(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】工作機械及び判定方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/18 20060101AFI20221012BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
G05B19/18 W
B23Q17/00 A
(21)【出願番号】P 2019056574
(22)【出願日】2019-03-25
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】千賀 敬太
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-021907(JP,A)
【文献】実開平06-066144(JP,U)
【文献】特開2000-142323(JP,A)
【文献】特開2003-140532(JP,A)
【文献】特開2009-295109(JP,A)
【文献】特開2008-126336(JP,A)
【文献】特開2009-008571(JP,A)
【文献】特開2009-163430(JP,A)
【文献】特開2009-187234(JP,A)
【文献】特開2010-073116(JP,A)
【文献】米国特許第05930342(US,A)
【文献】中国実用新案第202889499(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18
B23Q 17/00
B30B 15/00
B60R 25/10
G03G 21/00
G08B 13/00-15/00
H04B 1/38
H04M 11/00
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自機の移設を検知する移設検知部を備える工作機械において、
前記移設検知部を取り付ける被取付部及び前記移設検知部が通電しているかを検知する通電検知機構と、
前記通電検知機構の検知結果に基づいて、前記移設検知部を取外したか否かを判定する判定部とを備え
、
前記通電検知機構は、
電源に一端が接続し、他端が前記判定部に電気接続する第1抵抗と、
前記第1抵抗の他端及び前記被取付部を電気接続する第1接続部と、
前記第1接続部と通電し、固定電位を介して前記電源に接続する第2接続部とを備えており、
前記判定部は、前記第1抵抗及び前記第1接続部の間の第1電圧に基づいて、前記移設検知部を取外したか否かを判定し、
前記第1接続部及び前記第2接続部の少なくとも一つは前記移設検知部を前記被取付部に固定する固定部材であることを特徴とする工作機械。
【請求項2】
自機の移設を検知する移設検知部を備える工作機械において、
前記移設検知部を取り付ける被取付部及び前記移設検知部が通電しているかを検知する通電検知機構と、
前記通電検知機構の検知結果に基づいて、前記移設検知部を取外したか否かを判定する判定部とを備え、
前記通電検知機構は、
電源に一端が接続し、他端が前記判定部に電気接続する第1抵抗と、
前記第1抵抗の他端及び前記被取付部を電気接続する第1接続部と、
前記第1接続部と通電し、固定電位を介して前記電源に接続する第2接続部と、
前記電源に一端が接続し、他端が前記判定部に接続する第2抵抗と、
前記第2抵抗の他端及び前記被取付部を電気接続する第3接続部と、
前記第3接続部と通電し、固定電位を介して前記電源に接続する第4接続部とを備えており、
前記判定部は、前記第1抵抗及び前記第1接続部の間の第1電圧と前記第2抵抗及び前記第3接続部の間の第2電圧とに基づいて、前記移設検知部を取外したか否かを判定し、
前記第3接続部及び前記第4接続部の少なくとも一つは前記移設検知部を前記被取付部に固定する固定部材であることを特徴とする工作機械。
【請求項3】
自機の移設を検知する移設検知部を備える工作機械において、
前記移設検知部を取り付ける被取付部及び前記移設検知部が通電しているかを検知する通電検知機構と、
前記通電検知機構の検知結果に基づいて、前記移設検知部を取外したか否かを判定する判定部とを備え、
前記通電検知機構は、
電源に一端が接続し、他端が前記判定部に電気接続する第1抵抗と、
前記第1抵抗の他端及び前記被取付部を電気接続する第1接続部と、
前記第1接続部と通電し、固定電位を介して前記電源に接続する第2接続部と、
前記第1抵抗の前記他端及び前記被取付部を電気接続する第3接続部と、
前記第3接続部と通電し、固定電位を介して前記電源に接続する第4接続部とを備えており、
前記判定部は、前記第1抵抗の前記他端の電圧に基づいて、前記移設検知部を取外したか否かを判定することを特徴とする工作機械。
【請求項4】
前記通電検知機構は、
前記電源に一端が接続し、他端が前記判定部に接続する第2抵抗と、
前記第2抵抗の他端及び前記被取付部を電気接続する第3接続部とを備えており、
前記第3接続部は前記第1接続部又は前記第2接続部と通電し、
前記判定部は、前記第1電圧と前記第2抵抗及び前記第3接続部の間の第2電圧とに基づいて、前記移設検知部を取外したか否かを判定することを特徴とする請求項
1に記載の工作機械。
【請求項5】
前記通電検知機構は、
前記電源に一端が接続し、他端が前記判定部に接続する第2抵抗と、
前記第2抵抗の他端及び前記被取付部を電気接続する第3接続部と、
前記第3接続部と通電し、固定電位を介して前記電源に接続する第4接続部とを備えており、
前記判定部は、前記第1電圧と前記第2抵抗及び前記第3接続部の間の第2電圧とに基づいて、前記移設検知部を取外したか否かを判定することを特徴とする請求項
1に記載の工作機械。
【請求項6】
前記判定部は、前記第1電圧及び前記第2電圧の少なくとも一方が閾値以上である場合、前記移設検知部を取外したと判定することを特徴とする請求項
2、4又は5に記載の工作機械。
【請求項7】
前記判定部は、前記第1電圧及び前記第2電圧の両方が閾値以上である場合、前記移設検知部を取外したと判定することを特徴とする請求項
2、4又は5に記載の工作機械。
【請求項8】
前記第1接続部、前記第2接続部、前記第3接続部及び前記第4接続部の少なくとも一つは前記移設検知部を前記被取付部に固定する固定部材であることを特徴とする請求項
3に記載の工作機械。
【請求項9】
自機の移設を検知する移設検知部を備える工作機械にて、前記移設検知部の取外しを判定する判定方法おいて、
電源に一端が接続し、他端が前記移設検知部を取外したか否かを判定する判定部に電気接続する第1抵抗と、前記第1抵抗の他端及び前記移設検知部を取り付ける被取付部を電気接続する第1接続部と、前記第1接続部と通電し、固定電位を介して前記電源に接続する第2接続部とを備え、前記被取付部及び前記移設検知部が通電しているかを検知する通電検知機構を用い、
前記判定部は、前記第1抵抗及び前記第1接続部の間の第1電圧に基づいて、前記移設検知部を取外したか否かを判定し、
前記第1接続部及び前記第2接続部の少なくとも一つは前記移設検知部を前記被取付部に固定する固定部材であることを特徴とする判定方法。
【請求項10】
自機の移設を検知する移設検知部を備える工作機械にて、前記移設検知部の取外しを判定する判定方法おいて、
電源に一端が接続し、他端が前記移設検知部を取外したか否かを判定する判定部に電気接続する第1抵抗と、前記第1抵抗の他端及び前記移設検知部を取り付ける被取付部を電気接続する第1接続部と、前記第1接続部と通電し、固定電位を介して前記電源に接続する第2接続部と、前記電源に一端が接続し、他端が前記判定部に接続する第2抵抗と、前記第2抵抗の他端及び前記被取付部を電気接続する第3接続部と、前記第3接続部と通電し、固定電位を介して前記電源に接続する第4接続部とを備え、前記被取付部及び前記移設検知部が通電しているかを検知する通電検知機構を用い、
前記判定部は、前記第1抵抗及び前記第1接続部の間の第1電圧と前記第2抵抗及び前記第3接続部の間の第2電圧とに基づいて、前記移設検知部を取外したか否かを判定し、
前記第3接続部及び前記第4接続部の少なくとも一つは前記移設検知部を前記被取付部に固定する固定部材であることを特徴とする判定方法。
【請求項11】
自機の移設を検知する移設検知部を備える工作機械にて、前記移設検知部の取外しを判定する判定方法おいて、
電源に一端が接続し、他端が前記移設検知部を取外したか否かを判定する判定部に電気接続する第1抵抗と、前記第1抵抗の他端及び前記移設検知部を取り付ける被取付部を電気接続する第1接続部と、前記第1接続部と通電し、固定電位を介して前記電源に接続する第2接続部と、前記第1抵抗の前記他端及び前記被取付部を電気接続する第3接続部と、前記第3接続部と通電し、固定電位を介して前記電源に接続する第4接続部とを備え、前記被取付部及び前記移設検知部が通電しているかを検知する通電検知機構を用い、
前記判定部は、前記第1抵抗の前記他端の電圧に基づいて、前記移設検知部を取外したか否かを判定することを特徴とする判定方法。
【請求項12】
自機の移設を検知する移設検知部を備える工作機械において、
前記移設検知部を取り付ける被取付部及び前記移設検知部が通電しているかを検知する通電検知機構と、
前記通電検知機構の検知結果に基づいて、前記移設検知部を取外したか否かを判定する判定部とを備え、
前記通電検知機構は、
前記移設検知部を前記被取付部に固定し、且つ、電源及び前記被取付部を電気接続する固定部材を備えており、
前記判定部は、
前記固定部材を取り外した際の電圧の変化に基づいて、前記移設検知部を取外したか否かを判定することを特徴とする工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自機の移設を検知する移設検知部の取外しを判定できる工作機械及び判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、工作機械の移設を監視する手段が普及されている。特許文献1には、ジャイロセンサを用いて工作機械の移設を検知する機器移設有無検知装置が開示されている。
他に、光センサを用いて工作機械の設置面(床)との距離変化を検知することによって、工作機械の移設を検知する技術も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の機器移設有無検知装置は、該機器移設有無検知装置を監視対象の工作機械から取り外した場合、監視対象の工作機械の移設が検知できなくなり、監視対象の工作機械の不正な移設等に対応できないという問題がある。このような問題は、上述の光センサを用いる場合も同様である。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成にて移設検知部を取り外したか否かを判定でき、低コストで上述の問題を解決できる工作機械及び判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る工作機械は、自機の移設を検知する移設検知部を備える工作機械において、前記移設検知部を取り付ける被取付部及び前記移設検知部が通電しているかを検知する通電検知機構と、前記通電検知機構の検知結果に基づいて、前記移設検知部を取外したか否かを判定する判定部とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明にあっては、通電検知機構が移設検知部を取り付ける被取付部及び移設検知部が互いに通電しているか否かを検知する。例えば、通電検知機構が被取付部及び移設検知部が互いに通電していないと検知した場合、判定部は移設検知部を取外したと判定する。
【0008】
本発明に係る工作機械は、前記通電検知機構は、電源に一端が接続し、他端が前記判定部に電気接続する第1抵抗と、前記第1抵抗の他端及び前記被取付部を電気接続する第1接続部と、前記第1接続部と通電し、固定電位を介して前記電源に接続する第2接続部とを備えており、前記判定部は、前記第1抵抗及び前記第1接続部の間の第1電圧に基づいて、前記移設検知部を取外したか否かを判定することを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、電源、第1抵抗、第1接続部、被取付部及び第2接続部が所謂プルアップ回路を構成している。従って、被取付部を第1接続部又は第2接続部から外した場合、第1抵抗及び第1接続部の間の第1電圧が変化するので、判定部はこれに基づいて移設検知部を取外したか否かを判定する。
【0010】
本発明に係る工作機械は、前記通電検知機構は、前記電源に一端が接続し、他端が前記判定部に接続する第2抵抗と、前記第2抵抗の他端及び前記被取付部を電気接続する第3接続部とを備えており、前記第3接続部は前記第1接続部又は前記第2接続部と通電し、前記判定部は、前記第1電圧と前記第2抵抗及び前記第3接続部の間の第2電圧とに基づいて、前記移設検知部を取外したか否かを判定することを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、第2抵抗の一端が電源に接続し、他端が前記判定部に接続しており、第3接続部が前記第2抵抗の他端及び前記被取付部を電気接続する。従って、被取付部を第3接続部から外した場合、第2抵抗及び第3接続部の間の第2電圧が変化する。判定部は前記第1電圧及び前記第2電圧に基づいて移設検知部を取外したか否かを判定する。
【0012】
本発明に係る工作機械は、前記通電検知機構は、前記電源に一端が接続し、他端が前記判定部に接続する第2抵抗と、前記第2抵抗の他端及び前記被取付部を電気接続する第3接続部と、前記第3接続部と通電し、固定電位を介して前記電源に接続する第4接続部とを備えており、前記判定部は、前記第1電圧と前記第2抵抗及び前記第3接続部の間の第2電圧とに基づいて、前記移設検知部を取外したか否かを判定することを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、電源、第2抵抗、第3接続部、被取付部及び第4接続部が所謂プルアップ回路を構成している。従って、被取付部を第3接続部又は第4接続部から外した場合、第2抵抗及び第3接続部の間の第2電圧が変化する。判定部は前記第1電圧及び前記第2電圧に基づいて移設検知部を取外したか否かを判定する。
【0014】
本発明に係る工作機械は、前記判定部は、前記第1電圧及び前記第2電圧の少なくとも一方が閾値以上である場合、前記移設検知部を取外したと判定することを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、第1電圧及び第2電圧の少なくとも一方が閾値以上である場合、即ち、第1接続部、第2接続部、第3接続部及び第4接続部の少なくとも一つから被取付部を外した場合、判定部は移設検知部を取外したと判定する。
【0016】
本発明に係る工作機械は、前記判定部は、前記第1電圧及び前記第2電圧の両方が閾値以上である場合、前記移設検知部を取外したと判定することを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、第1電圧及び第2電圧の両方が閾値以上である場合、即ち、第1接続部、第2接続部、第3接続部及び第4接続部の全てから被取付部を外した場合、判定部は移設検知部を取外したと判定する。
【0018】
本発明に係る工作機械は、前記第1接続部及び前記第2接続部の少なくとも一つは前記移設検知部を前記被取付部に固定する固定部材であることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、第1接続部及び第2接続部の少なくとも一つは移設検知部を被取付部に固定する例えばスタッドボスである。
【0020】
本発明に係る工作機械は、前記第3接続部及び前記第4接続部の少なくとも一つは前記移設検知部を前記被取付部に固定する固定部材であることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、第3接続部及び第4接続部の少なくとも一つは移設検知部を被取付部に固定する例えばスタッドボスである。
【0022】
本発明に係る工作機械は、前記通電検知機構は、電源に一端が接続し、他端が前記判定部に電気接続する第1抵抗と、前記第1抵抗の他端及び前記被取付部を電気接続する第1接続部と、前記第1接続部と通電し、固定電位を介して前記電源に接続する第2接続部と、前記第1抵抗の前記他端及び前記被取付部を電気接続する第3接続部と、前記第3接続部と通電し、固定電位を介して前記電源に接続する第4接続部とを備えており、前記判定部は、前記第1抵抗の前記他端の電圧に基づいて、前記移設検知部を取外したか否かを判定することを特徴とする。
【0023】
本発明にあっては、電源、第1抵抗、第1接続部、被取付部及び第2接続部が所謂プルアップ回路を構成している。従って、被取付部を第1接続部又は第2接続部から外した場合、前記第1抵抗の他端における電圧が変化する。また、前記電源、前記第1抵抗、第3接続部、前記被取付部及び第4接続部が別のプルアップ回路を構成している。従って、被取付部を第3接続部又は第4接続部から外した場合も、前記第1抵抗の他端における電圧が変化する。従って、判定部は前記第1抵抗の他端における電圧に基づいて移設検知部を取外したか否かを判定する。
【0024】
本発明に係る工作機械は、前記第1接続部、前記第2接続部、前記第3接続部及び前記第4接続部の少なくとも一つは前記移設検知部を前記被取付部に固定する固定部材であることを特徴とする。
【0025】
本発明にあっては、第1接続部、第2接続部、第3接続部及び第4接続部の少なくとも一つは移設検知部を被取付部に固定する例えばスタッドボスである。
【0026】
本発明に係る判定方法は、自機の移設を検知する移設検知部を備える工作機械にて、前記移設検知部の取外しを判定する判定方法おいて、前記移設検知部を取り付ける被取付部及び前記移設検知部が通電しているかを検知し、前記検知の結果に基づいて、前記移設検知部を取外したか否かを判定することを特徴とする。
【0027】
本発明にあっては、前記移設検知部を取り付ける被取付部及び前記移設検知部が互いに通電しているか否かを検知し、例えば、被取付部及び移設検知部が通電していないと検知した場合、移設検知部を取外したと判定する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、簡単な構成にて移設検知部を取り外したか否かを判定でき、移設検知部の取外しによって監視対象の工作機械の不正な移設等に対応できなくなる問題を解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】実施の形態1に係る工作機械を略示する斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る工作機械の要部構成を略示するブロック図である。
【
図3】実施の形態1に係る工作機械において、移設検知装置の取り付けを説明する説明図である。
【
図4】実施の形態1に係る工作機械の通電検知機構を表す概略的回路図である。
【
図5】実施の形態2に係る工作機械の通電検知機構を表す概略的回路図である。
【
図6】実施の形態3に係る工作機械の通電検知機構を表す概略的回路図である。
【
図7】実施の形態4に係る工作機械の通電検知機構を表す概略的回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明の実施の形態に係る工作機械を、図面に基づいて説明する。
【0031】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る工作機械100を略示する斜視図であり、
図2は、実施の形態1に係る工作機械100の要部構成を略示するブロック図である。工作機械100は、基台1、機械本体2、機械カバー3、操作部4及び制御装置10を備える。
【0032】
基台1は機械本体2を支持する。機械カバー3は機械本体2を覆う。制御装置10は機械本体2の後側に取り付けている。操作部4は、表示部4a、スイッチ、ボタン及びタッチパネル等を有し、操作者の操作を受け付ける。
【0033】
機械本体2は、主軸駆動機構2a及びワーク保持部駆動機構2bを備える。主軸駆動機構2aは、工具を装着する主軸の回転及び主軸の上下左右前後移動を実行する。ワーク保持部駆動機構2bは、ワークを保持するワーク保持部の回転を実行する。
【0034】
制御装置10は、CPU11、ROM12、RAM13、不揮発性メモリ14及び入出力インタフェース(以下、入出力I/Fと言う。)16等を備える。CPU11は、ROM12に格納した制御プログラムをRAM13に読み出して、主軸駆動機構2a及びワーク保持部駆動機構2b等を制御する。不揮発性メモリ14は、例えばEEPROM(登録商標)、EPROM及びフラッシュメモリ等である。不揮発性メモリ14に代えてハードディスクを使用してもよい。
【0035】
入出力I/F16を介して、操作部4から制御装置10に操作信号が入力する。入出力I/F16を介して、制御装置10から主軸駆動機構2a及びワーク保持部駆動機構2b等に駆動/停止信号が出力する。
【0036】
工作機械100は、電源5、電源スイッチ6及び移設検知装置20を備える。電源スイッチ6は、電源5のオン/オフを切り替える。
【0037】
移設検知装置20は、工作機械100に対して不正な移設又は不正な改造があったかを検知する。例えば、工作機械100の電源オフ時に、閾値以上の振動を検知した場合、移設検知装置20は、振動値が閾値を超過した旨の信号(超過信号)を制御装置10に送信する。
【0038】
移設検知装置20は、電池27、CPU21(判定部)、ROM22、RAM23、不揮発性メモリ24、通電検知機構28、振動センサ25及び入出力インタフェース(以下、入出力I/Fと言う。)26等を有する。CPU21は、ROM22に格納した制御プログラムをRAM23に読み出して、工作機械100の移設、改造を検知する処理を実行する。
【0039】
不揮発性メモリ24は、振動センサ25が検知した振動値を比較するための閾値が記憶している。不揮発性メモリ24は、例えばEEPROM(登録商標)、EPROM及びフラッシュメモリ等である。不揮発性メモリ24に代えてハードディスクを使用してもよい。
【0040】
入出力I/F16、26を介して、電源スイッチ6は電源5のオン又はオフを示す信号を移設検知装置20に入力する。振動センサ25は工作機械100の振動の大きさを検出する。振動センサ25は、例えば、加速度センサ又はジャイロセンサを用いる。振動センサ25にて検出した振動値が、予め設定した閾値を超過した場合、CPU21は、超過信号を制御装置10に出力する。移設検知装置20は電池27を有しているので、電源5がオフの状態でも、上記処理が実行可能である。
【0041】
通電検知機構28は、移設検知装置20を取り付ける被取付部と移設検知装置20が通電しているかを検知する。以下においては、説明の便宜上、移設検知装置20を制御装置10内に設けた場合を例に説明する。即ち、通電検知機構28は、移設検知装置20と制御装置10の後述する板金17(被取付部)とが通電状態であるかを検知する。通電検知機構28は検知結果を、CPU21に出力する。通電検知機構28についての詳しいことは後述する。
【0042】
制御装置10及び移設検知装置20は、工作機械100に対する不正な移設又は不正な改造があったと判定した場合、以降における工作機械100の運転を制限する。例えば、工作機械100の電源オフ時に、振動センサ25が振動を検知し、検知した振動が閾値以上である場合、移設検知装置20は超過信号を制御装置10に送信する。超過信号を受信した制御装置10(CPU11)は、警告を表示する指示信号を表示部4aに出力すると共に、機械本体2の運転を禁止する。例えば、CPU11は、以降、操作部4から受信する主軸駆動機構2a又はワーク保持部駆動機構2bを駆動する駆動信号を無視する。
【0043】
一方、制御装置10は、移設検知装置20が出力する超過信号に応じて、工作機械100の運転を制限する。移設検知装置20が超過信号を出力しない場合、換言すれば、不正の意図で移設検知装置20を工作機械100から取り外した場合は、不正な移設又は不正な改造があったとしても、制御装置10による工作機械100の運転の制限は出来ない。実施の形態1に係る工作機械100は、このような問題に対応できる。
【0044】
図3は、実施の形態1に係る工作機械100において、移設検知装置20の取り付けを説明する説明図である。
実施の形態1に係る工作機械100では、導電性のスタッドボス171及びネジ172を用いて、移設検知装置20を、制御装置10の板金17に固定している。移設検知装置20を構成する基板29の四隅には基板29を厚み方向に貫通する貫通孔を形成しており、各貫通孔にネジ172(固定部材)を挿通してスタッドボス171にネジ止めすることによって、移設検知装置20(基板29)を板金17に取り付ける。スタッドボス171は、スタッドボス171A‐スタッドボス171D(固定部材)の4つであり、何れも基板29及び板金17の間に介在する。基板29は矩形であって絶縁性であり、スタッドボス171A(第1接続部)及びスタッドボス171B(第2接続部)と、スタッドボス171C(第3接続部)及び不図示のスタッドボス171D(第4接続部)は板金17を介して通電できる。
【0045】
移設検知装置20の基板29に通電検知機構28を構成しており、通電検知機構28は、板金17を用いて、移設検知装置20の取り外しを検出する回路を構成する。
図4は、実施の形態1に係る工作機械100の通電検知機構28を表す概略的回路図である。
【0046】
通電検知機構28は、例えば5Vの電池からなる電源281を有する。これに限るものでなく、移設検知装置20の電池27を兼用する構成であっても良い。
電源281の一端には抵抗282(第1抵抗)の一端が電気接続しており、電源281の他端にはGNDとしての導電体283(固定電位)が電気接続している。抵抗282は例えば10-50kΩである。
【0047】
抵抗282の他端は、接続ノードD1にて2つに分岐している。前記2つのうち、一方はCPU21の第1入力端子211に電気接続しており、他方はスタッドボス171Aに電気接続している。CPU21は導電体283に電気接続している。これに限るものでなく、CPU21に代えてGPU、マイクロコントローラ等であっても良い。
【0048】
スタッドボス171Aはスタッドボス171Bと通電しており、スタッドボス171Bは導電体283に電気接続している。即ち、スタッドボス171Bは導電体283を介して電源281と電気接続している。通電検知機構28はいわゆるプルアップ回路を構成している。
【0049】
従って、スタッドボス171A及びスタッドボス171Bが接続ノードD1に電気接続している場合、即ち、移設検知装置20が板金17に固定している場合は、電源281からの電流は、抵抗282、接続ノードD1、スタッドボス171A、板金17、スタッドボス171B及び導電体283の順に流れる。この際、抵抗282及びスタッドボス171Aの間の電圧、即ち、CPU21の第1入力端子211に入力される第1電圧は「0(零)V」である。
【0050】
一方、スタッドボス171A又はスタッドボス171Bが接続ノードD1に電気接続していない場合、即ち、移設検知装置20を板金17(スタッドボス171A)から取り外した場合は、電源281からの電流は、接続ノードD1からスタッドボス171A側に流れなくなり、この際、抵抗282及びスタッドボス171Aの間の電圧、即ち、CPU21の第1入力端子211に入力される第1電圧は「5V」になる。
【0051】
従って、CPU21は、第1入力端子211に入力する第1電圧を監視し、第1電圧が閾値(例えば、1V)より大きい場合、移設検知装置20を板金17から取り外したと判定することができる。CPU21は、移設検知装置20を板金17から取り外したと判定した場合、制御装置10に超過信号を送出する。超過信号を受信した制御装置10は、警告を表示する指示信号を表示部4aに出力すると共に、機械本体2の運転を禁止する。
【0052】
以上においては、通電検知機構28がスタッドボス171A及びスタッドボス171Bに電気接続している場合を例に説明したが、これに限るものではない。通電検知機構28がスタッドボス171C及びスタッドボス171Dに電気接続するように構成しても良い。
【0053】
このように、実施の形態1に係る工作機械100は、移設検知装置20を板金17から取り外した場合、迅速に検知でき、不正な移設検知装置20の取り外しに素早く対応できる。更に、実施の形態1に係る工作機械100は、簡単な構造にて低コストで移設検知装置20の不正な取り外しを検知することができる。
【0054】
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2に係る工作機械100の通電検知機構28Aを表す概略的回路図である。
【0055】
通電検知機構28Aは、例えば5Vの電池からなる電源281を有する。これに限るものでなく、移設検知装置20の電池27を兼用する構成であっても良い。
電源281の一端は、接続ノードD2にて2つに分岐している。前記2つのうち、一方には抵抗282の一端が電気接続しており、他方には抵抗284(第2抵抗)の一端が電気接続している。電源281の他端には導電体283が電気接続しており、抵抗282及び抵抗284は例えば10-50kΩである。
【0056】
抵抗282の他端は、接続ノードD1にて2つに分岐しており、一方はCPU21の第1入力端子211に電気接続しており、他方はスタッドボス171Aに電気接続している。CPU21は導電体283に電気接続している。これに限るものではなく、CPU21に代えてGPU、マイクロコンピュータ等であっても良い。
【0057】
スタッドボス171Aはスタッドボス171Bと板金17を介して通電しており、スタッドボス171Bは導電体283に電気接続している。ただし、板金17は、スタッドボス171Aとスタッドボス171Bを有する側と、スタッドボス171Cとスタッドボス171Dを有する側とで2分割されている。
【0058】
抵抗284の他端は、接続ノードD3にて2つに分岐しており、一方はCPU21の第2入力端子212に電気接続しており、他方はスタッドボス171Cに電気接続している。スタッドボス171Cはスタッドボス171Dと板金17を介して通電しており、スタッドボス171Dは導電体283に電気接続している。即ち、スタッドボス171Dは導電体283を介して電源281と電気接続している。
【0059】
従って、スタッドボス171A及びスタッドボス171Bが接続ノードD1に電気接続している場合、電源281からの電流は、接続ノードD2、抵抗282、接続ノードD1、スタッドボス171A、板金17、スタッドボス171B及び導電体283の順に流れる。この際、抵抗282及びスタッドボス171Aの間の電圧、即ち、CPU21の第1入力端子211に入力される第1電圧は「0(零)V」である。
【0060】
また、スタッドボス171C及びスタッドボス171Dが接続ノードD3に電気接続している場合、電源281からの電流は、接続ノードD2、抵抗284、接続ノードD3、スタッドボス171C、板金17、スタッドボス171D及び導電体283の順に流れる。この際、抵抗284及びスタッドボス171Cの間の電圧、即ち、CPU21の第2入力端子212に入力される第2電圧は「0(零)V」である。
【0061】
即ち、移設検知装置20が板金17に正しく固定している場合は、第1入力端子211に入力される第1電圧及び第2入力端子212に入力される第2電圧は共に「0V」である。
【0062】
一方、スタッドボス171A又はスタッドボス171Bが接続ノードD1に電気接続していない場合、電源281からの電流は、接続ノードD1からスタッドボス171A側に流れなくなり、この際、抵抗282及びスタッドボス171Aの間の電圧、即ち、CPU21の第1入力端子211に入力される第1電圧は「5V」になる。
【0063】
スタッドボス171C又はスタッドボス171Dが接続ノードD3に接続していない場合、電源281からの電流は、接続ノードD3からスタッドボス171C側に流れなくなり、この際、抵抗284及びスタッドボス171Cの間の電圧、即ち、CPU21の第2入力端子212に入力される第2電圧は「5V」になる。
【0064】
移設検知装置20を板金17から取り外そうとした場合、即ち、移設検知装置20をスタッドボス171A-スタッドボス171Dの何れか一つから取り外した場合、第1入力端子211に入力される第1電圧又は第2入力端子212に入力される第2電圧が「5V」になる。
また、移設検知装置20を板金17から取り外した場合は、即ち、スタッドボス171A及びスタッドボス171Bの何れか一つから移設検知装置20を取外し、スタッドボス171C及びスタッドボス171Dの何れか一つから移設検知装置20を取り外した場合、第1入力端子211に入力される第1電圧及び第2入力端子212に入力される第2電圧が「5V」になる。
【0065】
従って、CPU21は、第1入力端子211に入力する第1電圧及び第2入力端子212に入力される第2電圧を監視し、移設検知装置20を板金17から取り外そうとしているか、移設検知装置20を板金17から取り外したかを検知することができる。
第1電圧又は第2電圧の何れか一方が閾値(例えば、1V)より大きい場合、CPU21は、移設検知装置20を板金17から取り外そうとしていると判定することができる。第1電圧及び第2電圧の両方が閾値より大きい場合、CPU21は、移設検知装置20を板金17から取り外したと判定することができる。
【0066】
第1電圧又は第2電圧の少なくとも一方が閾値より大きい場合、即ち、スタッドボス171A-スタッドボス171Dの少なくとも一つから移設検知装置20を取外した場合、CPU21は移設検知装置20を板金17から取り外したと判定しても良い。
【0067】
以上の如く、移設検知装置20を板金17から取り外したと判定した場合、CPU21は、制御装置10に超過信号を送出する。超過信号を受信した制御装置10は、警告を表示する指示信号を表示部4aに出力すると共に、機械本体2の運転を禁止する。よって、移設検知装置20の取り外しを未然に防止できる。
【0068】
何らかの理由により、スタッドボス171A-スタッドボス171Dの何れか一つを取り外すことも想定できるので、第1電圧及び第2電圧の両方が閾値より大きい場合のみ、CPU21が制御装置10に超過信号を送出するようにしても良い。
【0069】
実施の形態2に係る工作機械100はこれに限るものではない。第1電圧又は第2電圧の何れか一方が閾値より大きい場合、CPU21は制御装置10に第一回目の超過信号を送出し、第1回目の超過信号を受信した制御装置10は、警告を表示する指示信号を表示部4aに出力する。この際、機械本体2の運転禁止行わない。
以降、第1電圧及び第2電圧の両方が閾値より大きい場合、CPU21は制御装置10に第2回目の超過信号を送出し、第2回目の超過信号を受信した制御装置10が機械本体2の運転を禁止するように構成しても良い。
【0070】
このように、実施の形態2に係る工作機械100は、移設検知装置20を板金17から取り外そうとした場合、及び、移設検知装置20を板金17から取り外した場合、迅速に検知でき、不正な移設検知装置20の取り外しに素早く対応できる。更に、実施の形態2に係る工作機械100は、簡単な構造にて低コストで移設検知装置20の不正な取り外しを検知することができる。
【0071】
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0072】
(実施の形態3)
図6は、実施の形態3に係る工作機械100の通電検知機構28Bを表す概略的回路図である。
【0073】
通電検知機構28Bは、例えば5Vの電池からなる電源281を有する。これに限るものでなく、移設検知装置20の電池27を兼用する構成であっても良い。
電源281の一端には抵抗282の一端が電気接続しており、電源281の他端には導電体283が電気接続している。抵抗282は例えば10-50kΩである。
【0074】
抵抗282の他端は、接続ノードD1にて3つに分岐しており、3つのうち、1つ目はCPU21の第1入力端子211に電気接続しており、2つ目はスタッドボス171Aに電気接続しており、3つ目はスタッドボス171Cに電気接続している。CPU21は導電体283に電気接続している。
【0075】
スタッドボス171Aはスタッドボス171Bと板金17を介して通電しており、スタッドボス171Bは導電体283に電気接続している。スタッドボス171Cはスタッドボス171Dと板金17を介して通電しており、スタッドボス171Dは導電体283に電気接続している。ただし、板金17は、スタッドボス171Aとスタッドボス171Bを有する側と、スタッドボス171Cとスタッドボス171Dを有する側とで2分割されている。
【0076】
従って、スタッドボス171A及びスタッドボス171Bが接続ノードD1に電気接続している場合、電源281からの電流は、抵抗282、接続ノードD1、スタッドボス171A、板金17、スタッドボス171B及び導電体283の順に流れる。また、スタッドボス171C及びスタッドボス171Dが接続ノードD1に電気接続している場合、電源281からの電流は、抵抗282、接続ノードD1、スタッドボス171C、板金17、スタッドボス171D及び導電体283の順に流れる。
この際、接続ノードD1における電圧、即ち、CPU21の第1入力端子211に入力される第1電圧は「0(零)V」である。
【0077】
実施の形態3に係る工作機械100においては、スタッドボス171A又はスタッドボス171Bが接続ノードD1に電気接続していない場合であって、スタッドボス171C及びスタッドボス171Dが接続ノードD3に接続している場合、CPU21の第1入力端子211に入力される第1電圧は「0(零)V」である。
また、スタッドボス171C又はスタッドボス171Dが接続ノードD1に電気接続していない場合であって、スタッドボス171A及びスタッドボス171Bが接続ノードD3に接続している場合も、CPU21の第1入力端子211に入力される第1電圧は「0(零)V」である。
【0078】
一方、移設検知装置20を板金17から取り外した場合は、即ち、スタッドボス171A及びスタッドボス171Bの何れか一つから移設検知装置20を取外し、かつスタッドボス171C及びスタッドボス171Dの何れか一つから移設検知装置20を取り外した場合、第1入力端子211に入力される第1電圧及び第2入力端子212に入力される第2電圧が「5V」になる。
【0079】
従って、CPU21は、第1入力端子211に入力する第1電圧を監視し、移設検知装置20を板金17から取り外したかを検知することができる。第1電圧が閾値(例えば、1V)より大きい場合、CPU21は、移設検知装置20を板金17から取り外したと判定することができる。
【0080】
第1電圧が閾値より大きい場合、CPU21は制御装置10に超過信号を送出する。超過信号を受信した制御装置10は、警告を表示する指示信号を表示部4aに出力すると共に、機械本体2の運転を禁止する。
【0081】
このように、実施の形態3に係る工作機械100は、移設検知装置20を板金17から取り外した場合、迅速に検知でき、不正な移設検知装置20の取り外しに素早く対応できる。更に、実施の形態3に係る工作機械100は、一つの抵抗282を用いて通電検知機構28Bを構成しており、部品の点数を減らすことができ、より低コストで移設検知装置20の不正な取り外しを検知することができる。
【0082】
実施の形態1又は2と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0083】
以上においては、スタッドボス171A-スタッドボス171Dを用いて移設検知装置20を板金17に取り付けた場合を例に説明したが、これに限るものではない。スタッドボス171A-スタッドボス171Dの少なくとも一つを用いて少なくとも1箇所にて移設検知装置20を板金17に取り付け、他の個所では銅線又は電線にて移設検知装置20及び板金17を電気接続する構成であっても良い。
【0084】
(実施の形態4)
図7は、実施の形態4に係る工作機械100の通電検知機構28Cを表す概略的回路図である。
【0085】
通電検知機構28Cは、例えば5Vの電池からなる電源281を有する。これに限るものでなく、移設検知装置20の電池27を兼用する構成であっても良い。
電源281の一端は、接続ノードD2にて2つに分岐している。前記2つのうち、一方には抵抗282の一端が電気接続しており、他方には抵抗284の一端が電気接続している。電源281の他端には導電体283が電気接続しており、抵抗282及び抵抗284は例えば10-50kΩである。
【0086】
抵抗282の他端は、接続ノードD1にて2つに分岐しており、一方はCPU21の第1入力端子211に電気接続しており、他方はスタッドボス171Aに電気接続している。CPU21は導電体283に電気接続している。これに限るものではなく、CPU21に代えてGPU、マイクロコンピュータ等であっても良い。
【0087】
スタッドボス171Aはスタッドボス171Bと板金17を介して通電しており、スタッドボス171Bは導電体283に電気接続している。
【0088】
抵抗284の他端は、接続ノードD3にて2つに分岐しており、一方はCPU21の第2入力端子212に電気接続しており、他方はスタッドボス171Cに電気接続している。スタッドボス171Cは、板金17を介してスタッドボス171A及びスタッドボス171Bと通電している。
【0089】
従って、スタッドボス171A及びスタッドボス171Bが接続ノードD1に電気接続している場合、電源281からの電流は、接続ノードD2、抵抗282、接続ノードD1、スタッドボス171A、板金17、スタッドボス171B及び導電体283の順に流れる。この際、抵抗282及びスタッドボス171Aの間の電圧、即ち、CPU21の第1入力端子211に入力される第1電圧は「0(零)V」である。
【0090】
また、スタッドボス171C及びスタッドボス171Bが接続ノードD3に電気接続している場合、電源281からの電流は、接続ノードD2、抵抗284、接続ノードD3、スタッドボス171C、板金17、スタッドボス171B及び導電体283の順に流れる。この際、抵抗284及びスタッドボス171Cの間の電圧、即ち、CPU21の第2入力端子212に入力される第2電圧は「0V」である。
【0091】
即ち、移設検知装置20が板金17に正しく固定している場合は、第1入力端子211に入力される第1電圧及び第2入力端子212に入力される第2電圧は共に「0V」である。
【0092】
一方、スタッドボス171Aが接続ノードD1に電気接続していない場合、電源281からの電流は、接続ノードD1からスタッドボス171A側に流れなくなり、この際、抵抗282及びスタッドボス171Aの間の電圧、即ち、CPU21の第1入力端子211に入力される第1電圧は「5V」になる。
【0093】
スタッドボス171Cが接続ノードD3に接続していない場合、電源281からの電流は、接続ノードD3からスタッドボス171C側に流れなくなり、この際、抵抗284及びスタッドボス171Cの間の電圧、即ち、CPU21の第2入力端子212に入力される第2電圧は「5V」になる。
【0094】
スタッドボス171Bから移設検知装置20を取り外した場合は、電源281からの電流は、接続ノードD1からスタッドボス171A側に流れなくなり、接続ノードD3からスタッドボス171C側にも流れなくなる。従って、この際、CPU21の第1入力端子211に入力される第1電圧は「5V」になり、CPU21の第2入力端子212に入力される第2電圧も「5V」になる。
【0095】
即ち、移設検知装置20をスタッドボス171A又はスタッドボス171Cから取り外した場合、第1入力端子211に入力される第1電圧又は第2入力端子212に入力される第2電圧が「5V」になる。
また、移設検知装置20をスタッドボス171Bから取り外した場合、及び、スタッドボス171A-スタッドボス171Cの全てから取外した場合、第1入力端子211に入力される第1電圧及び第2入力端子212に入力される第2電圧が「5V」になる。
【0096】
従って、CPU21は、第1入力端子211に入力する第1電圧及び第2入力端子212に入力される第2電圧を監視し、移設検知装置20を板金17から取り外そうとしているか、移設検知装置20を板金17から取り外したかを検知することができる。
第1電圧又は第2電圧の少なくとも一方が閾値より大きい場合、CPU21は、移設検知装置20を板金17から取り外したと判定することができる。
【0097】
以上の如く、移設検知装置20を板金17から取り外したと判定した場合、CPU21は、制御装置10に超過信号を送出する。超過信号を受信した制御装置10は、警告を表示する指示信号を表示部4aに出力すると共に、機械本体2の運転を禁止する。
【0098】
実施の形態1-3と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0099】
以上においては、スタッドボス171を用いて移設検知装置20を板金17に取り付けた場合を例に説明したが、これに限るものではなく、半田付けを用いても良い。
また、以上においては、スタッドボス171が伝導性である場合を例に説明したが、これに限るものでない。絶縁性のスタッドボス171を用い、別途銅線又は電線にて移設検知装置20及び板金17を電気接続しても良い。この場合、移設検知装置20(CPU21)が前記銅線又は電線の通電を監視すれば良い。
また、以上においては、スタッドボス171A-スタッドボス171Dを用いて移設検知装置20を板金17に取り付けた場合を例に説明したが、これに限るものではない。スタッドボス171A-スタッドボス171Dの少なくとも一つを用いて少なくとも1箇所にて移設検知装置20を板金17に取り付け、他の個所では銅線又は電線にて移設検知装置20及び板金17を電気接続する構成であっても良い。
図6において、板金17を分割せずに一枚のものを使用し、スタッドボス171Cを導電体283に電気接続してもよい。この場合、移設検知装置20をスタッドボス171Aから取り外した場、又は移設検知装置20を少なくともスタッドボス171B、スタッドボス171C、スタッドボス171Dから取り外した場合、CPU21の第1入力端子211に入力される第1電圧は「5V」になる。
【符号の説明】
【0100】
17 板金
20 移設検知装置
21 CPU
28 通電検知機構
100 工作機械
171 スタッドボス
282 抵抗
284 抵抗