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▶ 小田 利夫の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】イヤホン
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
H04R1/10 104B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019122342
(22)【出願日】2019-06-12
(65)【公開番号】P2020202547
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-01-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515023730
【氏名又は名称】小田 利夫
(72)【発明者】
【氏名】小田 利夫
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-004444(JP,A)
【文献】特開2016-158227(JP,A)
【文献】特開2006-287674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項5】
プラスチック製上蓋は、穴が6カ所あけてあり、低音精製部品の上部入口6カ所と穴位置を合わせる仕様で作製されていて、両面テープ又は接着剤で張り合わされ、合わさった状態でフロントハウジングのスペースに装入し、上蓋はフロントハウジングのスペースと接着剤で一体化する、請求項1記載のイヤホン
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明品は、1個の高音域を少し強めたスピーカ(メッキなどの他の材料を付加せず単一材料で作製した振動膜)を使用して、弱い低音域を電気方式のアンプを使用しないで増幅する方法を考案したイヤホンに関する技術である。
【背景技術】
【0002】
スピーカの振動膜は、単一の材料だけで周波数の違う(高質な高音と高質な低音)音を出力する事は不可能とされている。
【0003】
そこで考案されたのが低音周波数を出力する振動膜で全体を形成し、中央部分に金属メッキを施して、高音周波数を出力させ周辺から、低音周波数を出力するスピーカを作製した。
【0004】
金属メッキを施した振動膜の高音は(ピアノの高音域は耳に刺さる音、弦楽器の音も生の音が再生されていない)音色が悪い高音が出力されて音楽に酔う事が出来ないイヤホンである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-213787
【文献】特開2015-039127
【文献】特開2017-255415
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特開2016-213787の請求項ならびに課題を考察してみると、
請求項1では、
・・・比較的小さな管状スペースによってのみ、それぞれ連通している。
請求項2では、
管状スペース・・・内部に音響抵抗材を充填してある・・・
課題
音漏れを減少しつつ、広い帯域にわたってバランスのとれた周波数を実現すること。
(小さな管状スペース)(内部に音響抵抗材を充填してある)(広い帯域にわたってバランスのとれた周波数特性を実現すること)これらの文章から特許申請の目的が広い帯域にわたる音の作り方である事がわかる。これらの文章は高音・中音・低音のバランスであり低音を強く出すイヤホンでない事が理解できる。
【0007】
特開2015-039127の請求項ならびに課題を考察してみると、
請求項1、
第1の音響抵抗部材と、・・・第2の音響抵抗部材と、を有するイヤホン。
請求項2、では音響抵抗部材1と2の比率を言っている。(・・・第2は第1より小・・・)
請求項3、では音響抵抗部材の設置の仕方(・・・互いにすきまなく接触するイヤホン)
課題
イヤホンにおいて、低音領域を広げながら小型化を図ることである。
これら請求項1、2、3は、音響抵抗部材を使用すれば低音が出力出来ると主張しているが、音圧を上昇させる仕組み(本明細書0023を参照)は、取り入れた音は出口で細く絞る構造でなければ音圧は上昇しない。したがって、高質な低音は出力していない。
【0008】
特開2017-255415は、私が特許申請した願書で平成31年2月1日に特許登録されています。
今回の特許申請の理由を述べる、
特開2017-255415で使用されたスピーカは振動膜が(高音・中音・低音を均等に出力出来る振動膜)を使用して作製したイヤホンで、市販するにあたって次の3点を改良しなければ普及が困難であると思った。
1 他社と比べて高音域は出力されているが、圧倒的優位な高音ではない。
この為、今回はスピーカの振動膜の高音域を少し強めた材質を使用した。
2 上記のスピーカから出力される低音域は弱くて特許部品(シリコンチューブ方式)だと高質な低音を出力させるのに実験の結果8本必要な事が判った。
このシリコンチューブ方式でイヤホンの筐体を作製すると耳の小さな人は取り付けに余裕が無くなり圧迫感で普及が制限されてしまう。
3 シリコンチューブは細い管と減衰材を収納する管とを組み合さなければならない作業がある、経済的に高いイヤホンになる。
以上の理由で、新たに低音精製部品を作製する事になった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決する手段は、以下に記載したものである。
請求項1記載の発明品は、スピーカの表側の音を取り入れる第1音道口とスピーカ裏側の音を低音精製部品を収納するスペースを設け、収納された低音精製部品から抽出された低音周波数を音導管に流す第2音道口を設けた構造を特徴としている。
【0010】
第2音道口と接して形成されたスペースはフロントハウジング側に形成され、低音精製部品を設置して、抽出された低音を音導管へ導く役目をする。
【0011】
低音精製部品はショア硬度20~30のエラストマー樹脂で成形され、上部入口には減衰材を入れるスペースが6カ所設けられ、中央2カ所は内径1ミリメートルの穴が孔てあり、他の4カ所は内径0.4~0.5ミリメートル外径1ミリメートル長さ2.8ミリメートルの細い管が形成されている。
【0012】
低音精製部品の中央2カ所の内径1ミリメートルの穴には、後付けで内径0.5ミリメートル外径1ミリメートル長さ6ミリメートルのシリコンチューブを取り付ける。
【0013】
低音精製部品、上部入口6カ所のスペースには発泡ポリウレタン又は発泡合成ゴムの減衰材が装填されている。
【0014】
低音精製部品の外壁を軟質テープで被う事により低音精製部品全体で発生した低音周波数を音導管に導く事ができる。
【0015】
プラスチック製上蓋は、穴が6カ所孔てあり低音精製部品の上部入口6カ所と穴位置を合わせる仕様で作製されていて、両面テープ又は接着剤にて張り合わされ、この合わさった状態でスペースに装入し、そして上蓋はスペースと接着剤で一体化する。
【発明の効果】
【0016】
高音域を少し強めたスピーカを使用している事で声・楽器の本来の高音域を再現できる。
【0017】
今まで作製されてきたイヤホンの音作りと違って初めて弱かった低音域を強く出力する部品を考案した事で音導管から出力される音域が理想に近い高質な高音・中音・低音が出力できる。
【0018】
バランスド・アーマチュア型のイヤホンの振動膜の材質が金属である事から金管楽器、シンバル等、金属音は適しているが、弦楽器、木管楽器、ドラム等の音は残念ながら生音に再生できていない。
【0019】
ダイナミック型スピーカは他の高級オーディオでも採用されている。すなわち声・楽器の本来の音が再生できるスピーカなのである。弱点である高音域と低音域が同じ振動膜上に再生できない為、多くのイヤホンメーカーは振動膜の中央に金属メッキをして高音域を再生している。この方法で出力された高音域はピアノの音は耳にささる音になったり低音域の振動に負けて美しい高音が出力されないイヤホンが多い。本発明品は振動膜を単一材料で高音域を少し強めた振動膜を使用して、低音域は低音精製部品で出力させるという方法で、この方式により高質な高音・中音・低音をバランスよく出力できるイヤホンである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明品の断面図である。
図2】フロントハウジングの裏側から見た図である。
図3】上蓋の平面図である。
図4】低音精製部品の平面図である。
図5】低音精製部品の断面図である。
図6】上蓋と低音精製部品を組み合わせた図である。
図7】低音精製部品設置時の細部を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明品を実施するための形態を詳細に説明する。
図1は本発明品のイヤホンの断面構成図である。
【0022】
図1に示す様にスピーカSはフロントハウジングAに設置する。スピーカSから出た音、表側の音は第1音道口aを通り音導管Oへと伝わっていく。
裏側の音はスペースcに設置された上蓋Eの6カ所の穴と上蓋Eと接着された低音精製部品Dの6カ所のスペースn及び4カ所のエラストマーチューブm及び2カ所の後付けシリコンチューブdを通過して第2音道口bから音導管Oへと伝わっていく。
【0023】
低音精製部品Dはエラストマーと呼ぶ材料で射出成形機にて金型を使用して成型されたものである。図4図5図6図7にて構造を表している。
この低音精製部品Dは本発明品の根幹をなす部品でスピーカSから放出された音波(弱い低音周波数)を強い低音に変える装置なのである。
なぜ強い低音に変える事が出来るのかを説明する。
1 音は、空気より物質の方が早く伝わる。(低音は軟らかい物質ほど良く伝播してゆく)
2 低音精製部品Dのスペースnに減衰材f(発泡ポリウレタン又は発泡合成ゴム)を挿入して音波を通すと高音周波数と中音周波数は伝播しにくくなり低音周波数のみが減衰材fを伝播してゆく。スピーカSの裏で出力された音圧は6カ所のスペースの容積によって減圧される。この減圧された音波をスペースnの容積のまま音導管Oに流すと少ししか低音が伝播して行かない。そこで細い管で出来たエラストマーチューブm及び後付けシリコンチューブdに音波を流すと水圧と同じ原理で音圧が上がる。6カ所のスペースnの中で音圧が上がる事によって低音精製部品全体が低音周波数を増幅する事になる。
【0024】
次に大事な事は増幅された低音周波数を無駄なく音導管Oに導く方法である。
低音精製部品Dで後付けシリコンチューブdの長さを長く(約6ミリメートル~8ミリメートル)する事によって音導管内に直接低音周波数を届ける事が出来る、すなわち音の劣化を防ぐ事が出来る。
【0025】
スペースc内の低音周波数を集める方法。
軟質テープgは低音精製部品Dの外壁を取り囲みスペースc内の低音周波数が分散しない様にすると共に音圧を上昇させる働きがある。
【0026】
スペースc内の音圧を保つためには、音導管Oに音波が流出する以外に気密を守る事が最も大事である。その為に上蓋Eが必要である。この上蓋Eは低音精製部品Dの固定とスペースc内の音圧保持の役割がある。スペースc入口に合わせ、接着剤にて取り付ける。
【0027】
音導管OにはイヤーチップPが取り付けられている。
低音がなぜ内耳(蝸牛)に届くのか?高音は低音より空気振動で伝わる。低音は空気振動では伝わりにくい反面、物質(体液・骨)を使って伝わっていく。この性質を利用してイヤーチップの大きさは最も重要な事である。外耳道の入口に合わないイヤーチップPは低音を半減させる。すなわち、低音は外耳道に密着して(体液・骨伝導)を利用しなければ蝸牛に伝わらないと言う事である。イヤーチップPの硬さはショア硬度20~30の材料を使用する事が最も大事である。本発明品のイヤホンは高音域を少し強めたスピーカSを使用するため、高音域を伝える硬めのイヤーチップを使用すると低音域が半減し、高すぎる高音が伝わり、本発明品のイヤホンの目指す、高質な高音・中音・低音を耳に届けるイヤホンにはならないという事である。
【符号の説明】
【0028】
A フロントハウジング
B バックハウジング
D 低音精製部品
E 上蓋
S スピーカ
O 音導管
P イヤーチップ
a 第1音道口
b 第2音道口
c スペース
d 後付けシリコンチューブ
f 発泡ポリウレタン又は発泡合成ゴム
g 軟質テープ
m エラストマーチューブ
n スペース
r スピーカ裏側の音取り入れ口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7