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特許7155409基体の前進を伴うエアロゾル発生システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】基体の前進を伴うエアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20221011BHJP
   A24F 40/53 20200101ALI20221011BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20221011BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/53
A24F40/46
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021514572
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2019076068
(87)【国際公開番号】W WO2020064944
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-03-16
(31)【優先権主張番号】18197775.2
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】グランジャン エメリック
(72)【発明者】
【氏名】タウリノ イレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ジノヴィク イゴール ニコラエヴィッチ
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-507476(JP,A)
【文献】特表2017-500100(JP,A)
【文献】特表2018-514191(JP,A)
【文献】特表2014-525237(JP,A)
【文献】国際公開第2017/202959(WO,A2)
【文献】国際公開第2018/138637(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/40
A24F 40/53
A24F 40/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムであって、
空洞開口を有する空洞を画定する本体と、
前記空洞の中に配置されたエアロゾル形成基体と、
前記空洞開口に近接して配置された発熱体と、
前記エアロゾル形成基体による前記発熱体との接触を検出するように構成されたコントローラと、
前記エアロゾル形成基体が前記発熱体に向かって前進するように構成された機械的前進機構と、を備える、エアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記コントローラが前記発熱体の抵抗を検出する、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記エアロゾル形成基体が、前記発熱体によって加熱された時に揮発するゲルまたは粘稠な液体である、請求項1~2のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記発熱体が、前記空洞にわたって配置されたメッシュ層である、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記空洞内に配置された、かつ前記発熱体に向かって一方向にのみ移動可能である剛直な基部をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記剛直な基部を前記発熱体に向かって前進または移動させるように構成された前進機構をさらに備える、請求項5に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記前進機構が、前記本体上に配置されたスパイラル要素を備え、かつ前記本体の一部分の回転移動が前記剛直な基部を前記発熱体に向かって移動させる、請求項6に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記剛直な基部または本体が、前記本体の回転部分による一方向のみの回転を可能にするように構成された停止要素を備える、請求項7に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記本体が、エアロゾル発生装置の中に受容されているカートリッジを形成し、前記前進機構が前記カートリッジの一部分を形成し、かつ前記発熱体が前記エアロゾル発生装置の一部分を形成する、請求項6~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
前記本体が、エアロゾル発生装置の中に受容されているカートリッジを形成し、前記前進機構が前記エアロゾル発生装置の一部分を形成し、かつ前記発熱体が前記カートリッジの一部分を形成する、請求項6~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記コントローラが前記発熱体の抵抗閾値を検出した時に起動するように構成された視覚的インジケータをさらに備え、前記視覚的インジケータがインジケータライト、またはグラフィカルユーザーインターフェース、またはインジケータライトとグラフィカルユーザーインターフェースの両方を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記コントローラが前記発熱体の抵抗閾値を検出した時に、前記エアロゾル形成基体を前記発熱体に向かって移動させるように構成されたアクチュエータをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の前記エアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記エアロゾル形成基体がニコチンを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
前記コントローラに動作可能に連結された電源をさらに備える、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はエアロゾル発生システムに関し、より具体的に、エアロゾル形成基体による発熱体との接触を維持するエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置の外に漏れる傾向があるeリキッドを含有する場合がある加熱非燃焼式装置である。eリキッドは典型的に、グリセロール、グリコール、およびニコチンから形成された低粘度流体である。
【0003】
これらの電子エアロゾル発生装置の設計は、移送、保管、および使用中のeリキッドによるシステムからの漏れを低減することに重点を置いている。これらの設計努力にもかかわらず、eリキッドの漏れは、これらの電子エアロゾル発生装置にとって依然として問題である。加えて、ニコチンの最大濃度を約2重量%に制限する地域規制がある。これは、送達される使用可能なニコチンを制限し、それ故にニコチンの効率的な気化が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基体の漏れを最小化するゲルまたは粘稠なエアロゾル形成基体を利用する、電気加熱式エアロゾル発生システムを提供することが望ましいことになる。ニコチン送達を改善する電気加熱式エアロゾル発生システムを提供することも望ましいことになる。エアロゾル形成基体が消費される際に、発熱体とエアロゾル形成基体の間の接触を維持する電気加熱式エアロゾル発生システムを提供することがさらに望ましいことになる。エアロゾル形成基体を発熱体に向かって一方向にのみ(自動的にまたは手動で)移動させる電気加熱式エアロゾル発生システムを提供することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の様々な態様は、空洞を画定する本体を有するエアロゾル発生システムに関し、エアロゾル形成基体は空洞の中に配置されている。発熱体は、空洞に近接して配置されている。コントローラは、エアロゾル形成基体による発熱体との接触を検出するように構成されている。
【0006】
本開示の態様によると、エアロゾル発生システムは、エアロゾル形成基体を発熱体に向かって前進させるように構成された機械的前進機構をさらに含む。機械的前進機構は、機械的に移動可能な部品を備えてもよい。機械的前進機構は、コントローラまたはユーザーによって与えられた命令に応答して、エアロゾル形成基体を発熱体に向かって前進させるように構成されてもよい。
【0007】
本開示の態様によると、コントローラは発熱体の抵抗を検出する。コントローラは、基体が発熱体と接触していないことを示してもよく、また基体を発熱体に向かって手動で移動または前進させるようユーザーに警告してもよい。別の方法として、コントローラは、基体が発熱体と接触していないという表示の後に、基体を発熱体に向かって自動的に前進させてもよい。それ故に、基体は、使用中に基体が消費される際にも、発熱体との接触を維持する。前進機構は、エアロゾル発生物品(またはカートリッジ)の一部分を形成してもよい。前進機構は、エアロゾル発生物品(またはカートリッジ)を受容するエアロゾル発生装置の一部分を形成してもよい。
【0008】
本開示の態様によると、基体は、発熱体に向かって移動するか、または前進されるだけでもよい。戻り止めまたは停止要素が、発熱体から離れる基体の移動を防止するように配設されてもよい。基体は、前進機構によって発熱体に向かって移動または前進されてもよい。前進機構は、エアロゾル発生物品(またはカートリッジ)の一部分を形成してもよく、または前進機構は、エアロゾル発生物品(またはカートリッジ)を受容するエアロゾル発生装置の一部分を形成してもよい。基体は、らせん状、スパイラル状、またはねじ溝またはねじを介して発熱体に向かって移動または前進されてもよく、ここで回転移動は発熱体に向かう横方向の移動に変換される。これらの態様において、回転移動は単一の回転方向に限定されてもよい。基体は、基体への直接的な横方向の移動を提供するプッシングロッドを介して、発熱体に向かって移動または前進されてもよい。停止要素は、発熱体の方向のみの基体の回転または横方向の移動を可能にするように構成されてもよい。停止要素はラチェットを備えてもよい。
【0009】
一部の実施形態において、基体(本明細書において「エアロゾル形成基体」とも呼ばれる)は、発熱体によって加熱された時に揮発するゲルまたは粘稠な液体を含んでもよい。基体の気化した化合物は、エアロゾルの形成に寄与する。基体は、約2重量%、または約1重量%~約2重量%のニコチンを含んでもよい。
【0010】
一部の実施形態において、発熱体はグリッドまたはメッシュ要素または層であってもよい。ゲルまたは粘稠な液体は、グリッドまたはメッシュ要素を形成するすきま空間の中に流れる場合がある。コントローラは、発熱体の抵抗を検出し、かつ基体が、例えば発熱体の抵抗閾値に基づいて、発熱体と接触している、または接触していないことを示す場合がある。発熱体は、交換可能なエアロゾル発生物品(またはカートリッジ)の一部分を形成してもよい。発熱体は、交換可能なエアロゾル発生物品(またはカートリッジ)を受容するエアロゾル発生装置の一部分を形成してもよい。
【0011】
一部の実施形態において、視覚的インジケータは、コントローラが発熱体の抵抗閾値を検出すると起動するように構成されてもよい。次いで、ユーザーは基体を手動で前進させてもよい。別の方法として、アクチュエータは、コントローラが発熱体の抵抗閾値を検出する時に、発熱体に向かって基体を移動または前進させるように構成されている。コントローラは、電源を含んでもよい。コントローラは、グラフィカルユーザーインターフェースまたはインジケータライトを含んでもよく、またはグラフィカルユーザーインターフェースまたはインジケータライトに動作可能に接続されてもよい。
【0012】
一部の実施形態において、本体は、エアロゾル発生装置の中に受容されているカートリッジを形成し、前進要素はカートリッジの一部分を形成し、発熱体はエアロゾル発生装置の一部分を形成する。
【0013】
一部の実施形態において、本体は、エアロゾル発生装置の中に受容されているカートリッジを形成し、前進要素はエアロゾル発生装置の一部分を形成し、発熱体はカートリッジの一部分を形成する。
【0014】
有利なことに、電気加熱式エアロゾル発生システムは、ゲルまたは粘稠な液体基体と電気ヒーターとの接触を維持するか、または接触の維持を補助する。前進機構は、ゲルまたは粘稠な液体基体を電気ヒーター上に押しやり、そのため電気ヒーター上のゲルまたは粘稠な液体基体は、電気ヒーターに接触する。一部の実施形態において、ばねまたはリップスティックタイプの機械的前進機能は、ゲルまたは粘稠な液体基体を電気ヒーター上に押しやる。他の実施形態において、プッシングロッドまたはねじ要素の機械的前進機能は、ゲルまたは粘稠な液体基体を電気ヒーター上に押しやる。ゲルまたは粘稠な液体基体と電気ヒーターとの間の接触を維持することは、エアロゾル形成基体の効率的な揮発を改善する。ゲルまたは粘稠な液体基体を利用することはまた、電気加熱式エアロゾル発生システムからのゲルまたは粘稠な液体基体の漏れを低減または最小化する場合がある。
【0015】
「エアロゾル」という用語は本明細書において、ニコチンおよび随意の揮発性風味化合物を含有してもよい、気体(例えば空気)中の微細固体粒子または液滴の懸濁液を指すために使用される。
【0016】
エアロゾル発生システムは、空洞開口を有する空洞を画定する本体と、空洞の中に配置されたエアロゾル形成基体と、空洞開口に近接して配置された発熱体と、エアロゾル形成基体による発熱体との接触を検出するように構成されたコントローラとを含む。
【0017】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置と嵌合するエアロゾル発生物品(これは「カートリッジ」と呼ばれる場合がある)を含んでもよい。エアロゾル発生物品はエアロゾル形成基体を含む。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を発熱体に向かって前進させるように構成されていて、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を一方向にのみ、すなわち発熱体に向かって前進させるように構成されていることが好ましい。発熱体は、エアロゾル発生装置に連結されてもよく、またその一部を形成してもよい。別の方法として、発熱体は、エアロゾル発生物品に連結されてもよく、またその一部を形成してもよい。
【0018】
エアロゾル発生物品は、任意の適切な形状で提供されてもよく、エアロゾル発生装置によって受容されるように構成されている。エアロゾル発生装置は、概してロッド形状の喫煙物品、または任意の他の適切な形状を有する物品などの喫煙物品であってもよい。エアロゾル発生物品は、実質的に立方体形状、円筒形状、円錐台形状、または任意のその他の適切な形状を有してもよい。エアロゾル発生物品は、概して円筒形状(細長い円筒形状など)、または円錐台形状を有することが好ましい。
【0019】
エアロゾル発生物品はカートリッジであってもよい。カートリッジは、中にエアロゾル形成基体が配置される空洞を画定する任意の適切な本体を含んでもよい。本体は、耐熱性ポリマーまたは金属などの一つ以上の耐熱性材料から形成されていることが好ましい。本体は熱伝導性材料を含んでもよい。例えば、本体はアルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、銀、それらの任意の合金、およびそれらの組み合わせのいずれかを含んでもよい。本体はアルミニウムを含むことが好ましい。
【0020】
本体は側壁を備えてもよい。本体は空洞を画定してもよい。一実施形態によると、側壁は空洞を画定する円筒を形成する。円筒は、例えば円筒の一方の端に向かってテーパー状になるよう配設された直径など、変化する直径を備えてもよい。空洞は、空洞の長さに沿って一定の直径または均一な直径を有することが好ましい。
【0021】
円筒状の側壁は、第一の端および第二の端を有してもよい。第一の端は閉鎖されていてもよく、また第二の端は開放されていてもよく、かつ空洞開口を画定してもよい。剛直な基部は、円筒状の側壁および空洞の第一の端を終結し、かつ閉じてもよい。剛直な基部は、円筒状の側壁に対して移動可能であってもよい。剛直な基部は、円筒状の側壁の空洞開口または第二の端に向かって前進してもよく、剛直な基部は、一方向のみに、すなわち円筒状の側壁の空洞開口または第二の端に向かって前進するように構成されていることが好ましい。
【0022】
空洞は、円筒状の側壁の内表面によって画定されてもよく、剛直な基部は、円筒状の側壁の内表面内にぴったりと嵌合してもよく、また円筒状の側壁の内表面に沿って第二の端から第一の端に、または空洞開口に摺動してもよい。
【0023】
エアロゾル形成基体は空洞内に配置されている。剛直な基部は、エアロゾル形成基体を第一の端または空洞開口に向かって前進させるように構成されている。エアロゾル発生物品またはエアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品の第一の端または空洞開口に近接する発熱体を含む。剛直な基部は、エアロゾル形成基体を発熱体に向かって前進させるように構成されている。エアロゾル形成基体が加熱され、気化され、かつ消費されるにつれて、剛直な基部は、自動的にまたは手動で発熱体に向かって前進されるように構成されていて、エアロゾル形成基体が発熱体との接触を維持することを確実にする。
【0024】
粘稠な流体またはゲルであることが好ましいエアロゾル形成基体は、手動機構または自動機構のいずれかによって、発熱体(好ましくは抵抗加熱のための金属メッシュ層)に向かって前進される。
【0025】
手動による前進は、装置の外部で、かつ物品の閉鎖端に近接する回転リングを使用して、消費者によって遂行されてもよい。装置のコントローラは、各吸煙中に発熱体の抵抗をモニターしてもよい。視覚的インジケータ(例えば、点滅インジケータライト)は、発熱体抵抗が約5%、または例えば約10%増加するとオンになり、これは、乾燥メッシュ状態を示す場合がある(すなわち、エアロゾル形成基体がもはや発熱体に接触していない)。こうした視覚的表示は、消費者が、物品に組み込まれたリングを予め定義された半径で回し、エアロゾル形成基体を前進させて、発熱体との接触を維持するために、発熱体に向かって予め定義された距離を前進させた時に、オフにしてもよい。別の方法として、手動前進は、前進機構に給電し、かつ発熱体との接触を維持するために基体を発熱体に向かって前進させるスイッチを消費者が起動することによって遂行されてもよい。
【0026】
自動前進は、物品上のアクチュエータを起動するコントローラによって遂行されてもよい。装置のコントローラは、吸煙中に発熱体の抵抗をモニターしてもよい。発熱体抵抗が約5%または例えば約10%増加する時、乾燥メッシュ状態を示す場合があり(すなわち、エアロゾル形成基体がもはや発熱体に接触していない)、機械的回転システムが活性化される。これは、発熱体との接触を維持するために、エアロゾル形成基体が発熱体に向かって予め定義された距離にわたって前進されることを可能にする。前進機構の自動前進は、登録されたメッシュ抵抗が公称値よりも5~10%低いことが見いだされる吸煙の後に生じる。
【0027】
前進機構はエアロゾル発生装置の一部分を形成してもよい。別の方法として、前進機構は、エアロゾル発生物品の一部を形成してもよい。前進機構は、ピストンタイプの要素として構成されてもよい。前進機構は、ねじタイプの要素として構成されてもよい。前進機構は、回転移動を横方向の移動に変換してもよい。
【0028】
本体は、一つ以上の部品を含んでもよい。例えば、側壁および端壁は、一体型の単一部品であってもよい。側壁および端壁は、ねじ係合または締まり嵌めなど、任意の適切な様態で互いに係合するように構成された二つの部品であってもよい。側壁および端壁は、例えば溶接によって、または接着剤によって、共に接合された二つの部品であってもよい。側壁および二つの対向する端壁は、ねじ係合、締まり嵌め、溶接、または接着剤などの、任意の適切な様態で互いに係合するように構成された三つの別個の部品であってもよい。
【0029】
本体は、円筒状の空洞(エアロゾル形成基体を含有するための空洞)を形成する側壁と、空洞の直径を充填し、かつ空洞の長さに沿って移動可能な剛直な基部とを備えてもよい。エアロゾル形成基体は、剛直な基部に接触してもよく、また剛直な基部は、空洞の長さに沿ってエアロゾル形成基体を押しやってもよく、または前進させてもよい。
【0030】
本体は、剛直な基部およびエアロゾル形成基体を空洞の長さに沿って前進させるように構成されている機械的前進機構をさらに含んでもよい。機械的前進機構は、回転移動を長軸方向の移動に変換してもよい。機械的前進機構は、直接的な横方向の移動を基体に加えてもよい。
【0031】
本体は、剛直な基部に機械的に連結されたリング要素を含んでもよく、リング要素の回転移動は剛直な基部の横方向の移動または長軸方向の移動を引き起こす。例えば、機械的前進機構は、「リップスティック」前進機構と類似して構成され動作してもよく、ピンは本体に連結されていて、かつ本体上のスパイラルグローブと、およびスパイラルガイドを有する外部チューブと嵌合する。ピンは、本体のスパイラルグローブ内部、および外部チューブのスパイラルガイド内部を移動する。
【0032】
本体は、円筒状の空洞を形成する、かつ空洞開口に対向する側壁の第二の端に固定された、ばね支持層に剛直な基部を付勢するばね要素を含んでもよい。機械的前進機構を有して、または有しないで存在してもよいばね要素は、回転移動を長軸方向の移動に変換してもよい。
【0033】
機械的前進機構は、単一の方向のみでの、すなわち発熱体に向かう、エアロゾル形成基体の横方向の移動または長軸方向の移動を可能にすることが好ましい。本体は、発熱体から離れる横方向の移動を防止する一つ以上の停止要素または戻り止め要素を含んでもよい。停止要素は、空洞または本体の側壁の横方向の長さまたは長軸方向の長さに沿って定置されて、機械的前進機構が起動されるたびに、エアロゾル形成基体を所定の距離にわたって前進させてもよい。停止要素はまた、エアロゾル形成基体が所望の設定距離にわたって前進されたことを示す可聴音を提供してもよい。
【0034】
停止要素は、機械的前進機構が起動されるたびに、エアロゾル形成基体を所定の距離にわたって前進させるために、横方向の移動に変換される回転移動を加える任意の回転またはリング要素の直径に沿って定置されてもよい。そこで停止要素は、回転要素またはリング要素による反対方向の回転を防止する。停止要素はまた、エアロゾル形成基体が所望の設定距離にわたって前進されたことを示す可聴音を提供してもよい。ラチェット要素は、このタイプの停止要素の一例である。
【0035】
発熱体は、抵抗加熱構成要素(一つ以上の抵抗性ワイヤまたはその他の抵抗要素など)を備えてもよい。抵抗性ワイヤは熱伝導性材料と接触して、生成した熱をより広い区域にわたって配分してもよい。適切な導電性材料の例としては、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、銀、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0036】
発熱体は、交差する抵抗要素またはワイヤのグリッドまたはメッシュ層であってもよい。発熱体メッシュ層は、エアロゾル形成システムの動作中にエアロゾル形成基体が中に充填される、または流れることができる複数のすきま、もしくはメッシュ開口を画定してもよい。エアロゾル形成基体は、動作中に発熱体メッシュ層を完全に包囲してもよい。すきままたはメッシュ開口は、すきまの間の幅によって画定されてもよく、幅は約10~約100マイクロメートルの範囲であってもよい。交差する抵抗要素またはワイヤの幅または直径は、約10~約50マイクロメートルの範囲、または約15~約40マイクロメートルの範囲であってもよい。
【0037】
エアロゾル形成基体は、空洞の任意の適切な容積を占めてもよい。空洞中のエアロゾル形成基体の容積は、カートリッジ中に定置されたエアロゾル形成基体の量、組成、形状、充填密度、または形式を改変することによって変化してもよい。
【0038】
任意の適切なエアロゾル形成基体は、物品の本体によって画定された空洞の中に提供されてもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成する場合がある揮発性化合物を放出する能力を有する基体であることが好ましい。揮発性化合物はエアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は固体もしくは液体であってもよく、または固体構成要素と液体構成要素の両方を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、ゲルまたは粘稠な液体を含むことが好ましい。
【0039】
エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよく、またたばこ含有材料は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有する。エアロゾル形成基体は、約1~約5重量%のニコチン、または約1~約3重量%のニコチン、または約1.5~約2.5重量%、または約2重量%のニコチンを含んでもよい。ニコチン構成成分は、エアロゾル形成基体の最も揮発性の高い成分であってもよい。
【0040】
エアロゾル形成基体は、少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に高密度かつ安定したエアロゾルの形成を容易にする、および装置の使用温度にて熱分解に対して実質的に耐性のある、任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物であってもよい。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、最も好ましくはグリセリンなど)である。エアロゾル形成基体は、他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。エアロゾル形成基体はニコチンおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含むことが好ましい。一部の実施形態において、エアロゾル形成体は、グリセリンまたはグリセリンと一つ以上の他の適切なエアロゾル形成体(上記のものなど)との混合物である。
【0041】
エアロゾル形成基体は、任意の適切な量のエアロゾル形成体を含んでもよい。例えば、エアロゾル形成体含有量は、乾燥重量基準で5%以上であってもよく、乾燥重量基準で30重量%より高いことが好ましい。エアロゾル形成体含有量は、乾燥重量基準で約95%未満であってもよい。エアロゾル形成体の含有量は最大約55%であることが好ましい。
【0042】
一部の実施例において、エアロゾル形成基体は一つ以上の感覚促進剤を含む。適切な感覚増強剤としては、風味剤および感覚剤(冷感剤など)が挙げられる。適切な風味剤としては、天然または合成のメントール、ペパーミント、スペアミント、コーヒー、茶、スパイス(シナモン、クローブおよび/またはショウガなど)、ココア、バニラ、果実風味、チョコレート、ユーカリ、ゼラニウム、オイゲノール、リュウゼツラン、ジュニパー、アネトール、リナロールおよびそれらの任意の組み合わせを含む。
【0043】
一部の実施例において、エアロゾル形成基体はゲルの形態である(ゲルはゲルに力を加えることなく流れることはない)。一部の実施例において、エアロゾル形成基体は、0.01s-1の剪断速度に対して約103~約105Pa-sの範囲の粘度を有する粘稠な液体の形態である。
【0044】
発熱体は(カートリッジまたは装置の一部分を形成するかを問わず)、発熱体に電力を供給するために、および発熱体とエアロゾル形成基体の間の接触を検出するために、電源およびコントローラに動作可能に連結されてもよい。エアロゾル発生装置は、発熱体の加熱を制御し、かつそれ故にエアロゾル形成基体が加熱される温度を制御するために、発熱体に動作可能に連結された制御電子機器を備えてもよい。制御電子機器は任意の適切な形態で提供されてもよく、また例えばコントローラ、またはメモリとコントローラを含んでもよい。コントローラは、「特定用途向け集積回路(ASIC)」状態機械、デジタル信号プロセッサ、ゲートアレイ、マイクロプロセッサ、または等価のディスクリート論理回路もしくは集積論理回路のうちの一つ以上を含んでもよい。制御電子機器は、回路の一つ以上の構成要素に制御電子機器の機能または態様を実行させる命令を包含するメモリを含んでもよい。本開示における制御電子機器に帰属する機能は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアのうちの一つ以上として具現化されてもよい。
【0045】
電子回路はマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラム可能なマイクロプロセッサであってもよい。電子回路は電力の供給を調節するように構成されてもよい。電力は、電流パルスの形態でヒーター要素に供給されてもよい。
【0046】
一部の実施例において、制御電子機器は、発熱体の電気抵抗をモニターするように、かつ発熱体の電気抵抗に応じて発熱体への電力の供給を制御するように構成されてもよい。このようにして、制御電子機器は抵抗性要素の温度を調節してもよい。
【0047】
発熱体は、エアロゾル形成基体を約150℃~約300℃、より好ましくは約180℃~約250℃、または約200℃~約230℃の範囲の温度に加熱するように構成された抵抗発熱体であってもよい。
【0048】
エアロゾル発生装置(またはカートリッジ)は、発熱体の温度を制御するために、制御電子機器に動作可能に連結された温度センサー(熱電対など)を備えてもよい。温度センサーは、任意の適切な場所に位置付けられてもよい。例えば、温度センサーは、加熱されているエアロゾル形成基体の温度をモニターするために、装置レセプタクル内に受容された時に物品の中に挿入されるように構成されてもよい。加えて、または別の方法として、温度センサーは発熱体と接触してもよい。センサーは、感知された温度に関連する信号を制御電子機器に送信してもよく、この制御電子機器はセンサーにて適切な温度を達成するために発熱体の加熱を調整しうる。
【0049】
コントローラは、エアロゾル形成基体による発熱体との接触を検出するように構成されてもよい。コントローラは、エアロゾル形成基体が発熱体から離隔するようになることを示す視覚的表示を提供するように構成されてもよい。例えば、コントローラは、発熱体の両側の間の抵抗をサンプリングしてもよく、また抵抗が閾値まで増加したら、コントローラは、エアロゾル形成基体が発熱体から離隔していることをユーザーに警告してもよい。ユーザーは、エアロゾル形成基体を発熱体に向かって手動で前進させてもよい。別の方法として、コントローラは、エアロゾル形成基体を発熱体に向かって自動前進させるアクチュエータを起動してもよい。一部の場合において、コントローラは、エアロゾル形成基体が発熱体から離隔していることをユーザーに警告し、その後エアロゾル形成基体を発熱体に向かって自動前進させてもよい。エアロゾル形成基体が枯渇したら、コントローラはエアロゾル形成基体が枯渇していることをユーザーに警告してもよい。
【0050】
コントローラは、視覚的インジケータを介して、またはグラフィカルユーザーインターフェース上のメッセージとして、ユーザーに警告してもよい。視覚的インジケータは、エアロゾル形成システムの本体もしくはハウジング上の、または本体もしくはハウジング中の光または点滅光であってもよい。グラフィカルユーザーインターフェースは、エアロゾル形成システムの本体もしくはハウジング上に、または本体もしくはハウジング中にあってもよい。
【0051】
制御電子機器は電源に動作可能に連結されてもよい。エアロゾル発生装置は任意の適切な電源を備えてもよい。例えば、エアロゾル発生装置の電源は、電池または電池の組であってもよい。電源の電池は、再充電可能であってもよく、または取り外し可能かつ交換可能であってもよく、または再充電可能かつ取り外し可能かつ交換可能であってもよい。任意の適切な電池が使用されてもよい。例えば、市販のヘビーデューティータイプの電池または標準的な電池(産業用のヘビーデューティー電動工具のために使用される電池など)である。別の方法として、電源は、スーパーコンデンサまたはハイブリッドコンデンサを含む任意のタイプの電力供給源であってもよい。別の方法として、組立品は、外部電力供給源に接続されることができ、またこうした目的のために電気的および電子的に設計されることができる。採用される電源のタイプにかかわらず、電源は、再充電される、または外部電力供給源への接続を必要とする前に、カートリッジ中のエアロゾル形成基体が枯渇するまでに、少なくとも一回の使用のための組立品の通常の機能のために十分なエネルギーを提供することが好ましい。電源は、再充電される、または外部電力供給源への接続を必要とする前に、少なくとも約70分の装置の連続動作の間、組立品の通常の機能のために十分なエネルギーを提供することが好ましい。
【0052】
使用時に、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置のレセプタクルの中に受容されている時、装置の発熱体からの熱は、エアロゾル発生基体の中に伝達されてもよい。ユーザーがエアロゾル発生装置のマウスピースを吸う時、空気は、装置の本体の中の一つ以上の空気通路を通して、かつエアロゾル発生物品を通して、装置のレセプタクルの中に引き出されてもよい。空気が加熱されたエアロゾル発生物品を通過する際、エアロゾル発生基体中の揮発性化合物は、空気中に同伴されているベイパーを放出してもよい。エアロゾル形成基体が十分な高温まで加熱された後、エアロゾル形成基体はまた、エアロゾル発生物品を通って流れる空気の中にベイパーを放出する。一部の実施形態において、エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成体よりも比較的に高い温度まで(例えば、エアロゾル形成基体の揮発性化合物の気化温度より高い温度まで)加熱することを必要とする場合がある。一部の実施形態において、空気は最初に、発熱体によって加熱される。エアロゾル形成体およびエアロゾル形成基体の中の揮発性化合物は、加熱された空気によって加熱され、また随意に発熱体によっても加熱されて、ベイパーを放出する。ベイパーは物品を通してマウスピースに向かって引き出されるにつれて冷却されて、エアロゾルを形成してもよい。次にエアロゾルは、吸入のためにマウスピースにてユーザーに送達されてもよい。
【0053】
エアロゾル発生物品は、剛直な基部を付勢するばね要素と、本体に固定されたばね支持部とを含んでもよい。ばね要素は、剛直な基部および関連付けられたエアロゾル発生基体を発熱体に向かって前進させてもよい。
【0054】
エアロゾル発生物品は「リップスティック」機構を含んでもよく、この機構でのエアロゾル発生物品上のリングの回転は、剛直な基部および関連付けられたエアロゾル発生基体を発熱体に向かって前進させる。剛直な基部は、空洞を画定する内表面上、または空洞を画定する内表面中に配置されたスパイラル要素と嵌合してもよく、剛直な基部の回転移動は、剛直な基部を発熱体に向かって移動させる。
【0055】
エアロゾル発生物品は、剛直な基部を発熱体に向かって前進させるプッシングロッドを含んでもよい。別の方法として、エアロゾル発生物品装置は、(カートリッジの)剛直な基部を発熱体に向かって前進させるプッシングロッドを含んでもよい。
【0056】
エアロゾル発生物品は、一方向のみの回転を可能にするように、または発熱体に向かってのみ基体が横方向に移動することを可能にするように構成された停止要素を含んでもよい。停止要素は、剛直な基部もしくは本体と一体型であってもよく、または剛直な基部もしくは本体に固定されていてもよい。停止要素は、反対方向の移動を防止するラチェットを備えてもよい。停止要素はまた、発熱体へと向かうエアロゾル発生基体の前進の可聴式表示も提供してもよい。
【0057】
ここで本開示に記載の一つ以上の態様を描写する図面を参照する。しかしながら、当然のことながら図面に描写されていない他の態様も、本開示の範囲および趣旨に収まる。図中で使用されている類似の番号は、類似の構成要素を指す。しかしながら、当然のことながら、所与の図において一つの構成要素を指すために一つの番号を使用することは、別の図において同一の番号が付けられた構成要素を制限することを意図しない。加えて、異なる図において構成要素を指すための異なる番号の使用は、異なる番号付きの構成要素が他の番号付きの構成要素と同一または同様であることはできないと示すことを意図しない。図は例示の目的で提示されていて、制限の目的で提示されていない。図中に提示された概略図は、必ずしも実寸に比例していない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1図1は、エアロゾル発生物品が中に挿入されたエアロゾル発生装置を含むエアロゾル発生システムの概略断面側面図である。
図2図2は、ばね式エアロゾル発生物品の概略断面図である。
図3図3は、「リップスティック」前進機構エアロゾル発生物品の概略断面図である。
図4図4は、本体と剛直な基部の間の停止要素の概略断面図である。
図5図5は、ラチェットタイプの停止要素の概略断面図である。
図6図6は、エアロゾル形成基体の自動前進を有する例示的なエアロゾル発生システムの概略線図である。
図7図7は、エアロゾル発生物品が中に挿入されたエアロゾル発生装置を含む別のエアロゾル発生システムの概略断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
ここで図1を参照すると、エアロゾル発生物品500は、エアロゾル発生装置600の中に挿入されうる。エアロゾル発生物品500とエアロゾル発生装置600は一緒に、エアロゾル発生システム400を形成してもよい。
【0060】
エアロゾル発生システム400は、空洞510を画定する本体512を含み、エアロゾル形成基体511は、空洞510の開口515の中に配置されている。発熱体622は空洞開口515に近接して配置されている。コントローラ653は、エアロゾル形成基体511による発熱体622との接触を検出するように構成されている。
【0061】
図1に示すエアロゾル発生装置600は、エアロゾル発生物品500を受容するために構成されている。エアロゾル発生装置600は、ハウジング601と、ハウジング601の中に形成されたレセプタクル610とを備える。レセプタクル610は、エアロゾル発生物品500を受容するために構築されている。レセプタクル610は、エアロゾル発生物品500がレセプタクル610の中に挿入されている時、エアロゾル発生物品500の少なくとも一部分(例えば、回転部分または固定支持部551)がレセプタクル610の外側に留まるように、サイズ設定されてもよく、また形作られてもよい。
【0062】
エアロゾル発生装置600は、レセプタクル610の閉鎖端にて発熱体622を備える。エアロゾル発生物品500の空洞開口は、エアロゾル発生物品500がレセプタクル610の中に受容されている時、発熱体622に当接する。エアロゾル形成基体511は、発熱体622のメッシュ層の中に流れ、かつそれを通って流れてもよい粘稠な液体またはゲルであることが好ましい。
【0063】
空気はレセプタクル610の中に流れ、加熱されたエアロゾル形成基体511からの揮発したエアロゾル構成要素を同伴して、エアロゾル発生装置600を通して、空気チャネル650を経由し、消費者に流れてもよい。
【0064】
エアロゾル発生装置600は、コントローラ653と随意のグラフィカルユーザーインターフェース652とに動作可能に接続された電源651を含んでもよい。コントローラ653に動作可能に接続された電源651は、ハウジング601内に配置されてもよい。グラフィカルユーザーインターフェース652は、ハウジング601上に配置されてもよい。
【0065】
エアロゾル発生物品500は、空洞開口516を有する空洞512を画定する本体512を含む。エアロゾル形成基体511は空洞510の中に配置されている。発熱体622は空洞開口515に近接して配置されている。本体512は、リングまたは回転部分または固定された支持部であってもよい閉鎖端部分551を含む。
【0066】
別の方法として、エアロゾル発生物品500は前進機構を含んでもよく、エアロゾル発生物品500の近位端に配設されてもよい。前進機構は、ピストンタイプの要素として構成されてもよい。前進機構は、ねじタイプの要素として構成されてもよい。前進機構は、回転移動を横方向の移動に変換してもよい。
【0067】
図2は、ばね式エアロゾル発生物品500の概略断面図である。エアロゾル発生物品500は、空洞開口516を有する空洞510を画定する本体512を含む。エアロゾル形成基体511は空洞512の中に配置されている。発熱体622は空洞開口515に近接して配置されている。本体512は、固定された支持部であってもよい閉鎖端部分551を含む。ばね要素517は、移動可能な剛直な基部513を、本体512に固定されたばね支持部551に対して付勢する。
【0068】
図3は、「リップスティック」前進機構のエアロゾル発生物品500の概略断面図である。エアロゾル発生物品500は、空洞開口516を有する空洞510を画定する本体512を含む。エアロゾル形成基体511は空洞512の中に配置されている。発熱体622は空洞開口515に近接して配置されている。本体512は、移動可能な剛直な基部513に連結されている、かつ回転移動をスパイラルまたはらせん状溝514を介して横方向の移動に変換する、リングまたは回転要素551を含む。ピン(図示せず)は、剛直な基部513をスパイラルまたはらせん状溝514に連結して、エアロゾル形成基体511の横方向の移動を提供する。
【0069】
図4は、本体512と剛直な基部513の間の停止要素516の概略断面図である。停止要素516は、発熱体622から離れる方向での剛直な基部513およびエアロゾル形成基体511の横方向の移動を防止する。停止要素516は可撓性であってもよく、また剛直な基部513は、複数の突出部517、または停止要素516と嵌合するねじ山を含んでもよい。
【0070】
図5は、本体512上のラチェットタイプの停止要素516の概略断面図である。リングまたは回転部分551は、停止要素516と嵌合して、矢印によって示される通りの一方向のみの回転を提供する、複数の突出部517または戻り止め要素517を含んでもよい。
【0071】
図6は、エアロゾル形成基体511の自動前進を有する例示的なエアロゾル発生システム400の概略線図である。エアロゾル発生装置600のコントローラ653は、エアロゾル発生物品500(またはエアロゾル形成装置)上のアクチュエータまたは前進機構560を起動して、発熱体622がエアロゾル形成基体511と接触していないことを検出した後(上述の通り)、エアロゾル形成基体511(および剛直な基部513)を発熱体622に向かって前進させてもよい。
【0072】
図7は、エアロゾル発生物品500が中に挿入されたエアロゾル発生装置600を含む別のエアロゾル発生システム401の概略断面側面図である。
【0073】
エアロゾル発生物品500は、エアロゾル発生装置600の中に挿入されてもよい。エアロゾル発生物品500とエアロゾル発生装置600は一緒に、エアロゾル発生システム401を形成してもよい。
【0074】
エアロゾル発生物品500は、エアロゾル発生物品500の近位部分にあるマウスピース501と、エアロゾル発生物品500の本体512に沿って一つ以上の空気吸気口550とを含む。この実施形態において、発熱体522は、発熱体522の一部分を形成してもよく、またエアロゾル発生物品500がエアロゾル発生装置600の中に挿入されている時、エアロゾル発生装置600と電気的接続してもよい。エアロゾル発生装置600は、エアロゾル形成基体511を発熱体522に向かって前進させるプッシングロッド602を含んでもよい。プッシングロッド602は、エアロゾル発生物品500の剛直な基部513に接触し、かつこれを前進させてもよい。剛直な基部513は、エアロゾル形成基体511を含有するエアロゾル発生物品500の空洞の長さに沿って摺動可能であってもよい。
【0075】
エアロゾル発生システム401は、空洞を画定する本体512を含み、エアロゾル形成基体511は、空洞510の開口を有する空洞の中に配置されている。発熱体522は空洞開口に近接して配置されていて、またエアロゾル発生物品500の一部分を形成している。コントローラ653は、エアロゾル形成基体511による発熱体522との接触を検出するように構成されている。
【0076】
図7に示すエアロゾル発生装置600は、エアロゾル発生物品500を受容するために構成されている。エアロゾル発生装置600は、ハウジング601と、ハウジング601の中に形成されたレセプタクル610とを備える。レセプタクル610は、エアロゾル発生物品500を受容するために構築されている。レセプタクル610は、エアロゾル発生物品500がレセプタクル610の中に挿入されている時、エアロゾル発生物品500の少なくとも一部分(例えば、マウスピース501)がレセプタクル610の外側に留まるように、サイズ設定されてもよく、また形作られてもよい。
【0077】
この実施形態において、エアロゾル発生物品500は、エアロゾル形成基体511を含有する本体512の開放端にて発熱体522を備える。エアロゾル形成基体511は、発熱体522のメッシュ層の中に流れ、かつそれを通って流れてもよい粘稠な液体またはゲルであることが好ましい。
【0078】
空気は空気吸込み口550を通してエアロゾル発生物品500の中に流れ、また加熱されたエアロゾル形成基体511からの揮発したエアロゾル構成要素を同伴して、マウスピース501を通して、消費者に流れてもよい。
【0079】
エアロゾル発生装置600は、コントローラ653と随意のグラフィカルユーザーインターフェース652とに動作可能に接続された電源651を含んでもよい。コントローラ653に動作可能に接続された電源651は、ハウジング601内に配置されてもよい。グラフィカルユーザーインターフェース652は、ハウジング601上に配置されてもよい。
【0080】
エアロゾル発生装置600のプッシングロッド602は、電源651とコントローラ653とに動作可能に接続されてもよい。コントローラ653は、プッシングロッド602を作動させて、剛直な基部513およびエアロゾル形成基体511を発熱体522に向かって前進させてもよい。
【0081】
上述の特定の実施形態は本発明を例示することが意図される。しかしながら、他の実施形態は、特許請求の範囲に定義される通りの本発明の範囲から逸脱することなく作成されてもよく、上述の特定の実施形態は制限的であるように意図されていないことが理解されるべきである。
【0082】
本明細書で使用される単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」は、複数形の対象を有する実施形態を包含するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0083】
本明細書で使用される「または」は概して、「および/または」を含む意味で使用されるが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。「および/または」という用語は、列挙された要素の一つもしくはすべて、または列挙された要素のうちの任意の二つ以上の組み合わせを意味する。
【0084】
本明細書で使用される「有する(have)」、「有している(having)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」、またはこれに類するものは、制約のない意味で使用され、概して「含むが、これに限定されない」を意味する。当然のことながら、「から本質的に成る(consisting essentially of)」、「から成る(consisting of)」、およびこれに類するものは、「から成る(comprising)」およびこれに類するものに包摂される。
【0085】
「好ましい」および「好ましくは」という語は特定の状況下で、特定の利点をもたらす場合がある本発明の実施形態を指す。しかしながら、同一の状況下または他の状況下で、他の実施形態もまた好ましいものである場合がある。その上、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、その他の実施形態が有用ではないことを暗示するものではなく、また特許請求の範囲を含む本開示の範囲からその他の実施形態を除外することを意図しない。
【0086】
「上」、「下」、「左」、「右」、「上方」、「下方」および他の方向または向きなど、本明細書で言及される任意の方向は、明瞭化および簡潔性のために本明細書に記載され、実際の装置またはシステムを限定すること意図しない。本明細書に記載の装置およびシステムは、数多くの方向および向きで使用されてもよい。
【0087】
それ故に、エアロゾル発生装置のためのエアロゾル発生物品が記述されている。本発明の様々な修正および変形が、本発明の範囲および趣旨を逸脱することなく、当業者に明らかになるであろう。特定の好ましい実施形態に関連して本発明を説明してきたが、当然のことながら、特許請求の通りの本発明は、こうした特定の実施形態に不当に限定されるべきではない。実際に、機械技術分野、化学技術分野、およびエアロゾル発生物品製造または関連分野の当業者にとって明らかである、本発明を実行するための記述された方法の様々な修正は、以下の特許請求の範囲内に収まるものであることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7