(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】収納ホルダ
(51)【国際特許分類】
B60N 3/10 20060101AFI20221012BHJP
B60R 7/04 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
B60N3/10 A
B60R7/04 C
(21)【出願番号】P 2018184680
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2020-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 将也
(72)【発明者】
【氏名】谷川 達也
(72)【発明者】
【氏名】西村 直人
(72)【発明者】
【氏名】小玉 易広
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-113068(JP,A)
【文献】特開2014-193682(JP,A)
【文献】特開2011-218913(JP,A)
【文献】特開2015-209008(JP,A)
【文献】特開2012-006477(JP,A)
【文献】特開2011-255699(JP,A)
【文献】特開2000-052838(JP,A)
【文献】国際公開第2015/182464(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/10
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納空間を形成する周壁部と、前記収納空間の下端を閉じる底壁部と、前記収納空間に通じるロア開口部が設けられた上壁部と、を有するロア部材と、
前記ロア部材の上方に配置される、前記収納空間に通じるアッパ開口部が設けられた板壁部を有するアッパ部材と、
を備える収納ホルダであって、
前記ロア部材は、前記上壁部の上面における前記ロア開口部の周縁の外側に該周縁に沿って形成された、前記ロア開口部の周縁と前記アッパ部材の前記アッパ開口部の周縁との隙間から進入する液体を溜める第一貯留部を有
し、
前記周壁部は、前記収納空間に開口する周壁開口部を有し、
前記収納ホルダは、
前記周壁開口部から前記収納空間内に向けて突出する突出量を変更可能に進退するフラップと、
前記収納空間の外側で前記周壁開口部の下端よりも下方に底面が設けられた、前記収納空間の内側から前記周壁開口部を介して前記収納空間の外側へ進入する液体を溜める第二貯留部を有する底側カバー部材と、
を備える、収納ホルダ。
【請求項2】
収納空間を形成する周壁部と、前記収納空間の下端を閉じる底壁部と、前記収納空間に通じるロア開口部が設けられた上壁部と、を有するロア部材と、
前記ロア部材の上方に配置される、前記収納空間に通じるアッパ開口部が設けられた板壁部を有するアッパ部材と、
を備える収納ホルダであって、
前記ロア部材は、前記上壁部の上面における前記ロア開口部の周縁の外側に該周縁に沿って形成された、前記ロア開口部の周縁と前記アッパ部材の前記アッパ開口部の周縁との隙間から進入する液体を溜める第一貯留部を有し、
前記第一貯留部は、前記ロア開口部の周縁の複数箇所に又は前記ロア開口部の周縁全周に亘って途切れることなく設けられ
、
前記周壁部は、前記収納空間に開口する周壁開口部を有し、
前記収納ホルダは、
前記周壁開口部から前記収納空間内に向けて突出する突出量を変更可能に進退するフラップと、
前記収納空間の外側で前記周壁開口部の下端よりも下方に底面が設けられた、前記収納空間の内側から前記周壁開口部を介して前記収納空間の外側へ進入する液体を溜める第二貯留部を有する底側カバー部材と、
を備える、収納ホルダ。
【請求項3】
前記第一貯留部は、前記上壁部の上面に含まれる底面部と、前記上壁部の上面から上方に面状に広がって前記底面部を取り囲む側面部と、を有する、請求項1又は2に記載の収納ホルダ。
【請求項4】
収納空間を形成する周壁部と、前記収納空間の下端を閉じる底壁部と、前記収納空間に通じるロア開口部が設けられた上壁部と、を有するロア部材と、
前記ロア部材の上方に配置される、前記収納空間に通じるアッパ開口部が設けられた板壁部を有するアッパ部材と、
を備える収納ホルダであって、
前記ロア部材は、前記上壁部の上面における前記ロア開口部の周縁の外側に該周縁に沿って形成された、前記ロア開口部の周縁と前記アッパ部材の前記アッパ開口部の周縁との隙間から進入する液体を溜める第一貯留部を有し、
前記第一貯留部は、前記上壁部の上面に含まれる底面部と、前記上壁部の上面から上方に面状に広がって前記底面部を取り囲む側面部と、を有し、
前記側面部は、前記ロア開口部の周縁をなす壁部の側面を一部に含
み、
前記周壁部は、前記収納空間に開口する周壁開口部を有し、
前記収納ホルダは、
前記周壁開口部から前記収納空間内に向けて突出する突出量を変更可能に進退するフラップと、
前記収納空間の外側で前記周壁開口部の下端よりも下方に底面が設けられた、前記収納空間の内側から前記周壁開口部を介して前記収納空間の外側へ進入する液体を溜める第二貯留部を有する底側カバー部材と、
を備える、収納ホルダ。
【請求項5】
前記底側カバー部材は、前記ロア部材とは別体で設けられている、請求項1乃至4の何れか一項に記載の収納ホルダ。
【請求項6】
前記第二貯留部の底面は、前記第一貯留部よりも下方に位置している、請求項1乃至5の何れか一項に記載の収納ホルダ。
【請求項7】
前記収納ホルダは、前記ロア部材と前記アッパ部材との間に取り付けられる取付部材を備える、請求項1乃至
6の何れか一項に記載の収納ホルダ。
【請求項8】
前記取付部材は、前記ロア部材及び前記アッパ部材に対してスライド移動して前記収納ホルダの幅を可変させるための部材である、請求項7に記載の収納ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばペットボトルや缶などを収納する収納ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のセンタコンソールなどに搭載される収納ホルダが知られている(例えば、特許文献1)。この収納ホルダは、ペットボトルなどの飲料容器を収納物として収納保持可能な収納空間を備えている。収納空間は、周壁部により柱状に形成されつつ、下端が底壁部により閉じられた状態に形成される。収納空間の上部は、開口している。収納ホルダは、周壁部、底壁部、及び上壁部を有するホルダ本体と、ホルダ本体の上方に配置される上壁部に対面する板壁部を有するパネル部材と、を備えている。ホルダ本体及びパネル部材はそれぞれ、収納空間に通じる開口部を有している。パネル部材は、ホルダ本体の開口部の周縁を覆うように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホルダ本体の開口部の周縁とパネル部材の開口部の周縁との間には、隙間が生じる。収納ホルダに保持された飲料容器から液体がこぼれると、その液体が、その隙間を介してホルダ本体側に進入する。ホルダ本体側に進入した液体が、そのまま収納ホルダの外側に漏れると、収納ホルダの下方が汚れると共に掃除が困難となり、また、収納ホルダの下方に電子製品が配置されている場合はその電子部品が故障するおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、二つの部材により形成される収納空間に通じる開口部の周縁同士の隙間を介して収納空間の内側から外側に進入した液体がホルダ外部に漏れるのを抑制することが可能な収納ホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、収納空間を形成する周壁部と、前記収納空間の下端を閉じる底壁部と、前記収納空間に通じるロア開口部が設けられた上壁部と、を有するロア部材と、前記ロア部材の上方に配置される、前記収納空間に通じるアッパ開口部が設けられた板壁部を有するアッパ部材と、を備える収納ホルダであって、前記ロア部材は、前記上壁部の上面における前記ロア開口部の周縁の外側に該周縁に沿って形成された、前記ロア開口部の周縁と前記アッパ部材の前記アッパ開口部の周縁との隙間から進入する液体を溜める第一貯留部を有する、収納ホルダである。
【0007】
この構成によれば、ロア部材の上壁部上面のロア開口部の周縁外側に第一貯留部がその周縁に沿って設けられている。この第一貯留部は、ロア開口部の周縁とアッパ部材のアッパ開口部の周縁との隙間から進入する液体を溜めることが可能である。従って、その隙間を介して収納空間の内側から外側へ進入した液体が収納ホルダから外部に漏れるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る収納ホルダが装着されるセンタコンソールの斜視図である。
【
図5】実施形態の収納ホルダから底側カバー部材を分割した状態での下方からの斜視図である。
【
図6】実施形態の収納ホルダを
図2に示す直線VI-VIで切断した断面図である。
【
図7】実施形態の収納ホルダが備える貯留部が設けられる部位を表した図である。
【
図8】実施形態の収納ホルダが備えるフラップ及びそのフラップ周囲の断面図である。
【
図9】実施形態の収納ホルダが備えるアッパ部材の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を用いて、本発明に係る収納ホルダの具体的な実施形態について説明する。
【0010】
第一実施形態の収納ホルダ1は、主にペットボトルや缶,水筒などの飲料容器を保持するカップホルダである。尚、収納ホルダ1は、更に、スマートフォンや携帯電話などを保持することが可能であってもよい。収納ホルダ1は、
図1に示す如く、車両室内のセンタコンソール2に着脱可能に装着される。尚、収納ホルダ1は、センタコンソール2以外の対象に装着される保持装置であってもよい。収納ホルダ1は、
図2、
図3、
図4、
図5、及び
図6に示す如く、ロア部材10と、サポート機構20と、アッパ部材30と、スライド部材40と、底側カバー部材50と、を備えている。
【0011】
ロア部材10は、収納物を保持するホルダ本体である。ロア部材10は、有底円筒状に形成されている。ロア部材10は、二つの収納空間11を有している。各収納空間11は、飲料容器を一本ずつ収納することが可能である。各収納空間11は、略円柱状に形成されている。尚、収納空間11は、開口部側の面積が大きくかつ底壁部側の面積が小さくなるように断面が台形状に形成されていてよい。二つの収納空間11は、連結溝部12を介して互いに側方側で接続されている。
【0012】
ロア部材10は、上壁部13を有している。上壁部13は、薄板の略水平に広がるフランジ状のパネル部である。上壁部13は、略四角形状に形成されている。上壁部13は、互いに平行に直線状に延びる長辺側の二辺と、僅かに湾曲して延びる短辺側の二辺と、を有している。上壁部13の上面には、アッパ部材30との組付、後述のフラップ21やスライド部材40の支持、ロア部材10の剛性確保などのために必要なリブなどが形成されている。上壁部13の上面の外縁には、上方に延びる壁部13aが設けられている。
【0013】
上壁部13には、二つの収納空間11に対応して二つのロア開口部14が設けられている。二つのロア開口部14は、上壁部13の長辺に沿って並んで配置されている。各ロア開口部14は、円形に形成されている。ロア開口部14は、収納空間11の上部に通じ、収納空間11の上端において開口している。ロア開口部14の直径は、例えば100mmなどである。上壁部13の上面のロア開口部14周縁には、上方に延びる壁部13bが設けられている。
【0014】
ロア部材10は、
図6及び
図7に示す如く、上壁部13の上面に形成された貯留部15を有している。貯留部15は、その上壁部13の上面におけるロア開口部14の周縁外側にその周縁に沿って形成されている。貯留部15は、ロア開口部14の周縁とアッパ部材30の後述するアッパ開口部の周縁との隙間S1から進入する液体を溜めることが可能である。貯留部15は、底面部15aと、側面部15bと、を有している。貯留部15は、底面部15a及び側面部15bにより囲まれる溝状空間である。
【0015】
底面部15aは、上壁部13の上面に含まれており、その上面の一部である。側面部15bは、上壁部13の上面から上方に突出する立壁部の側面である。側面部15bは、上壁部13の上面から上方に面状に広がっており、底面部15aを取り囲んでいる。尚、側面部15bは、壁部13a,13bに形成される側面を含んでもよい。貯留部15は、
図7に破線で囲まれた領域内に示す如く、ロア開口部14の周縁外側の複数箇所に設けられている。尚、貯留部15は、ロア開口部14の周縁全周に亘って途切れることなく一周するように樋状に設けられていてもよい。
【0016】
ロア部材10は、周壁部16と、底壁部17と、を有している。周壁部16及び底壁部17は、収納空間11ごとに設けられている。周壁部16は、円筒状に形成されている。周壁部16は、上壁部13の下面におけるロア開口部14の周縁から下方に延びている。周壁部16は、収納空間11を囲う側壁であって、上端でロア開口部14を形成している。底壁部17は、円形に形成されている。底壁部17は、周壁部16の下端に接続されて一体化されており、収納空間11の下端を閉じている。底壁部17は、水平に広がっており、収納物の底部に当接されてその収納物を支持することが可能である。各収納空間11は、連結溝部12との接続部位を除いて周壁部16により囲まれつつ底壁部17により閉じられて形成されている。収納空間11の高さ(具体的には、底壁部17からロア開口部14までの高さ)は、例えば100mmである。
【0017】
周壁部16は、周壁開口部18を有している。周壁開口部18は、収納空間11に開口している。周壁開口部18は、一つの収納空間11当たり、二箇所設けられている。すなわち、ロア部材10は、二つの収納空間11に対して合計四箇所の周壁開口部18を有している。各周壁開口部18は、周壁部16におけるロア部材10の中央寄りに設けられている。周壁開口部18は、ロア部材10の上端(すなわち上壁部13)から下方に延びており、長方形状に形成されている。周壁開口部18は、ロア部材10の上方に開口している。尚、一つの収納空間11当たり二箇所の周壁開口部18は、周壁部16の相対する周方向二箇所に設けられてもよい。
【0018】
サポート機構20は、収納空間11に収納された収納物の保持を補助する機構である。サポート機構20は、ロア部材10の周壁部16の周壁開口部18それぞれに対応して設けられている。各サポート機構20は、フラップ21と、サポートスプリング22と、を有している。
【0019】
フラップ21は、ロア部材10内に組み込まれる。フラップ21は、ロア部材10の周壁開口部18に配設されている。フラップ21は、収納空間11に収納される収納物の径に合わせて進退するサポート部材である。フラップ21は、収納空間11の内外方向に進退することが可能である。すなわち、フラップ21は、周壁開口部18から収納空間11内に向けて突出する突出量が変更されるように進退可能である。フラップ21は、
図8に示す如く、周方向に向けて所定幅を有しており、周方向から見て上下中央部が上部及び下部に比べて収納空間11の内側に突出するように弧状に湾曲した形状に形成されている。フラップ21は、上下中央部で収納物の側面に当接してその収納物を支持する。
【0020】
フラップ21の両側側面にはそれぞれ、軸孔23が設けられている。軸孔23は、フラップ21の側面の上部に設けられている。ロア部材10は、フラップ21の軸孔23に挿通される軸部19を有している。軸部19は、ロア部材10における周壁開口部18よりも収納空間11の外側に位置する壁部に設けられている。軸部19は、水平方向かつ略周方向に直線状に延びている。フラップ21は、軸孔23にロア部材10の軸部19が挿通されるようにロア部材10に取り付けられている。フラップ21は、ロア部材10に軸部19を中心にして揺動可能に支持されている。フラップ21は、軸部19を中心にして上部側に対して下部側が回動して揺動することにより収納空間11の内外方向に進退する。
【0021】
フラップ21は、上下中央部が周壁部16から最も収納空間11の内側まで突出する所定突出位置と、上下中央部が周壁部16に面一になる所定格納位置と、の間で揺動することが可能である。フラップ21の所定突出位置と所定格納位置との間の揺動角度は、例えば30°である。
【0022】
ロア部材10とフラップ21との間には、サポートスプリング22が介在している。サポートスプリング22は、周方向にスプリング力を発生する付勢部材である。サポートスプリング22は、ロア部材10の軸部19を囲むように配置されている。サポートスプリング22の一端は、ロア部材10に支持され固定されている。サポートスプリング22の他端は、フラップ21に支持され固定されている。サポートスプリング22は、フラップ21を上記の所定突出位置に向けて揺動させる付勢力を発生する。フラップ21は、常態では、サポートスプリング22の付勢力により上下中央部を最も収納空間11の内側に向けて突出させた所定突出位置にある。尚、フラップ21は、所定突出位置を超えて揺動することがないように規制部材(図示せず)により規制されていてよい。
【0023】
アッパ部材30は、収納ホルダ1の上面として表出するパネル部材である。アッパ部材30は、ロア部材10内へのフラップ21の組付容易化やその組付後にフラップ21の支持部位を隠すこと等のためにロア部材10とは別体で設けられている。アッパ部材30は、ロア部材10の上方に配置されている。アッパ部材30は、ロア部材10の上壁部13に対面する板壁部31を有している。板壁部31は、薄板の略水平に広がるパネル部である。板壁部31は、ロア部材10の上壁部13の形状に合わせて略四角形状に形成されている。板壁部31は、互いに平行に直線状に延びる長辺側の二辺と、僅かに湾曲して延びる短辺側の二辺と、を有している。
【0024】
板壁部31の下面(裏面)には、ロア部材10との組付、フラップ21やスライド部材40の支持、アッパ部材30の剛性確保などのために必要なリブなどが形成されている。板壁部31の下面の外縁には、
図6に示す如く、下方に延びる壁部31aが設けられている。壁部31aは、アッパ部材30とロア部材10との組付後にロア部材10の上壁部13の外縁の壁部13aを外側から覆うように形成されている。
【0025】
板壁部31には、二つの収納空間11に対応して二つのアッパ開口部32が設けられている。各アッパ開口部32は、円形に形成されている。アッパ開口部32は、ロア開口部14及び収納空間11の上部に通じ、収納空間11の上部に開口している。アッパ開口部32の直径は、ロア開口部14の直径に合わせて例えば100mmなどである。板壁部31の下面のアッパ開口部32周縁には、下方に延びる壁部31bが設けられている。
【0026】
壁部31bは、アッパ部材30とロア部材10との組付後にロア部材10の上壁部13のロア開口部14周縁の壁部13bと上下方向で対向する。また、壁部31bは、アッパ部材30とロア部材10との組付後にロア部材10の上壁部13のロア開口部14周縁の壁部13bと収納空間11側で面一になるように形成されている。更に、壁部31bの一部は、アッパ部材30とロア部材10との組付後、ロア部材10の周壁部16に設けられた周壁開口部18の上端を閉じる。これにより、壁部31bにおける周壁開口部18の上端を閉じる部位は、その組付後、周壁開口部18に臨み、隙間S2を介してフラップ21に対向する。
【0027】
壁部31bの下端には、
図9に示す如く、玉縁33が設けられている。すなわち、アッパ部材30は、壁部31bの下端に設けられた玉縁33を有している。玉縁33は、断面円弧状或いは断面半円状に形成されている。玉縁33は、壁部31bに沿って線状に延びている。玉縁33は、可動型に掘り込まれた凹形状により、アッパ部材30の成形時にパーティングライン(PL)よりも下方に形成される。尚、玉縁33は、壁部31bの全周のうち少なくともその壁部31bにおける周壁開口部18の上端を閉じる部位の下端に形成されていればよい。
【0028】
アッパ部材30は、フラップ21が組み込まれたロア部材10の上方からロア部材10に組み付けられてそのロア部材10に取り付けられる。ロア部材10とアッパ部材30との組付は、アッパ開口部32がロア開口部14及び収納空間11に通じかつ対向部位の係合部同士が係合された状態でスクリュ60により互いに締結されることにより実現される。ロア部材10とアッパ部材30との組付後、アッパ部材30の玉縁33とサポート機構20のフラップ21との間の離間距離は、人の指が入るのを規制できる所定距離(例えば1mm)以下である。尚、この所定距離は、0.5mm-1.5mmに設定されていてよい。また、この所定距離は、フラップ21の所定突出位置(常態位置)での距離であればよく、フラップ21が所定格納位置側に揺動した際は、玉縁33とフラップ21とがこの所定距離を超えて離間することとしてよい。
【0029】
ロア部材10とアッパ部材30との間には、スライド部材40が取り付けられている。スライド部材40は、人の押圧操作によりロア部材10及びアッパ部材30に対してスライド移動することにより収納ホルダ1の幅を可変させるための部材である。スライド部材40は、長手方向に延びた形状に形成されている。ロア部材10の上壁部13の二つの長辺それぞれの壁部13aには、側方に開口する溝状の側面開口部13cが設けられている。
【0030】
上記のスライド部材40は、各側面開口部13cに配設されている。スライド部材40は、側面開口部13cから外方に突出するように配設されている。ロア部材10の上壁部13とアッパ部材30の板壁部31との間には、スライド部材40が水平方向にスライド移動可能な空間が形成されている。スライド部材40は、その空間に配置されており、側面開口部13cの内外方向に進退することが可能である。スライド部材40は、ロア部材10にアッパ部材30が組み付けられた後にロア部材10とアッパ部材30との間の空間に挿入配置される。
【0031】
スライド部材40とロア部材10の上方に延びる壁部(例えば壁部13bなど)との間には、スライドスプリング41が介在している。スライドスプリング41は、軸方向にスプリング力を発生する付勢部材である。スライドスプリング41の一端は、スライド部材40に支持され固定されている。スライドスプリング41の他端は、ロア部材10に支持され固定されている。スライドスプリング41は、スライド部材40を側面開口部13cの外方に向けてスライド移動させる付勢力を発生する。
【0032】
スライド部材40は、常態では、スライドスプリング41の付勢力により最も側面開口部13cの外方に向けて突出させた位置にある。この際、収納ホルダ1の幅は、最大幅である。スライド部材40の上面には、操作部43が設けられている。操作部43は、人がスライドスプリング41の付勢力に抗して収納ホルダ1の幅を縮小させる押圧操作を行うためのつまみ部位である。
【0033】
上記の常態から人がスライドスプリング41の付勢力に抗して操作部43に対して上記の押圧操作を行うと、スライド部材40が側面開口部13cの内方に押圧されることで、収納ホルダ1の幅が短くなる。これにより、収納ホルダ1は、センタコンソール2に設けられたレールに沿って移動させ或いはセンタコンソール2から取り外すことが可能である。その後、人が操作部43に対する上記の押圧操作を解除すると、スライドスプリング41の付勢力によりスライド部材40が側面開口部13cの外方に押圧されることで、収納ホルダ1の幅が最大まで戻る。これにより、収納ホルダ1は、センタコンソール2に再び装着されることが可能である。
【0034】
スライド部材40とロア部材10及びアッパ部材30との間には、フェルトなどの不織布42が設けられている。不織布42は、スライド部材40に貼り付けられている。不織布42は、スライド部材40がセンタコンソール2内で移動する際にそのセンタコンソール2との間で異音や擦れが発生するのを抑える機能を有している。尚、収納ホルダ1の両側二つのスライド部材40のうち一方は、側面開口部13cの内外に向けてスライド移動することが規制されるようにロア部材10及びアッパ部材30に固定されていてもよい。
【0035】
底側カバー部材50は、ロア部材10の下方側からそのロア部材10に取り付けられるカバー部材である。底側カバー部材50は、スクリュ51を用いてロア部材10に取り付けられる。底側カバー部材50は、ロア部材10の二つの周壁部16の間の裏面形状に沿う形状を有している。具体的には、底側カバー部材50は、ロア部材10の二つの周壁部16のすべて(四箇所)の周壁開口部18を下方から塞ぐように椀状に形成されている。
【0036】
底側カバー部材50は、収納空間11の内側から周壁開口部18を介して収納空間11の外側へ進入する液体を溜める貯留部52を有している。貯留部52は、底面部52aと、側面部52bと、を有している。貯留部52は、底面部52aと側面部52bとにより囲まれる溝状空間である。底面部52aは、収納空間11の外側で周壁開口部18の下端よりも下方に設けられている。側面部52bは、底面部52aから上方に面状に広がっており、底面部52aを取り囲んでいる。
【0037】
次に、収納ホルダ1の動作について説明する。
【0038】
収納ホルダ1は、ペットボトルや缶などの円柱状の飲料容器を収納空間11に収納保持することが可能である。保持対象の飲料容器は、例えば、直径が40mm-100mmの範囲にありかつ高さが100mm-250mmの範囲にある容器である。収納ホルダ1は、収納空間11に何も収納されていない常態では、フラップ21をその上下中央部が最も収納空間11の内側まで突出した所定突出位置にある。
【0039】
車両乗員などは、収納ホルダ1に保持対象の飲料容器を保持させるときは、その飲料容器を収納空間11に挿入する。上記の常態から保持対象の飲料容器が収納空間11に挿入されると、その飲料容器の底部で、収納空間11の内側に突出する二つのフラップ21の上下中央部が下方に押圧されることで、両フラップ21がサポートスプリング22の付勢力に抗して軸部19を中心にして所定格納位置側へ揺動する。
【0040】
上記の揺動は、飲料容器の直径に応じた角度まで進行する。そして、フラップ21の上下中央部が飲料容器の側面に沿って摺接し始めた後は、そのフラップ21の揺動角度はほぼ維持される。その後、飲料容器の底部が収納ホルダ1の底壁部17に当接すると、それらのフラップ21が周壁部16との間でその飲料容器を径方向に挟持しつつ、底壁部17がその飲料容器を支持するので、その飲料容器が収納ホルダ1に保持される。
【0041】
飲料容器が収納ホルダ1に保持された状態では、その収納ホルダ1の二つのフラップ21は共に、その飲料容器の直径に応じた揺動位置にある。例えば、直径の比較的小さな飲料容器では、各フラップ21が所定突出位置に近い揺動位置に位置する。また、直径の比較的大きな飲料容器では、各フラップ21が所定格納位置に近い揺動位置に位置する。このため、サポート機構20の構造によれば、保持される飲料容器の直径に応じてフラップ21の揺動位置を所定突出位置と所定格納位置との間で変えることができるので、直径の異なる複数種類の飲料容器をそれぞれ適切に対応させて収納空間11に保持することができる。
【0042】
また、車両乗員などは、収納ホルダ1の収納空間11に保持された飲料容器をその収納ホルダ1から引き出すときは、その飲料容器の上部を掴んで収納空間11から上方へ引き抜く。かかる引き抜きが行われると、まず、フラップ21の揺動角度がほぼ維持された状態でそのフラップ21の上下中央部が飲料容器の側面に沿って摺接する。その後、その摺接が解消されるまで飲料容器が引き抜かれると、フラップ21がサポートスプリング22の付勢力により所定突出位置まで揺動する。
【0043】
上記の収納ホルダ1の構造においては、ロア部材10が、上壁部13の上面に形成された貯留部15を有している。この貯留部15は、ロア開口部14の周縁外側にその周縁に沿って形成されており、そのロア開口部14の周縁とアッパ部材30のアッパ開口部32の周縁との隙間S1から進入する液体を溜めることが可能である。従って、ロア部材10のロア開口部14の周縁とアッパ部材30のアッパ開口部32の周縁との間の隙間S1を介して収納空間11の内側から外側へ進入した液体を溜めることができるので、その隙間S1を介して収納空間11の内側から外側へ進入した液体が収納ホルダ1から外部に漏れるのを抑制することができる。
【0044】
また、収納ホルダ1の構造においては、底側カバー部材50が、揺動可能なフラップ21が配設された周壁開口部18が設けられたロア部材10の下方側からそのロア部材10に取り付けられている。この底側カバー部材50は、ロア部材10の二つの周壁部16のすべて(四箇所)の周壁開口部18を下方から塞ぐように椀状に形成されており、収納空間11の内側から周壁開口部18を介して収納空間11の外側へ進入する液体を溜めることが可能である。従って、フラップ21が配設された周壁開口部18を介して収納空間11の内側から外側へ進入した液体を溜めることができるので、その収納空間11の内側から外側に進入した液体が収納ホルダ1から外部に漏れるのを抑制することができる。
【0045】
このため、収納ホルダ1に保持された飲料容器から液体がこぼれた場合にも、その液体が収納ホルダ1の下方のコンソールや電子製品などに落ちてそのコンソールなどが汚れ或いは電子部品が故障するのを抑えることができる。
【0046】
更に、収納ホルダ1の構造においては、アッパ部材30が、板壁部31のアッパ開口部32の周縁の壁部31bの下端に設けられた断面円弧状もしくは断面半円状の玉縁33を有している。ロア部材10とアッパ部材30との組付後、玉縁33とフラップ21との間の離間距離は、人の指が入るのを規制できる所定距離(例えば1mm)以下に設定されている。従って、ロア部材10の周壁開口部18におけるアッパ部材30とフラップ21との隙間S2を小さく抑えることができる。このため、アッパ部材30とフラップ21との間に人の指が進入するのを抑えることができると共に、収納空間11の内側から周壁開口部18を介して収納空間11の外側が見え易い状態を解消させることができ、また、フラップ21が収納空間11の内側へ撓んだ際に玉縁33に当接することでその撓みが過大になるのを抑えることができる。
【0047】
ところで、上記の実施形態においては、貯留部15が特許請求の範囲に記載した「第一貯留部」に、貯留部52が特許請求の範囲に記載した「第二貯留部」に、フラップ21やスライド部材40が特許請求の範囲に記載した「取付部材」に、それぞれ相当している。
【0048】
尚、上記の実施形態においては、ロア部材10とアッパ部材30との間に取り付けられる部材として、収納空間11に収納される収納物の径に合わせて進退するフラップ21や、収納ホルダ1の幅を可変させるためのスライド部材40を用いることとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。ロア部材10とアッパ部材30との間に取り付けられる部材として、他の用途の部材を用いるものに適用することとしてもよい。
【0049】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1:収納ホルダ、10:ロア部材、11:収納空間、13:上壁部、14:ロア開口部、15,52:貯留部、15a,52a:底面部、15b,52b:側面部、16:周壁部、17:底壁部、18:周壁開口部、20:サポート機構、21:フラップ、22:サポートスプリング、30:アッパ部材、31:板壁部、32:アッパ開口部、40:スライド部材、41:スライドスプリング、50:底側カバー部材。