(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-07
(45)【発行日】2022-10-18
(54)【発明の名称】液化ガス受入設備およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
F04B 49/035 20060101AFI20221011BHJP
【FI】
F04B49/035 311
(21)【出願番号】P 2022544270
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 JP2021043817
【審査請求日】2022-07-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519355493
【氏名又は名称】日揮グローバル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】安達 修
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-175594(JP,A)
【文献】特開2004-204768(JP,A)
【文献】特開2005-308149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスを貯蔵する液化ガスタンクと、
前記液化ガスタンクから液化ガスを液体の状態で払い出す払出しラインと、
前記液化ガスタンクから液化ガスを前記払出しラインに送出する送出ポンプと、
前記払出しラインから分岐して、液化ガスを前記液化ガスタンクに戻すことが可能なミニマムフローラインと、
制御システムと、を備える液化ガス受入設備であって、
前記制御システムは、前記液化ガスタンクに貯蔵されている液化ガスの密度および液面レベルと、前記液化ガスタンク内における前記液化ガスの液面上の気相圧力とから、前記液化ガスの液面下における前記送出ポンプのポンプ吸込圧力を算出すると共に、前記ポンプ吸込圧力と、前記送出ポンプのポンプ性能曲線とを用いて、前記送出ポンプのミニマムフローを制御することを特徴とする液化ガス受入設備。
【請求項2】
前記制御システムは、前記ポンプ性能曲線における、前記送出ポンプの維持に必要な最小流量に対応する揚程を換算した圧力と、前記ポンプ吸込圧力から、前記最小流量におけるポンプ吐出圧力を推定し、前記ポンプ吐出圧力の推定値を、前記払出しラインにおいて測定したポンプ吐出圧力の実測値と比較して、
前記ポンプ吐出圧力の実測値が、前記ポンプ吐出圧力の推定値より高い場合は、前記ミニマムフローラインの流量を増加させ、
前記ポンプ吐出圧力の実測値が、前記ポンプ吐出圧力の推定値より低い場合は、前記ミニマムフローラインの流量を減少させることを特徴とする請求項1に記載の液化ガス受入設備。
【請求項3】
前記制御システムは、前記払出しラインにおいて測定したポンプ吐出圧力の実測値と、前記ポンプ吸込圧力と、前記ポンプ性能曲線とを用いて、前記払出しラインにおける推定流量を求め、
前記推定流量が、前記送出ポンプの維持に必要な最小流量より少ない場合は、前記ミニマムフローラインの流量を増加させ、
前記推定流量が、前記送出ポンプの維持に必要な最小流量より多い場合は、前記ミニマムフローラインの流量を減少させることを特徴とする請求項1に記載の液化ガス受入設備。
【請求項4】
前記液化ガス受入設備は、同一の液化ガスタンクに対し、2以上の送出ポンプと、前記2以上の送出ポンプに共用される払出しラインと、を備え、
前記ミニマムフローラインには、ミニフロー弁が配置され、
前記制御システムは、前記2以上の送出ポンプのいずれかを起動する際、同一の液化ガスタンクにおいて他の送出ポンプが運転されていないことを確認したときは、最初の送出ポンプの起動から所定の時間において、前記ミニフロー弁を通じて前記ミニマムフローラインに液化ガスを流すことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の液化ガス受入設備。
【請求項5】
前記払出しラインには、前記液化ガスの圧力指示調節計が配置され、
前記制御システムは、前記圧力指示調節計の圧力値と、前記ミニフロー弁の容量係数とから、前記ミニフロー弁における流量を計算し、前記ミニマムフローが維持されているか否かを判別することを特徴とする請求項4に記載の液化ガス受入設備。
【請求項6】
前記制御システムは、前記ミニフロー弁における流量の計算値が前記ミニマムフローの維持に不足するとき、前記ミニフロー弁における流量を増加させることを特徴とする請求項5に記載の液化ガス受入設備。
【請求項7】
前記制御システムは、前記2以上の送出ポンプのいずれかを起動する際、同一の液化ガスタンクにおいて他の送出ポンプが運転されていることを確認したときは、前記払出しラインの下流における流量の合計値を算出し、この合計値が、新たに起動する送出ポンプおよび運転中の送出ポンプのミニマムフローの維持に十分か否かを判別することを特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載の液化ガス受入設備。
【請求項8】
前記制御システムは、前記2以上の送出ポンプのいずれかを起動する際、同一の液化ガスタンクにおいて他の送出ポンプが運転されていることを確認したときは、新たに起動する送出ポンプの起動から所定の時間において、前記ミニフロー弁を通じて前記ミニマムフローラインに液化ガスを流すことを特徴とする請求項4~7のいずれか1項に記載の液化ガス受入設備。
【請求項9】
液化ガスを貯蔵する液化ガスタンクと、
前記液化ガスタンクから液化ガスを液体の状態で払い出す払出しラインと、
前記液化ガスタンクから液化ガスを前記払出しラインに送出する送出ポンプと、
前記払出しラインから分岐して、液化ガスを前記液化ガスタンクに戻すことが可能なミニマムフローラインと、を備える液化ガス受入設備の制御方法であって、
前記液化ガスタンクに貯蔵されている液化ガスの密度および液面レベルと、前記液化ガスタンク内における前記液化ガスの液面上の気相圧力とから、前記液化ガスの液面下における前記送出ポンプのポンプ吸込圧力を算出すると共に、前記ポンプ吸込圧力と、前記送出ポンプのポンプ性能曲線とを用いて、前記送出ポンプのミニマムフローを制御することを特徴とする液化ガス受入設備の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化ガスを受け入れて液化ガスタンクに貯蔵し、当該液化ガスを払出しラインから送出する液化ガス受入設備およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)、液化石油ガス(LPG:Liquefied Petroleum Gas)等の液化ガスは、気体の状態に比べて体積が小さいため、液体の状態で貯蔵および輸送に利用されている。流体を輸送するポンプでは、過少な流量における過熱、振動などを防止するため、ミニマムフローが設定されている。例えば特許文献1には、高圧ポンプユニットを用いた液化ガスの供給ラインからミニマムフローラインを分岐して、高圧ポンプユニットの持続的な作動を可能にすることが記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、ガス供給システムに使用される非バランス式減圧弁において、二次側の流量および二次側の圧力の測定値から、一次側の圧力を推定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特許第6876826号公報
【文献】日本国特開2021-60044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LNG等の貯蔵タンクでは、貯蔵タンクの頂部に突出したポンプバレルにポンプを収容し、払出しラインの配管等を貯蔵タンクの頂部に配置する場合がある。さらにバルブ、流量計、圧力計等の機器も貯蔵タンクの頂部に設置される場合がある。しかし、貯蔵タンクの頂部に設置される設備の重量が増大すると、操作架台やタンク自体が大型になり、耐荷重を増強する必要が生じて、設置コストが増大するおそれがある。
【0006】
貯蔵タンクには、ポンプの輸送量を増加可能にするため、あるいはポンプの不具合に対する予備のため、複数のポンプを設置する場合がある。ポンプごとにミニマムフローラインを設けると、ミニマムフローラインに付属する設備や機器もポンプごとに設置する必要が生じる。
【0007】
ポンプの設定上の最小流量よりも多い流量をミニマムフローとして維持すれば、ミニマムフローの制御は容易になる。しかし、必要以上の流量を維持することにより、液化ガスの蒸発量の増加等による運転コストが増大するおそれがある。
【0008】
本発明の課題は、ミニマムフローラインの設備を簡素化して、コストを低減することが可能な液化ガス受入設備およびその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、液化ガスを貯蔵する液化ガスタンクと、前記液化ガスタンクから液化ガスを液体の状態で払い出す払出しラインと、前記液化ガスタンクから液化ガスを前記払出しラインに送出する送出ポンプと、前記払出しラインから分岐して、液化ガスを前記液化ガスタンクに戻すことが可能なミニマムフローラインと、制御システムと、を備える液化ガス受入設備であって、前記制御システムは、前記液化ガスタンクに貯蔵されている液化ガスの密度および液面レベルと、前記液化ガスタンク内における前記液化ガスの液面上の気相圧力とから、前記液化ガスの液面下における前記送出ポンプのポンプ吸込圧力を算出すると共に、前記ポンプ吸込圧力と、前記送出ポンプのポンプ性能曲線とを用いて、前記送出ポンプのミニマムフローを制御することを特徴とする液化ガス受入設備である。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記制御システムは、前記ポンプ性能曲線における、前記送出ポンプの維持に必要な最小流量に対応する揚程を換算した圧力と、前記ポンプ吸込圧力から、前記最小流量におけるポンプ吐出圧力を推定し、前記ポンプ吐出圧力の推定値を、前記払出しラインにおいて測定したポンプ吐出圧力の実測値と比較して、前記ポンプ吐出圧力の実測値が、前記ポンプ吐出圧力の推定値より高い場合は、前記ミニマムフローラインの流量を増加させ、前記ポンプ吐出圧力の実測値が、前記ポンプ吐出圧力の推定値より低い場合は、前記ミニマムフローラインの流量を減少させることを特徴とする。
【0011】
本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記制御システムは、前記払出しラインにおいて測定したポンプ吐出圧力の実測値と、前記ポンプ吸込圧力と、前記ポンプ性能曲線とを用いて、前記払出しラインにおける推定流量を求め、前記推定流量が、前記送出ポンプの維持に必要な最小流量より少ない場合は、前記ミニマムフローラインの流量を増加させ、前記推定流量が、前記送出ポンプの維持に必要な最小流量より多い場合は、前記ミニマムフローラインの流量を減少させることを特徴とする。
【0012】
本発明の第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、前記液化ガス受入設備は、同一の液化ガスタンクに対し、2以上の送出ポンプと、前記2以上の送出ポンプに共用される払出しラインと、を備え、前記ミニマムフローラインには、ミニフロー弁が配置され、前記制御システムは、前記2以上の送出ポンプのいずれかを起動する際、同一の液化ガスタンクにおいて他の送出ポンプが運転されていないことを確認したときは、最初の送出ポンプの起動から所定の時間において、前記ミニフロー弁を通じて前記ミニマムフローラインに液化ガスを流すことを特徴とする。
【0013】
本発明の第5の態様は、第4の態様において、前記払出しラインには、前記液化ガスの圧力指示調節計が配置され、前記制御システムは、前記圧力指示調節計の圧力値と、前記ミニフロー弁の容量係数とから、前記ミニフロー弁における流量を計算し、前記ミニマムフローが維持されているか否かを判別することを特徴とする。
【0014】
本発明の第6の態様は、第5の態様において、前記制御システムは、前記ミニフロー弁における流量の計算値が前記ミニマムフローの維持に不足するとき、前記ミニフロー弁における流量を増加させることを特徴とする。
【0015】
本発明の第7の態様は、第4~第6の態様のいずれか1つにおいて、前記制御システムは、前記2以上の送出ポンプのいずれかを起動する際、同一の液化ガスタンクにおいて他の送出ポンプが運転されていることを確認したときは、前記払出しラインの下流における流量の合計値を算出し、この合計値が、新たに起動する送出ポンプおよび運転中の送出ポンプのミニマムフローの維持に十分か否かを判別することを特徴とする。
【0016】
本発明の第8の態様は、第4~第7の態様のいずれか1つにおいて、前記制御システムは、前記2以上の送出ポンプのいずれかを起動する際、同一の液化ガスタンクにおいて他の送出ポンプが運転されていることを確認したときは、新たに起動する送出ポンプの起動から所定の時間において、前記ミニフロー弁を通じて前記ミニマムフローラインに液化ガスを流すことを特徴とする。
【0017】
本発明の第9の態様は、液化ガスを貯蔵する液化ガスタンクと、前記液化ガスタンクから液化ガスを液体の状態で払い出す払出しラインと、前記液化ガスタンクから液化ガスを前記払出しラインに送出する送出ポンプと、前記払出しラインから分岐して、液化ガスを前記液化ガスタンクに戻すことが可能なミニマムフローラインと、を備える液化ガス受入設備の制御方法であって、前記液化ガスタンクに貯蔵されている液化ガスの密度および液面レベルと、前記液化ガスタンク内における前記液化ガスの液面上の気相圧力とから、前記液化ガスの液面下における前記送出ポンプのポンプ吸込圧力を算出すると共に、前記ポンプ吸込圧力と、前記送出ポンプのポンプ性能曲線とを用いて、前記送出ポンプのミニマムフローを制御することを特徴とする液化ガス受入設備の制御方法である。
【発明の効果】
【0018】
第1の態様によれば、払出しラインに流量計を設置しなくても、あるいは流量計がポンプごとに付属されなくても、送出ポンプのミニマムフローを制御することが可能になる。このため、ミニマムフローラインの設備を簡素化して、コストを低減することができる。また、液化ガスの受け入れ、払い出しによる液面や液密度の変動に伴い、最適なミニマムフロー値を設定することで、運転コストを下げることができる。
【0019】
第2の態様によれば、払出しラインにおけるポンプ吐出圧力の実測値を、ポンプ吐出圧力の推定値と比較して、ミニマムフローを制御するため、制御が最適化される。
【0020】
第3の態様によれば、送出ポンプの維持に必要な最小流量を、払出しラインにおける推定流量と比較して、ミニマムフローを制御するため、制御が最適化される。
【0021】
第4の態様によれば、最初の送出ポンプの起動から所定の時間は流量が少ないことを想定してミニマムフローを確保するため、制御が容易になる。起動から所定の時間を経過した後は、状況に応じて、ミニマムフローラインにおける流量を増減して制御することにより、必要以上の流量が流れることを抑制でき、運転コストを低減することができる。
【0022】
第5の態様によれば、ミニフロー弁における流量を計算することにより、ミニマムフローをより確実に維持することができる。
【0023】
第6の態様によれば、ミニフロー弁における流量の計算値に基づいて、流量を増加させることにより、ミニマムフローをより確実に維持することができる。
【0024】
第7の態様によれば、2台目以降となる送出ポンプの起動に際して、運転中の送出ポンプの流量が、運転中の送出ポンプのミニマムフローと2台目以降に起動する送出ポンプのミニマムフローの合計値より多いことを下流の流量計で確認することにより、2台目以降に起動する送出ポンプのミニマムフローをより確実に維持することができる。
【0025】
第8の態様によれば、2台目以降となる送出ポンプの起動においても、送出ポンプの起動から所定の時間は流量が少ないことを想定してミニマムフローを確保するため、制御が容易になる。起動から所定の時間を経過した後は、状況に応じて、ミニマムフローラインにおける流量を増減して制御することにより、必要以上の流量が流れることを抑制でき、運転コストを低減することができる。
【0026】
第9の態様によれば、払出しラインに流量計を設置しなくても、あるいは流量計がポンプごとに付属されなくても、送出ポンプのミニマムフローを制御することが可能になる。このため、ミニマムフローラインの設備を簡素化して、コストを低減することができる。また、液化ガスの受け入れ、払い出しによる液面や液密度の変動に伴い、最適なミニマムフロー値を設定することで、運転コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】液化ガス受入設備の第1実施形態を示す概略図である。
【
図2】液化ガス受入設備の第2実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
【0029】
<液化ガス受入設備>
図1および
図2に、液化ガス受入設備100の実施形態を示す。これらの実施形態は、液化ガス11を払い出す下流側の例示が異なる以外は同様の構成を備えている。このため、
図1および
図2に共通する構成は、実施形態を区別せずに説明する場合がある。
【0030】
液化ガス受入設備100は、液化ガス11を貯蔵する液化ガスタンク10と、液化ガス11を送出する送出ポンプ12と、液化ガス11の払出しライン20と、ミニマムフローライン23と、制御システム30と、を備える。
【0031】
液化ガス11は、常温常圧では気体である物質を、圧縮、冷却等により液化した流体である。液化ガス11となり得る物質としては、特に限定されないが、有機物でも無機物でもよく、単一物質でも混合物でもよい。具体例としては、天然ガス、石油ガス、合成ガス、低級(C1~C4程度)の炭素水素、水素(H2)、アンモニア(NH3)、酸素(O2)、窒素(N2)、空気等が挙げられる。
【0032】
液化ガスタンク10は、液化ガス11を貯蔵する容器である。液化ガスタンク10は、地上式でもよく、地下式でもよく、半地下式でもよい。液化ガスタンク10内の液化ガス11は、液化ガスタンク10の頂部10a側に気相部11aを含んでもよい。特に図示しないが、液化ガスタンク10には、タンカー等から液化ガス11を受け入れるための受入ラインが設置される。
【0033】
送出ポンプ12は、液化ガスタンク10の頂部10aから底部10b側に向けて設置されている。送出ポンプ12の吐出部12aは、液化ガスタンク10の頂部10a上に設置されている。送出ポンプ12の吸込部12bは、液化ガス11の液面11b下に浸漬されている。
【0034】
払出しライン20は、送出ポンプ12の吐出部12aに接続されて、液化ガスタンク10から液化ガス11を液体の状態で払い出す経路である。送出ポンプ12を運転することにより、液化ガスタンク10から液化ガス11を払出しライン20に送出することができる。
【0035】
ミニマムフローライン23は、払出しライン20から分岐して、液化ガス11を液化ガスタンク10に戻すことが可能な経路である。送出ポンプ12の維持に流量が必要な場合は、払出しライン20からミニマムフローライン23を通じて液化ガス11を循環させる。これにより、送出ポンプ12の最小流量を確保することができる。ミニマムフローライン23に液化ガス11を流しているとき、液化ガス11が払出しライン20の下流側に払い出されている場合もあれば、下流側が締め切られている場合もあり得る。
【0036】
ミニマムフローライン23には、ミニマムフローの流量を変更し、または流れを開閉するためのバルブとして、ミニフロー弁24を設置することが好ましい。ミニフロー弁24は、払出しライン20に設置された圧力指示調節計25の指示に基づいて流量を調節するコントロールバルブであってもよい。
【0037】
特に限定されないが、同一の液化ガスタンク10に対し、2以上の送出ポンプ12が設置されていてもよい。この場合、送出ポンプ12ごとに払出しライン20を設けることも可能である。図示例の払出しライン20は、送出ポンプ12の吐出部12aに接続された支線部21と、支線部21から合流された幹線部22とを有する。これにより、払出しライン20を2以上の送出ポンプ12に共用することができる。
【0038】
図示例の場合、払出しライン20と同様に、ミニマムフローライン23も2以上の送出ポンプ12に共用されている。圧力指示調節計25で測定した圧力値により、1つにまとめたミニマムフローライン23のミニフロー弁24の開度を調整することで、ミニマムフローライン23の流量を維持することができる。これにより、各々の送出ポンプ12に対するミニマムフローライン23に必要な流量計や調整弁を省くことができる。
【0039】
しかしながら、あらかじめ決定した一定の設定値によりミニフロー弁24の開度を調整すると、ミニフロー弁24の開度が大きくなりすぎる場合がある。例えば、外部から液化ガスタンク10への液化ガス11の供給や送出ポンプ12による払出しにより、液化ガスタンク10の内部状態が変動すると、一定の設定値では流量が過大な調整となる場合がある。例えば、圧力指示調節計25で測定される送出ポンプ12のポンプ吐出圧力が一定となるように制御する場合、ポンプ吐出圧力は、液化ガスタンク10に貯蔵されている液化ガス11の液面レベルおよびポンプ吸込圧力の影響を受けて変動し得る。同じ流量でも、液面が低いとポンプ吐出圧力が低下し、液面が高いとポンプ吐出圧力が上昇する。このため、液面が高いときに最小流量が確保される設定値では、液面が低いときにミニマムフローが不足する。これとは逆に、液面が低いときに最小流量が確保される設定値では、液面が高いときにミニマムフローが過剰になる。常にミニマムフローが不足しないように制御するには、液面が低いときの条件で設定値を導入する必要があるが、液面が高いときには、必要な最小流量よりも多い流量が設定される結果となる。過剰な流量により、液化ガスタンク10内のボイルオフガス(BOG)発生量が増え、運転費が増えるおそれがある。このため、より適切にミニマムフローを制御することにより、実際に必要なミニマムフローの流量を、一定の設定値を用いて制御するよりも、少なく済ませることができる。
【0040】
<ポンプ性能曲線を用いた制御方法>
実施形態の制御システム30は、液化ガスタンク10の内部状態の変動を考慮して、ミニマムフローを制御する。具体的には、液化ガスタンク10に貯蔵されている液化ガス11の密度および液面レベルと、液化ガスタンク10内における液化ガス11の液面11b上の気相圧力とから、液化ガス11の液面11b下における送出ポンプ12のポンプ吸込圧力を算出する。
【0041】
送出ポンプ12の吸込部12bが液面11b下にある場合は、吸込部12bにおけるポンプ吸込圧力を直接測定することが困難である。そこで、液化ガス11の液面11b上の気相圧力に、液化ガス11の重量に起因する圧力を加えることで、ポンプ吸込圧力を求めることができる。液化ガス11の気相圧力は、例えば、液化ガス11の液面11b上に設置されている圧力計13を用いて測定することができる。
【0042】
液化ガス11の単位面積(底面積)当たりの重量は、例えば、液面11bから吸込部12bまでの高低差に液化ガス11の密度および重力加速度を乗じて求めてもよい。液化ガス11が鉛直方向に密度分布を有するときは、鉛直方向に沿った積分区間において密度分布を積分してもよい。液化ガス11の密度分布を考慮することにより、より正確な値が得られる。
【0043】
具体的には、液化ガス11の密度および液面レベルは、例えば、液化ガス11の液面11b下に浸漬されている測定部16を用いた密度計14およびレベル計15によって測定することができる。液化ガス11の密度、温度、レベルを一台で計測することが可能な計器を使用してもよい。液化ガス11の密度分布を考慮しない場合は、液化ガス11の液面11b下に浸漬された密度計(図示せず)を用いてもよい。密度計がない場合は、手動で入力した密度の値を用いてもよい。
【0044】
圧力計13、密度計14およびレベル計15の出力は、それぞれ信号経路31,32,33を介して制御システム30に送信される。信号経路31,32,33は、ケーブル等の有線でもよく、電波等の無線でもよい。
【0045】
制御システム30は、分散制御システム(DCS:Distributed Control System)によって構成されてもよい。制御システム30が例えばプログラムを有する電子回路を含んでもよい。制御システム30は、必要に応じて、記憶装置を持ってよい。記憶装置は、例えば、半導体メモリー、磁気ハードディスク等を用いて実現することができる。
【0046】
液化ガス受入設備100に制御システム30を配備することにより、制御の自動化、情報の統合化が容易になる。実施形態の制御を実施する際、制御システム30以外の判断主体が、情報を集約して制御を実施することも可能である。
【0047】
制御システム30は、送出ポンプ12のポンプ吸込圧力と、送出ポンプ12のポンプ性能曲線とを用いて、送出ポンプ12のミニマムフローを制御することができる。ポンプ性能曲線とは、例えば
図3に示すように、送出ポンプ12の流量(FLOWRATE)に対する揚程(HEAD)の関係を表す曲線である。
【0048】
ポンプ性能曲線Cをグラフに表すと、一般に図示のように、流量が多いほど揚程が低下する右肩下がりの曲線となる。ポンプ性能曲線Cは、おおむね、単調減少関数として表現することができる。ポンプ性能曲線Cを制御システム30に格納するときには、演算可能な関数であってもよく、流量の値とこれに対応する揚程の値を示したデータ構造であってもよい。
【0049】
送出ポンプ12の維持に必要な最小流量F0は、送出ポンプ12の仕様、運転条件等からあらかじめ設定することができる。払出しライン20における流量F1は、最小流量F0以上であることが好ましい。ポンプ性能曲線Cが流量に対して単調減少となるため、最小流量に対応する揚程H0は、上述の流量F1に対応する揚程H1以上となることが好ましい。このように、ポンプ性能曲線Cが流量と揚程の関係を表していることを利用すれば、払出しライン20における流量F1が実測値でなく、後述する推定流量F1であっても、ミニマムフローをより適切に制御することが可能になる。
【0050】
送出ポンプ12のポンプ吐出圧力は、「ポンプ吸込圧力」に「揚程を換算した圧力」を加え、さらに、送出ポンプ12から払出しライン20までの「配管中の圧力損失」および「高低差を換算した圧力」を差し引くことで求めることができる。「配管中の圧力損失」は、送出ポンプ12の吸込部12bから払出しライン20の圧力指示調節計25までの配管中の圧力損失を考慮することが好ましい。また、「高低差を換算した圧力」は、送出ポンプ12の吸込部12bから払出しライン20の圧力指示調節計25までの高低差を考慮することが好ましい。
【0051】
したがって、制御システム30は、ポンプ性能曲線Cにおける、送出ポンプ12の維持に必要な最小流量F0に対応する揚程H0に基づき、最小流量F0におけるポンプ吐出圧力を推定することが可能である。ポンプ吐出圧力の推定値を、払出しライン20において測定したポンプ吐出圧力の実測値と比較することで、ミニマムフローを制御することができる。
【0052】
ポンプ吐出圧力の実測値が、最小流量F0におけるポンプ吐出圧力の推定値より高い場合、制御システム30は、ミニマムフローライン23の流量を増加させるようにミニフロー弁24を制御する。これにより、ミニマムフローが不足することを抑制することができる。さらに、制御システム30は、ポンプ吐出圧力の実測値が、ポンプ吐出圧力の推定値より低い場合は、ミニマムフローライン23の流量を減少させてもよい。これにより、ミニマムフローが過大になることを抑制することができる。
【0053】
払出しライン20におけるポンプ吐出圧力の実測値は、圧力指示調節計25を用いて測定することができる。ポンプ吐出圧力の実測値をポンプ吐出圧力の推定値と比較して、ミニマムフローを制御することにより、制御が容易になる。
【0054】
上述の制御方法では、既知の最小流量F0から対応する揚程H0を求めたが、これとは逆に、既知の揚程から流量を推定することも可能である。制御システム30は、払出しライン20において測定したポンプ吐出圧力の実測値と、ポンプ吸込圧力と、ポンプ性能曲線Cとを用いて、払出しライン20における推定流量を求めることができる。
【0055】
具体的には、送出ポンプ12のポンプ吐出圧力から、「ポンプ吸込圧力」を差し引き、さらに、送出ポンプ12から払出しライン20までの「配管中の圧力損失」および「高低差を換算した圧力」を加えることで、上述の揚程H1を換算した圧力が得られる。ポンプ性能曲線C上で、上述の揚程H1に対応する流量F1として、推定流量が求められる。
【0056】
推定流量F1が最小流量F0より少ない場合、制御システム30は、ミニマムフローライン23の流量を増加させるようにミニフロー弁24を制御する。これにより、ミニマムフローが不足することを抑制することができる。さらに、制御システム30は、推定流量F1が最小流量F0より多い場合は、ミニマムフローライン23の流量を減少させてもよい。これにより、ミニマムフローが過大になることを抑制することができる。最小流量F0を推定流量F1と比較して、ミニマムフローを制御することにより、制御が容易になる。
【0057】
以上説明したように、ポンプ性能曲線Cを利用してミニマムフローを制御する方法によれば、払出しライン20に流量計を設置しなくても、あるいは流量計が送出ポンプ12ごとに付属されなくても、送出ポンプ12のミニマムフローを制御することが可能になる。このため、ミニマムフローライン23の設備を簡素化して、コストを低減することができる。また、ミニマムフローライン23の流量が過大になることを抑制することにより、ミニマムフローライン23から液化ガスタンク10に循環した液化ガス11の蒸発量の増加等による運転コストを低減することができる。
【0058】
上述のポンプ性能曲線Cを用いた制御方法は、ミニマムフローライン23における過大な流量を抑制することから、実際の流量が最小流量F0以上である可能性が高い場合に適用することが好ましい。しかし、送出ポンプ12の起動直後など、流量が少ないことが想定される場合でも、上述の制御を利用して、送出ポンプ12のポンプ吐出圧力を計測し、最小流量F0におけるポンプ吐出圧力の推定値より高いかどうかによって、ミニマムフローを制御することも可能である。
【0059】
上述の説明では、払出しライン20と同様に、ミニマムフローライン23も2以上の送出ポンプ12に共用されている例示を示したが、上述のポンプ性能曲線Cを用いた制御方法は、この例示に限定されるものではない。上述の制御方法は、送出ポンプ12ごとに、払出しライン20またはミニマムフローライン23が一対一で設置される場合にも適用可能である。
【0060】
<送出ポンプを起動した直後の制御方法>
実際の流量が最小流量F0より少ないことがあらかじめ想定される場合は、特定の条件において、上述のポンプ性能曲線Cを用いた制御方法を用いることなく、あらかじめミニマムフローライン23に最小流量F0以上の液化ガス11を流すように制御してもよい。
【0061】
例えば、送出ポンプ12の起動直後は、流量が少ないことが想定されるため、送出ポンプ12の起動から所定の時間において、ミニフロー弁24を通じてミニマムフローライン23に液化ガス11を流すようにしてもよい。この場合、所定の時間内には、ミニマムフローライン23の流量が過大になる可能性もあるが、時間が限られているため、無駄になる量は比較的少ない。また、起動から開始する時間だけを制御因子とするため、制御が容易になる。
【0062】
さらに、送出ポンプ12の起動直後に一定の流量を確保する制御方法を用いる場合において、同一の液化ガスタンク10に設置された2以上の送出ポンプ12を同時に運転する場合は、運転中の送出ポンプ12の台数を考慮してもよい。
【0063】
例えば、2以上の送出ポンプ12のいずれかを起動する際、制御システム30は、同一の液化ガスタンク10において他の送出ポンプ12が運転されていないことを確認したときは、最初の送出ポンプ12の起動から所定の時間において、ミニフロー弁24を通じてミニマムフローライン23に液化ガスを流してもよい。
【0064】
これにより、最初の送出ポンプ12の起動から所定の時間は流量が少ないことを想定してミニマムフローを確保するため、制御が容易になる。起動から所定の時間を経過した後は、状況に応じて、ミニマムフローライン23における流量を増減して制御することにより、必要以上の流量が流れることを抑制でき、運転コストを低減することができる。
【0065】
制御システム30は、送出ポンプ12の運転状態やモータ等の起動状態などから、運転中の送出ポンプ12の番号や台数を確認することができる。これにより、制御システム30は、他の送出ポンプ12が運転されているか否かを判別する。
【0066】
<ミニフロー弁の容量係数を用いた制御方法>
ミニマムフローライン23に設置されたミニフロー弁24は、容量係数を有する。容量係数の定義はミニフロー弁24のベンダーによって異なるが、例えばCv値でもKv値でもよい。容量係数は、流量Qと流体の比重Gと差圧ΔPとの間に特定の関係があることを示す定数である。
【0067】
制御システム30は、圧力指示調節計25の圧力値と、ミニフロー弁24の容量係数とから、ミニフロー弁24における流量を計算することができる。これにより、制御システム30は、ミニマムフローが維持されているか否かを判別することができる。制御システム30は、信号経路34,35を介して圧力指示調節計25およびミニフロー弁24との間で、直接または間接的に信号を送信または受信する。信号経路34,35は、ケーブル等の有線でもよく、電波等の無線でもよい。
【0068】
さらに制御システム30は、容量係数を用いて算出されたミニフロー弁24における流量の計算値がミニマムフローの維持に不足するとき、ミニフロー弁24における流量を増加させるように制御することができる。これにより、ミニマムフローをより確実に維持することができる。
【0069】
実施形態の制御方法では、基本的には、上述のポンプ性能曲線Cを用いた制御方法が用いられる。送出ポンプ12を起動した直後では、上述した(1)ポンプ性能曲線Cを用いた制御方法、(2)起動直後の所定の時間に一定の流量を確保する制御方法、(3)ミニフロー弁24の容量係数を用いた制御方法のいずれか1または2以上を用いることで、ミニマムフローの維持をより確実にすることができる。
【0070】
また、ミニマムフローライン23が2以上の送出ポンプ12に共用されていて、2以上の送出ポンプ12が運転中の場合は、ミニフロー弁24における流量も、2以上の送出ポンプ12の流量の合計値となる。このため、ミニフロー弁24の容量係数を用いた制御方法では、1の送出ポンプ12のみが運転中であるときには、容量係数を用いて算出された流量を、運転中の送出ポンプ12による流量とみなすことができる。2以上の送出ポンプ12が運転中であるときには、容量係数を用いて算出された流量は、2以上の送出ポンプ12による流量の合計値となる。このため、制御システム30は、運転中の送出ポンプ12の台数に応じて、1台当たりの流量を算出して制御に用いてもよい。
【0071】
送出ポンプ12を起動した後、下流に送られる払出し流量が、送出ポンプ12の最小流量F0よりも多くなった場合は、ポンプ吐出圧力が低下する。このため、上述したポンプ性能曲線Cを用いた制御方法の結果として、ミニフロー弁24は自動的に閉状態となる。
【0072】
<送出ポンプを追起動するときの制御方法>
同一の液化ガスタンク10に設けられた2以上の送出ポンプ12のいずれかを起動する際、制御システム30は、追起動しようとする送出ポンプ12とは異なる送出ポンプ12が運転されていることを確認したときは、最初の送出ポンプ12の起動と異なる制御を用いてもよい。
【0073】
2台目以降の送出ポンプ12を追起動する際、運転中の送出ポンプ12の流量の合計値が多い場合は、その一部の流量を追起動される送出ポンプ12に分担させることで、ミニマムフローを容易に確保できる場合がある。このため、制御システムは、払出しライン20の下流における流量の合計値を算出し、この合計値が、新たに追起動する送出ポンプ12および運転中の送出ポンプ12のミニマムフローの維持に十分か否かを判別することが好ましい。
【0074】
図1には、払出しライン20の下流において、液化ガス11から気化器45で気化した状態のガスをガス供給部46に供給する払出し配管41、保冷循環54のために液化ガス11を供給する払出し配管51を示す。また、
図2には、内航船出荷64のために液化ガス11を供給する払出し配管61、ローリー出荷74のために液化ガス11を供給する払出し配管71を示す。プライマリーポンプとなる送出ポンプ12による圧力が液化ガス11の移送に不足する場合は、払出し配管41にセカンダリーポンプ42を設けてもよい。ガス供給部46は、例えばLNGの場合、発電所、都市ガス製造所等にLNGを供給する。
【0075】
それぞれの払出し配管41,51,61,71には、流量計43,52,62,72とバルブ44,53,63,73が設置されている。これらの流量計43,52,62,72は、信号経路36を介して制御システム30に送信される。信号経路36は、ケーブル等の有線でもよく、電波等の無線でもよい。
図1および
図2に示す払出し配管41,51,61,71の供給先は模式的な例示であり、数や組み合わせ等は適宜変更可能である。鉄道輸送等、例示した以外の供給先にも適用可能である。
【0076】
下流における払出し流量の合計値が、新たに追起動する送出ポンプ12および運転中の送出ポンプ12のミニマムフローの維持に十分である場合、制御システム30は、ミニフロー弁24が閉状態のままでも、追起動に支障がないと判断することができる。また、上述した送出ポンプ12を起動した直後の制御方法に従い、送出ポンプ12の追起動から所定の時間において、ミニフロー弁24を通じてミニマムフローライン23に液化ガス11を流すように制御してもよい。
【0077】
下流における払出し流量の合計値を用いた制御方法によれば、2台目以降となる送出ポンプ12の起動に際して、運転中の送出ポンプ12の流量が、運転中の送出ポンプ12のミニマムフローと2台目以降に起動する送出ポンプ12のミニマムフローの合計値より多いことを下流の流量計43,52,62,72で確認することにより、2台目以降に起動する送出ポンプ12のミニマムフローをより確実に維持することができる。
【0078】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。改変としては、各実施形態における構成要素の追加、置換、省略、その他の変更が挙げられる。また、2以上の実施形態に用いられた構成要素を適宜組み合わせることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の液化ガス受入設備および制御方法は、特に限定されないが、LNG受入基地、LPG受入基地、貯蔵所等に利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
C…ポンプ性能曲線、F0…最小流量、F1…払出しラインにおける流量(推定流量)、H0…最小流量に対応する揚程、H1…流量F1に対応する揚程、10…液化ガスタンク、10a…頂部、10b…底部、11…液化ガス、11a…気相部、11b…液面、12…送出ポンプ、12a…吐出部、12b…吸込部、13…圧力計、14…密度計、15…レベル計、16…測定部、20…払出しライン、21…支線部、22…幹線部、23…ミニマムフローライン、24…ミニフロー弁、25…圧力指示調節計、30…制御システム、31,32,33,34,35,36…信号経路、41,51,61,71…払出し配管、42…セカンダリーポンプ、43,52,62,72…流量計、44,53,63,73…バルブ、45…気化器、46…ガス供給部、54…保冷循環、64…内航船出荷、74…ローリー出荷、100…液化ガス受入設備。
【要約】
液化ガスを貯蔵する液化ガスタンクと、前記液化ガスタンクから液化ガスを液体の状態で払い出す払出しラインと、前記液化ガスタンクから液化ガスを前記払出しラインに送出する送出ポンプと、前記払出しラインから分岐して、液化ガスを前記液化ガスタンクに戻すことが可能なミニマムフローラインと、を備える液化ガス受入設備において、前記液化ガスタンクに貯蔵されている液化ガスの密度および液面レベルと、前記液化ガスタンク内における前記液化ガスの液面上の気相圧力とから、前記液化ガスの液面下における前記送出ポンプのポンプ吸込圧力を算出すると共に、前記ポンプ吸込圧力と、前記送出ポンプのポンプ性能曲線とを用いて、前記送出ポンプのミニマムフローを制御する。