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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】移動式搬送仕分けシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/46 20060101AFI20221012BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20221012BHJP
   B65G 47/49 20060101ALI20221012BHJP
   B65G 17/10 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
B65G47/46 H
G05D1/02 P
B65G47/49
B65G17/10 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020051193
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021147224
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2021-04-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-162365(JP,A)
【文献】特表2019-534829(JP,A)
【文献】特開2004-277062(JP,A)
【文献】特表2019-531991(JP,A)
【文献】特表2019-533625(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0009550(US,A1)
【文献】特開2013-061736(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0073589(US,A1)
【文献】特開2001-084037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/10
B65G 47/34-47/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕分けサーバと、物品を搭載及び/もしくは搬送するコンベヤ部を天板上に備える無人移送車と、前記無人移送車へ物品を投入する物品投入部と、前記無人移送車から物品を移載する物品移載部と、を有するシステムであって、
前記仕分けサーバは、
物品仕分け情報を受信する通信部と、
受信した前記物品仕分け情報を記憶する第1の記憶部と、
前記無人移送車から送信され前記通信部で受信された前記無人移送車の位置情報を記憶する第2の記憶部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記物品仕分け情報と、前記第2の記憶部に記憶された前記位置情報と、により運行管理情報を生成し、該運行管理情報に基づいて前記無人移送車の走行、前記無人移送車の前記コンベヤ部の挙動、前記物品投入部及び/もしくは前記物品移載部の挙動、のうちの少なくともいずれか一つを制御する制御部と、
を備え、
前記無人移送車は、
前記無人移送車の前記位置情報を前記仕分けサーバに送信する車体通信部と、
前記仕分けサーバから受信する前記運行管理情報を記憶する第3の記憶部と、
物品の投入および物品の移載を制御するコンベヤ部制御部と、
前記無人移送車の位置と、障害物の形状および位置と、前記無人移送車と該無人移送車の周辺の無人移送車との距離と、を計測するセンサー部と、
前記センサー部が計測して得られた計測データを記憶する第4の記憶部と、
前記第3の記憶部に記憶された前記運行管理情報と前記第4の記憶部に記憶された前記計測データと、により前記無人移送車の走行を制御する台車制御部と、
を備え、
複数の前記無人移送車を環状に走行させるために床面上に貼付された走行ルートを備え、複数の前記無人移送車が前記走行ルートに沿って環状に連結されて走行することを特徴とするソータシステム。
【請求項2】
前記無人移送車が前記運行情報により、前記物品投入部へ移動し、該物品投入部と連携して物品を投入し、前記物品移載部へ移動し、該物品移載部と連携して物品を移載することを特徴とする請求項1に記載のソータシステム。
【請求項3】
前記物品投入部および/または前記物品移載部はコンベヤをさらに備え、
前記物品投入部の前記コンベヤおよび/または前記物品移載部の前記コンベヤは、走行方向に連続的で環状に配列走行する前記無人移送車とは別に稼働することを特徴とする請求項1もしくは2に記載のソータシステム。
【請求項4】
前記無人移送車の前記コンベヤ部の物品搬送方向と、前記無人移送車の走行方向とは略直交することをさらに備えることを特徴とする請求項に記載のソータシステム。
【請求項5】
前記無人移送車は自走行用および/またはコンベヤ駆動用の動力をさらに有していることを特徴とする請求項1から請求項のうちのいずれか1項に記載のソータシステム。
【請求項6】
前記複数の無人移送車の中には非自走の前記無人移送車を含むことを特徴とする請求項1から請求項のうちのいずれか1項に記載のソータシステム。
【請求項7】
前記非自走の無人移送車は自走する前記無人移送車と連結して走行することを特徴とする請求項に記載のソータシステム。
【請求項8】
前記無人移送車はバッテリで駆動されており、充電電力が不足したとき又は故障のときを含む非常時に、充電済または正常稼働の前記無人移送車と適宜交代されることを特徴とする請求項1から請求項のうちのいずれか1項に記載のソータシステム。
【請求項9】
前記無人移送車の充電を行うための充電設備をさらに備えることを特徴とする請求項に記載のソータシステム。
【請求項10】
前記無人移送車の充電は、電源と接触および/又は非接触であっても可能とすることを特徴とする請求項に記載のソータシステム。
【請求項11】
前記無人移送車の環状配列走行が多重に形成されるものであって、すべての環状配列走行が単数又は複数の物品投入部の前記コンベヤおよび/または物品移載部の前記コンベヤに物品の投入および/または移載可能に形成されることを特徴とする請求項1から請求項10のうちのいずれか1項に記載のソータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人移送車(AGV、AMR)を用いたソータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、物流センターにおいて、無人移送車として、AGV(Automatic Guided Vehicle)または、AMR(Autonomous Mobile Robot)を用いたピッキングシステムが普及途上にある。特許文献1は、商品を入れた複数段からなる棚が倉庫内に多数設けられ、AGVまたはAMRが棚の下に潜り込み、棚を持ち上げてピッキング作業者のいるGTPステーション(GTP:Goods to person)まで運び、作業者が棚から目的の商品をピッキングした後、棚とAGVまたはAMRは保管場所に戻っていく工程を繰り返すものである。
【0003】
特許文献1には、空間と資源の有効な利用を図る在庫管理装置における要求充足法およびシステムに関する。この発明の在庫管理装置における要求充足法は、すべき活動を示す要求を受け取り、複数の棚から要求を満たす棚を選択し、複数の在庫物品から少なくとも一つの物品を選択し、選択した棚から離れた別の場所へ動かす、時間および装置の空間と資源の有効な利用を図ることを特徴としている。
【0004】
参考文献2には、すでに発売中の無人移送車の販売カタログを示すが、特許文献1で示された技術思想での利用範囲にとどまっている。
【0005】
物流センターにおいて無人移送車が活躍を始めた背景には、無人移送車が普及段階に入り、各社から低コストで多彩な機能を有する無人移送車が供給されるようになったこと、また、近時は特に物流センターの人手不足が問題となっており、社会的に無人化が強く要請されていることが大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】US-A-090185884公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】https://www.geekplus.jp/common/pdf/geek.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、出願人は、無人移送車の有する別の側面に着目した。それは、これら無人移送車は無人移送車自体で移動動力を有するため、従来のように物流センター内に搬送用のコンベヤラインを張り巡らす必要がなく、物理的に大きな固定設備が不要となることからセンター内部のレイアウト設計に大きな自由度が生まれることになった。
【0009】
従来から、大型空港などでサークル型のソータシステム(クロスベルトソータシステム)が設けられており、空港内のチェックインカウンターと駐機場近傍に設けられた複数のメイクアップエリア(メイク)との連絡用の手荷物搬送システムの構成要素として、搬送コンベヤと組み合わせて活躍している。
【0010】
このサークル型ソータシステムは、床にレールを設け、そのレール上を台車が走行するシステムを基本とするが、台車天板に、走行方向と直角方向にベルトコンベヤが設けられ、これを多数サークル状に連結したシステムであるが、固定設備のためシステム構築には設計から稼働・保守まで多大な時間、費用、工数、稼働ノウハウ等を多く必要とするものであった。
【0011】
つまり、これらの設備を設計し、構築し、保守サポートするためには高度な専門性が必要であり、さらにこれら専門性を備えた技術者が特別な信頼関係をベースに阿吽の呼吸で構築してゆくことから、換言すれば「すり合わせ」が必要なシステムであった。
【0012】
一方、無人移送車によるシステム構築は、このようなシステムとは真逆のシステムであり、高度な固定設備でないことから容易に構築が可能であり、他の無人移送車のシステムとも代替可能な「コモディティ」なシステムであるといえる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様に係るソータシステムは、
仕分けサーバと、物品を搭載及び/もしくは搬送するコンベヤ部を天板上に備える無人移送車と、前記無人移送車へ物品を投入する物品投入部と、前記無人移送車から物品を移載する物品移載部と、を有するシステムであって、
前記仕分けサーバは、
物品仕分け情報を受信する通信部と、
受信した前記物品仕分け情報を記憶する第1の記憶部と、
前記無人移送車から送信され前記通信部で受信された前記無人移送車の位置情報を記憶する第2の記憶部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記物品仕分け情報と、前記第2の記憶部に記憶された前記位置情報と、により運行管理情報を生成し、該運行管理情報に基づいて前記無人移送車の走行、前記無人移送車の前記コンベヤ部の挙動、前記物品投入部及び/もしくは前記物品移載部の挙動、のうちの少なくともいずれか一つを制御する制御部と、
を備え、
前記無人移送車は、
前記無人移送車の前記位置情報を前記仕分けサーバに送信する車体通信部と、
前記仕分けサーバから受信する前記運行管理情報を記憶する第3の記憶部と、
物品の投入および物品の移載を制御するコンベヤ部制御部と、
前記無人移送車の位置と、障害物の形状および位置と、前記無人移送車と該無人移送車の周辺の無人移送車との距離と、を計測するセンサー部と、
前記センサー部が計測して得られた計測データを記憶する第4の記憶部と、
前記第3の記憶部に記憶された前記運行管理情報と前記第4の記憶部に記憶された前記計測データと、により前記無人移送車の走行を制御する台車制御部と、
を備え、
複数の前記無人移送車による環状に配列走行させる配列手段を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の一実施形態として、前記物品投入部は、前記仕分けサーバから前記運行管理情報を受信する物品投入部通信部と、
前記運行情報より、前記物品投入部を制御する物品投入部制御部と、
を備え、
前記物品移載部は、前記仕分けサーバから前記運行管理情報を受信する物品移載部通信部と、
前記運行情報より、前記物品移載部を制御する物品移載部制御部と、
を備えたことを特徴としてもよい。
【0015】
本発明の一実施形態として、前記コンベア部のコンベヤの走行方向は、前記無人移送車の走行方向に略直行してもよいし、前記無人移送車の走行方向にコンベヤが走行しても良いし、前記無人移送車の走行方向に対し斜め方向にコンベヤが走行してもよい。さらに、コンベヤ面をコンベヤの軸方向を回転させて使用するタイプのコンベヤで構成することを特徴としてもよい。
【0016】
本発明の一実施形態として、前記コンベア部全体が走行台車上に回転する機構を備えていて必要とされる方向に物品を移載させることを特徴としてもよい。
【0017】
本発明の一実施形態として、前記無人移送車は、AGVやAMRに限定はされない。例えば、移動ロボット及びドローン等を含む。例えば、車輪型、クローラ型又は脚型の(歩行型を含む)のロボットである。所定エリア内を移動するだけでなく、例えば、搬送、ピッキング、溶接、実装、陳列、接客、警備、組立及び検査等の様々な作業を実行する機能を特徴としていてもよい。
【0018】
本発明の一実施形態として、前記無人移送車の自車位置の確認には、SLAМ方式(図示せず)正式名称は、Simultaneоus Lоcalizatiоn and Мappingを利用している。ただし、これに限定されるのもではない。位置の推定やマップ作成にはレーザーレンジスキャナー(測域センサー、LIDAR)、カメラ、エンコーダ、マイクロフォンアレイなど公知の技術が利用される。
【0019】
空港手荷物がベルトコンベヤで運ばれていく先は「出発ソーティングエリア」と呼ばれる空港内の作業エリアであり、ここには手荷物を航空機で輸送するコンテナに収容する作業を行う「メイク」という場所がある。
【0020】
一般手荷物はカウンターからメイクまで自動的に運ばれてくる。
【0021】
本発明の一実施形態において、空港のチェックインカウンターで乗客から受領した物品がベルトコンベヤにより搬送され、送付先の航空機が待機する近傍のメイクまで移送され、他のメイクとの合流地点として最適な箇所に、環状に連続的で配列走行する無人移送車が、物品の仕分け装置として機能するソータシステムを特徴としてもよい。
【0022】
本発明の一実施形態において、無人移送車のさらなる活用として、無人移送車を複数組み合わせることにより、様々な形状のソータラインやコンベヤラインを構築するソリューションを特徴としてもよい。
【0023】
本発明の一実施形態において、固定設備ではなく1台1台が独立した無人移送車として機能できるものであるから、空港内の所望箇所に短時間かつ容易に環状ソータ設備を構築することも可能となり、設置時間とコストの大幅な削減が可能となり、運用の自由度も飛躍的に向上するソータシステムを特徴としてもよい。
【0024】
本発明の一実施形態において、1台1台が独立した無人移送車として機能できることから、故障した無人移送車と、略同機能の故障していない無人移送車とが交代し、故障による使用中断などの問題を容易に解決するソータシステムを特徴としてもよい。
【0025】
本発明の一実施形態において、設置だけでなく撤去も容易なので、一時的に別の目的、例えば保安検査場などに変更することも可能である無人移送車を利用したソータシステムを特徴としてもよい。
【0026】
本発明の一実施形態において、無人移送車の台数を設置スペースに合わせて増減させるソータシステムを特徴としてもよい。
【0027】
本発明の第2の態様に係るソータシステムは、第1の態様において、複数の前記無人移送車が非連結状態で、環状に配列走行することを特徴とする。
【0028】
本発明の一実施形態として、ソータシステムは、複数の無人移送車が独立して環状方向に配列走行することを特徴としてもよい。
【0029】
本発明の一実施形態として、自走しない無人移送車は、自走する無人移送車にけん引されるか、自走する無人移送車に押されて走行する、または自走する無人移送車に挟まれながら走行することを特徴としてもよい。
【0030】
本発明の第3の態様に係るソータシステムは、第1の態様において、複数の前記無人移送車が連結状態で、環状方向に走行することを特徴とする。
【0031】
本発明の一実施形態において、複数の無人移送車を機械的に連結するか電磁石を利用して連鎖配列を維持するように制御された環状のソータシステムを特徴としてもよい。
【0032】
本発明の第4の態様に係るソータシステムは、第1態様において、前記無人移送車が前記運行情報により、走行方向に連続的で環状に配列走行中に物品の仕分けを行うことを特徴とする。
【0033】
物品の仕分けとは、運行管理情報より前記無人移送車が、前記物品投入部で物品を投入し、前記物品移載部で物品を移載することをいう。
【0034】
本発明の第5の態様に係るソータシステムは、第1から第4の態様において、前記物品投入部および/または前記物品移載部はコンベヤをさらに備え、前記物品投入部の前記コンベヤおよび/または前記物品移載部の前記コンベヤは、走行方向に連続的で環状に配列走行する前記無人移送車とは別に稼働することを特徴とする。
【0035】
本発明の一実施形態として、前記物品投入部のコンベヤおよび/または前記物品移載部のコンベヤとして使用される前記無人移送車は、走行方向に対し連続的に並列配列されて構成されていてもよい。
【0036】
本発明の第6の態様に係るソータシステムは、第5の態様において、前記無人移送車の前記コンベヤ部の物品搬送方向と、前記無人移送車の走行方向とは略同じ方向に配置されることをさらに備えることを特徴とする。
【0037】
本発明の一実施形態として、前記投入部のコンベヤと前記移載部のコンベヤに使用する前記無人移送車のうち、環状に配列走行する前記無人移送車に距離的に一番近い前記無人移送車のコンベヤ形状は、環状に配列走行する前記無人移送車のコンベヤに物品の移載が適した、コンベヤ面をコンベヤの軸方向を回転させて使用するタイプのコンベヤで構成して略接線方向に接する形状を特徴としてもよい。
【0038】
本発明の第7の態様に係るソータシステムは、第1から第6の態様において、前記無人移送車は自走行用および/またはコンベヤ駆動用の動力をさらに有していることを特徴とする。
【0039】
本発明の第8の態様に係るソータシステムは、第1から第7の態様において、前記複数の無人移送車の中には非自走の前記無人移送車を含むことを特徴とする。
【0040】
本発明の第9の態様に係るソータシステムは、第8態様において、前記非自走の無人移送車は自走する前記無人移送車と連結して走行することを特徴とする。
【0041】
本発明の第10の態様に係るソータシステムは、第1から9の態様において、前記無人移送車はバッテリで駆動されており、充電電力が不足したとき又は故障のときを含む非常時に、充電済または正常稼働の前記無人移送車と適宜交代されることを特徴とする。
【0042】
本発明の第11の態様に係るソータシステムは、第10の態様において、前記無人移送車の充電は、電源と接触および/又は非接触であっても可能とすることを特徴とする。
【0043】
本発明の第12の態様に係るソータシステムは、第11の態様において、前記無人移送車の充電は、電源と接触および/または非接触であっても可能とすることをさらに備えることを特徴とする。
【0044】
本発明の第13の態様に係るソータシステムは、第1から第12態様において、前記無人移送車の環状配列走行が多重に形成されるものであって、すべての環状配列走行が単数又は複数の物品投入部の前記コンベヤおよび/または物品移載部の前記コンベヤに物品の投入および/または移載可能に形成され、設置フロアー単位面積当たりの物品の仕分け箇所を形成することをさらに備えることを特徴とする。
【0045】
本発明の一実施形態として、前記無人移送車2は、物品Gに貼着されたバーコードを読み取り、読み取ったバーコードデータを物品仕分け情報とすることを特徴としてもよい。
【0046】
本発明の一実施形態として、前記無人移送車2の走行方向(長辺方向)にコンベヤベルト33を巻きまわす場合のソリューションを含んでいる。前記無人移送車2の走行方向(長辺方向)にコンベヤベルト33を設ける場合は、前記無人移送車2の長辺方向一杯にコンベヤベルト33を設けることになるが、その場合、前記無人移送車を走行方向に多数連結する場合は連結した長さ分の長手のコンベヤシステムとして機能させることを特徴としてもよい。
【0047】
本発明の一実施形態として、前記無人移送車2(短辺方向のコンベヤベルト33が形成)を応用する場合、前記無人移送車2の走行方向を略90度回転して前記無人移送車2を連結できれば長手方向に連列させてベルトコンベヤとして機能させることを特徴としてもよい。
【0048】
本発明の一実施形態として、前記無人移送車2の走行方向にコンベヤベルト33を巻きまわすことおよび/または前記無移送車2の走行方向を略90度回転して連結して長手方向のベルトコンベヤとして機能させることで、前記物品投入部および/または前記物品移載部のベルトコンベヤとして機能せることを特徴としてもよい。
【0049】
本発明の一実施形態として、環状配列走行中の無人移送車2に最も近い前記投入部および/または前記物品移載部のコンベヤとして機能させる前記無人移送車2のコンベヤベルトの形状は、長形でなくてもよく、たとえば物品Gを優しく取り扱えるよう、環状配列の前記無人移送車2のコンベヤベルトに略接するコンベヤベルト形状であっても良い。
【0050】
本発明の一実施形態として、無人移送車2の環状配列走行を多重に環状を形成し、すべての環状配列走行が単数又は複数の物品投入部のコンベヤと物品移載部のコンベヤに連携可能に形成され、設置フロアー単位面積当たりの仕分け箇所を多く形成することを特徴としてもよい。
【0051】
本発明の一実施形態において、例えば、1台1台独立し天板部にコンベヤ部を形成した無人移送車として機能できるAMRを用いて、例えば空港内の所望箇所に短時間かつ容易にサークル型ソータ設備を構築することが可能となり、設置に関する設計から運用開始までの手間、時間とコストの大幅な削減が可能となり、運用の自由度も飛躍的に向上し、故障時も別の同機能の無人移送車と交換すれば故障の問題が容易に解決できる。また、設置だけでなく撤去も容易であり、一時的に別の目的(例えば保安検査場など)に変更することも可能である。さらにAMRの台数を設置スペースに合わせて増減させてシステム構成が容易にできるため、単位面積当たりの仕分け箇所を増やすことができ集約機能を簡便に拡大できることも可能な無人移送車利用の環状型ソータシステムを提供するものである。
【0052】
本発明の一実施形態において、空港以外の港湾関係のソータシステムであったり、サークル式ソータシステムを導入している物流センターであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】本発明の一実施形態に係るソータシステムの主要部を示す平面図である。
図2】本発明の一実施の形態に係るソータシステムを構成するための無人移送車の正面図である。
図3】本発明の一実施の形態に係るソータシステムを構成するための無人移送車の側面図である。
図4】本発明の一実施の形態に係るソータシステムを構成するための床面上にQRコード(登録商標)シールが貼付された走行ルートL1である。
図5】本発明の一実施の形態に係るソータシステムのネットワーク図である。
図6】本発明の一実施の形態に係るソータシステムの仕分けサーバ構成図である。
図7】本発明の一実施の形態に係る無人移送車のシステム構成図である。
図8】本発明の一実施の形態に係る無人移送車の走行ルート形成フローである。
図9】本発明の一実施の形態に係る無人移送車の仕分けフローである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明の一実施の形態に係るソータシステムについて図面を参照して説明する
【0055】
図1は、本発明の一実施の形態に係るソータシステム100を構成する無人移送車2の環状配列と物品投入部3と物品移送部4の配置平面図である。図2図3は、無人移送車2の構成を示す図である。
【0056】
ソータシステム100は、物品投入部3で、物品Gをコンベア部30で受け取り載置した無人移送車2を環状方向に配列走行させ、前記載置した物品Gを複数の中のいずれか1つの物品移載部4、4b、4c、4dで移載し構成する。さらに、フロアーの設置スペースに合わせて無人移送車2の台数を増減させることで、迅速なシステム構成を可能とする。なお、物品Gとは、トランクや梱包物あるいは物品を載置したトレイを含む。
【0057】
無人移送車2に搭載されたコンベヤ部30は、無人移送車2の走行方向に対して直する方向にベルト走行する。つまり、ソータシステム100は、物品投入部3から、無人移送車2が物品Gを投入する無人移送車2のコンベヤベルト33の回転方向と、物品移載部4、4b,4c、4dで物品Gを無人移送車2から移載するときのコンベヤベルト33の回転方向は、無人移送車2の走行ルートL1方向と異なり、物品投入部3および物品移載部4のベルトコンベヤと同じ回転方向になる。
【0058】
ソータシステム100は、物品投入部3で物品Gの投入と、物品移載部4、4b,4c、4dで物品Gの移載を、無人移送車2が環状に走行しながら行う。物品の投入時と移載時に無人移送車2は走行を止めてもよい。
【0059】
図2図3に示すように、無人移送車2は、走行台車部10と走行台車部10上に設けられたコンベヤ部30とを備えている。
【0060】
コンベヤ部30は、コンベヤベルト33と、ベルト受けロール34、ベルト走行用モータ35、コンベヤ部制御部36を備えている。
【0061】
コンベヤベルト33は、コンベヤ部制御部36で制御され、ベルト走行用モータ35で駆動される。
【0062】
走行台車部10は、台車本体11と、一対の駆動輪12A,12Bと、一対の補助輪14A,14Bと、モータ13A,13Bと、バッテリ16を備えている。また非自走の走行台車は、駆動輪12A,12Bに代わって、一対の非駆動輪12C、12Dを備えている。
【0063】
バッテリ16は、走行台車部10とコンベア部30の駆動に使用され、充電可能な二次電池である。自走駆動方法とコンベヤの駆動方法の詳細は省略する。
【0064】
図4に示すように、ソータシステム100は、装置設置スペースの床面上にQRコード(登録商標)シール(図は省略)が貼付された走行ルートL1(図4参照)を、自動走行台車部10とコンベヤ部30を有してなる複数の無人移送車2を環状走行させてソータ機能を実現している。
【0065】
図5に示すように、ソータシステム100は、空港基幹システム200に空港内ネットワーク1で接続され、無人移送車2、物品投入部3、物品移載部4、仕分けサーバ101は、ネットワーク1で接続されている。
【0066】
仕分けサーバ101は、空港基幹システム200の一部として構成されていても良い。
【0067】
空港内ネットワーク1は、無線および/または有線通信ネットワークが使われる。
【0068】
図6に示すように、仕分けサーバ101は、通信部110、記憶部120、システム制御部130、充電管理部150、入力部160、表示部170、プロセッサー部180で構成されている。
【0069】
仕分けサーバ101は、無人移送車2から送信された無人移送車2のバッテリ16の
充電状態を適宜、充電池情報として第2の記憶部に記録し、稼働中の無人移送車2の充電電力が不足のときは、待機する充電済無人移送車2と入れ替え交代を運行管理情報より制御する制御部130を備える。さらに、無人移送車2が故障のときは、待機する充電済または正常稼働の前記無人移送車と適宜交代させる。
【0070】
ソータシステム100は、前記無人移送車の充電は走行中であっても可能とするため、受電用の電源は非接触で充電できる充電設備を装置設置スペース内に備えている。
【0071】
図7に示すように、無人移送車2は、車体通信部40、コンベヤ部制御部36、台車制御部18、センサー部50、車体記憶部21、車体プロセッサー部20を備えている。さらに連結走行する無人移送車2は連結部60を備えていてもよい。
【0072】
本発明の一実施形態として、自走可能な無人移送車2と非自走の無人移送車2を連結して走行するには、連結部60による電磁石を利用した連結方法や、例えば、列車の自動連結などに使われる、ジャニー式連結器方式、ウィリソン式連結器方式や、簡易連結器、密着連結器、シャルフェンベルク式などの方式を応用して機械的に連結されてもよい。詳細は省略する。
【0073】
本発明の一実施形態として、無人移送車2にAGV方式を採用する場合に、台車制御部18は、無人移送車2の走行用目印となる床面上のQRコード(登録商標)シール(図は省略)が貼付された走行ルートL1に沿って走行するように走行台車10を制御してもよい。
【0074】
物品Gの仕分け情報は、バーコードを利用した他の空港システムと連動しており、仕分けサーバ101は、空港基幹システム200からネットワーク1を通して、通信部110で受信した物品Gの仕分け情報を記憶部の第1の記憶部に記憶する。あるいは、物品Gの仕分け情報を仕分けサーバの入力部160から入力して、記憶部の第1の記憶部に記憶させてもよい。また、物品Gの仕分け情報を表示部170で表示してもよい。
【0075】
仕分けサーバ101は、無人移送車2の車体通信部40から送信された無人移送車2の位置情報と充電池情報を通信部110で受信し、記憶部の第2の記憶部に記憶する。
【0076】
仕分けサーバ101のシステム制御部130は、記憶部の第1の記憶部に記憶された物品Gの仕分け情報と、記憶部の第2の記憶部に記憶された無人移送車の位置情報と充電池情報と、により、運行管理情報を生成し、通信部110と無人移送車2の車体通信部40との無線通信を使用して台車制御部18とコンベヤ部制御部36を制御する。
【0077】
本発明の一実施形態として、仕分けサーバ101のシステム制御部130は、運行管理情報により、物品投入部3の通信部(図を省略)を通じて物品投入部制御部300、物品移載部4の通信部(図を省略)を通じて物品移載部制御部400を制御し物品Gを仕分ける。物品投入部3と物品移載部4と通信部110の通信は無線でも有線でもよい。
【0078】
本発明の一実施形態として、図8に無人移送車2の走行ルート形成フローを示す。仕分けサーバ101のシステム制御部130は、記憶部の第1の記憶部に記憶された物品Gの仕分け情報と、記憶部の第2の記憶部に記憶された無人移送車の位置情報とにより、運行管理情報を生成し、通信部110から無人移送車2に運行管理情報を送信し<S1>、ネットワーク1を経由して無人移送車2は車体通信部40で運行管理情報を受信し<S2>、無人移送車2の車体記憶部21の第3の記憶部に運行管理情報を記憶し<S3>、無人自走車2はセンサー部50により、位置情報を取得しサーバ101へ送信し、障害物の形状および位置情報と、無人移送車2と該無人移送車2の周辺の無人移送車2との距離と、を計測し<S4>、計測データを第4の記憶部に記憶し<S5>、第3の記憶部に記憶された運行管理情報と第4の記憶部に記憶された計測データを使って台車制御部18により制御され走行ルートL1を形成する<S6>。
【0079】
本発明の一実施形態として、図9に無人移送車の仕分けフローを示す。無人移送車2は車体記憶部21の第3の記憶部に記憶された運行管理情報から所望の物品投入部3へ移動し<S7>、物品投入部制御部300により制御された物品投入部3のコンベヤと連携し物品Gを投入し<S8>、第3の記憶部に記憶された運行管理情報により、無人移送車2は所望の物品移載部4、4b、4c、4dへ移動し<S9>、物品移載部制御部400により制御された物品移載部のコンベヤと連携し物品Gを移載する<S10>。
【0080】
一連の流れとして<S10>から<S7>に戻るが、<S7>から<S10>は連続しなくてもよく、たとえば<S7>、<8>を繰り返し、<S9>、<S10>を繰り返してもよい。
【0081】
ソータシステム100は、運行管理情報からシステム制御部130により、該無人移送車2のコンベヤ部制御部36で、所望の物品投入部3で、物品Gを投入する方向に、所望距離だけコンベヤベルト33を走行させる制御を行う。
【0082】
コンベヤ部制御部36は、コンベヤ部30が物品投入部3から物品Gの投入に適したベルト走行を制御する。
【0083】
ソータシステム100は、運行管理情報からシステム制御部130により、該無人移送車2のコンベヤ部制御部36で、所望の物品移載部4、4b、4c、4dで、物品Gを移載する方向に、所望距離だけコンベヤベルト33を走行させる制御を行う。
【0084】
コンベヤ部制御部36は、コンベヤ部30が物品移載部4、4b、4c、4dで物品Gの移載に適したベルト走行を制御する。
【0085】
物品Gが指示された物品移載部で移載が完了すると、移載完了情報を、ネットワーク1を通して仕分けサーバ101に送信し、物品Gの仕分けが完了する。
【0086】
この構成によれば、1台1台独立した無人移送車2として機能できるAGVおよび/またはAMRを用いて、例えば空港内の所望箇所に短時間かつ容易にサークル型ソータ設備を構築することが可能となり、設置時間とコストの大幅な削減が可能となり、運用の自由度も飛躍的に向上する。
【0087】
また、この構成によれば、複数の無人移送車2を所定位置に環状に連結するだけでシステムを簡単に構成することができて、無人移送車2の台数を増減させて設置スペースに合わせてシステム構成ができ、無人移送車2の台数を増減させても、一度設置したシステムの他所への移動が容易であり、ソータシステムを使用しない日または時間帯に一時的に素早く撤去して空きスペースをレセプションなど一時的に他目的で使用するといったスペースの有効利用ができ、さらに、故障時も別の同機能の無人移送車と交換すれば故障の問題が容易に解決できる。
【0088】
本発明によれば、1台1台独立した無人移送車として機能できるAMRを用いて、例えば空港内の所望箇所に短時間かつ容易にサークル型ソータ設備を構築することが可能となり、設置時間とコストの大幅な削減が可能となり、運用の自由度も飛躍的に向上するという効果を有し、優れたソータシステムを提供することができる。
【符号の説明】
【0089】
1…空港内ネットワーク、
2…無人移送車、
3…物品投入部、
4、4b、4c、4d…物品移載部、
10…走行台車部、
11…台車本体、
12A,12B…駆動輪、
12C、12D…非駆動輪
13A,13B…モータ、
14A,14B…補助輪、
16…バッテリ、
18…台車制御部、
20…車体プロセッサー部
21…車体記憶部、
30…コンベヤ部、
33…コンベヤベルト、
35…ベルト走行用モータ、
36…コンベヤ部制御部、
40…車体通信部、
50…センサー部、
60…連結部、
100…ソータシステム、
101…仕分けサーバ
110…通信部、
120…記憶部、
130…システム制御部、
160…入力部、
170…表示部、
180…プロセッサー部、
200…空港基幹システム、
300…物品投入部制御部、
400…物品移載部制御部、
G…物品、
L1…走行ルート、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9