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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】非接触電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/40 20160101AFI20221011BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20221011BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/12
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021501525
(86)(22)【出願日】2019-04-26
(86)【国際出願番号】 JP2019018100
(87)【国際公開番号】W WO2020174702
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2019036349
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227537
【氏名又は名称】NITTOKU株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松木 英敏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文博
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 拓
(72)【発明者】
【氏名】田倉 哲也
(72)【発明者】
【氏名】稲田 賢
(72)【発明者】
【氏名】于 ミュウ
【審査官】永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-050992(JP,A)
【文献】特開2014-187843(JP,A)
【文献】特開2002-137659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電装置から受電装置へ非接触にて電力を供給する非接触電力供給システムであって、
前記送電装置は、電源に接続され磁束を生じる送電コイルと、前記送電コイルで発生した磁束を増幅する増幅コイルと、を有し、
前記受電装置は、前記増幅コイルと電磁結合する受電コイルを有し、
前記送電装置は、前記送電コイルと前記増幅コイルとを有する複数の送電ユニットを有し、
前記送電ユニットは隣接して並べて配置され、
前記送電コイル及び前記増幅コイルは、平行部と前記平行部の端部に設けられる一対の連結部とを有する環状に形成され、前記連結部と前記平行部との間の折曲部において、前記連結部側が前記受電装置から離れるように折り曲げられており、
複数の前記送電ユニットは、前記折曲部が互いに対向するように隣接して配置され、
隣接して配置される2つの前記送電ユニットの一方の前記連結部と他方の前記連結部との間には軟磁性体が設けられる非接触電力供給システム。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触電力供給システムであって、
前記送電コイル及び前記増幅コイルの少なくとも一部は同一平面上に配置される非接触電力供給システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の非接触電力供給システムであって、
前記送電装置は、複数の前記受電装置に対して同時に電力を供給する非接触電力供給システム。
【請求項4】
請求項3に記載の非接触電力供給システムであって、
前記送電コイル及び前記増幅コイルは、平行部と前記平行部の端部に設けられる一対の連結部とを有する環状に形成され、
複数の前記受電装置は、前記平行部に沿って前記送電装置上を移動する、または、前記平行部に沿って前記送電装置上に載置される非接触電力供給システム。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1つに記載の非接触電力供給システムであって、
前記受電装置で受け取られる電圧は、前記送電コイルと前記増幅コイルとの結合係数に応じて変化する非接触電力供給システム。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1つに記載の非接触電力供給システムであって、
前記受電装置で受け取られる電圧は、前記受電コイルのインダクタンスに応じて変化する非接触電力供給システム。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1つに記載の非接触電力供給システムであって、
前記受電装置は、前記受電コイルと直列共振回路または並列共振回路を構成する共振コンデンサを更に有する非接触電力供給システム。
【請求項8】
請求項1から7の何れか1つに記載の非接触電力供給システムであって、
前記受電装置は、走行用の電動モータを有する走行体に設けられる非接触電力供給システム。
【請求項9】
請求項1から8の何れか1つに記載の非接触電力供給システムであって、
前記受電装置は、蓄電池を有する電子機器に設けられる非接触電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触電力供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
JP2012-50209Aには、送電コイルを有する送電装置と、受電コイルを有する受電装置と、を備えた非接触電力供給システムが開示されている。この非接触電力供給システムの受電装置には、送電コイルで発生した磁束を集めて受電コイルに受け渡す集磁束コイルが設けられている。
【発明の概要】
【0003】
JP2012-50209Aに記載される非接触電力供給システムでは、1つの送電装置から複数の受電装置に電力を供給する場合、送電装置の送電コイルで生じた磁束は、各受電装置に設けられた集磁束コイルを介して各受電装置の受電コイルへと振り分けられる。このため、受電装置の個数が変化すると、各受電装置に振り分けられる電力も変化することになる。この結果、各受電装置において、必要とされる電力を安定して確保することが困難となるおそれがある。
【0004】
本発明は、非接触電力供給システムにおいて、受電装置において必要とされる電力を安定して確保することを目的とする。
【0005】
本発明のある態様によれば、送電装置から受電装置へ非接触にて電力を供給する非接触電力供給システムにおいて、送電装置が、電源に接続され磁束を生じる送電コイルと、送電コイルで発生した磁束を増幅する増幅コイルと、を有し、受電装置が、増幅コイルと電磁結合する受電コイルを有し、送電装置が、送電コイルと増幅コイルとを有する複数の送電ユニットを有し、送電ユニットが隣接して並べて配置され、送電コイル及び増幅コイルが、平行部と平行部の端部に設けられる一対の連結部とを有する環状に形成され、連結部と平行部との間の折曲部において、連結部側が受電装置から離れるように折り曲げられており、複数の送電ユニットが、折曲部が互いに対向するように隣接して配置され、隣接して配置される2つの送電ユニットの一方の連結部と他方の連結部との間には軟磁性体が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本発明の実施形態に係る非接触電力供給システムの構成を示す平面図である。
図2図2は、図1において矢印IIで示される部分の拡大図である。
図3図3は、図2に示される送電装置の側面図である。
図4図4は、図2に示される送電装置の底面図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る非接触電力供給システムの電気回路を示す電気回路図である。
図6図6は、図2に示される送電装置の変形例を示す図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る非接触電力供給システムの電気回路の変形例を示す電気回路図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る非接触電力供給システムの変形例の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る非接触電力供給システムについて説明する。
【0008】
非接触電力供給システムは、送電装置に設けられた送電コイルから受電装置に設けられた受電コイルへと非接触にて電力を供給する装置である。以下では、図1~5を参照して、非接触電力供給システムが自走式搬送システム100に適用されている場合について説明する。図1は、自走式搬送システム100の構成を示す平面図であり、図2は、図1において矢印IIで示される部分の拡大図であり、図3は、図2に示される後述の搬送路10の側面図であり、図4は、図2に示される搬送路10の底面図であり、図5は、自走式搬送システム100の電気回路を示す電気回路図である。
【0009】
図1に示すように、自走式搬送システム100は、送電装置としての搬送路10と、搬送路10から供給される電力により自走する受電装置としての複数の搬送車30と、搬送路10に高周波電力を供給する電源としての高周波電源40と、を備える。
【0010】
また、自走式搬送システム100は、搬送路10の周辺に配置され、搬送車30により搬送される図示しないワークに対して作業を行う複数の作業ステーション50~53を備える。自走式搬送システム100では、搬送車30が搬送路10に沿って各作業ステーション50~53へ順次移動することにより、ワークの搬入、加工、組立、搬出といった作業が各作業ステーション50~53において行われる。
【0011】
搬送路10は、送電ユニットとしての搬送路ユニット11が複数連結されることによって構成される。図1には、直線状または円弧状の走路を有する搬送路ユニット11が複数組み合わされることによって長円状に構成された搬送路10が示されている。本実施形態では、図1に示すように、直線状の走路を有する4つの搬送路ユニット11と、円弧状の走路を有する4つの搬送路ユニット11と、を組み合わせて搬送路10が構成される。なお、搬送路10の形状はこれに限定されず、搬送路ユニット11を適宜組み合わせることによって、より複雑な形状とされてもよい。また、スロープ状の走路を有する搬送路ユニット11を配置することによって高低差を設けてもよい。
【0012】
搬送路ユニット11は、図2~4に示すように、搬送路ユニット11に沿って配置される送電コイル12と、搬送路ユニット11の幅方向において送電コイル12の内側に配置される増幅コイル13と、送電コイル12及び増幅コイル13が設置されるコイル設置板20と、送電コイル12及び増幅コイル13を覆うように設けられ上面を搬送車30が走行する走行板21と、を有する。
【0013】
送電コイル12は、単線やリッツ線を長円状に巻き回すことにより形成されたコイルである。送電コイル12は、高周波電源40に接続されており、高周波電源40から供給される電流に応じた磁束を生じる。
【0014】
送電コイル12は、一対の直線部からなる平行部12aと、平行部12aの両端部に設けられる連結部としての円弧部12bと、平行部12aと円弧部12bとの間に設けられる折曲部12cと、を有し、折曲部12cにおいて、コイル設置板20に沿って折り曲げられている。
【0015】
具体的には、図3及び図4に示すように、送電コイル12の円弧部12bは、走行板21から離れる方向、すなわち、搬送車30から離れる方向へと搬送路ユニット11の下方に向けて折り曲げられている。このため、搬送車30には、走行板21を挟んで、送電コイル12の平行部12aのみが対向することになる。なお、図3に示される円弧部12bは、平行部12aに対してほぼ平行となるまで折り曲げられているが、円弧部12bは、平行部12aと成す角度が90°未満となるように折り曲げられていればよい。また、連結部の形状は円弧状に限定されず、角部を有する形状とされてもよい。
【0016】
増幅コイル13は、送電コイル12と同様に、単線やリッツ線を長円状に巻き回すことにより形成されたコイルである。増幅コイル13は、送電コイル12よりも数倍、例えば2~4倍多く巻き回されており、送電コイル12よりも幅広な断面を有する。増幅コイル13は、送電コイル12において生じた磁束を増幅し、複数の搬送車30へと電力を伝送するために設けられる。
【0017】
増幅コイル13は、送電コイル12と同様に、一対の直線部からなる平行部13aと、平行部13aの両端部に設けられる連結部としての円弧部13bと、平行部13aと円弧部13bとの間に設けられる折曲部13cと、を有し、折曲部13cにおいて、コイル設置板20に沿って折り曲げられている。
【0018】
具体的には、図3及び図4に示すように、送電コイル12と同様に、増幅コイル13の円弧部13bは、走行板21から離れる方向、すなわち、搬送車30から離れる方向へと搬送路ユニット11の下方に向けて折り曲げられている。このため、搬送車30には、走行板21を挟んで、増幅コイル13の平行部13aのみが対向することになる。なお、図3に示される円弧部13bは、平行部13aに対してほぼ平行となるまで折り曲げられているが、円弧部13bは、平行部13aと成す角度が90°未満となるように折り曲げられていればよい。また、連結部の形状は円弧状に限定されず、角部を有する形状とされてもよい。
【0019】
上記形状の送電コイル12及び増幅コイル13は、送電コイル12の平行部12aと増幅コイル13の平行部13aとがコイル設置板20上においてほぼ同一平面上に配置されるように搬送路ユニット11に設けられている。このように送電コイル12と増幅コイル13とを同一平面上に配置することにより、送電コイル12で発生した磁束を増幅コイル13によって効率的に増幅させることが可能である。
【0020】
コイル設置板20は、例えば、アモルファス合金やパーマロイ、珪素鋼、センダスト合金、軟磁性フェライトといった軟磁性体により形成される板状部材であり、送電コイル12で生じた磁束や増幅コイル13において増幅された磁束の下方への通過を遮断する。コイル設置板20は、コイル設置板20の下面から下方に延びる図示しない複数の支柱を有し、支柱を介して所定の場所に設置される。
【0021】
走行板21は、増幅コイル13において増幅された磁束が搬送車30に向けて通過することを許容する樹脂等の非磁性材により形成される板状部材である。また、走行板21には、搬送車30が走行板21上から落下することを防止するために、図示しない一対のガイドレールが長手方向に沿って設けられる。
【0022】
上記構成の搬送路ユニット11は、図2図4に示すように、送電コイル12及び増幅コイル13の折曲部12c,13cが互いに対向するように近接して配置される。
【0023】
このように隣り合う搬送路ユニット11は、近接して配置されることから、例えば、一方の送電コイル12の円弧部12bにおいて生じた磁束や増幅コイル13の円弧部13bにおいて増幅された磁束と、他方の送電コイル12の円弧部12bにおいて生じた磁束や増幅コイル13の円弧部13bにおいて増幅された磁束と、が互いに影響し合うおそれがある。このため、隣接して配置される2つの搬送路ユニット11の一方の円弧部12b,13bと他方の円弧部12b,13bとの間には遮蔽板22が設けられる。
【0024】
遮蔽板22は、例えば、アモルファス合金やパーマロイ、珪素鋼、センダスト合金、軟磁性フェライトといった軟磁性体により形成される板状部材である。このように軟磁性体により形成された遮蔽板22を一方の円弧部12b,13bと他方の円弧部12b,13bとの間に設けることで、互いに行き交う磁束が遮蔽板22によって遮断される。このため、上記構成の搬送路ユニット11を隣接して配置したとしても各搬送路ユニット11において安定した磁束を生じさせることが可能である。なお、遮蔽板22としては磁性を有する他の金属材が用いられてもよいが、磁束の通過に伴う発熱を避けるために軟磁性体製とすることが好ましい。
【0025】
また、送電コイル12及び増幅コイル13の円弧部12b,13b側を、搬送車30から離れるように折り曲げられた構成とすることによって、搬送車30には、円弧部12b,13bは対向せず、平行部12a,13aのみが対向した状態となる。このように供給される電力が不安定となる円弧部12b,13bを避け、供給される電力が比較的安定する平行部12a,13aのみにおいて搬送車30へ電力を供給する構成とすることにより、搬送車30に対して電力を安定して供給することが可能である。
【0026】
さらに、送電コイル12及び増幅コイル13の折曲部12c,13cが互いに対向するように2つの搬送路ユニット11を近接して配置すると、各搬送路ユニット11の送電コイル12及び増幅コイル13の平行部12a,13aは、あたかもがつながっているかのように構成される。このような構成とすることによって、一方の搬送路ユニット11から他方の搬送路ユニット11へ向かう搬送車30に対して電力を継続的に安定して供給することが可能となる。また、2つの搬送路ユニット11の境目に搬送車30が停止したとしても、2つの搬送路ユニット11から搬送車30へと電力が供給されることになるため、搬送車30に対して電力を安定して供給することが可能である。
【0027】
搬送車30は、走行板21に接する走行用の図示しない車輪と、車輪を駆動する図示しない電動モータと、増幅コイル13と電磁的に結合する受電コイル32と、を有する走行体である。
【0028】
受電コイル32は、単線やリッツ線を円環状に巻き回すことにより形成されたコイルであり、搬送車30の底面に増幅コイル13と対向するように設けられる。受電コイル32では、対向する増幅コイル13で増幅された磁束により電磁誘導が起きる。このように受電コイル32において電磁誘導によって生じた起電力は、図示しない整流回路等を介して電動モータへと供給される。
【0029】
また、搬送車30は、電動モータの駆動を制御する図示しないコントローラをさらに有する。コントローラは、例えば、外部からの無線による指令に応じて電動モータの駆動を制御し、搬送車30を所定の速度で走行させたり、所定の位置で停止させたりする。
【0030】
搬送車30に設けられる電動モータやコントローラ等の電子機器において消費される電力は、送電コイル12から増幅コイル13を介して受電コイル32へと常に供給される。このため、バッテリ等の蓄電装置を搬送車30に設ける必要がないことから、搬送車30を軽量化することができるとともに、自走式搬送システム100の製造コストを低減させることができる。なお、コントローラ等を起動させるために必要な電力を蓄電した比較的小型のバッテリを搭載していてもよい。
【0031】
次に、図5を参照し、上記構成の自走式搬送システム100の電気回路について説明する。
【0032】
送電装置としての搬送路10には、搬送路ユニット11毎に、送電コイル12と増幅コイル13とが設けられる。送電コイル12と増幅コイル13とは、回路上分離されており、所定の内部抵抗15を有する送電コイル12には、高周波電源40が接続され、所定の内部抵抗16を有する増幅コイル13には、共振コンデンサ17が直列接続されている。
【0033】
共振コンデンサ17の容量は、増幅コイル13を流れる電流の周波数が高周波電源40から送電コイル12に供給される電流の周波数と同調し共振するように、増幅コイル13が有する容量成分や周囲に設けられる遮蔽部材との間に生じる容量成分等を考慮して設定される。このように増幅コイル13に共振コンデンサ17を接続することにより、送電コイル12で生じた磁束を増幅コイル13によって効率的に増幅させることができる。
【0034】
一方、受電装置としての搬送車30には、上述のように、受電コイル32が設けられる。所定の内部抵抗33を有する受電コイル32には、共振コンデンサ34と負荷抵抗35とが直列接続されている。このように共振コンデンサ34を受電コイル32に対して直列接続したことによって直列共振回路が構成され、負荷抵抗35には所定の電圧が印加されことになる。
【0035】
上記回路において、搬送車30の負荷抵抗35に印加される電圧、すなわち、電動モータに印加される電圧は、下記式(1)により導出される。
【0036】
【数1】
【0037】
式(1)におけるVoutは、負荷抵抗35に印加される電圧値であり、Vinは、高周波電源40から送電コイル12に印加された電圧値であり、L1は、送電コイル12のインダクタンスであり、L2は、受電コイル32のインダクタンスであり、Routは、負荷抵抗35のインピーダンスであり、r3は、受電コイル32の内部抵抗33の抵抗値である。
【0038】
また、式(1)におけるk12は、送電コイル12と増幅コイル13との結合係数であり、k23は、増幅コイル13と受電コイル32との結合係数である。送電コイル12と増幅コイル13とのように隣接して配置されるコイル間の結合係数は、コイル間の間隔が小さいほど大きく、コイル間の間隔が大きいほど小さくなる。また、増幅コイル13と受電コイル32とのように対向して配置されるコイル間の結合係数は、対向する面積が大きいほど大きく、対向する面積が小さいほど小さくなる。
【0039】
上記構成の自走式搬送システム100では、送電コイル12と増幅コイル13との結合係数が0.2以上、好ましくは0.5以上となるように、増幅コイル13が送電コイル12の比較的近くに配置される。一方、受電コイル32は、増幅コイル13に対して送電コイル12よりも離れて配置されるため、増幅コイル13と受電コイル32との結合係数は、送電コイル12と増幅コイル13との結合係数よりも低い値、例えば、0.1以下となる。換言すれば、送電コイル12と増幅コイル13とは、送電コイル12と増幅コイル13との結合係数が、増幅コイル13と受電コイル32との結合係数よりも大きい値となるように配置される。
【0040】
したがって、負荷抵抗35に印加される電圧は、例えば、受電コイル32の巻き数や外径を変化させて上記式(1)中のL2で示される受電コイル32のインダクタンスの大きさを変化させたり、送電コイル12と増幅コイル13との間の隙間の大きさを変化させて上記式(1)中のk12で示される結合係数の大きさを変化させたりすることによって変更することが可能である。
【0041】
また、図5に示すように、1つの搬送路ユニット11に対して搬送車30が2つ以上の複数台ある場合であっても、搬送車30それぞれについて上記式(1)の関係が成立する。このため、搬送車30毎に負荷抵抗35が異なる大きさであったとしても受電コイル32のインダクタンスが同じであれば、負荷抵抗35に印加される電圧はほぼ同じ大きさとなる。つまり、搬送車30毎に搬送されるワークの重さが異なり、各搬送車30の負荷抵抗35、すなわち、各搬送車30の電動モータの負荷が異なっていても、各搬送車30の電動モータに印加される電圧は変動することなくほぼ一定となる。このため、1つの搬送路ユニット11を、重さが異なるワークを搬送する搬送車30が複数走行している場合であっても、互いの走行に支障が生じることはない。
【0042】
また、搬送車30毎に受電コイル32のインダクタンスを異ならせることによって、負荷抵抗35に印加される電圧を異なる大きさとすることが可能である。このため、例えば、互いに異なる電圧で駆動する電動モータを備えた複数の搬送車30を同一の搬送路ユニット11において走行させることも可能である。
【0043】
続いて上記構成の自走式搬送システム100の作動について説明する。
【0044】
複数の搬送車30を搬送路10に沿って走行させるために、まず、各搬送路ユニット11の送電コイル12に高周波電源40から電流が供給される。送電コイル12は、高周波電源40から供給された電流に応じて磁束を生じ、送電コイル12とともに各搬送路ユニット11に配置された増幅コイル13は、送電コイル12において生じた磁束を増幅させる。
【0045】
各搬送車30に設けられた受電コイル32では、増幅コイル13によって増幅された磁束により電磁誘導が起きる。受電コイル32において電磁誘導によって生じた電力がコントローラに供給されると、搬送車30は走行可能な状態となる。
【0046】
コントローラは、無線により走行に関する指令を受信すると、指令に応じて電動モータを駆動し、搬送車30を所定の速度で走行させたり、所定の位置で停止させたりする。具体的には、例えば、第1作業ステーション50の前に搬送車30を停止させ、搬送車30にワークが搬入されると、第2作業ステーション51へと搬送車30を移動させる。第2作業ステーション51においてワークへの加工が終了すると、続いて第3作業ステーション52へと搬送車30を移動させる。第3作業ステーション52においてワークへの部品の組み付けが終了すると、続いて第4作業ステーション53へと搬送車30を移動させる。第4作業ステーション53においてワークが搬出されると、再び第1作業ステーション50へと搬送車30を移動させる。
【0047】
このように、バッテリが搭載されていない搬送車30であっても、搬送路10から非接触にて供給される電力により、搬送路10に沿って移動することが可能である。
【0048】
ここで、増幅コイル13が受電コイル32とともに搬送車30側に設けられている場合、1つの送電コイル12から複数の搬送車30に電力を供給しようとすると、送電コイル12で生じた磁束は、増幅コイル13を介して各搬送車30の受電コイル32へと分配されることになる。このため、搬送車30の台数や搬送車30の負荷の変化に応じて、各搬送車30に振り分けられる電力が変化し、結果として、各搬送車30において安定した電力を確保することができず、各搬送車30を走行させることが困難となるおそれがある。
【0049】
これに対して、上記構成の自走式搬送システム100では、送電コイル12で発生した磁束を増幅する増幅コイル13が送電コイル12とともに搬送路10側に設けられている。このように送電装置である搬送路10において送電コイル12で発生した磁束を予め増幅させることにより、電力を受け取る搬送車30が複数台ある場合であっても、各搬送車30では、受電コイル32のインダクタンス等の特性に応じた電力を安定して受け取ることが可能である。この結果、各搬送車30において安定した電力を確保することができる。
【0050】
以上の実施形態によれば以下の効果を奏する。
【0051】
上記構成の自走式搬送システム100では、送電コイル12で発生した磁束を増幅する増幅コイル13が送電コイル12とともに搬送路10側に設けられている。このように送電装置である搬送路10において送電コイル12で発生した磁束を予め増幅させることにより、電力を受け取る搬送車30が複数台ある場合であっても、各搬送車30では、受電コイル32のインダクタンス等の特性に応じた電力を安定して受け取ることが可能である。この結果、各搬送車30において安定した電力を確保することができる。
【0052】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0053】
上記実施形態では、送電コイル12は、搬送路ユニット11において、増幅コイル13の外側に配置されている。これに代えて、図6に示すように、送電コイル12は、搬送路ユニット11において、増幅コイル13の内側に配置されてもよい。この場合、送電コイル12と増幅コイル13との間の隙間である第1距離D1の大きさを変化させることで、送電コイル12と増幅コイル13との結合係数の大きさを変化させることが可能となり、結果として、搬送車30で受け取られる電力を任意の大きさに変更することができる。なお、増幅コイル13の外側に送電コイル12の位置を変更可能なスペースが十分にある場合は、増幅コイル13と増幅コイル13の外側に配置される送電コイル12との間の隙間の大きさを変化させて、搬送車30で受け取られる電力を任意の大きさに変更してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、送電コイル12、増幅コイル13及び受電コイル32は、それぞれ単線やリッツ線を巻き回すことにより形成される。これに代えて、送電コイル12、増幅コイル13及び受電コイル32は、フレキシブル基板(FPC)やプリント基板(FR4)といった基板に配線された導体により形成されていてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、受電装置としての搬送車30には、直列共振回路が構成されている。これに代えて、図7に示すように、所定の内部抵抗33を有する受電コイル32に、共振コンデンサ34と負荷抵抗35とを並列接続することによって、並列共振回路を構成してもよい。この場合、負荷抵抗35には所定の電流が流れることになる。このように、受電装置側に供給される電流を所定の大きさとした場合、一定の大きさの電流を必要とするバッテリの充電などに有効である。
【0056】
また、上記実施形態では、搬送車30の受電コイル32において生じた起電力は、搬送車30を走行させるための電動モータへと供給される。受電コイル32において生じた起電力は、走行用の電動モータだけではなく、搬送車30に設置された作業用ロボット等を作動させる電動アクチュエータ等の電動装置に供給されてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、自走式搬送システム100ついて説明したが、非接触電力供給システムが適用されるシステムとしては、これに限定されず、電動自動車や電動自転車といった走行用の電動モータを有する走行体を複数台走行可能とするシステムであってもよい。この場合、電動自動車や電動自転車が受電装置となり、送電装置は、電動自動車や電動自転車が走行する道路に埋設される。上記構成の非接触電力供給システムによれば、負荷が異なる電動自動車や電動自転車が複数台走行する場合であっても、それぞれの電動自動車や電動自転車において走行に必要とされる電力を安定して確保することができる。また、走行に必要な電力は常に送電装置から受け取ることが可能であるため、電動自動車や電動自転車に搭載されるバッテリを必要最低限な大きさとし、車両重量を軽減させることができる。
【0058】
また、上記実施形態では、受電装置が搬送車30のように電動モータを有し移動するものである場合について説明したが、受電装置としてはこれに限定されず、充電のために送電装置上に単に載置されるものであってもよい。具体的には、図8に示すように、非接触電力供給システムが、スマートフォンやタブレット端末、携帯電話、携帯ゲーム機、デジタルカメラ、イヤホン等の小型音響機器、ウェアラブル端末、ハンディ掃除機といった異なる小型の電子機器130を一度に複数充電可能な充電システム200であってもよい。
【0059】
充電システム200は、自走式搬送システム100と同様に、送電装置としての送電ユニット110と、送電ユニット110から電力が供給される受電装置としての複数の電子機器130と、送電ユニット110に高周波電力を供給する電源としての高周波電源40と、を備える。
【0060】
送電ユニット110は、図8に示すように、送電コイル12と、送電コイル12の内側に配置される増幅コイル13と、を有する。電子機器130は、図示しない蓄電池としてのバッテリと、増幅コイル13と電磁的に結合可能な受電コイル32と、を有する。
【0061】
受電コイル32では、対向する増幅コイル13で増幅された磁束により電磁誘導が起きる。このように受電コイル32において電磁誘導によって生じた起電力は、電子機器130のバッテリに充電される。なお、電子機器130は、受電コイル32とバッテリとの間に図示しない整流回路等を有していてもよい。
【0062】
電子機器130の受電コイル32が送電コイル12及び増幅コイル13の円弧部12b,13b上に載置された場合、増幅コイル13と受電コイル32との結合係数の低下により供給される電力が不安定となるおそれがある。このため、送電コイル12及び増幅コイル13の平行部12a,13aに電子機器130が載置されるように、図8において一点鎖線で囲まれるような、増幅コイル13と受電コイル32との結合係数が安定し比較的効率的に充電が行われる領域を示す充電エリア表示60を設けることが好ましい。例えば、充電エリア表示60は、送電コイル12及び増幅コイル13を覆うように設けられる樹脂等の非磁性材により形成される図示しない載置板に表示される。
【0063】
上記構成の充電システム200によれば、充電に必要な電力が異なる複数の小型の電子機器130が1つの送電装置上に並べられたとしても、それぞれの小型の電子機器130において充電に必要とされる電力を安定して確保することができる。
【0064】
なお、図8に示される送電ユニット110の送電コイル12及び増幅コイル13は、平行部12a,13aと円弧部12b,13bとが同一平面上に設けられているが、上記実施形態の搬送路ユニット11と同様に、平行部12a,13aに対して円弧部12b,13bを折り曲げた構成とし、折曲部が互いに対向するように隣り合う送電ユニット110を近接して配置してもよい。これにより複数の送電ユニット110を連続して配置することが可能になる。さらに、平行部12a,13aが直線状ではなく円弧状に形成された送電ユニット110を設け、平行部12a,13aが直線状の送電ユニット110と平行部12a,13aが円弧状の送電ユニット110とを適宜組み合わせることによって、充電が行われる領域を自由にレイアウトすることができる。
【0065】
なお、小型の電子機器130は、スマートフォン等に限定されず、バッテリを備えた電子機器であればどのようなものであってもよく、例えば、ノート型パソコンや加熱式タバコのようにバッテリを備えた電子機器であってもよい。
【0066】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0067】
非接触電力供給システム100,200において、送電装置としての搬送路10及び送電ユニット110は、高周波電源40に接続され磁束を生じる送電コイル12と、送電コイル12で発生した磁束を増幅する増幅コイル13と、を有し、受電装置としての搬送車30及び電子機器130は、増幅コイル13と電磁結合する受電コイル32を有する。
【0068】
この構成では、送電コイル12で発生した磁束を増幅する増幅コイル13が送電コイル12とともに搬送路10及び送電ユニット110側に設けられている。このように送電装置である搬送路10及び送電ユニット110において送電コイル12で発生した磁束を予め増幅させることにより、電力を受け取る搬送車30及び電子機器130が複数台ある場合であっても、各搬送車30及び電子機器130では、受電コイル32のインダクタンス等の特性に応じた電力を安定して受け取ることが可能である。この結果、各搬送車30及び電子機器130において安定した電力を確保することができる。
【0069】
また、送電コイル12及び増幅コイル13の少なくとも一部は同一平面上に配置される。
【0070】
この構成では、搬送路10及び送電ユニット110に設けられる送電コイル12及び増幅コイル13の少なくとも一部が同一平面上に配置される。このように送電装置である搬送路10及び送電ユニット110において送電コイル12と増幅コイル13とを同一平面上に配置することにより、送電コイル12で発生した磁束を増幅コイル13によって効率的に増幅させることが可能となる。このため、電力を受け取る搬送車30及び電子機器130が複数台ある場合であっても、各搬送車30及び電子機器130では、受電コイル32のインダクタンス等の特性に応じた電力を安定して受け取ることが可能となり、結果として、各搬送車30及び電子機器130において安定した電力を確保することができる。
【0071】
また、搬送路10及び送電ユニット110は、複数の搬送車30及び電子機器130に対して同時に電力を供給する。
【0072】
この構成では、搬送路10及び送電ユニット110から複数の搬送車30及び電子機器130に対して同時に電力が供給される。送電装置である搬送路10及び送電ユニット110では、送電コイル12で発生した磁束が増幅コイル13によって予め増幅させる。このため、電力を受け取る搬送車30及び電子機器130が複数台ある場合であっても、これらに対して同時に電力を供給することが可能である。
【0073】
また、送電コイル12及び増幅コイル13は、平行部12a,13aと平行部12a,13aの端部に設けられる一対の円弧部12b,13bとを有する環状に形成され、複数の搬送車30は、平行部12a,13aに沿って搬送路10上を移動する。また、複数の電子機器130は、平行部12a,13aに沿って送電ユニット110上に載置される。
【0074】
この構成では、複数の搬送車30は、送電コイル12及び増幅コイル13の平行部12a,13aに沿って搬送路10上を移動し、また、複数の電子機器130は、送電コイル12及び増幅コイル13の平行部12a,13aに沿って載置される。このように供給される電力が不安定となる円弧部12b,13bを避け、供給される電力が比較的安定する平行部12a,13aのみにおいて受電装置へ電力を供給する構成とすることにより、搬送車30や小型の電子機器130において安定した電力を確保することができる。
【0075】
また、搬送車30及び電子機器130で受け取られる電圧は、送電コイル12と増幅コイル13との結合係数に応じて変化する。
【0076】
この構成では、搬送車30及び電子機器130で受け取られる電圧が、送電コイル12と増幅コイル13との結合係数に応じて変化する。送電コイル12と増幅コイル13との結合係数は、送電コイル12と増幅コイル13との間隔等を変更することにより変化する。このため、搬送車30や小型の電子機器130において必要とされる電圧に応じて、送電コイル12と増幅コイル13との間隔等を適宜変更することによって、各搬送車30や小型の電子機器130に安定した電力を供給することができる。
【0077】
また、搬送車30及び電子機器130で受け取られる電圧は、受電コイル32のインダクタンスに応じて変化する。
【0078】
この構成では、搬送車30及び電子機器130で受け取られる電圧が、受電コイル32のインダクタンスに応じて変化する。受電コイル32のインダクタンスは、受電コイル32の巻き数や外径を変更することにより変化する。このため、各搬送車30及び電子機器130で必要とされる電圧に応じて、受電コイル32の巻き数や外径を適宜変更することによって、搬送車30及び電子機器130毎に異なる電力を供給することができる。
【0079】
また、搬送路10は、送電コイル12と増幅コイル13とを有する複数の搬送路ユニット11を有し、搬送路ユニット11は隣接して並べて配置される。また、送電ユニット110は、送電コイル12と増幅コイル13とを有する複数の送電ユニット110を有し、送電ユニット110は隣接して並べて配置される。
【0080】
この構成では、送電コイル12と増幅コイル13とを有する複数の搬送路ユニット11が隣接して並べて配置されることにより搬送路10が構成される。このように、送電装置である搬送路10を複数のユニットにより構成することによって、搬送路10の径路を作業ステーション50~53の配置に応じて自在に設定することが可能である。また、複数の小型の電子機器130の充電に用いられる送電ユニット110の場合、複数の送電ユニット110を隣接して並べることによって、小型の電子機器130の数に応じて電力を供給可能なエリアを自由に増減することが可能であるとともに、電力を供給可能なエリアのレイアウトを自在に変更することが可能である。
【0081】
また、送電コイル12及び増幅コイル13は、平行部12a,13aと平行部12a,13aの端部に設けられる一対の円弧部12b,13bとを有する環状に形成され、円弧部12b,13bと平行部12a,13aとの間の折曲部12c,13cにおいて、円弧部12b,13b側が搬送車30または電子機器130から離れるように折り曲げられている。
【0082】
この構成では、各搬送路ユニット11及び送電ユニット110に設けられた送電コイル12及び増幅コイル13の円弧部12b,13b側が、搬送車30または電子機器130から離れるように折り曲げられている。つまり、受電装置である搬送車30及び電子機器130には、送電コイル12及び増幅コイル13の円弧部12b,13bは対向せず、平行部12a,13aのみが対向した状態となる。このように供給される電力が不安定となる円弧部12b,13bを避け、供給される電力が比較的安定する平行部12a,13aのみにおいて搬送車30及び電子機器130へ電力を供給する構成とすることにより、搬送車30及び電子機器130において安定した電力を確保することができる。
【0083】
また、複数の搬送路ユニット11は、折曲部12c,13cが互いに対向するように隣接して配置される。また、複数の送電ユニット110は、折曲部12c,13cが互いに対向するように隣接して配置される。
【0084】
この構成では、複数の搬送路ユニット11または複数の送電ユニット110が、折曲部12c,13cが互いに対向するように隣接して配置される。このように、あたかも平行部12a,13aがつながっているかのように複数の搬送路ユニット11を隣接して配置することによって、一方の搬送路ユニット11から他方の搬送路ユニット11へ向かう搬送車30に対して電力を継続的に安定して供給することが可能となる。また、複数の小型の電子機器130の充電に用いられる送電ユニット110の場合、あたかも平行部12a,13aがつながっているかのように複数の送電ユニット110を隣接して配置することによって、2つの送電ユニット110の境目に小型の電子機器130が載置されたとしても電子機器130に対して電力を安定して供給することが可能となる。
【0085】
また、隣接して配置される2つの搬送路ユニット11または2つの送電ユニット110の一方の円弧部12b,13bと他方の円弧部12b,13bとの間には軟磁性体製の遮蔽板22が設けられる。
【0086】
この構成では、隣接して配置される2つの搬送路ユニット11または2つの送電ユニット110の一方の円弧部12b,13bと他方の円弧部12b,13bとの間に軟磁性体製の遮蔽板22が設けられる。このように軟磁性体により形成された遮蔽板22を一方の円弧部12b,13bと他方の円弧部12b,13bとの間に設けることで、互いに行き交う磁束が遮蔽板22によって遮断される。このため、搬送路ユニット11または送電ユニット110を隣接して配置したとしても各搬送路ユニット11及び送電ユニット110において安定した磁束が生じることとなり、結果として、搬送車30や小型の電子機器130等の受電装置において安定した電力を確保することができる。
【0087】
また、搬送車30及び電子機器130は、受電コイル32と直列共振回路または並列共振回路を構成する共振コンデンサ34を有する。
【0088】
この構成では、受電装置である搬送車30及び電子機器130が、受電コイル32と直列共振回路または並列共振回路を構成する共振コンデンサ34を有する。受電コイル32と共振コンデンサ34とが直列共振回路を構成する場合、搬送車30及び電子機器130では所定の大きさの電圧を確保することが可能であり、受電コイル32と共振コンデンサ34とが並列共振回路を構成する場合、搬送車30及び電子機器130では所定の大きさの電流を確保することが可能である。このため、受電装置側の仕様に応じた共振回路とすることによって受電装置に必要な電力を安定して確保することができる。
【0089】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0090】
本願は2019年2月28日に日本国特許庁に出願された特願2019-036349に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8