(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】フォークリフトの荷役制御装置
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
B66F9/24 A
B66F9/24 M
B66F9/24 P
(21)【出願番号】P 2019098629
(22)【出願日】2019-05-27
【審査請求日】2021-08-19
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター「革新的技術開発・緊急展開事業(うち人工知能未来農業創造プロジェクト)」、産業技術力強化法第17条の適用を受けるもの
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】野々垣 保紀
(72)【発明者】
【氏名】三田 達也
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-175599(JP,A)
【文献】特開昭61-267697(JP,A)
【文献】特開2011-195334(JP,A)
【文献】特開2004-099208(JP,A)
【文献】特開2005-089059(JP,A)
【文献】特開2017-182502(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0285643(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00 - 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行駆動部を有する走行装置と、前記走行装置の前側に配置され、荷物を積載するフォークと前記フォークを昇降させるリフトシリンダとを有する荷役装置とを備えたフォークリフトの荷役制御装置において、
前記荷役装置の左右両側に設けられ、前記フォークリフトの前方に一次元のレーザ光を照射して前記フォークリフトの前方に位置する物体から反射したレーザ光を受光することにより、前記物体との距離を検出する少なくとも左右1対の一次元レーザ距離センサと、
前記左右1対の一次元レーザ距離センサの検出値に基づいて、前記フォークリフトの前方に載置された荷積み対象の荷物に対する前記フォークの荷積み開始位置を決定する荷積み開始位置決定部と、
前記荷積み開始位置決定部により決定された前記荷積み開始位置に応じて前記荷積み対象の荷物を前記フォークに積むように前記走行駆動部及び前記リフトシリンダを制御する荷積み制御部とを備え
、
前記荷役装置は、前記走行装置の車体の前端部に立設されたマストと、前記マストの前側に配置されたバックレストとを有し、
前記フォークは、前記マストにリフトブラケットを介して昇降可能に取り付けられており、
前記バックレストは、前記リフトブラケットに固定されており、
前記一次元レーザ距離センサは、前記バックレストまたは前記リフトブラケットの左右両側に取り付けられているフォークリフトの荷役制御装置。
【請求項2】
前記一次元レーザ距離センサは、前記バックレストの前面よりも後側に配置されている請求項
1記載のフォークリフトの荷役制御装置。
【請求項3】
前記荷積み開始位置決定部は、前記左右1対の一次元レーザ距離センサの検出値に基づいて、前記左右1対の一次元レーザ距離センサから照射されたレーザ光が前記荷積み対象の荷物に当たるかどうかを判断し、前記左右1対の一次元レーザ距離センサから照射されたレーザ光が前記荷積み対象の荷物に当たらないと判断したときの前記フォークの位置を前記荷積み開始位置として決定する請求項
1または
2記載のフォークリフトの荷役制御装置。
【請求項4】
前記荷積み開始位置決定部は、前記左右1対の一次元レーザ距離センサの一方から照射されたレーザ光が前記荷積み対象の荷物に当たると判断したときは、前記フォークを前記一方の一次元レーザ距離センサ側に移動させ、その後前記左右1対の一次元レーザ距離センサから照射されたレーザ光が前記荷積み対象の荷物に当たらないと判断したときの前記フォークの位置を前記荷積み開始位置として決定する請求項
3記載のフォークリフトの荷役制御装置。
【請求項5】
前記荷役装置は、前記フォークを前記マストに対して左右方向にシフトさせるサイドシフトシリンダを有し、
前記荷積み開始位置決定部は、前記左右1対の一次元レーザ距離センサの一方から照射されたレーザ光が前記荷積み対象の荷物に当たると判断したときは、前記フォークが通常位置から前記一方の一次元レーザ距離センサ側にシフトするように前記サイドシフトシリンダを制御する請求項
4記載のフォークリフトの荷役制御装置。
【請求項6】
前記荷積み制御部は、前記荷積み開始位置に応じて前記荷積み対象の荷物を前記フォークに積むように前記走行駆動部及び前記リフトシリンダを制御した後、前記フォークが前記通常位置に戻るように前記サイドシフトシリンダを制御する請求項
5記載のフォークリフトの荷役制御装置。
【請求項7】
前記左右1対の一次元レーザ距離センサの検出値に基づいて、前記フォークの荷置き開始位置を決定する荷置き開始位置決定部と、
前記荷置き開始位置決定部により決定された前記荷置き開始位置に応じて前記フォークに積まれた荷置き対象の荷物を置くように前記走行駆動部及び前記リフトシリンダを制御する荷置き制御部とを更に備える請求項
1~
6の何れか一項記載のフォークリフトの荷役制御装置。
【請求項8】
前記荷置き開始位置決定部は、前記荷置き対象の荷物を予め存在する構造物に隣接して置く場合には、前記左右1対の一次元レーザ距離センサの検出値に基づいて、前記左右1対の一次元レーザ距離センサの一方から照射されたレーザ光が前記構造物に当たるかどうかを判断し、前記左右1対の一次元レーザ距離センサの一方から照射されたレーザ光が前記構造物に当たると判断したときの前記フォークの位置を前記荷置き開始位置として決定する請求項
7記載のフォークリフトの荷役制御装置。
【請求項9】
前記荷置き開始位置決定部は、前記左右1対の一次元レーザ距離センサから照射されたレーザ光が前記構造物に当たらないと判断したときは、前記フォークを前記構造物側に移動させ、その後前記左右1対の一次元レーザ距離センサの一方から照射されたレーザ光が前記構造物に当たると判断したときの前記フォークの位置を前記荷置き開始位置として決定する請求項
8記載のフォークリフトの荷役制御装置。
【請求項10】
前記荷置き開始位置決定部は、前記左右1対の一次元レーザ距離センサの一方から照射されたレーザ光が前記構造物に当たると判断したときに、前記フォークを前記構造物の反対側に移動させた後、前記左右1対の一次元レーザ距離センサから照射されたレーザ光が前記構造物に当たらないと判断したときは、前記フォークを前記構造物側に移動させる請求項
9記載のフォークリフトの荷役制御装置。
【請求項11】
前記荷役装置は、前記フォークを前記マストに対して左右方向にシフトさせるサイドシフトシリンダを有し、
前記荷置き開始位置決定部は、前記フォークを移動させる場合には、前記フォークがシフトするように前記サイドシフトシリンダを制御する請求項
9または
10記載のフォークリフトの荷役制御装置。
【請求項12】
前記荷置き制御部は、前記フォークリフトが前記荷置き開始位置から前進するように前記走行駆動部を制御した後、前記荷置き対象の荷物が前記構造物に接触するまで前記フォークが前記構造物側にシフトするように前記サイドシフトシリンダを制御し、その後前記フォークが下降するように前記リフトシリンダを制御する請求項
11記載のフォークリフトの荷役制御装置。
【請求項13】
前記荷置き開始位置決定部は、先に置かれた2つの既存の荷物の間に前記荷置き対象の荷物を置く場合には、前記左右1対の一次元レーザ距離センサの検出値に基づいて、前記左右1対の一次元レーザ距離センサから照射されたレーザ光が前記既存の荷物に当たるかどうかを判断し、前記左右1対の一次元レーザ距離センサから照射されたレーザ光が前記既存の荷物に当たらないと判断したときの前記フォークの位置を前記荷置き開始位置として決定する請求項
7記載のフォークリフトの荷役制御装置。
【請求項14】
前記荷置き開始位置決定部は、前記左右1対の一次元レーザ距離センサの一方から照射されたレーザ光が前記2つの既存の荷物の一方に当たると判断したときは、前記フォークを前記2つの既存の荷物のうち他方の既存の荷物側に移動させ、その後前記左右1対の一次元レーザ距離センサから照射されたレーザ光が前記既存の荷物に当たらないと判断したときの前記フォークの位置を前記荷置き開始位置として決定する請求項
13記載のフォークリフトの荷役制御装置。
【請求項15】
前記荷役装置は、前記フォークを前記マストに対して左右方向にシフトさせるサイドシフトシリンダを有し、
前記荷置き開始位置決定部は、前記左右1対の一次元レーザ距離センサの一方から照射されたレーザ光が前記一方の既存の荷物に当たると判断したときは、前記フォークが前記他方の既存の荷物側にシフトするように前記サイドシフトシリンダを制御する請求項
14記載のフォークリフトの荷役制御装置。
【請求項16】
前記荷置き開始位置決定部は、前記左右1対の一次元レーザ距離センサの一方から照射されたレーザ光が前記一方の既存の荷物に当たる位置から前記左右1対の一次元レーザ距離センサの他方から照射されたレーザ光が前記他方の既存の荷物に当たる位置まで前記フォークが前記他方の既存の荷物側にシフトするように前記サイドシフトシリンダを制御することにより、前記フォークに対する前記2つの既存の荷物の位置関係を求め、前記2つの既存の荷物の間の中央位置に対応する位置を前記荷置き開始位置として決定し、
前記荷置き制御部は、前記フォークが前記荷置き開始位置までシフトするように前記サイドシフトシリンダを制御し、その後前記フォークリフトが前記荷置き開始位置から前進するように前記走行駆動部を制御すると共に、前記フォークが下降するように前記リフトシリンダを制御する請求項
15記載のフォークリフトの荷役制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトの荷役制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来におけるフォークリフトの荷役制御装置としては、例えば特許文献1に記載されている技術が知られている。特許文献1に記載の荷役制御装置は、レーザ光を放射状に照射して対象物までの距離及び角度を計測する二次元レーザ距離計と、フォークリフトに搭載された荷物の上面の幅方向の両側縁までの角度に対する距離を計測することで、フォークリフトに対する荷物の上面の相対的な位置を演算し、荷物の搭載位置のずれを判定する判定手段と、運転管理システムから送信される運行データに基づいて、フォークリフトを無人で走行させる走行手段と、運行データに基づいて、荷物の積み下ろしを無人で行う制御手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、二次元レーザ距離計を使用して、フォークリフトのフォークに積載された荷物までの角度に対する距離を計測しているが、二次元レーザ距離計はかなりの高額である。また、上記従来技術では、二次元レーザ距離計の計測値に基づいて、フォークに対する荷物の積載位置のずれを判定しているが、荷物の積載位置がずれているときは、荷物の積載位置を修正する必要がある。
【0005】
本発明の目的は、安価な距離センサを使用して、荷物をフォークの所定位置に精度良く積むことができるフォークリフトの荷役制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、走行駆動部を有する走行装置と、走行装置の前側に配置され、荷物を積載するフォークとフォークを昇降させるリフトシリンダとを有する荷役装置とを備えたフォークリフトの荷役制御装置において、荷役装置の左右両側に設けられ、フォークリフトの前方に一次元のレーザ光を照射してフォークリフトの前方に位置する物体から反射したレーザ光を受光することにより、物体との距離を検出する少なくとも左右1対の一次元レーザ距離センサと、左右1対の一次元レーザ距離センサの検出値に基づいて、フォークリフトの前方に載置された荷積み対象の荷物に対するフォークの荷積み開始位置を決定する荷積み開始位置決定部と、荷積み開始位置決定部により決定された荷積み開始位置に応じて荷積み対象の荷物をフォークに積むように走行駆動部及びリフトシリンダを制御する荷積み制御部とを備える。
【0007】
このような荷役制御装置においては、少なくとも左右1対の一次元レーザ距離センサによって、フォークリフトの前方に一次元のレーザ光を照射してフォークリフトの前方に位置する物体から反射したレーザ光を受光することにより、当該物体との距離が検出される。そして、左右1対の一次元レーザ距離センサの検出値に基づいて、フォークリフトの前方に載置された荷積み対象の荷物に対するフォークの荷積み開始位置が決定され、その荷積み開始位置に応じて荷積み対象の荷物をフォークに積むように走行駆動部及びリフトシリンダが制御される。従って、フォークにおける荷積み開始位置に対応する位置に、荷積み対象の荷物が積まれることになる。また、一次元レーザ距離センサは、二次元レーザ距離センサに比べて低額である。これにより、安価な距離センサを使用して、荷物をフォークの所定位置に精度良く積むことができる。
【0008】
荷役装置は、走行装置の車体の前端部に立設されたマストと、マストの前側に配置されたバックレストとを有し、フォークは、マストにリフトブラケットを介して昇降可能に取り付けられており、バックレストは、リフトブラケットに固定されており、一次元レーザ距離センサは、バックレストまたはリフトブラケットの左右両側に取り付けられていてもよい。このような構成では、一次元レーザ距離センサから照射されたレーザ光がフォークに積まれた荷物に当たらないように、一次元レーザ距離センサを荷役装置に設けることができる。
【0009】
一次元レーザ距離センサは、バックレストの前面よりも後側に配置されていてもよい。このような構成では、フォークに積まれた荷物が一次元レーザ距離センサに当たることが防止される。
【0010】
荷積み開始位置決定部は、左右1対の一次元レーザ距離センサの検出値に基づいて、左右1対の一次元レーザ距離センサから照射されたレーザ光が荷積み対象の荷物に当たるかどうかを判断し、左右1対の一次元レーザ距離センサから照射されたレーザ光が荷積み対象の荷物に当たらないと判断したときのフォークの位置を荷積み開始位置として決定してもよい。このような構成では、左右1対の一次元レーザ距離センサの検出値からフォークの荷積み開始位置を容易に決定することができる。
【0011】
荷積み開始位置決定部は、左右1対の一次元レーザ距離センサの一方から照射されたレーザ光が荷積み対象の荷物に当たると判断したときは、フォークを一方の一次元レーザ距離センサ側に移動させ、その後左右1対の一次元レーザ距離センサから照射されたレーザ光が荷積み対象の荷物に当たらないと判断したときのフォークの位置を荷積み開始位置として決定してもよい。このような構成では、フォークがフォークリフトの前方に載置された荷積み対象の荷物に対して左右方向にずれていても、フォークの荷積み開始位置を決定することができる。
【0012】
荷役装置は、フォークをマストに対して左右方向にシフトさせるサイドシフトシリンダを有し、荷積み開始位置決定部は、左右1対の一次元レーザ距離センサの一方から照射されたレーザ光が荷積み対象の荷物に当たると判断したときは、フォークが通常位置から一方の一次元レーザ距離センサ側にシフトするようにサイドシフトシリンダを制御してもよい。このような構成では、フォークリフト自体を前後左右に移動させなくても、フォークを一方の一次元レーザ距離センサ側に移動させることができる。
【0013】
荷積み制御部は、荷積み開始位置に応じて荷積み対象の荷物をフォークに積むように走行駆動部及びリフトシリンダを制御した後、フォークが通常位置に戻るようにサイドシフトシリンダを制御してもよい。このような構成では、後工程においてフォークに積まれた荷物を所定の場所に置く際の制御が行いやすくなる。
【0014】
フォークリフトの荷役制御装置は、左右1対の一次元レーザ距離センサの検出値に基づいて、フォークの荷置き開始位置を決定する荷置き開始位置決定部と、荷置き開始位置決定部により決定された荷置き開始位置に応じてフォークに積まれた荷置き対象の荷物を置くように走行駆動部及びリフトシリンダを制御する荷置き制御部とを更に備えてもよい。このような構成では、フォークに積まれた荷置き対象の荷物が荷置き開始位置に対応する位置に置かれることになる。これにより、フォークに積まれた荷置き対象の荷物を所定の場所の適切な位置に精度良く置くことができる。
【0015】
荷置き開始位置決定部は、荷置き対象の荷物を予め存在する構造物に隣接して置く場合には、左右1対の一次元レーザ距離センサの検出値に基づいて、左右1対の一次元レーザ距離センサの一方から照射されたレーザ光が構造物に当たるかどうかを判断し、左右1対の一次元レーザ距離センサの一方から照射されたレーザ光が構造物に当たると判断したときのフォークの位置を荷置き開始位置として決定してもよい。このような構成では、荷置き対象の荷物を構造物に隣接して置く場合に、左右1対の一次元レーザ距離センサの検出値からフォークの荷置き開始位置を容易に決定することができる。
【0016】
荷置き開始位置決定部は、左右1対の一次元レーザ距離センサから照射されたレーザ光が構造物に当たらないと判断したときは、フォークを構造物側に移動させ、その後左右1対の一次元レーザ距離センサの一方から照射されたレーザ光が構造物に当たると判断したときのフォークの位置を荷置き開始位置として決定してもよい。このような構成では、フォークに積まれた荷置き対象の荷物の位置が荷置きを行うべき位置に対して構造物の反対側にずれていても、フォークの荷置き開始位置を決定することができる。
【0017】
荷置き開始位置決定部は、左右1対の一次元レーザ距離センサの一方から照射されたレーザ光が構造物に当たると判断したときに、フォークを構造物の反対側に移動させた後、左右1対の一次元レーザ距離センサから照射されたレーザ光が構造物に当たらないと判断したときは、フォークを構造物側に移動させてもよい。このような構成では、フォークに積まれた荷置き対象の荷物の位置が荷置きを行うべき位置に対して構造物側にずれていても、フォークの荷置き開始位置を決定することができる。
【0018】
荷役装置は、フォークをマストに対して左右方向にシフトさせるサイドシフトシリンダを有し、荷置き開始位置決定部は、フォークを移動させる場合には、フォークがシフトするようにサイドシフトシリンダを制御してもよい。このような構成では、フォークリフト自体を前後左右に移動させなくても、フォークを構造物側または構造物の反対側に移動させることができる。
【0019】
荷置き制御部は、フォークリフトが荷置き開始位置から前進するように走行駆動部を制御した後、荷置き対象の荷物が構造物に接触するまでフォークが構造物側にシフトするようにサイドシフトシリンダを制御し、その後フォークが下降するようにリフトシリンダを制御してもよい。このような構成では、例えば後工程において先に置かれた2つの既存の荷物の間に荷置き対象の荷物を置く際に、2つの既存の荷物間のスペースが広くなるため、2つの既存の荷物の間に荷置き対象の荷物を置きやすくなる。
【0020】
荷置き開始位置決定部は、先に置かれた2つの既存の荷物の間に荷置き対象の荷物を置く場合には、左右1対の一次元レーザ距離センサの検出値に基づいて、左右1対の一次元レーザ距離センサから照射されたレーザ光が既存の荷物に当たるかどうかを判断し、左右1対の一次元レーザ距離センサから照射されたレーザ光が既存の荷物に当たらないと判断したときのフォークの位置を荷置き開始位置として決定してもよい。このような構成では、先に置かれた2つの既存の荷物の間に荷置き対象の荷物を置く場合に、左右1対の一次元レーザ距離センサの検出値からフォークの荷置き開始位置を容易に決定することができる。
【0021】
荷置き開始位置決定部は、左右1対の一次元レーザ距離センサの一方から照射されたレーザ光が2つの既存の荷物の一方に当たると判断したときは、フォークを2つの既存の荷物のうち他方の既存の荷物側に移動させ、その後左右1対の一次元レーザ距離センサから照射されたレーザ光が既存の荷物に当たらないと判断したときのフォークの位置を荷置き開始位置として決定してもよい。このような構成では、フォークに積まれた荷置き対象の荷物の位置が荷置きを行うべき位置に対して既存の荷物側にずれていても、フォークの荷置き開始位置を決定することができる。
【0022】
荷役装置は、フォークをマストに対して左右方向にシフトさせるサイドシフトシリンダを有し、荷置き開始位置決定部は、左右1対の一次元レーザ距離センサの一方から照射されたレーザ光が一方の既存の荷物に当たると判断したときは、フォークが他方の既存の荷物側にシフトするようにサイドシフトシリンダを制御してもよい。このような構成では、フォークリフト自体を前後左右に移動させなくても、フォークを他方の既存の荷物側に移動させることができる。
【0023】
荷置き開始位置決定部は、左右1対の一次元レーザ距離センサの一方から照射されたレーザ光が一方の既存の荷物に当たる位置から左右1対の一次元レーザ距離センサの他方から照射されたレーザ光が他方の既存の荷物に当たる位置までフォークが他方の既存の荷物側にシフトするようにサイドシフトシリンダを制御することにより、フォークに対する2つの既存の荷物の位置関係を求め、2つの既存の荷物の間の中央位置に対応する位置を荷置き開始位置として決定し、荷置き制御部は、フォークが荷置き開始位置までシフトするようにサイドシフトシリンダを制御し、その後フォークリフトが荷置き開始位置から前進するように走行駆動部を制御すると共に、フォークが下降するようにリフトシリンダを制御してもよい。このような構成では、2つの既存の荷物の間の中央位置という最適な位置に荷置き対象の荷物を精度良く置くことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、安価な距離センサを使用して、荷物をフォークの所定位置に精度良く積むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係る荷役制御装置を備えたフォークリフトを示す斜視図である。
【
図2】コンテナに複数の箱状パレットが置かれた状態を示す正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る荷役制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】荷役装置における一次元レーザ距離センサを含む部分の拡大斜視図である。
【
図5】荷役装置における一次元レーザ距離センサを含む部分の拡大平面図である。
【
図6】フォークリフトにより荷積み作業を実施する様子を示す斜視図である。
【
図7】フォークリフトにより荷置き作業を実施する様子を示す斜視図である。
【
図8】フォークリフトにより荷置き作業を実施する様子を示す斜視図である。
【
図9】
図3に示されたECUにより実行される制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図10】
図9に示された荷積み制御処理の手順の詳細を示すフローチャートである。
【
図11】
図10に示された荷積み制御処理によって荷積みを行う動作を示す概略平面図である。
【
図12】
図9に示された第1荷置き制御処理の手順の詳細を示すフローチャートである。
【
図13】
図12に示された第1荷置き制御処理によってコンテナの側壁に隣接して荷積みを行う動作を示す概略平面図である。
【
図14】
図12に示された第1荷置き制御処理によってコンテナの側壁に隣接して荷積みを行う他の動作を示す概略平面図である。
【
図15】
図9に示された第2荷置き制御処理の手順の詳細を示すフローチャートである。
【
図16】
図15に示された第2荷置き制御処理によって2つの既存の箱状パレットの間に荷積みを行う動作を示す概略平面図である。
【
図17】本発明の他の実施形態に係る荷役制御装置として、
図12に示された第1荷置き制御処理の手順の変形例を示すフローチャートである。
【
図18】
図17に示された第1荷置き制御処理によってコンテナの側壁に隣接して荷積みを行う動作を示す概略平面図である。
【
図19】本発明の更に他の実施形態に係る荷役制御装置として、
図15に示された第2荷置き制御処理の手順の変形例を示すフローチャートである。
【
図20】
図19に示された第2荷置き制御処理によって2つの既存の箱状パレットの間に荷積みを行う動作を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係る荷役制御装置を備えたフォークリフトを示す斜視図である。
図1において、本実施形態に係るフォークリフト1は、例えばカウンター式のフォークリフトである。フォークリフト1は、走行装置2と、この走行装置2の前側に配置され、荷物である箱状パレット3(
図6参照)の積み込み及び荷降ろしを行う荷役装置4とを備えている。
【0028】
箱状パレット3は、
図2に示されるように、略直方体形状を有している。箱状パレット3は、例えばトレーラ荷台26(
図7及び
図8参照)に載置されたコンテナ5内に収容される。コンテナ5は、左右両側に設けられた側壁5a(構造物)を有している。箱状パレット3は、コンテナ5の床面に2段3列で載置される。
【0029】
箱状パレット3の上端は、開口している(
図6参照)。箱状パレット3の下端の4つの角部には、基部3aが設けられている。箱状パレット3が2段に積載されるときは、上段の箱状パレット3の基部3aが下段の箱状パレット3の上端に載かった状態となる。また、箱状パレット3の下端部の4つの角部には、上段及び下段の箱状パレット3同士を係止する止め具3bが設けられている。
【0030】
走行装置2は、車体6と、この車体6の前部に配置された左右2つの駆動輪である前輪7と、車体6の後部に配置された左右2つの操舵輪である後輪8と、前輪7を回転させる走行モータ9(
図3参照)と、フォークリフト1のハンドル軸を回転させることにより後輪8を転舵させる転舵モータ10(
図3参照)とを有している。
【0031】
荷役装置4は、車体6の前端部に立設されたマスト11と、このマスト11にリフトブラケット12を介して昇降可能に取り付けられ、箱状パレット3を積載する1対のフォーク13と、リフトブラケット12に固定されたバックレスト14とを有している。バックレスト14は、マスト11の前側に配置されている。バックレスト14は、フォーク13上に載せられた箱状パレット3が後側に動くことを防ぐための荷受け枠である。バックレスト14の幅寸法は、マスト11の幅寸法よりも大きい。
【0032】
また、荷役装置4は、フォーク13を昇降させるリフトシリンダ15と、マスト11を傾動させるティルトシリンダ16と、フォーク13をマスト11に対して左右方向(車幅方向)にシフトさせるサイドシフトシリンダ17(
図3参照)とを有している。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態に係る荷役制御装置の構成を示すブロック図である。
図3において、本実施形態の荷役制御装置18は、フォークリフト1に搭載されている。荷役制御装置18は、フォークリフト1の自動運転時に、荷積み及び荷置きを含む荷役に関する制御を行う装置である。ここでいう荷積みは、指定の場所に載置された箱状パレット3をフォーク13に積み込むことである。ここでいう荷置きは、フォーク13に積み込まれた箱状パレット3をコンテナ5の床面に載置することである。
【0034】
荷役制御装置18は、荷役装置4の左右両側に設けられた左右2対の一次元レーザ距離センサ19と、これらの一次元レーザ距離センサ19と接続されたECU20(Electronic Control Unit)とを備えている。
【0035】
一次元レーザ距離センサ19は、
図1に示されるように、フォークリフト1の前方に一次元のレーザ光Lを照射して、フォークリフト1の前方に位置する物体から反射したレーザ光L(反射光)を受光することにより、当該物体との距離を検出するセンサである。一次元のレーザ光Lは、直線状のレーザ光である。一次元レーザ距離センサ19は、バックレスト14の左右両側に取り付けられている。
【0036】
具体的には、
図4及び
図5にも示されるように、バックレスト14の左右両側の側面には、上下方向に延びるアルミフレーム21がそれぞれ固定されている。一次元レーザ距離センサ19は、アルミフレーム21の外側面にブラケット22を介して取り付けられている。一次元レーザ距離センサ19は、各アルミフレーム21に上下2つずつ左右対称となる位置に取り付けられている。なお、
図4は、拡大斜視図であり、
図5は、フォークリフト1の上側から見た拡大平面図である。
【0037】
上下2つの一次元レーザ距離センサ19は、箱状パレット3の高さ寸法に相当する間隔をもって配置されている。下側の一次元レーザ距離センサ19は、例えばアルミフレーム21の下端部に取り付けられている。上側の一次元レーザ距離センサ19は、例えばアルミフレーム21におけるバックレスト14の上端部に対応する位置に取り付けられている。一次元レーザ距離センサ19は、フォーク13に箱状パレット3が2段で積み込まれた状態において、各箱状パレット3の下端部に対応する位置に取り付けられている(
図6参照)。
【0038】
また、左右1対の一次元レーザ距離センサ19は、箱状パレット3の最大幅寸法(長手方向の最大寸法)よりも僅かに大きい間隔をもって配置されている。箱状パレット3の最大幅寸法は、止め具3bが設けられた箱状パレット3の下端部の幅寸法である。従って、箱状パレット3が各フォーク13における所望の位置に積み込まれた状態では、一次元レーザ距離センサ19から照射された一次元のレーザ光が箱状パレット3の外側を通過し、箱状パレット3に当たることはない。また、箱状パレット3が各フォーク13における所望の位置からずれて積み込まれた状態では、左右1対の一次元レーザ距離センサ19の一方から照射された一次元のレーザ光が箱状パレット3に当たることはあっても、左右1対の一次元レーザ距離センサ19の双方から照射された一次元のレーザ光が同じ箱状パレット3に当たることはない。なお、所望の位置は、箱状パレット3の幅方向の中心線が各フォーク13間の中心線と一致する位置である。
【0039】
一次元レーザ距離センサ19は、バックレスト14の前面14aよりも後側に配置されるように、アルミフレーム21にブラケット22を介してボルト22aで取り付けられている。一次元レーザ距離センサ19は、一次元のレーザ光を照射すると共に物体からの反射光を受光し、当該物体との距離である検出値を電気信号として出力する検出部23と、この検出部23を覆うカバー部24とを有している。カバー部24は、ボルトまたは溶接によりブラケット22に固定されている。
【0040】
ECU20は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等から構成されている。ECU20は、上位システム管理装置25と接続されている。上位システム管理装置25は、荷役作業を含むフォークリフト1の自動運転全般を管理し、ECU20に対して自動運転に関する指示を行う。
【0041】
ECU20は、上位システム管理装置25の指示信号及び各一次元レーザ距離センサ19の検出値に基づいて所定の処理を行い、走行モータ9、転舵モータ10、リフトシリンダ15、ティルトシリンダ16及びサイドシフトシリンダ17を制御する。走行モータ9及び転舵モータ10は、走行駆動部を構成している。
【0042】
ここで、フォークリフト1の自動運転により荷役作業を実施する基本動作について説明する。まず荷積み作業を実施するときは、
図6(a)に示されるように、指定の場所に載置された箱状パレット3の手前までフォークリフト1を移動させる。そして、
図6(b)に示されるように、フォーク13を箱状パレット3の下に差し込んだ状態で、リフトシリンダ15によりフォーク13を僅かに上昇させる。これにより、箱状パレット3がフォーク13に積載された状態となる。このとき、ティルトシリンダ16によりマスト11を後傾させてもよい。
【0043】
その後、荷置き作業を実施するときは、
図7(a)に示されるように、トレーラ荷台26までフォークリフト1を移動させる。このとき、トレーラ荷台26に載置されたコンテナ5における箱状パレット3を置くべき位置(荷置き位置)の手前で、フォークリフト1を停止させる。そして、
図7(b)に示されるように、リフトシリンダ15によりフォーク13をコンテナ5の高さ位置まで上昇させる。
【0044】
続いて、
図8(a)に示されるように、フォークリフト1を荷置き位置まで前進させた後、リフトシリンダ15によりフォーク13を僅かに下降させる。これにより、フォーク13に積載された箱状パレット3がコンテナ5の荷置き位置に置かれた状態となる。そして、
図8(b)に示されるように、フォークリフト1を後退させた後、フォークリフト1を再び指定の場所まで移動させる。なお、
図7及び
図8では、箱状パレット3を見やすくするために、コンテナ5を2点鎖線で示している。
【0045】
図3に戻り、ECU20は、そのような荷積み作業及び荷置き作業の実施時に実行される。ECU20は、実施動作選択部30と、荷積み開始位置決定部31と、荷積み制御部32と、荷置き開始位置決定部33と、荷置き制御部34とを有している。
【0046】
実施動作選択部30は、上位システム管理装置25から送られてきた指示信号に基づいて、フォークリフト1が実施する動作内容を選択する。実施する動作内容としては、荷積み動作、荷置き動作及び移動動作がある。
【0047】
荷積み開始位置決定部31は、少なくとも左右1対の一次元レーザ距離センサ19の検出値に基づいて、フォークリフト1の前方に載置された荷積み対象の箱状パレット3に対するフォーク13の荷積み開始位置を決定する。フォーク13の荷積み開始位置は、箱状パレット3の幅方向の中央位置に対応する位置である。
【0048】
荷積み制御部32は、荷積み開始位置決定部31により決定された荷積み開始位置に応じて荷積み対象の箱状パレット3をフォーク13に積むように、走行モータ9、転舵モータ10、リフトシリンダ15、ティルトシリンダ16及びサイドシフトシリンダ17を制御する。
【0049】
荷置き開始位置決定部33は、少なくとも左右1対の一次元レーザ距離センサ19の検出値に基づいて、フォーク13の荷置き開始位置を決定する。
【0050】
荷置き制御部34は、荷置き開始位置決定部33により決定された荷置き開始位置に応じてフォーク13に積まれた荷置き対象の箱状パレット3を置くように、走行モータ9、転舵モータ10、リフトシリンダ15、ティルトシリンダ16及びサイドシフトシリンダ17を制御する。
【0051】
図9は、ECU20により実行される荷役制御処理の手順を示すフローチャートである。
図9において、ECU20は、まず上位システム管理装置25からの指示信号を取得する(手順S101)。
【0052】
ECU20は、上位システム管理装置25からの指示信号に基づいて、フォークリフト1が実施する動作内容として荷積み動作が指示されたかどうかを判断する(手順S102)。ECU20は、荷積み動作が指示されたと判断したときは、荷積み動作を実施するための荷積み制御処理を実行する(手順S103)。荷積み制御処理については、後で詳述する。
【0053】
ECU20は、荷積み動作が指示されていないと判断したときは、上位システム管理装置25からの指示信号に基づいて、フォークリフト1が実施する動作内容として荷置き動作が指示されたかどうかを判断する(手順S104)。ECU20は、荷置き動作が指示されたと判断したときは、上位システム管理装置25からの指示信号に基づいて、指示された荷置き動作がコンテナ5の側壁5aに隣接した位置への荷置きであるかどうかを判断する(手順S105)。
【0054】
ECU20は、指示された荷置き動作がコンテナ5の側壁5aに隣接した位置への荷置きであると判断したときは、コンテナ5の側壁5aに隣接した位置への荷置きを実施するための第1荷置き制御処理を実行する(手順S106)。第1荷置き制御処理については、後で詳述する。
【0055】
ECU20は、指示された荷置き動作がコンテナ5の側壁5aに隣接した位置への荷置きでないと判断したときは、先に置かれた2つの箱状パレット3の間の位置への荷置きを実施するための第2荷置き制御処理を実行する(手順S107)。第2荷置き制御処理については、後で詳述する。
【0056】
ECU20は、手順S104でフォークリフト1が実施する動作内容として荷置き動作が指示されていないと判断したときは、フォークリフト1を荷積み場所、荷置き場所及び保管場所等へ移動させるための移動制御処理を実行する(手順S108)。なお、移動制御処理の詳細については、省略する。
【0057】
ここで、手順S101,102,S104,S105は、実施動作選択部30により実行される。手順S103は、荷積み開始位置決定部31及び荷積み制御部32により実行される。手順S106,S107は、荷置き開始位置決定部33及び荷置き制御部34により実行される。
【0058】
図10は、
図9に示された荷積み制御処理の手順(手順S103)の詳細を示すフローチャートである。なお、荷積み制御処理は、上側または下側に位置する左右1対の一次元レーザ距離センサ19の検出値を用いて実行される。本処理の開始前には、フォークリフト1は、
図6(a)に示されるように、荷積み対象の箱状パレット3の手前に停止している。フォーク13は、最も下側に位置している。サイドシフトフラグは、0に設定されている。
【0059】
図10において、ECU20は、まず左右1対の一次元レーザ距離センサ19の検出値に基づいて、一方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光がフォークリフト1の前方に載置された荷積み対象の箱状パレット3に当たるかどうかを判断する(手順S111)。このとき、一次元レーザ距離センサ19から荷積み対象の箱状パレット3までの大体の距離は、予め分かっている。
【0060】
ECU20は、一方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が荷積み対象の箱状パレット3に当たる(
図11(a)参照)と判断したときは、フォーク13が通常位置から一方の一次元レーザ距離センサ19側にシフトするようにサイドシフトシリンダ17を制御する(手順S112)。通常位置は、マスト11の幅方向(左右方向)の中央位置である。
【0061】
続いて、ECU20は、左右1対の一次元レーザ距離センサ19の検出値に基づいて、双方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が荷積み対象の箱状パレット3に当たらないかどうかを判断する(手順S113)。ECU20は、一方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が荷積み対象の箱状パレット3に未だ当たると判断したときは、手順S112を再度実行する。
【0062】
ECU20は、双方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が荷積み対象の箱状パレット3に当たらない(
図11(b)参照)と判断したときは、その時のフォーク13の位置を荷積み開始位置として決定し、フォーク13のシフト動作が停止するようにサイドシフトシリンダ17を制御する(手順S114)。そして、ECU20は、サイドシフトフラグを1にセットする(手順S115)。
【0063】
ECU20は、手順S111で双方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が荷積み対象の箱状パレット3に当たらないと判断したとき、または手順S115を実行した後、フォークリフト1が荷積み位置まで前進する(
図11(c)参照)ように走行モータ9を制御する(手順S116)。そして、ECU20は、フォーク13が所定量だけ上昇するようにリフトシリンダ15を制御する(手順S117)。これにより、
図6(b)に示されるように、荷積み対象の箱状パレット3がフォーク13に積載される。
【0064】
続いて、ECU20は、サイドシフトフラグが1であるかどうかを判断する(手順S118)。ECU20は、サイドシフトフラグが1でなく0であると判断したときは、本処理を終了する。ECU20は、サイドシフトフラグが1であると判断したときは、フォーク13が通常位置に戻る(
図11(d)参照)ようにサイドシフトシリンダ17を制御し(手順S119)、本処理を終了する。
【0065】
ここで、手順S111~手順S114は、荷積み開始位置決定部31により実行される。手順S115~手順S119は、荷積み制御部32により実行される。
【0066】
図11は、
図10に示された荷積み制御処理によって荷積みを行う動作を示す概略平面図である。
図11において、右側の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光Lが荷積み対象の箱状パレット3に当たるときは、
図11(a)に示されるように、フォーク13が右側にシフトする。
【0067】
そして、
図11(b)に示されるように、右側の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光Lが荷積み対象の箱状パレット3に当たらなくなる位置(荷積み開始位置)にフォーク13が達すると、フォーク13のシフト動作が停止する。
【0068】
続いて、
図11(c)に示されるように、フォークリフト1が荷積み位置まで前進し、フォーク13が箱状パレット3の下に差し込まれ、その状態でフォーク13により箱状パレット3が持ち上げられる。その後、フォーク13が左側にシフトし、
図11(d)に示されるように、フォーク13が通常位置に戻る。
【0069】
図12は、
図9に示された第1荷置き制御処理の手順(手順S106)の詳細を示すフローチャートである。なお、第1荷置き制御処理は、上記の荷積み制御処理と同様に、上側または下側に位置する左右1対の一次元レーザ距離センサ19の検出値を用いて実行される。本処理の開始前には、フォークリフト1は、コンテナ5の側壁5a付近の手前に停止している。フォーク13は、所定の高さ位置となっている。
【0070】
図12において、ECU20は、まず左右1対の一次元レーザ距離センサ19の検出値に基づいて、一方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が側壁5aに当たるかどうかを判断する(手順S121)。このとき、一次元レーザ距離センサ19から側壁5aまでの大体の距離は、予め分かっている。
【0071】
ECU20は、一方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が側壁5aに当たる(
図13(a)参照)と判断したときは、フォーク13が側壁5aの反対側(他方の一次元レーザ距離センサ19側)にシフトするようにサイドシフトシリンダ17を制御する(手順S122)。
【0072】
そして、ECU20は、左右1対の一次元レーザ距離センサ19の検出値に基づいて、双方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が側壁5aに当たらないかどうかを判断する(手順S123)。ECU20は、一方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が側壁5aに未だ当たると判断したときは、手順S122を再度実行する。
【0073】
ECU20は、手順S121で双方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が側壁5aに当たらない(
図14(a)参照)と判断したとき、または手順S123で双方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が側壁5aに当たらない(
図13(b)参照)と判断したときは、フォーク13が側壁5a側にシフトするようにサイドシフトシリンダ17を制御する(手順S124)。
【0074】
続いて、ECU20は、左右1対の一次元レーザ距離センサ19の検出値に基づいて、一方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が側壁5aに当たるかどうかを判断する(手順S125)。ECU20は、双方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が側壁5aに当たらないと判断したときは、手順S124を再度実行する。
【0075】
ECU20は、一方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が側壁5aに当たる(
図13(c)、
図14(b)参照)と判断したときは、その時のフォーク13の位置を荷置き開始位置として決定し、フォーク13のシフト動作が停止するようにサイドシフトシリンダ17を制御する(手順S126)。
【0076】
続いて、ECU20は、フォークリフト1が荷置き位置まで前進するように走行モータ9を制御する(手順S127)。そして、ECU20は、フォーク13が所定量だけ下降するようにリフトシリンダ15を制御する(手順S128)。これにより、フォーク13に積載された荷置き対象の箱状パレット3が床面に載置される(
図13(d)、
図14(c)参照)。
【0077】
ここで、手順S121~手順S126は、荷置き開始位置決定部33により実行される。手順S127,手順S128は、荷置き制御部34により実行される。
【0078】
図13は、
図12に示された第1荷置き制御処理によってコンテナ5の側壁5aに隣接して荷積みを行う動作を示す概略平面図である。ここでは、コンテナ5の背面側には、箱状パレット3が既に3列で置かれている。
【0079】
図13(a)に示されるように、フォークリフト1がコンテナ5の側壁5a付近の手前に停止している状態において、左側の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光Lが側壁5aに当たるときは、フォーク13が右側にシフトする。
【0080】
そして、
図13(b)に示されるように、左側の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光Lが側壁5aに当たらなくなると、今度はフォーク13が左側にシフトする。そして、
図13(c)に示されるように、左側の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光Lが再び側壁5aに当たる位置(荷置き開始位置)にフォーク13が達すると、フォーク13のシフト動作が停止する。
【0081】
そして、
図13(d)に示されるように、フォークリフト1が荷置き位置まで前進し、その状態でフォーク13が下降する。これにより、フォーク13に積載された荷置き対象の箱状パレット3がコンテナ5の床面に側壁5aに隣接して載置される。
【0082】
図14は、
図12に示された第1荷置き制御処理によってコンテナ5の側壁5aに隣接して荷積みを行う他の動作を示す概略平面図である。
図14(a)に示されるように、フォークリフト1がコンテナ5の側壁5a付近の手前に停止している状態において、左側の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光Lが側壁5aに当たらないときは、フォーク13が左側にシフトする。
【0083】
そして、
図14(b)に示されるように、左側の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光Lが側壁5aに当たる位置(荷置き開始位置)にフォーク13が達すると、フォーク13のシフト動作が停止する。
【0084】
そして、
図14(c)に示されるように、フォークリフト1が荷置き位置まで前進し、その状態でフォーク13が下降する。これにより、フォーク13に積載された荷置き対象の箱状パレット3がコンテナ5の床面に側壁5aに隣接して載置される。
【0085】
図15は、
図9に示された第2荷置き制御処理の手順(手順S107)の詳細を示すフローチャートである。なお、第2荷置き制御処理は、上記の第1荷置き制御処理と同様に、上側または下側に位置する左右1対の一次元レーザ距離センサ19の検出値を用いて実行される。本処理の開始前には、フォークリフト1は、コンテナ5の幅方向(左右方向)の中央付近の手前に停止している。コンテナ5の床面には、左右2つの箱状パレット3(以下、箱状パレット3A,3Bということがある)が既に置かれている(
図16参照)。フォーク13は、所定の高さ位置となっている。
【0086】
図15において、ECU20は、まず左右1対の一次元レーザ距離センサ19の検出値に基づいて、一方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が先に置かれた既存の箱状パレット3A,3Bの一方に当たるかどうかを判断する(手順S131)。このとき、一次元レーザ距離センサ19から既存の箱状パレット3A,3Bまでの大体の距離は、予め分かっている。
【0087】
ECU20は、一方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が既存の箱状パレット3A,3Bの一方に当たる(
図16(a)参照)と判断したときは、フォーク13が既存の箱状パレット3A,3Bの他方側(他方の一次元レーザ距離センサ19)側にシフトするようにサイドシフトシリンダ17を制御する(手順S132)。
【0088】
続いて、ECU20は、左右1対の一次元レーザ距離センサ19の検出値に基づいて、双方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が既存の箱状パレット3A,3Bに当たらないかどうかを判断する(手順S133)。ECU20は、一方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が既存の箱状パレット3A,3Bの一方に未だ当たると判断したときは、手順S132を再度実行する。
【0089】
ECU20は、双方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が既存の箱状パレット3A,3Bに当たらない(
図16(b)参照)と判断したときは、その時のフォーク13の位置を荷置き開始位置として決定し、フォーク13のシフト動作が停止するようにサイドシフトシリンダ17を制御する(手順S134)。また、ECU20は、手順S131で双方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が既存の箱状パレット3A,3Bに当たらないと判断したときは、その時のフォーク13の位置を荷置き開始位置として決定する。
【0090】
続いて、ECU20は、フォークリフト1が荷置き位置まで前進するように走行モータ9を制御する(手順S135)。そして、ECU20は、フォーク13が所定量だけ下降するようにリフトシリンダ15を制御する(手順S136)。これにより、フォーク13に積載された荷置き対象の箱状パレット3が床面に載置される(
図16(c)参照)。
【0091】
ここで、手順S131~手順S134は、荷置き開始位置決定部33により実行される。手順S135,手順S136は、荷置き制御部34により実行される。
【0092】
図16は、
図15に示された第2荷置き制御処理によって既存の箱状パレット3A,3Bの間に荷積みを行う動作を示す概略平面図である。ここでは、コンテナ5の背面側には、箱状パレット3が既に3列で置かれている。また、コンテナ5の正面側には、2つの箱状パレット3(箱状パレット3A,3B)が既に側壁5aに隣接して置かれている。
【0093】
図16(a)に示されるように、フォークリフト1がコンテナ5の幅方向の中央付近の手前に停止している状態において、右側の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光Lがフォークリフト1の右側に位置する既存の箱状パレット3Bに当たるときは、フォーク13が左側にシフトする。
【0094】
そして、
図16(b)に示されるように、右側の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光Lが既存の箱状パレット3Bに当たらなくなる位置(荷置き開始位置)にフォーク13が達すると、フォーク13のシフト動作が停止する。
【0095】
そして、
図16(c)に示されるように、フォークリフト1が荷置き位置まで前進し、その状態でフォーク13が下降する。これにより、フォーク13に積載された荷置き対象の箱状パレット3がコンテナ5の床面における既存の箱状パレット3A,3Bの間に載置される。
【0096】
以上のように本実施形態にあっては、左右2対の一次元レーザ距離センサ19によって、フォークリフト1の前方に一次元のレーザ光を照射して、フォークリフト1の前方に位置する物体から反射したレーザ光を受光することにより、当該物体との距離が検出される。そして、左右1対の一次元レーザ距離センサ19の検出値に基づいて、フォークリフト1の前方に載置された荷積み対象の箱状パレット3に対するフォーク13の荷積み開始位置が決定され、その荷積み開始位置に応じて荷積み対象の箱状パレット3をフォーク13に積むように走行モータ9及びリフトシリンダ15が制御される。従って、フォーク13における荷積み開始位置に対応する位置に、荷積み対象の箱状パレット3が積まれることになる。また、一次元レーザ距離センサ19は、二次元レーザ距離センサに比べて低額である。これにより、安価な距離センサを使用して、箱状パレット3をフォーク13の所定位置に精度良く積むことができる。
【0097】
また、本実施形態では、一次元レーザ距離センサ19は、バックレスト14の左右両側に取り付けられている。従って、一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光がフォーク13に積まれた箱状パレット3に当たらないように、一次元レーザ距離センサ19を荷役装置4に設けることができる。
【0098】
また、本実施形態では、一次元レーザ距離センサ19は、バックレスト14の前面14aよりも後側に配置されている。従って、フォーク13に積まれた箱状パレット3が一次元レーザ距離センサ19に当たることが防止される。
【0099】
また、本実施形態では、左右1対の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が荷積み対象の箱状パレット3に当たらないと判断されたときのフォーク13の位置が荷積み開始位置として決定される。従って、左右1対の一次元レーザ距離センサ19の検出値からフォーク13の荷積み開始位置を容易に決定することができる。
【0100】
また、本実施形態では、左右1対の一次元レーザ距離センサ19の一方から照射されたレーザ光が荷積み対象の箱状パレット3に当たると判断されたときは、フォーク13が一方の一次元レーザ距離センサ19側に移動し、その後左右1対の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が荷積み対象の箱状パレット3に当たらないと判断されたときのフォーク13の位置が荷積み開始位置として決定される。従って、フォーク13がフォークリフト1の前方に載置された荷積み対象の箱状パレット3に対して左右方向にずれていても、フォーク13の荷積み開始位置を決定することができる。
【0101】
また、本実施形態では、左右1対の一次元レーザ距離センサ19の一方から照射されたレーザ光が荷積み対象の箱状パレット3に当たると判断されたときは、フォーク13が通常位置から一方の一次元レーザ距離センサ19側にシフトするようにサイドシフトシリンダ17が制御される。従って、フォークリフト1自体を前後左右に移動させなくても、フォーク13を一方の一次元レーザ距離センサ19側に移動させることができる。
【0102】
また、本実施形態では、荷積み対象の箱状パレット3をフォーク13に積むように走行モータ9及びリフトシリンダ15が制御された後、フォーク13が通常位置に戻るようにサイドシフトシリンダ17が制御される。従って、後工程においてフォーク13に積まれた箱状パレット3をコンテナ5に置く際の制御が行いやすくなる。
【0103】
また、本実施形態では、左右1対の一次元レーザ距離センサ19の検出値に基づいて、フォーク13の荷置き開始位置が決定され、その荷置き開始位置に応じてフォーク13に積まれた荷置き対象の箱状パレット3を置くように走行モータ9及びリフトシリンダ15が制御される。これにより、フォーク13に積まれた荷置き対象の箱状パレット3をコンテナ5の適切な位置に精度良く置くことができる。
【0104】
また、本実施形態では、荷置き対象の箱状パレット3を予め存在するコンテナ5の側壁5aに隣接して置く場合には、左右1対の一次元レーザ距離センサ19の一方から照射されたレーザ光が側壁5aに当たると判断されたときのフォーク13の位置が荷置き開始位置として決定される。従って、荷置き対象の箱状パレット3を側壁5aに隣接して置く場合に、左右1対の一次元レーザ距離センサ19の検出値からフォーク13の荷置き開始位置を容易に決定することができる。
【0105】
また、本実施形態では、左右1対の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が側壁5aに当たらないと判断されたときは、フォーク13が側壁5a側に移動し、その後左右1対の一次元レーザ距離センサ19の一方から照射されたレーザ光が側壁5aに当たると判断されたときのフォーク13の位置が荷置き開始位置として決定される。従って、フォーク13に積まれた荷置き対象の箱状パレット3の位置が荷置きを行うべき位置に対して側壁5aの反対側にずれていても、フォーク13の荷置き開始位置を決定することができる。
【0106】
また、本実施形態では、左右1対の一次元レーザ距離センサ19の一方から照射されたレーザ光が側壁5aに当たると判断されたときに、フォーク13が側壁5aの反対側に移動し、その後左右1対の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が側壁5aに当たらないと判断されたときは、フォーク13が側壁5a側に移動する。従って、フォーク13に積まれた荷置き対象の箱状パレット3の位置が荷置きを行うべき位置に対して側壁5a側にずれていても、フォーク13の荷置き開始位置を決定することができる。
【0107】
また、本実施形態では、フォーク13を移動させる場合には、フォーク13がシフトするようにサイドシフトシリンダ17が制御される。従って、フォークリフト1自体を前後左右に移動させなくても、フォーク13を側壁5a側または側壁5aの反対側に移動させることができる。
【0108】
また、本実施形態では、先に置かれた2つの既存の箱状パレット3の間に荷置き対象の箱状パレット3を置く場合には、左右1対の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が箱状パレット3に当たらないと判断されたときのフォーク13の位置が荷置き開始位置として決定される。従って、先に置かれた2つの既存の箱状パレット3の間に荷置き対象の箱状パレット3を置く場合に、左右1対の一次元レーザ距離センサ19の検出値からフォーク13の荷置き開始位置を容易に決定することができる。
【0109】
また、本実施形態では、左右1対の一次元レーザ距離センサ19の一方から照射されたレーザ光が2つの既存の箱状パレット3の一方に当たると判断されたときは、フォーク13が2つの既存の箱状パレット3のうち他方の既存の箱状パレット3側に移動し、その後左右1対の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が箱状パレット3に当たらないと判断されたときのフォーク13の位置が荷置き開始位置として決定される。従って、フォーク13に積まれた荷置き対象の箱状パレット3の位置が荷置きを行うべき位置に対して既存の箱状パレット3側にずれていても、フォーク13の荷置き開始位置を決定することができる。
【0110】
また、本実施形態では、左右1対の一次元レーザ距離センサ19の一方から照射されたレーザ光が一方の既存の箱状パレット3に当たると判断されたときは、フォーク13が他方の既存の箱状パレット3側にシフトするようにサイドシフトシリンダ17が制御される。従って、フォークリフト1自体を前後左右に移動させなくても、フォーク13を他方の既存の箱状パレット3側に移動させることができる。
【0111】
図17は、本発明の他の実施形態に係る荷役制御装置として、
図12に示された第1荷置き制御処理の手順の変形例を示すフローチャートである。
図17において、本実施形態では、ECU20は、
図12に示された第1荷置き制御処理と同様に、手順S121~S127を実行する。
【0112】
ECU20は、手順S127を実行した後、フォーク13に積載された箱状パレット3がコンテナ5の側壁5aに接触するまでフォーク13が側壁5a側にシフトするようにサイドシフトシリンダ17を制御する(手順S140)。このとき、ECU20は、例えば左右1対の一次元レーザ距離センサ19間の距離から箱状パレット3の幅寸法を差し引いた分だけ、フォーク13をシフトさせる。これにより、荷置き対象の箱状パレット3が側壁5aに接触する(
図18(c)参照)。そして、ECU20は、
図12に示された第1荷置き制御処理と同様に、手順S128を実行する。
【0113】
ここで、手順S127,手順S140,手順S128は、荷置き制御部34により実行される。
【0114】
図18は、
図17に示された第1荷置き制御処理によってコンテナ5の側壁5aに隣接して荷積みを行う動作を示す概略平面図である。
図18(a)に示されるように、左側の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光Lが側壁5aに当たる位置(荷置き開始位置)にフォーク13が達すると、フォーク13のシフト動作が停止する。
【0115】
そして、
図18(b)に示されるように、フォークリフト1が荷置き位置まで前進する。その状態で、フォーク13が側壁5a側にシフトすることにより、
図18(c)に示されるように、フォーク13に積載された荷置き対象の箱状パレット3が側壁5aに突き当たる。そして、フォーク13が下降する。これにより、荷置き対象の箱状パレット3が側壁5aに接触するようにコンテナ5の床面に側壁5aに隣接して載置される。
【0116】
このように本実施形態においては、フォーク13がコンテナ5の側壁5a側にシフトすることで、荷置き対象の箱状パレット3が側壁5aに接触する。従って、後工程において先に置かれた2つの既存の箱状パレット3間に荷置き対象の箱状パレット3を置く際に、2つの既存の箱状パレット3間のスペースが広くなるため、2つの既存の箱状パレット3間に荷置き対象の箱状パレット3を置きやすくなる。
【0117】
図19は、本発明の更に他の実施形態に係る荷役制御装置として、
図15に示された第2荷置き制御処理の手順の変形例を示すフローチャートである。
図19において、本実施形態では、ECU20は、まず左右1対の一次元レーザ距離センサ19の検出値に基づいて、双方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が先に置かれた既存の箱状パレット3A,3Bに当たらないかどうかを判断する(手順S151)。
【0118】
ECU20は、双方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が既存の箱状パレット3A,3Bに当たらない(
図20(a)参照)と判断したときは、フォーク13が既存の箱状パレット3A,3Bの一方側にシフトするようにサイドシフトシリンダ17を制御する(手順S152)。
【0119】
そして、ECU20は、左右1対の一次元レーザ距離センサ19の検出値に基づいて、一方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が既存の箱状パレット3A,3Bの一方に当たるかどうかを判断する(手順S153)。ECU20は、双方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が既存の箱状パレット3A,3Bに当たらないと判断したときは、手順S152を再度実行する。
【0120】
ECU20は、一方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が既存の箱状パレット3A,3Bの一方に当たる(
図20(b)参照)と判断したときは、フォーク13のシフト動作が停止するようにサイドシフトシリンダ17を制御する(手順S154)。そして、ECU20は、その時のフォーク13の位置を記憶する(手順S155)。続いて、ECU20は、フォーク13が既存の箱状パレット3A,3Bの他方側にシフトするようにサイドシフトシリンダ17を制御する(手順S156)。
【0121】
そして、ECU20は、左右1対の一次元レーザ距離センサ19の検出値に基づいて、他方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が既存の箱状パレット3A,3Bの他方に当たるかどうかを判断する(手順S157)。ECU20は、双方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が既存の箱状パレット3A,3Bに当たらないと判断したときは、手順S156を再度実行する。
【0122】
ECU20は、他方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が既存の箱状パレット3A,3Bの他方に当たる(
図20(c)参照)と判断したときは、フォーク13のシフト動作が停止するようにサイドシフトシリンダ17を制御する(手順S158)。そして、ECU20は、その時のフォーク13の位置を記憶する(手順S159)。
【0123】
続いて、ECU20は、手順S155,S159で記憶したフォーク13の位置に基づいて、フォーク13に対する既存の箱状パレット3A,3Bの位置関係を求める(手順S160)。そして、ECU20は、既存の箱状パレット3A,3B間の中央位置に対応する位置を荷置き開始位置として決定し、フォーク13が荷置き開始位置までシフトするようにサイドシフトシリンダ17を制御する(手順S161)。
【0124】
続いて、ECU20は、フォークリフト1が荷置き位置まで前進するように走行モータ9を制御する(手順S162)。そして、ECU20は、フォーク13が所定量だけ下降するようにリフトシリンダ15を制御する(手順S163)。これにより、フォーク13に積載された荷置き対象の箱状パレット3が床面に載置される(
図20(d)参照)。
【0125】
ECU20は、手順S151で一方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が既存の箱状パレット3A,3Bの一方に当たると判断したときは、フォーク13が既存の箱状パレット3A,3Bの一方側から他方側にシフトするようにサイドシフトシリンダ17を制御する(手順S164)。
【0126】
続いて、ECU20は、左右1対の一次元レーザ距離センサ19の検出値に基づいて、双方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が既存の箱状パレット3A,3Bに当たらないかどうかを判断する(手順S165)。ECU20は、一方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が既存の箱状パレット3A,3Bの一方に当たると判断したときは、手順S164を再度実行する。
【0127】
ECU20は、双方の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光が既存の箱状パレット3A,3Bに当たらないと判断したときは、フォーク13のシフト動作が停止するようにサイドシフトシリンダ17を制御する(手順S154)。そして、ECU20は、上記の手順S155からS163を順次実行する。
【0128】
ここで、手順S151~S161、S164,S165は、荷置き開始位置決定部33により実行される。手順S161~S163は、荷置き制御部34により実行される。なお、手順S154,S158については、特に実行しなくてもよい。
【0129】
図20は、
図19に示された第2荷置き制御処理によって2つの既存の箱状パレットの間に荷積みを行う動作を示す概略平面図である。
図20(a)に示されるように、フォークリフト1がコンテナ5の幅方向の中央付近の手前に停止している状態において、左右両側の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光Lが先に置かれた既存の箱状パレット3A,3Bに当たらないときは、フォーク13が左側にシフトする。
【0130】
そして、
図20(b)に示されるように、左側の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光Lが既存の箱状パレット3Aに当たると、その時のフォーク13の位置が記憶された後、今度はフォーク13が右側にシフトする。
【0131】
そして、
図20(c)に示されるように、右側の一次元レーザ距離センサ19から照射されたレーザ光Lが既存の箱状パレット3Bに当たると、その時のフォーク13の位置が記憶される。そして、フォーク13に対する既存の箱状パレット3A,3Bの位置関係が求められ、フォーク13が既存の箱状パレット3A,3B間の中央位置に対応する位置まで左側にシフトする。
【0132】
そして、
図20(d)に示されるように、フォークリフト1が荷置き位置まで前進し、その状態でフォーク13が下降する。これにより、フォーク13に積載された荷置き対象の箱状パレット3がコンテナ5の床面における既存の箱状パレット3A,3Bの間に載置される。
【0133】
以上のように本実施形態においては、左右1対の一次元レーザ距離センサ19の一方から照射されたレーザ光が2つの既存の箱状パレット3のうち一方の既存の箱状パレット3に当たる位置から左右1対の一次元レーザ距離センサ19の他方から照射されたレーザ光が2つの既存の箱状パレット3のうち他方の既存の箱状パレット3に当たる位置まで、フォーク13が他方の既存の箱状パレット3側にシフトするように、サイドシフトシリンダ17が制御される。そして、フォーク13に対する2つの既存の箱状パレット3の位置関係が求められ、2つの既存の箱状パレット3の間の中央位置に対応する位置が荷置き開始位置として決定される。従って、2つの既存の箱状パレット3の間の中央位置という最適な位置に荷置き対象の箱状パレット3を精度良く置くことができる。
【0134】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、一次元レーザ距離センサ19は、バックレスト14の左右両側に取り付けられているが、一次元レーザ距離センサ19の取り付け箇所としては、特にバックレスト14には限られず、リフトブラケット12の左右両側であってもよい。
【0135】
また、上記実施形態では、箱状パレット3が2段積みになっており、一次元レーザ距離センサ19は、荷役装置4の左右両側に上下2つずつ設けられているが、特にその形態には限られず、一次元レーザ距離センサ19は、箱状パレット3の積み段数に対応して左右1対または左右複数対設けられていてもよいし、或いは箱状パレット3の積み段数に関係なく、左右1対のみ設けられていてもよい。
【0136】
また、上記実施形態では、荷役装置4は、フォーク13をマスト11に対して左右方向にシフトさせるサイドシフトシリンダ17を有しているが、本発明は、そのようなサイドシフトシリンダが搭載されていないフォークリフトにも適用可能である。この場合、ECU20は、走行モータ9及び転舵モータ10を制御してフォークリフト1自体を移動させることにより、フォーク13を横方向(左右方向)に移動させる。
【0137】
また、上記実施形態では、左右両側に側壁5aが設けられたコンテナ5に箱状パレット3が載置されるが、特にその形態には限られず、例えば壁または柱等のような構造物が予め存在する収容構造体に箱状パレット3を載置してもよい。
【0138】
また、上記実施形態では、コンテナ5に箱状パレット3が3列で置かれているが、箱状パレット3の配列数としては、特に3列には限られず、2列でもよいし、4列以上でもよい。
【0139】
また、上記実施形態では、フォーク13に箱状パレット3を積載し、その箱状パレット3をコンテナ5に置いているが、荷役対象の荷物としては、特に箱状パレット3には限られない。
【0140】
また、上記実施形態では、ECU20は、上位システム管理装置25からの指示信号に基づいて荷役制御処理を実行しているが、特にその形態には限られない。ECU20は、例えば予め決められたプログラムに従って荷役制御処理を実行してもよいし、或いはカメラ等で作業状況を判断しながら、荷役制御処理を実行してもよい。
【0141】
また、上記実施形態では、フォークリフト1の自動運転により荷積み作業及び荷置き作業を行っているが、特にその形態には限られず、フォークリフト1の手動運転時に、本発明を適用してもよい。
【0142】
また、上記実施形態の荷役制御装置18は、カウンター式のフォークリフト1に搭載されているが、本発明は、リーチ式のフォークリフト等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0143】
1…フォークリフト、2…走行装置、3…箱状パレット(荷物)、3A,3B…箱状パレット(荷物)、4…荷役装置、6…車体、9…走行モータ(走行駆動部)、10…転舵モータ(走行駆動部)、11…マスト、12…リフトブラケット、13…フォーク、14…バックレスト、14a…前面、15…リフトシリンダ、17…サイドシフトシリンダ、18…荷役制御装置、19…一次元レーザ距離センサ、31…荷積み開始位置決定部、32…荷積み制御部、33…荷置き開始位置決定部、34…荷置き制御部。