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特許7155243冷蔵なしの保存環境における植物生存を延ばすための方法及び材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】冷蔵なしの保存環境における植物生存を延ばすための方法及び材料
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/02 20180101AFI20221011BHJP
   A01G 27/00 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
A01G9/02 101N
A01G9/02 101R
A01G9/02 101S
A01G9/02 101U
A01G9/02 101W
A01G27/00 502W
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020506296
(86)(22)【出願日】2018-04-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 US2018026728
(87)【国際公開番号】W WO2018191175
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】62/483,878
(32)【優先日】2017-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519366075
【氏名又は名称】ロベル,ケヴィン
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ロベル,ケヴィン
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0195391(US,A1)
【文献】登録実用新案第3158620(JP,U)
【文献】特開平05-007427(JP,A)
【文献】特開2011-092081(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0062114(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/02
A01G 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生育媒体内に、根の塊を有する生きている植物又は植物の種子を保持するように構成された容器であり、前記容器の開口部の周りに上縁部を有し、前記生育媒体は、前記容器の内部に配置される、容器と、
前記上縁部の周りで前記容器に対して実質的に密封された柔軟なカバーと、
を含む植物容器アセンブリであって、
前記容器が、保存及び運搬の間に侵襲に曝されたときに、前記柔軟なカバーは前記容器の内容物を保持し、
前記柔軟なカバーは少なくとも1つの孔を含み、前記少なくとも1つの孔は、前記生きている植物のシュートが通過するのを可能にするように構成され、前記シュートは、前記少なくとも1つの孔の連続した縁に対して圧力を及ぼし、
前記少なくとも1つの孔は、前記生きている植物の成長の成熟段階の間の前記生きている植物の樹冠よりも小さく、
前記柔軟なカバーが、前記生きている植物の成長相中に前記容器の内部と外部との間に防水層を与えるように、前記柔軟なカバーは、前記少なくとも1つの孔の連続した縁が前記圧力の結果として広がるのを可能にするように構成され、さらに、前記少なくとも1つの孔の連続した縁と前記生きている植物の茎との実質的に密封の接触を維持するように構成されている、植物容器アセンブリ。
【請求項2】
前記容器は絶縁材料を含む、及び/又は、前記容器は、プラスチック、セルロース、又はポリスチレンフォームで作られている、請求項1に記載の植物容器アセンブリ。
【請求項3】
前記容器は、底部、垂直配向の壁、及び前記上縁部を含み、
前記容器の底部によって画定される直径は、前記上縁部によって画定される直径よりも小さい、又は、
前記容器の底部によって画定される直径は、前記上縁部によって画定される直径よりも大きい、又は、
前記容器の底部によって画定される直径は、前記上縁部によって画定される直径と実質的に同様である、請求項1に記載の植物容器アセンブリ。
【請求項4】
前記容器は、前記容器が水に浸された場合に流体連通を可能にするが、植物の根が前記内部から通り抜けるのを防ぐように構成された1つ又は複数の微細孔を前記底部又は前記垂直配向の壁の下部領域内にさらに含む、請求項3に記載の植物容器アセンブリ。
【請求項5】
前記柔軟なカバーの少なくとも1つの孔は、発芽種子から延びるシュートが前記少なくとも1つの孔を通って上方に延びるように、環境光を通すのに十分に大きいが、同時に、前記生きている植物の茎の側面との接触を可能にするのに十分に小さい、請求項1に記載の植物容器アセンブリ。
【請求項6】
前記柔軟なカバーは、ホイル若しくはプラスチックであるか、又は、ホイル若しくはプラスチックを含む、請求項1に記載の植物容器アセンブリ。
【請求項7】
前記生育媒体は、前記生きている植物の蒸散速度を低下させる増粘剤を含み、前記増粘剤はゼラチン又は寒天である、請求項1に記載の植物容器アセンブリ。
【請求項8】
前記容器又は柔軟なカバーを通る液体を提供するように構成されている液体送出装置をさらに含む、請求項1に記載の植物容器アセンブリ。
【請求項9】
生きた植物を栽培する、保存する、及び/又は運ぶ方法であって、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の植物容器アセンブリを提供するステップと、
前記生きた植物の成長を可能にする条件を提供するステップと、
を含む方法。
【請求項10】
前記植物容器アセンブリを提供するステップは、
植物の種子又は苗を生育媒体内に置くステップと、
前記生育媒体を前記容器内に置くステップと、
前記容器の開口部の上に前記柔軟なカバーを密封させるステップと、
前記植物の種子の発芽及び/又は前記苗の成長を可能にするステップと、
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記植物容器アセンブリを提供するステップは、
前記生育媒体を前記容器内に置くステップと、
前記容器の開口部の上に前記柔軟なカバーを密封させるステップと、
前記柔軟なカバー内の少なくとも1つの孔を介して植物の種子又は苗を生育媒体内に入れるステップと、
前記植物の種子の発芽及び/又は前記苗の成長を可能にするステップと、
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記植物容器アセンブリは、前記容器の底部又は垂直配向の壁内に少なくとも1つの微細孔を含み、前記方法は、水耕システム内に前記植物容器アセンブリを置いて、前記容器の内部への水の移動を促進するステップをさらに含む、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記植物容器アセンブリは吊るされ、前記生きた植物の成長を可能にするために定期的な点滴灌漑が提供される、及び/又は、前記方法は、環境光への周期的な曝露を前記植物容器アセンブリに提供するステップを含む、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
テザー構造によって1つ又は複数の支持体から移動可能に吊るされた、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの植物容器アセンブリを含む、ハンギングプラント栽培システム。
【請求項15】
灌漑ネットワークをさらに含み、前記灌漑ネットワークは、
少なくとも1つの吊るされた植物容器アセンブリの上に配置された、水を運ぶように構成された1つ又は複数のチャネル又はパイプ、及び、
前記1つ又は複数のチャネル又はパイプから少なくとも1つの植物容器アセンブリへの制御された速度の水の移動を提供するように構成された、前記1つ又は複数のチャネル又はパイプから前記容器の内部への流体連通を提供する1つ又は複数の可撓性チューブ、
を含む、請求項14に記載のハンギングプラント栽培システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年4月10日に出願した出願番号第62/483878号に基づく優先権を主張するものであり、その全内容を参照により本明細書において援用する。
【背景技術】
【0002】
大規模な前処理のない、食用植物及びその成分を含む無傷の生きている植物の市場が拡大している。しかし、費用効率及びエネルギー効率の高い方法で市場全体に健康な成長している植物を運ぶ及び流通させることは、生産者及び供給者にとって課題であり続けている。いくつかのアプローチでは、植物は、最初に最適化された環境において栽培され、その後、消費者への出荷及び流通によって課されるストレスに適した容器に移される。他のアプローチでは、苗は、植え直しが必要となるのを避けるために、最初に個々の出荷準備ができた容器において育てられる。しかし、温度変動、一貫した水又は水分の欠如、及び物理的取扱い等を含む、流通によって課される比較的劣悪な条件から保護することを意図した容器は、必ずしも理想的な生育条件を提供するわけではなく、従って、植物の品質の劣化が結果として生じる。例えば、成長している苗の上にふたを置いて、土壌がこぼれるのを防ぐことはまた、光を減らすか又は光を完全に遮断することになる。これによって、光を見つけようとした葉の塊の成長の加速が最初に生じ、続いて、健康の低下が生じる。他のシステムは過剰な蒸発を被り、乾燥が植物の健康に悪影響を与える前に植物の命を支えるために利用可能な時間を制限し、従って、市場まで配送するために利用可能な時間を制限する。多くの場合、保存及び運搬中の植物の寿命延長と健康の増進を目的として、植物の成長及び代謝を遅らせるために、冷蔵が出荷中に適用される。しかし、そのような環境制御は高価であり、市場における最終的な植物製品に大きく寄与している。
【0003】
従って、冷蔵等の高価な環境制御を要求することなく、保存及び流通の間に理想的な栽培条件を容易にし且つ植物の健康及び寿命延長を促進する植物の包装が依然として必要である。本開示は、これらの及び関連するニーズに取り組んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本要約は、簡略化された形で概念の選択を紹介するために提供され、詳細な説明において以下にさらに説明される。この要約は、発明特定事項の鍵となる特徴を同定することを意図したものではなく、また、発明特定事項の範囲を決定するのに寄与するとして使用されることを意図したものでもない。
【0005】
本開示は、生きた成長している植物を栽培及び出荷するための組成物、容器、システム、アセンブリ、及び関連する方法に関する。本明細書において開示されている組成物、容器、システム、アセンブリ、及び関連する方法は、冷蔵の必要性も減らしながら、植物の生育環境にさらなる安定性を提供し、長期の保存及び出荷、貯蔵寿命を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本開示は、植物容器アセンブリを提供する。植物容器アセンブリは:
生育媒体内に生きている植物の根の塊を保持するように構成された容器;及び、
前記容器に対して実質的に密封された柔軟なカバー;
を含み、
カバーは少なくとも1つの孔を含み、孔は、成長している植物のシュートが通過するのを可能にし、その後、カバーが、植物の成長相中に容器の内部と外部との間に防水層を与えるように、孔の縁と植物の茎との実質的に密封の接触を維持するように構成されている。
【0007】
一実施形態では、植物容器アセンブリは、容器の内部に配置された生育媒体を含む。一実施形態では、植物容器アセンブリは、生育媒体と共に容器内に配置された根の塊を有する植物をさらに含む。
【0008】
別の態様では、本開示は:
容器;
生育媒体内に包埋される植物の種子であり、種子及び生育媒体は容器の内部に配置される、植物の種子;及び、
容器の開口部に対して実質的に密封された柔軟なカバー;
を含む植物容器アセンブリを提供し、
カバーは、種子からの植物のシュートが通って生育媒体とは反対のカバーの側まで延びるのを可能にするように構成された孔を含み、カバーが、成長している植物の根の塊を葉の塊から分け、且つ、容器の内部と外部との間に防水層を与えるように、植物の成長相中に、孔の縁と突出する植物の茎との実質的に密封の接触を維持するように孔は構成され、
生育媒体は、植物の蒸散速度を低下させる増粘剤を含有している。
【0009】
別の態様では、本開示は:
容器;
生育媒体内に包埋された根の塊、並びに、生育媒体から離れるように延びる茎及び葉の塊を有する生きている植物であり、根の塊及び生育媒体は容器内に配置される、生きている植物;及び、
容器に対して実質的に密封された柔軟なカバー;
を含む植物容器アセンブリを提供し、
カバーは、成長している植物の茎が通って延びる孔を含み、カバーが、根の塊を葉の塊から分け、且つ、容器の内部と外部との間に防水層を与えるように、孔の縁と植物の茎との実質的に密封の接触を孔は維持し、
生育媒体は増粘剤を含有している。
【0010】
別の態様では、本開示は、生きた植物を栽培する、保存する、及び/又は運ぶ方法を提供する。当該方法は、本開示による植物容器アセンブリを提供するステップと、植物の成長を可能にする条件を提供するステップとを含む。
【0011】
当該方法の一実施形態において、「植物容器を提供するステップ」は:
植物の種子又は苗を生育媒体内に置くステップ;
生育媒体を容器内に置くステップ;
開口部の上に柔軟なカバーを密封させるステップ;及び、
植物の種子の発芽及び/又は苗の成長を可能にするステップ;
を含む。
【0012】
当該方法の別の実施形態において、「植物容器を提供するステップ」は:
生育媒体を容器内に置くステップ;
開口部の上に柔軟なカバーを密封させるステップ;
柔軟なカバー内の孔を介して植物の種子又は苗を生育媒体内に入れるステップ;及び、
植物の種子の発芽及び/又は苗の成長を可能にするステップ;
を含む。
【0013】
別の態様では、本開示は、ハンギングプラント栽培システムを提供する。当該システムは、テザー構造によって1つ又は複数の支持体から移動可能に吊るされた、本開示の少なくとも1つの植物容器アセンブリを含む。一部の実施形態において、当該ハンギングプラント栽培システムは、灌漑ネットワークも含み、灌漑ネットワークは、少なくとも1つの吊るされた植物容器アセンブリの上に配置された、水を運ぶためのチャネル又はパイプを、チャネル又はパイプから容器の内部への流体連通を提供する可撓性チューブと共に含む。当該システムは、チャネル又はパイプから少なくとも1つの植物容器アセンブリへの制御された速度の水の移動を提供するように構成されている。
【0014】
本発明の上述の態様及び付随する利点の多くは、添付の図面と関連して記載される場合に、以下の詳細な説明を言及することによってより理解されるようになるに従い、より容易に正しく理解されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示による植物容器アセンブリの一実施形態を示した図である。
図2】本開示による植物容器アセンブリの別の実施形態を示した図である。
図3】栽培及び維持管理の間に水及び/又は栄養素の投入を受けるように構成された、本開示による植物容器アセンブリの別の実施形態を示した図である。
図4】本開示による植物容器アセンブリを統合するハンギング栽培システムの例証的な実施形態を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、植物を栽培するための梱包形態、アセンブリ、及び関連する方法に関し、それらは、保存及び出荷の間の植物の健康を増進し、生きている植物の貯蔵寿命を延ばす。本開示は、植物の梱包材料を最適化して、個々の苗及び生きた食用植物の出荷に関連するコスト及びエネルギーを削減するための本発明者の努力の結果であり、これまでは、そのような生きている植物の貯蔵寿命を延ばすための解決策として冷蔵が利用されてきた。本明細書において記載される最適化された包装形態及びアセンブリは、冷蔵の必要性を大幅に減らすか又は完全に回避し、同時に、長期の貯蔵寿命をもたらし、最終的な販売のために市場に到着する植物の最終的な健康状態を最適化するということを本発明者は見出した。
【0017】
以下においてより詳細に記載されるように、梱包形態は、その生育媒体において生きている根の塊を分離し、保存/出荷中の実質的な水の損失を防ぐ。これは、植物が介入(例えば、水やり等)を必要とせずに水和したままでいる期間を延ばす。この形態及び方法は、保存及び運搬の侵襲中の根の塊及びその生育環境の保全を保つのに有用である。一方、シュートは、光合成のための葉の成長を促進するために、分離された生育媒体から離れて容器及び分離バリアを越えて成長することが可能にされる。より長く植物を水和させたままで保つために、保存/出荷中に根の塊を分離し、水の損失を防ぐことに加えて、茎及び葉を含むシュートからのその生育媒体における根の塊の分離は、茎及び葉にも利益をもたらす。第一に、根の塊及び生育媒体において水分を保持するバリアは、同時に、植物の葉の周囲の環境内の湿度を減らす。葉の周囲の湿度を減らすことによって、バリアは、通常、真菌及び細菌等の、葉に疫病を与え得る病原体の潜伏を促進するであろう条件を縮小させるか又は排除する。第二に、ルートボール(root ball)の分離から生じるいかなる光の遮断も葉に影響を与えず、従って、継続した光合成を可能にし、さらに、植物の活力を促進する。第三に、根茎がカバーと接触するまで成長するに従い、移動中の植物の茎の保全を保護するためにさらなる支持を提供する。これらの利益は全て、保存/出荷中の植物の寿命及び健康状態を延ばすように、及び、市場への配送後の植物の健康状態を最適化するように作用する。
【0018】
例えば、本発明者等は、開示される形態で栽培され、さらに、保存/出荷された植物は、数日の間、及び、数週間でさえも、冷蔵を必要とすることなく、健康な(例えば、十分に市場性のある)状態を維持したということが驚くほどにわかった。極度に有害な条件において、すなわち、華氏100度を超え、低い湿度にて、多数のバジル植物が容器内にあるような条件において、開示される容器アセンブリに含まれるバジル植物は、依然として6から7日間維持されるということを観察した。より典型的な環境条件では、無人の植物が成長し、3から6週間活力を維持した。典型的な配送シナリオでは、本開示の植物容器アセンブリは、1から5日間出荷カートンに含まれ、その後、取り出される。典型的な植物は、出荷容器から取り出された後、さらに2~5週間、容器アセンブリ内で栄え続けることになる。例えば、葉物野菜等の食用植物は、売れるサイズまで成長すると短い寿命を有することが多くある。例えば、ほとんどのレタス植物は、育てられるシステム及び条件に応じて、40~70日で成熟する。成熟後まもなく、レタス植物は強い枯れる傾向を示す。わずかなストレスで、成熟したレタス又は葉物野菜の品種は「抽薹(bolt)する」(催花が起こる)傾向がある。植物は、その成長サイクル全体を過ごした開示される容器アセンブリに残るため、開示される容器アセンブリは、早くに抽薹する可能性を減らし、植物への衝撃及びストレスを減らす。これは、新鮮さ、栄養価、及び販売の望ましさと共に、最終的に生きている植物製品の寿命を延ばす。
【0019】
上述の一態様によると、本開示は、生育媒体内に生きている植物の根の塊を保持するように構成された容器と、柔軟なカバーとを含む植物容器アセンブリを提供する。柔軟なカバーは、容器に対して実質的に密封され、カバーは、成長している植物のシュートが通過するのを可能にし、その後、カバーが、植物の成長相中に容器の内部と外部との間に防水層を与えるように、孔の縁と植物の茎との実質的に密封の接触を維持するように構成された少なくとも1つの孔を含む。一部の実施形態では、アセンブリは、生きている植物を含む。一部の実施形態では、生きている植物は、苗又は根の塊である。一部の実施形態では、植物は、少なくとも孔を通って延びる根茎を含む。一部の実施形態では、植物は、根の塊とは反対のカバーの側に葉の塊を含む。
【0020】
容器
本明細書において使用される場合、「生育媒体内に生きている植物の根の塊を保持するように構成された」という表現は、(数日、数週、さらには数か月という規模の)持続時間の間、植物の寿命を維持するのに十分な量の付随の生育媒体と共に、少なくとも1つの植物の根の塊をその中に固定及び保持するために、容器が適切な寸法を有し、適切な材料で作られているということを示すために使用される。
【0021】
一部の実施形態では、植物容器は、単一のモジュール形式で、約5から約500立方インチ、約5から約100立方インチ、約10から約75立方インチ、約10から約50立方インチ、及び、約10から約25立方インチの内部容積を有し得る。一部の実施形態では、単一のモジュール形式の植物容器は、約5、7、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、又は200立方インチの内部容積を有する。
【0022】
容器は、典型的には、剛性又は半剛性である。しかし、(例えば、可撓性バッグ等の)より柔らかく、より柔軟な容器の実施形態も熟考される。
【0023】
例証的な剛性又は半剛性設計の容器アセンブリが、図1において例示されており、図1は、植物容器アセンブリ10の側面図を提供している。例示されている植物容器アセンブリ10は、壁22(又は複数の壁)及び底部24を有する容器12を含む。カバーが、底部24とは反対の側で容器12に配置されている。この実施形態では、カバーは、外縁20と内部の孔16とを有し、内部の孔16を通って、植物の葉の塊14のステップが延びている。カバー18は、容器12の内部に配置されたルートボール及び生育媒体から葉の塊14を分離する。底部及び壁の形状は限定されない。例えば、一部の実施形態では、底部24は、平ら又は平坦な表面上に置かれたときに安定性を提供するように実質的に平面である。他の実施形態では、容器アセンブリ10は、吊るされるように構成され、そのようなものとして、底部は、平面である必要はなく、正しくは、(例えば、凹又は凸等)湾曲であってもよい。壁22は、底部24から上面開口部に向かって延びている。壁22は、垂直軸において直線又は湾曲であってもよい。単一の意味で言及されると、断面で見た場合、壁は単一の湾曲した構造であり得るということが理解されることになる。しかし、一部の実施形態では、壁22の構造は、例えば平面パネル等、複数のパネルを含むことができ、それらは、縫合で相互に取り付けられる、及び/又は、ボックス型の構造におけるもの等、複数の角度で折り畳まれる。壁22は垂直に配向されているが、容器12の反対側の壁22の軸は平行である必要はない。代わりに、壁22の軸は、底部が上面開口部よりも大きい又は小さいように配向され得る。従って、上部は、底部の直径又は同等の断面測定値よりも小さい、実質的に等しい、又は大きい直径又は同等の断面測定値を有し得る。本明細書において使用される場合、「直径」という用語は、容器形状の断面、又は、上面開口部若しくは底部の形状の平面を通る直線の長さを指すために使用される。測定される断面又は形状が円である場合、直径は幾何学的中心を通る。断面が円でない場合、直径は、いかなる同等の断面測定値も指し、同等の断面測定値は、上面開口部又は底部の形状の全体のサイズを表すことができ、上面開口部と底部との間で比較して、その相対的なサイズを決定することができる。
【0024】
図2は、本開示による植物容器アセンブリの別の実施形態の側面図である。図1は、逆円錐形を有する容器を例示しているけれども、図2は、円錐形を有する容器を例示している。図1の実施形態と同様に、図2の容器12は、底部24、壁26、及びカバー28を有している。植物の茎及び葉の塊14は、カバー28内の孔16を通って延びており、カバー28は、容器12の内部のルートボール及び生育媒体から葉14を分離している。この設計は、過剰な密度及び幅の広いカバーとの接触を被り得る、さもなければ、空気循環を低下させる、低い位置にぶら下がっている葉を有する一部の植物に対するあり得るニーズに取り組んでいる。例示されている実施形態では、容器12は、底部24がカバー28よりも大きな半径又は表面積を有する逆円錐形状である。
【0025】
最小化されたカバー28は、根の塊からの最小化された垂直方向の分離で、典型的には低い位置にぶら下がっている葉の塊を成長させる一部の植物のタイプに関連する問題に取り組んでいる。例えば、レタス等、一部の植物の低い位置にぶら下がっている葉が(図1のカバー18等の)平らな容器のカバーバリアと接触すると、葉は空気の流れを制限させる。葉は、アセンブリのカバーの平らな表面上に位置するため、呼吸や蒸散をすることができず、従って、葉の組織の壊死につながる。図12において例示されている容器12の円錐形状は、カバー28の最小化された表面積を可能にし、葉の塊14の低い位置にぶら下がっている葉と、角度のある壁26との間に開いた空間30を提供し、さらに、葉の凝集、又は、バリア若しくは根の塊のカバーとの過剰な接触を防いでいる。開いた空間30は、継続的な空気循環を容易にし、葉の上及びその周囲の水分の蓄積を回避し、従って、寄生生物及び/又は葉腐れの発生率を減少させる。さらに、空気循環の増加で、葉は蒸散することができ、さらに壊死を防ぐ。
【0026】
一部の実施態様では、円錐形の容器は、上面開口部の上縁に配置される(例えば、実質的に密封される)最小化された表面積を有するカバー28を有する。従って、カバー28は、容器に接触する別の構成要素である。この実施形態では、カバー28は、その表面に孔16を含み、孔16を通って植物の茎は延びて、容器12内に配置された根の塊とは反対のカバー28の側に葉の塊14を保持する。特定の実施形態では、底部24とは反対の側にある容器12の小さな開口部(「上面開口部」と呼ばれる)は、直径が約3/4インチ程に小さくあってもよく、カバーは、直径が約3/4インチで(又はわずかに長く)あってもよく、上面開口部のへりに接触することができる。
【0027】
別の実施形態では、容器の壁26は円錐形であり、上面開口部は、植物に応じて(例えば、直径が約3/4インチ等)十分に小さいか又はそれより小さいため、別のカバー28はアセンブリ内に必要とされない。代わりに、容器の収縮された開口部自体が、植物の茎が容器12を通って突き出るときに、容器12の内部と外部との間の空気又は蒸気の連通を十分に減少させる。
【0028】
容器は、植物の保存を容易にするための任意の適切な材料で作ることができ、当業者によって容易に同定することができる。基本的な要件には、相対的な水分バリアで、根の塊及び生育媒体を単離する能力が含まれる。容器の材料が、提供されたバリアを破ることなく、小さな衝撃に耐えることができるということも好ましい。最後に、材料は、生育媒体内への化学物質の浸出を回避するように最適に選ばれる。
【0029】
一部の実施態様では、絶縁材料が、容器に対して好ましい。例えば、既知の出荷条件が植物を強烈な温度変動に曝し得る場合、絶縁された容器の材料は、根の塊を緩衝し、生育媒体においてより安定した温度を提供することになる。従って、昼の暑さの間に極端な温度上昇を避けることができるが、その一方で、その基板の熱の一部は夜の涼しさの中に保持されることが望ましくあり得る。さらに、絶縁された材料は、多くの植物が影響されやすい急激な温度変動で経験する衝撃を減らすことができる。より緩慢な温度変化は、植物の膨圧を安定に保ち、栄養分の取り込み及び全体的な植物の健康状態を維持するのに寄与し、一方、急速な温度変化は、この圧力を乱し、植物の取り込みを遅らせるか又は一時的に停滞させ、乏しい発育及び健康状態をもたらす。
【0030】
容器のための例証的で非限定的な材料には、適切な(例えば、ポリスチレン又はポリプロピレン等の)プラスチック及び(任意のワックス状水バリアを有する)セルロース等が含まれる。容器の材料は、その生分解性及び再生可能性により環境影響を最小限にするために、植物ベースの材料から供給することができる。例えば、容器の材料は、大豆、トウモロコシ、ジャガイモ、及びダイズ豆等から供給することができる。
【0031】
容器の色は、光を反射し、さらに、根の塊における異常に上昇する温度を避けるために重要であり得る。従って、一部の実施態様において、容器は、反射的又は実質的に反射的である。一部の実施形態では、容器は、光放射の過剰な吸収及びその後の熱への変換を回避すると従来から考えられている白色、灰色、又は他の淡色(light colors)の任意の色合い又はバリエーションである。好ましくは、いかなる色の使用にも、容器の反射能力を最適化するために不飽和色が含まれるであろう。代替的な実施形態では、本明細書において記載されるいかなる色又は材料の容器も、統合されていようと分けられていようと、反射資質を有するか、さもなければ過剰な光の吸収を回避する外側の覆いと共にさらに梱包され得る。
【0032】
容器12は、壁26及び底部24が単一の統合品である単一の成形品であってもよい。或いは、容器12は、多数のピースのアセンブリであってもよい。例えば、先に記載され、図2において例示されている円錐形の実施形態では、底部24は、壁26とは別の構成要素であってもよい。底部24は、底の開口部から、根の塊及び生育媒体が容器内に入れられた後で、壁24に取り付けられる。底部24は、底の孔を覆い、壁24に対して密封される。そのような実施態様において、底部は、壁24の構造と同じ又は異なる材料のものであってもよい。一部の実施態様では、任意の根が通って延び得るか又は実質的な水分の損失を可能にするであろう実質的な孔を底部の材料は有しないことを除き、底部24は、柔軟なカバー28について以下に記載されるのと同じ材料であり得る。
【0033】
開示される容器アセンブリは、上述のように、単一の植物又は複数の植物をその中に有するように日常的に構成することができるということが正しく理解されることになる。好ましくは、多数の植物を単一の容器に組み込む場合、個々が互いの不利益まで空間、栄養分、水分、及び光等をめぐって実質的に競合しないように、植物の健康及び生存能を促進するために植物は空間的に分布されることになる。
【0034】
一実施形態において、アセンブリは、1つ又は複数の植物も含む。1つの植物(又は複数の植物)は、種子、苗、未熟期(adolescent)又は成熟期の1つ又は複数の植物であり得る。発芽後植物の種子又は根の塊は、付随の生育媒体と共に容器内に配置され、さらに、容器の底部及び壁、並びに、存在する場合には柔軟なカバーによって容器の外部から単離される。
【0035】
容器アセンブリは、単一の別個のユニットとして先に記載され且つ例示されているけれども、開示される容器アセンブリは、1つ又は複数の容器の列のトレイ又はラック等、複数の連結された(例えば、植物がその中に含まれる)容器を有するアセンブリになるよう繰り返す及び/又は連続的に増やすことができるということを当業者は容易に正しく理解することになる。
【0036】
一部の実施形態では、容器は、容器内への周期的又は連続的な液体の添加を可能にするための入口を含むように構成される。一部の実施形態では、容器は、内部に液体を届けるための管又は他の構造体の接続を収容するための弁又は入口を含む。
【0037】
カバー
上述のように、容器アセンブリは、容器に対して実質的に密封される柔軟なカバーを含む。典型的には、カバーは、容器の上縁に対して実質的に密封される。密封は、典型的には、生育媒体が容器の内部空間に置かれた後に完了する。一部の実施形態では、密封は、生育媒体内に種子又は植物の一部を有することなく完了する。種子又は植物の一部は、カバー18又は容器12における孔16を介して後に入れることができる。
【0038】
「実質的に密封された」という用語及びその文法的変形は、容器12の内部と外部との間の空気又は蒸気の連通を実質的に妨害して、非蒸散の水の損失を防ぐように、カバーと容器との接触が維持されるということを示す。この点について、容器12の内部からの全ての水の損失のうち大部分が、植物の蒸散(すなわち、植物が容器の外部に葉の塊を有する場合)の結果であり、内部空間と外部との間の蒸発及び空気の流れによるものではないことが好ましい。「実質的」の使用は、一部の蒸発又は漏れが許容されるが、逃げは遅くされて、生育媒体内での十分な水和を長期間維持するということを示す。密封は、実質的な密封を維持するための(構成要素を共に結合させる)ヒートシール、糊付けの使用、又は、クランプ及び弾性バンド等のファスナーの使用を含む、当技術分野において知られた任意の適切な方法に従って実行することができる。
【0039】
柔軟なカバーは、少なくとも1つのカバーの孔を有し、この孔は、発芽種子から延びるシュートが孔を通って上方に延びることになるように、容器の内部空間に環境光を透過させるのに十分な大きさである。しかし、孔は同時に、植物が孔を通って成長すると、成長している植物の茎の側面との接触を可能にするのに十分小さくあるべきである。従って、孔は、成長の成熟段階で生成される植物の樹冠よりも小さい。茎と孔の端との接触は、湿度の逃げを実質的に防ぎ、従って、葉の塊に対するより低い湿度を維持しながら根の塊の水和を保つためのさらなる密封を提供する。
【0040】
カバーは柔軟なカバーである。「柔軟な」という用語は、カバーが可撓性であり、圧力の印加により動かす又は曲げることができるということを示すために使用される。典型的にはカバーは、上記のように、比較的ぴんと張られた形態で容器の上にかぶせられ、容器の縁に対して密封される。植物のシュート/茎が孔を貫通するに従い、孔の縁が茎と接触して、茎によって加えられる圧力の関数として密封がもたらされる。茎が成長し、直径が広がるに従い、茎は、カバー内の孔の縁にさらなる圧力を加える。カバーの柔軟性のために、カバーは、成長している茎によって加えられる圧力の増加に屈し、さらに、孔は、増加した茎の幅に順応するように広がる。好ましくは、柔軟性は、密封が、茎の成長を著しく妨害せずに維持されるようなものである。
【0041】
カバーに使用される材料の性質は、ある程度、容器において生成され且つ保存される植物の特定の植物品種を考慮して当業者によって決定することができる。膜材料の重量及び組成は、容器に付着したままであり、且つ、植物の保存/出荷及び成長中の要素に耐えるのに十分な強さでなければならない。しかし、カバーは依然として、(上記のように)植物の樹冠/茎が成熟しながらカバーを広げる及びそれに代わるのを可能にするのに十分柔軟でなければならない。従って、当業者は、目標の用途に最も適切なカバーを決定することができるようになる。
【0042】
例証的なカバー材料には、プラスチック及びホイル等のシートが含まれる。カバー材料の例示的で非限定的な例として:ポリスチレン、ポリプロピレン、ホイル及び金属材料、(例えば、トウモロコシ、ジャガイモ、及びダイズ豆等から供給される)植物ベースのポリマーが挙げられる。膜は、任意の程度の不透明度であってもよい。一部の実施態様では、カバー材料は、印刷又はエンボス加工を受けて、ブランディング又は他のマーキングに順応することができる。
【0043】
一部の実施態様では、カバーは、実質的に平面である。しかし、一部の実施態様では、カバーは、平面の葉がカバーに対して配置される場合でさえも、チャネル内で空気が循環するのを可能にするように構成されたあるトポグラフィを有する。例えば、そのエンボス加工されたパターンを保持することができるホイル等の膜材料の明白なエンボス加工は、接触する葉からの分離をもたらすことによって、空気の流れのチャネルを作り出すことができる。チャネルは、生成及び分布工程の間の長い期間、膜に接触する葉の腐敗を防ぐ。葉は相当な換気を必要としないけれども、空気チャネルは、平らな膜の平らな表面に対する葉の平らな表面の積層による葉の窒息を防ぐ。葉と膜との間に十分な分離を生じさせるこの膜のテクスチャの特定の変形は、単に「粗い」テクスチャ又はチャネリングであったとしても、この窒息及び腐敗を長期間防ぐのに十分である。
【0044】
孔の数及び孔のサイズは、生成される製品の品種に応じて変わり得る。一部の実施態様では、カバー18内の少なくとも1つの孔16は、生成される品種に応じて、約1/16インチから約3/8インチに及ぶ。
【0045】
多数の孔の数及び間隔も、製品の品種及び所望される最終製品次第である。マイクログリーン、エディブルフラワー、及び栄養学的な草は、カバー内の1平方インチ当たり約30~40までの孔の頻度で良好に成長し得る。対照的に、ホウレンソウ等、1つの種子当たりの葉の塊が小さい植物は、必要とされる葉の密度を達成するために、1平方インチ当たり1~2の孔等、1平方インチ当たり約1~5の孔で良好に成長し得る。結球レタスは、典型的には、単一の容器におけるレタスの混ぜ合わせ又は混合が所望されない限り、容器の中心に1つの孔しか必要としない。
【0046】
一部の実施態様では、容器アセンブリは、多数の植物タイプ(例えばレタス等)の混合物を有する。例えば、多数のレタス品種を有する実施形態では、約3~5の孔を、膜の近辺の周囲に均一に置くことができる。これらの孔には異なる品種のレタスが置かれ、単一の製品において生きているレタス/青物が混合された単一の容器が生じる。生産者にとってのこの特定の実施形態の利点は、目的は3~4の小さい製品を実現させることであるため、この「混合された」製品がはるかに短い期間で生産され、フルサイズに達するためにシステムにおいて50日までを必要とする単一の品種のレタスとは反対に、20~30日の成長時間しか必要としないことである。消費者にとっての利点は、そうでなければこの混合を実現するために3~4の別々の製品を購入しなければならないこと、又は、新鮮さ、寿命、外観、及び栄養価が妥協された「カットされた」混合製品を購入することに制限されることである。
【0047】
生育媒体
生育媒体の組成は、容器内で栽培される1つ又は複数の植物の既知の要件によって決定される。例えば、様々な土壌の組成が、多種多様な食用植物及び装飾植物を栽培することにおける用途に対して知られており、当業者によって容易に且つ適切に選ぶことができる。
【0048】
生育媒体は、生育条件を最適化するために、肥料、栄養添加物、ミネラルサプリメント、及び有益な共生微生物等の添加物も含むことができる。加えて、要望があれば、生育媒体は、寄生虫、雑草、病原体、又はいかなる他の有害生物の増殖も取り除く、減らす、又は防ぐために、有効量の殺虫剤、選択的な除草剤、殺菌剤、又は他の化学物質も含むことができる。生育媒体に対する栄養レシピの処方は、生成され出荷される植物の品種に応じて調整することができる。一部の実施形態では、梱包内の植物の成長速度を最適化及び調節し、植物の色を維持するか又は改良するために、栄養処方は、特定のミネラルを増やすことによって又は減らすことによってさえ修正することができる。例えば、バジル植物が突然暗い環境に長期間置かれた場合、植物は、もはや受けることがなくなった太陽光に「達し」且つ取り戻そうとして、最初にその成長速度を加速させるであろう。この種の急速な成長は、植物のエネルギー及び栄養保存を使い尽くすため、梱包された植物にとって問題である。特定のミネラルレシピは、保存状態中のこの成長加速現象を減らす又は遅らせることができ、従って、長期の植物の活力を保ち且つ促進する。加えて、栄養処方は、植物が梱包され運搬されている間、色及びパリパリ感の維持を促進するために日常的に調整することができる。
【0049】
従って、生育媒体の最適化された選択及び構築は、栽培されている植物の様々な考察に基づき得る。その考察の簡潔な概説が提供される。
【0050】
第一に、植物の品種によって、容器内の根の構造は異なる。「成熟した」根のサイズ(長さ及び周囲)は、容器内の「限られた」空間の大部分を占め得る。これは、発芽中に一時的に膨張して、容器内のかなりの量を占めるために、基板内に吸収性及び膨張性のある材料の使用を要求する。発芽時又は成長期の初期に、容器の容積は、好ましくは、膜の上部及び孔の近くで種子又は若い植物の塊を支持するために、ほとんど基板で満たされる。基板は、孔を介した茎の発芽の延びを可能にし、根が基板内に侵入するのを可能にするのに十分な時間、孔の位置又はその近くで種子/苗が安定しその位置にいたままであることを保証するために理想的には安定し最小限にされた空隙又は荷止めでもある。根の量及びサイズが増すに従い、根はこの最初に膨張した材料に「代わる」ことができ、膨張可能な材料が占めている容積を利用することができなければならない。これによって、容器内で根が結合したり、きつく圧迫され過ぎたりすることなく、根が十分に成熟し発育することが可能である。
【0051】
第二に、窒素、リン、及びカルシウムは、関心のある多くの植物品種の急速な成長サイクルに寄与する栄養素である。多くの植物品種は、典型的には、その急速な成長サイクルの間に多くの量を必要とする。これらの栄養素は、水溶性の生育方法における使用のために「有機的に」供給することはできず、NOP(National Organic Program)及びUSDAに準拠することはない。これは、水耕施設としての「オーガニック認証」が可能ではないということを意味する。この制限を克服し、オーガニック認証を容易にするために、認可された「有機」窒素、リン、及びカルシウムの栄養素の計算された量を生育媒体に含めることができる。しかし、「栄養毒性」、すなわち、依然として窒素、リン、及びカルシウムの十分な供給源を提供しながら、濃縮された肥料の強力な供給源から燃えることの問題を回避するために、有機供給源は、取り込みに先立ち前処理することができる。この前処理は、添加される前に関連する微生物活性への曝露を必要とする。所望される栄養素の正確な量が、対象植物の完全な生長及び発現に対して計算される。供給源の栄養素は、最初に圧縮ペレット形態で供給される。ペレットは、この基板の組み合わせ内の有益な細菌の小さなコロニーに導入される。微生物活性が始まるに従い、細菌のコロニーは小さくなり、従って、少量の有機栄養素を処理する。この処理が続くに従い、この微生物によって駆動される分解の副産物は、ここで、植物の根に取り込まれることが可能である。時間が経過するに従い、細菌のコロニー及び微生物活性が増加し、さらなる栄養素が植物の根に対して利用可能になる。この微生物コロニーの繁殖は指数関数的であるため、栄養素の処理及び利用可能性も同様である。この工程によって、吸収可能な栄養素の徐放性が制御される。この工程は、植物の発育の初期段階での栄養毒性を防ぎ、需要が最も高くなる成長の第三期におけるものを含む、成長する植物の高まる需要に見合った量の吸収可能な栄養素を提供する。この工程は、並はずれて小さい密封された容器における十分に発現された植物の成長を成功させるために非常に重要である。
【0052】
第三に、容器が密封されていることを考慮すると、根のシステムへのさらなる酸素の唯一の供給源は、水和のための水の導入によるものである。酸素は、水の中又は表面に含まれ、植物の根に運ばれる。この酸素レベルが十分ではない場合、有機的に承認された酸化剤を基板に添加して、根のゾーンにおけるさらなる酸素化を促進することができる。
【0053】
一部の実施形態では、生育媒体は、増粘剤をさらに含む。増粘剤は、植物の生涯において自然に起こる事象と類似の効果を生み出す。成長期の終わりが近づくと、植物は、植物にラテックスを生成するよう誘導する特定の環境シグナルを受けることになる。この環境シグナルは、資源不足の増大に基づいていることが多い。例えば、昼の長さが短くなり、太陽光の強度が低下し、水和が減少する可能性があり、又は、植物に対する食物が不足する。例えば、レタス植物のラテックスは水よりも濃く、味も非常に苦い。植物はこのラテックスを生成して循環を遅らせ、従って、死滅を引き起こす工程を遅らせ、さらに、種の自己保存のために、植物がすぐに種子及び花になるのに十分長く、その寿命を延ばす。天然のラテックスのように、増粘剤は、植物の蒸散速度を遅くし、従って、容器アセンブリにおける長期間の保存の間の植物による生育媒体からの水の取り込みを遅くする。さらに、それに応じて代謝及び成長は遅くなり、従って、栄養素を温存する。この効果的な水の「配給」は、生育媒体内の水分レベルを長期間維持し、出荷中に植物が生命維持のための資源を使い尽くすのを防ぐ。これは、保存中の植物の回復力を延ばし、市場における最終製品を改善する。
【0054】
例証的で非限定的な増粘剤には、寒天及びゼラチンベースの製品が含まれる。
【0055】
寒天は、藻類から作られたビーガンベースのゼラチンである。寒天は、所望の貯蔵寿命の延長に応じて、特定の生成物の品種と共に使用することができる。特定の比率でこのゼラチンを水中で混合することによって、(栄養素を有しているか又は有していない)水の粘度を操作することができる。粘度を上げる(マイルドなゼラチン様物質まで水をわずかに濃くする)ことによって、植物中の水の循環はわずかに凝固し、遅くなる。これは、植物によるこの水分の取り込みを遅らせ、また、植物の蒸散(水分が葉の表面から放出されること)も遅らせる。そうすることによって、容器内の水分は、植物がよりゆっくりと使用しているため、長持ちする。
【0056】
全ての品種が増粘剤又は寒天の使用を必要とするわけではないけれども、所望の貯蔵寿命、及び、配送及びその後の展示の間に経験する可能性がある予想される環境条件に応じて様々な濃度でほとんどの植物に含まれ得る。例えば、6オンスの容器内の単一のレタスの植物及び品種は、4~5オンスの水和を有し得る。この例では、1~2の割合の寒天と99~98の割合の水が(それぞれ)、長期のレタスの活力を維持するのに有益である。当業者は、植物品種及び意図される用途に応じて、生育媒体に対する濃度及び水分含量をさらに最適化することができる。
【0057】
方法
他の態様では、本開示は、本明細書において開示される植物容器アセンブリを製造する及び使用する方法を提供する。
【0058】
一態様では、本開示は、生きた植物を栽培、保存、及び/又は運搬する方法を提供する。当該方法は、上述のように、植物容器アセンブリを提供するステップと、植物の成長を可能にする条件を提供するステップとを含む。
【0059】
一実施形態において、当該方法は、植物の種子又は苗を生育媒体内に置くステップ;生育媒体を容器内に置くステップ;開口部の上に柔軟なカバーを密封させるステップ;及び、植物の種子の発芽及び/又は苗の成長を可能にし、その結果、植物容器アセンブリを提供するステップ;を含む。柔軟なカバーは、予め作られた孔を有することができるか、又は、孔を、開口部の上を密封する前又は後に、当該方法の間に肯定的に作ることができる。
【0060】
実施においては、種子をペレット化する(例えば、機械的な取り扱いのために種子を大きくする、及び、発芽中種子を湿性に保つのに寄与するために、吸収性の粘土様材料で包む)ことができる。ペレットは、典型的には、種子を包む不活性な形態の粘土を含む。上述のさらなる栄養素、媒体、増粘剤を適切にペレットに添加して、発芽及び成長を促進することができる。
【0061】
植物の成長を可能にする条件には、太陽光又は人工光等の光への周期的な曝露が含まれる。例証的な人工光は、例えば、赤色及び青色光スペクトルを利用する高輝度LED光等、業界ではよく知られている。さらなる非農業用LED白色光が十分な成功を収めて実施されている。
【0062】
一部の実施形態では、容器アセンブリは、生育媒体内への水及び/又は栄養素の送達を容易にする入力をさらに含むように改変される。例えば、容器12が、ピペット32又は他の送達機構を受けて、生育媒体内にさらなる水34及び/又は栄養素を提供するように構成されている植物容器アセンブリの一実施形態を例示している図3を参照されたい。例示されている実施形態では、ピペット32は、カバー18内の補助孔36を介して生育媒体に挿入されている。
【0063】
これらの実施態様は、特に、例えば、処理及び保存/出荷に先立つ最初の発芽及びひとまとめに栽培に、又は、納品後の植物の長期のメンテナンスに適用可能である。
【0064】
例えば、個々の生きた植物にとって重要な市場は、(例えば、食用ハーブ及びレタス等の)生きた植物が購入され、消費中に維持される「Direct-to-Residence」モデルである。例えば、レタスを有する容器アセンブリが購入され、いつまでも容器から植物全体を完全に取り除くことなく家庭で徐々に消費される。代わりに、個々の葉が、必要に応じて茎から取り除かれる。購入者の多様な要求に順応するために、容器をスケールアップして、(1つ又は複数の接続された容器アセンブリにおいて)複数の生きている植物を有するようにすることができる。生きた植物がすぐに消費されないということが起こる場合、その植物は、鉢に植え替えること又は冷蔵することなく家庭で維持することができる。消費者の家庭の環境に応じて、この貯蔵寿命は大きく異なり得る。例えば、湿度が20%の乾燥した環境は、湿度の高い環境よりもはるかに速く植物を脱水させるであろう。従って、アセンブリは、容器内の生育媒体において水及び栄養素を補充するための送達装置を伴うことができる。そのような送達装置は、液体を生育媒体に送達するためのピペット32又は類似の装置であり得る。図3は、容器の内部空間に液体34を送達するためにカバー18を貫通するピペット36を例示している。最初の操作では、ユーザは、単に点眼器のようにピペットを満たし、先の尖ったピペットで容器膜の上部を突き刺して補助孔36を形成し、ピペット又は類似の装置の軸を容器内に挿入する。重力によって、ピペットの末端に達するレベルまで水分が投与され、その後、水位が低下し、さらなる流体が容器に流入するまで停止するであろう。これは非常にシンプルで安価な工程であるが、実際に必要な限り植物の寿命を延ばすことができる。或いは、一部の実施形態では、容器は、液体の通過を可能にするための入口弁を有し得る。
【0065】
別の実施形態では、(例えばクラムシェル等の)外側容器が、容器アセンブリの周囲に配置される。外側容器は、底部にリザーバ空間を有するように構成される。水の添加で、この実施形態では底部及び/又は壁の表面に微細孔を含む容器アセンブリは、浸透によりリザーバ内に置かれた水及び任意の栄養素を吸収することができる。
【0066】
システム
別の態様では、本明細書において開示される容器アセンブリは、既存の成長及び保存システムに容易に統合させることができる。
【0067】
一部の実施形態では、容器アセンブリは、栽培の技術分野において知られている既存の水耕システムに統合されるように構成される。水耕システムは、一般的に、例えば1日当たり何百万ものレタス及び葉菜植物を生産するために世界中で使用されている。例えば、葉菜類、レタス、及びハーブ等の所望の植物の生産を専門に扱う標準的な水耕システムは、典型的には、2つのグループ:NFT(Nutrient Film Technique)及びRAFTに分類される。NFTシステムは、側溝を傾斜させて、水が底部に沿って流れる。RAFTシステムは、大きなシートの浮き材料が浮いている大きくて浅い水域を組み込む。いずれのシステムにおいても、孔が、ホルダー装置内に連続して配置される。この孔は、苗が植えられたか又は繁殖させられた容器を受けるように設計されている。ホルダーは、容器を水と接触させて維持し、従って、制御された水及び栄養源を苗に供給する。NFTシステムに置かれると、植物栄養素を含有した水が、挿入されたキューブ(cube)の周り、その下、その中、及びそこを通過して流れ、その結果、水和が生じ、植物及び根の構造の急速な成長が促進される。これらの根は、キューブを急速に出て、NFT側溝の底部まで広がる。同様に、RAFTシステムでは、NFTシステムにおけるもの等のキューブによって流れる水の代わりに、キューブ全体が、水域の上の浮いているポリスチレン又は他の材料のシート内で吊るされる。浮いているシート材料は、これらの同じ植物キューブを受ける格子の上にいくつかの孔を有する。挿入されたキューブは、浮いているシート材料の下の水と接触しており、これによって、キューブは水和され、植物及び根の成長が促進される。
【0068】
本明細書において記載される密封された容器アセンブリは、そのような水耕システムと統合するように作ることができる。根のキューブ内の種子を構成する代わりに、(例えば、底部の直径が約1と3/4等)適切にサイズ決定された容器アセンブリが、これらの標準的な水耕システムの受け孔に挿入される。容器アセンブリは、内部に類似の基板、上部にカバー、及びカバー内の1つ又は複数の孔から延びる1つ又は複数の苗/発芽した苗を含む。この態様では、容器は、液体の通過を可能にするために、底部及び/又は下壁に小さなサイズの孔又は穴を含む。容器が標準的な水耕システム内に置かれると、水が容器の底部及び壁の表面と接触するようになる。浸透と同様に、水はカップの壁に染み込み、カップ内の基板及び根に水分及び栄養素を送達し、急速な植物及び根の成長を促進する。一部の実施形態では、孔のサイズ及び頻度は、植物の根が容器から突き出ることを可能にしないように制限され、従って、本明細書において記載されるように、製品を密封されたままにする。
【0069】
水耕工業-標準的な根のキューブの代わりに、本明細書において開示されているように、密封された植物容器アセンブリを組み込むことの利点は多くある。
【0070】
成熟した植物の根は、水耕システムから取り除かれた後も乱されない。それは、成熟した植物の根は容器内の基板全体に分布しているが、それらは完全に容器内に含まれており、周囲の液体環境に突き出ないからである。
【0071】
この植物は、容器が水耕システムから取り除かれているにもかかわらず、容器内で成長及び繁栄し続ける。上述したように、容器アセンブリは、十分な栄養及び水分を有して、上述したように、冷蔵を必要とすることなく、何日/何週もの配送及び隔離された展示に耐える。
【0072】
葉菜類及びレタスを育てる全ての水耕栽培施設では、1つ又は複数の生産段階で人による取り扱いが必要である。最も多くは、収穫段階が、多くの手袋をはめてマスクを装着した作業員で構成され、24インチまでの根が付着したシステムから植物を引き抜く。これらの根は、典型的には、切り縮められる及び/又は根のキューブの周囲に巻きつけられ、クラムシェルにより製造された容器又は他の梱包カートン若しくはケース内に置かれる。腐敗した葉は、植物の下側から取り除かれて廃棄される。この工程は非常に労働集約的であることに加えて、汚染のリスクが最も高いものの1つである。作業員による汚染は、大腸菌(e coli)、サルモネラ菌(salmonella)、及び他の疾患等、食物媒介性疾患の最大の原因である。さらに、健康でフルサイズの様々な形状の植物を同定し、それらの植物をシステムから取り除き、根及び目障りな葉を加工及び処理し、最後に、接触から保護するために製品を梱包することができる自動化及びロボット工学の発展が、汚染問題に取り組み始めることができる。開示される植物容器アセンブリは、ロボット工学又は機械装置による日常的な一貫した取り扱いを容易にすることができる単一の一貫した繰り返しの形状を可能にする。加えて、処理又は加工する葉又は根はなく、従って、自動化された処理は簡素化される。
【0073】
従って、本開示は、標準的な根のキューブの代わりに、開示される植物容器アセンブリを組み込む水耕のシステム及び方法を提供する。
【0074】
この統合を容易にするために、一部の実施態様では、開示される容器は、容器が水中に浸漬されたときに流体連通を可能にするが、依然として植物の根が内部から実質的に突き出るのを防ぐ1つ又は複数の微細孔を含む。1つ又は複数の孔は、底部及び/又は壁の構造内、例えば、壁の構造の下方領域等に配置することができる。生産されている植物の品種に応じて、根のサイズ、長さ、量、及び積極性は異なるということが当業者によって正しく理解されることになる。高いレベルの水和及び栄養を必要とする単一の植物のより積極性の低い根の構造は、1平方インチ当たり100までの頻度で、容器の表面領域上に置かれた直径が30~50ミクロンの孔等、より大きな孔をより多く必要とする。より積極的な根の構造を有する植物は、1平方インチ当たり200の5~30ミクロンの孔等、より小さな孔をより多くの量必要とする。これらの孔は、そのような伝統的な水耕システムにおける水が容器アセンブリに入り、植物に栄養を与え、水和させることを可能にする。そのような水耕システムにおいて使用される場合、容器アセンブリは、植物が市場に向けて十分に成長したときに、保存及び出荷の準備が整っている。植物をその生育環境から取り除く代わりに、容器自体が取り除かれ、さらなる処理は必要とせずに出荷の準備は整っており、従って、配送のために植物を「収穫」する際の人と植物との相互作用は減らされる。
【0075】
別の態様では、植物容器アセンブリを、他のモジュール式の生育システムに統合させ、過剰な取り扱い又は鉢への植え替えなしで、生育、処理、及び出荷を容易にすることができる。この点について、開示されるアセンブリの1つの利点は、容器をモジュール式の生育システムに容易に組み込むことができるということである。一実施形態において、開示される容器は、別個の容器で植物を栽培するための拡張可能で調整可能なシステムに容易に統合させることができる。図4は、本開示による植物容器アセンブリを統合させたハンギング栽培システムの例証的な実施形態を例示している。ハンギング栽培システムの例示された実施形態は、テザー42によってアセンブリ10の上方に位置する構造支持体40から吊された少なくとも1つの容器アセンブリ10を含む。可撓性の灌漑ネットワーク44は、長期の栽培条件を維持するために統合させることができる。灌漑ネットワーク44は、ハンギング栽培システムの領域全体にわたって水及び任意的に液体栄養素を送る1つ又は複数のパイプ46を含み得る。可撓性チューブ48は、1つ又は複数の容器アセンブリ10にパイプを接続し、個々の植物に水及び任意の液体栄養素を送達する。パイプ46が少なくとも1つの容器アセンブリ10の上方に配置されると、送水を、制御された滴下速度等で、重力により駆動させることができる。この速度は、流出又は蒸発を介して廃棄物を最小限に抑えながら、栽培工程中に当技術分野において知られた技術によって制御及び最適化することができる。例えば、水の流れの速度は、チューブの直径、弁、及びパイプを通って循環する水の量によって影響され得る。
【0076】
テザー42は、植物容器アセンブリの重量を支持するのに十分な強度及び完全性の任意の吊り下げ装置であり得る。テザーは、可撓性であっても剛性であってもよい。テザーは、支持構造体40への取り付け及び取り外しを容易にするように構成することができる。テザーの例示的な材料は、コード、ロープ、チェーン、ベルト、及びワイヤ等である。典型的には、テザーは、密封された植物容器アセンブリ10が、植物容器アセンブリ10がバラストとして作用する一種のジンバル作用を有して、テザー42を介して支持体40から吊らされるように構成される。図4において例示されている実施形態では、テザー42は、支持体40の上に取り付けられるフックを有する剛性ワイヤである。剛性ワイヤは、植物の葉の塊の成長のための空間を可能にする角度で曲げられる。ワイヤは、その縁で又はその付近で容器アセンブリ10に取り付けられる。取り付けの設計は、容器アセンブリの設計に応じて当業者によって実施することができる。一部の実施態様において、剛性ワイヤ等のテザーは、地面に対して水平な面に円形の端部を有する。円は、容器の最大周径よりわずかに小さい固定された周径のものであり、ここで、容器は、一般的に、逆円錐形状を有する。他の実施形態では、容器は、壁を越えて延びるへりを有し、テザーの端の円よりも大きい。そのような実施形態では、容器アセンブリは、単に上から剛性の円に容器を置くことによって、テザーに取り付けることができる。より一般的な実施形態では、容器アセンブリは、(剛性であろうと可撓性であろうと)テザーを取り付けることができるフック又はループを含むようにさらに構成される。
【0077】
ハンギング栽培システムでは、開示される容器を地面の上又は底部支持体の上に置くこととは対照的に、吊り下げシステムは、ひっくり返ることなく安定に揺れ動くことによって、植物容器アセンブリが風又は他の物理的な破壊に耐えることを可能にする。いかなる統合型灌漑ネットワーク44にも、植物容器の任意の動きと共に揺れ動く可撓性チューブが含まれる。
【0078】
この構成は、成長中の植物の周囲の最適化された空気循環及び露光を可能にする。これらの利点は、部分的には、システムがモジュール式であり、個々の植物を最小限の破壊で容易に操作することができるために実現される。例示された組立は、容易で柔軟な植物の間隔を可能にする。予備段階では、種子は最初にそれぞれの容器アセンブリにおいて発芽するけれども、複数のアセンブリを、高密度で設置することができる。植物が成熟し、成長中の葉の塊を収容するためにより多くの領域を必要とするに従い、容器アセンブリを、容易に広げ、個々の植物間の接触を回避することができる。例えば、それとは対照的に、現在の水耕栽培施設は、密度を増やし、空間を保つために、約2インチの間隔で植物をトレイに入れて育て始める。しかし、植物が成長し、葉の塊が広がるに従い、植物を頻繁にさらに離れた場所に分散させ、成長中の植物が成長し成熟するのに十分な空間を可能にさせなければならない。従って、(植物に応じて)約10日後、トレイは個々の基板のキューブに分離され、さらに約10日間、4インチの間隔で生育システム内に置かれる。植物は、6インチ以上の間隔を有するシステムの一部に再度移される。このシステムでは、間隔あけを実施するためにかなりの人件費が発生する。さらに、これらの伝統的な鉢植えの植物を育てる工程は、植物を保持し安定させるためにベンチ及び特別にサイズ決定されたトレイを必要とし、大規模な施設に対して非常にコストがかかる。トレイは、成熟するに従い植物の間隔を調整するために交換しなければならない。対照的に、開示されるアプローチは、さらなる空間が必要とされたときに、ハンギング容器アセンブリの容易な調整を可能にする。これは、単にケーブル又は支持システムに沿って植物を滑らせることによって実施される。加えて、吊り下げの高さを可変的に調整して、植物がわずかに異なる高さで成長するのを可能にし、従って、さらなる組立スペースを必要とすることなく、植物をさらに分離することができる。これは、隣接する支持体40の構造体を上昇又は下降させること、及び/又は、隣接するテザー42の相対的長さを長くする又は短くすることによって実施することができる。
【0079】
一般的に、本開示は、代替案のみ及び「及び/又は」を指す定義を支持するけれども、特許請求の範囲における「又は」という用語の使用は、代替案のみを指す又は代替案が互いに排他的であると明白に示されていない限り、「及び/又は」を意味するために使用されるということに留意されたい。
【0080】
長年の特許法に従い、「a」及び「an」という不定冠詞は、特許請求の範囲又は明細書において「含む」という用語と共に使用される場合、特に明記しない限り、1つ又は複数を意味する。
【0081】
文脈上明確に他の意味に解すべき場合を除き、明細書及び特許請求の範囲を通して、「含む」及び「含んでいる」等の用語は、「~を含むが、これに限定されない」という意味等、排他的又は網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味で解釈されることになる。単数形又は複数形を使用した用語は、それぞれ複数形及び単数形も含む。加えて、「本明細書において」、「上記」及び「下記」という用語、並びに、類似の取り入れの用語は、本願において使用される場合、本出願全体を指すものとし、本出願の任意の特定部分を指すものではない。「約」及び「ほぼ」等の用語は、通常、標準的な誤差の範囲内で、記述された値の周辺(上下)でのわずかな差異を意味する。一部の実施態様において、わずかな差異は、記述された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%の範囲内である。
【0082】
開示されているのは、本明細書において同じく開示されている方法、アセンブリ、及び構成要素と共に、それらの調製において使用することができる材料、組成物、装置、及び構成要素である。これらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、構成要素等が開示されている場合、各及びそれぞれの単一の組み合わせ及びこれらの化合物の順列への特定の言及が明白に開示されていない可能性があるけれども、様々な個々の及び集合的な組み合わせのそれぞれが、具体的に熟考されるということが理解される。この概念は、記載される方法におけるステップ、及び記載されるシステム及びアセンブリの構成要素を含むが、これらに限定されない本開示の全ての態様に適用される。従って、任意の上述の実施形態の特定の要素を、他の実施形態の要素と組み合わせるか又は置換することができる。例えば、行うことができる種々のさらなるステップがある場合、これらのさらなるステップのそれぞれを、開示される方法の任意の特定の方法ステップ又は方法のステップの組み合わせと共に行うことができるということ、及び、それぞれのそのような組み合わせ又は組み合わせのサブセットが具体的に熟考され、開示されたとみなされるべきであるということが理解される。加えて、本明細書において記載される実施形態は、本明細書の他の箇所に記載されたもの又は当技術分野において既知のもの等、任意の適した材料を使用して実施することができるということが理解される。
【0083】
例示的な実施形態が例示及び記述されてきたけれども、本発明の真意及び範囲から逸脱することなく様々な変更を加えることができるということが正しく理解されることになる。
【0084】
独占的所有又は独占権を主張する本発明の実施態様は、添付の特許請求の範囲のとおり定められる。
図1
図2
図3
図4