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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】基板及び基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/18 20060101AFI20221012BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
H05K1/18 A
H02G3/16
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019085234
(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2020181929
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾賀 勇也
(72)【発明者】
【氏名】秋本 直哉
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-060125(JP,A)
【文献】特開2015-216755(JP,A)
【文献】特開平09-312450(JP,A)
【文献】特開2002-232124(JP,A)
【文献】特開2011-258612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/18
H02G 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の複数のバスバーと、前記複数のバスバーに密着して前記複数のバスバーの相対的位置が固定される樹脂部と、を備える基板であって、
前記樹脂部は、前記バスバーの一方の板面を露出させる第1開口部と、前記バスバーの前記一方とは反対側の板面を露出させる第2開口部と、を備え、
前記バスバーは、端子を挿通可能な端子挿通孔を有して前記端子を半田付け可能な半田付け部と、前記第1開口部から露出する第1露出部と、前記第2開口部から露出する第2露出部と、前記第1開口部及び前記第2開口部内の領域で隣り合う前記複数のバスバー間を連結するタイバーが切断された切断部と、を備え、
前記第1露出部は、前記第2露出部よりも露出する板面の面積が大きくされている、基板
【請求項2】
状の複数のバスバーに樹脂部が密着して前記複数のバスバーの相対的位置が固定される基板の製造方法であって、
前記樹脂部は、前記バスバーの一方の板面を露出させる第1開口部と、前記バスバーの前記一方とは反対側の板面を露出させる第2開口部と、を備え、前記バスバーは、端子を挿通可能な端子挿通孔を有して前記端子を半田付け可能な半田付け部と、前記第1開口部から露出する第1露出部と、前記第2開口部から露出し、前記第1露出部よりも露出する板面の面積が小さい第2露出部と、前記第1開口部及び前記第2開口部内の領域で隣り合う前記複数のバスバー間を連結するタイバーが切断された切断部と、を備えており、
前記第1開口部及び前記第2開口部内の領域における隣り合う前記複数のバスバー間を連結するタイバーが金型により切断される切断工程と、
前記半田付け部及び前記第1露出部に溶融状態の半田を接触させるフロー半田工程と、を行う、基板の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、基板、部品実装基板、電気接続箱及び基板の製造方法に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、バスバーに端子を半田付けする技術が知られている。特開2003-8164号公報では、バスバーに合成樹脂材をモールド成形してなる回路基板の表面に電子部品が実装され、バスバーには電子部品のリード端子が挿通される挿通孔が設けられている。合成樹脂材には、バスバーの挿通孔に対応する位置に開口部が形成されており、リード端子は、バスバーの挿通孔に挿通された状態で、バスバーの裏面側からフロー半田付けされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-8164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バスバーに端子を半田付けするときには、バスバーの温度を半田付けに好適な温度まで高くする必要がある。そのため、フロー半田付けを行う場合には、溶融状態の半田の熱がバスバーに十分に伝えられてバスバーの温度が高くなることが好ましいが、バスバーと溶融状態の半田との接触面積によっては、溶融状態の半田からバスバーへの熱の伝わりが十分ではなく、半田付け不良が生じることが懸念される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に記載された基板は、板状の複数のバスバーと、前記複数のバスバーに密着して前記複数のバスバーの相対的位置が固定される樹脂部と、を備える基板であって、前記樹脂部は、前記バスバーの一方の板面を露出させる第1開口部と、前記バスバーの前記一方とは反対側の板面を露出させる第2開口部と、を備え、前記バスバーは、端子を挿通可能な端子挿通孔を有して前記端子を半田付け可能な半田付け部と、前記第1開口部から露出する第1露出部と、前記第2開口部から露出する第2露出部と、前記第1開口部及び前記第2開口部内の領域で隣り合う前記複数のバスバー間を連結するタイバーが切断された切断部と、を備え、前記第1露出部は、前記第2露出部よりも露出する板面の面積が大きくされている。
本明細書に記載された基板は、板状の複数のバスバーと、前記複数のバスバーに密着して前記複数のバスバーの相対的位置が固定される樹脂部と、を備える基板であって、前記樹脂部は、前記バスバーの一方の板面を露出させる第1開口部と、前記第1開口部とは異なる領域で前記バスバーの一方の板面を露出させる第3開口部と、を備え、前記バスバーは、端子を挿通可能な端子挿通孔を有して前記端子を半田付け可能な半田付け部と、前記第1開口部から露出する第1露出部と、前記第3開口部から露出する第3露出部と、前記第1開口部内の領域と前記第3開口部内の領域とで隣り合う前記複数のバスバー間を連結する複数のタイバーが切断された複数の切断部と、を備え、前記第1露出部は、前記第3露出部よりも露出する板面の面積が大きくされている。
【0006】
本明細書に記載された基板の製造方法は、板状の複数のバスバーに樹脂部が密着して前記複数のバスバーの相対的位置が固定される基板の製造方法であって、前記樹脂部は、前記バスバーの一方の板面を露出させる第1開口部と、前記バスバーの前記一方とは反対側の板面を露出させる第2開口部と、を備え、前記バスバーは、端子を挿通可能な端子挿通孔を有して前記端子を半田付け可能な半田付け部と、前記第1開口部から露出する第1露出部と、前記第2開口部から露出し、前記第1露出部よりも露出する板面の面積が小さい第2露出部と、前記第1開口部及び前記第2開口部内の領域で隣り合う前記複数のバスバー間を連結するタイバーが切断された切断部と、を備えており、前記第1開口部及び前記第2開口部内の領域における隣り合う前記複数のバスバー間を連結するタイバーが金型により切断される切断工程と、前記半田付け部及び前記第1露出部に溶融状態の半田を接触させるフロー半田工程と、を行う。
【0007】
本明細書に記載された基板の製造方法は、板状の複数のバスバーに樹脂部が密着して前記複数のバスバーの相対的位置が固定される基板の製造方法であって、前記樹脂部は、前記バスバーの一方の板面を露出させる第1開口部と、前記第1開口部とは異なる領域で前記バスバーの一方の板面を露出させる第3開口部と、を備え、前記バスバーは、端子を挿通可能な端子挿通孔を有して前記端子を半田付け可能な半田付け部と、前記第1開口部から露出する第1露出部と、前記第3開口部から露出し、前記第1露出部よりも露出する板面の面積が小さい第3露出部と、前記第1開口部内の領域と前記第3開口部内の領域とで隣り合う前記複数のバスバー間を連結する複数のタイバーが切断された複数の切断部と、を備えており、前記第1開口部及び前記第3開口部内の領域における隣り合う前記複数のバスバー間を連結するタイバーが金型により切断される切断工程と、
前記半田付け部、前記第1露出部及び前記第3露出部に溶融状態の半田を接触させるフロー半田工程と、を行う。
【発明の効果】
【0008】
本明細書に記載された技術によれば、半田付け不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、電気接続箱を示す断面図である。
図2図2は、部品実装基板を示す平面図である。
図3図3は、図2のA―A断面図である。
図4図4は、基板を示す平面図である。
図5図5は、基板を示す底面図である。
図6図6は、隣り合うバスバーがタイバーで接続された状態の基板を示す底面図である。
図7図7は、タイバーを切断する工程を示す断面図である。
図8図8は、電子部品の端子が基板の端子挿通孔に挿通された状態を示す底面図である。
図9図9は、フロー半田工程を示す図である。
図10図10は、比較例としての基板を示す底面図である。
図11図11は、比較例としてのフロー半田工程を示す図である。
図12図12は、実施形態2の基板の一部を拡大して示す平面図である。
図13図13は、基板の一部を拡大して示す底面図である。
図14図14は、隣り合うバスバーがタイバーで接続された状態の基板を示す底面図である。
図15図15は、実施形態3の基板の一部を拡大して示す平面図である。
図16図16は、実施形態3の基板の一部を拡大して示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の基板は、板状の複数のバスバーと、前記複数のバスバーに密着して前記複数のバスバーの相対的位置が固定される樹脂部と、を備える基板であって、前記樹脂部は、前記バスバーの一方の板面を露出させる第1開口部と、前記バスバーの前記一方とは反対側の板面を露出させる第2開口部と、を備え、前記バスバーは、端子を挿通可能な端子挿通孔を有して前記端子を半田付け可能な半田付け部と、前記第1開口部から露出する第1露出部と、前記第2開口部から露出する第2露出部と、前記第1開口部及び前記第2開口部内の領域で隣り合う前記複数のバスバー間を連結するタイバーが切断された切断部と、を備え、前記第1露出部は、前記第2露出部よりも露出する板面の面積が大きくされている。
上記構成によれば、第1露出部が露出する面積の大きさにより、フロー半田付けの際の溶融状態の半田が第1露出部に接触しやすくなるため、溶融状態の半田の熱がバスバーに伝わりやすくなる。これにより、フロー半田付けの際のバスバーの温度を高くすることができるため、半田付け不良を抑制することが可能になる。
【0011】
(2)本開示の基板は、板状の複数のバスバーと、前記複数のバスバーに密着して前記複数のバスバーの相対的位置が固定される樹脂部と、を備える基板であって、前記樹脂部は、前記バスバーの一方の板面を露出させる第1開口部と、前記第1開口部とは異なる領域で前記バスバーの一方の板面を露出させる第3開口部と、を備え、前記バスバーは、端子を挿通可能な端子挿通孔を有して前記端子を半田付け可能な半田付け部と、前記第1開口部から露出する第1露出部と、前記第3開口部から露出する第3露出部と、前記第1開口部内の領域と前記第3開口部内の領域とで隣り合う前記複数のバスバー間を連結する複数のタイバーが切断された複数の切断部と、を備え、前記第1露出部は、前記第3露出部よりも露出する板面の面積が大きくされている。
上記構成によれば、第1露出部が露出する面積の大きさにより、フロー半田付けの際の溶融状態の半田が第1露出部に接触しやすくなるため、溶融状態の半田の熱がバスバーに伝わりやすくなる。これにより、フロー半田付けの際のバスバーの温度を高くすることができるため、半田付け不良を抑制することが可能になる。
【0012】
(3)本開示の基板の製造方法は、板状の複数のバスバーに樹脂部が密着して前記複数のバスバーの相対的位置が固定される基板の製造方法であって、前記樹脂部は、前記バスバーの一方の板面を露出させる第1開口部と、前記バスバーの前記一方とは反対側の板面を露出させる第2開口部と、を備え、前記バスバーは、端子を挿通可能な端子挿通孔を有して前記端子を半田付け可能な半田付け部と、前記第1開口部から露出する第1露出部と、前記第2開口部から露出し、前記第1露出部よりも露出する板面の面積が小さい第2露出部と、前記第1開口部及び前記第2開口部内の領域で隣り合う前記複数のバスバー間を連結するタイバーが切断された切断部と、を備えており、前記第1開口部及び前記第2開口部内の領域における隣り合う前記複数のバスバー間を連結するタイバーが金型により切断される切断工程と、前記半田付け部及び前記第1露出部に溶融状態の半田を接触させるフロー半田工程と、を行う。
上記構成によれば、第1露出部が露出する面積の大きさにより、フロー半田付けの際の溶融状態の半田が第1露出部に接触しやすくなるため、溶融状態の半田の熱がバスバーに伝わりやすくなる。これにより、フロー半田付けの際のバスバーの温度を高くすることができるため、半田付け不良を抑制することが可能になる。
【0013】
(4)本開示の基板の製造方法は、板状の複数のバスバーに樹脂部が密着して前記複数のバスバーの相対的位置が固定される基板の製造方法であって、前記樹脂部は、前記バスバーの一方の板面を露出させる第1開口部と、前記第1開口部とは異なる領域で前記バスバーの一方の板面を露出させる第3開口部と、を備え、前記バスバーは、端子を挿通可能な端子挿通孔を有して前記端子を半田付け可能な半田付け部と、前記第1開口部から露出する第1露出部と、前記第3開口部から露出し、前記第1露出部よりも露出する板面の面積が小さい第3露出部と、前記第1開口部内の領域と前記第3開口部内の領域とで隣り合う前記複数のバスバー間を連結する複数のタイバーが切断された複数の切断部と、を備えており、前記第1開口部及び前記第3開口部内の領域における隣り合う前記複数のバスバー間を連結するタイバーが金型により切断される切断工程と、前記半田付け部、前記第1露出部及び前記第3露出部に溶融状態の半田を接触させるフロー半田工程と、を行う。
【0014】
(5)前記第1開口部と前記第3開口部とを合わせた数は、4つ以上である。
このようにすれば、基板全体として溶融状態の半田がバスバーに接触する面積を大きくすることができるため、フロー半田付けの際のバスバーの温度を高くすることができる。
【0015】
(6)前記第1開口部の開口縁には、外方側の径が大きくされたテーパ部が設けられている。
このようにすれば、テーパ部により溶融状態の半田が第1開口部内に進入しやすくなるため、溶融状態の半田の熱がバスバーに伝わりやすくなる。
【0016】
(7)前記端子を有する電子部品と、前記基板と、を備える部品実装基板とする。
(8)前記部品実装基板と、前記部品実装基板が収容されるケースと、を備える、電気接続箱とする。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の基板、部品実装基板及び電気接続箱の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0018】
<実施形態1>
本実施形態について、図1図11を参照しつつ説明する。
本実施形態の電気接続箱10は、例えば電気自動車やハイブリット自動車等の車両のバッテリ等の電源とランプ等の車載電装品や駆動モータ等からなる負荷との間の電力供給経路に配され、例えばDC-DCコンバータ、インバータ等に用いることができる。
【0019】
(電気接続箱10)
電気接続箱10は、図1に示すように、ケース11と、ケース11の開口に取り付けられるコネクタ12と、ケース11に収容される部品実装基板25とを備える。ケース11は、合成樹脂製又は金属製とされ、一方が開口する箱形とされている。コネクタ12は、絶縁性の合成樹脂製のハウジング13と、ハウジング13を貫通する複数本のコネクタ端子(不図示)とを備える。
【0020】
(部品実装基板25)
部品実装基板25は、図2図2は、図1の部品実装基板25のうちの一部の領域)に示すように、電子部品21と、電子部品21が実装される基板30とを備える。電子部品21は、FET(Field Effect Transistor)、抵抗、コンデンサ、コイル等からなり、図3に示すように、箱形の部品本体22と、部品本体22から導出される複数の端子23とを備える。各端子23は、棒状であって、直線的に延びている。
【0021】
(基板30)
基板30は、例えば長方形の板状であって、図4に示すように、複数(本実施形態では5つ)のバスバー31(各バスバー31を区別する際には、バスバー32A,バスバー32B,バスバー32C,バスバー32D,バスバー32Eと示す)と、複数のバスバー31に密着して複数のバスバー31間の位置を固定する樹脂部40と、を備える。
【0022】
複数のバスバー31は、平板状であって、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属からなり、導電路のパターンに応じた異なる形状(異なる面積)であって、同一平面上の異なる領域に配置されている。隣り合うバスバー31間にはバスバー31間を絶縁可能な隙間が形成され、電子部品21を介して隣り合うバスバー31間が電気的に接続可能とされている。バスバー31には、電子部品21の端子23が挿通される複数の端子挿通孔34が貫通形成されている。複数の端子挿通孔34は、複数(本実施形態では2つ)の円形状の端子挿通孔34と、複数(本実施形態では2つ)の長円形状の端子挿通孔34とを有する。複数のバスバー31は、基板30の製造の際には、隣り合うバスバー31がタイバー36で連結された状態の連結バスバー35のタイバー36を切断することにより、基板30が成形される。なお、バスバー31の外面には、スズ、ニッケル等のメッキが施されているが、メッキを施さなくてもよい。
【0023】
各バスバー31は、図3に示すように、バスバー31の下面となる第1板面31Aと、バスバー31の上面(第1板面31Aとは反対側の板面)となる第2板面31Bとを有する。複数のバスバー31には、上方側及び下方側の双方について樹脂部40から露出し、電子部品21の端子23が半田付けされる複数(本実施形態では4つ)の半田付け部33と、第1板面31Aに設けられ、端子23が半田付けされない第1露出部37と、第2板面31Bに設けられ、端子23が半田付けされない第2露出部38と、第1板面31Aにおける第1露出部37とは異なる領域に設けられ、端子23が半田付けされない第3露出部39(図5参照)とを備える。各半田付け部33には、端子23が挿通されて半田付けされる端子挿通孔34が貫通形成されている。
【0024】
樹脂部40は、図3に示すように、バスバー31の両面に所定の厚みで形成されるとともに、隣り合うバスバー31間の隙間に充填されている。樹脂部40は、バスバー31の第1板面31A(一方の板面)の第1露出部37を露出させる複数(本実施形態では2つ)の第1開口部41と、バスバー31の第2板面31B(一方とは反対側の板面)の第2露出部38を露出させる複数(本実施形態では5つ)の第2開口部42と、第1開口部41とは異なる領域でバスバー31の第1板面31A(一方の板面)を露出させる複数(本実施形態では3つ)の第3開口部43(図5参照)と、端子23を半田付けするための複数の半田付け用開口部44とを備える。
【0025】
第1開口部41、第2開口部42及び第3開口部43は、長方形状とされている。第1開口部41から露出する第1露出部37は、隣り合うバスバー31のそれぞれに設けられており、隣り合うバスバー31のうちの一方には、隣り合うバスバー31の並び方向(バスバー31の端縁と直交する方向)に延びる延出部37Aが形成されている。延出部37Aは、当該延出部37Aが形成されたバスバー31の端縁からの寸法が第2露出部38及び第3露出部39よりも長い。一つの第1開口部41内で露出する第1露出部37の面積(隣り合うバスバーの露出面全体の面積)は、一つの第2開口部42内で露出する第2露出部38の面積(隣り合うバスバーの露出面全体の面積)や、一つの第3開口部43内で露出する第3露出部39の面積(図5参照。隣り合うバスバーの露出面全体の面積)よりも大きくされている。また、一つの第1開口部41内で露出する一対の第1露出部37のうちの延出部37Aを有する一方側は、一対の第2露出部38の一方側及び一対の第3露出部39の一方側よりも面積が大きくされている。
【0026】
複数の半田付け用開口部44は、円形状又は長円形状であって、バスバー31の両面に形成されている。半田付け用開口部44の内側に、端子挿通孔34が配される。図3図4図5に示すように、第1開口部41、第2開口部42、第3開口部43及び半田付け用開口部44の開口縁には、外方側の径が大きくなるテーパ部46が形成されている。第1開口部41、第2開口部42及び第3開口部43の形状(面積)は、タイバー36を切断するための切断用金型としての下型51及び上型52(図7)が進入可能な形状とされている。
【0027】
樹脂部40の材料としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を用いることができる。ポリフェニレンサルファイドを用いると、耐熱性(半田付けで溶けない耐熱性)に優れるので好ましい。なお、樹脂部40の材料は、これに限られず、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、液晶ポリマー(LCP)等、必要に応じて任意の合成樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂等、必要に応じて任意の熱硬化性樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂を用いると、耐熱性に優れるので好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、ナイロン6,6、ナイロン6、ナイロン4,6等のポリアミド樹脂等、必要に応じて任意の熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂を用いると、成形コストを低減させることができるので好ましい。
【0028】
基板30の製造工程を説明する。
導電路の形状に応じて金属板材をプレス機(不図示)で打ち抜き、複数のバスバー31がタイバー36で連結された連結バスバー35を形成する。次に、図示しない樹脂モールド用金型内に連結バスバー35を配した状態で、樹脂モールド用金型内に樹脂を注入する(モールド成形)。これにより、樹脂が固化すると、タイバー36が樹脂部40の第1開口部41、第2開口部42及び第3開口部43から露出した状態のタイバー付き基板29(図6)が形成される。そして、タイバー付き基板29を樹脂モールド金型から取り出す。
【0029】
(切断工程)
次に、図7に示すように、切断用金型としての下型51と、切断刃を有する上型52とを用意し、下型51上にタイバー付き基板29を載置し、上型52を下降させる。これにより、タイバー36の両端部が上型52の切断刃により切断され、隣り合うバスバー31間が分離された状態となって切断部36Aを有する基板30(図5)が形成される。
【0030】
(フロー半田工程)
次に、図8に示すように、電子部品21の端子23を基板30の端子挿通孔34に挿通する。次に、図9に示すように、端子挿通孔34に端子23が挿通された状態の基板30の下面側を、加熱により溶融状態となった半田SFが溜められた溶融半田槽に浸漬するフロー半田付けを行う。このとき、溶融状態の半田SFは、端子挿通孔34に端子23が挿通された状態のバスバー31の半田付け部33に接触するとともに、隣り合うバスバー31の第1露出部37(及び第3露出部39)に接触する。ここで、第1露出部37は、第2露出部38や第3露出部39よりも露出面の面積を大きくする延出部37Aが形成されている。これにより、溶融状態の半田SFの熱が伝わる面積が大きくなって第1露出部37からバスバー31に伝わりやすくなり、バスバー31の温度が上がりやすくなって良好な半田付けを行うことが可能になる。これに対して、例えば、図10の比較例に示すように、延出部37Aを有する第1露出部37を形成しない場合には、溶融状態の半田SFの熱をバスバー31に伝えるために、樹脂部40の下面側に、バスバー31を露出させるように切り欠いた伝熱穴Hを形成することが考えられる。この場合には、図11に示すように、溶融状態の半田SFが伝熱穴H内に進入してバスバー31に接触することにより、溶融状態の半田SFの熱を伝熱穴H内からバスバー31に伝えることが可能になる。しかしながら、伝熱穴Hを設ける場合には、基板30に伝熱穴Hを設けるスペースが必要になるため、基板30が大型化しやすいという問題がある。一方、本実施形態では、タイバー36を切断するために必然的に設けられる第1開口部41内に、第1露出部37の延出部37Aを設けることにより、第1露出部37の露出面の面積が大きくなるため、基板30の大型化を抑制しつつ、溶融状態の半田SFの熱をバスバー31に伝えることができ、半田付け不良を抑制することが可能になる。
【0031】
次に、図9の状態から基板30を上昇させて、基板30が溶融状態の半田SFから離れると、溶融状態の半田SFがバスバー31の上方まで這い上がった状態で固化して半田Sが形成され、電子部品21が基板30に実装された部品実装基板25が形成される(図3)。部品実装基板25をケース11に収容してコネクタ12を組み付けると電気接続箱10が形成される(図1)。
【0032】
本実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
基板30は、板状の複数のバスバー31と、複数のバスバー31に密着して複数のバスバー31の相対的位置が固定される樹脂部40と、を備える基板30であって、樹脂部40は、バスバー31の第1板面31A(一方の板面)を露出させる第1開口部41と、バスバー31の第2板面31B(一方とは反対側の板面)を露出させる第2開口部42と、を備え、バスバー31は、端子23を挿通可能な端子挿通孔34を有して端子23を半田付け可能な半田付け部33と、第1開口部41から露出する第1露出部37と、第2開口部42から露出する第2露出部38と、第1開口部41及び第2開口部42内の領域で隣り合う複数のバスバー31間を連結するタイバー36が切断された切断部36Aと、を備え、第1露出部37は、第2露出部38よりも露出する板面の面積が大きくされている。
【0033】
板状の複数のバスバー31と、複数のバスバー31に密着して複数のバスバー31の相対的位置が固定される樹脂部40と、を備える基板30であって、樹脂部40は、バスバー31の第1板面31A(一方の板面)を露出させる第1開口部41と、第1開口部41とは異なる領域でバスバー31の第1板面31A(一方の板面)を露出させる第3開口部43と、を備え、バスバー31は、端子23を挿通可能な端子挿通孔34を有して端子23を半田付け可能な半田付け部33と、第1開口部41から露出する第1露出部37と、第3開口部43から露出する第3露出部39と、第1開口部41内の領域と第3開口部43内の領域とで隣り合う複数のバスバー31間を連結する複数のタイバー36が切断された複数の切断部36Aと、を備え、第1露出部37は、第3露出部39よりも露出する板面の面積が大きくされている。
【0034】
本実施形態によれば、第1露出部37が露出する面積の大きさにより、フロー半田付けの際の溶融状態の半田SFが第1露出部37に接触しやすくなるため、溶融状態の半田SFの熱がバスバー31に伝わりやすくなる。これにより、フロー半田付けの際のバスバー31の温度を高くすることができるため、半田付け不良を抑制することが可能になる。
【0035】
また、第1開口部41と第3開口部43とを合わせた数は、4つ以上である。
このようにすれば、基板30全体として溶融状態の半田SFがバスバー31に接触する面積を大きくすることができるため、フロー半田付けの際のバスバー31の温度を高くすることができる。
【0036】
第1開口部41の開口縁には、外方側の径が大きくされたテーパ部46が設けられている。
このようにすれば、テーパ部46により溶融状態の半田SFが第1開口部41内に進入しやすくなるため、溶融状態の半田SFの熱がバスバー31に伝わりやすくなる。
【0037】
<実施形態2>
次に、実施形態2を図12図14を参照しつつ説明する。実施形態1の基板30は、樹脂部40の第1開口部41内に隣り合う2つのバスバー31が配されている構成としたが、実施形態2の基板60は、樹脂部40の第1開口部41内に3つのバスバー61(各バスバー61は、図12では左から順番にバスバー62A,バスバー62B,バスバー62C)が隙間を空けて並んで配されている構成としたものである。以下では実施形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0038】
図13に示すように、第1開口部41は、3つのバスバー61の並び方向と直交する方向に長い長方形状であって、3つのバスバー61を横切るように設けられている。3つのバスバー61のそれぞれに設けられた第1露出部63のうち、バスバー62Aには、隣り合うバスバー31の並び方向に延出された延出部63Aが設けられている。図14に示すタイバー36が切断されることにより、切断部36A(図13)が形成される。
【0039】
<実施形態3>
次に、実施形態3を図15図16を参照しつつ説明する。上記実施形態では、第1露出部37及び第1開口部41は、隣り合うバスバー31の並び方向に長い長方形状としたが、実施形態2では、第1露出部37の延びる方向が曲がっているものである。以下では上記実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
図15に示すように、樹脂部40の第1開口部71は、長方形状の部分に対して、所定の角度で曲がった部分を有する。第1開口部71から露出する第1露出部72は、隣り合うバスバー31の並び方向に対して、所定の角度で曲がった方向に延びる延出部72Aを備える。延出部72Aにより、溶融状態の半田SFの接触面積を大きくすることができる。延出部72Aは、例えば電子部品21の実装位置等に応じて空きスペースを利用可能な向きに曲げられる。
【0041】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
(1)タイバー36を切断することにより形成された切断部36Aは、バスバー31の側縁を凹状に切り欠いた形状とされたが、これに限られず、バスバー31の側縁から平坦になる(凹状ではない)切断部を有する構成としてもよい。
【0042】
(2)バスバー31に半田付けされる端子23は、電子部品21の端子23としたが、これに限られない。例えば、コネクタ端子や、他の回路と電気的に中継する中継端子等としてもよい。
(3)バスバー31は、同一平面上に平板状に延びる形状としたが、これに限らない。例えば、隣り合うバスバー31の間に段差が形成されていてもよい(複数のバスバー31の高さが異なるようにしてもよい)。
【0043】
(4)樹脂部40は、バスバー31の両面に所定の厚みで重ねられる構成としたが、これに限られない。例えば、第1開口部41が配される側とは反対側には樹脂部40が形成されず、第2開口部42を有さない構成としてもよい。
(5)第1開口部71等の開口部の数は、上記実施形態の数に限られず、任意の数とすることができる。
【符号の説明】
【0044】
10: 電気接続箱
11: ケース
12: コネクタ
13: ハウジング
21: 電子部品
22: 部品本体
23: 端子
25: 部品実装基板
29: タイバー付き基板
30,60,70: 基板
31(32A,32B,32C,32D,32E),61(62A,62B,62C): バスバー
31A: 第1板面
31B: 第2板面
33: 半田付け部
34: 端子挿通孔
35: 連結バスバー
36: タイバー
36A: 切断部
37,63,72: 第1露出部
37A,63A,72A:延出部
38: 第2露出部
39: 第3露出部
40: 樹脂部
41,71: 第1開口部
42: 第2開口部
43: 第3開口部
44: 半田付け用開口部
46: テーパ部
51: 下型(金型)
52: 上型(金型)
H: 伝熱穴
S: 半田
SF: 溶融状態の半田
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16