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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】密閉型X線管およびX線発生装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 35/16 20060101AFI20221012BHJP
   H05G 1/02 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
H01J35/16
H05G1/02 S
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019074712
(22)【出願日】2019-04-10
(65)【公開番号】P2020173947
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】松花 文太
(72)【発明者】
【氏名】植木 太
【審査官】牧 隆志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/000971(WO,A1)
【文献】特開2006-086081(JP,A)
【文献】特開2004-207053(JP,A)
【文献】特開2015-155806(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105575746(CN,A)
【文献】実開昭57-87469(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 35/00 - 35/32
H01J 9/24 - 9/52
H05G 1/00 - 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子が照射されることによりX線を発生させるターゲットと、
前記ターゲットに対して電子を放出する電子放出部と、
前記ターゲットおよび前記電子放出部を収容するとともに、内部が真空状態にされた真空筐体と、
製造時において、前記真空筐体の内部を真空状態にするために排気された後に封止された封止部とを有する封止管と、
重金属を含み、前記封止管の少なくとも前記封止部を覆うとともに、前記封止管から漏洩するX線の透過を抑制するX線透過抑制部材とを備え
前記真空筐体は、前記真空筐体の外表面から突出するように設けられた前記真空筐体を固定するためのフランジ部を有し、
前記X線透過抑制部材は、前記真空筐体の前記フランジ部に締結されている、密閉型X線管。
【請求項2】
前記封止管は、前記真空筐体内に接続される接続部を有しており、
前記X線透過抑制部材は、前記真空筐体のうちの、前記接続部から漏洩するX線の出射方向に設けられている、請求項1に記載の密閉型X線管。
【請求項3】
前記X線透過抑制部材は、少なくとも、前記ターゲットと前記接続部とを結ぶ直線の前記接続部側の延長線上において、前記重金属を含む、請求項2に記載の密閉型X線管。
【請求項4】
前記X線透過抑制部材は、前記封止管の前記封止部が配置される凹部を有しており、
前記重金属は、少なくとも、前記凹部の内面部分に設けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載の密閉型X線管。
【請求項5】
前記真空筐体は、X線が透過する窓を有しており、
前記X線透過抑制部材の前記窓側の端部は、前記窓よりも、X線の照射方向の反対側に位置するように設けられている、請求項1~のいずれか1項に記載の密閉型X線管。
【請求項6】
前記重金属は、少なくとも、金、銀、黄銅、タングステン、鉛のうちのいずれかを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の密閉型X線管。
【請求項7】
電子が照射されることによりX線を発生させるターゲットと、
前記ターゲットに対して電子を放出する電子放出部と、
前記ターゲットおよび前記電子放出部を収容するとともに、内部が真空状態にされた真空筐体と、
製造時において、前記真空筐体の内部を真空状態にするために排気された後に封止された封止部とを有する封止管と、
重金属を含み、前記封止管の少なくとも前記封止部を覆うとともに、前記封止管から漏洩するX線の透過を抑制するX線透過抑制部材とを備え、
前記X線透過抑制部材は、凹形状を有する軽金属によって構成される封止部保護部と、前記封止部保護部の前記凹形状の内面側に設けられた前記重金属によって構成されるX線透過抑制部とを含む、密閉型X線管。
【請求項8】
電子が照射されることによりX線を発生させるターゲットと、前記ターゲットに対して電子を放出する電子放出部と、製造時において、内部を真空状態にするために排気された後に封止された封止部を有する封止管と、を有する密閉型X線管と、
前記密閉型X線管に電流を供給する電源装置と、
外表面から前記密閉型X線管が突出するように配置されているとともに、前記電源装置が内部に配置された本体と、
重金属を含み、前記封止管の前記封止部の延長線上の位置に配置されたX線透過抑制部材と、を備え
前記X線透過抑制部材は、前記本体の前記密閉型X線管が設けられている面において、前記密閉型X線管と並んで突出するとともに、前記封止部と対向する位置に設けられている、X線発生装置。
【請求項9】
前記X線透過抑制部材は、少なくとも、前記ターゲットと前記封止管の前記封止部とを結ぶ直線の前記封止管の前記封止部側の延長線上において、前記重金属を含む、請求項に記載のX線発生装置。
【請求項10】
前記封止管の前記封止部を少なくとも保護する保護部材をさらに備え、
前記X線透過抑制部材は、前記封止管から漏洩するX線の照射方向において、前記保護部材の外側に配置されている、請求項8または9に記載のX線発生装置。
【請求項11】
前記封止管は、前記本体の外側において、前記密閉型X線管から突出して設けられており、前記X線透過抑制部材は、前記本体の前記密閉型X線管が設けられている面において、前記保護部材と対向する位置に設けられている、請求項1に記載のX線発生装置。
【請求項12】
前記密閉型X線管は、X線が透過する窓を有しており、
前記X線透過抑制部材の前記窓側の端部は、前記窓よりも、X線の照射方向の反対側に位置するように設けられている、請求項~1のいずれか1項に記載のX線発生装置。
【請求項13】
前記密閉型X線管は、前記窓が設けられる面と、前記窓に対して直交する方向の側部とを有しているとともに、前記封止管は、前記側部に設けられており、
前記X線透過抑制部材の前記X線の照射方向側の端部には、X線の照射方向と反対側の方向において、前記窓から離れるにつれて、前記窓から離間する距離が大きくなる傾斜部が設けられている、請求項1に記載のX線発生装置。
【請求項14】
前記X線透過抑制部材は、長穴が設けられている、請求項~1のいずれか1項に記載のX線発生装置。
【請求項15】
前記重金属は、少なくとも、金、銀、黄銅、タングステン、鉛のうちのいずれかを含む、請求項~1のいずれか1項に記載のX線発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉型X線管およびX線発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、密閉型X線管が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、熱電子を放出するコイル状のフィラメントと、フィラメントからの熱電子を電子線に収束する集束電極を有する陰極と、陰極と対向して配置され、陰極からの電子線が衝突してX線を発生するターゲットを有する陽極と、陰極と陽極とを支持し、両電極を真空気密に内包する外囲器と、を備える密閉型X線管が開示されている。
【0004】
上記特許文献1に開示されている密閉型X線管の外囲器は、胴体部と、陰極を支持する陰極支持体と、陰極支持体と胴体部とを接続する陰極接続部と、胴体部と陽極の陽極端とを接続する陽極接続部とから構成される。また、陰極支持体には、密閉型X線管の排気に用いられる排気管が結合されている。上記特許文献1には、排気管から排気した後に、排気管を封止切る(排気管を圧接し、切断する)ことにより、密閉型X線管を真空気密に保持する構成が開示されている。上記特許文献1に開示されている排気管は、銅などの柔らかい金属部材からなる肉厚の小さいパイプにより構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2007/000971号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、本願発明者らは、鋭意検討した結果、銅などの柔らかい金属部材からなる肉厚の小さいパイプにより封止管(排気管)が構成されている場合、封止管(排気管)から、X線が漏洩するということを発見した。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、封止管から漏洩するX線が、外部に漏洩することを抑制することが可能な密閉型X線管およびX線発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における密閉型X線管は、電子が照射されることによりX線を発生させるターゲットと、ターゲットに対して電子を放出する電子放出部と、ターゲットおよび電子放出部を収容するとともに、内部が真空状態にされた真空筐体と、製造時において、真空筐体の内部を真空状態にするために排気された後に封止された封止部とを有する封止管と、重金属を含み、封止管の少なくとも封止部を覆うとともに、封止管から漏洩するX線の透過を抑制するX線透過抑制部材とを備え、真空筐体は、真空筐体の外表面から突出するように設けられた真空筐体を固定するためのフランジ部を有し、X線透過抑制部材は、真空筐体のフランジ部に締結されている
この発明の第2の局面における密閉型X線管は、電子が照射されることによりX線を発生させるターゲットと、ターゲットに対して電子を放出する電子放出部と、ターゲットおよび電子放出部を収容するとともに、内部が真空状態にされた真空筐体と、製造時において、真空筐体の内部を真空状態にするために排気された後に封止された封止部とを有する封止管と、重金属を含み、封止管の少なくとも封止部を覆うとともに、封止管から漏洩するX線の透過を抑制するX線透過抑制部材とを備え、X線透過抑制部材は、凹形状を有する軽金属によって構成される封止部保護部と、封止部保護部の凹形状の内面側に設けられた重金属によって構成されるX線透過抑制部とを含む。
【0009】
この発明の第の局面におけるX線発生装置は、電子が照射されることによりX線を発生させるターゲットと、ターゲットに対して電子を放出する電子放出部と、製造時において、内部を真空状態にするために排気された後に封止された封止部を有する封止管と、を有する密閉型X線管と、密閉型X線管に電流を供給する電源装置と、外表面から密閉型X線管が突出するように配置されているとともに、電源装置が内部に配置された本体と、重金属を含み、封止管の封止部の延長線上の位置に配置されたX線透過抑制部材と、を備え、X線透過抑制部材は、本体の密閉型X線管が設けられている面において、密閉型X線管と並んで突出するとともに、封止部と対向する位置に設けられている
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1および第2の局面による密閉型X線管では、上記のように、重金属を含み、封止管の少なくとも封止部を覆うとともに、封止管から漏洩するX線の透過を抑制するX線透過抑制部材を備える。ここで、封止部は、真空筐体を排気した後に、圧接などによって封止される。したがって、封止管において、封止部は、一般的に、他の部分よりも肉厚が小さい状態となる。そこで、重金属を含み、封止管の少なくとも封止部を覆うX線透過抑制部材を備えることにより、封止管内においてX線が漏洩しやすい封止部からX線が透過して漏洩するのを抑制することができる。その結果、封止管から漏洩するX線が、外部に漏洩することを抑制することが可能な密閉型X線管を提供することができる。
【0011】
また、本発明の第の局面におけるX線発生装置は、上記のように、重金属を含み、封止管の封止部の延長線上の位置に配置されたX線透過抑制部材を備える。これにより、封止部から漏洩するX線の照射方向にX線透過抑制部材を配置することができる。その結果、第1の局面における密閉型X線管と同様に、封止管から漏洩するX線が、外部に漏洩することを抑制することが可能なX線発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態による密閉型X線管の全体構成を示したブロック図である。
図2】第1実施形態による密閉型X線管を、X方向に沿った断面の模式図である。
図3】第1実施形態による密閉型X線管を、Y方向に沿った断面の模式図である。
図4】第1実施形態による密閉型X線管をZ2方向から見た模式図である。
図5】第2実施形態によるX線発生装置を備える非破壊検査装置の構成を示したブロック図である。
図6】第2実施形態によるX線発生装置の全体構成を示したブロック図である。
図7】第2実施形態によるX線発生装置を、X方向に沿った断面の模式図である。
図8】第2実施形態によるX線透過抑制部材をX2方向から見た模式図である。
図9】第2実施形態によるX線発生装置をZ2方向から見た模式図である。
図10】第1実施形態の変形例による密閉型X線管のX方向に沿った断面の模式図である。
図11】第2実施形態の第1変形例によるX線発生装置のX方向に沿った断面の模式図である。
図12】第2実施形態の第2変形例によるX線発生装置が備えるX線透過抑制部材の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
[第1実施形態]
図1図4を参照して、第1実施形態による密閉型X線管1の構成について説明する。
【0015】
密閉型X線管1は、電源装置20から電流が供給されることにより、X線を発生させるX線管である。
【0016】
図1に示すように、密閉型X線管1は、ターゲット2と、電子放出部3と、真空筐体4と、封止管5と、X線透過抑制部材6と、窓7と、を備える。
【0017】
ターゲット2は、電子が照射されることによりX線を発生させるように構成されている。ターゲット2は、たとえば、金属材料により構成されている。金属材料は、たとえば、銅、タングステン、モリブデン、コバルト、クロム、鉄、銀などを含む。
【0018】
電子放出部3は、ターゲット2に対して電子を放出するように構成されている。具体的には、電子放出部3は、電源装置20から電流が印加されることにより、電子を発生させる。また、電子放出部3は、発生させた電子を、高電圧を印加したターゲット2に対して放出するように構成されている。電子放出部3は、たとえば、重金属がコイル状または箔状に形成されたフィラメントを含む。フィラメントは、たとえば、タングステンなどによって構成されている。第1実施形態では、電子放出部3はコイル状に形成されたフィラメント3a(図3参照)によって構成されている。
【0019】
真空筐体4は、ターゲット2および電子放出部3を収容するように構成されている。また、真空筐体4には、封止管5が設けられており、内部が真空状態にされている。
【0020】
封止管5は、円筒形状を有している。封止管5は、たとえば、銅またはガラスによって構成されている。また、封止管5は、接続部5aと、封止部5bとを有する。接続部5aは、真空筐体4内に接続されている。封止部5bは、密閉型X線管1の製造時において、真空筐体4の内部を真空状態にするために排気された後に封止されることにより形成される。具体的には、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプによって、真空筐体4の内部の気体が排気された後、封止管5が封止されることにより封止部5bが形成される。封止部5bは、たとえば、封止管5の接続部5aとは反対側の所定の位置において、封止管5を両側から押しつぶすことにより、封止管5の内壁面を圧接することにより形成される。すなわち、封止部5bは、封止管5の接続部5aとは反対側の所定の位置で圧接されることにより形成される。
【0021】
X線透過抑制部材6は、重金属を含む。重金属とは、比重が4以上の金属のことである。X線透過抑制部材6に用いられる重金属は、少なくとも、金、銀、黄銅、タングステン、鉛のうちのいずれかを含む。なお、X線透過抑制部材6は、純金属から構成される必要はなく、X線の透過量を抑制することが可能であれば、上記重金属の合金で構成されていてもよい。本実施形態では、X線透過抑制部材6が、重金属として、黄銅を含む。黄銅は、たとえば、銅を主成分として50%以上含み、鉛を1%以上含む。また、X線透過抑制部材6は、封止管5の少なくとも封止部5bを覆うように構成されている。また、X線透過抑制部材6は、X線透過抑制部材6を設けていない場合と比較して、封止管5から漏洩するX線の透過を抑制するように構成されている。
【0022】
窓7は、ターゲット2において発生されたX線が透過するように構成されている。すなわち、密閉型X線管1は、ターゲット2および電子放出部3によって発生させたX線を、窓7から照射するように構成されている。窓7は、たとえば、ベリリウムによって構成されるベリリウム窓を含む。また、窓7は板状のカーボン窓でもよい。
【0023】
図2に示すように、真空筐体4は、第1部材4aおよび第2部材4bを含む。真空筐体4は、第1部材4aおよび第2部材4bが接合されることにより形成される。第1部材4aは、金属を含む。具体的には、第1部材4aは、ステンレス鋼を含む。第2部材4bは、たとえば、ガラスを含む。
【0024】
第1部材4aは、X線の透過を抑制することが可能な厚みとなるように構成されている。一方、第2部材4bは、ガラスによって構成されているため、X線が透過する。しかしながら、密閉型X線管1は、一般的に、X線発生装置に取り付けられた状態で使用される。そのため、第2部材4bを透過したX線は、X線発生装置の筐体によって大部分が吸収されるため、X線発生装置の外部にX線が漏洩することが抑制される。すなわち、X線発生装置の筐体が、X線透過抑制部材6の役割を果たすため、第2部材4bから透過したX線の透過を抑制するためにX線透過抑制部材6を設けなくてもよい。
【0025】
第1部材4aは、第1フランジ部40および側部41を有している。第1フランジ部40は、X線の照射方向(Z方向)と直交する方向(X方向およびY方向)に突出するように第1部材4aに設けられている。図2に示す例は、X方向に沿う断面図であるため、第1フランジ部40のうち、X方向に突出する部分を図示している。側部41は、X線の照射方向(Z方向)に突出するように、第1部材4aに設けられている。第1実施形態では、第1フランジ部40は、側部41のZ2方向側の端部から、X方向に突出するように設けられている。なお、本明細書において、鉛直方向をZ方向とし、上方向をZ1方向、下方向をZ2方向とする。水平方向で互いに直交する2方向をX方向およびY方向とする。X方向のうち、一方側をX1方向とし、他方側をX2方向とする。また、Y方向のうち、一方側をY1方向とし、他方側をY2方向とする。図2に示す例では、X線の照射方向がZ1方向となるように、密閉型X線管1が配置されている。
【0026】
第1実施形態では、図2に示すように、第2部材4bは、X方向に沿う断面が凹形状を有している。また、第2部材4bは、凹形状の開口部分が、第1部材4aの第1フランジ部40のZ2方向側の面に接合されている。
【0027】
また、第1部材4aには、封止管5が接続されている。具体的には、第1部材4aには、開口部42が形成されており、接続部5aが、開口部42にはまり込むことにより、封止管5が第1部材4aに接続されている。図2に示す例では、封止管5は、X2方向側から第1部材4aに接続している。
【0028】
また、窓7は、第1部材4aの側部41のうち、X線の照射方向側(Z1方向側)の端面43に設けられている。
【0029】
図3に示すように、ターゲット2は、第2部材4bに設けられている。具体的には、ターゲット2は、Z方向に延びるように、第2部材4bに設けられている。また、ターゲット2のZ1方向側の端部に傾斜面2aが設けられている。窓7は、ターゲット2の傾斜面2aの延長線上の位置となるように、第1部材4aのZ1方向側の端面43に設けられている。電子放出部3は、ターゲット2の傾斜面2aに対して電子を放出することが可能なように、第1部材4aに設けられている。具体的には、電子放出部3は、X方向に延びるように、第1部材4aに設けられている。電子放出部3は、破線80に沿った方向(X方向)に電子を放出することにより、ターゲット2に対して電子を放出する。電子放出部3から放出された電子は、ターゲット2の傾斜面2aにおいてターゲット2と衝突する。電子が衝突したことにより、ターゲット2の傾斜面2aにおいて、X線が発生する。ターゲット2の傾斜面2aにおいて発生したX線は、1点鎖線81に示すように、Z方向に沿って照射される。すなわち、ターゲット2の傾斜面2aにおいて発生したX線は、窓7の方向に照射される。第1実施形態による密閉型X線管1は、電子放出部3から放出される電子の方向と、X線の照射方向とが異なる、いわゆる、反射型のX線管として構成されている。
【0030】
図4に示すように、第1部材4aのうち、ターゲット2が収容される部分は、平面視において正方形形状を有している。また、第1部材4aのうち、電子放出部3が収容されている部分は、平面視において、Y方向に長辺を有する長方形形状を有している。窓7が設けられる面43は、平面視において、四角形形状(正方形形状)を有している。また、第1フランジ部40は、平面視において、円形形状を有している。また、第1フランジ部40は、ねじによってX線発生装置に固定可能なように、ねじ穴40aが設けられている。なお、第1部材4aの形状は、図4に示した形状以外の形状であってもよい。たとえば、第1部材4aのうち、ターゲット2が収容される部分は、平面視において長方形形状を有していてもよい。また、第1部材4aのうち、電子放出部3が収容されている部分は、平面視において、長方形形状を有していなくてもよい。たとえば、第1部材4aのうち、電子放出部3が収容されている部分は、平面視において、正方形形状または円形形状を有していてもよい。また、窓7は、平面視において、四角形形状を有していなくてもよい。たとえば、窓7は、平面視において、円形形状を有していてもよい。また、第1フランジ部40は、平面視において、円形形状を有していなくてもよい。たとえば、第1フランジ部40は、平面視において、四角形形状を有していてもよい。
【0031】
ここで、ターゲット2において発生したX線のすべてが、窓7に向けて(1点鎖線81の方向に沿って)照射されるわけではない。たとえば、図2の2点鎖線82および破線83に示すように、真空筐体4の側部41の方向(X1方向)および封止部5bの方向(X2)方向に照射されるX線も存在する。
【0032】
X線がX1方向(破線83の方向)に照射された場合には、真空筐体4においてX線の透過が抑制されるため、密閉型X線管1の外部に放射されて漏れ出るX線量は少なくなる。しかし、X線が2点鎖線82の方向に照射された場合、X線は、封止管5を透過する。すなわち、本発明の発明者らは、封止管5から密閉型X線管1の外部にX線が漏洩することを発見した。
【0033】
そこで、第1実施形態では、密閉型X線管1は、真空筐体4のうちの、封止管5から漏洩するX線の透過を抑制するため、X線透過抑制部材6を備えている。なお、封止管5から漏洩するX線の透過を抑制するとは、X線の線量が人体などに影響がない基準値の範囲内となるように、透過するX線を吸収することを含む概念である。すなわち、封止管5から漏洩するX線を完全に遮蔽することを意味しているわけではなく、基準値の範囲内であれば、封止管5からX線が漏洩することを許容する概念である。
【0034】
封止部5bは、封止管5が圧接されることにより形成される。そのため、封止部5bの肉厚は、接続部5aの肉厚よりも小さい。したがって、封止部5bは、接続部5aよりも、透過するX線の線量が多くなる。そこで、第1実施形態では、X線透過抑制部材6は、接続部5aから漏洩するX線の出射方向に設けられている。図2に示すように、封止部5bは、接続部5aに照射されるX線の延長線上に位置している。したがって、接続部5aから漏洩するX線の出射方向にX線透過抑制部材6を配置することにより、封止管5において、接続部5aから透過するX線のみならず、接続部5aよりも先端側(X2方向側)に位置する封止部5bから透過するX線についても、密閉型X線管1の外部に漏洩することを抑制することができる。
【0035】
第1実施形態では、X線透過抑制部材6は、ターゲット2と接続部5aとを結ぶ直線(2点鎖線82)の接続部5a側の延長線上に配置されている。X線透過抑制部材6は、少なくとも、ターゲット2と接続部5aとを結ぶ直線(2点鎖線82)の接続部5a側の延長線上において、重金属を含む。
【0036】
第1実施形態では、X線透過抑制部材6は、封止管5の封止部5bが配置される凹部6cを有している。重金属は、少なくとも、凹部6cの内面部分に設けられている。X線透過抑制部材6は、少なくとも、軽金属または樹脂によって構成される封止部保護部60と、重金属によって構成されるX線透過抑制部61とを含む。図2に示す例では、封止部保護部60は、凹形状を有する軽金属によって形成されている。封止部保護部60は、たとえば、アルミ鋼を含む。X線透過抑制部61は、封止部保護部60の内面側に設けられている。すなわち、X線透過抑制部材6の凹部6cの内面部分に設けられた重金属が、X線透過抑制部61として機能する。なお、図2に示す例は、X方向に沿った断面図であるため、X線透過抑制部材6をコ字状に図示しているが、X線透過抑制部材6は、Y方向の両側(Y1方向側およびY2方向側)においても側面を有しており、封止管5の封止部5bを覆うようことが可能なように構成されている。
【0037】
また、X線透過抑制部材6は、真空筐体4に固定されている。具体的には、Z方向におけるX線透過抑制部材6の真空筐体4側の端部6aには、第2フランジ部6bが設けられている。第2フランジ部6bには、貫通穴が設けられている。また、真空筐体4には、ねじ溝が設けられている。X線透過抑制部材6は、ねじ30aによってねじ締結されることにより、真空筐体4に固定されている。
【0038】
また、第1実施形態では、X線透過抑制部材6の窓7側の端部6dは、窓7よりも、X線の照射方向の反対側に位置するように設けられている。言い換えると、X線の照射方向において、窓7は、X線透過抑制部材6よりも突出した位置に設けられている。
【0039】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0040】
第1実施形態では、上記のように、密閉型X線管1は、電子が照射されることによりX線を発生させるターゲット2と、ターゲット2に対して電子を放出する電子放出部3と、ターゲット2および電子放出部3を収容するとともに、内部が真空状態にされた真空筐体4と、製造時において、真空筐体4の内部を真空状態にするために排気された後に封止された封止部5bとを有する封止管5と、重金属を含み、封止管5の少なくとも封止部5bを覆うとともに、封止管5から漏洩するX線の透過を抑制するX線透過抑制部材6と、を備えている。これにより、封止管5内においてX線が漏洩しやすい封止部5bからX線が透過して漏洩するのを抑制することができる。その結果、封止管5から漏洩するX線が、外部に漏洩することを抑制することが可能な密閉型X線管1を提供することができる。
【0041】
また、第1実施形態では、上記のように、封止管5は、真空筐体4内に接続される接続部5aを有しており、X線透過抑制部材6は、真空筐体4のうちの、接続部5aから漏洩するX線の出射方向に設けられている。ここで、接続部5aに照射されるX線の出射方向の延長線上には、封止部5bが設けられている。したがって、上記のように構成することにより、X線透過抑制部材6によって、接続部5aから漏洩するX線の透過を抑制することができる。その結果、接続部5aに照射されるX線の照射方向において、接続部5aよりもX線の照射方向側に位置する封止部5bから漏洩するX線の透過を抑制することができる。
【0042】
また、第1実施形態では、上記のように、X線透過抑制部材6は、少なくとも、ターゲット2と接続部5aとを結ぶ直線の接続部5a側の延長線上において、重金属を含む。これにより、ターゲット2から接続部5aに向かって照射されるX線の照射方向に、重金属を配置することができる。その結果、封止管5から漏洩するX線が出射される位置に、重金属を容易に配置することができる。
【0043】
また、第1実施形態では、上記のように、X線透過抑制部材6は、封止管5の封止部5bが配置される凹部6cを有しており、重金属は、少なくとも、凹部6cの内面部分に設けられている。これにより、凹部6cによって封止部5bの周囲を覆うことが可能となるので、封止部5bの周囲に容易に重金属を配置することができる。その結果、封止部5bから漏洩するX線の透過量を容易に低減することができる。
【0044】
また、第1実施形態では、上記のように、X線透過抑制部材6は、真空筐体4に固定されている。これにより、X線透過抑制部材6を真空筐体4に対して安定して配置することができる。その結果、X線透過抑制部材6に対して外部から衝撃が加わった場合でも、X線透過抑制部材6が封止管5とともに揺動することを抑制することが可能となり、X線透過抑制部材6を、封止部5bを保護する保護部材として機能させることができる。
【0045】
また、第1実施形態では、上記のように、真空筐体4は、X線が透過する窓7を有しており、X線透過抑制部材6の窓7側の端部6dは、窓7よりも、X線の照射方向の反対側に位置するように設けられている。これにより、X線透過抑制部材6の窓7側の端部6dが、X線の照射方向(Z方向)において、窓7よりも突出することを抑制することができる。その結果、たとえば、X線透過抑制部材6が窓7よりも突出している構成とは異なり、窓7から照射されるX線の一部が、X線透過抑制部材6によって、遮られることを抑制することができる。
【0046】
また、第1実施形態では、上記のように、重金属は、少なくとも、金、銀、黄銅、タングステン、鉛のうちのいずれかを含む。これにより、X線透過抑制部材6において、X線が透過することを容易に抑制することができる。
【0047】
また、第1実施形態では、上記のように、X線透過抑制部材6は、少なくとも、軽金属または樹脂によって構成される封止部保護部60と、重金属によって構成されるX線透過抑制部61とを含む。これにより、X線透過抑制部材6が重金属のみによって構成されている場合と比較して、X線透過抑制部材6の重量が大きくなることを抑制することができる。その結果、X線透過抑制部材6を真空筐体4に取り付ける際に、X線透過抑制部材6の取り扱い(ハンドリング)を容易にすることができる。
【0048】
[第2実施形態]
次に、図5図9を参照して、第2実施形態によるX線発生装置100の構成について説明する。
【0049】
図5に示すように、第2実施形態におけるX線発生装置100は、たとえば、非破壊検査装置200に設けられる。非破壊検査装置200は、被写体WのX線画像を撮像することにより、被写体Wの内部を検査する。
【0050】
非破壊検査装置200は、X線発生装置100と、検出器101と、制御部102と、被写体Wが載置されるステージ103と、を備える。
【0051】
X線発生装置100は、検出器101に対してX線を照射するように構成されている。X線発生装置100の詳細な構成については、後述する。
【0052】
検出器101は、X線発生装置100から照射されたX線を検出するように構成されている。検出器101は、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)を含む。検出器101は、複数の変換素子(図示せず)と複数の変換素子上に配置された画素電極(図示せず)とにより構成されている。複数の変換素子および画素電極は、所定の周期(画素ピッチ)で、検出面上においてアレイ状に配列されている。また、検出器101は、取得した画像信号を、制御部102に出力するように構成されている。
【0053】
制御部102は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含んで構成されたコンピュータである。制御部102は、CPUが所定の制御プログラムを実行することにより、非破壊検査装置200の各部を制御する制御部として機能する。
【0054】
また、制御部102は、X線発生装置100を制御することにより、X線を照射されるように構成されている。
【0055】
また、制御部102は、検出器101から出力された画像信号に基づいて、被写体WのX線画像を生成するように構成されている。制御部102は、たとえば、GPU(Graphics Processing Unit)または画像処理用に構成されたFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプロセッサを含む。
【0056】
ステージ103は、撮像する被写体Wを載置可能に構成されている。また、ステージ103は、制御部102の制御の下、所定の角度に傾動可能に構成されている。ステージ103は、平板形状を有している。ステージ103は、Y方向に沿う方向の中心軸90を中心に、傾動可能に構成されている。また、ステージ103は、X方向に沿う方向の中心軸線91を中心に、傾動可能に構成されている。すなわち、ステージ103は、XY平面内において、X方向およびY方向を軸線とする2軸で傾動可能に構成されている。
【0057】
X線発生装置100は、ステージ103に対して、Z2方向側からZ1方向に対してX線を照射可能に、ステージ103のZ2側に配置されている。
【0058】
(X線発生装置の構成)
次に、図6図9を参照して、第2実施形態によるX線発生装置100の構成について説明する。
【0059】
図6に示すように、X線発生装置100は、密閉型X線管10と、電源装置20と、本体8と、X線透過抑制部材16と、を備える。
【0060】
密閉型X線管10は、ターゲット2と、電子放出部3と、封止管5と、を有する。ターゲット2は、電子が照射されることによりX線を発生させるように構成されている。電子放出部3は、ターゲット2に対して電子を放出するように構成されている。封止管5は、製造時において、密閉型X線管1の内部を真空状態にするために排気された後に封止された封止部5bを有する。第2実施形態における密閉型X線管10は、X線透過抑制部材6を備えていない点を除いて、上記第1実施形態による密閉型X線管1と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0061】
電源装置20は、外部電源(図示せず)に接続されており、密閉型X線管10に対して高圧電流を供給するように構成されている。電源装置20は、たとえば、スイッチ、コンデンサ、および、抵抗器などから構成される電源回路を含む。
【0062】
本体8には、本体8の外表面8aから密閉型X線管10が突出するように配置されている。また、本体8には、電源装置20が内部に配置されている。本体8は、たとえば、金属材料によって構成されている。具体的には、本体8は、鉄鋼材によって構成されている。
【0063】
X線透過抑制部材16は、重金属を含む。重金属は、少なくとも、金、銀、黄銅、タングステン、鉛のうちのいずれかを含む。第2実施形態では、重金属は、黄銅を含む。
【0064】
図7に示すように、第2実施形態では、密閉型X線管10は、ねじ30bによって、本体8にねじ締結されている。
【0065】
封止管5は、本体8の外側において、密閉型X線管10から突出して設けられている。具体的には、密閉型X線管10は、本体8の外表面8aから突出して、本体8に設けられている。X線透過抑制部材16は、本体8の密閉型X線管10が設けられている面8aにおいて、保護部材9と対向する位置に設けられている。
【0066】
また、第2実施形態では、密閉型X線管10は、窓7が設けられる面43と、窓7に対して直交する方向の側部41とを有している。封止管5は、密閉型X線管10のうちの側部41に設けられている。なお、窓7が設けられる面43は、密閉型X線管1のうち、本体8と反対側(Z1方向側)の端面である。すなわち、窓7が設けられる面43は、本体8の外表面8aから突出する方向の端面である。
【0067】
第2実施形態のよるX線発生装置100は、封止管5の封止部5bを少なくとも保護する保護部材9を備える。保護部材9は、凹形状を有しており、凹状形状の内部に封止部5bが配置される。また、保護部材9の内部は、樹脂(図示せず)などによってモールドされている。
【0068】
第2実施形態では、X線透過抑制部材16は、封止管5の封止部5bの延長線上の位置に配置されている。具体的には、X線透過抑制部材16は、少なくとも、ターゲット2と封止管5の封止部5bとを結ぶ直線(2点鎖線82)の封止部5b側の延長線上に配置されている。より具体的には、X線透過抑制部材16は、少なくとも、ターゲット2と封止管5の封止部5bとを結ぶ直線(2点鎖線82)の封止管5の前記封止部5b側の延長線上において、重金属を含む。なお、図7に示す例では、X線透過抑制部材16は、重金属(黄銅)のみで構成されている。
【0069】
また、X線透過抑制部材16は、本体8に設けられている。具体的には、X線透過抑制部材16の窓7側の端部16aの反対側(Z2方向側)の端部16cには、第3フランジ部16dが設けられている。第3フランジ部16dには長穴16eが設けられている。X線透過抑制部材16は、長穴16eを貫通するねじ30cによって、第3フランジ部16dを介して本体8にねじ締結されることにより固定されている。
【0070】
図7に示すように、X線透過抑制部材16は、封止管5から漏洩するX線の照射方向において、保護部材9の外側(X2方向側)に配置されている。
【0071】
また、X線透過抑制部材16の窓7側の端部16aは、窓7よりも、X線の照射方向の反対側(Z2方向側)に位置するように設けられている。言い換えると、X線の照射方向において、窓7は、X線透過抑制部材16よりも突出した位置に設けられている。
【0072】
また、X線透過抑制部材16のX線の照射方向側(窓7側)の端部16aには、X線の照射方向と反対側の方向(Z2方向)において、窓7から離れるにつれて、窓7から離間する距離が大きくなる第1傾斜部16bが設けられている。第1傾斜部16bの傾斜面は、角度が一定となるように形成されている。
【0073】
また、X線透過抑制部材16の端部16cのX1方向側には、切り欠き部16fが設けられている。X線透過抑制部材16において切り欠き部16fを設けることにより、X線透過抑制部材16と第1フランジ部40とが干渉することを抑制することができる。したがって、X方向における切り欠き部16fの長さd1分、X線透過抑制部材16を保護部材9に近づけた位置に配置することができる。
【0074】
図8に示すように、X線透過抑制部材16には、X線の照射方向と反対側の方向(Z2方向)において、窓7から離れるにつれて、窓7から離間する距離が大きくなる第2傾斜部16gが設けられている。具体的には、第2傾斜部16gは、X線透過抑制部材16の窓7側の端部16aにおいて、Y方向の両端部に設けられている。第2傾斜部16gの傾斜面は、角度が一定となるように形成されている。
【0075】
図9に示すように、第2実施形態におけるX線透過抑制部材16は、第1傾斜部16bおよび第2傾斜部16gが設けられている。また、X線透過抑制部材16には、切り欠き部16fが設けられているため、X線透過抑制部材16を保護部材9に隣接した位置に配置することができる。
【0076】
また、図9に示すように、X線透過抑制部材16は、X線透過抑制部材16と保護部材9との間の長さd2が、封止管5の長さd3よりも小さくなる位置に設けられている。また、X線透過抑制部材16は、X線透過抑制部材16のX1方向側の端面が、保護部材9のX2方向側の端面と、第1フランジ部40のX2方向側の端部との間の位置となるように配置されている。
【0077】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0078】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0079】
第2実施形態では、上記のように、X線発生装置100は、電子が照射されることによりX線を発生させるターゲット2と、ターゲット2に対して電子を放出する電子放出部3と、製造時において、内部を真空状態にするために排気された後に封止された封止部5bを有する封止管5と、を有する密閉型X線管1と、密閉型X線管10に電流を供給する電源装置20と、外表面8aから密閉型X線管10が突出するように配置されているとともに、電源装置20が内部に配置された本体8と、重金属を含み、封止管5の封止部5bの延長線上の位置に配置されたX線透過抑制部材16と、を備える。これにより、封止部5bから漏洩するX線の照射方向(X2方向)にX線透過抑制部材16を配置することができる。その結果、上記第1実施形態における密閉型X線管10と同様に、封止管5から漏洩するX線が、外部に漏洩することを抑制することが可能なX線発生装置100を提供することができる。
【0080】
また、第2実施形態では、上記のように、X線透過抑制部材16は、少なくとも、ターゲット2と封止管5の封止部5bとを結ぶ直線の封止管5の封止部5b側の延長線上において、重金属を含む。これにより、ターゲット2から接続部5aに向かって照射されるX線の照射方向に、重金属を配置することができる。その結果、封止管5から漏洩するX線が出射される位置に、重金属を容易に配置することができる。
【0081】
また、第2実施形態では、上記のように、X線透過抑制部材16は、本体8に設けられている。これにより、X線透過抑制部材16を密閉型X線管10とは別個に本体8に配置することができる。その結果、密閉型X線管10にX線透過抑制部材16が一体形成されている構成とは異なり、密閉型X線管10の交換時に、X線透過抑制部材16を密閉型X線管10とともに交換することなく、再利用することができる。また、X線透過抑制部材16が設けられていない既存のX線発生装置に対してX線透過抑制部材16を後から取り付ける(後付けする)ことにより、第2実施形態におけるX線発生装置100と同様に、封止管5(封止部5b)から漏洩するX線の透過を抑制することができる。
【0082】
また、第2実施形態では、上記のように、封止管5の封止部5bを少なくとも保護する保護部材9をさらに備え、X線透過抑制部材16は、封止管5から漏洩するX線の照射方向において、保護部材9の外側に配置されている。これにより、密閉型X線管10を本体8に取り付ける際に、保護部材9によって封止部5bが破損することを抑制することが可能であるとともに、X線透過抑制部材16によって封止部5bから漏洩するX線の透過を抑制することができる。
【0083】
また、第2実施形態では、上記のように、封止管5は、本体8の外側において、密閉型X線管10から突出して設けられており、X線透過抑制部材16は、本体8の密閉型X線管10が設けられている面8aにおいて、保護部材9と対向する位置に設けられている。これにより、封止管5から漏洩するX線の透過を抑制することが可能な位置に、X線透過抑制部材16を容易に配置することができる。
【0084】
また、第2実施形態では、上記のように、密閉型X線管10は、X線が透過する窓7を有しており、X線透過抑制部材16の窓7側の端部16aは、窓7よりも、X線の照射方向の反対側に位置するように設けられている。これにより、X線透過抑制部材16の窓7側の端部16aが、X線の照射方向(Z方向)において、窓7よりも突出することを抑制することができる。その結果、たとえば、X線透過抑制部材16が窓7よりも突出している構成とは異なり、窓7から照射されるX線の一部が、X線透過抑制部材16によって、遮られることを抑制することができる。
【0085】
また、第2実施形態では、上記のように、密閉型X線管10は、窓7が設けられる面43と、窓7に対して直交する方向の側部41とを有しているとともに、封止管5は、側部41に設けられており、X線透過抑制部材16のX線の照射方向側の端部16aには、X線の照射方向と反対側の方向において、窓7から離れるにつれて、窓7から離間する距離が大きくなる第1傾斜部16bおよび第2傾斜部16gが設けられている。これにより、たとえば、密閉型X線管10を、被写体Wを傾けて撮像するステージ103を備える非破壊検査装置200などに搭載する際に、X線透過抑制部材16が第1傾斜部16bおよび第2傾斜部16gを有していない構成と比較して、ステージ103の傾動角度が小さくなることを抑制することができる。その結果、非破壊検査装置200などのステージ103の傾動角を大きくすることが可能なX線発生装置100を提供することができる。
【0086】
また、第2実施形態では、上記のように、X線透過抑制部材16は、長穴16eが設けられている。ここで、封止管5は、真空筐体4内を真空状態にした後、人手によって圧接され封止される。そのため、封止部5bの位置を精度よく製造することが難しい。そこで、上記のように構成することにより、X線透過抑制部材16を本体8に取り付ける際に、長穴16eによって、X線透過抑制部材16を取り付ける位置の調整を行うことができる。その結果、封止部5bの位置精度が良くない場合でも、X線発生装置100に対して、容易にX線透過抑制部材16を取り付けることができる。
【0087】
また、第2実施形態では、上記のように、重金属は、少なくとも、金、銀、黄銅、タングステン、鉛のうちのいずれかを含む。これにより、X線透過抑制部材16において、X線が透過することを容易に抑制することができる。その結果、X線が透過することを容易に抑制することが可能なX線発生装置100を提供することができる。
【0088】
なお、第2実施形態におけるその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0089】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0090】
(第1実施形態の変形例)
たとえば、上記第1実施形態では、密閉型X線管1が反射型のX線管の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図10に示す変形例による密閉型X線管110のように、透過型のX線管として構成されていてもよい。具体的には、密閉型X線管110は、第1実施形態による密閉型X線管1において窓7が設けられた位置に、薄膜型のターゲット12が配置されている。電子放出部13は、フィラメント13aを有している。密閉型X線管110では、電子放出部13は、薄膜型のターゲット12に対してZ方向に電子を照射するように構成されている。電子放出部13から照射された電子がターゲット12に衝突することにより、ターゲット12から1点鎖線81の方向にX線が照射される。この際、2点鎖線82の方向にもX線が照射される。そのため、密閉型X線管110がX線透過抑制部材6を備えることにより、封止管5から漏洩するX線の透過を抑制することができる。また、上記第2実施形態における密閉型X線管10を、透過型の密閉型X線管として構成してもよい。
【0091】
(第2実施形態の第1変形例)
また、上記第2実施形態では、第1傾斜部16bの傾斜角度が一定である構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図11に示す第2実施形態の第1変形例によるX線透過抑制部材26のように、第1傾斜部26aは、傾斜角が変化してもよい。具体的には、第1傾斜部26aは、円弧形状を有するように構成されていてもよい。なお、第2実施形態の第1変形例によるX線透過抑制部材26は、第4フランジ部26bと、長穴26cと、切り欠き部26dとを有している。X線透過抑制部材26が有する第4フランジ部26b、長穴26c、および、切り欠き部26dは、それぞれ、上記第2実施形態によるX線透過抑制部材16が有する第3フランジ部16d、長穴16e、および、切り欠き部16fと同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0092】
(第2実施形態の第2変形例)
また、上記第2実施形態では、第2傾斜部16gの傾斜角度が一定である構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図12に示す第2実施形態の第2変形例によるX線透過抑制部材36のように、第2傾斜部36aは、傾斜角が変化してもよい。具体的には、第2傾斜部36aは、円弧形状を有するように構成されていてもよい。また、X線透過抑制部材16は、上記第1傾斜部26aと、第2傾斜部36aとを有していてもよい。また、X線透過抑制部材16は、第1傾斜部16b、第1傾斜部26a、第2傾斜部16g、および、第2傾斜部36aを組み合わせた構成であってもよい。なお、第2実施形態の第2変形例によるX線透過抑制部材36は、第5フランジ部36bと、長穴36cと、切り欠き部(図示せず)とを有している。X線透過抑制部材36が有する第5フランジ部36b、長穴36c、および、切り欠き部は、それぞれ、上記第2実施形態によるX線透過抑制部材16が有する第3フランジ部16d、長穴16e、および、切り欠き部16fと同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0093】
(その他の変形例)
また、上記第1実施形態では、接続部5aから漏洩するX線の出射方向にX線透過抑制部材6を設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。X線透過抑制部材6は、接続部5aから漏洩するX線の出射方向以外の位置に設けられていてもよい。たとえば、X線透過抑制部材6は、封止部5bから漏洩するX線の出射方向に設けられていてもよい。
【0094】
また、上記第1および第2実施形態では、X線透過抑制部材6およびX線透過抑制部材16が、ターゲット2と接続部5aとを結ぶ直線(2点鎖線82)の接続部5a側の延長線上において重金属を含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。X線透過抑制部材6およびX線透過抑制部材16は、ターゲット2と接続部5aとを結ぶ直線(2点鎖線82)の接続部5a側の延長線上以外の位置において重金属を含む構成であってもよい。たとえば、X線透過抑制部材6およびX線透過抑制部材16は、ターゲット2と封止部5bとを結ぶ直線の封止部5b側の延長線上以外の位置において重金属を含む構成であってもよい。
【0095】
また、上記第1実施形態では、X線透過抑制部材6が凹部6cを有している構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線透過抑制部材6は、凹部6cを有していなくてもよい。封止管5(封止部5b)を保護することが可能であるとともに、封止管5から漏洩するX線の透過を抑制することが可能であれば、X線透過抑制部材6の形状は、どのような形状であってもよい。
【0096】
また、上記第1実施形態では、X線透過抑制部材6が凹部6cの内面部分に重金属を含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。X線透過抑制部材6は、封止管5から漏洩するX線の透過を抑制することが可能な位置に重金属を含んでいれば、凹部6cの内面部分の全体に重金属を含んでいなくてもよい。
【0097】
また、上記第1実施形態では、X線透過抑制部材6が真空筐体4に固定される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線透過抑制部材6は、真空筐体4に固定されていなくてもよい。しかし、X線透過抑制部材6が真空筐体4に固定されていない場合、X線透過抑制部材6の位置が安定しないため、X線透過抑制部材6は真空筐体4に固定されていることが好ましい。
【0098】
また、上記第1および第2実施形態では、X線透過抑制部材6の窓7側の端部6dおよびX線透過抑制部材16の窓7側の端部16aが、窓7よりもX線の照射方向の反対側(Z2方向側)に位置する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線透過抑制部材6の窓7側の端部6dおよびX線透過抑制部材16の窓7側の端部16aは、X線照射方向において、窓7と同じ位置、または、窓7よりも突出する位置に配置されてもよい。しかしながら、X線透過抑制部材6の窓7側の端部6dおよびX線透過抑制部材16の窓7側の端部16aが窓7よりも突出している場合、被写体Wを載置した状態で傾動するステージ103を備える非破壊検査装置200のX線発生装置としてX線発生装置100を組み込むと、ステージ103の傾動可能な角度範囲が狭くなる。したがって、X線透過抑制部材6の窓7側の端部6dおよびX線透過抑制部材16の窓7側の端部16aは、窓7よりもX線の照射方向の反対側(Z2方向側)に位置する構成のほうが好ましい。
【0099】
また、上記第1および第2実施形態では、重金属が黄銅である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、重金属は、金、銀、タングステン、および、鉛のうちのいずれかであってもよい。封止管5から漏洩するX線の透過を抑制することが可能であれば、重金属は、どのような金属であってもよい。
【0100】
また、上記第1実施形態では、封止部保護部60が、凹形状を有するアルミ鋼によって構成される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、封止部保護部60は、アルミ以外の軽金属、または、樹脂などによって構成されていてもよい。また、封止部保護部60は、凹形状を有していなくてもよい。封止部保護部60は、L字状形状であってもよい。封止部5bを保護することが可能であれば、封止部保護部60は、どのような形状であってもよい。
【0101】
また、上記第2実施形態では、保護部材9が軽金属または樹脂で構成される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、保護部材9は、重金属を含むことでX線透過抑制の機能を有してもよい。すなわち、第1実施形態による密閉型X線管1と、第2実施形態によるX線発生装置100とを組み合わせた構成であってもよい。
【0102】
また、上記第1実施形態では、X線透過抑制部材6が、封止部保護部60およびX線透過抑制部61を含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線透過抑制部材6は、X線透過抑制部61のみから構成されていてもよい。すなわち、X線透過抑制部材6は、重金属のみによって構成されていてもよい。
【0103】
また、上記第2実施形態では、X線透過抑制部材16が本体8に設けられる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線透過抑制部材16は、密閉型X線管10の真空筐体4に設けられていてもよい。
【0104】
また、上記第2実施形態では、X線発生装置100が保護部材9を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線発生装置100は、保護部材9を備えていなくてもよい。しかしながら、X線発生装置100が保護部材9を備えていない場合、密閉型X線管10を本体8に組付ける際などに、封止部5bが破損する可能性があるため、X線発生装置100は、保護部材9を備えていたほうがよい。
【0105】
また、上記第2実施形態では、X線透過抑制部材16が第1傾斜部16bおよび第2傾斜部16gを有する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線透過抑制部材16は、第1傾斜部16bおよび第2傾斜部16gのうち、いずれかのみを有する構成であってもよい。また、X線透過抑制部材16は、第1傾斜部16bおよび第2傾斜部16gを有していなくてもよい。
【0106】
また、上記第2実施形態では、X線透過抑制部材16において、長穴16eが設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、本体8に長穴が設けられ、X線透過抑制部材16は、長穴でない貫通穴が設けられていてもよい。また、X線透過抑制部材16に長穴16eが設けられているとともに、本体8においても長穴が設けられていてもよい。本体8にも長穴を設ける場合、互いの長穴が延びる方向を、それぞれ、X方向およびY方向とすることにより、X方向およびY方向において、X線透過抑制部材16の位置調整を行うことができる。また、上記第1実施形態におけるX線透過抑制部材6においても、長穴を設けてもよい。また、X線透過抑制部材16を配置する位置に合わせて本体8に穴を設ける場合、X線透過抑制部材16は、長穴16eを設けていなくてもよい。
【0107】
また、上記第1実施形態では、X線透過抑制部材6が第2フランジ部6bを有する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線透過抑制部材6は、第2フランジ部6bを有していなくてもよい。X線透過抑制部材6が第2フランジ部6bを有していない場合、X線透過抑制部材6は、X線透過抑制部材6の真空筐体4側の端部6a、または、X線透過抑制部材6の窓7側の端部6dにおいて、X方向に貫通する貫通穴を設け、ねじ30aによって側部41にねじ締結すればよい。
【0108】
また、上記第1および第2実施形態では、X線透過抑制部材6およびX線透過抑制部材16が、ねじ30aおよびねじ30cのみによって固定される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線透過抑制部材6およびX線透過抑制部材16は、ねじ30aおよびねじ30cのみでなく、接着剤などを組み合わせて固定されていてもよい。
【0109】
また、上記第2実施形態では、X線透過抑制部材16が重金属のみで構成される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線透過抑制部材16は、少なくとも、封止管5(封止部5b)側の表面に重金属を含んでいれば、X線透過抑制部材16は、重金属と、軽金属または樹脂などとを組み合わせて構成されていてもよい。
【0110】
[態様]
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0111】
(項目1)
電子が照射されることによりX線を発生させるターゲット2と、
前記ターゲット2に対して電子を放出する電子放出部3と、
前記ターゲット2および前記電子放出部3を収容するとともに、内部が真空状態にされた真空筐体4と、
製造時において、前記真空筐体4の内部を真空状態にするために排気された後に封止された封止部5bとを有する封止管5と、
重金属を含み、前記封止管5の少なくとも前記封止部5bを覆うとともに、前記封止管から漏洩するX線の透過を抑制するX線透過抑制部材6と、を備えた、密閉型X線管。
【0112】
(項目2)
前記封止管5は、前記真空筐体4内に接続される接続部5aを有しており、
前記X線透過抑制部材6は、前記真空筐体4のうちの、前記接続部5aから漏洩するX線の出射方向に設けられている、項目1に記載の密閉型X線管。
【0113】
(項目3)
前記X線透過抑制部材6は、少なくとも、前記ターゲット2と前記接続部5aとを結ぶ直線の前記接続部5a側の延長線上において、前記重金属を含む、項目1または2に記載の密閉型X線管。
【0114】
(項目4)
前記X線透過抑制部材6は、前記封止管5の前記封止部5bが配置される凹部6cを有しており、
前記重金属は、少なくとも、前記凹部6cの内面部分に設けられている、項目1~3のいずれか1項に記載の密閉型X線管。
【0115】
(項目5)
前記X線透過抑制部材6は、前記真空筐体4に固定されている、項目1~4のいずれか1項に記載の密閉型X線管。
【0116】
(項目6)
前記真空筐体4は、X線が透過する窓7を有しており、
前記X線透過抑制部材6の前記窓7側の端部6dは、前記窓7よりも、X線の照射方向の反対側に位置するように設けられている、項目1~5のいずれか1項に記載の密閉型X線管。
【0117】
(項目7)
前記重金属は、少なくとも、金、銀、黄銅、タングステン、鉛のうちのいずれかを含む、項目1~6のいずれか1項に記載の密閉型X線管。
【0118】
(項目8)
前記X線透過抑制部材6は、少なくとも、軽金属または樹脂によって構成される封止部保護部60と、前記重金属によって構成されるX線透過抑制部61とを含む、項目1~7のいずれか1項に記載の密閉型X線管。
【0119】
(項目9)
電子が照射されることによりX線を発生させるターゲット2と、前記ターゲット2に対して電子を放出する電子放出部3と、製造時において、内部を真空状態にするために排気された後に封止された封止部5bを有する封止管5と、を有する密閉型X線管10と、
前記密閉型X線管10に電流を供給する電源装置20と、
外表面から前記密閉型X線管10が突出するように配置されているとともに、前記電源装置20が内部に配置された本体8と、
重金属を含み、前記封止管5の封止部5bの延長線上の位置に配置されたX線透過抑制部材16と、を備える、X線発生装置。
【0120】
(項目10)
前記X線透過抑制部材16は、少なくとも、前記ターゲット2と前記封止管5の前記封止部5bとを結ぶ直線の前記封止管5の前記封止部5b側の延長線上において、前記重金属を含む、項目9に記載のX線発生装置。
【0121】
(項目11)
前記X線透過抑制部材16は、前記本体8に設けられている、項目9または10に記載のX線発生装置。
【0122】
(項目12)
前記封止管5の前記封止部5bを少なくとも保護する保護部材9をさらに備え、
前記X線透過抑制部材16は、前記封止管5から漏洩するX線の照射方向において、前記保護部材9の外側に配置されている、項目9~11のいずれか1項に記載のX線発生装置。
【0123】
(項目13)
前記封止管5は、前記本体8の外側において、前記密閉型X線管10から突出して設けられており、前記X線透過抑制部材16は、前記本体8の前記密閉型X線管10が設けられている面8aにおいて、前記保護部材9と対向する位置に設けられている、項目12に記載のX線発生装置。
【0124】
(項目14)
前記密閉型X線管10は、X線が透過する窓7を有しており、
前記X線透過抑制部材16の前記窓7側の端部6dは、前記窓7よりも、X線の照射方向の反対側に位置するように設けられている、項目9~13のいずれか1項に記載のX線発生装置。
【0125】
(項目15)
前記密閉型X線管10は、前記窓7が設けられる面43と、前記窓7に対して直交する方向の側部41とを有しているとともに、前記封止管5は、前記側部41に設けられており、
前記X線透過抑制部材16の前記X線の照射方向側の端部16aには、X線の照射方向と反対側の方向において、前記窓7から離れるにつれて、前記窓7から離間する距離が大きくなる傾斜部が設けられている、項目14に記載のX線発生装置。
【0126】
(項目16)
前記X線透過抑制部材16は、長穴16eが設けられている、項目9~15のいずれか1項に記載のX線発生装置。
【0127】
(項目17)
前記重金属は、少なくとも、金、銀、黄銅、タングステン、鉛のうちのいずれかを含む、項目9~16のいずれか1項に記載のX線発生装置。
【符号の説明】
【0128】
1、10、110 密閉型X線管
2、12 ターゲット
3、13 電子放出部
4 真空筐体
5 封止管
5a 接続部
5b 封止部
6、16、26、36 X線透過抑制部材
6d、16a X線透過抑制部材の窓側の端部
7 窓
8 本体
8a 外表面、密閉型X線管が設けられている
9 保護部材
16e、26c、36c 長穴
20 電源装置
41 側部
43 窓が設けられる面
60 封止部保護部
61 X線透過抑制部
100 X線発生装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12