(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】薄型可撓性吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20221011BHJP
A61F 13/472 20060101ALI20221011BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20221011BHJP
A61F 13/534 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
A61F13/15 100
A61F13/472
A61F13/53 300
A61F13/534 100
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020205348
(22)【出願日】2020-12-10
(62)【分割の表示】P 2018521378の分割
【原出願日】2016-11-04
【審査請求日】2020-12-16
(32)【優先日】2015-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー、フィリップ、ビュイック-ソンタグ
(72)【発明者】
【氏名】クリント、アダム、モロー
(72)【発明者】
【氏名】ウェード、モンロー、ハバード、ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ディーン、ラリー、デュバル
(72)【発明者】
【氏名】タナ、マリー、カークブライド
【審査官】津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】特表平08-504474(JP,A)
【文献】特開2012-010980(JP,A)
【文献】特開2012-200429(JP,A)
【文献】特表2009-504347(JP,A)
【文献】特表平08-511724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
A61L 15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.流体透過性トップシートと、
b.バックシートと、
c.前記トップシートと前記バックシートとの間に配された吸収性要素と、を備える吸収性物品であって、
前記吸収性物品は、動的厚み膨張試験に従って5分後に測定された厚み膨張度を有し、
前記吸収性物品は、バンチ圧縮試験に従って測定された乾燥ピーク剛性を有し、
前記厚み膨張度と前記乾燥ピーク剛性との比が少なくとも50%/Nであり、
前記吸収性要素は、
不均質塊層を含み、前記不均質塊層は、1つ以上の包囲可能要素と、
前記不均質塊内かつ前記不均質塊全体にわたって、前記1つ以上の包囲可能要素と絡み合うとともに、前記包囲可能要素の周囲で重合された1つ以上の個別の連続気泡発泡体部
とを含み、
前記包囲可能要素は、捲縮セルロース塊、毛羽立ちセルロース繊維、木材パルプ繊維、織物繊維、合成繊維、レーヨン繊維、綿繊維、吸収性繊維、熱可塑性微粒子又は繊維、3成分繊維、及び、2成分繊維、並びにこれらの組合せからなる群から選択され、
前記連続気泡発泡体部は、高内相エマルション発泡体であり、
前記吸収性要素は、2つ以上の層を含み、
上側層は前記トップシートに近い側に配置され、
下側層は前記バックシートに近い側に配置され、
前記上側層は、前記不均質塊層を含む、吸収性物品。
【請求項2】
前記厚み膨張度と前記乾燥ピーク剛性との比が少なくとも75%/Nである、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記厚み膨張度と前記乾燥ピーク剛性との比が、50%/N~500%/Nである、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
吸収性物品が、動的厚み膨張試験に従って5分後に測定された、少なくとも125%の厚み膨張度を有し、前記吸収性物品が、バンチ圧縮試験に従って測定された、10N以下の乾燥ピーク剛性を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
吸収性物品が、動的厚み膨張試験に従って5分後に測定された、少なくとも75%の厚み膨張度を有し、前記吸収性物品が、バンチ圧縮試験に従って測定された、7N以下の乾燥ピーク剛性を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記包囲可能要素が、繊維、繊維群、タフト、2つの開口の間のフィルム部分、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記1つ以上の個別の連続気泡発泡体部が、前記包囲可能要素を包囲する、請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記連続気泡発泡体部が、長手方向軸、横方向軸、対角線方向軸、又はこれらの組み合わせに対して平行なストライプの形状である、請求項6又は7に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記連続気泡発泡体部がHIPE発泡体を含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記下側層が、超吸収性ポリマー粒子を備える基材を含む、請求項6~9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記超吸収性ポリマー粒子が、基材層の上に配されている、請求
項10に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記吸収性物品が、SABAP試験に従って測定したとき、0.1g以下の再湿潤値を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記吸収性物品が、SABAP試験に従って測定したとき、1ml/秒~6ml/秒の捕捉速度を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項14】
前記吸収性物品が、動的厚み膨張試験に従って1分後に測定された、150%~250%の厚み膨張度を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項15】
前記包囲可能要素は、不織布、繊維状構造体、エアレイドウェブ、湿式ウェブ、高ロフト不織布、ニードルパンチウェブ、水流交絡ウェブ、繊維トウ、織物ウェブ、ニットウェブ、フロック加工されたウェブ、スパンボンドウェブ、層状のスパンボンド/メルトブローンウェブ、カード繊維ウェブ、セルロース繊維及びメルトブローン繊維のコフォームウェブ、短繊維及びメルトブローン繊維のコフォームウェブ、並びにこれらの組合せからなる群から選択される形態である、請求項1~14のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に薄型で可撓性があり、かつ形状を保持して衣類のように身体と共に動くことができ、それにもかかわらず流体を吸収する高い性能を有し、特に、これら流体を速やかに吸収するのに有効な、吸収性物品に関する。
【0002】
これは特に、日常的に着用する製品であってより多量の尿排泄物を吸収する必要がある製品に関連し、月経用と失禁用の両方に着用される製品を含む。
【0003】
本発明の吸収性物品は、例えば、おむつ、失禁用ブリーフ、トレーニングパンツ、おむつホルダ及びライナ、清潔な衛生用衣類などであり得る。
【背景技術】
【0004】
薄型で可撓性があり、衣類のようでありながら高吸収性の製品を提供するには、2つの具体的な課題がある。第1は、より大量の排泄物体積を収容するために、コアシステム内に十分な流体貯蔵体積を持たせることであり、第2は、衣類を着用して身体的圧縮力がかかった状態で形状及び流体貯蔵体積を維持することである。
【0005】
従来、失禁用又は重度の月経用製品などの高吸収性製品は、もたらされる多量の排泄物を急速に吸収するために、比較的厚い(6mm超)。
【0006】
最近では、高吸収性を有する、より薄い製品(6mm未満)が開発されているが、これらの製品は一定して初期形状を保ち、圧力下でコア貯蔵体積を維持するために、より硬く、変形しにくくなっている。
【0007】
このようなタイプの製品では、更なる制限が生じる。すなわち、身体的圧縮力がかかると製品は屈曲(可塑的変形)する傾向があり、その可塑的に変形した形状を元通りに伸ばし、製品を、流体を最適に吸収しかつ流体貯蔵体積を維持するための望ましい形状に戻すために、パンティが十分な回復力を(動きの中で、弾性及び材料伸張により)提供することは、もはやできなくなる。
【0008】
このような制限を克服するために、乳児用おむつ及び従来型の成人向け失禁用製品に使用されるものとして、高速高吸水性ポリマーなどの、流体を吸収すると膨潤する高速吸収性材料の使用が提案されている。
【0009】
これらの材料はより高密度で、吸収すると膨潤するが、経血及び/又は尿の多量排泄時には吸収速度が遅すぎ、典型的に、流体が容易に侵入でき、膨潤可能貯蔵材料により吸収されるまでの間、流体が保持され得るよう、一時的な流体収容として嵩高い捕捉体積を必要とする。これらの捕捉体積により、吸収性物品の厚さの増大が不可避となる。
【0010】
薄型可撓性高吸収性物品で生じる別の問題は、ユーザーが日常生活の中で動く際、特に、尿又は経血が繰り返し生じた後にその吸収性物品に吸収された状態のときに、流体吸収速度を最大化し、かつ身体形状にフィットした快適な形状を維持するための、望ましい形状を保持することができないことである。
【0011】
しばしば、ストレス時、又は切迫失禁の初期段階では、吸収性物品は複数回の排泄吸収にわたって着用されることがある。よって、一旦吸収した状態でも、着用者の女性が恐れることなく、又は製品の垂れ下がりなしに、又はより厚い製品若しくは乳児用おむつで典型的に生じる顕著な膨らみ(これは吸収性物品をより目立たせ、ユーザーが恥ずかしい思いをすることがある)なしに、現在の活動を続けることができるよう、望ましい「衣類のような」着用感、形状安定性及び吸収特性を維持することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
よって、本発明の技術上の目的は、薄型で可撓性があり、衣類にフィットし、かつ流体を吸収した状態でもその形状と吸収速度特性を継続的な形で維持することができる、吸収性物品を提供することである。
【0013】
これらの問題は、測定が比較的簡単かつ所与の構造を変えることが比較的簡単な吸収性物品の特定の特性を識別することによって、及び、単独で、又は組み合わせることによってより効果的に、従来技術のソリューションに比べて格段に優れて、上述の技術的問題を解決する吸収性物品を提供するための最適範囲である、これらの特性の値の範囲を特定することによって、画期的に解決されている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、流体透過性トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間に配された吸収性要素を含む吸収性物品に関するものであり、吸収性物品は、本明細書に記載される動的厚み膨張試験に従って5分後に測定された厚み膨張度と、本明細書に記載されるバンチ圧縮試験に従って測定された乾燥ピーク剛性とを有し、厚み膨張度と乾燥ピーク剛性との比は少なくとも50%/Nである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本明細書は、本発明の主題を特定して指摘し明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は添付図面と関連させた次の説明から更に容易に理解できると考えられる。
【
図1】生理用ナプキンの一実施形態の斜視図である。
【
図2】
図1の生理用ナプキンの、線2-2での断面図である。
【
図3】
図1の生理用ナプキンの、線3-3での断面図である。
【
図9A】動的厚み膨張試験を実施するための装置の概略図である。
【
図9B】動的厚み膨張試験を実施するための装置の概略図である。
【
図10】動的厚み膨張試験を実施するための装置の概略図である。
【
図11】SABAP試験を実施するための装置の概略図である。
【
図12A】SABAP試験を実施するための装置の概略図である。
【
図12B】SABAP試験を実施するための装置の概略図である。
【
図13】バンチ圧縮試験を実施するための装置の概略図である。
【
図14A】バンチ圧縮試験を実施するための装置の概略図である。
【
図14B】バンチ圧縮試験を実施するための装置の概略図である。
【
図15A】バンチ圧縮試験方法で得られる代表的な曲線である。
【
図15B】バンチ圧縮試験方法で得られる代表的な曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「吸収性物品」は、尿、経血、及び糞便などの身体滲出物を吸収し、封じ込める用具を指す。用語「使い捨て」は、本明細書において、1回の使用後、洗濯される、又はさもなければ吸収性物品として復元若しくは再利用されるようには意図されていない吸収性物品を説明するために使用される。吸収性物品の例としては、おむつ、幼児用トレーニングパンツ、成人失禁用衣類、及び生理用ナプキン、パンティライナ、陰唇間用具、痔パッド、身体適用パッドなどの女性用衛生衣類が挙げられる。吸収性物品は、身体に当てることができ、又は下着に当てることができる。
【0017】
本発明による吸収性物品、及びトップシート、バックシート、吸収性コアなどのその構成要素、並びにそれらの構成要素の任意の個々の層は、身体に面する表面及び衣類に面する表面を有する。本明細書で使用するとき、「身体に面する表面」とは、着用者の身体に向けて又は身体に隣接して着用されることが意図される物品又は構成要素の表面を意味し、一方で「衣類に面する表面」はその反対側であり、使い捨て吸収性物品が着用されたときに、着用者の衣類に向けて着用される又は衣類に隣接して配置されることが意図される。
【0018】
一般に、本発明の吸収性物品は、トップシートと、バックシートと、このトップシートとバックシートとの間に配された吸収性「コア」又は「要素」と、最終的に他の任意選択的な中間層、例えば典型的に、トップシートとコアとの間に配される捕捉/分配層とを備える。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「吸収性コア構造」は、2つ又はそれ以上の吸収性コア層を有する吸収性コアを指す。各吸収性コア層は流体を保持することができる。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「2成分繊維」は、別個の押出成形機から押し出されるが共に紡糸されて1つの繊維を形成する、少なくとも2種類の異なるポリマーから形成された繊維を指す。2成分繊維は、コンジュゲート繊維又は多要素繊維と呼ばれることもある。ポリマーは、2成分繊維の断面においてほぼ一定に配置された異なる領域に配置され、2成分繊維の長さに沿って連続的に延びる。そのような2成分繊維の構成は、例えば、1つのポリマーが別のポリマーにより取り囲まれたシース/コア配置とするか、又はサイドバイサイド配置、パイ型配置、又は「海島型」配置とすることができる。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「2構成成分繊維」は、同じ押出成形機からブレンドとして押し出される少なくとも2種類のポリマーから形成された繊維を指す。2構成成分繊維は、繊維の断面領域にわたって比較的一定に配置された異なる領域に配置される様々なポリマー成分を有しておらず、様々なポリマーは、通常、繊維の全長に沿って連続しておらず、その代わり、通常、無作為に始まり終端するフィブリルを形成している。2構成成分繊維は、多成分繊維と呼ばれることもある。
【0022】
本明細書で使用するとき、「包囲可能要素」とは、発泡体によって包囲されることができる要素を指す。包囲可能要素は、例えば、繊維、繊維群、タフト、又は2つの開口の間のフィルム部分であり得る。その他の要素が本発明によって企図されることが理解される。
【0023】
「繊維」は、本明細書で使用する場合、繊維状構造体の一部であり得る任意の材料を指す。繊維は、天然であっても合成であってもよい。繊維は、吸収性であっても非吸収性であってもよい。
【0024】
「繊維状構造体」は、本明細書で使用する場合、1つ以上の繊維に分解することができる材料を指す。繊維状構造体は、吸収性又は吸着性にすることができる。繊維状構造体は、毛管作用、並びに多孔性及び透過性を呈することができる。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「メルトブローイング」は、溶融した熱可塑性材料を、微細で、通常は円形の複数の金型毛管を通して、通常は加熱された、集束する高速の気体(例えば、空気)流(溶融した熱可塑性材料のフィラメントを細繊化し、その直径を縮小する)の中へ、溶融糸又はフィラメントとして押し出すことによって、繊維が形成されるプロセスを指す。その後、メルトブローン繊維は、高速気体流により運ばれ、多くの場合はまだ粘着性があるうちに、収集表面上に堆積されて、無作為に分散されたメルトブローン繊維のウェブを形成する。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「単一成分」繊維とは、1種類のポリマーのみを使用して1つ以上の押出成形機によって形成される繊維を指す。これは、着色、静電気防止特性、潤滑、親水性などのために、少量の添加物が添加されている1種のポリマーから形成される繊維を除外することを意味しない。これらの添加物、例えば着色用の二酸化チタンは、一般に、約5重量%未満、より典型的には、約2重量%未満の量で存在する。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「非円形繊維」は、円形でない断面を持つ繊維を記述しており、「形作られた繊維」及び「毛管チャネル繊維」を包含する。かかる繊維は中実又は中空であり得、それらは、3葉形、デルタ形であり得、好ましくはその外表面上に毛管路を有する繊維である。毛管路は、例えば「U型」、「H型」、「C型」及び「V型」など、様々な断面の形状であってもよい。1つの実用的な毛管路繊維はT-401であり、4DG繊維と呼ばれ、Fiber Innovation Technologies(Johnson City,TN)から入手可能である。T-401繊維は、ポリエチレンテレフタレート(PETポリエステル)である。
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「不織布ウェブ」は、個々の繊維又は糸が入り組んではいるものの、ランダムに配向された繊維を典型的には有しない織布又は編布におけるような繰り返しパターンとして入り組んではいない構造を有するウェブのことを指す。不織布ウェブ又は布地は、例えば、メルトブローイングプロセス、スパンボンディングプロセス、スパンレーシングプロセス、水流交絡、エアレイイング、及びカード熱結合を含む結合されたカードウェブプロセスのような、多くのプロセスから形成されてきた。不織布の坪量は、通常、1平方メートル当たりのグラム数(gsm)で表される。積層体ウェブの坪量は、構成要素層及び任意のその他の付加成分を合わせた坪量である。繊維直径は、通常はマイクロメートルで表され、繊維寸法は、繊維の長さ当りの重量の単位であるデニールで表すこともできる。本発明の物品での使用に適した積層体ウェブの坪量は、ウェブの最終用途により、10gsm~100gsmの範囲とすることができる。
【0029】
本明細書で使用するとき、用語「ポリマー」には、一般に、ホモポリマー、コポリマー(例えば、ブロック、グラフト、ランダム、及び交互コポリマーなど)、ターポリマーなど、並びにこれらのブレンド及び変性物が含まれるが、これらに限定されない。更に、特に限定しない限り、用語「ポリマー」は、材料のあらゆる可能な幾何学的構成を含む。その形態としては、これらに限定されるものではないが、アイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチック、及びランダム対称が挙げられる。
【0030】
本明細書で使用するとき、「スパンボンド繊維」は、押し出されるフィラメントの直径を持つ微細で、通常は円形をした複数個の紡糸口金の毛管から、溶融した熱可塑性材料をフィラメントとして押し出し、その後急激に縮小させることにより形成される小径繊維を指す。スパンボンド繊維は、収集表面上に堆積するとき、概して粘着性ではない。スパンボンド繊維は一般に連続しており、7マイクロメートル超、より詳細には約10~40マイクロメートルの平均直径(少なくとも10本の繊維の試料サイズから)を有する。
【0031】
本明細書で使用するとき、「層構造(strata又はstratum)」は、1つ以上の層に関し、その層構造内の構成要素は、接着剤、圧力接合、熱溶接、圧力接合と熱接合との組み合わせ、水流交絡、ニードルパンチ、超音波接合、又は当該技術分野で周知の同様の接合方法の必要なしに、密接に合わせられており、これによって個々の構成要素は、他の構成要素の物理的構造に影響することなしには層構造から全体を分離させることはできないようになっている。層構造間には別個の接合は不要であるが、意図される用途に応じて、接合技法を採用して追加の一体性をもたらし得ることが、当業者には理解されよう。
【0032】
本明細書で使用するとき、「タフト」又はチャドは、不織布ウェブの繊維の別個の一体的延長部に関連する。各タフトは、ウェブの表面から外向きに延びる複数のループ状の整列した繊維を含むことができる。別の実施形態では、各タフトは、ウェブの表面から外向きに延びる複数のループ状ではない繊維を含むことができる。別の実施形態では、各タフトは、2つ以上の一体化された不織布ウェブの繊維の一体的延長部である複数の繊維を含むことができる。
【0033】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、他の様々な変更及び変形を行うことができることは当業者には明白であろう。
【0034】
発明を実施するための最良の形態
上述のように、本発明は、特定の定義済み最適範囲にある、容易に測定可能な数多くの特性を有する吸収性物品に関する。各特性のそれぞれの範囲は本発明による吸収性物品を提供するが、異なる範囲及び好ましい範囲を任意の方法で組み合わせて、本発明の実施形態を開発することができる。
【0035】
該当する特性は下記の通りである。
a)動的厚み膨張試験に従って5分後に測定された厚み膨張度(%)、
b)動的厚み膨張試験に従って1分後に測定された厚み膨張度(%)、
c)バンチ圧縮試験に従って測定された乾燥ピーク剛性
d)SABAP試験に従って測定された捕捉速度及び再湿潤
e)乾燥厚み
f)動的厚み膨張試験に従って5分後又は1分後に測定された厚み膨張度(%)
【0036】
動的厚み膨張試験は、下記の方法セクションの記述に従って実施される。このパラメータは、制御された条件下で液体事象に曝されたときの、吸収性物品の一部分の厚み増加を定義する。本発明による吸収性物品は、少なくとも75%、又は少なくとも125%、又は少なくとも150%、又は少なくとも275%、又は150%~600%、又は275%~600%、又は300%~500%、又は275%~600%の、5分後に測定された厚み膨張度(%)を有し得る。
【0037】
動的厚み膨張試験で5分後に測定された厚み膨張度が、吸収性物品の合計膨張容量を表すものであると見出されたが、更にまた、同じ試験の実施中で1分後に測定された厚み膨張度(%)の値が独立の値を有することが見出された。これは、1分後に測定された値が、所与の吸収性物品に液体がどれだけ速く吸収され得るかを示すものだからである。
【0038】
本発明による吸収性物品は、少なくとも150%、又は150%~600%、又は200%~600%、又は150%~250%の、1分後に測定された厚み膨張度(%)を有し得る。
【0039】
c)バンチ圧縮試験に従って測定された乾燥ピーク剛性
バンチ圧縮試験は、下記の方法セクションの記述に従って実施される。この乾燥ピーク剛性の値は、着用者の脚の間で圧縮されたときに物品を変形させるのに必要な力を示す。典型的に知られている、低い乾燥ピーク剛性を有する吸収性物品は、着用するのに快適な薄いパンティライナ製品であるが、これらは捕捉速度が低く、流体を吸収する性能も低い。一方、本発明による吸収性物品は、剛性レベルが低減されると同時に、高い捕捉速度及び/又は高い厚み膨張度(%)値を有する。本発明による吸収性物品は、10N以下、又は7N以下、又は6N以下、又は0.5~6N、又は0.5~4N、又は0.5~2Nの、乾燥ピーク剛性を有し得る。
【0040】
d)SABAP試験に従って測定された捕捉速度及び再湿潤
SABAP試験は、下記の方法セクションの記述に従って実施される。この値は、吸収性物品が急速に流体を捕捉する性能を表す。典型的に、高い捕捉速度を有する吸収性物品は、厚く嵩高く、硬い物品である。一方、本発明による吸収性物品は、高い捕捉速度と、低厚み及び低剛性とを併せ持つ。
【0041】
本発明による吸収性物品は、少なくとも0.5ml/s、又は1~6ml/s、又は1.5~6ml/s、又は2~6ml/sの捕捉速度を有し得る。
【0042】
SABAP試験は更に、吸収性物品の再湿潤性能を測定する。一般に、本発明による吸収性物品は、0.1g以下の再湿潤値を有する。
【0043】
e)乾燥厚み
吸収性物品の乾燥厚みは、下記の方法セクションの乾燥厚み方法に従って測定される。低い厚みを有する従来技術の吸収性物品は、流体を吸収する容量が低く、吸収速度も低い。一方、本発明による吸収性物品は、比較的低い厚みを有するが、高い捕捉速度と高い厚み膨張度(%)を有する。本発明による吸収性物品は、10mm以下、又は4.5mm以下、又は1~10mm、又は1~4.5mm、又は1~3.5mmの乾燥厚みを有し得る。
【0044】
更に、上述のパラメータの一部の間の付加的関係が、吸収性物品の改善された性能を定義する際に有意義であることが見出された。特に、本発明による吸収性物品は、(独立して、あるいは、上記パラメータa~eに示す値及び範囲との組み合わせで)下記の関係を有し得る。
i)本発明による吸収性物品は、動的厚み膨張試験に従って5分後に測定された厚み膨張度(%)と、バンチ圧縮試験に従って測定された乾燥ピーク剛性との比が、少なくとも50%/N、又は少なくとも75%/N、又は50~500%/N、又は75~400%/N、又は75~300%/Nであり得る。
ii)本発明による吸収性物品は、SABAP試験に従って測定された捕捉速度と、バンチ圧縮試験に従って測定された乾燥ピーク剛性との比が、少なくとも0.5ml/Ns、又は少なくとも0.6ml/Ns、又は0.6~2ml/Ns、又は0.6~3ml/Nsであり得る。
iii)本発明による吸収性物品は、(iiによる)捕捉速度と乾燥ピーク剛性との比に乾燥厚みを掛けた値が、少なくとも1.7ml*mm/Ns、又は少なくとも2ml*mm/Ns、又は2~87ml*mm/Ns、又は2.5~67ml*mm/Nsであり得る。
iv)本発明による吸収性物品は、乾燥厚みと、動的厚み膨張試験に従って1分後に測定された厚み膨張度(%)との比が、3mm/%以下、又は2.5mm/%以下、又は1~3mm/%、又は1.5~2.8mm/%であり得る。
【0045】
本発明による吸収性物品は、1つ以上の上記パラメータを有し得、及び/又は記載された範囲のパラメータ間の関係を有し得るが、一般に、吸収性物品は、請求項に示す範囲内の複数のパラメータ、及び/又はパラメータ間の複数の関係を有することが好ましい。
【0046】
本発明は、流体透過性トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間に配された吸収性要素とを含む吸収性物品に関するものであり、吸収性物品は、本明細書に記載される動的厚み膨張試験に従って5分後に測定された厚み膨張度が、少なくとも275%、又は275%~600%、又は300%~500%である。この吸収性物品は更に、本明細書に記載される動的厚み膨張試験に従って1分後に測定された厚み膨張度が、少なくとも150%、又は150%~250%である。この吸収性物品の乾燥厚みは、10mm以下、又は1~10mm、又は1~4.5mm、又は1~3.5mmであり得る。この吸収性物品の、バンチ圧縮試験に従って測定された乾燥ピーク剛性は、10N以下、又は0.5~6N、又は0.5~4N、又は0.5~2Nであり得る。SABAP試験に従って測定された捕捉速度は、少なくとも0.5ml/s、又は1~6ml/s、又は1.5~6ml/s、又は2~6ml/sであり得る。SABAP試験に従って測定された再湿潤は、0.1g以下であり得る。
【0047】
別の一態様において、本発明は、流体透過性トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間に配された吸収性要素とを備える吸収性物品に関するものであり、この吸収性物品は、乾燥厚みが4.5mm以下であり、かつ本明細書に記載される動的厚み膨張試験に従って5分後に測定された厚み膨張度が、少なくとも75%、又は少なくとも150%である。本発明の吸収性物品は、乾燥厚みが2~4.5mm、5分後の厚み膨張度が150~600%であり得る。この吸収性物品は更に、動的厚み膨張試験に従って1分後に測定された厚み膨張度が、少なくとも150%、又は150%~250%である。この吸収性物品の乾燥厚みは1~3.5mmであり得る。吸収性物品の、バンチ圧縮試験に従って測定された乾燥ピーク剛性は、10N以下、又は0.5~6N、又は0.5~4N、又は0.5~2Nであり得る。SABAP試験に従って測定された捕捉速度は、少なくとも0.5ml/s、又は1~6ml/s、又は1.5~6ml/s、又は2~6ml/sであり得る。SABAP試験に従って測定された再湿潤は、0.1g以下であり得る。
【0048】
別の一態様において、本発明は、流体透過性トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間に配された吸収性要素と、を備える吸収性物品に関するものであり、この吸収性物品は、本明細書に記載される動的厚み膨張試験に従って5分後に測定された厚み膨張度と、本明細書に記載されるバンチ圧縮試験に従って測定された乾燥ピーク剛性とを有し、厚み膨張度と、乾燥ピーク剛性との比は、少なくとも50%/N、又は少なくとも75%/N、又は50~500%/N、又は75~400%/N、又は75~300%/Nである。この吸収性物品は更に、本明細書に記載される動的厚み膨張試験に従って5分後に測定された厚み膨張度が少なくとも275%であり、かつ、本明細書に記載されるバンチ圧縮試験に従って測定された乾燥ピーク剛性が10N以下であり得る。この吸収性物品は更に、本明細書に記載される動的厚み膨張試験に従って60秒後又は1分後に測定された厚み膨張度が少なくとも75%であり、かつ、本明細書に記載されるバンチ圧縮試験に従って測定された乾燥ピーク剛性が6N以下であり得る。この吸収性物品は更に、本明細書に記載される動的厚み膨張試験に従って5分後に測定された厚み膨張度が少なくとも75%であり、かつ、本明細書に記載されるバンチ圧縮試験に従って測定された乾燥ピーク剛性が6N以下であり得る。SABAP試験に従って測定された再湿潤は、0.1g以下であり得る。
【0049】
別の一態様において、本発明は、流体透過性トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間に配された吸収性要素と、を備える吸収性物品に関するものであり、この吸収性物品は、本明細書に記載される動的厚み膨張試験に従って1分後に測定された厚み膨張度が、少なくとも150%、又は150~600%、又は200~600%である。この吸収性物品の乾燥厚みは、10mm以下、又は1~10mm、又は1~4.5mm、又は1~3.5mmであり得る。吸収性物品の、バンチ圧縮試験に従って測定された乾燥ピーク剛性は、10N以下、又は0.5~6N、又は0.5~4N、又は0.5~2Nであり得る。SABAP試験に従って測定された捕捉速度は、少なくとも0.5ml/s、又は1~6ml/s、又は1.5~6ml/s、又は2~6ml/sであり得る。SABAP試験に従って測定された再湿潤は、0.1g以下であり得る。
【0050】
別の一態様において、本発明は、流体透過性トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートの間に配された吸収性要素と、を備える吸収性物品に関するものであり、この吸収性物品は、乾燥厚みと、本明細書に記載される動的厚み膨張試験に従って1分後に測定された厚み膨張度とを有し、この乾燥厚みと厚み膨張度との比は、3mm/%以下、又は2.5mm/%以下、又は1~3mm/%、又は1.5~2.8mm/%である。この吸収性物品の乾燥厚みは、10mm以下、又は1~10mm、又は1~4.5mm、又は1~3.5mmであり得る。この吸収性物品の、バンチ圧縮試験に従って測定された乾燥ピーク剛性は、10N以下、又は0.5~6N、又は0.5~4N、又は0.5~2Nであり得る。SABAP試験に従って測定された捕捉速度は、少なくとも0.5ml/s、又は1~6ml/s、又は1.5~6ml/s、又は2~6ml/sであり得る。SABAP試験に従って測定された再湿潤は、0.1g以下であり得る。
【0051】
別の一態様において、本発明は、流体透過性トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間に配された吸収性要素と、を備える吸収性物品に関するものであり、この吸収性物品は、本明細書に記載されるSABAP試験に従って測定された捕捉速度と、本明細書に記載されるバンチ圧縮試験に従って測定された乾燥ピーク剛性とを有し、捕捉速度と乾燥ピーク剛性との比は、少なくとも0.5ml/N/s、又は少なくとも0.6ml/Ns、又は0.6~3ml/Ns、又は0.6~2ml/Nsである。この吸収性物品は更に、捕捉速度と乾燥ピーク剛性との比にmm単位の乾燥厚みを掛けた値が、少なくとも1.7ml*mm/Ns、又は少なくとも2ml*mm/Ns、又は2~87ml*mm/Ns、又は2.5~67ml*mm/Nsであり得る。SABAP試験に従って測定された捕捉速度は、少なくとも0.5ml/s、又は1~6ml/s、又は1.5~6ml/s、又は2~6ml/sであり得る。この吸収性物品の、バンチ圧縮試験により測定された乾燥ピーク剛性は、10N以下、又は0.5~6N、又は0.5~4N、又は0.5~2Nであり得る。この吸収性物品の乾燥厚みは、10mm以下、又は1~10mm、又は1~4.5mm、又は1~3.5mmであり得る。SABAP試験に従って測定された再湿潤は、0.1g以下であり得る。
【0052】
本発明による吸収性物品は、例えば、下記に述べるように、コア構造を吸収性要素内に組み込んで製造され得る。
【0053】
吸収性コア構造
吸収性コア構造を開示する。この吸収性コア構造は2つ又はそれ以上の吸収性コア層を有する。この吸収性コア層は接合していてもよく、分離していてもよい。一実施形態において、吸収性コア層の1つは、1つ以上の包囲可能要素と、1つ以上の個別の連続気泡発泡体部とを含む、不均質塊層である。
【0054】
一実施形態において、吸収性コア構造は二層システムであり、この上層は、1つ以上の包囲可能要素と、1つ以上の個別の連続気泡発泡体部とを含む、不均質塊層である。この上層の不均質塊層は、上述で定義されたように層構造であり得る。この下層は、超吸収性ポリマーを含む吸収性層である。吸収性コア構造は、超吸収性ポリマーを含む吸収性層の上及び下に、追加層を含み得る。
【0055】
吸収性コア構造は、米国特許出願第61/988,565号(2014年5月5日出願)、同第62/115,921号(2015年2月13日出願)、又は同第62/018,212号に記載されているもののような、不均質塊層を含み得る。不均質塊層は、奥行き、幅、及び高さを有する。
【0056】
吸収性コア構造は、米国特許第8,124,827号(2008年12月2日出願、Tamburro)、米国特許出願第12/718,244号(2010年9月9日発行)、同第12/754,935号(2010年10月14日発行)、又は米国特許第8,674,169号(2014年3月18日発行)に記載されているもののような、基材及び超吸収性ポリマー層を含み得る。
【0057】
発泡体部の1つ以上の個別の部分が、要素を包囲する。発泡体部の個別の部分は連続気泡発泡体である。一実施形態において、発泡体は、高内相エマルション(HIPE)発泡体である。
【0058】
本発明の以下の説明において、使用中に着用者の方向を向く、物品の表面又はその各構成要素の表面は、着用者に面する表面と呼ばれる。反対に、使用中に衣類の方向を向く面は、衣類に面する表面と呼ばれる。本発明の吸収性物品及びそのいずれかの要素、例えば吸収性コアはしたがって、着用者に面する表面及び衣類に面する表面を有する。
【0059】
この不均質塊層は、不均質塊に組み込まれた1つ以上の個別の連続気泡発泡体部、及び1つ以上の連続気泡発泡体に組み込まれた1つ以上の包囲可能要素を、互いに絡み合うことができるように含む。
【0060】
連続気泡発泡体部は、不均質塊の1体積%~不均質塊の99体積%、例えば、5体積%、10体積%、15体積%、20体積%、25体積%、30体積%、35体積%、40体積%、45体積%、50体積%、55体積%、60体積%、65体積%、70体積%、75体積%、80体積%、85体積%、90体積%、又は95体積%などを構成し得る。
【0061】
不均質塊層は、包囲可能要素同士の間、包囲可能要素と包囲された要素との間、及び包囲された要素同士の間に見られる空隙を有し得る。空隙は気体を封じ込め得る。空隙は、例えば、一定量の体積の不均質塊の総体積の5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%など、一定量の体積の不均質塊の総体積の1%~95%に相当し得る。
【0062】
不均質塊中の連続気泡発泡体部と空隙との組み合わせは、例えば、不均質塊1g当たり10g/g~200g/g(例えば、不均質塊1g当たり40g/g、60g/g、80g/g、100g/g、120g/g、140g/g、160g/g、180g/g、又は190g/gなど)の吸収度を示し得る。吸収性は、EDANA Nonwoven Absorption method 10.4-02に従って定量化され得る。
【0063】
連続気泡発泡体部は、例えば塊内の繊維などの包囲可能要素の1つ以上を連続気泡発泡体が包囲するように、不均質塊内かつ不均質塊全体にわたって絡み合う、個別の発泡体部である。連続気泡発泡体は、包囲可能要素の周囲で重合されてよい。
【0064】
一実施形態において、個別の連続気泡発泡体部は、1つを超える包囲可能要素を包囲してもよい。包囲可能要素は、束として一緒に包囲されてもよい。あるいは、2つ以上の包囲可能要素は、別の包囲可能要素と接触することなく、個別の連続気泡発泡体部に包囲されてもよい。
【0065】
一実施形態において、連続気泡発泡体部は、包囲可能要素が包囲可能要素の軸線に沿って、包囲可能要素の軸線に沿った長さの5%~95%にわたって包囲されるように、包囲可能要素を包囲してもよい。例えば、1本の繊維が、繊維の長さに沿って、繊維の全長の50%超の距離にわたって包囲されてもよい。一実施形態において、包囲可能要素は、その表面積の5%~100%が、1つ以上の連続気泡発泡体部によって包囲されてもよい。
【0066】
一実施形態において、2つ以上の連続気泡発泡体部が、包囲可能要素が包囲可能要素の軸線に沿って、包囲可能要素の軸線に沿った長さの5%~100%にわたって包囲されるように、同一の包囲可能要素を包囲してもよい。
【0067】
ある層が所与の断面において包囲可能要素を取り囲むように、連続気泡発泡体部は包囲可能要素を包囲する。所与の断面において包囲可能要素を取り囲む層は、0.01mm~100mm、例えば、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.2mm、1.4mm、1.6mm、1.8mm、2.0mm、2.2mm、2.4mm、2.6mm、2.8mm、又は3mmなどであり得る。この層の寸法は、包囲可能要素の断面に沿った全ての点で等しくなくてもよい。例えば、一実施形態において、包囲可能要素は、断面に沿ったある点で0.5mm、同一断面に沿った異なる点で1.0mm包囲されてよい。
【0068】
連続気泡発泡体部は、不均質塊層全体にわたって連続していないという点で、個別と見なされる。不均質塊層全体にわたって連続していないとは、不均質塊層内の任意の所与の点で、連続気泡吸収性発泡体が、不均質塊層の長手方向面、鉛直面、及び横方向面の断面の少なくとも1つにおいて連続的でないことを表す。非限定的な実施形態において、吸収性発泡体は、不均質塊層内の所与の点について断面の横方向面及び垂直面において連続していない。非限定的な実施形態において、吸収性発泡体は、不均質塊層内の所与の点について断面の長手方向面及び鉛直面において連続していない。非限定的な実施形態において、吸収性発泡体は、不均質塊層内の所与の点について断面の長手方向面及び横方向面において連続していない。
【0069】
連続気泡発泡体が不均質塊の長手方向面、鉛直面、及び横方向面の断面の少なくとも1つにおいて連続していない実施形態において、包囲可能要素又は連続気泡発泡体部の一方又は両方は、不均質塊全体にわたって共連続的(bi-continuous)であってもよい。
【0070】
連続気泡発泡体部は、不均質塊内の任意の点に位置してもよい。非限定的な実施形態において、発泡体部は、包囲可能要素を構成する要素によって包囲され得る。非限定的な実施形態において、発泡体部の一部のみが不均質塊の要素と絡まるように、発泡体部は不均質塊の外周に位置してもよい。
【0071】
非限定的な実施形態において、連続気泡発泡体部は、流体と接触すると膨張して、個別の連続気泡発泡体部のチャネルを形成してもよい。連続気泡発泡体部は、流体によって膨張する前に接触していてもよく、接触していなくてもよい。
【0072】
連続気泡発泡体は、重合される前に包囲可能要素上に組み込まれてもよい。連続気泡発泡体部は、組み合わせられて包囲可能要素の不均質混合物を作り出す2つ以上の異なる包囲可能要素の中又はその上に重合される前に、含浸されてもよい。2つ以上の異なる包囲可能要素は、例えば、繊維の混合物中で2種類以上の繊維を用いることによって、又は1つ以上の繊維に界面活性剤をコーティングすることによって、ある包囲可能要素が複数の第2の包囲可能要素に包囲され得るように、絡み合ってよい。2つ以上の異なる包囲可能要素は、例えば疎水性、繊維径、繊維、又は組成といった包囲可能要素の固有の特性又は物理的特性のために包囲可能要素が不均質塊内で輪郭形成されるように、鉛直面、長手方向面、及び/又は横方向面のいずれかに沿って不均質塊内で積層されてもよい。列挙される包囲可能要素の任意の固有特性又は物理特性が本明細書で企図されることが理解される。
【0073】
非限定的な実施形態において、連続気泡発泡体部は、連続気泡発泡体部と包囲可能要素とが絡み合うように、連続気泡発泡体部が包囲可能要素内又は上に含浸される前に、部分的に重合されてもよい。包囲可能要素の中又はその上に含浸された後、液状又は固形状のいずれかである連続気泡発泡体が重合されて、1つ以上の連続気泡発泡体部を形成する。連続気泡発泡体は、例えば、熱重合、紫外線重合、及び赤外線重合などの任意の既知の方法を用いて重合されてよい。油中水型連続気泡発泡体エマルションの重合後に、得られた連続気泡発泡体は、実質的に乾燥した連続気泡発泡体を得るために除去することが必要な水相で飽和している。飽和水相の除去又は脱水は、ニップローラを使用して真空で行われ得る。ニップローラを使用することにより、不均質塊の厚さも減少させることができ、その結果、不均質塊内で絡み合っている連続気泡発泡体部が流体に晒されるまで、不均質塊は薄いままである。
【0074】
連続気泡発泡体は、所望の発泡体密度、ポリマー組成、比表面積、又は孔径(気泡サイズとも称される)に応じて、異なる化学組成、物理的性質、又はこれらの両方を備えて製造され得る。例えば、化学組成によっては、連続気泡発泡体は0.0010g/cc~約0.25g/ccの密度を有する場合がある。好ましくは0.04g/ccである。
【0075】
連続気泡発泡体の孔径の平均直径は、1~800μm、例えば、50~700μm、100~600μm、200~500μm、300~400μmの範囲であり得る。
【0076】
いくつかの実施形態において、発泡体部は比較的均一な気泡サイズを有する。例えば、1つの主表面上の平均気泡サイズは、対向する主表面と比べて、ほぼ同じであってもよく、又は10%以下で変化してもよい。他の実施形態において、発泡体の1つの主表面の平均気泡サイズは、対向する表面と異なっていてもよい。例えば、熱硬化性材料を発泡させる際に、気泡構造の底部の気泡の一部が圧潰して、1つの表面の平均気泡サイズが小さくなることも珍しくない。
【0077】
本発明により生成される発泡体は、比較的連続した気泡である。これは、発泡体の個々の気泡又は孔が、隣接している気泡と実質的に遮られずに連通していることを指す。このように実質的に連続気泡である発泡体構造の気泡は、発泡体構造内である気泡から別の気泡へと流体を容易に移送させるのに十分な大きさの気泡内開口部又は窓部を有する。本発明の目的のために、発泡体は、平均直径サイズが少なくとも1μmである発泡体の少なくとも約80%の気泡が、少なくとも1つの隣接している気泡と流体連通している場合に、「連続気泡」であると見なされる。
【0078】
連続気泡であることに加えて、特定の実施形態において、発泡体は、発泡体が水性流体を吸収できるのに十分な程度の親水性を有し、例えば、発泡体の内面を、重合後に発泡体中に残る残留した親水化界面活性剤若しくは塩によって、選択された重合後発泡体処理手順(以下)によって、又はこれら両方の組み合わせによって、親水性にすることができる。
【0079】
特定の実施形態において、例えば、特定の吸収性物品で用いられるとき、連続気泡発泡体は可撓性であってよく、また適切なガラス転移温度(Tg)を示し得る。Tgは、ポリマーのガラス質状態とゴム質状態との間の遷移の中間点を表す。
【0080】
特定の実施形態において、この領域のTgは、およそ周辺温度条件で使用される発泡体については約200℃未満となり、他の特定の実施形態においては約90℃未満となる。Tgは50℃未満であってもよい。
【0081】
連続気泡発泡体部は、任意の好適な方法で不均質塊にわたって分布され得る。一実施形態において、連続気泡発泡体部は、小さい部が大きい部の上方に位置するように、垂直軸線に沿って輪郭形成されてもよい。あるいは、それらの部は、より小さな部がより大きな部の下方となるように輪郭形成されてもよい。別の実施形態において、連続気泡部は、軸線に沿ってサイズが交互となるように、垂直軸線に沿って輪郭形成されてもよい。
【0082】
一実施形態において、連続気泡発泡体部は、連続気泡発泡体部の1つ以上の特性に応じて、長手方向軸線、横方向軸線、又は垂直軸線のうちのいずれか1つに沿って輪郭形成されてもよい。連続気泡発泡体部がそれに応じて不均質塊内で輪郭形成され得る特性としては、例えば、吸収性、密度、気泡サイズ、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0083】
一実施形態において、連続気泡発泡体部は、連続気泡発泡体の組成に応じて、長手方向軸線、横方向軸線、又は垂直軸線のうちのいずれか1つに沿って輪郭形成されてよい。連続気泡発泡体部は、所望の特性を示すある組成を不均質塊の前部に有し、異なる特性を示すように設計された異なる組成を不均質塊の後部に有し得る。連続気泡発泡体部の輪郭形成は、上述した軸線又は配向のいずれかを中心に対称又は非対称のいずれかであってよい。
【0084】
連続気泡発泡体部は、不均質塊の長手方向軸線及び横方向軸線に沿って、任意の好適な形態で分布されてよい。一実施形態において、連続気泡発泡体部は、上平面図で見たときにデザイン又は形状を形成する方法で分布されてよい。連続気泡発泡体部は、ストライプ、楕円形、正方形、又は任意のその他の既知の形状若しくはパターンを形成する方法で分布されてもよい。
【0085】
一実施形態において、異なる種類の発泡体が1つの不均質塊内で使用されてもよい。例えば、発泡体部のいくつかは重合したHIPEであってよく、その他の部は例えばポリウレタンなどの連続気泡発泡体から製造されてよい。それらの部は、不均質塊の性能を最適化するために、それらの特性に基づいて、塊内の特定の位置に位置決めされ得る。
【0086】
一実施形態において、連続気泡発泡体は、ポリHIPEとも称される高内相エマルション(HIPE)の重合から作製される熱硬化性ポリマー発泡体である。HIPEを形成するために、水相及び油相は約8:1~140:1の比で組み合わされる。特定の実施形態において、水相と油相との比は約10:1~約75:1であり、特定の他の実施形態において、水相と油相との比は約13:1~約65:1である。これは、「水/油」又はW:O比と呼ばれ、得られるポリHIPE発泡体の密度を決定するために用いることができる。上論のように、油相は、1つ以上のモノマー、コモノマー、光開始剤、架橋剤、及び乳化剤に加えて、任意成分を含有してよい。水相は、水を含有し、特定の実施形態においては、電解質、反応開始剤、又は任意成分などの1つ以上の成分を含有する。
【0087】
連続気泡発泡体は、水相と油相との組み合わせから、これらの組み合わせられた相を混合チャンバ又は混合領域内で剪断撹拌することにより、形成することができる。組み合わせられた水相及び油相は、剪断撹拌に供されて、所望の大きさの水滴を有する安定したHIPEを生成する。反応開始剤は水相中に存在してもよく、又は反応開始剤は、発泡体作製プロセス中に、また特定の実施形態において、HIPEが形成された後に導入されてもよい。エマルション製造プロセスはHIPEを生成し、得られるHIPE発泡体が所望の構造的特徴を有する程度に水相液滴が分散される。混合領域における水相と油相との組み合わせの乳化は、羽根車などの混合又は撹拌装置の使用、必要な剪断を付与するのに必要な速度で一連の静的ミキサに組み合わせられた水相及び油相を通すこと、又は両方の組み合わせを伴い得る。一旦形成されると、HIPEは次いで混合領域から引き出す又はポンプ吸引することができる。連続プロセスを用いてHIPEを形成するための1つの方法は、1992年9月22日に発行された米国特許第5,149,720号(DesMaraisら)、1998年10月27日に発行された米国特許第5,827,909号(DesMarais)、及び2002年4月9日に発行された米国特許第6,369,121号(Catalfamoら)に記載されている。
【0088】
エマルションを混合領域から引き出し又はポンプ吸引し、完全に重合する前に、塊内又はその上に含浸させることができる。完全に重合したら、個別の発泡体部が、塊を構成する要素によって分割されるように、また、個別の発泡体部の一部が、不均質塊を構成する1つ以上の要素の一部を包囲するように、発泡体部と要素とを絡み合わせる。
【0089】
重合後、得られる発泡体部は、実質的に乾燥している発泡体部を得るために除去することが必要な水相で飽和している。特定の実施形態において、発泡体部は、例えば、発泡体を含む不均質塊を1対以上のニップローラを通して移動させることによって、圧縮を用いて水相の大部分を圧搾除去することができる。ニップローラは、発泡体部から水相を圧搾するように配置することができる。ニップローラは、多孔質であることができ、発泡体から水相を引き出すのに役立つように内部から真空が適用されてもよい。特定の実施形態において、第1のニップローラが孔を有するかメッシュ様材料からなるベルト等の液体透過性ベルト上に位置し、第2の対向するニップローラが第1のニップローラに面して液体透過性ベルトの下に位置するように、ニップローラを対にして配置することができる。両方のローラが発泡体の外に水相を吹きとばす及び引き付けるように、対の一方、例えば第1のニップローラを加圧し、対の他方、例えば第2のニップローラを真空にしてもよい。ニップローラを加熱して、水相の除去を補助することもできる。特定の実施形態において、ニップローラは、非剛性発泡体、すなわち、発泡体部の圧縮により壁が破壊されない発泡体にのみ適用される。
【0090】
特定の実施形態において、ニップローラの代わりに、又はニップローラと組み合わせて、水相は、発泡体部が熱される乾燥領域に発泡体部を送り通すことにより、真空に曝露することにより、又は熱と真空への曝露との組み合わせにより、水相を除去してもよい。例えば、強制空気オーブン、IRオーブン、マイクロ波オーブン、又は電波オーブンに発泡体を通すことにより、熱を適用してもよい。発泡体を乾燥させる程度は、用途に依存する。特定の実施形態において、50%超の水相を除去する。特定の他の実施形態において、乾燥プロセス中に、90%超、更に他の実施形態において、95%超の水相を除去する。
【0091】
一実施形態において、連続気泡発泡体は、高内相エマルション(HIPE)の連続油相を有するモノマーの重合から生成される。HIPEは2つの相を有してもよい。1つの相は、重合してHIPE発泡体を形成するモノマーと、HIPEの安定化に役立つ乳化剤と、を有する連続油相である。油相はまた、1つ以上の光開始剤を含んでもよい。モノマー成分は、油相の約80重量%~約99重量%、また特定の実施形態においては約85重量%~約95重量%の量で存在し得る。油相に可溶性であり、かつ安定した油中水型エマルションの形成に好適な乳化剤成分は、油相の約1重量%~約20重量%の量で油相中に存在し得る。エマルションは、約10℃~約130℃、また特定の実施形態においては約50℃~約100℃の乳化温度で形成され得る。
【0092】
一般的に、モノマーは、油相の約20重量%~約97重量%の、少なくとも1つの実質的に水不溶性である一官能性アルキルアクリレート又はアルキルメタクリレートを含む。例えば、この種のモノマーは、エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ノニルフェニルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、及びオクタデシルメタクリレートなどの、C4~C18アルキルアクリレート及びC2~C18メタクリレートを含み得る。
【0093】
また、油相は、油相の約2重量%~約40重量%、また特定の実施形態においては約10重量%~約30重量%の、実質的に水不溶性である多官能性架橋アルキルアクリレート又はメタクリレートを有し得る。この架橋コモノマー又は架橋剤を添加して、得られるHIPE発泡体に強度及び弾性を付与する。この種の架橋モノマーの例は、2つ以上の活性化アクリレート基、メタクリレート基、又はこれらの組み合わせを含有するモノマーを有し得る。この基の非限定的な例としては、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,12-ドデシルジメタクリレート、1,14-テトラデカンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート(2,2-ジメチルプロパンジオールジアクリレート)、ヘキサンジオールアクリレートメタクリレート、グルコースペンタアクリレート、ソルビタンペンタアクリレートなどが挙げられる。架橋剤のその他の例は、エチレングリコールアクリレート-メタクリレート及びネオペンチルグリコールアクリレート-メタクリレートなどの、アクリレート部分とメタクリレート部分との混合物を含有する。混合架橋剤中のメタクリレート:アクリレート基の比は、必要に応じて、50:50からその他の任意の比まで様々であってよい。
【0094】
任意の第3の実質的に水不溶性であるコモノマーを、油相の約0重量%~約15重量%、特定の実施形態において約2重量%~約8重量%、油相に添加して、HIPE発泡体の特性を改変することができる。特定の実施形態において、得られるHIPE発泡体に強靱性を付与する「強靱化」モノマーが望ましい場合がある。これらとしては、スチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、及びクロロプレンなどのモノマーが挙げられる。理論に縛られるものではないが、かかるモノマーは、重合中(「硬化」としても知られている)にHIPEを安定化させて、より優れた強靱性、引張強度、耐摩耗性などが得られる、より均質かつより良好に形成されたHIPE発泡体をもたらすのに役立つと考えられる。また、モノマーを添加して、2000年12月12日に発行された米国特許第6,160,028号(Dyer)に開示されているように難燃性を付与することもできる。モノマーを添加して、色(例えば、ビニルフェロセン)、蛍光特性、耐放射線性、放射線不透過性(例えば、鉛テトラアクリレート)を付与して、電荷の分散、入射赤外光の反射、電波の吸収、HIPE発泡体支柱上における湿潤可能表面の形成、又はHIPE発泡体における任意のその他の望ましい特性をもたらすことができる。場合によっては、これら追加のモノマーは、HIPEのHIPE発泡体への変換プロセス全体を遅延させる場合があるが、望ましい特性を付与すべきである場合は、このトレードオフは必須である。したがって、かかるモノマーを用いて、HIPEの重合速度を減速させることができる。この種のモノマーの例は、スチレン及び塩化ビニルを有し得る。
【0095】
油相は、HIPEを安定化させるために用いられる乳化剤を更に含有してもよい。HIPEで用いられる乳化剤としては、(a)分枝鎖C16~C24脂肪酸、直鎖不飽和C16~C22脂肪酸、及び直鎖飽和C12~C14脂肪酸のソルビタンモノエステル、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノミリステート、及びソルビタンモノエステル、ソルビタンモノラウレートジグリセロールモノオレエート(DGMO)、ポリグリセロールモノイソステアレート(PGMIS)、及びポリグリセロールモノミリステート(PGMM)、(b)分枝鎖C16~C24脂肪酸、直鎖不飽和C16~C22脂肪酸、又は直鎖飽和C12~C14脂肪酸のポリグリセロールモノエステル、例えば、ジグリセロールモノオレエート(例えば、C18:1脂肪酸のジグリセロールモノエステル)、ジグリセロールモノミリステート、ジグリセロールモノイソステアレート、及びジグリセロールモノエステル、(c)分枝鎖C16~C24アルコール、直鎖不飽和C16~C22アルコール、及び直鎖飽和C12~C14アルコールのジグリセロール脂肪族エーテル、並びにこれら乳化剤の混合物を挙げることができる。1995年2月7日に発行された米国特許第5,287,207号(Dyerら)、及び1996年3月19日に発行された米国特許第5,500,451号(Goldmanら)を参照されたい。用いることができる別の乳化剤は、コハク酸アルキル、グリセロール、及びトリグリセロールから形成されるコハク酸ポリグリセロール(PGS)である。
【0096】
そのような乳化剤及びそれらの組み合わせは、それらが、約1重量%~約20重量%、特定の実施形態においては約2重量%~約15重量%、及び別の特定の実施形態においては約3重量%~約12重量%の油相を有することができるように、油相に添加されてよい。ある特定の実施形態において、特に、例えば、約65℃を超えるより高い温度で、気泡サイズ、気泡サイズ分布、及びエマルションの安定性の更なる制御を提供するために、共乳化剤も使用され得る。共乳化剤の例としては、ホスファチジルコリン及びホスファチジルコリン含有組成物、脂肪族ベタイン、長鎖C12~C22二価脂肪族四級アンモニウム塩、短鎖C1~C4二価脂肪族四級アンモニウム塩、長鎖C12~C22ジアルコイル(アルケノイル)-2-ヒドロキシエチル、短鎖C1~C4二価脂肪族四級アンモニウム塩、長鎖C12~C22二価脂肪族イミダゾリニウム四級アンモニウム塩、短鎖C1~C4二価脂肪族イミダゾリニウム四級アンモニウム塩、長鎖C12~C22一価脂肪族ベンジル四級アンモニウム塩、長鎖C12~C22ジアルコイル(アルケノイル)-2-アミノエチル、短鎖C1~C4一価脂肪族ベンジル四級アンモニウム塩、短鎖C1~C4モノヒドロキシ脂肪族四級アンモニウム塩が挙げられる。特定の実施形態において、ジタロージメチルアンモニウムメチルサルフェート(DTDMAMS)を補助乳化剤として用いてもよい。
【0097】
油相は、光開始剤を、油相の約0.05重量%~約10重量%、特定の実施形態において約0.2重量%~約10重量%で含むことができる。少量の光開始剤は、HIPE発泡体に光をより透過させて、HIPE発泡体のより深部で重合させることができる。しかし、酸素含有環境で重合が行われる場合は、重合を開始させ、かつ酸素阻害に打ち勝つのに十分な光開始剤が存在すべきである。光開始剤は、ラジカル、カチオン、及び重合反応を開始させることができるその他の種の生成を伴って、光源に対して速やかかつ効率的に応答することができる。本発明で用いられる光開始剤は、約200ナノメートル(nm)~約800nm、特定の実施形態において約200nm~約350nmの波長の紫外線を吸収することができる。光開始剤が油相中に存在する場合、好適な種類の油溶性光開始剤としては、ベンジルケタール、α-ヒドロキシアルキルフェノン、α-アミノアルキルフェノン、及びアシルホスフィンオキシドが挙げられる。光開始剤の例としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オンと組み合わせられた2,4,6-[トリメチルベンゾイルジホスフィン]オキシド(これら2つの50:50ブレンドは、Ciba Speciality Chemicals(Ludwigshafen,Germany)によりDAROCUR(登録商標)4265として販売されている)、ベンジルジメチルケタール(Ciba GeigyによりIRGACURE 651として販売されている)、α-,α-ジメトキシ-α-ヒドロキシアセトフェノン(Ciba Speciality ChemicalsによりDAROCUR(登録商標)1173として販売されている)、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン(Ciba Speciality ChemicalsによりIRGACURE(登録商標)907として販売されている)、1-ヒドロキシシクロへキシル-フェニルケトン(Ciba Speciality ChemicalsによりIRGACURE(登録商標)184として販売されている)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(Ciba Speciality ChemicalsによりIRGACURE 819として販売されている)、ジエトキシアセトフェノン、及び4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)ケトン(Ciba Speciality ChemicalsによりIRGACURE(登録商標)2959として販売されている)、並びにオリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン](Lamberti spa(Gallarate,Italy)によりESACURE(登録商標)KIP EMとして販売されている)が挙げられる。
【0098】
HIPEの分散水相は、水を有することができ、また、反応開始剤、光開始剤、又は電解質などの1つ以上の成分を有してもよく、特定の実施形態において、この1つ以上の成分は少なくとも部分的に水溶性である。
【0099】
水相の1つの成分は、水溶性電解質であってよい。水相は、水相の約0.2重量%~約40重量%、特定の実施形態においては約2重量%~約20重量%の水溶性電解質を含有し得る。電解質は、主に油溶性であるモノマー、コモノマー、及び架橋剤が水相にも溶解する傾向を最低限に抑える。電解質の例としては、カルシウム又はマグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩化物又は硫化物、及びナトリウムなどのアルカリ土類金属の塩化物又は硫化物が挙げられる。かかる電解質は、リン酸塩、ホウ酸塩、及び炭酸塩、並びにこれらの混合物などの無機対イオンを含む、重合中にpHを制御するための緩衝剤を含み得る。水溶性モノマーを水相中で用いてもよく、その例は、アクリル酸及び酢酸ビニルである。
【0100】
水相中に存在し得る別の成分は、水溶性フリーラジカル反応開始剤である。反応開始剤は、油相中に存在する重合性モノマーの合計モル数に基づいて最高約20モルパーセントで存在し得る。特定の実施形態において、反応開始剤は、油相中の重合性モノマーの合計モル数に基づいて約0.001モルパーセント~約10モルパーセントの量で存在する。好適な反応開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロリド、及びその他の好適なアゾ反応開始剤が挙げられる。特定の実施形態において、乳化系を妨げる恐れのある早期重合の可能性を低減するために、モノマー相への反応開始剤の添加は、乳化直後又は乳化の終わり付近であってよい。
【0101】
水相中に存在する光開始剤は、少なくとも部分的に水溶性であってよく、約0.05重量%~約10重量%、特定の実施形態において約0.2重量%~約10重量%の水相を有することができる。少量の光開始剤は、HIPE発泡体に光をより透過させて、HIPE発泡体のより深部で重合させることができる。しかし、酸素含有環境で重合が行われる場合は、重合を開始させ、かつ酸素阻害に打ち勝つのに十分な光開始剤が存在すべきである。光開始剤は、ラジカル、カチオン、及び重合反応を開始させることができるその他の種の生成を伴って、光源に対して速やかかつ効率的に応答することができる。本発明で用いられる光開始剤は、約200ナノメートル(nm)~約800nm、特定の実施形態においては約200nm~約350nm、及び特定の実施形態においては約350nm~約450nmの波長の紫外線を吸収することができる。光開始剤が水相中に存在する場合、好適な種類の水溶性光開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンジル、及びチオキサントンが挙げられる。光開始剤の例としては、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジサルフェート脱水物、2,2’-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-エチルプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’-ジカルボキシメトキシジベンザルアセトン、4,4’-ジカルボキシメトキシジベンザルアセトン、4,4’-ジカルボキシメトキシジベンザルシクロヘキサノン、4-ジメチルアミノ-4’-カルボキシメトキシジベンザルアセトン、及び4,4’-ジスルホキシメトキシジベンザルアセトンが挙げられる。本発明で用いることができる他の好適な光開始剤は、1989年4月25日に発行された米国特許第4,824,765号(Sperryら)に列挙されている。
【0102】
前述の成分に加えて、他の成分がHIPEの水相又は油相のいずれかに含まれてもよい。例としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン光安定剤などの酸化防止剤、例えば、フタル酸ジオクチル、セバシン酸ジノニルなどの可塑剤、例えば、ハロゲン化炭化水素、リン酸塩、ホウ酸塩、三酸化アンチモン又はリン酸アンモニウム又は水酸化マグネシウムといった無機塩などの難燃剤、染料及び顔料、蛍光剤、例えば、デンプン、二酸化チタン、カーボンブラック、又は炭酸カルシウムなどの充填剤片、繊維、連鎖移動剤、例えば、活性炭微粒子などの臭気吸収剤、溶解ポリマー、溶解オリゴマー、及び同様物が挙げられる。
【0103】
不均質塊は、包囲可能要素と、発泡体の個別の部と、を含む。包囲可能要素は、例えば、不織布、繊維状構造体、エアレイドウェブ、湿式ウェブ、高ロフト不織布、ニードルパンチウェブ、水流交絡ウェブ、繊維トウ、織物ウェブ、ニットウェブ、フロック加工されたウェブ、スパンボンドウェブ、層状のスパンボンド/メルトブローンウェブ、カード繊維ウェブ、セルロース繊維及びメルトブローン繊維のコフォームウェブ、短繊維及びメルトブローン繊維のコフォームウェブ、並びにこれらの層状の組み合わせである層状ウェブなどのウェブであり得る。
【0104】
包囲可能要素は、例えば、捲縮セルロース塊、毛羽立ちセルロース繊維、エアフェルトとしても知られる木材パルプ繊維、及び織物繊維などの、従来の吸収性材料であり得る。包囲可能要素は、例えば、合成繊維、熱可塑性微粒子又は繊維、3成分繊維、及び、例えば、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチルビニルアセテート/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル、ポリプロピレン/ポリエステル、コポリエステル/ポリエステルなどのポリマーの組み合わせを有するシース/コア繊維などの2成分繊維などの繊維であり得る。包囲可能要素は、上掲の材料及び/又は上掲の複数の材料(単独で又は組み合わせて)の任意の組み合わせであり得る。
【0105】
包囲可能要素は、疎水性であっても親水性であってもよい。一実施形態において、包囲可能要素は、疎水性となるように処理されてもよい。一実施形態において、包囲可能要素は、親水性となるように処理されてもよい。
【0106】
不均質塊の構成成分繊維は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、及びこれらのブレンドなどのポリマーからなってもよい。繊維は、スパンボンド繊維であってもよい。繊維は、メルトブローン繊維又はナノ繊維であってもよい。繊維は、セルロース、レーヨン、綿、若しくは他の天然材料、又はポリマーと天然材料とのブレンドを含んでもよい。繊維はまた、ポリアクリレートなどの超吸収性材料、又は好適な材料の任意の組み合わせをも含み得る。繊維は、単成分、2成分、及び/若しくは2構成成分、非円形(例えば、毛管路繊維)であってもよく、0.1~500マイクロメートルの範囲の主断面寸法(例えば、円形繊維の直径)を有してもよい。不織布前駆体ウェブの構成成分繊維は、化学(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)、(単及び2)成分、デニール(マイクロデニール及び20超のデニール)、形状(すなわち、毛管及び円形)などの特性の点で異なる、異なる繊維型の混合物でもあり得る。構成成分繊維は、約0.1デニール~約100デニールの範囲であってもよい。
【0107】
一態様では、出来上がったままの状態の既知の吸収性ウェブ材は、全体にわたって均質であると考えることができる。均質であるため、吸収性ウェブ材の流体処理特性は位置依存性ではなく、ウェブのいかなる領域においても実質的に均一である。均質性は、例えば、密度、坪量によって特徴付けることができ、ウェブのいずれの特定部分の密度又は坪量も、ウェブの平均密度又は坪量と実質的に同一である。本発明の装置及び方法により、均質な繊維性吸収性ウェブ材は、もはや均質ではなく不均質であるように変性され、その結果、ウェブ材の流体処理特性は位置依存性となる。したがって、本発明の不均質な吸収性材料の場合、別個の位置において、ウェブの密度又は坪量は、ウェブの平均密度又は坪量とは実質的に異なり得る。本発明の吸収性ウェブの不均質な性質は、個別の部分に高い浸透性を与え、他の個別の部分に高い毛管作用をもたらすことにより、透過性又は毛管作用の一方の負の側面を最小限に抑えることを可能にする。同様に、透過性と毛管作用との間のトレードオフは、毛管作用の低減を伴わずに比較的より高い透過性の実現を達成できるように管理される。
【0108】
一実施形態において、不均質塊はまた、流体を吸収しヒドロゲルを形成する超吸収性材料を含んでもよい。これらの材料は典型的に、大量の体液を吸収することができ、かつそれらを中程度の圧力下で保持することができる。不均質塊は、毛羽立てられた形体のセルロース繊維又は硬化された繊維などの好適な担体内に分散された材料を含み得る。
【0109】
一実施形態において、不均質塊は、熱可塑性粒子又は繊維を含んでもよい。材料、具体的には熱可塑性繊維は、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン(例えば、PULPEX.RTM.)及びポリプロピレン、ポリエステル、コポリエステル、並びに前述のいずれかのコポリマーを含む、様々な熱可塑性ポリマーから作製することができる。
【0110】
所望の特性によって、好適な熱可塑性材料としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアクリル酸、ポリアミド、ポリスチレンなどから誘導された、界面活性剤で処理した熱可塑性繊維又はシリカで処理した熱可塑性繊維など、親水性にされた疎水性繊維が挙げられる。疎水性の熱可塑性繊維の表面は、例えば、繊維に界面活性剤をスプレーすることにより、繊維を界面活性剤に浸すことにより、又は熱可塑性繊維を製造する際にポリマー融解物の一部分として界面活性剤を含むことにより、非イオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤などの界面活性剤で処理することにより親水性にすることができる。融解し再凝固すると、界面活性剤は熱可塑性繊維の表面に留まる傾向がある。好適な界面活性剤としては、ICI Americas,Inc.(Wilmington,Del)により製造されたBrij76などの非イオン性界面活性剤、及びGlyco Chemical,Inc.(Greenwich,Conn)により、Pegosperse.RTM.の商標で販売される様々な界面活性剤が挙げられる。非イオン性界面活性剤以外に、アニオン性界面活性剤も使用することができる。これらの界面活性剤は、例えば、熱可塑性繊維1平方センチメートル当たり約0.2~約1gの濃度で熱可塑性繊維に塗布されてもよい。
【0111】
好適な熱可塑性繊維は、単一ポリマーから作製することができ(単一成分繊維)、又は1種類を超えるポリマーから作製することができる(例えば、2成分繊維)。シースを含むポリマーは、コアを構成するポリマーとは異なる、典型的にはより低い温度で溶融することが多い。結果として、これらの2成分繊維は、シースポリマーの溶融に起因して熱的接合をもたらし、一方でコアポリマーの望ましい強度特性を保持する。
【0112】
本発明で使用するのに適した2成分繊維としては、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチルビニルアセテート/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル、ポリプロピレン/ポリエステル、コポリエステル/ポリエステルなどのポリマーの組み合わせを有するシース/コア繊維を挙げることができる。本明細書で使用するのに特に適した2成分熱可塑性繊維は、ポリプロピレン又はポリエステルのコアと、より低い温度で溶融するコポリエステル、ポリエチルビニルアセテート又はポリエチレンのシースと、を有するもの(例えば、DANAKLON.RTM、CELBOND.RTM、又はCHISSO.RTM.2成分繊維)である。これらの2成分繊維は、同心であっても偏心であってもよい。本明細書で使用するとき、「同心」及び「偏心」という用語は、シースが、2成分繊維の断面積を通じて、均一又は不均一な厚さを有するか否かを指す。偏心の2成分繊維は、より薄い繊維厚さでより高い圧縮強さを提供する上で望ましい場合がある。本明細書で使用するのに適した2成分繊維は、捲縮していない(すなわち、曲がっていない)又は捲縮している(すなわち、曲がっている)のいずれかとすることができる。2成分繊維は、主に二次元の、すなわち「平面的」な捲縮を達成するために、典型的な紡織手段、例えばスタッフィングボックス法又はギアクリンプ法によって捲縮させることができる。
【0113】
2成分繊維の長さは、繊維及びウェブ形成プロセスに所望される特定の特性に応じて様々であってよい。典型的には、エアレイドウェブにおいて、これらの熱可塑性繊維は、約2mm~約12mm長、例えば約2.5mm~約7.5mm長、及び約3.0mm~約6.0mm長などの長さを有する。不織布繊維は、カード不織布に使用される場合は5mm長~75mm長、例えば、10mm長、15mm長、20mm長、25mm長、30mm長、35mm長、40mm長、45mm長、50mm長、55mm長、60mm長、65mm長、又は70mm長などであり得る。スパンボンドプロセスにおいては、繊維は、離散しておらず連続的であってよい。これらの熱可塑性繊維の特性はまた、繊維の直径(厚み)を変化させることによっても調整することができる。これらの熱可塑性繊維の直径は、典型的に、デニール(9000メートル当たりのグラム数)又はデシテックス(10,000メートル当たりのグラム数)を単位で定義される。エアレイド製造機械で使用されるとき、好適な2成分型熱可塑性繊維は、例えば約1.4~約10デシテックス、及び約1.7~約7デシテックスなどの、約1.0~約20デシテックスの範囲のデシテックスを有し得る。
【0114】
これらの熱可塑性材料の、特に熱可塑性繊維の圧縮弾性率もまた、重要であり得る。熱可塑性繊維の圧縮弾性率は、それらの長さ及び直径だけではなく、それらが作製されるポリマー又はポリマー類の組成及び特性、繊維の形状及び構成(例えば、同心であるか偏心であるか、捲縮しているか捲縮していないか)などの要因によっても影響される。これらの熱可塑性繊維の圧縮弾性率における違いは、特性、特に対応する熱結合された繊維マトリックスの密度特性を変えるために使用されることができる。
【0115】
不均質塊は合成繊維を含んでもよく、これは典型的に結合剤繊維としては機能しないが、繊維ウェブの機械的特性を変化させる。合成繊維は、酢酸セルロース、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル(オーロンなど)、ポリ酢酸ビニル、不溶性ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロンなど)、ポリエステル、2成分繊維、3成分繊維などを含む。これらには、例えば、ポリエステル繊維、例えばポリエチレンテレフタレート(例えば、DACRON.RTM.及びKODEL.RTM.)、高融点捲縮ポリエステル繊維(例えば、Eastman Chemical Co.により作製されるKODEL.RTM.431)親水性ナイロン(HYDROFIL.RTM.)等を挙げることができる。好適な繊維は、親水化させた疎水性繊維、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアクリル酸、ポリアミド、ポリスチレン及びポリウレタン等から誘導された、界面活性剤処理された又はシリカ処理された熱可塑性繊維であってもよい。非結合熱可塑性繊維の場合、それらの長さは、これらの繊維に望ましい特定の特性によって様々であってよい。典型的に、それらは、約30~75mm、好ましくは約9~約15mmの長さを有する。好適な非接合熱可塑性繊維は、約1.5~約35デシテックス、例えば約14~約20デシテックスの範囲のデシテックスを有することができる。
【0116】
しかしながら、構造化されたとき、発泡体部を含む不均質塊の総吸収能力は、塊の設計負荷及び意図される用途に適合していなければならない。例えば、吸収性物品で使用される場合、不均質塊の大きさ及び吸収能力は、失禁パッド、パンティライナ、通常の生理用ナプキン、又は夜用の生理用ナプキンのような異なる用途に適合するように変化させることができる。
【0117】
不均質塊は、吸収性ウェブで使用される場合がある他の任意の構成要素をも含み得る。例えば、強化スクリムを、不均質塊の対応する層内、又は対応する層間に配置することができる。
【0118】
本発明から製造される連続気泡発泡体部を含む不均質塊は、吸収性物品、例えば、婦人衛生物品(例えば、パッド、パンティライナ、及びタンポン)、使い捨ておむつ、失禁用物品(例えば、パッド、成人用おむつ)、住宅ケア物品(例えば、拭き取り用品、パッド、タオル)、並びに美容ケア物品(例えば、パッド、拭き取り用品、及び、例えば毛穴をきれいにするために使用するスキンケア物品)の吸収性コア又は吸収性コアの一部として使用され得る。
【0119】
不均質塊層は、ある形に形成又は切断されることができ、その外縁は周辺部を画定する。
【0120】
一実施形態において、連続気泡発泡体部はストライプ形態である。ストライプは不均質塊の形成中に、又は重合後に形成手段によって、形成されてもよい。ストライプは、不均質塊層の長手方向長さに沿って、不均質塊層の横方向長さに沿って、又は長手方向長さと横方向長さとの両方の組み合わせに沿って、延びてよい。ストライプは、不均質塊層の長手方向長さ又は横方向長さのいずれかに対して斜め方向に沿って延びてもよい。ストライプは、カナルによって分離されている。
【0121】
本発明では、概ね平面的な繊維ウェブを三次元構造へ変形させることで知られる形成手段を利用して、出来上がったままの状態の吸収性材料を、対応する毛管圧の有意な低減を伴わずに比較的より高い透過性を有する吸収性材料へと改質する。形成手段は、一対の相互噛合ロール、典型的には相互に係合する隆起部又は歯及び溝を有するスチールロールを含み得る。しかしながら、米国特許出願第2005/0140057号(2005年6月30日公開)に開示される変形ローラ及びコード構成など、形成を達成するための他の手段を利用し得ることが企図される。したがって、本明細書における一対のロールの全ての開示は、ロール及びコードと同等であると考えられ、また、2つの相互噛合ロールについて詳述する特許請求される構成は、相互噛合ロール及びコードと同等であると考えられ、この場合、コードは、噛み合う相互係合ロールの隆起部として機能する。一実施形態において、本発明の対の相互噛合ロールは、ロール及び噛合要素と同等であると考えることができ、この場合、噛合要素は、別のロール、コード、複数のコード、ベルト、柔軟なウェブ、又はストラップであり得る。同様に、他の既知の形成技術、例えば、クレーピング、ネッキング/圧密化、波形付け、エンボス加工、ボタン柔布(button break)、高温ピンパンチングなどは、対応する毛管圧の有意な低減を伴わずに、ある程度の比較的より高い透過性を有する吸収性材料を生み出すことができるものと考えられる。ロールを用いた形成手段としては、「リングロール」、「SELF」又は「SELF’ing」プロセスが挙げられ、ここでSELFとは、2011年5月3日に付与されたZhaoらの米国特許第7,935,207号に記載されるように、「マイクロSELF」、及び「回転ナイフ開口」(RKA)としての、構造的弾性様フィルム(Structural Elastic Like Film)を意味する。
【0122】
一実施形態において、吸収性コア構造は、超吸収性粒子を含む吸収性層を有する。この超吸収性粒子は、基材上にあってよく、又は不織布層内にあってもよい。この吸収性層は、熱可塑性樹脂を追加的に含んでもよい。一実施形態において、吸収性コア層は、米国特許第8,263,820号、同第8,124,827号、米国特許公開第2010-0228209(A1)号、同第2010-0262104(A1)号に記載されている任意の層又は層の組み合わせを含み得る。
【0123】
吸収性層の基材は、繊維状材料を含み得る。繊維状材料は、レーヨン、セルロース、ビスコース、天然繊維、及び当業者に周知の上記の全ての材料又は繊維性である本明細書の包囲可能要素に組み込むことができる全ての材料を含む任意の他の繊維を含み得る。繊維状材料は、実質的にセルロース繊維を含まなくてよい。基材層100は更に、25g/m2~120g/m2、又は35g/m2~90g/m2の坪量を有し得る。吸収性層の基材は、レーヨンからなる繊維状材料を含み得る。
【0124】
熱可塑性材料は、その全体において、ASTM方法D-36-95「環及びボール」(Ring and Ball)で判定される軟化点を50℃~300℃の範囲で有する単一の熱可塑性ポリマー又は熱可塑性ポリマーの混合物を含んでもよい、又は代わりに、熱可塑性組成物は、粘着付与樹脂のような他の熱可塑性希釈剤、可塑剤、及び酸化防止剤のような添加剤と組み合わせた少なくとも一つの熱可塑性ポリマーを含むホットメルト接着剤であってもよい。
【0125】
基材は、熱可塑性材料を含んでもよい。熱可塑性ポリマーは、典型的には、10,000よりも大きい分子量(Mw)と、通常は室温より低いガラス転移温度(Tg)とを有することが可能である。ホットメルトの典型的なポリマー濃度は、20~40重量%の範囲である。多種多様の熱可塑性ポリマーは、本発明での使用に好適になり得る。このような熱可塑性ポリマーは、典型的に、水非感受性であり得る。代表的なポリマーは、A-B-A三元ブロック構造、A-B二元ブロック構造、及び(A-B)n放射状ブロックコポリマー構造を包含する(スチレン)ブロックコポリマーであり得て、Aブロックは、典型的にはポリスチレンを含む非エラストマーポリマーブロック、またBブロックは、不飽和結合したジエン又はその(部分的に)水素添加したバージョンとなり得る。Bブロックは典型的には、イソプレン、ブタジエン、エチレン/ブチレン(水素添加ブタジエン)、エチレン/プロピレン(水素添加イソプレン)、及びこれらの混合物となりうる。
【0126】
用いることができる他の好適な熱可塑性ポリマーとして、シングルサイト触媒又はメタロセン触媒を使用して調製されるエチレンポリマーであるメタロセンポリオレフィンがある。ここにおいて、少なくとも1つのコモノマーをエチレンと重合してコポリマー、ターポリマー、又はより高次のポリマーを作製することができる。同様に適用可能なものとして、C2~C8のαオレフィンのホモポリマー、コポリマー、又はターポリマーである、非晶質ポリオレフィン又は非晶質ポリαオレフィン(APAO)が挙げられる。
【0127】
樹脂は典型的には、5,000未満のMwと、通常は室温を超えるTgとを有し、ホットメルト接着剤における樹脂の典型的な濃度は、30~60%の範囲であり得る。可塑剤は、通常は1,000未満の低いMwと、室温未満のTgとを有し、典型的な濃度は0~15%である。
【0128】
典型的にホットメルト接着剤である熱可塑性材料は、既知の手段、即ち接着剤を繊維化できるような手段によって、コア全体に繊維状の形態で存在することができる。典型的には、繊維は、平均厚さ1~100マイクロメートル、平均長5mm~50cmを有することができる。特に、熱可塑性材料、典型的には、例えばホットメルト接着剤の層は、網状構造を構成するように提供できる。
【0129】
基材層又は任意の他の層、特に任意の他の不織布層に対する熱可塑性材料の接着を改善するために、そのような層を、補助接着剤で前処理することが可能である。
【0130】
吸収性コア層は、吸収性ポリマー材料を有し得る。理論に束縛されるものではないが、このような材料は、膨張状態にあっても、すなわち液体が吸収されたとき、特に促進する当該材料の透過性が、吸収性ポリマー材料の塩水流伝導度によって示されるように10、20、25、30、40、50、100、又は200 SFC単位(1 SFC単位は1×10-7(cm3×秒)/g)を超えるときには、実質的に材料全体の液体の流れを遮らないと考えられている。塩水流伝導度は当該技術分野において周知のパラメータであり、欧州特許第752,892 B号に開示されている試験に従って測定されるものである。
【0131】
この吸収性ポリマー材料の層は、典型的には、第1の表面及び第2の表面を含む不均一な層であってよく、ここで「不均一」は、吸収性ポリマー材料が基材上に不均一な坪量で分布されていることを意味する。反対に、不均一な吸収性ポリマー材料の層の第2の表面は、基材層の第1の表面と少なくとも部分的に接触する。本発明の実施形態によると、吸収性ポリマー材料の不均一な層は一般的に開口部、すなわち実質的に吸収性ポリマー材料がない部分を含む層である不連続層でよく、特定の実施形態においては、開口部が、通常吸収性ポリマー材料を含む部分で完全に囲まれていてよい。
【0132】
本発明で使用されるのに好適な吸収性ポリマー材料は、実質的に非水溶性で、僅かに架橋し、部分的に中和した、ポリマーゲル化材料を含むことができる。この材料は水に接触するとヒドロゲルを形成する。このようなポリマー材料は、重合可能な不飽和の酸含有モノマーから調製することができる。本発明で使用される高分子吸収性ゲル材料の調製で使用するのに好適な不飽和酸性モノマーには、1987年3月31に発行された米国特許第4,654,039号(Brandtら)、及び1988年4月19日にRE 32,649号として再発行されたものが挙げられ、これらの両方は参照により組み込まれる。好ましいモノマーはアクリル酸、メタクリル酸、及び2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を含む。アクリル酸それ自体が、高分子ゲル化材料の調製に特に好ましい。不飽和の酸含有モノマーから形成されるポリマー構成成分は、デンプン若しくはセルロースなどの他の種類のポリマー部分にグラフト化されてもよい。この種類のポリアクリレートグラフト化デンプン材料が特に好ましい。従来のタイプのモノマーから調製することができる好ましい高分子ゲル化材料には、加水分解アクリロニトリルグラフト化デンプン、ポリアクリレートグラフト化デンプン、ポリアクリレート、無水マレイン酸系コポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0133】
一実施形態によれば、吸収性物品は、液体透過性トップシートを備え得る。本明細書で用いるのに好適なトップシートは、織布、不織布、及び/又は液体透過性開口を含む液体不透過性ポリマーフィルムの三次元ウェブを含み得る。本明細書に用いるトップシートは、単一層とすることができ、又は多数の層を有していてもよい。例えば、着用者に面する表面から吸収性構造体に向かう液体の移送を促進するために設けられた開口部を有するフィルム材料によって、着用者に面し接触する表面を設けることができる。かかる液体透過性の有孔フィルムは、当該技術分野において周知である。それら有孔フィルムは、弾性的な三次元繊維様構造体を提供する。このようなフィルムは、例えば、米国特許第3929135号、同第4151240号、同第4319868号、同第4324426号、同第4343314号、同第4591523号、同第4609518号、同第4629643号、同第4695422号、又は国際公開第96/00548号に詳細に開示されている。
【0134】
吸収性層は、接合、接合層、接着剤、又はこれらの組み合わせを使用して組み合わせることができる。吸収性コア構造は、接合、接合層、接着剤、又はこれらの組み合わせを使用して、トップシート、バックシート、又はトップシート及びバックシートの両方に取り付けることができる。接着剤を、例えば線状、らせん状、点状、円形、四角形、又は任意の他の好適なパターンなど、任意の好適なパターンに配置することができる。接合を、例えば線状、らせん状、点状、円形、四角形、又は任意の他の好適なパターンなど、任意の好適なパターンに配置することができる。
【0135】
吸収性層は、2つの層の間の中間層を使用して組み合わせることができる。この中間層は、薄紙、不織布、フィルム、又はこれらの組み合わせを含み得る。この中間層は、2E-10m2、4E-10m2、6E-10m2、8E-10m2、又は10E-10m2(200ダルシー、400ダルシー、600ダルシー、800ダルシー、又は1,000ダルシー)を超える浸透性を有し得る。
【0136】
一実施形態において、このコア構造は、2層コア構造であり得る。上層は、連続気泡発泡体を含む不均質塊である。この連続気泡発泡体は、コアの長手方向長さに沿ったカナルを含み得る。下層は、基材層を含み、この基材の上に超吸収性ポリマーが配置されている。基材と超吸収性ポリマーは、熱可塑性樹脂でコーティングされている。この2層コア構造は他の層と組み合わせることができるが、追加層は2層コア構造の下に配置されるものとする。
【0137】
2層コア構造の上層内のカナルは、コアの端の手前で終わっていてもよい。カナルは、連続的であっても非連続的であってもよい。カナルは、コアの各端から0.3センチメートル~8センチメートル(0.1インチ~3インチ)であってよく、例えば、0.5センチメートル、0.64センチメートル、0.8センチメートル、0.89センチメートル、1.0センチメートル、1.1センチメートル、又は1.3センチメートル(0.2インチ、0.25インチ、0.3インチ、0.35インチ、0.4インチ、0.45インチ、又は0.5インチ)であってよい。理論に束縛されるものではないが、上層内のカナルが、その事象領域から流体を運び去ることができ、これがなければ流体事象に出会わなかったであろう下層コア部分にも流体がアクセス可能になることを、出願者らは見出した。このカナルは、排泄負荷又は事象ゾーンから流体を迅速に分散させ、その空隙体積を利用して、より迅速な捕捉時間をもたらす。同時に、カナルによって高吸引性の壁が設けられ、これが流体の能動的な移動を提供する。
【0138】
カナルは、0.1mm~5mm離して配置することができ、例えば、0.5mm~4mm、又は1mm~3mm離して配置することができる。一実施形態において、カナルは、互いに対して平行であり、かつ、不均質塊の上側コア構造の長手方向寸法、横断方向寸法、横寸法、又は対角線寸法の長さの、30%~100%、又は40%~95%、又は50%~90%、又は60%~85%にわたって、離間配置される。カナルは、不均質塊の上側コア構造の長手方向軸、横断方向軸、横方向軸、又は対角線方向軸に平行であり得る。一実施形態において、カナルは、正弦波対直線の形状である。一実施形態において、カナルは、任意の好適な幾何学的デザインの形状であり、例えば、らせん状、渦巻状、線状、矩形、波形などである。
【0139】
理論に束縛されるものではないが、上記の2層コア構造により、高い毛管吸引力が可能になり、同時に、カナル壁を通る流体の毛管作用に比較して、カナルを通って下へ浸透する制御された速度を維持しながら、表面全体にわたる高浸透性を維持できることを、出願者らは見出した。カナル高さと長手方向の流量を増加させる能力により、独特の膨潤現象が生じる。具体的には、所与の事象量について、AGM層、基材層、又はAGM層に1つ以上の基材層を組み合わせたものに関連する、その事象領域での全体的な膨潤は今までより少なくなり、製品に沿ってより均一である。これは、カナルが非常に効果的であり、事象領域から流体を運び去るためである。一連の平行なカナルは、寸法的可撓性に対して、独特の構造を形成する。
【0140】
一実施形態において、吸収性コアは少なくとも2つの層を含む。上側コア層は、不織布ウェブと相互に混合したHIPE発泡体を含有する不均質塊を含む。この不均質塊は、高い毛管作用を有する1本以上のカナルと、高い浸透性を有する1本以上のカナルとを含む。高い毛管作用を有するカナルは高密度のHIPE及び不織布ウェブを含み、高い浸透性を有するカナルは低密度のHIPE及び不織布ウェブを含む。下側コアレベルは、超吸収性ポリマーを備えた基材層を含み、これは、50%超の超吸収性ポリマーと、30%未満のセルロースとを含む。
【0141】
理論に束縛されるものではないが、吸収性物品内の吸収性コアとして使用されるとき、連続気泡発泡体層を含む不均質塊のカナル壁は、液体事象に基づいて、独特の動的容積カナル及び流体移送システムを形成することを、出願者らは見出した。より具体的には、液体事象の後、カナル壁は垂直方向に膨潤し、これによってカナルはより深くなり、その後の事象に対してより多くの体積容量を持つことになる。カナルは、X-Y方向には顕著に膨潤しない。カナルはまた、カナル壁の毛管作用により、カナルの長さに沿って、比較的一定の流量速度を維持する。
【0142】
この2層コア構造により、後続の事象に対して、捕捉回数が改善される。
【0143】
表1及び表2は、数多くの製品について、本出願に述べたパラメータに対する測定結果を示す。「ブランドX」として示される製品は市販製品を示し、一般的に入手可能な月経用及び失禁用製品から選択されたものである。
【0144】
プロトタイプ製品0及びA~Iはプロトタイプであり、このうちB~Iは本発明によるものである。
【0145】
発泡体が存在する全てのプロトタイプにおいて、使用される発泡体は、水対油が27:1のエマルションで調製されたHIPEであり、市販製品のInfinityの下側層に使用されているものと同じ組成物である。
【0146】
ブランドA-発泡体製品=Always Infinity F3サイズ
ブランドS-マキシ製品=Stayfree Maxi Super Pad
ブランドK-ウルトラ製品=U By Kotex Overnight Ultra Thins
ブランドA-ウルトラ製品=Always Ultra Thin
ブランドP中程度吸収性=Poise Maximum Absorbency Longサイズ
ブランドA中程度吸収性=Always Discrete Pads Maximumサイズ
ブランドT中程度吸収性=Tena Serenity Heavy Longサイズ
ブランドP中程度吸収性-新製品=Poise Thin Shaped Padsサイズ3
プロトタイプ0-(本発明によらないもの)
【0147】
この製品は、「ブランドA-中程度吸収性」として示される市販製品、すなわちAlways Discrete Pads Maximumサイズに基づく。この市販製品の吸収性コアシステムを慎重に除去し、新しい吸収性コアに置き換え、この製品を再び密封した。この新しいコアシステムは、身体に面する上側不織布層とパンティに面する下側不織布層との間に挟まれたAGM粒子により形成される。このAGM層は接着剤により両側に固定される。
【0148】
上側不織布層は、Sandler AG(ドイツ)によりブランド名Sawasoftとして製造された75gsmスパンレースであり、ビスコースレーヨン(1.3DTex、50mm)が45%、BiCo繊維(PE/PET、2.2Dtex、38~40mm)が40%、HollowSpiral PET(10Dtex、38~40mm)が15%の繊維からなっている。
【0149】
AGM層は273gsmのShokobai AGM(商標名Aqualic CA L-700として製造)を含む。
【0150】
AGM粒子層は、製造コードNW1151 ZPとしてHB Fuller Adhesives(USA)により製造されている、マイクロファイバーの形態で適用された坪量10gsmのメルトブローン接着層によって身体に面する側に固定されている。パンティに面する側には、AGMが、製造コードHL 1358LO-F ZPとしてHB Fuller Adhesives(USA)により製造されている、スロットコーティングされた接着層によって坪量6.0gsmで固定されている。
【0151】
下側不織布層は、製造コードMH345.231としてGlatfelter GmbH(ドイツ)により製造されている345gsmのエアレイド材料である。
【0152】
この吸収性コアは、全体的な幅が長さ288mm、幅69mmの、長方形形状を有する。AGMパターンの長さも288mmであるが、幅は61mmだけであり、コアシステムの縁から離れて収容され、横漏れを防ぐ。
【0153】
プロトタイプA(本発明によらないもの)は、「ブランドA-発泡体製品」、すなわちAlways Infinity Heavy Flow(F3)の構造に基づく。この市販製品の吸収性コアシステムを慎重に除去し、本発明による吸収性要素に置き換え、この製品を再び密封した。
【0154】
吸収性要素は、不均質塊の層により形成されるコア構造からなっており、これは、挟んでいる2つの不織布層の繊維を包囲しているHIPE連続気泡発泡体層を含む。エマルションが不織布担体上に押し出される。この担体は、Fitesa-green Bay (USA)により製品コード9360770370として製造された60gsmの捕捉層3材料であり、エマルションがこの不織布の繊維を包囲する。この層は、製品のパンティ側に向かって配置される。重合の前に、第2の不織布が露出したHIPE表面に適用され、これにより第2の包囲層が形成される。第2の不織布層は、Sandler AG(ドイツ)によりブランド名Sawasoftとして製造された55gsmスパンレース不織布であり、ビスコースレーヨンが45%(1.3DTex、50mm)、BiCo繊維が40%(PE/PET、2.2Dtex、38~40mm)、HollowSpiral PETが15%(10Dtex、38~40mm)の繊維からなっている。
【0155】
プロトタイプBは、「ブランドA-中程度吸収性」、すなわちAlways Discrete Pads Maximumサイズの構造に基づく。この市販製品の吸収性コアシステムを慎重に除去し、本発明による吸収性要素に置き換え、この製品を再び密封した。
【0156】
この吸収性要素は、次の2つの層で形成されるコア構造からなる。
第1の層は、不織布の繊維を包囲するHIPE連続気泡発泡体部を含む不均質塊であり、第2の層は、2つの不織布基材の間にホットメルト接着剤で固定されたAGMの層である。
【0157】
第1の層は、発泡体前駆体の27:1 HIPEエマルションを、坪量150gsmで基材不織布上に均一な層として押し出すことにより調製され、この基材不織布は、Fitesa(USA)により製品コード9343789370として製造された43gsmの捕捉材料である。このエマルションが不織布の繊維を包囲してから、重合され、2~50マイクロメートルの拡大した孔径分布を有する連続気泡発泡体となる。結果として得られる材料を、記述に従って相互噛合ロールで機械的に処理し、発泡体層に孔を開け、ばらばらのカナルを形成し、これによって、製品の長手方向に、カナルで分離された発泡体の平行なストライプを形成し、このカナルの開口部は幅2mm、高さ1mmである。合計で17本のカナルが、幅70mm、長さ270mmを有するウェブ内に形成される。
【0158】
第2の層は、基材に超吸収性ポリマーを加えた層として調製され、積層体であり、この上側(身体に面する側)サブ層は、Sandler(ドイツ)によりブランド名Sawasoftとして製造された55gsmスパンレース不織布であり、ビスコースレーヨンが45%(1.3DTex、50mm)、BiCo繊維が40%(PE/PET、2.2Dtex、38~40mm)、HollowSpiral PETが15%(10Dtex、38~40mm)の繊維からなっている。AGMサブ層は315gsmのShokobai AGM(商標名Aqualic CA L-700として製造)を含む。下側(パンティに面する側)サブ層は、Fibertex(デンマーク)により製造された標準的な10gsmポリプロピレン不織布スパンボンド材料であり、単にAGM粒子を収容するのに使用される。AGM粒子は、製造コードNW1151 ZPとしてHB Fuller Adhesives(USA)により製造されている、マイクロファイバーの形態で適用された坪量10gsmのメルトブローン接着サブ層によって上側に固定されている。下側には、AGMが、製造コードHL 1358LO-F ZPとしてHB Fuller Adhesives(USA)により製造されている、更なるスロットコーティングされた接着サブ層によって坪量6.0gsmで固定されている。
【0159】
この第2の層は、全体的な幅が長さ288mm、幅69mmの、長方形形状を有する。AGMパターンの長さも288mmであるが、幅は61mmだけであり、コアシステムの縁から離れて収容され、横漏れを防ぐ。
【0160】
第1の層は身体に近い側に配置され、チャネルのある側がパンティに向くような向きにされる。
【0161】
プロトタイプCはプロトタイプBに基づいており、第1の層の不織布は、Sandler AG(ドイツ)によりブランド名Sawasoftとして製造された55gsmスパンレース不織布で置き換えられ、ビスコースレーヨンが45%(1.3DTex、50mm)、BiCo繊維が40%(PE/PET、2.2Dtex、38~40mm)、HollowSpiral PETが15%(10Dtex、38~40mm)の繊維からなっている。
【0162】
プロトタイプDはプロトタイプCに基づいており、発泡体の拡大した口径分布は2~30マイクロメートルであり、カナル開口部は2mmではなく1.5mmであり、カナルは、70mmのウェブ幅にわたって22本である。第2の層において、上側サブ層は、Sandler AG(ドイツ)によりブランド名Sawasoftとして製造された75gsmスパンレース不織布であり、Galaxy Tri-lobalレーヨンが35%(3.3DTex、38mm)、ポリプロピレン繊維が40%(6.7Dtex、38~40mm)、HollowSpiral PETが25%(10Dtex、38~40mm)の繊維からなっている。下側サブ層は、Glatfelter GmbH(ドイツ)により製造コードVH065.103として製造された65gsmエアレイド材料であり、AGM粒子を収容するのに使用され、コアシステムに追加の空隙体積を加える。
【0163】
プロトタイプEはプロトタイプDに基づいており、第1の層の不織布は、Fitesa-green Bay(USA)により製品コード9360770370として製造された60gsmの捕捉層3材料である。
【0164】
プロトタイプFはプロトタイプEに基づいており、第1の層の不織布は、Sandler AG(ドイツ)によりブランド名Sawasoftとして製造された55gsmスパンレース不織布であり、ビスコースレーヨンが45%(1.3DTex、50mm)、BiCo繊維が40%(PE/PET、2.2Dtex、38~40mm)、HollowSpiral PETが15%(10Dtex、38~40mm)の繊維からなっている。第2の層において、下側サブ層は、Fibertex(デンマーク)により製造された標準的な10gsmポリプロピレン不織布スパンボンド材料であり、単にAGM粒子を収容するのに使用される。
【0165】
プロトタイプGはプロトタイプFに基づいており、第1の層の不織布材料は、Fitesa-green Bay(USA)により製品コード9360770370として製造された60gsmの捕捉層3材料であり、第2の層において、下側サブ層は、Fibertex(デンマーク)により製造された標準的な10gsmポリプロピレン不織布スパンボンド材料であり、単にAGM粒子を収容するのに使用される。
【0166】
プロトタイプHはプロトタイプGに基づいており、第2の層において、上側サブ層は、ブランド名Fibrella Spunlace製品コードF2000としてSuominen(フィンランド)により製造された30gsmスパンレース不織布であり(2.2Dtexビスコース67%、3DTex PET 33%)、下側サブ層は、Glatfelter GmbH(ドイツ)により製造コードVH065.103として製造された65gsmエアレイド材料であり、AGM粒子を収容するのに使用され、コアシステムに追加の空隙体積を加える。
【0167】
プロトタイプIはプロトタイプHに基づいており、第2の層において、下側サブ層はFibertex(デンマーク)により製造された標準的な10gsmポリプロピレン不織布スパンボンド材料であり、単にAGM粒子を収容するのに使用される。
【0168】
【0169】
【0170】
図1は、生理用ナプキンの一実施形態の斜視図である。例示されている生理用ナプキン10は、使用中にユーザーの身体に接触する、身体に面する上面11を有する。反対側の、衣服に面する下面13は、使用中にユーザーの衣服に接触する。
【0171】
生理用ナプキン10は、
図1に示されるように概ね対称的な「砂時計」形状、並びに洋ナシ形状、自転車のシート形状、台形の形状、楔形の形状、又は他方のよりも広い1つの端部を有する他の形状を含む、女性用衛生製品の当該技術分野において既知の任意の形状を有してもよい。生理用ナプキン及びパンティライナにはまた、「フラップ」又は「ウィング」として当該技術分野において既知の横方向延長部が設けられてもよい。かかる延長部は、着用者のパンティが汚れるのを防ぐこと、及び生理用ナプキンを定位置に固定して保持することを含むがこれらに限定されない、多くの目的で役立てることができる。
【0172】
生理用ナプキンの上面は一般的に液体透過性トップシート14を有する。下面は、一般的に液体不透過性バックシート16を有しており、これは製品の縁部でトップシート14と結合される。吸収性コア18は、トップシート14とバックシート16との間に位置決めされる。第2のトップシートを、吸収性コア18の上部、トップシートの下に設けてもよい。生理用ナプキン10は、長手方向軸(L)及び横方向軸(Lat)を有する。
【0173】
トップシート14、バックシート16、及び吸収性コア18は、いわゆる「チューブ型」製品又はサイドフラップ製品などの様々な周知の構成、例えば、米国特許第4,950,264号の「Thin,Flexible Sanitary Napkin」(1990年8月21日、Osbornに発行)、同第4,425,130号の「Compound Sanitary Napkin」(1984年1月10日、DesMaraisに発行)、同第4,321,924号の「Bordered Disposable Absorbent Article」(1982年3月30日、Ahrに発行)、同第4,589,876号、及び「Shaped Sanitary Napkin With Flaps」(1987年8月18日、Van Tilburgに発行)に概して説明されている構成などで組み立てることができる。これらの特許はそれぞれ、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0174】
バックシート16及びトップシート14は、様々な方法で一緒に固定することができる。H.B.Fuller Company(St.Paul,Minn.)によりHL-1258又はH-2031の名称で製造される接着剤は、満足のいくものであることが見出されている。あるいは、トップシート14及びバックシート16は、熱接着、圧力接着、超音波接着、動的機械的接着、又はクリンプシールによって互いに結合されてもよい。流体不透過性クリンプシール24は、製品の縁部を通じた流体の横方向に移動(「ウィッキング」)に耐性を有することができ、着用者の衣類の面が汚れるのを防ぐ。
【0175】
生理用ナプキンなどに典型的であるように、本発明の生理用ナプキン10は、バックシート16の衣類に面する面上に配されたパンティ固定用接着剤を有し得る。パンティ固定用接着剤は、この目的のために当該技術分野において用いられる任意の既知の接着剤とすることができ、当該技術分野において周知であるように、使用前には剥離紙で覆うことができる。フラップ又はウィングが存在する場合、パンティ固定用接着剤は、着用者のパンティの下面に接触して接着するように、衣類に面する面に適用され得る。
【0176】
バックシートは、吸収性構造体に吸収され収容されている流体が、パンツ、ズボン、パジャマ、下着、及びシャツ又はジャケットなどの吸収性物品と接触する材料を濡らすことを防ぐのに用いることができ、これにより、流体移動に対するバリアとして作用する。本発明の一実施形態によるバックシートは、少なくとも水蒸気、又は水蒸気と空気との両方にその中を通過させることもできる。
【0177】
特に、吸収性物品が生理用ナプキン又はパンティライナとしての有用性を見出す場合、吸収性物品は、物品を下着に取り付ける手段を提供するパンティ締結手段、例えば、バックシートの衣類に面する表面上にパンティ締結接着剤を備えることができる。下着の股縁部の周囲に折り曲がるように作られているウィング又はサイドフラップを、ナプキンの側縁部に設けることも可能である。
【0178】
図2は、
図1の生理用ナプキン10の、線2-2での断面図である。図に示すように、吸収性コア18構造は、上側層20と下側層30とを備える。上側層20は、連続気泡発泡体部25を含む不均質塊22である。連続気泡発泡体部25は、吸収性物品10の長手方向長さに沿って配置されるストライプ26の形態である。吸収性発泡体部25はカナル28により分離されている。吸収性コア18構造の下側層30は基材32を含み、この基材32の上に超吸収性ポリマー34を備える。基材32及びポリマー34は、熱可塑性接着剤36でコーティングされている。
【0179】
図3は、
図1の生理用ナプキン10の、線3-3での断面図である。図に示すように、吸収性コア18構造は、上側層20と下側層30とを備える。上側層20は、連続気泡発泡体部25を含む不均質塊22である。連続気泡発泡体部25は、吸収性物品10の長手方向長さに沿って配置されるストライプ26の形態である。吸収性コア18構造の下側層30は基材32を含み、この基材32の上に超吸収性ポリマー34を備える。基材32及びポリマー34は、熱可塑性接着剤36でコーティングされている。
【0180】
図4は、何らかの形成手段又はカナル形成を行う前の、不均質塊22のSEM顕微鏡写真である。
図4に示すように、吸収性層構造40は、第1の表面46及び第2の表面48を有する第1の平坦な不織布44と、第1の表面52及び第2の表面54を有する第2の平坦な不織布50とを含む、不均質塊22である。連続気泡発泡体部25は、第1の平坦な不織布44の一部分と第2の平坦な不織布50の一部分とを包囲する。具体的には、連続気泡発泡体部25は、第1の平坦な不織布44の第2の表面48と、第2の平坦な不織布50の第1の表面42の両方において、包囲可能要素58を包囲する。
【0181】
図5は、形成手段又はカナル形成後の、不均質塊22のSEM顕微鏡写真である。
図5に示すように、吸収性層構造40は、第1の表面46及び第2の表面48を有する第1の平坦な不織布44と、第1の表面52及び第2の表面54を有する第2の平坦な不織布50とを含む、不均質塊22である。連続気泡発泡体部25は、第1の平坦な不織布44の一部分と第2の平坦な不織布50の一部分とを包囲する。平坦な不織布は、形成手段の影響により、波形として示されている。
【0182】
図6~
図8は、上述の形成手段を用いて、不均質塊22内に形成され得る、可能性のあるパターン4の上面図である。
図6に示すように、カナル1は不連続であり、CD 2及びMD 3方向に沿って発泡体が連続的となってよい。
図7a~
図7c及び
図8a~
図8cは、追加の任意選択的なパターン4を示す。
図7a~
図7c及び
図8a~
図8cに示すように、パターン4は、パターンがカナル1を含み、CD 2又はMD 3方向のうち一方又は両方において不連続であるように、形成手段を用いて不均質塊22内に形成することができ、これによって発泡体は不均質塊22の部分において連続的となり得る。
【0183】
A.
a.流体透過性トップシートと、
b.バックシートと、
c.トップシートとバックシートとの間に配された吸収性要素と、を備える吸収性物品であって、
d.吸収性物品は、本明細書に記載される動的厚み膨張試験に従って5分後に測定された厚み膨張度を有し、
e.吸収性物品は、本明細書に記載されるバンチ圧縮試験に従って測定された乾燥ピーク剛性を有し、
f.厚み膨張度と乾燥ピーク剛性との比が少なくとも50%/Nである、吸収性物品。
B.厚み膨張度と乾燥ピーク剛性との比が少なくとも75%/Nである、段落Aに記載の吸収性物品。
C.厚み膨張度と乾燥ピーク剛性との比が、50%/N~500%/Nである、段落A又はBに記載の吸収性物品。
D.吸収性物品が、本明細書に記載される動的厚み膨張試験に従って5分後に測定された、少なくとも125%の厚み膨張度を有し、吸収性物品が、本明細書に記載されるバンチ圧縮試験に従って測定された、10N以下の乾燥ピーク剛性を有する、段落A~Cのいずれか一項に記載の吸収性物品。
E.吸収性物品が、本明細書に記載される動的厚み膨張試験に従って5分後に測定された、少なくとも75%の厚み膨張度を有し、吸収性物品が、本明細書に記載されるバンチ圧縮試験に従って測定された、7N以下の乾燥ピーク剛性を有する、段落A~Dのいずれか一項に記載の吸収性物品。
F.吸収性要素が2つ以上の層を含み、上側層はトップシートに近い側に配置され、下側層はバックシートに近い側に配置され、上側層は、長手方向軸、横方向軸、垂直方向軸、1つ以上の包囲可能要素、及び1つ以上の個別の連続気泡発泡体部を含む不均質塊層である、段落A~Eのいずれか一項に記載の吸収性物品。
G.包囲可能要素が繊維であり、好ましくは合成繊維である、段落Fに記載の吸収性物品。
H.1つ以上の個別の連続気泡発泡体部が、包囲可能要素を包囲する、段落F又はGに記載の吸収性物品。
I.連続気泡発泡体部が、長手方向軸に対して平行なストライプの形状である、段落F~Hのいずれか一項に記載の吸収性物品。
J.連続気泡発泡体部が、横方向軸に対して平行なストライプの形状である、段落F~Iのいずれか一項に記載の吸収性物品。
K.連続気泡発泡体部が、対角線方向軸に対して平行なストライプの形状である、段落F~Jのいずれか一項に記載の吸収性物品。
L.連続気泡発泡体部がHIPE発泡体を含む、段落F~Kのいずれか一項に記載の吸収性物品。
M.下側層が、超吸収性ポリマー粒子を備える基材を含む、段落F~Lのいずれか一項に記載の吸収性物品。
N.下側層が、超吸収性ポリマー粒子の層を含む、段落F~Mのいずれか一項に記載の吸収性物品。
O.超吸収性ポリマー粒子が、基材層の上、好ましくは不織布基材層の上に配されている、段落F~Nのいずれか一項に記載の吸収性物品。
P.吸収性物品が、生理用ナプキン、おむつ、成人失禁用パッド及びパンツから選択される、段落A~Oのいずれか一項に記載の吸収性物品。
Q.吸収性物品が、本明細書に記載されるSABAP試験に従って測定したとき、0.1g以下の再湿潤値を有する、段落A~Pのいずれか一項に記載の吸収性物品。
R.吸収性物品が、本明細書に記載されるSABAP試験に従って測定したとき、1ml/秒~6ml/秒の捕捉速度を有する、段落A~Qのいずれか一項に記載の吸収性物品。
S.吸収性物品が、本明細書に記載される動的厚み膨張試験に従って1分後に測定された、150%~250%の厚み膨張度を含む、段落A~Rのいずれか一項に記載の吸収性物品。
T.吸収性物品が、本明細書に記載される動的厚み膨張試験に従って5分後に測定された、275%~600%の厚み膨張度を含む、段落A~Sのいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0184】
試験方法
1-動的厚み膨張試験方法
動的厚み膨張試験方法は、流体が導入されるときの、吸収性物品の長方形部分の、圧力下における垂直方向膨張を測定する。
図9A、
図9B、及び
図10を参照して、試験スタンドは、過剰な流体を受ける排水トレイ4001と、試料アセンブリ4003のための台となる支持フレーム4002と、2つのキャリパ4005を支持するキャリパフレーム4004と、2.40ml/sec±0.01ml/secで試験流体を送達することができるポンプとからなる。試験流体は脱イオン水中0.9% w/wのNaCl溶液であり、これを37℃±1℃に加熱する。全ての試験は、温度23℃±2℃、及び相対湿度50%±2%に保たれた室内で行われる。
【0185】
排水トレイ4001は3.2mmのプレキシグラスで作製され、長さ37cm、幅11cm、深さ2cmである。支持フレーム4002は厚さ9.5mmのプレキシグラスで作製され、長さ35cm、幅10cm、高さ2cmの外形寸法を有する。支持フレームの表面はスクリーンで覆われている(ステンレス鋼製、4.8mmの孔が4mm間隔で配置)。キャリパフレーム4004は、試料の長手方向中線に沿って、60mm間隔で2つのキャリパを支持するよう設計されている。キャリパフレーム4004の高さは、試料4007が膨潤したときに、キャリパ4005の操作のために十分なクリアランスを有して、その動的範囲内で、試料アセンブリが下側に十分収まる高さである。使用されるキャリパは、脚部として3mmの丸いボールを備え、0.001mm単位で読み取ることができる(好適なキャリパはMitutoyoモデルID-C150XB、又は同等品である)。キャリパ4005はコンピューターに接続されており、実験中に1Hzで高さデータを記録する。
【0186】
試料アセンブリ4003は、6.35mmのプレキシグラスで作製された長方形の試料フレーム4006からなり、この内側寸法は長さ70.0mm、幅50.0mm、深さ10.0mmである。試料カバー4008は、長さ69.0mm、幅49.0mm、厚さ15.0mmの金属プレート4009からなり、横方向軸と長手方向軸に沿って中心に直径20.0mmの貫通孔4012がある。プレートの上には、内径20.0mm、外径30.0mm、深さ10.0のリング4010が、貫通孔の上側に中心を合わせて、プレート4009の上に接着されており、合計の流体カラム高さは25.0mmとなる。幅5.0mm、深さ10.0mm、長さ20.0mmのスパウト4011により、流体カラムからの流体があふれ出て試料アセンブリの外へと流れる。試料カバー4008の全体的な質量は、2つのキャリパ4005により印加される下向きの力と合わせて、例えば合計圧力0.69kPaを試料4007に印加する。
【0187】
試験の少なくとも2時間前に、23℃±2℃、及び50%±2%の相対湿度で、サンプルを予備調整する。物品の身体に面する側を上にしてベンチ上に置く。物品上で、長手方向中心線と横方向中心線の交点を特定する。長方形の切断ダイを使用して、中心線の交点を中心として、試料を長手方向70.0mm、横方向50.0mmに切断する。
【0188】
支持フレーム4002を排水トレイ4001内に配置する。長方形の試料フレーム4006を、支持フレーム4002の中心に配置する。試料のない状態で、試料カバー4003を試料フレーム内に配置する。キャリパの脚部が、試料カバー4003の長手方向中心線に沿って当たるよう、また各脚部が試料アセンブリの中心から30.0mm離れるように、キャリパフレーム4004を試料アセンブリ4003の上に配置する。キャリパのゼロ点合わせを行う。試料アセンブリ4003の上から、キャリパフレーム4004をキャリパと共に持ち上げる。試料4007を試料フレーム内に静かに配置し、支持フレーム4002上に収まるようにする。試料カバー4003を試料の上に静かに配置する。試料カバー4003は、試料フレーム4006内で垂直方向に自由に動ける状態であるべきである。キャリパの脚部が、試料カバー4003の長手方向中心線に沿って当たるよう、また各脚部が試料アセンブリの中心から30.0mm離れるように、キャリパフレーム4004を試料アセンブリ4003の上に配置する。両方のキャリパの高さを読み取り、その平均を0.0001mm単位で、試料の初期乾燥厚みとして記録する。
【0189】
キャリパのゼロ点合わせを行う。2.40ml/sec±0.01ml/secを送達するようポンプをプログラミングする。ポンプを始動し、約2分間作動させて、移動チューブ内の流体が37℃±1℃になるようにする。0時間で高さデータ収集を開始する。10秒後、試料アセンブリの流体カラム4012内への、試験流体導入を開始する。5.0分後まで引き続き流れさせ、過剰な流体はスパウト4011を介して試料アセンブリから外に出される。
【0190】
各時点の2つのキャリパの高さの平均として、各時点での動的厚み膨張度を計算する。個々の平均について、動的厚み膨張度(mm)対時間(s)の曲線をプロットする。動的厚み膨張度は、この曲線と記録に基づいて、0.001mm単位で任意の時間(例えば、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0分など)で読み取ることができる。合計で5つの複製物品について測定を繰り返し、選択した時間の動的厚み膨張度(mm)を相加平均として0.001mm単位で報告する。5つの複製についての初期乾燥厚み(mm)を、相加平均として0.001mm単位で報告する。試料初期乾燥厚みの厚み膨張度(%)は、任意の時間について判定することができる(例えば、1.0分又は5.0分など)。これは、例えば1.0分又は5.0分の時間での、平均の動的厚み膨張度を、試料の初期乾燥厚みで割ることにより判定できる。
【0191】
2-捕捉速度と再湿潤-SABAP試験
SABAP(バルーン印加圧力での捕捉速度)試験は、2.07kPaで圧縮された吸収性物品に、0.9%生理食塩水が吸収される速度を測定するよう、設計されている。既知の体積を4回導入する。毎回、前の用量が吸収されてから5分後に、次の用量を開始する。各用量を吸収するのに必要な時間が記録される。捕捉試験の後、PACORM(捕捉後コラーゲン再湿潤試験方法)を実施する。この試験は、SABAPプロトコルにより流体を搭載した後に、圧力をかけて物品から圧出される流体の量を測定することを含む。コラーゲンシートを再湿潤基材として使用する。好適なコラーゲンは、Naturin Coffiコラーゲンシート(Naturin GmbH & KG(ドイツ)から入手可能)又は同等品である。コラーゲンシートは受け取り後、約23℃±2℃、及び相対湿度約50%±2%で保管する。全ての試験もまた、約23℃±2℃及び相対湿度約50%±2%で維持された室内で行う。
【0192】
SABAP装置を
図11及び
図12A~
図12Bに示す。これはゴム嚢アセンブリ1001と、付着アセンブリ1100を含むトッププレートアセンブリ1200とからなる。コントローラ1005は、1)電極1106間のインピーダンスを監視し、0.9%生理食塩水がシリンダ1102内にある時間間隔を記録する、2)液体ポンプ1004とのインターフェースとなり、吐出を開始/停止させる、3)用量適用の時間間隔を計る、のために使用される。コントローラは、事象時間を±0.01秒単位で記録することができる。施設の空気供給1014を、適切な流量/圧力で空気を送達することができる圧力調節器1006に接続し、これによりゴム嚢アセンブリ内で2.07kPaを維持する。流量3~15ml/sで10~80mlの流れを送達することができる液体ポンプ1004(Cole Palmer(Vernon Hills、IL)から入手可能なIsmatec MCP-Zギヤポンプ、又は同等品)を、Tygonチューブ1015を介して、付着アセンブリ1100の鋼製チューブ1104に取り付ける。
【0193】
ゴム嚢アセンブリ1001は、12.7mmのプレキシグラスで作製され、全体の寸法が、長さ80cm、幅30cm、高さ5cmである。アセンブリ内の圧力を測定するマノメータ1007と、アセンブリに導入される空気導入を調節する圧力計1006が、右側を通る2つの孔に取り付けられる。ゴム嚢1013は、50mm×100mmのシリコーンフィルム片(厚さ0.02”、ショアAデュロメータ値20、McMaster-Carr(Cleveland、OH)から部品番号86435K85として入手可能)を箱の上に掛け、ラテックスがその中心点で箱の底に触れるようにたるませることによって、組み立てられる。フランジを備えたアルミニウムフレーム1003を、ラテックスの上にフィットさせ、機械的クランプ1010を使って定位置に固定する。定位置にあるとき、このアセンブリは圧力3.45kPaで漏れが生じない状態であるべきである。前側1008と後側1009のサンプルサポート(5cm×30cm×1mm)を使用して、サンプルを固定する。接着テープ又は機械的「フック」締着具を使って、物品をサンプルサポートの上表面に取り付ける。これらのサポートは、単純なピンと穴のシステムによって、アルミニウムフレーム1003の長さに沿って調節し、様々なサイズの吸収性物品に対応でき、搭載ポイントを正しく揃えることができる。
【0194】
トッププレートアセンブリ1200は、12.7mmのプレキシグラスの80cm×30cm片を、剛性を高めるためにアルミニウムフレーム1109で補強して、作製される。付着アセンブリ1100は、プレートアセンブリの前側から30cm(1201)、両側からそれぞれ15cm(1203)の位置に中央合わせされる。付着アセンブリは、外径50.8mmとして作製される。プレキシグラスシリンダ1102は内径38.1mmである。シリンダは高さ100mmであり、トッププレート1101を通して挿入され、プレート1101の底面と面一である。2つの電極1106を、トッププレート及びシリンダを通して挿入し、その先端が、シリンダの底面のすぐ上で、シリンダの内壁と面一である。ナイロン製スクリーン1107を2つの半円形に切り、これをシリンダの底面と面一に取り付けて、サンプルが膨潤してシリンダに入り込めないようにする。シリンダの上部には、ゆるくフィットしたナイロン製キャップ1103を嵌める。このキャップは、その中心に通された外径6.35mmの鋼製チューブ1104を有する。キャップを定位置に嵌めると、チューブの底面が、スクリーン1107から20mm上(1108)で終端する。キャップは更に空気穴1105を有し、陰圧によって吸収速度が妨げられないようにする。加えて、トッププレートには直径3.2mmの貫通穴44個が、
図12に示すように分布されてドリルで穴開けされている。この穴は、ゴム嚢が膨らんでも、流体が逃げることなく、空気がトッププレートの下に閉じ込められるのを防ぐためのものである。トッププレートアセンブリ1200は、2つのヒンジ1012でゴム嚢アセンブリ1001に接続されている。使用中、トップアセンブリはゴム嚢アセンブリの上に閉じられ、機械的クランプ1011を用いて定位置にロックされる。
【0195】
PACORM装置は、プレキシグラスディスク(直径60.0mm、厚さ20mm)、及びその上に載せられた閉じ込めおもりからなる。ディスクと閉じ込めおもりを合わせた質量は2000g±2gである。コラーゲンは、70.0mm円形にダイカットされ、4枚重ねて、再湿潤試験に使用する。乾燥コラーゲン積層体の重量を測定・記録し、0.0001g単位で記録する。
【0196】
試験前に、23℃±2℃、及び約50%±2%の相対湿度で2時間、サンプルを予備調整する。まず物品の調製を行う。内側又は外側レッグカフ、腰部キャップ、弾性縁部、又はサイドパネルなどがあれば切除し、物品のコア領域の上にあるトップシートに影響を及ぼさないように気を付ける。この物品を実験台の上に平らに置き、物品の長手方向中心線と横方向中心線の交点を特定する。
【0197】
物品の前端を、接着テープ又は機械的「フック」締着具を使用し、トップシートが上側になるように、前側サンプルプレート1008の上表面に取り付ける。この配置により、シャーシだけが(吸収性コアではなく)プレートに重なる。トッププレートアセンブリが閉じられたときに、吸収性物品がシリンダ1102内で長手方向及び横方向に中心が揃うように、サンプルプレート1008がアルミニウムフレーム1003に取り付けられる。物品の裏端は接着テープ又は機械的「フック」締着具により裏側サンプルプレート1009に固定され、ここでも、吸収性コアではなくシャーシのみがプレートに重なるようにする。次に裏側サンプルプレート1009をアルミニウムフレーム1003に取り付け、物品が平坦になっている(taunt)けれども伸張してはいないようにする。トッププレートアセンブリを閉じて締着し、ゴム嚢を2.07kPa±0.07kPaまで膨らませる。
【0198】
0.9% w/vの生理食塩水を調製する。9.0g±0.05gのNaClを秤量皿に計り取り、1Lメスフラスコに入れ、脱イオン水を目盛まで入れて希釈する。ポンプ1004のプライミングを行い、5ml/secの速度で20mlを供給するよう較正する。体積と流量は標的の±2%以内でなければならない。キャップ1103をシリンダ1102に嵌める。コントローラ1005を開始し、これによって0.9%生理食塩水の最初の用量が供給される。この体積が吸収された後、コントローラは5.0分間待ってから、次の用量を追加する。このサイクルは合計4回の用量について繰り返し行われる。流体が製品外又は製品を回り込んで漏れた場合(すなわち、物品内に吸収されていない場合)、試験は中止される。また、捕捉時間が1200秒を超えた場合も、試験は中止される。各用量について0.01秒単位で、捕捉時間がコントローラにより記録される。
【0199】
試験完了後(すなわち、最後の用量が吸収されてから5分後)、圧力逃がし弁1016を開放してゴム嚢をしぼませ、サンプル物品をゴム嚢システムから取り出して、PACORM(捕捉後コラーゲン再湿潤試験方法)評価を行う。
【0200】
30秒以内に試料を台の上に平らに置き、事前に秤量したコラーゲン積層体を物品の長手方向と横方向の中点に合わせて配置し、コラーゲン積層体の上にプレキシグラスディスクを置き、閉じ込めおもりをディスクの上に静かに置く。15.0秒±0.5秒待ってから、おもりを除去する。すぐに、湿潤コラーゲン積層体の重量を測定し、0.0001g単位で記録する。積層体の湿潤重量と乾燥重量との差として再湿潤値を計算し、0.0001g単位で記録する。
【0201】
同様に、評価する各物品について合計5回の複製試験を実施する。各用量について、幾何平均として0.01ml/sec単位で捕捉速度ml/secを計算し報告する。本明細書に記載される乾燥厚み試験方法で得た厚みを用いて、初期厚み(mm)で割ることにより捕捉速度(mL/sec)を計算し、0.1ml/sec/mm単位で報告する。5つの複製について、再湿潤を、幾何平均として0.0001g単位で計算する。
【0202】
3-バンチ圧縮試験
サンプルのバンチ圧縮特性を、測定した力がセルの限界の10%~90%以内となるロードセルを使用した定速の延伸引張試験機(好適な計器は、MTS Systems Corp.(Eden Prairie,MN)から入手可能な、Testworks 4.0 Softwareを使用したMTS Alliance、又は同等品である)で測定する。全ての試験は、23℃±3℃、及び50%±2%の相対湿度に維持された室内で行われる。試験は湿潤状態又は乾燥状態で実施することができる。
【0203】
図13を参照して、底部静置器具3000は、2つの合致するサンプルクランプ3001を備え、これらはそれぞれ幅100mmで、それぞれ固有の可動性プラットフォーム3002a、3002bに取り付けられている。クランプには長さ100mmの「ナイフエッジ」3009があり、これが厚さ1mmの硬質ゴム面3008を把持する。閉じたときに、クランプはそれぞれのプラットフォームの内側と面一になる。クランプは、束になっていない試料を水平に、かつ引張試験機の引張軸に対して直角に保持するように整列される。プラットフォームはレール3003上に取り付けられ、これにより、左右に水平に動かし、定位置にロックすることができるようになる。レールには引張試験機に適合するアダプター3004があり、これは、プラットフォームを水平に、かつ引張試験機の引張軸に対して直角に固定することができる。上側器具2000は、全体の長さ70mm、直径25.0mmを有する円筒形プランジャ2001である。接触表面2002は平坦であり、曲面はない。プランジャ2001には、ロードセルの取り付けに適合するアダプター2003があり、これは、プランジャを引張試験機の引張軸に対して直角に固定することができる。
【0204】
試験の少なくとも2時間前に、23℃±3℃、及び50%±2%の相対湿度で、サンプルを予備調整する。物品全体を試験するときは、物品の衣類に面する側にあるパンティ固定接着剤から剥離紙を除去する。接着剤にタルク粉末を軽く塗布して、べたつき感を軽減する。カフがある場合ははさみで切除し、製品のトップシートに影響しないようにする。物品の身体に面する表面を上にして、ベンチ上に置く。物品上で、長手方向中心線と横方向中心線の交点を特定する。長方形の切断ダイを使用して、中心線の交点を中心として、試料を長手方向100mm、横方向80mmに切断する。物品の吸収性部分だけを試験する場合は、ベンチ上にその吸収性部分を置き、物品内に組み込まれる際と同じ向きにする(すなわち、身体に面する表面と、横方向軸及び長手方向軸を特定する)。長方形の切断ダイを使用して、中心線の交点を中心として、試料を長手方向100mm、横方向80mmに切断する。
【0205】
試料は、湿潤時と乾燥時の両方で分析することができる。乾燥試料には、更なる調製は不要である。湿潤試料には、2つの試験溶液のうち一方、すなわち、0.9% w/v生理食塩水(すなわち、9.0gのNaClを1Lの脱イオン水で希釈)を10.00ml±0.01ml、又は、10% w/v生理食塩水(100.0gのNaClを1Lの脱イオン水で希釈)を7.00ml±0.01ml、与える。この用量を、較正済みのエッペンドルフ型ピペッタを用いて加え、流体を、約3秒以内に試料の身体に面する表面全体にわたって完全に広げる。湿潤試料は、この用量が適用されてから10.0分±0.1分以内に試験を行う。
【0206】
引張試験機のプログラミングによりロードセルのゼロ点調整を行い、次に上側器具を2.00mm/secで下げて、プランジャの接触表面が試料に触れ、ロードセルの読み取りが0.02Nとなるようにする。クロスヘッドをゼロにする。システムのプログラミングによりクロスヘッドを2.00mm/secの速度で15.00mm下げ、すぐにクロスヘッドを2.00mm/secの速度で15.00mm上げる。このサイクルを、サイクル間に遅延なく、合計5サイクル繰り返す。全ての圧縮/圧縮解除サイクル中のデータを100Hzで収集する。
【0207】
左側プラットフォーム3002aを、上側プランジャの側面から2.5mmの位置に配置する(距離3005)。左側プラットフォームを位置に固定する。このプラットフォーム3002aは実験中、静止したままである。右側プラットフォーム3002bを、静止クランプから50.0mmの位置に整列させる(距離3006)。上側プローブ2001を上げて、試料の搭載の妨げにならないようにする。両方のクランプを開く。
図14Aを参照して、試料を長手方向の縁(すなわち、長さ100mmの縁)に合わせてクランプ内に固定する。試料の横方向の中心を合わせて、両側の縁をしっかり固定する。
図14Bを参照して、右側プラットフォーム3002bを静止プラットフォーム3002aに向かって距離20.0mm動かす。可動プラットフォームを配置する際に、試料を上向きに屈曲させる。プローブ2001を手動で、下側表面が、屈曲した試料の上面から約1cmのところにくるまで下げる。
【0208】
試験を開始し、5回のサイクル全てについて、変位(mm)対力(N)のデータを収集する。力(N)対変位(mm)のグラフを、全てのサイクルについて個別に作成する。代表的な曲線を
図15Aに示す。曲線から、各サイクルについての最大圧縮力を0.01N単位で記録する。これは「乾燥ピーク剛性」である。第1サイクルと第2サイクルとの間の回復%を(TD-E2)/(TD-E1)
*100として計算する。式中、TDは合計変位量、E2は、第2の圧縮曲線で0.02Nを超える伸張である。0.01%単位で記録する。同様に、第1サイクルと他のサイクルとの間の回復%を、(TD-Ei)/(TD-E1)
*100として計算し、0.01%単位で報告する。
図15Bを参照して、圧縮曲線の下の面積(すなわち領域A+B)としてサイクル1の圧縮エネルギーを計算し、0.1mJ単位で記録する。圧縮曲線と圧縮解除曲線の間の面積(すなわち領域A)として、サイクル1のエネルギー損失を計算し、0.1mJ単位で記録する。圧縮解除曲線の下の面積(すなわち領域B)として、サイクル1の回復エネルギーを計算し、0.1mJ単位で記録する。同様に、他のサイクルそれぞれについて圧縮エネルギー(mJ)、エネルギー損失(mJ)、及び回復エネルギー(mJ)を計算し、0.1mJ単位で記録する。
【0209】
各サンプルについて、合計5回の複製を分析し、各パラメータの相加平均を報告する。全ての結果は、試験流体(0.9%又は10%)を含め、乾燥又は湿潤について具体的に報告される。
【0210】
4-乾燥厚み
試料又は製品の乾燥厚み(厚さ)は、直径25.4mmの脚部に、試料が平らに置ける十分な大きさのアンビルを備えた、較正済みのデジタルリニアキャリパ(例えば、Ono Sokki GS-503又は同等品)を使用して測定される。この脚部が、試料に対して、封圧2.07kPaを印加する。アンビルに対してキャリパ脚部のゼロ点合わせを行う。脚部を上げて、試料をアンビルに対して平らに挿入し、脚部を約5mm/secの速度で試料に向かって下げる。脚部をサンプル上に置いて5.0秒後にキャリパ(mm)を読み取り、0.01mm単位で記録する。
【0211】
本明細書に開示される寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0212】
本明細書において範囲の両端として開示される値は、列挙される正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。むしろ、特に指示がない限り、それぞれの数値範囲は、列挙される値及びその範囲内の任意の整数の両方を意味するものとする。例えば、「1~10」として開示されている範囲は、「1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10」を意味するように意図されている。
【0213】
「発明を実施するための形態」の中で引用される全ての文献は、関連部分において本明細書に参照により援用されている。いかなる文書の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。本文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照により組み込まれる文書における同じ用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいては、本文献においてその用語に与えられる意味又は定義が優先するものとする。
【0214】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、他の様々な変更及び修正を行うことができることは当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるかかる全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。