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特許7155768空気入りタイヤ及び空気入りタイヤの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ及び空気入りタイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60C 9/20 20060101AFI20221012BHJP
   B60C 9/22 20060101ALI20221012BHJP
   B29D 30/30 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
B60C9/20 A
B60C9/22 B
B60C9/20 H
B60C9/22 C
B29D30/30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018166788
(22)【出願日】2018-09-06
(65)【公開番号】P2020040423
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 範嚴
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-136669(JP,A)
【文献】国際公開第2015/063972(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00-19/12
B29D 30/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部と、
前記トレッド部に配設されるベルト層と、
前記ベルト層のタイヤ径方向外側に配設されるベルトカバー層と、
を備え、
前記ベルトカバー層は、帯状のベルトカバー材が前記ベルト層のタイヤ径方向外側にタイヤ回転軸を中心とする螺旋状に巻かれることにより形成され、
前記ベルトカバー材は、第1カバー材と第2カバー材とを有し、
タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面よりも一方側を第1側とし、タイヤ幅方向における前記タイヤ赤道面よりも他方側を第2側とする場合に、前記第1カバー材は、前記第2側のショルダー領域と前記タイヤ赤道面との間の位置から前記第1側のショルダー領域にかけて配設され、
前記第2カバー材は、前記第1側の前記ショルダー領域と前記タイヤ赤道面との間の位置から前記第2側の前記ショルダー領域にかけて配設され、
前記第1カバー材と前記第2カバー材とは、タイヤ幅方向における位置が互いに同じ位置となる位置に、前記第1カバー材と前記第2カバー材とがタイヤ径方向に重なるオーバーラップ部を有し、
前記オーバーラップ部は、タイヤ幅方向における幅がタイヤ周方向における位置によって変動し、
前記ベルトカバー材は、螺旋状に巻かれることによってタイヤ幅方向に隣り合う部分同士がタイヤ径方向に重なる隣接ラップ部を有しており、
前記隣接ラップ部は、前記ベルトカバー材の幅方向における幅が前記ベルトカバー材の幅の20%以上70%以下の範囲内であることを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記オーバーラップ部は、タイヤ幅方向における幅の最小幅が5mm以上であり、タイヤ幅方向における幅の最大幅が40mm以下である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記ベルトカバー材は、前記ショルダー領域でタイヤ径方向に折り返される請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記ベルトカバー材は、タイヤ径方向に重なる部分のタイヤ幅方向における幅が、前記ベルトカバー層のタイヤ幅方向における幅の5%以上50%以下の範囲内である請求項1~3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記オーバーラップ部は、前記第1カバー材と前記第2カバー材との少なくともいずれか一方が前記隣接ラップ部を有することにより、前記ベルトカバー材が3層以上となる部分を有する請求項1~4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記第1カバー材と前記第2カバー材とは、同一種類である請求項1~のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
ベルト層のタイヤ径方向外側に帯状のベルトカバー材をタイヤ回転軸を中心とする螺旋状に巻くことによりベルトカバー層を配設する空気入りタイヤの製造方法であって、
前記ベルトカバー材に第1カバー材と第2カバー材とを使用し、
タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面よりも一方側を第1側とし、タイヤ幅方向における前記タイヤ赤道面よりも他方側を第2側とする場合に、
前記第1カバー材を、前記第2側のショルダー領域と前記タイヤ赤道面との間の位置から前記第1側のショルダー領域にかけて螺旋状に巻く工程と、
前記第2カバー材を、前記第1側の前記ショルダー領域と前記タイヤ赤道面との間の位置から前記第2側の前記ショルダー領域にかけて螺旋状に巻く工程と、
を含み、
前記第1カバー材を巻く工程と前記第2カバー材を巻く工程では、1つの前記ベルトカバー材におけるタイヤ幅方向に隣り合う部分同士をタイヤ径方向に重ねながら螺旋状に巻くことにより前記ベルトカバー材がタイヤ径方向に重ねられる部分である隣接ラップ部を形成すると共に、前記ベルトカバー材の幅方向における前記隣接ラップ部の幅を前記ベルトカバー材の幅の20%以上70%以下の範囲内で形成し、且つ、タイヤ幅方向における位置が前記第1カバー材と前記第2カバー材とで同じ位置となる部分で前記第1カバー材と前記第2カバー材とをタイヤ径方向に重ねることにより、タイヤ幅方向における幅をタイヤ周方向における位置によって変動させつつ前記第1カバー材と前記第2カバー材とをタイヤ径方向に重ねるオーバーラップ部を形成することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
【請求項8】
前記第1カバー材を巻く工程では、前記第1カバー材を前記第2側の前記ショルダー領域と前記タイヤ赤道面との間の位置から前記第1側の前記ショルダー領域に向けて螺旋状に巻き、
前記第2カバー材を巻く工程では、前記第2カバー材を前記第1側の前記ショルダー領域と前記タイヤ赤道面との間の位置から前記第2側の前記ショルダー領域に向けて螺旋状に巻く請求項に記載の空気入りタイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤ及び空気入りタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気入りタイヤの中には、ベルト層のタイヤ径方向外側に配置する部材を工夫することにより、所望の性能を実現しているものがある。例えば、特許文献1に記載された空気入りタイヤは、ベルト層のタイヤ径方向外側に2層のベルト保護層を配置すると共に、タイヤ径方向外側のベルト保護層はタイヤ径方向内側のベルト保護層よりも狭幅にすることにより、耐突起性の向上を図っている。また、特許文献2に記載された空気入りタイヤは、トレッド部とベルト層との間にベルト補強層を配置し、ベルト補強層をタイヤ赤道部で3層にすることにより、重量の増加を抑制しながら破壊エネルギーを確保している。
【0003】
また、特許文献3に記載された空気入りタイヤは、トレッド部におけるタイヤ内面に接着された帯状吸音材と、ベルト層の外周側に配置されるフルカバー層と、フルカバー層の外周側に配置されてタイヤ幅中央領域を局所的に覆うセンターカバー層とを有し、帯状吸音材とベルト層の幅、及びセンターカバー層と帯状吸音材の幅をそれぞれ規定することにより、帯状吸音材によって充分な静粛性を得ながら、帯状吸音材が蓄熱することに起因する高速耐久性の低下を防止している。
【0004】
また、特許文献4に記載された空気入りタイヤは、ベルト層の外側に、端部ベルトカバー層と中央部ベルトカバー層とで構成するベルトカバー層を配置し、端部ベルトカバー層や中央部ベルトカバー層を形成する有機繊維コードの引っ張り強度と、端部ベルトカバー層と中央部ベルトカバー層との総和とを規定することにより、高周波領域のロードノイズを低減させると共に、軽量化を可能にしている。また、特許文献5に記載された空気入りタイヤは、ベルト層の外周側にストリップ材が螺旋状に巻き付けられて形成されたベルトカバーを有し、ベルトカバーは、ベルト層におけるタイヤ幅方向端部を覆う位置と、ベルト層におけるタイヤ幅方向中央部を覆う位置でストリップ材が重ね巻きされることにより、操縦安定性及び耐久性の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4865259号公報
【文献】特開2010-64644号公報
【文献】特開2017-137032号公報
【文献】特許第4635366号公報
【文献】特許第4687201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、空気入りタイヤの中には、例えば、EXTRA LOAD規格の空気入りタイヤのような、高荷重に対応可能なものがある。このような空気入りタイヤは、高荷重に対応するために、比較的高い空気圧で使用可能になっている。一方で、空気入りタイヤの空気圧を高くするとトレッド部の剛性が増加するため、異物を踏んだ際にトレッド部が変形し難くなり、異物を踏み込むことに起因して発生するショックバーストが発生し易くなる。即ち、空気入りタイヤを高い空気圧で使用すると、ショックバーストに対する耐性である耐ショックバースト性能が低下し易くなる。
【0007】
ショックバーストは、トレッド部の接地面におけるタイヤ赤道面付近の領域で、路面上の異物を踏み込むことにより発生し易くなるため、耐ショックバースト性能の向上にはトレッド部におけるタイヤ赤道面付近を補強することが有効である。しかし、補強用の部材を新たに追加すると、その分製造工程が増えるため、生産性が低下する。このため、耐ショックバースト性能の低下を抑えつつ、生産性を向上させるのは、大変困難なものとなっていた。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、耐ショックバースト性能の低下を抑制しつつ、生産性を向上させることのできる空気入りタイヤ及び空気入りタイヤの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る空気入りタイヤは、トレッド部と、前記トレッド部に配設されるベルト層と、前記ベルト層のタイヤ径方向外側に配設されるベルトカバー層と、を備え、前記ベルトカバー層は、帯状のベルトカバー材が前記ベルト層のタイヤ径方向外側にタイヤ回転軸を中心とする螺旋状に巻かれることにより形成され、前記ベルトカバー材は、第1カバー材と第2カバー材とを有し、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面よりも一方側を第1側とし、タイヤ幅方向における前記タイヤ赤道面よりも他方側を第2側とする場合に、前記第1カバー材は、前記第2側のショルダー領域と前記タイヤ赤道面との間の位置から前記第1側のショルダー領域にかけて配設され、前記第2カバー材は、前記第1側の前記ショルダー領域と前記タイヤ赤道面との間の位置から前記第2側の前記ショルダー領域にかけて配設され、前記第1カバー材と前記第2カバー材とは、タイヤ幅方向における位置が互いに同じ位置となる位置に、前記第1カバー材と前記第2カバー材とがタイヤ径方向に重なるオーバーラップ部を有し、前記オーバーラップ部は、タイヤ幅方向における幅がタイヤ周方向における位置によって変動することを特徴とする。
【0010】
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記オーバーラップ部は、タイヤ幅方向における幅の最小幅が5mm以上であり、タイヤ幅方向における幅の最大幅が40mm以下であることが好ましい。
【0011】
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記ベルトカバー材は、前記ショルダー領域でタイヤ径方向に折り返されることが好ましい。
【0012】
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記ベルトカバー材は、タイヤ径方向に重なる部分のタイヤ幅方向における幅が、前記ベルトカバー層のタイヤ幅方向における幅の5%以上50%以下の範囲内であることが好ましい。
【0013】
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記ベルトカバー材は、螺旋状に巻かれることによってタイヤ幅方向に隣り合う部分同士がタイヤ径方向に重なる隣接ラップ部を有しており、前記隣接ラップ部は、前記ベルトカバー材の幅方向における幅が前記ベルトカバー材の幅の20%以上70%以下の範囲内であることが好ましい。
【0014】
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記オーバーラップ部は、前記第1カバー材と前記第2カバー材との少なくともいずれか一方が前記隣接ラップ部を有することにより、前記ベルトカバー材が3層以上となる部分を有することが好ましい。
【0015】
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記第1カバー材と前記第2カバー材とは、同一種類であることが好ましい。
【0016】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る空気入りタイヤの製造方法は、ベルト層のタイヤ径方向外側に帯状のベルトカバー材をタイヤ回転軸を中心とする螺旋状に巻くことによりベルトカバー層を配設する空気入りタイヤの製造方法であって、前記ベルトカバー材に第1カバー材と第2カバー材とを使用し、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面よりも一方側を第1側とし、タイヤ幅方向における前記タイヤ赤道面よりも他方側を第2側とする場合に、前記第1カバー材を、前記第2側のショルダー領域と前記タイヤ赤道面との間の位置から前記第1側のショルダー領域にかけて螺旋状に巻く工程と、前記第2カバー材を、前記第1側の前記ショルダー領域と前記タイヤ赤道面との間の位置から前記第2側の前記ショルダー領域にかけて螺旋状に巻く工程と、を含み、前記第1カバー材を巻く工程と前記第2カバー材を巻く工程では、タイヤ幅方向における位置が前記第1カバー材と前記第2カバー材とで同じ位置となる部分で前記第1カバー材と前記第2カバー材とをタイヤ径方向に重ねることにより、タイヤ幅方向における幅をタイヤ周方向における位置によって変動させつつ前記第1カバー材と前記第2カバー材とをタイヤ径方向に重ねるオーバーラップ部を形成することを特徴とする。
【0017】
また、上記空気入りタイヤの製造方法において、前記第1カバー材を巻く工程では、前記第1カバー材を前記第2側の前記ショルダー領域と前記タイヤ赤道面との間の位置から前記第1側の前記ショルダー領域に向けて螺旋状に巻き、前記第2カバー材を巻く工程では、前記第2カバー材を前記第1側の前記ショルダー領域と前記タイヤ赤道面との間の位置から前記第2側の前記ショルダー領域に向けて螺旋状に巻くことが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る空気入りタイヤ及び空気入りタイヤの製造方法は、耐ショックバースト性能の低下を抑制しつつ、生産性を向上させることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施形態1に係る空気入りタイヤの要部を示す子午断面図である。
図2図2は、図1に示すトレッド部の詳細図である。
図3図3は、図2のA-A矢視方向におけるベルトカバー層の模式図である。
図4図4は、図2に示すセンター陸部の詳細図である。
図5図5は、第1カバー材と第2カバー材とを巻き付ける方向について説明する模式図である。
図6図6は、実施形態1に係る空気入りタイヤで路面上の突起物を踏んだ状態を示す説明図である。
図7図7は、実施形態2に係る空気入りタイヤの第1カバー材と第2カバー材とについての模式図である。
図8図8は、実施形態3に係る空気入りタイヤが有するベルトカバー材の模式図である。
図9図9は、図8に示すベルトカバー材の平面図である。
図10図10は、実施形態3の変形例であり、ベルトカバー材をショルダー領域で折り返す場合の説明図である。
図11図11は、実施形態1の変形例であり、オーバーラップ部の外側にフルカバーを設ける場合の説明図である。
図12図12は、空気入りタイヤの性能評価試験の結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る空気入りタイヤ及び空気入りタイヤの製造方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0021】
[実施形態1]
[空気入りタイヤ]
以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸であるタイヤ回転軸(図示省略)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向においてタイヤ回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向においてタイヤ回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、タイヤ回転軸に直交すると共に、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面であり、タイヤ赤道面CLは、空気入りタイヤ1のタイヤ幅方向における中心位置であるタイヤ幅方向中心線と、タイヤ幅方向における位置が一致する。タイヤ幅は、タイヤ幅方向において最も外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ1のタイヤ周方向に沿う線をいう。
【0022】
図1は、実施形態1に係る空気入りタイヤ1の要部を示す子午断面図である。本実施形態1に係る空気入りタイヤ1は、例えば、EXTRA LOAD規格のような、高荷重での使用に対応することができる空気入りタイヤ1になっている。本実施形態1に係る空気入りタイヤ1は、子午面断面で見た場合、タイヤ径方向の最も外側となる部分にトレッド部2が配設されており、トレッド部2は、ゴム組成物から成るトレッドゴム層4を有している。また、トレッド部2の表面、即ち、当該空気入りタイヤ1を装着する車両(図示省略)の走行時に路面と接触する部分は、接地面3として形成され、接地面3は、空気入りタイヤ1の輪郭の一部を構成している。トレッド部2には、接地面3にタイヤ周方向に延びる主溝30が複数形成されており、この複数の主溝30により、トレッド部2の表面には複数の陸部20が画成されている。本実施形態1では、主溝30は4本がタイヤ幅方向に並んで形成されており、4本の主溝30は、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面CLの両側にそれぞれ2本ずつ配設されている。つまり、トレッド部2には、タイヤ赤道面CLの両側に配設される2本のセンター主溝31と、2本のセンター主溝31のそれぞれのタイヤ幅方向外側に配設される2本のショルダー主溝32との、計4本の主溝30が形成されている。
【0023】
なお、主溝30とは、少なくとも一部がタイヤ周方向に延在する縦溝をいう。一般に主溝30は、3mm以上の溝幅を有し、6mm以上の溝深さを有し、摩耗末期を示すトレッドウェアインジケータ(スリップサイン)を内部に有する。本実施形態1では、主溝30は、6mm以上25mm以下の溝幅を有し、6mm以上9mm以下の溝深さを有しており、タイヤ赤道面CLと接地面3とが交差するタイヤ赤道線(センターライン)と実質的に平行である。主溝30は、タイヤ周方向に直線状に延在してもよいし、波形状又はジグザグ状に設けられてもよい。
【0024】
主溝30によって画成される陸部20のうち、2本のセンター主溝31同士の間に位置し、タイヤ赤道面CL上に位置する陸部20は、センター陸部21になっている。また、隣り合うセンター主溝31とショルダー主溝32との間に位置し、センター陸部21のタイヤ幅方向外側に配置される陸部20はセカンド陸部22になっている。また、セカンド陸部22のタイヤ幅方向外側に位置し、ショルダー主溝32を介してセカンド陸部22に隣り合う陸部20はショルダー陸部23になっている。
【0025】
なお、これらの陸部20は、タイヤ周方向の1周に亘ってリブ状に形成されていてもよく、トレッド部2に、タイヤ幅方向に延びるラグ溝(図示省略)が複数形成されることによって陸部20が主溝30とラグ溝とによって画成され、各陸部20がブロック状に形成されていてもよい。本実施形態1では、陸部20はタイヤ周方向の1周に亘って形成されるリブ状の陸部20として形成されている。
【0026】
タイヤ幅方向におけるトレッド部2の両外側端にはショルダー部5が位置しており、ショルダー部5のタイヤ径方向内側には、サイドウォール部8が配設されている。即ち、サイドウォール部8は、トレッド部2のタイヤ幅方向両側に配設されている。換言すると、サイドウォール部8は、タイヤ幅方向における空気入りタイヤ1の両側2箇所に配設されており、空気入りタイヤ1におけるタイヤ幅方向の最も外側に露出した部分を形成している。
【0027】
タイヤ幅方向における両側に位置するそれぞれのサイドウォール部8のタイヤ径方向内側には、ビード部10が位置している。ビード部10は、サイドウォール部8と同様に、タイヤ赤道面CLの両側2箇所に配設されており、即ち、ビード部10は、一対がタイヤ赤道面CLのタイヤ幅方向における両側に配設されている。各ビード部10にはビードコア11が設けられており、ビードコア11のタイヤ径方向外側にはビードフィラー12が設けられている。ビードコア11は、スチールワイヤであるビードワイヤを束ねて円環状に形成される環状部材になっており、ビードフィラー12は、ビードコア11のタイヤ径方向外側に配置されるゴム部材になっている。
【0028】
また、トレッド部2にはベルト層14が配設されている。ベルト層14は、複数のベルト141、142が積層される多層構造によって構成されており、本実施形態1では、2層のベルト141、142が積層されている。ベルト層14を構成するベルト141、142は、スチール、またはポリエステルやレーヨンやナイロン等の有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、タイヤ周方向に対するベルトコードの傾斜角として定義されるベルト角度が、所定の範囲内(例えば、20°以上55°以下)になっている。また、2層のベルト141、142は、ベルト角度が互いに異なっている。このため、ベルト層14は、2層のベルト141、142が、ベルトコードの傾斜方向を相互に交差させて積層される、いわゆるクロスプライ構造として構成されている。つまり、2層のベルト141、142は、それぞれのベルト141、142が有するベルトコードが互いに交差する向きで配設される、いわゆる交差ベルトとして設けられている。
【0029】
ベルト層14のタイヤ径方向外側には、ベルトカバー層15が配設されている。ベルトカバー層15は、ベルト層14のタイヤ径方向外側に配設されてベルト層14をタイヤ周方向に覆っており、ベルト層14を補強する補強層として設けられている。ベルトカバー層15は、タイヤ周方向に略平行でタイヤ幅方向に複数並設されたコード(図示省略)がコートゴムで被覆されることにより形成されている。ベルトカバー層15が有するコードは、例えば、スチール、またはポリエステルやポリエチレンテレフタレート、レーヨン、ナイロン、ポリアミド複合+αのハイブリッド等の有機繊維からなり、コードの角度はタイヤ周方向に対して±5°の範囲内になっている。また、ベルトカバー層15が有するコードは、コードの直径である線径が0.5mm以上1.8mm以下の範囲内になっており、コードが並ぶ方向における50mmあたりのコードの打ち込み本数が、30本以上80本以下の範囲内になっている。本実施形態1では、ベルトカバー層15は、ベルト層14が配設されるタイヤ幅方向における範囲の全域に亘って配設されており、ベルト層14のタイヤ幅方向端部を覆っている。トレッド部2が有するトレッドゴム層4は、トレッド部2におけるベルトカバー層15のタイヤ径方向外側に配設されている。
【0030】
ベルト層14のタイヤ径方向内側、及びサイドウォール部8のタイヤ赤道面CL側には、ラジアルプライのコードを内包するカーカス層13が連続して設けられている。このため、本実施形態1に係る空気入りタイヤ1は、いわゆるラジアルタイヤとして構成されている。カーカス層13は、1枚のカーカスプライから成る単層構造、或いは複数のカーカスプライを積層して成る多層構造を有し、タイヤ幅方向の両側に配設される一対のビード部10間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。
【0031】
詳しくは、カーカス層13は、タイヤ幅方向における両側に位置する一対のビード部10のうち、一方のビード部10から他方のビード部10にかけて配設されており、ビードコア11及びビードフィラー12を包み込むようにビード部10でビードコア11に沿ってタイヤ幅方向外側に巻き返されている。ビードフィラー12は、このようにカーカス層13がビード部10で折り返されることにより、ビードコア11のタイヤ径方向外側に形成される空間に配置されるゴム材になっている。また、ベルト層14は、このように一対のビード部10間に架け渡されるカーカス層13における、トレッド部2に位置する部分のタイヤ径方向外側に配置されている。また、カーカス層13のカーカスプライは、スチール、或いはアラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨン等の有機繊維材から成る複数のカーカスコードを、コートゴムで被覆して圧延加工することによって構成されている。カーカスプライを構成するカーカスコードは、タイヤ周方向に対する角度がタイヤ子午線方向に沿いつつ、タイヤ周方向にある角度を持って複数並設されている。
【0032】
ビード部10における、ビードコア11及びカーカス層13の巻き返し部のタイヤ径方向内側やタイヤ幅方向外側には、リムフランジに対するビード部10の接触面を構成するリムクッションゴム17が配設されている。また、カーカス層13の内側、或いは、当該カーカス層13の、空気入りタイヤ1における内部側には、インナーライナ16がカーカス層13に沿って形成されている。インナーライナ16は、空気入りタイヤ1の内側の表面であるタイヤ内面18を形成している。
【0033】
図2は、図1に示すトレッド部2の詳細図である。図3は、図2のA-A矢視方向におけるベルトカバー層15の模式図である。ベルト層14のタイヤ径方向外側に配設されるベルトカバー層15は、帯状に形成される帯状部材であるベルトカバー材40が、ベルト層14のタイヤ径方向外側にタイヤ回転軸を中心とする螺旋状に巻かれることにより形成されている。帯状部材であるベルトカバー材40は、幅が5mm以上15mm以下の範囲内になっている。ベルトカバー材40は、ベルトカバー層15を構成する補強層構成部材になっており、ベルトカバー層15を構成するコードがコートゴムで被覆されることにより形成されている。
【0034】
また、ベルトカバー材40は、第1カバー材41と第2カバー材42とを有し、第1カバー材41と第2カバー材42とは、それぞれ帯状に形成されると共に、それぞれベルト層14のタイヤ径方向外側に螺旋状に巻かれている。また、第1カバー材41と第2カバー材42とは、同一種類の部材となっており、それぞれベルトカバー層15を構成するコードがコートゴムで被覆されることにより形成されている。つまり、第1カバー材41と第2カバー材42とは、幅及び厚さや、コードの線径及びコードの間隔、コードやコートゴムの材料等が、同一とみなすことができる形態になっている。
【0035】
また、第1カバー材41と第2カバー材42とは、タイヤ幅方向における配設位置が、タイヤ赤道面CLを中心として互いに反対側に配設されており、タイヤ幅方向における中央付近の位置で重なっている。具体的には、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面CLよりも一方側を第1側S1とし、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面CLよりも他方側を第2側S2とする場合に、第1カバー材41は、第2側S2のショルダー領域Ashとタイヤ赤道面CLとの間の位置から、第1側S1のショルダー領域Ashにかけて配設されている。また、第2カバー材42は、第1側S1のショルダー領域Ashとタイヤ赤道面CLとの間の位置から第2側S2のショルダー領域Ashにかけて配設されている。
【0036】
なお、この場合におけるショルダー領域Ashは、ベルト層14のタイヤ幅方向における幅の85%の位置Pとベルト層14のタイヤ幅方向における端部144との間の領域になっている。詳しくは、ショルダー領域Ashは、タイヤ子午断面において、ベルト層14が有する複数のベルト141、142のうち、タイヤ幅方向における幅が最も広いベルトである最幅広ベルト143のタイヤ幅方向における幅の85%の位置Pと、最幅広ベルト143の端部144とから、タイヤ内面18に対して垂直に延ばした線を、それぞれショルダー領域境界線Lshとする場合に、2本のショルダー領域境界線Lshの間に位置する領域になっている。これらのように規定されるショルダー領域Ashは、タイヤ赤道面CLのタイヤ幅方向における両側で規定され、タイヤ赤道面CLのタイヤ幅方向における両側にそれぞれ位置している。
【0037】
本実施形態1では、ベルト層14が有する2層のベルト141、142のうち、タイヤ径方向内側に位置するベルト141のタイヤ幅方向における幅が、他方のベルト142のタイヤ幅方向における幅よりも広くなっており、このタイヤ径方向内側に位置するベルト141が、最幅広ベルト143になっている。
【0038】
また、最幅広ベルト143のタイヤ幅方向における幅の85%の位置Pは、最幅広ベルト143のタイヤ幅方向における中心、或いはタイヤ赤道面CLの位置を中心として、最幅広ベルト143のタイヤ幅方向における幅の85%の領域がタイヤ幅方向両側に均等に振り分けられた際における、85%の領域の端部の位置になっている。このため、最幅広ベルト143のタイヤ幅方向における幅の85%の位置Pと、最幅広ベルト143の端部144との間隔は、タイヤ赤道面CLのタイヤ幅方向両側で同じ大きさになっている。
【0039】
このように規定されるショルダー領域Ashは、空気入りタイヤ1を正規リムにリム組みして正規内圧を充填した状態における形状で規定される。ここでいう正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、或いは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、或いはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。
【0040】
また、第1カバー材41と第2カバー材42とは、それぞれベルト層14のタイヤ径方向外側に螺旋状に巻かれているが、螺旋の方向は、タイヤ赤道面CLを中心として見た場合に、対称になる方向になっている。つまり、第1カバー材41と第2カバー材42とは、タイヤ赤道面CL側からショルダー領域Ash側に向かう際において、タイヤ周方向における巻き付け方向が同じ方向になっている。具体的には、第1カバー材41の、タイヤ赤道面CL側から第1側S1のショルダー領域Ash側に向かう際におけるタイヤ周方向への巻き付けの方向と、第2カバー材42の、タイヤ赤道面CL側から第2側S2のショルダー領域Ash側に向かう際におけるタイヤ周方向への巻き付けの方向とが、同じ方向になっている。
【0041】
さらに、第1カバー材41と第2カバー材42とは、タイヤ幅方向における位置が互いに同じ位置となる位置に、第1カバー材41と第2カバー材42とがタイヤ径方向に重なるオーバーラップ部45を有している。
【0042】
図4は、図2に示すセンター陸部21の詳細図である。第1カバー材41におけるタイヤ赤道面CL寄りの端部である内側端部41a(図3参照)は、第2側S2に位置し、第2カバー材42におけるタイヤ赤道面CL寄りの端部である内側端部42a(図3参照)は、第1側S1に位置しており、オーバーラップ部45は、第1カバー材41における第2側S2に位置する部分と、第2カバー材における第1側S1に位置する部分との間に亘る位置に形成されている。このため、オーバーラップ部45は、タイヤ赤道面CLをタイヤ幅方向に跨いで形成されており、少なくとも一部がセンター陸部21のタイヤ径方向内側に位置している。つまり、第1カバー材41と第2カバー材42とは、セカンド陸部22やショルダー陸部23のタイヤ径方向内側の位置では、1層で巻かれるのに対し、センター陸部21のタイヤ径方向内側の位置で、第1カバー材41と第2カバー材42との双方が配設される部分では、第1カバー材41と第2カバー材42との2層がタイヤ径方向に重ねられて巻き付けられる。
【0043】
即ち、第1カバー材41と第2カバー材42とは、セカンド陸部22やショルダー陸部23のタイヤ径方向内側の位置では、ベルトカバー材40がタイヤ径方向に重ねられることなく螺旋状に巻き付けられるため、ベルトカバー材40が1層で巻かれる。これに対し、センター陸部21のタイヤ径方向内側の位置で、第1カバー材41と第2カバー材42との双方が配設される部分では、第1カバー材41と第2カバー材42とをそれぞれ螺旋状に巻く際に双方をタイヤ径方向に重ねて巻き付けられるため、ベルトカバー材40が2層で巻かれる。オーバーラップ部45は、ベルトカバー層15が配設される範囲において、このようにオーバーラップ部45以外の位置よりも多くの枚数のベルトカバー材40が積層される部分になっている。
【0044】
これらのように、オーバーラップ部45を形成する第1カバー材41と第2カバー材42とは、第1カバー材41の内側端部41aのタイヤ周方向における位置と、第2カバー材42の内側端部42aのタイヤ周方向における位置とが異なる位置となって配設される。
【0045】
ここで、第1カバー材41と第2カバー材42とは、タイヤ回転軸を中心とする螺旋状に配設されているため、タイヤ周方向に対していずれもタイヤ幅方向に傾斜しており、さらに、第1カバー材41の内側端部41aのタイヤ周方向における位置と、第2カバー材42の内側端部42aのタイヤ周方向における位置とが異なっている。このため、第1カバー材41と第2カバー材42とがタイヤ径方向に重ねられることにより形成されるオーバーラップ部45は、タイヤ幅方向における幅Wがタイヤ周方向における位置によって変動する。
【0046】
タイヤ幅方向における幅Wが変動するオーバーラップ部45は、タイヤ幅方向における幅Wが最小となる位置での幅である最小幅Wmin(図3参照)が、5mm以上になっており、タイヤ幅方向における幅Wが最大となる位置での幅である最大幅Wmax(図3参照)が、40mm以下になっている。つまり、オーバーラップ部45は、タイヤ幅方向における幅Wが、5mm以上40mm以下の範囲内になっている。
【0047】
[空気入りタイヤの製造方法]
次に、実施形態1に係る空気入りタイヤ1の製造方法について説明する。空気入りタイヤ1の製造時には、まず、空気入りタイヤ1を構成する部材ごとに加工を行い、加工した部材を組み立てる。即ち、トレッドゴム層4等のゴム部材や、ビードコア11、カーカス層13、ベルト層14、ベルトカバー層15等の各部材をそれぞれ加工し、加工した部材を組み立てる。このうち、ベルトカバー層15は、ベルト層14のタイヤ径方向外側に、帯状のベルトカバー材40をタイヤ回転軸を中心とする螺旋状に巻くことにより、ベルト層14のタイヤ径方向外側に配設する。
【0048】
ベルトカバー層15を形成するための部材であるベルトカバー材40は、本実施形態1では、第1カバー材41(図3参照)と第2カバー材42(図3参照)とを使用する。ベルトカバー層15をベルト層14のタイヤ径方向外側に配設する工程は、第1カバー材41を、第2側S2(図2参照)のショルダー領域Ashとタイヤ赤道面CLとの間の位置から第1側S1(図2参照)のショルダー領域Ashにかけて螺旋状に巻く工程と、第2カバー材42を、第1側S1のショルダー領域Ashとタイヤ赤道面CLとの間の位置から第2側S2のショルダー領域Ashにかけて螺旋状に巻く工程と、を含む。つまり、第1カバー材41を巻く工程では、第1カバー材41の内側端部41a(図3参照)は第2側S2に位置させつつ、第1カバー材41の大部分を第1側S1に巻き付け、第2カバー材42を巻く工程では、第2カバー材42の内側端部42a(図3参照)は第1側S1に位置させつつ、第2カバー材42の大部分を第2側S2に巻き付ける。
【0049】
これらの第1カバー材41を巻く工程と第2カバー材42を巻く工程は、時間が重なって行われる。つまり、第1カバー材41を巻く工程と第2カバー材42を巻く工程は、第1カバー材41を巻く工程中の少なくとも一部の作業と、第2カバー材42を巻く工程中の少なくとも一部の作業とが、同時刻に行われる。
【0050】
また、第1カバー材41と第2カバー材42とは、第1カバー材41の内側端部41aのタイヤ周方向における位置と、第2カバー材42の内側端部42aのタイヤ周方向における位置とを互いに異ならせて、それぞれ巻き付ける。ベルトカバー層15は、これらのように第1カバー材41と第2カバー材42とを、それぞれベルト層14のタイヤ径方向外側にタイヤ回転軸を中心とする螺旋状に巻きながら所定の範囲に配設することにより、ベルト層14のタイヤ径方向外側に配設する。
【0051】
また、第1カバー材41を巻く工程と第2カバー材42を巻く工程では、タイヤ幅方向における位置が第1カバー材41と第2カバー材42とで同じ位置となる部分で、第1カバー材41と第2カバー材42とをタイヤ径方向に重ねる。つまり、第1カバー材41を巻く工程と第2カバー材42を巻く工程では、第1カバー材41における第2側S2に位置する部分と、第2カバー材42における第1側S1に位置する部分との間に亘る位置で、第1カバー材41と第2カバー材42とをタイヤ径方向に重ねる。これにより、第1カバー材41と第2カバー材42とをタイヤ径方向に重ねるオーバーラップ部45を形成する。
【0052】
その際に、第1カバー材41を巻く工程と第2カバー材42を巻く工程では、第1カバー材41や第2カバー材42は、いずれも螺旋状に巻くため、第1カバー材41と第2カバー材42とは、タイヤ周方向に対してタイヤ幅方向に傾斜させて巻き付ける。また、第1カバー材41と第2カバー材42とは、第1カバー材41の内側端部41aのタイヤ周方向における位置と、第2カバー材42の内側端部42aのタイヤ周方向における位置とを互いに異ならせて巻き付ける。このため、オーバーラップ部45は、タイヤ幅方向における幅Wをタイヤ周方向における位置によって変動させる形態で形成する。
【0053】
図5は、第1カバー材41と第2カバー材42とを巻き付ける方向について説明する模式図である。第1カバー材41を巻く工程では、第1カバー材41を第2側S2のショルダー領域Ashとタイヤ赤道面CLとの間の位置から第1側S1のショルダー領域Ashに向けて螺旋状に巻く。同様に、第2カバー材42を巻く工程では、第2カバー材42を第1側S1のショルダー領域Ashとタイヤ赤道面CLとの間の位置から第2側S2のショルダー領域Ashに向けて螺旋状に巻く。つまり、第1カバー材41は、まず内側端部41aを第2側S2に配置し、第1側S1のショルダー領域Ash側に向けて螺旋状に巻き付ける。同様に、第2カバー材42は、まず内側端部42aを第1側S1に配置し、第2側S2のショルダー領域Ash側に向けて螺旋状に巻き付ける。即ち、第1カバー材41と第2カバー材42とは、それぞれタイヤ赤道面CL付近の位置から、タイヤ幅方向外側に向けて巻き付ける。
【0054】
[作用・効果]
本実施形態1に係る空気入りタイヤ1を車両に装着する際には、ビード部10にリムホイールR(図6参照)を嵌合することによってリムホイールRに空気入りタイヤ1をリム組みし、内部に空気を充填してインフレートした状態で車両に装着する。車両に装着する際における向きは、第1側S1が車両幅方向内側で第2側S2が車両幅方向外側であってもよく、第1側S1が車両幅方向外側で第2側S2が車両幅方向内側であってもよい。なお、車両装着時における向きが指定される空気入りタイヤ1においては、車両装着方向における内側と外側と、第1側S1と第2側S2との関係を、予め設定しておいてもよい。
【0055】
本実施形態1に係る空気入りタイヤ1は、例えば、EXTRA LOAD規格のような、高荷重での使用に対応することができる空気入りタイヤ1であるため、インフレート時の空気圧を比較的高い状態にして使用することが可能になっている。このため、空気入りタイヤ1を高荷重で使用する際には、高めの空気圧で使用する。空気入りタイヤ1を装着した車両が走行すると、接地面3のうち下方に位置する部分の接地面3が路面に接触しながら当該空気入りタイヤ1は回転する。車両は、接地面3と路面との間の摩擦力により、駆動力や制動力を路面に伝達したり、旋回力を発生させたりすることにより走行する。
【0056】
例えば、空気入りタイヤ1を装着した車両で乾燥した路面を走行する場合には、主に接地面3と路面との間の摩擦力により、駆動力や制動力を路面に伝達したり、旋回力を発生させたりすることにより走行する。また、濡れた路面を走行する際には、接地面3と路面との間の水が主溝30やラグ溝等の溝に入り込み、これらの溝で接地面3と路面との間の水を排水しながら走行する。これにより、接地面3は路面に接地し易くなり、接地面3と路面との間の摩擦力により、車両は所望の走行をすることが可能になる。
【0057】
また、車両の走行時は、空気入りタイヤ1は車体の重量や、加減速、旋回に伴う荷重を受けるため、タイヤ径方向に大きな荷重が作用する。この荷重は、空気入りタイヤ1の内部に充填される空気によって主に受けるが、空気入りタイヤ1の内部の空気のみでなく、トレッド部2やサイドウォール部8によっても受ける。即ち、サイドウォール部8は、リムホイールRが嵌合されるビード部10とトレッド部2との間で荷重を伝達し、トレッド部2は、サイドウォール部8と路面との間で荷重を伝達する。このため、サイドウォール部8やトレッド部2には、車両の走行時には大きな荷重が作用し、サイドウォール部8やトレッド部2は、主にタイヤ径方向に撓みながらこの荷重を受ける。
【0058】
また、車両の走行時には、空気入りタイヤ1は回転をするため、接地面3における路面に接地する位置は継続的にタイヤ周方向に移動し、これに伴い、サイドウォール部8やトレッド部2における、車両の走行時の荷重によって撓む位置も、タイヤ周方向に移動する。このため、車両の走行時は、サイドウォール部8やトレッド部2のタイヤ周方向上における各位置が、順次撓むことを繰り返しながら空気入りタイヤ1は回転をする。
【0059】
また、車両が走行する路面には、石等の路面から突出する突起物が存在することがあり、走行中の車両は、このような突起物を空気入りタイヤ1のトレッド部2で踏んでしまうことがある。その際に、内部に充填される空気圧が高いことによりサイドウォール部8やトレッド部2の撓みが小さいと、空気入りタイヤ1は、突起物が存在することによる路面の形状の変化を吸収することができず、突起物は、空気入りタイヤ1のトレッド部2を貫通してしまう虞がある。即ち、内圧を高くした空気入りタイヤ1は、路面上の突起物を踏んだ際に、サイドウォール部8やトレッド部2の撓みが小さいことに起因して突起物がトレッド部2を貫通し、ショックバーストが発生する虞がある。
【0060】
これに対し、本実施形態1に係る空気入りタイヤ1は、ベルトカバー層15が第1カバー材41と第2カバー材42とにより形成され、第1カバー材41と第2カバー材42とで、タイヤ赤道面CLをタイヤ幅方向に跨ぐオーバーラップ部45が形成されるため、内圧を高くした場合におけるショックバーストを抑制することができる。図6は、実施形態1に係る空気入りタイヤ1で路面100上の突起物105を踏んだ状態を示す説明図である。本実施形態1に係る空気入りタイヤ1では、第1カバー材41と第2カバー材42とにおけるタイヤ赤道線CLをタイヤ幅方向に跨ぐ部分同士をタイヤ径方向に重ねることにより、ベルトカバー材40が2層になるオーバーラップ部45を、タイヤ赤道面CLを跨ぐ位置に形成することができる。これにより、トレッド部2のタイヤ幅方向における中央付近の破断強度を増加させることができ、路面100上の突起物105を、接地圧が高くなり易いセンター陸部21付近で踏んだ場合でも、突起物105がトレッド部2を貫通することを抑制することができる。従って、車両の走行中に突起物105を踏むことに起因するショックバーストを抑制することができる。
【0061】
また、ベルトカバー層15を形成する第1カバー材41と第2カバー材42とは、オーバーラップ部45以外の部分はタイヤ幅方向において異なる位置に配設されるため、第1カバー材41と第2カバー材42とは、オーバーラップ部45以外の部分は同時に螺旋状に巻き付けて配設することができる。これにより、耐ショックバースト性を向上させることを目的としてベルトカバー層15を配設する際に、生産性を高めて配設することができる。これらの結果、耐ショックバースト性能の低下を抑制しつつ、生産性を向上させることができる。
【0062】
また、オーバーラップ部45が、第1カバー材41や第2カバー材42から連続して形成されるため、トレッドゴム層4からのベルトカバー材40の端部付近の剥離を低減することができる。つまり、オーバーラップ部45を形成するベルトカバー材40が、ベルトカバー層15における他の部分を形成するベルトカバー材40に対して不連続である場合は、オーバーラップ部45を形成するベルトカバー材40の両端部が、ベルトカバー層15におけるオーバーラップ部45以外の部分のタイヤ径方向外側に位置することになる。この場合、オーバーラップ部45に作用する荷重が車両の走行に伴って繰り返し変動することにより、オーバーラップ部45を形成するベルトカバー材40の両端部付近で剥離が発生し易くなる虞がある。つまり、オーバーラップ部45を形成するベルトカバー材40の両端部付近が、トレッドゴム層4から剥離し易くなる虞がある。
【0063】
これに対し、オーバーラップ部45が、第1カバー材41や第2カバー材42から連続して形成される場合は、トレッドゴム層4に露出する、オーバーラップ部45を形成するベルトカバー材40の端部が少なくなるため、トレッドゴム層4からのベルトカバー材40の端部付近の剥離を低減することができる。この結果、オーバーラップ部45のエッジセパレーションを抑えつつ、耐ショックバースト性能を向上させることができる。
【0064】
また、オーバーラップ部45は、タイヤ幅方向における幅Wの最小幅Wminが5mm以上であり、タイヤ幅方向における幅Wの最大幅Wmaxが40mm以下であるため、ベルトカバー層15の重量が増加し過ぎることを抑制しつつ、オーバーラップ部45の強度をより確実に確保することができる。つまり、オーバーラップ部45の最小幅Wminが5mm未満である場合は、最小幅Wminが小さ過ぎるため、オーバーラップ部45の強度を確保し難くなる虞がある。この場合、オーバーラップ部45を形成しても、トレッド部2のタイヤ幅方向における中央付近の破断強度を効果的に向上させ難くなり、トレッド部2で踏んだ突起物105がトレッド部2を貫通することを効果的に抑制し難くなる虞がある。また、オーバーラップ部45の最大幅Wmaxが40mmより大きい場合は、最大幅Wmaxが大き過ぎるため、使用するベルトカバー材40が多くなり過ぎる虞がある。この場合、ベルトカバー層15の重量が増加し過ぎる虞があり、オーバーラップ部45を設けることに起因して空気入りタイヤ1の重量が増加し過ぎる虞がある。
【0065】
これに対し、オーバーラップ部45の最小幅Wminが5mm以上で、最大幅Wmaxが40mm以下である場合は、ベルトカバー層15の重量が増加し過ぎることを抑制しつつ、オーバーラップ部45の強度をより確実に確保することができ、接地圧が高くなり易いトレッド部2のタイヤ幅方向における中央付近の破断強度を、より確実に向上させることができる。この結果、空気入りタイヤ1の重量の増加を抑えつつ、耐ショックバースト性能を向上させることができる。
【0066】
また、第1カバー材41と第2カバー材42とは同一種類であるため、ベルトカバー層15を構成する部材として第1カバー材41と第2カバー材42とを用いつつ、ベルトカバー層15におけるオーバーラップ部45以外の部分の強度を均一化させることができる。これにより、操縦安定性等の他の性能への影響を抑えつつ、ショックバーストの抑制を図ることができる。また、第1カバー材41と第2カバー材42とを同一種類にすることにより、第1カバー材41と第2カバー材42との製造を同時に行ったり、連続的に行ったりすることができ、ベルトカバー材40として第1カバー材41と第2カバー材42とを用いる際における生産性を向上させることができる。この結果、より確実に耐ショックバースト性能の低下を抑制しつつ、生産性を向上させることができる。
【0067】
また、実施形態1に係る空気入りタイヤ1の製造方法は、ベルトカバー材40として第1カバー材41と第2カバー材42とを使用し、第1カバー材41を、第2側S2のショルダー領域Ashとタイヤ赤道面CLとの間の位置から第1側S1のショルダー領域Ashにかけて螺旋状に巻く工程と、第2カバー材42を、第1側S1のショルダー領域Ashとタイヤ赤道面CLとの間の位置から第2側S2のショルダー領域Ashにかけて螺旋状に巻く工程と、を含むため、第1カバー材41と第2カバー材42とを同時に巻き付けることができる。これにより、ベルトカバー層15を配設する時間の短縮化を図ることができ、生産性を高めることができる。
【0068】
また、第1カバー材41を巻く工程と第2カバー材42を巻く工程では、タイヤ幅方向における位置が第1カバー材41と第2カバー材42とで同じ位置となる部分で双方を重ねてオーバーラップ部45を形成するため、接地圧が高くなり易いトレッド部2のタイヤ幅方向における中央付近の破断強度を増加させることができる。これにより、路面100上の突起物105をセンター陸部21付近で踏んだ場合でも、突起物105がトレッド部2を貫通することを抑制することができ、車両の走行中に突起物105を踏むことに起因するショックバーストを抑制することができる。これらの結果、耐ショックバースト性能の低下を抑制しつつ、生産性を向上させることができる。
【0069】
また、第1カバー材41を巻く工程では、第1カバー材41を第2側S2のショルダー領域Ashとタイヤ赤道面CLとの間の位置から第1側S1のショルダー領域Ashに向けて螺旋状に巻き、第2カバー材42を巻く工程では、第2カバー材42を第1側S1のショルダー領域Ashとタイヤ赤道面CLとの間の位置から第2側S2のショルダー領域Ashに向けて螺旋状に巻くため、第1カバー材41及び第2カバー材42を巻く際に、それぞれタイヤ赤道面CL寄りの位置からタイヤ幅方向外側に向けて巻くことができる。これにより、第1カバー材41と第2カバー材42との巻く位置を、互いにタイヤ幅方向において離れる方向に巻くことができるため、第1カバー材41や第2カバー材42を巻く際に用いる装置同士が干渉することを、より確実に抑制することができる。この結果、より確実に生産性を向上させることができる。
【0070】
[実施形態2]
実施形態2に係る空気入りタイヤ1は、実施形態1に係る空気入りタイヤ1と略同様の構成であるが、ベルトカバー材40が折り返される点に特徴がある。他の構成は実施形態1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
【0071】
図7は、実施形態2に係る空気入りタイヤ1の第1カバー材41と第2カバー材42とについての模式図である。実施形態2に係る空気入りタイヤ1は、実施形態1に係る空気入りタイヤ1と同様に、ベルトカバー層15は、第1カバー材41と第2カバー材42とがベルト層14のタイヤ径方向外側に螺旋状に巻かれることにより形成され、第1カバー材41と第2カバー材42とによって、タイヤ赤道面CLをタイヤ幅方向に跨ぐオーバーラップ部45が形成される。
【0072】
さらに、実施形態2では、ベルトカバー材40は、ショルダー領域Ashでタイヤ径方向に折り返されている。つまり、第1カバー材41は、第1カバー材41を巻き付ける工程で、第2側S2に位置する内側端部41aから第1側S1のショルダー領域Ashに向かって螺旋状に巻かれ、第1側S1のショルダー領域Ashでタイヤ径方向外側に折り返される。タイヤ径方向外側に折り返された部分である折り返し部41bは、第1カバー材41におけるベルト層14のタイヤ径方向外側に巻き付けられた部分のさらにタイヤ径方向外側に、ショルダー領域Ashで折り返された位置からタイヤ赤道面CL側に向かって螺旋状に巻き付けられる。
【0073】
第2カバー材42も同様に、第2カバー材42を巻き付ける工程で、第1側S1に位置する内側端部42aから第2側S2のショルダー領域Ashに向かって螺旋状に巻かれ、第2側S2のショルダー領域Ashでタイヤ径方向外側に折り返される。タイヤ径方向外側に折り返された部分である折り返し部42bは、第2カバー材42におけるベルト層14のタイヤ径方向外側に巻き付けられた部分のさらにタイヤ径方向外側に、ショルダー領域Ashで折り返された位置からタイヤ赤道面CL側に向かって螺旋状に巻き付けられる。
【0074】
なお、第1カバー材41における折り返し部41bや第2カバー材42の折り返し部42bは、ショルダー領域Ash内のみに位置していてもよく、ショルダー領域Ashよりもタイヤ幅方向内側に位置する部分を有していてもよい。つまり、第1カバー材41における折り返し部41b側の端部である外側端部41cや、第2カバー材42における折り返し部42b側の端部である外側端部42cは、ショルダー領域Ash内に位置していてもよく、ショルダー領域Ashよりもタイヤ幅方向内側に位置していてもよい。
【0075】
これらのように、ショルダー領域Ashで折り返されるベルトカバー材40は、タイヤ径方向に重なる部分のタイヤ幅方向における幅が、ベルトカバー層15のタイヤ幅方向における幅CWの5%以上50%以下の範囲内になっている。この場合におけるタイヤ径方向に重なる部分のタイヤ幅方向における幅は、第1カバー材41の折り返し部41bのタイヤ幅方向における幅We1と、第2カバー材42の折り返し部42bのタイヤ幅方向における幅We2と、オーバーラップ部45のタイヤ幅方向における幅Wとを全て合わせた幅になっている。
【0076】
このように構成される実施形態2に係る空気入りタイヤ1は、実施形態1に係る空気入りタイヤ1と同様に、ベルトカバー層15は、第1カバー材41と第2カバー材42とがベルト層14のタイヤ径方向外側に螺旋状に巻かれることにより形成され、第1カバー材41と第2カバー材42とによってオーバーラップ部45が形成されため、耐ショックバースト性能の低下を抑制しつつ、生産性を向上させることができる。
【0077】
また、ベルトカバー材40は、ショルダー領域Ashでタイヤ径方向に折り返されるため、ベルト層14のタイヤ幅方向における端部付近をベルトカバー層15によって拘束する力を高めることができる。これにより、車両走行時に、ベルト層14のタイヤ幅方向における端部がタイヤ径方向外側に膨らむことをベルトカバー層15によってより確実に抑制することができる。従って、接地面3が接地する際の接地形状におけるタイヤ幅方向両側の接地長を短くすることができる。換言すると、ベルトカバー材40をショルダー領域Ashでタイヤ径方向に折り返すことにより、接地形状を調節することができ、操縦安定性等の走行時の性能を、所望の性能にすることができる。この結果、耐ショックバースト性能の低下を抑制しつつ、所望の走行性能を確保することができる。
【0078】
また、ベルトカバー材40は、タイヤ径方向に重なる部分のタイヤ幅方向における幅が、ベルトカバー層15のタイヤ幅方向における幅CWの5%以上50%以下の範囲内であるため、ベルトカバー層15の重量が増加し過ぎることを抑制しつつ、オーバーラップ部45の強度やベルトカバー層15によるベルト層14の端部付近の拘束力をより確実に確保することができる。つまり、ベルトカバー材40におけるタイヤ径方向に重なる部分のタイヤ幅方向における幅が、ベルトカバー層15の幅CWの5%未満である場合は、タイヤ径方向に重なる部分の幅が狭過ぎるため、オーバーラップ部45の強度を確保し難くなったり、ベルトカバー層15によるベルト層14の端部付近の拘束力を確保し難くなったりする虞がある。この場合、トレッド部2のタイヤ幅方向における中央付近の破断強度をオーバーラップ部45によって効果的に向上させ難くなったり、接地形状におけるタイヤ幅方向両側の接地長を効果的に短くし難くなったりする虞がある。また、ベルトカバー材40におけるタイヤ径方向に重なる部分のタイヤ幅方向における幅が、ベルトカバー層15の幅CWの50%より大きい場合は、タイヤ径方向に重なる部分の幅が大き過ぎるため、ベルトカバー層15の重量が増加し過ぎる虞がある。この場合、オーバーラップ部45を設けたり、ベルトカバー材40を折り返したりすることに起因して、空気入りタイヤ1の重量が増加し過ぎる虞がある。
【0079】
これに対し、ベルトカバー材40におけるタイヤ径方向に重なる部分のタイヤ幅方向における幅が、ベルトカバー層15の幅CWの5%以上50%以下の範囲内である場合は、ベルトカバー層15の重量が増加し過ぎることを抑制しつつ、オーバーラップ部45の強度やベルトカバー層15によるベルト層14の端部付近の拘束力をより確実に確保することができる。この結果、空気入りタイヤ1の重量の増加を抑えつつ、耐ショックバースト性能や走行性能を向上させることができる。
【0080】
[実施形態3]
実施形態3に係る空気入りタイヤ1は、実施形態1に係る空気入りタイヤ1と略同様の構成であるが、ベルトカバー材40におけるタイヤ幅方向に隣り合う部分同士がタイヤ径方向に重なる点に特徴がある。他の構成は実施形態1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
【0081】
図8は、実施形態3に係る空気入りタイヤ1が有するベルトカバー材40の模式図である。図9は、図8に示すベルトカバー材40の平面図である。実施形態3に係る空気入りタイヤ1は、実施形態1に係る空気入りタイヤ1と同様に、ベルトカバー層15は、第1カバー材41と第2カバー材42とがベルト層14のタイヤ径方向外側に螺旋状に巻かれることにより形成され、第1カバー材41と第2カバー材42とによって、タイヤ赤道面CLをタイヤ幅方向に跨ぐオーバーラップ部45が形成される。
【0082】
さらに、実施形態3では、ベルトカバー材40は、螺旋状に巻かれることによってタイヤ幅方向に隣り合う部分同士がタイヤ径方向に重なる隣接ラップ部46を有している。つまり、実施形態1では、螺旋状に巻かれるベルトカバー材40は、1つのベルトカバー材40におけるタイヤ幅方向に隣り合う部分同士がタイヤ径方向に重なることなく、タイヤ幅方向に隣り合う部分同士がタイヤ幅方向に並べられながら螺旋状に巻かれている。
【0083】
これに対し、実施形態3では、螺旋状に巻かれるベルトカバー材40は、1つのベルトカバー材40におけるタイヤ幅方向に隣り合う部分同士がタイヤ径方向に重ねられながら螺旋状に巻かれており、このようにタイヤ径方向に重ねられる部分が、隣接ラップ部46として形成されている。実施形態3では、第1カバー材41と第2カバー材42との双方のベルトカバー材40が、いずれも隣接ラップ部46を有して螺旋状に巻かれている。このように形成される隣接ラップ部46は、ベルトカバー材40の幅方向における幅Wbが、ベルトカバー材40の幅Waの20%以上70%以下の範囲内になっている。
【0084】
また、オーバーラップ部45は、ベルトカバー材40が隣接ラップ部46を有して螺旋状に巻かれることにより、ベルトカバー材40が3層以上となる部分を有している。つまり、オーバーラップ部45は、第1カバー材41と第2カバー材42とがタイヤ径方向に重なることにより形成されるが、第1カバー材41や第2カバー材42におけるオーバーラップ部45を形成する部分が隣接ラップ部46を有する場合には、隣接ラップ部46の位置では、ベルトカバー材40が3層以上になる。例えば、第1カバー材41におけるオーバーラップ部45を形成する部分に隣接ラップ部46を有する場合は、オーバーラップ部45は、隣接ラップ部46を形成する2層の第1カバー材41と1層の第2カバー材42との3層のベルトカバー材40が積層される。第2カバー材42におけるオーバーラップ部45を形成する部分に隣接ラップ部46を有する場合も同様である。
【0085】
また、第1カバー材41におけるオーバーラップ部45を形成する部分と第2カバー材42におけるオーバーラップ部45を形成する部分とのいずれも隣接ラップ部46を有し、第1カバー材41の隣接ラップ部46と第2カバー材42の隣接ラップ部46とがタイヤ径方向に重なる場合は、ベルトカバー材40は4層が積層される。オーバーラップ部45は、これらのように第1カバー材41と第2カバー材42との少なくともいずれか一方が隣接ラップ部46を有することにより、ベルトカバー材40が3層以上となる部分を有している。
【0086】
このように構成される実施形態3に係る空気入りタイヤ1は、実施形態1に係る空気入りタイヤ1と同様に、ベルトカバー層15は、第1カバー材41と第2カバー材42とによってオーバーラップ部45が形成されため、耐ショックバースト性能の低下を抑制しつつ、生産性を向上させることができる。
【0087】
また、ベルトカバー材40は、隣接ラップ部46を有して螺旋状に巻かれているため、ベルトカバー層15をより高い強度で配設することができる。これにより、ベルトカバー層15によってトレッド部2のより広い範囲の破断強度を増加させることができ、より確実にショックバーストを抑制することができる。また、隣接ラップ部46は、ベルトカバー材40の幅方向における幅Wbが、ベルトカバー材40の幅Waの20%以上70%以下の範囲内であるため、ベルトカバー層15の重量が増加し過ぎることを抑制しつつ、より確実にショックバーストを抑制することができる。
【0088】
つまり、隣接ラップ部46の幅Wbが、ベルトカバー材40の幅Waの20%未満である場合は、隣接ラップ部46を設けてベルトカバー材40を巻いても、隣接ラップ部46を設けない場合と比較して、トレッド部2の破断強度を効果的に増加させ難くなる虞がある。この場合、隣接ラップ部46を設けても、隣接ラップ部46を設けることによってショックバーストを抑制する効果を得難くなる虞がある。また、隣接ラップ部46の幅Wbが、ベルトカバー材40の幅Waの70%より大きい場合は、隣接ラップ部46の幅Wbが大き過ぎるため、使用するベルトカバー材40が多くなり過ぎる虞がある。この場合、ベルトカバー層15の重量が増加し過ぎる虞があり、これに起因して空気入りタイヤ1の重量が増加し過ぎる虞がある。
【0089】
これに対し、隣接ラップ部46の幅Wbが、ベルトカバー材40の幅Waの20%以上70%以下の範囲内である場合は、ベルトカバー層15の重量が増加し過ぎることを抑制しつつ、トレッド部2のタイヤ幅方向におけるより広い範囲の破断強度を増加させることができ、ショックバーストをより確実に抑制することができる。この結果、空気入りタイヤ1の重量の増加を抑えつつ、耐ショックバースト性能を向上させることができる。
【0090】
また、オーバーラップ部45は、第1カバー材41と第2カバー材42との少なくともいずれか一方が隣接ラップ部46を有することにより、ベルトカバー材40が3層以上となる部分を有しているため、オーバーラップ部45の強度をより確実に確保することができる。これにより、トレッド部2のタイヤ幅方向における中央付近の破断強度をより確実に増加させることができ、より確実にショックバーストを抑制することができる。この結果、より確実に耐ショックバースト性能を向上させることができる。
【0091】
[空気入りタイヤの製造方法・効果]
実施形態3においても、第1カバー材41と第2カバー材42とは、それぞれタイヤ赤道面CL付近の位置から、タイヤ幅方向外側に向けて巻き付ける。つまり、第1カバー材41は、まず内側端部41aを第2側S2に配置し、隣接ラップ部46を形成しながら第1側S1のショルダー領域Ash側に向けて螺旋状に巻き付ける。同様に、第2カバー材42は、まず内側端部42aを第1側S1に配置し、隣接ラップ部46を形成しながら第2側S2のショルダー領域Ash側に向けて螺旋状に巻き付ける。
【0092】
隣接ラップ部46を設けながらベルトカバー材40を螺旋状に巻き付ける場合においても、このように第1カバー材41と第2カバー材42とを、それぞれタイヤ赤道面CL付近の位置から、タイヤ幅方向外側に向けて巻き付けることにより、第1カバー材41の内側端部41aや第2カバー材42の内側端部42aを、ベルトカバー材40の他の部位によって覆うことができる。これにより、大きな荷重が繰り返し作用し易いトレッド部2のタイヤ幅方向における中央付近に位置する第1カバー材41の内側端部41aや第2カバー材42の内側端部42aを、トレッドゴム層4から離して配置することができる。このため、第1カバー材41の内側端部41aや第2カバー材42の内側端部42aと、トレッドゴム層4との接触部分に応力集中が発生することに起因するエッジセパレーションを低減することができる。この結果、オーバーラップ部45のエッジセパレーションを抑えつつ、耐ショックバースト性能を向上させることができる。
【0093】
[変形例]
なお、上述した実施形態1では、主溝30は4本が形成されているが、主溝30は4本以外であってもよい。また、上述した実施形態1では、タイヤ赤道面CL上にセンター陸部21が位置しているが、タイヤ赤道面CL上に陸部20が位置していなくてもよい。例えば、タイヤ赤道面CL上に主溝30が位置していてもよい。タイヤ赤道面CL上に主溝30が位置する場合、ベルトカバー層15のオーバーラップ部45は、複数の陸部20のうちタイヤ赤道面CLに最も近い陸部20のタイヤ径方向内側に少なくとも一部が位置するのが好ましい。
【0094】
また、実施形態3のように、隣接ラップ部46を設けながらベルトカバー材40を螺旋状に巻き付ける場合においても、実施形態2のように、ベルトカバー材40をショルダー領域Ashでタイヤ径方向に折り返してもよい。図10は、実施形態3の変形例であり、ベルトカバー材40をショルダー領域Ashで折り返す場合の説明図である。第1カバー材41と第2カバー材42は、図10に示すように、それぞれタイヤ赤道面CL付近の位置から、タイヤ幅方向外側に向けて隣接ラップ部46(図9参照)を設けながら螺旋状に巻き付け、ショルダー領域Ashでタイヤ径方向に折り返してもよい。これにより、ベルトカバー層15によってトレッド部2のより広い範囲の破断強度を増加させつつ、接地形状を調節してすることができ、操縦安定性等の走行時の性能を所望の性能にすることができる。この結果、より確実に耐ショックバースト性能の低下を抑制しつつ、所望の走行性能を確保することができる。
【0095】
また、上述した実施形態1では、ベルトカバー材40におけるオーバーラップ部45を形成する部分が、トレッドゴム層4に直接接触しているが、ベルトカバー材40におけるオーバーラップ部45を形成する部分がトレッドゴム層4に接触しないようにしてもよい。図11は、実施形態1の変形例であり、オーバーラップ部45の外側にフルカバー50を設ける場合の説明図である。第1カバー材41や第2カバー材42のタイヤ径方向外側には、例えば、図11に示すように、タイヤ幅方向両側のショルダー領域Ash間に亘って配設されるフルカバー50を配設してもよい。即ち、ベルトカバー層15は、第1カバー材41や第2カバー材42のタイヤ径方向外側にフルカバー50を有していてもよい。フルカバー50は、第1カバー材41や第2カバー材42のタイヤ径方向外側に、第1カバー材41や第2カバー材42と同様のベルトカバー材40を、タイヤ幅方向両側のショルダー領域Ash間に亘って螺旋状に巻くことにより形成する。
【0096】
このように、第1カバー材41や第2カバー材42のタイヤ径方向外側にフルカバー50を配置することにより、第1カバー材41や第2カバー材42におけるオーバーラップ部45を形成する部分を、トレッドゴム層4から離して配置することができる。このため、第1カバー材41の内側端部41a(図3参照)や第2カバー材42の内側端部42a(図3参照)と、トレッドゴム層4との接触部分に応力集中が発生することに起因するエッジセパレーションを、より確実に低減することができる。この結果、オーバーラップ部45のエッジセパレーションをより確実に抑えつつ、耐ショックバースト性能を向上させることができる。
【0097】
また、上述した実施形態1では、第1カバー材41は、第2側S2のショルダー領域Ashとタイヤ赤道面CLとの間の位置から第1側S1のショルダー領域Ashに向けて螺旋状に巻き付け、第2カバー材42は、第1側S1のショルダー領域Ashとタイヤ赤道面CLとの間の位置から第2側S2のショルダー領域Ashに向けて螺旋状に巻き付けているが、第1カバー材41や第2カバー材42を巻き付ける際の方向は、これ以外でもよい。例えば、第1カバー材41は、第1側S1のショルダー領域Ashの位置から、第2側S2のショルダー領域Ashとタイヤ赤道面CLとの間の位置に向けて螺旋状に巻き付け、第2カバー材42は、第2側S2のショルダー領域Ashの位置から、第1側S1のショルダー領域Ashとタイヤ赤道面CLとの間の位置に向けて螺旋状に巻き付けてもよい。
【0098】
または、第1カバー材41と第2カバー材42とは、タイヤ幅方向において同じ方向に向けて巻き付けてもよい。例えば、第1カバー材41は、第2側S2のショルダー領域Ashとタイヤ赤道面CLとの間の位置から第1側S1のショルダー領域Ashに向けて螺旋状に巻き付け、第2カバー材42は、第2側S2のショルダー領域Ashの位置から、第1側S1のショルダー領域Ashとタイヤ赤道面CLとの間の位置に向けて螺旋状に巻き付けてもよい。ベルトカバー層15は、第1カバー材41と第2カバー材42とを巻き付ける際における方向に関わらず、第1カバー材41と第2カバー材42とでオーバーラップ部45を形成することができるように巻き付ければよい。
【0099】
また、上述した実施形態1~3や変形例は、適宜組み合わせてもよい。空気入りタイヤ1は、少なくともベルト層14のタイヤ径方向外側に第1カバー材41と第2カバー材42とを螺旋状に巻くことによりベルトカバー層15を形成し、第1カバー材41と第2カバー材42とによって、タイヤ赤道面CLをタイヤ幅方向に跨ぐオーバーラップ部45を形成することにより、耐ショックバースト性能の低下を抑制しつつ、生産性を向上させることができる。
【0100】
[実施例]
図12は、空気入りタイヤの性能評価試験の結果を示す図表である。以下、上記の空気入りタイヤ1について、従来例の空気入りタイヤと、本発明に係る空気入りタイヤ1とについて行なった性能の評価試験について説明する。性能評価試験は、耐ショックバースト性能に対する評価試験であるプランジャー試験と、タイヤ製造時における生産性とについての試験を行った。
【0101】
性能評価試験は、JATMAで規定されるタイヤの呼びが275/45ZR19 105Yサイズの空気入りタイヤ1を、リムサイズ19×9.5JのJATMA標準のリムホイールにリム組みしたものを用いて行った。各試験項目の評価方法は、プランジャー試験については、試験タイヤの空気圧を正規内圧で充填し、プランジャー径19mm、押し込み速度50mm/分にてJIS K6302に準じたプランジャー破壊試験を行い、タイヤ破壊エネルギー[J]を測定することによって評価した。プランジャー試験の評価結果は、測定したタイヤ破壊エネルギー[J]が大きいほどタイヤ強度が優れ、耐ショックバースト性能が優れていることを示している。なお、耐ショックバースト性能は、従来例1、2と比較してタイヤ破壊エネルギーが低くなっている場合でも、測定したタイヤ破壊エネルギーが従来例1、2のタイヤ破壊エネルギーの94%を超えていれば、耐ショックバースト性能の低下が抑制されているものとする。
【0102】
また、生産性については、タイヤ製造時におけるベルトカバー材40を巻き付ける工程で、ベルトカバー材40の巻き付けに要する時間を測定した。生産性は、測定した時間の逆数を、後述する従来例1を100とする指数評価によって表し、指数値が大きいほど巻き付けの時間が短く、生産性が高いことを示している。
【0103】
性能評価試験は、従来の空気入りタイヤの一例である従来例1、2の空気入りタイヤと、本発明に係る空気入りタイヤ1である実施例11、参考例1~8、12との14種類の空気入りタイヤについて行った。このうち、従来例1の空気入りタイヤは、ベルトカバー層15がオーバーラップ部45を有していない。なお、従来例1の空気入りタイヤでは、ベルトカバー層15は1枚のベルトカバー材40によって形成されている。また、従来例2の空気入りタイヤは、ベルトカバー層15はオーバーラップ部45を有しているものの、オーバーラップ部45は1枚のベルトカバー材40によって構成されており、オーバーラップ部45のタイヤ幅方向における幅Wがタイヤ周方向における位置によって変動せずに一定の幅になっている。
【0104】
これに対し、本発明に係る空気入りタイヤ1の一例である実施例11は、全てベルトカバー層15がオーバーラップ部45を有しており、オーバーラップ部45は2枚のベルトカバー材40によって構成され、オーバーラップ部45のタイヤ幅方向における幅Wがタイヤ周方向における位置によって変動している。さらに、実施例11と、参考例1~8、12に係る空気入りタイヤ1は、オーバーラップ部45の最小幅Wminや、オーバーラップ部45の最大幅Wmax、隣接ラップ部46の有無、ベルトカバー材40の幅Waに対する隣接ラップ部46の幅Wbが、それぞれ異なっている。
【0105】
これらの空気入りタイヤ1を用いて性能評価試験を行った結果、図12に示すように、実施例11に係る空気入りタイヤ1は、プランジャー試験によって評価する耐ショックバースト性能が従来例1、2より低下することを極力抑えつつ、従来例1、2に対して生産性を高めることができることが分かった。つまり、実施例11に係る空気入りタイヤ1や、実施例11に係る空気入りタイヤ1の製造方法は、耐ショックバースト性能の低下を抑制しつつ、生産性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0106】
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 接地面
4 トレッドゴム層
5 ショルダー部
8 サイドウォール部
10 ビード部
13 カーカス層
14 ベルト層
141、142 ベルト
143 最幅広ベルト
144 端部
15 ベルトカバー層
16 インナーライナ
18 タイヤ内面
20 陸部
21 センター陸部
22 セカンド陸部
23 ショルダー陸部
30 主溝
31 センター主溝
32 ショルダー主溝
40 ベルトカバー材
41 第1カバー材
41a、42a 内側端部
41b、42b 折り返し部
41c、42c 外側端部
42 第2カバー材
45 オーバーラップ部
46 隣接ラップ部
50 フルカバー
100 路面
105 突起物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12