(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】複合粒子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/167 20190101AFI20221011BHJP
C08J 3/16 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
G02F1/167
C08J3/16 CFF
(21)【出願番号】P 2020545151
(86)(22)【出願日】2018-04-05
(86)【国際出願番号】 US2018026214
(87)【国際公開番号】W WO2019194806
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】テルファー, スティーブン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハーブ, クレイグ エー.
(72)【発明者】
【氏名】イェゼック, リー
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0022379(US,A1)
【文献】特開2006-018236(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0257212(US,A1)
【文献】特表2017-512222(JP,A)
【文献】特開2003-117434(JP,A)
【文献】特開2004-219829(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1654117(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/15-1/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース粒子と、前記ベース粒子の外側部分上の複数の親水性オリゴマー基とを含み、前記ベース粒子が、架橋ポリ尿素と顔料および染料の少なくとも1種とを含み、前記架橋ポリ尿素が、前記ベース粒子の全体にわたる網状構造を形成する、
電気泳動ディスプレイ媒体において使用するための複合粒子。
【請求項2】
前記親水性オリゴマー基が脂肪族である、請求項1に記載の複合粒子。
【請求項3】
前記親水性オリゴマー基が、ポリエチレンオキシドを含む、請求項2に記載の複合粒子。
【請求項4】
前記染料が、水に不溶でありかつ水混和性溶媒に可溶である、請求項1に記載の複合粒子。
【請求項5】
前記染料が、Solvent Blue 70、Solvent Blue 67、Solvent Blue 136、Solvent Red 127、Solvent Red 130、Solvent Red 233、Solvent Red 125、Solvent Red 122、Solvent Yellow 88、Solvent Yellow 146、Solvent Yellow 25、Solvent Yellow 89、Solvent Orange 11、Solvent Orange 99、Solvent Brown 42、Solvent Brown 43、Solvent Brown 44、Solvent Black 28、Solvent Black 29、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項4に記載の複合粒子。
【請求項6】
前記ベース粒子の外側部分が、アミノ基をさらに含む、請求項1に記載の複合粒子。
【請求項7】
請求項1に記載の複合粒子と無極性流体とを含有する、
電気泳動ディスプレイにおいて使用するための電気泳動媒体。
【請求項8】
前記無極性流体が、C6~C18分岐状アルカンを含む、請求項7に記載の電気泳動媒体。
【請求項9】
電気泳動ディスプレイ媒体において使用するための複合粒子を製造する方法であって、
染料および水分散性多官能性イソシアネートを、水混和性溶媒に溶解して、溶液を形成すること、
前記溶液を水性相に添加して、エマルジョンを形成すること、
前記水分散性多官能性イソシアネートが架橋ポリ尿素に変換される間、前記エマルジョンを撹拌すること、ならびに
前記架橋ポリ尿素と前記染料とを含有する複合粒子を、前記エマルジョンから分離すること
を含む、方法。
【請求項10】
前記水分散性多官能性イソシアネートが、親水性オリゴマー基および少なくとも1個のイソシアネート基を含有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記親水性オリゴマー基が脂肪族である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記親水性オリゴマー基がポリエチレンオキシドを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記水混和性溶媒が、少なくとも25重量%の水溶解度を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記水混和性溶媒が、THF、酢酸メチル、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
電気泳動ディスプレイ媒体において使用するための複合粒子を製造する方法であって、
顔料を、水混和性溶媒に溶解した水分散性多官能性イソシアネートを含有する溶液中に分散させて、分散体を形成すること、
前記分散体を水性相に添加して、エマルジョンを形成すること、
前記水分散性多官能性イソシアネートが架橋ポリ尿素に変換される間、前記エマルジョンを撹拌すること、および
前記架橋ポリ尿素と前記顔料とを含有する複合粒子を、前記エマルジョンから分離すること
を含む、方法。
【請求項16】
前記水分散性多官能性イソシアネートが、親水性オリゴマー基および少なくとも1個のイソシアネート基を含有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記親水性オリゴマー基が脂肪族である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記親水性オリゴマー基が、ポリエチレンオキシドを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記水混和性溶媒が、少なくとも25重量%の水溶解度を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記水混和性溶媒が、THF、酢酸メチル、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、電気泳動ディスプレイ媒体に使用される複合粒子、および複合粒子の改善された製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本明細書において、材料またはディスプレイに適用される「電気光学部品(electro-optic)」という用語は、画像形成の技術分野におけるその従来の意味で、少なくとも1つの光学的性質が異なる第1および第2の表示状態を有する材料であって、電場を材料に印加することによってその第1の表示状態からその第2の表示状態に変化する、材料を指すのに使用される。光学的性質は、典型的には人の眼で認識可能な色であるが、別の光学的性質、例えば光の透過、反射、ルミネッセンス、またはマシンリーディングが意図されるディスプレイの場合には、可視範囲外の電磁波長の反射の変化という意味での擬似カラーであり得る。
【0003】
一部の電子光学材料は、材料が固体の外面を有するという意味で固体であるが、内部液体または気体充填空間を有していてもよく、しばしば有する。固体電子光学材料を使用するそのようなディスプレイを、以後、便宜上「固体電子光学ディスプレイ」と呼ぶことがある。したがって、「固体電子光学ディスプレイ」は、回転2色部材ディスプレイ、カプセル化電気泳動ディスプレイ、マイクロセル電気泳動ディスプレイ、およびカプセル化液晶ディスプレイを含む。
【0004】
本明細書中において、「双安定性(bistable)」および「双安定性(bistability)」という用語は、当技術分野におけるそれらの従来の意味で、白黒などの、少なくとも1つの光学的性質が異なる第1および第2の表示状態を有する表示素子を含むディスプレイであって、有限持続時間のアドレスパルスを用いて任意の所与の素子が駆動されてその第1のまたは第2のいずれかの表示状態を呈した後、アドレスパルスが停止した後に、その状態が、表示素子の状態を変化させるのに必要なアドレスパルスの最短持続時間の少なくとも数倍、例えば少なくとも4倍持続するようなディスプレイを指すのに使用される。いくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイは、その両極の白黒状態におけるだけでなく3つまたはそれよりも多くの状態、例えば3色またはそれよりも多くの色を有する多色ディスプレイにおいても安定である。便宜上、「双安定性」という用語は、2つまたはそれよりも多くの表示状態を有する表示素子を包含するのに、本明細書で使用されうる。
【0005】
何年にもわたって精力的な研究開発の対象である電気光学ディスプレイの1つのタイプは、複数の荷電粒子が電場の影響下で流体中を移動する、粒子ベースの電気泳動ディスプレイである。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較したときに、良好な輝度およびコントラスト、広視野角、状態双安定性、ならびに低電力消費の属性を有することができる。それにも関わらず、これらのディスプレイの長期画像品質の問題が、それらの広範にわたる使用を妨げてきた。例えば、電気泳動ディスプレイを構成する粒子は沈降する傾向があり、その結果、これらのディスプレイに不十分な耐用寿命をもたらす。
【0006】
マサチューセッツ工科大学(MIT)、E Ink Corporation、E Ink California,LLC、および関連会社に譲渡されたまたはそれらの会社の名の下での、数多くの特許および出願は、カプセル化およびマイクロセル電気泳動およびその他の電気光学媒体で使用される様々な技術について記載する。カプセル化電気泳動媒体は、数多くの小カプセルを含み、そのそれぞれ自体は、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含有する内相と、内相を取り囲むカプセル壁とを含む。典型的には、カプセルは、それ自体がポリマー結合剤中に保持されて、2つの電極の間に位置決めされたコヒーレント層を形成する。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および流体が、マイクロカプセル内にカプセル化されず、代わりに、典型的にはポリマーフィルムであるキャリア媒体中に形成された複数のキャビティ内に保持される。これらの特許および出願に記載される技術は、下記を含む:
(a) 電気泳動粒子、流体、および流体添加剤;例えば米国特許第5,961,804号;第6,017,584号;第6,120,588号;第6,120,839号;第6,262,706号;第6,262,833号;第6,300,932号;第6,323,989号;第6,377,387号;第6,515,649号;第6,538,801号;第6,580,545号;第6,652,075号;第6,693,620号;第6,721,083号;第6,727,881号;第6,822,782号;第6,831,771号;第6,870,661号;第6,927,892号;第6,956,690号;第6,958,849号;第7,002,728号;第7,038,655号;第7,052,766号;第7,110,162号;第7,113,323号;第7,141,688号;第7,142,351号;第7,170,670号;第7,180,649号;第7,226,550号;第7,230,750号;第7,230,751号;第7,236,290号;第7,247,379号;第7,277,218号;第7,286,279号;第7,312,916号;第7,375,875号;第7,382,514号;第7,390,901号;第7,411,720号;第7,473,782号;第7,532,388号;第7,532,389号;第7,572,394号;第7,576,904号;第7,580,180号;第7,679,814号;第7,746,544号;第7,767,112号;第7,848,006号;第7,903,319号;第7,951,938号;第8,018,640号;第8,115,729号;第8,119,802号;第8,199,395号;第8,257,614号;第8,270,064号;第8,305,341号;第8,361,620号;第8,363,306号;第8,390,918号;第8,582,196号;第8,593,718号;第8,654,436号;第8,902,491号;第8,961,831号;第9,052,564号;第9,114,663号;第9,158,174号;第9,341,915号;第9,348,193号;第9,361,836号;第9,366,935号;第9,372,380号;第9,382,427号;および第9,423,666号;ならびに米国特許出願公開第2003/0048522号;第2003/0151029号;第2003/0164480号;第2003/0169227号;第2003/0197916号;第2004/0030125号;第2005/0012980号;第2005/0136347号;第2006/0132896号;第2006/0281924号;第2007/0268567号;第2009/0009852号;第2009/0206499号;第2009/0225398号;第2010/0148385号;第2011/0217639号;第2012/0049125号;第2012/0112131号;第2013/0161565号;第2013/0193385号;第2013/0244149号;第2014/0011913号;第2014/0078024号;第2014/0078573号;第2014/0078576号;第2014/0078857号;第2014/0104674号;第2014/0231728号;第2014/0339481号;第2014/0347718号;第2015/0015932号;第2015/0177589号;第2015/0177590号;第2015/0185509号;第2015/0218384号;第2015/0241754号;第2015/0248045号;第2015/0301425号;第2015/0378236号;第2016/0139483号;および第2016/0170106号参照;
(b) カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス;例えば米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照;
(c) マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルの形成方法;例えば米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照;
(d) マイクロセルを充填し封止するための方法;例えば米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照;
(e) 電気光学材料を含有する被膜およびサブアセンブリ;例えば米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照;
(f) バックプレーン、接着層、およびその他の補助層、ならびにディスプレイで使用する方法;例えば米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照;
(g) 色形成および色調節;例えば米国特許第7,075,502号および第7,839,564号参照;
(h) ディスプレイを駆動させる方法;例えば米国特許第7,012,600号および第7,453,445号参照;
(i) ディスプレイの適用;例えば米国特許第7,312,784号および第8,009,348号参照;および
(j) 米国特許第6,241,921号および米国特許出願公開第2015/0277160号に記載される非電気泳動ディスプレイ;ならびにディスプレイ以外のカプセル化およびマイクロセル技術の適用;例えば米国特許出願公開第2015/0005720号および第2016/0012710号参照。
【0007】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化電気泳動媒体中の個別のマイクロカプセルを取り囲む壁を、連続相によって置き換えることができ、したがって、いわゆるポリマー分散電気泳動ディスプレイが生成され、このディスプレイでは、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の個別の液滴とポリマー材料の連続相とを含むこと、ならびにそのようなポリマー分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の個別の液滴は、個別のカプセル膜が個々の液滴それぞれに関連付けられていなくても、カプセルまたはマイクロカプセルと考えられ得ることを認識しており;例えば、前述の米国特許第6,866,760号を参照されたい。したがって、本出願の目的で、そのようなポリマー分散電気泳動媒体は、カプセル化電気泳動媒体の下位種と考えられる。
【0008】
電気泳動ディスプレイは、通常、電気泳動材料の層と、電気泳動材料の両側に配置された少なくとも2つのその他の層とを含み、これら2つの層の1つが電極層である。ほとんどのそのようなディスプレイでは、両方の層が電極層であり、電極層の1つまたは両方は、ディスプレイの画素を画定するようにパターニングされている。例えば、1つの電極層は、細長い行電極にパターニングされてもよく、他の電極層は、行電極に直角に走る細長い列電極にパターニングされてもよく、画素は、行電極と列電極の交線によって画定される。あるいは、より一般的に、1つの電極層は単一連続電極の形態を有し、他の電極層は画素電極のマトリックスにパターニングされ、そのそれぞれはディスプレイの1つの画素を画定する。ディスプレイとは別の、スタイラス、プリントヘッド、または類似の可動電極と共に使用することが意図される、電気泳動ディスプレイの別のタイプでは、電気泳動層に隣接する層の1つのみが電極を含み、電気泳動層の反対側の層は、典型的には可動電極が電気泳動層を損傷するのを防止することが意図される保護層である。
【0009】
カプセル化電気泳動ディスプレイは、典型的には、伝統的な電気泳動デバイスのクラスター化および沈降不良モードにならず、広く様々な柔軟なおよび剛性のある基材上にディスプレイを印刷またはコーティングする能力などの、さらなる利点を提供する(「印刷する(printing)」という単語の使用は:プリメーターコーティング、例えばパッチダイコーティング、スロットまたは押出しコーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング;ロールコーティング、例えばナイフオーバーロールコーティング、フォワードおよびリバースロールコーティング;グラビアコーティング;浸漬コーティング;噴霧コーティング;メニスカスコーティング;スピンコーティング;ブラシコーティング;エアーナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス;静電印刷プロセス;熱印刷プロセス;インクジェット印刷プロセス;電気泳動堆積(米国特許第7,339,715号参照);およびその他類似の技法を含むがこれらに限定されることのない、印刷およびコーティングの全ての形態を含むことが意図される)。したがって、得られるディスプレイは柔軟であることができる。さらに、表示媒体を印刷することができるので(様々な方法を使用して)、ディスプレイそのものは安価に製造することができる。
電気泳動ディスプレイの設計では、多数の基準を満たすように、動電的に移動する顔料粒子の性質を調整することが頻繁に必要であり、1つの基準の要求が別の基準の要求に反することは珍しいことではない。例えば、誘電泳動メカニズムによって容易に切り換わる、光学的に透明な着色顔料を提供することが必要とされ得る。そのような顔料が透明性を示すようにするために、可視光を散乱させないよう十分小さい粒子を含まなければならない。しかし、誘電泳動的に切り換わるようにするために、粒子は、理想的には大きくあるべきであり、したがって電場勾配は、かなりの双極子モーメントを誘発し得る。両方の要求を満たす1つの方法は、小さい顔料粒子(透明性を必要とする)が大きい超粒子に組み込まれる複合粒子を構築することである(適切な誘電泳動移動度を示す)。したがって、動電移動度に関してそれ自体を適切に機能的にすることができる、大きい複合体に小さい顔料粒子を組み込む効率的な方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許第5,961,804号明細書
【文献】米国特許第6,017,584号明細書
【文献】米国特許第6,120,588号明細書
【文献】米国特許第6,120,839号明細書
【文献】米国特許第6,262,706号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の要旨
本発明の一態様によれば、ベース粒子と、ベース粒子の外側部分にある複数の親水性オリゴマー基とを含む複合粒子であって、ベース粒子が、架橋ポリ尿素と顔料および染料の少なくとも1種とを含む、複合粒子が提供される。架橋ポリ尿素は、ベース粒子の全体にわたる網状構造(network)を形成してもよい。
【0012】
本発明の別の態様によれば、複合粒子を製造する方法が提供される。方法は、水混和性溶媒に溶解した水分散性多官能性イソシアネート中に、染料含有溶液または顔料含有分散体のいずれかを提供すること、溶液/分散体の水中エマルジョンを形成すること、多官能性イソシアネートが架橋ポリ尿素に変換される間、エマルジョンを撹拌すること、および架橋ポリ尿素と染料/顔料とを含有する複合粒子をエマルジョンから分離することを含む。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、流体中に配置されかつ電場の影響下で流体中を移動することが可能な複数の帯電した粒子を含む、電気泳動媒体であって、粒子の少なくとも1つが本発明の実施形態による方法によって生成される電気泳動媒体を提供することである。帯電した粒子および流体は、複数のカプセルまたはマイクロセル内に閉じ込められてもよい。あるいは、帯電した粒子および流体は、ポリマー材料を含む連続相によって取り囲まれた複数の個別の液滴として存在していてもよい。流体は、液体であっても気状であってもよい。電気泳動媒体を含有する電気泳動材料は、電気泳動材料の層と、電気泳動材料の層に電場を印加するように配置された少なくとも1つの電極とを含む電気泳動ディスプレイに組み込まれてもよい。
【0014】
本発明の様々な実施形態により製造された電気泳動媒体を組み込むディスプレイは、従来技術の電気光学ディスプレイが使用されてきた任意の用途で使用できる。したがって、例えば本発明のディスプレイは、電子ブックリーダー、ポータブルコンピューター、タブレットコンピューター、携帯電話、スマートカード、標識、時計、棚ラベル、可変透過率窓、およびフラッシュドライブに使用できる。
【0015】
本発明のこれらおよびその他の態様は、以下の記載に鑑みれば明らかになるであろう。
【0016】
図面の図は、本発明の概念による1つまたは複数の実現例を、限定としてではなく、単なる例として示す。図中、同様の参照符号は、同じまたは類似の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、マイクロカプセルを形成する先行技術の方法の概略図である。
【0018】
【
図2】
図2は、本発明の実施形態による複合粒子を形成する方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
以下の詳細な記載では、関連ある教示の完全な理解をもたらすために、数多くの具体的な詳細を、例として示す。しかし、そのような詳細がなくても、本発明の教示を実施できることは、当業者に明らかであろう。
【0020】
本発明の様々な実施形態による複合粒子は、ベース粒子全体にわたる網状構造を形成する架橋ポリ尿素を含む。ここで本明細書および特許請求の範囲で使用される、「ベース粒子全体にわたる網状構造」を形成することは、架橋ポリ尿素が,ベース粒子の全厚以内の複数の場所/半径に存在することを意味する。したがって、マイクロカプセルのポリ尿素シェルは「ベース粒子全体にわたる網状構造」の定義から外れると考えられるが、それはシェルが一般に、例えばマイクロカプセルの外周に沿ってのみ存在するからである。
【0021】
本発明の実施形態による1つの方法において、架橋ポリ尿素は、水分散性多官能性イソシアネートから得られてもよい。水に接触すると、多官能性イソシアネートのイソシアネート基は加水分解し、二酸化炭素を放出し、アミンを形成する。アミノ基は、イソシアネートと、水よりも素早く反応し;したがって新しく形成されたアミンは、隣接する非加水分解イソシアネートと反応する傾向がある。この反応は尿素基を生成し、したがって反応の最終結果は、いくらかの遊離アミノ基も含有する架橋ポリ尿素である。
【0022】
水分散性多官能性イソシアネートは、典型的には、親水性オリゴマー基(しばしば、脂肪族オリゴマー、例えばポリ(エチレンオキシド))、および複数のイソシアネート基を含有する。イソシアネート基を保持する分子の部分は、本質的に水に不溶である。多官能性イソシアネートを非混和性溶媒と合わせ、連続水性相中で乳化させた場合、多官能性イソシアネートと溶媒との混合物は、
図1に示されるようにミセルを形成し、多官能性イソシアネートのポリ(エチレンオキシド)単位(11)が水によって溶媒和され、ミセルのより高い疎水性の内部がイソシアネート官能基(10)のほとんどを含有しながら水界面を安定化させる。イソシアネート基(10)は上記のように反応して、非混和性溶媒(12)の周りにポリ尿素シェル(13)を形成してマイクロカプセルを形成してもよい。
【0023】
理論に拘泥するものではないが、最初に水分散性多官能性イソシアネートを水混和性溶媒に溶解することによって、複合体のベース粒子全体にわたるポリ尿素網状構造を有する複合粒子が形成され得ると考えられる。本発明の実施形態の概略図である
図2を参照すると、水分散性多官能性イソシアネートと水混和性溶媒との混合物が水に導入され(撹拌しながら)、したがって、親水性オリゴマー基(11)によって水性界面で安定化された溶媒の液滴(14)が、形成される。溶媒の液滴(14)への水の拡散は、上記の加水分解反応およびアミン縮合によって多官能性イソシアネートを重合させ、一方、液滴から水性相への溶媒(14)の拡散は、液滴を収縮させる。平衡時、液滴はごく僅かな溶媒しか含有しなくなり、その結果、ベース粒子の厚さ全体にわたってほとんど架橋されたポリ尿素(15)、および溶媒に当初溶解されまたは分散されたその他のどのような材料も含む、ベース粒子が得られる。例えば、可溶性染料または不溶性顔料を、水混和性溶媒および水分散性多官能性イソシアネートの溶液に導入することによって、水性相での重合後に形成されたポリ尿素網状構造内に染料または顔料が捕獲されたベース粒子を有する複合粒子が得られる。
【0024】
したがって、本発明による複合粒子を製造するための様々な方法は、最初に、染料および水分散性多官能性イソシアネートを水混和性溶媒に溶解すること、または顔料を、水分散性多官能性イソシアネートおよび水混和性溶媒の溶液に分散させることのいずれかを含む。水分散性多官能性イソシアネートの、水混和性溶媒に対する重量比は、好ましくは1:3~3:1であり、最も好ましくは1:2~2:1である。染料または顔料の量は、最終的な複合粒子の所望の不透明度または透明度に依存し得る。
【0025】
第2のステップで、染料/顔料、多官能性イソシアネート、および水混和性溶媒の混合物を、水性相に添加する。必要に応じて、界面活性剤を水性相に添加しかつ/または撹拌速度を様々にして、例えば最終粒径を制御してもよい。
【0026】
上述のように、水が水性相に拡散するにつれ、多官能性イソシアネートは、既に記載された加水分解反応およびアミン縮合を介して架橋する。架橋度は、反応を生じさせる温度におよび時間に依存することになる。染色された溶液/顔料分散体の液滴が水性相に曝される時間の長さを延ばすことにより、架橋度が増大することになる。
【0027】
所望の架橋度に達したら、架橋ポリ尿素網状構造および染料/顔料を含有する、得られた複合粒子を、水性相(溶解した溶媒を含有する)から分離してもよい。これは、濾過、遠心分離、乾燥、およびこれらの組合せを含むがこれらに限定されることのない、当業者に公知の任意の分離方法を使用して実現され得る。以下にさらに詳細に記載するように、水の全てではないにしてもほとんどが、さらなる加工のために複合体から除去されることが好ましい。好ましくは、粒子は、遠心分離によって水性相から分離され、その後、残留する水および溶媒が除去されるように乾燥してもよい。
【0028】
本発明の様々な実施形態による複合粒子を形成するのに使用され得る、水分散性多官能性イソシアネートは、Bayer Corporationにより製造された商標名Bayhydurの下で販売されているものなどが、当業者に公知である。水分散性多官能性イソシアネートは、好ましくは、約5~35%の、より好ましくは約15~25%のNCO含量を有する。
【0029】
本発明の様々な実施形態による複合粒子を形成するための方法で使用され得る水混和性溶媒は、好ましくは、水分散性多官能性イソシアネートが可溶である有機溶媒である。そのような溶媒は、当技術分野で公知であり、これらに限定するものではないが、テトラヒドロフラン(THF)、ケトン、およびエステルが含まれる。溶媒は、イソシアネートと反応し得る求核基を含有すべきではない。1つの特に好ましい水混和性溶媒は、酢酸メチルである。水混和性溶媒の好ましい溶解度は、少なくとも5%、より好ましくは少なくとも25重量%である。本発明の様々な実施形態による複合粒子で使用され得る染料および顔料も、当業者に公知である。染料は、好ましくは水分散性多官能性イソシアネートおよび水混和性溶媒の1つまたは両方に可溶である。染料および顔料はまた、好ましくは水に不溶であり、複合粒子が添加されることになる電気泳動媒体の無極性溶媒に不溶である。本発明による複合粒子に組み込まれてもよい可溶性染料には、これらに限定するものではないが、Solvent Blue 70、Solvent Blue 67、Solvent Blue 136、Solvent Red 127、Solvent Red 130、Solvent Red 233、Solvent Red 125、Solvent Red 122、Solvent Yellow 88、Solvent Yellow 146、Solvent Yellow 25、Solvent Yellow 89、Solvent Orange 11、Solvent Orange 99、Solvent Brown 42、Solvent Brown 43、Solvent Brown 44、Solvent Black 28、およびSolvent Black 29が含まれる。
【0030】
水混和性溶媒および水分散性多官能性イソシアネートに不溶である顔料を、方法で代わりに使用して、本発明の複合粒子を調製してもよい。顔料は、多官能性イソシアネート/溶媒溶液と組み合わされて顔料分散体を形成してもよく、それは続いて水性相に導入される。本発明による複合粒子に組み込まれてもよい顔料には、これらに限定するものではないが、無機顔料、ニート顔料、レーキ顔料、および有機顔料が含まれる。
【0031】
無機顔料の例には、これらに限定するものではないが、TiO2、ZrO2、ZnO、Al2O3、CI顔料ブラック26または28、または同様のもの(例えば、マンガンフェライトブラックスピネルまたは銅クロマイトブラックスピネル)が含まれる。チタニア粒子などの粒子は、例えば酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素などの金属酸化物でコーティングされてもよい。
【0032】
有用なニート顔料には、これらに限定するものではないが、PbCrO4、CyanブルーGT 55-3295(American Cyanamid Company、Wayne、N.J.)、Cibacron Black BG(Ciba Company,Inc.、Newport、Del.)、Cibacron Turquoise Blue G(Ciba)、Cibalon Black BGL(Ciba)、Orasol Black BRG(Ciba)、Orasol Black RBL(Ciba)、Acetamine Black、CBS(E.I.du Pont de Nemours and Company,Inc.、Wilmington、Del.、以後、略して「du Pont」とする)、Crocein Scarlet N Ex(du Pont)(27290)、Fiber Black VF(du Pont)(3023S)、Luxol Fast Black L(du Pont)(Solv. Black 17)、Nirosine Base No.424(du Pont)(50415 B)、Oil Black BG(du Pont)(Solv.Black 16)、Rotalin Black RM(du Pont)、Sevron Brilliant Red 3 B(du Pont);Basic Black DSC(Dye Specialties,Inc.)、Hectolene Black(Dye Specialties,Inc.)、Azosol Brilliant Blue B(GAF,Dyestuff and Chemical Division、Wayne、N.J.)(Solv.Blue 9)、Azosol Brilliant Green BA(GAF)(Solv.Green 2)、Azosol Fast Brilliant Red B(GAF)、Azosol Fast Orange RA Conc.(GAF)(Solv.Orange 20)、Azosol Fast Yellow GRA Conc.(GAF)(13900 A)、Basic Black KMPA(GAF)、Benzofix Black CW-CF(GAF)(35435)、Cellitazol BNFV Ex Soluble CF(GAF)(Disp.Black 9)、Celliton Fast Blue AF Ex Conc(GAF)(Disp.Blue 9)、Cyper Black IA(GAF)(Basic Black 3)、Diamine Black CAP Ex Conc(GAF)(30235)、Diamond Black EAN Hi Con.CF(GAF)(15710)、Diamond Black PBBA Ex(GAF)(16505);Direct Deep Black EA Ex CF(GAF)(30235)、Hansa Yellow G (GAF)(11680); Indanthrene Black BBK Powd.(GAF)(59850)、Indocarbon CLGS Conc.CF(GAF)(53295)、Katigen Deep Black NND Hi Conc.CF(GAF)(15711)、Rapidogen Black 3 G(GAF)(Azoic Black 4);Sulphone Cyanine Black BA-CF(GAF)(26370)、Zambezi Black VD Ex Conc.(GAF)(30015);Rubanox Red CP-1495(The Sherwin-Williams Company、Cleveland、Ohio)(15630);Raven 11(Columbian Carbon Company、Atlanta、Ga.)、(粒径が約25μmのカーボンブラック凝集体)、Statex B-12(Columbian Carbon Co.)(33μmの平均粒径のファーネスブラック)、およびクロームグリーンが含まれる。
【0033】
レーキ顔料は、粒子の表面に沈殿させた染料を有するまたは着色された粒子である。レーキは、容易に可溶なアニオン性染料の金属塩である。これらは、1つまたは複数のスルホンまたはカルボン酸のグループを含有する、アゾ、トリフェニルメタン、またはアントラキノン構造の染料である。それらは通常、カルシウム、バリウム、またはアルミニウム塩によって基材上に沈殿させる。典型的な例は、ピーコックブルーレーキ(Cl Pigment Blue 24)およびPersianオレンジ(Cl Acid Orange 7のレーキ)、Black M Toner(GAF)(カーボンブラックと、レーキ上に沈殿させた黒色染料との混合物)である。
【0034】
有機顔料粒子には、これらに限定するものではないが、CI顔料PR 254、PR122、PR149、PG36、PG58、PG7、PB28、PB15:1、PB15:2、PB15:3、PB1:4、PY83、PY138、PY150、PY155、またはPY20、ならびにカラーインデックスハンドブック”New Pigment Application Technology” (CMC Publishing Co, Ltd, 1986)および”Printing Ink Technology” (CMC Publishing Co, Ltd, 1984)に記載されるその他の一般的に使用される有機顔料が含まれ得る。特定の例には、Clariant Hostaperm Red D3G 70-EDS、Hostaperm Pink E-EDS、PVファストレッドD3G、HostapermレッドD3G 70、Hostaperm Blue B2G-EDS、Hostaperm Yellow H4G-EDS、Novoperm Yellow HR-70-EDS、Hostaperm Green GNX、BASF IrgazineレッドL 3630、Cinquasia Red L 4100 HD、およびIrgazin Red L 3660 HD;Sun Chemicalフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジアリーリドイエローまたはジアリーリドAAOTイエローが含まれる。
【0035】
本発明による複合粒子の染料/顔料によって提示される色は、例えば白、黒、赤、緑、青、シアン、マゼンタ、または黄色であってもよい。それらの色に加え、粒子は、その他の明確な光学的性質、例えば光透過率、反射率、ルミネセンス、またはマシンリーディングが意図される表示媒体の場合には、可視範囲外の電磁波長の反射率の変化という意味で擬似カラーを有していてもよい。
【0036】
複合粒子は、種々の粒径を有していてもよいことも留意されたい。有用なサイズは、1nm~約100μmにまで及んでもよい。例えば、より小さい粒子は、約50nm~約800nmに及ぶサイズを有していてもよい。より大きい粒子は、より小さい粒子のサイズの約2~約50倍、より好ましくは約2~約10倍のサイズを有していてもよい。
【0037】
本発明の様々な実施形態により製造された複合粒子は、表面改質のためにさらに処理されてもよい。そのような表面改質プロセスは、その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2015/0218384号に開示されるプロセスのように、当業者に公知である。
【0038】
例えば、電気泳動媒体の安定性は、複合粒子の外側を廻る立体安定化ポリマーの化学結合または架橋のいずれかによって改善されてもよい。ポリマー安定化剤は、系の粒径およびコロイド安定性を決定し、好ましくは、炭化水素溶媒中で複合粒子を安定化させ得る長いポリマー鎖を有する。立体安定化ポリマーは、好ましくは複合粒子の約1~約15重量パーセントである。
【0039】
これらのポリマーコーティングされた複合粒子は、(a)粒子と、粒子に反応し結合することが可能な官能基を有しかつ重合性または重合開始基も有する試薬とを反応させ、それによって官能基を粒子表面と反応させかつそこに重合性基を結合させること;および(b)粒子上の重合性または重合開始基と少なくとも1種のモノマーまたはオリゴマーとの間で反応を引き起こすのに有効な条件下、ステップ(a)の生成物と少なくとも1種のモノマーまたはオリゴマーとを反応させ、それによって粒子に結合したポリマーの形成を引き起こすことを含む方法によって、調製されてもよい。
【0040】
本発明の様々な実施形態により製造された複合粒子は、粒子の表面に利用可能なアミン基を有する可能性が高いので、利用可能なアミン基は、アミンと反応することが可能な少なくとも1つの官能基および少なくとも1つの重合性基を有する上記のステップ(a)の試薬と共にあってもよい。例えば、この方法のステップ(a)(いわゆる「表面官能化」ステップ)で使用される試薬は、イソシアネート基およびアクリレート基、例えばイソシアネートエチルアクリレートを含んでいてもよい。あるいは、ステップ(a)および(b)は、立体安定化ポリマーが、複合粒子の表面のアミン基と反応し得るイソシアネート基などの官能基を含む場合には、既にポリマー形態である試薬を使用することによる、単一ステップで置き換えてもよい。
【0041】
上記のように、イソシアネートエチルアクリレートなどの試薬がステップ(a)で使用される場合、ポリマー安定化剤は、当業者に公知の様々な重合技法を使用して、1つまたは複数のモノマーまたはマクロモノマーから誘導されてもよい。例えばポリマー安定化剤は、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,822,782号に記載されるように、ランダムグラフト重合(RGP)、イオン性ランダムグラフト重合(IRGP)、および原子移動ラジカル重合(ATRP)によって得られてもよい。本出願において本明細書および特許請求の範囲の全体を通して使用される「マクロモノマー」は、それをモノマーとして作用させることができる1つの末端基を持つマクロ分子を意味する。
【0042】
ポリマー安定化剤を形成するための適切なモノマーには、これらに限定するものではないが、スチレン、アルファメチルスチレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸n-ブチル、アクリル酸t-ブチル、メタクリル酸t-ブチル、ビニルピリジン、N-ビニルピロリドン、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸n-オクチル、メタクリル酸n-オクチル、アクリル酸n-オクタデシル、メタクリル酸n-オクタデシル、アクリル酸2-パーフルオロブチルエチル、メタクリル酸2,2,2-トリフルオロエチル、メタクリル酸2,2,3,3-テトラフルオロプロピル、アクリル酸1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、メタクリル酸1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、アクリル酸2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、アクリル酸2,2,3,3-テトラフルオロプロピル、メタクリル酸2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチル、およびメタクリル酸2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル、または同様のものが含まれ得る。マクロモノマーは、アクリレート基、ビニル基、またはこれらの組合せからなる群から選択される末端官能基を含有していてもよい。
【0043】
所望の重合性または開始官能基を提供するのに使用される試薬について記載する際、ポリマー安定化剤が「二官能性」であってもよいという可能性を排除しない。例えば、1つより多いイオン性部位を有する重合開始剤(4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)など)が公知であり、そのような開始剤は、本発明の方法で使用されてもよい。また、先に述べたように、二官能性化合物は、粒子表面に結合する能力を有するマクロモノマー含有反復単位、および所望の重合性または開始官能基を有するその他の反復単位の形態を有していてもよく、そのようなマクロモノマー二官能性化合物は、これら両方のタイプの複数の反復単位を通常は含有するポリマー安定化剤を形成してもよい。
【0044】
粒子上に重合性または開始官能基を提供するように二官能性化合物を選択するとき、試薬中の2つの基の相対的な位置に注意を払うべきである。ポリマー製造の当業者に明らかなように、粒子に結合した重合性または開始基の反応速度は、基が粒子表面にしっかりと緊密に保持されるか否かに、またはこれが基の化学反応にはさらに非常に好ましい環境であるが、基がその表面から間隔を空けて(原子スケールで)配置され、したがって粒子を取り囲む反応媒体中にまで広がるか否かに、非常に大きく依存し得る。一般に、2個の官能基の間の直鎖中に少なくとも3個の原子があることが好ましい。
【0045】
代替の表面処理方法において、複合粒子は、重合性または重合開始基を有する試薬の溶液での粒子の処理により、複合粒子の表面に重合性基を含む試薬を物理吸着させることによって処理されてもよく、それによって、試薬は粒子表面に物理吸着され、粒子が炭化水素媒体中に置かれたときに試薬が粒子表面から脱着しなくなる。米国特許出願第2015/0218384号に開示されているこの方法は、複合粒子と、少なくとも1つのモノマーまたはオリゴマーを持つその表面に物理吸着させた試薬とを、少なくとも1つのモノマーまたはオリゴマーを持つ粒子上で重合性または重合開始基を重合するのに有効な条件下で反応させることをさらに含んでいてもよい。
【0046】
例えば一実施形態では、物理吸着試薬を、イオン性溶媒または溶媒混合物、例えば水/エタノール混合物に溶解してもよい。方法は、試薬の溶液のpHを調節して複合粒子上の電荷を制御すること、および粒子上の所望の電荷に応じて物理吸着させる試薬を選択することを含んでいてもよい。顔料化学の当業者に周知のように、イオン性液体中の多くの顔料粒子上の電荷は、液体のpHに依存し、典型的にはあるpH(等電点)であり、そこで粒子は帯電していない。顔料の等電点よりも上では、顔料は負に帯電し、試薬は第4級アンモニウム塩のグループを含有してもよく(オルガノクレイを調製する方法では非常に多い)、一方、等電点よりも下では、正に帯電した顔料表面を、アニオン性官能基を含有する試薬の吸着によって改質することができる。第4級アンモニウム塩のグループを持つ試薬には:[3-(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAETAC)、[3-(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムメチルスルフェート、および[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドが含まれる。アニオン性官能基を持つ試薬には、3-スルホプロピルメタクリレートカリウム塩(SPMK)および4-ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムが含まれる。方法は、無機酸化物表面を有する顔料に制限されず、原則として、官能化試薬の吸着を促進させるよう十分に帯電することができる任意の顔料にまで拡げてもよい。顔料粒子の表面に物理吸着される試薬は、望ましくは、重合ステップでおよび最終的な電気泳動ディスプレイの内部相で使用される低誘電率溶媒(典型的には、脂肪族炭化水素)中で複合粒子に本質的に不可逆的に結合するように選択されるべきである。
【0047】
別の表面処理方法では、複合粒子の表面のアミン基が求核性であるので、複合粒子は、重合性または重合開始基を有し、少なくとも1つの求電子基も含む試薬で処理され得る。試薬上の求電子基は、粒子表面の求核基と反応し、したがって重合性または重合開始基を粒子表面に結合させるする。この方法は、重合性または重合開始基と、既に記載したモノマーまたはマクロモノマーの少なくとも1種とを反応させることをさらに含んでいてもよい。
【0048】
この方法で有用な求電子試薬には、酸ハロゲン化物、例えば塩化4-ビニルベンジルおよび塩化メタクリロイル、ならびにメタクリル酸2-イソシアナトエチルが含まれる。ベンジルハロゲン化物および酸塩化物は共に、求核置換反応に関して非常に反応性がある。例えば、塩化4-ビニルベンジルとのカップリング反応は、表面に繋ぎ止められたスチレン基をもたらす。
【0049】
求電子試薬を使用する上記の表面処理の変形例において、試薬は、試薬の残基が顔料粒子に化学結合するように、重合性または重合開始基を排除してもよい。試薬は、それによる複合粒子の処理が、顔料粒子のゼータ電位に影響を及ぼすように、選択されてもよい。この方法で使用される好ましい試薬は、アルキルハロゲン化物、特に塩化または臭化ベンジルである。塩化または臭化ベンジルのいずれかによる処理は、顔料粒子のゼータ電位を、より正の値のほうにシフトさせる。
【0050】
さらに別の表面処理方法では、第1のステップでシリカコーティングを適用し、その後、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第20160085132号に記載される方法などの分散重合技法によって得られたポリマーコーティングを適用してもよい。ポリマーコーティングは、無極性溶媒などの電気泳動媒体中の複合粒子の立体安定化剤として働くことになる。
【0051】
シリカコーティングを持つ複合粒子を提供するのに、様々なコーティング方法、例えばその内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,639,133号に記載されているコーティング方法を、用いてもよい。複合粒子をコーティングする前に、超音波処理、ボールミリング、またはジェットミリングなどの方法を使用して、最初に複合粒子の水性スラリーを解凝集し均質化することにより、粒子を調製してもよい。次いで、ケイ酸ナトリウムまたはオルトケイ酸テトラエチルなどのシリカ前駆体を水性スラリーに添加してもよい。1つのプロセスにおいて、複合粒子は、エタノールおよびオルトケイ酸テトラエチルの溶液中に分散され、室温で20時間、塩基性条件下で反応させて、粒子上にシリカのほぼ均一なコーティングを形成し、コーティングされた粒子のシリカ含量は約2重量%~35重量%である。
【0052】
シリカコーティングの堆積が終了した後、反応混合物のpHを、約4未満に、好ましくは約3に低減させてもよく、その後、シリカコーティングされた粒子を反応混合物から分離する。pHの低減は、硫酸を使用して都合良く行われるが、その他の酸、例えば硝酸、塩酸、および過塩素酸を使用してもよい。シリカコーティングされた粒子は、遠心分離によって反応混合物から都合良く分離される。この分離後、粒子を乾燥させる必要はない。代わりに、シリカコーティングされた粒子を、媒体中に、典型的には水性アルコール媒体中に容易に再分散させて、粒子上にポリマーを形成するためのプロセスの次のステップで使用することができる。これにより、重合性または重合開始基の結合のために分散重合プロセスに供されるので、シリカコーティングされた粒子を非凝集および非融合形態で維持することが可能になり、したがってそのような基による、シリカコーティングされた粒子の完全な被覆が可能になり、粒子の大きい凝集体の形成が防止される。
【0053】
分散重合中、ラジカル重合性基を含有するモノマーまたはマクロモノマーは、二官能性試薬の存在下、シリカコーティングされた粒子の周りで重合する。反応媒体として選択される溶媒は、モノマーまたはマクロモノマーおよび二官能性試薬の両方に関して良溶媒でなければならないが、形成されるポリマーシェルに関しては非溶媒である。例えば、Isopar G(登録商標)の脂肪族炭化水素溶媒では、モノマーメチルメタクリレートが可溶であり;しかし重合後、得られるポリメチルメタクリレートは可溶ではない。ポリマーコーティングは、当業者に公知の様々なモノマーおよび重合技法、例えば上記のもの(例えば、ランダムグラフト重合(RGP)、イオン性ランダムグラフト重合(IRGP)、および原子移動ラジカル重合(ATRP))から誘導されてもよい。
【0054】
二官能性試薬は、シリカシェルおよびポリマーコーティングの表面に吸着する、組み込まれるようになる、または化学結合する、反応性および重合性マクロモノマーであってもよい。シリカコーティングは複合粒子を完全に覆うので、開始剤または重合性基を粒子の表面に結合させるのに使用される任意の二官能性試薬は、シリカコーティングと反応しなければならないことが理解されよう。二官能性試薬は、アクリレート末端またはビニル末端マクロ分子であってもよく、これらはアクリレートまたはビニル基が、ポリマーシェルを形成することになる反応媒体中でモノマーと共重合できるので、適切である。マクロ分子は、好ましくは長い炭化水素鎖を有し、炭化水素溶媒中で複合粒子を安定させることができる。
【0055】
二官能性試薬を、シリカコーティングされた粒子に結合するための、官能基の好ましい種類は、シランカップリング基であり、特にトリアルコキシシランカップリング基である。重合性基をシリカコーティングに結合させるための、1つの特に好ましい試薬は、Dow Chemical Company、Wilmington、Del.から商標名Z6030で市販されている、メタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピルである。対応するアクリレートを使用してもよい。
【0056】
立体安定化剤として使用されるマクロモノマーの1つのタイプは、アクリレート末端ポリシロキサン、例えばGelest、MCR-M11、MCR-M17、またはMCR-M22などである。粒子上に重合性または開始官能基を提供するための二官能性安定化剤を選択するとき、試薬中の2つの基の相対的な位置に注意を払うべきである。ポリマー製造の当業者に明らかなように、粒子に結合した重合性または開始基の反応速度は、基が粒子表面にしっかりと緊密に保持されるか否かに、またはこれが基の化学反応にさらに非常に好ましい環境であるが、基がその表面から間隔を空けて(原子規模で)配置され、したがって粒子を取り囲む反応媒体中にまで広がるか否かに、非常に大きく依存し得る。一般に、2個の官能基の間の直鎖中に少なくとも3個の原子があることが好ましく;例えばメタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピルは、シリルおよびエチレン系不飽和基の間に4個の炭素原子と1個の酸素原子の鎖を提供する。
【0057】
本発明の別の実施形態によれば、シリカコーティングされた有機顔料粒子上のポリマーシェルは、リビングラジカル分散重合によって調製されてもよい。リビングラジカル分散重合技法は、シリカコーティングされた複合粒子とモノマーおよび/またはマクロモノマーを反応媒体中に分散させることでプロセスを開始することにより、上記の分散重合に類似する。しかし、この代替のプロセスでは、シェルの表面に複数のリビング末端が形成される。リビング末端は、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ)、RAFT(可逆的付加-開裂連鎖移動)試薬または同様のものなどの薬剤を、リビングラジカル重合のために反応媒体に添加することによって創出されてもよい。
【0058】
反応媒体に添加される第2のモノマーおよび/またはマクロモノマーは、二官能性試薬のリビング末端と反応して、ポリマーコーティングを形成することになる。モノマーは、先に列挙されたモノマーまたはコモノマーの任意のものを含んでいてもよい。
【0059】
上記のプロセスの任意のものにおいて、使用される試薬、複合粒子、モノマーおよび/またはマクロモノマーの量は、得られる複合顔料粒子中の所望の有機物含量を実現するために、調節され制御されてもよい。さらに、本発明のプロセスは、1つより多くの段階および/または、1つより多くのタイプの重合を含んでいてもよい。
【0060】
前述のように、本発明の複合顔料は、電気光学ディスプレイに使用される電気泳動媒体に組み込まれてもよい。複合粒子の1つまたは複数は、誘電性溶媒または溶媒混合物などの、カプセル化された分散流体中に分散されてもよい。分散流体は、当業者に公知の任意の方法により、例えばマイクロカプセル、マイクロセル、またはポリマーマトリックスに、および任意のサイズまたは形状に、例えば球状などにカプセル化されてもよく、ミリメートル範囲またはミクロン範囲の直径を有していてもよいが、好ましくは約十から約数百ミクロンである。流体中の複合粒子のパーセンテージは、様々であってもよい。例えば粒子は、電気泳動流体の0.1%~50%、好ましくは0.5%~15%を占めてもよい。
【0061】
ポリマー安定化剤は、カプセル化された分散流体に対して非常に適合性があることが望ましい。事実、電気泳動媒体中の懸濁流体は、通常、炭化水素をベースにしかつ無極性である(例えばC6~C18分岐状アルカン)が、流体は、流体の密度を増大させるのに、したがって流体の密度と粒子の密度との間の差を減少させるのに使用される、ある割合のハロカーボンを含むことができる。したがって、本発明のプロセスで形成されたポリマー安定化剤は、カプセル化された流体に対して非常に適合性があること、したがってポリマー安定化剤そのものが炭化水素鎖の大部分を構成することが重要であり;帯電させる目的で提供される基を除き、以下に論じるように、多数の強イオン性基は、ポリマー安定化剤の炭化水素懸濁流体に対する可溶性を低くし、したがって粒子分散体の安定性に悪影響を及ぼすので、望ましくない。また、既に論じたように、少なくとも粒子が使用されることになる媒体が脂肪族炭化水素懸濁流体を含むとき(一般的にはそうであるように)、ポリマー安定化剤は、1つの主鎖と主鎖から離れて伸長する複数の側鎖とを持つ分岐または「櫛」構造を有することが有利である。これらの側鎖のそれぞれは、少なくとも約4個、好ましくは少なくとも約6個の炭素原子を有するべきである。実質的に長い側鎖が有利と考えられ;例えば、好ましいポリマー安定化剤のいくつかは、ラウリル(C12)側鎖を有していてもよい。側鎖は、それ自体は分岐していてもよく;例えば、各側鎖は、分岐状アルキル基、例えば2-エチルヘキシル基とすることもできる。炭化水素をベースにした懸濁流体に関する炭化水素鎖の高い親和性により、ポリマー安定化剤の分岐は、大きい体積の液体を通してブラシまたは樹状構造でお互いから拡がり、したがって懸濁流体に関する粒子の親和性および粒子分散体の安定性が増大すると考えられる(しかし本発明は、この考えに、如何様にも限定されない)。
【0062】
そのような櫛形ポリマーを形成する、2つの基本的な手法がある。第1の手法は、必要な側鎖を本質的に提供するモノマーを使用する。典型的には、そのようなモノマーは、長鎖(少なくとも4個、好ましくは少なくとも6個の炭素原子)の一端に単一の重合性基を有する。本発明の方法で良好な結果を与えることが分かっているこのタイプのモノマーは、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、およびメタクリル酸ラウリルを含む。メタクリル酸イソブチルおよびアクリル酸2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルも、首尾良く使用されてきた。ある場合には、そのようなプロセスで形成される側鎖の数を制限することが望ましいと考えられ、これは反復単位の一部のみが長い側鎖を保持するランダムコポリマーを形成するためにモノマーの混合物(例えば、メタクリル酸ラウリルとメタクリル酸メチルとの混合物)を使用することによって、実現することができる。RGP-ATRPプロセスに代表される第2の手法では、第1の重合反応が、モノマーの混合物を使用して実施され、これらのモノマーの少なくとも1つは開始基を保持し、したがってそのような開始基を含有する第1のポリマーが生成される。次いでこの第1の重合反応の生成物は、典型的には第1の重合とは異なる条件下で第2の重合に供され、したがってポリマー内の開始基は、当初のポリマーに対して追加のモノマーの重合を引き起こすようになり、それによって所望の側鎖が形成される。上記にて論じた二官能性試薬のように、開始基のいくつかの化学修飾が2つの重合の間で行われ得る可能性を排除しない。そのようなプロセスにおいて、側鎖そのものは、重度に分岐することを必要とせず、小さいモノマー、例えばメタクリル酸メチルから形成することができる。
【0063】
粒子に結合されたエチレン系または類似のラジカル重合性基のフリーラジカル重合は、高い反応温度で、好ましくは60~70℃、従来のフリーラジカル開始剤、例えばアゾビス(イソブチリイニトリル(isobutyryinitrile))(AIBN)を使用して行ってもよく、一方、ATRP重合は、Wang, J. S., et al., Macromolecules 1995, 23, 7901、およびJ. Am. Chem. Soc. 1995, 117, 5614、およびBeers, K. et al., Macromolecules 1999, 32, 5772-5776に記載されるような従来の金属錯体を使用して行うことができる。米国特許第5,763,548号;第5,789,487号;第5,807,937号;第5,945,491号;第4,986,015号;第6,069,205号;第6,071,980号;第6,111,022号;第6,121,371号;第6,124,411号;第6,137,012号;第6,153,705号;第6,162,882号;第6,191,225号;および第6,197,883号も参照されたい。これらの論文および特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。ATRPを実施する際に現在のところ好ましい触媒は、ビピリジル(Bpy)の存在下の塩化第I銅である。
【0064】
重合性基を保持する粒子が開始剤の存在下でモノマーと反応する、本発明のRGPプロセスは、反応混合物中のモノマーが重合されないので、粒子に結合されていない「遊離」ポリマーのいくらかの形成を必然的に引き起こすことになる。結合されていないポリマーは、その結合されていないポリマーが可溶である溶媒(典型的には、炭化水素)での粒子の反復洗浄によって、または(少なくとも金属酸化物またはその他の稠密な粒子の場合)処理された粒子を反応混合物(溶媒または希釈剤を先に添加してまたは添加せずに)から遠心分離し、粒子を新鮮な溶媒に再分散し、結合されていないポリマーの一部が許容可能なレベルまで低減されるまでこれらのステップを繰り返すことによって、除去され得る(結合されていないポリマーの割合の低下の後、ポリマーの試料の熱重量分析を行うことができる)。経験的に、1重量パーセント程度の小さな割合の結合されていないポリマーの存在は、処理した粒子の電気泳動特性に深刻な有害作用を全くもたらしそうになく;実際に、ある場合には、結合されていないポリマーおよび懸濁流体の化学的性質に応じて、電気泳動ディスプレイで粒子を使用する前に、結合されていないポリマーから、結合されたポリマー安定化剤を有する粒子を必ずしも分離する必要はないと考えられる。
【0065】
既に述べたように、電気泳動粒子上に形成されるべきポリマー安定化剤の量に関して最適な範囲があること、および粒子上に過剰な量のポリマーを形成することが、それらの電気泳動特性を劣化させる可能性があることが見出された。最適な範囲は、コーティングされる粒子の密度およびサイズ、粒子が使用されることが意図される懸濁媒体の性質、ならびに粒子上に形成されるポリマーの性質を含むいくつかの要因により様々になり、任意の特定の粒子、ポリマー、および懸濁媒体の場合、最適な範囲は、経験的に最良に決定される。しかし、一般的指針により、粒子が稠密になるほど、粒子に対する重量でのポリマーの最適な割合は低下し、粒子がより微細に分割されるほど、ポリマーの最適な割合は高くなることに、留意すべきである。一般に粒子は、粒子の少なくとも約2重量パーセント、望ましくは少なくとも約4重量パーセントでコーティングされるべきである。ほとんどの場合、ポリマーの最適な割合は、粒子の約4~約15重量パーセントに及ぶことになり、典型的には、約6~約15重量パーセントであり、最も望ましくは約8~約12重量パーセントである。
【0066】
顔料粒子の電荷発生のために官能基を組み込むには、コモノマーを重合反応媒体に添加してもよい。コモノマーは、複合顔料粒子を直接帯電させてもよく、または表示流体中の電荷制御剤と相互に作用させて、所望の電荷極性および電荷密度を複合顔料粒子にもたらしてもよい。適切なコモノマーには、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルリン酸、2-アクリルアミノ-2-メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、および同様のものが含まれ得る。適切なコモノマーには、フッ素化アクリレートまたはメタクリレート、例えばアクリル酸2-パーフルオロブチルエチル、メタクリル酸2,2,2トリフルオロエチル、メタクリル酸2,2,3,3テトラフルオロプロピル、アクリル酸1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、メタクリル酸1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、アクリル酸2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、アクリル酸2,2,3,3-テトラフルオロプロピル、メタクリル酸2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチル、またはメタクリル酸2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルも含まれ得る。あるいは、帯電したまたは帯電可能な基を、重合性または開始官能基を顔料に提供するのに使用される二官能性安定化剤を介して、ポリマーに組み込んでもよい。
【0067】
酸性または塩基性基などの官能基は、重合中に「ブロックされた」形で提供されてもよく、次いでポリマー形成後にはブロック解除されてもよい。例えば、ATRPは酸の存在下で開始できないので、ポリマー中に酸性基を提供することが望まれる場合には、アクリル酸t-ブチルまたはメタクリル酸イソボルニルなどのエステルが使用されてもよく、最終的なポリマー内のこれらのモノマーの残基が加水分解されてアクリルまたはメタクリル酸残基を提供する。
【0068】
帯電したまたは帯電可能な基を、複合粒子上におよびこの粒子に個別に結合されたポリマー安定化剤上にも生成することが望まれる場合、2種の試薬の混合物であってその1種が帯電したまたは帯電可能な基(または所望の帯電したまたは帯電可能な基を生成するように最終的には処理されることになる基)を保持しかつその他方が重合性または重合開始基を保持する混合物で、粒子を処理することが非常に好都合であると考えられる。望ましくは2種の試薬は、反応条件に少しのばらつきが生じた場合、試薬が粒子と反応する相対速度が同様の手法で変化することになるように、かつ帯電したまたは帯電可能な基の数と重合性または重合開始基の数との比が実質的に一定のままになるように、粒子表面と反応する同じまたは本質的に同じ官能基を有する。この比は、混合物に使用される2種(またはそれよりも多く)の試薬の相対モル量を変化させることによって、様々に変えることができ制御できることが理解されよう。
【0069】
電気泳動粒子の密度は、懸濁(即ち、電気泳動)流体の密度と実質的に一致してもよい。本明細書で定義される懸濁流体は、それぞれの密度の差が約ゼロ~約2グラム/ミリリットル(「g/ml」)の間である場合、粒子の密度に「実質的に一致する」密度を有する。この差は、好ましくは約ゼロ~約0.5g/mlの間である。
【0070】
複合粒子が分散される溶媒は、無色透明であってもよい。それは、好ましくは低粘度を有し、高い粒子移動度に関して約2~約30、好ましくは約2~約15の範囲の誘電率を有する。適切な誘電性溶媒の例には、炭化水素、例えばイソパール、デカヒドロナフタレン(DECALIN)、5-エチリデン-2-ノルボルネン、脂肪油、パラフィン油、シリコン流体、芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、フェニルキシリルエタン、ドデシルベンゼン、またはアルキルナフタレン、ハロゲン化溶媒、例えばパーフルオロデカリン、パーフルオロトルエン、パーフルオロキシレン、ジクロロベンゾトリフルオリド、3,4,5-トリクロロベンゾトリフルオリド、クロロペンタフルオロベンゼン、ジクロロノナン、またはペンタクロロベンゼン、および過フッ素化溶媒、例えば3M Company、St.Paul MN製のFC-43、FC-70、またはFC-5060、低分子量ハロゲン含有ポリマー、例えばTCI America、Portland、Oregon製のポリ(パーフルオロプロピレンオキシド)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、例えばHalocarbon Product Corp.、River Edge、NJ製のHalocarbon Oil、パーフルオロポリアルキルエーテル、例えばAusimont製のGalden、またはDuPon、Delaware製のKrytox Oilおよびグリース K-Fluidシリーズ、Dow-Corning(DC-200)製のポリジメチルシロキサンをベースにしたシリコーン油が含まれる。
【0071】
電荷制御剤を、ポリマーコーティング中に帯電した基と共にまたはなしで使用して、良好な電気泳動移動度を電気泳動粒子に提供してもよい。安定化剤は、電気泳動粒子の凝集を防止するのに、ならびに電気泳動粒子がカプセル壁に不可逆的に堆積されるのを防止するのに使用されてもよい。どちらの成分も、広範囲にわたる分子量の材料(低分子量、オリゴマーまたはポリマー)から構成でき、単一の純粋な化合物または混合物であってもよい。粒子表面電荷を修正および/または安定化するのに使用される電荷制御剤は、液体トナー、電気泳動ディスプレイ、非水性塗料分散体、およびエンジンオイル添加剤の分野で一般に公知であるように適用される。これらの分野の全てにおいて、帯電種は、電気泳動移動度を増大させまたは静電気安定化を増大させるために、非水性媒体に添加されてもよい。材料は、立体安定性も同様に改善することができる。選択的イオン吸着、プロトン移動、および接触帯電を含めた、帯電の種々の理論が想定される。
【0072】
必要に応じた電荷制御剤または電荷誘導剤を、電気泳動流体に組み込んでもよい。これらの構成成分は、典型的には、低分子量界面活性剤、ポリマー剤、または1種もしくは複数の成分のブレンドからなり、電気泳動粒子上の電荷の符号および/または大きさを安定化させるように、または別の方法で修正するように働く。関連付けられ得る追加の顔料特性は、粒径分布、化学組成、および耐光性である。
【0073】
電荷補助剤が添加されてもよい。これらの材料は、電荷制御剤または電荷誘導剤の有効性を増大させる。電荷補助剤は、ポリヒドロキシ化合物またはアミノアルコール化合物であってもよく、好ましくは少なくとも2重量%の量で懸濁流体に可溶性である。少なくとも2個のヒドロキシル基を含有するポリヒドロキシ化合物の例には、これらに限定するものではないが、エチレングリコール、2,4,7,9-テトラメチルデシン-4,7-ジオール、ポリ(プロピレングリコール)、ペンタエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、グリセロールトリス(12-ヒドロキシステアレート)、プロピレングリセロールモノヒドロキシステアレート、およびエチレングリコールモノヒドロキシステアレートが含まれる。少なくとも1つのアルコール官能基および1つのアミン官能基を同じ分子中に含有するアミノアルコール化合物の例には、これらに限定するものではないが、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、エタノールアミン、3-アミノ-1-プロパノール、o-アミノフェノール、5-アミノ-1-ペンタノール、およびテトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンが含まれる。電荷補助剤は、好ましくは懸濁流体中に、粒子質量のグラム当たり約1~約100ミリグラム(「mg/g」)の量で、より好ましくは約50~約200mg/gの量で存在する。
【0074】
一般に、帯電は、連続相に存在するいくらかの部分と粒子表面との間での酸-塩基反応として得られると考えられる。したがって有用な材料は、そのような反応または当技術分野で公知の任意のその他の帯電反応に関与することが可能なものである。
【0075】
有用な電荷制御剤の種々の非限定的な種類には、有機スルフェートまたはスルホネート、金属石けん、ブロックまたは櫛形コポリマー、有機アミド、有機双性イオン、ならびに有機ホスフェートおよびホスホネートが含まれる。有用な有機スルフェートおよびスルホネートには、これらに限定するものではないが、ビス(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、石油スルホン酸カルシウム、中性または塩基性バリウムジノニルナフタレンスルホネート、中性または塩基性カルシウムジノニルナフタレンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、およびラウリル硫酸アンモニウムが含まれる。有用な金属石けんには、これらに限定するものではないが、塩基性または中性バリウムペトロネート、カルシウムペトロネート、ナフテン酸のCo--、Ca--、Cu--、Mn--、Ni--、Zn--、およびFe--塩、ステアリン酸のBa--、Al--、Zn--、Cu--、Pb--、およびFe--塩、2価および3価の金属カルボキシレート、例えばトリステアリン酸アルミニウム、オクタン酸アルミニウム、ヘプタン酸リチウム、ステアリン酸鉄、ジステアリン酸鉄、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸クロム、オクタン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ナフタレン酸鉄、ナフタレン酸亜鉛、Mn--およびZn--ヘプタノエート、ならびにBa--、Al--、Co--、Mn--、およびZn--オクタノエートが含まれる。有用なブロックまたは櫛形コポリマーには、これらに限定するものではないが、(A)p-トルエンスルホン酸メチルで4級化されたメタクリル酸2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルのポリマーと、(B)ポリ(メタクリル酸2-エチルヘキシル)とのABジブロックコポリマー、ならびに(12-ヒドロキシステアリン酸)の油溶性尾部を持ちかつ約1800の分子量を有し、ポリ(メチルメタクリレート-メタクリル酸)の油溶性アンカー基の側基である、櫛形コポリマーが含まれる。有用な有機アミドには、これらに限定するものではないが、ポリイソブチレンスクシンイミド、例えばOLOA 371または1200(Chevron Oronite Company LLC、Houston、Tex.から入手可能)、またはSolsperse 19000およびSolsperse 17000(Avecia Ltd.、Blackley、Manchester、United Kingdomから入手可能;「Solsperse」は登録商標である)、およびN-ビニルピロリドンポリマーが含まれる。有用な有機双性イオンには、レシチンが含まれるが、これに限定するものではない。有用な有機ホスフェートおよびホスホネートには、これらに限定するものではないが、飽和および不飽和酸置換基を持つリン酸化モノおよびジグリセリドのナトリウム塩が含まれる。
【0076】
粒子分散安定化剤は、粒子凝集またはカプセル壁への結合を防止するために添加されてもよい。電気泳動ディスプレイの懸濁流体として使用される、典型的な高抵抗率液体では、非水性界面活性剤が使用されてもよい。これらには、グリコールエーテル、アセチレングリコール、アルカノールアミド、ソルビトール誘導体、アルキルアミン、第4級アミン、イミダゾリン、ジアルキルオキシド、およびスルホスクシネートが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0077】
双安定性電気泳動媒体が望まれる場合、懸濁流体中に、約20,000を超える数平均分子量を有するポリマーを含むことが望ましいと考えられ、このポリマーは、電気泳動粒子に対して本質的に非吸収性であり、ポリ(イソブチレン)が、この目的のために好ましいポリマーである。その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,170,670号を参照されたい。
【実施例】
【0078】
下記の実施例は、本発明の例示的な実施形態として示されるものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0079】
ステップ1:
【0080】
試料1
【0081】
約2gのSolvent Blue 70を、10gのBayhydur 302と10gのテトラヒドロフラン(THF)との溶液に、室温(約20℃)で溶解した。次いで溶液を、ピペットを用いて、脱イオン水(100g)を含有する撹拌フラスコに、25℃で、表面下で添加した。そのように形成された混合物を一晩撹拌し、次いで遠心分離し(3500rpmで30分間)、その後、上澄み液をデカンテーションした。得られた染色された粒子のケーキを空気乾燥し、次いでヘラで潰した。
【0082】
試料2
【0083】
2gのOrasol Yellow GLNを、Solvent Blue 70の代わりに使用したこと以外、実施例1と同じプロセスを繰り返した。
【0084】
ステップ2:
【0085】
4.5gの試料1および2を、それぞれ個別にIsopar-E(18g)およびSolsperse17kと(isopar-E中20%溶液を4.5g)、磁気撹拌バーを含有するガラスジャー内で合わせた。3mm直径のガラスビーズ(20g)を添加し、混合物を一晩撹拌して、小さな染色された粒子のスラリーを得た。
【0086】
スラリーの顕微鏡法による分析は、サイズが約0.5~5ミクロンに及ぶ粒子を明らかにした。
【0087】
本発明の好ましい実施形態について、示しかつ本明細書で記載してきたが、そのような実施形態は単なる例として提供されることが理解されよう。数多くの変形形態、変更形態、および置換形態を、本発明の精神から逸脱することなく、当業者なら思い浮かべるであろう。したがって、添付される特許請求の範囲は、本発明の精神および範囲内に包まれるそのような変形形態の全てを含むものとする。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
ベース粒子と、前記ベース粒子の外側部分上の複数の親水性オリゴマー基とを含み、前記ベース粒子が、架橋ポリ尿素と顔料および染料の少なくとも1種とを含み、前記架橋ポリ尿素が、前記ベース粒子の全体にわたる網状構造を形成する、複合粒子。
(項目2)
前記親水性オリゴマー基が脂肪族である、項目1に記載の複合粒子。
(項目3)
前記親水性オリゴマー基が、ポリエチレンオキシドを含む、項目2に記載の複合粒子。
(項目4)
前記染料が、水に不溶でありかつ水混和性溶媒に可溶である、項目1に記載の複合粒子。
(項目5)
前記染料が、Solvent Blue 70、Solvent Blue 67、Solvent Blue 136、Solvent Red 127、Solvent Red 130、Solvent Red 233、Solvent Red 125、Solvent Red 122、Solvent Yellow 88、Solvent Yellow 146、Solvent Yellow 25、Solvent Yellow 89、Solvent Orange 11、Solvent Orange 99、Solvent Brown 42、Solvent Brown 43、Solvent Brown 44、Solvent Black 28、Solvent Black 29、およびこれらの組合せからなる群から選択される、項目4に記載の複合粒子。
(項目6)
前記ベース粒子の外側部分が、アミノ基をさらに含む、項目1に記載の複合粒子。
(項目7)
項目1に記載の複合粒子と無極性流体とを含有する、電気泳動媒体。
(項目8)
前記無極性流体が、C6~C18分岐状アルカンを含む、項目7に記載の電気泳動媒体。
(項目9)
複合粒子を製造する方法であって、
染料および水分散性多官能性イソシアネートを、水混和性溶媒に溶解して、溶液を形成すること、
前記溶液を水性相に添加して、エマルジョンを形成すること、
前記多官能性イソシアネートが架橋ポリ尿素に変換される間、前記エマルジョンを撹拌すること、ならびに
前記架橋ポリ尿素と前記染料とを含有する複合粒子を、前記エマルジョンから分離すること
を含む、方法。
(項目10)
前記水分散性多官能性イソシアネートが、親水性オリゴマー基および少なくとも1個のイソシアネート基を含有する、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記親水性オリゴマー基が脂肪族である、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記親水性オリゴマー基がポリエチレンオキシドを含む、項目10に記載の方法。
(項目13)
前記水混和性溶媒が、少なくとも25重量%の水溶解度を有する、項目9に記載の方法。
(項目14)
前記水混和性溶媒が、THF、酢酸メチル、およびこれらの混合物からなる群から選択される、項目13に記載の方法。
(項目15)
複合粒子を製造する方法であって、
顔料を、水混和性溶媒に溶解した水分散性多官能性イソシアネートを含有する溶液中に分散させて、分散体を形成すること、
前記分散体を水性相に添加して、エマルジョンを形成すること、
前記多官能性イソシアネートが架橋ポリ尿素に変換される間、前記エマルジョンを撹拌すること、および
前記架橋ポリ尿素と前記顔料とを含有する複合粒子を、前記エマルジョンから分離すること
を含む、方法。
(項目16)
前記水分散性多官能性イソシアネートが、親水性オリゴマー基および少なくとも1個のイソシアネート基を含有する、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記親水性オリゴマー基が脂肪族である、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記親水性オリゴマー鎖が、ポリエチレンオキシドを含む、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記水混和性溶媒が、少なくとも25重量%の水溶解度を有する、項目15に記載の方法。
(項目20)
前記水混和性溶媒が、THF、酢酸メチル、およびこれらの混合物からなる群から選択される、項目19に記載の方法。