(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】現像剤搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
G03G15/08 347
(21)【出願番号】P 2018145560
(22)【出願日】2018-08-02
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】柿田 昭彦
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-064937(JP,A)
【文献】特開2001-125448(JP,A)
【文献】特開2012-098319(JP,A)
【文献】特開2012-083524(JP,A)
【文献】特開2000-098724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を搬送する現像剤搬送装置であって、
現像剤を貯留する貯留部材と、
前記貯留部材に収納され、現像剤を搬送する搬送部材と、を備え、
前記貯留部材は、前記貯留部材を内部に有する画像形成装置本体の底面からの高さに関して、前記搬送部材によって搬送される現像剤の搬送方向の上流側の高さよりも下流側の高さの方が高くなるように配置され、
前記搬送部材は、第1領域と当該第1領域よりも前記搬送方向の下流側に位置する第2領域とを有し、前記第2領域における現像剤の搬送力が、前記第1領域における現像剤の搬送力よりも、相対的に高く調整されて
おり、
前記搬送部材は、回転することにより前記貯留部材に貯留された現像剤を搬送する螺旋状の羽根部を有し、
前記羽根部は、ピッチ毎に少なくとも1つの切り欠き部又は穴部を有し、前記第1領域の前記切り欠き部又は前記穴部の面積は、前記第2領域の前記切り欠き部又は前記穴部の面積よりも大きく、
前記第1領域の最上流側に位置する前記羽根部の1周分には、前記切り欠き部又は前記穴部が形成されていない、
ことを特徴とする現像剤搬送装置。
【請求項2】
現像剤を搬送する現像剤搬送装置であって、
現像剤を貯留する貯留部材と、
前記貯留部材に収納され、現像剤を搬送する搬送部材と、を備え、
前記貯留部材は、前記貯留部材を内部に有する画像形成装置本体の底面からの高さに関して、前記搬送部材によって搬送される現像剤の搬送方向の上流側の高さよりも下流側の高さの方が高くなるように配置され、
前記搬送部材は、第1領域と当該第1領域よりも前記搬送方向の下流側に位置する第2領域とを有し、前記第2領域における現像剤の搬送力が、前記第1領域における現像剤の搬送力よりも、相対的に高く調整されて
おり、
前記搬送部材は、回転することにより前記貯留部材に貯留された現像剤を搬送する螺旋状の羽根部を有し、前記第1領域の前記羽根部のピッチは、前記第2領域の前記羽根部のピッチよりも短い、
ことを特徴とする現像剤搬送装置。
【請求項3】
前記貯留部材は、前記第2領域に対応する部分の上面の一部に、前記貯留部材の外側に膨らむ凸部を有し、前記凸部により、前記第2領域に搬送される
現像剤の一部を前記第1領域に戻す空間が形成される、
ことを特徴とする請求項1
、または請求項2に記載の現像剤搬送装置。
【請求項4】
現像剤を搬送する現像剤搬送装置であって、
現像剤を貯留する貯留部材と、
前記貯留部材に収納され、現像剤を搬送する搬送部材と、を備え、
前記貯留部材は、前記貯留部材を内部に有する画像形成装置本体の底面からの高さに関して、前記搬送部材によって搬送される現像剤の搬送方向の上流側の高さよりも下流側の高さの方が高くなるように
傾斜して配置され、
前記搬送部材は、第1領域と当該第1領域よりも前記搬送方向の下流側に位置する第2領域とを有し、前記第2領域における現像剤の搬送力が、前記第1領域における現像剤の搬送力よりも、相対的に高く調整されて
おり、
前記貯留部材は、前記第2領域に対応する部分の上面の一部に、前記貯留部材の外側に膨らむ凸部を有し、前記凸部により、前記第2領域に搬送された余剰の現像剤の一部が落下することで現像剤を前記第1領域側に戻す空間が形成される、
ことを特徴とする現像剤搬送装置。
【請求項5】
前記搬送部材は、回転することにより前記貯留部材に貯留された現像剤を搬送する螺旋状の羽根部を有し、
前記羽根部は、ピッチ毎に少なくとも1つの切り欠き部
又は穴部を有し、前記第1領域の前記切り欠き部
又は前記穴部の面積は、前記第2領域の前記切り欠き部
又は前記穴部の面積よりも大きい、
ことを特徴とする請求項
4に記載の現像剤搬送装置。
【請求項6】
少なくとも前記第1領域の前記切り欠き部の切り欠き形状は、3以上の連続する直線で構成される、
ことを特徴とする請求項
5に記載の現像剤搬送装置。
【請求項7】
少なくとも前記第1領域の前記切り欠き部の切り欠き形状は、連続曲線で構成され、前記連続曲線の曲率の中心の少なくとも1つは、前記羽根部を切り欠いた領域内にある、
ことを特徴とする請求項
5に記載の現像剤搬送装置。
【請求項8】
前記羽根部の外周上における前記切り欠き部の端部間の距離は、予め定めた所定値以下に設定されている、
ことを特徴とする請求項
5乃至
7のいずれか一に記載の現像剤搬送装置。
【請求項9】
前記第2領域の最下流側に位置する前記羽根部の半周分には、前記切り欠き部又は前記穴部が形成されていない、
ことを特徴とする請求項
5乃至
8のいずれか一に記載の現像剤搬送装置。
【請求項10】
前記第1領域の最上流側に位置する前記羽根部の1周分には、前記切り欠き部又は前記穴部が形成されていない、
ことを特徴とする請求項
5乃至
9のいずれか一に記載の現像剤搬送装置。
【請求項11】
前記貯留部材は、現像剤の貯留レベルを検知するセンサを備え、
前記搬送部材の前記羽根部は、連続する前記切り欠き部又は前記穴部を横断して設置される、前記センサを清掃する清掃部材を取り付ける部位を有する、
ことを特徴とする請求項
5乃至
10のいずれか一に記載の現像剤搬送装置。
【請求項12】
前記搬送部材は、回転することにより前記貯留部材に貯留された現像剤を搬送する螺旋状の羽根部を有し、前記第1領域の前記羽根部のピッチは、前記第2領域の前記羽根部のピッチよりも短い、
ことを特徴とする請求項
4に記載の現像剤搬送装置。
【請求項13】
前記搬送部材は、回転することにより前記貯留部材に貯留された現像剤を搬送する螺旋状の羽根部を有し、前記第1領域の前記羽根部の外径は、前記第2領域の前記羽根部の外径よりも小さい、
ことを特徴とする請求項
4に記載の現像剤搬送装置。
【請求項14】
現像剤を収納する現像剤容器と、請求項1乃至
13のいずれか一に記載の前記現像剤搬送装置と、前記現像剤搬送装置から補給された現像剤を用いて現像を行う現像部と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤を搬送する現像剤搬送装置及び当該現像剤搬送装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、感光体上に形成された静電潜像に現像部から現像剤(トナー)を供給して顕像化し、当該顕像化されたトナー像を記録シート上に転写した後、熱定着して画像形成が行われる。上記画像形成装置では、設計上、現像装置のスペースを大きく確保することができないため、現像部の上方に、交換可能で容量の大きな現像剤容器を配置し、現像剤搬送装置を用いて、現像剤容器から現像部に現像剤を搬送している。
【0003】
この現像剤搬送装置は、現像剤を貯留する貯留部材と、貯留部材に収納され、回転することにより貯留部材に貯留された現像剤を搬送する螺旋状の羽根部を有する搬送部材と、を備えている。また、貯留部材は、現像剤の貯留レベルを検知するセンサを備えており、現像剤が貯留レベルを下回ったときに、現像剤容器から、現像剤の貯留量を一定に保つだけの量の現像剤が供給される。
【0004】
このような現像剤搬送装置に関して、例えば、下記特許文献1には、現像剤を貯留する貯留部材と、前記貯留部材に収納され、回転することにより前記貯留部材に貯留された現像剤を搬送する螺旋状の羽根部を有する搬送部材と、を備え、前記貯留部材は、前記貯留部材を内部に有する画像形成装置本体の底面からの高さに関して前記搬送部材によって搬送される現像剤の搬送方向の上流側の高さよりも下流側の高さの方が高くなるように配置され、前記羽根部は、第1領域及び前記搬送方向に対して前記第1領域よりも上流側に位置する第2領域を有し、少なくとも前記第1領域の羽根部は、該羽根部のピッチ毎に少なくとも1つの欠落部を有する現像剤搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した現像剤搬送装置は、貯留部材に貯留された現像剤を適切に現像部に供給することが求められることから、貯留部材の羽根部で現像剤を撹拌しながら下流側に押し出すことによって現像剤に推進力を与えているが、この推進力が弱いと下流側への現像剤の供給不足を起こし、推進力が強すぎると現像剤表面の保護膜が剥がれたり粉体が凝集したりするなどの現像剤の疲労を招いてしまう。
【0007】
この問題に対して、特許文献1では現像剤の疲労を低減するために、貯留部材が現像剤の搬送方向の上流側よりも下流側の方が高くなるように配置されている場合、下流側の領域の羽根部に、ピッチ毎に少なくとも1つの欠落部を設けて、下流側の現像剤の搬送力を落としている。しかしながら、この構成では、下流側から大量の現像剤の供給が要望されたとき、現像剤の供給量が低下して応答に遅れが生じ、場合によっては、現像部が要求する供給量が得られるまで現像装置全体の動作を停止しなければならなくなる。すなわち、従来技術では、現像剤の疲労の低減と下流側への現像剤の供給量の確保とを両立させることができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、現像剤の下流側への供給不足を抑制しつつ、現像剤の疲労を低減することができる現像剤搬送装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面は、現像剤を搬送する現像剤搬送装置であって、現像剤を貯留する貯留部材と、前記貯留部材に収納され、現像剤を搬送する搬送部材と、を備え、前記貯留部材は、前記貯留部材を内部に有する画像形成装置本体の底面からの高さに関して、前記搬送部材によって搬送される現像剤の搬送方向の上流側の高さよりも下流側の高さの方が高くなるように配置され、前記搬送部材は、第1領域と当該第1領域よりも前記搬送方向の下流側に位置する第2領域とを有し、前記第2領域における現像剤の搬送力が、前記第1領域における現像剤の搬送力よりも、相対的に高く調整されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の一側面は、画像形成装置に、現像剤を収納する現像剤容器と、前記現像剤搬送装置と、前記現像剤搬送装置から補給された現像剤を用いて現像を行う現像部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の現像剤搬送装置及び画像形成装置によれば、現像剤の下流側への供給不足を抑制しつつ、現像剤の疲労を低減することができる。
【0012】
その理由は、現像剤を搬送する現像剤搬送装置に、現像剤を貯留する貯留部材と、貯留部材に収納され、現像剤を搬送する搬送部材と、を備え、貯留部材は、貯留部材を内部に有する画像形成装置本体の底面からの高さに関して、搬送部材によって搬送される現像剤の搬送方向の上流側の高さよりも下流側の高さの方が高くなるように配置され、搬送部材は、第1領域と当該第1領域よりも搬送方向の下流側に位置する第2領域とを有し、第2領域における現像剤の搬送力が、第1領域における現像剤の搬送力よりも、相対的に高く調整されているからである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施例に係る現像装置の構成を示す模式図である。
【
図4】本発明の第1の実施例に係る現像剤搬送装置の構成を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第1の実施例に係る現像剤搬送装置の構成を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第1の実施例に係る現像剤搬送装置の動作を説明する模式図である。
【
図7】本発明の第1の実施例に係る現像剤搬送装置における羽根部の構造を示す斜視図である。
【
図8】本発明の第1の実施例に係る現像剤搬送装置における羽根部の構造を示す斜視図である。
【
図9】本発明の第1の実施例に係る羽根部に設ける切り欠き部の形状を示す模式図である。
【
図10】本発明の第1の実施例に係る羽根部に設ける切り欠き部の配置を示す模式図である。
【
図11】本発明の第1の実施例に係る羽根部に設ける切り欠き部の配置を示す模式図である。
【
図12】本発明の第1の実施例に係る羽根部に設ける穴部を示す模式図である。
【
図13】本発明の第2の実施例に係る現像剤搬送装置における羽根部の構造(羽根部のピッチを変えた例)を示す斜視図である。
【
図14】本発明の第2の実施例に係る現像剤搬送装置における羽根部の構造(羽根部の外径を変えた例)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
背景技術で示したように、画像形成装置では、設計上、現像装置のスペースを大きく確保することができないため、現像部の上方に、交換可能で容量の大きな現像剤容器を配置し、現像剤搬送装置を用いて、現像剤容器から現像部に現像剤を搬送している。この現像剤搬送装置では、貯留部材の羽根部で現像剤を撹拌しながら下流側に押し出すことによって現像剤に推進力を与えているが、この推進力が弱いと下流側への供給不足を起こし、推進力が強すぎると現像剤表面の保護膜が剥がれたり粉体が凝集したりするなどの現像剤の疲労を招いてしまう。そこで、特許文献1では、下流側の領域の羽根部にピッチ毎に少なくとも1つの欠落部を設けて、下流側の搬送力を落としているが、この構成では、下流側から大量の現像剤の供給を要望されたとき、現像剤の供給量が低下して応答に遅れが生じてしまい、上記現像剤の疲労の低減と下流側への現像剤の供給量の確保とを両立させることができない。
【0015】
そこで、本発明の一実施の形態では、現像剤を搬送する現像剤搬送装置に、現像剤を貯留する貯留部材と、貯留部材に収納され、現像剤を搬送する搬送部材と、を備え、貯留部材は、貯留部材を内部に有する画像形成装置本体の底面からの高さに関して、搬送部材によって搬送される現像剤の搬送方向の上流側の高さよりも下流側の高さの方が高くなるように配置され、搬送部材は、第1領域と当該第1領域よりも搬送方向の下流側に位置する第2領域とを有し、第2領域における現像剤の搬送力が、第1領域における現像剤の搬送力よりも、相対的に高くなるように調整する。
【0016】
具体的には、搬送部材に、回転することにより貯留部材に貯留された現像剤を搬送する螺旋状の羽根部を設け、羽根部に、ピッチ毎に少なくとも1つの切り欠き部や穴部を設ける。そして、第1領域の切り欠き部や穴部の面積が、第2領域の切り欠き部や穴部の面積よりも大きくなるようにしたり、第1領域の羽根部のピッチが、第2領域の羽根部のピッチよりも短くなるようにしたり、第1領域の羽根部の外径が、第2領域の羽根部の外径よりも小さくなるようにしたりして、上流側に常時、一定量の現像剤が貯留するようにしつつ、下流側に十分な現像剤を供給できるようにする。また、貯留部材の第2領域に対応する部分の上面の一部に貯留部材の外側に膨らむ凸部を設け、この凸部により、第2領域に搬送される現像液の一部を第1領域に戻す空間が形成されるようにして、下流側に現像剤が余剰に搬送されることによる現像剤の疲労を防止する。また、羽根部の外周上における切り欠き部の端部間の距離が所定値以下になるようにして、搬送力の途絶を抑え、上流側に残留する現像剤量を最小限に抑える。また、羽根部の最上流部には切り欠き部や穴部を設けないようにして、上流側に残留する現像剤量を最小限に抑える。また、羽根部の最下流部には切り欠き部や穴部を設けないようにして、貯留部材から排出される現像剤の供給が滞らないようにする。
また、本発明の一実施形態では、現像剤を搬送する現像剤搬送装置に、現像剤を貯留する貯留部材と、前記貯留部材に収納され、現像剤を搬送する搬送部材と、を備え、前記貯留部材は、前記貯留部材を内部に有する画像形成装置本体の底面からの高さに関して、前記搬送部材によって搬送される現像剤の搬送方向の上流側の高さよりも下流側の高さの方が高くなるように傾斜して配置され、前記搬送部材は、第1領域と当該第1領域よりも前記搬送方向の下流側に位置する第2領域とを有し、前記第2領域における現像剤の搬送力が、前記第1領域における現像剤の搬送力よりも、相対的に高く調整されており、前記貯留部材は、前記第2領域に対応する部分の上面の一部に、前記貯留部材の外側に膨らむ凸部を有し、前記凸部により、前記第2領域に搬送された余剰の現像剤の一部が落下することで現像剤を前記第1領域側に戻す空間が形成される。
【0017】
このように、上流側よりも下流側の搬送力を大きくすることにより、現像剤を下流側に十分に供給することができる。また、下流側に余剰に供給された現像剤を上流側に戻す空間を設けることにより、現像剤表面の保護膜が剥がれ、粉体が凝集して大きさや形状が規格外となるといった不具合を未然に防止することができる。
【実施例1】
【0018】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の第1の実施例に係る現像剤搬送装置及び画像形成装置について、
図1乃至
図12を参照して説明する。
図1及び
図2は、本実施例の画像形成装置の構成を示す模式図及びブロック図であり、
図3は、現像装置の構成を示す模式図である。また、
図4及び
図5は、本実施例の現像剤搬送装置の構成を示す斜視図であり、
図6は、現像剤搬送装置の動作を説明する模式図である。また、
図7及び
図8は、本実施例の現像剤搬送装置における羽根部の構造を示す斜視図であり、
図9は、羽根部に設ける切り欠き部の形状を示す模式図である。また、
図10及び
図11は、羽根部に設ける切り欠き部の配置を示す模式図であり、
図12は、羽根部に設ける穴部を示す模式図である。
【0019】
まず、本実施例の画像形成装置について、
図1及び
図2を参照して説明する。
【0020】
本実施例の画像形成装置1は、原稿を読み取って取得した画像データ、又は、通信ネットワークを介して外部の情報機器(例えばクライアント装置)から入力された画像データに基づいて、用紙に色を重ね合わせることにより画像を形成する。この画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に対応する感光体としての感光体ドラム90Y、90M、90C、90Kが、被転写体(画像形成装置1では中間転写ベルト151)の走行方向に直列配置された、被転写体に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式の画像形成装置である。
【0021】
この画像形成装置1は、
図2(a)に示すように、制御部10、記憶部20、ネットワークI/F部30、表示操作部40、画像読取部50、画像処理部60、搬送部70、画像形成部80などで構成される。
【0022】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12やRAM(Random Access Memory)13等のメモリとで構成される。CPU11は、ROM12又は記憶部20から処理内容に応じたプログラムを読み出し、RAM13に展開して実行することにより、画像形成装置1の各ブロック(表示操作部40、画像読取部50、画像処理部60、搬送部70、画像形成部80等)の動作を集中制御する。
【0023】
記憶部20は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などで構成され、CPU11が各部を制御するためのプログラム、自装置の処理機能に関する情報、画像読取部50が読み取った画像データ、図示しないクライアント装置などから入力された画像データなどを記憶する。
【0024】
ネットワークI/F部30は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成され、画像形成装置1をLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続し、外部の情報機器(例えばクライアント装置)との間で各種データの送受信を行う。
【0025】
表示操作部40は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの表示部上に透明電極が格子状に配置された感圧式や静電容量式の操作部(タッチセンサ)を設けたタッチパネルなどで構成され、表示部及び操作部として機能する。表示部は、制御部10から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部は、ユーザによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部10に出力する。
【0026】
画像読取部50は、
図1に示すように、ADF(Auto Document Feeder)と呼ばれる自動原稿給紙装置51及び原稿画像走査装置(スキャナー)52などで構成される。自動原稿給紙装置51は、原稿トレイに載置された原稿を搬送機構により搬送して原稿画像走査装置52へ送り出す。原稿画像走査装置52は、自動原稿給紙装置51からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサの受光面上に結像させて原稿画像を読み取る。画像読取部50によって読み取られた画像(アナログ画像信号)には、画像処理部60において所定の画像処理が施される。
【0027】
画像処理部60は、アナログデジタル(A/D)変換処理を行う回路及びデジタル画像処理を行う回路などで構成される。画像処理部60は、画像読取部50からのアナログ画像信号にA/D変換処理を施すことによりデジタル画像データを生成する。また、画像処理部60は、外部の情報機器(例えばクライアント装置)から取得した印刷ジョブを解析し、原稿の各ページをラスタライズしてデジタル画像データを生成する。そして、画像処理部60は、必要に応じて、画像データに対して、色変換処理、補正処理(シェーディング補正等)、及び圧縮処理等の画像処理を施し、画像処理後の画像データを画像形成部80に出力する。
【0028】
搬送部70は、
図1に示すように、給紙装置71、搬送機構72、及び排紙装置73などで構成される。本実施例では、給紙装置71は、3つの給紙トレイユニット71a~71cを備えている。これらの給紙トレイユニット71a~71cには、用紙の坪量やサイズ等に基づいて識別された規格用紙や特殊用紙が予め設定された種類ごとに収容される。給紙トレイユニット71a~71cに収容されている用紙は、最上部から一枚ずつ送出され、レジストローラ等の複数の搬送ローラを備えた搬送機構72により画像形成部80に搬送される。このとき、レジストローラが配設されたレジスト部により、給紙された用紙の傾きが補正されると共に搬送タイミングが調整される。
【0029】
画像形成部80は、
図1及び
図2(b)に示すように、異なる色成分Y、M、C、Kに対応して設けられた、感光体ドラム90(90Y、90M、90C、90K)、帯電装置100(100Y、100M、100C、100K)、露光装置110(110Y、110M、110C、110K)、現像装置120(120Y、120M、120C、120K)、クリーニング装置130(130Y、130M、130C、130K)、一次転写ローラ140(140Y、140M、140C、140K)、中間転写ユニット150、定着装置160などで構成される。
【0030】
なお、上記感光体ドラム90Y、90M、90C、90K、帯電装置100Y、100M、100C、100K、露光装置110Y、110M、110C、110K、現像装置120Y、120M、120C、120K、クリーニング装置130Y、130M、130C、130K、一次転写ローラ140Y、140M、140C、140Kは、各色成分Y、M、C、Kごとにその構造及び構成に違いはなく同一である(ただし、現像装置120Y、120M、120C、120Kはトナーの色が異なる)。従って、上記感光体ドラム90Y、90M、90C、90K、帯電装置100Y、100M、100C、100K、露光装置110Y、110M、110C、110K、現像装置120Y、120M、120C、120K、クリーニング装置130Y、130M、130C、130K、一次転写ローラ140Y、140M、140C、140Kのそれぞれについて、それぞれの装置ごとに共通する構造及び構成について説明する場合には、必要に応じて、Y、M、C、Kを除いた符号を使用することで重複する説明を省略するものとする。
【0031】
各色成分Y、M、C、Kの感光体ドラム90は、アルミ材よりなる円筒状の金属基体の外周面上に、保護層としてのオーバーコート層を設けた有機感光体層(OPC)が形成された像担持体である。感光体ドラム90は、接地された状態で後述する中間転写ベルト151に従動して
図1における反時計方向に回転される。
【0032】
各色成分Y、M、C、Kの帯電装置100は、スコロトロン式であって、その長手方向を感光体ドラム90の回転軸方向に沿わせた状態で、対応する感光体ドラム90に近接配設されおり、トナーと同極性のコロナ放電によって、当該感光体ドラム90の表面に一様な電位を与える。
【0033】
各色成分Y、M、C、Kの露光装置110は、例えばポリゴンミラーなどによって感光体ドラム90の回転軸と平行に走査を行い、一様に帯電された感光体ドラム90の表面上に画像データに基づいて像露光を行うことにより静電潜像を形成させる。
【0034】
各色成分Y、M、C、Kの現像装置120は、対応する色成分の小粒径のトナーと磁性体とからなる二成分現像剤を収容しており、現像剤を感光体ドラム90の表面に搬送して、当該感光体ドラム90に担持された静電潜像を現像剤により顕像化する。この現像装置120は、
図2(c)に示すように、現像部121、現像剤容器122、現像剤搬送装置124、必要に応じて中間搬送装置123などで構成され、現像剤搬送装置124は、貯留部材125、搬送部材126、センサ127、補給部128などで構成される。この現像装置120の詳細な構造については後述する。
【0035】
各色成分Y、M、C、Kの一次転写ローラ140は、中間転写ベルト151を感光体ドラム90に圧接し、対応する感光体ドラム90に形成された各色トナー像を順次重ねて中間転写ベルト151に一次転写する。
【0036】
各色成分Y、M、C、Kのクリーニング装置130は、一次転写後に感光体ドラム90上に残留した残留トナーを回収する。また、クリーニング装置130の感光体ドラム90の回転方向下流側には図示しない潤滑剤の塗布機構が隣接状態で設けられており、感光体ドラム90の感光面に潤滑剤の塗布を行う。
【0037】
中間転写ユニット150は、被転写体となる無端状の中間転写ベルト151と支持ローラ152と二次転写ローラ153などを備え、複数の支持ローラ152に中間転写ベルト151が張架されて構成される。一次転写ローラ140Y、140M、140C、140Kによって各色トナー像が一次転写された中間転写ベルト151が、二次転写ローラ153によって用紙に圧接されると、用紙にトナー像が二次転写され、定着装置160に送られる。
【0038】
定着装置160は、熱源となる加熱ローラ161と定着ローラ162とこれらに掛け渡された定着ベルト163と加圧ローラ164などを備え、定着ベルト163を介して定着ローラ162に加圧ローラ164が圧接されており、当該圧接部がニップ部を構成している。そして、加熱ローラ161で加熱された定着ベルト163と各ローラとによりニップ部を通過する用紙を加熱加圧し、用紙に形成された未定着のトナー像を定着させる。
【0039】
そして、定着装置160によりトナー像が定着された用紙は、排紙ローラを備えた排紙装置73により機外の排紙トレイに排紙される。
【0040】
次に、本実施例の現像装置120の詳細構成について、
図3乃至
図6を参照して説明する。なお、以下の説明において、現像剤搬送装置の上流とは、現像剤が搬送されていく側を指し、下流とは、現像剤が搬送されてくる側を指す。
【0041】
図3に示すように、現像装置120は、感光体ドラム90に現像剤を供給する現像部121と、現像剤を収納する現像剤容器122と、現像剤容器122から現像部121に現像剤を搬送する現像剤搬送装置124と、必要に応じて、現像剤容器122と現像剤搬送装置124との間に設けられ、現像剤容器122から投入された現像剤を現像剤搬送装置124に搬送する中間搬送装置123などで構成される。
【0042】
この場合は、現像剤容器122の現像剤排出口が中間搬送装置123の投入口123aに対向し、中間搬送装置123の現像剤排出口が現像剤搬送装置124の投入口124aに対向し、現像剤搬送装置124の現像剤排出口128aが現像部121の現像剤投入口121aに対向するように、現像剤容器122と中間搬送装置123と現像剤搬送装置124と現像部121とがそれぞれ配置される。
【0043】
なお、現像剤容器122は、不図示の画像形成装置1の筐体に固定された現像剤容器保持部材に着脱可能に保持され、現像剤容器122内部に現像剤がなくなった場合には使用者により交換可能となっている。そして、現像剤容器保持部材は、制御部10の制御に従って現像剤容器122を回転させ、現像剤容器122の内部に収納された現像剤を中間搬送装置123の投入口123aに向けて排出する。
【0044】
中間搬送装置123は、制御部10の制御に従って内部に装着された螺旋状の搬送部材123bを回転させ、現像剤を矢印b方向に向けて搬送し、現像剤搬送装置124の投入口124aに落下させる。
【0045】
現像剤搬送装置124は、制御部10の制御に従って内部に装着された螺旋状の搬送部材126と補給部128のスクリュー部材とを回転させ、投入口124aから投入された現像剤を搬送し、排出口128aから現像部121の投入口121aに向けて落下する。この現像剤搬送装置124の詳細な構成については後述する。
【0046】
現像部121は、制御部10の制御に従って内部に装着されたスクリュー121bを回転させ、スクリュー121bによって攪拌された現像剤を、パドル121cを介して現像ローラ121dに付着させ、感光体90に転写させて潜像を顕像化する。
【0047】
次に、上記現像剤搬送装置124の詳細な構造について、
図4及び
図5を参照して説明する。
図4及び
図5は、現像剤搬送装置124の斜視図であり、
図4では、後述する貯留部材125の構造を分かりやすくするために、上蓋125aを塗りつぶしている。また、現像剤の搬送方向の上流側は、
図4及び
図5の右側であり、下流側は、
図4及び
図5の左側である。
【0048】
本実施例の現像剤搬送装置124は、不図示の現像剤容器122に収納された現像剤を不図示の現像部121に向けて搬送する。この現像剤搬送装置124は、不図示の現像剤容器122から排出され、不図示の中間搬送装置123を介して投入された現像剤を貯留する貯留部材125と、貯留部材125に収納され、貯留部材125に貯留された現像剤を搬送する搬送部材126と、搬送部材126により搬送された現像剤を一時的に貯留し、貯留した現像剤を逐次現像部121に補給する補給部128と、を有している。
【0049】
貯留部材125は、画像形成装置1の本体の底面からの高さに関して、搬送部材126によって搬送される現像剤の搬送方向の上流側の高さよりも下流側の高さの方が高くなるように配置されている。なお、この高さの違いによる貯留部材125の傾斜θが、地球の引力により貯留部材125内の現像剤が自然に下方に向かって滑落する角度以上の場合に、本実施例の現像剤搬送装置124が好適に利用できる。すなわち、傾斜θは、地球の引力により貯留部材125内の現像剤が自然に下方に向かって滑落する角度以上である。また、貯留部材125に振動を加える加震部(不図示)を設けた場合は、傾斜θは、加震部による振動及び地球の引力により貯留部材125内の現像剤が下方に向かって滑落する角度以上である。
【0050】
また、貯留部材125は、本体の上部に着脱可能な上蓋125aが配置されており、
図4に示すように、上蓋125aの現像剤の搬送方向の下流側(
図4の左側)には、貯留部材125の外側(図の左上側)に向かって突出する凸部125bを有している。この凸部125bにより、搬送部材126によって下流側に余剰に搬送された現像剤を逃がす(上流側に戻す)空間を形成している。なお、本体と上蓋125aとの着脱構造は任意である。また、凸部125bの形成位置や形状、外側への突出量は図の構成に限定されず、現像剤搬送装置124に求められる性能や現像剤の粘度などに応じて適宜設定可能である。
【0051】
貯留部材125の内部には、貯留部材125に貯留された現像剤の貯留レベルを検知可能な1又は複数のセンサ127が配置されており、センサ127の出力が制御部10に入力され、センサ127の出力がOFF(すなわち現像剤不足)の時は、制御部10は中間搬送装置123を作動させて現像剤搬送装置124に現像剤を投入させ、センサ127の出力がON(すなわち現像剤充足)の時は、制御部10は中間搬送装置123の作動を停止させて現像剤搬送装置124への現像剤の投入を停止させる。これにより、貯留部材125の内部に、一定の貯留レベルの現像剤を貯留させることができる。
【0052】
搬送部材126は、回転することにより現像剤を搬送する螺旋状の羽根部126aを有している。具体的には、羽根部126aと、羽根部126aを回転させる軸126bと、貯留部材125の下側内壁とが平行になるように、軸126bを回転可能に支持する軸受け126cと、を備えている。そして、羽根部126aが回転することにより、現像剤が上流側から下流側に搬送され、補給部128に供給される。この羽根部126aには、現像剤の一部を自重により上流側に戻す切り欠き部126dが設けられている。この切り欠き部126dに関しては後述する。
【0053】
補給部128は、螺旋状のスクリュー羽根を有するスクリュー部材128bと、スクリュー部材128bを内装する円筒部材128cと、を有しており、不図示の駆動手段によりスクリュー部材128bが回転駆動され、貯留部材125から投入された現像剤を搬送し、現像部121の投入口121aに排出する。
【0054】
上記構成の現像剤搬送装置124の動作について、
図6の模式図を参照して説明する。
図6に示すように、貯留部材125を斜めに配置することで、投影面積は小さくなるが容量は増えるため、設置面積に対して空間を有効利用し、多くの現像剤を貯蔵することができる。しかしながら、この状態を作り出すためには上流側と下流側の搬送力を調整する必要がある。そこで、(1)に示すように、上流側は搬送力を落として現像剤を内部循環させることで、一定量の現像剤を貯蔵できるようにする。
【0055】
また、補給部128のスクリュー部材128bの上面まで現像剤が浸っていないと、現像部121に排出する現像剤の排出量が安定しない。また、下流側から短時間に大量の現像剤の供給が要求された時、スクリューの性能を十分に発揮することができない。そこで、(2)に示すように、下流側は搬送力を上げて補給部128に現像剤が十分に供給されるようにする。その際、スクリュー圧のかからない箇所(現像剤の貯留レベルよりも上側の箇所)から、現像剤は自重により反転して上流側に戻る。
【0056】
また、下流側の搬送力を上げすぎると現像剤に圧力が加わり、現像剤表面の保護膜が剥がれたり粉体が凝集したりして、現像剤の疲労を招く。そこで、(3)に示すように、貯留部材125の下流側の上部(上蓋125a)に凸部125bを設け、余剰な現像剤を凸部125bによって形成される空間に逃がし、上流側に循環させることで、圧力の上昇を防ぎ、現像剤の疲労を防止する。
【0057】
以下、搬送部材126の搬送力を上流側と下流側とで変化させるための羽根部126aの構造について、
図7乃至
図12を参照して説明する。
【0058】
図7は、羽根部126aの構造を示す斜視図であり、羽根部126aには、ピッチ毎に少なくとも1つの切り欠き部126dが設けられている。また、羽根部126aは、上流側の第1領域と下流側の第2領域とに分割されており、上流側の第1領域の切り欠き部126dの面積(切り欠いた部分の面積)が、下流側の第2領域の切り欠き部126dの面積よりも大きくなっている。すなわち、下流側から上流側に向かって切り欠き部126dの面積が段階的に大きくなるようにしている。
【0059】
なお、第1領域の最上流側に位置する羽根部126aの1周分や第2領域の最下流側に位置する羽根部126aの半周分には、切り欠き部126dを設けなくてもよく、最上流側の羽根部126aに切り欠き部126dを設けないことにより、上流側に残留する現像剤量を最小限に抑えることができ、最下流側の羽根部126aに切り欠き部126dを設けないことにより、貯留部材125から排出される現像剤の供給が滞らないようにすることができる。
【0060】
また、
図7では、羽根部126aを上流側の第1領域と下流側の第2領域とに分割し、第1領域と第2領域とで切り欠き部126dの面積を変化させたが、領域の分割数は適宜設定することができ、例えば、
図8に示すように、下流側から上流側に向かって、切り欠き部126dの面積を多段階(ここでは3段階)に変化させてもよい。また、
図7及び
図8では、切り欠き部126dの面積を段階的に変化させたが、下流側から上流側に向かって、切り欠き部126dの面積が徐々に変化する(徐々に大きくなる)ようにしてもよい。
【0061】
また、切り欠き部126dの形状は適宜設定可能であり、第1領域と第2領域とで切り欠き部126dの切り欠き形状を変えてもよい。
図9は、螺旋状の羽根部126aを軸方向から見た模式図であり、例えば、
図9(a)に示すように、少なくとも第1領域の切り欠き部126dの切り欠き形状は、3つ以上の連続する直線で構成してもよいし、
図9(b)に示すように、2つの連続する直線で構成されるV字型にしてもよい。また、
図9(c)に示すように、連続曲線(例えば、半分の円又は楕円)で構成されるU字型にしてもよく、連続曲線の曲率の中心の少なくとも1つは、羽根部126aを切り欠いた領域内にあることが望ましい。いずれの形状の場合でも、羽根部126aの外周上における切り欠き部126dの端部間の距離dは、予め定めた所定値以下に設定することが望ましく、距離dを小さくすることにより、現像剤の搬送力の途絶を抑え、上流側に残留する現像剤量を最小限に抑えることができる。
【0062】
また、
図7及び
図8では、切り欠き部126dを、羽根部126aの回転軸方向から見て同じ位置に形成する場合を説明した。これは、
図10に示すように、複数の切り欠き部126dを横断して設置される、センサ127を清掃する清掃部材126e(実際には、この清掃部材126eにPET(polyethylene terephthalate)などで構成される短冊が取り付けられる。)を配置することができるようにするためである。しかしながら、切り欠き部126dに清掃部材126eを配置する必要がない場合(例えば、他の清掃機構を設ける場合や、羽根部126aや軸126bに直接、清掃部材126eを配置する場合)は、切り欠き部126dの位置をずらしても良い。例えば、
図11に示すように、下流側から上流側に向かって、切り欠き部126dの位置を徐々にずらしたり、上流側の第1領域と下流側の第2領域とで切り欠き部126dの位置をずらしたりすることができる。
【0063】
また、上記では、羽根部126aに外周側から中心側に向かって羽根部126aを切り欠いた切り欠き部126dを設けたが、例えば、
図12に示すように、羽根部126aに円形などの穴部126fを設け、上流側の第1領域の穴部126fの面積(穴の面積)が、下流側の第2領域の穴部126fの面積よりも大きくなるようにしても良い。このように、切り欠き部126dに代えて穴部126fを形成することにより、現像剤の推進力を落として現像剤の残留を少なくすることができる。
【0064】
以上説明した構成により、現像剤容器122から必要に応じて中間搬送装置123を介して現像剤搬送装置124に投入された現像剤は、搬送部材126の回転により貯留部材125内部を循環しながら搬送される。
【0065】
この現像剤搬送装置124は、前述したように貯留部材125が、上流側よりも下流側の高さが高くなるように設置され、且つ第1領域及び第2領域の羽根部126aに切り欠き部126d又は穴部126fが設けられているため、第1領域及び第2領域を搬送される現像剤の一部は、地球の引力により切り欠き部126d又は穴部126fをすり抜けて第1領域に向かって落下する。
【0066】
この時、羽根部126aの切り欠き部126d又は穴部126fの面積が上流側から下流側へ向かうに従って序々に又は段階的に小さくなっているため、切り欠き部126dをすり抜けて落下する現像剤の量は上流側より下流側の方が少なくなり、現像剤の単位時間当たりの搬送量は上流側より下流側の方が多くなる。その結果、現像剤の下流側への供給不足を抑制することができる。また、貯留部材125の下流側の上蓋125aには凸部125bが設けられているため、下流側に余剰に搬送された現像剤は凸部125bを介して上流側に戻るため、現像剤の疲労を低減することができる。
【0067】
なお、上記では、現像剤搬送装置124が1個で、貯留部材125の内部に1個の搬送部材126を設けた場合について説明したが、複数の現像剤搬送装置124を設けても良いし、1個の現像剤搬送装置124の貯留部材125の内部に複数個の搬送部材126を設けても良い。
【0068】
搬送部材126を複数個、例えば2個の搬送部材126を設けた場合は、2個の搬送部材126は貯留部材125の内部に平行して装着され、同一形状で、同一方向に回転し、現像剤をそれぞれ上流側から下流側に向けて搬送する。
【0069】
複数の現像剤搬送装置124、又は複数個の搬送部材126を設けることにより、現像剤の搬送量を増やすことができ、高能力の画像形成装置のように現像部121が多量の現像剤を必要とする場合でも現像剤の不足を防止することができ、現像剤の不足に起因する、画像濃度の低下などを防止することが可能となる。
【実施例2】
【0070】
次に、本発明の第2の実施例に係る現像剤搬送装置及び画像形成装置について、
図13及び
図14を参照して説明する。
図13及び
図14は、本実施例の現像剤搬送装置における羽根部の構造を示す斜視図である。
【0071】
前記した第1の実施例では、羽根部126aに切り欠き部126dや穴部126fを設け、切り欠き部126dや穴部126fの面積を上流側から下流側に向かって徐々に小さくして、現像剤の搬送力が上流側よりも下流側の方が大きくなるように調整したが、羽根部126aのピッチを変えたり、外径を変えたりすることによっても、現像剤の搬送力を調整することができる。
【0072】
以下、本実施例の現像剤搬送装置について、
図13及び
図14を参照して説明する。
【0073】
図13は、羽根部126aの構造を示す斜視図であり、羽根部126aは、上流側の第1領域と下流側の第2領域とに分割されており、第1領域の羽根部126aのピッチは、第2領域の羽根部126aのピッチよりも短くなっている。ピッチが長いと、1回の回転で現像剤を搬送する距離を長くすることができるため、現像剤の搬送力を、上流側よりも下流側の方が大きくなるようにすることができる。
【0074】
図14は、羽根部126aの構成を示す斜視図であり、
図13と同様に、羽根部126aは、上流側の第1領域と下流側の第2領域とに分割されており、第1領域の羽根部126aの外径は、第2領域の羽根部126aの外径よりも小さくなっている。外径が大きい、1回の回転で搬送される現像剤の量を多くすることができるため、この構成によっても、現像剤の搬送力を、上流側よりも下流側の方が大きくなるようにすることができる。
【0075】
なお、
図13及び
図14では、羽根部126aを上流側の第1領域と下流側の第2領域とに分割し、第1領域と第2領域とで、羽根部126aのピッチや外径を変化させたが、領域の分割数は適宜設定することができ、例えば、上流側から下流側に向かって、羽根部126aのピッチや外径を3段階以上に変化させてもよいし、上流側から下流側に向かって、羽根部126aのピッチや外径が徐々に変化するようにしてもよい。
【0076】
また、
図13及び
図14では、上流側の第1領域と下流側の第2領域とで、羽根部126aのピッチ又は外径を変化させたが、ピッチと外径の双方を変化させてもよい。また、
図13及び
図14では、羽根部126aに切り欠き部126dや穴部126fを形成していないが、ピッチ毎に少なくとも1つの切り欠き部126dや穴部126fを設け、羽根部126aのピッチ及び/又は外径と、切り欠き部126d又は穴部126fの面積の双方を変化させてもよい。
【0077】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、その構成や制御は適宜変更可能である。
【0078】
例えば、上記各実施例では、YMCKの4色のトナーを用いる画像形成装置を例示したが、少なくとも1色のトナーを用いる任意の画像形成装置に対して、本発明の現像剤搬送装置を同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、現像剤を搬送する現像剤搬送装置及び当該現像剤搬送装置を有する画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 画像形成装置
10 制御部
11 CPU
12 ROM
13 RAM
20 記憶部
30 ネットワークI/F部
40 表示操作部
50 画像読取部
51 自動原稿給紙装置
52 原稿画像走査装置
60 画像処理部
70 搬送部
71 給紙装置
71a、71b、71c 給紙トレイユニット
72 搬送機構
73 排紙装置
80 画像形成部
90、90Y、90M、90C、90K 感光体ドラム
100、100Y、100M、100C、100K 帯電装置
110、110Y、110M、110C、110K 露光装置
120、120Y、120M、120C、120K 現像装置
121 現像部
121a 投入口
121b スクリュー
121c パドル
121d 現像ローラ
122 現像剤容器
123 中間搬送装置
123a 投入口
123b 搬送部材
124 現像剤搬送装置
124a 投入口
125 貯留部材
125a 上蓋
125b 凸部
126 搬送部材
126a 羽根部
126b 軸
126c 軸受け
126d 切り欠き部
126e 清掃部材
126f 穴部
127 センサ
128 補給部
128a 排出口
128b スクリュー部材
128c 円筒部材
130、130Y、130M、130C、130K クリーニング装置
140、140Y、140M、140C、140K 一次転写ローラ
150 中間転写ユニット
151 中間転写ベルト
152 支持ローラ
153 二次転写ローラ
160 定着装置
161 加熱ローラ
162 定着ローラ
163 定着ベルト
164 加圧ローラ