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特許7155492屋根材およびその屋根材を用いた屋根の施工構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】屋根材およびその屋根材を用いた屋根の施工構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/40 20060101AFI20221012BHJP
   E04D 3/35 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
E04D3/40 X
E04D3/35 N
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018208200
(22)【出願日】2018-11-05
(65)【公開番号】P2020076204
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】林 哲也
【審査官】清水 督史
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-263389(JP,A)
【文献】特開2014-080771(JP,A)
【文献】特開2003-343043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 3/00-3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根の下地の上に施工される屋根材であって、前記屋根材は軒棟方向に階段状に重ねられて施工され、
前記屋根材は、略薄板状の化粧面材と、前記化粧面材の下地側に設けられた略薄板状の支持材と、を含み、
前記支持材には前記軒棟方向に貫通する空間部が形成され、
前記化粧面材から前記支持材への方向を表裏方向として、
前記化粧面材には、軒側に施工される一の前記屋根材と棟側に施工される他の前記屋根材とを階段状に連結させる場合に、軒棟方向に位置する前記屋根材どうしの棟側と軒側とを互いに嵌合するための棟側嵌合部および軒側嵌合部が、棟側の表面および軒側の裏面にそれぞれ設けられ、
前記化粧面材と前記支持材とは、棟側において直接または別部材を介して当接し、かつ、軒側において前記化粧面材の裏面と前記支持材の表面との間に、前記支持材の軒側先端が前記軒側嵌合部の折り返し先端位置よりも裏面側まで到達する離隔空間が形成可能に構成され
前記離隔空間は、軒側に施工される一の前記屋根材と棟側に施工される他の前記屋根材とを階段状に連結させる場合に、軒側に固着された一の前記屋根材の前記棟側嵌合部を逃がして、棟側に施工される他の前記屋根材の前記軒側嵌合部を、軒側に固着された一の前記屋根材の前記棟側嵌合部へ嵌合することができる大きさであ ることを特徴とする、屋根材。
【請求項2】
前記支持材の軒棟方向の長さが、前記化粧面材の軒棟方向の長さより短いことを特徴とする、請求項1に記載の屋根材。
【請求項3】
前記支持材の軒側端部と前記軒側嵌合部とが前記表裏方向で重ならないことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の屋根材。
【請求項4】
前記屋根材は、前記屋根材が施工される建屋の建屋内から建屋外への伝熱または建屋外から建屋内への伝熱を抑制する部材が、前記化粧面材よりも下地側に設けられていることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれかに記載の屋根材。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれかに記載の屋根材を用いた屋根の施工構造であって、
前記軒棟方向において、棟側の屋根材が軒側の屋根材に重ねられて連結した状態で、前記棟側の屋根材が前記下地に固定され、
前記軒側の屋根材の空間部と前記棟側の屋根材の空間部とが連通して形成される連通空間が屋根の軒棟方向に亘って形成され、
前記連通空間が、少なくとも前記屋根の棟側において外気と連通することを特徴とする、屋根の施工構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物(構築物を含む)の屋根に用いる屋根材およびその屋根材を用いた屋根の施工構造に関し、特に、屋根の下地の上に軒棟方向に階段状に重ねられて施工される屋根材であって、施工が容易で、かつ、通気性に優れた屋根材およびその屋根材を用いた屋根の施工構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の屋根には、屋根裏に空気の流れを作り、屋根裏の熱気または湿気の除去、木材等屋根裏材の腐食防止等を図ることが行われている。一般的に、屋根の施工時には、垂木間に断熱材を嵌め合いした後に、野地板を施工し、通気層を得るためにその上に通気垂木を設け、さらに野地板を敷設するという施工方法が知られている。このような施工方法は、その施工に非常に工数がかかってしまい建築コストが上昇する要因となっている。このような問題点を解決すべく、実用新案登録第3089386号公報(特許文献1)は屋根用通気下地材付き二重断熱形成材を開示する。
【0003】
また、最近では金属製屋根材が広く採用されてきており、この金属製屋根材はその軽量性、施工能率の他にその多彩な意匠性(表面形状、色彩)について高く評価されている。従来、このような金属製屋根材の裏側には木毛、合成樹脂発泡体等が裏打ちされているが、これは金属製屋根材の高熱伝導性、音の伝達性を改善し、屋根材と野地板との間の結露を防止することを目的としている。この場合、金属製屋根材は、金属製屋根材と屋根の下地との間に隙間が設けられない状態で施工されることが多い。その場合、通気性の担保が難しい。特許文献1に開示されたように、屋根の結露防止、通風による湿気の拡散などのために垂木等を用いて屋根裏の下地材と屋根材との間に空間を設け、空気の流れを図ることは可能である。しかし、このような金属製屋根材を用いた施工方法であっても、その施工に非常に工数がかかってしまい建築コストが上昇する要因となる。このような問題点を解決すべく、特開2003-343043号公報(特許文献2)は、裏面に連通空間を形成した通気部材を形成した屋根材を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3089386号公報
【文献】特開2003-343043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、建築物の屋根は、略矩形状に形成された板状の屋根材(金属製に限定されるものではない)を複数枚、屋根下地の縦方向(軒棟方向)および横方向(桁方向)に順に敷設することにより施工することができる。このような屋根構造では、特許文献2に開示されるように、屋根の縦方向(軒棟方向)すなわち屋根の傾斜方向で隣接する2枚の屋根材は、互いの端部どうしが嵌合されて(特許文献2における雄型連結部および雌型連結部が嵌合されて)連結される。
【0006】
特許文献2に開示された屋根材は、金属製屋根材の下地側に防水性、断熱性、吸音性、緩衝性、防火性、結露防止性等(全ての性能を備える必要はない)を備えた不織布、合成樹脂製発泡シート等を当接させて設けるとともに、棟側にはこのシートに替えて屋根材の1/5程度の軒棟方向長さの通気部材を設けたものである。特許文献2に開示された屋根材は、屋根の傾斜方向で隣接するように葺かれた2枚の屋根材の連結後において、屋根材と下地材との間(より詳しくは屋根材を構成するシートと下地材との間)であって通気部材以外の部位には通気空間が形成される。しかし、このような通気部材を備えた屋根材では以下のような問題点がある。
【0007】
≪問題点1≫雄型連結部と雌型連結部とを連結させる作業においてシートが邪魔しないようにするためにはそのシートの軒方向長さを短くする必要があるがそのように短くするとシートによる断熱性等の性能を十分に発現できない可能性があり、一方、シートによる断熱性等の性能を十分に発現するためにはシートの軒方向長さを長くする必要があるがそのように長くすると雄型連結部と雌型連結部とを連結させる作業においてそのシートが邪魔するために作業性が好ましくない可能性があり、施工が容易でない。
≪問題点2≫通気空間は、屋根の縦方向(軒棟方向)にも横方向(桁方向)にも空気の流れを阻害しない自由空間であるものの、積極的にいずれかの方向へ空気を整流することが行われないために、十分な空気の流れを実現できない可能性があり十分な通気性を実現できない可能性がある。
【0008】
本発明は、従来技術の上述の問題点に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、屋根の下地の上に軒棟方向に階段状に重ねられて施工される屋根材であって、施工が容易で、かつ、通気性に優れた屋根材およびその屋根材を用いた屋根の施工構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る屋根材は以下の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明のある局面に係る屋根材は、屋根の下地の上に施工される屋根材であって、前記屋根材は軒棟方向に階段状に重ねられて施工され、前記屋根材は、略薄板状の化粧面材と、前記化粧面材の下地側に設けられた略薄板状の支持材と、を含み、前記支持材には前記軒棟方向に貫通する空間部が形成され、前記化粧面材から前記支持材への方向を表裏方向として、前記化粧面材には、軒側に施工される一の前記屋根材と棟側に施工される他の前記屋根材とを階段状に連結させる場合に、軒棟方向に位置する前記屋根材どうしの棟側と軒側とを互いに嵌合するための棟側嵌合部および軒側嵌合部が、棟側の表面および軒側の裏面にそれぞれ設けられ、前記化粧面材と前記支持材とは、棟側において直接または別部材を介して当接し、かつ、軒側において前記化粧面材の裏面と前記支持材の表面との間に離隔空間が形成可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記支持材の軒棟方向の長さが、前記化粧面材の軒棟方向の長さより短いように構成することができる。
さらに好ましくは、前記支持材の軒側端部と前記軒側嵌合部とが前記表裏方向で重ならないように構成することができる。
さらに好ましくは、前記屋根材は、前記屋根材が施工される建屋の建屋内から建屋外への伝熱または建屋外から建屋内への伝熱を抑制する部材が、前記化粧面材よりも下地側に設けられているように構成することができる。
【0011】
また、本発明の別の局面に係る屋根の施工構造は、上述したいずれかの屋根材を用いた屋根の施工構造であって、前記軒棟方向において、棟側の屋根材が軒側の屋根材に重ねられて連結した状態で、前記棟側の屋根材が前記下地に固定され、前記軒側の屋根材の空間部と前記棟側の屋根材の空間部とが連通して形成される連通空間が屋根の軒棟方向に亘って形成され、前記連通空間が、少なくとも前記屋根の棟側において外気と連通することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、屋根の下地の上に軒棟方向に階段状に重ねられて施工される屋根材であって、施工が容易で、かつ、通気性に優れた屋根材およびその屋根材を用いた屋根の施工構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係る屋根材を用いた屋根の施工構造を示す建築物の(A)斜視図、(B)部分的な拡大図である。
図2図1に示す屋根の施工構造の詳細な斜視図である。
図3図1に示す屋根の施工構造の詳細な断面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る屋根材であって(A)離隔空間S(1)が形成可能な屋根材の断面図、(B)離隔空間S(2)が形成可能な屋根材の断面図、(C)化粧面材の断面図、(D)支持材の断面図である。
図5図4(D)に示す支持材であって(A)全体斜視図、(B)図5(A)に示す領域5Bの拡大斜視図、(C)図5(A)に示す矢示5C方向から見た側面図である。
図6】本発明の実施の形態に係る屋根材を用いた屋根の施工方法を説明するための図である。
図7】本発明の実施の形態の第1の変形例に係る屋根材を説明するための図であって、(A)図5(A)に示す矢示5C方向から見た側面図、(B)図7(A)の分解図である。
図8】本発明の実施の形態の第2の変形例に係る屋根材を説明するための図であって、(A)図5(A)に示す矢示5C方向から見た側面図、(B)図8(A)の分解図である。
図9】本発明の実施の形態の変形例に係る屋根の施工構造を説明するための図であって、(A)図5(A)に示す矢示5C方向から見た側面図、(B)図9(A)の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る、屋根材100およびこの屋根材100を用いた屋根の施工構造を、本発明の実施の形態として、図面に基づき詳しく説明する。
この屋根材100は、たとえば、図1(A)に示すように、建築物(構築物を含む)の屋根に用いる屋根材であって、屋根の下地(詳しくは後述する下地材200)の上に施工される屋根材である。ここで、この図1(A)においては、本発明と直接的には関係しないために、屋根の施工構造に関係する全ての部材(たとえば、軒先水切、けらば水切等)について記載しているわけではない。また、この図1(A)では屋根材100を千鳥配置しているが、本発明に係る屋根の施工構造はこのような配置に限定されるものではない。
【0015】
この屋根材100は、図1(A)および図1(B)に示すように、大略的には、複数の屋根材100が軒棟方向において階段状に重ねられて施工される。さらに、桁方向においても複数の屋根材100の端部どうしが重ねられて施工される。このように複数の屋根材100が軒棟方向(軒棟方向については軒側から棟側へ順次)および桁方向(桁方向についてはいずれか一方端から他方端へ順次)に施工されて屋根の施工構造が完成する。すなわち、軒棟方向の最も軒側(軒側から1番目:N=1)について桁方向に一列分の屋根材100をいずれか一方端から他方端へ順次施工する(順次葺く)と、軒棟方向の軒側からN番目(N=2、3・・・)について桁方向に一列分の屋根材100をいずれか一方端から他方端へ(または逆でも構わない)順次施工することを、棟側に到達するまで繰り返す。なお、桁方向に一列分の屋根材100を施工(葺く)場合には、いずれか一方端から他方端への葺くのではなく中央から葺くようにしても構わない。
【0016】
なお、屋根の施工構造において一般的に用いられている、軒側、棟側、軒棟方向、桁方向を図1(A)に示す。また、白抜き矢示A(1)は後述する支持材150に設けられた軒棟方向に貫通する空間部SAを流通する空気の流れを示し、軒側の屋根材100の空間部SAと棟側の屋根材100の空間部SAとが連通して形成される連通空間が屋根の軒棟方向に亘って形成されていることを示す。さらに、この連通空間は、少なくとも屋根の棟側において外気と連通しており、たとえば、限定されるものではないが、白抜き矢示A(2)に示すように空気が流れて換気役物Vにより建築物の外部(外気)と連通している。
【0017】
ここで、限定されるものではないが、本発明に係る屋根材100の概略的な大きさは、桁方向2000mm~3000mm程度、軒棟方向300mm~400mm程度であって、厚み10mm~20mm程度である。
以下において、屋根材100の詳細な構造、この屋根材100を用いた屋根の詳細な施工構造について説明する。
<屋根材の構造>
このような屋根の施工構造に用いられる本実施の形態に係る屋根材100について、以下において図2図5を参照して詳しく説明する。
【0018】
図2にこの屋根材100を用いた屋根の施工構造の詳細な斜視図を、図3にその施工構造の詳細な断面図を、図4にこの屋根材100の詳細な図を、図5にこの屋根材100を構成する支持材150の詳細な図を、それぞれ示す。
これらの図に示すように、上述した通り、この屋根材100は、屋根の下地材200の上に軒棟方向に階段状に重ねられて施工される。ここで、この下地材200は、より詳しくは防水シート210および野地板230で構成されるものを一例として示しているが、これらの全てが必須構成ではないし、また、これら以外の構成を含んでいても構わない。なお、本発明に係る屋根材は、建築物の新築時に限定されて採用されるものではなく、既存建築物の屋根のリフォーム時においても好適に採用されて、既存の屋根材の上に新しい屋根材を施工する重ね葺き施工にも既存の屋根材を撤去し新しい屋根材を施工する葺き替え施工にも好適に採用できるために、本発明に係る屋根材の下地材は上述したように限定されるものではない。
【0019】
この屋根材100は、略薄板状の化粧面材110と、化粧面材110の下地材200側に設けられた略薄板状の支持材(化粧面材の裏側に設けられていることから裏打ち材と呼ばれることもある)150とを含む。この支持材150には軒棟方向に貫通する空間部SAが形成されている。
化粧面材110から支持材150への方向を表裏方向として、この化粧面材110には、軒側に施工される一の屋根材100と棟側に施工される他の屋根材100とを階段状に連結させる場合に、軒棟方向に位置する屋根材100どうしの棟側と軒側とを互いに嵌合するための棟側嵌合部112および軒側嵌合部114が、棟側の表面および軒側の裏面にそれぞれ設けられている。そして、最も特徴的であるのは、上述した表裏方向において、化粧面材110と支持材150とは、棟側において直接または別部材を介して当接し(図4(A)および図4(B)においては直接当接しているとともに接合されている)、かつ、軒側において化粧面材110の裏面と支持材150の表面との間に離隔空間が形成可能に構成されている。
【0020】
ここで、この離隔空間について図4を参照して説明する。なお、図4(A)が離隔空間S(1)が形成されている屋根材100の断面図を、図4(B)が離隔空間S(2)が形成可能に構成されている屋根材100の断面図を、図4(C)が化粧面材110の断面図を、図4(D)が支持材150の断面図を、それぞれ示している。
まず、基本的には、図4(A)に示すように、この離隔空間が形成されているとは、化粧面材110と支持材150との軒側における位置関係において、化粧面材110の裏面と支持材150の表面との間に離隔空間S(1)が形成されていることを示す。この離隔空間S(1)は、施工済みの軒側の屋根材100(釘や木ねじ等の締結材120により下地材200に固着された後の屋根材100を意味する)に連結させる(施工している最中の)棟側の屋根材100の軒側嵌合部114を、固着された屋根材100の棟側嵌合部112に嵌合させる作業(矢示X方向の作業)の邪魔にならない大きさ(特に化粧面材110と支持材150との離隔長さ(軒棟方向の長さ)を含めた大きさ)の空間である。すなわち、この離隔空間S(1)は、固着された棟側嵌合部112を逃がして、軒側嵌合部114を棟側嵌合部112へ嵌合することができる大きさであって、たとえば、その大きさは棟側嵌合部112よりも大きい。
【0021】
次に、図4(B)に示すように、離隔空間が形成可能に構成されているとは、化粧面材110と支持材150との軒側における位置関係において、化粧面材110の裏面と支持材150の表面との間に離隔空間S(2)が形成することができるように構成されていることを示す。図4(B)に示すように、可撓性を備える支持材150を採用した場合(後述するプラスチック製段ボール板を支持材150として採用した場合にはこの可撓性を備える)支持材150の軒側において(支持材150が備える可撓性とともに棟側において支持材150は化粧面材110に当接して接合されていることにも起因して)矢示R(1)方向、矢示R(2)方向に自在に変形できる。この離隔空間S(2)は、施工済みであって下地材200に固着された後の軒側の屋根材100に連結させる棟側の屋根材100の軒側嵌合部114を固着された屋根材100の棟側嵌合部112に嵌合させる場合に、支持材150の軒側を矢示R(1)側または矢示R(2)へ変形させて支持材150を逃がして嵌合作業の邪魔にならない大きさ(特に化粧面材110と支持材150との離隔長さを含めた大きさ)の空間を形成できるように構成されている。すなわち、この離隔空間S(2)は、少なくとも嵌合作業時において、支持材150の軒側を矢示R(1)方向、矢示R(2)方向に変形させて、固着された棟側嵌合部112を逃がして、軒側嵌合部114を棟側嵌合部112へ嵌合することができる大きさになることができるように形成されており、たとえば、その最大の大きさは、棟側嵌合部112よりも少なくとも大きい。さらに、図4(B)に示す屋根材100の場合には、嵌合作業時以外における空間S(2)の大きさは任意の大きさである。
【0022】
なお、図4(B)に示す可撓性を備えた支持材150を採用した屋根材100は、作業者がその上に乗ったとしても、支持材150がその衝撃を吸収する。そのため、屋根材100(より詳しくは化粧面材110)がへこむ可能性を抑制できる。
また、図4(B)に示す可撓性を備えた支持材150を採用した屋根材100においては、図4(A)に示す屋根材100の支持材150よりも軒棟方向長さH(2)を長くすることができる。屋根材100における支持材150の軒棟方向長さH(2)を長くすると、この支持材150が備える特性(後述する通気性、排水性、補強機能等)を向上させることができる点で好ましい。
【0023】
これらの図4(A)に示す屋根材100であっても図4(B)に示す屋根材100であっても、図4(C)および図4(D)に示すように、支持材150の軒棟方向の長さH(2)が、化粧面材110の軒棟方向の長さH(1)より短く、支持材150の軒側端部と軒側嵌合部114とが表裏方向で重ならない。さらに、支持材150の軒棟方向の長さH(2)が、化粧面材110の軒棟方向の長さH(1)の1/2以上であることが、好ましい。さらに、支持材150の軒棟方向の長さH(2)が化粧面材110の軒棟方向の長さH(1)の50%以上95%以下であることが好ましく、さらに65%以上80%以下であることが特に好ましい。後述する作用効果1の効果を発現しながら、さらに、作業者が屋根材100の上に乗ったとしても支持材150の補強機能により屋根材100(より詳しくは化粧面材110)がへこむ可能性を抑制できるためである。特許文献2では、軒側の屋根材100と棟側の屋根材100との連結後において、屋根材と下地材との間(より詳しくは屋根材を構成するシートと下地材との間)であって通気部材以外の部位には通気部材の厚みと略同等の大きさの通気空間が形成されており、施工時に屋根材の通気部材以外の部位に作業者が乗るとこの空間側へ屋根材がへこむ可能性があり、施工が容易でなかった。しかし、本実施形態であれば、屋根材100を施工する作業が容易である。
【0024】
そして、このような構成を備えた屋根材100を用いた屋根の施工構造は、軒棟方向において、棟側の屋根材100が軒側の屋根材100に重ねられて連結した状態で、棟側の屋根材100が下地材200に固定され、軒側の屋根材100の(支持材150の)空間部SAと棟側の屋根材100の(支持材150の)空間部SAとが連通して形成される連通空間が屋根の軒棟方向に亘って形成され、この連通空間が、少なくとも屋根の棟側において外気と連通する。この連通空間は、屋根の棟側および軒側の双方において外気と連通するように形成されると、さらに好ましい通気効果を発現することができる。上述した通り、屋根の軒棟方向に亘って形成された連通空間を流れる空気を白抜き矢示A(1)で示し、この連通空間が屋根の棟側において(たとえば通気役物Vを経由して)外気と連通している状態における空気の流れを白抜き矢示A(2)で示す。このような構造を備えた屋根材100についてさらに詳しく説明する。上述したように、この屋根材100は、略薄板状の化粧面材110と、略薄板状の支持材150とを含んで構成されている。
【0025】
化粧面材110は、略薄板状の部材を、棟側の表面に設けられる棟側嵌合部112および軒側の裏面に設けられる軒側嵌合部114を含めて、所定の形状に折り曲げて形成されている。ここで、この化粧面材110は、限定されるものではないが、鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)等(これらを各種色調に塗装した金属製カラー板を含む)の一種、または、合成樹脂製板材、たとえば塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(これらを各種色調に塗装した合成樹脂製カラー板を含む)の一種、が採用される。これらの中でも、金属製薄板材(厚さ0.3mm~0.4mm程度)が好ましく採用され、さらに、たとえば、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板またはこのアルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板にマグネシウムにより防錆効果を付与した
鋼板がさらに好ましく採用され、ロール成形、プレス成形、押出成形、切り欠き加工等によって各種形状に成形したものである。また、棟側嵌合部112側に締結材120用の下穴を設けることも好ましい。なお、締結材120は桁方向400mm~500mm間隔で設けられることが好ましい。
【0026】
このような化粧面材110の下地材200側に、通常は裏打ち材として厚さ3mm程度の発泡ポリエチレンが設けられる。この発泡ポリエチレンは、屋根材が施工される建屋の建屋内から建屋外への伝熱または建屋外から建屋内への伝熱を抑制する。本発明に係る屋根材100においては、このような発泡ポリエチレン製の裏打ち材に替えて、軒棟方向に貫通する空間部SAが形成された支持材150を採用した。
【0027】
これらの化粧面材110と支持材150とは、図4(A)および図4(B)に示すように、棟側において直接当接しているとともに接着剤等で接合されており、化粧面材110と支持材150とが1つの構成物である屋根材100として形成されている。化粧面材110と支持材150とが、棟側において直接当接していると、太陽熱等、化粧面材110に伝えられる外気からの放射熱が、通気効果によって屋根材の表面に近い箇所で排熱される。そのため、屋根材100が施工される建屋の建屋外から建屋内への伝熱を抑制できる。なお、当該接着剤は、耐熱性及び耐水性を有することが好ましい。
【0028】
図5を参照して、軒棟方向に貫通する空間部SAが形成され、化粧面材110と棟側において接合されて、かつ、軒側において離隔空間(離隔空間S(1)または離隔空間S(2))が形成可能に構成されている、支持材150自体について詳しく説明する。なお、図5(A)がこの支持材150の全体斜視図を、図5(B)が図5(A)に示す領域5Bの拡大斜視図を、図5(C)が図5(A)に示す矢示5C方向から見た側面図を、それぞれ示している。
【0029】
これらの図に示すように、この支持材150は、天板152と底板154と、これらに略垂直にかつ棟軒方向に略平行に立てられた複数のリブ材156とを含み、空間部SAはリブ材156間の空間として形成されている。リブ材156は支持材150の軒棟方向に亘って形成されているために、支持材150の軒棟方向形状は同一断面形状となる。なお、天板152および底板154のいずれか一方のみで構成されていても構わない。
【0030】
そして、この支持材150は、耐水性を備えることが好ましく、たとえば、軽量で耐水性に加えて加工性の高い合成樹脂成型品(特にポリオレフィン系樹脂)を含んで形成されることが好ましい。この支持材150に好適に採用される素材として、プラスチック製段ボール板(以下においてプラ段と記載する場合がある)がその一例としてあげられる。このプラ段は、紙製段ボール板が2枚の紙板(ライナー)の間に波状の中芯(フルート)が入っているのに対して、2枚のプラスチック板(ライナー)を支えるように略垂直に2枚のプラスチック板の間に多数のリブ(後述するリブ材156に相当)が形成されており、その断面がハーモニカの口のようになっている。この多数のリブによりプラ段の強度が発現されている。
【0031】
プラ段に限定されるものではないが、このように支持材150が空間部SAを備えるために、空間部SAには空気が存在するために、熱を伝えにくくなり屋根材100が施工される建屋の建屋内から建屋外への伝熱または建屋外から建屋内への伝熱を抑制したり、結露を防止したり、遮音などの効果を発現する。
さらに、屋根に施工される全ての屋根材100の支持材150が空間部SAを備え、その空間部SAに空気が流通するために、屋根の軒棟方向に亘って(軒棟方向に連続する複数の空間部SAにより)連通空間が形成されて、空気の軒棟方向の流れを形成することができる。特に、図3に示すように、軒側の屋根材100の支持材150とそれに連結された棟側の屋根材100の支持材150との間に空隙Gがあっても、棟側の屋根材100における支持材150の空間部SAの開口面と、軒側の屋根材100における支持材150の空間部SAの開口面とが互いに対向しているために、十分な通気性を備えた、屋根の軒棟方向に亘った連通空間が形成される。なお、空隙Gが形成された場合、棟側の屋根材100における支持材150の空間部SAの開口面と軒側の屋根材100における支持材150の空間部SAの開口面とが対向する位置が揃えられていなくても、屋根の軒棟方向に
亘って連通空間が形成される。よって、十分な通気性が発現される。
【0032】
この場合において、リブ材156間に形成される空間部SAにおいては、積極的に軒棟方向へ空気を整流することが行われるために、十分な空気の流れを実現でき十分な通気性を実現できる。すなわち、特許文献2に開示された通気空間は、軒方向から棟方向への空気の流れを整流するものではないので屋根材における好ましい空気の流れを形成することができなかったが、この支持材150によると十分な通気性を実現できる。
【0033】
なお、このリブ材156は、支持材150の表裏方向の強度を補強する機能も発現する。ここで、支持材150に求められる好ましい通気性、排水性(表面張力の発生を抑制)および補強機能を発現するためには、図5に示す、Aが2mm以上であって3mm~4mmが好ましく、A<Bであって、Wが2mm以下であることが好ましい。また、天板152の厚みt(U)および底板154の厚みt(D)は特に限定されるものではないが、ともに0.3mm~0.7mm程度であることが好ましい。
【0034】
このような構造を備えた屋根材100は以下のような作用効果を発現することができる。
≪作用効果1≫軒側において化粧面材110の裏面と支持材150の表面との間に離隔空間S(1)が形成されているためにまたは離隔空間S(2)が形成可能に構成されているために、軒側嵌合部114を棟側嵌合部112へ嵌合させる作業において、固着された棟側嵌合部112を逃がして、軒側嵌合部114を棟側嵌合部112へ容易に嵌合することができるために作業性が好ましく、屋根材100を施工する作業が容易である。
≪作用効果2≫支持材150が備える空間部SAは、屋根の軒棟方向に沿ったリブ材156によって、支持材150の軒棟方向全長に亘って形成されているために、整流機能を備えた屋根の軒棟方向に亘った連通空間が形成されるために、積極的に軒棟方向へ空気を整流することが行われて十分な空気の流れを実現でき十分な通気性を実現できる。そして、このような通気性のための通気空間は、屋根材100の下地材200側へしみ込んだ雨水を棟側から軒側へ排水する空間となるために、十分な通気性を実現するとともに、排水性を実現することができる。この排水性を高めるためには、屋根の軒棟方向に亘って形成されたこの連通空間が、屋根の軒側において外気と連通するように(雨水が建屋外に排水されるように)形成されることが特に好ましい。
【0035】
<屋根材の施工方法>
以上のような構造を備え、上述した作用効果を発現しうる本実施の形態に係る屋根材100の施工方法について、図2および図6を参照して説明する。なお、以下においては、図4(B)に示す屋根材100を用いる施工方法を説明する。
図6に示す、施工済みであって下地材200に固着された後の軒側の屋根材100に連結させる棟側の屋根材100の軒側嵌合部114を、固着された屋根材100の棟側嵌合部112に嵌合させる作業を施工方法として説明する。すなわち、軒棟方向のある一段についての、桁方向のある一列分における1つの屋根材100の施工方法を説明することになる。
【0036】
棟側の屋根材100の支持材150の軒側を矢示R(1)方向に変形させて、化粧面材110の裏面と支持材150の表面との間に離隔空間S(2)を形成させる。このとき、離隔空間S(2)は、軒側嵌合部114を棟側嵌合部112へ嵌合することができる大きさ(以上)であり、たとえば、棟側嵌合部112よりも大きい。
このように棟側の屋根材100の支持材150の軒側を矢示R(1)方向に変形させて離隔空間S(2)を形成した状態で、施工済みであって下地材200に固着された後の軒側の屋根材100に連結させる棟側の屋根材100の軒側嵌合部114を、矢示X方向へ移動させて、固着された屋根材100の棟側嵌合部112に嵌合させる。この場合において、棟側の屋根材100の支持材150の軒側が矢示R(1)側へ変形させているために、支持材150を逃がして嵌合作業の邪魔にならない。この後、棟側の屋根材100の棟側において、釘や木ねじ等の締結材120により下地材200に棟側の屋根材100を固着させる。
【0037】
このような嵌合作業および締結作業を、軒棟方向の最も軒側(軒側から1番目:N=1)について桁方向に一列分の屋根材100をいずれか一方端から他方端へ順次施工する(順次葺く)と、軒棟方向の軒側からN番目(N=2、3・・・)について桁方向に一列分の屋根材100をいずれか一方端から他方端へ順次施工することを、棟側に到達するまで繰り返す。この繰り返し作業が完了すると、屋根全体の施工作業が完了して、本実施の形態に係る屋根の施工構造が完成する。
【0038】
このような構造を備えた屋根の施工構造は以下のような作用効果を発現することができる。
≪作用効果3≫軒側の屋根材100の空間部SAと棟側の屋根材100の空間部SAとが連通して形成される連通空間が屋根の軒棟方向に亘って形成されるとともに、さらに、この連通空間が、少なくとも屋根の棟側において外気と連通するために、白抜き矢示A(1)で示すように空気が流れ、棟側において白抜き矢示A(2)に示すように空気が流れて換気役物Vにより建築物の外部(外気)へ排出されるために、好ましい流通性と相俟って、屋根裏に貯まる熱気、室内等からの湿気等を棟から好適に排出することができる。また、このような連通空間は、屋根材100の下地材200側へしみ込んだ雨水を棟側から軒側へ排水する空間となるために、十分な排水性を実現することができる。
【0039】
以上のようにして、本実施の形態に係る屋根材100およびこの屋根材100を用いた屋根の施工構造によると、屋根の下地の上に軒棟方向に階段状に重ねられて施工される屋根材であって、施工が容易で、かつ、通気性および排水性に優れた屋根材および屋根の施工構造を提供することができる。
<変形例>
以下において、本実施の形態の変形例に係る屋根材300(第1の変形例)および屋根材400(第2の変形例)ならびに本実施の形態の変形例に係る屋根の施工構造について説明する。これらの変形例に共通する特徴は、屋根材または屋根の施工構造において、屋根材が施工される建屋の建屋内から建屋外への伝熱または建屋外から建屋内への伝熱を抑制する部材(以下において伝熱抑制部材と記載する場合がある)が、化粧面材よりも下地側に設けられていることである。伝熱を抑制するとは、遮熱および断熱を含む。なお、以下の説明において、上述した実施の形態に係る屋根材または屋根の施工構造と同じ構成については同じ符号を付している。それらについての説明は、上述した説明と重複するために、ここでは繰り返して説明しない。
【0040】
図7に第1の変形例に係る屋根材300を説明するための図を示す。図7(A)が図5(A)に示す矢示5C方向から見た屋根材300の側面図であって、図7(B)が図7(A)の分解図である。
この図7に示すように、この屋根材300は、支持材150に替えて支持材350を備えるとともに伝熱抑制部材として遮熱層360を備える。支持材350は支持材150の天板152を備えない以外同じ構造を備える。そして、この支持材350のリブ材156間の空間部SAの形状に沿うように(空間部SAを閉塞しないように)遮熱層360が設けられる。この遮熱層360は、たとえば、支持材350として天板152を取り外したプラ段を採用して、そのプラ段の開放面(存在しないが天板152側の面)に、遮熱性を備えた素材で形成されたシートを設けたり、遮熱性のある塗料等を塗布したり、することにより形成することも好ましい。また、支持材350として底板154を取り外したプラ段を採用して、そのプラ段の開放面(存在しないが底板154側の面)に遮熱性を備えた素材で形成されたシートを設けたり、遮熱性のある塗料等を塗布したりすることによって、天板152と遮熱層360との間に空間部SAを形成してもよい。なお、空間部SAは、遮熱層360より上に形成されていることが好ましい。遮熱層360によって遮られた熱は、空間部SAを通って外気へ排出されるためである。さらに、化粧面材110は、支持材350の上に形成された遮熱層360と、一部分(屋根材300の棟側であって、支持材350に空間部SAが設けられていない箇所)において直接当接することが望ましい。太陽熱等、外気から屋根材に伝えられる放射熱が、前記屋根材の表面に近い箇所で遮られ、屋根材300が施工される建屋の建屋外から建屋内への伝熱を抑制できるためである。
【0041】
この第1の変形例に係る屋根材300によると、実施の形態に係る屋根材100の作用効果に加えて、屋根材300が施工される建屋の建屋内から建屋外への伝熱または建屋外から建屋内への伝熱を抑制することができる。
次に、図8に第2の変形例に係る屋根材400を説明するための図を示す。図8(A)が図5(A)に示す矢示5C方向から見た屋根材400の側面図であって、図8(B)が図8(A)の分解図である。
【0042】
この図8に示すように、この屋根材400は、化粧面材110および支持材150に加えて伝熱抑制部材として断熱層460を備える。化粧面材110および支持材150は上述した屋根材100と同じ構造を備える。そして、この支持材150の下地材200側に断熱層460が設けられる。この断熱層460は、たとえば、断熱性を備えた素材で形成された断熱材を採用することも好ましい。なお、断熱層460は、化粧面材110と支持材150との間に設けても構わない。
【0043】
この第2の変形例に係る屋根材400によると、実施の形態に係る屋根材100の作用効果に加えて、屋根材400が施工される建屋の建屋内から建屋外への伝熱または建屋外から建屋内への伝熱を抑制することができる。
さらに次に、図9に本実施の形態の変形例に係る屋根の施工構造を説明するための図を示す。図9(A)が図5(A)に示す矢示5C方向から見た屋根の施工構造の側面図であって、図9(B)が図9(A)の分解図である。
【0044】
この図9に示すように、この屋根の施工構造は、屋根材としては上述した屋根材100が用いられて、屋根材100と下地材200との間に(屋根材の構成としてではなく)伝熱抑制部材として断熱層560を備える。たとえば、断熱層560として、断熱層460と同じく、断熱性を備えた素材で形成された断熱材を採用することも好ましい。
この変形例に係る屋根の施工構造によると、実施の形態に係る屋根材100を用いた屋根の施工構造の作用効果に加えて、屋根材が施工される建屋の建屋内から建屋外への伝熱または建屋外から建屋内への伝熱を抑制することができる。また、下地材200は平坦であるため、この変形例に係る屋根の施工構造には、断熱欠損が生じにくい。
【0045】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、建築物の屋根の下地の上に軒棟方向に階段状に重ねられて施工される屋根材および屋根の施工構造に好ましく、施工が容易で、かつ、通気性に優れた点で特に好ましい。
【符号の説明】
【0047】
100 屋根材
110 化粧面材
112 棟側嵌合部
114 軒側嵌合部
120 締結材
150 支持材
152 天板
154 底板
156 リブ材
200 下地材
210 防水シート
230 野地板
300 第1の変形例に係る屋根材
400 第2の変形例に係る屋根材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9