IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アナパス インコーポレーテッドの特許一覧

特許7155462電気的ストレス保護回路、及びそれを備えた電子装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】電気的ストレス保護回路、及びそれを備えた電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20221012BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20221012BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20221012BHJP
   H03K 17/08 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L27/06 311C
H01L27/06 311A
H03K17/08 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021024130
(22)【出願日】2021-02-18
(65)【公開番号】P2021141317
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】10-2020-0026180
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516051404
【氏名又は名称】アナパス インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】ANAPASS INC.
【住所又は居所原語表記】61 Digitalro31-gil Guro-gu Seoul 152-848,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】洪炳日
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-115339(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0125085(US,A1)
【文献】特開2014-103664(JP,A)
【文献】特開2008-098341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 27/04
H01L 27/06
H03K 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電圧レールに接続され、電気的ストレスが印加されたときオンとなる第1のトランジスタを含む、検出回路と、
前記電気的ストレスが印加されたとき、基準電圧レールに前記電気的ストレスを印加するように構成されたバイパストランジスタを含む、バイパス回路と、
を備えた、電気的ストレス保護回路であって、
前記検出回路は、前記基準電圧レールに接続され、前記電気的ストレスが印加されたときに、ブレークダウンによってオンとなる第2のトランジスタを含み、
前記駆動電圧レールに供給される電圧よりも高い電圧が、前記第1のトランジスタのボディ電極に供給され、
前記基準電圧レールに供給される電圧よりも低い電圧が、前記第2のトランジスタのボディ電極に供給される、
電気的ストレス保護回路
【請求項2】
前記第1のトランジスタは、前記電気的ストレスが印加されたときのブレークダウンによってオンとなる、又は前記第2のトランジスタがオンされたときに生じる電圧によってオンとなる、請求項に記載の電気的ストレス保護回路。
【請求項3】
前記第1のトランジスタは、p型金属酸化物半導体(MOS)トランジスタであり、
前記第2のトランジスタは、n型MOSトランジスタである、
請求項に記載の電気的ストレス保護回路。
【請求項4】
前記バイパストランジスタのサイズは、前記第1のトランジスタのサイズよりも大きい、請求項1に記載の電気的ストレス保護回路。
【請求項5】
前記第1のトランジスタは、第1の電流制限抵抗を介して前記基準電圧レールに電気的に接続され、
前記第1の電流制限抵抗は、前記第1のトランジスタがオンとなったとき、前記第1のトランジスタを流れる電流を制限する、
請求項1に記載の電気的ストレス保護回路。
【請求項6】
前記第2のトランジスタは、第2の電流制限抵抗を介して前記駆動電圧レールに電気的に接続され、
前記第2の電流制限抵抗は、前記第2のトランジスタがオンとなったとき、前記第2のトランジスタを流れる電流を制限する、
請求項に記載の電気的ストレス保護回路。
【請求項7】
前記第2のトランジスタのゲート電極は、ゲート保護抵抗を介して前記基準電圧レールに接続される、請求項に記載の電気的ストレス保護回路。
【請求項8】
検出信号を受信し、バッファし、バッファされた前記検出信号を出力するように構成されたバッファと、を更に備える、請求項1に記載の電気的ストレス保護回路。
【請求項9】
前記バッファは、
前記検出信号に応じてオンとなる第4のトランジスタと、
前記第4のトランジスタがオンしたときに出力される信号に応じてオンとなる第3のトランジスタと、
を含む、
請求項に記載の電気的ストレス保護回路。
【請求項10】
駆動電圧レールに接続され、電気的ストレスが印加されたときオンとなる第1のトランジスタを含む、検出回路と、
前記第1のトランジスタがオンになったとき出力される信号に応答してオンとなり、基準電圧レールに前記電気的ストレスを印加するように構成されたバイパストランジスタを含む、電気的ストレス保護回路と、
を備える、所定の機能を実行するように構成された電子装置であって、
前記検出回路は、前記基準電圧レールに接続され、前記電気的ストレスが印加されたときに、ブレークダウンによってオンとなる第2のトランジスタを含み、
前記駆動電圧レールに供給される電圧よりも高い電圧が、前記第1のトランジスタのボディ電極に供給され、
前記基準電圧レールに供給される電圧よりも低い電圧が、前記第2のトランジスタのボディ電極に供給される、
電子装置
【請求項11】
前記第1のトランジスタは、前記電気的ストレスが印加されたときのブレークダウンによってオンとなる、又は前記第2のトランジスタがオンされたときに生じる電圧によってオンとなる、請求項10に記載の電子装置。
【請求項12】
前記第1のトランジスタは、p型金属酸化物半導体(MOS)トランジスタであり、
前記第2のトランジスタは、n型MOSトランジスタである、
請求項10に記載の電子装置。
【請求項13】
前記バイパストランジスタのサイズは、前記第1のトランジスタのサイズよりも大きい、請求項10に記載の電子装置。
【請求項14】
前記第1のトランジスタは、第1の電流制限抵抗を介して前記基準電圧レールに電気的に接続され、
前記第1の電流制限抵抗は、前記第1のトランジスタがオンになったとき、前記第1のトランジスタを流れる電流を制限する、
請求項10に記載の電子装置。
【請求項15】
前記第2のトランジスタは、第2の電流制限抵抗を介して前記駆動電圧レールに電気的に接続され、
前記第2の電流制限抵抗は、前記第2のトランジスタがオンとなったとき、前記第2のトランジスタを流れる電流を制限する、
請求項10に記載の電子装置。
【請求項16】
前記第2のトランジスタのゲート電極は、ゲート保護抵抗を介して前記基準電圧レールに接続される、請求項10に記載の電子装置。
【請求項17】
検出信号を受信し、バッファし、バッファされた前記検出信号を出力するように構成されたバッファと、を更に備える、請求項10に記載の電子装置。
【請求項18】
前記バッファは、
前記検出信号に応じてオンとなる第4のトランジスタと、
前記第4のトランジスタがオンしたときに出力される信号に応じてオンとなる第3のトランジスタと、
を含む、
請求項17に記載の電子装置。
【請求項19】
前記電子装置は、表示装置である、請求項10に記載の電子装置。
【請求項20】
前記電気的ストレス保護回路は、前記表示装置の電源、ソースドライバ、ゲートドライバ、及びタイミングコントローラのうちの1つ又は複数に含まれる、請求項19に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年3月2日に出願された韓国特許出願第10-2020-0026180号の優先権及び利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、電気的ストレス保護回路、及びそれを備えた電子装置に関する。
【背景技術】
【0003】
駆動電圧レール(rail)及び/又は基準電圧レールを介して入力される電気的ストレスは、静電放電(ESD)及び電気過負荷(EOS)を含むことができる。ESDとは、静電気放電であり、電位の違う2つの物体の間を有限の電荷が急速に移動し、500V以上の電位を数百ps~数ns持続する放電現象である。
【0004】
EOSとは、数十~数百マイクロ秒~1ミリ秒継続し、ESDの電圧よりも低い電圧を有する、電子装置の仕様限界を超える電圧が印加された場合に発生し得る損傷をいう。
【0005】
数千ボルト程度のESDの電圧が、短時間印加されるので、電圧と電流を瞬時にバイパスすることが重要である。EOSでは、ESDの電圧より低い電圧が印加されるが、比較的長時間印加されるので、回路を構成する金属酸化物半導体(MOS)トランジスタのゲート酸化層のような薄い絶縁層のブレークダウンが起こる可能性があり、従って、EOSの内部回路への流入を阻止することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
関連技術における保護回路は、直列に接続された抵抗及びキャパシタを使用して静電放電(ESD)のピークを低減し、ESDを遅延させてESDを基準電圧(VSS)レールに流す。しかし、ESDの電圧と比較した場合、電気的過剰ストレス(EOS)の電圧は急激には変化しない。したがって、抵抗値の大きい抵抗と静電容量の大きいコンデンサを用いるべきである。しかし、この場合、ESDに対する性能が低下するという欠点がある。
【0007】
本発明は、上述した従来技術の課題を解決するためのものである。本発明は、電子装置をEOS及びESDから効果的に保護できる回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、駆動電圧レールに接続され電気的ストレスが印加されるとオンとなる第1のトランジスタと、電気的ストレスが印加されると基準電圧レールに電気的ストレスを印加するように構成されたバイパストランジスタを含むバイパス回路と、を含む検出回路を含む、電気的ストレス保護回路が提供される。
【0009】
本発明の別の態様によれば、所定の機能を実行するように構成された電子装置が提供され、この電子装置は、駆動電圧レールに接続され、電気的ストレスが印加されたときにオンとなる第1のトランジスタと、第1のトランジスタがオンにされ、基準電圧レールに電気的ストレスを印加するように構成されたときに出力される信号に応答してオンとなるバイパストランジスタを含む電気的ストレス保護回路とを含む。
【0010】
本発明の上記及び他の目的、特徴及び利点は、添付の図面を参照してその例示的な実施形態を詳細に説明することによって、当業者にはより明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態による電気的ストレス保護回路を示す概略回路図である。
図2】検出回路の他の例を示す回路図である。
図3A】バイパス回路の例を示す図である。
図3B】バイパス回路の例を示す図である。
図3C】バイパス回路の例を示す図である。
図4】第2の実施形態に係る電気的ストレス保護回路を示す概略回路図である。
図5】検出回路の他の例を示す概略回路図である。
図6】本実施形態に係る電気的ストレス保護回路を含む表示装置を示す模式図である。
図7A図7は、図7A図7Gに示すグラフであり、ここで、図7Aは三角波状にモデル化された電気的ストレスを示すグラフである。
図7B】駆動電圧レールと第2駆動電圧レールの電圧の変動を示すグラフである。
図7C】検出回路から出力される検出信号(NON)を示すグラフであえう。
図7D】バッファーの内部信号(ESDON)を示すグラフである。
図7E】バッファーから出力されるバッファー信号(ESDON)を示すグラフでる。
図7F】バイパス回路を流れる電流の大まかな形状を示すグラフである。
図7G】検出回路から出力される検出信号(NON)に応じてバイパス回路を駆動する際にバイパス回路に流れる電流の大まかな形状を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の実施形態
以下、電気的ストレスとは、電気的オーバーストレス(EOS)と静電気放電(ESD)の両方を含んで使用される。以下、本実施形態に係る電気的ストレス保護回路10の形成方法について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る電気的ストレス保護回路10を示す概略回路図である。図1を参照すると、本実施形態に係る電気的ストレス保護回路10は、駆動電圧レールVDDに接続され、電気的ストレスが印加されたときにオン状態となる第1のトランジスタMP1と、第1のトランジスタMP1がオン状態となって電気的ストレスを基準電圧レールVSSに印加するように構成された信号に応じてオン状態となるバイパストランジスタMN3と、を含む検出回路100を備えている。
【0013】
検出回路100は、駆動電圧レールVDDに接続された第1のトランジスタMP1を含む。図1に示す実施形態では、第1のトランジスタMP1は、p型トランジスタであってもよく、駆動電圧レールVDDにソース電極とそのボディ電極(body electrode)とが接続されてもよい。第1のトランジスタMP1のドレイン電極は、第1の電流制限抵抗R1に接続されていてもよい。第1の限流抵抗器R1は、単一の抵抗器として図示されているが、別の実施形態では、第1の限流抵抗器R1は、直列に、並列に、又は直列-並列に接続された複数の抵抗器を含んでもてもよい。
【0014】
図1に示す実施形態では、検出回路100が、第2のトランジスタMN2をさらに含んでもよい。例えば、第2のトランジスタMN2は、n型のトランジスタであってもよく、第2のトランジスタMN2のボディ電極及びソース電極は、基準電圧レールVSSに接続されていてもよい。第2のトランジスタMN2のドレイン電極は、第2の電流制限抵抗R2に接続されていてもよい。第2の限流抵抗器R2は、単一の抵抗器として図示されているが、別の実施形態では、第2の限流抵抗器R2は、直列に、並列に、又は直列-並列に接続された複数の抵抗器を含んでいてもよい。
【0015】
バイパス回路200は、内部回路(図示せず)に電気的ストレスを印加することなく基準電圧レールVSSに電気的ストレスをバイパスするためにオンされるバイパストランジスタMN3を含む。一実施形態では、バイパストランジスタMN3は、ESD又はEOSによる電圧及び/又は電流が印加されてもブレークダウンされないサイズを有するように設計され、第1のトランジスタMP1及び第2のトランジスタMN2のサイズよりも大きいサイズを有する。
【0016】
図2は、検出回路100の他の例を示す回路図である。図2を参照すると、第2のトランジスタMN2のゲート電極は、ゲート保護抵抗Rgを介して基準電圧レールVSSに接続されてもよい。ゲート保護抵抗Rgは、基準電圧レールVSSを通して印加された電気的ストレスによる第2のトランジスタMN2のゲート絶縁膜のブレークダウンを防止する。
【0017】
図3A図3Cは、バイパス回路200の例を示す図である。図1に示す実施形態では、バイパス回路200は、単一のバイパストランジスタMN3を含むものとして図示されているが、図3Aに示す例によれば、バイパス回路200は、バイパストランジスタの高電圧でのブレークダウンを防止するように直列に接続された複数のバイパストランジスタMN3a、MN3b,MN3cを含んでいてもよい。図3Bに示す例によれば、バイパス回路200は、大電流によるバイパストランジスタのブレークダウンを防止するように並列に接続された複数のバイパストランジスタMN3x、MN3y,MN3zを有していてもよい。また、図3Cに示す例によれば、バイパス回路200は、直列に接続された複数のバイパストランジスタが並列に接続された構造であってもよい。
【0018】
以下、上記ように構成された電気的ストレス保護回路10の動作について説明する。図1図3Cを参照すると、駆動電圧レールVDDを通じて電気的ストレスが印加されると、第1トランジスタMP1のソース電極に電流が印加され、この電気的ストレスによる電圧が所定のしきい値電圧を超えると、ソース領域とチャネルとの間のPN接合にアバランシェ・ブレークダウンが発生する。これにより、第1のトランジスタMP1に形成された寄生バイポーラトランジスタ(寄生BJT)がオン状態となり、第1のトランジスタMP1がオンとなるようにスナップバック現象が生じる。
【0019】
駆動電圧レールVDDを介して電気的ストレスが印加されると、第2のトランジスタMN2に形成された寄生BJTもオンとなり、従って、第2のトランジスタMN2がオン状態となるようにスナップバック現象が生じる。
【0020】
第2のトランジスタMN2がオンになると、第2のトランジスタMN2のドレイン電極の電圧が基準電圧VSSまで降下し、第1のトランジスタMP1のゲート電極に基準電圧VSSが供給されて第1のトランジスタMP1がオンとなる。すなわち、電気的ストレスが印加されると、スナップバック現象によって第1トランジスタMP1がオンとされ、及び/又は、スナップバック現象によって第2トランジスタMN2がオンとされ、第1トランジスタMP1のゲート電極に印加される電圧によって第1トランジスタMP1がオンとされる。
【0021】
第1のトランジスタMP1がオンになると、駆動電圧レールVDDから基準電圧レールVSSまでの電流経路が形成される。第1のトランジスタMP1に過大な電流が流れることによる第1のトランジスタMP1のブレークダウンを防止するために、第1の電流制限抵抗R1を設けて第1のトランジスタMP1に流れる過大な電流を制限することにより、第1のトランジスタMP1を過大な電流から保護することができる。
【0022】
さらに、第2のトランジスタMN2がオンになると、駆動電圧レールVDDから基準電圧レールVSSまでの電流経路が形成される。第2のトランジスタMN2に過大な電流が流れることによる第2のトランジスタMN2のブレークダウンを防止するために、第2の電流制限抵抗R2を設けて、第2のトランジスタMN2に流れる過大な電流を制限することにより、第2のトランジスタMN2を過大な電流から保護することができる。
【0023】
第1のトランジスタMP1がオンになると、第1のトランジスタMP1のドレイン電極の電圧はハイとなり、バイパストランジスタMN3のゲート電極に供給される。よって、駆動電圧レールVDDを介して印加される電気的ストレスは、バイパストランジスタMN3を介して基準電圧レールVSSにバイパスされる。その結果、電気的ストレスは、電子装置の内部回路に導入されず、電子装置の内部回路は保護される。
【0024】
第2の実施形態
以下、図4及び図5を参照して、第2の実施形態について説明する。説明を簡潔かつ明確にするために、以下では、第1の実施形態と同一又は類似する構成要素の説明を省略する。図4は、第2の実施形態による電気的ストレス保護回路を示す概略回路図である。図4を参照すると、第2実施形態の電気的ストレス保護回路20は、駆動電圧レールVDDに接続され、電気的ストレスが印加されたときにオンとなる第1トランジスタMP1と、検出回路100によって検出され供給された検出信号NONをバッファして出力するように構成されたバッファ300と、バッファ信号EOSONに応答してオンとなり、基準電圧レールVSSに電気的ストレスを印加するバイパストランジスタMN3を含むバイパス回路200とを含む検出回路100を含む。
【0025】
一例として、バッファ300は、検出信号NONを受けてオンとなる第4のトランジスタMN4と、第4のトランジスタMN4がオンとなるとバッファ信号EOSONを出力するためにオンとなる第3のトランジスタMP3とを有していてもよい。図示の例では、第4のトランジスタMN4はn型金属酸化物半導体(NMOS)トランジスタであってもよく、第3のトランジスタMP3はp型金属酸化物半導体(PMOS)トランジスタであってもよい。また、バッファ300に含まれる第3のトランジスタMP3と第4のトランジスタMN4との接続部は、検出回路100の接続部関係と同様であってもよく、検出回路100に含まれる第1のトランジスタMP1と第2のトランジスタMN2との大きさは互いに異なっていてもよい。
【0026】
図5は、検出回路100の他の例を示す概略回路図である。図5を参照すると、検出回路100の第1のトランジスタMP1のソース電極は、駆動電圧VDDが印加される電圧レールに接続してもよく、第1のトランジスタMP1のボディ電極を、第2の駆動電圧VDDpが設けられた電圧レールに接続してもよい。さらに、第2のトランジスタMN2のソース電極を、基準電圧VSSが供給されている電圧レールに接続してもよく、第2のトランジスタMN2のボディ電極を、第2の基準電圧VSSpが供給されている電圧レールに接続してもよい。
【0027】
また、第2駆動電圧VDDpは、駆動電圧VDDよりも高い電圧であってもよく、第2基準電圧VSSpは、基準電圧VSSよりも低い電圧であってもよい。第1のトランジスタMP1のボディ電極には、駆動電圧VDDよりも高い電圧が供給されるため、第1のトランジスタMP1の耐圧が低下する。これにより、第1のトランジスタMP1に電気的ストレスが加わると、ソース電極とドレイン電極との間に印加される電圧が低い場合であってもブレークダウンが生じる。したがって、第1のトランジスタMP1は、ボディ電極に駆動電圧VDDが印加されている場合よりも早くオンとなるため、電気的ストレスをより迅速に検出することができる。
【0028】
同様に、第2のトランジスタMN2のボディ電極には、基準電圧VSSよりも低い第2の基準電圧VSSpが印加されているため、第2のトランジスタMN2でブレークダウンが生じるドレイン電極とソース電極との間の電圧は、低くなる。これにより、第2のトランジスタMN2に電気的ストレスが加えられた場合、ソース電極とドレイン電極との間に印加される電圧が低い場合であってもブレークダウンが生じるため、ボディ電極に基準電圧VSSが印加された場合よりも早く第2のトランジスタMN2がオン状態となるので、電気的ストレスをより迅速に検出することができる。
【0029】
一例として、第2駆動電圧VDDpは、駆動電圧VDDよりも少なくとも5%高く、好ましくは少なくとも10%高い電圧値を有していてもよい。さらに、第2基準電圧VSSpは、基準電圧VSSよりも少なくとも5%低く、好ましくは少なくとも10%低い電圧値を有していてもよい。
【0030】
図5に示す実施形態では、第1トランジスタMP1のボディ電極と第2トランジスタMN2のボディ電極とにそれぞれ第2駆動電圧VDDp及び第2基準電圧VSSpが印加されていることが示されている。ただし、図示しない実施形態では、第1のトランジスタMP1のボディ電極のみに第2の駆動電圧VDDpを印加してもよく、図示しない別の実施形態では第2のトランジスタMN2のボディ電極のみに第2の基準電圧VSSpを印加してもよい。
【0031】
以下、図4及び図5を参照して、電気的ストレス保護回路20について説明する。電気的ストレスが印加されると、検出回路100に含まれる第1のトランジスタMP1及び/又は第2のトランジスタMN2にブレークダウンが生じ、第1のトランジスタMP1及び/又は第2のトランジスタMN2がオンする。第1トランジスタMP1及び/又は第2トランジスタMN2がオンすると、検出回路100は、検出信号NONを出力する。
【0032】
バッファ300に含まれる第4のトランジスタMN4は、検出信号NONを受信しオン状態となり、結果第3のトランジスタMP3がオン状態となる。第3トランジスタMP3はオン状態となるので、バッファ300は、バッファ信号EOSONをバイパス回路200に出力する。
【0033】
一例として、電気的ストレスが印加されると、バッファ300に含まれる第3のトランジスタMP3及び/又は第4のトランジスタMN4は、バッファ信号EOSONを出力するようオン状態となってもよい。
【0034】
一例として、バッファ300に含まれる第3のトランジスタMP3及び第4のトランジスタMN4は、検出回路100に含まれる第1のトランジスタMP1及び第2のトランジスタMN2のサイズよりも大きく、かつ、第1のトランジスタMP1及び第2のトランジスタMN2の電流駆動性能よりも高い電流駆動性能を有し得るサイズを有していてもよい。したがって、バッファ300から出力されるバッファ信号EOSONの立ち上がり時間は検出回路100から出力される検出信号NONの立ち上がり時間よりも速くすることができ、その結果、電気的ストレスがより迅速に検出され得るという利点が提供される。
【0035】
図6は、本実施形態に係る電気的ストレス保護回路10を含む表示装置1を示す模式図である。図6を参照すると、表示装置1は、表示パネルと、表示パネルを駆動するゲートドライバと、ソースドライバと、タイミングコントローラとを含む。電源は、ゲートドライバ、ソースドライバ、及びタイミングコントローラに駆動電力を供給する。
【0036】
電源は、表示装置1の外部から電力を受け取り、その電力を直流に変換し、その直流電流をゲートドライバ、ソースドライバ、及びタイミングコントローラに供給するスイッチモード電源(SMPS)などの電源装置であってもよい。
【0037】
電気的ストレスは、電源に印加され、電源が電力を供給する駆動電圧レールVDD及び基準電圧レールVSSを介して、ゲートドライバ、ソースドライバ、及びタイミングコントローラに印加されてもよい。本実施形態に係る電気的ストレス保護回路20は、電気的ストレスによる障害の発生を防止するために、表示装置1に含まれる電源、ゲートドライバ、ソースドライバ、タイミングコントローラに含めることができる。
【0038】
シミュレーション例
以下、シミュレーション例のシミュレーション結果を図7A図7Gを用いて説明する。図7Aは、三角波形状にモデル化された電気的ストレスを示すグラフである。図7Aでは、電気的ストレスが50μsの間、0Vから25Vに増加する。すなわち、0μsから50μsの範囲で、0Vから25Vに増加し、50μsから100μsの範囲で、25Vから0Vに減少する。
【0039】
図7Aに示す電気的ストレスでは、第2の駆動電圧VDDpを介して印加される電気的ストレスがより大きな値を有し、駆動電圧VDDを介して提供される電気的ストレスは2Vほど低く設定された。また、基準電圧のうち、より大きな電圧値を有する基準電圧を基準電圧VSSとし、第2基準電圧VSSpを基準電圧VSSよりも2Vほど低く設定した。
【0040】
図7Bは、駆動電圧レール及び第2駆動電圧レールの電圧の変動を示すグラフである。図7Bを参照すると、第2駆動電圧VDDp及び第2基準電圧VSSpを用いた場合には、第2駆動電圧VDDp及び第2基準電圧VSSpを用いない場合よりも4μs速く電気的ストレスが検出され、したがって9.6Vの電圧でブレークダウンが発生し、電圧がクランプされたことが確認できる。駆動電圧VDDと基準電圧VSSを用いた場合、11.6Vの電圧でブレークダウンが発生し、電圧がクランプされたことが確認できる。
【0041】
図7Cは、検出回路100から出力される検出信号NONを示すグラフであり、図7Dは、バッファ300の内部信号を示すグラフである。図7C及び図7Dを参照すると、第2駆動電圧VDDp及び第2基準電圧VSSpを用いた場合、検出回路100が第2駆動電圧VDDp及び第2基準電圧VSSpを用いなかった場合と比較して4μs速く電気的ストレスを検出し、従って立ち上がり検出信号NONが出力されたことが確認できる。
【0042】
図7Eは、バッファ300から出力されるバッファ信号EOSONを示すグラフである。図7Eを参照すると、図7Cに示される検出信号NONのものよりも、立ち上がり速度及び落下速度が速かったことが分かる。その結果、バッファ300が検出回路100の出力信号をバッファリングして、バッファリングされた出力信号をバイパス回路200に供給し、電気信号が基準電圧レールに迅速にバイパスされることが確認できる。
【0043】
図7Fは、バイパス回路200を流れる電流の大まかな形状を示すグラフであり、図7Gは、検出回路100から出力される検出信号NONに応じてバイパス回路200が駆動される際にバイパス回路200を流れる電流の大まかな形状を示すグラフである。図7F及び図7Gを参照すると、バイパス回路200がバッファ300から出力されるバッファ信号EOSONに応じて駆動されたときに、バイパストランジスタMN3がより速くオンされたことが確認でき、電流の立ち上がり速度及び立ち下がり速度が速かった。
【0044】
本発明による電気的ストレス保護回路によれば、電子装置をEOS及びESDから効果的に保護する利点を提供できる。
【0045】
本発明の理解を助けるために、図面に示される実施形態を参照して説明を行ったが、これらの実施形態は実施のためのものであり、単に例示的なものである。したがって、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び同等の他の実施形態を導出することができることを理解するのであろう。したがって、本発明の真の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されるべきである
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G