(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/18 20060101AFI20221012BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20221012BHJP
B41J 2/21 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
B41J2/18
B41J2/175 115
B41J2/175 503
B41J2/21
(21)【出願番号】P 2018170258
(22)【出願日】2018-09-12
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】水野 泰介
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-526435(JP,A)
【文献】特開2017-124609(JP,A)
【文献】特開2016-203614(JP,A)
【文献】特開2015-058658(JP,A)
【文献】特開2005-161571(JP,A)
【文献】特開2008-246842(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0279495(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液体を吐出する第1ノズル及び第2液体を吐出する第2ノズルをそれぞれ有し、所定の配列方向に沿って並んだ複数の液体吐出ヘッドと、
前記第1液体が貯留された第1タンクと、
前記第2液体が貯留された第2タンクと、
前記第1タンクから前記複数の液体吐出ヘッドに前記第1液体を供給するための複数の第1供給流路と、
前記第2タンクから前記複数の液体吐出ヘッドに前記第2液体を供給するための複数の第2供給流路と、
前記複数の液体吐出ヘッドから前記第1タンクに前記第1液体を戻すための複数の第1帰還流路と、
前記複数の液体吐出ヘッドから前記第2タンクに前記第2液体を戻すための複数の第2帰還流路と、を備え
、
前記第1タンクは、前記複数の液体吐出ヘッドよりも前記配列方向の一方側に配置され、
前記第2タンクは、前記複数の液体吐出ヘッドよりも前記配列方向の他方側に配置され、
前記複数の第1供給流路のうち、前記配列方向の前記他方側に位置する前記液体吐出ヘッドと前記第1タンクとを接続する第1供給流路ほど、長さが長く、単位長さあたりの平均の流路抵抗が小さく、
前記複数の第2供給流路のうち、前記配列方向の前記一方側に位置する前記液体吐出ヘッドと前記第2タンクとを接続する第2供給流路ほど、長さが長く、単位長さあたりの平均の流路抵抗が小さいことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記複数の第1供給流路は、
前記第1タンクと接続され、前記配列方向に延びた第1共通供給流路と、
前記第1共通供給流路と前記複数の液体吐出ヘッドとを接続する複数の第1個別供給流路と、を有し、
前記複数の第2供給流路は、
前記第2タンクと接続され、前記配列方向に延びた第2共通供給流路と、
前記第2共通供給流路と前記複数の液体吐出ヘッドとを接続する複数の第2個別供給流路と、を有し、
前記複数の第1個別供給流路のうち、前記配列方向の前記他方側に位置する前記液体吐出ヘッドと接続される第1個別供給流路ほど、前記第1共通供給流路の前記第1タンクから離れた部分と接続され、長さ方向と直交する断面の断面積が大きく、
前記複数の第2個別供給流路のうち、前記配列方向の前記一方側に位置する前記液体吐出ヘッドと接続される第2個別供給流路ほど、前記第2共通供給流路の前記第2タンクから離れた部分と接続され、長さ方向と直交する断面の断面積が大きいことを特徴とする請求項
1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記複数の第1帰還流路のうち、前記配列方向の前記他方側に位置する前記液体吐出ヘッドと前記第1タンクとを接続する第1帰還流路ほど、長さが長く、単位長さあたりの平均の流路抵抗が小さく、
前記複数の第2帰還流路のうち、前記配列方向の前記一方側に位置する前記液体吐出ヘッドと前記第2タンクとを接続する第2帰還流路ほど、長さが長く、単位長さあたりの平均の流路抵抗が小さいことを特徴とする請求項
1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記複数の第1帰還流路は、
前記第1タンクと接続され、前記配列方向に延びた第1共通帰還流路と、
前記第1共通帰還流路と前記複数の液体吐出ヘッドとを接続する複数の第1個別帰還流路と、を有し、
前記複数の第2帰還流路は、
前記第2タンクと接続され、前記配列方向に延びた第2共通帰還流路と、
前記第2共通帰還流路と前記複数の液体吐出ヘッドとを接続する複数の第2個別帰還流路と、を有し、
前記複数の第1個別帰還流路のうち、前記配列方向の前記一方側に位置する前記液体吐出ヘッドと接続される第1個別帰還流路ほど、前記第1共通帰還流路の前記第1タンクから離れた部分と接続され、長さ方向と直交する断面の断面積が大きく、
前記複数の第2個別供給流路のうち、前記配列方向の前記他方側に位置する前記液体吐出ヘッドと接続される第2個別帰還流路ほど、前記第2共通帰還流路の前記第2タンクから離れた部分と接続され、長さ方向と直交する断面の断面積が大きいことを特徴とする請求項
2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
第1液体を吐出する第1ノズル及び第2液体を吐出する第2ノズルをそれぞれ有し、所定の配列方向に沿って並んだ複数の液体吐出ヘッドと、
前記第1液体が貯留された第1タンクと、
前記第2液体が貯留された第2タンクと、
前記第1タンクから前記複数の液体吐出ヘッドに前記第1液体を供給するための複数の第1供給流路と、
前記第2タンクから前記複数の液体吐出ヘッドに前記第2液体を供給するための複数の第2供給流路と、
前記複数の液体吐出ヘッドから前記第1タンクに前記第1液体を戻すための複数の第1帰還流路と、
前記複数の液体吐出ヘッドから前記第2タンクに前記第2液体を戻すための複数の第2帰還流路と、を備え、
前記第1タンクと前記第2タンクとは、前記配列方向の位置がずれて
おり、
前記複数の液体吐出ヘッドが、第1液体吐出ヘッドと第2液体吐出ヘッドとを含み、
前記第1液体吐出ヘッドと前記第1タンクとを接続する前記第1供給流路の流路抵抗が、前記第2液体吐出ヘッドと前記第1タンクとを接続する前記第1供給流路の流路抵抗よりも小さく、
前記第1液体吐出ヘッドと前記第1タンクとを接続する前記第1帰還流路の流路抵抗が、前記第2液体吐出ヘッドと前記第1タンクとを接続する前記第1帰還流路の流路抵抗よりも大きいことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項6】
前記第1供給流路は、
前記第1タンクと接続された第1共通供給流路と、
前記第1共通供給流路と前記複数の液体吐出ヘッドとを接続する複数の第1個別供給流路と、を有し、
前記第1帰還流路は、
前記第1タンクと接続された第1共通帰還流路と、
前記第1共通帰還流路と前記複数の液体吐出ヘッドとを接続する複数の第1個別帰還流路と、を有し、
前記第1液体吐出ヘッドと接続される前記第1個別供給流路は、前記第2液体吐出ヘッドと接続される前記第1個別供給流路よりも、前記第1共通供給流路の、前記第1タンクから近い部分に接続され、
前記第1液体吐出ヘッドと接続される前記第1個別帰還流路は、前記第2液体吐出ヘッドと接続される前記第1個別帰還流路よりも、前記第1共通供給流路の、前記第1タンクから遠い部分に接続されていることを特徴とする請求項
5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記第1液体吐出ヘッドと前記第2タンクとを接続する前記第2供給流路の流路抵抗が、前記第2液体吐出ヘッドと前記第2タンクとを接続する前記第2供給流路の流路抵抗よりも大きく、
前記第1液体吐出ヘッドと前記第2タンクとを接続する前記第2帰還流路の流路抵抗が、前記第2液体吐出ヘッドと前記第2タンクとを接続する前記第2帰還流路の流路抵抗よりも小さいことを特徴とする請求項
5又は6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記第2供給流路は、
前記第2タンクと接続された第2共通供給流路と、
前記第2共通供給流路と前記複数の液体吐出ヘッドとを接続する複数の第2個別供給流路と、を有し、
前記第2帰還流路は、
前記第2タンクと接続された第2共通帰還流路と、
前記第2共通帰還流路と前記複数の液体吐出ヘッドとを接続する複数の第2個別帰還流路と、を有し、
第1液体吐出ヘッドと接続される前記第2個別供給流路は、前記第2液体吐出ヘッドと接続される前記第2個別供給流路よりも、前記第2共通供給流路の、前記第2タンクから遠い部分に接続され、
前記第1液体吐出ヘッドと接続される前記第2個別帰還流路は、前記第2液体吐出ヘッドと接続される前記第2個別帰還流路よりも、前記第2共通供給流路の、前記第2タンクから近い部分に接続されていることを特徴とする請求項
7に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記第1供給流路の流路抵抗及び前記第2供給流路の流路抵抗が、前記液体吐出ヘッド内の流路の流路抵抗の100分の1以下であることを特徴とする請求項1~
8のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記第1帰還流路の流路抵抗及び前記第2帰還流路の流路抵抗が、前記液体吐出ヘッド内の流路の流路抵抗の100分の1以下であることを特徴とする請求項1~
9のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記第1液体はブラックのインクであり、
前記第2液体はカラーのインクであり、
各液体吐出ヘッドと接続される前記第1供給流路の流路抵抗が、その液体吐出ヘッドと接続される前記第2供給流路の流路抵抗よりも小さく、
各液体吐出ヘッドと接続される前記第1帰還流路の流路抵抗が、その液体吐出ヘッドと接続される前記第2帰還流路の流路抵抗よりも小さいことを特徴とする請求項1~
10のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記複数の第1供給流路は、
前記第1タンクと接続された第1共通供給流路と、
前記第1共通供給流路と前記複数の液体吐出ヘッドとを接続する複数の第1個別供給流路と、を有し、
前記複数の第2供給流路は、
前記第2タンクと接続された第2共通供給流路と、
前記第2共通供給流路と前記複数の液体吐出ヘッドとを接続する複数の第2個別供給流路と、を有し、
前記第1共通供給流路は、長さ方向の片側の端部のみが前記第1タンクと接続され、
前記第2共通供給流路は、長さ方向の片側の端部のみが前記第2タンクと接続されていることを特徴とする請求項1~
11のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項13】
前記複数の第1帰還流路は、
前記第1タンクと接続された第1共通帰還流路と、
前記第1共通帰還流路と前記複数の液体吐出ヘッドとを接続する複数の第1個別帰還流路と、を有し、
前記複数の第2帰還流路は、
前記第2タンクと接続された第2共通帰還流路と、
前記第2共通帰還流路と前記複数の液体吐出ヘッドとを接続する複数の第2個別帰還流路と、を有し、
前記第1共通帰還流路は、長さ方向の片側の端部のみが前記第1タンクと接続され、
前記第2共通帰還流路は、長さ方向の片側の端部のみが前記第2タンクと接続されていることを特徴とする請求項1~
11のいずれかに記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を吐出する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液体を吐出する液体吐出装置として、特許文献1には、ノズルからインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置が記載されている。特許文献1に記載のインクジェット記録装置では、複数の記録素子基板が1列に配列されている。複数の記録素子基板の内部流路は、共通供給流路及び共通回収流路と接続されている。そして、共通供給流路から複数の記録素子基板の内部流路にインクが流入し、複数の記録素子基板の内部流路から共通回収流路にインクが流出する。共通供給流路及び共通回収流路は、バッファタンクと接続されている。共通供給流路とバッファタンクとの間、及び、共通回収流路とバッファタンクとの間には、循環ポンプが設けられている。これにより、複数の記録素子基板の内部流路と、バッファタンクとの間でインクを循環させることができる。
【0003】
また、特許文献1のインクジェット記録装置は、4色のインクを吐出するように構成され、各色のインクについて、それぞれ、上述したように、複数の記録素子基板の内部流路と、バッファタンクとの間でインクを循環させることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1のインクジェット記録装置では、複数の記録素子基板間で、バッファタンクと記録素子基板の内部流路とを接続する流路の長さが異なる。したがって、複数の記録素子基板間で、バッファタンクと記録素子基板の内部流路とを接続する流路の流路抵抗も異なる。そのため、複数の記録素子間で、ノズル内のインクの圧力が異なり、その結果、圧力変動に対するノズル内のインクのメニスカスの壊れやすさが異なる。このとき、4色のインク流路について、複数の記録素子基板間で、バッファタンクと記録素子基板の内部流路とを接続する流路の流路抵抗が同じように異なっていると、ある特定の記録素子基板において、いずれの色のインクについても、ノズルのメニスカスが壊れやすく、別の記録素子基板において、いずれの色のインクについても、ノズルのメニスカスが壊れにくいといった偏りが生じる。
【0006】
本発明の目的は、液体タンクとの間で液体が循環する複数の液体吐出ヘッド間で、ノズルのメニスカスの壊れやすさが偏らないようにすることが可能な液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る液体吐出装置は、第1液体を吐出する第1ノズル及び第2液体を吐出する第2ノズルをそれぞれ有し、所定の配列方向に沿って並んだ複数の液体吐出ヘッドと、前記第1液体が貯留された第1タンクと、前記第2液体が貯留された第2タンクと、前記第1タンクから前記複数の液体吐出ヘッドに前記第1液体を供給するための複数の第1供給流路と、前記第2タンクから前記複数の液体吐出ヘッドに前記第2液体を供給するための複数の第2供給流路と、前記複数の液体吐出ヘッドから前記第1タンクに前記第1液体を戻すための複数の第1帰還流路と、前記複数の液体吐出ヘッドから前記第2タンクに前記第2液体を戻すための複数の第2帰還流路と、を備え、前記第1タンクは、前記複数の液体吐出ヘッドよりも前記配列方向の一方側に配置され、前記第2タンクは、前記複数の液体吐出ヘッドよりも前記配列方向の他方側に配置され、前記複数の第1供給流路のうち、前記配列方向の前記他方側に位置する前記液体吐出ヘッドと前記第1タンクとを接続する第1供給流路ほど、長さが長く、単位長さあたりの平均の流路抵抗が小さく、前記複数の第2供給流路のうち、前記配列方向の前記一方側に位置する前記液体吐出ヘッドと前記第2タンクとを接続する第2供給流路ほど、長さが長く、単位長さあたりの平均の流路抵抗が小さい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るプリンタ1の概略構成図である。
【
図2】第1実施形態のインクタンク6Kとヘッドユニット11とを接続する流路の構成を示す図である。
【
図3】第1実施形態のインクタンク6Yとヘッドユニット11とを接続する流路の構成を示す図である。
【
図4】第1実施形態のインクタンク6Cとヘッドユニット11とを接続する流路の構成を示す図である。
【
図5】第1実施形態のインクタンク6Mとヘッドユニット11とを接続する流路の構成を示す図である。
【
図6】第2実施形態のインクタンク6Kとヘッドユニット11とを接続する流路の構成を示す図である。
【
図7】第2実施形態のインクタンク6Yとヘッドユニット11とを接続する流路の構成を示す図である。
【
図8】第2実施形態のインクタンク6Cとヘッドユニット11とを接続する流路の構成を示す図である。
【
図9】第2実施形態のインクタンク6Mとヘッドユニット11とを接続する流路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、本発明の好適な第1実施形態について説明する。
【0010】
<プリンタ1の概略構成>
図1に示すように、第1実施形態に係るプリンタ1は、インクジェットヘッド2と、プラテン3と、搬送ローラ4、5と、4つのインクタンク6K、6Y、6C、6Mとを備えている。
【0011】
インクジェットヘッド2は、6つのヘッドユニット11(11a~11f)(本発明の「液体吐出ヘッド」)と保持部材12とを有する。6つのヘッドユニット11は、その下面に形成された複数のノズル10を含むインク流路や、ノズル10内のインクに吐出エネルギーを付与するための駆動素子などを備え、複数のノズル10からインクを吐出する。ただし、これらの構成については従来と同様であるため、ここではこれ以上の詳細な説明を省略する。
【0012】
ヘッドユニット11の複数のノズル10は、紙幅方向(
図1の左右方向、本発明の「配列方向」)に配列されることによってノズル列9を形成しており、ヘッドユニット11は、紙幅方向と直交する搬送方向に並んだ4列のノズル列9を備えている。複数のノズル10からは、搬送方向の上流側のノズル列9を構成するものから、それぞれ、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンのインクが吐出される。
【0013】
なお、第1実施形態では、ブラック、イエローのインクを吐出する、搬送方向の上流側2列のノズル列9を構成する複数のノズル10が、本発明の「第1ノズル」に相当し、シアン、マゼンタのインクを吐出する、搬送方向の下流側2列のノズル列9を構成する複数のノズル10が、本発明の「第2ノズル」に相当する。また、以下では、
図1に示すように紙幅方向の左側及び右側を定義して説明を行う。
【0014】
また、インクジェットヘッド2には、6つのヘッドユニット11のうち、3つのヘッドユニット11a、11c、11e、及び、3つのインクジェット11b、11d、11fが、それぞれ紙幅方向に1列に配列されている。また、3つのインクジェット11b、11d、11fは、3つのヘッドユニット11a、11c、11eよりも搬送方向の下流側に配置されている。また、ヘッドユニット11b、11d、11fは、ヘッドユニット11a、11c、11eに対して、紙幅方向の右側にずれて配置されている。これにより、6つのヘッドユニット11の複数のノズル10が、紙幅方向における記録用紙Pの全長にわたって配置される。すなわち、インクジェットヘッド2は、いわゆるラインヘッドである。
【0015】
保持部材12は、紙幅方向を長手方向とする矩形の板状の部材であり、6つのヘッドユニット11が保持部材12に固定されている。保持部材12には6つのヘッドユニット11に対応する6つの貫通孔12aが形成されている。各ヘッドユニット11の複数のノズル10は、対応する貫通孔12aから下側(記録用紙P側)に露出している。
【0016】
プラテン3は、インクジェットヘッド2の下方に配置され、6つのヘッドユニット11の複数のノズル10と対向している。プラテン3は、記録用紙Pを下方から支持する。搬送ローラ4は、搬送方向におけるインクジェットヘッド2及びプラテン3よりも上流側に配置されている。搬送ローラ5は、搬送方向におけるインクジェットヘッド2及びプラテン3よりも下流側に配置されている。搬送ローラ4、5は、記録用紙Pを搬送方向に搬送する。
【0017】
インクタンク6K、6Y(本発明の「第1タンク」)は、紙幅方向におけるインクジェットヘッド2よりも左側に配置されている。インクタンク6C、6M(本発明の「第2タンク」)は、紙幅方向におけるインクジェットヘッド2よりも右側に配置されている。すなわち、インクタンク6K、6Yとインクタンク6C、6Mとは、紙幅方向にずれて配置されている。インクタンク6K、6Y、6C、6Mには、それぞれ、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが貯留されている。
【0018】
各インクタンク6は、それぞれ、6つのヘッドユニット11と接続されており、インクタンク6K、6Y、6C、6Mと6つのヘッドユニット11との間でインクがそれぞれ循環する。インクタンク6K、6Y、6C、6Mとヘッドユニット11との間でインクを循環させるための流路の構成などについては後程説明する。また、インクタンク6K、6Y、6C、6Mは、それぞれ、図示しないチューブなどを介して図示しないインクカートリッジと接続されており、インクカートリッジからインクタンク6K、6Y、6C、6Mにインクが供給される。
【0019】
そして、プリンタ1では、搬送ローラ4、5により、記録用紙Pを搬送方向に搬送しながら、6つのヘッドユニット11の複数のノズル10からインクを吐出することによって、記録用紙Pに印刷を行う。
【0020】
<インクタンク6K、6Y、6C、6Mとヘッドユニット11との接続>
次に、インクタンク6K、6Y、6C、6Mと6つのヘッドユニット11との接続について説明する。
図2~
図5に示すように、各ヘッドユニット11の上面には、ヘッドユニット11にインクを供給するための4つの供給口21K、21Y、21C、21Mと、ヘッドユニット11からインクが排出される4つの排出口22K、22Y、22C、22Mとが設けられている。
【0021】
<供給流路23K、23Y>
図2、
図3に示すように、インクタンク6K、6Yと6つのヘッドユニット11の6つの供給口21Kとは、それぞれ、供給流路23K、23Yを介して接続されている。供給流路23K、23Yは、それぞれ、共通供給流路24K、24Yと、個別供給流路25aK~25fK、25aY~25fYとを有する。
【0022】
共通供給流路24K、24Yは、6つのヘッドユニット11にわたって紙幅方向に延びている。共通供給流路24K、24Yは、例えば、金属材料や合成樹脂材料などからなる流路部材に形成された流路である。ここで、
図2、
図3では、図面を見やすくするために、共通供給流路24K、24Yを6つのヘッドユニット11に対して搬送方向の上流側にずれた位置に配置しているが、共通供給流路24K、24Yは、例えば、6つのヘッドユニット11の真上に配置されている。後述の共通供給流路24C、24M、及び、後述する第2実施形態の共通供給流路102K、102M、102C、102Mについても同様である。
【0023】
また、共通供給流路24K、24Yの左端部は、それぞれ、供給側ポンプ30K、30Yを介して、インクタンク6K、6Yと接続されている。供給側ポンプ30K、30Yは、インクタンク6K、6Y側から共通供給流路24K、24Y側に向けてインクを送る。
【0024】
個別供給流路25aK~25fK、25aY~25fYは、それぞれ、6つのヘッドユニット11a~11fに対応しており、共通供給流路24K、24Yと6つのヘッドユニット11a~11fの供給口21K、21Yとをそれぞれ接続する。個別供給流路25aK~25fK、25aY~25fYは、例えば、チューブなどによって形成されている。
【0025】
なお、
図2、
図3では、上記のように、共通供給流路24K、24Yを6つのヘッドユニット11に対して搬送方向の上流側にずらして図示しているため、個別供給流路25aK~25fK、25aY~25fYの長さにある程度の差があるが、実際には個別供給流路25aK~25fKの長さ、及び、個別供給流路25aY~25fYの長さは、それぞれ、ほぼ同じである。後述の個別供給流路25aC~25fCの長さ、及び、個別供給流路25aM~25fMの長さ、並びに、後述する第2実施形態の個別供給流路103aK~103fKの長さ、個別供給流路103aY~103fYの長さ、個別供給流路103aC~103fCの長さ、及び、個別供給流路103aM~103fMの長さについても同様である。
【0026】
<帰還流路26K、26Y>
図2、
図3に示すように、インクタンク6K、6Yと6つのヘッドユニット11の6つの排出口22Kとは、それぞれ、帰還流路26K、26Yを介して接続されている。帰還流路26K、26Yは、それぞれ、共通帰還流路27K、27Yと、個別帰還流路28aK~28fK、28aY~28fYとを有する。
【0027】
共通帰還流路27K、27Yは、それぞれ、6つのヘッドユニット11にわたって紙幅方向に延びている。共通帰還流路27K、27Yは、例えば、金属材料や合成樹脂材料などからなる流路部材に形成された流路である。ここで、
図2、
図3では、図面を見やすくするために、共通帰還流路27K、27Yを6つのヘッドユニット11に対して搬送方向の下流側にずれた位置に配置しているが、共通帰還流路27K、27Yは、例えば、6つのヘッドユニット11の真上に配置されている。後述の共通帰還流路27C、27M、及び、後述する第2実施形態の共通帰還流路105K、105Y、105C、105Mについても同様である。
【0028】
また、共通帰還流路27K、27Yの左端部は、それぞれ、排出側ポンプ31K、31Yを介して、インクタンク6K、6Yと接続されている。排出側ポンプ31K、31Yは、それぞれ、共通帰還流路27K、27Y側からインクタンク6K、6Y側に向けてインクを送る。
【0029】
個別帰還流路28aK~28fK、28aY~28fYは、それぞれ、6つのヘッドユニット11a~11fに対応しており、共通帰還流路27K、27Yとヘッドユニット11a~11fの排出口22K、22Yとをそれぞれ接続する。個別帰還流路28aK~28fK、28aY~28fYは、例えば、チューブなどによって形成されている。
【0030】
なお、
図2、
図3では、上記のように、共通帰還流路27K、27Yを6つのヘッドユニット11に対して搬送方向の下流側にずらして図示しているため、個別帰還流路28aK~28fK、28aY~28fYの長さにある程度の差があるが、実際には個別帰還流路28aK~28fKの長さ、及び、個別帰還流路28aY~28fYの長さは、それぞれ、ほぼ同じである。後述の個別帰還流路28aC~28fCの長さ、及び、個別帰還流路28aM~28fMの長さ、並びに、後述する第2実施形態の個別帰還流路106aK~106fKの長さ、個別帰還流路106aY~106fYの長さ、個別帰還流路106aC~106fCの長さ、及び、個別帰還流路106aM~106fMの長さについても同様である。なお、同じ色のインクが流れる個別供給流路の長さと個別帰還流路の長さとは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0031】
<供給流路23C、23M>
図4、
図5に示すように、インクタンク6C、6Mと、6つのヘッドユニット11の6つの供給口21C、21Mとは、それぞれ、供給流路23C、23Mを介して接続されている。供給流路23C、23Mは、それぞれ、共通供給流路24C、24Mと、個別供給流路25aC~25fC、25aM~25fMとを有する。
【0032】
共通供給流路24C、24Mは、それぞれ、6つのヘッドユニット11にわたって紙幅方向に延びている。共通供給流路24C、24Mは、例えば、金属材料や合成樹脂材料などからなる流路部材に形成された流路である。また、共通供給流路24C、24Mの右端部は、それぞれ、供給側ポンプ30C、30Mを介して、インクタンク6C、6Mと接続されている。供給側ポンプ30C、30Mは、インクタンク6C、6M側から共通供給流路24C、24M側に向けてインクを送る。
【0033】
個別供給流路25aC~25fC、25aM~25fMは、それぞれ、6つのヘッドユニット11a~11fに対応しており、共通供給流路24C、24Mとヘッドユニット11a~11fの供給口21C、21Mとをそれぞれ接続する。個別供給流路25aC~25fC、25aM~25fMは、例えば、チューブなどによって形成されている。
【0034】
<帰還流路26C、26M>
図4、
図5に示すように、インクタンク6C、6Mと、6つのヘッドユニット11の6つの排出口22Cとは、それぞれ、帰還流路26C、26Mを介して接続されている。帰還流路26C、26Mは、それぞれ、共通帰還流路27C、27Mと、個別帰還流路28aC~28fC、28aM~28fMとを有する。
【0035】
共通帰還流路27C、27Mは、それぞれ、6つのヘッドユニット11にわたって紙幅方向に延びている。共通帰還流路27C、27Mは、例えば、金属材料や合成樹脂材料などからなる流路部材に形成された流路である。また、共通帰還流路27C、27Mの右端部は、それぞれ、排出側ポンプ31C、31Mを介して、インクタンク6C、6Mと接続されている。排出側ポンプ31C、31Mは、それぞれ、共通帰還流路27C、27M側からインクタンク6C、6M側に向けてインクを送る。
【0036】
個別帰還流路28aC~28fC、28aM~28fMは、それぞれ、6つのヘッドユニット11a~11fに対応しており、共通帰還流路27C、27Mとヘッドユニット11a~11fの排出口22Cとをそれぞれ接続する。個別帰還流路28aC~28fC、28aM~28fMは、例えば、チューブなどによって形成されている。
【0037】
<供給流路の部分間での流路抵抗の大小関係>
第1実施形態では、個別供給流路25aK~25fKの長さ方向と直交する断面の断面積S1aK、S1bK、S1cK、S1dK、S1eK、S1fKには、S1aK<S1bK<S1kc<S1kd<S1ke<S1kfの大小関係にある。
【0038】
すなわち、個別供給流路25aK~25fKは、共通供給流路24Kのインクタンク6Kとの接続部分からより離れた部分に接続される、紙幅方向の右側のものほど、上記断面積が大きく(単位長さあたりの流路抵抗が小さく)なっている。また、上述したように、個別供給流路25aK~25fKの長さは、ほぼ同じである。したがって、個別供給流路25aK~25fKは、紙幅方向の右側に位置するヘッドユニット11と接続されるものほど、流路抵抗が小さい。
【0039】
一方、共通供給流路24Kのうち、インクタンク6Kと個別供給流路25aK~25fKとを接続する部分の長さは、紙幅方向の右側に位置するヘッドユニット11に対応するものほど長い。すなわち、共通供給流路24Kは、それぞれ、インクタンク6Kと、個別供給流路25aK~25fKのうち紙幅方向の右側に位置するものとを接続する部分ほど流路抵抗が大きい。
【0040】
これらのことから、供給流路23Kの、インクタンク6Kと各ヘッドユニット11とを接続する部分は、インクタンク6Kと紙幅方向の右側に位置するヘッドユニット11とを接続する部分ほど、長さが長く、単位面積あたりの流路抵抗が小さくなっている。そして、供給流路23Kでは、共通供給流路24Kの上記部分間での流路抵抗の差と、個別供給流路25aK~25fKの流路抵抗の差とが相殺されることによって、インクタンク6Kと各ヘッドユニット11とを接続する部分間の流路抵抗の差が、所定範囲内(例えば±5%の範囲内)に収まっている。また、供給流路23Yについても上述したのと同様、インクタンク6Yと各ヘッドユニット11とを接続する部分間の流路抵抗の差が、所定範囲内(例えば±5%の範囲内)に収まっている。
【0041】
ここで、供給流路23Kのインクタンク6Kとヘッドユニット11とを接続する部分とは、個別供給流路25aK~25fKのうち1つの個別供給流路と、共通供給流路24Kのうち、インクタンク6Kとの接続部分から上記1つの個別供給流路との接続部分までの部分とを合わせたものである。供給流路23Y、23C、23Mについても同様である。なお、第1実施形態では、供給流路23K、23Yのうち、インクタンク6K、6Yと各ヘッドユニット11とを接続する部分が、それぞれ、本発明の「第1供給流路」に相当する。
【0042】
また、個別供給流路25aC~25fCの長さ方向と直交する断面の断面積S1aC、S1bC、S1cC、S1dC、S1eC、S1fCには、S1aC>S1bC>S1cC>S1dC>S1eC>S1fKの大小関係にある。
【0043】
すなわち、個別供給流路25aC~25fCは、共通供給流路24Cのインクタンク6Cとの接続部分からより離れた部分に接続される、紙幅方向の左側のものほど、上記断面積が大きい(単位長さあたりの流路抵抗が小さい)。また、上述したように、個別供給流路25aC~25fCの長さは、ほぼ同じである。したがって、個別供給流路25aC~25fCは、紙幅方向の左側に位置するヘッドユニット11と接続されるものほど、流路抵抗が小さい。
【0044】
一方、共通供給流路24Cのうち、インクタンク6Cと個別供給流路25aC~25fCとを接続する部分の長さは、紙幅方向の左側に位置するヘッドユニット11に対応するものほど長い。すなわち、共通供給流路24Cは、インクタンク6Cと、個別供給流路25aC~25fCのうち紙幅方向の左側に位置するものとを接続する部分ほど流路抵抗が大きい。
【0045】
これらのことから、供給流路23Cの、インクタンク6Cと各ヘッドユニット11とを接続する部分は、インクタンク6Cと紙幅方向の左側に位置するヘッドユニット11とを接続する部分ほど、長さが長く、単位面積あたりの流路抵抗が小さくなっている。そして、供給流路23Cでは、共通供給流路24Cの上記部分間での流路抵抗の差と、個別供給流路25aC~25fCの流路抵抗の差とが相殺されることによって、インクタンク6C、6Mと各ヘッドユニット11とを接続する部分間の流路抵抗の差が、所定範囲内(例えば±5%の範囲内)に収まっている。また、供給流路23Mについても上述したのと同様、インクタンク6Mと各ヘッドユニット11とを接続する部分間の流路抵抗の差が、所定範囲内(例えば±5%の範囲内)に収まっている。なお、第1実施形態では、供給流路23C、23Mのうち、インクタンク6C、6Mと各ヘッドユニット11とを接続する部分が、それぞれ、本発明の「第2供給流路」に相当する。
【0046】
<帰還流路の部分間での流路抵抗の大小関係>
また、個別帰還流路28aK~28fKの長さ方向と直交する断面の断面積S2aK、S2bK、S2cK、S2dK、S2eK、S2fKには、S2aK<S2bK<S2cK<S2dK<S2eK<S2fKの大小関係にある。
【0047】
すなわち、個別帰還流路28aK~28fKは、共通帰還流路27Kのインクタンク6Kとの接続部分からより離れた部分に接続される、紙幅方向の右側のものほど、上記断面積が大きく(単位長さあたりの流路抵抗が小さく)なっている。また、上述したように、個別帰還流路28aK~28fKの長さは、ほぼ同じである。したがって、個別帰還流路28aK~28fKの長さは、紙幅方向の右側に位置するヘッドユニット11と接続されるものほど、流路抵抗が小さい。
【0048】
一方、共通帰還流路27Kのうち、インクタンク6Kと、個別帰還流路28aK~28fKとを接続する部分の長さは、紙幅方向の右側に位置するヘッドユニット11に対応するものほど長い。すなわち、共通帰還流路27Kは、インクタンク6Kと、個別帰還流路28aK~28fKのうち紙幅方向の右側に位置するものとを接続する部分ほど流路抵抗が大きい。
【0049】
これらのことから、帰還流路26Kの、インクタンク6Kと各ヘッドユニット11とを接続する部分は、インクタンク6Kと紙幅方向の右側に位置するヘッドユニット11とを接続する部分ほど、長さが長く、単位面積あたりの流路抵抗が小さくなっている。そして、帰還流路26Kでは、共通帰還流路27Kの上記部分間の流路抵抗の差と、個別帰還流路28aK~28fKとの流路抵抗の差とが相殺されることによって、インクタンク6Kと各ヘッドユニット11とを接続する部分間の流路抵抗の差が、所定範囲内(例えば±5%の範囲内)に収まっている。また、帰還流路26Yについても上述したのと同様、インクタンク6Yと各ヘッドユニット11とを接続する部分間の流路抵抗の差が、所定範囲内(例えば±5%の範囲内)に収まっている。
【0050】
ここで、帰還流路26Kのインクタンク6Kとヘッドユニット11とを接続する部分とは、個別帰還流路28aK~28fKのうち1つの個別供給流路と、共通帰還流路27Kのうち、インクタンク6Kとの接続部分から上記1つの個別帰還流路との接続部分までの部分とを合わせたものである。帰還流路26Y、26C、26Mについても同様である。なお、第1実施形態では、帰還流路26K、26Yのうち、インクタンク6K、6Yと各ヘッドユニット11とを接続する部分が、それぞれ、本発明の「第1帰還流路」に相当する。
【0051】
また、個別帰還流路28aC~28fCの長さ方向と直交する断面の断面積S2aC、S2bC、S2cC、S2dC、S2eC、S2fKには、S2aC>S2bC>S2cC>S2dC>S2eC>S2fCの大小関係にある。
【0052】
すなわち、個別帰還流路28aC~28fCは、共通帰還流路27Cのインクタンク6Cとの接続部分からより離れた部分に接続される、紙幅方向の左側のものほど、上記断面積が大きく(単位長さ当たりの流路抵抗が小さく)なっている。また、上述したように、個別帰還流路28aC~28fCの長さは、ほぼ同じである。したがって、個別帰還流路28aC~28fCは、紙幅方向の左側に位置するヘッドユニット11と接続されるものほど、流路抵抗が小さい。
【0053】
一方、共通帰還流路27Cのうち、インクタンク6Cと個別帰還流路28aC~28fCとを接続する部分の長さは、紙幅方向の左側に位置するヘッドユニット11に対応するものほど長い。すなわち、共通帰還流路27Cは、インクタンク6Cと、個別帰還流路28aC~28fCのうち紙幅方向の左側に位置するものとを接続する部分ほど流路抵抗が大きい。
【0054】
これらのことから、帰還流路26Cの、インクタンク6Cと各ヘッドユニット11とを接続する部分は、インクタンク6Cと紙幅方向の左側に位置するヘッドユニット11とを接続する部分ほど、長さが長く、単位面積あたりの流路抵抗が小さくなっている。そして、帰還流路26Cでは、共通帰還流路27Cの上記部分間での流路抵抗の差と、個別帰還流路28aC~28fCMとの流路抵抗の差とが相殺されることによって、インクタンク6C、6Mと各ヘッドユニット11とを接続する部分間の流路抵抗の差が、所定範囲内(例えば±5%の範囲内)に収まっている。なお、第1実施形態では、帰還流路26C、26Mのうち、インクタンク6C、6Mと各ヘッドユニット11とを接続する部分が、それぞれ、本発明の「第2帰還流路」に相当する。
【0055】
<供給流路間での流路抵抗の大小関係>
また、第1実施形態では、ブラックインクが流れる個別供給流路25aKの上記断面積S1aKが、カラーインクが流れる個別供給流路25aY、25aC、25aMの上記断面積S1aY、S1aC、S1aMよりも大きい。また、上記断面積S1aY、S1aC、S1aMはほぼ同じである。
【0056】
断面積S1bK、S1bY、S1bC、S1bMの大小関係、断面積S1cK、S1cY、S1cC、S1cMの大小関係、断面積S1dK、S1dY、S1dC、S1dMの大小関係、断面積S1eK、S1eY、S1eC、S1eMの大小関係、及び、断面積S1fK、S1fY、S1fC、S1fMの大小関係についても、上述したのと同様である。
【0057】
また、第1実施形態では、ブラックインクが流れる共通供給流路24Kの上記断面積R1kが、カラーインクが流れる共通供給流路24Y、24C、24Mの上記断面積R1y、R1c、R1mよりも大きい。また、上記断面積R1y、R1c、R1mがほぼ同じである。
【0058】
これらのことから、供給流路23Kのうち各ヘッドユニット11とインクタンク6Kとを接続する部分の流路抵抗が、供給流路23Y、23C、23Mのうち各ヘッドユニット11とインクタンク6Y、6C、6Mとを接続する部分の流路抵抗よりも小さい。
【0059】
<帰還流路間での流路抵抗の大小関係>
また、第1実施形態では、ブラックインクが流れる個別帰還流路28aKの上記断面積S2aKが、カラーインクが流れる個別帰還流路28aY、28aC、28aMの上記断面積S2aY、S2aC、S2aMよりも大きい。また、断面積S2aY、S2aC、S2aMがほぼ同じである。
【0060】
断面積S2bK、S2bY、S2bC、S2bMの大小関係、断面積S2cK、S2cY、S2cC、S2cMの大小関係、断面積S2dK、S2dY、S2dC、S2dMの大小関係、断面積S2eK、S2eY、S2eC、S2eMの大小関係、及び、断面積S1fK、S2fY、S2fC、S2fMの大小関係も、上述したのと同様である。
【0061】
また、ブラックインクが流れる共通帰還流路27Kの上記断面積R2kが、カラーインクが流れる共通帰還流路27Y、27C、27Mの上記断面積R2y、R2c、R2mよりも大きい。また、共通帰還流路27Y、27C、27Mの上記断面積R2y、R2c、R2mはほぼ同じである。
【0062】
これらのことから、帰還流路26Kのうち各ヘッドユニット11とインクタンク6Kとを接続する部分の流路抵抗が、帰還流路26Y、26C、26Mのうち各ヘッドユニット11とインクタンク6Y、6C、6Mとを接続する部分の流路抵抗よりも小さい。
【0063】
<供給流路及び帰還流路とヘッドユニット11との流路抵抗の大小関係>
また、第1実施形態では、供給流路23K、23Y、23C、23Mのインクタンク6K、6Y、6C、6Mと各ヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗は、複数のノズル10を含むヘッドユニット11内のインク流路に対して、例えば100分の1以下等十分に小さい。
【0064】
また、帰還流路26K、26Y、26C、26Mのインクタンク6Kと各ヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗は、複数のノズル10を含むヘッドユニット11内のインク流路に対して、例えば100分の1以下など十分に小さい。
【0065】
<効果>
以上に説明した第1実施形態では、上述したように、供給流路23Kにおいて、インクタンク6Kと各ヘッドユニット11とを接続する部分間の流路抵抗の差が所定範囲内に収まっている。ただし、インクタンク6Kと各ヘッドユニット11との距離には差があるため、これらの流路抵抗には多少の差が生じる。供給流路23Y、23C、23Mにおける、インクタンク6Y、6C、6Mと各ヘッドユニット11とを接続する部分間の流路抵抗の関係についても同様である。
【0066】
そのため、第1実施形態と異なり、インクタンク6K、6Y、6C、6Mが、全て紙幅方向におけるインクジェットヘッド2の紙幅方向の片側にのみ配置されているとすると、インクタンク6K、6Y、6C、6Mが配置されている側のヘッドユニット11において、インクタンク6K、6Y、6C、6Mとの距離がいずれも小さくなり、インクタンク6K、6Y、6C、6Mが配置されているのと反対側のヘッドユニット11において、インクタンク6K、6Y、6C、6Mとの距離がいずれも大きくなるといった偏りが生じる。
【0067】
その結果、供給流路23K、23Y、23C、23Mの、インクタンク6K、6Y、6C、6Mといずれかのヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗が全て大きくなる又は小さくなるといった偏りが生じる。同様に、帰還流路26K、26Y、26C、26Mの、インクタンク6K、6Y、6C、6Mといずれかのヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗が全て大きくなる又は小さくなるといった偏りが生じる。
【0068】
ここで、インクタンク6K、6Y、6C、6Mとヘッドユニット11との間でインクを循環させるときには、供給側ポンプ30K、30Y、30C、30Mから排出側ポンプ31K、31Y、31C、31Mに向かうにつれて、インクの圧力が低下する。このとき、供給流路23K、23Y、23C、23Mや帰還流路26K、26Y、26C、26Mの流路抵抗が変わると、ノズル10内のインクの圧力が変わり、ノズル10内のインクのメニスカスの圧力変動に対する耐性が変わる。具体的には、ノズル10内のインクの圧力が高くなるほど、圧力の低下に対するメニスカスの耐性が上がり、圧力の増大に対するメニスカスの耐性が下がる。一方、ノズル10内のインクの圧力が低くなるほど、圧力の増大に対するメニスカスの耐性が上がり、圧力の低下に対するメニスカスの耐性が下がる。
【0069】
そのため、供給流路23K、23Y、23C、23M及び帰還流路26K、26Y、26C、26Mの、インクタンク6K、6Y、6C、6Mとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗に、上記のような偏りがあると、特定のヘッドユニット11において、全ての色のインクを吐出するノズル10内のインクのメニスカスが壊れやすくなる。
【0070】
これに対して、第1実施形態では、インクジェットヘッド2が紙幅方向に沿って並んだ6つのヘッドユニット11を有しているのに対して、インクタンク6K、6Yが、インクジェットヘッド2よりもインクジェットヘッド2の紙幅方向の左側に配置され、インクタンク6C、6Mが、インクジェットヘッド2よりもインクジェットヘッド2の紙幅方向の右側に配置されている。
【0071】
これにより、インクタンク6K、6Yからの距離が小さいヘッドユニット11は、インクタンク6C、6Mからの距離が大きくなり、インクタンク6K、6Yからの距離が大きいヘッドユニット11は、インクタンク6C、6Mからの距離が小さくなる。
【0072】
したがって、各ヘッドユニット11においては、供給流路23K、23Yのインクタンク6K、6Yとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗が大きい場合には、供給流路23C、23Mのインクタンク6C、6Mとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗が小さくなる。また、供給流路23K、23Yのインクタンク6K、6Yとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗が小さい場合には、供給流路23C、23Mのインクタンク6C、6Mとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗が大きくなる。
【0073】
また、各ヘッドユニット11においては、帰還流路26K、26Yのインクタンク6K、6Yとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗が大きい場合には、帰還流路26C、26Mのインクタンク6K、6Yとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗が小さくなる。また、帰還流路26K、26Yのインクタンク6K、6Yとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗が小さい場合には、帰還流路26C、26Mのインクタンク6C、6Mとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗が大きくなる。
【0074】
そのため、供給流路23K、23Y、23C、23Mの特定のヘッドユニット11に接続される部分の流路抵抗が全て大きくなるあるいは小さくなるといった偏りがない。また、帰還流路26K、26Y、26C、26Mの特定のヘッドユニット11に接続される部分の流路抵抗が全て大きくなるあるいは小さくなるといった偏りがない。
【0075】
これにより、ブラック、イエローのインクを吐出するノズル10内のインクのメニスカスが壊れやすいヘッドユニット11では、シアン、マゼンタのインクを吐出するノズル10内のインクのメニスカスが壊れにくくなる。また、シアン、マゼンタのインクを吐出するノズル10内のインクのメニスカスが壊れやすいヘッドユニット11では、ブラック、イエローのインクを吐出するノズル10内のインクのメニスカスが壊れにくくなる。その結果、6つのヘッドユニット11間で、ノズル10内のインクのメニスカスの壊れやすさが偏らないようにすることができる。
【0076】
また、第1実施形態では、共通供給流路24K、24Y、24C、24Mの長さ方向の片側の端部のみが、インクタンク6K、6Y、6C、6Mと接続されている。この場合には、ヘッドユニット11間で、供給流路23K、23Y、23C、23Mの、インクタンク6K、6Y、6C、6Mとヘッドユニット11とを接続する部分間の流路抵抗の差が大きくなりやすい。
【0077】
また、第1実施形態では、共通帰還流路27K、27Y、27C、27Mの長さ方向の片側の端部のみが、インクタンク6K、6Y、6C、6Mと接続されている。この場合には、ヘッドユニット11間で、帰還流路26K、26Y、26C、26Mの、インクタンク6K、6Y、6C、6Mとヘッドユニット11とを接続する部分間の流路抵抗の差が大きくなりやすい。
【0078】
これらのことから、第1実施形態では、インクタンク6K、6Yを、紙幅方向におけるインクジェットヘッド2よりも左側に配置し、インクタンク6C、6Mを、紙幅方向におけるインクジェットヘッド2よりも右側に配置することによって、上述したように、6つのヘッドユニット11間で、ノズル10内のインクのメニスカスの壊れやすさが偏らないようにする意義は大きい。
【0079】
また、第1実施形態では、供給流路23Kが、紙幅方向に延びた、6つのヘッドユニット11に共通の共通供給流路24Kと、共通供給流路24Kに接続された、6つのヘッドユニット11に個別の個別供給流路25aK~25fKとを有する。したがって、供給流路23Kは、インクタンク6Kと、紙幅方向の右側のヘッドユニット11と接続する部分ほど長さが長い。これに対して、第1実施形態では、個別供給流路25aK~25fKのうち、共通供給流路24Kのインクタンク6Kとの接続部分からより離れた部分に接続される個別供給流路ほど、長さ方向と直交する断面の断面積を大きくすることで、単位長さあたりの流路抵抗を小さくしている。
【0080】
これにより、ヘッドユニット11間で、インクタンク6Kとヘッドユニット11と接続する部分の流路抵抗を均一にすることができる。供給流路23Y、23C、23Mについても同様である。
【0081】
また、第1実施形態では、帰還流路26Kが、紙幅方向に延びた、6つのヘッドユニット11に共通の共通帰還流路27Kと、共通帰還流路27Kに接続された、6つのヘッドユニット11に個別の個別帰還流路28aK~28fKとを有する。したがって、帰還流路26Kは、インクタンク6Kと、紙幅方向の右側のヘッドユニット11と接続する部分ほど長さが長い。これに対して、第1実施形態では、個別帰還流路28aK~28fKのうち、共通帰還流路27Kのインクタンク6Kとの接続部分からより離れた部分に接続される個別帰還流路ほど、長さ方向と直交する断面の断面積を大きくすることで、単位長さあたりの流路抵抗を小さくしている。
【0082】
これにより、ヘッドユニット11間で、帰還流路26Kのインクタンク6Kとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗を極力均一にすることができる。帰還流路26Y、26C、26Mについても同様である。
【0083】
そして、これらのことから、ヘッドユニット11間で、供給流路23Kのヘッドユニット11とインクタンク6Kとを接続する部分の流路抵抗と、帰還流路26Kのヘッドユニット11とインクタンク6Kとを接続する部分の流路抵抗の合計を、上記所定範囲内に収まるようにすることができる。その結果、インクタンク6Kと6つのヘッドユニット11との間でインクを循環させたときに、ヘッドユニット11間でインクの流量を均一にすることができる。
【0084】
同様に、インクタンク6Yと6つのヘッドユニット11との間でイエローのインクを循環させたときに、ヘッドユニット11間でインクの流量を均一にすることができる。同様に、インクタンク6Cと6つのヘッドユニット11との間でシアンのインクを循環させたときに、ヘッドユニット11間でインクの流量を均一にすることができる。同様に、インクタンク6Mと6つのヘッドユニット11との間でマゼンタのインクを循環させたときに、ヘッドユニット11間でインクの流量を均一にすることができる。
【0085】
また、第1実施形態では、上述したように、供給流路23K、23Y、23C、23Mのインクタンク6K、6Y、6C、6Mと各ヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗が、ヘッドユニット11内のインク流路の流路抵抗に対して十分に小さい。したがって、インクタンク6K、6Y、6C、6Mとヘッドユニット11との間でインクが循環するときの、供給流路23K、23Y、23C、23Mでのインクの圧力変化を、ヘッドユニット11内でのインクの圧力変化に対して十分に小さくすることができる。
【0086】
また、第1実施形態では、上述したように、帰還流路26K、26Y、26C、26Mのインクタンク6K、6Y、6C、6Mと各ヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗が、ヘッドユニット11内のインク流路の流路抵抗に対して十分に小さい。したがって、インクタンク6K、6Y、6C、6Mとヘッドユニット11との間でインクが循環するときの、帰還流路26K、26Y、26C、26Mでのインクの圧力変化を、ヘッドユニット11内でのインクの圧力変化に対して十分に小さくすることができる。
【0087】
これらのことから、6つのヘッドユニット11間で、インクタンク6K、6Y、6C、6Mとヘッドユニット11との間でインクが循環するときのノズル10内のインクの圧力の差を極力小さくすることができる。その結果、6つのヘッドユニット11間でノズル10内のインクのメニスカスの壊れやすさを極力均一にすることができる。
【0088】
また、一般に、ブラックのインクとカラーインクを吐出するプリンタ1では、ブラックのインクはカラー(イエロー、シアン、マゼンタ)のインクよりも使用頻度が高い。そこで、第1実施形態では、上述したように、ブラックのインクが流れる供給流路23Kのうち各ヘッドユニット11とインクタンク6Kとを接続する部分の流路抵抗を、カラーのインクが流れる供給流路23Y、23C、23Mのうち各ヘッドユニット11とインクタンク6Y、6C、6Mとを接続する部分の流路抵抗よりも小さくしている。また、ブラックのインクが流れる帰還流路26Kのうち各ヘッドユニット11とインクタンク6Kとを接続する部分の流路抵抗を、カラーのインクが流れる帰還流路26Y、26C、26Mのうち各ヘッドユニット11とインクタンク6Y、6C、6Mとを接続する部分の流路抵抗よりも小さくしている。これにより、使用頻度の高いブラックインクが流れるインク流路においてブラックインクを流れやすくすることができる。
【0089】
[第2実施形態]
次に、本発明の好適な第2実施形態について説明する。ただし、第2実施形態は、インクタンク6K、6Y、6C、6Mとヘッドユニット11とを接続する流路の構成が第1実施形態と異なるだけであるので、以下では、主に上記流路の構成について説明する。
【0090】
<供給流路101K、101Y>
図6、
図7に示すように、第2実施形態では、6つのヘッドユニット11の6つの供給口21K、21Yと、インクタンク6K、6Yとが、それぞれ、供給流路101K、101Yを介して接続されている。供給流路101K、101Yは、それぞれ、共通供給流路102K、102Yと、個別供給流路103aK~103fK、103aY~103fYとを有する。
【0091】
共通供給流路102K、102Yは、それぞれ、第1実施形態の共通供給流路24K、24Yと同様のものであり、紙幅方向の左端部において、供給側ポンプ30K、30Yを介して、インクタンク6K、6Yと接続されている。個別供給流路103aK~103fK、103aY~103fYは、それぞれ、6つのヘッドユニット11a~11fに対応しており、共通供給流路102K、102Yとヘッドユニット11a~11fの供給口21K、21Yとをそれぞれ接続する。
【0092】
<帰還流路104K、104Y>
図6、
図7に示すように、第2実施形態では、6つのヘッドユニット11の6つの排出口22K、22Yと、インクタンク6K、6Yとが、それぞれ、帰還流路104K、104Yを介して接続されている。帰還流路104K、104Yは、それぞれ、共通帰還流路105K、105Yと、個別帰還流路106aK~106fK、106aY~106fYとを有する。
【0093】
共通帰還流路105K、105Yは、それぞれ、3つの流路部分107K~109K、107Y~109Yを有する。流路部分107K、108K、107Y、108Yは、6つのヘッドユニット11にわたって紙幅方向に延びている。また、流路部分107Kと流路部分108K、及び、流路部分107Kと流路部分108Kは、それぞれ、搬送方向に並んでいる。なお、流路部分107Kと流路部分108K、及び、流路部分107Yと流路部分108Yは、それぞれ、例えば上下方向など、紙幅方向と直交する別の方向に並んでいてもよい。流路部分109K、109Yは、それぞれ、流路部分107Kと流路部分108Kの紙幅方向の右側の端同士、及び、流路部分107Yと流路部分108Yの紙幅方向の右側の端同士を接続する。また、流路部分108K、108Yは、それぞれ、紙幅方向の左端部において、排出側ポンプ31K、31Yを介して、インクタンク6K、6Yと接続されている。
【0094】
個別帰還流路106aK~106fK、106aY~106fYは、それぞれ、6つのヘッドユニット11a~11fに対応しており、共通帰還流路105K、105Yの流路部分107K、107Yとヘッドユニット11a~11fの排出口22K、22Yとをそれぞれ接続する。
【0095】
<供給流路101C、101M>
図8、
図9に示すように、第2実施形態では、6つのヘッドユニット11の6つの供給口21C、21Mと、インクタンク6C、6Mとが、それぞれ、供給流路101C、101Mを介して接続されている。供給流路101C、101Mは、それぞれ、共通供給流路102C、102Mと、個別供給流路103aC~103fC、103aM~103fMとを有する。
【0096】
共通供給流路102C、102Mは、それぞれ、第1実施形態の共通供給流路24C、24Mと同様のものであり、紙幅方向の右端部において、供給側ポンプ30C、30Mを介して、インクタンク6C、6Mと接続されている。個別供給流路103aC~103fC、103aM~103fMは、それぞれ、6つのヘッドユニット11a~11fに対応しており、共通供給流路102C、102Mとヘッドユニット11a~11fの供給口21C、21Mとをそれぞれ接続する。
【0097】
<帰還流路104C、104M>
図8、
図9に示すように、第2実施形態では、6つのヘッドユニット11の6つの排出口22C、22Mと、インクタンク6C、6Mとが、それぞれ、帰還流路104C、104Mを介して接続されている。帰還流路104C、104Mは、それぞれ、共通帰還流路105C、105Mと、個別帰還流路106aC~106fC、106aM~106fMとを有する。
【0098】
共通帰還流路105C、105Mは、それぞれ、3つの流路部分107C~109C、107M~109Mを有する。流路部分107C、108C、107M、108Mは、6つのヘッドユニット11にわたって紙幅方向に延びている。また、流路部分107Cと流路部分108C、及び、流路部分107Mと流路部分108Mは、それぞれ、搬送方向に並んでいる。なお、流路部分107Cと流路部分108C、及び、流路部分107Mと流路部分108Mは、それぞれ、例えば上下方向など、紙幅方向と直交する別の方向に並んでいてもよい。流路部分109C、109Mは、それぞれ、流路部分107と流路部分108Cの紙幅方向の左側の端同士、及び、流路部分107と流路部分108Cの紙幅方向の左側の端同士を接続する。また、流路部分108C、108Mは、それぞれ、紙幅方向の右端部において、排出側ポンプ31C、31Mを介して、インクタンク6C、6Mと接続されている。
【0099】
個別帰還流路106aC~106fC、106aM~106fMは、それぞれ、6つのヘッドユニット11a~11fに対応しており、共通帰還流路105C、105Mの流路部分107C、107Mとヘッドユニット11a~11fの排出口22C、22Mとをそれぞれ接続する。
【0100】
<ヘッドユニット11間の、供給流路と帰還流路の流路抵抗の合計の大小関係>
第2実施形態では、個別供給流路103aK~103fKの長さ方向と直交する断面の断面積は、ほぼ同じである。また、上述したように、個別供給流路103aK~103fKの長さはほぼ同じである。したがって、個別供給流路103aK~103fKの流路抵抗はほぼ同じである。
【0101】
一方、共通供給流路102Kのうち、インクタンク6Kと個別供給流路103aK~103fKとを接続する部分の長さは、紙幅方向の右側に位置するヘッドユニット11に対応するものほど長い。すなわち、共通供給流路102Kは、インクタンク6Kと、個別供給流路103aK~103fKのうち、紙幅方向の右側に位置するものとを接続する部分ほど流路抵抗が大きい。
【0102】
また、第2実施形態では、個別帰還流路106aK~106fKの長さ方向と直交する断面の断面積は、ほぼ同じである。また、上述したように、個別帰還流路106aK~106fKの長さはほぼ同じである。したがって、個別帰還流路106aK~106fKの流路抵抗はほぼ同じである。
【0103】
一方、共通帰還流路105Kのうち、インクタンク6Kと個別帰還流路106aK~106fKとを接続する部分の長さは、紙幅方向の左側に位置するヘッドユニット11に対応するものほど長い。すなわち、共通帰還流路105Kは、インクタンク6Kと、個別帰還流路106aK~106fKのうち、紙幅方向の左側に位置するものとを接続する部分ほど流路抵抗が大きい。
【0104】
これらのことから、第2実施形態では、供給流路101Kは、インクタンク6Kと紙幅方向の右側に位置するヘッドユニット11とを接続する部分ほど流路抵抗が大きい。また、帰還流路104Kは、インクタンク6Kと紙幅方向の右側に位置するヘッドユニット11とを接続する部分ほど流路抵抗が小さい。そして、これにより、6つのヘッドユニット11間で、供給流路101Kのインクタンク6Kとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗と、帰還流路104Kのインクタンク6Kとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗の合計の差が所定範囲内(例えば±5%の範囲内)に収まっている。
【0105】
また、第2実施形態では、個別供給流路103aY~103fY、103aC~103fC、103aM~103fMは、それぞれ、長さ方向と直交する断面の断面積(流路抵抗)がほぼ同じである。また、個別帰還流路106aY~106fY、106aC~106fC、106aM~106fMは、それぞれ、長さ方向と直交する断面の断面積(流路抵抗)がほぼ同じである。
【0106】
したがって、上述したのと同様、供給流路101Y、101C、101Mは、それぞれ、インクタンク6Y、6C、6Mと紙幅方向の右側に位置するヘッドユニット11とを接続する部分ほど流路抵抗が大きい。また、帰還流路104Y、104C、104Mは、それぞれ、インクタンク6Y、6C,6Mと紙幅方向の右側に位置するヘッドユニット11とを接続する部分ほど流路抵抗が小さい。
【0107】
これにより、6つのヘッドユニット11間で、供給流路101Yのインクタンク6Yとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗と、帰還流路104Yのインクタンク6Yとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗の合計の差が所定範囲内に収まっている。
【0108】
同様に、6つのヘッドユニット11間で、供給流路101Cのインクタンク6Cとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗と、帰還流路104Cのインクタンク6Cとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗の合計の差が所定範囲内に収まっている。
【0109】
同様に、6つのヘッドユニット11間で、供給流路101Mのインクタンク6Yとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗と、帰還流路104Mのインクタンク6Yとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗の合計の差が所定範囲内に収まっている。
【0110】
<供給流路間、帰還流路間での流路抵抗の大小関係>
また、第2実施形態では、ブラックのインクが流れる個別供給流路103aK~103fKの長さ方向と直交する断面の断面積S3Kが、カラーのインクが流れる個別供給流路103aY~103fY、103aC~103fC、103aM~103fMの長さ方向と直交する断面の断面積S3Y、S3C、S3Mよりも大きい。また、個別供給流路103aY~103fY、103aC~103fC、103aM~103fMの上記断面積S3Y、S3C、S3Mはほぼ同じである。
【0111】
また、第2実施形態では、ブラックのインクが流れる共通供給流路102Kの長さ方向と直交する断面の断面積R3Kが、カラーのインクが流れる共通供給流路102Y、102C、102Mの長さ方向と直交する断面の断面積R3Y、R3C、R3Mよりも大きい。また、共通供給流路102Y、102C、102Mの上記断面積R3Y、R3C、R3Mはほぼ同じである。
【0112】
これらのことから、供給流路101Kのうちインクタンク6Kと各ヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗が、供給流路101Y、101C、101Mのうちインクタンク6Y、6C、6Mと各ヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗よりも小さい。
【0113】
<帰還流路間での流路抵抗の大小関係>
また、ブラックのインクが流れる個別帰還流路106aKの長さ方向と直交する断面の断面積S4Kが、カラーのインクが流れる個別帰還流路106aY~106fY、106aC~106fC、106aM~106fMの長さ方向と直交する断面の断面積S4Y、S4C、S4Mよりも大きい。また、個別帰還流路106aY~106fY、106aC~106fC、106aM~106fMの上記断面積S4Y、S4C、S4Mはほぼ同じである。
【0114】
また、ブラックのインクが流れる共通帰還流路105Kの長さ方向と直交する断面の断面積R4Kが、カラーのインクが流れる共通帰還流路105Y、105C、105Mの長さ方向と直交する断面の断面積R4Y、R4C、R4Mよりも大きい。また、共通帰還流路105Y、105C、105Mの上記断面積R4Y、R4C、R4Mは、ほぼ同じである。
【0115】
これらのことから、帰還流路104Kのうち各ヘッドユニット11とインクタンク6Kとを接続する部分の流路抵抗が、帰還流路104Y、104C、104Mのうち各ヘッドユニット11とインクタンク6Y、6C、6Mとを接続する部分の流路抵抗よりも小さい。
【0116】
<供給流路及び帰還流路とヘッドユニット11との流路抵抗の大小関係>
また、第2実施形態でも、供給流路101K、101Y、101C、101M及び帰還流路104K、104Y、104C、104Mの、インクタンク6K、6Y、6C、6Mと各ヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗は、ヘッドユニット11内のインク流路に対して、例えば100分の1以下など十分に小さい。
【0117】
なお、第2実施形態では、6つのヘッドユニット11の中の任意の2つのヘッドユニット11のうち、紙幅方向の左側に配置されているヘッドユニット11が本発明の「第1液体吐出ヘッド」に相当し、紙幅方向の右側に配置されているヘッドユニット11が、本発明の「第2液体吐出ヘッド」に相当する。
【0118】
そして、第1液体吐出ヘッドに対応するブラック、イエローの個別供給流路が、第2液体吐出ヘッドに対応するブラック、イエローの個別供給流路よりも、共通供給流路102K、102Yのインクタンク6K、6Yとの接続部分から近い部分に接続される。これにより、供給流路101K、101Yの、インクタンク6K、6Yと第1液体吐出ヘッドとを接続する部分の流路抵抗が、インクタンク6K、6Yと第2液体吐出ヘッドとを接続する部分の流路抵抗よりも小さい。
【0119】
また、第1液体吐出ヘッドに対応するシアン、マゼンタの個別供給流路が、第2液体吐出ヘッドに対応するシアン、マゼンタの個別供給流路よりも、共通供給流路102C、102Mのインクタンク6K、6Yとの接続部分から遠い部分に接続される。これにより、供給流路101C、101Mの、インクタンク6C、6Mと第1液体吐出ヘッドとを接続する部分の流路抵抗が、インクタンク6C、6Cと第2液体吐出ヘッドとを接続する部分の流路抵抗よりも大きい。
【0120】
また、第1液体吐出ヘッドに対応するブラック、イエローの個別帰還流路が、第2液体吐出ヘッドに対応するブラック、イエローの個別帰還流路よりも、共通帰還流路105K、105Yのインクタンク6K、6Yとの接続部分から遠い部分に接続される。これにより、帰還流路104K、104Yの、インクタンク6K、6Yと第1液体吐出ヘッドとを接続する部分の流路抵抗が、インクタンク6K、6Yと第2液体吐出ヘッドとを接続する部分の流路抵抗よりも大きい。
【0121】
また、第1液体吐出ヘッドに対応するシアン、マゼンタの個別帰還流路が、第2液体吐出ヘッドに対応するシアン、マゼンタの個別帰還流路よりも、共通帰還流路105C、105Mのインクタンク6K、6Yとの接続部分から近い部分に接続される。これにより、帰還流路104C、104Mの、インクタンク6C、6Mと第1液体吐出ヘッドとを接続する部分の流路抵抗が、インクタンク6C、6Cと第2液体吐出ヘッドとを接続する部分の流路抵抗よりも小さい。
【0122】
<効果>
第2実施形態でも、インクジェットヘッド2が紙幅方向に沿って並んだ6つのヘッドユニット11を有しているのに対して、インクタンク6K、6Yが、インクジェットヘッド2よりもインクジェットヘッド2の紙幅方向の左側に配置され、インクタンク6C、6Mが、インクジェットヘッド2よりもインクジェットヘッド2の紙幅方向の右側に配置されている。これにより、第1実施形態で説明したのと同様、6つのヘッドユニット11間で、ノズル10内のインクのメニスカスの壊れやすさが偏らないようにすることができる。
【0123】
また、第2実施形態でも、共通供給流路102K、102Y、102C、102Mの長さ方向の片側の端部のみが、インクタンク6K、6Y、6C、6Mと接続され、共通帰還流路105K、105Y、105C、105Mの長さ方向の片側の端部のみが、インクタンク6K、6Y、6C、6Mと接続されている。したがって、第2実施形態でも、第1実施形態で説明したのと同様、インクタンク6K、6Yを、紙幅方向におけるインクジェットヘッド2よりも左側に配置し、インクタンク6C、6Mを、紙幅方向におけるインクジェットヘッド2よりも右側に配置することによって、上述したように、6つのヘッドユニット11間で、ノズル10内のインクのメニスカスの壊れやすさが偏らないようにする意義は大きい。
【0124】
また、第2実施形態では、供給流路101Kのうち、インクタンク6Kと紙幅方向の右側のヘッドユニット11とを接続する部分ほど流路抵抗が大きく、帰還流路104Kのうち、インクタンク6Kと紙幅方向の右側のヘッドユニット11とを接続する部分ほど流路抵抗が小さい。これにより、上述したように、6つのヘッドユニット11間で、供給流路101Kのうち、インクタンク6Kとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗と、帰還流路104Kのうち、インクタンク6Kとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗との合計を、所定範囲内に収まるようにすることができる。その結果、インクタンク6Kと6つのヘッドユニット11との間でブラックのインクを循環させたときに、ヘッドユニット11間でインクの流量を均一にすることができる。
【0125】
同様に、インクタンク6Yと6つのヘッドユニット11との間でイエローのインクを循環させたときに、ヘッドユニット11間でインクの流量を均一にすることができる。同様に、インクタンク6Cと6つのヘッドユニット11との間でシアンのインクを循環させたときに、ヘッドユニット11間でインクの流量を均一にすることができる。同様に、インクタンク6Mと6つのヘッドユニット11との間でマゼンタのインクを循環させたときに、ヘッドユニット11間でインクの流量を均一にすることができる。
【0126】
また、第2実施形態でも、供給流路101K、101Y、101C、101M及び帰還流路104K、104Y、104C、104Mの、インクタンク6K、6Y、6C、6Mと各ヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗が、ヘッドユニット11内のインク流路の流路抵抗に対して十分に小さい。したがって、第1実施形態で説明したのと同様、6つのヘッドユニット11間で、インクタンク6K、6Y、6C、6Mとヘッドユニット11との間でインクが循環するときのノズル10内のインクの圧力の差を極力小さくすることができる。その結果、6つのヘッドユニット間でノズル10内のインクのメニスカスの壊れやすさを極力均一にすることができる。
【0127】
また、第2実施形態でも、ブラックのインクが流れる供給流路101Kのうち各ヘッドユニット11とインクタンク6Kとを接続する部分の流路抵抗を、カラーのインクが流れる供給流路101Y、101C、101Mのうち各ヘッドユニット11とインクタンク6Y、6C、6Mとを接続する部分の流路抵抗よりも小さくしている。また、ブラックのインクが流れる帰還流路104Kのうち各ヘッドユニット11とインクタンク6Kとを接続する部分の流路抵抗を、カラーのインクが流れる帰還流路104Y、104C、104Mのうち各ヘッドユニット11とインクタンク6Y、6C、6Mとを接続する部分の流路抵抗よりも小さくしている。これにより、第1実施形態で説明したのと同様、使用頻度の高いブラックのインクが流れるインク流路においてブラックのインクを流れやすくすることができる。
【0128】
<変形例>
以上、本発明の好適な第1、第2実施形態について説明したが、本発明は第1、第2実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載の限りにおいて様々な変更が可能である。
【0129】
第1、第2実施形態では、共通供給流路の長さ方向の片側の端部のみがインクタンクと接続され、共通帰還流路の長さ方向の片側の端部のみがインクタンクと接続されていたが、これには限られない。共通供給流路の長さ方向の両側の端部がインクタンクと接続されていてもよい。また、共通帰還流路の長さ方向の両側の端部がインクタンクと接続されていてもよい。
【0130】
また、第1、第2実施形態では、ブラックのインクが流れる供給流路のうち、インクタンク6Kと各ヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗を、カラーのインクが流れる供給流路のうち、インクタンク6Y、6C、6Mと各ヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗よりも小さくしたが、これには限られない。例えば、これらの流路抵抗を全て同じ程度としてもよい。
【0131】
また、第1、第2実施形態では、ブラックのインクが流れる帰還流路のうち、インクタンク6Kと各ヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗を、カラーのインクが流れる帰還流路のうち、インクタンク6Y、6C、6Mと各ヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗よりも小さくしたがこれには限られない。例えば、これらの流路抵抗を全て同じ程度としてもよい。
【0132】
また、第1、第2実施形態では、供給流路及び帰還流路のうち、インクタンク6K、6Y、6C、6Mとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗が、ヘッドユニット11内のインク流路の流路抵抗の100分の1以下であったが、これには限られない。例えば、供給流路のうち、インクタンク6K、6Y、6C、6Mとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗が、ヘッドユニット11内のインク流路の流路抵抗の100分の1よりも大きくてもよい。あるいは、例えば、帰還流路のうち、インクタンク6K、6Y、6C、6Mとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗が、ヘッドユニット11内のインク流路の流路抵抗の100分の1よりも大きくてもよい。
【0133】
また、第1実施形態では、供給流路23Kを共通供給流路24Kと同じ長さの複数の個別供給流路25aK~25fKとを有するものとし、個別供給流路25aK~25fK間で、長さ方向と直交する断面の断面積を異ならせることによって、ヘッドユニット11間で、供給流路23Kのうちインクタンク6Kとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗を均一にしたが、これには限られない。
【0134】
例えば、インクタンク6Kと各ヘッドユニット11の供給口21Kとを個別にチューブ等で接続してもよい。この場合には、紙幅方向の右側のヘッドユニット11の供給口21Kと接続されるチューブほど長さが長くなる。そこで、紙幅方向の右側のヘッドユニット11の供給口21Kと接続されるチューブほど、長さ方向と直交する断面の断面積を大きく(単位長さあたりの流路抵抗を小さく)してもよい。インクタンク6Yとヘッドユニット11の供給口21Yとを接続する供給流路についても同様である。
【0135】
同様に、インクタンク6Cと各ヘッドユニット11の供給口21Cとを個別にチューブ等で接続してもよい。この場合には、紙幅方向の左側のヘッドユニット11の供給口21Cと接続されるチューブほど長さが長くなる。そこで、紙幅方向の左側のヘッドユニット11の供給口21Cと接続されるチューブほど、長さ方向と直交する断面の断面積を大きく(単位長さあたりの流路抵抗を小さく)してもよい。インクタンク6Mとヘッドユニット11の供給口21Mとを接続する流路についても同様である。
【0136】
また、第1実施形態では、帰還流路26Kを共通帰還流路27Kと複数の個別帰還流路28aK~28fKとを有するものとし、個別帰還流路28aK~28fK間で、長さ方向と直交する断面の断面積を異ならせることによって、ヘッドユニット11間で、帰還流路26Kのうちインクタンク6Kとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗を均一にしたが、これには限られない。
【0137】
例えば、インクタンク6Kと各ヘッドユニット11の排出口22Kとを個別にチューブ等で接続してもよい。この場合には、紙幅方向の右側のヘッドユニット11の排出口22Kと接続されるチューブほど長さが長くなる。そこで、紙幅方向の右側のヘッドユニット11の排出口22Kと接続されるチューブほど、長さ方向と直交する断面の断面積を大きく(単位長さあたりの流路抵抗を小さく)してもよい。インクタンク6Yとヘッドユニット11の排出口22Yとを接続する流路についても同様である。
【0138】
同様に、インクタンク6Cと各ヘッドユニット11の排出口22Cとを個別にチューブ等で接続してもよい。この場合には、紙幅方向の左側のヘッドユニット11の排出口22Cと接続されるチューブほど長さが長くなる。そこで、紙幅方向の右側のヘッドユニット11の排出口22Cと接続されるチューブほど、長さ方向と直交する断面の断面積を大きく(単位長さあたりの流路抵抗を小さく)してもよい。インクタンク6Mとヘッドユニット11の排出口22Mとを接続する流路についても同様である。
【0139】
また、以上に説明した例とは異なる構成によって、ヘッドユニット11間で、供給流路のインクタンクとヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗と、帰還流路のインクタンクとヘッドユニットとを接続する部分の流路抵抗の合計を、所定範囲内に収まるようにしてもよい。
【0140】
また、第1実施形態では、供給流路23K、23Y、23C、23Mにおいて、それぞれ、インクタンク6K、6Y、6C、6Mと各ヘッドユニット11とを接続する部分間の流路抵抗が均一になるようにするのに加えて、帰還流路26K、26Y、26C、26Mにおいて、それぞれ、インクタンク6K、6Y、6C、6Mと各ヘッドユニット11とを接続する部分間の流路抵抗が極力均一になるようにしたが、これには限られない。例えば、帰還流路26K、26Y、26C、26Mにおいては、それぞれ、インクタンク6K、6Y、6C、6Mと各ヘッドユニット11とを接続する部分間の流路抵抗にある程度の差があってもよい。
【0141】
また、第1、第2実施形態において、供給流路の、インクタンク6K、6Y、6C、6Mと各ヘッドユニット11とを接続する部分間、及び、帰還流路の、インクタンク6K、6Y、6C、6Mと各ヘッドユニット11とを接続する部分間の両方において、ある程度の流路抵抗の差があってもよい。
【0142】
この場合には、インクタンク6K、6Y、6C、6Mが、全て紙幅方向におけるインクジェットヘッドの紙幅方向の片側にのみ配置されているとすると、上述の、いずれかのヘッドユニット11とを接続する部分の流路抵抗が全て大きくなる又は小さくなるといった偏りがさらに顕著なものとなる。
【0143】
したがって、この場合でも、インクタンク6K、6Yを、インクジェットヘッド2よりもインクジェットヘッド2の紙幅方向の左側に配置し、インクタンク6C、6Mを、インクジェットヘッド2よりもインクジェットヘッド2の紙幅方向の右側に配置することによって、上述したのと同様に、6つのヘッドユニット11間で、ノズル10内のインクのメニスカスの壊れやすさが偏らないようにすることができる。
【0144】
また、第1、第2実施形態では、インクジェットヘッド2が、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色のインクを吐出するものであるのに対して、ブラック、イエローのインクが貯留されたインクタンク6K、6Yがインクジェットヘッド2の紙幅方向の左側に配置され、シアン、マゼンタのインクが貯留されたインクタンク6C、6Mがインクジェットヘッド2の紙幅方向の左側に配置されていたが、これには限られない。
【0145】
例えば、プリンタにおいて、ブラック、イエローの2色のインクを吐出するインクジェットヘッドと、シアン、マゼンタの2色のインクを吐出するインクジェットヘッドとが搬送方向に並んでいてもよい。そして、ブラックインクが貯留されたインクタンク及びイエローインクが貯留されたインクタンクが、それぞれ、ブラック、イエローインクを吐出するインクジェットヘッドの紙幅方向の一方側及び他方側に配置されていてもよい。また、シアンインクが貯留されたインクタンク及びマゼンタインクが貯留されたインクタンクが、それぞれ、シアン、マゼンタインクを吐出するインクジェットヘッドの紙幅方向の一方側及び他方側に配置されていてもよい。
【0146】
また、以上の例では、複数のインクタンクが、インクジェットヘッドの紙幅方向の右側と左側とに配置されていたが、これには限られない。例えば、複数のインクタンクが、インクジェットヘッドと上下方向あるいは搬送方向と重なる位置に配置され、且つ、インクタンク同士が紙幅方向にずれて配置されていてもよい。
【0147】
また、以上では、ノズルからブラック、カラーのインクを吐出するインクジェットヘッドを備えたプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。例えば、液状化させた金属や樹脂など、インク以外の第1、第2液体を吐出する液体吐出ヘッドを備えた、プリンタ以外の液体吐出装置に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0148】
1 プリンタ
6K、6Y、6C、6M インクタンク
10 ノズル
11 ヘッドユニット
23K、23Y、23C、23M 供給流路
24K、24Y、24C、24M 共通供給流路
25aK~25fK 個別供給流路
25aY~25fY 個別供給流路
25aC~25fC 個別供給流路
25aM~25fM 個別供給流路
26K、26Y、26C、26M 帰還流路
27K、27Y、27C、27M 共通帰還流路
28aK~28fK 個別帰還流路
28aY~28fY 個別帰還流路
28aC~28fC 個別帰還流路
28aM~28fM 個別帰還流路
101K、101Y、101C、101M 供給流路
102K、102Y、102C、102M 共通供給流路
103aK~103fK 個別供給流路
103aY~103fY 個別供給流路
103aC~103fC 個別供給流路
103aM~103fM 個別供給流路
104K、104Y、104C、104M 帰還流路
105K、105Y、105C、105M 共通帰還流路
106aK~106fK 個別帰還流路
106aY~106fY 個別帰還流路
106aC~106fC 個別帰還流路
106aM~106fM 個別帰還流路