に再挿入される。
【0092】
図7(A)は、ハードカーボン//(75質量% P2-Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.10及び25質量% O3-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083)セルの最初の4回の充電/放電サイクルの、セル電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシス(即ち、充電プロセスと放電プロセスの間の電圧差)のレベルが小さく、Naイオンの抽出挿入反応の優れた動力学的可逆性を示している。更に、充電/放電電圧プロファイルの概して対称的な性質は、抽出挿入反応の優れた可逆性を確認する。
【0093】
図7(B)は、定電流サイクル寿命プロファイル(即ち、ハードカーボン//(75質量% P2-Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.10及び25質量% O3-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083)についてのカソード放電比容量[mAh/g]とサイクル数との関係)を示す。1サイクルでは、カソードの放電比容量は、約113mAh/gである。15サイクルでは、カソードの放電比容量は、約110mAh/gである。これは、30サイクル終了時に約2.7%の、又はサイクル毎に平均0.09%の容量低下を示している。被試験カソード材料は、優れた容量保持挙動を明確に実証している。
【0094】
例8:50質量% P2-Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.10及び50質量% O3-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083
図8(A)~(B)に関して:
図8(A)~(B)に示すデータは、カソード材料が、ハードカーボン(Carbotron P(J))のアノード材料と結合されたNaイオンセル(セル#401023)の物理的に混合された(50質量% P2-Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.10及び50質量% O3-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083)を含む活性カソードの定電流サイクルデータから導出される。用いられた電解質は、プロピレンカーボネート中の0.5M NaClO溶液であった。定電流データは、1.00~4.20Vの電圧制限値の間において、約0.125mA/cmの電流密度で収集された。Naイオンセルを完全に充電することを確実にするために、定電流充電工程の終点において、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、セルを4.2Vで定電圧保持した。試験は30℃で実施された。
【0095】
セルの充電工程の間、ナトリウムイオンはカソード活物質から抽出され、ハードカーボンアノード中へ挿入される。続く放電工程の間、ナトリウムイオンはハードカーボンから抽出され、カソードの活物質中に再挿入される。
【0096】
図8(A)は、ハードカーボン//(50質量% P2-Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.10及び50質量% O3-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083)セルの最初の4回の充電/放電サイクルの、セル電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシス(即ち、充電プロセスと放電プロセスの間の電圧差)のレベルが小さく、Naイオンの抽出挿入反応の優れた動力学的可逆性を示している。更に、充電/放電電圧プロファイルの概して対称的な性質は、抽出挿入反応の優れた可逆性を確認する。
【0097】
図8(B)は、定電流サイクル寿命プロファイル(即ち、ハードカーボン//(50質量% P2-Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.10及び50質量% O3-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083)についてのカソード放電比容量[mAh/g]とサイクル数との関係)を示す。1サイクルでは、カソードの放電比容量は、約123mAh/gである。15サイクルでは、カソードの放電比容量は、約118mAh/gである。これは、30サイクル終了時に約4.1%の、又はサイクル毎に平均0.14%の容量低下を示している。被試験カソード材料は、優れた容量保持挙動を明確に実証している。
【0098】
例9:P2/O3-Na0.833Ni0.317Mn0.467Mg0.100Ti0.117
図9(A)は、加重平均式Na0.833Ni0.317Mn0.467Mg0.100Ti0.117(試料番号X1682)のX線回折パターンを示す。パターンは、P2型及びO3型構造の両方の存在を示している。
【0099】
図9(B)~(C)に関して:
図9(B)~(C)に示されるデータは、カソード材料がハードカーボン(Carbotron P(J))のアノード材料と結合されたNaイオンセル(セル#312017)の混合相O3/P2-Na0.833Ni0.317Mn0.467Mg0.100Ti0.117カソード活物質の定電流サイクルデータから導出される。用いられた電解質は、プロピレンカーボネート中の0.5M NaClO溶液であった。定電流データは、1.00~4.20Vの電圧制限値の間において、約0.125mA/cmの電流密度で収集された。Naイオンセルを完全に充電することを確実にするために、定電流充電工程の終点において、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、セルを4.2Vで定電圧保持した。試験は30℃で実施された。
【0100】
セルの充電工程の間、ナトリウムイオンはカソード活物質から抽出され、ハードカーボンアノード中へ挿入される。続く放電工程の間、ナトリウムイオンはハードカーボンから抽出され、カソード活物質中に再挿入される。
【0101】
図9(B)はハードカーボン//混合相O3/P2-Na0.833Ni0.317Mn0.467Mg0.100Ti0.117セルの、最初の4回の充電/放電サイクルのセル電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシス(即ち、充電プロセスと放電プロセスの間の電圧差)のレベルが小さく、Naイオンの抽出挿入反応の優れた動力学的可逆性を示している。更に、充電/放電電圧プロファイルの概して対称的な性質は、抽出挿入反応の優れた可逆性を確認する。
【0102】
図9(C)は、定電流サイクル寿命プロファイル(即ち、ハードカーボン//混合相O3/P2-Na0.833Ni0.317Mn0.467Mg0.100Ti0.117セルの、カソードの放電比容量[mAh/g]とサイクル数との関係)を示す。1サイクルでは、カソードの放電比容量は、約124mAh/gである。30サイクルでは、カソードの放電比容量は、約127mAh/gである。カソードの比容量は最初の30サイクル終了時で約2.4%改善された。被試験カソード材料は、顕著な容量保持挙動を明確に実証している。
【0103】
例10:P2/O3-Na0.750Ni0.296Mn0.509Mg0.079Ti0.117
図10(A)は、加重平均式Na0.750Ni0.296Mn0.509Mg0.079Ti0.117(試料番号X1692)のX線回折パターンを示す。パターンは、P2型及びO3型構造の両方の存在を示している。
【0104】
図10(B)~(C)に関して:
図10(B)~(C)に示されるデータは、カソード材料がハードカーボン(Carbotron P(J))のアノード材料と結合されたNaイオンセル(セル#401003)の混合相O3/P2-Na0.753Ni0.296Mn0.509Mg0.079Ti0.117カソードの活物質の定電流サイクルデータから導出される。用いられた電解質は、プロピレンカーボネート中の0.5M NaClO溶液であった。定電流データは、1.00~4.20Vの電圧制限値の間において、約0.125mA/cmの電流密度で収集された。Naイオンセルを完全に充電することを確実にするために、定電流充電工程の終点において、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、セルを4.2Vで定電圧保持した。試験は30℃で実施された。
【0105】
セルの充電工程の間、ナトリウムイオンはカソード活物質から抽出され、ハードカーボンアノード中へ挿入される。続く放電工程の間、ナトリウムイオンはハードカーボンから抽出され、カソード活物質中に再挿入される。
【0106】
図10(B)はハードカーボン//混合相O3/P2-Na0.753Ni0.296Mn0.509Mg0.079Ti0.117セルの、最初の4回の充電/放電サイクルのセル電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシス(即ち、充電プロセスと放電プロセスの間の電圧差)のレベルが小さく、Naイオンの抽出挿入反応の優れた動力学的可逆性を示している。更に、充電/放電電圧プロファイルの概して対称的な性質は、抽出挿入反応の優れた可逆性を確認する。
【0107】
図10(C)は、定電流サイクル寿命プロファイル(即ち、ハードカーボン//混合相O3/P2-Na0.753Ni0.296Mn0.509Mg0.079Ti0.117セルの、カソードの放電比容量[mAh/g]とサイクル数との関係)を示す。1サイクルでは、カソードの放電比容量は、約103mAh/gである。30サイクルでは、カソードの放電比容量は、約104mAh/gである。カソードの比容量は最初の30サイクル終了時で約1%改善された。被試験カソード材料は、顕著な容量保持挙動を明確に実証している。
【0108】
例11:P2/O3-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083
図11(A)は、加重平均式Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083(試料番号X1696C)のX線回折パターンを示す。パターンは、P2型及びO3型構造の両方の存在を示している。
【0109】
図11(B)~(C)に関して:
図11(B)~(C)に示されるデータは、カソード材料がハードカーボン(Carbotron P(J))のアノード材料と結合されたNaイオンセル(セル#401003)の混合相O3/P2-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083カソード活物質の定電流サイクルデータから導出される。用いられた電解質は、プロピレンカーボネート中の0.5M NaClO溶液であった。定電流データは、1.00~4.20Vの電圧制限値の間において、約0.125mA/cmの電流密度で収集された。Naイオンセルを完全に充電することを確実にするために、定電流充電工程の終点において、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、セルを4.2Vで定電圧保持した。試験は30℃で実施された。
【0110】
セルの充電工程の間、ナトリウムイオンはカソード活物質から抽出され、ハードカーボンアノード中へ挿入される。続く放電工程の間、ナトリウムイオンはハードカーボンから抽出され、カソード活物質中に再挿入される。
【0111】
図11(B)はハードカーボン//混合相O3/P2-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083セルの、最初の4回の充電/放電サイクルのセル電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシス(即ち、充電プロセスと放電プロセスの間の電圧差)のレベルが小さく、Naイオンの抽出挿入反応の優れた動力学的可逆性を示している。更に、充電/放電電圧プロファイルの概して対称的な性質は、抽出挿入反応の優れた可逆性を確認する。
【0112】
図11(C)は、定電流サイクル寿命プロファイル(即ち、ハードカーボン//混合相O3/P2-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083セルの、カソードの放電比容量[mAh/g]とサイクル数との関係)を示す。1サイクルでは、カソードの放電比容量は、約134mAh/gである。30サイクルでは、カソードの放電比容量は、約129mAh/gである。これは、30サイクル終了時では約3.7%の、又はサイクル毎に平均0.12%の容量低下を示している。被試験カソード材料は、優れた容量保持挙動を明確に実証している。
【0113】
例12:P2/O3-Na0.75Ni0.296Mn0.508Mg0.079Ti0.117
図12(A)は、加重平均式Na0.75Ni0.296Mn0.508Mg0.079Ti0.117(試料番号X1700)のX線回折パターンを示す。パターンは、P2型及びO3型構造の両方の存在を示している。
【0114】
図12(B)~(C)に関して:
図12(B)~(C)に示されるデータは、カソード材料がハードカーボン(Carbotron P(J))のアノード材料と結合されたNaイオンセル(セル#401014)の混合相O3/P2-Na0.75Ni0.296Mn0.508Mg0.079Ti0.117カソード活物質の定電流サイクルデータから導出される。用いられた電解質は、プロピレンカーボネート中の0.5M NaClO溶液であった。定電流データは、1.00~4.20Vの電圧制限値の間において、約1.00mA/cmの電流密度で収集された。Naイオンセルを完全に充電することを確実にするために、定電流充電工程の終点において、電流密度が定電流値の10%に低下するまで、セルを4.2Vで定電圧保持した。試験は30℃で実施された。
【0115】
セルの充電工程の間、ナトリウムイオンはカソード活物質から抽出され、ハードカーボンアノード中へ挿入される。続く放電工程の間、ナトリウムイオンはハードカーボンから抽出され、カソード活物質中に再挿入される。
【0116】
図12(B)はハードカーボン//混合相O3/P2-Na0.75Ni0.296Mn0.508Mg0.079Ti0.117セルの、4回の充電/放電サイクルのセル電圧プロファイル(即ち、Naイオンセル電圧[V]対累積カソード比容量[mAh/g])を示す。これらのデータは、電圧ヒステリシス(即ち、充電プロセスと放電プロセスの間の電圧差)のレベルが小さく、Naイオンの抽出挿入反応の優れた動力学的可逆性を示している。更に、充電/放電電圧プロファイルの概して対称的な性質は、抽出挿入反応の優れた可逆性を確認する。
【0117】
図12(C)は、定電流サイクル寿命プロファイル(即ち、ハードカーボン//混合相O3/P2-Na0.75Ni0.296Mn0.508Mg0.079Ti0.117セルの、カソードの放電比容量[mAh/g]とサイクル数との関係)を示す。1サイクルでは、カソードの放電比容量は、約103mAh/gである。200サイクルでは、カソードの放電比容量は、約93mAh/gである。これは、200サイクル終了時では約9.7%の、又はサイクル毎に平均0.05%の容量低下を示している。被試験カソード材料は、優れた容量保持挙動を明確に実証している。
【0118】
例13:P3/P2-Na0.666Ni0.3Mn0.6Mg0.033Ti0.067
図13は、加重平均式Na0.666Ni0.3Mn0.6Mg0.033Ti0.067(試料番号S0842)のX線回折パターンを示す。パターンは、P3型及びP2型構造の両方の存在を示している。
【0119】
例14:P3/P2-Na0.6667Ni0.2500Mn0.5833Mg0.0833Ti0.0833
図14は、加重平均式Na0.6667Ni0.2500Mn0.5833Mg0.0833Ti0.0833(試料番号S1430A)のX線回折パターンを示す。パターンは、P3型及びP2型構造の両方の存在を示している。
【0120】
例15:P3/P2/O3-Na0.8292Ni0.2886Mn0.4622Mg0.126Ti0.1233
図15は、加重平均式Na0.8292Ni0.2886Mn0.4622Mg0.126Ti0.1233(試料番号S1458B)のX線回折パターンを示す。パターンは、P3型、P2型、及びO3型構造の存在を示している。
【0121】
例16:P3/P2/O3-Na0.8188Ni0.2860Mn0.4561Mg0.1234Ti0.1346
図16は、加重平均式Na0.8188Ni0.2860Mn0.4561Mg0.1234Ti0.1346(試料番号S1459B)のX線回折パターンを示す。パターンは、P3型、P2型、及びO3型構造の存在を示している。
【0122】
請求項1
一般式

(式中、
Aは、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
は、酸化状態2+のニッケルであり、
は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中、
0.85≦a≦1であり、
0<v<0.5であり、
w及びyの少なくとも一方は、>0であり、
x≧0であり、
z≧0であり、
式中、a、v、w、x、y及びzは、電気的中性を維持するように選択される)のO3構造を有する1つ又は複数の成分を含む第1の成分タイプを、
一般式
A’a’1’ v’2’ w’3’ x’4’ y’5’ z’
(式中、
A’は、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
1’は、酸化状態2+のニッケルであり、
2’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
3’は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
4’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
5’は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中、
0.4≦a’<1、
0<v’<0.5であり、
w’及びy’の少なくとも一方は、>0であり、
x’≧0であり、好ましくはx’>0であり
z’≧0であり、
式中、a’、v’、w’、x’、y’、及びz’は、電気的中性を維持するように選択される)のP2構造を有する1つ又は複数の成分を含む第2の成分タイプと、
一般式
A’’a’’1’’ v’’2’’ w’’3’’ x’’4’’ y’’M5’’ z’’
(式中、
A’’は、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
1’’は、酸化状態2+のニッケルであり、
2’’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
3’’は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
4’’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
5’’は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中
0.4≦a’’<1であり、
0<v’’<0.5であり、
w’’及びy’’の少なくとも一方は、>0であり、
x’’≧0であり、
z’’≧0であり、
式中、a’’、v’’、w’’、x’’、y’’、及びz’’は、電気的中性を維持するように選択される)のP3構造を有する1つ又は複数の成分を含む第3の成分タイプと
から選択される1つ又は複数の成分タイプと共に、
含む、ドープされたニッケル酸塩含有組成物を含む電極。
請求項2
ドープされたニッケル酸塩含有組成物において、M、M2’、及びM2’’の各々は、マンガン、チタン、及びジルコニウムから選択される1つ又は複数の金属を含み、M、M3’、及びM3’’の各々は、マグネシウム、カルシウム、銅、亜鉛、及びコバルトから選択される1つ又は複数の金属を含み、M、M4’、及びM4’’の各々は、マンガン、チタン、及びジルコニウムから選択される1つ又は複数の金属を含み、M、M5’、及びM5’’の各々は、アルミニウム、鉄、コバルト、モリブデン、クロム、バナジウム、スカンジウム及びイットリウムから選択される1つ又は複数の金属を含む、請求項1に記載の電極。
請求項3
第1の成分タイプは、1つ又は複数のNa1-σNi(1-σ)/3Mn(1-σ)/3Mg(1/6)-(1/6)σTi(1/6)+(5/6)σ(式中、0≦σ≦0.15である)、Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083、及びNaNi0.33Mn0.33Mg0.167Ti0.167から選択されるO3構造を有する1つ又は複数の成分を含む、請求項1に記載の電極。
請求項4
第2の成分タイプは、1つ又は複数のNa0.67Ni0.33Mn0.67、Na0.67Ni0.3Mn0.6Mg0.033Ti0.067、Na0.67Ni0.267Mn0.533Mg0.067Ti0.133、Na0.67Ni0.25Mg0.083Mn0.667、Na0.67Ni0.283Mn0.567Mg0.05Ti0.1、Na0.67Ni0.33Mn0.67Mg0.033Ti0.067及びNa0.67Ni0.25Mn0.667Mg0.083から選択されるP2構造を有する1つ又は複数の成分を含む、請求項1に記載の電極。
請求項5
ドープされたニッケル含有組成物は、加重平均式
A’’’a’’’1’’’ v’’’2’’’ w’’’3’’’ x’’’4’’’ y’’’5’’’ z’’’
(式中、
A’’’は、ナトリウム、リチウム、及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
1’’’は、酸化状態2+のニッケルであり、
2’’’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
3’’’は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
4’’’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
5’’’は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中、
0.4≦a’’’<1、好ましくは0.5≦a’’’≦0.95、更に好ましくは0.6≦a’’’≦0.9、及び理想的には0.7≦a’’’≦0.9であり、
0<v’’’<0.5、更に好ましくは0<v’’’≦0.45、理想的には、0<v’’’≦0.333、或いは0.2≦v’’’≦0.333であり、
w’’’及びy’’’の少なくとも一方は、>0であり、
x’’’≧0、好ましくはx’’’>0であり、
z’’’≧0であり、
a’’’、v’’’、w’’’、x’’’、y’’’、及びz’’’は、電気的中性を維持するように選択される)によって表される、請求項1から4のいずれか一項に記載の電極。
請求項6
ドープされたニッケル酸塩含有組成物は、
O3/P2-Na0.833Ni0.317Mn0.467Mg0.100Ti0.117
O3/P2-Na0.750Ni0.296Mn0.508Mg0.079Ti0.117
O3/P2-Na0.85Ni0.4Mn0.5Mg0.025Ti0.075
O3/P2-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083
O3/P2-Na0.8Ni0.2667Mn0.2667Mg0.1333Ti0.3333
O3/P2-Na0.75Ni0.25Mn0.25Mg0.125Ti0.375
O3/P2-Na0.7Ni0.2333Mn0.2333Mg0.1167Ti0.4167
から選択される加重平均式を有する、請求項5に記載の電極。
請求項7
第2及び第3の成分タイプの1つ又は両方の1つ又は複数の成分と、第1の成分タイプの1つ又は複数の成分との物理的混合物を形成するステップを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の電極に用いられるドープされたニッケル酸塩含有組成物を調製する方法。
請求項8
第1の成分タイプの1つ又は複数の成分の前駆体物質及び/又は1つ又は複数の既成の成分を、第2及び第3の成分タイプの一方又は両方の前駆体物質及び/又は既成の成分と共に、必要な化学量論比で混合するステップと、得られた混合物を400℃~1500℃の間の温度で、炉内で反応生成物が生成するまで加熱するステップとを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の電極で用いられるドープされたニッケル酸塩含有組成物を調製する方法。
請求項9
エネルギー貯蔵デバイス、電池、二次電池、電気化学デバイス、エレクトロクロミックデバイス及びNaイオンセルから選択される応用デバイスにおける、請求項1から5のいずれか一項に記載の電極の使用。
請求項10
請求項1から5のいずれか一項に記載の1つ又は複数の電極を含む、電池。
請求項11
一般式

(式中
Aは、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
は、酸化状態2+のニッケルであり、
は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中、
0.85≦a≦1であり、
0<v<0.5であり、
w及びyの少なくとも一方は、>0であり、
x≧0であり、
z≧0であり、
式中、a、v、w、x、y及びzは、電気的中性を維持するように選択される)のO3構造を有する1つ又は複数の成分を含む第1の成分タイプと、
一般式
A’a’1’ v’2’ w’3’ x’4’ y’5’ z’
(式中、
A’は、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
1’は、酸化状態2+のニッケルであり、
2’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
3’は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
4’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
5’は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中、
0.4≦a’<1、
0<v’<0.5であり、
w’及びy’の少なくとも一方は、>0であり、
x’≧0、好ましくはx’>0であり
z’≧0であり、
式中、a’、v’、w’、x’、y’、及びz’は、電気的中性を維持するように選択される)のP2構造を有する1つ又は複数の成分を含む第2の成分タイプと、
一般式
A’’a’’1’’ v’’2’’ w’’3’’ x’’4’’ y’’5’’ z’’
(式中、
A’’は、ナトリウム、リチウム及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
1’’は、酸化状態2+のニッケルであり、
2’’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
3’’は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
4’’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
5’’は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中
0.4≦a’’<1であり、
0<v’’<0.5であり、
w’’及びy’’の少なくとも一方は、>0であり、
x’’≧0であり、
z’’≧0であり、
式中、a’’、v’’、w’’、x’’、y’’、及びz’’は、電気的中性を維持するように選択される)のP3構造を有する1つ又は複数の成分を含む第3の成分タイプと、
から選択される1つ又は複数の成分タイプを含む、ドープされたニッケル酸塩含有組成物。
請求項12
x、x’、及びx’’の少なくとも1つは>0である、請求項11に記載のドープされたニッケル酸塩含有組成物。
請求項13
加重平均式
A’’’a’’’1’’’ v’’’2’’’ w’’’3’’’ x’’’4’’’ y’’’5’’’ z’’’
(式中、
A’’’は、ナトリウム、リチウム、及びカリウムから選択される1つ又は複数のアルカリ金属を含み、
1’’’は、酸化状態2+のニッケルであり、
2’’’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
3’’’は、酸化状態2+の1つ又は複数の金属を含み、
4’’’は、酸化状態4+の1つ又は複数の金属を含み、
5’’’は、酸化状態3+の1つ又は複数の金属を含み、
式中、
0.4≦a’’’<1、好ましくは0.5≦a’’’≦0.95、更に好ましくは0.6≦a’’’≦0.9、及び理想的には0.7≦a’’’≦0.9であり、
0<v’’’<0.5、更に好ましくは0<v’’’≦0.45、理想的には、0<v’’’≦0.333、或いは0.2≦v’’’≦0.333であり、
w’’’及びy’’’の少なくとも一方は、>0であり、
x’’’≧0、好ましくはx’’’>0であり、
z’’’≧0であり、
式中、a’’’、v’’’、w’’’、x’’’、y’’’、及びz’’’は、電気的中性を維持するように選択される)によって表される、請求項11又は12に記載のドープされたニッケル酸塩含有組成物。
請求項14
O3/P2-Na0.833Ni0.317Mn0.467Mg0.100Ti0.117
O3/P2-Na0.750Ni0.296Mn0.508Mg0.079Ti0.117
O3/P2-Na0.85Ni0.4Mn0.5Mg0.025Ti0.075
O3/P2-Na0.95Ni0.3167Mn0.3167Mg0.1583Ti0.2083
O3/P2-Na0.8Ni0.2667Mn0.2667Mg0.1333Ti0.3333
O3/P2-Na0.75Ni0.25Mn0.25Mg0.125Ti0.375
O3/P2-Na0.7Ni0.2333Mn0.2333Mg0.1167Ti0.4167
から選択される、請求項11、12、又は13のいずれか一項に記載のドープされたニッケル酸塩含有組成物。

図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
図16