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特許7155377顕微鏡用観察キャリアおよびその使用方法
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  • 特許-顕微鏡用観察キャリアおよびその使用方法 図1
  • 特許-顕微鏡用観察キャリアおよびその使用方法 図2A
  • 特許-顕微鏡用観察キャリアおよびその使用方法 図2B
  • 特許-顕微鏡用観察キャリアおよびその使用方法 図2C
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  • 特許-顕微鏡用観察キャリアおよびその使用方法 図2E
  • 特許-顕微鏡用観察キャリアおよびその使用方法 図2F
  • 特許-顕微鏡用観察キャリアおよびその使用方法 図3
  • 特許-顕微鏡用観察キャリアおよびその使用方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】顕微鏡用観察キャリアおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/20 20060101AFI20221011BHJP
   B08B 7/00 20060101ALI20221011BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20221011BHJP
【FI】
H01J37/20 A
B08B7/00
G01N1/28 F
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021177798
(22)【出願日】2021-10-29
(65)【公開番号】P2022077974
(43)【公開日】2022-05-24
【審査請求日】2021-10-29
(31)【優先権主張番号】63/113,173
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】110122955
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】519101029
【氏名又は名称】邑流微測股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】頼 良訓
(72)【発明者】
【氏名】李 信宏
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-153960(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0275213(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/20
B08B 7/00
G01N 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を担持するように適合された回転台であって、前記基材が液滴を受け取るように適合され、前記液滴が試料液と、前記試料液中に懸濁された少なくとも1つの試料粒子とを含む回転台と、
前記回転台に接続され、前記回転台を駆動して回転させるように適合され、それにより、前記基材上の前記試料液が、前記回転台の前記回転によって生成される遠心力によって除去される、駆動ユニットと、
を備える、顕微鏡用観察キャリア。
【請求項2】
前記基材が前記少なくとも1つの試料粒子を吸着すように適合されている、請求項1に記載の顕微鏡用観察キャリア。
【請求項3】
前記基材が正電荷および負電荷のうちの一方を帯び、前記少なくとも1つの試料粒子が前記正電荷および前記負電荷のうちの他方を帯びている、請求項1に記載の顕微鏡用観察キャリア。
【請求項4】
前記回転台が担持面を有し、当該担持面によって前記基材を担持するように適合され、前記駆動ユニットが前記回転台を駆動して回転軸に沿って回転させるように適合され、前記回転軸が前記担持面に垂直である、請求項1に記載の顕微鏡用観察キャリア。
【請求項5】
前記少なくとも1つの試料粒子を吸着する前記基材が洗浄液を受け取るように適合され、前記駆動ユニットが前記回転台を駆動して回転させるように適合され、それにより、前記基材上の前記洗浄液が、前記回転台の前記回転によって生成される前記遠心力によって除去される、請求項1に記載の顕微鏡用観察キャリア。
【請求項6】
回転台および駆動ユニットを備える顕微鏡用観察キャリアの使用方法であって、
前記回転台によって基材を担持し、前記基材によって液滴を受け取るステップであり、前記液滴が試料液と、前記試料液中に懸濁された少なくとも1つの試料粒子とを含む、ステップと、
前記駆動ユニットによって前記回転台を駆動して回転させ、それにより、前記基材上の前記試料液が、前記回転台の前記回転によって生成される遠心力によって除去されるステップと、
を含む使用方法。
【請求項7】
前記基材によって前記少なくとも1つの試料粒子を吸着させるステップをさらに含む、請求項6に記載の顕微鏡用観察キャリアの使用方法。
【請求項8】
前記基材が正電荷および負電荷のうちの一方を帯び、前記少なくとも1つの試料粒子が前記正電荷および前記負電荷のうちの他方を帯びている、請求項6に記載の顕微鏡用観察キャリアの使用方法。
【請求項9】
前記回転台が担持面を有し、前記担持面によって前記基材を担持するように適合され、前記駆動ユニットが前記回転台を駆動して回転軸に沿って回転させるように適合され、前記回転軸が前記担持面に垂直である、請求項6に記載の顕微鏡用観察キャリアの使用方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの試料粒子を吸着する前記基材によって洗浄液を受け取るステップと、
前記回転台を前記駆動ユニットによって駆動して回転させ、それにより、前記基材上の前記洗浄液が、前記回転台の前記回転によって生成される前記遠心力によって除去されるステップと、
をさらに含む、請求項6に記載の顕微鏡用観察キャリアの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察キャリアに関し、詳しくは顕微鏡用観察キャリアおよびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な電子顕微鏡観察方法は、まず、スポイトなどを用いて試料粒子を含む試料液を清浄な表面に滴下した後、基材を試料液に被せることにより、基材の表面に試料粒子を吸着させる方法である。次いで、基材表面の試料液を拭き取って乾燥させた後、基材表面の残留物を清浄水で洗い流し、基材上の清浄水を拭き取って乾燥させることにより、基材上の試料粒子を電子顕微鏡で観察することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の方法では、基材を試料液に被せる際に、試料液の表面張力により基材が滑って試料粒子への吸着に影響を与え、基材表面を拭き取って乾燥させる際に、基材表面との接触が試料粒子への吸着に影響を与えることもある。加えて、上記の方法では、基材表面の試料液を完全に拭き取って乾燥させることができず、その後の清浄水による洗浄プロセスにおいて相互汚染を引き起こす可能性があり、上記の方法では、クランプを使用して基材を複数回クランプする必要があり、これによっても相互汚染が引き起こされる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、試料粒子を実際に基材の表面に確実に吸着させ、基材の表面上での相互汚染の確率を低減する顕微鏡用観察キャリアおよびその使用方法に関する。
【0005】
本発明は、回転台および駆動ユニットを含む顕微鏡用観察キャリアを提供する。回転台は、基材を担持するように適合され、基材は、液滴を受け取るように適合され、液滴は、試料液と、試料液中に懸濁された少なくとも1つの試料粒子とを含む。駆動ユニットは、回転台に接続され、回転台を駆動して回転させるように適合され、それにより、基材上の試料液が、回転台の回転によって生成される遠心力によって除去される。
【0006】
本発明の一実施形態では、基材は、少なくとも1つの試料粒子を吸着するように適合されている。
【0007】
本発明の一実施形態では、基材は、正電荷および負電荷のうちの一方を帯び、少なくとも1つの試料粒子は、正電荷および負電荷のうちの他方を帯びている。
【0008】
本発明の一実施形態では、回転台は、担持面を有し、担持面によって基材を担持するように適合され、駆動ユニットは、回転台を駆動して回転軸に沿って回転させるように適合され、回転軸は、担持面に垂直である。
【0009】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの試料粒子を吸着する基材は、洗浄液を受け取るように適合され、駆動ユニットは、回転台を駆動して回転させるように適合され、それにより、基材上の洗浄液が、回転台の回転によって生成される遠心力によって除去される。
【0010】
本発明は、顕微鏡用観察キャリアの使用方法を提供し、顕微鏡用観察キャリアは、回転台および駆動ユニットを含み、使用方法は、以下のステップを含む。基材が回転台によって担持され、液滴が基材によって受け取られ、液滴が試料液と、試料液中に懸濁された少なくとも1つの試料粒子とを含む。回転台は、駆動ユニットによって駆動されて回転し、それにより、基材上の試料液が、回転台の回転によって生成される遠心力によって除去される。
【0011】
本発明の一実施形態において、使用方法は、基材によって少なくとも1つの試料粒子を吸着させることを含む。
【0012】
本発明の一実施形態では、基材は、正電荷および負電荷のうちの一方を帯び、少なくとも1つの試料粒子は、正電荷および負電荷のうちの他方を帯びている。
【0013】
本発明の一実施形態では、回転台は、担持面を有し、担持面によって基材を担持するように適合され、駆動ユニットは、回転台を駆動して回転軸に沿って回転させるように適合され、回転軸は、担持面に垂直である。
【0014】
本発明の一実施形態では、使用方法は、以下のステップを含む。洗浄液は、少なくとも1つの試料粒子を吸着する基材によって受け取られる。回転台は、駆動ユニットによって駆動されて回転し、それにより、基材上の洗浄液が、回転台の回転によって生成される遠心力によって除去される。
【発明の効果】
【0015】
上記の説明に基づいて、本発明は、駆動ユニットを用いて回転台を駆動して回転させ、遠心力を生成し、その結果、基材上の試料粒子以外の試料液および/または洗浄液を迅速かつ完全に除去することができる。したがって、拭き取りによって試料液および/または洗浄液を除去する必要がなく、拭き取りプロセス中の基材との接触に起因する基材による試料粒子の吸着への影響が回避される。加えて、上述したように遠心力によって試料液および/または洗浄液を完全に除去することができ、本方法により、基材をクランプによってクランプする回数を大幅に減らすことができるため、基材の表面上での相互汚染の確率を低減することができる。
【0016】
添付の図面は、本発明についてのさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書の一部に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本発明の実施形態を示し、説明と共に、本発明の原理について説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による顕微鏡用観察キャリアのブロック図である。
【0018】
図2A図1の顕微鏡用観察キャリアの動作フローを示す図である。
図2B図1の顕微鏡用観察キャリアの動作フローを示す図である。
図2C図1の顕微鏡用観察キャリアの動作フローを示す図である。
図2D図1の顕微鏡用観察キャリアの動作フローを示す図である。
図2E図1の顕微鏡用観察キャリアの動作フローを示す図である。
図2F図1の顕微鏡用観察キャリアの動作フローを示す図である。
【0019】
図3図2Aの液滴中の試料粒子の基材による吸着を示す図である。
【0020】
図4】本発明の一実施形態による顕微鏡用観察キャリアの使用方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の一実施形態による顕微鏡用観察キャリアのブロック図である。図2A図2Fは、図1の顕微鏡用観察キャリアの動作フローを示す図である。図3は、図2Aの液滴中の試料粒子の基材による吸着を示す図であり、図2Aの基材の概略部分拡大図である。図1図2Aおよび図3を参照すると、本実施形態の顕微鏡用観察キャリア100は、回転台110および駆動ユニット120を含む。回転台110は、その担持面110aを介して基材50を担持するように適合され、基材50は、液滴60を受け取るように適合され、液滴60は、試料液62(図2に示す)と、試料液62中に懸濁された少なくとも1つの試料粒子64(図3に示す)とを含む。図3に示すように、基材50は、例えば正電荷を帯び、試料粒子64は、例えば負電荷を帯びているため、基材50は、試料粒子64を吸着することができる。
【0022】
駆動ユニット120(図1に示す)は、回転台110に接続され、図2Bに示すように、回転台110を駆動して担持面110aに垂直な回転軸Aに沿って回転させ、回転台110の回転によって生成される遠心力によって基材50上の試料液62を除去し、図2Cに示す状態を達成する。試料粒子64(図3に示す)が吸着された基材50は、図2Dに示すように、洗浄液70を受け取るように適合され、洗浄液70を介して基材50上の残留物(例えば、試料液62によって残された液体汚れ)を洗浄する。次いで、図2Eに示すように、駆動ユニット120(図1に示す)は、回転台110を駆動して回転軸Aに沿って回転させるように適合され、その結果、基材50上の洗浄液70が、回転台110の回転によって生成される遠心力によって除去されて、図2Fに示す状態が達成され、次いで顕微鏡を用いて基材50上の試料粒子64(図3に示す)を観察することができる。
【0023】
上述したように、本実施形態では、駆動ユニット120を用いて回転台110を駆動して回転させ、遠心力を生成することにより、基材50上の試料粒子64以外の試料液62および/または洗浄液70を迅速かつ完全に除去することができる。したがって、拭き取りによって試料液62および/または洗浄液70を除去する必要がなく、拭き取りプロセス中の基材50との接触に起因する基材50による試料粒子の吸着への影響が回避される。加えて、上述したように、遠心力によって試料液62および/または洗浄液70を完全に除去することができ、本方法により、基材50をクランプでクランプする回数を大幅に減らすことができるため、基材50の表面上での相互汚染の確率を低減することができる。
【0024】
他の実施形態では、図2Bに示される回転ステップが、基材50上の試料液62を完全に除去して、基材50の表面上に試料粒子64のみを残すことができる場合は、図2D図2Fの清浄水で洗浄するステップおよび清浄水を除去するステップを省略することができ、これは本発明によって限定されず、上記の状況を以下で具体的に説明する。
【0025】
図4は、本発明の一実施形態による顕微鏡用観察キャリアの使用方法のフローチャートである。図4を参照すると、まず、基材50が回転台110によって担持され、液滴60が基材50によって受け取られ、液滴60は、試料液62と、試料液62に懸濁された試料粒子64とを含む(ステップS1)。回転台110は、駆動ユニット120によって駆動されて回転し、それにより、基材50上の試料液62が、回転台110の回転によって生成される遠心力によって除去される(ステップS2)。
【0026】
上記のステップS2において、基材50上の試料液62が完全に除去された場合は、顕微鏡を用いて基材50上の試料粒子64を観察することができる。逆に、上記のステップS2において、基材50上の試料液62が完全には除去されなかった場合は、次のステップを行うことができる。すなわち、試料粒子64を吸着した基材50が洗浄液70を受け取り、駆動ユニット120が回転台110を駆動して回転させ、それにより、基材50上の洗浄液70が、回転台110の回転によって生成される遠心力によって除去され、次いで、顕微鏡を用いて基材50上の試料粒子64を観察する。
【0027】
要約すると、本発明は、駆動ユニットを用いて回転台を駆動して回転させ、遠心力を生成し、その結果、基材上の試料粒子以外の試料液および/または洗浄液を迅速かつ完全に除去することができる。したがって、拭き取りよって試料液および/または洗浄液を除去する必要がなく、拭き取りプロセス中の基材との接触に起因する基材による試料粒子の吸着への影響が回避される。加えて、上述したように遠心力によって試料液および/または洗浄液を完全に除去することができ、本方法により、基材をクランプによってクランプする回数を大幅に減らすことができるため、基材の表面上での相互汚染の確率を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本開示の顕微鏡用観察キャリアおよびその使用方法は、顕微鏡観察に適用することができる。
【符号の説明】
【0029】
50 基材
60 液滴
62 試料液
64 試料粒子
70 洗浄液
100 顕微鏡用観察キャリア
110 回転台
110a 担持面
120 駆動ユニット
A 回転軸
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4