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特許7155246電気化学デバイスおよび電気化学デバイスを動作させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】電気化学デバイスおよび電気化学デバイスを動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/17 20210101AFI20221011BHJP
   C25B 9/70 20210101ALI20221011BHJP
【FI】
C25B9/17
C25B9/70
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020508072
(86)(22)【出願日】2018-04-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2018060123
(87)【国際公開番号】W WO2018193071
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-04-09
(31)【優先権主張番号】102017108440.1
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519374841
【氏名又は名称】ハー-テック システムズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】H-TEC SYSTEMS GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン、ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】アレブロッド、フランク
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-196672(JP,A)
【文献】米国特許第04950370(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 9/00-9/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学デバイス、特に電解デバイス、特に高分子電解質膜電解デバイスであって、1つ以上の第1電気化学セル(14a-d)と1つ以上の第2電気化学セル(16a-d)とを有する複数のセルスタック(46a-d,80a-d)を備える1つ以上のセルユニット(12a-d)を有し、前記セルユニット(12a-d)の前記セルスタック(46a-d,80a-d)の前記電気化学セル(14a-d,16a-d)に1以上の流体、特に水を供給するための1つ以上の流体供給ユニット(18a-d)を有し、該1つ以上の流体供給ユニット(18a-d)は、前記第1電気化学セル(14a-d)を通じて延びる1つ以上の第1流体供給経路(20a-d)と、前記第2電気化学セル(16a-d)を通じて延びる1つ以上の第2流体供給経路(22a-d)と、を備え、前記第1流体供給経路(20a-d)と前記第2流体供給経路(22a-d)とは、共通の導入部(24a-d)から前記電気化学セル(14a-d,16a-d)に、また前記電気化学セル(14a-d,16a-d)から共通の導出部(26a-d)に至り、前記第1流体供給経路(20a-d)および前記第2流体供給経路(22a-d)は、少なくとも前記第1電気化学セル(14a-d)もしくは前記第2電気化学セル(16a-d)またはその両方の外に、同一の断面エリアを有し、前記流体供給ユニット(18a-d)は、通常の動作状態において、前記第1電気化学セル(14a-d)を通じる前記流体の体積流量と前記第2電気化学セル(16a-d)を通じる前記流体の体積流量各々0とは異なり互いから15%未満しか逸脱しない程度に同一であるべく、前記第1流体供給経路(20a-d)と前記第2流体供給経路(22a-d)とが等しい長さであるように設計されており、前記流体供給ユニット(18a-d)は、前記第1電気化学セル(14a-d)また前記第2電気化学セル(16a-d)を通じる体積流量を均等化するための調節弁を有さず、前記第1電気化学セル(14a-d)および前記第2電気化学セル(16a-d)は、前記セルユニット(12a-d)の異なるセルスタック(46a-d,80a-d)に配置されている、電気化学デバイス。
【請求項2】
前記通常の動作状態において、前記第1流体供給経路(20a-d)における圧力損失は、前記第2流体供給経路(22a-d)における圧力損失に、所定の値からの逸脱が前記所定の値の10%未満に対応する程度に相当する、請求項1に記載の電気化学デバイス。
【請求項3】
前記流体供給ユニット(18a)は、前記通常の動作状態において、互いに平行に延びる導入流方向(32a)および導出流方向(34a)に前記流体を導くために提供される、1つ以上の導入チャネル(28a)と1つ以上の導出チャネル(30a)とを有する、請求項1または2に記載の電気化学デバイス。
【請求項4】
前記第1流体供給経路(20a)の第1導入部分(36a)の長さと第1導出部分(38a)の長さとの合計は、前記第2流体供給経路(22a)の第2導入部分(40a)の長さと第2導出部分(42a)の長さとの合計に相当する、請求項1~のいずれか一項に記載の電気化学デバイス。
【請求項5】
前記第1導入部分(36a)における圧力損失は前記第2導入部分(40a)における圧力損失よりも大きく、前記第1導出部分(38a)における圧力損失は前記第2導出部分(42a)における圧力損失よりも小さい、請求項に記載の電気化学デバイス。
【請求項6】
前記導入チャネル(28a)が前記第1導入部分(36a)と前記第2導入部分(40a)とを少なくとも部分的には形成するか、前記導出チャネル(30a)が前記第1導出部分(38a)と前記第2導出部分(42a)とを少なくとも部分的には形成するか、その両方である、請求項を引用する請求項、または請求項を引用する請求項に記載の電気化学デバイス。
【請求項7】
前記第1電気化学セル(14a)は、前記第1流体供給経路(20a)の1区画以上と前記第2流体供給経路(22a)の1区画以上とを形成する、1つ以上の機能要素(44a)を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の電気化学デバイス。
【請求項8】
前記機能要素(44a)は、機能セルスタック要素である、請求項に記載の電気化学デバイス。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の1つ以上の電気化学デバイス(10a)を有する、電解槽。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の電気化学デバイス(10a)を動作させる方法であって、1つ以上の第1電気化学セル(14a)と1つ以上の第2電気化学セル(16a)とを備える1つ以上のセルユニット(12a)を有し、前記第1電気化学セル(14a)と前記第2電気化学セル(16a)とには、流体が、前記第1電気化学セル(14a)を通じる、また前記第2電気化学セル(16a)を通じる前記流体の体積流量が各々0とは異なり互いから15%未満しか逸脱しないように流れる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに従う電気化学デバイスに関し、また請求項13のプリアンブルに従う電気化学デバイスを動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術から、直列に接続された複数の電解セルを有する、「スタック」とも呼ばれることが多いセルスタックを有する電解槽が知られている。例えば、水の電気化学的分解から水素と酸素とを得るための水素電解槽の場合には、セルスタックには、反応物として、また冷却材として同時に機能する水が継続的に供給される。
【0003】
本発明の目的は、特に、電気化学デバイスの(特に、電解デバイスの)確実および/または効率的な動作に関して向上した特性を提供することである。さらに、本発明の目的は、特に、流体の電気化学デバイスへの確実および/または一様な供給を達成することである。さらに、本発明の目的は、特に、構造的に単純であると同時に効率的な流体供給の構造を提供することである。本目的は、請求項1および請求項13の特徴により本発明に従って達成され、一方で、本発明の有利な実施形態および改良が従属請求項から得られる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、電気化学デバイス、特に電解デバイス、特に高分子電解質膜電解デバイスであって、1つ以上の第1電気化学セルと1つ以上の第2電気化学セルとを備える1つ以上のセルユニットを有し、前記セルユニットに1以上の流体、特に水を供給するための1つ以上の流体供給ユニットを有し、該1つ以上の流体供給ユニットは、前記第1電気化学セルを通じて少なくとも断面方向に延びる1つ以上の第1流体供給経路と、前記第2電気化学セルを通じて少なくとも断面方向に延びる1つ以上の第2流体供給経路と、を備える、電気化学デバイスに由来する。
【0005】
前記流体供給ユニットは、1以上の通常の動作状態において、前記第1電気化学セルを通じる、また前記第2電気化学セルを通じる流体の体積流量が少なくともほぼ同一であるように設計されることが提案される。
【0006】
本発明に係る実施形態によって、特に、確実および/または効率的な動作を達成することが可能となる。さらに、流体の供給に関する有利な特性を有する電気化学デバイスが提供されることが可能である。さらに、構造的な単純性および/または様々な部品の削減が達成されることが可能である。さらに、セルスタックにおける一様な圧力分配が達成されることが可能である。電気化学セルには、流体が(特に、水が)一様に供給されることが有利には可能となる。さらに、特に、多数の個々のセルを有するセルスタックの場合および/または長いセルスタックには、一様および/または包括的な流体の供給が達成されることが可能である。有利には、一様でない加熱を避けることが可能である。さらに、セルスタックの高度の気密性を実現することが、有利には可能となる。さらに、特に水素発生の高水準の効率を達成することが可能となる。流体の一様な供給を達成することは、調節弁などを少なくともほぼ省くことを、有利には可能とする。
【0007】
「電気化学デバイス」は、器具および/または機械の、特に、1以上の少なくとも部分的には電気化学的な作用工程を行うために提供される電解槽の、好ましくは機能的な一部を特に意味すると理解される。特に、電気化学デバイスは、器具全体および/または機械全体を含んでもよい。電気化学デバイスは、好ましくは、電気エネルギーを化学結合エネルギーへと、および/または化学結合エネルギーを電気エネルギーへと変換するために提供される。特に、通常の動作状態では、電流に関連する1以上の化学反応、特に酸化還元反応が行われる。例えば、電気化学デバイスは、燃料電池デバイス、電池デバイス、測定ユニットデバイス、発電機デバイス、分析デバイス、電着デバイス、陽極酸化デバイス、電気メッキデバイス、酸化還元反応デバイスなどを含んでよい。電気化学デバイスは、好ましくは、電解デバイス、特に好ましくは、特に水素および酸素への水の電気化学的分解用に提供される水素電解デバイスとして設計される。電気化学デバイスは、環境に対して陽圧により(特に、100kPa以上の圧力)、1以上のガス(特に、水素)を提供するために提供されてよく、500kPa以上、1MPa以上、1.5MPa以上、2MPa以上、3MPa以上の圧力、または、より高圧さえも考えられる。特に、電気化学デバイスは、ガス容器(特に、水素タンク)への接続用に提供されてよく、電気化学デバイスの動作圧力は、ガスコンテナの充填レベルに適応可能および/または適応されると考えられる。例えば、電気化学デバイスは、ガス容器の充填圧力に対するガスカウンターを生成し、特にコンプレッサなどの使用をせずにガスを充填することが考えられる。これに代えて、電気化学デバイスは、少なくとも陽圧がほぼないように動作することも考えられる。さらに、電気化学デバイスは、定圧にて動作可能であるか、通常の動作状態において、一定な作用圧力により動作するか、その両方であると考えられる。この場合、特に、コンプレッサとの組合せが考えられる。さらに、電気化学デバイスは、高圧電解デバイスであってよく、特に、1以上のガス(特に、水素)を5MPa以上の(好ましくは7MPa以上の、また特に好ましくは10MPa以上か、よりいっそう高い)圧力を生成および/または提供するために提供されてよい。「提供される」は、具体的にプログラムされるか、構成されるか、装備されるかの1つ以上であることを特に意味すると理解される。特定の機能のために物が提供されるという記述は、1以上の使用状態および/または動作状態において、その物が上記の特定の機能を行うおよび/または実行することを特に意味すると理解される。
【0008】
「電気化学セル」は、1以上の電気化学反応(特に、電気化学デバイスがそれを行うために提供されているような種類の電気化学反応)を行わせることが可能な機能ユニットを特に意味すると理解される。例えば、電気化学セルは、燃料電池、電池セル、測定セル、酸化還元セルなどであってよい。電気化学セルは、有利には、電解セルである。電気化学セルは、特に有利には、セルスタック適合可能な電解セル(特に、電解セルスタックの)である。電気化学セルは、有利には、通常の動作状態において、好ましくは酸素が形成される1以上のアノードを備える。電気化学セルは、通常の動作状態において、好ましくは水素が形成される1以上のカソードを備える。電気化学セルは、有利には1以上の膜、特に、有利に選択的にプロトン伝導膜(好ましくは、高分子電解質膜)を備える。アノードおよびカソードは、特に好ましくは、少なくとも膜によって互いから分離されている。特に、アノードおよび/またはカソードは、平面、積層形態、層、コーティングのうちの1以上である。膜は、好ましくは少なくとも部分的に、また特に好ましくは少なくとも支配的に、ナフィオンから形成される。電気化学セルは、好ましくは、1つ以上の機能要素(特にバイポーラ要素、好ましくはバイポーラ板)を備える。特に、バイポーラ要素の第1面は電気化学セルのアノード面を形成し、特に、バイポーラ要素の第2面は、電気化学セルに直に隣接して別のカソード面を形成する。特に、第1電気化学セルおよび/または第2電気化学セルは、この文脈に記載されるように設計されてよい。特に、セルユニットの少なくともいくつかの、有利には少なくとも多数の、特に有利にはすべての電気化学セルが、少なくともほぼ同一設計、同等、および/または類似の構成である。この文脈では、「少なくともほぼ同一」の物は、各々、共通の機能を行うことが可能であるように構成され、構成の観点から、製造公差を除いて、共通の機能について重要でない多くとも個々の要素によって互いに異なる物と、有利には、製造公差および/または製造技術の観点から起こりうる範囲を除いて同一の形状である物とを特に意味すると理解され、同一の物は、特に、互いに対照的な物を意味するとも理解される。「少なくとも支配的に」という表現は、本明細書では特に、55%以上、有利には65%以上、好ましくは75%以上、特に好ましくは85%以上、特に有利には95%以上を意味するが、特に完全であることも意味すると理解される。「少なくとも多数」という表現は、本明細書では特に、55%以上、有利には65%以上、好ましくは75%以上、特に好ましくは85%以上、特に有利には95%以上を意味するが、特に100%も意味すると理解される。
【0009】
セルユニットは、好ましくは、特に少なくともほぼ同一の設計である複数(好ましくは多数)の電気化学セルを備える。特に、第1電気化学セルおよび/または第2電気化学セルは、各々、セルユニットの特に端部または中心に配置される任意の電気化学セルであってよく、特に、「第1」および「第2」との指定は、否応なしにではなく、順序および/または配置を記載するように単にあり得るものと理解される。特に、第1電気化学セルおよび/または第2電気化学セルは、特に、直接隣接して、または隣接せずに配置されることが考えられる。特に、第1電気化学セルは、セルユニットの電気化学セルの符号付与に従って、例えば片側から進んで、符号1により示されるセルユニットの電気化学セルとは異なってよい。同じことが、特に第2電気化学セル、特に符号2を有する対応する電気化学セルに対して適用される。さらに、第1電気化学セルおよび第2電気化学セルに関して記載される特徴が、セルユニットの少なくとも多数および/またはすべての電気化学セルについて適用されることが考えられる。
【0010】
セルユニットは、有利には、積み重なって配置されている複数の(好ましくは、多数の)電気化学セルを備える、1つ以上のセルスタック(特に、電解スタック)を備える。好ましくは、セルスタックは、少なくとも第1電気化学セルおよび/または第2電気化学セルを備える。有利には、セルスタックの電気化学セルは、少なくともほぼ同一の設計である。好ましくは、セルスタックは反復ユニットを備え、その反復ユニットは、複数の様々な機能要素(有利には、異なる機能セルスタック要素)、例えば、特に所定の順序で、1つ以上のバイポーラ板、1つ以上のスクリーン板、1つ以上の穿孔板などのうちの1つ以上、1つ以上のガス拡散層(特に、1つの酸素拡散層)、有利には、チタンフェルトかチタン膜かその両方、有利には高分子電解質膜、さらなるガス拡散層(特に、水素拡散層)、有利にはカーボンフェルト、特にさらなるスクリーン板および/または穿孔板(特に圧縮パッド)、有利にはエキスパンドメタルを備える圧縮緩衝材、のうちの1つ以上を備える。有利には、バイポーラ板、穿孔板、スクリーン板、エキスパンドメタル、いくつかの他の金属セルスタック要素のうちの1つ以上は、少なくとも部分的には、有利には少なくとも支配的に、チタン、高グレード鋼、1以上のコーティング金属のうちの1つ以上から形成される。特に、各々1つの電気化学セルは、1つのバイポーラ板から隣のバイポーラ板に延びている。セルスタックは、各場合において、任意の所望の数(例えば、10,20,30,50,100,150,200、より多く、より少なく、またはそれらの間の任意の所望の数)の電気化学セルを有する。有利には、セルユニットは、丁度1つのセルスタックを有する。しかしながら、セルユニットは、特に少なくともほぼ同一の設計であるか異なる設計であって、少なくともいくつかが電気的におよび/または液圧的に一直線および/または直列に接続され得る、複数のセルスタックを備えることも考えられる。有利には、第1電気化学セルおよび第2電気化学セルは、共通のセルスタックに配置されている。しかしながら、第1電気化学セルおよび第2電気化学セルが異なるセルスタックに配置されることも考えられる。
【0011】
好ましくは、セルユニットは、1つ以上の第1端板および/または1つ以上の第2端板を有する。特に好ましくは、セルスタックの電気化学セルは、特に近接して積み重なって、端板間に配置される。好ましくは、第1端板および第2端板は、互いに接続されている。第1端板および第2端板は、特に好ましくは、セルスタックに対し反対側から(特に、スタック方向に対し垂直および/または少なくともほぼ垂直な方向に)圧力を及ぼす。好ましくは、スタック方向は、セルスタックが電気化学セルから構成される方向に対応する。特に、前記スタック方向は、第1電気化学セルの主要広がり面に対し垂直および/または少なくともほぼ垂直であるか、1つ以上のセルスタック要素(特に、板状)の主要広がり面に対し垂直であるか、その両方であるように延びている。好ましくは、セルスタックは、セルスタックの電気化学セルの主要広がり面が、互いに平行に、また特にスタック方向に垂直に配置されるように構成されている。好ましくは、通常の動作状態では、作用電圧は、特に第1端板に当接する最初の電気化学セルと特に第2端板に当接する最後の電気化学セルとの間に広がる。有利には、特に、電気化学デバイスが電解デバイスとして設計されている場合には、通常の動作状態において、0.5V以上、有利には1V以上、特に有利には1.2V以上、好ましくは1.5V以上、および/または高々10V、有利には高々5V、特に有利には高々2.5V、好ましくは高々2Vの個々の作用電圧が、電気化学セル(特に、セルスタックの)にわたって各々広がっている。しかしながら、特に他の状況では(例えば、燃料電池デバイスでは)、通常の動作状態において、1V未満、そうでなければ0.5V未満、もしくはそれより低い、または、例えば10Vより高い、20Vより高い、もしくは50Vより高い、そうでなければそれより高い、個々の作用電圧が、電気化学セル(特に、セルスタック)にわたって各々広がることが考えられる。当業者は、利用状況に従って、所望に応じて、適切な個々の作用電圧を選択する。物の「主要な広がり面」は、物を完全にただ包含するのみの最小の仮想的な直方体の最大の側面に平行な平面であって、特にその直方体の中心点を通って延びている平面を特に意味すると理解される。ここで、「少なくともほぼ垂直」は、参照方向(特に、参照平面)に対する方向の特に配向を意味すると理解され、その方向と参照方向は、特に8°未満、有利には5°未満、特に有利には2°未満しか、直角から逸脱しない角を含む。
【0012】
特に、流体供給ユニットは、ユニットセルの電気化学セル(特に、第1電気化学セルおよび/または第2電気化学セル)に、1以上の流体(特に水、有利には脱イオン水)を供給するために提供される。有利には、流体供給ユニットは、電解による水分解処理の反応物および/または冷却材として水を提供するために、セルユニット、セルユニットのセルスタックおよび/または電気化学セルに提供される。好ましくは、流体供給ユニットは、特に流体回路(好ましくは、水回路)への流体供給部(特に外部の)に接続可能な、および/または接続されている1つ以上のポートを有する。電気化学デバイスは流体供給部を有することも考えられる。例えば、流体供給部は、特に、1つ以上のポンプ、1つ以上のフィルタ、1つ以上の流体貯蔵部などのうちの1つ以上を有する流体供給回路を備えてよい。特に、流体供給ユニットは、流体供給回路の少なくとも一部を形成するために提供される。好ましくは、通常の動作状態において、セルユニットには、流体ユニットにより、流体が(特に、連続して)、および/または、一定であるかそれぞれの動作状態に適合可能であるか、その両方である総流量が流れる(例えば、電力消費のレベルに依存して)。好ましくは、セルユニット(特に、セルスタック)および流体供給ユニットは、少なくとも部分的には一体に形成されている。好ましくは、流体供給ユニットは、第1電気化学セル、また第2電気化学セルを通じる体積流量を均等化するための調節弁を有しない。「流体供給経路」は、流体ラインシステムの、特に流れることが可能であるか、特に通常の動作状態において流れるか、その両方である流体ラインおよび/または容積の、一範囲および/または一部分を特に意味すると理解される。特に、流体供給経路は、流体ラインおよび/または流体ライン部分を備えてよい。特に、流体供給ユニットは、セルスタックの各電気化学セルについて1つ以上の流体供給経路を備え、有利には、各々1つの流体供給経路は、各々1つの電気化学セルに特に一意に割り当てられるか、対応する電気化学セルを通じて至るか、その両方である。第1の物と第2の物とが「少なくとも部分的には一体に」形成されているという記述は、第1の物の1つ以上の要素および/または部分と第1の物の1つ以上の要素および/または部分とが一体に形成されていることを特に意味すると理解される。
【0013】
「通常の動作状態」は、電気化学デバイスおよび/またはセルユニットが、指定の動作パラメータ内にて動作すること、故障無く動作すること、および意図された使用に従って動作すること、のうちの1つ以上を特に意味すると理解される。特に、通常の動作状態は、連続的な電力消費、出力、反応物の連続的な変換、生成物のうち1つ以上を、各々、特に少なくともほぼ一定なレートにて伴う。さらに、これに代えて、またはこれに加えて、通常の動作状態は、開始、停止、電気化学デバイスおよび/またはセルユニットの動作状態から1以上の他の動作状態(特に、故障が無い)への切換(特に、対象の、開ループ制御の、および/または閉ループ制御の)、のうちの1つ以上を伴ってよい。好ましくは、電気化学デバイス(特に、セルユニットおよび/または流体供給ユニット)は、好ましくは通常の動作状態において、1つ以上のエネルギー供給部および/または1つ以上の流体供給部(特に、水ラインおよび/またはガスライン)に接続されている。「電気化学セルを通じる体積流量」は、単位時間ごとの、電気化学セルの少なくとも部分的な領域の断面を通じて(特に、少なくとも電気化学的活性領域の断面を通じて)および/または電気化学セルの断面を通じて(特に、少なくとも部分的な領域を通じる流体の流れ方向に垂直な断面を通じて)流れる流体(特に、水)の体積を特に意味すると理解される。第1電気化学セルを通じる、また第2電気化学セルを通じる流体の体積流量が少なくともほぼ同一であるという記述は、第1セルを通じる体積流量と第2セルを通じる体積流量とが互いに30%未満、好ましくは10%未満、好ましくは5%未満、特に好ましくは2%未満しか逸脱しないことを特に意味すると理解される。特に、体積流量は、0とは異なる。
【0014】
本発明のさらなる実施形態では、通常の動作状態において、第1流体供給経路における圧力損失が第2流体供給経路における圧力損失に少なくともほぼ相当することが提案される。特に、第1流体供給経路の導入部から第1流体供給経路の導出部までの圧力降下は、第2流体供給経路の導入部から第2流体供給経路の導出部までの圧力降下に少なくともほぼ相当する。特に、第1流体供給経路における局所的な圧力分布は、第2流体供給経路における局所的な圧力分布から少なくとも断面方向に逸脱するか、少なくとも断面方向に対し少なくともほぼ同一であるか、その両方である。特に、通常の動作状態では、セルユニットには、スタック方向の方向において特に複数の電気化学セルに完全にわたって広がる圧力勾配が少なくともほぼない。第1流体供給経路と第2流体供給経路とは、有利には、液圧的に釣り合っている。この文脈において「少なくともほぼ」は、所定の値からの逸脱が、所定の値の特に15%未満、好ましくは10%未満、特に好ましくは5%未満に対応することを特に意味すると理解される。非一様な流体供給が、有利には、このようにして避けられることが可能となる。
【0015】
本発明の1つの有利な実施形態では、第1流体供給経路と第2流体供給経路とが少なくともほぼ等しい長さであることが提案される。特に、第1流体供給経路の、第1電気化学セル内に配置される第1セル供給部分は、第2流体供給経路の、第2電気化学セル内に配置される第2セル供給部分に対して、少なくともほぼ同一の設計であるか、少なくともほぼ等しい長さであるか、その両方である。好ましくは、第1流体供給経路および第2流体供給経路は、少なくとも断面方向において、特に第1電気化学セルおよび/または第2電気化学セルの外に、少なくともほぼ同一の断面エリアを有する。構造的な単純性は、有利には、このようにして達成されることが可能である。さらに、流体供給構造の複雑性が低減されることが、有利にはこのようにして可能となる。さらに、このようにして、流れを通じる一様な流体を達成するための調節弁の使用を省略することが、有利には可能となる。
【0016】
しかしながら、第1電気化学セル、また第2電気化学セルを通じる体積流量が、いくつかの他の方法によって、例えば、適切な調節弁によって、特に、1つ以上の開ループ制御ユニットか閉ループ制御ユニットかその両方との組合せにて、1つ以上の圧力センサおよび/または流量センサなどとの組合せにて、釣り合うことも基本的には考えられる。
【0017】
本発明の特に有利な実施形態では、第1流体供給経路と第2流体供給経路とが共通の導入部(特に、流体供給ユニットの導入部)から電気化学セルに、および/または、電気化学セルから共通の導出部(特に、流体供給ユニットの導出部)に至ることが提案される。特に、流体供給ユニットの複数の導入部および/または導出部は、複数の流体供給経路および/または複数の電気化学セルよりも小さい、特に10倍以上もしくは20倍以上小さい、またはさらに小さい。好ましくは、第1端板は導入部を有する。第2端板は、特に好ましくは、導出部を有する。好ましくは、導入部は、見られるように、スタック方向においてセルユニットの前に配置される。導出部は、見られるように、スタック方向においてセルユニットの後に配置される。導入部および導出部は、好ましくは、見られるように、スタック方向において互いにずれて配置される。第1流体供給経路および第2流体供給経路は、有利には、特に、導入部のライン部分と異なるか導出部のライン部分と異なるかその両方である共通の流体ラインを通じて少なくとも断面方向に延びている。導入部および/または導出部は、有利には、特に各々、流体供給ユニットのポートに接続されているか、流体供給部への接続のために提供されるか、その両方である。このようにして、電気化学デバイスは、有利には、流体回路に容易および/または確実に組み込まれることが可能である。
【0018】
流体供給ユニットは、通常の動作状態において、互いに少なくともほぼ平行に延びる導入流方向および導出流方向に流体を導くために提供される、1つ以上の導入チャネルと1つ以上の導出チャネルとを有することがさらに提案される。好ましくは、導入方向および/または導出方向は、スタック方向に少なくともほぼ平行に延びる。特に、導入チャネルが導入部に接続されているか、導出チャネルが導出部に接続されているか、またはその両方である。導入方向および導出方向は、好ましくは同一である。導入チャネルの長手方向の軸は、有利には、導出チャネルの長手方向の軸に平行に延びる。特に、導入チャネルと導出チャネルとは、特に見られるようにスタック方向に沿って、互いにずれて配置される。好ましくは、セルスタックの少なくともいくつかの、特に好ましくはすべての流体供給経路は、導入チャネルを通じて少なくとも断面方向に、および/または導出チャネルを通じて少なくとも断面方向に延びる。特に、導入チャネルおよび/または導出チャネルは、セルスタックおよび/またはセルユニットの、複数の、特にすべての電気化学セルの共通の流体ラインである。ここで、「少なくともほぼ平行」は、参照方向に対する方向(特に、平面における)の配向を特に意味すると理解され、その方向は、参照方向に対し、特に8°未満、有利には5°未満、特に有利には2°未満しか逸脱しない方向である。このようにして、有利には、流体回路に容易に組み込むことが可能な電気化学デバイスを通じる一様な流体を達成することを可能とする。
【0019】
第1流体供給経路の第1導入部分の長さと第1導出部分の長さとの合計が、第2流体供給経路の第2導入部分の長さと第2導出部分の長さとの合計に少なくともほぼ相当することがさらに提案される。例えば、第1導出部分が第2導出部分よりも長いか第2導出部分が第1導出部分よりも長いのと同一または少なくともほぼ同程度に、第1導入部分は第2導入部よりも短い。このようにして、単純および一様な供給を可能とする流体供給構造を提供することが、有利には可能となる。
【0020】
第1導入部分における圧力損失が第2導入部分における圧力損失よりも大きく、第1導出部分における圧力損失が第2導出部分における圧力損失よりも小さい場合には、セルスタックにおける漏出および/またはスタック方向に沿った圧力差が避けられることが可能である。好ましくは、第1流体供給経路におけるすべての部分的な圧力損失の合計は、第2流体供給経路におけるすべての部分的な圧力損失に少なくともほぼ相当し、圧力損失は、各々特に、少なくとも導入部の圧力損失と、セルの圧力損失と、導出部の圧力損失との合計である。
【0021】
本発明の有利な実施形態では、導入チャネルが第1導入部分と第2導入部分とを少なくとも部分的には形成するか、導出チャネルが第1導出部分と第2導出部分とを少なくとも部分的には形成するか、その両方が提案される。第1導入部分および第2導入部分は、少なくとも断面方向において同一、特に、少なくとも断面方向において導入チャネルと同一である。第1導出部分および第2導出部分は、好ましくは、少なくとも断面方向において同一、特に、少なくとも断面方向において導出チャネルと同一である。このようにして、電気化学セル(例えば、セルスタック)についての共通の導入部および/または共通の導出部を使用することが、有利には可能となる。
【0022】
本発明の特に有利な一実施形態では、第1電気化学セルが、第1流体供給経路の1区画以上と第2流体供給経路の1区画以上とを形成する1つ以上の機能要素を有することが提案される。特に、セルユニットの(特にセルスタックの)、特に積み重なって配置されている複数の機能要素は、一緒に第1流体供給経路を形成するか、一緒に第2流体供給経路を形成するか、その両方を行う。好ましくは、様々な電気化学セルの機能要素は、導入チャネルの1区画以上か導入チャネルかその両方を、および/または導出チャネルの1区画以上か導出チャネルかその両方を形成する。このようにして、有利には、小型の設計が得られることが可能である。
【0023】
さらに、機能要素は、機能的なセルスタック要素であることが提案される。特に、セルスタック要素は、上述のセルスタック要素のうちの1つのように形成されてよい。好ましくは、セルスタック要素は、板形および/または板状の形態であるか、セルスタックを形成するように他のセルスタック要素と積み重ねることが可能であるように設計されている。好ましくは、セルスタック要素は、他のセルスタック要素のリードスルーと隣接して、特に位置整合するように、および/またはそれらのスタック要素と連続して配置されるために提供される1つ以上の凹部(特に、リードスルー)を有し、流体チャネルがリードスルーによって有利に形成される。好ましくは、セルスタックの様々なセルスタック要素は、一緒に、特に端板とともに、導入チャネル、導出チャネル、および/またはセルスタックの電気化学セルについての各々1つの流体供給経路の各々1区画を形成する。有利には、第1流体供給経路は、特にこの順序にて、導入部から、様々な積み重なった電気化学セルの複数の積み重なったセルスタック要素により特に形成されるとともにスタック方向に平行に特に配置されている導入チャネルを通じて、第1電気化学セルを通じて、および/または様々な積み重なった電気化学セルの複数の積み重なったセルスタック要素により特に形成されるとともにスタック方向に平行に特に配置されている導出チャネルを通じて、導出部に延びる。好ましくは、第1流体供給経路は、スタック方向に少なくともほぼ垂直および/または第1電気化学セルの主要広がり面に少なくともほぼ平行に延びる方向に、第1電気化学セルを通じて延びる。このようにして、製造するのに容易および/または高価でない電気化学デバイスが提供される。
【0024】
高水準の信頼性および/または高水準の効率および/または動作に関する有利な特性が、本発明に係る1つ以上の電気化学デバイスを有する電解槽によって達成されることが可能である。
【0025】
さらに、本発明は、1つ以上の第1電気化学セルと1つ以上の第2電気化学セルとを備える1つ以上のセルユニットを有する、電気化学デバイス、特に電解デバイス、特に高分子電解質膜電解デバイスを動作させる方法に由来する。
【0026】
第1電気化学セルおよび第2電気化学セルには、第1電気化学セルを通じる、また第2電気化学セルを通じる流体の体積流量が少なくともほぼ同一であるように、流体が(特に、水が)流れることが提案される。
【0027】
本発明に係る方法によって、確実および/または効率的な動作を特に達成することが可能となる。さらに、流体の供給に関して有利な特性を有する電気化学デバイスが提供されることが可能である。さらに、構造的な単純性および/または様々な部品の削減が達成されることが可能である。さらに、セルスタックにおける一様な圧力分布が達成されることが可能である。電気化学セルに流体が(特に、水が)一様に提供されることが有利には可能となる。さらに、特に多数の個々のセルを有するセルスタックの場合には、一様および/または包括的な流体の供給が達成されることが可能である。非一様な加熱が、有利には避けられることが可能である。さらに、セルスタックの高度な気密性を実現することが有利には可能となる。さらに、高水準の効率(特に、水素発生の)を達成することが可能となる。流体の一様な供給が、調節弁などを少なくともほぼ省くことが有利には可能となる。
【0028】
本明細書において、本発明に係る電気化学デバイスおよび本発明に係る方法は、上記の使用および実施形態に制限されると意図されない。特に、本発明に係る電気化学デバイスおよび本発明に係る方法は、本明細書に記載の機能を果たすように、本明細書において述べた数とは異なる複数の個々の要素、コンポーネント、ユニット、方法の工程を有する。さらに、本開示において指定される値の範囲に関して、述べた範囲内にある値が開示及び所望に応じて使用可能と考えられることも意図される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】電気化学デバイスを有する電解槽の概略的な側面図。
図2】電気化学デバイスの電気化学セルの機能的要素の概略的な平面図。
図3】電気化学デバイスの概略的な正面図。
図4】第1の代替の電気化学デバイスの概略的な側面図。
図5】第2の代替の電気化学デバイスの概略的な側面図。
図6】第3の代替の電気化学デバイスの概略的な側面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
さらなる利点が、以下の図面の記載から明らかになる。図面は、本発明の例示的な実施形態を示す。図面、明細書および特許請求の範囲は、組合せにより複数の特徴を含む。さらに当業者は、その特徴を適切に個々に検討し、さらに意味のある組合せを形成するようにこれらを組み合わせる。
【0031】
図1は、電気化学デバイス10aを有する電解槽48aを概略的な側面図により示す。電解槽48aは、この場合、概略的に示されるに過ぎず、例えば、電気接続部、筐体、水回路、開ループおよび/または閉ループ制御ユニットなどといった、図示されない構成要素を備えてよい。電気化学デバイス10aは、この場合、電解槽デバイスとして設計される。特に、電解デバイス10aは、水素電解デバイスである。しかしながら、上述の通り、電気化学デバイス10aが燃料電池デバイス、測定ユニットデバイス、電気メッキデバイスなどとして設計されることも考えられる。
【0032】
電気化学デバイス10aは、1つ以上の第1電気化学セル14aと1つ以上の第2電気化学セル16aとを備えるセルユニット12aを有する。この場合、セルユニット12aは複数の電気化学セル14a,16aを有しており、明快さのため、5つの電気化学セルしか概略的に示されず、電気化学セルのすべてには参照番号が示されていない。さらに、セルユニット12aの電気化学セル14a,16aは、図1において縮尺通りには示されていない。特に、セルユニット12aの電気化学セル14a,16aは、図1の概略図におけるよりもはるかに平坦な設計であってよい。例えば、セルユニット12aは、20,30,50,100,150または200個の電気化学セルを備えてよい。
【0033】
セルユニット12aは、積み重なって配置される複数の電気化学セル14a,16aを備えるセルスタック46aを有する。この場合、セルユニット12aのすべての電気化学セル14a,16aは、セルスタック46aを形成するように積み重なる。さらに、この場合、セルユニット12aの電気化学セル14a,16aは、互いに対して少なくともほぼ同一の設計である。この場合、セルスタック46aは、電解スタックである。セルユニット12aの電気化学セル14a,16aは、スタック方向50aに積み重なる。スタック方向50aは、セルスタック46aのスタック厚さ方向に対応する。この場合、スタック方向50aは、第1電気化学セル14aの主要広がり平面に対し垂直に延びる。さらに、この場合、セルユニット12aの電気化学セル14a,16aの主要広がり平面は、互いに平行に配置される。
【0034】
セルユニット12aは、第1端板52aおよび第2端板54aを有する。第1端板52aおよび第2端板54aは、セルスタック46aの対向する面に向かって、セルスタック46aの電気化学セル14a,16aの範囲を定める。端板52a,54aは、例えば、接続支柱によって互いに接続されており、セルスタック46aの電気化学セル14a,16aに対し圧力を及ぼす。この圧力は、特に、水素ガスおよび/または酸素ガスの形成による圧力を減殺するか、特に、互いに押し合う電気化学セル14a,16aの互いに対する気密性および/またはそれぞれの電気化学セル14a,16aの気密性をもたらすか、少なくともその気密性に寄与する。
【0035】
電気化学デバイス10aは、電源への接続用に接触要素(図示せず)を有する。通常の動作状態では、セルユニット12aには、接触要素を介して電力が供給される。ここで、全電圧は、特に第1端板52aに当接する最初の電気化学セル56aと、特に第2端板54aに当接する最後の電気化学セル58aとの間に広がる。通常の動作状態では、特に上述されてもいるように、約1Vと約2.5Vとの間の電圧が、各々、セルユニット12aの個々の電気化学セル14a,16a,56a,58aにわたって広がっている。
【0036】
電気化学デバイス10aは、流体供給ユニット18aを有する。流体供給ユニット18aは、この場合、セルユニット12a(特に、セルスタック46a)に流体を供給するために提供される。この場合、流体は水(特に、脱イオン水)である。流体は、電解反応用の出発物質として機能する。さらに、この場合、これに加えて、流体は冷却材として機能する。しかしながら、電気化学デバイス10aは、特に、異なる流体(例えば、反応ガス、冷却材、反応流体など)の別々の供給用に提供される、複数の異なる流体供給ユニット18aを有することが基本的に考えられる。
【0037】
流体供給ユニット18aは、第1電気化学セル14aを通じて少なくとも断面方向に延びる1つ以上の第1流体供給経路20aを有する。さらに、流体供給ユニット18aは、第2電気化学セル16aを通じて少なくとも断面方向に延びる1つ以上の第2流体供給経路22aを有する。第1流体供給経路20aの進路および第2流体供給経路22aの進路は、線として図1に概略的に示される。第1流体供給経路20aおよび第2流体供給経路22aは、各々、流体が流れることが可能な容積を含む。
【0038】
流体供給ユニット18aは、通常の動作状態では、第1電気化学セル14aを通じる、また第2電気化学セル16aを通じる流体の体積流量が、少なくともほぼ同一となるように設計される。特に、通常の動作状態では、電気化学デバイス10aは、水素ガスを生成する。さらに、通常の動作状態では、セルユニット12aには、例えば流体回路(図示せず)および/またはポンプ(図示せず)によって、継続的に流体の流れが供給される。この場合、第1電気化学セル14aおよび第2電気化学セル16aは、少なくともほぼ同一の設計である。特に、第1電気化学セル14aおよび第2電気化学セル16aは、少なくともほぼ同一の設計の内部空間と、通常の動作状態において特に流体が流れる少なくともほぼ同一の設計の内部断面との一方または両方を有する。この場合、セルユニット12aの電気化学セル14a,16a,56a,58aの各々を通じる体積流量は、少なくともほぼ同一である。セルスタック46aの電気化学セル14a,16a,56a,58aは、通常の動作状態では、一様におよび/または同等におよび/または同一の体積流量にて流れる。
【0039】
電気化学デバイス10aを動作させる方法では、第1電気化学セル14aおよび第2電気化学セル16aには、第1電気化学セル14aを通じる、また第2電気化学セル16aを通じる流体の体積流量が少なくともほぼ同一であるように、流体が流れる。
【0040】
さらに、通常の動作状態では、第1流体供給経路20aにおける圧力損失は、第2流体供給経路22aにおける圧力損失に少なくともほぼ相当する。この場合、セルユニット12aの電気化学セル14a,16a,56a,58aの各々における圧力損失は、少なくともほぼ同一である。さらに、この場合、セルスタック46aには、スタック方向50aにおいて複数の電気化学セルにわたって広がる圧力勾配が存在しない。特に、最初の電気化学セル56aにおける圧力損失が、最後の電気化学セル58aにおける圧力損失に少なくともほぼ相当する。
【0041】
第1流体供給経路20aおよび第2流体供給経路22aは、少なくともほぼ等しい長さである。この場合、流体供給ユニット18aは、各電気化学セル14a,16a,56a,58aについて各々1つの流体供給経路20a,22aを含み、流体供給経路20a,22aは、各々1つの電気化学セル14a,16a,56a,58aに特に一意に割り当てられる。明快さのため、図1では、電気化学セル14a,16a,56a,58aと同様に、5つの流体供給経路20a,22aしか示されず、2つしか参照番号が示されない。さらに、この場合、すべての流体供給経路20a,22aが少なくともほぼ等しい長さである。
【0042】
第1流体供給経路20aおよび第2流体供給経路22aは、共通の導入部24aから電気化学セル14a,16aに至る。さらに、第1流体供給経路20aおよび第2流体供給経路22aは、電気化学セル14a,16aから共通の導出部26aに至る。導入部24aおよび導出部26aは、流体回路(図示せず)に接続されている。通常の動作状態では、流体は導入部24aからセルスタック46aを通じて導出部26aへと、導出部26aから、戻りライン、流体貯蔵部、フィルタ、ポンプのうちの1つ以上などを通じて導入部24aに戻るように循環する。導入部24aは、第1端板52aに接続されているか、第1端板52aにより少なくとも部分的には形成されているか、その両方である。導出部26aは、第2端板54aに接続されているか、第2端板54aにより少なくとも部分的には形成されているか、その両方である。導入部24aおよび導出部26aは、特に見られるようにスタック方向50aに平行に、互いに対してずれて配置される。
【0043】
流体供給ユニット18aは、通常の動作状態において、互いに少なくともほぼ平行に延びる導入流方向32aおよび導出流方向34aに流体を導くために提供される、1つ以上の導入チャネル28aおよび1つ以上の導出チャネル30aを有する。この場合、導入流方向32aは、導出流方向34aに対し平行に延びている。導入流方向32aは、スタック方向50aに対し平行に延びている。導出流方向34aは、スタック方向50aに対し平行に延びている。
【0044】
第1流体供給経路20aの第1導入部分36aの長さと第1導出部分38aの長さとの合計は、第2流体供給経路22aの第2導入部分40aの長さと第2導出部分42aの長さとの合計に少なくともほぼ相当する。特に、第1導入部分36aおよび第2導入部分40aのそれぞれは、各々、導入部24aから、第1電気化学セル14aに、また第2電気化学セル16aに、それぞれ延びている。さらに、この場合、第1導出部分38aおよび第2導出部分42aのそれぞれは、各々、第1電気化学セル14aから、また第2電気化学セル16aから、それぞれ導出部26aに延びている。この場合、第1導入部分36aは、第2導入部分40aよりも短い。さらに、この場合、第1導出部分38aは、第2導出部分42aよりも長い(特に、正確に同程度)。
【0045】
第1導入部分36aにおける圧力損失は、第2導入部分40aにおける圧力損失よりも大きい。さらに、第1導出部分38aにおける圧力損失は、第2導出部分42aにおける圧力損失よりも小さい。特に、第1導入部分36aと第1電気化学セル14aと第1導出部分38aとにおける部分的な圧力損失の合計は、第2導入部分40aと第2電気化学セル16aと第2導出部分42aとにおける部分的な圧力損失の合計に少なくともほぼ相当する。
【0046】
導入チャネル28aは、少なくとも部分的に、特に完全に、第1導入部分36aおよび第2導入部分40aを形成する。導出チャネル30aは、少なくとも部分的に、特に完全に、第1導出部分38aおよび第2導出部分42aを形成する。この場合、流体供給ユニット18aの各々1つの流体供給経路20a,22aは、少なくとも断面方向に、導入チャネル28aを通じて、セルユニット12aの各々1つの電気化学セル14a,16a,56a,58aへと延びている。さらに、流体供給ユニット18aの各々1つの流体供給経路20a,22aは、断面方向に、セルユニット12aの各々1つの電気化学セル14a,16a,56a,58aから、導出チャネル30aを通じて延びている。
【0047】
この場合、第1流体供給経路20aおよび第2流体供給経路22aについての例として本明細書に記載されているものは、セルユニット12aの電気化学セル14a,16a,56a,58aのすべての流体供給経路20a,22aと同様に適用される。
【0048】
図2は、第1電気化学セル14aの機能要素44aを概略的な平面図により示す。この場合、機能要素44aは、セルスタック要素として設計されている。機能要素44aは、板状形態である。機能要素44aは、例えば、バイポーラ板、圧力パッド、穿孔板、スクリーン板、膜などであってよい。上記のように、第1電気化学セル14aは、複数の異なる機能要素44a、特に、図面には個々に図示されない異なる機能的セルスタック要素から形成される。さらに、上記のように、セルスタック46aは、セルスタック46aとセルスタック46aの電気化学セル14a,16a,56a,58aとを形成する、異なるセルスタック要素の複数の反復ユニットを備える。
【0049】
機能要素44aは、第1流体供給経路20aの1区画以上と第2流体供給経路22aの1区画以上とを形成する。上記の部分の長さは、機能要素44aの厚さに少なくともほぼ相当し、特に、約0.1mmから数ミリメートルまでの範囲にある。
【0050】
機能要素44aは、この場合リードスルーとして設計される、第1凹部60aを有する。第1凹部60aは、他の機能要素の、特に類似設計である他の凹部と一直線に(特に、整列して)配置されるために、および/または、該他の凹部とともに導入チャネル28aを形成するために、提供される。導入チャネル28aは、特に、異なる電気化学セル14a,16a,56a,58aの複数の異なる機能要素44aを通じて延びている。この場合、機能要素44aは、類似設計の3つの第1凹部60a,62a,64aを有する。対応して、流体供給ユニット18aは、この場合、類似設計であるとともに特に平行に延びる3つの導入チャネル28aを有する。
【0051】
機能要素44aは、この場合リードスルーとして設計される、第2凹部66aを有する。第2凹部66aは、他の機能要素の、特に類似設計である他の凹部と一直線に(特に、整列して)配置されるために、および/または、該他の凹部とともに導出チャネル30aを形成するために、提供される。導出チャネル30aは、特に、異なる電気化学セル14a,16a,56a,58aの複数の異なる機能要素44aを通じて延びている。この場合、機能要素44aは、類似設計の3つの第2凹部66a,68a,70aを有する。対応して、流体供給ユニット18aは、この場合、類似設計であるとともに特に平行に延びる3つの導出チャネル30aを有する。
【0052】
凹部60a,62a,64a,66a,68a,70aは、第1流体供給経路20aが第1電気化学セル14aを通じて至ることが可能であるように、第1電気化学セル14aの内部に向かって開いている。特に、第1流体供給経路20aは、導入チャネル28aから第1電気化学セル14aの内部空間へと、および/または第1電気化学セル14aの内部空間から導出チャネル30aへと、分岐する。セルスタック46aの機能要素44aは、流体供給ユニット18aの電気化学セル14a,16a,56a,58aと流体供給経路20a,22aとを形成する。凹部60a,62a,64a,66a,68a,70aは、ともに、機能要素44aの幅の少なくとも支配的な一部にわたって広がるように配置され、それによって、横断方向における圧力勾配が避けられるか、一様な流体の流れが達成されるか、その両方が有利には可能となる。
【0053】
導入チャネル28aが相互接続されるか、流体供給ユニット18aが、特に機能要素44aの幅の少なくとも支配的な一部にわたって延びている単一の導入チャネル28a有するか、が考えられる。導出チャネル30aは、同様に相互接続されてよい。同様に、流体供給ユニット18aは、同様に、単一の幅広な導出チャネル30aを有してよい。
【0054】
図3は、電気化学デバイス10aを、スタック方向50aにおいて見られるように概略的な正面図により示す。この場合、導入部24aは複数の分岐ラインとして設計されており、各々1つのラインの分岐は、導入チャネル28aのうちの1つに接続されている。同様に、導出部26aは複数の分岐ラインとして設計されており、各々1つのラインの分岐は、導出チャネル30aのうちの1つに接続されている。したがって、特に、セルユニット12a内の流体供給経路20a,22aと同様に、流体供給経路20a,22aのいずれも、導入部24aの主要ラインから導出部26aの主要ラインに進行する等しい長さである。
【0055】
図4図6は、本発明の3つのさらなる例示的な実施形態を示す。以下の記載および図面は、例示的な実施形態間の差にほぼ限定され、同一に示される構成要素に関して、特に同一の参照番号を有する構成要素に関して、他の例示的な実施形態の図面および/または記載(特に、図1図3の)に対して、参照も基本的になさ得る。例示的な実施形態を区別するため、図1図3における例示的な実施形態の参照番号に対して、添字としてアルファベット文字aが追加されている。図4図6の例示的な実施形態では、アルファベット文字aがアルファベット文字b~dにより置き換えられている。
【0056】
図4は、第1の代替の電気化学デバイス10bを概略的な側面図により示す。第1の代替の電気化学デバイス10bは、1つ以上の第1電気化学セル14bと1つ以上の第2電気化学セル16bとを備えるセルユニット12bを有する。さらに、第1の代替の電気化学デバイス10bは、セルユニット12bに1以上の流体を供給するための流体供給ユニット18bを有する。流体供給ユニット18bは、第1電気化学セル14bを通じて少なくとも断面方向に延びている1つ以上の第1流体供給経路20bと、第2電気化学セル16bを通じて少なくとも断面方向に延びている1つ以上の第2流体供給経路22bとを備える。流体供給ユニット18bは、1以上の通常の動作状態において、第1電気化学セル14bを通じる、また第2電気化学セル16bを通じる流体の体積流量が、少なくともほぼ同一であるように設計される。この場合、第1流体供給経路20bおよび第2流体供給経路22bは、少なくともほぼ等しい長さである。
【0057】
流体供給ユニット18bは、電気化学セル14b,16bの外および/またはセルユニット12bの外に配置されている1つ以上の導入チャネル28bを備える。導入チャネル28bは、流体供給ユニット18bの流体供給経路20b,22bについて共通の導入チャネルである。さらに、流体供給ユニット18bは、電気化学セル14b,16bの外および/またはセルユニット12bの外に配置されている、1つ以上の導出チャネル30bを備える。導出チャネル30bは、流体供給経路20b,22bについて共通の導出チャネルである。
【0058】
この場合、第1電気化学セル14bおよび第2電気化学セル16bには、特に一意に、セルユニット12bの外に配置されている1つの給送部72b,74bが各々割り当てられている。給送部72b,74bは、側方方向において、電気化学セル14b,16bへと至る。電気化学セル14b,16bには、流体が個々におよび/または互いに独立して供給される。給送部72b,74bは、共通の導入チャネル28bへと開いている。同様に、流体供給ユニット18bは、対応する放出部76b,78bを備える。この場合、セルユニット12bの各電気化学セル14b,16bには、各々1つ以上の個々の給送部72b,74bおよび/または各々1つ以上の個々の放出部76b,78bが、一意に割り当てられる。
【0059】
流体供給ユニット18bの示される構造によって、特に、任意に配置される電気化学セルには、特に、積み重なって配置されても一列に配置されてもいない電気化学セルにも、流体が一様に同様に供給されることが可能となる。
【0060】
図5は、第1の代替の電気化学デバイス10cを概略的な側面図により示す。第1の代替の電気化学デバイス10cは、1つ以上の第1電気化学セル14cと1つ以上の第2電気化学セル16cとを備えるセルユニット12cを有する。さらに、第1の代替の電気化学デバイス10cは、セルユニット12cに1以上の流体を供給するための流体供給ユニット18cを有する。流体供給ユニット18cは、第1電気化学セル14cを通じて少なくとも断面方向に延びている1つ以上の流体供給経路20cと、第2電気化学セル16cを通じて少なくとも断面方向に延びている1つ以上の第2流体供給経路22cとを備える。流体供給ユニット18cは、1以上の通常の動作状態において、第1電気化学セル14cを通じる、また第2電気化学セル16cを通じる流体の体積流量が少なくともほぼ同一であるように設計される。この場合、第1流体供給経路20cおよび第2流体供給経路22cは、少なくともほぼ等しい長さである。
【0061】
この場合、セルユニット12cは、複数のセルスタック46c,80c,82c(例えば、3つのセルスタック46c,80c,82c)を備え、任意の他の所望の数が考えられる。第1電気化学セル14cおよび第2電気化学セル16cは、セルユニット12cの異なるセルスタック46c,80cに配置されている。セルスタック46c,80c,82cは、電気的に直列に接続されているが、しかしながら、並列接続も考えられる。セルスタック46c,80c,82cは、セルスタック46c,80c,82cに同一の長さの流体供給経路が各々割り当てられるように、液圧的に接続されている。この場合、個々のセルスタック46c,80c,82cを通じる体積流量は、互いに少なくともほぼ同一である。特に、セルスタック46c,80c,82cは、図1図3の例示的な実施形態の電気化学セル14a,16aと同様に、液圧的に接続されている。
【0062】
図6は、第1の代替の電気化学デバイス10dを概略的な側面図により示す。第1の代替の電気化学デバイス10dは、1つ以上の第1電気化学セル14dと1つ以上の第2電気化学セル16dとを備えるセルユニット12dを有する。さらに、第1の代替の電気化学デバイス10dは、セルユニット12dに1以上の流体を供給するための流体供給ユニット18dを有する。流体供給ユニット18dは、第1電気化学セル14dを通じて少なくとも断面方向に延びている1つ以上の第1流体供給経路20dと、第2電気化学セル16dを通じて少なくとも断面方向に延びている1つ以上の第2流体供給経路22dとを備える。流体供給ユニット18dは、1以上の通常の動作状態において、第1電気化学セル14dを通じる、また第2電気化学セル16dを通じる流体の体積流量が少なくともほぼ同一であるように設計される。この場合、第1流体供給経路20dおよび第2流体供給経路22dは、少なくともほぼ等しい長さである。
【0063】
セルユニット12dは、複数のセルスタック46d,80d,82dを備える。セルスタック46d,80d,82dは、図4の例示的な実施形態の電気化学セル14b,16bと同様に、液圧的に接続されている。個々のセルスタック46d,80d,82dの電気化学セル14d,16dは、各々、互いに直列に液圧的に接続されている。セルスタック46d,80d,82dの各々には、示されるように、流体供給ユニット18dにより流体が供給されることも考えられるが、しかしながら、各スタックの個々の電気化学セル14d,16dには一様でないように流体が供給される。例えば、各セルスタック46d,80d,82dの場合には、特に、異なる体積流量が各セルスタック46d,80d,82dの個々の電気化学セル14d,16dを通じて流れるように、導入部および導出部が同じ側に配置されること、および/または導入部が導出部方向と反対に延びることが考えられるが、しかしながら、セルスタック46d,80d,82dにおいて類似の符号を付している電気化学セル14d,16dには、各々、少なくともほぼ同一に流れる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6