(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】ハーネス部品
(51)【国際特許分類】
H01R 12/58 20110101AFI20221012BHJP
【FI】
H01R12/58
(21)【出願番号】P 2018234259
(22)【出願日】2018-12-14
【審査請求日】2021-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 雄太
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-007176(JP,U)
【文献】実公平01-040133(JP,Y2)
【文献】特開2010-108663(JP,A)
【文献】実開平01-142167(JP,U)
【文献】特開2011-070776(JP,A)
【文献】特開2012-104307(JP,A)
【文献】特開2018-10745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R9/03-9/11
H01R4/00-4/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に接続される棒状の棒端子部、
及び前記棒端子部につながる金属材料の一部が扁平化されるとともに折り曲げ
られて形成された折曲端子部を有する複数の端子と、
前記各端子の棒端子部が貫通する複数の貫通孔、及び前記折曲端子部が配されるとともに前記各貫通孔に連通して前記貫通孔と反対側に開口部を有する複数の端子収容穴を有するハウジングと、
前記各開口部から前記各端子収容穴に配されて、前記折曲端子部にかしめられた複数の電線と、を備え
、
前記棒端子部は、前記棒端子部の長手方向に直交する断面の形状が、空間を持たない凸多角形又は円形であり、かつ、前記回路基板のスルーホールに挿入されて前記回路基板にはんだ付けされる、ハーネス部品。
【請求項2】
前記折曲端子部には、前記ハウジングに係止されて、前記端子収容穴からの前記端子の抜け止めをする抜止部が形成されている、請求項
1に記載のハーネス部品。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記回路基板に係合するハウジング係合部を一体に備える、請求項1
又は2に記載のハーネス部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハーネス部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のハーネス部品は、回路基板の厚み方向における一方側に実装される雄コネクタと、雄コネクタに嵌合された雌コネクタとを備える。
【0003】
雄コネクタは、回路基板のスルーホールに電気的に接続される雄端子と、雄端子を収容する電気的絶縁性を有する樹脂等からなる雄ハウジングとを備える。雄ハウジングは、回路基板側の反対側に開口する有底筒状のコネクタ嵌合部を備える。コネクタ嵌合部には、その開放側から雌コネクタが嵌合される。また、雄端子は、コネクタ嵌合部の底壁に対して、前記開放側から圧入されており、雄端子の一部である電気接触部が、コネクタ嵌合部の内側に突出している。
【0004】
雄コネクタのコネクタ嵌合部の内側に雌コネクタが嵌合されることで、電気接触部と雌コネクタの雌端子とが電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記雌コネクタは、雄端子に電気的に接続される雌端子と、前記雌端子を収容する電気的絶縁性を有する雌ハウジングとを備えるものが考えられる。しかしながら、この場合、雄ハウジングと雌ハウジングとの2つのハウジング部材を嵌合する必要があり、部品点数の増加や大型化を招きやすい。さらに、電線と回路基板に接続される雄端子との間には、雌端子が介在することとなるが、部品点数削減の観点から改善の余地がある。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、部品点数の削減及び小型化を図ることができるハーネス部品を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、回路基板に接続される棒状の棒端子部、及び前記棒端子部につながる金属材料の一部が扁平化されるとともに折り曲げられて形成された折曲端子部を有する複数の端子と、
前記各端子の棒端子部が貫通する複数の貫通孔、及び前記折曲端子部が配されるとともに前記各貫通孔に連通して前記貫通孔と反対側に開口部を有する複数の端子収容穴を有するハウジングと、
前記各開口部から前記各端子収容穴に配されて、前記折曲端子部にかしめられた複数の電線と、を備え、
前記棒端子部は、前記棒端子部の長手方向に直交する断面の形状が、空間を持たない凸多角形又は円形であり、かつ、前記回路基板のスルーホールに挿入されて前記回路基板にはんだ付けされる、ハーネス部品にある。
【発明の効果】
【0009】
前記態様のハーネス部品において、各端子は、回路基板を接続する棒端子部と、端子収容穴内において電線にかしめられる折曲端子部とを備える。それゆえ、回路基板に接続される端子と電線との間には、別の端子が介在しない。そのため、例えば電線と回路基板との間に、雌端子と雄端子とを介在させる場合に比べ、部品点数の削減を図りやすい。また、雄端子を収容する雄ハウジングと、雌端子を収容する雌ハウジングと、の2つのハウジング部材を嵌合する従来の構造を採用しておらず、ハウジング部材の部品点数の削減を図ることもできる。これにより、ハーネス部品全体の小型化を実現しやすい。
【0010】
また、各端子は、各端子収容穴に配されている。それゆえ、ハーネス部品を製造するに当たっては、端子のかしめ部に電線をかしめ、次いで、端子を端子収容穴に挿入することで、ハウジングに対する端子及び電線の位置決めが容易である。また、複数の端子は、一つずつハウジングの各端子収容穴に挿入されるため、端子をハウジングに組み付ける際の端子のガタ付きが防止される。それゆえ、ハーネス部品の生産性を向上させやすい。
【0011】
以上のごとく、前記態様によれば、部品点数の削減及び小型化を図ることができるハーネス部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態1における、ハーネス部品の斜視図。
【
図2】実施形態1における、回路基板に取り付けられたハーネス部品の平面図。
【
図3】
図2の、III-III線矢視断面図であって、ハウジングに対するリテーナの位置が、本係止位置にあるときのハーネス部品の断面図。
【
図4】実施形態1における、ハーネス部品の背面図。
【
図5】実施形態1における、端子及び電線の平面図。
【
図6】(a)
図5のVIa-VIa断面図、(b)
図5のVIb-VIb断面図。
【
図7】実施形態1における、電線をかしめた端子をハウジングに組み付ける様子を示す断面図。
【
図8】実施形態1における、ハウジングに対するリテーナの位置が、仮係止位置にあるときのハーネス部品の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
ハーネス部品の実施形態につき、
図1~
図8を用いて説明する。
本実施形態のハーネス部品1は、
図1~
図3に示すごとく、複数の端子2とハウジング3と複数の電線4とを備える。
【0014】
図2、
図3、
図5に示すごとく、複数の端子2は、回路基板11に接続される棒状の棒端子部21、及び導体板を折り曲げて形成された折曲端子部22を有する。
【0015】
図1、
図4に示すごとく、ハウジング3は、複数の貫通孔31、及び複数の端子収容穴32を有する。
図3に示すごとく、貫通孔31は、端子2の棒端子部21が貫通している。端子収容穴32には、折曲端子部22が配されている。また、端子収容穴32は、貫通孔31に連通して貫通孔31と反対側に開口部321を備えている。
【0016】
図3に示すごとく、電線4は、開口部321から端子収容穴32に配されている。
図3、
図5に示すごとく、電線4は、折曲端子部22にかしめられている。なお、
図5において、折曲端子部22をかしめる前の端子2の外形を二点鎖線で表している。
以後、本実施形態につき詳説する。
【0017】
以後、端子収容穴32の形成方向(軸方向)をX方向という。X方向において、端子収容穴32における開口部321が形成された側をX1側といい、端子収容穴32における貫通孔31が形成された側をX2側という。
【0018】
図2、
図3に示すごとく、ハーネス部品1は、複数の端子2の棒端子部21が回路基板11に接続され、電線4が制御装置等の電子機器に接続されることで、回路基板11と電子機器との間を電気的に中継する。
【0019】
ハウジング3は、電気的絶縁性を有する樹脂からなる。
図1に示すごとく、ハウジング3は、X方向に直交するZ方向に厚みを有する直方体状のハウジング本体部30と、ハウジング本体部30からX2側に突出したハウジング係合部33とを有する。
図4に示すごとく、ハウジング本体部30は、X1側の面がX2側に向かって凹むようにして形成された端子収容穴32を、5つ有する。
【0020】
図4に示すごとく、5つの端子収容穴32のうちの3つの端子収容穴32は、Z方向の一方側に形成されており、残りの2つの端子収容穴32は、Z方向の他方側に形成されている。5つの端子収容穴32は、X方向とZ方向との双方に直交するY方向において、略等間隔で配置されている。Y方向において、5つの端子収容穴32は、Z方向の一方側に配された端子収容穴32とZ方向の他方側に配された端子2収容部とが、交互に配されている。
【0021】
図3に示すごとく、X方向において、端子収容穴32は、ハウジング本体部30における略全体に形成されている。端子収容穴32は、その内側空間をX1側に開放する開口部321をX1側端部に有する。また、端子収容穴32の内側空間におけるX2側に配されたハウジング3の壁部に、貫通孔31が形成されている。端子2は、開口部321から端子収容穴32に挿入され、棒端子部21が貫通孔31に挿入される。貫通孔31は、棒端子部21よりも若干径が大きく形成されており、棒端子部21が挿入できるようになっている。
【0022】
図3に示すごとく、端子収容穴32の側壁のX2側端部には、ランス322が形成されている。ランス322は、端子収容穴32の所定位置まで挿入された端子2を、X1側から係止している。これにより、端子2が端子収容穴32の所定位置まで挿入された後に、端子2が端子収容穴32のX1側に抜けることを防止している。
【0023】
図3に示すごとく、ランス322は、X方向に長尺に形成されており、Z方向に弾性的に撓むことができるよう構成されている。ランス322は、端子収容穴32に端子2が挿入されると、端子2に形成された被係止部221aに押されて弾性的に撓む。このように、ランス322が撓むことにより、X1側からX2側への端子収容穴32への端子2の進入が許容される。
【0024】
図3に示すごとく、端子2が端子収容穴32の所定位置まで挿入されると、端子2の被係止部221aがランス322のX2側に配され、ランス322の弾性的な復元力によってランス322が被係止部221aのX1側に入り込む。これにより、ランス322が端子2の被係止部221aを被係止部221aのX1側から係止し、端子2の抜け止めがなされる。
【0025】
図3に示すごとく、ハウジング本体部30のX方向の中央部には、Z方向の一方から他方に向かって凹んでなるリテーナ配置部301が形成されている。リテーナ配置部301には、リテーナ34が係止されている。
【0026】
リテーナ34は、ハウジング3に対するリテーナ34の位置が仮係止位置にあるとき、ハウジング3の端子収容穴32に対する端子2の脱着を許容する。また、リテーナ34は、ハウジング3に対するリテーナ34の位置が本係止位置にあるとき、端子収容穴32に挿入された端子2の抜け止めをする。
図8において、ハウジング3に対するリテーナ34の位置が仮係止位置にある状態を示しており、
図3において、ハウジング3に対するリテーナ34の位置が本係止位置にある状態を示している。
【0027】
リテーナ34は、X方向に貫通する5つの挿入穴341を有する。各挿入穴341は、互いに異なる端子収容穴32に配される。ハウジング3に対するリテーナ34の位置が仮係止位置及び本係止位置である場合において、リテーナ34の挿入穴341は端子収容穴32と連通している。
【0028】
挿入穴341は、X方向に端子を挿通可能な程度の径に形成されている。
図8に示すごとく、ハウジング3に対するリテーナ34の位置が仮係止位置にあるとき、挿入穴341の中心軸は、端子収容穴32の中心軸と略一致する。それゆえ、ハウジング3に対するリテーナ34の位置が仮係止位置にあるとき、端子収容穴32に対する端子2の脱着が許容される。
【0029】
そして、
図8に示すごとく、仮係止位置にあるリテーナ34を、ハウジング3のリテーナ配置部301の奥側に向かって押し込むことにより、
図3に示すごとく、リテーナ34が本係止位置に配される。リテーナ34が本係止位置にあるとき、リテーナ34の一部は、端子収容穴32の所定位置まで挿入された端子2の折曲端子部22の後述の筒状部221のX1側の空間に入り込む。これにより、リテーナ34が本係止位置にあるとき、リテーナ34が端子2の折曲端子部22を筒状部221のX1側から係止し、端子収容穴32からの端子2の抜け止めがなされる。
【0030】
また、
図1、
図4に示すごとく、ハウジング本体部30には、端子収容穴32に対してZ方向及びY方向に隣り合う位置に、X方向における両面がX方向に凹んでなる肉抜部302が形成されている。肉抜部302は、X方向におけるハウジング本体部30の端面から、リテーナ配置部301の手前まで形成されている。肉抜部302は、ハウジング3の軽量化や、ハウジング3におけるヒケの発生の防止等の役割を果たす。
【0031】
図1、
図2に示すごとく、ハウジング係合部33は、ハウジング本体部30と一体的に形成されている。すなわち、ハウジング係合部33とハウジング本体部30とを有するハウジング3全体は、一部材で構成されており、例えば複数部材を接合等したものではない。ハウジング係合部33は、ハウジング本体部30のY方向の両端からX2側に形成されている。
【0032】
図1に示すごとく、ハウジング係合部33は、ハウジング可撓片331とハウジング規制部332とを有する。ハウジング可撓片331は、ハウジング本体部30のY方向の両端のそれぞれにおける、Z方向の中央部からX2側に形成されている。
【0033】
図1、
図2に示すごとく、ハウジング可撓片331は、Y方向に厚みを有するとともに、X方向に長尺な板状に形成されている。ハウジング可撓片331は、Y方向に弾性的に撓むことができるよう構成されている。一対のハウジング可撓片331は、X1側端部に、互いにY方向に離れる側に突出するよう形成された係合突起部331aを有する。
【0034】
図2に示すごとく、一対のハウジング可撓片331は、回路基板11においてZ方向に貫通形成された基板係合孔111に、挿入される。ここで、一対の係合突起部331aが基板係合孔111を通過する際は、一対のハウジング可撓片331は互いにY方向に近付く方向に撓みながら、基板係合孔111に挿入される。そして、係合突起部331aが基板係合孔111を通過し、回路基板11のX2側に配されると、一対のハウジング可撓片331は、弾性的な復元力により、Y方向における互いに遠ざかる側に変形し、元の形状に戻る。これにより、係合突起部331aが、回路基板11における基板係合孔111の周囲の部位とX方向に係合し、ハウジング3が基板係合孔111から抜けなくなる。
【0035】
図1に示すごとく、ハウジング可撓片331のZ方向の両側には、ハウジング規制部332が形成されている。ハウジング規制部332は、ハウジング可撓片331と平行に形成されている。
図1、
図2に示すごとく、ハウジング規制部332は、ハウジング可撓片331よりもX方向に短く形成されており、X2側の端部が、ハウジング可撓片331のX2側の端部よりもX1側の位置に形成される。
【0036】
図2に示すごとく、一対のハウジング可撓片331が回路基板11の基板係合孔111に係合された状態において、ハウジング規制部332のX2側の面は、回路基板11のX1側の面に対向している。これにより、一対のハウジング可撓片331が回路基板11の基板係合孔111に係合された状態においては、回路基板11は、ハウジング規制部332とハウジング可撓片331の係合突起部331aとの間に挟まれる状態となる。それゆえ、一対のハウジング可撓片331が回路基板11の基板係合孔111に係合された状態において、回路基板11に対するハウジング3のX方向の変位は、ハウジング規制部332とハウジング可撓片331の係合突起部331aとによって制限される。
【0037】
図3、
図5に示すごとく、端子2は、前述の棒端子部21と折曲端子部22とを有する。棒端子部21は、X方向に長尺なピン状(柱状)に形成されている。
図6(a)に示すごとく、棒端子部21は、その長手方向(X方向)に直交する断面が、凸多角形又は円形である。凸多角形とは、すべての内角がそれぞれ180°未満である多角形を意味する。本実施形態において、棒端子部21における断面形状は、略正方形である。
【0038】
図7に示すごとく、端子2は、開口部321から端子収容穴32に挿入されるとともに棒端子部21が貫通孔31に挿入されることでハウジング3に組み付けられる。
図3に示すごとく、棒端子部21は大部分が貫通孔31からX2側に突出している。そして、棒端子部21は、回路基板11のスルーホールにX方向に挿入されて回路基板11にはんだ付けされる。
【0039】
図3に示すごとく、棒端子部21と折曲端子部22とは、銅や銅合金等の導電性を有する単一の素材からなる塑性加工品によって構成されている。すなわち、棒端子部21と折曲端子部22とは、互いに別体の金属を接合等により一体化したものではない。
図3、
図6に示すごとく、折曲端子部22の厚みTは、棒端子部21の最小幅Wよりも小さい。棒端子部21の最小幅Wとは、棒端子部21の長手方向に直交する棒端子部21の断面形状において、前記断面形状が正方形の場合は一辺の長さを意味する。なお、棒端子部21の最小幅Wは、前記断面形状が長方形の場合は短辺の長さであり、前記断面形状が円形の場合はその直径であり、前記断面形状が楕円形の場合は、短軸の長さをいう。
【0040】
図3、
図5に示すごとく、本実施形態において、棒端子部21は、X2側の端部に、X2側に向かうほど縮径する縮径部211を有する。縮径部211は、端子2を貫通孔31に挿入しやすくするものである。ここで、棒端子部21は、主要部の最小幅Wは一定であるが、X2側端部に形成された縮径部211の最小幅Wは、前記主要部の最小幅Wよりも小さくなる。このような場合において、棒端子部21の最小幅Wとは、棒端子部21の主要部の最小幅Wを意味するものとする。
【0041】
例えば、棒端子部21の最小幅Wを0.25mm、折曲端子部22の厚みTを0.64mmとすることができる。
図3に示すごとく、折曲端子部22は、その略全体において、厚みTが一定である。
【0042】
ここで、端子2を製造するに当たっては、厚みがZ方向における棒端子部21の寸法と同等の金属板材を用意し、金属材料における折曲端子部22となる部位を叩いて薄くし、折り曲げることにより、端子2が製造され得る。
【0043】
図3、
図5に示すごとく、折曲端子部22は、筒状部221とかしめ部222とを備える。
図3に示すごとく、筒状部221は、折曲端子部22を筒状に折り曲げて形成されている。ハウジング3に対するリテーナ34の位置が本係止位置にあるとき、筒状部221のX1側にはリテーナ34の一部が配されており、筒状部221がリテーナ34にX方向に当接することにより、端子2の抜け止めがなされている。
【0044】
図3、
図5に示すごとく、筒状部221は、Z方向の一方側に、被係止部221aが形成されている。被係止部221aは、X1側に向かうほどZ方向の前記一方側に突出するよう形成されている。
図3に示すごとく、被係止部221aのX1側端部が、ランス322に係止されている。
【0045】
図5に示すごとく、かしめ部222は、電線4の端部をかしめている。電線4は、導電性を有する導電部41と、導電部41を被覆する電気的絶縁性を有する被覆部42とを有する。電線4の端部は、導電部41が被覆部42から露出した露出導電部411となっている。かしめ部222は、露出導電部411にかしめられる第一かしめ部222aと、第一かしめ部222aのX1側に形成されて、被覆部42の端部にかしめられる第二かしめ部222bとを備える。
図5においては、かしめる前の状態の第一かしめ部222a及び第二かしめ部222bを二点鎖線にて表している。
【0046】
次に、本実施形態の作用効果につき説明する。
本実施形態のハーネス部品1において、各端子2は、回路基板11を接続する棒端子部21と、端子収容穴32内において電線4にかしめられる折曲端子部22とを備える。それゆえ、回路基板11に接続される端子2と電線4との間には、別の端子が介在しない。そのため、例えば電線4と回路基板11との間に、雌端子と雄端子とを介在させる場合に比べ、部品点数の削減を図りやすい。また、雄端子を収容する雄ハウジングと、雌端子を収容する雌ハウジングと、の2つのハウジング部材を嵌合する従来の構造を採用しておらず、ハウジング部材の部品点数の削減を図ることもできる。これにより、ハーネス部品1全体の小型化を実現しやすい。
【0047】
また、各端子2は、各端子収容穴32に配されている。それゆえ、ハーネス部品1を製造するに当たっては、
図7に示すごとく、端子2のかしめ部222に電線4をかしめ、次いで、端子2を端子収容穴32に挿入することで、ハウジング3に対する端子2及び電線4の位置決めが容易である。また、複数の端子2は、一つずつハウジング3の各端子収容穴32に挿入されるため、端子2をハウジング3に組み付ける際の端子2のガタ付きが防止される。それゆえ、ハーネス部品1の生産性を向上させやすい。
【0048】
また、棒端子部21と折曲端子部22とは、単一の素材からなる塑性加工品によって形成されており、折曲端子部22の厚みTは、棒端子部21の最小幅Wよりも小さい。それゆえ、例えば折曲端子部22のかしめ部222を電線4の端部にかしめるとき等、折曲端子部22を折曲加工する際において、この折曲加工に要する荷重を低減させやすい。また、棒端子部21においては、強度を確保しやすく、例えば棒端子部21と回路基板11とを接続する際に棒端子部21が変形することを防止することができる。また、棒端子部21と折曲端子部22とが、単一の素材からなる塑性加工品によって構成されているため、部品点数の削減、ハーネス部品1全体の組付工数の削減を図ることができる。
【0049】
また、棒端子部21は、棒端子部21の長手方向に直交する断面の形状が凸多角形又は円形である。それゆえ、例えば棒端子部21を、板状の金属部材を、断面U字状となるよう折り曲げてなるタブ状の端子に形成した場合に比べ、はんだにボイドが形成されることを防止できる。すなわち、棒端子部21をタブ状に形成した場合、断面U字状の棒端子部21に囲まれた空間に空気が残り、はんだにボイドが生じやすい。一方、棒端子部21を断面が凸多角形又は円形となるよう形成することで、X方向に直交する棒端子部21の断面に、棒端子部21に囲まれる空間が形成されないため、はんだにボイドが生じることを抑制することができる。
【0050】
また、折曲端子部22には、ハウジング3に係止されて、端子収容穴32からの端子2の抜け止めをする抜止部が形成されている。本実施形態において、抜止部は、内側端子2部におけるランス322に係止される被係止部221aと、リテーナ34を介してハウジング3に係止される筒状部221とが、抜止部を構成している。このように、端子2における比較的薄い折曲端子部22に抜止部を形成しているため、折曲端子部22の加工が容易であり、抜止部を形成しやすい。
【0051】
また、ハウジング3は、回路基板11に係合するハウジング係合部33を一体に備える。それゆえ、ハウジング係合部33においてハウジング3を回路基板11に係合し、ハウジング3と回路基板11との間の位置を固定した上で、端子2と回路基板11とのはんだ付け等の接合作業を行うことができる。さらに、ハウジング3は、ハウジング係合部33を一体に備えるため、ハウジング係合部33を設けても部品点数が増加することがない。
【0052】
以上のごとく、本実施形態によれば、部品点数の削減及び小型化を図ることができるハーネス部品を提供することができる。
【0053】
本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。例えば、端子の被挿入部は、ハウジングの貫通孔に圧入されていてもよい。また、ハウジングは、各電線を接続した端子をハウジングの成形型の内側に配置したインサート成形によって形成すること等も可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 ハーネス部品
11 回路基板
2 端子
21 棒端子部
22 折曲端子部
221 筒状部(抜止部)
221a 被係止部(抜止部)
3 ハウジング
31 貫通孔
32 端子収容穴
321 開口部
33 ハウジング係合部
4 電線
T 折曲端子部の厚み
W 棒端子部の最小幅