(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】軌道のまくらぎを突き固めるための突固め装置
(51)【国際特許分類】
E01B 27/17 20060101AFI20221011BHJP
【FI】
E01B27/17
(21)【出願番号】P 2020507026
(86)(22)【出願日】2018-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2018068484
(87)【国際公開番号】W WO2019029923
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-07-09
(32)【優先日】2017-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3, A-1010 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ゲオアク ザイアレーナー
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-119507(JP,A)
【文献】特表2015-532374(JP,A)
【文献】特公昭51-026683(JP,B1)
【文献】特開昭52-035011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 27/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道(3)のまくらぎ(2)を突き固めるための突固め装置(16)であって、降下可能なツールキャリア(5)に支承された、対向して位置する突固めツール(6)を備えた突固めユニット(1)を有しており、前記突固めツール(6)はそれぞれ、締込み運動を発生させるための締込み駆動装置(8)に結合されており、偏心体軸(13)を有する、振動運動を発生させるための偏心体駆動装置(9)が設けられている、突固め装置において、
2つの前記締込み駆動装置(8)は前記偏心体軸(13)の偏心体部分(12)の直下に相並んで配置されており、
各締込み駆動装置(8)は、コンソール(10)に支持されており、該コンソール(10)は、環状のケーシング部分(11)を有しており、該環状のケーシング部分(11)は、前記締込み駆動装置(8)に対応して配置された、前記偏心体軸(13)の
前記偏心体部分(12)に支承されていることを特徴とする、突固め装置(16)。
【請求項2】
各前記ケーシング部分(11)は、転がり軸受(23)により、対応して配置された前記偏心体部分(12)に支承されている、請求項1記載の突固め装置(16)。
【請求項3】
各前記ケーシング部分(11)の前記転がり軸受(23)用に、対応して配置された前記偏心体部分(12)にオイルエア潤滑手段が設けられている、請求項2記載の突固め装置(16)。
【請求項4】
各前記コンソール(10)は、下向きの支持部分を備えてP字形に形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の突固め装置(16)。
【請求項5】
各前記締込み駆動装置(8)は一方の端部でもって、対応して配置された前記コンソール(10)に支持されており、かつ、別の箇所において、前記コンソール(10)の前記ケーシング部分(11)に結合されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の突固め装置(16)。
【請求項6】
各前記締込み駆動装置(8)は、前記別の箇所において、クリップ状の結合部材(22)により、対応して配置された前記コンソール(10)の前記ケーシング部分(11)に結合されている、請求項5記載の突固め装置(16)。
【請求項7】
前記偏心体駆動装置(9)の下側に、2つの前記締込み駆動装置(8)が互いに反対の向きで相並んで配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の突固め装置(16)。
【請求項8】
各前記突固めツール(6)は、オフセットされたてこ腕を介して、対応して配置された前記締込み駆動装置(8)に接続されている、請求項7記載の突固め装置(16)。
【請求項9】
各前記締込み駆動装置(8)は、液圧シリンダとして形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の突固め装置(16)。
【請求項10】
当該突固め装置(16)は、複数のまくらぎ(2)を同時に突き固めるための、複数の同じ構成の突固めユニット(1)を有している、請求項1から9までのいずれか1項記載の突固め装置(16)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道のまくらぎを突き固めるための突固め装置であって、降下可能なツールキャリアに支承された、対向して位置する突固めツールを備えた突固めユニットを有しており、突固めツールはそれぞれ、締込み運動を発生させるための締込み駆動装置に結合されており、偏心体軸を有する、振動運動を発生させるための偏心体駆動装置が設けられている、突固め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
軌道を保守するためまたは軌道更新後には、通常、道床を締め固める必要が生じる。この目的に関しては、ハンドタイタンパの他に、軌道構築機械に配置された突固め装置が知られている。軌道突固め中に、軌道構築機械は軌道に沿って移動し、このとき突固め装置に取り付けられた突固めピッケルがまくらぎ間隔中に降下させられて締め込まれる。
【0003】
この場合、突固め装置は、とりわけ高い荷重に晒されている。特に道床中への侵入過程と、引き続く、まくらぎ下部の道床締固めとに際しては、振動駆動装置を激しく酷使する高い交番荷重が常に生じている。また、突固め過程と突固め過程との間も、突固め装置には、常時作動する振動駆動装置と、突固めツールに伝達される振動とにより、大きな荷重が加えられていることがある。
【0004】
軌道のまくらぎを突き固めるための突固め装置は、例えばオーストリア国特許発明第350097号明細書によるように、既に多様に知られている。励振機として回転可能な偏心体軸が用いられ、偏心体軸には、突固めピッケルに振動を伝達するための締込み駆動装置が枢着されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の根底を成す課題は、冒頭で述べた形式の突固め装置に対し、従来技術に比べて改良点を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1記載の突固め装置によって解決される。各従属請求項には、本発明の有利な構成が記載されている。
【0007】
本発明は、各締込み駆動装置はコンソールに支持されており、コンソールは環状のケーシング部分を有しており、環状のケーシング部分は、締込み駆動装置に対応して配置された、偏心体軸の各偏心体部分に支承されていることを想定している。このようにして、突固め装置は、その構成形式において、特に狭幅かつコンパクトに形成されている。コンソールを配置することにより、締込み駆動装置と偏心体軸とは省スペース式に、相上下して配置されることになる。
【0008】
本発明の簡単な構成では、各ケーシング部分は、転がり軸受により、対応して配置された偏心体部分に支承されていることが想定されている。転がり軸受は、耐用年数全体にわたりメンテナンスフリーである。低い摩擦モーメントと僅かな加熱とに基づき、通常回転数においては、例えばオイル冷却等の追加的な装置が必要とされることはない。
【0009】
ただし、各ケーシング部分の転がり軸受用に、対応して配置された偏心体部分にオイルエア潤滑手段が設けられていると有利である。このような、極めて少量のオイルを用いる連続的な潤滑は、転がり軸受の耐用年数を最適化する。中断無しの長期継続運転を保証するためには、所要オイルが少ないことに基づき、小型のオイルタンクだけで十分である。このようなオイルタンクは、偏心体駆動装置のすぐ近くに配置されていてよい。
【0010】
好適には、各コンソールは、下向きの支持部分を備えてP字形に形成されている。各コンソールのこの構成は、締込み駆動装置を配置するための、構造的に単純で省スペース式の構成を可能にする。
【0011】
有利な改良された構成形式では、各締込み駆動装置は、一方の端部でもって、対応して配置されたコンソールに支持されており、かつ、別の箇所において、コンソールのケーシング部分に結合されている。コンソールに対する締込み駆動装置の別の支持手段により、改良された荷重配分または力伝達が生じている。この場合は、個々の構成部材を最適に寸法設定することができると共に、相応して軽量に形成可能である。
【0012】
この場合、各締込み駆動装置が、別の箇所において、クリップ状の結合部材により、対応して配置されたコンソールのケーシング部分に結合されていると有利である。これにより、締込み駆動装置をコンソールに確実に係止するための、構造的に単純で廉価な手段が与えられている。
【0013】
本発明の有利な改良では、偏心体駆動装置の下側に、2つの締込み駆動装置が互いに反対の向きで相並んで配置されていることが想定されている。この配置形式により、突固め装置の個別の突固めモジュールは、可能な限り省スペース式にかつコンパクトに形成されている。
【0014】
有利には、各突固めツールは、オフセットされたてこ腕を介して、対応して配置された締固め駆動装置に接続されている。この単純な構造上の構成により、対向して位置する突固めツールは、所属する締込み駆動装置が横方向に互いにずらされて配置されているにもかかわらず、共通の作用線を有していることが達成される。
【0015】
さらに、各締込み駆動装置が液圧シリンダとして形成されていると有利である。これにより達成される突固めピッケルの非同期的な、圧力に応じた締込みが、突き固めようとする軌道の全てのまくらぎの下を一様に締め固める。さらに、液圧シリンダにより、小さな構成体積でも大きな力をもたらすことができる。
【0016】
本発明の別の有利な構成は、突固め装置が、複数のまくらぎを同時に突き固めるための、複数の同じ構成の突固めユニットを有していることを想定している。特に、この場合は狭幅の構成形式が有利である。突固めユニットの、このフレキシブルな構成および可変の組み合わせに基づき、突固め装置を、作業条件および顧客の要望に完璧に適合させることができる。さらに、モジュール構成形式は、経済的かつ効率的な製造を可能にする。
【0017】
以下に、添付の図面を参照して本発明を例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】降下した突固めユニットを示す概略図である。
【
図2】降下した突固めユニットを示す概略側面図である。
【
図3】突固めユニットのモジュール構成形式を示す概略図である。
【
図4】コンソールを備えた偏心体駆動装置の詳細を示す概略図である。
【
図5】コンソールを備えた偏心体駆動装置の詳細を示す概略図である。
【
図6】偏心体駆動装置の詳細を示す概略断面図である。
【
図7】締込み駆動装置の詳細を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に略示する、軌道3のまくらぎ2を突き固めるための突固めユニット1は、駆動装置4によって降下可能なツールキャリア5と、対向して位置する2つの突固めツール6の複数の対とを備えている。各突固めツール6は、旋回アーム7と締込み駆動装置8とを介して偏心体駆動装置9に結合されている。締込み駆動装置8は各コンソール10に支持されており、コンソール10は環状のケーシング部分11を有しており、環状のケーシング部分11は、締込み駆動装置8に対応して配置された、偏心体駆動装置9の偏心体軸13の各偏心体部分12に支承されている。各旋回アーム7は、締込み駆動装置8が支承された、上側の旋回軸14を有している。各旋回アーム7は、下側の旋回軸15を中心として旋回可能に、ツールキャリア5に支承されている。このような突固めユニット1は、突固め装置16、軌道3を走行可能なマルチプルタイタンパまたは突固めサテライトに組み込まれることが想定されている。
【0020】
図2には、突固めユニット1の側面図が示されており、この場合も同様に、突固めユニット1は降下した位置に位置している。偏心体駆動装置9は、2つのコンソール10と共に、ツールキャリア5内の偏心体軸線17上に配置されている。偏心体軸13は、両側において軸受18を介してツールキャリア5内で回転可能に支承されている。各旋回アーム7は、オフセットされたてこ腕として形成されており、これにより、偏心体部分12が相並んで配置されているにもかかわらず、突固めツール6がそれぞれ正確に対向して位置するように位置調整されている。
【0021】
一般に、突固めユニット1ひいては組み合わされた突固め装置16を、その寸法において特に狭幅に構成することは、コンソール10の使用により初めて可能になる。なぜなら、締込み駆動装置8が偏心体軸13の直下に配置されているからである。
【0022】
図3には、1つの突固め装置16を形成するように組み合わせられ、装置フレーム19内に配置された2つの突固めユニット1が示されている。このようにして、複数の突固めユニット1をモジュール構成形式で組み合わせることにより、多まくらぎ装置を簡単かつフレキシブルに実現することが可能である。各モジュールユニットは、装置フレーム19に支持された専用の駆動装置4を有しており、これにより、必要に応じて個別に道床中に降下させることができるようになっている。
【0023】
図4には、偏心体駆動装置9が偏心体軸13および両側に配置された軸受18と共に、詳細に示されている。偏心体軸13は、互いに反対の方向に作用する2つの偏心体を備えた2つの偏心体部分12を有している。各偏心体部分12には、コンソール10が配置されている。各コンソールには、対応して配置された締込み駆動装置8が、ねじ締結手段20によって取り付けられている。
【0024】
図5には、偏心体駆動装置9の側面が、コンソール10および締込み駆動装置8と共に詳細に示されている。2つのコンソール10は、環状のケーシング部分11と共に、互いに反対の方向に作用する偏心体に基づき、ずれ21を有している。さらに、運転中にかかる極めて大きな荷重に基づき、締込み駆動装置8を、ねじ締結手段20に対して追加的に別の取付け手段によってコンソール10に結合することが有意である。この取付けは、ここでは例えばクリップ状の結合部材22によって実現されている。
【0025】
図6には、偏心体駆動装置9の断面図が示されている。コンソール10の環状のケーシング部分11内では、転がり軸受23が各偏心体部分12に配置されている。ケーシング部分11は外側に、それぞれねじ締結されたケーシングふた24を有している。潤滑手段としては、オイルエア潤滑が想定されている。この場合、閉鎖されたケーシング部分11内に僅かな空気過剰圧力が生じ、オイル滴が5~6分毎にオイル孔25を介して供給される。偏心体軸13の一方の端部には、駆動モータとの摩擦結合式の結合用に、内側歯列26が設けられている。駆動モータは選択的に、液圧式または電気式に形成されていてよい。
【0026】
図7には、コンソール10に配置された締込み駆動装置8の断面が示されている。締込み駆動装置8は、各旋回アーム7を外側に向かって押圧するために、ピストンロッド27を有している。このようにして、偏心体駆動装置9によって生じた振動に、締込み運動が重畳される。