(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20221011BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
G06F1/20 D
G06F1/20 B
H05K7/20 J
(21)【出願番号】P 2020199085
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】北村 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】秋山 晶吾
(72)【発明者】
【氏名】上村 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 厚喜
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-272272(JP,A)
【文献】特開2009-245121(JP,A)
【文献】特開2018-081481(JP,A)
【文献】特開2014-078199(JP,A)
【文献】特開2004-095890(JP,A)
【文献】特開2017-033116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/20
H05K7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも吸気口とユーザの操作を受け付ける複数の操作子とが設けられている第1面を有する第1筐体と、
前記第1筐体に対して相対的に回動可能に接続され、当該回動により前記第1筐体の前記第1面を覆うように重なり合う第2面を有する第2筐体と、
前記第1筐体内の空気を少なくとも前記吸気口を介して外気と入れ替えるためのファンを有する放熱部と、
前記第1筐体と前記第2筐体との回動により前記第1面と前記第2面とが重なり合う第1状態であるか否かを検出する状態検出部と、
前記第1状態である場合の方が前記第1状態ではない第2状態である場合より前記ファンの回転速度が相対的に高くなるように制御する制御部と、
を備え
、
前記制御部は、
温度と前記ファンの回転速度とが関連付けられた設定情報を参照して、前記第1筐体内の温度を検出するセンサの検出結果に基づいて前記ファンの回転速度を制御し、
前記ファンの回転速度が同一の場合に発生する音量が前記第2状態である場合より前記第1状態である場合の方が小さい分を回転速度の上昇に転換し、前記設定情報において、前記第1状態である場合に参照する第1設定情報は、前記第2状態である場合に参照する第2設定情報より、同一温度での前記ファンの回転速度が高くなるように設定されている、
情報処理装置。
【請求項2】
前記第1設定情報及び前記第2設定情報のそれぞれは、さらにプロセッサのパフォーマンスに関係する複数種類の設定モードと関連付けられている、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
少なくとも吸気口とユーザの操作を受け付ける複数の操作子とが設けられている第1面を有する第1筐体と、
前記第1筐体に対して相対的に回動可能に接続され、当該回動により前記第1筐体の前記第1面を覆うように重なり合う第2面を有する第2筐体と、
前記第1筐体内の空気を少なくとも前記吸気口を介して外気と入れ替えるためのファンを有する放熱部と、
を備える情報処理装置であって、
前記第1筐体と前記第2筐体との回動により前記第1面と前記第2面とが重なり合う第1状態であるか否かを検出する状態検出部と、
前記第1状態である場合の方が前記第1状態ではない第2状態である場合より前記ファンの回転速度が相対的に高くなるように制御する制御部と、
を備え
、
前記状態検出部は、
前記第1筐体と前記第2筐体との回動により前記第1面の反対面と前記第2面の反対面とが重なり合う第3状態であるか否かの検出と、前記情報処理装置の載置状態の検出をさらに行い、
前記制御部は、
前記第3状態であるか否かと前記情報処理装置の載置状態とに基づいて、前記ファンの回転速度を制御する、
情報処理装置。
【請求項4】
少なくとも吸気口とユーザの操作を受け付ける複数の操作子とが設けられている第1面を有する第1筐体と、前記第1筐体に対して相対的に回動可能に接続され、当該回動により前記第1筐体の前記第1面を覆うように重なり合う第2面を有する第2筐体と、前記第1筐体内の空気を少なくとも前記吸気口を介して外気と入れ替えるためのファンを有する放熱部とを備える情報処理装置における制御方法であって、
状態検出部が、前記第1筐体と前記第2筐体との回動により前記第1面と前記第2面とが重なり合う第1状態であるか否かを検出するステップと、
制御部が、
前記第1状態である場合の方が前記第1状態ではない第2状態である場合より前記ファンの回転速度が相対的に高くなるように制御するステップと、
を有
し、
前記制御部は、前記制御するステップにおいて、温度と前記ファンの回転速度とが関連付けられた設定情報を参照して、前記第1筐体内の温度を検出するセンサの検出結果に基づいて前記ファンの回転速度を制御し、
前記ファンの回転速度が同一の場合に発生する音量が前記第2状態である場合より前記第1状態である場合の方が小さい分を回転速度の上昇に転換し、前記設定情報において、前記第1状態である場合に参照する第1設定情報は、前記第2状態である場合に参照する第2設定情報より、同一温度での前記ファンの回転速度が高くなるように設定されている、
制御方法。
【請求項5】
少なくとも吸気口とユーザの操作を受け付ける複数の操作子とが設けられている第1面を有する第1筐体と、前記第1筐体に対して相対的に回動可能に接続され、当該回動により前記第1筐体の前記第1面を覆うように重なり合う第2面を有する第2筐体と、前記第1筐体内の空気を少なくとも前記吸気口を介して外気と入れ替えるためのファンを有する放熱部とを備える情報処理装置における制御方法であって、
状態検出部が、前記第1筐体と前記第2筐体との回動により前記第1面と前記第2面とが重なり合う第1状態であるか否かを検出するステップと、
制御部が、
前記第1状態である場合の方が前記第1状態ではない第2状態である場合より前記ファンの回転速度が相対的に高くなるように制御するステップと、
前記状態検出部が、前記第1筐体と前記第2筐体との回動により前記第1面の反対面と前記第2面の反対面とが重なり合う第3状態であるか否かの検出と、前記情報処理装置の載置状態の検出を行うステップと、
前記制御部が、前記第3状態であるか否かと前記情報処理装置の載置状態とに基づいて、前記ファンの回転速度を制御するステップと、
を有する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートPC(パーソナルコンピュータ)などの情報処理装置は、CPU(Central Processing Unit)などの電子デバイスが動作に応じて発熱し、温度が上昇する。このような情報処理装置では、筐体の温度上昇を抑制するためにサーマルコントロールを行っているものがある。サーマルコントロールの手段としては、主要な電子デバイスなどの温度を測定するための温度センサと、筐体内の空気を外気と入れ替えるための放熱用のファンとを設け、温度センサの検出結果に基づいてファンの回転速度などを制御するよう構成されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、筐体には外気を取り込むための吸気口が設けられているが、情報処理装置の使用状態によって吸気口から外気を取り込みにくい状態になると、吸気効率が低下し放熱性能が低下してしまうことがある。
【0005】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたもので、使用状態による放熱性能の低下を抑制する情報処理装置、及び制御方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1態様に係る情報処理装置は、少なくとも吸気口が設けられている第1面を有する第1筐体と、前記第1筐体に対して相対的に回動可能に接続され、当該回動により前記第1筐体の前記第1面に対して重なり合う第2面を有する第2筐体と、前記第1筐体内の空気を少なくとも前記吸気口を介して外気と入れ替えるためのファンを有する放熱部と、前記第1面と前記第2面とが重なり合う第1状態であるか否かを検出する状態検出部と、前記第1状態であるか否かに応じて前記ファンの制御を変更する制御部と、を備える。
【0007】
上記情報処理装置において、前記制御部は、前記第1状態ではない第2状態である場合より前記第1状態である場合の方が、前記ファンの回転速度が相対的に高くなるように制御してもよい。
【0008】
上記情報処理装置において、前記制御部は、温度と前記ファンの回転速度とが関連付けられた設定情報を参照して、前記第1筐体内の温度を検出するセンサの検出結果に基づいて前記ファンの回転速度を制御し、前記設定情報において、前記第1状態である場合に参照する第1設定情報は、前記第2状態である場合に参照する第2設定情報より、同一温度での前記ファンの回転速度が高くなるように設定されてもよい。
【0009】
上記情報処理装置において、前記ファンの回転速度が同一の場合に発生する音量が前記第2状態である場合より前記第1状態である場合の方が小さい分を回転速度の上昇に転換し、前記第1設定情報は、前記第2設定情報より同一温度での前記ファンの回転速度が高くなるように設定されてもよい。
【0010】
上記情報処理装置において、前記第1設定情報及び前記第2設定情報のそれぞれは、さらにプロセッサのパフォーマンスに関係する複数種類の設定モードと関連付けられてもよい。
【0011】
上記情報処理装置において、前記第1面には、ユーザの操作を受け付ける複数の操作子が配列されており、前記吸気口は、前記複数の操作子のそれぞれの周囲の少なくとも一部に対応して設けられてもよい。
【0012】
上記情報処理装置において、前記状態検出部は、前記第1筐体と前記第2筐体との回動により前記第1面の反対面と前記第2面の反対面とが重なり合う第3状態であるか否かの検出と、前記情報処理装置の載置状態の検出をさらに行い、前記制御部は、前記第3状態であるか否かと前記情報処理装置の載置状態とに基づいて、前記ファンの回転速度を制御してもよい。
【0013】
上記情報処理装置において、前記第1筐体の前記第1面の反対面には、ユーザの操作を受け付ける複数の操作子が配列されており、前記第2筐体の前記第2面の反対面には、表示部が設けられてもよい。
【0014】
また、本発明の第2態様に係る、少なくとも吸気口が設けられている第1面を有する第1筐体と、前記第1筐体に対して相対的に回動可能に接続され、当該回動により前記第1筐体の前記第1面に対して重なり合う第2面を有する第2筐体と、前記第1筐体内の空気を少なくとも前記吸気口を介して外気と入れ替えるためのファンを有する放熱部とを備える情報処理装置における制御方法は、状態検出部が、前記第1面と前記第2面とが重なり合う第1状態であるか否かを検出するステップと、制御部が、前記第1状態であるか否かに応じて前記ファンの制御を変更するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の上記態様によれば、使用状態による放熱性能の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施形態に係る情報処理装置の外観を示す斜視図。
【
図2】第1の実施形態に係る情報処理装置の機器筐体内部を模式的に示した平面図。
【
図3】第1の実施形態に係る吸気口が設けられている位置の一例を示す模式図。
【
図5】第1の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
【
図6】第1の実施形態に係る情報処理装置の機能構成の一例を示すブロック図。
【
図7】第1の実施形態に係るファンテーブルの一例を示す図。
【
図8】第1の実施形態に係るファン回転速度設定処理の一例を示すフローチャート。
【
図9】第1の実施形態に係るファンモード設定処理の一例を示すフローチャート。
【
図10】第1の実施形態に係るファン制御処理の一例を示すフローチャート。
【
図11】第2の実施形態に係る情報処理装置の使用状態の一例を示す図。
【
図12】第3の実施形態に係る情報処理装置の外観を示す斜視図。
【
図13】第3の実施形態に係る情報処理装置の使用状態の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
<第1の実施形態>
まず、本実施形態に係る情報処理装置の概要について説明する。
[情報処理装置の概要]
図1は、本実施形態に係る情報処理装置の外観を示す斜視図である。図示する情報処理装置10は、クラムシェル型のノートPC(Personal Computer)である。情報処理装置10は、表示部14(ディスプレイ)が搭載されたディスプレイ筐体101と、キーボード32が搭載された機器筐体102と、ヒンジ機構103とを備えている。ディスプレイ筐体101及び機器筐体102は、略四角形の板状(例えば、平板状)の筐体である。ディスプレイ筐体101の側面の一つと機器筐体102の側面の一つとがヒンジ機構103を介して結合(連結)されており、ヒンジ機構103がなす回転軸の周りにディスプレイ筐体101と機器筐体102とが相対的に回動可能である。ディスプレイ筐体101と機器筐体102との回転軸の周りの開き角θが略0°の状態が、ディスプレイ筐体101と機器筐体102とが重なり合って閉じた状態(「閉状態」と称する)である。閉状態に対してディスプレイ筐体101と機器筐体102とが開いた状態のことを「開状態」と称する。開状態とは、開き角θが予め設定された閾値(例えば、10°)より大きくなるまで、ディスプレイ筐体101と機器筐体102とが相対的に回動された状態である。
【0018】
ディスプレイ筐体101の表示部14が設けられている面をディスプレイ面101a、ディスプレイ面101aに対して反対側の面をトップ面101bと称する。また、機器筐体102のキーボード32が設けられている面をキーボード面102a、キーボード面102aに対して反対側の面をボトム面102bと称する。閉状態においてディスプレイ面101aとキーボード面102aとは互いに対面する側の面である。図示する例において、キーボード32は、ユーザの操作を受け付ける複数のキー(操作子の一例)が配列された物理的なキーボードである。なお、キーボード面102aには、キーボード32以外にタッチパッドなどが設けられてもよい。
【0019】
閉状態では、ディスプレイ筐体101のディスプレイ面101aと機器筐体102のキーボード面102aとが重なり合うため、表示部14が視認できない状態、且つキーボード32への操作ができない状態となる。一方、開状態では、表示部14が視認可能な状態、且つキーボードへの操作が可能な状態となる。
【0020】
図2は、情報処理装置10の機器筐体102の内部を模式的に示した平面図である。機器筐体102の内部には、マザーボードMB、記憶媒体23、オーディオシステム24、バッテリ34、及び放熱ファン35が配置されている。マザーボードMBには、例えば、CPU(Central Processing Unit)11、ビデオサブシステム13、チップセット21、BIOS(Basic Input Output System)メモリ22、エンベデッドコントローラ31、及び電源回路33などが実装されている。
【0021】
CPU11は、CPU及びGPU(Graphics Processing Unit)、又はそれらのうちの何れかであってもよい。CPU11はCPUとGPUを同一のコアに形成するタイプでもよい。さらにCPU11はCPUとGPUを別々のコアで形成し負荷を分担するタイプでもよい。また、CPU11は複数でもよい。CPU11は、動作周波数、消費電力などが高いほど多くの熱を発生し、機器筐体102内の温度上昇につながる。なお、機器筐体102内の他の電子デバイスも熱の発生源になり得る。
【0022】
放熱ファン35(放熱部の一例)は、機器筐体102内の空気を外気と入れ替える。例えば、放熱ファン35が作動してファン(羽根車)が回転すると、外気が機器筐体102の吸気口81を通じて機器筐体102内に入り、ヒート・シンク(不図示)と熱交換して排気口83から機器筐体102の外に排出される。ヒート・シンクは、ヒート・パイプ(不図示)などによりCPU11と熱結合されている。機器筐体102には、温度管理が必要とされる電子デバイスと機器筐体102内の所定の複数の位置のそれぞれに温度センサ36が配置されている。例えば、図示する温度センサ36aはCPU11の温度を検出するために配置されている。不図示の他の温度センサ36も、それぞれの位置の温度を同様に検出するために配置されている。情報処理装置10は、各温度センサ36の検出温度に基づいて放熱ファン35を回転させることで、機器筐体102の内部の熱を放熱させることができる。
【0023】
図3は、機器筐体102において吸気口81が設けられている位置の一例を示す模式図である。
図3(A)に示すように、情報処理装置10は、機器筐体102のキーボード面102aに吸気口81が設けられており、放熱ファン35が回転すると、キーボード面102a側に設けられている吸気口81から吸気が行われる(外気が取り込まれる)。
図3(B)は、キーボード32の一部を拡大し、吸気口81の位置を示すために一部のキーが外された状態として示している。この図に示すように、吸気口81は、キーボード32に配列されている複数のキーのそれぞれの周囲の少なくとも一部に対応して設けられている。例えば、隣り合うキーとキーとの間(隙間)の一部に退部に対応して、複数の吸気口81が設けられている。なお、吸気口81は、キーとキーとの間に限らず、端に設けられているキーの周囲の辺のうち、隣にキーが存在しない辺に対応する位置に設けられてもよい。これらの吸気口81は、実際にはキーが取り付けられている状態ではキーの裏側となるため視認できない。放熱ファン35が回転すると、外気がキーの隙間から吸気口81へと取り込まれる。
【0024】
排気口83は、例えば機器筐体102の側面の一部に設けられている。なお、排気口83は、機器筐体102の側面に代えて又は加えてボトム面102bに設けられてもよい。また、吸気口81は、キーボード面102aのみならず、キーボード面102a以外の機器筐体102の側面の一部またはボトム面102bなどにも設けられてもよい。
【0025】
ユーザが情報処理装置10を使用する際の一般的な使用状態としては、一例として開き角θが90°~180°程度の開状態であることが多い。この使用状態では、キーボード面102aからの吸気が可能である。しかしながら、情報処理装置10は閉状態で使用される場合もある。例えば、情報処理装置10を外部モニタに接続し、外部モニタ―の表示を見て使用する場合には、情報処理装置10を閉状態にして使用する場合もある。開状態で通常の操作モードで使用している状態から閉状態にした場合の操作モードは、例えば、OSの設定で、「何もしない」、「スリープ状態」、「休止状態」、「シャットダウン」などからユーザが選択して設定できる。例えば、「何もしない」に設定しておくと、開状態から閉状態に遷移しても、そのまま通常動作モードで情報処理装置10を使用することができる。
【0026】
情報処理装置10が閉状態で使用されている場合、キーボード面102aがディスプレイ筐体101のディスプレイ面101aで覆われて吸気口81から外気を取り込みにくい状態になる。そのため、閉状態では、開状態のときと同様に放熱ファン35を回転させても、吸気効率が落ちて放熱性能が低下することがある。他方、放熱ファン35を回転させたときに発生する音(騒音)は、開状態のときに比較して閉状態のときの方が小さい。これは、キーボード面102aがディスプレイ筐体101のディスプレイ面101aで覆われることにより、機器筐体102から漏れ出す音や音の響きが小さくなることによる。
【0027】
そこで、情報処理装置10は、閉状態では、放熱ファン35を回転させたときに発生する音(騒音)の大きさが開状態のときに比較して低下する分、同程度の音の大きさになるまで放熱ファン35の回転速度(単位時間当たりの回転数)が高くなるように制御する。この制御により、閉状態での放熱性能の低下を抑制する。
【0028】
[放熱制御の概要]
図4を参照して、情報処理装置10が閉状態と開状態とで放熱ファン35の回転速度を変更する放熱制御の考え方について具体的に説明する。
図4は、本実施形態に係る放熱制御の説明図である。この図は、開状態(Lid Open)と閉状態(Lid Close)での放熱ファン35の回転速度(rpm)と音圧レベル(dBA)との関係の一例を示している。
図4(A)は、開状態と閉状態で同じファンテーブルを用いて同一の回転速度に制御したときの音圧レベルの測定結果の一例を示している。ファンテーブルは、放熱ファン35の回転の開始、回転の停止、回転速度などの制御情報が設定されたデータテーブルである。同じファンテーブルであれば、放熱ファン35は、同一の条件で同一の回転速度に制御される。
【0029】
図4(A)に示す例では、回転速度が2850rpmのときの音圧レベルは、開状態で14.8dBA、閉状態で14.3dBAである。閉状態の方が開状態より0.5dBA低い。回転速度が3850rpmのときの音圧レベルは、開状態で25.5dBA、閉状態で23.1dBAである。閉状態の方が開状態より2.4dBA低い。回転速度が4200rpmのときの音圧レベルは、開状態で29.0dBA、閉状態で25.7dBAである。閉状態の方が開状態より2.8dBA低い。回転速度が4750rpmのときの音圧レベルは、開状態で32.4dBA、閉状態で29.2dBAである。閉状態の方が開状態より3.2dBA低い。
【0030】
同一の回転速度で閉状態の方が開状態よりも音圧レベルが低下する分が余力分となるため、その余力分を回転速度の上昇に転換し、同程度の音圧レベルになるように調整する。
図4(B)は、閉状態用のファンテーブルとして開状態のファンテーブルとは異なる新しいファンテーブルを用いる場合の音圧レベルの測定結果の一例を示している。
【0031】
開状態で回転速度2850rpmのときに音圧レベル14.8dBAであったのに対し、閉状態では回転速度を3050rpm(+200rpm)に高くしても、音圧レベルは15.0dBAであり、開状態の音圧レベル14.8dBAとほぼ同等になる。同様に、開状態で回転速度3850rpmのときに音圧レベル14.8dBAであったのに対し、閉状態では回転速度を4350rpm(+500rpm)に高くしても、音圧レベルは26.0dBAであり、開状態の音圧レベル25.5dBAとほぼ同等になる。
【0032】
本実施形態に係る情報処理装置10は、閉状態の方が開状態よりも音圧レベルが低下する分を回転速度に転換し、閉状態と開状態とで同程度の音圧レベルになるように、開状態よりも閉状態の方が回転速度が高く設定されたファンテーブルを用いて放熱制御を行う。以下、情報処理装置10の構成について詳しく説明する。
【0033】
[情報処理装置10のハードウェア構成]
次に、
図5を参照して、情報処理装置10の主要なハードウェア構成について説明する。
図5は、情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0034】
情報処理装置10は、CPU11と、メインメモリ12と、ビデオサブシステム13と、表示部14と、チップセット21と、BIOSメモリ22と、記憶媒体23と、オーディオシステム24と、WLANカード25と、USBコネクタ26と、エンベデッドコントローラ31と、キーボード32と、電源回路33と、バッテリ34と、放熱ファン35と、温度センサ36と、加速度センサ37とを備える。
【0035】
CPU11は、プログラム制御により種々の演算処理を実行し、情報処理装置10全体を制御している。例えば、CPU11は、OS(Operating System)やBIOSのプログラムに基づく処理を実行する。
メインメモリ12は、CPU11の実行プログラムの読み込み領域として、又は、実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。メインメモリ12は、例えば、複数個のDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップで構成される。この実行プログラムには、OS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム等が含まれる。
【0036】
ビデオサブシステム13は、画像表示に関連する機能を実現するためのサブシステムであり、ビデオコントローラを含んでいる。このビデオコントローラは、CPU11からの描画命令を処理し、処理した描画情報をビデオメモリに書き込むとともに、ビデオメモリからこの描画情報を読み出して、表示部14に描画データ(表示データ)として出力する。
【0037】
表示部14は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであり、ビデオサブシステム13から出力された描画データ(表示データ)に基づく表示画面を表示する。
【0038】
チップセット21は、USB(Universal Serial Bus)、シリアルATA(AT Attachment)、SPI(Serial Peripheral Interface)バス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI-Expressバス、及びLPC(Low Pin Count)バスなどのコントローラを備えており複数のデバイスが接続される。例えば、複数のデバイスとして、後述するBIOSメモリ22と、記憶媒体23と、オーディオシステム24と、WLANカード25と、USBコネクタ26と、エンベデッドコントローラ31とが含まれる。
【0039】
BIOSメモリ22は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュROMなどの電気的に書き換え可能な不揮発性メモリで構成される。BIOSメモリ22は、BIOS、及びエンベデッドコントローラ31などを制御するためのシステムファームウェアなどを記憶する。
【0040】
記憶媒体23は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、などを含んで構成される。例えば、記憶媒体23は、OS、各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム、及び各種データを記憶する。
【0041】
オーディオシステム24は、不図示のマイク及びスピーカが接続され、音データの記録、再生、出力を行う。なお、マイク及びスピーカは、一例として、情報処理装置10に内蔵されている。
【0042】
WLAN(Wireless Local Area Network)カード25は、ワイヤレス(無線)LANにより、ネットワークに接続して、データ通信を行う。WLANカード25は、例えば、ネットワークからのデータを受信した際に、データを受信したことを示すイベントトリガを発生する。
USBコネクタ26は、USBを利用した周辺機器類を接続するためのコネクタである。
【0043】
キーボード32は、ユーザの操作を受け付ける複数のキー(操作子の一例)が配列された入力デバイスである。キーボード32は、
図1に示すように、機器筐体102のキーボード面102aに設けられている。キーボード32は、ユーザの操作により入力された入力情報(例えば、キーボードに対して操作されたキーを示す操作信号)をエンベデッドコントローラ31へ出力する。
【0044】
電源回路33は、例えば、DC/DCコンバータ、充放電ユニット、AC/DCアダプタなどを含んで構成されている。例えば、電源回路33は、ACアダプタ(不図示)などの外部電源又はバッテリ34から供給される直流電圧を、情報処理装置10を動作させるために必要な複数の電圧に変換する。また、電源回路33は、エンベデッドコントローラ31からの制御に基づいて、情報処理装置10の各部に電力を供給する。
【0045】
バッテリ34は、例えば、リチウムバッテリであり、情報処理装置10に外部電源から電力供給されている場合に、電源回路33を介して充電され、情報処理装置10に外部電源から電力供給されていない場合に、電源回路33を介して、充電された電力を情報処理装置10の動作電力として出力する。
【0046】
加速度センサ37は、ディスプレイ筐体101の内部に設けられた加速度センサ37Aと、機器筐体102の内部に設けられた加速度センサ37Bを含む。情報処理装置10は、2つの加速度センサ37(37A、37B)の検出結果を、ディスプレイ筐体101と機器筐体102との開き角θの検出に利用する。例えば、情報処理装置10は、加速度センサ37Aから出力される検知信号と、加速度センサ37Bから出力される検知信号とに基づいて、ディスプレイ筐体101と機器筐体102とのそれぞれの向き(姿勢)を推定することにより開き角θを検出することができる。
【0047】
エンベデッドコントローラ31は、情報処理装置10のシステムの状態に関わらず、各種デバイス(周辺装置やセンサ等)を監視して制御するワンチップマイコン(One-Chip Microcomputer)である。エンベデッドコントローラ31は、不図示のCPU、ROM、RAM、複数チャネルのA/D入力端子、D/A出力端子、タイマ、及びデジタル入出力端子を備える。エンベデッドコントローラ31のデジタル入出力端子には、例えば、キーボード32、電源回路33、放熱ファン35、温度センサ36、及び加速度センサ37などが接続されている。エンベデッドコントローラ31は、キーボード32からの入力情報(操作信号)や、温度センサ36、加速度センサ37などからのセンサ信号を受け取る。また、エンベデッドコントローラ31は、電源回路33、放熱ファン35などの動作を制御する。
【0048】
例えば、エンベデッドコントローラ31は、温度センサ36の検出結果(検出温度)を取得し、検出結果に基づいて放熱ファン35を制御する。また、エンベデッドコントローラ31は、加速度センサ37の検出結果に基づいて開状態であるか閉状態であるかを検出し、開状態であるか閉状態であるかに応じて放熱ファン35の回転速度を変更する放熱制御を行う。
【0049】
[情報処理装置10の機能構成]
図6は、本実施形態に係る情報処理装置10の機能的な構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置10は、機能的な構成として、BIOS制御部100、パフォーマンス設定ドライバ110、パフォーマンス制御ドライバ111、OS120、状態検出部311、ファン制御部312、及びファンテーブル313を備えている。
【0050】
図6において、サービス/ユーティリティ、ドライバ、及びBIOSは、例えば、記憶媒体23又はBIOSメモリ22に記憶されているOS、ドライバ、及びBIOSの各プログラムをメインメモリ12に読み込み、CPU11が実行することにより実現される。ここで、BIOS制御部100がBIOSに対応し、パフォーマンス設定ドライバ110及びパフォーマンス制御ドライバ111がドライバに対応し、OS120がサービス/ユーティリティに対応する。また、状態検出部311、ファン制御部312、及びファンテーブル313は、エンベデッドコントローラ31が内部のROMに記憶されているプログラムを実行することにより実現される機能構成である。
【0051】
OS120は、OS及びOS上で動作するアプリケーションや、OSに含まれるユーティリティソフトウェアなどの処理を実行する。例えば、OS120は、ユーザの操作などに応じて、情報処理装置10のサーマルコントロールの設定情報をパフォーマンス設定ドライバ110へ通知する。サーマルコントロールは、情報処理装置10の温度上昇を抑制するために、CPU11の動作や放熱ファン35の回転を制御するものである。例えば、サーマルコントロールの設定モードには、「静粛モード(Quiet mode)」、「バランスモード(Balance mode)」、「パフォーマンスモード(Performance mode)」などが含まれる。上記の設定モードの中から、ユーザは任意の設定モードを選択することができる。サーマルコントロールの設定情報には、上記の設定モードの中から選択された設定モードを示す情報が含まれる。
【0052】
静粛モードは、CPU11による処理のパフォーマンスよりも静粛性を優先させるために、温度が上昇したときに放熱ファン35の回転速度を上昇させることよりも先にCPU11の消費電力や動作周波数を下げるモードである。
【0053】
パフォーマンスモードは、静粛性よりもパフォーマンスを優先させるために、温度が上昇したときに先に放熱ファン35の回転速度をその設定可能な上限速度まで上昇させるモードである。上記のように放熱ファン35の回転速度を制御しても、さらに、検出された温度が上昇する場合には、CPU11の消費電力や動作周波数を下げる。
【0054】
バランスモードは、静粛モードの静粛性とパフォーマンスモードのパフォーマンスの双方の利点を生かすように調整されるモードであり、静粛モードとパフォーマンスモードの間で制御するモードである。
【0055】
パフォーマンス設定ドライバ110は、サーマルコントロールの設定情報(静粛モード/バランスモード/パフォーマンスモード)をOS120から取得すると、取得した設定情報をBIOS制御部100へ通知する。
【0056】
パフォーマンス制御ドライバ111は、BIOS制御部100からの指示に応じて、CPU11のパフォーマンスに関係するパラメータを設定する。パフォーマンスに関係するパラメータには、例えばCPU11の消費電力の上限の設定やCPU11の動作周波数の上限の設定などが含まれる。例えば、パフォーマンス制御ドライバ111には、静粛モード、バランスモード、パフォーマンスモードなどのそれぞれについて、CPU11のパフォーマンスに関係するパラメータの設定値が関連付けられている。そして、パフォーマンス制御ドライバ111は、BIOS制御部100から静粛モード、バランスモード、またはパフォーマンスモードのいずれかへの設定を指示するモード設定情報を取得すると、取得したモード設定情報に示される設定モードでCPU11が動作するようにパラメータを設定する。
【0057】
状態検出部311は、加速度センサ37(37A、37B)から出力される検知信号を取得し、取得した検知信号に基づいて情報処理装置10が閉状態であるか否かを検出する。例えば、状態検出部311は、加速度センサ37(37A、37B)の検知信号に基づいてディスプレイ筐体101と機器筐体102との開き角θを求め、開き角θが予め設定された第1閾値未満の場合に閉状態であると判定する。一方、状態検出部311は、開き角θが予め設定された第2閾値以上の場合に開状態であると判定する。第1閾値は、開状態から閉状態になったこと判定するための閾値である。第2閾値は、閉状態から開状態になったこと判定するための閾値である。第2閾値は、第1閾値より大きい値とし、開状態と閉状態との判定にはヒステリシス特性が設けられている。一例として、第1閾値を5°、第2閾値を10°としてもよい。状態検出部311は、開状態であること或いは閉状態であることを示す状態検出情報をBIOS制御部100へ出力する。
【0058】
なお、本実施形態では加速度センサ37(37A、37B)を用いて閉状態であるか否かを検出する構成例としているが、これに限られるものではない。例えば、加速度センサ37に代えて又は加えてジャイロセンサ、傾斜センサ、地磁気センサなどを用いてもよい。また、ホールセンサを用いて、閉状態であるか否かを検出する構成としてもよい。例えば、ディスプレイ筐体101側に磁石と機器筐体102側にホールセンサとがそれぞれ対応する位置に設けられ、状態検出部311は、開状態のときと閉状態のときで変化する磁界に応じたホールセンサの検知信号に基づいて、閉状態であるか否かを検出してもよい。
【0059】
ファン制御部312は、温度センサ36(36a~36e)の検出結果(検出温度)に基づいて、放熱ファン35の動作を制御する。例えば、ファン制御部312は、ファンテーブル313を参照して、機器筐体102内の温度に応じて設定されている放熱ファン35の回転の開始、回転の停止、回転速度などに基づいて放熱ファン35を制御する。ファンテーブル313は、放熱ファン35の回転の開始、回転の停止、回転速度などを制御するための情報が設定されたデータテーブル(設定情報)である。このファンテーブル313は、例えば、エンベデッドコントローラ31内のメモリに記憶されている。
【0060】
図7は、本実施形態に係るファンテーブル313の一例を示す図である。ファンテーブル313には、放熱ファン35の回転を制御する設定温度が規定されているファン制御テーブル313A(
図7(A)参照)と、回転速度が規定されているファン回転速度テーブル313B(
図7(B)参照)とが含まれる。
図7(A)に示すファン制御テーブル313Aには、放熱ファン35の回転を制御する際の設定情報として、温度センサ36(36a~36e)ごとの放熱ファン35の回転を制御する設定温度が関連付けられている。例えば、情報処理装置10の機器筐体102内の所定の複数の位置に配置されている温度センサ36(36a~36e)ごとに、放熱ファン35の動作状態を停止、低速回転、中速回転、及び高速回転の4段階の速度ステップで変更するための設定温度の値(閾値)が格納されている。設定温度は、各動作状態に対するイネーブル温度LTe、MTe、HTeとディスエーブル温度LTd、MTd、HTdで構成され、回転速度が上昇方向に変化する場合と下降方向に変化する場合との間にヒステリシス特性が設けられている。
【0061】
低速回転、中速回転、及び高速回転のそれぞれのイネーブル温度LTe、MTe、HTeは、温度センサの測定温度が上昇傾向にある場合に、1ステップ遅い速度ステップから当該速度ステップに移行する温度である。低速回転、中速回転、及び高速回転のそれぞれのディスエーブル温度LTd、MTd、HTdは、温度センサの測定温度が下降傾向にある場合に、当該速度ステップより1ステップ遅い速度ステップに移行する温度である。ここで、上記の低速回転より遅い速度ステップは停止状態である。
【0062】
例えば、ファン制御部312は、何れかの温度センサ36a~36eの測定温度がイネーブル温度LTeに到達したとき放熱ファン35の回転を開始させ、イネーブル温度MTe、HTeに到達したときに回転速度を1ステップ上昇させる。また、ファン制御部312は、すべての温度センサ36a~36eの測定温度がディスエーブル温度MTd、HTd未満まで下降したとき放熱ファン35の回転速度を1ステップ下降させ、ディスエーブル温度LTd未満になったときに回転を停止させる。
【0063】
放熱ファン35の回転速度が上昇するほど排気口83を通過する際の空気の摩擦音が大きくなる。例えば、CPU11の温度が上昇すると、これにつれて放熱ファン35の回転速度が上昇し、発生する音の音圧レベルが高くなる。
【0064】
また、ファン制御テーブル313Aには、サーマルコントロールの設定モード(静粛モード/バランスモード/パフォーマンスモード)ごとに、それぞれの設定に合わせた異なる設定情報(放熱ファン35の回転を制御する設定温度)が格納されたテーブルが含まれる。
図7(A)に示す例では、静粛モードのファン制御テーブルFT_A1、バランスモードのファン制御テーブルFT_A2、及びパフォーマンスモードのファン制御テーブルFT_A3が含まれる。
【0065】
図7(B)に示すファン回転速度テーブル313Bには、放熱ファン35の回転速度の設定情報として、開状態の回転速度の設定情報(第2設定情報)と閉状態の回転速度の設定情報(第1設定情報)とが格納されている。図示する例では、開状態の低速回転は2850rpm、閉状態の低速回転は3050rpmに設定されている。開状態の中速回転は3850rpm、閉状態の中速回転は4350rpmに設定されている。開状態の高速回転は4750rpm、閉状態の高速回転は5450rpmに設定されている。
【0066】
これらの設定は、
図4を参照して説明したように、低速回転、中速回転、及び高速回転のそれぞれにおいて、開状態である場合より閉状態である場合の方が放熱ファン35の回転速度が相対的に高くなるように設定されている。例えば、回転速度が同一の場合に発生する音量(音圧レベル)が開状態である場合より閉状態である場合の方が小さいことを利用して、その音量の小さい分が回転速度の上昇に転換されており、閉状態のときの回転速度の設定情報は、開状態のときの回転速度の設定情報より同一温度での放熱ファン35の回転速度が高くなるように設定されている。
【0067】
いずれのテーブルを参照して放熱ファン35の回転制御を行うかは、BIOS制御部100の指示により決定される。
なお、ここでは複数の温度センサ36の例として、温度センサ36a~36eを例示しているが、温度センサ36の例の数は任意の数とすることができる。また、放熱ファン35の回転速度の設定を、高速回転、中速回転、低速回転の3種類としているが、1種類または2種類としてもよいし、4種類以上としてもよい。
【0068】
図6に戻り、BIOS制御部100は、サーマルコントロールの設定情報(静粛モード/バランスモード/パフォーマンスモード)をパフォーマンス設定ドライバ110から取得する。そして、BIOS制御部100は、取得した設定情報に基づいて、サーマルコントロールの制御を行う。例えば、BIOS制御部100は、取得したサーマルコントロールの設定情報に基づいて、静粛モード、バランスモード、及びパフォーマンスモードのうちの選択されたモードへの設定を指示するモード設定情報をパフォーマンス制御ドライバ111に通知する。また、BIOS制御部100は、静粛モード、バランスモード、及びパフォーマンスモードのうち選択されたモードのファンテーブル(
図7(A)のファン制御テーブル313Aのいずれかのテーブル)を参照する指示を示すファンモード設定情報をエンベデッドコントローラ31へ出力する。
【0069】
さらに、BIOS制御部100は、開状態であるか或いは閉状態であるかに応じて放熱ファン35の制御を変更する。例えば、BIOS制御部100は、状態検出部311により出力された開状態であるか或いは閉状態であるかを示す状態検出情報を取得する。そして、BIOS制御部100は、取得した状態検出情報に基づいて、開状態の回転速度の設定情報と閉状態の回転速度の設定情報とのいずれの設定情報を参照するかの指示を示すファン回転速度設定情報をエンベデッドコントローラ31へ出力する。具体的には、BIOS制御部100は、開状態である場合には、
図7(B)に示すファン回転速度テーブル313Bの開状態の回転速度の設定情報を参照する指示を示すファン回転速度設定情報を出力する。一方、BIOS制御部100は、閉状態である場合には、
図7(B)に示すファン回転速度テーブル313Bの閉状態の回転速度の設定情報を参照する指示を示すファン回転速度設定情報を出力する。
【0070】
ファン制御部312は、BIOS制御部100からエンベデッドコントローラ31へ出力されたファンモード設定情報とファン回転速度設定情報とに基づいて、ファン制御テーブル313A及びファン回転速度テーブル313Bを参照して、放熱ファン35を制御する。具体的には、ファン制御部312は、ファンモード設定情報に示される設定モード(静粛モード/バランスモード/パフォーマンスモード)に基づいて、静粛モードに設定されている場合には静粛モードのファン制御テーブルFT_A1、バランスモードに設定されている場合にはバランスモードのファン制御テーブルFT_A2、パフォーマンスモードに設定されている場合にはパフォーマンスモードのファン制御テーブルFT_A3をそれぞれ参照して、放熱ファン35を制御する。また、ファン制御部312は、ファン回転速度設定情報に基づいて、開状態である場合にはファン回転速度テーブル313Bの開状態の回転速度の設定情報、閉状態である場合にはファン回転速度テーブル313Bの閉状態の回転速度の設定情報をそれぞれ参照して、放熱ファン35を制御する。
【0071】
即ち、ファン制御部312(制御部の一例)は、開状態である場合より閉状態である場合の方が、放熱ファン35の回転速度が相対的に高くなるように制御する。例えば、ファン制御部312は、機器筐体102内の温度と放熱ファン35の回転の開始、回転の停止、回転速度などが関連付けられたファンテーブル313(ファン制御テーブル313A及びファン回転速度テーブル313B)を参照して、機器筐体102内の温度を検出する温度センサ36の検出結果に基づいて放熱ファン35の回転速度を制御する。
【0072】
[ファン回転速度設定処理の動作]
次に、
図8を参照して、情報処理装置10が開状態であるか或いは閉状態であるかに応じて放熱ファン35の回転速度を設定するファン回転速度設定処理の動作について説明する。
図8は、本実施形態に係るファン回転速度設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0073】
(ステップS101)状態検出部311は、加速度センサ37から出力される検知信号を取得すると、ステップS103の処理に進む。
【0074】
(ステップS103)状態検出部311は、ステップS101で取得した加速度センサ37からの検知信号に基づいて情報処理装置10が閉状態であるか否かを判定する。状態検出部311は、閉状態であると判定した場合(YES)、閉状態であることを示す状態検出情報をBIOS制御部100へ出力し、ステップS105の処理に進む。一方、状態検出部311は、閉状態ではない(開状態である)と判定した場合(NO)、開状態であることを示す状態検出情報をBIOS制御部100へ出力し、ステップS107の処理に進む。
【0075】
(ステップS105)BIOS制御部100は、閉状態であることを示す状態検出情報を状態検出部311から取得すると、閉状態の回転速度に設定する。具体的には、BIOS制御部100は、閉状態の回転速度の設定情報を参照する指示を示すファン回転速度設定情報をエンベデッドコントローラ31(ファン制御部312)へ出力する。これにより、ファン制御部312は、放熱ファン35を制御する際に、ファン回転速度テーブル313B(
図7(B)参照)の閉状態の回転速度の設定情報を参照する。
【0076】
(ステップS107)BIOS制御部100は、開状態であることを示す状態検出情報を状態検出部311から取得すると、開状態の回転速度に設定する。具体的には、BIOS制御部100は、開状態の回転速度の設定情報を参照する指示を示すファン回転速度設定情報をエンベデッドコントローラ31(ファン制御部312)へ出力する。これにより、ファン制御部312は、放熱ファン35を制御する際に、ファン回転速度テーブル313B(
図7(B)参照)の開状態の回転速度の設定情報を参照する。
【0077】
[ファンモード設定処理の動作]
次に、
図9を参照して、情報処理装置10がサーマルコントロールの設定情報(設定モード)に基づいて、放熱ファン35を制御する際の設定情報を設定するファンモード設定処理の動作について説明する。
図9は、本実施形態に係るファンモード設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0078】
(ステップS201)BIOS制御部100は、サーマルコントロールの設定情報(静粛モード/バランスモード/パフォーマンスモード)をパフォーマンス設定ドライバ110から取得すると、ステップS203の処理に進む。例えば、ユーザの操作などに応じて静粛モード、バランスモード、またはパフォーマンスモードいずれかが選択されることにより、BIOS制御部100は、OS120及びパフォーマンス設定ドライバ110を介してサーマルコントロールの設定情報を取得する。
【0079】
(ステップS203)BIOS制御部100は、取得したサーマルコントロールの設定情報に基づいて、静粛モード、バランスモード、及びパフォーマンスモードのいずれが選択されたサーマルコントロールの設定モードであるか否かを判定する。静粛モードである場合にはステップS205の処理へ、バランスモードである場合にはステップS207の処理へ、パフォーマンスモードである場合にはステップS209の処理へそれぞれ進む。
【0080】
(ステップS205)BIOS制御部100は、静粛モードが選択されたと判定された場合、静粛モードのファン制御テーブルFT_A1(
図7(A)のファン制御テーブル313A参照)に設定する。具体的には、BIOS制御部100は、静粛モードのファン制御テーブルFT_A1を参照する指示を示すファンモード設定情報をエンベデッドコントローラ31(ファン制御部312)へ出力する。これにより、ファン制御部312は、放熱ファン35を制御する際に、静粛モードのファン制御テーブルFT_A1を参照する。
【0081】
(ステップS207)BIOS制御部100は、バランスモードが選択されたと判定された場合、バランスモードのファン制御テーブルFT_A2(
図7(A)のファン制御テーブル313A参照)に設定する。具体的には、BIOS制御部100は、バランスモードのファン制御テーブルFT_A2を参照する指示を示すファンモード設定情報をエンベデッドコントローラ31(ファン制御部312)へ出力する。これにより、ファン制御部312は、放熱ファン35を制御する際に、バランスモードのファン制御テーブルFT_A2を参照する。
【0082】
(ステップS209)BIOS制御部100は、パフォーマンスモードが選択されたと判定された場合、パフォーマンスモードのファン制御テーブルFT_A3(
図7(A)のファン制御テーブル313A参照)に設定する。具体的には、BIOS制御部100は、パフォーマンスモードのファン制御テーブルFT_A3を参照する指示を示すファンモード設定情報をエンベデッドコントローラ31(ファン制御部312)へ出力する。これにより、ファン制御部312は、放熱ファン35を制御する際に、パフォーマンスモードのファン制御テーブルFT_A3を参照する。
【0083】
[ファン制御処理の動作]
次に、
図10を参照して、情報処理装置10がファンテーブル313を参照して放熱ファン35を制御するファン制御処理の動作について説明する。
図10、本実施形態に係るファン制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0084】
(ステップS301)エンベデッドコントローラ31(ファン制御部312)は、温度センサ36(36a~36e)の検出結果(検出温度)を取得する。そして、ステップS303の処理に進む。
【0085】
(ステップS303)ファン制御部312は、
図9に示すファンモード設定処理において設定されたファン制御テーブル313Aを参照して、ステップS301で取得した検出温度と、ファン制御テーブル313Aの低速回転、中速回転、及び高速回転のそれぞれの閾値(イネーブル温度LTe、MTe、HTe、及びディスエーブル温度LTd、MTd、HTd)と比較する。参照するファン制御テーブル313Aは、例えば、
図7(A)に示す静粛モードのファン制御テーブルFT_A1、バランスモードのファン制御テーブルFT_A2、及びパフォーマンスモードのファン制御テーブルFT_A3のうちの設定されたいずれかのテーブルである。そして、ステップS305の処理に進む。
【0086】
(ステップS305)ファン制御部312は、ステップS303で検出温度とファン制御テーブル313Aの各閾値とを比較した結果に基づいて回転速度の変更条件を満たしたか判定する。例えば、変更条件とは、検出温度がイネーブル温度LTe、MTe、HTeのいずれかの閾値に到達すること、或いは検出温度がディスエーブル温度LTd、MTd、HTdのいずれかの閾値未満まで下降することである。ファン制御部312は、回転速度の変更条件を満たしていないと判定した場合(NO),ステップS301の処理に戻る。一方、ファン制御部312は、回転速度の変更条件を満たしたと判定した場合(YES),ステップS307の処理に進む。
【0087】
(ステップS307)ファン制御部312は、
図8に示すファン回転速度設定処理において設定された開状態の回転速度または閉状態の回転速度(
図7(B)のファン回転速度テーブル313B参照)を参照して、放熱ファン35の回転速度を変更する。例えば、ファン制御部312は、ステップS305で回転速度の変更条件を満たしたことにより低速回転に制御する場合には、開状態のときは2850rpm、閉状態のときは3050rpmに制御する。また、ファン制御部312は、ステップS305で回転速度の変更条件を満たしたことにより中速回転に制御する場合には、開状態のときは3850rpm、閉状態のときは4350rpmに制御する。また、ファン制御部312は、ステップS305で回転速度の変更条件を満たしたことにより高速回転に制御する場合には、開状態のときは4750rpm、閉状態のときは5450rpmに制御する。なお、ファン制御部312は、ステップS305で回転速度の変更条件を満たしたことにより回転停止に制御する場合には、開状態のときでも閉状態のときでも同様に回転を停止させる。
【0088】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置10は、少なくとも吸気口81が設けられているキーボード面102a(第1面の一例)を有する機器筐体102(第1筐体の一例)と、機器筐体102に対して相対的に回動可能に接続され、当該回動により機器筐体102のキーボード面102aに対して重なり合うディスプレイ面101a(第2面の一例)を有するディスプレイ筐体101(第2筐体の一例)と、機器筐体102内の空気を少なくとも吸気口81を介して外気と入れ替えるためのファンを有する放熱ファン35(放熱部の一例)と、を備えている。この情報処理装置10は、キーボード面102aとディスプレイ面101aとが重なり合う閉状態(第1状態の一例)であるか否かを検出し、閉状態であるか否かに応じて放熱ファン35の制御を変更する。
【0089】
これにより、少なくともキーボード面102a側から吸気する情報処理装置10は、閉状態になったことにより吸気口81がディスプレイ筐体101(ディスプレイ面101a)で覆われて吸気効率が低下したとしても、閉状態になったことを検出して放熱ファン35の制御を変更することができるため、使用状態による放熱性能の低下を抑制することができる。
【0090】
例えば、情報処理装置10は、開状態(第2状態の一例)である場合より閉状態である場合の方が、放熱ファン35の回転速度が相対的に高くなるように制御する。
【0091】
これにより、情報処理装置10は、閉状態になったことにより開状態に対して吸気効率が低下しても放熱ファン35の回転速度を開状態よりも上昇させることができるため、使用状態による放熱性能の低下を抑制することができる。
【0092】
具体的には、例えば、情報処理装置10は、温度と放熱ファン35の回転速度とが関連付けられたファンテーブル313(設定情報の一例)を参照して、機器筐体102内の温度を検出する温度センサ36の検出結果に基づいて放熱ファン35の回転速度を制御する。このファンテーブル313において、ファン回転速度テーブル313B(
図7(B)参照)には、閉状態である場合に参照する閉状態の回転速度の設定情報(第1設定情報)と、開状態である場合に参照する開状態の回転速度の設定情報(第2設定情報)とが含まれている。そして、閉状態の回転速度の設定情報は、開状態の回転速度の設定情報より同一温度での放熱ファン35の回転速度が高くなるように設定されている。
【0093】
これにより、情報処理装置10は、開状態と閉状態のそれぞれの回転速度の設定情報を予め持っておき、開状態より閉状態のときの方が同一温度での放熱ファン35の回転速度が高くなるように設定されているため、閉状態にしたときに放熱性能が低下することを抑制できる。
【0094】
一例として、放熱ファン35の回転速度が同一の場合に発生する音量が開状態である場合より閉状態である場合の方が小さい分を回転速度の上昇に転換し、閉状態の回転速度の設定情報は、開状態の回転速度の設定情報より同一温度での放熱ファン35の回転速度が高くなるように設定されている。
【0095】
これにより、情報処理装置10は、放熱ファン35を回転させることにより発生する音(騒音)を閉状態と開状態とで同程度にしつつ、閉状態にしたときに放熱性能が低下することを抑制できる。
【0096】
また、閉状態の回転速度の設定情報及び開状態の回転速度の設定情報のそれぞれは、さらにCPU11(プロセッサの一例)のパフォーマンスに関係する複数種類の設定モード(例えば、静粛モード、バランスモード、パフォーマンスモードなど)と関連付けられている。
【0097】
これにより、情報処理装置10は、CPU11のパフォーマンスに関係する複数種類の設定モードにおいても、閉状態にしたときに放熱性能が低下することを抑制できる。
【0098】
また、機器筐体102のキーボード面102aには、ユーザの操作を受け付ける複数のキー(操作子の一例)が配列されている。吸気口81は、複数のキーのそれぞれの周囲の少なくとも一部に対応して設けられている。
【0099】
これにより、情報処理装置10は、キーボード32のキーとキーの隙間に吸気口81を設けているため、デザイン性を損ねることなく吸気面積を確保でき、小型・薄型化に有利である。
【0100】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態では、情報処理装置10の開き角θが略360°の状態(所謂、タブレットモードで使用する状態)でのファン制御処理について説明する。本実施形態に係る情報処理装置10の基本的な構成は、
図1~3、
図5、及び
図6に示す構成と同様であるためその説明を省略し、本実施形態において特有な処理について説明する。
【0101】
図11は、本実施形態に係る情報処理装置10の使用状態の一例を示す図である。情報処理装置10は、開き角θが略360°の状態で机DKの上に置かれている状態である。開き角θが略360°の状態とは、ディスプレイ筐体101のトップ面101bと機器筐体102のボトム面102bとが対面して重なり合う状態である。机DKの上に置かれている状態で使用される場合、一例として、図示するようにディスプレイ筐体101のディスプレイ面101aが机DKの上面と同様に上方向を向いている状態となり、機器筐体102のキーボード面102aが机DKの上面に接して下方向を向いている状態となる。この状態では、第1の実施形態で説明した閉状態と同様に、キーボード面102a側に設けられている吸気口81から外気を取り込みにくい状態になる。その反面、キーボード面102aが机DKの上面で覆われることになるため、機器筐体102から漏れ出す音や音の響きが小さくなる。
【0102】
そこで、情報処理装置10は、
図11に示すような開き角θが略360°の状態で机DKの上に置かれている状態を検出し、閉状態の場合と同様に、放熱ファン35の回転速度が相対的に高くなるように制御してもよい。以下では、情報処理装置10の開き角θが略360°の状態である場合を「タブレットモード」と称する。
【0103】
例えば、状態検出部311は、加速度センサ37(37A、37B)から出力される検知信号に基づいてディスプレイ筐体101と機器筐体102との開き角θを求め、開き角θが予め設定された第3閾値以上の場合にタブレットモードであると判定する。一方、状態検出部311は、開き角θが予め設定された第4閾値未満の場合にはタブレットモードではないと判定する。第3閾値は、タブレットモードになったことを判定するための閾値である。第4閾値は、タブレットモードではなくなったこと判定するための閾値である。第4閾値は、第3閾値より小さい値とし、タブレットモードであるか否かの判定にはヒステリシス特性が設けられている。一例として、第3閾値を355°、第2閾値を350°としてもよい。そして、状態検出部311は、タブレットモードであるか否かを示す状態検出情報をBIOS制御部100へ出力する。
【0104】
また、状態検出部311は、情報処理装置10の載置状態を検出する。例えば、状態検出部311は、加速度センサ37(37A、37B)の検出結果に基づいて、載置状態として情報処理装置10が机上に置かれている状態であるか否かを検出する。具体的には、状態検出部311は、加速度センサ37(37A、37B)の検出結果に基づいて、機器筐体102の向きまたは振動の量などを検出し、検出結果に基づいて情報処理装置10が机上に置かれている状態であるか否かを検出する。例えば、状態検出部311は、機器筐体102のキーボード面102aが重力方向を向いており且つ振動の量が所定値未満の場合に、情報処理装置10が机上に置かれている状態であると検出する。
【0105】
ここで、「机上に置かれている状態」とは、情報処理装置10が静止物体によって支えられている状態のことを総称しており、机上のみに限定されるものではなく床上や棚上なども同様である。また、状態検出部311は、載置状態を検出する際に、机上に置かれている状態に変えて、情報処理装置10の振動の量が所定値未満の静止状態を検出してもよい。すなわち、机上に置かれている状態は、静止状態と換言することができる。このように、机上に置かれている状態と等価な載置状態は、様々な基準により定義することができる。状態検出部311は、検出した載置状態を示す状態検出情報(例えば、机上に置かれている状態であるか否かを示す情報)をBIOS制御部100へ出力する。
【0106】
なお、載置状態の検出には、加速度センサ37に代えて又は加えて、ジャイロセンサ、傾斜センサ、地磁気センサなどが用いられてもよい。
【0107】
BIOS制御部100は、状態検出部311からタブレットモードであることを示す状態検出情報及び机上に置かれている状態であることを示す状態検出情報を取得した場合、
図7(B)に示すファン回転速度テーブル313Bの閉状態の回転速度の設定情報を参照する指示を示すファン回転速度設定情報を出力する。これにより、ファン制御部312は、
図11に示すように、タブレットモードで且つキーボード面102aを下にして机上に置かれている状態の場合も、第1の実施形態に係る閉状態の場合と同様に、閉状態の回転速度の設定情報を参照して、放熱ファン35の回転速度が相対的に高くなるように制御することができる。
【0108】
なお、タブレットモードで且つキーボード面102aを下にして机上に置かれている状態の場合に参照する回転速度の設定情報が、閉状態の回転速度の設定情報とは別に設けられてもよい。
【0109】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置10は、機器筐体102(第1筐体の一例)とディスプレイ筐体101(第2筐体の一例)との回動によりキーボード面102a(第1面の一例)の反対面となるボトム面102bとディスプレイ面101a(第2面の一例)の反対面となるトップ面101bとが重なり合うタブレットモード(第3状態の一例)であるか否かを検出する。また、情報処理装置10は、情報処理装置10の載置状態を検出する。例えば情報処理装置10は、加速度センサ37(37A、37B)の検知信号に基づいて、情報処理装置10が机上に置かれている状態であるか否かを検出する。そして、情報処理装置10は、タブレットモードであるか否かと情報処理装置10の載置状態とに基づいて、放熱ファン35の回転速度を制御する。例えば、情報処理装置10は、タブレットモードであり且つ情報処理装置10がキーボード面102a(第1面の一例)を下にして机上に置かれている状態であることが検出された場合、閉状態(第1状態の一例)である場合と同様に放熱ファン35の回転速度を制御する。
【0110】
これにより、少なくともキーボード面102a側から吸気する情報処理装置10は、タブレットモードで且つキーボード面102aを下にして机上に置かれた場合でも、閉状態の場合と同様に、放熱ファン35の回転速度が相対的に高くなるように制御することができるため、使用状態による放熱性能の低下を抑制することができる。
【0111】
なお、情報処理装置10は、タブレットモードであるか否かにかかわらず、キーボード面102aを下にして机上に置かれている状態であることが検出された場合、閉状態(第1状態の一例)である場合と同様に、放熱ファン35の回転速度が相対的に高くなるように制御してもよい。
【0112】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図12は、本実施形態に係る情報処理装置10Aの外観を示す斜視図である。図示する情報処理装置10Aは、ボトム面102b側から吸気を行う点が、
図1に示す情報処理装置10と異なる。すなわち、情報処理装置10Aの基本的な構成は、吸気口81(
図2参照)の配置が異なること以外は、
図1、
図2、
図5、及び
図6に示す情報処理装置10の構成と同様であるためその説明を省略し、本実施形態において特有な処理について説明する。
【0113】
図13は、本実施形態に係る情報処理装置10Aのタブレットモードでの使用状態の一例を示す図である。情報処理装置10Aは、開き角θが略360°のタブレットモードで使用する場合に、ボトム面102bがディスプレイ筐体101のトップ面101bと重なり合う状態になるため、吸気効率が低下する。
【0114】
そこで、情報処理装置10Aは、タブレットモードであることを検出し、閉状態の場合と同様に、放熱ファン35の回転速度が相対的に高くなるように制御してもよい。状態検出部311がタブレットモードであるか否かを検出する方法は、第2の実施形態で説明した検出方法と同様に行うことができる。
【0115】
BIOS制御部100は、状態検出部311からタブレットモードであることを示す状態検出情報を取得した場合、タブレットモード用の回転速度の設定情報を参照する指示を示すファン回転速度設定情報を出力する。タブレットモード用の回転速度の設定情報とは、
図7(B)に示すファン回転速度テーブル313Bの閉状態の回転速度の設定情報に対応する。例えば、本実施形態では、ファン回転速度テーブル313Bとして、少なくともタブレットモード以外の回転速度の設定情報とタブレットモード用の回転速度の設定情報とが設定されている。ファン制御部312は、
図13に示すように、タブレットモードである場合、タブレットモード用の回転速度の設定情報を参照して、放熱ファン35の回転速度が相対的に高くなるように制御することができる。
【0116】
なお、吸気口81は、ボトム面102bのみならず、ボトム面102b以外の機器筐体102の側面の一部またはキーボード面102aなどにも設けられてもよい。
【0117】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置10Aは、少なくとも吸気口81が設けられているボトム面102b(第1面の一例)を有する機器筐体102(第1筐体の一例)と、機器筐体102に対して相対的に回動可能に接続され、当該回動により機器筐体102のボトム面102bに対して重なり合うトップ面101b(第2面の一例)を有するディスプレイ筐体101(第2筐体の一例)と、機器筐体102内の空気を少なくとも吸気口81を介して外気と入れ替えるためのファンを有する放熱ファン35(放熱部の一例)と、を備えている。この情報処理装置10Aは、ボトム面102bとトップ面101bとが重なり合うタブレットモード(第1状態の一例)であるか否かを検出し、タブレットモードであるか否かに応じて放熱ファン35の制御を変更する。ここで、機器筐体102(第1筐体の一例)のボトム面102b(第1面の一例)の反対面であるキーボード面102aには、ユーザの操作を受け付ける複数のキー(操作子の一例)が配列されたキーボード32が設けられている。また、ディスプレイ筐体101(第2筐体の一例)のトップ面101b(第2面の一例)の反対面には、表示部14が設けられている。
【0118】
これにより、少なくともボトム面102b側から吸気する情報処理装置10Aは、タブレットモードの場合、放熱ファン35の回転速度が相対的に高くなるように制御するため、使用状態による放熱性能の低下を抑制することができる。
【0119】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。例えば、上記の各実施形態で説明した構成は、任意に組み合わせてもよい。
【0120】
なお、上記実施形態では、状態検出部331がエンベデッドコントローラ31に含まれる構成例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、OS120またはBIOS制御部100が状態検出部331の機能を有してもよい。また、エンベデッドコントローラ31は、マイクロコンピュータの一例であって、これに限定されるものではない。
【0121】
また、上述した情報処理装置10(10A)は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した情報処理装置10(10A)のそれぞれが備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した情報処理装置10(10A)のそれぞれが備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0122】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に情報処理装置10(10A)が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0123】
また、上述した実施形態における情報処理装置10(10A)が備える各機能の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0124】
10,10A 情報処理装置、101 ディスプレイ筐体、101a ディスプレイ面、101b トップ面、102 機器筐体、102a キーボード面、102b ボトム面、103 ヒンジ機構、11 CPU、14 表示部、21 チップセット、31 エンベデッドコントローラ、32 キーボード、35 放熱ファン、36 温度センサ、37 加速度センサ、100 BIOS制御部、110 パフォーマンス設定ドライバ、111 パフォーマンス制御ドライバ、120 OS、311 状態検出部、312 ファン制御部、313 ファンテーブル