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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】製品異常判定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20221012BHJP
   B65G 47/248 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
G01N21/84 C
B65G47/248 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018184324
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020051998
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 彰文
(74)【代理人】
【識別番号】100191190
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 直文
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 明
(72)【発明者】
【氏名】坂東 賢也
(72)【発明者】
【氏名】野村 昭
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-161916(JP,A)
【文献】特開2017-190962(JP,A)
【文献】特開2015-083921(JP,A)
【文献】特開2005-263467(JP,A)
【文献】特開2000-097671(JP,A)
【文献】特開平06-118015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-G01N 21/958
G01B 11/00-G01B 11/30
B65G 47/22-B65G 47/32
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方から他方の搬送方向へワークを移送して、該ワークの表裏面異常の有無を判定する製品異常判定装置であって、
少なくとも前記搬送方向に沿って複数のワークを搭載するワーク搭載部と、
前記ワーク搭載部に搭載された複数のワークを一組として、前半の搬送路を前記搬送方向に搬送する前半搬送部と、
前記ワーク搭載部に搭載された複数のワークを一組として、後半の搬送路を前記搬送方向に搬送する後半搬送部と、
前記前半搬送部と前記後半搬送部との間に配置され、前記ワーク搭載部に搭載された前記ワークの表裏を反転させる表裏反転部と、
各搬送部の上方にそれぞれ配置され、前記ワークに光を照射する複数の発光部と、前記ワークの画像を撮像する複数の撮像体と、からなる撮像ユニットと、
前記後半搬送部の下流に位置し、前記撮像ユニットから送られてくる画像情報に基づいてワーク表裏面異常の有無を判定し、設定条件に満たないワークを搬送路から取り除くワーク選定部と、
前記前半搬送部、前記表裏反転部、前記後半搬送部及び前記ワーク選定部を制御する制御ユニットと、を備え、
前記ワーク搭載部は、複数のワークを保持するワークホルダを有し、
前記ワークホルダは、前記搬送方向の両端に、前記搬送方向に沿った反転軸を有し、
前記反転軸は、前記ワークホルダの、前記搬送方向と直交する水平方向の中央に位置し、
前記表裏反転部は、前記ワークホルダに保持された複数のワークの表裏を反転し、
前記撮像ユニットは、
前記水平方向の一方側に配置されたワークを撮像する第1撮像ユニットと、
前記水平方向の他方側に配置されたワークを撮像する第2撮像ユニットと、を有し、
前記第1撮像ユニットと、前記第2撮像ユニットと、は、前記水平方向に位置をずらして配置され、
前記第1撮像ユニットの領域と、前記第2撮像ユニットの領域と、の少なくとも一部は、前記水平方向で重なる、製品異常判定装置。
【請求項2】
前記ワーク搭載部は、前記搬送方向に沿った複数のワークの搭載に加え、該搬送方向と直交する前記水平方向に沿っても複数のワークを搭載する、請求項1に記載の製品異常判定装置。
【請求項3】
各撮像ユニットは、前記発光部が前記複数のワークに対して四方向からレーザ光を照射すると共に、前記撮像体が四方向から前記複数のワークの画像を撮像する、請求項1または請求項2に記載の製品異常判定装置。
【請求項4】
前記ワーク選定部は、前記画像情報に基づき、一つのワークに対して設定条件に満たない部位が一箇所でも存在すると、当該ワークが取り除かれる、請求項1から3のいずれか一項に記載の製品異常判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方から他方の搬送方向へワークを移送して、ワークの表裏面異常の有無を判定する製品異常判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、搬送装置によって移動するワークにレーザ光を照射して、その反射光をカメラで撮影することにより、ワークの外観異常を判定する製品異常判定装置が知られている。
【0003】
製品異常判定装置は、移動するワークの外観を複数のカメラで撮影し、それらの画像を合成することによってワークの全体の外観形状を把握する。判定対象のワークの外観形状は、予め撮影された基準の外観形状と比較され、判定対象のワークが不良品であるか否かを判定している。
【0004】
例えば、特許文献1には、直線状に移動するワークの移動方向に沿って配置された第1の検査用搬送部と、ワークの表側を撮像する表側撮影部と、ワークを表裏反転させる反転部と、ワークの裏側を撮像する裏側撮影部と、第2の検査用搬送部とを備える外観検査装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-190962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の外観検査装置は、表裏同一対称となる形状のワークを検査対象とし、ワークの表裏面を反転して撮影部で撮影している。1基の搬送台に2つのワークが配置され、並行する2系統のラインで搬送している。さらに、撮影はワークの表裏面反転の前後で行い、表側撮影部及び裏側撮影部はそれぞれ並行する2系統のライン間で移動し撮影を行っている。
【0007】
したがって、表側撮影部及び裏側撮影部がそれぞれ2系統のライン間で移動する必要があり、撮像部のスキャン速度が一定のため、タクトアップを図るには、メカ構造が複雑になるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、撮像ユニットを移動すること無く、複数のワークを一組として異常判定し、設定条件に満たないワークのみを取り除いて、リードタイムの削減が可能な製品異常判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る製品異常判定装置は、一方から他方の搬送方向へワークを移送して、該ワークの表裏面異常の有無を判定する製品異常判定装置であって、少なくとも上記搬送方向に沿って複数のワークを搭載するワーク搭載部と、上記ワーク搭載部に搭載された複数のワークを一組として、前半の搬送路を上記搬送方向に搬送する前半搬送部と、上記ワーク搭載部に搭載された複数のワークを一組として、後半の搬送路を上記搬送方向に搬送する後半搬送部と、上記前半搬送部と上記後半搬送部との間に配置され、上記ワーク搭載部に搭載された上記ワークの表裏を反転させる表裏反転部と、各搬送部の上方にそれぞれ配置され、上記ワークに光を照射する複数の発光部と、上記ワークの画像を撮像する複数の撮像体と、からなる撮像ユニットと、上記後半搬送部の下流に位置し、上記撮像ユニットから送られてくる画像情報に基づいてワーク表裏面異常の有無を判定し、設定条件に満たないワークを搬送路から取り除くワーク選定部と、上記前半搬送部、上記表裏反転部、上記後半搬送部及び上記ワーク選定部を制御する制御ユニットと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、撮像ユニットを移動すること無く、複数のワークを一組として異常判定し、設定条件に満たないワークのみを取り除いて、リードタイムの削減が可能な製品異常判定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態に係る製品異常判定装置の配置構成の平面図である。
図2図2は、本実施形態に係る製品異常判定装置の全体構成のブロック図である。
図3図3は、本実施形態に係る製品異常判定装置の外観の斜視図である。
図4図4は、本実施形態のワークの一例の斜視図である。
図5図5は、本実施形態のワーク搭載部の斜視図である。
図6図6は、本実施形態の撮像ユニットの模式図である。
図7A図7Aは、本実施形態の表裏反転部の模式図である。
図7B図7Bは、本実施形態の表裏反転部の他の例の斜視図である。
図8図8は、本実施形態のワーク選定部の斜視図である。
図9図9は、本実施形態に係る製品異常判定装置の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明に係る製品異常判定装置の一実施形態について説明する。本実施形態においては、ワークの供給側を装置の一方側、ワークの排出側を装置の他方側という。右側または左側については、特に言及しない限り、装置の一方側から見て右側または左側をいう。
【0013】
[製品異常判定装置の構成]
まず、図1から図8を参照して、本発明の一実施形態に係る製品異常判定装置について説明する。図1は、本実施形態に係る製品異常判定装置の配置構成の平面図である。図2は、本実施形態に係る製品異常判定装置の全体構成のブロック図である。図3は、本実施形態に係る製品異常判定装置の外観の斜視図である。図4は、本実施形態のワークの一例の斜視図である。
【0014】
図4に示すように、本実施形態において、判定対象となるワークWは、表裏面の形状が同一対称の形状を有することが好ましい。ワークWとしては、例えば、レシプロエンジンのピストンとクランクシャフトを連結するコンロッド(コネクティングロッド)が挙げられる。コンロッドは、ピストンに接続する側のスモールエンド(本実施形態ではワークの一端側)Sと、クランクシャフトに接続する側のビッグエンド(本実施形態ではワークの他端側)Bと、両者を接続するロッド部Rを有する。
【0015】
図1から図3に示すように、本実施形態に係る製品異常判定装置1は、一方から他方の搬送方向MへワークWを移送して、該ワークWの表裏面異常の有無を判定する装置である。製品異常判定装置1は、直線状に移動するワークWの搬送方向Mに沿って配置され、前半搬送部10、ワーク搭載部20、表面撮像部30、表裏反転部40、後半搬送部50,裏面撮像部及びワーク選定部70を備える。
【0016】
図5は、本実施形態のワーク搭載部の斜視図である。図5に示すように、ワーク搭載部20は、複数のワークWを保持するワークホルダ21を備えている。ワークホルダ21は、例えば、鍵括弧状のホルダを搬送方向Mに沿って二つ連結したような形状を有する。ワークWのスモールエンドSは、鍵括弧状の凸部22によって外側から保持されている。ワークWのブッグエンドSは、T字状の凸部23によって内側から保持されている。ワークホルダ21には、例えば、複数のワークWが一組として搭載されている。ワークホルダ21は、搬送方向Mに沿った複数のワークWの搭載に加え、搬送方向Mと直交する水平方向Hに沿っても複数のワークWを搭載している。具体的には、図2及び図5に示すように、ワークホルダ21は、搬送方向M及び水平方向Hに沿って、第1ワーク固定部21a、第2ワーク固定部21b、第3ワーク固定部21c及び第4ワーク固定部21dを備えている。
【0017】
上述したように、本実施形態のワークWはコンロッドである。図1及び図5に示すように、各コンロッドは、ビッグエンドBが製品異常判定装置1の他方側に向くように、ロッド部Rを搬送方向Mと平行にした姿勢で配置される。ワークホルダ21は、ロッド部Rが搬送方向Mと平行な姿勢で搬送方向M及び水平方向Hにコンロッドを2個ずつ固定する。このようにワーク搭載部20に固定された4個のコンロッドは、一組として搬送される。
【0018】
図1から図3を参照して、前半搬送部10は、ワークWの供給部から表裏反転部40に至る搬送路である。前半搬送部10は、ワークホルダ21に搭載された4個のワークWを一組として、前半の搬送路を搬送方向Mに搬送する。前半搬送部10は、ワークWを直線方向に移動させる前半搬送機構11を備える。前半搬送機構11としては、例えば、チェーン駆動装置やベルト駆動装置等が挙げられる。前半搬送部10において、ワークWの供給部と表裏反転部40との間には、表面撮像部30が配置されている。
【0019】
表面撮像部30の上方には、ワークWの表面画像を撮像する表面撮像ユニット31が配置されている。表面撮像ユニット31は、ワークWに光を照射する複数の発光部Lと、ワークWの画像を撮像する複数の撮像体Cと、からなる。複数の発光部Lは、各ワークWに対して四方から光を照射する。複数の撮像体Cは、光が照射された各ワークWの画像を四方から撮像する。
【0020】
図6は、本実施形態の撮像ユニットの模式図である。図6に示すように、本実施形態の表面撮像ユニット31には、表面撮像部30の上方に発光部Lが四方に配置されている。発光部Lは、4個一組のワークWに対して、四方向から光を照射する。即ち、搬送方向Mと直交する水平方向Hに2個のワークWが配置されているので、各ワークWに対して四方から光を照射すべく、水平方向Hに位置をずらして合計8個の発光部Lが配置されている。発光部Lとしては、例えば、指向性のあるレーザ光源が好適に用いられる。
【0021】
また、本実施形態の表面撮像ユニット31には、表面撮像部30の上方に撮像体Cが四方に配置されている。撮像体Cは、4個一組のワークWの画像を四方向から撮像する。即ち、搬送方向Mと直交する水平方向Hに2個のワークWが配置されているので、各ワークWに対して四方から撮像すべく、水平方向Hに位置をずらして合計8個の撮像体Cが配置されている。撮像体Cとしては、例えば、レンスとCCD撮像素子とが一体化された産業用カメラが好適に用いられる。
【0022】
図7Aは、本実施形態の表裏反転部の一例の模式図である。図1及び図7Aに示すように、表裏反転部40は、前半搬送部10と後半搬送部50との間に配置されている。即ち、表裏反転部40は、表面撮像部31の搬送方向Mの他方側(後流側)に配置されている。表裏反転部40は、ワークホルダ21に保持された一組のワークWの表裏を反転させる表裏反転機構41を備えている。ワークホルダ21は、例えば、搬送方向Mの両端部に、搬送方向Mに沿った反転軸25を備え、軸受によって回動可能に支持されている。表裏反転機構41は、図示省略の昇降ユニット等の昇降アームによって押し上げられる押上板42を備えている。昇降アームを上昇させて押上板42でワークホルダ21の水平方向Hの左端部を押し上げることにより、ワークホルダ21は4個一組のワークWを搭載した状態で裏面側に反転する。表裏反転機構41は例示であって、他の方式を用いてワークホルダ21に搭載された一組のワークWを反転させても構わない。
【0023】
また、図7Bは、本実施形態の表裏反転部の他の例の斜視図である。図7Bに示すように、表裏反転部40は、リング状の支持アーム45と、回動機能を有するチャック46と、を備えるように構成してもよい。ワークWのスモールエンドSをリング状の支持アーム45に保持して、チャック45でビッグエンドBを把持して、各々のワークWを個別に反転させるように構成してもよい。
【0024】
再び図1から図3を参照して、後半搬送部50は、表裏反転部40からワーク選定部70に至る搬送路である。後半搬送部50は、ワーク搭載部20に搭載された4個のワークWを一組として、後半の搬送路を搬送方向Mに搬送する。後半搬送部50は、ワークWを直線方向に移動させる後半搬送機構51を備える。後半搬送部50は、ワークWを搭載したワーク搭載部20を搬送方向Mに移送する。後半搬送機構51としては、例えば、チェーン駆動装置やベルト駆動装置等が挙げられる。後半搬送部50において、表裏反転部40とワーク選定部70との間には、裏面撮像部61が配置されている。
【0025】
裏面撮像部60の上方には、ワークWの裏面画像を撮像する裏面撮像ユニット61が配置されている。裏面撮像ユニット61は、ワークWに光を照射する複数の発光部Lと、ワークWの画像を撮像する複数の撮像体Cと、からなる。複数の発光部Lは、各ワークWに対して四方から光を照射する。複数の撮像体Cは、光が照射された各ワークWの画像を四方から撮像する。
【0026】
図6に示すように、本実施形態の裏面撮像ユニット61には、裏面撮像部60の上方に発光部Lが四方に配置されている。発光部Lは、4個一組のワークWに対して、四方向から光を照射する。即ち、搬送方向Mと直交する水平方向Hに2個のワークWが配置されているので、各ワークWに対して四方から光を照射すべく、水平方向Hに位置をずらして合計8個の発光部Lが配置されている。発光部Lとしては、例えば、指向性のあるレーザ光源が好適に用いられる。
【0027】
また、本実施形態の裏面撮像ユニット61には、表面撮像部60の上方に撮像体Cが四方に配置されている。撮像体Cは、4個一組のワークWの画像を四方向から撮像する。即ち、搬送方向Mと直交する水平方向Hに2個のワークWが配置されているので、各ワークWに対して四方から撮像すべく、水平方向Hに位置をずらして合計8個の撮像体Cが配置されている。撮像体Cとしては、例えば、レンスとCCD撮像素子とが一体化された産業用カメラが好適に用いられる。
【0028】
図1から図3を参照して、制御ユニット80は、前半搬送部10(前半搬送機構11)、表面撮像部30(表面撮像ユニット31)、表裏反転部40(表裏反転機構部41)、後半搬送部50(後半搬送機構51)、裏面撮像部60(裏面撮像ユニット61)及びワーク選定部70(選定機構71)を制御する。制御ユニット80は、例えば、中央演算装置(CPU)を備えたコンピュータによって構成されている。制御ユニット80は、ハードディスク(HDD)やソリッド・ステート・ドライブ(SSD)等の記憶部81を備えている。記憶部81には、制御内容を記述した制御プログラムがインストールされている。また、上述したように、記憶部81には、標準ワーク画像から抽出された標準座標値が保存されている。
【0029】
制御ユニット80は、表面撮像ユニット31及び裏面撮像ユニット61から送られてくる画像情報に基づいてワークWの表裏面異常の有無を判定する。制御ユニット80は、予め表面撮像ユニット31及び裏面撮像ユニット61で標準となるワークの表裏面画像を撮影しておき、標準座標値が記憶部81に保存される。制御ユニット80は、判定対象のワークWの座標値と標準座標値と比較することにより、判定対象のワークWに表裏面異常があるか否かを判定する。判定対象のワークWの座標値と標準座標値と比較判定の結果、制御ユニット80が判定対象のワークWが設定条件(所定値)に満たないと判断した場合には、NGワークの設置場所を記憶する。
【0030】
図8は、本実施形態のワーク選定部の斜視図である。図1から図3及び図8に示すように、ワーク選定部70は、後半搬送部50の下流に位置されている。ワーク選定部70は、ワークWの表裏面異常を判定する選定機構71を備えている。選定機構71は、設定条件(所定値)を超える表裏面異常のあるNGワークを搬送路から取り除く。
【0031】
図8は、本実施形態のワーク選定部の斜視図である。び図8に示すように、選定機構71は、昇降装置72により昇降移動する把持部材73と、NGワークを排出するための排出路74と、NGワークを回収するNGボックス75を備える。判定対象のワークWの座標値と標準座標値と比較判定の結果、一つのワークWに対して設定条件に満たない部位が一箇所でも存在すると、NGワークは昇降移動する把持部材73によって取り除かれる。取り除かれたNGワークは、排出路74を経てNGボックス75に集められる。
【0032】
図2に示すように、操作部90は、製品異常判定装置1の電源のオン/オフ操作を行うと共に、各種の操作指令を行うための入力部である。また、操作部90の操作によって、各種の設定条件を変更することも可能である。
【0033】
[製品異常判定装置の作用]
次に、図1から図3図6及び図9を参照して、本実施形態に係る製品異常判定装置1の作用について説明する。図9は、本実施形態に係る製品異常判定装置の動作を説明するフローチャートである。
【0034】
まず、操作部90のスタートボタンをオンすると(S1/YES)、ワーク搭載部20のワークホルダ21に4個のワークWが一組として保持される。即ち、ワークホルダ21は、搬送方向Mに沿った2個のワークWの搭載に加え、搬送方向Mと直交する水平方向Hに沿っても2個のワークWを搭載している。
【0035】
次に、4個一組のワークWを保持したワークホルダ21は、前半搬送部10にラッチされる(S2)。制御ユニット80は、前半搬送機構11を駆動して、ワークホルダ21を一方から他方の搬送方向Mへ搬送する(S3)。前半搬送部10の中間部には、表面撮像部30が配置されている。表面撮像部30の上方には、ワークWの表面画像を撮像する表面撮像ユニット31が配置されている。制御ユニット80はスキャニングを開始し、表面撮像ユニット31の8個の発光部LでワークWに光を照射すると共に、8個の撮像体CでワークWの画像を撮像する(S4)。
【0036】
図6に示すように、本実施形態では、搬送方向Mと直交する水平方向Hに2個のワークWが配置されているので、各ワークWに対して四方から光を照射すべく、水平方向Hに位置をずらして合計8個のレーザ光源が配置されている。同様に水平方向Hに位置をずらして、合計8個のカメラが配置されている。したがって、8個のカメラで4個一組のワークWの表面画像を一度に撮影することができる。
【0037】
図1から図3及び図9に示すように、制御ユニット80は、判定対象のワークWの読み取りデータの座標値と標準データの座標値とを比較する(S5)。さらに、制御ユニット80は、読み取りデータの座標値と標準データの座標値との差が所定値を超えているか否かを判定する(S6)。制御ユニット80は、読み取りデータの座標値と標準データの座標値との差が所定値を超えていると判断した場合(S6/YES)、所定値を超えた座標に対応するNGワーク設置場所を記憶する(S7)。その後、制御ユニット80は、ワークホルダ21に保持された全てのワークWのスキャンが完了しているか否かを判定する(S8)。制御ユニット80は、読み取りデータの座標値と標準データの座標値との差が所定値を超えていないと判断した場合も(S6/NO)、全てのワークWのスキャンが完了しているか否かを判定する(S8)。
【0038】
制御ユニット80は、全てのワークWのスキャンが完了していないと判断した場合(S8/NO)、ステップS5へ戻る。制御ユニット80は、全てのワークWのスキャンが完了していると判断した場合(S8/YES)、前半搬送機構11を停止する(S9(1))。4個一組のワークWを保持したワークホルダ21を表裏反転部40に移動し(S9(2))、当該ワークホルダ21を表裏反転機構41にラッチする(S9(3))。制御ユニット80は、ワークホルダ21を支持した反転シャフトを回転し、ワークホルダ21を180度回転させる(S9(4))。ここで、反転シャフトは、ワークホルダ21の水平方向Hの中央において、当該ワークホルダ21を支持した搬送方向Mに沿ったシャフトである。そして、ワークホルダ21を後半搬送部50に移動し、後半搬送機構51にラッチする(S9(5))。
【0039】
制御ユニット80は、操作部90の停止ボタンがオンされた場合(S10/YES)、判定動作を終了する。制御ユニット80は、操作部90の停止ボタンがオンされない限り(S10/NO)、Aへリターンする。
【0040】
次に、4個一組のワークWを保持したワークホルダ21は、後半搬送部50にラッチされる(S11)。制御ユニット80は、後半搬送機構51を駆動して、ワークホルダ21を一方から他方の搬送方向Mへ搬送する(S12)。後半搬送部50の中間部には、裏面撮像部60が配置されている。裏面撮像部60の上方には、ワークWの裏面画像を撮像する裏面撮像ユニット61が配置されている。制御ユニット80はスキャニングを開始し、裏面撮像ユニット61の8個の発光部LでワークWに光を照射すると共に、8個の撮像体CでワークWの画像を撮像する(S13)。
【0041】
本実施形態では、図6に示すように、搬送方向Mと直交する水平方向Hに2個のワークWが配置されているので、各ワークWに対して四方から光を照射すべく、水平方向Hに位置をずらして合計8個のレーザ光源が配置されている。同様に水平方向Hに位置をずらして、合計8個のカメラが配置されている。したがって、8個のカメラで4個一組のワークWの表面画像を一度に撮影することができる。
【0042】
図1から図3及び図9に示すように、制御ユニット80は、判定対象のワークWの読み取りデータの座標値と標準データの座標値とを比較する(S14)。さらに、制御ユニット80は、読み取りデータの座標値と標準データの座標値との差が所定値を超えているか否かを判定する(S15)。制御ユニット80は、読み取りデータの座標値と標準データの座標値との差が所定値を超えていると判断した場合(S15/YES)、所定値を超えた座標に対応するNGワーク設置場所を記憶する(S16)その後、制御ユニット80は、ワークホルダ21に保持された全てのワークWのスキャンが完了しているか否かを判定する(S17)。制御ユニット80は、読み取りデータの座標値と標準データの座標値との差が所定値を超えていないと判断した場合も(S15/NO)、全てのワークWのスキャンが完了しているか否かを判定する(S17)。
【0043】
図1から図3図8及び図9に示すように、制御ユニット80は、全てのワークWのスキャンが完了していないと判断した場合(S17/NO)、ステップS14へ戻る。制御ユニット80は、全てのワークWのスキャンが完了していると判断した場合(S17/YES)、後半搬送機構51を停止する(S18(1))。4個一組のワークWを保持したワークホルダ21をワーク選定部70に移動し(S18(2))、当該ワークホルダ21を選定機構71にラッチする(S18(3))。制御ユニット80は、表裏の一方でもNG記憶されたワークWが存在する場合は、NGワークのワークホルダのラッチを解き、NGボックス75へ流す(S18(4))。制御ユニット80は、表裏ともにNGが記憶されなかったワークWを残して、ワークWを次工程搬送部にラッチさせる(S18(5)。
【0044】
制御ユニット80は、操作部90の停止ボタンがオンされた場合(S10/YES)、判定動作を終了する。制御ユニット80は、操作部90の停止ボタンがオンされない限り(S10/NO)、Aへリターンし、ステップS2から判定動作を行う。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係る製品異常判定装置1は、表裏同一対称となるワーク(例えば、コンロッド)Wを判定対象としており、ワークWの外観の撮像は裏表で反転して実施している。また、ワークホルダ21に4個一組のワークWを搬送方向M及び水平方向Hに配置し、1系統のラインで流してワークWの表裏面を撮像している。さらに、ワークWの撮像は表裏反転部40の前後で行い、表面撮像ユニット31及び裏面撮像ユニット61は1基のワークホルダ21に搭載された4個一組のワークWを一度に撮影している。したがって、本実施形態に係る製品異常判定装置1によれば、表面撮像ユニット31及び裏面撮像ユニット61を移動すること無く、4個のワークWを一組として異常判定し、設定条件に満たないワークのみを取り除くことで、リードタイムの削減をすることができる。
【0046】
また、表面撮像ユニット31及び裏面撮像ユニット61の移動がないので、製造コストを低減することができる。さらに、表面撮像ユニット31及び裏面撮像ユニット61の移動という無駄な動作を省くことができ、装置のサイズダウン及び構造のシンプル化を図ることができる。
【0047】
さらに、本実施形態に係る製品異常判定装置1において、各撮像ユニット30,60は、発光部Lが複数のワークWに対して四方向からレーザ光を照射すると共に、撮像体Cが四方向から複数のワークWの画像を撮像する。この態様によれば、複数のワークWに対して四方向からレーザ光を照射することにより、陰影が形成され難い。また、四方向から複数のワークの画像を撮像することにより、撮像の死角となる部位が生じ難い。
【0048】
そして、本実施形態に係る製品異常判定装置1において、ワーク選定部70は、画像情報に基づき、一つのワークWに対して設定条件に満たない部位が一箇所でも存在すると、当該ワークWが取り除かれる。この態様によれば、一つのワークに対して設定条件に満たない部位が一箇所でも存在すると、当該ワークWが取り除かれるので、外観不良のワークを確実に取り除くことができる。
【0049】
加えて、本実施形態に係る製品異常判定装置1において、ワークWは、表裏面の形状が同一対称の形状を有する。この態様によれば、ワークWの表裏面の形状が同一対称であれば、画像情報の比較が容易となる。
【0050】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0051】
上記実施形態において、ワーク搭載部20に搬送方向Mに沿って2個のワークWを搭載すると共に、搬送方向Mと直交する水平方向Hに沿って2個のワークWを搭載し、4個で一組のワークWを構成している。搬送方向M及び水平方向Hに沿って2個ずつのワークWは例示であって、ワークWの数は限定されない。ワーク搭載部20に、例えば、搬送方向M及び水平方向Hに沿って3個ずつのワークWを搭載し、6個のワークWを一組として搬送してもよい。この場合には、各撮像ユニット31、61に12個の発光部Lと撮像体Cを備えることが好ましい。
【符号の説明】
【0052】
1…製品異常判定装置
10…前半搬送部
20…ワーク搭載部
31…撮像ユニット(表面撮像ユニット)
40…表裏反転部
50…後半搬送部
61…撮像ユニット(裏面撮像ユニット)
70…ワーク選定部
80…制御ユニット
W…ワーク
M…搬送方向
H…水平方向
L…発光部
C…撮像体

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9