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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】超伝導双方向電流ドライバ
(51)【国際特許分類】
   H03K 19/195 20060101AFI20221011BHJP
   G11C 7/12 20060101ALI20221011BHJP
   G11C 11/44 20060101ALI20221011BHJP
   H01L 39/22 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
H03K19/195
G11C7/12
G11C11/44
H01L39/22 K
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020503925
(86)(22)【出願日】2018-07-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-01
(86)【国際出願番号】 US2018042466
(87)【国際公開番号】W WO2019023000
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2020-01-24
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-05
(31)【優先権主張番号】15/659,005
(32)【優先日】2017-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ネイアマン、オフェル
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、ドナルド エル.
(72)【発明者】
【氏名】バーネット、ランドール エム.
【合議体】
【審判長】土居 仁士
【審判官】寺谷 大亮
【審判官】丸山 高政
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/157532(WO,A1)
【文献】特開2001-345488(JP,A)
【文献】特表2016-538809(JP,A)
【文献】特開2000-268579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K19/195
G11C11/44
H01L39/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超伝導双方向電流ドライバであって、
活性化コントローラから供給される第1活性化信号に応答して活性化され、かつ電流源と双方向電流負荷の第1端との間に結合された所与の第1方向超伝導ラッチと、前記活性化コントローラから供給される第2活性化信号に応答して活性化され、かつ前記双方向電流負荷の第2端と低電圧レールとの間に結合された別の第1方向超伝導ラッチとを含む第1方向超伝導ラッチと、
前記活性化コントローラから供給される第3活性化信号に応答して活性化され、かつ前記電流源と前記双方向電流負荷の前記第2端との間に結合された所与の第2方向超伝導ラッチと、前記活性化コントローラから供給される第4活性化信号に応答して活性化され、かつ前記双方向電流負荷の前記第1端と前記低電圧レールとの間に結合された別の第2方向超伝導ラッチとを含む第2方向超伝導ラッチと、
前記双方向電流負荷と直列に結合され、入力電流が前記双方向電流負荷に供給される電流状態から、前記双方向電流負荷に電流が供給されないアイドル状態へ前記超伝導双方向電流ドライバを復帰させるために活性化されるリセットラッチと、を備え、
前記所与の第2方向超伝導ラッチおよび前記別の第2方向超伝導ラッチの活性化に応答して、前記入力電流が前記所与の第1方向超伝導ラッチを通過し、前記双方向電流負荷を該双方向電流負荷に対して第1方向に通過し、かつ前記別の第1方向超伝導ラッチを通過する第1電流経路に沿って提供され、
前記所与の第1方向超伝導ラッチおよび前記別の第1方向超伝導ラッチの活性化に応答して、前記入力電流が前記所与の第2方向超伝導ラッチを通過し、前記双方向電流負荷を該双方向電流負荷に対して前記第1方向とは反対の第2方向に通過し、かつ前記別の第2方向超伝導ラッチを通過する第2電流経路に沿って提供される、超伝導双方向電流ドライバ。
【請求項2】
前記所与の第1方向超伝導ラッチ、前記別の第1方向超伝導ラッチ、前記所与の第2方向超伝導ラッチ、および前記別の第2方向超伝導ラッチはそれぞれ、磁束量子デバイスとして構成され、かつ前記活性化コントローラから供給される対応する活性化信号に応答して活性化されて、対応する方向超伝導ラッチを電圧状態に設定するように構成されている、請求項1に記載の超伝導双方向電流ドライバ。
【請求項3】
前記超伝導双方向電流ドライバはHブリッジ回路として構成されている、請求項1に記載の超伝導双方向電流ドライバ。
【請求項4】
ノードをさらに備え、前記リセットラッチの第1端は前記双方向電流負荷の前記第1端に結合され、前記リセットラッチの第2端は前記ノードに結合され、前記ノードは、前記所与の第1方向超伝導ラッチと前記別の第2方向超伝導ラッチとに結合されている、請求項3に記載の超伝導双方向電流ドライバ。
【請求項5】
前記電流源と前記低電圧レールとを相互接続するシャント電流経路をさらに備え、前記シャント電流経路は、少なくとも前記所与の第1方向超伝導ラッチおよび前記所与の第2方向超伝導ラッチの同時活性化に応答して前記入力電流の電流経路を提供するように構成されている、請求項3に記載の超伝導双方向電流ドライバ。
【請求項6】
超伝導双方向電流ドライバであって、
所与の第1方向超伝導ラッチと、別の第1方向超伝導ラッチとを含む第1方向超伝導ラッチであって、
前記所与の第1方向超伝導ラッチは、活性化コントローラからの第1活性化信号による前記別の第1方向超伝導ラッチの活性化に応答して活性化され、
前記所与の第1方向超伝導ラッチは、前記活性化コントローラから供給される前記第1活性化信号による前記別の第1方向超伝導ラッチの前記活性化に応答して前記所与の第1方向超伝導ラッチが活性化されることを保証するために高い抵抗値を有する第1抵抗経路を有する、前記第1方向超伝導ラッチと、
所与の第2方向超伝導ラッチと、別の第2方向超伝導ラッチとを含む第2方向超伝導ラッチであって、
前記所与の第2方向超伝導ラッチは、前記活性化コントローラからの第2活性化信号による前記別の第2方向超伝導ラッチの活性化に応答して活性化され、
前記所与の第2方向超伝導ラッチは、前記活性化コントローラから供給される前記第2活性化信号による前記別の第2方向超伝導ラッチの活性化に応答して前記所与の第2方向超伝導ラッチが活性化されることを保証するために高い抵抗値を有する第2抵抗経路を有する、前記第2方向超伝導ラッチと、を備え、
前記所与の第1方向超伝導ラッチおよび前記別の第1方向超伝導ラッチの活性化に応答して、入力電流が前記所与の第2方向超伝導ラッチを通過し、双方向電流負荷を該双方向電流負荷に対して第1方向に通過し、かつ前記別の第2方向超伝導ラッチを通過する第1電流経路に沿って提供され、
前記所与の第2方向超伝導ラッチおよび前記別の第2方向超伝導ラッチの活性化に応答して、前記入力電流が前記所与の第1方向超伝導ラッチを通過し、前記双方向電流負荷を該双方向電流負荷に対して第2方向に通過し、かつ前記別の第1方向超伝導ラッチを通過する第2電流経路に沿って提供される、超伝導双方向電流ドライバ。
【請求項7】
超伝導双方向電流ドライバであって、
第1活性化信号に応答して活性化される第1方向超伝導ラッチであって、前記第1方向超伝導ラッチは、双方向電流負荷の第1端と低電圧レールとの間に結合される、前記第1方向超伝導ラッチと、
第2活性化信号に応答して活性化される第2方向超伝導ラッチであって、前記第2方向超伝導ラッチは、前記双方向電流負荷の第2端と前記低電圧レールとの間に結合される、前記第2方向超伝導ラッチと、
電流源と前記第1方向超伝導ラッチとを相互接続する第1インダクタと、
前記電流源と前記第2方向超伝導ラッチとを相互接続する第2インダクタと、
前記第1および第2インダクタは、前記双方向電流負荷のインダクタンス値よりも非常に大きいインダクタンス値を有しており、
前記第1インダクタは、前記第1方向超伝導ラッチが活性化されたときに、前記第1インダクタおよび前記双方向電流負荷を流れる電流と前記第2インダクタを流れる電流とが結合して、全負荷電流が前記第2方向超伝導ラッチを介して前記低電圧レールに流れるように前記双方向電流負荷のインダクタンス値よりも大きいインダクタンス値を有しており、
前記第2インダクタは、前記第2方向超伝導ラッチが活性化されたときに、前記第2インダクタおよび前記双方向電流負荷を流れる電流と前記第1インダクタを流れる電流とが結合して、全負荷電流が前記第1方向超伝導ラッチを介して前記低電圧レールに流れるように前記双方向電流負荷のインダクタンス値よりも大きいインダクタンス値を有しており、
前記双方向電流負荷と直列に結合され、入力電流が前記双方向電流負荷に供給される電流状態から、前記双方向電流負荷に電流が供給されないアイドル状態へ前記超伝導双方向電流ドライバを復帰させるために活性化されるリセットラッチと、を備え、
前記第2方向超伝導ラッチの活性化に応答して、前記入力電流が前記第1方向超伝導ラッチを通過し、かつ前記双方向電流負荷を該双方向電流負荷に対して第1方向に通過する第1電流経路に沿って提供され、
前記第1方向超伝導ラッチの活性化に応答して、前記入力電流が前記第2方向超伝導ラッチを通過し、かつ前記双方向電流負荷を該双方向電流負荷に対して前記第1方向とは反対の第2方向に通過する第2電流経路に沿って提供される、超伝導双方向電流ドライバ。
【請求項8】
前記電流源は、ストレージインダクタにおいて前記入力電流を生じさせるように構成された磁束シャトルループ電流源として構成され、前記ストレージインダクタは、前記超伝導双方向電流ドライバに前記入力電流を供給するように構成されている、請求項7に記載の超伝導双方向電流ドライバ。
【請求項9】
請求項1に記載の超伝導双方向電流ドライバを備えたメモリ書き込みドライバであって、前記双方向電流負荷は、メモリアレイの行と列のうちの少なくとも一方に誘導的に結合される双方向誘導電流負荷として構成されており、前記双方向誘導電流負荷は、前記入力電流が前記双方向誘導電流負荷に前記第1方向に供給されることに基づいて前記第1方向に書き込み電流を供給して第1メモリ状態を書き込むとともに、前記入力電流が前記第1方向とは反対の前記第2方向に前記双方向誘導電流負荷に供給されることに基づいて前記第2方向に前記書き込み電流を供給して第2メモリ状態を書き込むように構成されている、メモリ書き込みドライバ。
【請求項10】
双方向電流負荷を第1方向または第2方向に通過する超伝導電流を供給するための方法であって、
電流源によって入力電流を生成すること、
第1活性化信号に応答して第1方向超伝導ラッチを活性化することにより、入力電流が第2方向超伝導ラッチを通過し、かつ前記双方向電流負荷を前記第2方向に通過する第1電流経路に沿って提供されるようにすること、
第2活性化信号に応答して第2方向超伝導ラッチを活性化することにより、前記入力電流が前記第1方向超伝導ラッチを通過し、かつ前記双方向電流負荷を前記第1方向に通過する第2電流経路に沿って提供されるようにすること、
前記双方向電流負荷に結合されたリセットラッチに第3活性化信号を供給して前記リセットラッチを活性化することにより、前記双方向電流負荷への前記入力電流の流れを停止させること、を備える方法。
【請求項11】
前記第1活性化信号に応答して前記第1方向超伝導ラッチを活性化することは、磁束量子デバイスとして構成された前記第1方向超伝導ラッチに前記第1活性化信号を供給して当該第1方向超伝導ラッチを電圧状態に設定して前記第1方向超伝導ラッチが前記入力電流を伝導するのを停止させることを含み、前記第2活性化信号に応答して前記第2方向超伝導ラッチを活性化することは、磁束量子デバイスとして構成された前記第2方向超伝導ラッチに前記第2活性化信号を供給して当該第2方向超伝導ラッチを前記電圧状態に設定して前記第2方向超伝導ラッチが前記入力電流を伝導するのを停止させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1活性化信号に応答して前記第1方向超伝導ラッチを活性化することは、前記電流源と前記双方向電流負荷の第1端との間に結合された所与の第1方向超伝導ラッチを活性化するとともに、前記双方向電流負荷の第2端と低電圧レールとの間に結合された別の第1方向超伝導ラッチを活性化することを含み、前記第2活性化信号に応答して前記第2方向超伝導ラッチを活性化することは、前記電流源と前記双方向電流負荷の前記第2端との間に結合された所与の第2方向超伝導ラッチを活性化するとともに、前記双方向電流負荷の前記第1端と前記低電圧レールとの間に結合された別の第2方向超伝導ラッチを活性化することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
双方向電流負荷を第1方向または第2方向に通過する超伝導電流を供給するための方法であって、
電流源によって入力電流を生成すること、
所与の第1方向超伝導ラッチを、活性化コントローラからの第1活性化信号により別の第1方向超伝導ラッチを活性化することに応答して活性化することにより、前記入力電流が所与の第方向超伝導ラッチを通過し、前記双方向電流負荷を前記第1方向に通過し、かつ別の第方向超伝導ラッチを通過する第1電流経路に沿って提供されるようにすること、
ここで、前記所与の第1方向超伝導ラッチは、前記活性化コントローラから供給される前記第1活性化信号による前記別の第1方向超伝導ラッチの前記活性化に応答して前記所与の第1方向超伝導ラッチが活性化されることを保証するために高い抵抗値を有する第1抵抗経路を有しており、
前記所与の第2方向超伝導ラッチを、前記活性化コントローラからの第2活性化信号により前記別の第2方向超伝導ラッチを活性化することに応答して活性化することにより、前記入力電流が前記所与の第方向超伝導ラッチを通過し、前記双方向電流負荷を前記第2方向に通過し、かつ前記別の第方向超伝導ラッチを通過する第2電流経路に沿って提供されるようにすること、を含み、
ここで、前記所与の第2方向超伝導ラッチは、前記活性化コントローラから供給される前記第2活性化信号による前記別の第2方向超伝導ラッチの活性化に応答して前記所与の第2方向超伝導ラッチが活性化されることを保証するために高い抵抗値を有する第2抵抗経路を有する、方法。
【請求項14】
双方向電流負荷を第1方向または第2方向に通過する超伝導電流を供給するための方法であって、
電流源によって入力電流を生成すること、
第1活性化信号に応答して第1方向超伝導ラッチを活性化することにより、前記入力電流が第2方向超伝導ラッチを通過し、かつ前記双方向電流負荷を前記第2方向に通過する第1電流経路に沿って提供されるようにすること、
第2活性化信号に応答して第2方向超伝導ラッチを活性化することにより、前記入力電流が前記第1方向超伝導ラッチを通過し、かつ前記双方向電流負荷を前記第1方向に通過する第2電流経路に沿って提供されるようにすること、
前記双方向電流負荷に結合されたリセットラッチに第3活性化信号を供給して前記リセットラッチを活性化することにより、前記双方向電流負荷への前記入力電流の流れを停止させること、を含み、
前記第1方向超伝導ラッチは、前記双方向電流負荷の第1端と低電圧レールとの間に結合されて、前記電流源と前記双方向電流負荷の前記第1端とを相互接続する第1インダクタを通過し、前記双方向電流負荷を前記第2方向に通過し、さらに前記第2方向超伝導ラッチを通過して、前記低電圧レールへと至る前記電流源からの前記入力電流の前記第1電流経路を提供することを含み、
前記第2方向超伝導ラッチは、前記双方向電流負荷の第2端と前記低電圧レールとの間に結合されて、前記電流源と前記双方向電流負荷の前記第2端とを相互接続する第2インダクタを通過し、前記双方向電流負荷を前記第1方向に通過し、さらに前記第1方向超伝導ラッチを通過して、前記低電圧レールへと至る前記電流源からの前記入力電流の前記第2電流経路を提供することを含み、
前記第1および第2インダクタは、前記双方向電流負荷のインダクタンス値よりも非常に大きいインダクタンス値を有しており、
前記第1インダクタは、前記第1方向超伝導ラッチが活性化されたときに、前記第1インダクタおよび前記双方向電流負荷を流れる電流と前記第2インダクタを流れる電流とが結合して、全負荷電流が前記第2方向超伝導ラッチを介して前記低電圧レールに流れるように前記双方向電流負荷のインダクタンス値よりも大きいインダクタンス値を有しており、
前記第2インダクタは、前記第2方向超伝導ラッチが活性化されたときに、前記第2インダクタおよび前記双方向電流負荷を流れる電流と前記第1インダクタを流れる電流とが結合して、全負荷電流が前記第1方向超伝導ラッチを介して前記低電圧レールに流れるように前記双方向電流負荷のインダクタンス値よりも大きいインダクタンス値を有している、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、量子および古典的な回路システムに関し、具体的には、超伝導双方向電流ドライバに関する。本出願は、2017年7月25日に出願された米国特許出願番号第15/659,005号の優先権を主張し、その全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
超伝導デジタル技術は、これまでにない高速、低消費電力、低動作温度の恩恵を受ける演算および/または通信リソースを提供するものとなっている。超伝導デジタル技術は、CMOS技術の代替として開発されており、通常、超伝導ジョセフソン接合を利用した超伝導体ベースの単一磁束量子超伝導回路で構成され、20Gb/s(ギガバイト/秒)以上の典型的なデータレートで約4nW(ナノワット)の典型的な信号電力を有するとともに、約4ケルビンの温度で動作することが可能である。メモリや量子プロセッサなど様々に適用される超伝導回路では、一定の時間、回路内の特定の負荷デバイス(例えば、インダクタなど)に電流を流す必要があり得る。例えば、メモリ回路では、電流はビットまたはワード書き込み線に適用される「書き込み」信号として印加され、量子情報では、電流は量子ビットへの磁束バイアス信号として印加され、または、他の超伝導用途では、電流はプログラミング線またはイネーブル線に印加され得る。これらの用途では、印加電流を双方向に流す必要があり得る。
【発明の概要】
【0003】
一実施例は、超伝導双方向電流ドライバを含む。この電流ドライバは、第1活性化信号に応答して活性化される第1方向超伝導ラッチと、第2活性化信号に応答して活性化される第2方向超伝導ラッチとを含む。前記第2方向超伝導ラッチは、前記第1方向超伝導ラッチを通過するとともに双方向電流負荷を第1方向に通過する入力電流の第1電流経路を提供するために活性化される。前記第1方向超伝導ラッチは、前記第2方向超伝導ラッチを通過するとともに前記双方向電流負荷を前記第1方向とは反対の第2方向に通過する入力電流の第2電流経路を提供するために活性化される。
【0004】
別の実施例は、双方向電流負荷を第1方向または第2方向に通過する超伝導電流を提供するための方法を含む。この方法は、電流源を介して入力電流を生成することを含む。また、この方法は、第1活性化信号を対応する第1方向超伝導ラッチに供給して当該第1方向超伝導ラッチを活性化することにより、第2方向超伝導ラッチを通過し前記双方向電流負荷を前記第2方向に通過する前記電流源からの前記入力電流の電流経路を提供することを含む。この方法はさらに、第2活性化信号を対応する第2方向超伝導ラッチに提供して当該第2方向超伝導ラッチを活性化することにより、前記第1方向超伝導ラッチを通過し前記双方向電流負荷を前記第1方向に通過する前記電流源からの前記入力電流の電流経路を提供することを含む。
【0005】
別の実施例は、双方向メモリ書き込み電流ドライバを含む。このメモリ書き込み電流ドライバは、入力電流を生成するように構成された電流源と、メモリアレイの行と列のうちの少なくとも一方に関連付けられた書き込み線とを含む。前記書き込み線は、前記入力電流が前記書き込み線を介して第1方向に供給されることに基づいて前記行と列のうちの少なくとも一方における少なくとも1つのメモリセルの第1メモリ状態を書き込み、前記入力電流が前記書き込み線を介して前記第1方向とは反対の第2方向に供給されることに基づいて前記行と列のうちの少なくとも一方における前記少なくとも1つのメモリセルの第2メモリ状態を書き込むように構成されている。また、前記メモリ書き込み電流ドライバは、超伝導双方向電流ドライバを含む。この電流ドライバは、第1活性化信号に応答して活性化される第1方向超伝導ラッチと、第2活性化信号に応答して活性化される第2方向超伝導ラッチとを含む。前記第2方向超伝導ラッチは、前記第1方向超伝導ラッチを通過し前記書き込み線を前記第1方向に通過する前記入力電流の第1電流経路を提供するために活性化される。前記第1方向超伝導ラッチは、前記第2方向超伝導ラッチを通過し前記書き込み線を前記第2方向に通過する前記入力電流の第2電流経路を提供するために活性化される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】超伝導双方向電流ドライバシステムの例を示す図。
図2】超伝導双方向電流ドライバの例を示す図。
図3】超伝導双方向電流ドライバの電流方向の例を示す図。
図4】超伝導双方向電流ドライバの電流方向の別の例を示す図。
図5】超伝導双方向電流ドライバの別の例を示す図。
図6】超伝導双方向電流ドライバのさらなる例を示す図。
図7】超伝導双方向電流ドライバのさらに別の例を示す図。
図8】超伝導双方向電流ドライバのさらなる例を示す図。
図9】超伝導双方向メモリ書き込み電流ドライバシステムの例を示す図。
図10】双方向電流負荷を第1方向または第2方向に通過する超伝導電流を供給するための方法の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、概して、量子および古典的な回路システムに関し、具体的には、超伝導双方向電流ドライバに関する。超伝導双方向電流ドライバは、第1方向および第2方向のうちの一方に双方向電流負荷を介して電流を供給するように構成されている。一例として、双方向性電流負荷は、メモリシステムの書き込み電流線に誘導的に結合され得るかまたは書き込み電流線に対応し得る誘導性負荷として構成され得るものであり、誘導性負荷を介して第1方向に流れる電流に基づいてメモリセルに第1論理状態が書き込まれ、誘導性負荷を介して第2方向に流れる電流に基づいてメモリセルに第2論理状態が書き込まれる。超伝導双方向電流ドライバは複数の超伝導ラッチを含み、これらの超伝導ラッチは、非活性の超伝導ラッチを通過するとともに双方向電流負荷を第1および第2方向のうちの一方に通過する電流源から供給される入力電流の電流経路を提供するように選択的に活性化される。
【0008】
一例として、各超伝導ラッチは、電圧状態に切り替わるように活性化される磁束量子デバイス(例えば、超伝導量子干渉デバイス(SQUID)またはジョセフソン接合デバイス)として構成され得る。超伝導ラッチの活性化は、活性化コントローラから供給される活性化信号により実行され得る。このように、電圧状態に切り替えられることに応答して、超伝導ラッチはそれを流れる電流を迂回させる抵抗素子として機能する。したがって、超伝導双方向電流ドライバは、超伝導ラッチの選択的活性化に基づいて、双方向電流負荷に電流を流す。例えば、超伝導双方向電流ドライバは、それぞれ第1および第2方向に双方向電流負荷を流れる入力電流を供給するように活性化される超伝導ラッチの相補なペアを含むHブリッジ回路として構成され得る。別の例として、超伝導双方向電流ドライバは、それぞれ第1および第2方向に双方向電流負荷を流れるとともに一対のインダクタに流れる入力電流を供給するように選択的に活性化される一対の超伝導ラッチを含むAブリッジ回路として構成され得る。
【0009】
図1は、超伝導双方向電流ドライバシステム10の例を示す。超伝導双方向電流ドライバシステム10は、双方向電流負荷12に流れる双方向電流を提供するべく、量子または古典的なコンピュータシステムなどの様々な任意の用途で実装され得る。本明細書で詳細に説明するように、双方向電流負荷12は、メモリセルに第1論理状態または第2論理状態を書き込むべく、メモリシステムの書き込み電流線に誘導的に結合され得るかまたは書き込み電流線として機能し得る誘導性負荷として構成され得る。
【0010】
また、超伝導双方向電流ドライバシステム10は、入力電流Iを生成するように構成された電流源14を含む。一例として、電流源14は、ループ周りの一連のジョセフソン接合の連続的トリガに基づいて入力電流Iを生成するように構成された磁束シャトルまたは磁束ポンプとして構成され、ジョセフソン接合の各トリガにより生じた電流の増分がストレージインダクタに記憶される。また、超伝導双方向電流ドライバシステム10は、入力電流Iを受け取り、第1方向および第2方向のうちの一方において双方向電流負荷12に入力電流Iを負荷電流Iとして供給するように構成された超伝導双方向電流ドライバ16を含み得る。図1の例では、超伝導双方向電流ドライバ16は、双方向電流負荷12に流れる負荷電流Iの方向を制御するために選択的に活性化される複数の超伝導ラッチ18を含む。これらの超伝導ラッチ18は、活性化コントローラ20から供給される対応する活性化信号ACTによって活性化され、活性化コントローラ20は、双方向電流負荷12に流れる負荷電流Iの所望の方向に対応する各超伝導ラッチ18を活性化するための適切な活性化信号ACTを供給する。一例として、活性化信号ACTは、単一磁束量子(SFQ)パルスまたは相互量子論理(RQL)パルスとして供給され得る。
【0011】
図2は、超伝導双方向電流ドライバ50の例を示す。超伝導双方向電流ドライバ50は、図1の例の超伝導双方向電流ドライバ16に対応し得る。したがって、図2の例における以下の説明では、図1の例を参照する。
【0012】
図2の例では、超伝導双方向電流ドライバ50は、ノード52と、グランドとして示される低電圧レールとの間に配置されたHブリッジ回路として示されている。入力電流Iは、例えば電流源14からノード52に供給される。超伝導双方向電流ドライバ50は、第1超伝導ラッチ54、第2超伝導ラッチ56、第3超伝導ラッチ58、および第4超伝導ラッチ60を含み、これらは、インダクタ62として示される双方向電流負荷に対してHブリッジ構成で配置されている。図2の例では、超伝導ラッチ54は、対応する活性化信号ACTによって活性化されるものとして示されており、超伝導ラッチ56は、対応する活性化信号ACTによって活性化されるものとして示されており、超伝導ラッチ58は、対応する活性化信号ACTによって活性化されるものとして示されており、超伝導ラッチ60は、対応する活性化信号ACTによって活性化されるものとして示されている。一例として、活性化信号ACT,ACT,ACT,ACTは、活性化コントローラ20によって供給され、対応する超伝導ラッチ54,56,58,60に誘導的に結合され得る。例えば、超伝導ラッチ54,56,58,60は、磁束量子デバイス(例えば、SQUIDまたはジョセフソン接合デバイス)として構成され、これらは、対応する活性化信号ACT,ACT,ACT,ACTに応答して(例えば、ジョセフソン接合の順次交互トリガに基づいて)電圧状態に切り替わるように構成されている。一例として、活性化信号ACT,ACT,ACT,ACTは、SFQパルスまたはRQLパルスとして供給され得る。一例として、超伝導ラッチ54,56,58,60は、所定の期間が終了した後、またはラッチ電流の振幅が所定の閾値を下回ったときに、電圧状態から超伝導状態に復帰し得る。
【0013】
図2の例では、超伝導双方向電流ドライバ50はアイドル状態で示されており、インダクタ62に電流は流れない。一例として、超伝導双方向電流ドライバ50は、超伝導双方向電流ドライバ50の初期時にアイドル状態を占有し得る。超伝導双方向電流ドライバ50は、実質的に平衡配置で構成され、これにより、超伝導として構成されることに基づいて全体にわたりゼロ抵抗を有し得るものとなる。アイドル状態では、超伝導ラッチ54,56,58,60はすべて超伝導(例えば、抵抗がゼロ)とされ、平衡配置に基づいて入力電流を実質的に等しく伝導するように構成され得る。したがって、図2の例では、入力電流Iは2つの電流経路、すなわち、第1超伝導ラッチ54と第3超伝導ラッチ58とを通る第1電流経路と、第2超伝導ラッチ56と第4超伝導ラッチ60とを通る第2電流経路とに分割される。各電流経路を流れる電流は、入力電流Iの振幅の半分にほぼ等しい電流IL1として示されている。
【0014】
図3は、超伝導双方向電流ドライバ50における電流方向の例示的な図100を示している。この図100は、図2の例における超伝導双方向電流ドライバ50に対応する。したがって、図2の例として提供される図3の例の説明では同様の参照番号を使用し、図3の例における以下の説明では、図1および図2の例を参照する。
【0015】
図100は、インダクタ62を流れる入力電流Iの第1電流状態を示している。図3の例では、活性化信号ACT,ACTはそれを受容可能な超伝導ラッチ56,58に供給されている。一例として、活性化信号ACT,ACTは、アイドル状態(例えば、図2の例)または第2電流状態(例えば、図4の例)にされている超伝導双方向電流ドライバ50に供給され得る。したがって、活性化信号ACT,ACTの受信に応答して、超伝導ラッチ56,58は電圧状態(図3の例ではハッチングで示されている)に切り替わり、それによって入力電流I(例えば、アイドル状態の電流IL1の部分、または第2電流状態からの電流I)の伝導を停止する。その結果、図100は、入力電流Iにほぼ等しい振幅を有し得る負荷電流Iがインダクタ62を流れることを示している。一例として、負荷電流Iは、非活性の超伝導ラッチ54,56,58および/または60と、インダクタ62とを介した電流経路の総インダクタンスに依存し得る。したがって、負荷インダクタ62は、例えば、電流源14が磁束ポンプとして構成されていることに基づいて、または超伝導双方向電流ドライバ50が誘導シャントを含んでいた場合などには、非活性のラッチを流れる負荷電流Iが、アイドル状態にて超伝導ラッチ54,56,58,60を流れる電流の振幅に実質的に等しいままとなるように構成され得る。
【0016】
特に、図3の例では、負荷電流Iは、ノード52から(例えば、電流源14から)、非活性の(例えば、超伝導となっている)超伝導ラッチ54を通過し、インダクタ62を第1方向に通過し、さらには非活性の超伝導ラッチ60を通過して、低電圧レールへと流れるものとして示されている。このため、図3の例では、超伝導ラッチ54,60は、第1方向にインダクタ62を通過する負荷電流Iの流れを促進するので「第1方向」超伝導ラッチと呼ばれる。ある期間が経過した後、超伝導ラッチ56,58は、電圧状態から非活性(例えば、超伝導)状態に戻る。しかしながら、超伝導ラッチ54,60の超伝導(例えば、ゼロ抵抗)状態に基づいて、実質的にすべての負荷電流Iが、超伝導ラッチ54,60とインダクタ62に第1電流状態(例えば、保持状態)で第1方向に流れ続け得る。第1電流状態または保持状態では、電流Iは、インダクタ62に対してΦの磁束を維持することができ、超伝導双方向電流ドライバ50の超伝導構成によって無限に流れ続け得る。
【0017】
図4は、超伝導双方向電流ドライバ50における電流方向の別の例示的な図150を示している。この図150は、図2および図3の例における超伝導双方向電流ドライバ50に対応する。したがって、図2および図3の例として提供される図4の例の説明では同様の参照番号を使用し、図4の例における以下の説明では、図1図3の例を参照する。
【0018】
図150は、インダクタ62に流れる入力電流Iの第2電流状態を示している。図4の例では、活性化信号ACT,ACTはそれを受容可能な超伝導ラッチ54,60に供給されている。一例として、活性化信号ACT,ACTは、アイドル状態(例えば、図2の例)または第1電流状態(例えば、図3の例)にされている超伝導双方向電流ドライバ50に供給され得る。したがって、活性化信号ACT,ACTの受信に応じて、超伝導ラッチ54,60は電圧状態(図4の例ではハッチングで示されている)に切り替わり、それによって入力電流I(例えば、アイドル状態の電流IL1の部分、または第1電流状態からの電流I)の伝導を停止する。その結果、図150は、入力電流Iにほぼ等しい振幅であって、図3の例の負荷電流Iに対して負の振幅を有し得る負荷電流Iがインダクタ62に流れることを示している。
【0019】
特に、図4の例では、負荷電流Iは、ノード52から(例えば、電流源14から)、非活性の(例えば、超伝導となっている)超伝導ラッチ56を通過し、インダクタ62を第1方向とは反対の第2方向に通過し、さらには非活性の超伝導ラッチ58を通過して、低電圧レールへと流れるものとして示されている。このため、図4の例では、超伝導ラッチ56,58は、第2方向にインダクタ62を通過する負荷電流Iの流れを促進するので「第2方向」超伝導ラッチと呼ばれる。ある期間が経過した後、超伝導ラッチ54,60は、電圧状態から非活性(例えば、超伝導)状態に戻る。しかしながら、超伝導ラッチ56,58の超伝導(例えば、抵抗ゼロ)状態に基づいて、実質的にすべての負荷電流Iが、超伝導ラッチ56,58とインダクタ62に第2電流状態(例えば、保持状態)で第2方向に流れ続け得る。第2電流状態または保持状態では、電流Iは、インダクタ62に対して-Φの磁束を維持することができ、超伝導双方向電流ドライバ50の超伝導構成によって無限に流れ続け得る。
【0020】
図5は、超伝導双方向電流ドライバ200の別の例を示している。この超伝導双方向電流ドライバ200は、図1の例における超伝導双方向電流ドライバ16に対応し得る。したがって、図5の例における以下の説明では、図1の例を参照する。
【0021】
図5の例では、超伝導双方向電流ドライバ200は、ノード202と、グランドとして示される低電圧レールとの間に配置されたHブリッジ回路として示されている。入力電流Iは、例えば電流源14からノード202に供給される。超伝導双方向電流ドライバ200は、第1超伝導ラッチ204、第2超伝導ラッチ206、第3超伝導ラッチ208、および第4超伝導ラッチ210を含み、これらは、インダクタ212として示される双方向電流負荷に対してHブリッジ構成で配置されている。図5の例では、超伝導ラッチ204は、対応する活性化信号ACTによって活性化されるものとして示されており、超伝導ラッチ206は、対応する活性化信号ACTによって活性化されるものとして示されており、超伝導ラッチ208は、対応する活性化信号ACTによって活性化されるものとして示されており、超伝導ラッチ210は、対応する活性化信号ACTによって活性化されるものとして示されている。一例として、活性化信号ACT,ACT,ACT,ACTは、活性化コントローラ20によって供給される。例えば、超伝導ラッチ204,206,208,210は、対応する活性化信号ACT,ACT,ACT,ACTに応答して電圧状態に切り替わるように構成される磁束量子デバイス(例えば、SQUID)として構成され、上述したように、所定の期間が終了すると、電圧状態から超伝導状態に復帰し得る。
【0022】
このため、超伝導双方向電流ドライバ200は、図2図4の例における超伝導双方向電流ドライバ50と同様に構成され得る。したがって、超伝導双方向電流ドライバ200は、図2図4の例においてそれぞれ上述したものと同様に、アイドル状態から第1電流状態および第2電流状態の一方に切り替えられ得る。しかしながら、図5の例では、超伝導双方向電流ドライバ200は、インダクタ212に直列に配置されたリセット超伝導ラッチ214も含む。なお、このリセット超伝導ラッチ214は、インダクタ212と超伝導ラッチ206,210との間に配置されているが、これに代えて、インダクタ212と超伝導ラッチ204,208との間に配置できることが理解され得る。リセット超伝導ラッチ214は、図1の例における活性化コントローラ20などからの活性化信号ACTを受信し、超伝導双方向電流ドライバ200をリセットして第1電流状態および第2電流状態のうちの一方からアイドル状態に復帰させるように構成されている。
【0023】
一例として、非活性状態において、リセット超伝導ラッチ214は、第1または第2電流状態のいずれかの負荷電流Iのゼロ抵抗電流経路を提供するべく超伝導の状態となっている。リセット超伝導ラッチ214は、活性化信号ACTの受信に応答して、電圧状態に切り替わり、インダクタ212を介した負荷電流Iの電流経路における電流の流れを止める(例えば、抵抗をもたらす)ように構成され得る。したがって、超伝導双方向電流ドライバ200の平衡配置に基づいて、負荷電流Iは、インダクタ212とリセット超伝導ラッチ214とを介した電流経路から迂回され、入力電流Iは入力ノード202で分割されるものとなる。結果として、入力電流Iは、超伝導ラッチ204,208の電流経路と、超伝導ラッチ206,210の電流経路とにそれぞれ電流IL1として実質的に等しく流れる。したがって、超伝導双方向電流ドライバ200は、第1電流状態および第2電流状態のうちの一方からアイドル状態に設定される。
【0024】
図6は、超伝導双方向電流ドライバ250のさらなる例を示している。超伝導双方向電流ドライバ250は、図1の例における超伝導双方向電流ドライバ16に対応し得る。したがって、図6の例における以下の説明では、図1の例を参照する。
【0025】
図6の例では、超伝導双方向電流ドライバ250は、ノード252と、グランドとして示される低電圧レールとの間に配置されたHブリッジ回路として示されている。入力電流Iは、例えば電流源14からノード252に供給される。超伝導双方向電流ドライバ250は、第1超伝導ラッチ254、第2超伝導ラッチ256、第3超伝導ラッチ258、および第4超伝導ラッチ260を含み、これらは、インダクタ262として示される双方向電流負荷に対してHブリッジ構成で配置されている。図6の例では、超伝導ラッチ254は、対応する活性化信号ACTによって活性化されるものとして示されており、超伝導ラッチ256は、対応する活性化信号ACTによって活性化されるものとして示されており、超伝導ラッチ258は、対応する活性化信号ACTによって活性化されるものとして示されており、超伝導ラッチ260は、対応する活性化信号ACTによって活性化されるものとして示されている。一例として、活性化信号ACT,ACT,ACT,ACTは、活性化コントローラ20によって供給される。例えば、超伝導ラッチ254,256,258,260は、対応する活性化信号ACT,ACT,ACT,ACTに応答して電圧状態に切り替わるように構成される磁束量子デバイス(例えば、SQUID)として構成され、上述したように、所定の期間が終了すると、電圧状態から超伝導状態に復帰し得る。
【0026】
このため、超伝導双方向電流ドライバ250は、図2図4の例における超伝導双方向電流ドライバ50と同様に構成され得る。したがって、超伝導双方向電流ドライバ250は、図2図4の例においてそれぞれ上述したものと同様に、アイドル状態から第1電流状態および第2電流状態の一方に切り替えられ得る。また、超伝導双方向電流ドライバ250はさらに、入力ノード252と低電圧レールとを相互接続するシャント電流経路264を含む。図6の例では、シャント電流経路264は、入力ノード252と低電圧レールとの間に直列に配置されたインダクタLおよび抵抗器Rを含む。シャント電流経路264は、少なくとも超伝導ラッチ254と超伝導ラッチ256の同時活性化に応答して入力電流Iの電流経路を提供するように構成されている。一例として、シャント電流経路264がない場合、競合状態または他のタイミングエラーなどに基づく超伝導ラッチ254,256または超伝導ラッチ258,260の同時活性化が起きると、入力電流Iが超伝導ラッチ254,256を電圧状態にラッチするものとなる。その結果、超伝導ラッチ254,256が無限に電圧状態のままとなり、超伝導双方向電流ドライバ250の動作不能をもたらすものとなり得る。したがって、シャント電流経路264は、低電圧レールへの入力電流Iの回避経路を提供して、障害回復機能として超伝導ラッチ254,256が超伝導状態に復帰できるようにする。なお、図5の例でも、シャント電流経路264を超伝導双方向電流ドライバ200に同様に含めることができることが理解され得る。
【0027】
図7は、超伝導双方向電流ドライバ300のさらに別の例を示している。超伝導双方向電流ドライバ300は、図1の例における超伝導双方向電流ドライバ16に対応し得る。したがって、図7の例における以下の説明では、図1の例を参照する。
【0028】
図7の例では、超伝導双方向電流ドライバ300は、ノード302と、グランドとして示される低電圧レールとの間に配置されたHブリッジ回路として示されている。入力電流Iは、例えば電流源14からノード302に供給される。超伝導双方向電流ドライバ300は、第1超伝導ラッチ304、第2超伝導ラッチ306、第3超伝導ラッチ308、および第4超伝導ラッチ310を含み、これらは、インダクタ312として示される双方向電流負荷に対してHブリッジ構成で配置されている。例えば、超伝導ラッチ304,306,308,310は、上述したものと同様に、磁束量子デバイス(例えば、SQUID)として構成されている。また、超伝導双方向電流ドライバ300は、図5および図6の例において上述したものと同様に、リセット超伝導ラッチおよび/またはシャント電流経路を含み得る。このため、超伝導双方向電流ドライバ300は、図2図4の例における超伝導双方向電流ドライバ50と同様に構成され得る。
【0029】
図7の例では、超伝導ラッチ304は、インダクタ312の第1端に対応するノード314に結合されるものとして示されており、超伝導ラッチ306は、インダクタ312の第2端に対応するノード316に結合されるものとして示されている。また、各超伝導ラッチ304,306は、対応する抵抗器R,Rを介した低電圧レール(例えば、グランド)への抵抗経路を含む。各抵抗器R,Rを介した抵抗経路は、超伝導ラッチ306,308がペアとして活性化され、同様に超伝導ラッチ304,310がペアとして活性化されることを保証するために高い抵抗値を有し得る。超伝導ラッチ308は、対応する活性化信号ACTによって活性化されるものとして示されており、超伝導ラッチ310は、対応する活性化信号ACTによって活性化されるものとして示されている。一例として、活性化信号ACT,ACTは、活性化コントローラ20によって供給される。
【0030】
上述したものと同様に、超伝導ラッチ308,310は、対応する活性化信号ACT,ACTに応答して電圧状態に切り替わるように構成されている。しかしながら、図7の例では、超伝導ラッチ308が活性化信号ACTによって電圧状態に切り替えられることに応答して、超伝導ラッチ306が同様に、ノード316に対する超伝導ラッチ306の導電性結合によって電圧状態に切り替えられる。特に、超伝導ラッチ308の電圧状態では、超伝導ラッチ306を活性化するべく超伝導ラッチ306に十分な刺激を与えるのに十分とされ得る電圧がノード316に供給され得る。したがって、ノード316は、超伝導ラッチ308の活性化に応答して、活性化信号ACTと同様な活性化信号として振る舞う。同様に、超伝導ラッチ310が活性化信号ACTによって電圧状態に切り替えられることに応答して、超伝導ラッチ304が同様に、ノード314に対する超伝導ラッチ304の導電性結合によって電圧状態に同様に切り替えられる。特に、超伝導ラッチ310の電圧状態では、超伝導ラッチ304を活性化するべく超伝導ラッチ304に十分な刺激を与えるのに十分とされ得る電圧がノード314に供給される。したがって、ノード314は、超伝導ラッチ310の活性化に応答して、活性化信号ACTと同様な活性化信号として振る舞う。
【0031】
結果として、超伝導双方向電流ドライバ300は、超伝導ラッチ304,306,308,310の活性化に関して生じ得るタイミング問題を低減するように構成され得る。例えば、超伝導ラッチ304,306,308,310の互いの入力の位置に依存して、および/または活性化信号ACT,ACT,ACT,ACTの生成に関連するタイミングに依存して、超伝導ラッチ304,310の相補なペアや、超伝導ラッチ306,308の相補なペアが、同時にではなく、順番に活性化されることにより、インダクタ312を流れる負荷電流Iの方向を制御する上で問題が生じる場合がある。このため、相互に排他的に活性化される活性化信号ACT,ACTのペアのみを実装し、ノード314,316を超伝導ラッチ304,306のそれぞれの活性化信号として実装することによって、超伝導ラッチ304,310の相補なペアおよび超伝導ラッチ306,308の相補なペアの同時活性化が保証され得るものとなる。その結果、超伝導ラッチ304,310の相補なペアおよび超伝導ラッチ306,308の相補なペアの活性化に関連するタイミングの問題を低減することができる。
【0032】
図8は、超伝導双方向電流ドライバ350のさらに別の例を示している。超伝導双方向電流ドライバ350は、図1の例における超伝導双方向電流ドライバ16に対応し得る。したがって、図8の例における以下の説明では、図1の例を参照する。
【0033】
図8の例では、超伝導双方向電流ドライバ350は、ノード352と、グランドとして示される低電圧レールとの間に配置されたAブリッジ回路として示されている。入力電流Iは、例えば電流源14からノード352に供給される。超伝導双方向電流ドライバ350は、第1超伝導ラッチ354および第2超伝導ラッチ356を含み、これらは、インダクタ358として示される双方向電流負荷に結合されている。例えば、超伝導ラッチ354,356は、上述したものと同様に、磁束量子デバイス(例えば、SQUID)として構成されている。また、超伝導双方向電流ドライバ350は、入力ノード352と第1超伝導ラッチ354とを相互接続する第1インダクタLと、入力ノード352と第2超伝導ラッチ356とを相互接続する第2インダクタLとを含む。一例として、インダクタL,Lは、インダクタ358よりも非常に大きな(例えば、少なくとも一桁大きい)インダクタンス値を有し得る。したがって、インダクタL,Lと超伝導ラッチ354,356は、インダクタ358に対してAブリッジ構成を形成する。また、超伝導双方向電流ドライバ350は、図5および図6の例において上述したものと同様に、リセット超伝導ラッチおよび/またはシャント電流経路を含み得る。
【0034】
図8の例では、入力電流Iは、図2の例において説明したものと同様に、入力電流Iの振幅の半分に対応する電流IL1がそれぞれインダクタL,Lに流れるように分割されるものとして示されている。したがって、アイドル状態では、電流IL1は、超伝導双方向電流ドライバ350の平衡化された超伝導配置に基づいて、上述したものと同様に、インダクタ358ではなく超伝導ラッチ354,356に流れるものとなる。しかしながら、活性化信号ACTによる超伝導ラッチ354の活性化に応答して、インダクタLを流れる電流IL1は、超伝導ラッチ354に流れることから迂回され、インダクタ358に第1方向に、すなわち第1電流状態で流れるようになる。しかしながら、インダクタL,Lがインダクタ358に対して大きなインダクタンスであることに基づいて、インダクタLを流れる電流IL1は、超伝導ラッチ354の活性化後もインダクタLに流れ続け、インダクタ358を流れる電流IL1と結合して、全負荷電流Iが超伝導ラッチ356を介して第1電流状態で低電圧レールに流れるようになる。このため、第1電流状態において、超伝導双方向電流ドライバ350は、インダクタ358に負荷電流IL1を供給するが、これは、電流源Iの振幅が等しくかつ双方向電流ドライバ350の誘導性負荷が与えられた場合には、図2図7のそれぞれの例における超伝導双方向電流ドライバ50,200,250,300にて示された誘導性負荷に流れる負荷電流Iの振幅の約半分となり得る。
【0035】
同様に、活性化信号ACTによる超伝導ラッチ356の活性化に応答して、インダクタLを流れる電流IL1(または全負荷電流I)は、超伝導ラッチ356に流れることから迂回される。したがって、上述と同様に、インダクタL,Lがインダクタ358に対して大きなインダクタンスであることに基づいて、インダクタLを流れる電流IL1はインダクタ358に流れなくなり、代わりに、超伝導ラッチ354に流れ続ける。一方、インダクタLを流れる電流IL1は超伝導ラッチ356に流れなくなり、インダクタ358に第2電流状態で第2方向に流れ始める。インダクタLを流れる電流IL1は、インダクタ358を第2方向に流れる電流IL1と結合し、これにより、全負荷電流Iが超伝導ラッチ354を介して第2電流状態で低電圧レールに流れるようになる。
【0036】
このため、超伝導双方向電流ドライバ350は、図2図7のそれぞれの例における超伝導双方向電流ドライバ50,200,250,300と実質的に同様に動作するが、インダクタ358を流れる負荷電流の振幅は約半分となる。しかしながら、超伝導双方向電流ドライバ350は、よりコンパクトで単純な方法で製造することができ、2つの活性化信号ACT,ACTのみを使用してより単純な方法で制御することが可能となる。
【0037】
図9は、超伝導双方向メモリ書き込み電流ドライバシステム400の例を示している。超伝導双方向メモリ書き込み電流ドライバシステム400は、ジョセフソン磁気ランダムアクセスメモリ(JMRAM)などのメモリシステムにおける書き込み動作を制御するシステムに対応し得るものであるが、これは、誘導性負荷として構成され図9の例では双方向書き込み線402として示される双方向電流負荷を介した双方向電流の流れに基づいてバイナリ論理状態を書き込むために双方向電流を必要とする。一例として、双方向書き込み線402は、メモリアレイの列に関連付けられたビット書き込み線、またはメモリアレイの行に関連付けられたワード書き込み線に対応し得る。
【0038】
超伝導双方向電流ドライバシステム400は、電流源(例えば、磁束シャトルループなどの図1の例における電流源14)などから入力電流Iを受け取り、この入力電流Iを第1方向と第2方向のうちの一方において双方向書き込み線402に書き込み電流Iとして供給するように構成された超伝導双方向電流ドライバ404を含む。図9の例では、超伝導双方向電流ドライバ404は、双方向書き込み線402を流れる書き込み電流Iの方向を制御するために選択的に活性化される複数の超伝導ラッチ406を含む。これらの超伝導ラッチ406は、例えば活性化コントローラ20から供給される対応する活性化信号ACTによって活性化される。活性化信号ACTは、双方向書き込み線402を流れる書き込み電流Iの所望の方向に対応する超伝導ラッチ406を活性化し得る。一例として、活性化信号ACTは、単一磁束量子(SFQ)パルスまたは相互量子論理(RQL)パルスとして供給され得る。超伝導双方向電流ドライバ404は、図2図8のそれぞれの例における超伝導双方向電流ドライバ50,200,250,300,350のいずれかに対応し得る。
【0039】
図9の例では、双方向書き込み線402は、点線410で示されるように、メモリセル408に誘導的に結合される。一例として、メモリセル408は、それぞれのメモリアレイの所与の行または列に関連付けられたメモリセルのセットに対応し得る。誘導結合410は、メモリセル408の1つ以上についてそのヒステリシスメモリ状態を設定する(例えば、双方向書き込み線402に関連付けられた行または列と交差する行または列に供給される別の(例えば、単方向の)書き込み電流に基づいて)などのために、双方向書き込み線402を流れる書き込み電流Iによる、メモリセル408に対する磁場の誘起をもたらす。したがって、双方向書き込み線402を流れる書き込み電流Iの方向は、メモリセル408に対して誘起される磁場の方向を決定し得る。したがって、超伝導双方向メモリ書き込み電流ドライバシステム400は、双方向書き込み線402に双方向書き込み電流Iを供給することに基づいて、メモリアレイの所与の行または列の書き込み動作を制御することができる。
【0040】
上述した構造的および機能的な特徴を考慮して、本開示の種々の態様による方法は、図10を参照することでより理解され得る。なお、説明を簡潔にするために、図10の方法は順に実行されるものとして図示され記載されているが、本開示は図示された順序によって限定されるものではなく、本開示にしたがって、いくつかの態様は本開示において図示され記載された順序とは異なる順序でおよび/または他の態様と同時に生じ得ることが理解される。さらに、本開示の一態様による方法を実施するために、例示されているすべての特徴が必要とされるわけではない。
【0041】
図10は、第1方向(例えば、図50における第1電流状態)または第2方向(例えば、図100における第2電流状態)において双方向電流負荷(例えば、双方向電流負荷12)に超伝導電流(例えば、負荷電流Iまたは負荷電流IL1)を供給する方法450の例を示す。452において、入力電流(例えば、入力電流I)が電流源(例えば、電流源14)により生成される。454において、第1活性化信号(例えば、複数の活性化信号ACTのうちの1つ)が、対応する第1方向超伝導ラッチ(例えば、複数の超伝導ラッチ18のうちの1つ)に供給され、その第1方向超伝導ラッチが活性化されることにより、第2方向超伝導ラッチ(例えば、複数の超伝導ラッチ18のうちの1つ)を通過するとともに双方向電流負荷を第2方向に通過する電流源からの入力電流の電流経路が提供される。456において、第2活性化信号(例えば、複数の活性化信号ACTのうちの1つ)が、対応する第2方向超伝導ラッチ(例えば、複数の超伝導ラッチ18のうちの1つ)に供給されてその第2方向超伝導ラッチが活性化されることにより、第1方向超伝導ラッチ(例えば、複数の超伝導ラッチ18のうちの1つ)を通過するとともに双方向電流負荷を第1方向に通過する電流源からの入力電流の電流経路が提供される。
【0042】
以上の説明は本発明の例である。当然のことながら、本発明を説明する目的のために構成要素または方法の考えられるあらゆる組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者は、本発明のさらなる多くの組み合わせおよび置換が可能であることを認識し得る。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲内に含まれるすべてのそのような代替形態、変更形態、および変形形態を包含することが意図されている。さらに、開示または請求項が「1つの~」、「第1の~」、または「別の~」という要素を列挙するかまたはそれらの同等物を列挙する場合、1つまたは2つ以上のそのような要素を含むと解釈されるべきであり、2つ以上のそのような要素を必須とするものでも、2つ以上のそのような要素を除外するものでもない。本明細書で使用される「含む」という用語は、含むがそれに限定されないことを意味する。「に基づく」という用語は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。
本開示に含まれる技術的思想を以下に記載する。
(付記1)
超伝導双方向電流ドライバであって、
第1活性化信号に応答して活性化される第1方向超伝導ラッチと、
第2活性化信号に応答して活性化される第2方向超伝導ラッチと、を備え、
前記第2方向超伝導ラッチは、前記第1方向超伝導ラッチを通過するとともに双方向電流負荷を第1方向に通過する入力電流の第1電流経路を提供するために活性化され、
前記第1方向超伝導ラッチは、前記第2方向超伝導ラッチを通過するとともに前記双方向電流負荷を前記第1方向とは反対の第2方向に通過する前記入力電流の第2電流経路を提供するために活性化される、超伝導双方向電流ドライバ。
(付記2)
前記第1方向超伝導ラッチおよび前記第2方向超伝導ラッチはそれぞれ、活性化コントローラから供給される対応する第1活性化信号および第2活性化信号に応答して活性化され少なくとも1つのジョセフソン接合のトリガに応答して前記第1方向超伝導ラッチまたは前記第2方向超伝導ラッチを電圧状態に設定するように構成された磁束量子デバイスとして構成されている、付記1に記載の超伝導双方向電流ドライバ。
(付記3)
前記超伝導双方向電流ドライバはHブリッジ回路として構成され、前記第1方向超伝導ラッチは、電流源と前記双方向電流負荷の第1端との間に結合された所与の第1方向超伝導ラッチと、前記双方向電流負荷の第2端と低電圧レールとの間に結合された別の第1方向超伝導ラッチとを含み、前記第2方向超伝導ラッチは、前記電流源と前記双方向電流負荷の前記第2端との間に結合された所与の第2方向超伝導ラッチと、前記双方向電流負荷の前記第1端と前記低電圧レールとの間に結合された別の第1方向超伝導ラッチとを含む、付記1に記載の超伝導双方向電流ドライバ。
(付記4)
前記所与の第1方向超伝導ラッチと前記別の第2方向超伝導ラッチとを結合するノードと、前記双方向電流負荷とを相互接続するリセットラッチをさらに備え、前記リセットラッチは、前記入力電流が前記双方向電流負荷に供給される電流状態から、前記双方向電流負荷に電流が供給されないアイドル状態へ前記超伝導双方向電流ドライバを復帰させるために活性化される、付記3に記載の超伝導双方向電流ドライバ。
(付記5)
前記電流源と前記低電圧レールとを相互接続するシャント電流経路をさらに備え、前記シャント電流経路は、少なくとも前記所与の第1および第2方向超伝導ラッチの同時活性化に応答して前記入力電流の電流経路を提供するように構成されている、付記3に記載の超伝導双方向電流ドライバ。
(付記6)
前記双方向電流負荷の前記第1端は、前記所与の第2方向超伝導ラッチに対する活性化入力として結合されるとともに、前記双方向電流負荷の前記第2端は、前記所与の第1方向超伝導ラッチに対する活性化入力として結合され、前記所与の第1方向超伝導ラッチは、活性化コントローラから供給される第1活性化信号による前記別の第1方向超伝導ラッチの活性化に応答して活性化され、前記所与の第2方向超伝導ラッチは、前記活性化コントローラから供給される第2活性化信号による前記別の第2方向超伝導ラッチの活性化に応答して活性化される、付記3に記載の超伝導双方向電流ドライバ。
(付記7)
前記超伝導双方向電流ドライバはAブリッジ回路として構成され、前記第1方向超伝導ラッチは、前記双方向電流負荷の第1端と低電圧レールとの間に結合され、前記第2方向超伝導ラッチは、前記双方向電流負荷の第2端と前記低電圧レールとの間に結合され、前記超伝導双方向電流ドライバはさらに、
電流源と前記第1方向超伝導ラッチとを相互接続する第1インダクタと、
前記電流源と前記第2方向超伝導ラッチとを相互接続する第2インダクタと、
を備える、付記1に記載の超伝導双方向電流ドライバ。
(付記8)
前記電流源は、ストレージインダクタにおいて前記入力電流を生じさせるように構成された磁束シャトルループ電流源として構成され、前記ストレージインダクタは、前記超伝導双方向電流ドライバに前記入力電流を供給するように構成されている、付記1に記載の超伝導双方向電流ドライバ。
(付記9)
付記1に記載の超伝導双方向電流ドライバを備えたメモリ書き込みドライバであって、前記双方向電流負荷は、メモリアレイの行と列のうちの少なくとも一方に誘導的に結合される双方向誘導電流負荷として構成されており、前記双方向誘導電流負荷は、前記入力電流が前記双方向誘導電流負荷に第1方向に供給されることに基づいて前記第1方向に書き込み電流を供給して第1メモリ状態を書き込むとともに、前記入力電流が前記第1方向とは反対の第2方向に前記双方向誘導電流負荷に供給されることに基づいて前記第2方向に前記書き込み電流を書き込み線に供給して第2メモリ状態を書き込むように構成されている、メモリ書き込みドライバ。
(付記10)
双方向電流負荷に第1方向または第2方向に超伝導電流を供給するための方法であって、
電流源によって入力電流を生成すること、
第1活性化信号を対応する第1方向超伝導ラッチに供給して当該第1方向超伝導ラッチを活性化することにより、第2方向超伝導ラッチを通過し前記双方向電流負荷を前記第2方向に通過する前記電流源からの前記入力電流の電流経路を提供すること、
第2活性化信号を対応する第2方向超伝導ラッチに供給して当該第2方向超伝導ラッチを活性化することにより、前記第1方向超伝導ラッチを通過し前記双方向電流負荷を前記第1方向に通過する前記電流源からの前記入力電流の電流経路を提供すること、
を備える方法。
(付記11)
前記第1活性化信号を供給することは、磁束量子デバイスとして構成された前記対応する第1方向超伝導ラッチに前記第1活性化信号を供給して当該第1方向超伝導ラッチを電圧状態に設定することを含み、前記第2活性化信号を供給することは、磁束量子デバイスとして構成された前記対応する第2方向超伝導ラッチに前記第2活性化信号を供給して当該第2方向超伝導ラッチを前記電圧状態に設定することを含む、付記10に記載の方法。
(付記12)
前記第1活性化信号を供給することは、前記電流源と前記双方向電流負荷の第1端との間に結合された所与の第1方向超伝導ラッチを活性化するとともに、前記双方向電流負荷の第2端と低電圧レールとの間に結合された別の第1方向超伝導ラッチを活性化することを含み、前記第2活性化信号を供給することは、前記電流源と前記双方向電流負荷の前記第2端との間に結合された所与の第2方向超伝導ラッチを活性化するとともに、前記双方向電流負荷の前記第1端と前記低電圧レールとの間に結合された別の第2方向超伝導ラッチを活性化することを含む、付記10に記載の方法。
(付記13)
前記別の第1方向超伝導ラッチを活性化することは、前記所与の第1方向超伝導ラッチに対する前記双方向電流負荷の前記第2端の導電性結合に基づいて、前記所与の第1方向超伝導ラッチを活性化することに応答して前記別の第1方向超伝導ラッチを活性化することを含み、前記別の第2方向超伝導ラッチを活性化することは、前記所与の第1方向超伝導ラッチに対する前記双方向電流負荷の前記第1端の導電性結合に基づいて、前記所与の第2方向超伝導ラッチを活性化することに応答して前記別の第2方向超伝導ラッチを活性化することを含む、付記12に記載の方法。
(付記14)
前記双方向電流負荷に結合されたリセットラッチに第3活性化信号を供給して前記リセットラッチを活性化することにより、前記双方向電流負荷への前記入力電流の流れを停止させることをさらに備える付記10に記載の方法。
(付記15)
前記第1活性化信号を供給することは、前記双方向電流負荷の第1端と低電圧レールとの間に結合された第1方向超伝導ラッチを活性化して、前記電流源と前記双方向電流負荷の前記第1端とを相互接続する第1インダクタを通過し、前記双方向電流負荷を前記第2方向に通過し、さらに前記第2方向超伝導ラッチを通過して、前記低電圧レールへと至る前記電流源からの前記入力電流の電流経路を提供することを含み、
前記第2活性化信号を供給することは、前記双方向電流負荷の第2端と前記低電圧レールとの間に結合された第2方向超伝導ラッチを活性化して、前記電流源と前記双方向電流負荷の前記第2端とを相互接続する第2インダクタを通過し、前記双方向電流負荷を前記第1方向に通過し、さらに前記第1方向超伝導ラッチを通過して、前記低電圧レールへと至る前記電流源からの前記入力電流の電流経路を提供することを含む、付記10に記載の方法。
(付記16)
超伝導双方向メモリ書き込み電流ドライバであって、
入力電流を生成するように構成された電流源と、
メモリアレイの行と列のうちの少なくとも一方に関連付けられた書き込み線であって、前記入力電流が前記書き込み線に第1方向に供給されることに基づいて、前記行と列のうちの少なくとも一方の少なくとも1つのメモリセルの第1メモリ状態を書き込み、前記入力電流が前記第1方向とは反対の第2方向に前記書き込み線に供給されることに基づいて、前記行と列のうちの少なくとも一方の少なくとも1つのメモリセルの第2メモリ状態を書き込むように構成された前記書き込み線と、
超伝導双方向電流ドライバと、を備え、前記超伝導双方向電流ドライバは、
第1活性化信号に応答して活性化される第1方向超伝導ラッチと、
第2活性化信号に応答して活性化される第2方向超伝導ラッチと、を含み、
前記第2方向超伝導ラッチは、前記第1方向超伝導ラッチを通過するとともに前記書き込み線を前記第1方向に通過する前記入力電流の第1電流経路を提供するために活性化され、
前記第1方向超伝導ラッチは、前記第2方向超伝導ラッチを通過するとともに前記書き込み線を前記第2方向に通過する前記入力電流の第2電流経路を提供するために活性化される、超伝導双方向メモリ書き込み電流ドライバ。
(付記17)
前記超伝導双方向電流ドライバはHブリッジ回路として構成され、前記第1方向超伝導ラッチは、前記電流源と双方向電流負荷の第1端との間に結合された所与の第1方向超伝導ラッチと、前記双方向電流負荷の第2端と低電圧レールとの間に結合された別の第1方向超伝導ラッチとを含み、前記第2方向超伝導ラッチは、前記電流源と前記双方向電流負荷の前記第2端との間に結合された所与の第2方向超伝導ラッチと、前記双方向電流負荷の前記第1端と前記低電圧レールとの間に結合された別の第1方向超伝導ラッチとを含む、付記16に記載の超伝導双方向メモリ書き込み電流ドライバ。
(付記18)
前記所与の第1方向超伝導ラッチと前記別の第2方向超伝導ラッチとを結合するノードと、前記双方向誘導電流負荷とを相互接続するリセットラッチをさらに備え、前記リセットラッチは、前記入力電流が前記双方向誘導電流負荷に供給される電流状態から、前記双方向誘導電流負荷に電流が供給されないアイドル状態へ前記超伝導双方向電流ドライバを復帰させるために活性化される、付記17に記載の超伝導双方向メモリ書き込み電流ドライバ。
(付記19)
前記双方向電流負荷の前記第1端は、前記所与の第2方向超伝導ラッチに対する活性化入力として結合されるとともに、前記双方向電流負荷の前記第2端は、前記所与の第1方向超伝導ラッチに対する活性化入力として結合され、前記所与の第1方向超伝導ラッチは、活性化コントローラから供給される第1活性化信号による前記別の第1方向超伝導ラッチの活性化に応答して活性化され、前記所与の第2方向超伝導ラッチは、前記活性化コントローラから供給される第2活性化信号による前記別の第2方向超伝導ラッチの活性化に応答して活性化される、付記17に記載の超伝導双方向メモリ書き込み電流ドライバ。
(付記20)
前記超伝導双方向電流ドライバはAブリッジ回路として構成され、前記第1方向超伝導ラッチは、双方向電流負荷の第1端と低電圧レールとの間に結合された第1方向超伝導ラッチを含み、前記第2方向超伝導ラッチは、前記双方向電流負荷の第2端と前記低電圧レールとの間に結合された第2方向超伝導ラッチを含み、前記超伝導双方向電流ドライバはさらに、
前記電流源と前記第1方向超伝導ラッチとを相互接続する第1インダクタと、
前記電流源と前記第2方向超伝導ラッチとを相互接続する第2インダクタと、
を含む、付記16に記載の超伝導双方向メモリ書き込み電流ドライバ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10