(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】排ガス処理装置及び排ガス処理方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/40 20060101AFI20221012BHJP
B01D 53/83 20060101ALI20221012BHJP
B01D 46/04 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
B01D53/40 ZAB
B01D53/83
B01D46/04 104
(21)【出願番号】P 2018232037
(22)【出願日】2018-12-11
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100076129
【氏名又は名称】松山 圭佑
(74)【代理人】
【識別番号】100144299
【氏名又は名称】藤田 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100150223
【氏名又は名称】須藤 修三
(72)【発明者】
【氏名】平山 敦
(72)【発明者】
【氏名】川畑 秀駿
(72)【発明者】
【氏名】長尾 厚志
(72)【発明者】
【氏名】皆川 雅志
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-100328(JP,A)
【文献】特開2001-198424(JP,A)
【文献】特開平08-155257(JP,A)
【文献】特開平09-010531(JP,A)
【文献】特開2001-046821(JP,A)
【文献】特開2000-317234(JP,A)
【文献】特開平09-225255(JP,A)
【文献】特開平09-248413(JP,A)
【文献】特開2005-186037(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106621754(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34-53/73,53/74-53/85,53/92,53/96
B01D 46/00-46/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガス中の酸性ガスを除去するための排ガス処理装置において、
排ガス中の煤塵を集塵する複数の集塵室を有し、各集塵室に排ガスを導入する個別の給気ダクトが接続され、逆洗用気体を濾布の開口部に向けて噴射する逆洗手段が各集塵室に設けられているバグフィルタと、
給気ダクト内の排ガスにアルカリ剤を供給するアルカリ剤供給手段と、
各給気ダクト内の排ガスに助剤を供給する助剤供給手段と、
アルカリ剤供給手段のアルカリ剤供給量の増減もしくはアルカリ剤の供給開始と停止、及び、助剤供給手段の助剤供給の開始と停止を、逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて制御するアルカリ剤助剤供給制御手段と、
を備えた排ガス処理装置であって、
集塵運転中と逆洗運転中にアルカリ剤を常時供給するとともに、
1つの集塵室が逆洗運転開始のタイミングになったら、当該集塵室のみ濾布列ごとに逆洗ガスをパルスジェット噴射し、順次濾布列ごとに逆洗を実施するとともに、前記アルカリ剤供給手段によるアルカリ剤の供給を継続したまま当該集塵室に接続されている給気ダクトに前記助剤供給手段から助剤を供給し、
逆洗運転を行い、濾布から付着物を除去している逆洗中にアルカリ剤を給気ダクトへ吹き込むとともに、助剤を給気ダクトに吹き込むことにより、付着物が除去された濾布表面に助剤とアルカリ剤の混合物を付着させて助剤アルカリ剤混合層を形成し、
逆洗運転を終了するとき助剤の供給を停止し、その後の集塵運転中にはアルカリ剤のみを供給し、
当該集塵室の全ての濾布列の逆洗を終了した後、次の集塵室についても同様の操作を実施することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項2】
排ガス中の酸性ガスを除去するための排ガス処理装置において、
排ガス中の煤塵を集塵する複数の集塵室を有し、各集塵室に排ガスを導入する個別の給気ダクトが接続され、逆洗用気体を濾布の開口部に向けて噴射する逆洗手段が各集塵室に設けられているバグフィルタと、
給気ダクト内の排ガスにアルカリ剤を供給するアルカリ剤供給手段と、
各給気ダクト内の排ガスに助剤を供給する助剤供給手段と、
アルカリ剤供給手段のアルカリ剤供給量の増減もしくはアルカリ剤の供給開始と停止、及び、助剤供給手段の助剤供給の開始と停止を、逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて制御するアルカリ剤助剤供給制御手段と、
を備えた排ガス処理装置であって、
集塵運転中はアルカリ剤を連続供給し、
1つの集塵室が逆洗運転開始のタイミングになったら、当該集塵室のみ濾布列ごとに逆洗ガスをパルスジェット噴射して逆洗を実施し、濾布から付着物を除去している逆洗中に当該集塵室に接続されている給気ダクトへのアルカリ剤の供給量を所定値まで低減させて一定量で吹き込むとともに、助剤を給気ダクトに吹き込むことにより、付着物が除去された濾布表面に助剤とアルカリ剤の混合物を付着させて助剤アルカリ剤混合層を形成し、
当該集塵室の逆洗運転を終了するとき助剤の供給を停止し、アルカリ剤の供給量を連続供給時の供給量に戻し、その後の集塵運転中にはアルカリ剤のみを供給し、
次の集塵室についても同様の操作を実施することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項3】
排ガス中の酸性ガスを除去するための排ガス処理装置において、
排ガス中の煤塵を集塵する複数の集塵室を有し、各集塵室に排ガスを導入する個別の給気ダクトが接続され、逆洗用気体を濾布の開口部に向けて噴射する逆洗手段が各集塵室に設けられているバグフィルタと、
給気ダクト内の排ガスにアルカリ剤を供給するアルカリ剤供給手段と、
各給気ダクト内の排ガスに助剤を供給する助剤供給手段と、
アルカリ剤供給手段のアルカリ剤供給量の増減もしくはアルカリ剤の供給開始と停止、及び、助剤供給手段の助剤供給の開始と停止を、逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて制御するアルカリ剤助剤供給制御手段と、
を備えた排ガス処理装置であって、
集塵運転開始時に、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように、短い所定時間でアルカリ剤を通常量よりも多く供給し、所定時間後、アルカリ剤の供給を停止することにより、濾布にアルカリ剤層を形成し、
1つの集塵室が逆洗運転開始のタイミングになったら、当該集塵室のみ濾布列ごとに逆洗ガスをパルスジェット噴射して逆洗を実施し、濾布から付着物を除去している逆洗中に当該集塵室に接続されている給気ダクトへのアルカリ剤の供給量を所定値で一定量吹き込むとともに、助剤を給気ダクトに吹き込むことにより、付着物が除去された濾布表面に助剤とアルカリ剤の混合物を付着させて助剤アルカリ剤混合層を形成し、
当該集塵室の逆洗運転を終了するとき助剤の供給を停止し、
その後の集塵運転開始から所定時間の間には、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように短い所定時間でアルカリ剤を通常量よりも多く供給し、
所定時間後、アルカリ剤の供給を停止し、次の逆洗運転開始のタイミングまでアルカリ剤を供給しないことによりアルカリ剤濃度が高いアルカリ剤層を、付着物が除去された濾布表面に形成して、アルカリ剤層でアルカリ剤と酸性ガスとの反応を進行させ、
再び逆洗運転開始のタイミングになったら、逆洗を開始するとともに、当該集塵室に接続されている給気ダクトにアルカリ剤を所定値で供給し、同時に助剤を供給し、
逆洗終了後から所定時間の間には、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように短い所定時間でアルカリ剤を通常量よりも多く供給し、所定時間後、アルカリ剤の供給を停止し、次の逆洗運転開始のタイミングまでアルカリ剤を供給せず、
次の集塵室についても同様の操作を実施することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項4】
排ガス中の酸性ガスを除去するための排ガス処理装置において、
排ガス中の煤塵を集塵する複数の集塵室を有し、各集塵室に排ガスを導入する個別の給気ダクトが接続され、逆洗用気体を濾布の開口部に向けて噴射する逆洗手段が各集塵室に設けられているバグフィルタと、
給気ダクト内の排ガスにアルカリ剤を供給するアルカリ剤供給手段と、
各給気ダクト内の排ガスに助剤を供給する助剤供給手段と、
アルカリ剤供給手段のアルカリ剤供給量の増減もしくはアルカリ剤の供給開始と停止、及び、助剤供給手段の助剤供給の開始と停止を、逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて制御するアルカリ剤助剤供給制御手段と、
を備えた排ガス処理装置であって、
集塵運転中はアルカリ剤を低当量比条件で連続供給し、
1つの集塵室が逆洗運転開始のタイミングになったら、当該集塵室のみ濾布列ごとに逆洗ガスをパルスジェット噴射して逆洗を実施するとともに、濾布から付着物を除去している逆洗中に当該集塵室に接続されている給気ダクトへアルカリ剤を供給せず、助剤のみを給気ダクトに吹き込むことにより、付着物が除去された濾布表面に助剤を付着させて助剤層を形成し、
当該集塵室の逆洗運転を終了するとき助剤の供給を停止し、その後の集塵運転中にはアルカリ剤の供給を再開し、アルカリ剤のみを連続供給時の供給量として供給し、
次の集塵室についても同様の操作を実施することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項5】
排ガス中の酸性ガスを除去するための排ガス処理装置において、
排ガス中の煤塵を集塵する複数の集塵室を有し、各集塵室に排ガスを導入する個別の給気ダクトが接続され、逆洗用気体を濾布の開口部に向けて噴射する逆洗手段が各集塵室に設けられているバグフィルタと、
給気ダクト内の排ガスにアルカリ剤を供給するアルカリ剤供給手段と、
各給気ダクト内の排ガスに助剤を供給する助剤供給手段と、
アルカリ剤供給手段のアルカリ剤供給量の増減もしくはアルカリ剤の供給開始と停止、及び、助剤供給手段の助剤供給の開始と停止を、逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて制御するアルカリ剤助剤供給制御手段と、
を備えた排ガス処理装置であって、
集塵運転開始時に、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように、短い所定時間でアルカリ剤を供給し、所定時間後、アルカリ剤の供給を停止することにより、濾布にアルカリ層を形成し、
1つの集塵室が逆洗運転開始のタイミングになったら、当該集塵室のみ濾布列ごとに逆洗ガスをパルスジェット噴射して逆洗を実施するとともに、濾布から付着物を除去している逆洗中に当該集塵室に接続されている給気ダクトへアルカリ剤を供給せず、助剤のみを給気ダクトに吹き込み、濾布表面に助剤を付着させて助剤層を形成し、
次に、当該集塵室の逆洗運転を終了するとき助剤の供給を停止し、その後の集塵運転開始から所定時間の間には、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように短い所定時間で所定量のアルカリ剤を供給し、所定時間後、アルカリ剤の供給を停止することにより、付着物が除去された濾布にアルカリ剤、又はアルカリ剤濃度が高いアルカリ剤層を形成し、次の逆洗運転終了のタイミングまでアルカリ剤は供給せず、アルカリ剤層でアルカリ剤と酸性ガスとの反応を進行させ、
再び逆洗運転開始のタイミングになったら、逆洗を開始するとともに、当該集塵室に接続されている給気ダクトへのアルカリ剤の供給を停止したままとし、助剤のみを供給し、
逆洗終了後から所定時間の間には、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように短い所定時間でアルカリ剤を通常量よりも多く供給し、所定時間後、アルカリ剤の供給を停止し、次の逆洗運転終了のタイミングまでアルカリ剤を供給せず、
次の集塵室についても同様の操作を実施することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項6】
排ガス中の酸性ガスを除去するための排ガス処理方法において、
排ガス中の煤塵を集塵する複数の集塵室を有し、各集塵室に排ガスを導入する個別の給気ダクトが接続され、逆洗用気体を濾布の開口部に向けて噴射する逆洗手段が各集塵室に設けられているバグフィルタに対して、
給気ダクト内の排ガスにアルカリ剤及び各給気ダクト内の排ガスに助剤を供給する際に、
アルカリ剤供給量の増減もしくはアルカリ剤の供給開始と停止、及び、助剤供給の開始と停止を、逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて制御する排ガス処理方法であって、
集塵運転中と逆洗運転中にアルカリ剤を常時供給するとともに、
1つの集塵室が逆洗運転開始のタイミングになったら、当該集塵室のみ濾布列ごとに逆洗ガスをパルスジェット噴射し、順次濾布列ごとに逆洗を実施するとともに
、アルカリ剤の供給を継続したまま当該集塵室に接続されている給気ダクト
に助剤を供給し、
逆洗運転を行い、濾布から付着物を除去している逆洗中にアルカリ剤を給気ダクトへ吹き込むとともに、助剤を給気ダクトに吹き込むことにより、付着物が除去された濾布表面に助剤とアルカリ剤の混合物を付着させて助剤アルカリ剤混合層を形成し、
逆洗運転を終了するとき助剤の供給を停止し、その後の集塵運転中にはアルカリ剤のみを供給し、
当該集塵室の全ての濾布列の逆洗を終了した後、次の集塵室についても同様の操作を実施することを特徴とする排ガス処理方法。
【請求項7】
排ガス中の酸性ガスを除去するための排ガス処理方法において、
排ガス中の煤塵を集塵する複数の集塵室を有し、各集塵室に排ガスを導入する個別の給気ダクトが接続され、逆洗用気体を濾布の開口部に向けて噴射する逆洗手段が各集塵室に設けられているバグフィルタに対して、
給気ダクト内の排ガスにアルカリ剤及び各給気ダクト内の排ガスに助剤を供給する際に、
アルカリ剤供給量の増減もしくはアルカリ剤の供給開始と停止、及び、助剤供給の開始と停止を、逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて制御する排ガス処理方法であって、
集塵運転中はアルカリ剤を連続供給し、
1つの集塵室が逆洗運転開始のタイミングになったら、当該集塵室のみ濾布列ごとに逆洗ガスをパルスジェット噴射して逆洗を実施し、濾布から付着物を除去している逆洗中に当該集塵室に接続されている給気ダクトへのアルカリ剤の供給量を所定値まで低減させて一定量で吹き込むとともに、助剤を給気ダクトに吹き込むことにより、付着物が除去された濾布表面に助剤とアルカリ剤の混合物を付着させて助剤アルカリ剤混合層を形成し、
当該集塵室の逆洗運転を終了するとき助剤の供給を停止し、アルカリ剤の供給量を連続供給時の供給量に戻し、その後の集塵運転中にはアルカリ剤のみを供給し、
次の集塵室についても同様の操作を実施することを特徴とする排ガス処理方法。
【請求項8】
排ガス中の酸性ガスを除去するための排ガス処理方法において、
排ガス中の煤塵を集塵する複数の集塵室を有し、各集塵室に排ガスを導入する個別の給気ダクトが接続され、逆洗用気体を濾布の開口部に向けて噴射する逆洗手段が各集塵室に設けられているバグフィルタに対して、
給気ダクト内の排ガスにアルカリ剤及び各給気ダクト内の排ガスに助剤を供給する際に、
アルカリ剤供給量の増減もしくはアルカリ剤の供給開始と停止、及び、助剤供給の開始と停止を、逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて制御する排ガス処理方法であって、
集塵運転開始時に、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように、短い所定時間でアルカリ剤を通常量よりも多く供給し、所定時間後、アルカリ剤の供給を停止することにより、濾布にアルカリ剤層を形成し、
1つの集塵室が逆洗運転開始のタイミングになったら、当該集塵室のみ濾布列ごとに逆洗ガスをパルスジェット噴射して逆洗を実施し、濾布から付着物を除去している逆洗中に当該集塵室に接続されている給気ダクトへのアルカリ剤の供給量を所定値で一定量吹き込むとともに、助剤を給気ダクトに吹き込むことにより、付着物が除去された濾布表面に助剤とアルカリ剤の混合物を付着させて助剤アルカリ剤混合層を形成し、
当該集塵室の逆洗運転を終了するとき助剤の供給を停止し、
その後の集塵運転開始から所定時間の間には、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように短い所定時間でアルカリ剤を通常量よりも多く供給し、
所定時間後、アルカリ剤の供給を停止し、次の逆洗運転開始のタイミングまでアルカリ剤を供給しないことによりアルカリ剤濃度が高いアルカリ剤層を、付着物が除去された濾布表面に形成して、アルカリ剤層でアルカリ剤と酸性ガスとの反応を進行させ、
再び逆洗運転開始のタイミングになったら、逆洗を開始するとともに、当該集塵室に接続されている給気ダクトにアルカリ剤を所定値で供給し、同時に助剤を供給し、
逆洗終了後から所定時間の間には、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように短い所定時間でアルカリ剤を通常量よりも多く供給し、所定時間後、アルカリ剤の供給を停止し、次の逆洗運転開始のタイミングまでアルカリ剤を供給せず、
次の集塵室についても同様の操作を実施することを特徴とする排ガス処理方法。
【請求項9】
排ガス中の酸性ガスを除去するための排ガス処理方法において、
排ガス中の煤塵を集塵する複数の集塵室を有し、各集塵室に排ガスを導入する個別の給気ダクトが接続され、逆洗用気体を濾布の開口部に向けて噴射する逆洗手段が各集塵室に設けられているバグフィルタに対して、
給気ダクト内の排ガスにアルカリ剤及び各給気ダクト内の排ガスに助剤を供給する際に、
アルカリ剤供給量の増減もしくはアルカリ剤の供給開始と停止、及び、助剤供給の開始と停止を、逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて制御する排ガス処理方法であって、
集塵運転中はアルカリ剤を低当量比条件で連続供給し、
1つの集塵室が逆洗運転開始のタイミングになったら、当該集塵室のみ濾布列ごとに逆洗ガスをパルスジェット噴射して逆洗を実施するとともに、濾布から付着物を除去している逆洗中に当該集塵室に接続されている給気ダクトへアルカリ剤を供給せず、助剤のみを給気ダクトに吹き込むことにより、付着物が除去された濾布表面に助剤を付着させて助剤層を形成し、
当該集塵室の逆洗運転を終了するとき助剤の供給を停止し、その後の集塵運転中にはアルカリ剤の供給を再開し、アルカリ剤のみを連続供給時の供給量として供給し、
次の集塵室についても同様の操作を実施することを特徴とする排ガス処理方法。
【請求項10】
排ガス中の酸性ガスを除去するための排ガス処理方法において、
排ガス中の煤塵を集塵する複数の集塵室を有し、各集塵室に排ガスを導入する個別の給気ダクトが接続され、逆洗用気体を濾布の開口部に向けて噴射する逆洗手段が各集塵室に設けられているバグフィルタに対して、
給気ダクト内の排ガスにアルカリ剤及び各給気ダクト内の排ガスに助剤を供給する際に、
アルカリ剤供給量の増減もしくはアルカリ剤の供給開始と停止、及び、助剤供給の開始と停止を、逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて制御する排ガス処理方法であって、
集塵運転開始時に、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように、短い所定時間でアルカリ剤を供給し、所定時間後、アルカリ剤の供給を停止することにより、濾布にアルカリ層を形成し、
1つの集塵室が逆洗運転開始のタイミングになったら、当該集塵室のみ濾布列ごとに逆洗ガスをパルスジェット噴射して逆洗を実施するとともに、濾布から付着物を除去している逆洗中に当該集塵室に接続されている給気ダクトへアルカリ剤を供給せず、助剤のみを給気ダクトに吹き込み、濾布表面に助剤を付着させて助剤層を形成し、
次に、当該集塵室の逆洗運転を終了するとき助剤の供給を停止し、その後の集塵運転開始から所定時間の間には、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように短い所定時間で所定量のアルカリ剤を供給し、所定時間後、アルカリ剤の供給を停止することにより、付着物が除去された濾布にアルカリ剤、又はアルカリ剤濃度が高いアルカリ剤層を形成し、次の逆洗運転終了のタイミングまでアルカリ剤は供給せず、アルカリ剤層でアルカリ剤と酸性ガスとの反応を進行させ、
再び逆洗運転開始のタイミングになったら、逆洗を開始するとともに、当該集塵室に接続されている給気ダクトへのアルカリ剤の供給を停止したままとし、助剤のみを供給し、
逆洗終了後から所定時間の間には、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように短い所定時間でアルカリ剤を通常量よりも多く供給し、所定時間後、アルカリ剤の供給を停止し、次の逆洗運転終了のタイミングまでアルカリ剤を供給せず、
次の集塵室についても同様の操作を実施することを特徴とする排ガス処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス処理装置及び排ガス処理方法に係り、特に、廃棄物焼却炉などから排出される燃焼排ガス中の煤塵や酸性ガス成分の除去処理を行う排ガス処理装置及び排ガス処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物焼却炉などから排出され煤塵や酸性ガス(塩化水素ガスHCl、硫黄酸化物SOx)を含む燃焼排ガスから酸性ガスを除去するために、煤塵を捕集除去するバグフィルタの手前の排ガスダクト内を流通する排ガスに酸性ガスを中和するアルカリ剤である消石灰粉体を供給し、消石灰粉体をバグフィルタの筒状濾布外面に付着保持させて、濾布上で酸性ガスと消石灰粉体とを接触させ中和反応により酸性ガスと消石灰粉体との反応生成物を生じさせ、あるいは、排ガスダクト内で酸性ガスと消石灰粉体とを接触させ反応生成物を生じさせ、これを煤塵とともに濾布で捕集して、排ガスから酸性ガスを除去することが行われている。
【0003】
また、排ガスがバグフィルタの筒状濾布外面から内部を通過するときに、煤塵(集塵灰という)、消石灰と酸性ガスとの反応生成物及び未反応の消石灰粉体(これらをまとめて集塵灰等ということがある)が捕集され濾布表面に付着し、煤塵と酸性ガスが除去された浄化ガスが濾布の開口部から排出され、バグフィルタから下流側へ送られ煙突から大気へ排出される。
【0004】
濾布表面に付着した上記の集塵灰等は、バグフィルタの集塵運転を続けていると次第に付着厚さを増大させ、排ガスが濾布を通過する際の通気抵抗(圧力損失)が増加し排ガスを誘引するファンの負荷が大きくなり支障が生じるので、逆洗運転を行い、これを剥離除去する。逆洗運転では、パルスジェット噴射装置により濾布の開口部に向かって噴射される逆洗ガスのパルスジェット気流が、濾布内面から外面に向かって通過することにより、濾布表面に付着した集塵灰等が剥離除去され落下して、バグフィルタの下部に一旦堆積し、適宜外部へ排出される。排出された集塵灰等は、重金属の溶出防止処理等がされ、埋立処分される。逆洗運転は、所定時間ごとあるいは濾布表面に付着した集塵灰等により排ガスが濾布を通過するときの圧力損失が大きくなり、バグフィルタ入口と出口との間の差圧が所定の圧力以上となったときに行われる。
【0005】
ところで、廃棄物焼却施設において運営コストを低減するために、酸性ガス除去用薬剤の使用量削減が求められており、これにより、バグフィルタで捕集する集塵灰等の排出量の削減や処理費用の低減にも繋がる。酸性ガス除去用薬剤としては、上記のように、消石灰が安価で比較的高い酸性ガス除去性能を有することから広く用いられており、必要とされる酸性ガス除去性能を維持しつつ消石灰の使用量を低減することが望まれている。
【0006】
廃棄物燃焼時に発生する燃焼排ガスに含まれるHClは、バグフィルタ濾布表面において消石灰Ca(OH)2と反応すると、以下のように反応式(1)(2)の二段階で反応が進行する。
Ca(OH)2+HCl→CaClOH+H2O (1)
CaClOH+HCl→CaCl2+H2O (2)
【0007】
また、燃焼排ガスに含まれるSOxは、例えばSO2の場合では、消石灰と反応式(3)で反応し、反応生成物が濾布表面に付着し除去される。
Ca(OH)2+SO2 →CaSO3+H2O (3)
【0008】
なお、廃棄物焼却炉における酸性ガスのうち濃度が高いのはHClであるため、以下ではHClの除去について記載する。
【0009】
HCl量およびSOx量と反応する消石灰の理論必要量に対する、実際に供給する消石灰供給量の比率である当量比を低減した低当量比運転を行うことにより、消石灰使用量を低減させることを図るが、その際には反応式(2)まで反応を進めることが必要である。一方、反応式(2)で生成される塩化カルシウムCaCl2は、高い吸湿性と潮解性を有し濾布に対して高い付着性を有するため、バグフィルタの逆洗を行っても十分に剥離除去できず濾布表面に残存しやすい傾向がある。このため、消石灰の低当量比運転を継続した場合、運転時間の経過とともに生成されたCaCl2が徐々に濾布表面に残存し、更に、残存するCaCl2がSOxと反応して濾布表面にSOxとの反応生成物が付着し、残存CaCl2やSOxとの反応生成物が集塵灰と共に濾布表面に固着し固着層が形成される。固着層が形成されるとバグフィルタの逆洗を行っても濾布から固着層を除去できず、排ガスが濾布を透過する際の通気抵抗が増大しバグフィルタの差圧上昇を引き起こし、排ガスを導く誘引ファンの負荷が上昇し電力使用量の増加に繋がり、更に差圧が上昇し続けると焼却炉からの排ガスの排出に支障が生じ焼却炉の安定運転が困難になるという問題が生じる。
【0010】
このようなバグフィルタの固着層形成による差圧上昇から発生する問題の対策として、以下のものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開平9-248413号公報
【文献】特開平9-225255号公報(段落0003)
【文献】特開2005-186037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に記載の方法は、逆洗のためのパルスジェット噴射の噴射圧を高圧にし、濾布表面に形成された固着層を払い落とすものであるが、噴射圧を高圧にした逆洗運転を行うことにより濾布の損耗が生じ耐用寿命が低下するという問題が生じる。
【0013】
また、特許文献2(段落0003)に記載の方法は、珪藻土などの助剤をバグフィルタの上流側で排ガスに吹き込んだり、助剤を消石灰と混合して吹き込み、濾布表面の付着物のうち固着層を形成する原因物質の濃度を希釈して付着性を低減し逆洗時に濾布から付着物を払落し易くして固着層の形成を防止する方法であるが、助剤を常時吹き込むので、助剤使用量が多く費用が嵩み、また、助剤の分だけバグフィルタから排出される集塵灰等の量が増加するため処理コストが増大する問題がある。
【0014】
また、特許文献3に記載の方法は、酸性ガスと中和反応させる薬剤として消石灰の代わりに重曹と親水性固結防止剤としての湿式シリカ粉末と疎水性固結防止剤としての金属石鹸粉末を混合したものを用いるものであり、重曹と酸性ガスとの反応生成物は付着性が小さいことや固結防止剤により、濾布表面への固着層の形成を防止する方法であるが、重曹は消石灰と比較して薬剤単価が高く、運転費が上昇するという問題がある。
【0015】
本発明はこれらの問題点に鑑みなされたものであり、廃棄物燃焼時に発生する排ガス中の酸性ガス(HCl、SOx)を除去する排ガス処理において、消石灰等のアルカリ剤使用量を低減するとともに、バグフィルタの固着層形成による差圧上昇を防止することが可能な排ガス処理装置及び排ガス処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明では、複数の集塵室を有するバグフィルタにおいて、バグフィルタの上流側の排ガスダクト内の排ガスへのアルカリ剤の供給に加え、アルカリ剤と酸性ガスとの反応生成物により固着層が形成されることを抑制するための助剤を逆洗運転時に供給する。
【0017】
バグフィルタが有する複数の集塵室のうちの一つの集塵室において、以下の手順で助剤とアルカリ剤の供給を行い、固着層の形成を防止する。その際、他の集塵室では集塵運転を行う。
【0018】
(1)バグフィルタが有する複数の集塵室のうちの一つの集塵室において、逆洗運転を行い、逆洗により濾布から付着物を除去した直後に、又は逆洗中に、アルカリ剤の排ガスダクトへの吹込みを停止するとともに助剤を排ガスダクトに吹き込み、濾布表面に助剤を付着させ、助剤層を形成する。
または、逆洗中にアルカリ剤を排ガスダクトへ吹き込むとともに、助剤を排ガスダクトに吹き込み、濾布表面に助剤とアルカリ剤の混合物を付着させ、助剤アルカリ剤混合層を形成する。
【0019】
(2)逆洗運転を停止するとき助剤の供給を停止する。その後の集塵運転中には、アルカリ剤のみを供給する。集塵灰、アルカリ剤と酸性ガスとの反応生成物、未反応のアルカリ剤が捕集され濾布表面に付着して集塵灰等の層が形成されるが、集塵灰等の層と濾布との間には助剤層又は助剤アルカリ剤混合層が形成されているため、集塵灰等の層は濾布に固着せず、固着層の形成が防止される。すなわち、固着層の形成前に、濾布表面に助剤が付着しているため、又は助剤アルカリ剤混合物が付着しているため、集塵灰等の層が固着することを防止する。集塵灰等の層は固着していないため、逆洗により容易に濾布から除去することができる。
【0020】
(3)(1)(2)の操作を他の集塵室において順次実施する。
【0021】
逆洗を行うタイミングは、集塵運転を開始してから所定時間経過したとき、あるいはバグフィルタ差圧が所定値まで上昇したとき等、任意に設定することができる。
【0022】
助剤としては、以下のものを用いる。
【0023】
(A)酸性ガスと反応しない、又は酸性ガスとの反応性が低く、濾布表面に付着しても付着性が低く、助剤層又は助剤アルカリ剤混合物層の上に集塵灰等の層が形成されても、逆洗操作により容易に濾布から剥離除去される効果が得られるものであり、珪藻土、石灰石(成分は炭酸カルシウム)等を用いることができる(以下、単に助剤とも称する)。
珪藻土は酸性ガスと反応せず、付着性も低い。炭酸カルシウムは酸性ガスとの反応性がアルカリ剤(消石灰)に比べ低く、酸性ガスとの反応生成物がほとんど生成されず、付着性も低い。
【0024】
(B)酸性ガスとの反応生成物の付着性が低く、助剤層又は助剤アルカリ剤混合物層の上に集塵灰等の層が形成されても、逆洗操作により容易に濾布から剥離除去される効果が得られるものであり、重曹、ドロマイト、特号消石灰等を用いることができる(以下、反応性助剤と称する)。
【0025】
重曹はHClとの反応生成物が塩化ナトリウムNaClであり、消石灰とHClとの反応生成物のCaCl2と比較し吸湿性と付着性が低い。ドロマイトは水酸化カルシウムCa(OH)2と水酸化マグネシウムMg(OH)2との共存物であり、局所的にCaCl2が生成されても、反応性が低いMg(OH)2が共存するため付着性が低い。特号消石灰は、酸性ガスの中和に通常用いられ、微細な粒子で構成された酸性ガスとの反応効率が高い、高反応性消石灰と比較して粒子径が大きい、酸性ガスとの反応性が低い等の特徴があるため、反応生成物の付着性が比較的低く、酸性ガス除去剤として高反応性消石灰を用いる場合、助剤として特号消石灰を用いることができる。
【0026】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、排ガス中の酸性ガスを除去するための排ガス処理装置において、排ガス中の煤塵を集塵する複数の集塵室を有し、各集塵室に排ガスを導入する個別の給気ダクトが接続され、逆洗用気体を濾布の開口部に向けて噴射する逆洗手段が各集塵室に設けられているバグフィルタと、給気ダクト内の排ガスにアルカリ剤を供給するアルカリ剤供給手段と、各給気ダクト内の排ガスに助剤を供給する助剤供給手段と、アルカリ剤供給手段のアルカリ剤供給量の増減もしくはアルカリ剤の供給開始と停止、及び、助剤供給手段の助剤供給の開始と停止を、逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて制御するアルカリ剤助剤供給制御手段と、を備えた排ガス処理装置であって、集塵運転中と逆洗運転中にアルカリ剤を常時供給するとともに、1つの集塵室が逆洗運転開始のタイミングになったら、当該集塵室のみ濾布列ごとに逆洗ガスをパルスジェット噴射し、順次濾布列ごとに逆洗を実施するとともに、前記アルカリ剤供給手段によるアルカリ剤の供給を継続したまま当該集塵室に接続されている給気ダクトに前記助剤供給手段から助剤を供給し、逆洗運転を行い、濾布から付着物を除去している逆洗中にアルカリ剤を給気ダクトへ吹き込むとともに、助剤を給気ダクトに吹き込むことにより、付着物が除去された濾布表面に助剤とアルカリ剤の混合物を付着させて助剤アルカリ剤混合層を形成し、逆洗運転を終了するとき助剤の供給を停止し、その後の集塵運転中にはアルカリ剤のみを供給し、当該集塵室の全ての濾布列の逆洗を終了した後、次の集塵室についても同様の操作を実施することを特徴とする排ガス処理装置により前記課題を解決するものである。
本発明は、又、排ガス中の酸性ガスを除去するための排ガス処理装置において、排ガス中の煤塵を集塵する複数の集塵室を有し、各集塵室に排ガスを導入する個別の給気ダクトが接続され、逆洗用気体を濾布の開口部に向けて噴射する逆洗手段が各集塵室に設けられているバグフィルタと、給気ダクト内の排ガスにアルカリ剤を供給するアルカリ剤供給手段と、各給気ダクト内の排ガスに助剤を供給する助剤供給手段と、アルカリ剤供給手段のアルカリ剤供給量の増減もしくはアルカリ剤の供給開始と停止、及び、助剤供給手段の助剤供給の開始と停止を、逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて制御するアルカリ剤助剤供給制御手段と、を備えた排ガス処理装置であって、集塵運転中はアルカリ剤を連続供給し、1つの集塵室が逆洗運転開始のタイミングになったら、当該集塵室のみ濾布列ごとに逆洗ガスをパルスジェット噴射して逆洗を実施し、濾布から付着物を除去している逆洗中に当該集塵室に接続されている給気ダクトへのアルカリ剤の供給量を所定値まで低減させて一定量で吹き込むとともに、助剤を給気ダクトに吹き込むことにより、付着物が除去された濾布表面に助剤とアルカリ剤の混合物を付着させて助剤アルカリ剤混合層を形成し、当該集塵室の逆洗運転を終了するとき助剤の供給を停止し、アルカリ剤の供給量を連続供給時の供給量に戻し、その後の集塵運転中にはアルカリ剤のみを供給し、次の集塵室についても同様の操作を実施することを特徴とする排ガス処理装置により同様に前記課題を解決するものである。
本発明は、又、排ガス中の酸性ガスを除去するための排ガス処理装置において、排ガス中の煤塵を集塵する複数の集塵室を有し、各集塵室に排ガスを導入する個別の給気ダクトが接続され、逆洗用気体を濾布の開口部に向けて噴射する逆洗手段が各集塵室に設けられているバグフィルタと、給気ダクト内の排ガスにアルカリ剤を供給するアルカリ剤供給手段と、各給気ダクト内の排ガスに助剤を供給する助剤供給手段と、アルカリ剤供給手段のアルカリ剤供給量の増減もしくはアルカリ剤の供給開始と停止、及び、助剤供給手段の助剤供給の開始と停止を、逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて制御するアルカリ剤助剤供給制御手段と、を備えた排ガス処理装置であって、集塵運転開始時に、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように、短い所定時間でアルカリ剤を通常量よりも多く供給し、所定時間後、アルカリ剤の供給を停止することにより、濾布にアルカリ剤層を形成し、1つの集塵室が逆洗運転開始のタイミングになったら、当該集塵室のみ濾布列ごとに逆洗ガスをパルスジェット噴射して逆洗を実施し、濾布から付着物を除去している逆洗中に当該集塵室に接続されている給気ダクトへのアルカリ剤の供給量を所定値で一定量吹き込むとともに、助剤を給気ダクトに吹き込むことにより、付着物が除去された濾布表面に助剤とアルカリ剤の混合物を付着させて助剤アルカリ剤混合層を形成し、当該集塵室の逆洗運転を終了するとき助剤の供給を停止し、その後の集塵運転開始から所定時間の間には、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように短い所定時間でアルカリ剤を通常量よりも多く供給し、所定時間後、アルカリ剤の供給を停止し、次の逆洗運転開始のタイミングまでアルカリ剤を供給しないことによりアルカリ剤濃度が高いアルカリ剤層を、付着物が除去された濾布表面に形成して、アルカリ剤層でアルカリ剤と酸性ガスとの反応を進行させ、再び逆洗運転開始のタイミングになったら、逆洗を開始するとともに、当該集塵室に接続されている給気ダクトにアルカリ剤を所定値で供給し、同時に助剤を供給し、逆洗終了後から所定時間の間には、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように短い所定時間でアルカリ剤を通常量よりも多く供給し、所定時間後、アルカリ剤の供給を停止し、次の逆洗運転開始のタイミングまでアルカリ剤を供給せず、次の集塵室についても同様の操作を実施することを特徴とする排ガス処理装置により同様に前記課題を解決するものである。
本発明は、又、排ガス中の酸性ガスを除去するための排ガス処理装置において、排ガス中の煤塵を集塵する複数の集塵室を有し、各集塵室に排ガスを導入する個別の給気ダクトが接続され、逆洗用気体を濾布の開口部に向けて噴射する逆洗手段が各集塵室に設けられているバグフィルタと、給気ダクト内の排ガスにアルカリ剤を供給するアルカリ剤供給手段と、各給気ダクト内の排ガスに助剤を供給する助剤供給手段と、アルカリ剤供給手段のアルカリ剤供給量の増減もしくはアルカリ剤の供給開始と停止、及び、助剤供給手段の助剤供給の開始と停止を、逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて制御するアルカリ剤助剤供給制御手段と、を備えた排ガス処理装置であって、集塵運転中はアルカリ剤を低当量比条件で連続供給し、1つの集塵室が逆洗運転開始のタイミングになったら、当該集塵室のみ濾布列ごとに逆洗ガスをパルスジェット噴射して逆洗を実施するとともに、濾布から付着物を除去している逆洗中に当該集塵室に接続されている給気ダクトへアルカリ剤を供給せず、助剤のみを給気ダクトに吹き込むことにより、付着物が除去された濾布表面に助剤を付着させて助剤層を形成し、当該集塵室の逆洗運転を終了するとき助剤の供給を停止し、その後の集塵運転中にはアルカリ剤の供給を再開し、アルカリ剤のみを連続供給時の供給量として供給し、次の集塵室についても同様の操作を実施することを特徴とする排ガス処理装置により同様に前記課題を解決するものである。
本発明は、又、排ガス中の酸性ガスを除去するための排ガス処理装置において、排ガス中の煤塵を集塵する複数の集塵室を有し、各集塵室に排ガスを導入する個別の給気ダクトが接続され、逆洗用気体を濾布の開口部に向けて噴射する逆洗手段が各集塵室に設けられているバグフィルタと、給気ダクト内の排ガスにアルカリ剤を供給するアルカリ剤供給手段と、各給気ダクト内の排ガスに助剤を供給する助剤供給手段と、アルカリ剤供給手段のアルカリ剤供給量の増減もしくはアルカリ剤の供給開始と停止、及び、助剤供給手段の助剤供給の開始と停止を、逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて制御するアルカリ剤助剤供給制御手段と、を備えた排ガス処理装置であって、集塵運転開始時に、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように、短い所定時間でアルカリ剤を供給し、所定時間後、アルカリ剤の供給を停止することにより、濾布にアルカリ層を形成し、1つの集塵室が逆洗運転開始のタイミングになったら、当該集塵室のみ濾布列ごとに逆洗ガスをパルスジェット噴射して逆洗を実施するとともに、濾布から付着物を除去している逆洗中に当該集塵室に接続されている給気ダクトへアルカリ剤を供給せず、助剤のみを給気ダクトに吹き込み、濾布表面に助剤を付着させて助剤層を形成し、次に、当該集塵室の逆洗運転を終了するとき助剤の供給を停止し、その後の集塵運転開始から所定時間の間には、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように短い所定時間で所定量のアルカリ剤を供給し、所定時間後、アルカリ剤の供給を停止することにより、付着物が除去された濾布にアルカリ剤、又はアルカリ剤濃度が高いアルカリ剤層を形成し、次の逆洗運転終了のタイミングまでアルカリ剤は供給せず、アルカリ剤層でアルカリ剤と酸性ガスとの反応を進行させ、再び逆洗運転開始のタイミングになったら、逆洗を開始するとともに、当該集塵室に接続されている給気ダクトへのアルカリ剤の供給を停止したままとし、助剤のみを供給し、逆洗終了後から所定時間の間には、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように短い所定時間でアルカリ剤を通常量よりも多く供給し、所定時間後、アルカリ剤の供給を停止し、次の逆洗運転終了のタイミングまでアルカリ剤を供給せず、次の集塵室についても同様の操作を実施することを特徴とする排ガス処理装置により同様に前記課題を解決するものである。
【0027】
本発明は、又、排ガス中の酸性ガスを除去するための排ガス処理方法において、排ガス中の煤塵を集塵する複数の集塵室を有し、各集塵室に排ガスを導入する個別の給気ダクトが接続され、逆洗用気体を濾布の開口部に向けて噴射する逆洗手段が各集塵室に設けられているバグフィルタに対して、給気ダクト内の排ガスにアルカリ剤及び各給気ダクト内の排ガスに助剤を供給する際に、アルカリ剤供給量の増減もしくはアルカリ剤の供給開始と停止、及び、助剤供給の開始と停止を、逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて制御する排ガス処理方法であって、集塵運転中と逆洗運転中にアルカリ剤を常時供給するとともに、1つの集塵室が逆洗運転開始のタイミングになったら、当該集塵室のみ濾布列ごとに逆洗ガスをパルスジェット噴射し、順次濾布列ごとに逆洗を実施するとともに、アルカリ剤の供給を継続したまま当該集塵室に接続されている給気ダクトに助剤を供給し、逆洗運転を行い、濾布から付着物を除去している逆洗中にアルカリ剤を給気ダクトへ吹き込むとともに、助剤を給気ダクトに吹き込むことにより、付着物が除去された濾布表面に助剤とアルカリ剤の混合物を付着させて助剤アルカリ剤混合層を形成し、逆洗運転を終了するとき助剤の供給を停止し、その後の集塵運転中にはアルカリ剤のみを供給し、当該集塵室の全ての濾布列の逆洗を終了した後、次の集塵室についても同様の操作を実施することにより、同様に前記課題を解決するものである。
本発明は、又、排ガス中の酸性ガスを除去するための排ガス処理方法において、排ガス中の煤塵を集塵する複数の集塵室を有し、各集塵室に排ガスを導入する個別の給気ダクトが接続され、逆洗用気体を濾布の開口部に向けて噴射する逆洗手段が各集塵室に設けられているバグフィルタに対して、給気ダクト内の排ガスにアルカリ剤及び各給気ダクト内の排ガスに助剤を供給する際に、アルカリ剤供給量の増減もしくはアルカリ剤の供給開始と停止、及び、助剤供給の開始と停止を、逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて制御する排ガス処理方法であって、集塵運転中はアルカリ剤を連続供給し、1つの集塵室が逆洗運転開始のタイミングになったら、当該集塵室のみ濾布列ごとに逆洗ガスをパルスジェット噴射して逆洗を実施し、濾布から付着物を除去している逆洗中に当該集塵室に接続されている給気ダクトへのアルカリ剤の供給量を所定値まで低減させて一定量で吹き込むとともに、助剤を給気ダクトに吹き込むことにより、付着物が除去された濾布表面に助剤とアルカリ剤の混合物を付着させて助剤アルカリ剤混合層を形成し、当該集塵室の逆洗運転を終了するとき助剤の供給を停止し、アルカリ剤の供給量を連続供給時の供給量に戻し、その後の集塵運転中にはアルカリ剤のみを供給し、次の集塵室についても同様の操作を実施することにより、同様に前記課題を解決するものである。
本発明は、又、排ガス中の酸性ガスを除去するための排ガス処理方法において、排ガス中の煤塵を集塵する複数の集塵室を有し、各集塵室に排ガスを導入する個別の給気ダクトが接続され、逆洗用気体を濾布の開口部に向けて噴射する逆洗手段が各集塵室に設けられているバグフィルタに対して、給気ダクト内の排ガスにアルカリ剤及び各給気ダクト内の排ガスに助剤を供給する際に、アルカリ剤供給量の増減もしくはアルカリ剤の供給開始と停止、及び、助剤供給の開始と停止を、逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて制御する排ガス処理方法であって、集塵運転開始時に、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように、短い所定時間でアルカリ剤を通常量よりも多く供給し、所定時間後、アルカリ剤の供給を停止することにより、濾布にアルカリ剤層を形成し、1つの集塵室が逆洗運転開始のタイミングになったら、当該集塵室のみ濾布列ごとに逆洗ガスをパルスジェット噴射して逆洗を実施し、濾布から付着物を除去している逆洗中に当該集塵室に接続されている給気ダクトへのアルカリ剤の供給量を所定値で一定量吹き込むとともに、助剤を給気ダクトに吹き込むことにより、付着物が除去された濾布表面に助剤とアルカリ剤の混合物を付着させて助剤アルカリ剤混合層を形成し、当該集塵室の逆洗運転を終了するとき助剤の供給を停止し、その後の集塵運転開始から所定時間の間には、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように短い所定時間でアルカリ剤を通常量よりも多く供給し、所定時間後、アルカリ剤の供給を停止し、次の逆洗運転開始のタイミングまでアルカリ剤を供給しないことによりアルカリ剤濃度が高いアルカリ剤層を、付着物が除去された濾布表面に形成して、アルカリ剤層でアルカリ剤と酸性ガスとの反応を進行させ、再び逆洗運転開始のタイミングになったら、逆洗を開始するとともに、当該集塵室に接続されている給気ダクトにアルカリ剤を所定値で供給し、同時に助剤を供給し、逆洗終了後から所定時間の間には、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように短い所定時間でアルカリ剤を通常量よりも多く供給し、所定時間後、アルカリ剤の供給を停止し、次の逆洗運転開始のタイミングまでアルカリ剤を供給せず、次の集塵室についても同様の操作を実施することにより、同様に前記課題を解決するものである。
本発明は、又、排ガス中の酸性ガスを除去するための排ガス処理方法において、排ガス中の煤塵を集塵する複数の集塵室を有し、各集塵室に排ガスを導入する個別の給気ダクトが接続され、逆洗用気体を濾布の開口部に向けて噴射する逆洗手段が各集塵室に設けられているバグフィルタに対して、給気ダクト内の排ガスにアルカリ剤及び各給気ダクト内の排ガスに助剤を供給する際に、アルカリ剤供給量の増減もしくはアルカリ剤の供給開始と停止、及び、助剤供給の開始と停止を、逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて制御する排ガス処理方法であって、集塵運転中はアルカリ剤を低当量比条件で連続供給し、1つの集塵室が逆洗運転開始のタイミングになったら、当該集塵室のみ濾布列ごとに逆洗ガスをパルスジェット噴射して逆洗を実施するとともに、濾布から付着物を除去している逆洗中に当該集塵室に接続されている給気ダクトへアルカリ剤を供給せず、助剤のみを給気ダクトに吹き込むことにより、付着物が除去された濾布表面に助剤を付着させて助剤層を形成し、当該集塵室の逆洗運転を終了するとき助剤の供給を停止し、その後の集塵運転中にはアルカリ剤の供給を再開し、アルカリ剤のみを連続供給時の供給量として供給し、次の集塵室についても同様の操作を実施することにより、同様に前記課題を解決するものである。
本発明は、又、排ガス中の酸性ガスを除去するための排ガス処理方法において、排ガス中の煤塵を集塵する複数の集塵室を有し、各集塵室に排ガスを導入する個別の給気ダクトが接続され、逆洗用気体を濾布の開口部に向けて噴射する逆洗手段が各集塵室に設けられているバグフィルタに対して、給気ダクト内の排ガスにアルカリ剤及び各給気ダクト内の排ガスに助剤を供給する際に、アルカリ剤供給量の増減もしくはアルカリ剤の供給開始と停止、及び、助剤供給の開始と停止を、逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて制御する排ガス処理方法であって、集塵運転開始時に、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように、短い所定時間でアルカリ剤を供給し、所定時間後、アルカリ剤の供給を停止することにより、濾布にアルカリ層を形成し、1つの集塵室が逆洗運転開始のタイミングになったら、当該集塵室のみ濾布列ごとに逆洗ガスをパルスジェット噴射して逆洗を実施するとともに、濾布から付着物を除去している逆洗中に当該集塵室に接続されている給気ダクトへアルカリ剤を供給せず、助剤のみを給気ダクトに吹き込み、濾布表面に助剤を付着させて助剤層を形成し、次に、当該集塵室の逆洗運転を終了するとき助剤の供給を停止し、その後の集塵運転開始から所定時間の間には、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように短い所定時間で所定量のアルカリ剤を供給し、所定時間後、アルカリ剤の供給を停止することにより、付着物が除去された濾布にアルカリ剤、又はアルカリ剤濃度が高いアルカリ剤層を形成し、次の逆洗運転終了のタイミングまでアルカリ剤は供給せず、アルカリ剤層でアルカリ剤と酸性ガスとの反応を進行させ、再び逆洗運転開始のタイミングになったら、逆洗を開始するとともに、当該集塵室に接続されている給気ダクトへのアルカリ剤の供給を停止したままとし、助剤のみを供給し、逆洗終了後から所定時間の間には、アルカリ剤の濾布への付着量が所定量となるように短い所定時間でアルカリ剤を通常量よりも多く供給し、所定時間後、アルカリ剤の供給を停止し、次の逆洗運転終了のタイミングまでアルカリ剤を供給せず、次の集塵室についても同様の操作を実施することにより、同様に前記課題を解決するものである。
【0028】
ここで、後出運転モード1~5の全てで実施されているように、(前記アルカリ剤助剤供給制御手段が、)逆洗運転中にのみ助剤を供給することができる。
【0029】
又、後出運転モード2~5で実施されているように、(前記アルカリ剤助剤供給制御手段が、)逆洗運転中にアルカリ剤の供給量を低減することができる。
【0030】
又、後出運転モード3、5で実施されているように、(前記アルカリ剤助剤供給制御手段が、)逆洗運転終了後又は集塵運転開始時に所定期間だけ、バグフィルタの濾布表面にアルカリ剤を多く含む層を形成するように、アルカリ剤を所定量供給した後、供給を停止することができる。
【0031】
又、後出運転モード4、5で実施されているように、(前記アルカリ剤助剤供給制御手段が、)逆洗運転時にアルカリ剤の供給を停止し、反応性助剤のみを供給することができる。
【0032】
又、後出運転モード1のように、(前記アルカリ剤助剤供給制御手段が、)一つの集塵室において、集塵運転時にアルカリ剤を低当量比条件で常時供給し(以下、通常供給とする)、逆洗運転が開始されたとき、アルカリ剤の通常供給を保持するとともに助剤供給を開始し、逆洗運転が停止されたとき、アルカリ剤の通常供給を保持するとともに助剤供給を停止するように制御し、次に他の集塵室において、集塵運転時と逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて同様に制御することができる。
【0033】
又、後出運転モード2のように、(前記アルカリ剤助剤供給制御手段が、)一つの集塵室において、集塵運転時にアルカリ剤を通常供給し、逆洗運転が開始されたとき、アルカリ剤を通常供給から減少するとともに助剤供給を開始し、逆洗運転が停止されたとき、アルカリ剤を通常供給に戻すとともに助剤供給を停止するように制御し、次に他の集塵室において、集塵運転時と逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて同様に制御することができる。
【0034】
又、後出運転モード3のように、(前記アルカリ剤助剤供給制御手段が、)一つの集塵室において、集塵運転開始時に、バグフィルタの濾布表面にアルカリ剤を多く含む層を形成するように、アルカリ剤供給量を所定量として所定時間供給した後、供給を停止し、逆洗運転が開始されたとき、アルカリ剤を所定値で一定量供給するとともに助剤供給を開始し、逆洗運転が停止されたとき、アルカリ剤供給量を連続供給時の通常量より多い所定量として所定時間供給した後、供給を停止するとともに助剤供給を停止するように制御し、次に他の集塵室において、逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて同様に制御することができる。
【0035】
又、後出運転モード4のように、前記助剤が反応性助剤であって、(前記アルカリ剤助剤供給制御手段が、)一つの集塵室において、集塵運転時にアルカリ剤を通常供給し、逆洗運転が開始されたとき、アルカリ剤供給を停止するとともに反応性助剤供給を開始し、逆洗運転が停止されたとき、アルカリ剤を通常供給するとともに反応性助剤供給を停止するように制御し、次に他の集塵室において、集塵運転時と逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて同様に制御することができる。
【0036】
又、後出運転モード5のように、前記助剤が反応性助剤であって、(前記アルカリ剤助剤供給制御手段が、)一つの集塵室において、集塵運転開始時に、バグフィルタの濾布表面にアルカリ剤を多く含む層を形成するように、アルカリ剤供給量を所定量として所定時間供給した後、供給を停止し、逆洗運転が開始されたとき、反応性助剤供給を開始し、逆洗運転が停止されたとき、反応性助剤供給を停止するとともに、バグフィルタの濾布表面にアルカリ剤を多く含む層を形成するように、アルカリ剤供給量を所定量として所定時間供給した後、供給を停止するように制御し、次に他の集塵室において、集塵運転開始時と逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて同様に制御することができる。
【0037】
又、前記助剤を、珪藻土、石灰石(成分は炭酸カルシウム)、重曹、ドロマイト、特号消石灰のうちのいずれかとすることができる。
【0038】
又、前記反応性助剤を、重曹、ドロマイト、特号消石灰のうちのいずれかとすることができる。
【発明の効果】
【0039】
廃棄物焼却炉などから排出される燃焼排ガスから酸性ガスを除去する排ガス処理において、バグフィルタで集塵灰、アルカリ剤(例えば消石灰)と酸性ガス(例えばHCl)との反応生成物(例えばCaCl2)、未反応のアルカリ剤が捕集され、濾布表面に付着して集塵灰等の層が形成されるが、本発明によれば、集塵灰等の層と濾布との間には助剤層又は助剤アルカリ剤混合層が形成されているため、集塵灰等の層は濾布に固着せず、固着層の形成が防止される。すなわち、固着層の形成前に、濾布表面に助剤又は助剤アルカリ剤混合物が付着しているため、集塵灰等の層が固着することを防止することができる。従って、アルカリ剤の低当量比運転を継続しても固着層が形成されず成長しないので、アルカリ剤使用量を低減することができる。更に、逆洗により集塵灰等の層を容易に濾布から除去することができるので、バグフィルタの固着層形成による差圧上昇を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明に係る排ガス処理装置の構成を示す全体図
【
図2】前記実施形態における第1の運転モードを示すタイムチャート
【
図3】同じく第2の運転モードを示すタイムチャート
【
図4】同じく第3の運転モードを示すタイムチャート
【
図5】同じく第4の運転モードを示すタイムチャート
【
図6】同じく第5の運転モードを示すタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態及び実施例に記載した内容により限定されるものではない。また、以下に記載した実施形態及び実施例における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態及び実施例で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。加えて、以下の実施形態の説明では、後述するバグフィルタにより捕集した集塵灰、未反応アルカリ剤、及び、酸性ガスとアルカリ剤との反応生成物をまとめて集塵灰等ということがある。
【0042】
本発明が実施される排ガス処理装置の全体構成を
図1に示す。この排ガス処理装置では、図示しない廃棄物焼却炉などから排出された煤塵や酸性ガスを含む燃焼排ガスから酸性ガスを除去するために、煤塵を捕集除去するバグフィルタ20の手前の排ガス給気ダクト(以下、単に給気ダクトと称する)10A、10B内を流通する排ガスにアルカリ剤である消石灰粉体を供給し、消石灰粉体をバグフィルタ20の筒状濾布24の外面に付着させて、濾布24上で酸性ガスと消石灰粉体とを接触させ、中和反応により酸性ガスと消石灰粉体との反応生成物を生成させ、あるいは、給気ダクト10A、10B内で酸性ガスと消石灰粉体とを接触させ、反応生成物を生成させ、これを煤塵と共に濾布24で捕集して、排ガスから酸性ガスを除去することが行われる。
【0043】
前記バグフィルタ20は、排ガス中の煤塵を集塵する複数(図では2つ)の集塵室22A、22Bを有し、各集塵室22A、22Bに排ガスを導入する個別の給気ダクト10A、10Bが接続されている。
【0044】
前記濾布24は、その外面から排気ガスを通気し、煤塵等を捕集し、浄化ガスをその上部の開口部から排出する。この濾布24は、複数の筒状濾布が一つの濾布列をなし、さらに複数列で配設されている。
【0045】
各集塵室22A、22Bから除塵された浄化ガスは、排気ダクト26A、26Bにより個別に排出される。ファン28は、図示しない廃棄物焼却炉などから排ガスをバグフィルタ20へ誘引し、除塵と酸性ガスの除去が行われた浄化ガスをバグフィルタ20から排出し、図示しない煙突から大気へ排出する。
【0046】
前記バグフィルタ20の集塵運転を続けていると、濾布24表面に付着した集塵灰などは次第に付着量を増大させ、排ガスが濾布24を通過する際の通気抵抗(圧力損失)が増加し、排ガスを誘引するファン28の負荷が大きくなり支障が生じるので、逆洗運転が行われる。この逆洗運転では、逆洗装置30であるパルスジェット噴射装置により濾布24の開口部に向かって噴射される逆洗ガスのパルスジェット気流が、濾布24内面から外面に向かって通過することにより、濾布24表面に付着した集塵灰等が剥離除去され落下して、バグフィルタ20の下部に一旦堆積し、下部排出口(図示省略)から適宜外部へ排出される。逆洗運転は、所定時間ごとあるいは濾布24表面に付着した集塵灰等により排ガスが濾布24を通過するときの圧力損失が大きくなり、バグフィルタ20入口と出口との間の差圧が所定の圧力以上となったときに行われる。
【0047】
前記逆洗装置30は、図示しない逆洗ガス供給源から供給される逆洗ガスをバグフィルタ20の各集塵室22A、22Bに導くための逆洗ガス配管32A、32Bと、該逆洗ガス配管32A、32Bによって導かれた逆洗ガスを濾布24の内面に噴射するパルスジェット噴射ノズル34と、前記逆洗ガス配管32A、32Bを開閉して逆洗ガスの流通の開始と停止を行うための開閉弁36A、36Bを備えている。
【0048】
前記パルスジェット噴射ノズル34は、濾布24の開口部に向かって逆洗ガスを噴射するように配列され、一つの濾布列ごとに逆洗を行い、他の濾布列では集塵操作が行われ、順次濾布列ごとに逆洗を行うようになっている。
【0049】
又、一つの集塵室で逆洗を行っているときは、他の集塵室では集塵運転を継続して行い、一つの集塵室の逆洗が終了したら、他の集塵室の逆洗を開始する。
【0050】
更に、前記給気ダクト10A、10Bには、給気ダクト10A、10B内の排ガスにそれぞれアルカリ剤(実施形態では消石灰)を供給するための消石灰供給装置42A、42Bと、が備えられ、さらに各給気ダクト10A、10B内の排ガスに助剤を供給するための助剤供給装置44A、44Bと、消石灰供給装置42A、42Bの消石灰供給量の増減又は消石灰供給の開始と停止と、助剤供給装置44A、44Bの助剤供給の開始と停止とを、逆洗運転開始と停止のタイミングに合わせて制御する消石灰助剤供給制御装置50と、が備えられている。
【0051】
前記消石灰助剤供給制御装置50は、逆洗装置30から各集塵室22A、22Bの逆洗運転開始、終了の信号を受け、消石灰供給装置42A、42B、助剤供給装置44A、44Bの運転を制御することにより、消石灰及び助剤の供給開始、停止タイミング及び供給量を制御する。
【0052】
また、給気ダクト10A、10Bの上流側で燃焼排ガス中の酸性ガス濃度をバグフィルタ入口酸性ガス濃度として測定する分析計9と、ファン28の下流側で浄化ガス中の酸性ガス濃度をバグフィルタ出口酸性ガス濃度として測定する分析計29とのうち少なくとも一つが備えられ、分析計9、分析計29による酸性ガス濃度測定値に基づき集塵運転中の消石灰供給量を制御する消石灰供給量制御装置(図示せず)が備えられている。
【0053】
以下、消石灰助剤供給制御装置50によって行われる各運転モードについて詳細に説明する。
【0054】
(運転モード1)逆洗運転時の消石灰供給量を集塵運転時と同様に制御
この運転モード1では、
図2において、消石灰供給量と助剤供給量の時間経緯を示す如く、集塵運転中と逆洗運転中に消石灰を低当量比条件で常時供給する。消石灰供給量の制御は、分析計29によるバグフィルタ出口酸性ガス濃度に応じて制御するフィードバック制御、分析計9によるバグフィルタ入口酸性ガス濃度に応じて制御するフィードフォワード制御、およびその組合わせのフィードフォワード+フィードバック制御のうちのいずれかが用いられる。
【0055】
集塵室22Aが逆洗運転開始のタイミングになったら、集塵室22Aのみ濾布列ごとにパルスジェット噴射ノズル34から逆洗ガスを噴射し、順次濾布列ごとに逆洗を実施するとともに、集塵室22Aに接続されている給気ダクト10Aに助剤供給装置44Aから助剤を供給する。このとき、消石灰供給装置42Aによる消石灰の供給を継続している。
【0056】
逆洗運転を行い、濾布24から付着物を除去している逆洗中に消石灰を給気ダクト10Aへ吹き込むとともに、助剤を給気ダクト10Aに吹き込むことにより、付着物が除去された濾布24表面に助剤と消石灰の混合物を付着させ、助剤消石灰混合層を形成する。
【0057】
そして、逆洗運転を終了するとき助剤の供給を停止する。その後の集塵運転中には消石灰のみを供給する。集塵運転中に、集塵灰、消石灰とHClとの反応生成物であるCaCl2、未反応の消石灰が捕集され濾布24表面に付着して集塵灰等の層が形成されるが、集塵灰等の層と濾布24との間には助剤消石灰混合層が形成されているため、集塵灰等の層は濾布24に固着せず、固着層の形成が防止される。すなわち、固着層の形成前に、濾布24表面に助剤消石灰混合物が付着しているため、集塵灰等の層が固着することを防止する。従って、消石灰の低当量比運転を継続しても固着層が形成されず成長しない。
【0058】
次に、集塵室22Aの全ての濾布列の逆洗を終了した後、集塵室22Bについても同様の操作を実施する。即ち、集塵室22Aと集塵室22Bでは一定時間毎又はバグフィルタ差圧が所定範囲に達するタイミングに同じ操作を実施する。
【0059】
この運転モード1では、全ての助剤を使用可能である。
【0060】
また、この運転モード1を行う排ガス処理装置では、給気ダクト10A、10B内の排ガスに消石灰を供給する消石灰供給装置として、消石灰供給装置42A、42Bの代わりに給気ダクト10Aと10Bに分岐する上流側のダクトに一つの消石灰供給装置を備えるようにしてもよい。
【0061】
(運転モード2)消石灰供給量を逆洗運転時に低減
この運転モード2では、
図3に示す如く、集塵運転中は消石灰を低当量比条件で連続供給する。消石灰供給量の制御方法は、運転モード1と同様である。
【0062】
例えば集塵室22Aが逆洗運転開始のタイミングになったら、集塵室22Aのみ濾布列ごとにパルスジェット噴射ノズル34から逆洗ガスを噴射し逆洗を実施する。そして濾布24から付着物を除去している逆洗中に集塵室22Aに接続されている給気ダクト10Aへの消石灰の供給量を所定値まで低減させて一定量で吹き込むとともに、助剤を給気ダクト10Aに吹き込むことにより、付着物が除去された濾布24表面に助剤と消石灰の混合物を付着させ、助剤消石灰混合層を形成する。
【0063】
そして、集塵室22Aの逆洗運転を終了するとき、助剤の供給を停止し、消石灰の供給量を連続供給時(通常時とも称する)の供給量に戻す。その後の集塵運転中には消石灰のみを供給する。集塵運転中に、集塵灰、消石灰とHClとの反応生成物であるCaCl2、未反応の消石灰が捕集され濾布表面に付着して集塵灰等の層が形成されるが、集塵灰等の層と濾布24との間には助剤消石灰混合層が形成されていて、しかも、逆洗運転時に消石灰供給量を低減しているので運転モード1に比べて助剤消石灰混合層の助剤比率が高められ、助剤消石灰混合層の濾布24への付着性がさらに低くなるため、集塵灰等の層は濾布に固着せず、固着層の形成が防止される。すなわち、固着層の形成前に、濾布24表面に助剤消石灰混合物が付着しているため、集塵灰等の層が固着することを防止する。従って、消石灰の低当量比運転を継続しても固着層が形成されず成長しない。
【0064】
集塵室22Bについても同様の操作を実施する。即ち、集塵室22Aと集塵室22Bでは、一定時間毎又はバグフィルタ差圧が所定範囲に達するタイミングに同じ操作を実施する。
【0065】
この運転モード2でも、全ての助剤を使用可能である。
【0066】
(運転モード3)集塵運転時に消石灰層を形成、逆洗運転時に消石灰を定量吹込み
この運転モード3では、
図4に示す如く、集塵運転開始時に、消石灰の濾布24への付着量が所定量となるように、比較的短時間の所定時間で消石灰を通常量よりも多く供給し、所定時間後、消石灰の供給を停止する。この操作により、濾布24に消石灰層を形成する。
【0067】
そして、集塵室22Aが逆洗運転開始のタイミングになったら、集塵室22Aのみ濾布列ごとにパルスジェット噴射ノズル34から逆洗ガスを噴射し逆洗を実施する。そして、濾布24から付着物を除去している逆洗中に集塵室22Aに接続されている給気ダクト10Aへの消石灰の供給量を所定値で一定量吹き込むとともに、助剤を給気ダクト10Aに吹き込むことにより、付着物が除去された濾布24表面に助剤と消石灰の混合物を付着させ、助剤消石灰混合層を形成する。
【0068】
そして、集塵室22Aの逆洗運転を終了するとき助剤の供給を停止する。その後の集塵運転開始から所定時間の間には、消石灰の濾布24への付着量が所定量となるように比較的短時間の所定時間で消石灰を通常量よりも多く供給し、所定時間後、消石灰の供給を停止し、次の逆洗運転開始のタイミングまで消石灰を供給しない。この操作により消石灰濃度が高い消石灰層が、付着物が除去された濾布24の表面に形成される。そして、消石灰層で消石灰と酸性ガスとの反応を進行させる。
【0069】
集塵運転中に、集塵灰、消石灰とHClとの反応生成物であるCaCl2、未反応の消石灰が濾布24表面に付着して集塵灰等の層が形成されるが、集塵灰等の層と濾布24との間には濾布24表面に助剤消石灰混合層が形成されていて、しかも、逆洗運転時に消石灰供給量を低減しているので、助剤消石灰混合層の助剤比率が高められ、助剤消石灰混合層の濾布24への付着性が低くなるため、集塵灰等の層は濾布24に固着せず、固着層の形成が防止される。すなわち、固着層の形成前に、濾布24表面に助剤消石灰混合物が付着しているため、集塵灰等の層が固着することを防止する。加えて、助剤消石灰混合層の上に消石灰の濃度が高い消石灰層を形成しているため、消石灰と酸性ガスとの反応率を向上させることができる。
【0070】
そして、再び逆洗運転開始のタイミングになったら、逆洗を開始するとともに、集塵室22Aに接続されている給気ダクト10Aに消石灰を所定値で供給し、同時に助剤を供給する。そして、逆洗終了後から所定時間の間には、消石灰の濾布24への付着量が所定量となるように比較的短時間の所定時間で消石灰を通常量よりも多く供給し、所定時間後、消石灰の供給を停止し、次の逆洗運転開始のタイミングまで消石灰を供給しない。
【0071】
集塵室22Bについても同様の操作を実施する。即ち、集塵室22Aと集塵室22Bでは、一定時間毎又はバグフィルタ差圧が所定範囲に達するタイミングに同じ操作を実施する。
【0072】
この運転モード3でも、全ての助剤を使用可能である。
【0073】
(運転モード4)消石灰供給を逆洗運転時に停止
この運転モード4では、
図5に示す如く、集塵運転中は消石灰を低当量比条件で連続供給する。消石灰供給量の制御方法は、運転モード1と同様である。
【0074】
例えば集塵室22Aが逆洗運転開始のタイミングになったら、集塵室22Aのみ濾布列ごとにパルスジェット噴射ノズル34から逆洗ガスを噴射し逆洗を実施するとともに、濾布24から付着物を除去している逆洗中に集塵室22Aに接続されている給気ダクト10Aへ消石灰を供給せず、助剤のみを給気ダクト10Aに吹き込むことにより、付着物が除去された濾布24表面に助剤を付着させ、助剤層を形成する。
【0075】
そして、集塵室22Aの逆洗運転を終了するとき、助剤の供給を停止し、その後の集塵運転中には消石灰の供給を再開し、消石灰のみを連続供給時の供給量として供給する。集塵運転中に、集塵灰、消石灰とHClとの反応生成物であるCaCl2、未反応の消石灰が捕集され濾布24表面に付着して集塵灰等の層が形成されるが、集塵灰等の層と濾布24との間には助剤層が形成されていて、助剤層の濾布24への付着性が低いため、集塵灰等の層は濾布24に固着せず、固着層の形成が防止される。すなわち、固着層の形成前に、濾布24表面に助剤が付着しているため、集塵灰等の層が固着することを防止する。従って、消石灰の低当量比運転を継続しても固着層が形成されず成長しない。
【0076】
集塵室22Bについても同様の操作を実施する。即ち、集塵室22Aと集塵室22Bでは一定時間毎又はバグフィルタ差圧が所定範囲に達するタイミングに同じ操作を実施する。
【0077】
この運転モード4では、逆洗時に消石灰の供給を停止するので、酸性ガス除去性能を維持するために酸性ガスとの反応に寄与しない珪藻土、石灰石(成分は炭酸カルシウム)以外の反応性助剤を使用する必要があるが、消石灰を常に連続して供給する運転モード1~3に比べて消石灰使用量を低減でき、運転コストを低減できる。
【0078】
(運転モード5)集塵運転開始時に消石灰層を形成、逆洗後に消石灰層を形成
この運転モード5では、
図6に示す如く、集塵運転開始時に、消石灰の濾布24への付着量が所定量となるように、比較的短時間の所定時間で消石灰を供給し、所定時間後、消石灰の供給を停止する。この操作により、濾布24に消石灰層を形成する。
【0079】
そして、集塵室22Aが逆洗運転開始のタイミングになったら、集塵室22Aのみ濾布列ごとにパルスジェット噴射ノズル34から逆洗ガスを噴射し逆洗を実施するとともに、濾布24から付着物を除去している逆洗中に集塵室22Aに接続されている給気ダクト10Aへ消石灰を供給せず、助剤のみを給気ダクト10Aに吹き込み、濾布24表面に助剤を付着させ、助剤層を形成する。
【0080】
次に、集塵室22Aの逆洗運転を終了するとき、助剤の供給を停止し、その後の集塵運転開始から所定時間の間には、消石灰の濾布24への付着量が所定量となるように比較的短時間の所定時間で所定量の消石灰を供給し、所定時間後、消石灰の供給を停止する。この操作により、付着物が除去された濾布24に消石灰、又は消石灰濃度が高い消石灰層を形成する。なお、次の逆洗運転終了のタイミングまで消石灰は供給せず、消石灰層で消石灰と酸性ガスとの反応を進行させる。
【0081】
また、集塵運転中に、集塵灰、消石灰とHClとの反応生成物であるCaCl2、未反応の消石灰が濾布24表面に付着して集塵灰等の層が形成されるが、集塵灰等の層と濾布24との間には濾布24表面に助剤層が形成されており、助剤層の濾布24への付着性が低くなるため、集塵灰等の層は濾布24に固着せず、固着層の形成が防止される。すなわち、固着層の形成前に、濾布24表面に助剤が付着しているため、集塵灰等の層が固着することを防止する。加えて、助剤層の上に消石灰層を形成しているため、消石灰と酸性ガスとの反応率を向上させることができる。さらに、消石灰層を形成後、消石灰の供給を停止するので、消石灰の使用量を低減することができる。
【0082】
そして、再び逆洗運転開始のタイミングになったら、逆洗を開始するとともに、集塵室22Aに接続されている給気ダクト10Aへの消石灰の供給を停止したままとし、助剤のみを供給する。また、逆洗終了後から所定時間の間には、消石灰の濾布への付着量が所定量となるように比較的短時間の所定時間で消石灰を通常量よりも多く供給し、所定時間後、消石灰の供給を停止し、次の逆洗運転終了のタイミングまで消石灰を供給しない。
【0083】
集塵室22Bについても同様の操作を実施する。即ち、集塵室22Aと集塵室22Bでは、一定時間毎又はバグフィルタ差圧が所定範囲に達するタイミングに同じ操作を実施する。
【0084】
この運転モード5では、逆洗時に消石灰の供給を停止するので、酸性ガスとの反応に寄与しない珪藻土、石灰石以外の反応性助剤を使用する必要があるが、消石灰を常に連続して供給する運転モード1~3に比べて消石灰使用量を低減でき、運転コストを低減できる。
【0085】
前記運転モードは、1つのみを繰り返しても良いし、任意の複数の運転モードを組み合わせて、任意の順番で行うこともできる。
【0086】
前記実施形態においてはアルカリ剤として消石灰が用いられていたが、アルカリ剤の種類はこれに限定されず、例えば重曹やドロマイトなどを用いることも可能である。
【0087】
又、前記実施形態においては、集塵室の数が2つとされていたが、3以上であっても良い。
【符号の説明】
【0088】
9、29…分析計
10A、10B…(排ガス)給気ダクト
20…バグフィルタ
22A、22B…集塵室
24…濾布
26A、26B…排気ダクト
28…ファン
30…逆洗装置(パルスジェット噴射装置)
32A、32B…逆洗ガス配管
34…パルスジェット噴射ノズル
36A、36B…開閉弁
42A、42B…消石灰供給装置
44A、44B…助剤供給装置
50…消石灰助剤供給制御装置