(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】走行支援システム、走行支援方法、および走行支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20221012BHJP
G08G 1/0965 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/0965
(21)【出願番号】P 2019045459
(22)【出願日】2019-03-13
【審査請求日】2021-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 幸一
(72)【発明者】
【氏名】上野 浩輝
【審査官】久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-149231(JP,A)
【文献】特開2007-280263(JP,A)
【文献】特開2007-172541(JP,A)
【文献】米国特許第6326903(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
G08G 1/0965
G01S 13/931
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点に進入する第1走行路を走行している
緊急車両以外の一般車両の走行を追跡した第1追跡データを取得する第1追跡データ取得部と、
前記交差点において、前記第1走行路に交差する側の第2走行路を走行している
緊急車両に対する、前記交差点の危険度を、前記第1追跡データを用いて推定する推定部と、
前記推定部が推定した前記交差点の危険度を
前記第2走行路を走行している前記緊急車両に対して出力するとともに、前記第1走行路を走行している前記一般車両に対して前記緊急車両が前記交差点に進入することを出力する出力部と、を備えた走行支援システム。
【請求項2】
第2走行路を走行している
前記緊急車両の走行を追跡した第2追跡データを取得する第2追跡データ取得部を備え、
前記推定部は、前記交差点の危険度を、前記第1追跡データ、および前記第2追跡データを用いて推定する、請求項1に記載の走行支援システム。
【請求項3】
前記出力部は音声出力部を備え、
前記音声出力部は前記危険度に応じて警告音を異ならせて出力する、請求項1
、または2に記載の走行支援システム。
【請求項4】
前記出力部は表示部を備え、
前記表示部は前記危険度に応じて表示方法を異ならせて表示する、請求項
1~3のいずれかに記載の走行支援システム。
【請求項5】
前記危険度は、前記交差点において、前記第1走行路を走行している
前記一般車両と、前記第2走行路を走行している
前記緊急車両とが衝突する段階を数値で表すものである、
1~4のいずれかに記載の走行支援システム。
【請求項6】
前記第1追跡データ取得部は、電波レーダである、
請求項
1~5のいずれかにに記載の走行支援システム。
【請求項7】
交差点に進入する第1走行路を走行している
緊急車両以外の一般車両の走行を追跡した第1追跡データを取得するステップと、
前記交差点において、前記第1走行路に交差する側の第2走行路を走行している
緊急車両車両に対する、前記交差点の危険度を、前記第1追跡データを用いて推定するステップと、
推定した前記交差点の危険度を
前記第2走行路を走行している前記緊急車両に対して出力するとともに、前記第1走行路を走行している前記一般車両に対して前記緊急車両が前記交差点に進入することを出力するステップと、
を、コンピュータが実行する、走行支援方法。
【請求項8】
交差点に進入する第1走行路を走行している
緊急車両以外の一般車両の走行を追跡した第1追跡データを取得するステップと、
前記交差点において、前記第1走行路に交差する側の第2走行路を走行している
緊急車両車両に対する、前記交差点の危険度を、前記第1追跡データを用いて推定するステップと、
推定した前記交差点の危険度を
前記第2走行路を走行している前記緊急車両に対して出力するとともに、前記第1走行路を走行している前記一般車両に対して前記緊急車両が前記交差点に進入することを出力するステップと、
を、コンピュータに実行させる、走行支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、緊急車両に対して安全性の高い走行支援を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の構成では、緊急車両、一般車両の位置情報をGPS信号から受信している。さらに、路側に設けたDSRC路側機やビーコン等を用いて通信を行い、緊急車両を優先的に通行させるように一般車両を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、緊急車両の運転手は、一般車両の動きを目視で確認する必要がある。すなわち、緊急車両の運転手は、交差点に進入する際には一般車両を目視で確認し、速度を減速する必要がある。このことによって、緊急車両の走行にタイムロスが発生し、さらには安全性が低下する虞があった。
【0005】
したがって、本発明の目的は、緊急車両に対して安全かつ効率的な走行支援を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この走行支援システムは、交差点に進入する第1走行路を走行している車両の走行を追跡した第1追跡データを取得する第1追跡データ取得部と、交差点において第1走行路に交差する側の第2走行路を走行している車両に対する交差点の危険度を、第1追跡データを用いて推定する推定部と、推定部が推定した前記交差点の危険度を出力する出力部を備える。
【0007】
この構成では、客観的な推定基準である危険度が出力され、安全かつ効率的な運転支援を行うことができる。
【0008】
この走行支援システムは、第2走行路を走行している車両の走行を追跡した第2追跡データを取得する第2追跡データ取得部をさらに備える。推定部は、交差点の危険度を第1追跡データ、および第2追跡データを用いて推定する。
【0009】
この構成では、緊急車両の速度と、他の車両の速度を相対的に判断でき、より詳細な危険度を推定できる。
【0010】
この走行支援システムの出力部は音声出力部を備えていることが好ましい。音声出力部は危険度に応じて警告音を異ならせて出力する。
【0011】
この構成では、運転手が聴覚的に危険度を判断でき、より安全性が向上する。
【0012】
この走行支援システムの出力部は表示部を備えていることが好ましい。表示部は危険度に応じて表示方法を異ならせて表示する。
【0013】
この構成では、運転手が視覚的に危険度を判断でき、より安全性が向上する。
【0014】
この走行支援システムの危険度は、交差点において、第1走行路を走行している車両と第2走行路を走行している車両とが衝突する段階を数値で表すものである。
【0015】
この構成では、危険度が数値で表されるため、危険度がより明確になる。
【0016】
この走行支援システムのセンサは、電波レーダである。
【0017】
この構成では、高精度の車両速度を検出できる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、緊急車両に対して安全かつ効率的な走行支援を行える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る走行支援システムのブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る走行支援システムの概要図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る走行支援システムの概要図である。
【
図4】(A)-(C)は、本発明の第1の実施形態に係る速度変位を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係るセンサの処理を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る中央装置の処理を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る緊急車両装置の処理を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る中央装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、幾つかの図を参照して説明する。
【0021】
・適用例
まず、
図1を用いて、本発明が適用される一例について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る走行支援システムのブロック図である。
【0022】
走行支援システム1は、追跡データ取得部10、通信装置20、走行支援装置30、車載器35、中央装置50を備える。追跡データ取得部10は通信装置20と通信を行う。通信装置20、走行支援装置30、中央装置50はネットワーク40を介して接続されている。走行支援装置30は車載器35と通信を行う。
【0023】
追跡データ取得部10は、例えば道路の路側帯等に複数設置されており、該道路を走行する車両の速度を検出する。追跡データ取得部10は、例えば電波レーダである。このことによって、車両速度をより高精度に検出できる。また、追跡データ取得部10は、カメラであっても良い。
【0024】
上述のとおり、追跡データ取得部10は通信装置20を介してネットワーク40に接続されている。言い換えれば、すなわち、追跡データ取得部10は、ネットワーク40を介して走行支援装置30と中央装置50に接続されている。
【0025】
走行支援装置30は、通信部301を備える。走行支援装置30は、追跡データ取得部10と同様に、道路の路側帯等に設置されている。なお、通信部301は、例えば光ビーコンまたは電波ビーコンを受信する。このことによって、既存の仕組みを利用することが可能となり、走行支援システム1の構造を簡素化できる。
【0026】
車載器35は、通信部351、出力部352を備える。出力部352は、音声出力部3521と表示部3522を備える。通信部351は、走行支援装置30の通信部301と通信を行う。なお、通信部351は、通信部301と同様に、例えば光ビーコンまたは電波ビーコンを受信する。
【0027】
ここで、緊急車両について説明する。緊急車両とは、例えば、救急車、消防車、警察車両等である。また、緊急車両は、消防用自動車、救急用自動車その他の政令で定める自動車で、緊急用務のために走行している自動車であると定義される。
【0028】
中央装置50は、通信部501、制御部502、推定部503を備える。
【0029】
緊急車両が交差点に進入する場合における、走行支援システム1における処理の流れについて説明する。追跡データ取得部10は、道路を走行する車両の速度を測定する。より具体的には、追跡データ取得部10は走行している車両に対して、ミリ波帯の電波を送信する。追跡データ取得部10は、ドップラー効果により送信周波数と異なる周波数の反射波を受信し、この周波数の差分から速度を算出する。
【0030】
上述の構成を用いて、緊急車両の走行を支援する処理の流れを説明する。追跡データ取得部10は、走行車両の速度(以下、車両速度)を検出する。追跡データ取得部10は、通信装置20に車両速度を出力する。なお、走行車両とは、緊急車両以外の車両を指す。なお、車両速度が本発明の「第1追跡データ」に対応する。この際の追跡データ取得部10が本発明の「第1追跡データ取得部」に対応する。
【0031】
通信装置20は、ネットワーク40を介して、中央装置50の通信部501に車両速度を送信する。通信部501は制御部502に車両速度を出力する。制御部502は、推定部503に車両速度を出力する。
【0032】
推定部503は、車両速度から危険度を推定する。危険度は、緊急車両と走行車両とが交差点等で衝突する可能性を数値で表すものであり、数値が高いほど衝突の可能性が高くなるように設定されている。例えば、緊急車両から見た場合、交差点に進入する車両が存在しない場合、危険度は0となる。また、緊急車両から見た場合、交差点に速度を落とさず進入する車両が存在すると判断した場合には、危険度は3となる。すなわち、危険度は、危険度0から危険度3までの4段階で設定される。なお、危険度は4段階の設定に限定する必要はなく、任意の段階で設定することができる。
【0033】
例えば、推定部503が走行車両を危険度3と推定した例に説明する。推定部503は、危険度3を制御部502に出力する。制御部502は危険度3を通信部501に出力する。
【0034】
通信部501はネットワーク40を介して、走行支援装置30の通信部301に危険度3を出力する。通信部301は、危険度3を車載器35の通信部351に送信する。
【0035】
車載器35の通信部351は、受信した音声出力部3521と表示部3522に危険度3を出力する。
【0036】
音声出力部3521は、危険度3を受信することによって「危険度3です。減速してください。」等の音声を出力する。また、表示部3522は、危険度3を受信することによって、「危険度3です。減速してください。」等のメッセージを表示させる。この際、緊急車両の運転手は、交差点には減速して進入する必要があると認識する。
【0037】
一方、中央装置50の推定部503が危険度0と推定した場合には、走行支援装置30の通信部301は、車載器35に何も出力しない。この際、緊急車両の運転手は、交差点に減速せずに進入できると認識する。
【0038】
上述の構成を備えることにより、緊急車両の運転手は、交差点進入時において、危険度に応じて減速する必要があるかどうかを判断できる。すなわち、緊急車両の運転手は、走行車両の実際の速度に応じて、緊急車両の速度を決定できる。
【0039】
このことから、走行支援システム1は、安全かつ効率的な運転支援を提供できる。
【0040】
・構成例1
図1は本発明の第1の実施形態に係る走行支援システムのブロック図である。
図2は本発明の第1の実施形態に係る走行支援システムの概要図である。
図3は本発明の第1の実施形態に係る走行支援システムの概要図である。
図4(A)-
図4(C)は本発明の第1の実施形態に係る速度変位を示す図である。
図5は本発明の第1の実施形態に係るセンサの処理を示すフローチャートである。
図6は本発明の第1の実施形態に係る中央装置の処理を示すフローチャートである。
図7は本発明の第1の実施形態に係る緊急車両装置の処理を示すフローチャートである。
【0041】
【0042】
図1、
図2、
図3に示すように、交差点CRが十字路である例に基づき説明する。交差点CRは、道路A、道路B、道路C、道路Dが交わる点である。道路Aには追跡データ取得部10aが設置されており、道路Bには追跡データ取得部10bが設置されている。また、道路Cには追跡データ取得部10cが設置されており、道路Dには追跡データ取得部10dが設置されている。より詳細な構成は後述する。なお、道路Dから道路Cにかけての走行路が本発明の「第1走行路」に対応し、道路Aから道路Bにかけての走行路が本発明の「第2走行路」に対応する。
【0043】
道路Bには、道路Aを走行するための車両用信号機151が設置されている。道路Cには、道路Dを走行するための車両用信号機152が設置されている。
【0044】
以下の説明では、緊急車両100と走行車両101を例にとって示す。緊急車両100は道路Aから道路Bに向けて走行している。また、走行車両101は道路Dから道路Cに向けて走行している。すなわち、緊急車両100と走行車両101は交差点CRに向けて走行している。
【0045】
この際、車両用信号機151は「赤」であり、車両用信号機152は「青」であるとする。すなわち、走行車両101は、交差点CRに進入可能である。
【0046】
図3を用いて、道路Dにおいて追跡データ取得部10dが走行車両101の速度を検出する手順について説明する。
【0047】
道路Dには、追跡データ取得部10dが設置されている。追跡データ取得部10dは、走行車両101の速度1、速度2、速度3、速度4、速度5を検出する。速度1は、交差点CRから150m手前の速度である。速度2は、交差点CRから120m手前の速度である。速度3は、交差点CRから90m手前の速度である。速度4は、交差点CRから60m手前の速度である。速度5は、交差点CRから30m手前の速度である。
【0048】
図3における、追跡データ取得部10dが検出した速度1から速度5の例を
図4(A)-
図4(C)を用いて示す。
【0049】
図4(A)の場合、速度1は60km/hであり、速度2は60km/hであり、速度3は40km/hである。また、速度4は20km/hであり、速度5は10km/hである。
【0050】
図4(B)の場合、速度1は60km/hであり、速度2は60km/hであり、速度3は40km/hである。また、速度4は30km/hであり、速度5は20km/hである。
【0051】
図4(C)の場合、速度1、速度2、速度3、速度4、速度5は、全て60km/hである。
【0052】
上述のとおり、追跡データ取得部10dは通信装置20を介して、
図4(A)-
図4(C)に示したそれぞれの結果(以下、速度測定結果)を中央装置50の通信部501に送信する。通信部501は、速度測定結果を制御部502に出力する。制御部502は、速度出力結果を推定部503に出力する。
【0053】
推定部503は、速度測定結果から危険度を推定する。
図4(A)の場合、推定部503は、走行車両101が存在するが、速度5が10km/hであるため、走行車両101は、交差点CRの手前で停止すると推定する。推定部503は、
図4(A)の場合を危険度1であると推定する。
【0054】
図4(B)の場合、推定部503は、走行車両101が存在し、速度5が20km/hであるため、走行車両101は交差点CRに進入する可能性があると推定する。推定部503は、
図4(B)の場合を危険度2であると推定する。
【0055】
図4(C)の場合、推定部503は、速度1から速度5において、60km/hを維持しているため、走行車両101は交差点CRに進入すると推定する。推定部503は、
図4(C)の場合を危険度3であると推定する。
【0056】
なお、上述の構成では、速度5を用いて危険度を推定する構成を示した。しかしながら、速度1から速度2、速度2から速度3、速度3から速度4、速度4から速度5における速度の変位を求め、危険度を推定する構成であってもよい。
【0057】
図4(B)の場合を例にとって、次の処理を説明する。推定部503は、危険度2を制御部502に出力する。制御部502は、危険度2を通信部501に出力する。通信部501は危険度2を通信部301に出力する。通信部301は、危険度2を車載器35に送信する。
【0058】
車載器35の通信部351は危険度2を受信する。通信部351は音声出力部3521、表示部3522に危険度2を出力する。
【0059】
音声出力部3521は、「走行車両が交差点に進入する可能性があります。減速してください。」等の音声を出力する。表示部3522は、「危険度2です。走行車両が交差点に進入する可能性があります。減速してください。」等のメッセージを表示させる。この際、緊急車両100の運転手は、交差点には減速して進入する必要があると認識する。
【0060】
上述の構成を元に、追跡データ取得部10、走行支援装置30、車載器35、中央装置50の処理の流れを説明する。
【0061】
【0062】
追跡データ取得部10は、走行車両101の測定点の通過を検出する(S101)。
【0063】
追跡データ取得部10は、走行車両101の走行速度を検出する(S102)。
【0064】
追跡データ取得部10は、走行速度を通信装置20に出力する(S103)。通信装置20は、ネットワーク40を介して、中央装置50に走行速度を送信する。
【0065】
【0066】
中央装置50の通信部501は、走行速度を受信する(S111)。
【0067】
中央装置50の制御部502は、危険度の推定に利用する走行速度を全て受信したかどうかを判断する(S112)。
【0068】
制御部502が走行速度を全て受信したと判断した場合(S112:Yes)、推定部503は、危険度を推定する(S113)。
【0069】
推定部503は制御部502に危険度を出力し、制御部502は通信部501に危険度を出力する。通信部501はネットワーク40を介して、走行支援装置30の通信部301に危険度を送信する(S114)。
【0070】
なお、ステップS112において、制御部502が走行速度を全て受信していないと判断した場合(S112:No)、通信部501は再度受信を行う。なお、制御部は、受信できた走行速度で危険度を推定してもよい。
【0071】
図7は、走行支援装置30および車載器35の処理の流れを示す。
【0072】
走行支援装置30の通信部301は危険度を受信する(S121)。
【0073】
走行支援装置30の通信部301は、車載器35に危険度を送信する(S122)。
【0074】
車載器35は危険度の値を確認する(S122)。
【0075】
危険度が1~3である場合(S122:1~3)、通信部351は、音声出力部3521、表示部3522に危険度を通知する。音声出力部3521、表示部3522は危険度に応じて警告を出力する(S123)。
【0076】
危険度が0である場合(S122:0)、通信部351は、音声出力部3521、表示部3522に危険度を通知せず、処理を終了する。
【0077】
この際、音声出力部3521は、危険度が高い場合には危険度が低い場合よりも音量を大きくする、または警告音を出力するなどの構成であってもよい。同様に表示部3522は、危険度が高い場合には危険度が低い場合よりも文字サイズを大きくする、色を変更するなどの構成であってもよい。このことによって、緊急車両100の運転手は、危険度を明示的に判断することができる。
【0078】
このような構成を備えることにより、緊急車両100の運転手は、交差点進入時において、危険度に応じて減速する必要があるかどうかを判断できる。すなわち、緊急車両の運転手は、走行車両の実際の速度に応じて、緊急車両の速度を決定できる。
【0079】
したがって、走行支援システム1は、安全かつ効率的な運転支援を提供できる。
【0080】
なお、走行支援装置30において警告する必要があるかどうかの判断は、任意に決定してもよい。例えば、危険度が1である場合には、音声出力部3521に出力を行わず、表示部3522にのみに出力を行う構成であってもよい。言い換えれば、走行支援装置30においてパラメーラを設定し、警告方法を組み合わせて出力する構成であってもよい。
【0081】
上述の構成では、追跡データ取得部10dを用いて説明した。しかしながら、追跡データ取得部10a、追跡データ取得部10b、追跡データ取得部10cも同様である。
【0082】
また、上述の構成では緊急車両に搭載された車載器35に警告表示を出力する例を示した。しかしながら、警告表示を出力する箇所は車載器35に限らず、警告音声または警告表示が行える箇所であればよい。
【0083】
・構成例2
次に、
図8を用いて、走行支援システムの具体的な構成について説明する。
図8は本発明の第2の実施形態に係る中央装置の処理を示すフローチャートである。
【0084】
第2の実施形態においては、第1の実施形態と比較して、走行車両および緊急車両の速度を用いて危険度を算出している点で異なる。その他の点については、第1の実施形態と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0085】
追跡データ取得部10は、緊急車両の速度(以下、緊急車両速度)を検出する。追跡データ取得部10は、通信装置20に緊急車両速度を出力する。なお、緊急車両速度が本発明の「第2追跡データ」に対応する。この際の追跡データ取得部10が本発明の「第2追跡データ取得部」に対応する。
【0086】
通信装置20は、ネットワーク40を介して、中央装置50の通信部501に車両速度、および緊急車両速度を送信する。通信部501は制御部502に車両速度、および緊急車両速度を出力する。制御部502は、推定部503に車両速度、および緊急車両速度を出力する。
【0087】
【0088】
中央装置50の通信部501は、車両速度、および緊急車両速度を受信する(S201)。
【0089】
中央装置50の制御部502は、危険度の推定に利用する走行速度を全て受信したかどうかを判断する(S202)。
【0090】
制御部502が走行速度を全て受信したと判断した場合(S202:Yes)、推定部503は、車両速度と緊急車両速度を比較する(S203)。
【0091】
推定部503は、ステップS203における比較結果に基づき、危険度を推定する(S204)。
【0092】
より具体的には、推定部503は、例えば緊急車両速度が40km/hであり、車両速度が10km/hであれば、「車両速度がさらに減速する」と判断し、車両速度のみで推定した場合よりも危険度をさらに下げる。
【0093】
また、推定部503は緊急車両速度が50km/hであり、車両速度が40km/hであれば、「車両速度が減速する可能性が低く、緊急車両速度を低下させる必要がある」と判断し、車両速度のみで推定した場合よりも危険度をさらに上げる。すなわち、例えば車両速度と緊急車両速度のそれぞれの速度に応じて、危険度を算出する。
【0094】
推定部503は制御部502に危険度を出力し、制御部502は通信部501に危険度を出力する。通信部501はネットワーク40を介して、走行支援装置30の通信部301に危険度を送信する(S205)。
【0095】
なお、ステップS202において、制御部502が走行速度を全て受信していないと判断した場合(S202:No)、通信部501は再度受信を行う。なお、制御部は、受信できた走行速度で危険度を推定してもよい。
【0096】
このような構成であっても、緊急車両100の運転手は、交差点進入時において、危険度に応じて減速する必要があるかどうかを判断できる。すなわち、緊急車両の運転手は、走行車両の実際の速度に応じて、緊急車両の速度を決定できる。
【0097】
さらに、緊急車両100の速度を加味した危険度が算出できることによって、より安全かつ効率的な運転支援を提供できる。
【0098】
なお、上述の構成は、緊急車両が交差点へ進入する際の走行速度を支援する方法についての例を示した。しかしながら、緊急車両以外の車両に対して、緊急車両が交差点に進入する可能性があるため減速するように促すこともできる。
【0099】
さらに、この発明に係る構成と上述した実施形態に係る構成との対応関係は、以下の付記のように記載できる。
<付記>
交差点に進入する第1走行路を走行している車両の走行を追跡した第1追跡データを取得する第1追跡データ取得部(10)と、
前記交差点において、前記第1走行路に交差する側の第2走行路を走行している車両に対する、前記交差点の危険度を、前記第1追跡データを用いて推定する推定部と、
前記推定部が推定した前記交差点の危険度を出力する出力部と、を備えた走行支援システム。
【符号の説明】
【0100】
A、B、C、D…道路
CR…交差点
1…走行支援システム
10、10a、10b、10c、10d…追跡データ取得部
20…通信装置
30…走行支援装置
35…車載器
40…ネットワーク
50…中央装置
100…緊急車両
101…走行車両
151、152…車両用信号機
301、351…通信部
352…出力部
3521…音声出力部
3522…表示部
501…通信部
502…制御部
503…推定部