(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F25B 39/00 20060101AFI20221012BHJP
F25B 41/42 20210101ALI20221012BHJP
F28F 27/02 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
F25B39/00 E
F25B41/42
F28F27/02 A
(21)【出願番号】P 2018109655
(22)【出願日】2018-06-07
【審査請求日】2021-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】藤田 尚起
(72)【発明者】
【氏名】緒方 幸治
(72)【発明者】
【氏名】須田 和樹
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/113901(WO,A1)
【文献】特開2007-162962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 39/00
F25B 41/42
F28F 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一冷媒流路と第二冷媒流路とを備える室外熱交換器を有する室外機と、同室外機に冷媒配管で接続される室内機を有する空気調和機であって、
前記室外機は、暖房運転時に前記室内機から前記室外機に流入した冷媒を前記室外熱交換器の前記第一冷媒流路および前記第二冷媒流路に導く冷媒導入部を有し、
前記冷媒導入部は、冷媒の流れを前記第一冷媒流路と前記第二冷媒流路に分流する分岐部と、冷媒を撹拌する撹拌部とを有し、
前記撹拌部は、第一撹拌部と第二撹拌部とを有し、
前記第一撹拌部および前記第二撹拌部のそれぞれは、第一開口部と、第二開口部とを有し、
前記第一撹拌部の前記第一開口部が、前記分岐部に接続され、
前記第二撹拌部の前記第二開口部が、前記冷媒配管に接続され、
前記第一撹拌部の前記第二開口部と、前記第二撹拌部の前記第一開口部とが接続され、
暖房運転時の冷媒の流れる方向における下流側から上流側へと向かう方向に、前記分岐部、前記第一撹拌部、前記第二撹拌部の順で配置される、
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
第一冷媒流路と第二冷媒流路とを備える室外熱交換器を有する室外機と、同室外機に冷媒配管で接続される室内機を有する空気調和機であって、
前記室外機は、暖房運転時に前記室内機から前記室外機に流入した冷媒を前記室外熱交換器の前記第一冷媒流路および前記第二冷媒流路に導く冷媒導入部を有し、
前記冷媒導入部は、冷媒の流れを前記第一冷媒流路と前記第二冷媒流路に分流する分岐部と、撹拌部とを有し、
前記撹拌部は、第一撹拌部と第二撹拌部とを有し、
暖房運転時の冷媒の流れる方向における下流側から上流側へと向かう方向に、前記分岐部、前記第一撹拌部、前記第二撹拌部の順で配置され、
前記第一撹拌部は、流入した冷媒を衝突させてその流れを反転させる衝突部と、同衝突部によって反転させられた冷媒と前記第一撹拌部に流入した冷媒とを衝突させる衝突空間とを有し、
前記第二撹拌部は、流入した冷媒を衝突させてその流れを反転させる衝突部と、同衝突部によって反転させられた冷媒と前記第二撹拌部に流入した冷媒とを衝突させる衝突空間とを有する、
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
前記第一撹拌部および前記第二撹拌部のそれぞれは、第一開口部と、第二開口部とを有し、
前記第一撹拌部の前記第一開口部が、前記分岐部に接続され、
前記第二撹拌部の前記第二開口部が、前記冷媒配管に接続され、
前記第一撹拌部の前記第二開口部と、前記第二撹拌部の前記第一開口部とが接続される、
ことを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記第一撹拌部の前記第二開口部と前記衝突部とは、前記衝突空間を挟んで対向して配置され、
前記第二撹拌部の前記第二開口部と前記衝突部とは、前記衝突空間を挟んで対向して配置される、
ことを特徴とする
請求項3に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和機に関し、より詳細には、室外機に配置される室外熱交換器の複数の冷媒パスに冷媒を均一に分流させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機に備えられる熱交換器は、複数本の伝熱管が接続されて形成されたパス(冷媒流路)を複数有し、これら複数のパスを熱交換器の上下方向に配置するものや、熱交換器を通過する空気の流れに対して風上側と風下側に並べて配置するものがある。このような熱交換器では、各々のパスにおける一方の冷媒出入口に、各々のパスから流出する冷媒を合流させる、あるいは、各々のパスへ冷媒を分流する分配器が接続される。
【0003】
上述した熱交換器が、例えば室外機の室外熱交換器に用いられる場合は、圧縮機、四方弁、室外熱交換器、膨張弁、室内機の室内熱交換器が順次冷媒配管で接続されて冷媒回路が構築される。この場合、室外熱交換器は四方弁と膨張弁の間に配置され、分配器は室外熱交換器と膨張弁の間に配置される。空気調和機が冷房運転を行う場合は、凝縮器として機能する室外熱交換器の各々のパスから流出した冷媒は分配器で合流し、膨張弁を備え室外機内に設けられる冷媒配管(以降、室外機液管と記載する)を介して室内機へと流れる。一方、空気調和機が暖房運転を行う場合は、室外機液管を介して室内機から室外機へと流入した冷媒は、分配器によって蒸発器として機能する室外熱交換器の各々のパスに分流する。
【0004】
上述した室外熱交換器が蒸発器として機能する場合は、室内機から室外機へ流入して室外熱交換器に流入する冷媒は膨張弁で減圧されて、ガス冷媒と液冷媒とが混在する気液二相状態(以降、気液二相冷媒と記載する場合がある)となっている。このとき、室内機から流入した冷媒を室外熱交換器に導く室外機液管が、室外機の他の構成部品、例えば、圧縮機や四方弁の設置場所との兼ね合いにより途中で折り曲げられていれば、気液二相冷媒が室外機液管を流れて折り曲げられた箇所(以降、折曲部と記載する)を通過する際に遠心力を受けて、液冷媒が室外機液管の内部を偏って流れる。このため、折曲部から室外機液管に流出した気液二相冷媒も、液冷媒が室外機液管の内部を偏って流れる状態となっている。
【0005】
室外機液管を流れる気液二相冷媒が、液冷媒が室外機液管の内部を偏って流れる状態で分配器によって室外熱交換器の各々のパスに分流された場合は、あるパスでは液冷媒がガス冷媒より多い気液二相冷媒となり、別のパスではガス冷媒が液冷媒より多い気液二相冷媒となる。つまり、あるパスに液冷媒が偏って流れることとなる。なお、この液冷媒の偏りは、室外機液管の折曲部と分配器との距離が遠いほどその程度が小さくなる。これは、室外機液管の折曲部と分配器との距離が遠いほど、折曲部から流出した気液二相冷媒が分配器に到達するまでの間に、折曲部で受けた遠心力の影響が薄れるためである。
【0006】
以上に説明したように、各々のパスに流れる気液二相冷媒のガス冷媒と液冷媒との比率が異なる場合は、各々のパスに流れる気液二相冷媒のガス冷媒と液冷媒との比率が同じである場合と比べて、室外熱交換器で発揮される熱交換能力が低下する恐れがある。そこで、室外熱交換器が蒸発器として機能する際に各々のパスに流れる気液二相冷媒のガス冷媒と液冷媒との比率を均一にする空気調和機が提案されている。例えば、特許文献1には、分配器に流入した気液二相冷媒のガス冷媒と液冷媒との比率を均一にする機能を持つ分配器が提案されている。この分配器(特許文献1では、「冷媒分流器」と記載されている)は、流入した気液二相冷媒を分流させる手前に、分配器に流入した気液二相冷媒を衝突させる衝突壁を設けている。分配器に流入した気液二相冷媒が衝突壁に衝突してガス冷媒と液冷媒とが撹拌・混合されることで、分配器によって分配されて分配器から流出する気液二相冷媒のガス冷媒と液冷媒との比率を均一にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、室外機液管の折曲部と特許文献1の分配器に設けられた衝突壁との距離が近い場合は、分配器に流入する気液二相冷媒が折曲部で受けた遠心力の影響が強く残った状態、つまりは、室外機液管の内部で液冷媒が偏った状態となっているため、分配器に衝突壁を設けても分配器から流出する気液二相冷媒のガス冷媒と液冷媒との比率を均一にできない場合があった。このような問題を回避するためには、前述したように室外機液管の折曲部と分配器との距離を遠くする、すなわち、折曲部以降の室外機液管を長くすればよいが、室外機の他の構成部品の配置場所との兼ね合いや、室外機自体の大きさの制約から、室外機液管の折曲部と分配器との距離を遠くできない場合がある。
【0009】
本発明は以上述べた問題点を解決するものであって、複数のパスを有する室外熱交換器において、各々のパスにおけるガス冷媒と液冷媒との比率を均一にして、室外熱交換器で発揮される熱交換能力を向上させる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の空気調和機は、第一冷媒流路と第二冷媒流路とを備える室外熱交換器を有する室外機と、室外機に冷媒配管で接続される室内機を有する。室外機は、暖房運転時に室内機から室外機に流入した冷媒を室外熱交換器の第一冷媒流路および第二冷媒流路に導く冷媒導入部を有する。冷媒導入部は、冷媒の流れを第一冷媒流路と第二冷媒流路に分流する分岐部と、冷媒を撹拌する第一撹拌部と第二撹拌部とを有し、暖房運転時の冷媒の流れる方向における下流側から上流側へと向かう方向に、分岐部、第一撹拌部、第二撹拌部の順で配置される。
【0011】
また、本発明の空気調和機は、第一冷媒流路と第二冷媒流路とを備える室外熱交換器を有する室外機と、同室外機に冷媒配管で接続される室内機を有する。室外機は、暖房運転時に室内機から室外機に流入した冷媒を室外熱交換器の第一冷媒流路および第二冷媒流路に導く冷媒導入部を有する。冷媒導入部は、冷媒の流れを第一冷媒流路と第二冷媒流路に分流する分岐部と、第一撹拌部と第二撹拌部とを有する。第一撹拌部は、第一撹拌部に流入した冷媒を衝突させてその流れを反転させる第一衝突部と、第一衝突部によって反転させられた冷媒と第一撹拌部に流入した冷媒とを衝突させる衝突空間とを有する。そして、第二撹拌部は、第二撹拌部に流入した冷媒を衝突させてその流れを反転させる衝突部と、衝突部によって反転させられた冷媒と第二撹拌部に流入した冷媒とを衝突させる衝突空間とを有する。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成した本発明の空気調和機は、第一撹拌部と第二撹拌部とを有する冷媒導入部を室外熱交換器と室外膨張弁との間に配置することにより、室外熱交換器の複数の冷媒流路に流れる気液二相冷媒のガス冷媒と液冷媒との比率を均一とできるので、室外熱交換器で発揮される熱交換能力の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態における、空気調和機の冷媒回路図である。
【
図2】本発明の実施形態における室外機の説明図であり、(A)は室外機内部を上方から見た図面、(B)は)(A)における矢視Y図である。
【
図3】本発明の実施形態における、冷媒導入部を流れる冷媒の状態の変化を説明する図面である。
【
図4】本発明の第2の実施形態における、冷媒導入部を流れる冷媒の状態の変化を説明する図面である。
【
図5】本発明の第3の実施形態における、冷媒導入部を流れる冷媒の状態の変化を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施形態としては、室外機と室内機が冷媒配管で接続された空気調和装置を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【実施例1】
【0015】
図1に示すように、本実施例における空気調和機1は、屋外に設置される室外機2と、室外機2に液管4およびガス管5で接続されて屋内に設置される室内機3を備えている。詳細には、液管4は、一端が室外機2の閉鎖弁25に、他端が室内機3の液管接続部33に接続されている。また、ガス管5は、一端が室外機2の閉鎖弁26に、他端が分岐して各々の室内機3のガス管接続部34に接続されている。以上により、空気調和機1の冷媒回路10が構成されている。
【0016】
<室外機の構成>
まずは、室外機2について説明する。室外機2は、圧縮機21と、四方弁22と、室外熱交換器23と、膨張弁24と、液管4の一端が接続された閉鎖弁25と、ガス管5の一端が接続された閉鎖弁26と、アキュムレータ27と、室外ファン28と、冷媒導入部29とを備えている。そして、室外ファン28を除くこれら各々の装置が以下で詳述する各々の冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路10の一部をなす室外機冷媒回路10aを構成している。
【0017】
図2(A)に示すように、室外機2は、前面パネル201と、前面側支柱202と、背面側支柱203と、背面パネル204と、側面パネル205と、底板206と、仕切板207と、図示しない天面パネルで構成される直方体形状の筐体を有する。
【0018】
前面パネル201は板金で形成され、室外機2の前面のうちの右側の一部(後述する機械室200aの前面)を覆うように配置されている。前面側支柱202は板金をL字状に形成してなり、室外機2の前面の左端に配置されている。そして、前面パネル201の左端と前面側支柱202の間が、室外機2の内部と外部を連通する吹出口212とされており、吹出口212に臨むように室外ファン28が配置されている。
【0019】
背面側支柱203は板金をL字状に形成してなり、室外機2の背面の左端に配置されている。背面パネル204は板金で形成され、室外機2の背面のうちの右側の一部(後述する機械室200aの背面)を覆うように配置されている。そして、前面側支柱202と背面側支柱203の間、および、背面側支柱203と背面パネル204の左端の間のそれぞれが、室外機2の内部と外部を連通する吸込口211とされており、吸込口211に臨むようにL字状に形成された室外熱交換器23が配置されている。
【0020】
側面パネル205は板金で形成され、室外機2の右側面(後述する機械室200aの右側面)を覆うように配置されている。仕切板207は、板金を略C字状に折り曲げて形成されており、室外機2の筐体内部を機械室200aと熱交換室200bに仕切る。底板206は板金の周縁部を上方に折り曲げて箱状に形成されており、底板206上にこれまで説明した各々のパネルや仕切板207が固定される。
【0021】
以上説明した室外機2の筐体内部に、室外機冷媒回路10aを構成する装置が配置される。具体的には、機械室200aには、圧縮機21と四方弁22とアキュムレータ27が配置される。尚、機械室200aには、膨張弁24や閉鎖弁25、26や各々の冷媒配管、図示しない電装品箱等も配置されるが、
図2(A)では省略している。一方、熱交換室200bには、室外熱交換器23と室外ファン28が配置される。前述したように、室外熱交換器23は各々の吸込口211に臨むように配置され、室外ファン28は吹出口212に臨むように配置される。また、冷媒導入部29は、機械室200aの背面側下方に配置される。
【0022】
次に、室外機冷媒回路10aの各々の構成について個別に説明する。圧縮機21は、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで、運転容量を可変できる能力可変型圧縮機である。
図1に示すように、圧縮機21の冷媒吐出側は、後述する四方弁22のポートaと吐出管61で接続されている。また、圧縮機21の冷媒吸入側は、アキュムレータ27の冷媒流出側と吸入管66で接続されている。
【0023】
四方弁22は、冷媒の流れる方向を切り換えるための弁であり、a、b、c、dの4つのポートを備えている。ポートaは、上述したように圧縮機21の冷媒吐出側と吐出管61で接続されている。ポートbは、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口と冷媒配管62で接続されている。ポートcは、アキュムレータ27の冷媒流入側と冷媒配管65で接続されている。そして、ポートdは、閉鎖弁26と室外機ガス管64で接続されている。
【0024】
室外熱交換器23は、冷媒と、室外ファン28の回転により熱交換器室200bに取り込まれた外気を熱交換させるものであり、下側パス23a(本発明の第一冷媒流路に相当)と上側パス23b(本発明の第二冷媒流路に相当)の2つの冷媒流路を有する。室外熱交換器23の一方の冷媒出入口は、上述したように四方弁22のポートbと冷媒配管62で接続され、他方の冷媒出入口は冷媒導入部29の一方の冷媒出入口(後述する分岐部29a)に接続されている。室外熱交換器23は、空気調和機1が冷房運転を行う際は凝縮器として機能し、暖房運転を行う際は蒸発器として機能する。尚、室外熱交換器23の構造は、後程詳細に説明する。
【0025】
冷媒導入部29は、室外熱交換器23の下側パス23aと上側パス23bとから流入した冷媒を合流させて室外機液管63へと流出する、あるいは、室外機液管63から流入した冷媒を室外熱交換器23下側パス23aと上側パス23bとに分流させる。冷媒導入部29の一方の冷媒出入口は前述したように室外熱交換器23の他方の冷媒出入口に接続され、他方の冷媒出入口(後述する第三接続部29f)は室外機液管63で閉鎖弁25に接続されている。尚、冷媒導入部29の構造は、後程詳細に説明する。
【0026】
膨張弁24は、室外機液管63に設けられている。膨張弁24は電子膨張弁であり、室内機3で要求される冷房能力や暖房能力に応じてその開度が調整されることで、室外熱交換器23を流れる冷媒量、および、室内機3(の室内熱交換器31)を流れる冷媒量を調整する。
【0027】
アキュムレータ27は、前述したように、冷媒流入側と四方弁22のポートcが冷媒配管65で接続され、冷媒流出側と圧縮機21の冷媒吸入側が吸入管66で接続されている。アキュムレータ27は、冷媒配管65からアキュムレータ27の内部に流入した気液二相冷媒を冷凍機油を含む液冷媒と、ガス冷媒とに分離し、分離したガス冷媒のみを吸入管66を介して圧縮機21に吸入させる。
【0028】
室外ファン28は樹脂材で形成されており、前述したように吹出口212に臨むように配置されている。室外ファン28は、熱交換室200bに配置される図示しないファンモータの駆動によって回転することで、各々の吸込口211から熱交換器室200bへ外気を取り込み、室外熱交換器23において冷媒と熱交換した外気を吹出口212から室外機2の外部へ放出する。
【0029】
以上説明した構成の他に、室外機2には各々の種のセンサが設けられている。
図1に示すように、吐出管61には、圧縮機21から吐出される冷媒の圧力を検出する吐出圧力センサ71と、圧縮機21から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ73が設けられている。冷媒配管65におけるアキュムレータ27の冷媒流入側近傍には、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力を検出する吸入圧力センサ72と、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度センサ74とが設けられている。
【0030】
室外機液管63における膨張弁24と冷媒導入部29との間には、室外熱交換器23に出入りする冷媒の温度を検知するための熱交温度センサ75が設けられている。そして、室外機2の吸込口211付近には、熱交換室200bに流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度センサ76が備えられている。
【0031】
<室内機の構成>
次に
図1を用いて、室内機3について説明する。室内機3は、室内熱交換器31と、液管4の他端が接続された液管接続部33と、ガス管5の他端が接続されたガス管接続部34と、室内ファン32を備えている。そして、室内ファン32を除くこれら各々の装置が以下で詳述する各々の冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路10の一部をなす室内機冷媒回路10bを構成している。
【0032】
室内熱交換器31は、冷媒と、室内ファン32の回転により図示しない吸込口から室内機3の内部に取り込まれた室内空気を熱交換させるものである。室内熱交換器31の一方の冷媒出入口が液管接続部33と室内機液管67で接続され、他方の冷媒出入口がガス管接続部34と室内機ガス管68で接続されている。室内熱交換器31は、室内機3が冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、室内機3が暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。尚、液管接続部33やガス管接続部34では、各々の冷媒配管が溶接やフレアナット等により接続されている。
【0033】
室内ファン32は樹脂材で形成されており、室内熱交換器31の近傍に配置されている。室内ファン31は、図示しないファンモータによって回転することで、図示しない吸込口から室内機3の内部に室内空気を取り込み、室内熱交換器31において冷媒と熱交換した室内空気を図示しない吹出口から室内へ吹き出す。
【0034】
以上説明した構成の他に、室内機3には各々の種のセンサが設けられている。室内機液管67には、室内熱交換器31に出入りする冷媒の温度を検出する液側温度センサ77が設けられている。室内機ガス管68には、室内熱交換器31に出入りする冷媒の温度を検出するガス側温度センサ78が設けられている。そして、室内機3の図示しない吸込口付近には、室内機3の内部に流入する室内空気の温度、すなわち室内温度を検出する室内温度センサ79が備えられている。
【0035】
<空調運転時の動作>
次に、本実施形態における空気調和機1の空調運転時の冷媒回路10における冷媒の流れや各々の装置の動作について、
図1を用いて説明する。尚、以下の説明では、空気調和機1が暖房運転を行う場合について説明し、冷房運転を行う場合については詳細な説明を省略する。また、
図1における矢印は暖房運転時の冷媒の流れを示している。
【0036】
図1に示すように、空気調和機1が暖房運転を行う場合は、四方弁22が実線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートdが連通するよう、また、ポートbとポートcが連通するよう、切り換えられる。これにより、室外熱交換器23が蒸発器として機能するとともに、室内熱交換器31が凝縮器として機能する。
【0037】
圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、吐出管61を流れて四方弁22に流入し、四方弁22から室外機ガス管64、閉鎖弁26、ガス管5、ガス管接続部34の順に流れて室内機3に流入する。室内機3に流入した冷媒は、室内機ガス管68を流れて室内熱交換器31に流入し、室内ファン32の回転により室内機3の内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って凝縮する。このように、室内熱交換器31が凝縮器として機能し、室内熱交換器31で冷媒と熱交換を行って加熱された室内空気が図示しない吹出口から室内に吹き出されることによって、室内機3が設置された室内の暖房が行われる。
【0038】
室内熱交換器31から流出した冷媒は、室内機液管67を流れ液管接続部33を介して液管4に流出する。液管4を流れる冷媒は、閉鎖弁25を介して室外機2に流入する。室外機2に流入した冷媒は室外機液管63を流れ、膨張弁24を通過する際に減圧される。膨張弁24で減圧された冷媒は、冷媒導入部29、室外熱交換器23の順に流れて、室外熱交換器23で室外ファン28の回転によって吸込口211から室外機3の熱交換器室200bに流入する外気と熱交換を行って蒸発する。
【0039】
室外熱交換器23から冷媒配管62に流出した冷媒は、四方弁22、冷媒配管65と流れてアキュムレータ27に流入し、アキュムレータ27で液冷媒とガス冷媒に分離される。そして、分離されたガス冷媒は、吸入管66を介して圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
【0040】
尚、室内機3が冷房運転を行う場合は、四方弁22が破線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートbが連通するよう、また、ポートcとポートdが連通するよう、切り換えられる。これにより、室外熱交換器23が凝縮器として機能するとともに、室内熱交換器31が蒸発器として機能する。
【0041】
<室外熱交換器および冷媒導入部の構造>
次に、
図2および
図3を用いて、室外熱交換器23および冷媒導入部29の構造について詳細に説明する。
【0042】
<室外熱交換器の構造>
図2(A)に示すように、室外熱交換器23は、室外機2を上方から見たときにL字状に形成されて、室外機2の左側面の吸込口211および背面側の吸込口211に臨むように配置される。室外熱交換器23はフィンアンドチューブ型の熱交換器であり、銅やアルミニウム、アルミニウム合金等で形成される直管の中央部をU字形状に折り曲げてなる24本の伝熱管23c(
図2(B)では、これらのうち18本を描画している)と、アルミニウムやアルミニウム合金等で板状に形成されて伝熱管23cの長手方向に沿って所定の間隔で配置される複数枚のフィン23dを備えている。
【0043】
図2に示すように、24本の伝熱管23cのうちの12本が室外機2の熱交換室200b側に配置されて上側伝熱管23cuとされ、残りの12本が室外機2の各々の吸込口211側に配置されて下側伝熱管23clとされている。上側伝熱管23cuと下側伝熱管23clとは、それぞれが平行に延びて複数枚のフィン23dを貫く構造となっており、各々のフィン23dに挿入された上側伝熱管23cuおよび下側伝熱管23clを機械的に拡管することで、各々のフィン23dと上側伝熱管23cuおよび下側伝熱管23clを密着させている。
【0044】
図2(B)に示すように、下側伝熱管23clは上側伝熱管23cuよりも下側に配置されている。また、
図2(A)に示すように、上側伝熱管23cuおよび下側伝熱管23clのU字形状に折り曲げた箇所が、室外熱交換器23における室外機2の前面側の端部(後述する冷媒導入部29が接続される側と反対側の端部)に配置される。さらには、上側伝熱管23cuおよび下側伝熱管23clの端部は、室外熱交換器23における後述する冷媒導入部29が接続される側の端部に配置される。
【0045】
24本の伝熱管23cのうち、
図2(B)に示す実線X、つまり、室外熱交換器23の上下方向の略中央部を境として、実線Xより下側に配置されている6本の上側伝熱管23cuおよび6本の下側伝熱管23clで下側パス23aが形成される。また、実線Xより上側に配置されている6本の上側伝熱管23cuおよび6本の下側伝熱管23clで上側パス23bが形成される。尚、上述した下側パス23aが本発明の第一冷媒流路であり、上側パス23bが本発明の第二冷媒流路である。
【0046】
下側パス23aは、2本の上側伝熱管23cuおよび2本の下側伝熱管23clを接続したものを1組とした3組の小パス23a1で構成されている。具体的には、各々の小パス23a1において、2本の下側伝熱管23clが図示しないU字形状の管(以降、接続管と記載する)で接続され、2本の上側伝熱管23cuが接続管で接続される。また、2本の上側伝熱管23cuのうちの下方に配置される上側伝熱管23cuと、2本の下側伝熱管23clのうちの下方に配置される下側伝熱管23clとが接続管で接続される。また、2本の上側伝熱管23cuのうちの上方に配置される上側伝熱管23cuが図示しないヘッダを介して冷媒配管62に接続され、2本の下側伝熱管23clのうちの上方に配置される下側伝熱管23clが下部分配器80aを介して後述する冷媒導入部29に接続される。
【0047】
以上説明したように、小パス23a1において2本の上側伝熱管23cuおよび2本の下側伝熱管23clが相互に接続されて、
図2(B)の示すように、暖房運転時に下部分配器80aから各々の小パス23a1に流入した冷媒が、矢印23afのように各々の小パス23a1を流れて図示しないヘッダを介して冷媒配管62に流出する。尚、矢印23afにおいて、実線部分が上述した接続管で上側伝熱管23cuおよび下側伝熱管23clが相互に接続されている箇所を示し、破線部分が上側伝熱管23cuおよび下側伝熱管23clのU字形状に折り曲げられた箇所を示す。
【0048】
上側パス23bは、2本の上側伝熱管23cuおよび2本の下側伝熱管23clを接続したものを1組とした3組の小パス23b1で構成されている。具体的には、各々の小パス23b1において、2本の下側伝熱管23clが接続管で接続され、2本の上側伝熱管23cuが接続管で接続される。また、2本の上側伝熱管23cuのうちの下側に配置される上側伝熱管23cuと、2本の下側伝熱管23clのうちの下側に配置される下側伝熱管23clが接続管で接続される。また、2本の上側伝熱管23cuのうちの上側に配置される上側伝熱管23cuが図示しないヘッダを介して冷媒配管62に接続され、2本の下側伝熱管23clのうちの上側に配置される下側伝熱管23clが上部分配器80bを介して後述する冷媒導入部29に接続される。
【0049】
以上説明したように、小パス23b1において2本の上側伝熱管23cuおよび2本の下側伝熱管23clが相互に接続されて、
図2(B)の示すように、暖房運転時に上部分配器80bから各々の小パス23b1に流入した冷媒が矢印23bfのように各々の小パス23b1を流れて冷媒配管62に流出する。尚、矢印23bfにおいて、実線部分が上述した接続管で上側伝熱管23cuおよび下側伝熱管23clが相互に接続されている箇所を示し、破線部分が上側伝熱管23cuおよび下側伝熱管23clのU字形状に折り曲げられた箇所を示す。
【0050】
<冷媒導入部の構造>
次に、本実施形態の特徴部である冷媒導入部29について説明する。冷媒導入部29は、第1開口部と、第2開口部と、衝突部と、衝突空間とを有する撹拌部を2つ備え、暖房運転時に室外機2に流入した気液二相冷媒における液冷媒の偏りを各撹拌部でなくして、室外熱交換器23の各冷媒配管に分配するものである。
【0051】
前述したように、冷媒導入部29は、一方の冷媒出入口は室外熱交換器23の他方の冷媒出入口に接続され、他方の冷媒出入口は室外機液管63で閉鎖弁25に接続されている。
図2および
図3に示すように、冷媒導入部29は、分岐部29aと、第一接続部29bと、第一撹拌部29cと、第二接続部29dと、第二撹拌部29eと、第三接続部29fとを有する。これら冷媒導入部29を構成する部材は、室外熱交換器23から膨張弁24に向かって、つまり、暖房運転時の冷媒の流れる方向における下流側から上流側に向かって、分岐部29a、第一接続部29b、第一撹拌部29c、第二接続部29d、第二撹拌部29e、第三接続部29fの順に配置されている。
【0052】
分岐部29aは円管を用いてY字形状に形成されており、一端が第一分岐管29a1と第二分岐管29a2の2股に分かれており、第一分岐管29a1が分岐部29aより上方に配置された下部分配器80aに接続され、第二分岐管29a2が分岐部29aおよび下部分配器80aより上方に配置された上部分配器80bに接続されている。また、分岐部29aの他端は、
図3に示す境界線L1で分岐部29aより下方に配置された第一接続部29bの一端に連続している。分岐部29aは、上記のように下部分配器80a、上部分配器80b、および、第一接続部29bのそれぞれに接続されることで、機械室200a内部において下部分配器80aや上部分配器80bより下方、かつ、下部分配器80aや上部分配器80bに接続される側が境界線L1側より上方となるように配置される。
【0053】
分岐部29aは、空気調和機1が冷房運転を行うときは、室外熱交換器23の下側パス23aから下部分配器80aを介して流入した冷媒と、室外熱交換器23の上側パス23bから上部分配器80bを介して流入した冷媒とを合流させて、第一接続部29bへと流出させる。また、空気調和機1が暖房運転を行うときは、第一接続部29bから流入した冷媒を、下部分配器80aを介して室外熱交換器23の下側パス23aへと、および、上部分配器80bを介して室外熱交換器23の上側パス23bへと、分流させる。
【0054】
第一接続部29bは円管であり、一端が前述したように境界線L1で分岐部29aに連続し、他端が境界線L2で第一撹拌部29cの後述する第一開口部29c3に連続している。第一接続部29bは、上記のように分岐部29aおよび第一撹拌部29cにそれぞれ接続されることで、室外機2の機械室200a内部において分岐部29aより下方、かつ、境界線L1側が境界線L2側より上方となるように配置される。
【0055】
第一撹拌部29cは円管を用いてT字形状に形成されており、上方に開口した第一開口部29c3と、室外機2の設置面に対して水平方向に開口した第二開口部29c4の2つの開口部を有する。また、第二開口部29c4と180度反対側には、端部が半球形状とされた衝突部29c1が形成されている。第一開口部29c3は、前述したように境界線L2で第一接続部29bに連続している。第二開口部29c4は、境界線L3で第二接続部29dに連続している。第一撹拌部29cは、上記のように第一接続部29bに接続されることで、室外機2の機械室200a内部において第一接続部29bより下方に配置される。そして、第二開口部29c4と衝突部29c1との間が、衝突空間29c2となっている。つまり、第二開口部29c4と衝突部29c1とは、衝突空間29c2を挟んで対向する配置となっている。
【0056】
第二接続部29dは円管であり、一端が前述したように境界線L3で第一撹拌部29cの第二開口部29c4に連続し、他端が境界線L4で第二撹拌部29eの後述する第一開口部29e3に連続している。第二接続部29dは、上記のように第一撹拌部29cおよび第二撹拌部29eにそれぞれ接続されることで、室外機2の機械室200a内部において第一接続部29bより下方、かつ、境界線L3側と境界線L4側とがほぼ同じ高さとなるように配置される。
【0057】
第二撹拌部29eは円管を用いてT字形状に形成されており、室外機2の設置面に対して水平方向に開口した第一開口部29e3と、上方に開口した第二開口部29e4の2つの開口部を有する。また、第二開口部29e4と180度反対側には、端部が半球形状とされた衝突部29e1が形成されている。第一開口部29e3は、前述したように境界線L4で第二接続部29dに連続している。第二開口部29e4は、境界線L5で第二撹拌部29eより上方に配置されている第三接続部29fに連続している。第二撹拌部29eは、上記のように第二接続部29dに接続されることで、室外機2の機械室200a内部において第一撹拌部29cとほぼ同じ高さに配置される。そして、第二開口部29e4と衝突部29e1との間が、衝突空間29e2となっている。つまり、第二開口部29e4と衝突部29e1とは、衝突空間29e2を挟んで対向する配置となっている。
【0058】
第三接続部29fは円管であり、一端が前述したように境界線L5で第二撹拌部29eの第二開口部29e4に連続し、他端が第三接続部29fより上方に配置されている室外機液管63に接続されている。第三接続部29fは、上記のように第二撹拌部29eおよび室外機液管63にそれぞれ接続されることで、室外機2の機械室200a内部において第二撹拌部29eより上方、かつ、室外機液管63に接続する側が境界線L5側より上方となるように配置される。
なお、上記の冷媒導入部29の説明で使用した境界線L1~L5は、各々が冷媒導入部29の説明をわかりやすくするために
図3に描いた仮想の境界線である。
【0059】
<暖房運転時の室外機液管から室外熱交換器への冷媒の流れ>
次に、空気調和機1が暖房運転を行う際に、冷媒導入部29が、室外機液管63から流入し室外熱交換器23へと流出する冷媒に与える効果について、
図2および
図3を用いて説明する。
【0060】
空気調和機1が暖房運転を行うときは、
図2を用いて先に説明したように、室内機3から閉鎖弁25を経て室外機2の室外機液管63に流入した冷媒が、膨張弁24を通過する際に減圧されて気液二相冷媒となる。膨張弁24から流出した冷媒は、室外機液管63を流れて冷媒導入部29に流入する。
【0061】
図3に示すように、冷媒導入部29に流入した冷媒は第三接続部29fを流れ、第二開口部29e4を介して第二撹拌部29eに流入する。第二撹拌部29eに流入した冷媒は、その大部分が衝突部29e1へと流れて衝突部29e1に衝突して上方へと反転する。そして、反転した冷媒と第三接続部29fから流入した冷媒とが衝突空間29e2でぶつかって撹拌されて、第二撹拌部29eから第一開口部29e3を介して第二接続部29dへと流出する。このように、第二撹拌部29eに流入した冷媒は、ガス冷媒と液冷媒とが撹拌されて第二接続部29dへと流れるので、第二接続部29dを冷媒が流れる際に第二接続部29dの内部で液冷媒が偏らない。
【0062】
第二接続部29dを流れる冷媒は、第二開口部29c4を介して第一撹拌部29cに流入する。第一撹拌部29cに流入した冷媒は、その大部分が衝突部29c1へと流れて衝突部29c1に衝突して第二開口部29c4の方へと反転する。そして、反転した冷媒と第二接続部29dから流入した冷媒とが衝突空間29c2でぶつかって撹拌されて、第一撹拌部29cから第一開口部29c3を介して第一接続部29bへと流出する。このように、第一撹拌部29cに流入した冷媒は、ガス冷媒と液冷媒とが撹拌されて第一接続部29bへと流れるので、第一接続部29bを冷媒が流れる際に第一接続部29bの内部で液冷媒が偏らない。
【0063】
第一接続部29bを流れる冷媒は分岐部29へと流入し、第一分岐管29a1と第二分岐管29a2へと分流する。第一分岐管29a1に分流した冷媒(
図3に示す矢印FR1)は、下部分配器80aを介して下側パス23aへと流れ、第二分岐管29a2に流入した冷媒(
図3に示す矢印FR2)は、上部分配器80bを介して上側パス23bへと流れる。
【0064】
以上に説明したように、空気調和機1の暖房運転時に膨張弁24で減圧されて気液二相状態となった冷媒は、冷媒導入部29の第一撹拌部29cと第二撹拌部29eとによって、ガス冷媒と液冷媒とが撹拌されて室外熱交換器23の下側パス23aと上側パス23bとに分配される。従って、各々のパスに流れる気液二相冷媒のガス冷媒と液冷媒との比率を均一にでき、室外熱交換器23で発揮される熱交換能力の低下を抑制することができる。
【実施例2】
【0065】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と異なるのは、冷媒導入部の第二撹拌部の形状であり、特に、第二撹拌部の衝突部の形状が、第一の実施形態と異なる。尚、上記以外の点については、第1の実施形態と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0066】
<第二撹拌部の形状>
本実施
形態の冷媒導入部29では、第一の実施形態の第二撹拌部29eに代えて、
図4に示す第二撹拌部29gが備えられている。第二撹拌部29gは円管を用いてT字形状に形成されており、室外機2の設置面に対して水平方向に開口した第一開口部29g3と、上方に開口した第二開口部29g4の2つの開口部を有する。また、第二開口部29g4と180度反対側には、衝突部29g1が球形状に形成されている。第一開口部29g3は、境界線L4で第二接続部29dに連続している。第二開口部29g4は、境界線L5で第二撹拌部29eより上方に配置されている第三接続部29fに連続している。そして、第二開口部29g4と衝突部29g1との間が、衝突空間29g2となっている。つまり、第二開口部29g4と衝突部29g1とは、衝突空間29g2を挟んで対向する配置となっている。
なお、第1の実施形態と同様に、上記の第二撹拌部29gの説明で使用した境界線L4とL5は、各々第二撹拌部29gの説明をわかりやすくするために
図4に描いた仮想の境界線である。
【0067】
<暖房運転時の室外機液管から室外熱交換器への冷媒の流れ>
上記のような第二撹拌部29gを有する冷媒導入部29を室外機2に備えた空気調和機1が暖房運転を行うとき、膨張弁24から流出した冷媒は、室外機液管63を流れて冷媒導入部29に流入する。
図4に示すように、冷媒導入部29に流入した冷媒は第三接続部29fを流れ、第二開口部29g4を介して第二撹拌部29gに流入する。
【0068】
第二撹拌部29gに流入した冷媒は、その大部分が衝突部29g1へと流れて衝突部29g1に衝突して上方へと反転する。そして、反転した冷媒と第三接続部29fから流入した冷媒とが衝突空間29g2でぶつかって撹拌されて、第二撹拌部29gから第一開口部29e3を介して第二接続部29dへと流出する。このように、第二撹拌部29gで撹拌されてガス冷媒と液冷媒との比率が均一化された冷媒が、第二接続部29dへと流れる。
【0069】
前述したように、第二撹拌部29gの衝突部29g1は球形状であり、また、
図3と
図4とを比較すれば明らかなように、本実施形態の衝突部29g1の方が第1の実施形態の衝突部29e1と比べて容積が大きくなるように形成されている。これらのことから、本実施形態の衝突部29g1の方が第1の実施形態の衝突部29e1と比べて冷媒がより撹拌される。そして、衝突部29g1である程度均一化された冷媒が第三接続部29fから流入した冷媒と衝突空間29g2でぶつかってさらに冷媒の撹拌が起こる。このように、第二撹拌部29gに流入した冷媒は、ガス冷媒と液冷媒とが撹拌されて第二接続部29dへと流れるので、第二接続部29dを冷媒が流れる際に第二接続部29dの内部で液冷媒が偏らない。
【0070】
以上に説明したように、本実施形態の空気調和機1では、球形状の衝突部29g1を有する第二撹拌部29gを備えた冷媒導入部29が室外機2に設けられている。従って、第1の実施形態と比べて、より均一化された冷媒を室外熱交換器23の下側パス23aと上側パス23bとに分配できるので、各々のパスに流れる気液二相冷媒のガス冷媒と液冷媒との比率を均一にでき、室外熱交換器23で発揮される熱交換能力の低下をより効果的に防ぐことができる。
【0071】
尚、以上に説明した実施形態では、第二撹拌部29gの衝突部29g1を球形状とする場合を説明したが、第一撹拌部29cの衝突部29c1を球形状としてもよく、また、衝突部29g1と衝突部29c1とをともに球形状としてもよい。また、衝突部29g1の形状は立方体などの別の形状でもよく、第1の実施形態の第2衝突部29e1より容積が大きければよい。ただし、衝突部29c1を球形状としたほうが、立方体形状など角のある形状とするよりは、衝突部29c1で冷媒が受ける圧力損失を低減できるため、球形状とするのが好ましい。
【実施例3】
【0072】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第1の実施形態や第2の実施形態と異なるのは、冷媒導入部の第二撹拌部の形状であり、特に、第二撹拌部の衝突部の形状が、第1の実施形態や第2の実施形態と異なる。尚、上記以外の点については、第1の実施形態や第2の実施形態と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0073】
<第二撹拌部の形状>
本実施形態の冷媒導入部29では、第一の実施形態の第二撹拌部29eや第二の実施形態の第二撹拌部29gに代えて、
図5に示す第二撹拌部29hが備えられている。第二撹拌部29hは円管を用いてT字形状に形成されており、室外機2の設置面に対して水平方向に開口した第一開口部29h3と、上方に開口した第二開口部29h4の2つの開口部を有する。また、第二開口部29h4と180度反対側には、第一開口部29h3に向かって斜めに上昇するように、つまり、
図5の正面視で三角形状となるように衝突部29h1が形成されている。第一開口部29h3は、境界線L4で第二接続部29dに連続している。第二開口部29h4は、境界線L5で第二撹拌部29eより上方に配置されている第三接続部29fに連続している。そして、第二開口部29h4と衝突部29h1との間が、衝突空間29h2となっている。つまり、第二開口部29h4と衝突部29h1とは、衝突空間29h2を挟んで対向する配置となっている。
なお、第1の実施形態や第2の実施形態と同様に、上記の第二撹拌部29gの説明で使用した境界線L4とL5は、各々第二撹拌部29gの説明をわかりやすくするために
図4に描いた仮想の境界線である。
【0074】
<暖房運転時の室外機液管から室外熱交換器への冷媒の流れ>
上記のような第二撹拌部29hを有する冷媒導入部29を室外機2に備えた空気調和機1が暖房運転を行うとき、膨張弁24から流出した冷媒は、室外機液管63を流れて冷媒導入部29に流入する。
図5に示すように、冷媒導入部29に流入した冷媒は第三接続部29fを流れ、第二開口部29h4を介して第二撹拌部29hに流入する。
【0075】
第二撹拌部29hに流入した冷媒は、その大部分が衝突部29h1へと流れて衝突部29h1に衝突して上方へと反転する。そして、反転した冷媒と第三接続部29fから流入した冷媒とが衝突空間29h2でぶつかって撹拌されて、第二撹拌部29hから第一開口部29h3を介して第二接続部29dへと流出する。このように、第二撹拌部29hに流入した冷媒は、ガス冷媒と液冷媒とが撹拌されて第二接続部29dへと流れるので、第二接続部29dを冷媒が流れる際に第二接続部29dの内部で液冷媒が偏らない。
【0076】
衝突部29h1は、前述したように
図5の正面視で三角形状となっている。また、
図4と
図5とを比較すれば明らかなように、本実施形態の衝突部29h1の方が第2の実施形態の衝突部29g1と比べて容積が小さい。これらのことから、本実施形態の衝突部29h1の方が第2の実施形態の衝突部29g1と比べて冷媒を撹拌する効果は少ない。一方で、衝突部29h1を形成する第三開口部29h5を閉じて形成された面が、第二接続部29dに向かって斜めに傾いた形状とされているために、第1の実施形態の衝突部29e1や第2の実施形態の衝突部29g1と比べて、衝突部29h1で冷媒が受ける圧力損失が小さくなるので、第二撹拌部29hから第二接続部29dに冷媒が流れやすくなる。
【0077】
以上に説明したように、本実施形態の衝突部29h1の方が第1の実施形態の衝突部29e1や第2の実施形態の衝突部29g1と比べて、衝突部29h1で冷媒が受ける圧力損失が小さくなる。従って、冷媒が受ける圧力損失を減らしつつ、ガス冷媒と液冷媒との比率が均一化された冷媒を室外熱交換器23の下側パス23aと上側パス23bとに分配できる。これにより、各々のパスに流れる気液二相冷媒のガス冷媒と液冷媒との比率を均一にでき、室外熱交換器23で発揮される熱交換能力の低下をより効果的に抑制することができる。
【0078】
尚、以上に説明した実施形態では、第二撹拌部29hの衝突部29h1を三角形状とする場合を説明したが、第一撹拌部29cの衝突部29c1を三角形状としてもよく、また、衝突部29h1と衝突部29c1とをともに三角形状としてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 空気調和装置
2 室外機
3 室内機
10 冷媒回路
21 圧縮機
22 四方弁
23 室外熱交換器
23a 下側パス
23b 上側パス
23c 伝熱管
27 アキュムレータ
29 冷媒導入部
29a 分岐部
29a1 第一分岐管
29a2 第二分岐管
29b 第一接続部
29c 第一撹拌部
29c1 衝突部
29c2 衝突空間
29c3 第一開口部
29c4 第二開口部
29d 第二接続部
29e、29g、29h 第二撹拌部
29e1、29g1、29h1 衝突部
29e2、29g2、29h2 衝突空間
29e3、29g3、29h3 第一開口部
29e4、29g4、29h4 第二開口部
29f 第三接続部
63 室外機液管
80a 下部分配器
80b 上部分配器
200a 機械室
200b 熱交換室