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7155734画像処理装置、画像処理プログラム及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理プログラム及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20221012BHJP
   B41J 2/205 20060101ALI20221012BHJP
   B41J 2/52 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
B41J2/01 205
B41J2/205
B41J2/52
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018150716
(22)【出願日】2018-08-09
(65)【公開番号】P2020026049
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 健児
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-019101(JP,A)
【文献】特開2004-122521(JP,A)
【文献】特開2004-050430(JP,A)
【文献】特開2017-013284(JP,A)
【文献】特開2006-297919(JP,A)
【文献】特開2002-086767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴が吐出されない不吐出ノズルに対応する画素の領域に隣接する隣接領域に画像が形成される場合に、前記隣接領域に形成される画像の画素値が予め定めた値以上であるときには、大きさが異なる複数の液滴の中から、第1の液滴と、前記第1の液滴よりも大きい第2の液滴とを少なくとも前記隣接領域に吐出する液滴として選択し、前記不吐出ノズルに対応する画素の領域に隣接しない非隣接領域に画像が形成される場合には、前記隣接領域に画像が形成される場合に比べて、単位面積あたりに吐出される液滴の数において前記第1の液滴が占める割合が多くなるよう選択する選択部を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記隣接領域に形成される画像の画素値が前記予め定めた値未満である場合には、前記第1の液滴のみを前記隣接領域に吐出する液滴として選択する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記予め定めた値は、前記第1の液滴のみを用いて形成される画像の最大濃度に対応する画素値である請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記非隣接領域に画像が形成される場合には、前記非隣接領域に吐出する液滴として前記第2の液滴を選択しない請求項1から3の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記選択部は、前記隣接領域に形成される画像の画素値が前記予め定めた値から大きくなるにつれ、前記隣接領域に吐出される液滴として、前記第1の液滴を減らし、前記第2の液滴を増やす請求項1から請求項の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
コンピュータを請求項1から請求項の何れか1項に記載の画像処理装置の選択部として機能させるための画像処理プログラム。
【請求項7】
請求項1から請求項の何れか1項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置により画像処理が行われた画像を記録媒体に形成する画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理プログラム及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、簡易な構成で、インクの消費を抑制しかつ不良ノズルによる画質劣化を低減するインクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-076085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、不吐出ノズルにより生じる液滴の吐出不良に対応する画像処理を行う際に画像形成で使用する大きさの液滴のみを用いる構成に比べて、不吐出ノズルにより生じる液滴の吐出不良に対応する画像処理を行わない場合に形成される画像のダイナミックレンジの低下を抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様の画像処理装置は、液滴が吐出されない不吐出ノズルに対応する画素の領域に隣接する隣接領域に画像が形成される場合に、前記隣接領域に形成される画像の画素値が予め定めた値以上であるときには、大きさが異なる複数の液滴の中から、第1の液滴と、前記第1の液滴よりも大きい第2の液滴とを少なくとも前記隣接領域に吐出する液滴として選択する選択部を備える。
【0006】
第2の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置であって、前記選択部は、前記隣接領域に形成される画像の画素値が前記予め定めた値未満である場合には、前記第1の液滴のみを前記隣接領域に吐出する液滴として選択する。
【0007】
第3の態様の画像処理装置は、第2の態様の画像処理装置であって、前記予め定めた値は、前記第1の液滴のみを用いて形成される画像の最大濃度に対応する画素値である。
【0008】
第4の態様の画像処理装置は、第1から第3の態様の画像処理装置であって、前記選択部は、前記不吐出ノズルに対応する画素の領域に隣接しない非隣接領域に画像が形成される場合には、前記隣接領域に画像が形成される場合に比べて、単位面積あたりに吐出される液滴の数において前記第1の液滴が占める割合が多くなるよう選択する。
【0009】
第5の態様の画像処理装置は、第4の態様の画像処理装置であって、前記選択部は、前記非隣接領域に画像が形成される場合には、前記非隣接領域に吐出する液滴として前記第2の液滴を選択しない。
【0010】
第6の態様の画像処理装置は、第1から第5の態様の画像処理装置であって、前記選択部は、前記隣接領域に形成される画像の画素値が前記予め定めた値から大きくなるにつれ、前記隣接領域に吐出される液滴として、前記第1の液滴を減らし、前記第2の液滴を増やす。
【0011】
第7の態様の画像処理プログラムは、コンピュータを第1から第6の態様の画像処理装置の選択部として機能させる。
【0012】
第8の態様の画像形成装置は、第1から第7の態様の画像処理装置と、前記画像処理装置により画像処理が行われた画像を記録媒体に形成する画像形成部と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
第1の態様によれば、不吐出ノズルにより生じる液滴の吐出不良に対応する画像処理を行う際に画像形成で使用する大きさの液滴のみを用いる構成に比べて、不吐出ノズルにより生じる液滴の吐出不良に対応する画像処理を行わない場合に形成される画像のダイナミックレンジの低下を抑制できる。
【0014】
第2の態様によれば、不吐出ノズルにより生じる液滴の吐出不良に対応する画像処理を行う場合に第1の液滴よりも大きい第2の液滴を常に用いる構成に比べて、不吐出ノズルにより生じる液滴の吐出不良に対応する画像処理を行う際の液滴の使用量を削減できる。
【0015】
第3の態様によれば、不吐出ノズルにより生じる液滴の吐出不良に対応する画像処理を行わない場合に、第1の液滴のみを用いて表現可能な濃度範囲の全域で画像を形成できる。
【0016】
第4の態様によれば、隣接領域よりも非隣接領域に吐出される第2の液滴の割合が大きい構成に比べて、非隣接領域における画像不良を抑制できる。
【0017】
第5の態様によれば、非隣接領域に第2の液滴が吐出される構成に比べて、非隣接領域における画像不良を抑制することができる。
【0018】
第6の態様によれば、隣接領域に形成される画像の画素値に応じて、適切な大きさの液滴を選択できる。
【0019】
第7の態様によれば、不吐出ノズルにより生じる液滴の吐出不良に対応する画像処理を行う際に画像形成で使用する大きさの液滴のみを用いる構成に比べて、不吐出ノズルにより生じる液滴の吐出不良に対応する画像処理を行わない場合に形成される画像のダイナミックレンジの低下を抑制できる。
【0020】
第8の態様によれば、不吐出ノズルにより生じる液滴の吐出不良に対応する画像処理を行う際に画像形成で使用する大きさの液滴のみを用いる構成に比べて、不吐出ノズルにより生じる液滴の吐出不良に対応する画像処理を行わない場合に形成される画像のダイナミックレンジの低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施の形態における画像形成装置の構成の一例を示す図である。
図2】本実施の形態における画像形成領域の一例を示す図である。
図3】本実施の形態における制御部等の構成を示すブロック図である。
図4】本実施の形態における閾値マトリクスの一例を示す図である。
図5】本実施の形態における閾値マトリクスの一例を示す図である。
図6】本実施の形態における閾値マトリクスの適用結果の一例を示す図である。
図7】比較構成における入力画素値と濃度範囲との関係の一例を示す図である。
図8】本実施の形態における入力画素値と濃度範囲との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本実施の形態について説明する。なお、本実施の形態では、本発明に係る画像処理装置をインクジェット方式の画像形成装置10に適用した形態を例示して説明する。
【0023】
まず、画像形成装置10の構成について説明する。
図1に示すように、画像形成装置10は、ヘッドユニット26、給紙ロール22、巻取ロール24、制御部50、乾燥部30、及び画像読取部40を備えている。
【0024】
ヘッドユニット26は、記録媒体としての連帳紙(ロール紙)Pに液滴としてのインク滴を吐出して連帳紙Pに画像を形成するものである。ヘッドユニット26は、画像形成部の一例である。このヘッドユニット26は、K(ブラック)色の画像を形成するインクジェットヘッド12Kと、C(シアン)色の画像を形成するインクジェットヘッド12Cと、M(マゼンタ)色の画像を形成するインクジェットヘッド12Mと、Y(イエロー)色の画像を形成するインクジェットヘッド12Yとを備えている。
【0025】
そして、各インクジェットヘッド12は、K→C→M→Yの順番で連帳紙Pの搬送方向Sに沿って配置されている。なお、各インクジェットヘッド12が整列する順番は一例であって、上記の順番に限定されることはない。また、以後の説明では、C、M、Y、Kを区別しない場合には、符号に付しているC、M、Y、Kを省略する。
【0026】
給紙ロール22は、図示しないフレーム部材に回転可能に支持されている。この給紙ロール22には、連帳紙Pが巻き付けられている。そして、給紙ロール22は、図1を正面視して時計回りに回転することで、ヘッドユニット26に対して連帳紙Pを供給する。
【0027】
巻取ロール24は、図示しないフレーム部材に回転可能に支持されている。そして、巻取ロール24が図示しないモータから回転力を受けて図1を正面視して時計回りに回転することで連帳紙Pが巻き取られ、連帳紙Pが搬送方向Sに沿って搬送される。
【0028】
制御部50は、画像形成装置10の動作を制御するものである。制御部50の詳細については後述する。
【0029】
乾燥部30は、ヘッドユニット26よりも搬送方向Sの下流側に配置されている。この乾燥部30は、連帳紙Pに向けて発熱源(光)を照射し、発熱源(光)に依存する発熱により連帳紙Pに吐出されたインク滴を乾燥させて、連帳紙Pへの画像の定着を図るものである。
【0030】
画像読取部40は、乾燥部30よりも搬送方向Sの下流側、かつ巻取ロール24よりも搬送方向Sの上流側に配置されている。この画像読取部40は、ILS(In Line Sensor)とも称され、連帳紙Pに記録された画像を読み取るものである。画像読取部40は、例えば、搬送方向Sに対する交差方向Tにラインセンサが設けられており、連帳紙Pの搬送に応じてラインセンサで読み取りを行うことで、連帳紙Pに記録された二次元の画像情報を取得する。そして、画像読取部40は、取得した画像情報を制御部50へ送信する。なお、交差方向Tの一方側と他方側を区別する必要がある場合は、図2に示す連帳紙Pの右側を+T側、左側を-T側と記載する。
【0031】
例えば、画像読取部40は、連帳紙Pに記録された画像を読み取ることにより、インク滴が吐出されないヘッドユニット26のノズルである不吐出ノズルを検出する。
【0032】
具体的には、画像読取部40は、ヘッドユニット26により、インク滴の理想の着弾位置が予め定められている印字パターン(以下、「テストパターン」とする)の画像が形成されることで、不吐出ノズルを検出する。そして、画像読取部40は、当該検出した不吐出ノズルに関する画像情報を制御部50へ送信する。その後、制御部50は、取得した不吐出ノズルに関する画像情報を用いて、図2に示すように、連帳紙Pにおいて不吐出ノズルに対応する画素の領域(以下、「不吐出領域70」とする)、不吐出領域70に隣接する領域(以下、「隣接領域80」とする)及び不吐出領域70に隣接しない領域(以下、「非隣接領域90」とする)を決定する。
【0033】
テストパターンの画像形成処理は、制御部50により制御され、例えば、画像形成装置10の製造時(出荷時)に実行される。なお、テストパターンの画像形成処理の実行契機は、これに限らず、画像形成装置10に対しユーザが操作を行った場合や、予め設定された実行時期に達した場合としてもよい。
【0034】
テストパターンの画像形成処理では、まず、ヘッドユニット26がテストパターンの画像を形成する。なお、このテストパターンの画像データは、後述する制御部50のROM54に記憶されている。
【0035】
次に、テストパターンの画像形成処理では、画像読取部40がテストパターンの印字結果に基づいて不吐出ノズルを検出する。具体的には、画像読取部40は、実際にヘッドユニット26により吐出されたインク滴の着弾位置の位置情報からインク滴の濃度に関する濃度情報を測定し、インク滴が吐出されなかったノズルを「不吐出ノズル」として検出する。そして、画像読取部40は、当該検出した不吐出ノズルに関する画像情報を制御部50へ送信する。その後、制御部50は、取得した不吐出ノズルに関する画像情報を用いて、図2に示すように、連帳紙Pにおいて不吐出ノズルに対応する(インク滴が吐出されなかった)画素の領域を「不吐出領域70」として決定する。
【0036】
また、制御部50は、図2に示すように、交差方向Tで不吐出領域70に隣接する+T側及び-T側の4列ずつを隣接領域80とし、それ以外の領域を非隣接領域90として決定する。
【0037】
なお、図2においては、一点鎖線で囲われた領域が「不吐出領域70」を示し、二点鎖線で囲われた領域が「隣接領域80」を示し、破線で囲われた領域が「非隣接領域90」を示している。さらに、図2においては、不吐出領域70において搬送方向Sに沿って整列する破線で示す円が、不吐出領域70に対応する画素を概念的に示しており、隣接領域80において搬送方向Sに沿って整列する実線で示す円が、隣接領域80に対応する画素を概念的に示しており、非隣接領域90において搬送方向Sに沿って整列する実線で示す円が、非隣接領域90に対応する画素を概念的に示している。
【0038】
以上のように構成された画像形成装置10は、以下のように動作する。
まず、巻取ロール24が図示しないモータにより、図1を正面視して時計回りに回転する。これにより、給紙ロール22から供給される連帳紙Pは、搬送方向Sへの張力が付与されることで搬送方向Sに沿って搬送される。その後、連帳紙Pは、ヘッドユニット26によりインク滴が吐出され、画像が形成される。そして、連帳紙Pに吐出されたインク滴が乾燥部30により乾燥されることで、連帳紙Pに画像が定着する。連帳紙Pに記録された画像は、画像読取部40に読み取られ、二次元の画像情報として制御部50へ送信される。
【0039】
次に、制御部50と、この制御部50に接続される構成とについて説明する。
図3に示すように、制御部50は、CPU51(Central Processing Unit)、ROM54(Read Only Memory)、RAM55(Random Access Memory)、及び入出力インターフェース(I/O56)がバスを介して各々接続されている。
【0040】
ROM54には、CPU51に実行させる各種のプログラムが記憶されている。この各種のプログラムには、少なくとも、コンピュータを後述する吐出制御部52として機能させるための画像処理プログラムが含まれている。そして、CPU51は、ROM54から各種のプログラムを読み出してRAM55に展開することで、各種のプログラムを実行する。なお、上記の画像処理プログラムは、画像形成装置10に予めインストールされていてもよいし、不揮発性の記憶媒体に記憶したり、又は、ネットワークを介して配布したりして、画像形成装置10に適宜インストールしてもよい。不揮発性の記憶媒体の例としては、CD-ROM、光磁気ディスク、HDD、DVD-ROM、フラッシュメモリ、メモリカード等が想定される。
【0041】
I/O56には、通信部60、不揮発性メモリ62、ヘッドユニット26、乾燥部30及び画像読取部40が接続されている。
【0042】
通信部60は、図示しないパーソナルコンピュータ等の端末装置と画像形成装置10とが相互にデータ通信を行うためのインターフェースである。
【0043】
不揮発性メモリ62には、連帳紙Pに対して形成される画像(以下、「形成画像」とする)を網点化する際に用いられる閾値マトリクスが記憶されている。
【0044】
この閾値マトリクスは、図4に示す隣接領域80に対応する第1の閾値マトリクス100と、図5に示す非隣接領域90に対応する第2の閾値マトリクス200とを備える。さらに、第1の閾値マトリクス100及び第2の閾値マトリクス200の各々には、インク滴の大きさである小滴用の閾値マトリクスである小滴用マトリクス120、220(図4(A)及び図5(A)参照)、小滴よりも大きいインク滴である大滴用の閾値マトリクスである大滴用マトリクス140、240(図4(B)及び図5(B)参照)が含まれている。小滴は第1の液滴の一例であり、大滴は第2の液滴の一例である。
【0045】
なお、図4及び図5では、一例としてK(ブラック)の色成分に対応する1組の第1の閾値マトリクス100及び第2の閾値マトリクス200を示しているが、他の色成分についても同様に、それぞれ1組の第1の閾値マトリクス100及び第2の閾値マトリクス200を備えている。また、図4及び図5では、第1の閾値マトリクス100及び第2の閾値マトリクス200を4×4の16マスで構成しているが、閾値マトリクスのマス数はこれより多くても少なくてもよい。
【0046】
また、以下では、各閾値マトリクスにおける縦方向の並び順を「行」と称し、横方向の並び順を「列」と称する。
【0047】
ここで、画像形成装置10では、連帳紙Pに対して画像が形成される場合に、例えば、ヘッドユニット26のノズルが詰まることでインク滴が吐出されず、連帳紙Pの搬送方向Sに連続して白筋が発生することがある。
【0048】
そして、制御部50のCPU51は、上記の白筋の低視認化を図るための吐出制御部52として機能する(図3参照)。吐出制御部52は選択部の一例である。
【0049】
次に、制御部50のCPU51が機能する吐出制御部52の詳細について説明する。
吐出制御部52は、連帳紙Pに吐出するインク滴の量やインク滴の大きさを制御するものである。
【0050】
まず、吐出制御部52は、連帳紙Pの各領域に対応する閾値マトリクスを選択する。具体的には、吐出制御部52は、形成画像の画素のうち、隣接領域80に対応する領域については第1の閾値マトリクス100を選択し、非隣接領域90に対応する領域については第2の閾値マトリクス200を選択する。
【0051】
吐出制御部52は、上記で選択した閾値マトリクスの各閾値と形成画像の各画素の入力画素値とを比較する。そして、吐出制御部52は、形成画像の入力画素値が、対応する閾値マトリクスの閾値以上である場合には、形成画像の当該画素をインク滴を吐出する画素として決定する。一方、吐出制御部52は、形成画像の入力画素値が、対応する閾値マトリクスの閾値未満である場合には、形成画像の当該画素をインク滴を吐出しない画素として決定する。この詳細については後述する。
【0052】
吐出制御部52は、隣接領域80に形成画像が形成される場合に、隣接領域80に形成される形成画像の入力画素値が予め定めた値である「240」以上であるときには、大きさが異なる複数のインク滴の中から、小滴と大滴とを隣接領域80に吐出するインク滴として選択する。
【0053】
例えば、図2に示す不吐出領域70の-T側の隣接領域80に形成される形成画像の入力画素値が「240」である場合、吐出制御部52は、この入力画素値「240」と、図4に示す第1の閾値マトリクス100の各閾値とを比較する。
【0054】
まず、吐出制御部52は、上記の隣接領域80の上端から4×4の16マスを占める画素に形成される形成画像の入力画素値「240」と、図4(A)に示す小滴用マトリクス120の各閾値とを比較する。この結果、吐出制御部52は、当該比較対象とした隣接領域80の16マスを占める画素の全てをインク滴を吐出する画素として決定する。
【0055】
吐出制御部52は、以下同様に、隣接領域80の16マスを占める画素の対象を下方に移動させて、入力画素値「240」と小滴用マトリクス120の各閾値との比較を繰り返す。
【0056】
そして、吐出制御部52は、上記の隣接領域80と小滴用マトリクス120の各閾値との全ての比較が終了した後、上記の隣接領域80と図4(B)に示す大滴用マトリクス140との比較を開始する。
【0057】
上記と同様に、吐出制御部52は、隣接領域80の上端から4×4の16マスを占める画素に形成される形成画像の入力画素値「240」と、図4(B)に示す大滴用マトリクス140の各閾値とを比較する。この結果、吐出制御部52は、当該比較対象とした隣接領域80の16マスのうち、1行目の1列目のマスの画素をインク滴を吐出する画素として決定する。一方、吐出制御部52は、当該比較対象とした隣接領域80の16マスのうち、1行目の1列目のマス以外のマスの画素をインク滴を吐出しない画素として決定する。
【0058】
吐出制御部52は、上記と同様に、隣接領域80の16マスを占める画素の対象を下方に移動させ、全ての比較が終了するまで入力画素値「240」と大滴用マトリクス140の各閾値との比較を繰り返す。
【0059】
ここで、吐出制御部52は、小滴用マトリクス120及び大滴用マトリクス140の双方でインク滴を吐出する画素として決定した場合には、大滴用マトリクス140の結果を優先し、当該画素を大滴を吐出する画素として決定する。例えば、上記の場合、比較対象とした隣接領域80の16マスのうち、1行目の1列目のマスの画素が小滴用マトリクス120及び大滴用マトリクス140の双方でインク滴を吐出する画素となっているが、吐出制御部52は、この画素を大滴を吐出する画素として決定する。
【0060】
また、吐出制御部52は、隣接領域80に形成される形成画像の入力画素値が「240」から大きくなるにつれ、隣接領域80に吐出されるインク滴として、小滴を減らし、大滴を増やすよう制御する。
【0061】
例えば、上記のように、隣接領域80に形成される形成画像の入力画素値が「240」である場合には、第1の閾値マトリクス100と比較された隣接領域80の16マスを占める16画素のうち、15画素に小滴が吐出され、1画素に大滴が吐出されることとなる。
【0062】
これに対し、隣接領域80に形成される形成画像の入力画素値を「255」とすると以下のようになる。吐出制御部52は、この入力画素値「255」と第1の閾値マトリクス100の各閾値とを比較すると、比較対象とした隣接領域80の16マスのうち、1行目の1列目のマス及び3行目の3列目のマスの画素を大滴を吐出する画素として決定する。つまり、隣接領域80に形成される形成画像の入力画素値が「255」である場合には、第1の閾値マトリクス100と比較された隣接領域80の16マスを占める16画素のうち、14画素に小滴が吐出され、2画素に大滴が吐出されることとなる。なお、図4(B)に示す大滴用マトリクス140の各閾値の値はあくまで例示であり、「240以上255以下」の値を増やすことにより、吐出される大滴の数を任意に増減させることができる。
【0063】
ここで、図4(A)に示す小滴用マトリクス120の各閾値は、何れも「240未満」に設定され、図4(B)に示す大滴用マトリクス140の各閾値は、何れも「240以上」に設定されている。そのため、吐出制御部52は、隣接領域80に形成される形成画像の入力画素値が「240」未満である場合には、小滴のみを隣接領域80に吐出するインク滴として選択する。
【0064】
また、吐出制御部52は、非隣接領域90に形成画像が形成される場合には、隣接領域80に形成画像が形成される場合に比べて、単位面積あたり、具体的には、4×4の16マスを占める画素に吐出されるインク滴の数において小滴が占める割合が多くなるよう選択する。具体的には、吐出制御部52は、非隣接領域90に形成画像が形成される場合には、非隣接領域90に吐出するインク滴として大滴を選択しないこととしている。
【0065】
図5(B)に示すように、第2の閾値マトリクス200に対応する大滴用マトリクス240の各閾値は全て「256」に設定されている。そして、本実施の形態における入力画素値は「0~255」の範囲内であるため、入力画素値が大滴用マトリクス240の閾値以上となることがない。そのため、本実施の形態では、非隣接領域90に大滴が吐出されることがない。
【0066】
また、図5(A)に示すように、第2の閾値マトリクス200に対応する小滴用マトリクス220の各閾値は、1列目から順に、「30」、「210」、「75」、「255」、「150」、「90」、「195」、「135」、「60」、「240」、「45」、「225」、「180」、「120」、「165」、「105」となっている。このように、小滴用マトリクス220は、小滴用マトリクス120と異なり、非隣接領域90に形成される形成画像の入力画素値が「240」である場合に、比較対象とした隣接領域80の4×4の16マスの全てがインク滴を吐出する画素とはならない。具体的には、小滴用マトリクス220は、非隣接領域90に形成される形成画像の入力画素値が「255」である場合に、比較対象とした非隣接領域90の16マスを占める画素の全てがインク滴を吐出する画素となるよう設定されている。
【0067】
次に、図6を用いて、隣接領域80に形成画像が形成される流れについて説明する。なお、以下では、隣接領域80に形成される形成画像の入力画素値が「255」である場合を例に説明する。
【0068】
ここで、図6は、隣接領域80に形成される形成画像に対し、第1の閾値マトリクス100を適用した適用結果を示している。図6(A)は、小滴用マトリクス120に入力画素値「255」を適用した結果として、小滴が吐出される画素を示す。図6(A)においては、斜線が引かれたマスが小滴が吐出される画素を示している。図6(B)は、大滴用マトリクス140に入力画素値「255」を適用した結果として、大滴が吐出される画素を示す。図6(B)においては、縦線が引かれたマスが大滴が吐出される画素を示している。図6(C)は、図6(A)及び図6(B)の適用結果を踏まえた最終的なインク滴の吐出箇所を示している。
【0069】
まず、制御部50は、形成画像に対応する画像データを通信部60を介して図示しない端末装置から取得する。
【0070】
次に、制御部50は、吐出制御部52として機能し、形成画像のうち、隣接領域80に対応する領域については第1の閾値マトリクス100を選択し、非隣接領域90に対応する領域については第2の閾値マトリクス200を選択する。
【0071】
次に、吐出制御部52は、上記で選択した閾値マトリクスの各閾値と形成画像の各画素の入力画素値とを比較する。なお、非隣接領域90との比較についての説明は省略する。
【0072】
具体的には、吐出制御部52は、小滴用マトリクス120の各閾値と入力画素値「255」とを比較し、当該比較対象とした隣接領域80の16マスを占める画素の全てをインク滴を吐出する画素として決定する。
【0073】
また、吐出制御部52は、大滴用マトリクス140の各閾値と入力画素値「255」とを比較し、当該比較対象とした隣接領域80の16マスのうち、1行目の1列目のマス及び3行目の3列目のマスの画素をインク滴を吐出する画素として決定する。
【0074】
そして、吐出制御部52は、小滴用マトリクス120及び大滴用マトリクス140の双方でインク滴を吐出する画素として決定した場合には、大滴用マトリクス140の結果を優先する。そのため、吐出制御部52は、第1の閾値マトリクス100の比較対象となった隣接領域80の16マスのうち、1行目の1列目のマス及び3行目の3列目のマスの画素を大滴を吐出する画素として決定する。
【0075】
次に、制御部50は、上記で画像処理を行った画像を連帳紙Pに形成するようヘッドユニット26を制御する。
【0076】
図6(A)に示すように、吐出制御部52による小滴用マトリクス120の各閾値と入力画素値「255」との比較結果は、当該比較対象とした隣接領域80の16マスを占める画素の全てに斜線が引かれている。
【0077】
図6(B)に示すように、吐出制御部52による大滴用マトリクス140の各閾値と入力画素値「255」との比較結果は、当該比較対象とした隣接領域80の16マスのうち、1行目の1列目のマス及び3行目の3列目のマスの画素に縦線が引かれている。
【0078】
以上より、図6(C)に示すように、第1の閾値マトリクス100と比較された隣接領域80の16マスを占める画素では、1行目の1列目のマス及び3行目の3列目のマスの2画素が大滴の吐出箇所となり、それ以外の14画素が小滴の吐出箇所となる。
【0079】
そして、ヘッドユニット26は、上記の画像処理の結果を用いて、第1の閾値マトリクス100と比較された隣接領域80の16マスを占める画素のうち、1行目の1列目のマス及び3行目の3列目のマスの2画素に大滴を吐出し、それ以外の14画素に小滴を吐出する。
【0080】
以上の工程を隣接領域80に対して繰り返して行うことにより、隣接領域80に形成画像が形成される。
【0081】
(本実施の形態の作用効果)
吐出制御部52は、隣接領域80に形成画像が形成される場合に、隣接領域80に形成される形成画像の入力画素値が「240」以上であるときには、大きさが異なる複数のインク滴の中から、小滴と大滴とを隣接領域80に吐出するインク滴として選択する。
【0082】
本実施の形態では、制御部50は、通常の画像形成時には小滴のみを吐出するようヘッドユニット26を制御する。また、制御部50は、不吐出ノズルにより生じるインク滴の吐出不良に対応する画像処理(以下、「不吐出補正」とする)を行う際には、小滴に加え大滴も吐出するようヘッドユニット26を制御する。つまり、本実施の形態における大滴は、不吐出補正時のみで使用されるインク滴である。なお、上記の「通常の画像形成時」とは、不吐出補正を行わない場合の画像形成時をいう。
【0083】
ここで、不吐出補正時に、通常の画像形成時で使用する大きさのインク滴のみを用いる構成(以下、「比較構成」とする)においては、以下の問題が生じる。なお、以下の比較構成は、通常の画像形成時、及び、不吐出補正時の双方で「小滴」のみを使用する構成である。
【0084】
以下、図7及び図8を用いて、比較構成で生じる問題点、及び、比較構成に比べた本実施の形態の優位点について説明する。
【0085】
図7は、比較構成において、隣接領域80に形成される形成画像の入力画素値と、連帳紙Pにおいて表現可能な濃度範囲との関係の一例を示している。図8は、本実施の形態において、隣接領域80に形成される形成画像の入力画素値と、連帳紙Pにおいて表現可能な濃度範囲との関係の一例を示している。
【0086】
図7及び図8においては、一点鎖線の曲線が通常の画像形成時に対応し、二点鎖線の曲線が不吐出補正時に対応している。また、図7及び図8における入力画素値は、「0~255」の範囲としている。さらに、図7及び図8における濃度範囲は、「0~10」の11段階を設けており、数値が高いほど濃度が濃くなることを示している。
【0087】
ここで、不吐出補正の具体的内容としては、隣接領域80に形成される形成画像の濃度を通常の画像形成時に比べて高くすることにより、白筋の低視認化を図ることが知られている。そのため、比較構成のように、小滴のみを使用して不吐出補正を行う場合には、小滴のみで表現可能な濃度範囲の全域で不吐出補正が行えるよう、通常の画像形成時では、前記の濃度範囲の全域を使用しないよう予め設定する必要がある。
【0088】
例えば、図7に示す比較構成は、小滴のみで表現可能な濃度範囲が「0~8」の9段階とされている。そして、比較構成は、小滴のみで表現可能な濃度範囲の全域として、例えば、最大の入力画素値である入力画素値「255」においても不吐出補正が行えるよう、濃度範囲「6以上」を通常の画像形成時に使用しないよう設定している。
【0089】
図7に示すように、不吐出補正時に対応する二点鎖線の曲線上の点X1は、入力画素値「255」と濃度範囲「8」との交点であり、通常の画像形成時に対応する一点鎖線の曲線上の点X2は、入力画素値「255」と濃度範囲「6」との交点である。
【0090】
このように、比較構成は、入力画素値が「255」の場合においても不吐出補正を行えるよう、通常の画像形成時における濃度の上限を「6未満」に設定し、不吐出補正時における濃度の上限を、小滴のみで表現可能な最大濃度である「8以下」に設定している。
【0091】
以上より、比較構成では、通常の画像形成時に小滴のみで表現可能な濃度範囲の全域(濃度範囲「0~8」)を使用できず、形成される形成画像のダイナミックレンジが狭くなってしまうという問題点が生じる。
【0092】
ここで、図8に示す本実施の形態では、比較構成と同様に、小滴のみで表現可能な濃度範囲が「0~8」とされている。しかし、本実施の形態では、上記のように、隣接領域80に形成される形成画像の入力画素値が「240」以上である場合には、吐出制御部52により小滴と大滴とが隣接領域80に吐出するインク滴として選択される。小滴と大滴とが吐出される本実施の形態は、比較構成よりも表現可能な最大濃度が高くなっており、具体的には、その最大濃度が「10」となっている。
【0093】
図8に示すように、不吐出補正時に対応する二点鎖線の曲線上の点Y1は、入力画素値「255」と濃度範囲「10」との交点であり、通常の画像形成時に対応する一点鎖線の曲線上の点Y2は、入力画素値「255」と濃度範囲「8」との交点である。
【0094】
そのため、本実施の形態によれば、通常の画像形成時に小滴のみで表現可能な濃度範囲の全域を用いても、不吐出補正時に大滴を用いることで、小滴のみで表現可能な濃度範囲の全域を超えた濃度で不吐出補正を行うことができる。
【0095】
以上より、本実施の形態によれば、比較構成に比べて、不吐出補正を行わない場合に形成される形成画像のダイナミックレンジの低下を抑制できる。
【0096】
ここで、隣接領域80に形成される形成画像の入力画素値「240」は、小滴のみを用いて形成される形成画像の最大濃度「8」に対応する画素値とされている。具体的には、上記の入力画素値が「240」である場合は、小滴用マトリクス120と比較した隣接領域80に対応する領域の全てが小滴を吐出する画素となるため、当該隣接領域80に小滴のみを用いて形成画像を形成した場合の最大濃度となる。そして、本実施の形態では、小滴のみで表現可能な濃度範囲を超えて不吐出補正を行う必要がある場合には大滴が用いられるため、通常の画像形成時に小滴のみで表現可能な濃度範囲を狭めることなく、その濃度範囲の全域を用いて形成画像を形成できる。なお、上記の隣接領域80に形成される形成画像の入力画素値である、予め定めた値としての「240」という値はあくまで例示であり、小滴のみを用いて形成される形成画像の最大濃度に対応する画素値であれば、予め定めた値は「240」より小さくても大きくてもよい。
【0097】
また、上記のように、大滴は、小滴のみで表現可能な濃度範囲を超えて不吐出補正を行う必要がある場合にのみ使用されるインク滴である。そのため、吐出制御部52は、隣接領域80に形成される形成画像の入力画素値が「240」未満である場合には、小滴のみを隣接領域80に吐出するインク滴として選択する。つまり、本実施の形態では、隣接領域80に形成される形成画像の入力画素値が「240」未満である場合には、通常の画像形成時、及び、不吐出補正時の双方で小滴のみを使用する。
【0098】
したがって、本実施の形態によれば、不吐出補正を行う場合に大滴を常に用いる構成に比べて、不吐出補正を行う際のインク滴の使用量を削減できる。
【0099】
吐出制御部52は、非隣接領域90に形成画像が形成される場合には、隣接領域80に形成画像が形成される場合に比べて、単位面積あたり、具体的には、4×4の16マスを占める画素に吐出されるインク滴の数において小滴が占める割合が多くなるよう選択する。具体的には、吐出制御部52は、第2の閾値マトリクス200に対応する大滴用マトリクス240の各閾値が全て「256」に設定されているため、非隣接領域90に形成画像が形成される場合に吐出するインク滴として大滴を選択することがない。
【0100】
以上より、本実施の形態では、隣接領域80よりも非隣接領域90に吐出される大滴の割合が大きい構成、又は、非隣接領域90に大滴が吐出される構成に比べて、必要以上に非隣接領域90の濃度が濃くなることを抑制できる。そのため、本実施の形態によれば、隣接領域80よりも非隣接領域90に吐出される大滴の割合が大きい構成、又は、非隣接領域90に大滴が吐出される構成に比べて、非隣接領域90に黒筋が発生することを抑制できる。
【0101】
吐出制御部52は、隣接領域80に形成される形成画像の入力画素値が「240」から大きくなるにつれ、隣接領域80に吐出されるインク滴として、小滴を減らし、大滴を増やすよう制御する。
【0102】
上記のように、隣接領域80に形成される形成画像の入力画素値が「240」である場合には、第1の閾値マトリクス100と比較された隣接領域80の16マスを占める16画素のうち、15画素に小滴が吐出され、1画素に大滴が吐出される。これに対し、隣接領域80に形成される形成画像の入力画素値が「255」である場合には、第1の閾値マトリクス100と比較された隣接領域80の16マスを占める16画素のうち、14画素に小滴が吐出され、2画素に大滴が吐出される。
【0103】
そのため、本実施の形態によれば、隣接領域80に形成される形成画像の入力画素値に応じて、適切な大きさのインク滴を選択できる。
【0104】
(その他)
吐出制御部52は、小滴と大滴との大きさが異なる2種類のインク滴から画像形成に用いるインク滴を選択することとしたが、インク滴の種類はこれに限らない。例えば、小滴と、小滴よりも大きいインク滴である中滴と、中滴よりも大きいインク滴である大滴と、の3種類の大きさのインク滴を設け、吐出制御部52は、これらの大きさが異なる3種類のインク滴から画像形成に用いるインク滴を選択してもよい。
【0105】
そして、大きさが異なる3種類のインク滴を設けた場合には、吐出制御部52は、上記の実施形態と異なり、例えば、小滴と中滴とを通常の画像形成時におけるインク滴として選択してもよい。この場合には、吐出制御部52は、小滴及び中滴のみで表現可能な濃度範囲を超えて不吐出補正を行う必要があるときに、隣接領域80に吐出するインク滴として大滴を選択することが望ましい。
【0106】
さらに、大きさが異なる3種類のインク滴を設けた場合には、吐出制御部52は、上記の実施形態と異なり、例えば、中滴と大滴とを不吐出補正時におけるインク滴として選択してもよい。この場合には、吐出制御部52は、小滴のみで表現可能な濃度範囲を超えて不吐出補正を行う必要があるときには、まず、隣接領域80に吐出するインク滴として中滴を選択することが望ましい。そして、吐出制御部52は、中滴のみで表現可能な濃度範囲を超えて不吐出補正を行う必要があるときに、初めて、隣接領域80に吐出するインク滴として大滴を選択することが望ましい。このように構成することで、不吐出補正を行う場合に大滴を常に用いる構成に比べて、不吐出補正を行う際のインク滴の使用量を削減できる。
【0107】
上記の実施形態では、交差方向Tで不吐出領域70に隣接する+T側及び-T側の4列ずつを隣接領域80としたが、隣接領域80の範囲はこれに限られない。例えば、隣接領域80は、交差方向Tで不吐出領域70に隣接する+T側及び-T側の1列ずつでもよいし、交差方向Tで不吐出領域70に隣接する+T側及び-T側の8列ずつでもよい。
【0108】
上記の実施形態では、入力画素値が「0~255」の範囲内であり、かつ、大滴用マトリクス240の各閾値が全て「256」に設定されているため、非隣接領域90には大滴が吐出されないこととした。しかし、これに限らず、大滴用マトリクス240の閾値の一部を「0~255」の範囲内に設定して、非隣接領域90に大滴が吐出される場合を設けてもよい。また、非隣接領域90で大滴を吐出する場合は、非隣接領域90での大滴の量を隣接領域80での大滴の量より少なくなるようにすると良い。
【0109】
上記の実施形態では、閾値マトリクスとして、小滴用マトリクス120及び大滴用マトリクス140を備える第1の閾値マトリクス100と、小滴用マトリクス220及び大滴用マトリクス240を備える第2の閾値マトリクス200と、を備えることとした。しかし、上記の実施形態のように、非隣接領域90に大滴を吐出しない構成の場合には、第2の閾値マトリクス200に対応する大滴用マトリクス240を備えなくてもよい。この場合には、非隣接領域90に大滴を吐出しないよう予め設定されていることが望ましい。
【符号の説明】
【0110】
10 画像形成装置
26 ヘッドユニット(画像形成部の一例)
52 吐出制御部(選択部の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8