(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】気密パッケージ及び気密パッケージの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/02 20060101AFI20221012BHJP
H01L 23/08 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
H01L23/02 D
H01L23/02 F
H01L23/08 C
(21)【出願番号】P 2018119988
(22)【出願日】2018-06-25
【審査請求日】2021-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】藤田 浩輝
【審査官】平林 雅行
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-050940(JP,A)
【文献】特開2016-082024(JP,A)
【文献】特開2010-153512(JP,A)
【文献】特開2010-016030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/339
H01L 21/54
H01L 23/00-23/04
H01L 23/06-23/10
H01L 23/16-23/26
H01L 27/14-27/148
H01L 27/30
H01L 29/762
H01L 31/00-31/02
H01L 31/0232
H01L 31/0248
H01L 31/0264
H01L 31/08
H01L 31/10
H01L 31/107-31/108
H01L 31/111
H01L 31/18
H01L 33/00
H01L 33/48-33/64
H01L 51/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁及び前記底壁から延びる周壁を有し、前記底壁及び前記周壁に囲まれる凹部に光電素子を収容可能なパッケージ基材と、
透光性を有し、前記凹部を塞ぐカバー部材と、
前記パッケージ基材及び前記カバー部材を接合する接合層と、を備え、
前記カバー部材は、前記凹部に面する透光部と、前記周壁の先端面と対向する接合部と、を有し、
前記周壁の前記先端面において、前記凹部に近い内側部分を第1先端面とし、前記凹部から遠い外側部分を第2先端面としたとき、
前記接合部は、前記第1先端面に接触する第1接合部と、前記第2先端面に前記接合層を介して接合される第2接合部と、を含
み、
前記接合層は、ガラスから構成されるとともに、平面視で、前記第2先端面の外縁及び前記第2接合部の外縁のいずれの外縁よりも中央側に位置する
気密パッケージ。
【請求項2】
前記カバー部材において、前記パッケージ基材に対向する面を内面としたとき、
前記透光部の内面及び前記第1接合部の内面は、同一平面上に存在する
請求項1に記載の気密パッケージ。
【請求項3】
前記カバー部材において、前記パッケージ基材に対向する面を内面とし、前記内面と逆側の面を外面としたとき、
前記透光部の外面及び前記接合部の外面は、同一平面上に存在する
請求項1又は請求項2に記載の気密パッケージ。
【請求項4】
前記透光部は、平板状をなす
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の気密パッケージ。
【請求項5】
前記透光部は、光学素子を有する
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の気密パッケージ。
【請求項6】
前記カバー部材は、ガラスである
請求項1~請求項5の何れか一項に記載の気密パッケージ。
【請求項7】
請求項1~請求項6の何れか一項に記載の気密パッケージの製造方法であって、
前記カバー部材の前記接合部が前記パッケージ基材の前記周壁の先端面に対向するように、前記カバー部材を前記パッケージ基材の前記周壁上に配置する配置工程と、
前記カバー部材の前記第1接合部が前記パッケージ基材の前記周壁の前記第1先端面に接触した状態で、前記カバー部材の前記第2接合部を前記パッケージ基材の前記周壁の前記第2先端面に前記接合層を介して接合する接合工程と、を備える
気密パッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気密パッケージ及び気密パッケージの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光電素子を収容する気密パッケージの一例として、開口部を有する容器部(パッケージ基材)と、開口部を塞ぐように容器部に接合される蓋部(カバー部材)と、容器部及び蓋部を接合する接合材(接合層)と、を備えるパッケージが記載されている。このパッケージにおいて、接合材は、容器部に塗布したガラスペーストなどが硬化処理されて形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなパッケージにおいて、容器部及び蓋部が接合される際には、例えば、ガラスペーストが軟化する程度に加熱された状態で、ガラスペーストに圧縮荷重が加えられる。このため、ガラスペーストの塗布量及びガラスペーストに加えられる圧縮荷重などにばらつきがあると、軟化したガラスペーストが容器部の内部に流入するおそれがある。そして、このような流入が生じると、容器部内に配置された光電素子に悪影響を及ぼしたり、パッケージの気密性が低下したりするおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、カバー部材及びパッケージ基材を接合する際に、パッケージ基材の凹部に接合層がはみ出ることを抑制できる気密パッケージ及び気密パッケージの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する気密パッケージは、底壁及び前記底壁から延びる周壁を有し、前記底壁及び前記周壁に囲まれる凹部に光電素子を収容可能なパッケージ基材と、透光性を有し、前記凹部を塞ぐカバー部材と、前記パッケージ基材及び前記カバー部材を接合する接合層と、を備え、前記カバー部材は、前記凹部に面する透光部と、前記周壁の先端面と対向する接合層と、を有し、前記周壁の前記先端面において、前記凹部に近い内側部分を第1先端面とし、前記凹部から遠い外側部分を第2先端面としたとき、前記接合部は、前記第1先端面に接触する第1接合部と、前記第2先端面に前記接合層を介して接合される第2接合部と、を含む。
【0007】
上記構成によれば、カバー部材の第1接合部がパッケージ基材の周壁の第1先端面に接触する。このため、光電素子が収容される凹部は、接合層が設けられる空間、すなわち、カバー部材の第2接合部及びパッケージ基材の第2先端面の間の空間に接続しにくくなる。したがって、カバー部材及びパッケージ基材を接合するために、接合層の元となる接合材料に圧縮荷重が作用しても、接合材料が凹部の内部に流れにくい。よって、気密パッケージは、パッケージ基材の凹部に接合層がはみ出ることを抑制できる。
【0008】
前記カバー部材において、前記パッケージ基材に対向する面を内面としたとき、前記透光部の内面及び前記第1接合部の内面は、同一平面上に存在することが好ましい。
上記構成の気密パッケージは、カバー部材の製造が容易となる。例えば、研磨工程などを経て、透光部の内面及び第1接合部の内面を一度に作り込むことが可能となる。
【0009】
前記カバー部材において、前記パッケージ基材に対向する面を内面とし、前記内面と逆側の面を外面としたとき、前記透光部の外面及び前記接合部の外面は、同一平面上に存在することが好ましい。
【0010】
上記構成の気密パッケージは、カバー部材の製造が容易となる。例えば、研磨工程などを経て、透光部の外面及び接合部の外面を一度に作り込むことが可能となる。
上記気密パッケージにおいて、前記透光部は、平板状をなすことが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、透光部に入射した光は、そのまま透光部を通過する。このため、気密パッケージは、透光部を、凹部を覆うだけの単なるカバーとして機能させることができる。
【0012】
上記気密パッケージにおいて、前記透光部は、光学素子を有することが好ましい。
上記構成によれば、気密パッケージは、透光部に、入射した光を集光、分散、回折又は屈折させるなどの光学機能を持たせることができる。
【0013】
上記気密パッケージにおいて、前記カバー部材は、ガラスであることが好ましい。
上記構成によれば、モールドプレスなどの製造方法により、透光部及び接合部のカバー部材の形状を作り込むことが容易となる。
【0014】
上記課題を解決する気密パッケージの製造方法は、上述した何れかの気密パッケージの製造方法であって、前記カバー部材の前記接合部が前記パッケージ基材の前記周壁の先端面に対向するように、前記カバー部材を前記パッケージ基材の前記周壁上に配置する配置工程と、前記カバー部材の前記第1接合部が前記パッケージ基材の前記周壁の前記第1先端面に接触した状態で、前記カバー部材の前記第2接合部を前記パッケージ基材の前記周壁の前記第2先端面に前記接合層を介して接合する接合工程と、を備える。
【0015】
上記構成によれば、気密パッケージの製造方法において、上述した気密パッケージが奏する作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、カバー部材及びパッケージ基材を接合する際に、パッケージ基材の凹部に接合層がはみ出ることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(a)は電子デバイスの平面図、(b)は1b-1b線矢視端面図。
【
図2】(a)~(c)は電子デバイスの製造方法を説明する端面図。
【
図3】(a)は、第1の変更例に係る電子デバイスの端面図、(b)は第2の変更例に係る電子デバイスの端面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、気密パッケージ(電子デバイス)の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1(a),(b)に示すように、電子デバイス10は、光電素子11と、光電素子11を封止する気密パッケージ12と、を備える。気密パッケージ12は、光電素子11を収容するパッケージ基材20と、パッケージ基材20とともに光電素子11を封止するカバー部材30と、パッケージ基材20及びカバー部材30を接合する接合層40と、を備える。本実施形態において、電子デバイス10は、1辺が数mm~数cm程度の箱状をなす。
【0019】
光電素子11は、発光ダイオード又は半導体レーザなどの発光素子としてもよいし、フォトダイオード、フォトトランジスタ又は光電管などの受光素子としてもよい。光電素子11は、例えば、深紫外線などの波長の光を扱う。気密パッケージ12には、1以上の光電素子11を封止してもよいし、発光素子及び受光素子の組を封止してもよい。
【0020】
パッケージ基材20は、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ジルコニア或いはムライトなどのセラミック、低温同時焼成セラミックスなどのガラスセラミック又はガラスなどで構成される。低温同時焼成セラミックスは、例えば、酸化チタン又は酸化ニオブなどの無機粉末及びガラス粉末の焼結体である。
【0021】
パッケージ基材20は、平面視矩形状をなす底壁21と、底壁21から延びる周壁22と、を有する。底壁21に対して周壁22が延びる方向(延設方向)において、周壁22の高さは一定である。つまり、周壁22の先端面23は、平面状をなしている。また、パッケージ基材20には、底壁21及び周壁22に囲われる空間として、凹部24が形成される。凹部24は、光電素子11を収容するための空間である。
【0022】
以降の説明では、
図1(b)に示すように、周壁22の先端面23において、前記凹部24に近い内側部分を第1先端面25とし、凹部24から遠い外側部分を第2先端面26とする。第1先端面25は周壁22の内側面に接続する面であり、第2先端面26は周壁22の外側面に接続する面である。第1先端面25及び第2先端面26は、同一平面上に存在する連続する面である。
【0023】
カバー部材30は、例えば、深紫外線など、光電素子11が扱う光の波長に対し透過性を有する透明材料で構成される。一例として、カバー部材30は、厚さが0.5mmの板状に形成したときに、光電素子11が扱う波長の光の透過率が70%以上となる透明材料で構成されることが好ましい。透明材料は、例えば、SiO2-B2O3-RO(RはMg、Ca、Sr又はBa)系ガラス、SiO2-B2O3-R’2O(R’はLi、Na又はKa)系ガラス、SiO2-B2O3-RO-R’2O系ガラス、SnO-P2O5系ガラス、TeO2系ガラス又はBi2O3系ガラスなどで構成される。
【0024】
カバー部材30は、平面視矩形の板状部材であり、凹部24を塞ぐことのできる大きさを有する。カバー部材30は、光を通す透光部31と、気密パッケージ12の周壁22の先端面23に接合する接合部32と、を有する。透光部31は、カバー部材30の中央部分であって、凹部24に面する。接合部32は、カバー部材30の周縁部分であって、パッケージ基材20の周壁22の先端面23に対向する。カバー部材30は、例えば、モールドプレス、研削、研磨又はエッチング等により形成される。以降の説明では、カバー部材30において、パッケージ基材20に対向する面を「内面」とも言い、内面と逆側の面を「外面」とも言う。
【0025】
透光部31は、平板状をなしている。透光部31は、透光性が低下しないように、0.1mm~2.0mm程度の厚さとすることが好ましい。
接合部32は、第1先端面25に接触する第1接合部33と、第2先端面26に接合層40を介して接合される第2接合部34と、を含む。カバー部材30の内面において、第1接合部33は、第2接合部34よりも突出する。すなわち、第1接合部33及び第2接合部34の間には段差が設けられる。第1接合部33及び第2接合部34の外面及び内面は、平面状をなしている。つまり、接合部32において、第2接合部34は、第1接合部33よりも薄くなっている。
【0026】
また、透光部31及び接合部32(第1接合部33及び第2接合部34)の外面は同一平面上に存在するように連続し、透光部31及び第1接合部33の内面は同一平面上に存在するように連続する。つまり、透光部31及び第1接合部33は、厚さが等しくなっている。一例として、第1接合部33は、0.1mm~2.0mm程度の厚さとし、第2接合部34は、第1接合部33よりもわずかに薄くすることが好ましい。
【0027】
接合層40は、例えば、低融点ガラス粉末を含むガラスペーストを加熱することで形成される。低融点ガラス粉末は、例えば、Bi2O3系ガラス粉末、SnO-P2O5系ガラス粉末又はV2O5-TeO2系ガラス粉末などであればよい。ガラスペーストは、低融点ガラス粉末に加え、低膨張耐火性フィラー及びレーザー光吸収材などを含んでもよい。
【0028】
接合層40は、パッケージ基材20の先端面23及びカバー部材30の接合部32の間に、周壁22の全周に亘って形成される。気密パッケージ12の平面視において、接合層40の形成範囲は、パッケージ基材20の周壁22の先端面23に重なるとともに、カバー部材30の接合部32の形成範囲に重なる。詳しくは、接合層40の形成範囲は、周壁22の先端面23よりも狭く、接合部32の形成範囲よりも狭い。このため、
図1(a)に示すように、接合層40の幅W1は、周壁22及び接合部32の幅W2未満となる。なお、接合層40は、数μm~数十μm程度の厚さとすることが好ましい。
【0029】
次に、
図2(a)~(c)を参照して、電子デバイス10(気密パッケージ12)の製造方法について説明する。なお、光電素子11、パッケージ基材20及びカバー部材30は、既に準備されているものとする。
【0030】
図2(a)に示すように、カバー部材30の第2接合部34の内面にガラスペースト41が環状(本実施形態では額縁状)に塗布される(塗布工程)。ガラスペースト41は、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷又はインクジェット印刷などにより、カバー部材30に塗布すればよい。
【0031】
なお、カバー部材30にガラスペースト41を塗布した後、いわゆる仮焼処理を施してもよい。具体的には、ガラスペースト41を塗布したカバー部材30を加熱炉内に投入する等して加熱し、ガラスペースト41に含まれるバインダーを除去しつつ、ガラスペースト41を一旦固化する処理を施してもよい。
【0032】
そして、
図2(b)に示すように、パッケージ基材20の凹部24に光電素子11が収容された後に、カバー部材30がパッケージ基材20上に配置される(配置工程)。配置工程では、第1接合部33が周壁22の第1先端面25に対向するとともに、第2接合部34が周壁22の第2先端面26に対向するように、カバー部材30がパッケージ基材20上に配置される。すると、カバー部材30の第2接合部34に塗布したガラスペースト41が、パッケージ基材20の周壁22の第2先端面26に接触する。その後、ガラスペースト41を加熱し、ガラスペースト41を軟化させる(加熱工程)。ガラスペースト41の加熱は、例えば、ガラスペースト41にレーザー光を照射することにより行われる。なお、ガラスペースト41は、流動可能な程度の粘度まで軟化させてもよいし、濡れ広がる程度の粘度まで軟化させてもよい。
【0033】
最後に、
図2(c)に示すように、カバー部材30がパッケージ基材20に押し付けられる(接合工程)。接合工程では、接合層40に圧縮荷重が作用することで、接合層40が荷重方向と交差する方向に広がろうとする。この点、本実施形態では、カバー部材30の第1接合部33及びパッケージ基材20の周壁22の第1先端面25が接触するため、接合層40が凹部24に向かって流動しにくい。言い換えれば、接合層40は、凹部24とは逆方向に向かって流動しやすい。このため、接合層40が凹部24にはみ出ることが抑制される。
【0034】
その後、電子デバイス10(気密パッケージ12)が徐冷され、軟化した接合層40が固化する。その結果、カバー部材30の第2接合部34が、パッケージ基材20の周壁22の第2先端面26に接合層40を介して接合され、光電素子11が凹部24内に封止される。
【0035】
本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)気密パッケージ12において、カバー部材30の第1接合部33は、パッケージ基材20の周壁22の第1先端面25に接触する。このため、カバー部材30及びパッケージ基材20を接合するために、接合層40に圧縮荷重が作用しても、接合層40が凹部24の内部に流れにくい。よって、気密パッケージ12は、パッケージ基材20の凹部24に接合層40がはみ出ることを抑制できる。
【0036】
(2)気密パッケージ12は、透光部31の内面及び第1接合部33の内面が同一平面上に存在するため、カバー部材30の製造が容易となる。例えば、研磨工程などを経て、透光部31の内面及び第1接合部33の内面を一度に作り込むことが可能となる。
【0037】
(3)気密パッケージ12は、前記透光部31の外面及び前記接合部32の外面が同一平面上に存在するため、カバー部材30の製造が容易となる。例えば、研磨工程などを経て、透光部31の外面及び接合部32の外面を一度に作り込むことが可能となる。
【0038】
(4)気密パッケージ12において、カバー部材30の透光部31は、平板状をなすため、透光部31に入射した光は、そのまま透光部31を通過する。このため、気密パッケージ12は、透光部31を、凹部24を覆うだけの単なるガラスカバーとして機能させることができる。
【0039】
(5)カバー部材30は、ガラスにより構成されるため、モールドプレスなどの製造方法により、透光部31及び接合部32のカバー部材30の形状を作り込むことが容易となる。
【0040】
(6)カバー部材30は、第1接合部33の側面及び第2接合部34の底面の互いに交差する2つの面で接合層40と接合される。このため、気密パッケージ12は、カバー部材30及び接合層40との接合強度を高めることができる。
【0041】
(7)塗布工程において、パッケージ基材20の周壁22の先端面23にガラスペースト41を塗布する場合には、第1先端面25及び第2先端面26の境界が明確でない点で、第1先端面25にガラスペースト41が塗布される可能性がある。この場合、カバー部材30の第1接合部33がパッケージ基材20の周壁22の第1先端面25に接触しなくなり、接合層40が凹部24にはみ出すおそれがある。この点、本実施形態では、塗布工程において、カバー部材30の第1接合部33と段差のある第2接合部34にガラスペースト41を塗布する。このため、上記事態の発生を回避できる。
【0042】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・
図3(a)に示すように、電子デバイス10(気密パッケージ12)は、第1の変更例に係る電子デバイス10A(気密パッケージ12A)としてもよい。気密パッケージ12Aのカバー部材30Aは、透光部31Aに回折格子又はモスアイ構造などの光学素子35を有する。これによれば、気密パッケージ12は、透光部31Aに、入射した光を分散、屈折又は回折させるなどの光学機能を持たせることができる。
【0043】
また、気密パッケージ12Aは、上記実施形態と同様に、カバー部材30の第1接合部33及びパッケージ基材20の周壁22の第1先端面25が接触する点で、底壁21に配置される光電素子11から、カバー部材30の透光部31(光学素子)までの距離が一定に定まりやすい。よって、気密パッケージ12Aは、電子デバイス10Aの性能に影響を与える光電素子11及び光学素子35の距離を管理しやすい。
【0044】
・
図3(a)に示す第1の変更例において、光学素子35は、レンズとしてもよい。この場合、カバー部材30の接合部32の突出量を抑えるために、レンズは、フレネルレンズなどの薄型レンズとすることが好ましい。さらに、この場合には、透光部31の厚さが接合部32の厚さ以上となってもよい。なお、光学素子35は、一体成形や後加工によりカバー部材30Aと一体的に構成されてもよく、透光部31Aに別体部品を取り付けることにより構成されてもよい。
【0045】
・
図3(b)に示すように、電子デバイス10(気密パッケージ12)は、第2の変更例に係る電子デバイス10B(気密パッケージ12B)としてもよい。パッケージ基材20の周壁22の先端面23において、第1先端面25及び第2先端面26よりも、凹部24から遠い外側部分を第3先端面27としたとき、気密パッケージ12Bのカバー部材30Bの接合部32Bは、第1接合部33と、第2接合部34と、第3先端面27と接触する第3接合部36と、を有する。これによれば、気密パッケージ12Bは、凹部24だけでなく、気密パッケージ12Bの外部に対する接合層40のはみ出しを抑制できる。ただし、接合層40を形成するガラスペースト41の塗布量及び塗布位置は、接合層40が形成される空間の容積に応じて詳細に決定することが好ましい。
【0046】
・上記実施形態において、平面は、表面に凹凸のない完全な平面のみを言うものではなく、加工等の関係で適宜の凹凸を有してもよい。
・カバー部材30の形状は適宜に変更してもよい。例えば、透光部31の外面及び接合部32の外面は同一平面上になくてもよいし、透光部31の内面及び第1接合部33の内面は同一平面上になくてもよい。
【0047】
・電子デバイス10(気密パッケージ12)の大きさ及び形状は、適宜に変更してもよい。例えば、電子デバイス10(気密パッケージ12)は、平面視円形に形成してもよい。
【0048】
・カバー部材30は、樹脂又はセラミックなどの透明材料で構成してもよい。この場合、接合層40は、接着剤又はハンダなどにより形成してもよい。
・加熱工程は、ガラスペースト41の加熱にレーザー光を用いなくてもよい。例えば、加熱工程は、ガラスペースト41の加熱に電熱ヒーター等を用いてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10,10A,10B…電子デバイス、11…光電素子、12,12A,12B…気密パッケージ、20…パッケージ基材、21…底壁、22…周壁、23…先端面、24…凹部、25…第1先端面、26…第2先端面、27…第3先端面、30…カバー部材、31…透光部、32…接合部、33…第1接合部、34…第2接合部、35…光学素子、36…第3接合部、40…接合層、41…ガラスペースト,W1,W2…幅。