(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】画像処理装置、制御方法、プログラムおよび画像処理システム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20221012BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20221012BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20221012BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
H04N1/00 127B
H04N1/00 350
H04N1/00 127A
B41J29/38 401
G06F3/12 305
G06F3/12 331
G06F3/12 392
G06F3/12 336
G03G21/00 386
(21)【出願番号】P 2018198986
(22)【出願日】2018-10-23
【審査請求日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】P 2017209679
(32)【優先日】2017-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】奥野 哲也
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-251623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
G03G 21/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザインタフェースと、
携帯端末と無線通信する無線通信部と、
制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記携帯端末と前記無線通信部との間で無線通信が確立されたことを条件として、
前記携帯端末に第1テキスト入力画面を表示させるためのUI情報を前記無線通信部から前記携帯端末に送信するUI情報送信処理と、
前記第1テキスト入力画面に入力されるテキスト候補を取得するためのアドレスを前記無線通信部から前記携帯端末に送信するアドレス送信処理と
を実行する、画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記制御部は、ユーザインタフェースに第2テキスト入力画面を表示させる、画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像処理装置であって、
前記制御部は
、アドオンプログラムの起動指示を前記ユーザインタフェースで受け付けていない場合、前記UI情報送信処理および前記アドレス送信処理を実行しない、画像処理装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
サーバと通信するサーバ通信部をさらに備え、
前記制御部は、
アドオンプログラムの起動指示を前記ユーザインタフェースで受け付けたことを条件として、前記サーバから前記アドオンプログラムの実行に必要な情報を前記サーバ通信部で受信するアドオンプログラム情報受信処理と、
前記UI情報送信処理と、
前記アドレス送信処理と
を実行する、画像処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理装置であって、
記憶部をさらに備え、
前記制御部は、
前記アドオンプログラムの起動指示を前記ユーザインタフェースで受け付けたことを条件として、前記サーバから送信される前記アドレスを前記サーバ通信部で受信して、当該アドレスを前記記憶部に記憶させるアドレス記憶処理と、
前記アドオンプログラムが終了したことを条件として、前記記憶部に記憶されている前記アドレスを削除するアドレス削除処理と
をさらに実行する、画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理装置であって、
前記無線通信部は、前記携帯端末との距離が所定距離範囲内となったときに、前記携帯端末との間で近距離無線通信を確立する近距離無線通信部と、前記携帯端末との間で前記近距離無線通信よりも通信距離の長い遠距離通信が可能な遠距離無線通信部とを含み、
前記記憶部は、前記UI情報を記憶し、
前記制御部は、
前記携帯端末と前記近距離無線通信部との間での前記近距離無線通信が確立されたこと
を条件として、前記記憶部に記憶されている前記UI情報のURLを前記近距離無線通信部から前記携帯端末に送信する近距離無線送信処理を実行し、
前記携帯端末から前記遠距離無線通信部を経由して前記UI情報のURLにアクセスがあったことを条件として、前記UI情報送信処理において、前記記憶部に記憶されている前記UI情報を前記遠距離無線通信部から前記携帯端末に送信する、画像処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像処理装置であって、
前記制御部は、
前記アドオンプログラムの起動指示を前記ユーザインタフェースで受け付けた場合に、前記携帯端末から前記遠距離無線通信部を経由して前記UI情報のURLにアクセスがあったことを条件として、前記アドレス送信処理において、前記記憶部に記憶されている前記アドレスを前記遠距離無線通信部から前記携帯端末に送信し、
前記アドオンプログラムの起動指示を前記ユーザインタフェースで受け付けていない場合には、前記携帯端末から前記遠距離無線通信部を経由して前記UI情報のURLにアクセスがあった場合であっても、前記アドレス送信処理を実行しない、画像処理装置。
【請求項8】
請求項5に記載の画像処理装置であって、
前記無線通信部は、前記携帯端末との距離が所定距離範囲内となったときに、前記携帯端末との間で近距離無線通信を確立する近距離無線通信部を含み、
前記記憶部は、前記UI情報を記憶し、
前記制御部は、
前記携帯端末と前記近距離無線通信部との間での近距離無線通信が確立されたことを条件として、前記記憶部に記憶されている前記UI情報を前記近距離無線通信部から前記携帯端末に送信する近距離無線送信処理を実行する、画像処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像処理装置であって、
前記制御部は、前記アドオンプログラムの起動指示を前記ユーザインタフェースで受け付けた場合に
、前記携帯端末と前記近距離無線通信部との間での近距離無線通信が確立されたことを条件として、前記アドレス送信処理において、前記記憶部に記憶されている前記アドレスを前記近距離無線通信部から前記携帯端末に送信し、
前記アドオンプログラムの起動指示を前記ユーザインタフェースで受け付けていない場合には、前記携帯端末と前記近距離無線通信部との間での近距離無線通信が確立された場合であっても、前記アドレス送信処理
を実行しない、画像処理装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の画像処理装置であって、
前記制御部は、前記携帯端末と前記近距離無線通信部との間での近距離無線通信が確立され、かつ前記携帯端末から前記携帯端末
におけるテキスト入力
について確定された内容
を前記近距離無線通信部で受信したことを条件として、当該テキスト入力の内容を前記アドオンプログラムの実行の際に使用することを確定する確定処理を実行する、画像処理装置。
【請求項11】
請求項6~10のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記制御部は、前記アドオンプログラムの実行に必要な情報から前記UI情報を生成して前記記憶部に記憶させる、画像処理装置。
【請求項12】
請求項4~9のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記制御部は、前記携帯端末から前記携帯端末
におけるテキスト入力
について確定された内容
を前記無線通信部で受信したことを条件として、当該テキスト入力の内容を前記アドオンプログラムの実行の際に使用することを確定する確定処理を実行する、画像処理装置。
【請求項13】
請求項10または12に記載の画像処理装置であって、
前記制御部は、前記確定処理後、前記アドオンプログラム情報受信処理で受信した情報に基づいて、前記アドオンプログラムを実行するアドオンプログラム実行処理を実行する、画像処理装置。
【請求項14】
ユーザインタフェースと、
携帯端末と無線通信する無線通信部とを備える画像処理装置で実行される制御方法であって、
前記携帯端末と前記無線通信部との間で無線通信が確立されたことを条件として、
前記携帯端末に第1テキスト入力画面を表示させるためのUI情報を前記無線通信部から前記携帯端末に送信するUI情報送信ステップと、
前記第1テキスト入力画面に入力されるテキストの候補を取得するためのアドレスを前記無線通信部から前記携帯端末に送信するアドレス送信ステップと
を含む、制御方法。
【請求項15】
ユーザインタフェースと、
携帯端末と無線通信する無線通信部と
を備える画像処理装置のコンピュータにインストールされるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記携帯端末と前記無線通信部との間で無線通信が確立されたことを条件として、
前記携帯端末に第1テキスト入力画面を表示させるためのUI情報を前記無線通信部から前記携帯端末に送信するUI情報送信処理と、
前記第1テキスト入力画面に入力されるテキストの候補を取得するためのアドレスを前記無線通信部から前記携帯端末に送信するアドレス送信処理と
を実行させる、プログラム。
【請求項16】
画像処理装置、携帯端末およびサーバを含む画像処理システムであって、
前記画像処理装置は、
ユーザインタフェースと、
携帯端末と無線通信する無線通信部と、
サーバと通信するサーバ通信部と
制御部と、を備え、
前記制御部は、
アドオンプログラムの起動指示を前記ユーザインタフェースで受け付けたことを条件として、前記サーバから前記アドオンプログラムの実行に必要な情報を前記サーバ通信部で受信するアドオンプログラム情報受信処理と、
前記アドオンプログラム情報受信処理後に、前記携帯端末と前記無線通信部との間で無線通信が確立されたことを条件として、
前記携帯端末に第1テキスト入力画面を表示させるためのUI情報を前記無線通信部から前記携帯端末に送信するUI情報送信処理と、
前記第1テキスト入力画面に入力されるテキスト入力の候補を取得するためのアドレスを前記無線通信部から前記携帯端末に送信するアドレス送信処理と
を実行する、画像処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを使用する処理を実行する画像処理装置、画像処理装置で実行される制御方法、画像処理装置のコンピュータにインストールされるプログラム、および、画像処理装置を含む画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置の一例として、プリント機能、スキャン機能およびファックス機能などの複数の機能を有するMFP(Multi-FunctionPeripheral)が知られている。プリント機
能は、プリント用紙などのシートに画像データに係る画像を印刷する機能である。スキャン機能は、画像を読み取って画像データを生成する機能である。ファックス機能は、画像データを公衆電話回線を介して送受信する機能である。
【0003】
MFPは、通常、ユーザインタフェース(UI)を搭載している。ユーザインタフェースは、情報の表示のための表示部および情報の入力のための受付部を含む構成であり、たとえば、情報の表示およびタッチ操作による情報の入力が可能なタッチパネルからなる。ユーザは、ユーザインタフェースの表示を確認し、ユーザインタフェースを操作することにより、各機能の実行に必要な設定、たとえば、プリント機能の実行に必要な印刷枚数や印刷品質、シートサイズなどの設定を行うことができる。
【0004】
MFPに搭載されるユーザインタフェースは、製品コストの抑制などの理由から、サイズの小さいものが多い。それにもかかわらず、各種の機能の向上および多様化により、ユーザインタフェースで設定が必要な項目数が増加している。そのため、MFPに搭載されているユーザインタフェースでは、ユーザが期待する操作性や視認性を確保することが困難になってきている。
【0005】
そこで、ユーザのスマートフォンなどの携帯端末をMFPのユーザインタフェースとして利用し、携帯端末上で各機能の実行に必要な設定を可能とする技術が提案されている。携帯端末の操作性および視認性により、MFPのユーザインタフェースとしての操作性および視認性の向上を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-122014号公報
【文献】特開2013-214140号公報
【文献】特開2004-295325号公報
【文献】特開2017-112558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、携帯端末がユーザインタフェースとして利用される状態において、携帯端末での入力操作を効率的に行うことができる、画像処理装置、制御方法、プログラムおよび画像処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明の一の局面に係る画像処理装置は、ユーザインタフェースと、携帯端末と無線通信する無線通信部と、制御部とを備え、制御部は、携帯端末と無線通信部との間で無線通信が確立されたことを条件として、携帯端末に第1テキスト入力画面を表示させるためのUI情報を無線通信部から携帯端末に送信するUI情報送信処理と、記第1テキスト入力画面に入力されるテキストの候補を取得するためのアドレスを無線通信部から携帯端末に送信するアドレス送信処理とを実行する。
【0009】
この構成によれば、所定の条件が満たされている場合に、携帯端末と無線通信部との間で無線通信が確立されると、無線通信部から携帯端末にUI情報が送信される。UI情報の送信により、第1テキスト入力が携帯端末に表示される。
【0010】
また、携帯端末と無線通信部との間で無線通信が確立されると、入力候補を取得するためのアドレスが無線通信部から携帯端末に送信される。アドレスを受信した携帯端末がそのアドレスの取得先にアクセスすることにより、携帯端末での操作によるテキスト入力の際にそのテキスト入力の候補が携帯端末に取得される。よって、携帯端末での入力操作を効率的に行うことができる。
【0011】
なお、本発明は、画像処理装置の形態で実現することができるだけでなく、たとえば、画像処理装置で実行される制御方法、画像処理装置のコンピュータにインストールされるプログラム、ならびに画像処理装置、携帯端末およびサーバを含む画像処理システムの形態で実現することもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、携帯端末がユーザインタフェースとして利用される状態において、携帯端末での入力操作を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像処理システムの構成を示す図である。
【
図2A】アドオンプログラムによる機能の使用時に実行される処理のシーケンス図(その1)である。
【
図2B】アドオンプログラムによる機能の使用時に実行される処理のシーケンス図(その2)である。
【
図3】テキスト入力画面表示コマンドの一例を示すXML文書である。
【
図4】操作パネルに表示されるテキスト入力画面の一例を示す図である。
【
図5】テキスト入力画面表示コマンドの内容を含むHTML文書の一例である。
【
図6】携帯端末に表示されるテキスト入力画面の一例を示す図である。
【
図7】携帯端末におけるテキストの入力中のテキスト入力画面の一例を示す図である。
【
図8】アドオンプログラムによる機能の使用時に実行される処理の変形例を示すシーケンス図である。
【
図9A】アドオンプログラムによる機能の使用時に実行される処理の他の変形例を示すシーケンス図(その1)である。
【
図9B】アドオンプログラムによる機能の使用時に実行される処理の他の変形例を示すシーケンス図(その2)である。
【
図10】アドオンプログラムによる機能の使用時に実行される処理のさらに他の変形例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
<画像処理システム>
図1に示される画像処理システム1は、画像処理装置の一例であるMFP(Multi-FunctionPeripheral)2でアドオンプログラムによる機能を実行可能とするシステムであり、
MFP2、アドオンプログラム用サーバ(追加型プログラム用サーバ)3、入力候補DB(データベース)用サーバ4および携帯端末5を含む。
【0016】
MFP2は、LAN(LocalAreaNetwork)6が構築された場所に設けられ、LAN6を経由してインターネット7に接続されている。LAN6には、有線LANが含まれていてもよいが、IEEE(アイトリプルイー)での規格「IEEE802.11」を使用
した方式のWLAN(ワイヤレスLAN)が含まれる。アドオンプログラム用サーバ3および入力候補DB用サーバ4は、インターネット7上に置かれている。携帯端末5は、WLAN通信機能を有しており、LAN6経由でインターネット7に接続できるほか、モバイルデータ通信機能を有しており、モバイルデータ通信回線を経由してインターネット7に接続可能である。
【0017】
<MFP>
MFP2は、ファクシミリ機能、プリント機能、スキャン機能およびコピー機能など、複数の機能を有する電子機器である。ファクシミリ機能は、画像データを公衆電話回線を介して送受信する機能である。プリント機能(画像形成機能)は、画像データに係る画像をプリント用紙などのシートに形成する機能である。スキャン機能(画像読取機能)は、原稿の画像を読み取って画像データを生成する機能である。コピー機能は、原稿の画像を読み取ってその画像をシートに形成する機能である。
【0018】
MFP2は、それらの複数の機能を実現するため、画像形成部11、画像読取部12、操作パネル13、FAXインタフェース(I/F)14、LANインタフェース(I/F)15、NFC(NearFieldCommunication)インタフェース(I/F)16、ASIC(ApplicationSpecificIntegratedCircuit)17、フラッシュメモリなどの書き換え
可能な不揮発性メモリであるROM(ReadOnlyMemory)18およびDRAM(DynamicRandomAccessMemory)などの揮発性メモリであるRAM(RandomAccessMemory)19を備えている。画像形成部11、画像読取部12、操作パネル13、FAXインタフェース14、LANインタフェース15、NFCインタフェース16、ASIC17、ROM18およびRAM19は、バス20を介して、データ通信可能に接続されている。
【0019】
画像形成部11は、搬送経路上を1枚ずつ搬送されるプリント用紙などのシートにカラー画像またはモノクロ画像を形成するよう構成されている。画像形成の方式は、電子写真方式であってもよいし、インクジェット方式であってもよい。
【0020】
画像読取部12は、シートに形成されている画像を読み取り、その画像の画像データを出力する。画像読取の方式は、CIS(ContactImageSensor)方式であってもよいし、CCD(ChargeCoupledDevices)方式であってもよい。
【0021】
操作パネル13(ユーザインタフェースの一例)は、タッチパネルからなり、液晶ディスプレイなどの表示部13A上に感圧式または静電容量式の透明フィルムスイッチなどの操作部13B(受付部の一例)を重ねて構成されている。操作パネル13には、各種の情報や操作ボタンなどの画像が表示される。ユーザが操作パネル13に表示される操作ボタンをタッチ操作することにより、そのタッチ操作された操作ボタンの種類に応じた指示が操作パネル13に受け付けられる。操作パネル13に指示が受け付けられると、その指示の内容に応じた信号(データ)が操作パネル13からASIC17に向けて送信される。
【0022】
FAXインタフェース14は、ファクシミリ通信に使用される公衆電話回線との接続のためのインタフェースであり、NCU(NetworkControlUnit)を内蔵したモデムなどを
備えている。
【0023】
LANインタフェース15(サーバ通信部の一例)は、LAN6との接続のためのインタフェースである。
【0024】
NFCインタフェース16(無線通信部、近距離無線通信部の一例)は、NFCよる無線通信のためのインタフェースである。NFCは、国際規格であるISO/IEC14443、ISO/IEC18092などに対応する無線通信技術であり、13.56MHz帯の通信周波数を利用する。NFCインタフェース16は、NFCによる無線通信機能を有する機器やICカードをタッチ操作により近接ないし接触させるタッチ部を備えている。このタッチ部から所定距離範囲内にNFCによる無線通信機能を有する機器などが近づけられると、その機器などとNFCインタフェース16との間でNFC通信が確立されてデータ通信が可能となる。
【0025】
ASIC17は、CPU21(制御部の一例)を内蔵している。CPU21は、ASIC17に入力される情報に基づいて、各種の処理のためのプログラムを実行することにより、画像形成部11、画像読取部12、操作パネル13、FAXインタフェース14、LANインタフェース15およびNFCインタフェース16などの各部を制御する。
【0026】
ROM18には、CPU21によって実行されるプログラムおよび各種のデータなどが記憶されている。
【0027】
RAM19は、CPU21がプログラムを実行する際のワークエリアとして使用される。
【0028】
<アドオンプログラム用サーバ>
アドオンプログラム用サーバ3は、アドオンプログラム(追加型プログラム)による機能をMFP2に提供するサーバである。アドオンプログラム用サーバ3には、アドオンプログラムが保存されており、そのアドオンプログラムの実行により、アドオンプログラムに応じた機能がMFP2に提供される。アドオンプログラムの実行によりMFP2に提供される機能の例としては、画像読取部12によって読み取られた画像データをMFP2からインターネット7上のアドオンプログラム用サーバ3にアップロードするスキャンアップロード機能、インターネット7上のアドオンプログラム用サーバ3から画像データをMFP2にダウンロードしてプリントするダウンロードプリント機能を挙げることができる。
【0029】
<入力候補DB用サーバ>
入力候補DB用サーバ4には、入力候補となる文字列の集まりである入力候補データベースが構築されている。入力候補DB用サーバ4は、MFP2でアドオンプログラムによる機能が実行されているときに、入力候補データベースに基づいて、携帯端末5のディスプレイに表示されるテキスト入力ボックス41(
図7参照)に入力される文字列の候補(入力候補)を携帯端末5に送信する機能を有している。
ここで、アドオンプログラムとは、電子機器が有する標準機能を拡張するため、アドオンされる追加型プログラムである。アドオンプログラムには、組み込み型アドオンプログラムとWeb型アドオンプログラムの二種類がある。
組み込み型アドオンプログラムは、電子機器インストールされることにより使用される。Web型アドオンプログラムは、サーバと電子機器が連携して実行するプログラムである。つまり、電子機器は、サーバからアドオンプログラムに関するコマンドを順次受け付けながら、Web型アドオンプログラムに係る処理を実行する。
本実施形態においては、Web型アドオンプログラムに基づいて記載するが、本発明に係るアドオンプログラムは、上記二種類のアドオンプログラムであってもよいし、上記二種類の混合型であってもよい。
【0030】
<携帯端末>
携帯端末5は、スマートフォンやタブレットなど、タッチパネルを搭載した持ち運び可能な端末機器である。携帯端末5は、前述のWLAN通信機能およびモバイルデータ通信機能に加えて、NFCによる無線通信機能を有している。そのため、携帯端末5がMFP2のNFCインタフェース16から所定距離範囲内に近づけられると、携帯端末5とNFCインタフェース16との間でNFC通信が確立されてデータ通信が可能となる。
【0031】
<アドオンプログラム>
アドオンプログラムは、
図2Aに示されるように、ユーザによってその起動が指示される(1:アドオンプログラム起動)。たとえば、MFP2の操作パネル13に表示されるメニュー画面には、アドオンプログラムの起動を指示するボタンが含まれており、そのボタンをユーザが押すことにより、アドオンプログラムの起動の指示が操作パネル13に受け付けられる。
【0032】
なお、以下では、スキャンアップロード機能のアドオンプログラムの起動が指示された場合を例にとる。
【0033】
アドオンプログラムの起動の指示が操作パネル13に受け付けられたことに応じて、MFP2のASIC17のCPU21は、アドオンプログラム用サーバ3からのコマンドを取得するため、ROM18に保存されている「URL(UniformResourceLocator)1」を読み出し、LANインタフェース15を制御して、その「URL1」で特定されるアドオンプログラム用サーバ3上のファイルにアクセスする(2:コマンド取得)。
【0034】
このアクセスに応じて、アドオンプログラム用サーバ3からMFP2にテキスト入力画面表示コマンド「XML1」と、入力候補DB用サーバ4に構築されている入力候補データベースのアドレス「URL4」とが送信される。なお、アドレス「URL4」は、テキスト入力画面表示コマンド「XML1」に含まれて、アドオンプログラム用サーバ3からMFP2に送信されてもよい。
【0035】
テキスト入力画面表示コマンド「XML1」は、
図3に示されるように、XML(ExtensibleMarkupLanguage)で記述された文書(ファイル)である。
図3に示される一例では、先頭行に「XML宣言」が記載され、その後にXML文書の本体部分が記載されている。本体部分の最も外側に開始タグ<command>と終了タグ</command>とが記載され、それらの間に開始タグ<ui>と終了タグ</ui>とが記載されていることから、テキスト入力画面表示コマンド「XML1」がUI(ユーザインタフェース)の表示に関するコマンドであることが理解される。そして、開始タグ<ui>と終了タグ</ui>との間には、次のアクセス先の「URL2」が「./post」であることを表す要素と、UI画面に表示するタイトル名が「ファイル名入力」であることを表す要素と、UI画面のテキスト入力ボックスに入力される文字列が「ファイル名」であることを表す属性とが記載されている。すなわち、テキスト入力画面表示コマンド「XML1」では、UI画面に「ファイル名入力」のタイトル名とファイル名を入力するテキスト入力ボックスとを表示することが指示されるとともに、次のアクセス先の「URL2」が「./post」に指定されている。
【0036】
MFP2のCPU21は、アドオンプログラム用サーバ3からのテキスト入力画面表示コマンド「XML1」を受信すると、「ファイル名入力」のタイトル名とファイル名を入力するテキスト入力ボックスとが含まれるUI画面であるテキスト入力画面を操作パネル13に表示させる(3:テキスト入力画面表示)。このテキスト入力画面の一例では、
図4に示されるように、最上部にタイトル名「ファイル名入力」が表示され、そのタイトル名の直下にテキスト入力ボックス31が表示される。テキスト入力ボックス31の下側には、QWERTY配列のキーボード32が表示される。
【0037】
また、MFP2のCPU21は、アドオンプログラム用サーバ3からのテキスト入力画面表示コマンド「XML1」を受信すると、たとえば、XML文書の変換用言語であるXSLT(XSLTransformations)を用いて、テキスト入力画面表示コマンド「XML1」の
内容を含むHTML(HyperTextMarkupLanguage)文書を作成する。そして、そのHT
ML文書からなるファイル「HTML1」をRAM19に保存する。
【0038】
ファイル「HTML1」は、テキスト入力画面表示コマンド「XML1」の内容を含むので、ファイル「HTML1」では、
図5に示されるように、タイトル名「ファイル名入力」とファイル名を入力するテキスト入力ボックスとをテキスト入力画面に含むことが指示されるとともに、次のアクセス先の「URL2」が「./post」に指定されている。また、ファイル「HTML1」では<input>タグの「送信」要素のvalue属性の値に「submit」が指定されることにより、送信ボタンをテキスト入力画面に含むことが指示されている。
【0039】
テキスト入力画面の表示後、携帯端末5がMFP2のNFCインタフェース16のタッチ部にタッチ操作されて、携帯端末5とNFCインタフェース16との間でNFC通信が確立されると(4:タッチ)、MFP2のCPU21は、RAM19上におけるファイル「HTML1」の保存先を特定する「URL3」を生成する。そして、CPU21は、NFCインタフェース16を制御して、NFC通信により、「URL3」をNFCインタフェース16から携帯端末5に送信する。
【0040】
なお、携帯端末5がMFP2のNFCインタフェース16のタッチ部にタッチ操作されるまでテキスト入力画面表示コマンド「XML1」がRAM19に保持されていて、そのタッチ操作に応じて、テキスト入力画面表示コマンド「XML1」の内容を含むファイル「HTML1」が生成され、RAM19上におけるファイル「HTML1」の保存先を特定する「URL3」が生成されてもよい。また、XSLTを用いずに、テキスト入力画面表示コマンド「XML1」がファイル「HTML1」に変換されてもよい。
【0041】
携帯端末5が「URL3」を受信したことに応じて、携帯端末5のオペレーティングシステムの標準ブラウザまたは追加インストールされたブラウザが立ち上がり、そのブラウザが「URL3」で特定されるアドレスにLAN6経由またはモバイルデータ通信でアクセスする(5:画面取得)。
【0042】
携帯端末5からのアクセスに応じて、MFP2のCPU21は、LANインタフェース15を制御して、ファイル「HTML1」と、入力候補DB用サーバ4に構築されている入力候補データベースのアドレスである「URL4」とを携帯端末5に送信する。なお、アドレス「URL4」がファイル「HTML1」に含まれていてもよい。また、ファイル「HTML1」には、シャバスプリクト(JavaScript:登録商標)のコードが含まれてもよい。
【0043】
ファイル「HTML1」は、HTMLで記述されたファイルであるから、携帯端末5では、携帯端末5のブラウザで開くことができ、ファイル「HTML」の内容をブラウザ上で表示することができる。これにより、携帯端末5のタッチパネルには、
図6に示されるように、タイトル名「ファイル名入力」、テキスト入力ボックス41および送信ボタン42を含むテキスト入力画面がブラウザ上で表示される(6:テキスト入力画面表示)。
【0044】
ユーザが携帯端末5のタッチパネルに表示されたテキスト入力ボックス41を指先などでタッチすると、
図7に示されるように、オペレーティングシステムにより、タッチパネルの下部にキーボード43が表示される。ユーザがキーボード43の1つのキーをタッチすると、そのタッチしたキーに応じたテキスト(文字)がテキスト入力ボックス41に入力される(7:テキスト入力)。
【0045】
テキスト入力ボックス41にテキストが1文字入力される度に、携帯端末5から「URL4」で特定されるファイルにアクセスされる。「URL4」は、入力候補DB用サーバ4に構築されている入力候補データベースのアドレスであるから、具体的には、携帯端末5から入力候補データベースにアクセスされることになる。このアクセスとともに、テキ
スト入力ボックス41に入力されているテキストの情報が携帯端末5から入力候補DB用サーバ4に送信される(8:入力候補取得)。
【0046】
携帯端末5からのアクセスに応じて、入力候補DB用サーバ4では、入力候補データベースからテキスト入力ボックス41に入力されているテキストに応じた入力候補が読み出される。そして、その入力候補データベースから読み出された入力候補のリストが入力候補DB用サーバ4から携帯端末5に送信される。入力候補のリストを受信した携帯端末5では、
図7に示されるように、入力候補のリストがテキスト入力画面におけるテキスト入力ボックス41の下側にドロップダウンリストの形態で表示される。
【0047】
ユーザは、テキストの1文字ずつの入力を繰り返すか、または、ドロップダウンリストに表示された入力候補の中から所望の文字列を手指などで押すことにより、所望の文字列をテキスト入力ボックス41に入力する。そして、所望の文字列がテキスト入力ボックス41に入力されると、ユーザは、送信ボタン42を手指などで押す。これにより、携帯端末5では、テキスト入力ボックス41に入力された内容が確定されて(9:入力内容確定)、その確定された内容を表すHTTP(HypertextTransferProtocol)メッセージが
携帯端末5からLAN6経由でMFP2に送信される(9.1:入力内容確定(HTTP))。このとき、携帯端末5は、WLAN通信機能により、LAN6を経由してMFP2とデータ通信可能に接続されている。
【0048】
MFP2のCPU21は、携帯端末5からHTTPメッセージを受信すると、携帯端末5のテキスト入力画面(第1テキスト入力画面の一例)に含まれるテキスト入力ボックス41に入力された内容を、操作パネル13に表示されるテキスト入力画面(第2テキスト入力画面の一例)に含まれるテキスト入力ボックス31に入力された内容と確定する(10:入力内容確定)。
【0049】
そして、MFP2のCPU21は、
図2Bに示されるように、「URL2」で特定されるアドオンプログラム用サーバ3上のファイルにアクセスする。また、CPU21は、テキスト入力ボックス31に入力された内容(入力テキスト)をアドオンプログラム用サーバ3に送信する(11:コマンド取得)。
【0050】
MFP2からアドオンプログラム用サーバ3へのアクセスに応じて、アドオンプログラム用サーバ3からMFP2にスキャンコマンド「XML2」が送信される。
【0051】
MFP2のCPU21は、アドオンプログラム用サーバ3からのスキャンコマンド「XML2」を受信すると、画像読取部12を制御して、スキャン機能による原稿の画像のスキャンを実行する(12:スキャン実行)。
【0052】
スキャンが終了すると、MFP2のCPU21は、スキャンにより生成された画像データ(スキャンデータ)をアドオンプログラム用サーバ3に送信する(13:画像データ)。
【0053】
画像データを受信したアドオンプログラム用サーバ3では、先に受信した入力テキストをファイル名として、その受信した画像データがファイル名と対応づけて保存される(13.1:データ保存)。そして、アドオンプログラム用サーバ3は、完了画面表示コマンドをMFP2に送信する。
【0054】
MFP2のCPU21は、アドオンプログラム用サーバ3からの完了画面表示コマンドを受信すると、完了画面を操作パネル13に表示させる(14:完了画面表示)。完了画面には、操作パネル13にスキャンアップロード機能による処理を終了するかを問い合わせるメッセージとともに、「YES」ボタンおよび「NO」ボタンが表示される。
【0055】
そして、ユーザにより「YES」ボタンが押されるか、「YES」ボタンおよび「NO」ボタンのどちらも押されずにスキャンの終了から一定時間が経過してタイムアウトになると、MFP2のCPU21は、RAM19に保存されているファイル「HTML1」を「URL2」も含めて消去する(15:URL消去)。
【0056】
<作用効果>
以上のように、アドオンプログラムの起動の指示が操作パネル13に受け付けられた後、携帯端末5とNFCインタフェース16との間でNFC通信が確立されると、NFCインタフェース16から携帯端末5にファイル「HTML1」が送信される。ファイル「HTML1」の送信により、操作パネル13に表示されるテキスト入力画面と同様のテキスト入力画面が携帯端末5のタッチパネルに表示される。そのため、ユーザが携帯端末5のタッチパネル上でテキスト入力を行うことができる。
【0057】
また、アドオンプログラムの起動の指示が操作パネル13に受け付けられた後、携帯端末5とNFCインタフェース16との間でNFC通信が確立されると、入力候補DB用サーバ4に構築されている入力候補データベースのアドレスである「URL4」がNFCインタフェース16から携帯端末5に送信される。「URL4」を受信した携帯端末5がその「URL4」にアクセスすることにより、携帯端末5でのテキスト入力の際にそのテキスト入力の候補が携帯端末5に取得される。よって、携帯端末5が操作パネル13の代わりとして利用される状態において、携帯端末5での入力操作を効率的に行うことができる。
【0058】
アドオンプログラムの起動の指示が操作パネル13に受け付けられていない場合は、たとえ携帯端末5とNFCインタフェース16との間でNFC通信が確立されても、NFCインタフェース16から携帯端末5にファイル「HTML1」および「URL4」が送信されない。これにより、アドオンプログラムが起動されていないときに、操作パネル13に表示されるテキスト入力画面と同様のテキスト入力画面が携帯端末5のタッチパネルに表示されることを抑制できる。
【0059】
アドオンプログラムの起動の指示が操作パネル13に受け付けられたことに応じて、アドオンプログラム用サーバ3からMFP2にテキスト入力画面表示コマンド「XML1」が送信される。MFP2がテキスト入力画面表示コマンド「XML1」を受信しないと、テキスト入力画面が操作パネル13および携帯端末5のいずれにも表示されないので、スキャンアップロード機能による処理を実行できない。したがって、テキスト入力画面表示コマンド「XML1」は、アドオンプログラムの実行に必要な情報である。アドオンプログラム用サーバ3からMFP2にテキスト入力画面表示コマンド「XML1」が送信されることにより、テキスト入力画面が操作パネル13および携帯端末5に表示され、スキャンアップロード機能による処理を実行可能にすることができる。
【0060】
また、アドオンプログラムの起動の指示が操作パネル13に受け付けられたことに応じて、アドオンプログラム用サーバ3からMFP2に入力候補データベースのアドレス「URL4」が送信される。「URL4」を受信したMFP2では、「URL4」がRAM19に保存される。MFP2が「URL4」を受信しないと、MFP2から携帯端末5に「URL4」が送信されず、携帯端末5が「URL4」にアクセスできない。したがって、「URL4」は、アドオンプログラムの実行に必要な情報である。MFP2では、アドオンプログラムによるスキャンアップロードが終了すると、RAM19から「URL4」が消去される。そのため、スキャンアップロードが終了した後に「URL4」が必要になることはないので、その不要な「URL4」がRAM19に保存され続けることを抑制できる。
【0061】
アドオンプログラム用サーバ3からのテキスト入力画面表示コマンド「XML1」を受信したMFP2では、テキスト入力画面表示コマンド「XML1」の内容を含むファイル「
HTML1」が作成されてRAM19に保存される。そして、MFP2から携帯端末5へのファイル「HTML1」の送信に先立ち、携帯端末5とMFP2のNFCインタフェース16との間でNFC通信が確立されると、ファイル「HTML1」の保存先を特定する「URL3」がMFP2から携帯端末5に送信される。「URL3」を受信した携帯端末5では、ブラウザが立ち上がり、そのブラウザが「URL3」で特定されるアドレスにアクセスする。このアクセスに応じて、MFP2から携帯端末5にファイル「HTML1」が送信され、携帯端末5のブラウザでファイル「HTML1」が開かれる。そのため、ファイル「HTML1」を開くための専用のアプリケーションソフトを必要としない。その結果、専用のアプリケーションソフトを携帯端末5にインストールする手間を省くことができ、かつ、そのインストールによるメモリ容量の不足を抑制できる。
【0062】
また、テキスト入力画面でのテキスト入力後は、テキスト入力画面に表示されている送信ボタン42が押されると、テキスト入力の内容が確定されて、その確定された内容を表すHTTPメッセージが携帯端末5からMFP2にLAN6経由で送信される。HTTPメッセージがNFC通信により携帯端末5からMFP2に送信される構成では、その送信のための専用のアプリケーションソフトが必要となるのに対し、テキスト入力の内容が携帯端末5からMFP2にLAN6経由で送信される構成では、その専用のアプリケーションソフトを必要としない。その結果、専用のアプリケーションソフトを携帯端末5にインストールする手間を省くことができ、かつ、そのインストールによるメモリ容量の不足を抑制できる。
【0063】
<第2実施形態>
前述の実施形態では、テキスト入力ボックス41への文字列の入力後に送信ボタン42が押されると、テキスト入力ボックス41に入力された内容を表すHTTPメッセージが携帯端末5からLAN6経由でMFP2に送信されるとした(9.1:入力内容確定(HTTP))。
【0064】
これに代えて、
図8に示されるように、送信ボタン42が押されて、テキスト入力ボックス41に入力された内容が確定された後(9:入力内容確定)、NFC通信により、テキスト入力ボックス41に入力された内容を表す情報が携帯端末5からMFP2に送信されてもよい(9.1:入力内容確定(NFC))。この場合、ユーザは、送信ボタン42を押した後、携帯端末5をMFP2のNFCインタフェース16のタッチ部にタッチ操作する。これにより、携帯端末5とMFP2のNFCインタフェース16との間でNFC通信が確立されて、NFC通信により、テキスト入力ボックス41に入力された内容を表す情報が携帯端末5からMFP2に送信される。
【0065】
図8に示される処理では、MFP2と携帯端末5とがLAN6経由で接続されている必要がないという利点はあるが、テキスト入力ボックス41に入力された内容を表す情報をNFC通信で送信する機能のためのアプリケーションソフトを携帯端末5にインストールする必要がある。
【0066】
【0067】
アドオンプログラムの起動の指示が操作パネル13に受け付けられたことに応じて(1:アドオンプログラム起動)、MFP2のASIC17のCPU21は、
図9Aに示されるように、アドオンプログラム用サーバ3からのコマンドを取得するため、ROM18に保存されている「URL(UniformResourceLocator)1」を読み出す。そして、CPU21は、LANインタフェース15を制御して、その「URL1」で特定される追加型プログラ
ム用サーバ3上のファイルにアクセスする(2:コマンド取得)。
【0068】
このアクセスに応じて、アドオンプログラム用サーバ3からMFP2にテキスト入力画面表示コマンド「XML1」と、入力候補DB用サーバ4に構築されている入力候補データベースのアドレス「URL4」とが送信される。
【0069】
MFP2のCPU21は、アドオンプログラム用サーバ3からのテキスト入力画面表示コマンド「XML1」を受信すると、「ファイル名入力」のタイトル名とファイル名を入力するテキスト入力ボックスとが含まれるUI画面であるテキスト入力画面を操作パネル13に表示させる(3:テキスト入力画面表示)。
【0070】
また、MFP2のCPU21は、アドオンプログラム用サーバ3からのテキスト入力画面表示コマンド「XML1」を受信すると、たとえば、XML文書の変換用言語であるXSLT(XSLTransformations)を用いて、テキスト入力画面表示コマンド「XML1」の
内容を含むHTML(HyperTextMarkupLanguage)文書を作成する。そして、そのHT
ML文書からなるファイル「HTML1」をRAM19に保存する。
【0071】
テキスト入力画面の表示後、携帯端末5がMFP2のNFCインタフェース16のタッチ部にタッチ操作されて、携帯端末5とNFCインタフェース16との間でNFC通信が確立されると(4:タッチ)、MFP2のCPU21は、NFC通信により、ファイル「HTML1」と、入力候補DB用サーバ4に構築されている入力候補データベースのアドレスである「URL4」とを携帯端末5に送信する。
【0072】
携帯端末5では、携帯端末5にインストールされている専用アプリケーションソフトの機能により、ファイル「HTML1」の受信に応じて、携帯端末5のオペレーティングシステムの標準ブラウザまたは追加インストールされたブラウザが立ち上げられる。そして、そのブラウザ上で、宛先入力画面ファイルの内容(画像)が表示される(5:テキスト入力画面表示)。すなわち、携帯端末5のタッチパネルには、MFP2の操作パネル13に表示されるテキスト入力画面と同様、最上部にタイトル名「ファイル名入力」が表示され、そのタイトル名の直下にテキスト入力ボックスが表示される。テキスト入力ボックスの下側には、QWERTY配列のキーボードが表示される。
【0073】
なお、MFP2から携帯端末5にテキスト入力画面表示コマンド「XML1」が送信されて、携帯端末5にインストールされている専用アプリケーションソフトの機能により、テキスト入力画面表示コマンド「XML1」の受信に応じて、宛先入力画面ファイルの内容が携帯端末5のタッチパネルに表示されてもよい。
【0074】
その後、テキスト入力ボックスにテキストが1文字入力される度に、携帯端末5から「URL4」で特定されるファイルにアクセスされる。「URL4」は、入力候補DB用サーバ4に構築されている入力候補データベースのアドレスであるから、具体的には、携帯端末5から入力候補データベースにアクセスされることになる。このアクセスとともに、テキスト入力ボックスに入力されているテキストの情報が携帯端末5から入力候補DB用サーバ4に送信される(7:入力候補取得)。
【0075】
携帯端末5からのアクセスに応じて、入力候補DB用サーバ4では、入力候補データベースからテキスト入力ボックス41に入力されているテキストに応じた入力候補が読み出される。そして、その入力候補データベースから読み出された入力候補のリストが入力候補DB用サーバ4から携帯端末5に送信される。入力候補のリストを受信した携帯端末5では、入力候補のリストがテキスト入力画面におけるテキスト入力ボックス41の下側にドロップダウンリストの形態で表示される。
【0076】
ユーザは、テキストの1文字ずつの入力を繰り返すか、または、ドロップダウンリストに表示された入力候補の中から所望の文字列を手指などで押すことにより、所望の文字列をテキスト入力ボックスに入力する。そして、所望の文字列がテキスト入力ボックスに入力されると、ユーザは、送信ボタンを手指などで押す。これにより、携帯端末5では、テキスト入力ボックス41に入力された内容が確定される(8:入力内容確定)。
【0077】
ユーザは、送信ボタン42を押した後、携帯端末5をMFP2のNFCインタフェース16のタッチ部にタッチ操作する。これにより、携帯端末5とMFP2のNFCインタフェース16との間でNFC通信が確立されて、NFC通信により、テキスト入力ボックス41に入力された内容を表す情報が携帯端末5からMFP2に送信される(8.1:入力内容確定(NFC))。
【0078】
MFP2のCPU21は、携帯端末5からHTTPメッセージを受信すると、携帯端末5のテキスト入力画面に含まれるテキスト入力ボックス41に入力された内容を、操作パネル13に表示されるテキスト入力ボックス31に入力された内容と確定する(9:入力内容確定)。
【0079】
そして、MFP2のCPU21は、
図9Bに示されるように、「URL2」で特定されるアドオンプログラム用サーバ3上のファイルにアクセスする。また、CPU21は、テキスト入力ボックス31に入力された内容(入力テキスト)をアドオンプログラム用サーバ3に送信する(10:コマンド取得)。
【0080】
MFP2からアドオンプログラム用サーバ3へのアクセスに応じて、アドオンプログラム用サーバ3からMFP2にスキャンコマンド「XML2」が送信される。
【0081】
MFP2のCPU21は、アドオンプログラム用サーバ3からのスキャンコマンド「XML2」を受信すると、画像読取部12を制御して、スキャン機能による原稿の画像のスキャンを実行する(11:スキャン実行)。
【0082】
スキャンが終了すると、MFP2のCPU21は、スキャンにより生成された画像データ(スキャンデータ)をアドオンプログラム用サーバ3に送信する(12:画像データ)。
【0083】
画像データを受信したアドオンプログラム用サーバ3では、先に受信した入力テキストをファイル名として、その受信した画像データがファイル名と対応づけて保存される(12.1:データ保存)。そして、アドオンプログラム用サーバ3は、完了画面表示コマンドをMFP2に送信する。
【0084】
MFP2のCPU21は、アドオンプログラム用サーバ3からの完了画面表示コマンドを受信すると、完了画面を操作パネル13に表示させる(13:完了画面表示)。完了画面には、操作パネル13にスキャンアップロード機能による処理を終了するかを問い合わせるメッセージとともに、「YES」ボタンおよび「NO」ボタンが表示される。
【0085】
そして、ユーザにより「YES」ボタンが押されるか、「YES」ボタンおよび「NO」ボタンのどちらも押されずにスキャンの終了から一定時間が経過してタイムアウトになると、MFP2のCPU21は、RAM19に保存されているファイル「HTML1」を「URL2」も含めて消去する(14:URL消去)。
【0086】
図9Aおよび
図9Bに示される処理では、MFP2と携帯端末5とがLAN6経由で接続されている必要がないという利点はあるが、専用アプリケーションソフトを携帯端末5
にインストールする必要がある。
【0087】
<第4実施形態>
前述の第3実施形態では、テキスト入力ボックスに入力された内容が確定された後、携帯端末5をMFP2のNFCインタフェース16のタッチ部にタッチ操作されると、NFC通信により、テキスト入力ボックスに入力された内容を表す情報が携帯端末5からMFP2に送信されるとした(8.1:入力内容確定(NFC))。
【0088】
これに代えて、
図10に示されるように、送信ボタン42が押されて、テキスト入力ボックス41に入力された内容が確定された後(8:入力内容確定)、テキスト入力ボックス41に入力された内容を表すHTTPメッセージが携帯端末5からLAN6経由でMFP2に送信されてもよい(8.1:入力内容確定(HTTP))。
【0089】
<変形例>
以上、本発明の4つの実施形態について説明したが、本発明は、さらに他の形態で実施することもできる。
【0090】
たとえば、前述の実施形態では、アドオンプログラム用サーバ3と入力候補DB用サーバ4とが別個に設けられた構成を取り上げたが、アドオンプログラム用サーバ3と入力候補DB用サーバ4とがインターネット7上に置かれた単一のサーバで構成されてもよい。言い換えると、インターネット7上に置かれた1つのサーバがアドオンプログラム用サーバ3および入力候補DB用サーバ4の機能を有していてもよい。
【0091】
また、アドオンプログラム用サーバ3からMFP2に送信されるコマンドは、XMLで記述されているとしたが、JSON(JavaScriptObjectNotation)などの他のテキスト形式であってもよいし、バイナリデータなどの非テキスト形式であってもよい。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0092】
1:画像処理システム
2:MFP
5:携帯端末
13:操作パネル
13A:表示部
13B:操作部
15:LANインタフェース
16:NFCインタフェース
21:CPU