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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】荷役機械
(51)【国際特許分類】
   B66F 19/00 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
B66F19/00 J
B66F19/00 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018044265
(22)【出願日】2018-03-12
(65)【公開番号】P2018150173
(43)【公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2017048558
(32)【優先日】2017-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000110022
【氏名又は名称】トーヨーコーケン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一行
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-290556(JP,A)
【文献】特開平11-147698(JP,A)
【文献】特開平07-101700(JP,A)
【文献】特開2009-166995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バランスモードに設定可能なエア式の荷役機械であって、
上下方向及び水平方向に移動自在に構成され、荷役物を保持する荷役物保持部と当該荷役物の重量を検知する荷重センサを有する昇降機構と、
前記昇降機構をエアの圧力によって上下方向に駆動するエアシリンダと、
所定のエア源から供給されるエアの圧力を調整して前記エアシリンダのシリンダ圧を設定する圧力比例制御部と、
前記エアシリンダのシリンダ圧を設定するために前記圧力比例制御部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、その制御モードとして、前記荷役物保持部に保持された荷役物の重量を常時検知し、その結果に基づき前記エアシリンダのバランス圧を常時設定する重量自動感知バランスモードと、前記荷役物保持部に保持された荷役物の重量を記憶する荷役物重量記憶回路を備え、前記荷役物重量記憶回路に記憶された荷役物の重量情報に基づき前記エアシリンダのバランス圧を所定の固定された値に設定する荷役物重量固定バランスモードとを有し、
更に、作業者の操作に応じて、前記重量自動感知バランスモードと、前記荷役物重量固定バランスモードとを切り換えるように構成されている切り換え手段とを備える荷役機械。
【請求項2】
前記切り換え手段が、
前記昇降機構を操作する操作グリップと、当該操作グリップの把持状態を確認するグリップ把持確認センサとを有し、当該グリップ把持確認センサがオンの場合に前記重量自動感知バランスモードに設定し、当該グリップ把持確認センサがオフの場合に前記荷役物重量固定バランスモードに設定するように構成されている請求項記載の荷役機械。
【請求項3】
前記切り換え手段が、
前記荷役物保持部の荷役物の保持状態を確認する荷役物保持確認センサを有し、当該荷役物保持確認センサがオンの場合に前記重量自動感知バランスモードに設定し、当該荷役物保持確認センサがオフの場合に前記荷役物重量固定バランスモードに設定するように構成されている請求項又はのいずれか1項記載の荷役機械。
【請求項4】
前記切り換え手段が、
前記昇降機構の加速度を検出する加速度センサと、当該加速度センサにて得られた加速度が過大か否かを検知する過大加速度検知回路と、当該加速度センサにて得られた加速度を1回微分する1回微分回路と、当該1回微分回路にて得られた加加速度が過大か否かを検知する過大加加速度検知回路とを有し、
前記過大加速度検知回路が、前記加速度の絶対値が所定の閾値以下であると判断し、かつ、前記過大加加速度検知回路が、前記加加速度の絶対値が所定の閾値以下であると判断した場合に前記重量自動感知バランスモードに設定し、
前記過大加速度検知回路が、前記加速度の絶対値が前記所定の閾値を超えていると判断した場合と、前記過大加加速度検知回路が、前記加加速度の絶対値が前記所定の閾値を超えていると判断した場合と、前記過大加速度検知回路が、前記加速度の絶対値が前記所定の閾値を超えていると判断し、かつ、前記過大加加速度検知回路が、前記加加速度の絶対値が前記所定の閾値を超えていると判断した場合に前記荷役物重量固定バランスモードに設定するように構成されている請求項乃至のいずれか1項記載の荷役機械。
【請求項5】
前記制御部は、更に、
前記荷役物保持部の交換を要求する信号を出力する保持部交換要求回路と、
当該保持部交換要求回路からの命令によって前記荷重センサからの信号を遮断する重量信号遮断回路と、
前記荷役物保持部が前記昇降機構から取り外された場合における前記エアシリンダのバランス圧を記憶する保持部取り外し時バランス圧記憶回路とを備え、
前記固定バランスモードとして、前記重量信号遮断回路からの命令によって前記荷重センサからの信号を遮断するとともに、前記保持部取り外し時バランス圧記憶回路に記憶されたバランス圧情報に基づき前記エアシリンダのバランス圧を固定された値に設定する保持部取り外し用バランスモードを有する請求項1乃至4のいずれか1項記載の荷役機械。
【請求項6】
前記制御部は、更に、
前記荷役物保持部の交換を要求する信号を出力する保持部交換要求回路と、当該保持部交換要求回路からの命令によって前記荷重センサからの信号を遮断する重量信号遮断回路と、
異なる種類の荷役物保持部を前記昇降機構にそれぞれ取り付けた場合の前記エアシリンダのバランス圧情報をそれぞれ記憶する異種荷役物保持部取付時バランス圧記憶回路とを備え、
前記固定バランスモードとして、前記重量信号遮断回路からの命令によって前記荷重センサからの信号を遮断するとともに、前記異種荷役物保持部取付時バランス圧記憶回路に記憶されたバランス圧情報に基づき前記異なる種類の荷役物保持部のそれぞれに対応するように前記エアシリンダのバランス圧を固定された値に設定する異種荷役物保持部用バランスモードを有する請求項1乃至5のいずれか1項記載の荷役機械。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役物を昇降して搬送するための荷役機械に関し、特にエア式の駆動源によって昇降機構を駆動する荷役機械の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
<従来技術1>
エア式の荷役機械には大別してクレーンモードとバランスモードの2つの制御モードがある。
【0003】
クレーンモードでは、荷役物を保持した状態において、操作レバーからの動作指令値によって、シリンダへのエアの給気及び排気の流量を制御することにより、アームの動作を制御するようにしている。
【0004】
このクレーンモードでは、荷役物の重量が不明の場合であっても、保持した荷役物を持ち上げたり降ろしたりする作業が可能であるが、エアの流量を厳密に制御することが難しいため、保持した荷役物を正確に上下方向に位置決めするような作業には適していない。
【0005】
一方、バランスモードでは、シリンダ内の圧力を一定圧(バランス圧)に保つことによって、空中に持ち上げた荷役物を作業者が直接手にとって、手の微妙な感覚で自在に荷役物を上下させることが可能であるため、高い精度で荷役物の位置決め作業を行うことが可能になる。
【0006】
バランスモードでは、重量が不明の荷役物をバランスモードで作業を行う場合、空中で荷役物をバランス状態にしたときのシリンダ圧(バランス圧)が不明であるため、そのままの状態ではバランスモードで作業することはできない。
【0007】
この場合は、一旦、荷役機械をクレーンモードに切り換え、シリンダへのエア供給を行って保持した荷役物を持ち上げ、そのときのシリンダ圧を検出して記憶し、その後、記憶したエア圧をシリンダ圧として設定するとともにクレーンモードから改めてバランスモードに切り換える必要がある。
【0008】
一般的なエア式荷役機械では、作業手順や作業内容に合わせて、自動あるいは手動操作によって、クレーンモードとバランスモードの両モードを自在に切り換えて作業を行っている。
【0009】
<従来技術2>
特許文献1(特開平10-182100号公報)では、上述した従来技術1のバランスモードの課題を解決するために次に説明するような制御方式が提案されている。
【0010】
この特許文献1による荷役物運搬機では、荷役物を昇降させる機構に荷重センサを搭載して常時荷役物の重量を測定し、その測定結果に基づいてシリンダの圧力を設定することによって、様々な重量の荷役物に対して常時バランスモードで荷役物を取り扱うものである。
【0011】
図6は、特許文献1による荷役物運搬機のシステム構成図である。
図6に示すように、この荷役物運搬機械101は、平行リンクを有するアームを備えた昇降機構102の下端(先端部)に荷重センサ103が取り付けられ、荷役物保持部104によって保持された荷役物100の重量を検知できるようになっている。
【0012】
そして、検知した荷役物100の重量情報は、荷重センサ103から増幅器105を介して重量→シリンダ圧変換回路106に送出され、無負荷時シリンダ圧記憶回路107に記憶された無負荷時のシリンダ120の圧力情報に加算される。
【0013】
そして、この加算された圧力情報に基づいて圧力比例制御部108を制御し、エア源109とシリンダ120との間で給排気されるエアの圧力を設定してシリンダ圧に反映するようになっている。
【0014】
この制御方式は、荷役物100の重量が不明の場合でもクレーンモードに切り換えることなく、バランスモードだけで荷役物100の移載作業を行うことができることを特徴としている。
したがって、重量が一定ではない多数の荷役物100を素早く搬送処理しなくてはならない作業では特に有効な制御方法である。
【0015】
しかし、この重量自動感知バランス制御方式には以下の課題が考えられる。
なお、本明細書では、荷重センサを搭載し荷役物の重量を測定することによって常時バランスモードで作業可能な制御方式を「重量自動感知バランス制御方式」と呼び、この制御方式によって実現されるバランスモードを「重量自動感知バランスモード」と呼ぶこととする。
【0016】
(1)課題1
この特許による従来技術では、荷重センサ103で荷役物100の重量を検知してその重量に合わせたバランス圧をシリンダ圧として設定し重量自動感知バランスモードでの作業を可能にしているが、このバランスモードで作業を行う場合は、作業者は荷重センサ103より上部の部分を保持して操作することが必要になる。
【0017】
すなわち、この従来技術の場合、バランスモードにおいて荷役物100を空中に吊り上げた場合、荷重センサ103から下の部分、例えば、荷役物100を手でもって上下動させることはできない。
【0018】
これは重量自動感知バランスモードで作業者が荷役物100を手で持ち上げようとしても、荷重センサ103によって荷役物100の重量を常時検知しているため、作業者によって持ち上げた力の分だけ荷役物100が軽くなったと判断し、これに応じてシリンダ圧を下げてしまうためである。
【0019】
逆に、荷役物100を持って下降させようとすると、荷役物100に上から力を加えた分だけ荷役物100の重量が重くなったと判断し、これに応じてシリンダ圧を上げてしまうため、荷役物100を下げることができなくなる。
【0020】
また、上述した荷役物100に力を加える場合と同様に、荷役物100をスリングベルト等で吊り上げて同ベルトを直接持って作業を行うような場合も、スリングベルトが荷重センサ103の下部で使用されることになるので、この場合も荷役物100を動かすことはできない。
【0021】
(2)課題2
荷役物保持機構を備えた荷役機械において、荷役物を保持する場合は、一般的に保持したか否かを確認するために荷役物保持確認用センサを設け、保持したことを確認した後で荷役物を持ち上げ、作業を行う必要がある。
【0022】
しかし、上記従来技術における重量自動感知バランスモードでは、如何なる状態(保持確認信号が取れない状態)でも荷役物100を持ち上げることができるので、まだ保持が不十分なままで荷役物100を空中に持ち上げてしまう場合も考えられる。
この場合、荷役物100の保持が十分でなければ、荷役物100を持ち上げた後に落下してしまうおそれが出てくる。
【0023】
この対策としては、作業者による保持指令を実行した後において、荷役物保持確認信号が取得できない場合には、例えば図6に示されるように、シリンダ120へのエア給排気回路にエア遮断回路110を設け、グリップ把持確認センサ111からの命令によってスイッチ操作回路112を動作させることにより、シリンダ120に供給するエアを遮断してしまう方法が考えられる。
しかし、シリンダ120へのエア供給・排気を遮断してしまうと、その状態でアームを自由に上下動させることができなくなり、作業がやりにくくなってしまう。
【0024】
(3)課題3
この種の荷役機械では、1台の装置で様々なタイプの荷役物を扱うため、荷役物の種類、形状、材質、重量などによって、荷役物保持部を換えたり荷役物保持部における保持方法(クランプ方式、吸着方式など)を変更する必要が出てくるため、荷役物保持部の交換を行う場合がある。
【0025】
上記従来技術の場合、重量自動感知バランスモードにおいて、荷役物保持部104を荷役物運搬機械101の昇降機構(アーム)102の先端部から外そうとすると、荷役物保持部104は荷重センサ103の下部にあるため、荷重センサ103によってその重量を検知してしまい、荷役物100を簡単に取り外したり取り付けたりすることは困難である。
【0026】
この対策として、一旦、重量自動感知バランスモードを解除するためにシリンダ120に対する給排気を遮断してしまう方法が考えられるが、シリンダ120に対する給排気を遮断してしまった場合は、課題2の場合と同様に、昇降機構102を自由に動かすことができなくなるため、荷役物保持部104の交換がやりにくくなる。
【0027】
(4)課題4
上記従来技術において、荷重センサ103で検出される荷役物100の質量をW[kg]とし、重力加速度をg[m/S2]とすると、静止時に荷重センサ103で検出される重量Ws[N]は次式で表すことができる。
Ws=W・g
【0028】
この状態から鉛直上方向に加速度aで荷役物100を動かしたときの重量Wd[N]は、次の式(1)で表される。
Wd=W・(a+g)・・・・・(1)
【0029】
ここで、例えば荷役物100の上昇作業中において上昇中の昇降機構102のアームが何らかの障害物に衝突あるいは接触して急停止するような状態になった場合、すなわち、上昇中のアームに下降方向に大きな加速度(負値)が加えられた場合の重量自動感知バランスモード時のバランス動作を考えてみる。
【0030】
例えば、荷役物100に対して下降方向に加速度a=-gが加えられ、急停止するような状態を想定してみると、このとき荷重センサ103によって検出される重量Wdは、式(1)から右辺は加速度項は0となるため、検出される荷役物100の重量Wdは0になる。
【0031】
その結果、重量自動感知バランスモードでは、シリンダ120のバランス圧として極端に低い圧力が設定されることになる。
荷役物100が空中に持ち上げられた状態において、シリンダ120のバランス圧が極低圧に設定された場合、昇降機構102のアームは急降下動作を開始することになる。
【0032】
このようなアームの下降動作が始まると、衝突時に外部から加えられた下降方向の力はなくなるが、急降下動作によって発生した下方向の大きな加速度(負の過大加速度)によって、シリンダ120は低圧状態に設定されることになるため(式(1)参照)、しばらくの間下降動作を継続することになる。その結果、昇降機構102のアームはかなりの距離を下降してしまうことになる。
このとき、仮に下降方向の先に作業者がいたりするとアームが作業者に衝突したり、また作業者の手を挟んでしまったりするような危険な状態を招くことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【文献】特開平10-182100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、荷役物の重量を荷重センサで常時検知し、その結果に基づきシリンダ圧を設定する重量自動感知バランスモードを備えたエア式の荷役機械において、従来困難であったバランス状態で昇降機構の任意の部分を人手で持って種々の作業を行うことができる技術を提供することにある。
【0035】
また、本発明の他の目的は、上記重量自動感知バランスモードを備えたエア式の荷役機械において、荷役物を保持する荷役物保持部の交換を容易に行うことができる技術を提供することにある。
【0036】
さらに、本発明の他の目的は、上記重量自動感知バランスモードを備えたエア式の荷役機械において、昇降機構の急下降等の誤動作を防止して安全な作業を行うことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0037】
上記目的を達成するためになされた本発明は、バランスモードに設定可能なエア式の荷役機械であって、上下方向及び水平方向に移動自在に構成され、荷役物を保持する荷役物保持部と当該荷役物の重量を検知する荷重センサを有する昇降機構と、前記昇降機構をエアの圧力によって上下方向に駆動するエアシリンダと、所定のエア源から供給されるエアの圧力を調整して前記エアシリンダのシリンダ圧を設定する圧力比例制御部と、前記エアシリンダのシリンダ圧を設定するために前記圧力比例制御部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、その制御モードとして、前記荷役物保持部に保持された荷役物の重量を常時検知し、その結果に基づき前記エアシリンダのバランス圧を常時設定する重量自動感知バランスモードと、前記エアシリンダのバランス圧を所定の固定された値に設定する固定バランスモードとを有し、作業者の操作に応じて、前記重量自動感知バランスモードと、前記固定バランスモードとを切り換えるように構成されている荷役機械である。
本発明は、前記制御部は、前記荷役物保持部に保持された荷役物の重量を記憶する荷役物重量記憶回路を備え、前記固定バランスモードとして、前記荷役物重量記憶回路に記憶された荷役物の重量情報に基づき前記エアシリンダのバランス圧を固定された値に設定する荷役物重量固定バランスモードを有する荷役機械である。
本発明は、前記昇降機構を操作する操作グリップと、当該操作グリップの把持状態を確認するグリップ把持確認センサとを有し、当該グリップ把持確認センサがオンの場合に前記重量自動感知バランスモードに設定し、当該グリップ把持確認センサがオフの場合に前記荷役物重量固定バランスモードに設定するように構成されている荷役機械である。
本発明は、前記荷役物保持部の荷役物の保持状態を確認する荷役物保持確認センサを有し、当該荷役物保持確認センサがオンの場合に前記重量自動感知バランスモードに設定し、当該荷役物保持確認センサがオフの場合に前記荷役物重量固定バランスモードに設定するように構成されている荷役機械である。
本発明は、前記昇降機構の加速度を検出する加速度センサと、当該加速度センサにて得られた加速度が過大か否かを検知する過大加速度検知回路と、当該加速度センサにて得られた加速度を1回微分する1回微分回路と、当該1回微分回路にて得られた加加速度が過大か否かを検知する過大加加速度検知回路とを有し、前記過大加速度検知回路が、前記加速度の絶対値が所定の閾値以下であると判断し、かつ、前記過大加加速度検知回路が、前記加加速度の絶対値が所定の閾値以下であると判断した場合に前記重量自動感知バランスモードに設定し、前記過大加速度検知回路が、前記加速度の絶対値が前記所定の閾値を超えていると判断した場合と、前記過大加加速度検知回路が、前記加加速度の絶対値が前記所定の閾値を超えていると判断した場合と、前記過大加速度検知回路が、前記加速度の絶対値が前記所定の閾値を超えていると判断し、かつ、前記過大加加速度検知回路が、前記加加速度の絶対値が前記所定の閾値を超えていると判断した場合に前記荷役物重量固定バランスモードに設定するように構成されている荷役機械である。
本発明は、前記制御部は、前記荷役物保持部の交換を要求する信号を出力する保持部交換要求回路と、当該保持部交換要求回路からの命令によって前記荷重センサからの信号を遮断する重量信号遮断回路と、前記荷役物保持部が前記昇降機構から取り外された場合における前記エアシリンダのバランス圧を記憶する保持部取り外し時バランス圧記憶回路とを備え、前記固定バランスモードとして、前記重量信号遮断回路からの命令によって前記荷重センサからの信号を遮断するとともに、前記保持部取り外し時バランス圧記憶回路に記憶されたバランス圧情報に基づき前記エアシリンダのバランス圧を固定された値に設定する保持部取り外し用バランスモードを有する荷役機械である。
本発明は、前記制御部は、前記荷役物保持部の交換を要求する信号を出力する保持部交換要求回路と、当該保持部交換要求回路からの命令によって前記荷重センサからの信号を遮断する重量信号遮断回路と、異なる種類の荷役物保持部を前記昇降機構にそれぞれ取り付けた場合の前記エアシリンダのバランス圧情報をそれぞれ記憶する異種荷役物保持部取付時バランス圧記憶回路とを備え、前記固定バランスモードとして、前記重量信号遮断回路からの命令によって前記荷重センサからの信号を遮断するとともに、前記異種荷役物保持部取付時バランス圧記憶回路に記憶されたバランス圧情報に基づき前記異なる種類の荷役物保持部のそれぞれに対応するように前記エアシリンダのバランス圧を固定された値に設定する異種荷役物保持部用バランスモードを有する荷役機械である。
【発明の効果】
【0038】
以上述べた本発明によれば、重量自動感知バランスモードを備えたエア式の荷役機械において、作業者の操作に応じて、重量自動感知バランスモードを、エアシリンダのバランス圧を所定の固定された値に設定する固定バランスモードに切り換えることによって、固定されたエアシリンダのバランス圧に応じて様々な作業が容易に行うことができるので、作業性の向上、作業速度の迅速化、及び安全性の向上を図ることができる。また、従来技術のようなシリンダとの間のエア遮断回路を設ける必要もない。
【0039】
特に、固定バランスモードとして、荷役物重量記憶回路に記憶された、荷役物保持部に保持された荷役物の重量情報に基づきエアシリンダのバランス圧を固定された値に設定する荷役物重量固定バランスモードを有する場合には、従来困難であった、荷役物の重量に対応したバランス状態で昇降機構の任意の部分を人手で持って荷役物を所定の位置に移動・固定したり、任意の場所でネジ止めなどの作業を行うことができる。
【0040】
この場合、昇降機構の加速度を検出する加速度センサと、加速度センサにて得られた加速度が過大か否かを検知する過大加速度検知回路と、加速度センサにて得られた加速度を1回微分する1回微分回路と、1回微分回路にて得られた加加速度が過大か否かを検知する過大加加速度検知回路とを有し、過大加速度検知回路が、加速度センサにて得られた加速度の絶対値が所定の閾値以下であると判断し、かつ、過大加加速度検知回路が、加加速度の絶対値が所定の閾値以下であると判断した場合に重量自動感知バランスモードに設定し、過大加速度検知回路が、加速度の絶対値が所定の閾値を超えていると判断した場合と、過大加加速度検知回路が、加加速度の絶対値が所定の閾値を超えていると判断した場合と、過大加速度検知回路が、加速度の絶対値が所定の閾値を超えていると判断し、かつ、過大加加速度検知回路が、加加速度の絶対値が所定の閾値を超えていると判断した場合に荷役物重量固定バランスモードに設定するように構成されている場合には、重量自動感知バランスモードで作業中において昇降機構に対して正常な動作状態では発生し得ないような過大な加速度や加加速度が加わった場合であっても、昇降機構の急降下等の誤動作を防止して安全な作業を行うことができる。
【0041】
また、固定バランスモードとして、重量信号遮断回路からの命令によって荷重センサからの信号を遮断するとともに、保持部取り外し時バランス圧記憶回路に記憶された、荷役物保持部が昇降機構から取り外された場合におけるエアシリンダのバランス圧情報に基づきエアシリンダのバランス圧を固定された値に設定する保持部取り外し用バランスモードを有する場合には、従来困難であった、バランス状態で荷役物保持部を取り外し且つ取り付ける荷役物保持部の交換作業を容易に行うことができる。
【0042】
さらに、固定バランスモードとして、重量信号遮断回路からの命令によって荷重センサからの信号を遮断するとともに、異種荷役物保持部取付時バランス圧記憶回路に記憶された、異なる種類の荷役物保持部を昇降機構にそれぞれ取り付けた場合のエアシリンダの各バランス圧情報に基づき異なる種類の荷役物保持部のそれぞれに対応するようにエアシリンダのバランス圧を固定された値に設定する異種荷役物保持部用バランスモードを有する場合には、従来困難であった、バランス状態で異なる種類の荷役物保持部を取り外し且つ取り付ける異種荷役物保持部の交換作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明に係る荷役機械の実施の形態の外観構成を示す概略図
図2】同荷役機械のエア制御系の構成を示すブロック図
図3】本発明の他の実施の形態のエア制御系の構成を示すブロック図
図4】本発明の更なる他の実施の形態のエア制御系の構成を示すブロック図
図5】本発明の更なる他の実施の形態のエア制御系の構成を示すブロック図
図6】特許文献1による荷役物運搬機のエア制御系の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る荷役機械の実施の形態の外観構成を示す概略図、図2は、同荷役機械のエア制御系の構成を示すブロック図である。
【0045】
図1に示すように、本実施の形態の荷役機械1は、地面に設置された基台1a上に鉛直に立設された支柱2を有し、この支柱2の上部に制御ボックス3が設けられている。
この制御ボックス3内には、エアシリンダ(以下「シリンダ」という。)20が設けられている(図2参照)。
【0046】
荷役機械1は、荷役物10を昇降搬送するための昇降機構5を備え、この昇降機構5は、第1~第3のアーム4a~4cから構成されるアーム4を有している。
ここで、第1のアーム4aは、上下方向に所定の角度回動可能な状態で、てこを構成するように支点A(図2参照)において支持され、シリンダ20のピストンロッド20aによって駆動されるように力点Bにおいて平行リンク機構により連結されている。
【0047】
また、第1のアーム4aは、支柱2の中心軸を中心にして水平方向に旋回するように支持されている。
第1のアーム4aの先端部には、第2のアーム4bが、関節部6を介して常に水平状態を保持する状態で連結され、さらに、第2のアーム4bの先端部(下端部)には、鉛直方向に延びる第3のアーム4cが、作業者の操作により、第2のアーム4bと共に関節部6を中心として水平方向に回転可能な状態で連結されている。
【0048】
第3のアーム4cの下端部には、荷役物10を保持する荷役物保持部11が取り付けられている。
この荷役物保持部11としては、クランプ方式、吸着方式等の種々の方式のものを適用することができる。
【0049】
本実施の形態の荷役物保持部11は、荷役物10の重量を検知するための後述する荷重センサ12の下方に配置されている。
そして、荷役物保持部11には、荷役物10の保持状態、すなわち、荷役物10が荷役物保持部11によって保持されているか否かを検出・確認するための荷役物保持確認センサ13が設けられている。
【0050】
この荷役物保持確認センサ13は、荷役物10が荷役物保持部11によって正しく保持されている場合にオンになり、荷役物10が荷役物保持部11によって正しく保持されていない場合にオフになるように構成されている。
【0051】
そして、荷役物保持確認センサ13がオンの場合に荷役機械1を後述する重量自動感知バランスモードに設定し、荷役物保持確認センサ13がオフの場合に後述する荷役物重量固定バランスモードに設定するようになっている。
【0052】
荷重センサ12の上部には、昇降機構5を操作する操作グリップ14が設けられている。この操作グリップ14には、操作グリップ14が把持されているか否かを検出・確認するためのグリップ把持確認センサ15が設けられている。
このグリップ把持確認センサ15は、作業者が操作グリップ14を把持するとオンになり、作業者が操作グリップ14の把持を解除するとオフになるように構成されている。
【0053】
そして、グリップ把持確認センサ15がオンの場合に荷役機械1を後述する重量自動感知バランスモードに設定し、グリップ把持確認センサ15がオフの場合に後述する荷役物重量固定バランスモードに設定するようになっている。
【0054】
図2に示すように、本実施の形態においては、エア源21の後段に圧力比例制御部22が設けられ、この圧力比例制御部22は、シリンダ20との間でエアの給排気の制御を行うように構成されている。
圧力比例制御部22は、公知の電空圧力比例弁からなるもので、以下に説明する制御部7からの命令により制御されるように構成されている。
【0055】
制御部7は、上述した荷重センサ12と、後述する重量→シリンダ圧変換回路18との間に設けられたモード切換回路8を有している。
モード切換回路8は、荷重センサ12からの信号を増幅する増幅器16の後段にそれぞれ並列接続された第1及び第2のスイッチ回路31、32を有している。
【0056】
これら第1及び第2のスイッチ回路31、32は、グリップ把持確認センサ15及び荷役物保持確認センサ13に接続されたセンサ/スイッチ入力回路17にそれぞれ接続され、センサ/スイッチ入力回路17からの命令によって動作するように構成されている。
なお、センサ/スイッチ入力回路17は、上述したグリップ把持確認センサ15及び荷役物保持確認センサ13にて得られた結果が入力されるようになっている。
【0057】
本実施の形態では、作業者が操作グリップ14を把持しグリップ把持確認センサ15がオン状態になってその情報をセンサ/スイッチ入力回路17に入力すると、センサ/スイッチ入力回路17から第1及び第2のスイッチ回路31、32に対して信号を出力し、第1及び第2のスイッチ回路31、32が、それぞれスイッチ回路部の実線側の接点aを選択するように構成されている。
【0058】
また、荷役物保持確認センサ13が荷役物10の保持が確認できない即ちオフ状態になってその情報をセンサ/スイッチ入力回路17に入力すると、センサ/スイッチ入力回路17から第1及び第2のスイッチ回路31、32に対して信号を出力し、第1及び第2のスイッチ回路31、32が、それぞれスイッチ回路部の破線側の接点bを選択するように構成されている。
【0059】
モード切換回路8の第1のスイッチ回路31は、増幅器16から入力した信号をオン・オフする機能を有し、その後段には、荷役物10の重量を記憶する荷役物重量記憶回路33が接続されている。
【0060】
一方、第2のスイッチ回路32は、荷役物重量記憶回路33からの信号と、上記増幅器16からの信号とを選択的に入力し、後段の重量→シリンダ圧変換回路18に出力する機能を有している。
この重量→シリンダ圧変換回路18は、第2のスイッチ回路32からの荷役物10の重量情報をシリンダ圧に変換して出力するものである。
【0061】
また、制御部7には、荷役物非保持時バランス圧記憶回路19が設けられている。
本実施の形態では、荷役物保持部11に荷役物10が保持されない状態のシリンダ20のバランス圧情報を、この荷役物非保持時バランス圧記憶回路19に記憶するように構成されている。
【0062】
そして、荷役物非保持時バランス圧記憶回路19に記憶された荷役物保持部11に荷役物10が保持されない状態のバランス圧の情報に、重量→シリンダ圧変換回路18から出力された荷役物10のシリンダ圧の重量情報とを加算して圧力比例制御部22に出力するように構成されている。
【0063】
以下、本実施の形態の動作について図2を参照して説明する。
(a)重量自動感知バランスモード
この重量自動感知バランスモードでは、センサ/スイッチ入力回路17からの命令によって、第1及び第2のスイッチ回路31、32について、それぞれスイッチ回路部の実線側の接点aを選択させる。
【0064】
この状態で荷重センサ12が荷役物10の重量を検知すると、その荷役物10の重量信号は増幅器16で増幅され、モード切換回路8の第2のスイッチ回路32を介して重量→シリンダ圧変換回路18に入力される。
【0065】
その一方、モード切換回路8の第1のスイッチ回路31の後段にはスイッチ回路部の接点aを介して荷役物重量記憶回路33が接続されているが、第2のスイッチ回路32はスイッチ回路部の実線側の接点aが選択され、荷役物重量記憶回路33は第2のスイッチ回路32には接続されていないことから、荷役物重量記憶回路33から第2のスイッチ回路32に信号は入力されない。
【0066】
その結果、第2のスイッチ回路32を介して入力された荷役物10の重量信号は、重量→シリンダ圧変換回路18に常時入力され、重量→シリンダ圧変換回路18において、この重量情報に対応したシリンダ圧情報に変換される。
【0067】
そして、重量→シリンダ圧変換回路18から出力された荷役物10の重量によるシリンダ圧情報と、荷役物非保持時バランス圧記憶回路19に記憶された荷役物保持部11に荷役物10が保持されない状態のバランス圧情報とが加算されて圧力比例制御部22に入力され、検知した荷役物10の重量に対応したバランス圧がシリンダ20に設定される。
【0068】
本モードでは、保持した荷役物10の重量が変化する場合であっても、変化した荷役物10の重量に対応したバランス圧が瞬時にシリンダ20に設定されるため、常時バランスモードで操作が可能である。
ただし、本モードの場合、作業者は荷重センサ12の下部(本実施の形態では、荷役物保持部11又は荷役物10)を持ってバランスモードで操作することはできない。
【0069】
何故なら、例えば作業者が荷役物10を手で持ち上げようとした場合、荷重センサ12によって荷役物10の重量を常時検知しているため、持ち上げた力の分だけ荷役物10が軽くなったと荷重センサ12が判断し、シリンダ20のバランス圧を下げてしまうからである。
【0070】
(b)荷役物重量固定バランスモード
本モードでは、センサ/スイッチ入力回路17からの命令によって、第1及び第2のスイッチ回路31、32について、それぞれスイッチ回路部の破線側の接点bを選択させる。
【0071】
上述した重量自動感知バランスモードのように、第1のスイッチ回路31のスイッチ回路部が実線側の接点aに接続されている場合、荷役物重量記憶回路33は、常時荷役物10の重量を読み込み同重量の記憶処理を行っているが、本モードのように、第1のスイッチ回路31のスイッチ回路部が破線(オフ)側の接点bに切り換わった場合は、切り換わる直前にスイッチ回路部の実線(オン)側の接点aを介して入力された荷役物10の重量情報が荷役物重量記憶回路33に記憶保持される。
【0072】
すなわち、この接点の切換後においては、荷重センサ12から如何なる荷役物10の重量信号が出力されたとしてもこの重量信号は第1のスイッチ回路31によって遮断されるため、その重量情報は荷役物重量記憶回路33には入力しない。
【0073】
その一方、荷役物重量記憶回路33は第2のスイッチ回路32のスイッチ回路部の入力側の接点(接点b)を介して重量→シリンダ圧変換回路18に接続されており、荷役物重量記憶回路33に記憶保持された上記荷役物10の重量情報が重量→シリンダ圧変換回路18に入力され、対応するシリンダ圧情報に変換される。
これに対し、上述した増幅器16は第2のスイッチ回路32には接続されていない。したがって、荷重センサ12から増幅器16を介して出力された荷役物10の重量信号は第2のスイッチ回路32には入力しない。
【0074】
このように、第1及び第2のスイッチ回路31、32のスイッチ回路部がそれぞれ破線側の接点bに切り換わることによって、荷重センサ12から如何なる荷役物10の重量情報が出力されたとしてもこの重量情報は第2のスイッチ回路32によって遮断されるため、その重量情報は重量→シリンダ圧変換回路18には入力しない。
【0075】
その結果、荷重センサ12によって検知された荷役物10の重量情報はシリンダ圧には反映されず、シリンダ20内の圧力は変化しないで一定圧(荷役物重量記憶回路33に記憶保持された荷役物10の重量情報に対応する圧力)を保つようになる。
【0076】
したがって、本モードでは、荷重センサ12から上の部分(例えば操作グリップ14)だけではなく、荷重センサ12から下の部分(本実施の形態では、荷役物10、荷役物保持部11など)の何れの箇所に加えられた力でも、昇降機構5のアーム4を自由に動かすことが可能になる。
【0077】
ただし、本モードでは、荷役物重量記憶回路33に記憶された荷役物10の重量情報を使用しているため、重量自動感知バランスモードのような荷役物10の重量が変化するような作業には対応できない。
【0078】
(c)重量自動感知バランスモードと荷役物重量固定バランスモードの併用モード
<作業例1>
以下、重量自動感知バランスモードと荷役物重量固定バランスモードを切り換えて作業を行う場合の作業例について説明する。
【0079】
上述したように、荷重センサ12の上部には操作グリップ14とグリップ把持確認センサ15が設けられ、また荷役物保持部11には荷役物保持確認センサ13が設けられている。
【0080】
まず、作業者が操作グリップ14を把持しグリップ把持確認センサ15がオン状態になると、センサ/スイッチ入力回路17からの信号によって、第1及び第2のスイッチ回路31、32について、それぞれスイッチ回路部の実線側の接点aを選択させ、重量自動感知バランスモードに設定する。
【0081】
一方、グリップ把持確認センサ15がオフ状態のときは、センサ/スイッチ入力回路17からの信号によって、第1及び第2のスイッチ回路31、32について、それぞれスイッチ回路部の破線側の接点bを選択させ、荷役物重量固定バランスモードに設定する。
この場合、グリップ把持確認センサ15がオン状態でも、保持動作中に荷役物保持確認センサ13において信号が検出できない場合は、荷役物重量固定バランスモードに切り換えるようにする。
【0082】
以上の制御を行う本例において、作業者が操作グリップ14を把持し、例えば地上に配置された荷役物10の保持動作を行うと、荷役物保持部11が保持動作を実行するが、荷役物保持確認センサ13がオンにならないうちは、荷役物10を空中に持ち上げることができないように荷役物重量固定バランスモードを保持し続ける。
この状態で作業者が保持した荷役物10を持ち上げようとしても持ち上げることはできない。
【0083】
そこで、荷役物保持部11に問題が出ていることを作業者が確認し、荷役物10の保持状態を修正し、荷役物保持確認センサ13がオンになると、荷役物重量固定バランスモードが重量自動感知バランスモードに切り換わり、シリンダ20のバランス圧が荷役物10に対応するようになるので、保持した荷役物10を空中に持ち上げることが可能になる。
このように制御することにより、保持不十分の状態で荷役物10を持ち上げてしまう作業ミスがなくなり、保持した荷役物10の落下を防ぐことができる。
【0084】
<作業例2>
保持した荷役物10を所定の位置に移動した後、その位置で作業者が荷役物10を持って厳密な位置決め作業や荷役物10をネジ止めするような作業について説明する。
この場合、作業者は操作グリップ14から手を離し荷役物10を持って作業を行わなければならない。
【0085】
操作グリップ14を離すとグリップ把持確認センサ15がオフ状態になるので、バランスモードは、重量自動感知バランスモードから荷役物重量固定バランスモードに切り換わる。この場合、シリンダ20のバランス圧は、荷役物重量固定バランスモードに切り換わる直前に入力された荷役物10の重量に相当する圧力である。
【0086】
この荷役物重量固定バランスモードでは、荷役物保持部11で保持している荷役物10を直接人手で持って動かすことができるので、人手の感覚で荷役物10を所定の位置に移動・固定し、その場所でネジ止めなどの作業を行う。
【0087】
作業が完了した後、荷役物重量固定バランスモードのままの状態では、シリンダ20のバランス圧が負荷バランス状態で高い値で一定であるため、荷役物10を地上に降ろして保持状態から開放することができないので、作業者は再度操作グリップ14を握りグリップ把持確認センサ15をオンすることにより重量自動感知バランスモードに切り換え、荷役物10を地上に降ろして開放動作を実行する。
【0088】
上述した作業例では、重量自動感知バランスモードと荷役物重量固定バランスモードを頻繁に切り換えて作業を行うことになるが、このモード切り換え動作は各センサのオン/オフ状態で瞬時に、しかも自動的に切り換え動作が行われるので、作業者は現在どちらのモードで動作しているのか、全く意識しないで作業を行うことができる。
【0089】
以上説明した本実施の形態では、重量自動感知バランスモードに荷役物重量固定バランスモードを追加し各種センサやスイッチ操作で両バランスモードを瞬時に切り換えて作業を行うことにより、従来技術のようにシリンダへのエア遮断回路を設けることなく、従来の重量自動感知バランスモードでは困難であった作業や複雑な制御仕様を要求される作業であっても、荷役物10の重量に対応したバランス状態で素早く且つスムーズに行うことが可能になる。
【0090】
図3は、本発明の他の実施の形態のエア制御系の構成を示すブロック図である。
以下、上記実施の形態と対応する部分には同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0091】
一般に、この種の荷役機械では、様々な種類の荷役物を扱うため、荷役物の種類、形状、材質、重量、荷役物保持部の保持方式(クランプ方式、吸着方式など)などに応じて荷役物保持部の交換作業を行う場合があるが、従来技術による重量自動感知バランスモードでは、荷役物保持部は荷重センサの下部に位置するため、荷役物保持部を取り外そうとすると荷重センサが重量変化を検知してしまい、荷役物保持部を取り外したり取り付けたりすることは基本的にはできない。
【0092】
そこで、図3に示すように、本実施の形態の荷役機械1Aでは、荷重センサ12の増幅器16と重量→シリンダ圧変換回路18の間に重量情報遮断スイッチ回路23を設け、例えば第3のアーム4cに設けられた保持部交換要求スイッチ24を操作し荷役物保持部交換要求回路25からの命令により、重量情報遮断スイッチ回路23及び重量→シリンダ圧変換回路18の動作を制御するように構成している。
【0093】
ここで、重量情報遮断スイッチ回路23は、増幅器16から入力した信号をオン・オフする機能を有し、その後段には、上記重量→シリンダ圧変換回路18が直列に接続されている。
【0094】
さらに、本実施の形態の制御部7Aは、昇降機構5から荷役物保持部11を取り外した状態のシリンダ20のバランス圧情報を記憶する保持部取り外し時バランス圧記憶回路19Aを有している。
【0095】
このような構成を有する本実施の形態において、荷役物保持部11の交換を行う場合は、まず、昇降機構5に取り付けられた交換すべき荷役物保持部11を着地させた状態にする。
そして、その状態で、保持部交換要求スイッチ24をオンにし、荷役物保持部交換要求回路25からの命令によって重量情報遮断スイッチ回路23のスイッチ回路部をオフ側の接点b側に設定し、さらに、重量→シリンダ圧変換回路18において重量情報遮断スイッチ回路23からの信号の読み込みを禁止した状態にする。
【0096】
さらに、保持部取り外し時バランス圧記憶回路19Aに記憶させておいた、昇降機構5から荷役物保持部11を取り外した状態のシリンダ20のバランス圧情報に基づいて、シリンダ20のバランス圧を、荷役物保持部11(及び荷役物10)のない状態の固定された値に設定する。
【0097】
この保持部取り外し用バランスモードでは、荷重センサ12からの重量情報が圧力比例制御部22に一切入力されることがないため、上述した荷役物重量固定バランスモードの場合と同様に、作業者が第3のアーム4cの先端(下端)の如何なる部分を保持しても自由にアーム4を動かすことができるようになっている。
【0098】
この状態で荷役物保持部11の交換を行い、作業が完了した後、荷役物保持部交換要求回路25からの命令によって重量情報遮断スイッチ回路23のスイッチ回路部をオン側の接点a側に切り換え、さらに、重量→シリンダ圧変換回路18における重量情報遮断スイッチ回路23からの信号の読み込みの禁止を解除する。
これにより、荷役機械1Aを重量自動感知バランスモードに戻し、荷重センサ12によって荷役物10の重量及び荷役物保持部11の新たな重量を検知できるようにする。
【0099】
ところで、本実施の形態では、荷役物保持部11の交換作業は荷役物保持部11が荷役物10を保持していない状態、即ち荷役物保持部11を着地させた状態で行うが、荷役機械1Aの荷役物保持部11が空中にある状態において、保持部交換要求スイッチ24をオフからオンにした場合、シリンダ圧は荷役物保持部11を有する高圧のバランス圧から荷役物保持部11を有しない低圧のバランス圧状態に切り換わることになり、その結果、荷役物保持部11が取り付けられた状態で昇降機構5のアーム4が急降下してしまうことになる。
【0100】
このような危険な状態を避けるため、保持部交換要求スイッチ24のオフ→オン時においては、いきなりシリンダ圧を荷役物保持部11を有しない状態のバランス圧に切り換えるのではなく、高圧の、すなわち、荷役物保持部11を有する状態の高バランス圧から荷役物保持部11を有しない状態の低圧のバランス圧になるまで、徐々にエアを排気していくような処理を行うとよい。
【0101】
以上述べた本実施の形態によれば、重量情報遮断スイッチ回路23からの命令によって荷重センサ12からの信号を遮断するとともに、保持部取り外し時バランス圧記憶回路19Aに記憶された、荷役物保持部11が昇降機構5から取り外された場合におけるシリンダ20のバランス圧情報に基づきシリンダ20のバランス圧を固定された値に設定することから、従来困難であった、バランス状態で荷役物保持部11を取り外し且つ取り付ける荷役物保持部11の交換作業を容易に行うことができる。
【0102】
図4は、本発明の更なる他の実施の形態のエア制御系の構成を示すブロック図であり、特に異なる種類の荷役物保持部11を切り換えて使用する場合に好適となるものである。以下、上記実施の形態と対応する部分には同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
図4に示すように、本実施の形態の荷役機械1Bでは、荷重センサ12の増幅器16と重量→シリンダ圧変換回路18の間に上記重量情報遮断スイッチ回路23を設け、例えば第3のアーム4cに設けられた荷役物保持部選択スイッチ26を操作し荷役物保持部選択回路27からの命令により、重量情報遮断スイッチ回路23及び重量→シリンダ圧変換回路18の動作を制御するように構成している。
【0103】
ここで、重量情報遮断スイッチ回路23は、増幅器16から入力した信号をオン・オフする機能を有し、その後段には、上記重量→シリンダ圧変換回路18が直列に接続されている。
【0104】
さらに、本実施の形態の制御部7Bは、昇降機構5に複数の異なる種類の荷役物保持部11(111、112、・・・11n)を取り付けた場合のシリンダ20のバランス圧情報をそれぞれ記憶する異種保持部取付時バランス圧記憶回路19Bを有している。
【0105】
このような構成を有する本実施の形態において、例えば交換前の荷役物保持部11(例えば111)を異なる種類の荷役物保持部11(例えば112)に交換する場合は、まず、昇降機構5に取り付けられた交換前の荷役物保持部111を着地させた状態にする。
【0106】
そして、その状態で、荷役物保持部選択スイッチ26において交換後の荷役物保持部112のスイッチを選択し、荷役物保持部選択回路27からの命令によって重量情報遮断スイッチ回路23の回路部をオフ側の接点b側に設定し、さらに、重量→シリンダ圧変換回路18において重量情報遮断スイッチ回路23からの信号の読み込みを禁止した状態にする。
【0107】
さらに、異種保持部取付時バランス圧記憶回路19Bに記憶させておいた、交換後の荷役物保持部112を昇降機構5に取り付けた状態のシリンダ20のバランス圧情報に基づいて、シリンダ20のバランス圧を固定された値に設定する。
【0108】
この荷役物保持部交換用バランスモードでは、荷重センサ12からの重量情報が圧力比例制御部22に一切入力されることがないため、上述した重量固定バランスモードの場合と同様に、作業者が第3のアーム4cの先端(下端)の如何なる部分を保持しても自由にアーム4を動かすことができるようになっている。
【0109】
この状態で荷役物保持部11の交換を行い、作業が完了した後、荷役物保持部選択スイッチ26を操作し荷役物保持部選択回路27からの命令によって重量情報遮断スイッチ回路23の回路部をオン側の接点a側に切り換え、さらに、重量→シリンダ圧変換回路18における重量情報遮断スイッチ回路23からの信号の読み込みの禁止を解除する。
これにより、荷役機械1Bを重量自動感知バランスモードに戻し、荷重センサ12によって新たな荷役物保持部112の重量を検知できるようにする。
【0110】
以上述べた本実施の形態によれば、重量信号遮断スイッチ回路23からの命令によって荷重センサ12からの信号を遮断するとともに、異種保持部取付時バランス圧記憶回路19Bに記憶された、異なる種類の荷役物保持部111、112、・・・11nを昇降機構5にそれぞれ取り付けた場合のシリンダ20の各バランス圧情報に基づき異なる種類の荷役物保持部111、112、・・・11nのそれぞれに対応するようにシリンダ20のバランス圧を固定された値に設定するようにしたことから、従来困難であった、バランス状態で異なる種類の荷役物保持部111、112、・・・11nを取り外し且つ取り付ける交換作業を容易に行うことができる。
【0111】
図5は、本発明の更なる他の実施の形態のエア制御系の構成を示すブロック図であり、以下、上記実施の形態と対応する部分には同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
上述した図2に示す実施の形態では、重量自動感知バランスモードにおいて、荷役物10の上昇中に上昇方向の先にある障害物に例えば昇降機構5のアーム4が衝突し急停止したとすると、このとき荷重センサ12で検出される重量は上述した式(1):Wd=W・(a+g)から、静止時の重量よりも小さな重量が検出されることになる。
【0112】
例えば、アーム4に対して鉛直下方向に外部から力が加えられ、そのときの加速度aが重力加速度と同じ絶対値-gだったとすると、式(1)より、Wd=W・(-g+g)=0となり、検出される荷役物10の重量は0になってしまう。
このとき、荷役機械1は重量自動感知バランスモードで動作しているから、シリンダのバランス圧として荷役物10がない場合の重量が設定され、その結果、アーム4は下降方向に急降下する。この動作は作業者が意図しない誤動作である。
【0113】
この場合、アーム4が下降動作に入って外部からの力を受けない状態になっても、急下降動作によって発生した負の加速度によって、荷役物10の重量Wdは静止時の重量Wsよりも小さくなるため、しばらく下降動作を行うことになる。
このようなアーム4の急下降動作が発生した場合において、例えばアーム4の下降方向に作業者がいたときには、アーム4が作業者に衝突するような非常に危険な状態になることも考えられる。
【0114】
そこで、本実施の形態では、以下に説明するような構成を採用している。
図5に示すように、本実施の形態の荷役機械1Cは、例えば第3のアーム4cの先(下)端部に昇降機構5の鉛直方向の加速度を検知する加速度センサ40が設けられ、この加速度センサ40にて得られた結果に基づいて制御部のモード切換回路8を制御するように構成されている。
【0115】
この加速度センサ40は、昇降機構5の過大な加速度を検出する過大加速度検知回路41に接続され、さらに過大加速度検知回路41は、上述したセンサ/スイッチ入力回路17に接続されている。
過大加速度検知回路41には、昇降機構5の過大加速度であるとして検知すべき加速度の閾値が記憶されている。
また、加速度センサ40は、1回微分回路42を介して昇降機構5の過大な加加速度を検出する過大加加速度検知回路43に接続され、さらに過大加加速度検知回路43は、上述したセンサ/スイッチ入力回路17に接続されている。
この過大加加速度検知回路43には昇降機構5の過大加加速度であるとして検知すべき加加速度の閾値が記憶されている。
そして、加速度センサ40にて得られた信号を過大加速度検知回路41に出力し、過大加速度検知回路41において判断された結果に基づく命令をセンサ/スイッチ入力回路17に出力するとともに、加速度センサ40にて得られた信号を1回微分回路42を介して過大加加速度検知回路43に出力し、過大加加速度検知回路43において判断された結果に基づく命令をセンサ/スイッチ入力回路17に出力し、これらの信号に基づくセンサ/スイッチ入力回路17からの信号によって第1及び第2のスイッチ回路31、32の動作を制御するように構成されている。
【0116】
具体的には、過大加速度検知回路41が、加速度センサ40にて検出した加速度の絶対値(正負を含む加速度)が上記閾値以下であると判断した場合で、かつ、過大加加速度検知回路43が、加速度センサ40にて検出した加速度に基づき1回微分回路42にて得られた加加速度の絶対値(正負を含む加速度)が所定の閾値以下であると判断した場合に、第1及び第2のスイッチ回路31、32を実線側の接点aに接続させる旨の命令をセンサ/スイッチ入力回路17に出力する。
一方、過大加速度検知回路41が、加速度センサ40にて得られた加速度の絶対値が上記閾値を超えていると判断した場合と、過大加加速度検知回路43が、加速度センサ40にて検出した加速度に基づき1回微分回路42にて得られた加加速度の絶対値が上記閾値を超えていると判断した場合と、過大加速度検知回路41が、加速度センサ40にて得られた加速度の絶対値が上記閾値を超えていると判断し、かつ、過大加加速度検知回路43が、加速度センサ40にて検出した加速度に基づき1回微分回路42にて得られた加加速度の絶対値が上記閾値を超えていると判断した場合には、第1及び第2のスイッチ回路31、32を破線側の接点bに接続させる旨の命令をセンサ/スイッチ入力回路17に出力するように制御する。
【0117】
このような構成を有する本実施の形態では、重量自動感知バランスモードで荷役物10の昇降作業中に、加速度センサ40にて検出した加速度の絶対値が上記閾値を超えた場合には、過大加速度検知回路41が昇降機構5に異常加速度が発生したと判断して第1及び第2のスイッチ回路31、32のスイッチ回路部をそれぞれ実線(オン)側の接点aから破線(オフ)側の接点bに切り換える。
また、重量自動感知バランスモードで荷役物10の昇降作業中に、加速度センサ40にて検出した加速度に基づき1回微分回路42にて得られた加加速度の絶対値が上記閾値を超えた場合には、過大加加速度検知回路43が昇降機構5に異常加加速度が発生したと判断して第1及び第2のスイッチ回路31、32のスイッチ回路部をそれぞれ実線(オン)側の接点aから破線(オフ)側の接点bに切り換える。
さらに、上記加速度センサ40にて検出した加速度の絶対値が上記閾値を超える状態と、上記1回微分回路42にて得られた加加速度の絶対値が上記閾値を超える状態とが発生した場合には、昇降機構5に異常加速度と異常加加速度が同時に発生したと判断して第1及び第2のスイッチ回路31、32のスイッチ回路部をそれぞれ実線(オン)側の接点aから破線(オフ)側の接点bに切り換える。
これにより、上述したように、荷役物重量記憶回路33に記憶保持された上記荷役物10の重量情報が、第2のスイッチ回路32のスイッチ回路部の入力側の接点(接点b)を介して重量→シリンダ圧変換回路18に入力され、対応するシリンダ圧情報に変換される。
【0118】
一方、荷重センサ12からの荷役物10の新たな重量情報は第2のスイッチ回路32によって遮断されるため、その重量情報は重量→シリンダ圧変換回路18には入力しない。
その結果、荷役機械1Cは重量自動感知バランスモードから荷役物重量固定バランスモードに切り換わる。
【0119】
荷役物重量固定バランスモードでは、上述したようにシリンダ20内の圧力が一定の圧力(荷役物重量記憶回路33に記憶保持された荷役物10の重量情報に対応する圧力)に設定されるため、昇降機構5に対する過大加速度と過大加加速度の影響が排除され、アーム4が急降下又は急上昇することはない。
【0120】
その後、昇降機構5の速度が減速し、加速度センサ40にて検出した昇降機構5の加速度の絶対値が上記閾値以下となり、かつ、加速度センサ40にて検出した加速度に基づき1回微分回路42にて得られた加加速度の絶対値についても上記閾値以下となった場合には、過大加速度検知回路41と過大加加速度検知回路43は昇降機構5の異常加速度と異常加加速度とがそれぞれ解消されたと判断して第1及び第2のスイッチ回路31、32を破線(オフ)側の接点bから実線(オン)側の接点aに切り換える。
これにより、作業者は荷役機械1Cに対して重量自動感知バランスモードで荷役物10の昇降作業を行うことができる。
【0121】
以上述べたように本実施の形態によれば、重量自動感知バランスモードで作業中において昇降機構5に対して正常な動作状態では発生し得ないような過大な加速度や加加速度が加わった場合であっても、昇降機構5の急降下等の誤動作を防止して安全な作業を行うことができる。
【0122】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施の形態では、制御部7、7A、7Bのスイッチとしてハードウエアで実施しているように描かれているが、本発明はこれに限られず、増幅器16を介して制御部7、7A、7Bに入力された荷重センサ12の信号をA/D変換し、そのデジタル信号をマイクロコンピュータ等で取り込んでソフトウェアで各スイッチ処理を行うように構成することもできる。
【符号の説明】
【0123】
1…荷役機械 4…アーム 5…昇降機構 7…制御部 8…モード切換回路 10…荷役物 11…荷役物保持部 12…荷重センサ 13…荷役物保持確認センサ 14…操作グリップ 15…グリップ把持確認センサ 16…増幅器 17…センサ/スイッチ入力回路 18…重量→シリンダ圧変換回路 19…荷役物非保持時バランス圧記憶回路 20…エアシリンダ 21…エア源 22…圧力比例制御部 25…荷役物保持部交換要求回路 31…第1のスイッチ回路 32…第2のスイッチ回路 33…荷役物重量記憶回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6