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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】ペレットの選別方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 9/16 20060101AFI20221011BHJP
   B03C 1/00 20060101ALI20221011BHJP
   B03C 1/18 20060101ALI20221011BHJP
   B29B 13/00 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
B29B9/16
B03C1/00 B
B03C1/18
B29B13/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021132608
(22)【出願日】2021-08-17
(62)【分割の表示】P 2017024190の分割
【原出願日】2017-02-13
(65)【公開番号】P2021178516
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2021-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】594137579
【氏名又は名称】三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】田尻 敏之
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-074546(JP,A)
【文献】特開平08-141432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/00-13/10,
B03C 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体入り樹脂ペレットと磁性体を含まない樹脂ペレットをベルト式マグネットロールセパレータを用いて選別する方法であって、
前記ベルト式マグネットロールセパレータは、外周面には永久磁石が設けられた磁性ローラと、永久磁石の磁界を遮蔽しないベルトから構成され、
前記樹脂ペレットがポリブチレンテレフタレート樹脂のペレットであり、
前記樹脂ペレットとして、長径と短径の比(長径/短径)が1.2~2.0の楕円形断面を有し、高さが5mm以下の楕円柱状ペレットを用い、ベルトの幅を20cm~1m、ベルトの張力を20~120Nの範囲、ベルトの速度を0.30~0.90m/秒として、選別することを特徴とする電子部品用ポリブチレンテレフタレート樹脂のペレットの選別方法。
【請求項2】
請求項1に記載のペレット選別工程を含む、電子部品用ポリブチレンテレフタレート樹脂のペレットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペレットの選別方法に関し、詳しくは樹脂ペレットをベルト式マグネットロールセパレータを用いて選別する方法であって、鉄などの磁性材料を含むペレットと磁性材料を含まないペレットを選別するペレットの選別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
成形前の樹脂の原料として、一般に3~5mm程度の略円柱にした粒状の樹脂ペレットが用いられている。樹脂ペレットを製造するには、樹脂や添加剤などの原料をタンクやホッパーに収容した後、フィーダにより所定の量となるよう計量した上で押出機に供給する。押出機では、各原料が混練、加熱溶融され、押出機先端のノズルからストランド状に押出され、樹脂ストランドは、搬送コンベア又は冷却水槽を介してペレタイザーによって裁断され、ペレットが製造される。
【0003】
このような原料からペレット化に至るまでの製造過程において、ペレットに原料以外の不純物が混入しないように各装置は厳格に管理されている。しかしながら、タンクやホッパーから押出機、ペレタイザー等の各装置に至るまでの経路には、原料の供給、停止を行うバルブなどの開閉部があり、開閉部では材料が鉄であれば、開閉の際に接触する部分から鉄材がこすられて、摩耗粉が異物となって発生する場合がある。また、装置によっては原料を均一化するため、攪拌機を備えているものもあり、攪拌機の回転部のこすれから、摩耗粉が発生することもある。さらに、押出機では、スクリューなどの回転部があり、ここでも鉄材のこすれによる摩耗粉が発生することもある。
【0004】
このような、タンク、ホッパー、フィーダ及び押出機などから発生した意図しない摩耗粉などが押出機において、樹脂原料に混入すると生産された樹脂ペレットに摩耗粉が含まれることがある。ところが、樹脂ペレットの用途によっては、鉄などの異物が含まれていると、樹脂原料を用いた成形品の商品性能や品質を劣化させてしまうことがある。特に、近年に高度化された電子製品などにはその影響が生じやすく、そのような鉄などの磁性体を含む不良品ペレットと、含まない良品ペレットを選別し、不良品ペレットを効率よく除去することが望まれている。
【0005】
特許文献1に開示された技術では、磁性不純物を含む被分離物質と磁性不純物を含んでいない被分離物質とを分離する分離方法が開示されている。この分離方法は、所謂ベルト式マグネットロールセパレータを用い非分離物質を分離する方法であり、マグネット棒体(磁性ローラ)と非マグネット棒体(非磁性ローラ)との間に無端ベルトが掛けられており、無端ベルトによって被分離物質を移送する。そして、無端ベルトの搬送速度で発生する被分離物質の慣性力とマグネット棒体の磁力による吸着力および被分離物質の自重との間の関係により、磁性材料を含む被分離物質と含まない被分離物質を分離するようにした発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平8-141432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記したベルト式マグネットロールセパレータ装置を適用するだけでは、磁性体が微少に含まれる樹脂ペレットに対して精確な選別を行うには未だ改善の余地がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、非磁性ペレットと磁性ペレットの選別をより確実に行うことができるベレット選別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のペレットの選別方法は、磁性体入り樹脂ペレットと磁性体を含まない樹脂ペレットをベルト式マグネットロールセパレータを用いて選別する方法であって、
前記樹脂ペレットとして、長径と短径の比(長径/短径)が1.2~2.0の楕円形断面を有する楕円柱状ペレットを用い、ベルトの速度を0.30~0.90m/秒として、選別するようにした。
上記ペレットの選別方法は、前記ベルトの張力が20~120Nの範囲であることが好ましい。
上記ペレットの選別方法は、前記樹脂ペレットがポリブチレンテレフタレート樹脂のペレットであることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
樹脂ペレットとして、断面の長径/短径比が1.2~2.0の楕円形の楕円柱状ペレットを用い、樹脂ペレットを搬送するベルトの速度を0.30~0.90m/秒の範囲として、磁性体入りペレットを選別したので、微少の金属入りペレットを高い確率で選別除去することが可能となった。
また、前記ベルトの張力が20~120Nの範囲であるので、ベルトのテンションにより、ベルトが樹脂ペレットに悪影響をもたらすことがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態による樹脂ペレット選別装置の概略側面図である。
図2図1の樹脂ペレット選別装置の移送ベルトのベルトテンションの計測方法を説明するための移送ベルト部の概略側面図である。
図3図3は、本実施形態における樹脂ペレットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態によるペレット選別装置方法について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る樹脂ペレット選別装置を示し、樹脂ペレット選別装置1は、磁性体を吸着する磁石を備え、前方側に位置する回転可能な磁性ローラ2と、磁性ローラ2の後方側に位置する回転可能なサブローラ3と、これらの磁性ローラ2とサブローラ3との周りに巻装された搬送用の移送ベルト4と、磁性ローラ2の前方に間隔を空けて配設されている分離板5と、分離板5の前方側に配置される非磁性ペレット収容部6と、分離板5の後方側に配置される磁性ペレット収容部7とを備えている。なお、本実施形態において、磁性体とは磁石に吸引される鉄などの金属をいう。
【0012】
樹脂ペレット選別装置1の磁性ローラ2は、外周面に永久磁石が設けられ、中心軸21には、図示しない駆動モータが連結され、磁性ローラ2を予め設定された回転数で回転させる。サブローラ3は一般の従動ローラを用いることができる。移送ベルト4は、永久磁石の磁界を遮蔽しないものを使用し、耐熱性を有しできるだけ薄くて強度のある材質が好ましい。
分離板5は、平板状であって、移送ベルト4の移送方向に対して、面が対向するように配置され、上端縁5aが移送ベルト4の幅方向へ向けられ、水平方向へ延在するように配置される。上端縁5aの位置は、磁性ローラ2の前方に配置され、本実施形態では、分離板5は傾斜角が調整できるように基端(下端)側に回転軸5bが設けられ回動可能に配設される。
【0013】
分離板5の前後部には、前面側に非磁性ペレットを収容する非磁性ペレット収容部6が設けられ、後面側には磁性ペレットを収容する磁性ペレット収容部7が設けられている。本実施形態では、樹脂ペレット選別装置1のコンベア部分の移送ベルト4の長さは約30cm~1.5m程度で幅約20cm~1m程度のものを用いている。ベルト速度は、0.3m/秒~0.9m/秒、ベルト張力は、20N~120Nの範囲とした。
なお、ベルト張力の測定は、図2に示すように、移送ベルト4の中央に重り(又は測定器)を載せてベルトの降下距離によって求めた。図中のTはベルトテンション、mは重り重量、Lはベルトの支点間距離、hはベルト中央部の降下距離、gは重力加速度であり、以下の式によりベルトテンション(単位:N)が求められる。
T=mgL/2h
【0014】
樹脂ペレット選別装置1の移送ベルト4の上流側には、移送ベルト4上に樹脂ペレットEを供給するホッパー8が設けられている。ホッパー8は図示しない樹脂ペレットの製造ラインに連結され、移送ベルト4に樹脂ペレットを一定量毎の割合で供給できる。なお、ホッパー8は樹脂ペレットの製造ラインと切り離されたものであってもよく、その場合は貯蔵されていた樹脂ペレットが直接ホッパーに投入される。
【0015】
本実施形態において、樹脂ペレット選別装置1によって選別される材料は樹脂ペレットであり、磁石に吸引されない良品ペレットと磁石に吸引される鉄などの磁性体を微少に含む不良品ペレットとを選別する。
図3に本実施形態に係るペレットの一例としての樹脂ペレットEを示す。
図に示すように、樹脂ペレットEは、楕円柱形状であり、その楕円断面の長径と短径の比(長径/短径、以下「扁平率」ともいう。)は、1.5であるが、本実施形態では、扁平率が1.2~2.0の範囲のものを使用する。楕円柱形の樹脂ペレットは、押出機のノズルのダイスの形状を楕円形状に形成したものによって形成できる。
【0016】
樹脂ペレットの材料は特に問わないが、本発明では、ポリエステル樹脂であることが好ましく、熱可塑性のホモポリエステル、コポリエステルの何れであってもよい。
中でも好ましいのは、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリアルキレンテレフタレートであり、特にはポリブチレンテレフタレート樹脂が好ましい。
【0017】
次に、本実施形態の作用について説明する。
樹脂ペレットに至るまでの製造過程において、樹脂原料を貯蔵する樹脂タンクや、樹脂原料を押出機に供給するためのホッパー、フィーダなどの各装置において、磁性金属の摩耗粉などの異物や、外部から鉄分などの磁性体が、製造された樹脂ペレットに含まれることがある。それらの装置において発生した磁性体は、押出機において、樹脂原料に混入されることがある。
【0018】
その結果、押出機によって加熱混練、溶融されて形成された樹脂ペレットに、意図しない鉄などの摩耗粉などの磁性体が混入することがある。また、時には、樹脂原料に当初から微少な磁性金属が含まれている場合も想定できる。そのような溶融樹脂から形成された樹脂ペレットには、鉄分などの磁性体を混入しない樹脂ペレットと磁性体を混入する樹脂ペレットが含まれる。本実施形態の樹脂ペレット選別装置1は、磁石に吸着されない鉄分を含まない樹脂ペレットとし、磁石に吸着される磁性体を含む樹脂ペレットを選別する働きをする。
【0019】
なお、以下、磁性体として、ペレットに鉄成分が含まれているものを対象として説明するが、磁性体には、鉄以外に、ニッケル、コバルトの磁性体や、これら磁性体を含有する合金も含まれる。
【0020】
樹脂ペレット選別装置1を用いて樹脂ペレットを選別するには、先ず分離板5の上端縁の位置を決めるため、磁性体が含まれていない樹脂ペレットを移送ベルトに流し、それらの放物線軌道の直ぐ下に分離板の上端縁が配置されるように、分離板の設定角度を決定することが好ましい。
【0021】
図1を参照にして、ホッパーを介して移送ベルト4上に供給された樹脂ペレットEは、移送ベルト4によって前方側に搬送される。本実施形態では、樹脂ペレットは断面(楕円柱軸に対して直角方向の断面)が楕円形であるので、移送ベルト4上で樹脂ペレット同士の重なりがない場合は、通常であれば、楕円の長径が水平方向に向き、短径が上下方向に向く。したがって、楕円柱形状の樹脂ペレットは移送ベルト4上にて、円柱形状の樹脂ペレットよりも単層では、層厚の高さが小さくなる。また、重ね合わされた複数層の樹脂ペレットであっても、層厚の高さが小さくなる。このように、層厚の高さが小さくなると、移送ベルト4を介しての磁性ローラ2の磁界が、円柱形の樹脂ペレットよりも楕円柱状の樹脂ペレットに含まれる磁性体に有効に機能する。
【0022】
樹脂ペレットが樹脂ペレット選別装置1の磁性ローラ2まで到達すると、磁性ローラ2の外周面には永久磁石が備えられているので、非磁性ペレットは磁石に引き付けられることはないが、磁性ペレットは鉄分が含まれているので、磁性ローラ2の磁力によって引き付けられる。
よって、非磁性ペレットは移送ベルト4の移送速度による慣性力と重力作用によって、移送ベルト4から前方へ放物線aを描いて投下され、分離板5を越えて非磁性ペレット収容部6に収容される。一方、磁性ペレットは、移送ベルト4の移送速度による慣性力と重力作用に加えて、磁性ローラ2の吸引力との力のバランスから、移送ベルト4の前方へ投下されるが、分離板5を越えることはできず、放物線b、cのように分離板5を越せず、磁性ペレット収容部7に収容される。
【0023】
こうして分離板5を越えて、非磁性ペレット収容部6に収容された鉄分を含まない非磁性ペレットは、図示しない下流側の製品タンクなどで貯蔵され、その後出荷され、鉄分の混入に支障を来たす電子部品などに用いられる。一方、磁性ペレットは、鉄分の影響を受けない用途向けの成形品材料に用いられたりする。
【実施例
【0024】
[金属入りペレットの作製]
ポリブチレンテレフタレートペレット(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ノバデュラン5008-C」)を凍結粉砕し、平均粒径約300μmのポリブチレンテレフタレートパウダーAを得た。
鉄粉(Wako Chemicals社製、「Iron Power Atomized」、平均粒径180μm)を100メッシュ(オープニング184μm)の篩で篩い、通過したものを160メッシュ(オープニング114μm)の篩で篩い、通過しなかった鉄粉Bを得た。鉄粉Bを乾式粒子画像分析装置(MALVERN社製「Morphologi G3」)で体積平均粒子径を測定すると120μmであった。
【0025】
[鉄粉入りペレットCの作製方法]
ポリブチレンテレフタレートパウダーAの10kgに、上記鉄粉を0.02gブレンドし、二軸押出機(東芝機械社製「TEM37BS」)にて吐出量20kg/hrで押し出した。ダイスは3.5mmφ円形ノズル5穴のものを使用した。ペレタイザーでストランド引取り速度を調整しカッテイングし、平均重量30mgの鉄粉入りペレットを得た。
得られたペレットの長径と短径の比率は長径/短径=1.1であった。
そのペレットをダイカテック社製のマグネットロールセパレータ「DDR200」を使用し、次の条件で鉄粉入りペレットを選別した。
マグネットは磁力11000ガウスのものを使用した。ベルトの張力を60Nに張り、ベルト速度は0.5m/secとし、分離板5の角度は90度(垂直方向)とした。その状態で2.5kg/hrでペレットCを流し、鉄粉入りペレットを得た。鉄粉入りペレットCを20個取り出し、赤マジックで着色し、鉄粉入りペレットCとした。
試験用鉄粉入りペレットCの長径/短径=1.1であった。X線CTスキャンでこの20個のペレットを観察し、すべてのペレットに鉄粉が入っていることを確認した。
【0026】
[鉄粉入りペレットDの作製方法]
ダイスは長径3.7mm、短径3.3mmの楕円形状ノズル5穴のものを使用した以外は鉄粉入りペレットCの作製方法と同様にして、ペレットを得、鉄粉入りペレットDとした。
ペレットDの長径/短径は1.25であった。
X線CTスキャンでこの20個のペレットを観察し、すべてのペレットに鉄粉が入っていることを確認した。
【0027】
[鉄粉入りペレットEの作製方法]
ダイスは長径4.0mm、短径3.0mmの楕円形状ノズル5穴のものを使用した以外は鉄粉入りペレットCの作製方法と同様にして、ペレットを得、鉄粉入りペレットEとした。
ペレットEの長径/短径は1.5であった。
X線CTスキャンでこの20個のペレットを観察し、すべてのペレットに鉄粉が入っていることを確認した。
【0028】
[鉄粉入りペレットFの作製方法]
ダイスは長径4.3mm、短径2.7mmの楕円形状ノズル5穴のものを使用した以外は鉄粉入りペレットCの作製方法と同様にして、ペレットを得、鉄粉入りペレットFとした。
ペレットFの長径/短径は1.8であった。
X線CTスキャンでこの20個のペレットを観察し、すべてのペレットに鉄粉が入っていることを確認した。
【0029】
[鉄粉入りペレットGの作製方法]
ダイスは長径4.7mm、短径2.3mmの楕円形状ノズル5穴のものを使用した以外は鉄粉入りペレットC作製方法と同様にして、ペレットを得、鉄粉入りペレットGとした。
ペレットGの長径/短径は2.3であった。
X線CTスキャンでこの20個のペレットを観察し、すべてのペレットに鉄粉が入っていることを確認した。
【0030】
[鉄粉を含まないPBTペレットCの作成方法]
ポリブチレンテレフタレートパウダーAの10kgに対して、鉄粉を入れることなしに、二軸押出機(東芝機械社製「TEM37BS」)にて吐出量20kg/hrで押し出した。この際、ダイスは3.5mmφの円形ノズル5穴のものを使用した。ストランド引取り速度を調整し、鉄粉を含まない平均重量30mgのPBTペレットCを得た。
ペレットの長径と短径の比率は長径/短径=1.1であった。
【0031】
[鉄粉を含まないPBTペレットDの作成方法]
ダイスは長径3.7mm、短径3.3mmの楕円形状ノズル5穴のものを使用した以外は、上記PBTペレットCの作製方法と同様にして、ペレットを得、PBTペレットDとした。
PBTペレットDの長径/短径は1.25であった。
【0032】
[鉄粉を含まないPBTペレットEの作成方法]
ダイスは長径4.0mm、短径3.0mmの楕円形状ノズル5穴のものを使用した以外は、前記PBTペレットCの作製方法と同様にして、ペレットを得、PBTペレットEとした。
PBTペレットEの長径/短径は1.5であった。
【0033】
[鉄粉を含まないPBTペレットFの作成方法]
ダイスは長径4.3mm、短径2.7mmの楕円形状ノズル5穴のものを使用した以外は、前記PBTペレットCの作製方法と同様にして、ペレットを得、PBTペレットFとした。
PBTペレットFの長径/短径は1.8であった。
【0034】
[鉄粉を含まないPBTペレットGの作成方法]
ダイスは長径4.7mm、短径2.3mmの楕円形状ノズル5穴のものを使用した以外は、前記PBTペレットCの作製方法と同様にして、ペレットを得、PBTペレットGとした。
PBTペレットGの長径/短径は2.3であった。
【0035】
<実施例1~12>
移送ベルトのベルトテンションを60Nに統一して以下の試験を行った。また、実施例1~4については、扁平率1.5のペレットEを使用し、実施例5~8については扁平率1.25のペレットDを使用し、実施例9~12については扁平率1.8のペレットFを使用している。そして、各樹脂ペレットについて、各々移送速度を変化させて捕捉率を試験した。
また、ベルト速度を変更すると、移送ベルトから投げ出される投下軌跡が変わるが、その時の速度に応じた非磁性樹脂ペレットの投下軌跡を予め試験して、100%若しくはそれに近いレベルで非磁性樹脂ペレットが通過できるようにし、それらの軌道の直ぐ下に分離板5の上端縁5aが配置されるように、分離板の設定角度を変更し、磁性樹脂ペレットが磁性ローラの磁力によって、分離板5に当てるようにしている。
【0036】
[実施例1]
得られたPBTペレットEの5kgに、鉄粉入りペレットEを20粒を混合し、マグネットロールセパレータで次の条件で選別した。
マグネット:磁力6000ガウス
ベルトテンション:60N
ベルト速度:0.35m/秒
ペレットフィード速度2.5kg/分
分離板角度:90°
捕捉された鉄粉入りペレットEの数は20個であった。
【0037】
[実施例2]
ベルト速度を0.5m/秒にした以外は実施例1と同様に試験を行った。
[実施例3]
ベルト速度を0.7m/秒にした以外は実施例1と同様に試験を行った。
[実施例4]
ベルト速度を0.85m/秒にした以外は実施例1と同様に試験を行った。
【0038】
[実施例5]
PBTペレットをD、鉄粉入りペレットをDにした以外は実施例1と同様に試験を行った。
[実施例6]
ベルト速度を0.5m/秒にした以外は実施例5と同様に試験を行った。
[実施例7]
ベルト速度を0.7m/秒にした以外は実施例5と同様に試験を行った。
[実施例8]
ベルト速度を0.85m/秒にした以外は実施例5と同様に試験を行った。
【0039】
[実施例9]
PBTペレットをF、鉄粉入りペレットをFにした以外は実施例1と同様に試験を行った。
[実施例10]
ベルト速度を0.5m/秒にした以外は実施例9と同様に試験を行った。
[実施例11]
ベルト速度を0.7m/秒にした以外は実施例9と同様に試験を行った。
[実施例12]
ベルト速度を0.85m/秒にした以外は実施例9と同様に試験を行った。
実施例1~12の結果を以下の表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
<比較例1~8>
[比較例1]
ベルト速度を0.25m/秒にした以外は実施例1と同様に試験を行った。なお、ベルト速度0.25m/秒は比較例3,5と共に、最も遅いベルト速度に設定している。
[比較例2]
ベルト速度を0.95m/秒にした以外は実施例1と同様に試験を行った。結果を表2に記す。なお、ベルト速度0.95m/秒は比較例4,6と共に、最も速いベルト速度に設定している。
[比較例3]
ベルト速度を0.25m/秒にした以外は実施例5と同様に試験を行った。
[比較例4]
ベルト速度を0.95m/秒にした以外は実施例5と同様に試験を行った。
[比較例5]
ベルト速度を0.25m/秒にした以外は実施例9と同様に試験を行った。
[比較例6]
ベルト速度を0.95m/秒にした以外は実施例9と同様に試験を行った。
【0042】
[比較例7]
PBTペレットをC、鉄粉入りペレットをCにした以外は実施例1と同様に試験を行った。
比較例7の樹脂ペレットは扁平率が1.1で最も円形に近いが、捕捉率が劣るのは、磁性成分が偶然に樹脂ペレットの上側に位置したものが、磁性ローラの磁界が弱い位置に配置された結果、分離板を飛び越えて非磁性ペレット側まで飛ばされたと考えられる。
[比較例8]
PBTペレットをG、鉄粉入りペレットをGにした以外は実施例1と同様に試験を行った。
比較例1~8の結果を以下の表2に記す。
【0043】
【表2】
【0044】
<実施例13~16、参考例17~18>
長径/短径比が同じ樹脂ペレットEを用い、ベルト速度を一定速度(0.5m/秒)とし、移送ベルトのベルトテンションを変更し、磁性ペレットの捕捉を試みた。
[実施例13]
ベルトテンションを25Nにした以外は実施例1と同様に試験を行った。
[実施例14]
ベルトテンションを40Nにした以外は実施例1と同様に試験を行った。
[実施例15]
ベルトテンションを80Nにした以外は実施例1と同様に試験を行った。
[実施例16]
ベルトテンションを110Nにした以外は実施例1と同様に試験を行った。
【0045】
[参考例17]
ベルトテンションを15Nにした以外は実施例1と同様に試験を行った。
移送ベルト4のテンションが小さいと、選別性能が低くなるのが確認でき、移送ベルトのテンションも選別に影響することが分かった。この原因は定かではないが、ベルトのテンションが弱いと、マグネットとベルトの間に隙間ができる部分が発生し、磁界が弱くなることが原因と推測する。
[参考例18]
ベルトテンションを130Nにした以外は実施例1と同様に試験を行った。
捕捉された鉄粉入りペレットEの数は20個であった。然しながら、試験中に移送ベルトの横ずれが発生した。移送ベルトのテンションが大きかったことが原因である。長時間の運転では横ずれが激しくなり、ベルトの横にペレットが落ちて、正しくペレットが選別されない事態が発生すると考えられる。
結果を以下の表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】
表1~表3に示す結果から、実用向けに樹脂ペレットの選別可能と判断される範囲としては、ベルト速度が0.30~0.90m/秒の範囲、ペレットの扁平率(長径/短径)が1.2~2.0の範囲である。また、ベルトテンションが20~120Nが好ましい。
また、好ましい範囲としては、表1、表3の結果から、20個の磁性ペレットのうち18個(90%)以上の樹脂ペレットを選別した、ベルト速度が0.35~0.85m/秒の範囲、ペレットの扁平率が1.25~1.8の範囲、ベルトテンションが25~110Nである(実施例1~16参照)。
より好ましい範囲としては、表1~表3の結果から、20個の磁性ペレットのうち19個(95%)以上の樹脂ペレットを選別した、ベルト速度が0.35~0.7m/秒の範囲、ペレットの扁平率が1.25~1.8の範囲、ベルトテンションが25~110Nである(実施例1~3,5.6,9~11,13~16参照)。
さらに、最も好ましい範囲としては、表1~表3の結果から20個の金属入りペレットを100%選別した、ベルト速度が0.35~0.5m/秒の範囲、ペレットの扁平率が1.25~1.8の範囲、ベルトテンションが40~110Nであった(実施例1,2,5,6,9,10,13,15,16参照)。
【0048】
以上、本発明を実施形態に基づいて添付図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、更に他の変形あるいは変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、樹脂ペレットの断面形状について、楕円形状で説明したが実質的に長径/短径比の範囲が同じで本実施形態の楕円柱形状と近似し、本発明と同様の効果を有する長円柱形状も含む。
また、上記実施形態では、非磁性ペレットと磁性ペレットの選別を行ったが、磁性の強さの異なる磁性ペレット同士の選別を行うことができる。
【符号の説明】
【0049】
1 樹脂ペレット選別装置
2 磁性ローラ
3 サブローラ
4 移送ベルト
5 分離板
6 非磁性ペレット収容部
7 磁性ペレット収容部
8 ホッパー
E 樹脂ペレット
図1
図2
図3