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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】トレイ
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/22 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
B65D5/22 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019106890
(22)【出願日】2019-06-07
(65)【公開番号】P2020200058
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】今川 明日香
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-173330(JP,A)
【文献】実開昭55-36172(JP,U)
【文献】特開2016-216118(JP,A)
【文献】特開2002-12214(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0017061(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00 - 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、
前記底板に連設された前後の端壁と、
前記底板に連設された左右の側壁と、
前記端壁の上縁部に連設された桟板と、を備え、
前記桟板の左右の縁部は、前記両側壁の上縁部に載置され
前記端壁と前記桟板との間に切断誘導線が形成されており、
前記側壁は、
前記底板の縁部から上方に向けて延びている外壁と、
前記外壁の上縁部から内方に向けて延びている頂縁板と、を有し、
前記頂縁板と前記外壁との角部に連結穴が形成され、
前記連結穴には、前記頂縁板に形成された上面開口部と、前記外壁に形成された側面開口部と、が形成されており、
前記桟板の左右の縁部には、前記連結穴に挿入された差込片が形成され、
前記差込片は、前記側面開口部に対して前記外壁の外面側から挿入可能であり、
前記差込片には、前記上面開口部において前記頂縁板の前後方向の中央側に配置される縁部の内面側に係合した係合部が形成され
前記上面開口部において前記頂縁板の前後方向の中央側の反対側に配置される縁部と、前記差込片の縁部との間に隙間が形成されるように、前記上面開口部の前後方向の幅が形成されていることを特徴とするトレイ。
【請求項2】
請求項1に記載のトレイであって、
前記差込片は、前記側面開口部の下縁部よりも下方に延びており、
前記側面開口部の下縁部から下方に向けて延びているスリットが形成されていることを特徴とするトレイ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のトレイであって、
前記側壁は、
前記頂縁板の内縁部から下方に向けて延びている内壁を備え、
前記内壁の下縁部が前記底板の上面に当接していることを特徴とするトレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
トレイとしては、底板、前後の端壁および左右の側壁を備え、端壁の上縁部に桟板が設けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。
このようなトレイでは、桟板によって内容物を抑えることができるため、内容物が飛び出してしまうのを防ぐことができる。また、前記したトレイでは、桟板の上面に他のトレイの底板を載置することで、複数のトレイを安定して積み重ねることができる。
【0003】
前記したトレイでは、桟板の左右の縁部に形成された差込片を、側壁の上端面に形成された連結穴に上方から挿入することで、桟板を側壁に連結させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-216118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記した従来のトレイでは、連結穴から差込片を抜け難くするために、差込片が連結穴に押し込まれるように、連結穴を小さくしている。そのため、従来のトレイでは、桟板を側壁に連結するときに、差込片を連結穴に挿入し難いという問題がある。
また、前記した従来のトレイでは、差込片が連結穴に押し込まれているため、桟板を端壁から取り外すときに、差込片を連結穴から引き抜き難いという問題がある。
【0006】
本発明は、前記した問題を解決し、桟板を側壁に対して容易に連結できるとともに、桟板を側壁から容易に取り外すことができるトレイを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、トレイであって、底板と、前記底板に連設された前後の端壁と、前記底板に連設された左右の側壁と、前記端壁の上縁部に連設された桟板と、を備えている。前記桟板の左右の縁部は、前記両側壁の上縁部に載置され、前記端壁と前記桟板との間に切断誘導線が形成されている。前記側壁は、前記底板の縁部から上方に向けて延びている外壁と、前記外壁の上縁部から内方に向けて延びている頂縁板と、を有し、前記頂縁板と前記外壁との角部に連結穴が形成されている。前記連結穴には、前記頂縁板に形成された上面開口部と、前記外壁に形成された側面開口部と、が形成されている。前記桟板の左右の縁部には、前記連結穴に挿入された差込片が形成されている。前記差込片は、前記側面開口部に対して前記外壁の外面側から挿入可能である。前記差込片には、前記上面開口部において前記頂縁板の前後方向の中央側に配置される縁部の内面側に係合した係合部が形成されている。前記上面開口部において前記頂縁板の前後方向の中央側の反対側に配置される縁部と、前記差込片の縁部との間に隙間が形成されるように、前記上面開口部の前後方向の幅が形成されている。
【0008】
本発明のトレイを組み立てるときには、底板に対して両端壁および両側壁を立ち上げた状態で、端壁に対して桟板を折り曲げる。そして、桟板を両側壁の上縁部に載せた状態で、桟板に対して差込片を下方に向けて折り曲げて、差込片を側壁の外面側から連結穴の側面開口部に挿入する。このように、本発明のトレイでは、差込片を連結穴に横から挿入して、差込片の係合部を連結穴の縁部に係合できる。
本発明のトレイでは、桟板を両側壁の上縁部に載せて、差込片を連結穴に対して位置決めした状態で、差込片を連結穴に横から挿入できるため、桟板を側壁に対して容易に連結できる。
本発明のトレイでは、前記端壁と前記桟板との間に切断誘導線を形成しているため、トレイを陳列したり、トレイから内容物を取り出したりするときに、端壁から桟板を切り離して、トレイの上面全体を開口させることができる。これにより、トレイ内の内容物が見え易くなるとともに、トレイから内容物を取り出し易くなる。
【0009】
本発明のトレイでは、差込片の係合部を連結穴の上面開口部の縁部に横から係合させるため、連結穴の上面開口部を小さくしなくても、差込片が連結穴から抜け難くなる。
本発明のトレイでは、連結穴の上面開口部を差込片に対して大きくすることで、端壁から桟板を取り外すときに、差込片の係合部を上面開口部の縁部から外し易くなるため、差込片を連結穴から容易に引き抜くことができる。
【0010】
前記したトレイにおいて、前記差込片を前記側面開口部の下縁部よりも下方に延ばすとともに、前記側面開口部の下縁部から下方に向けて延びているスリットを形成することが好ましい。
【0011】
この構成では、差込片の下端部が側面開口部の下縁部の内面側に当接するため、差込片が外側に開き難くなり、差込片が連結穴から抜け難くなる。また、差込片を側面開口部に挿入するときに、差込片の下端部によって側面開口部の下縁部が押されると、スリットが開いて側面開口部の下縁部が内側に傾くため、差込片を連結穴にスムーズに挿入できる。
【0012】
前記したトレイにおいて、前記側壁には、前記頂縁板の内縁部から下方に向けて延びている内壁を設け、前記内壁の下縁部を前記底板の上面に当接させて、側壁を二重壁にすることで、トレイの耐荷重を高めることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のトレイでは、桟板を両側壁の上縁部に載せた状態で、差込片を連結穴に横から係合できるため、桟板を側壁に対して容易に連結できる。また、本発明のトレイでは、差込片を連結穴から引き抜き易くなるため、桟板を側壁から容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るトレイを前方左上から見た斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るトレイのブランクシートを示した図である。
図3】本発明の実施形態に係るトレイを示した図1のIII-III断面図である。
図4】本発明の実施形態に係るトレイの差込片と連結穴との係合状態を示した拡大側面図である。
図5】本発明の実施形態に係るトレイにおいて桟板を側壁に連結する前の状態を前方左上から見た斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るトレイにおいて桟板を取り外した状態を前方左上から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後左右方向とは、本実施形態のトレイを説明する上で便宜上設定したものであり、トレイの構成や使用形態を限定するものではない。
【0017】
本実施形態のトレイ1は、図1に示すように、上面が開口している箱体であり、搬送時や保管時に複数のトレイ1を積み重ねることができる。
本実施形態のトレイ1は、底板10と、底板10に連設された前後一対の端壁20,20と、底板10に連設された左右一対の側壁30,30と、両端壁20,20の上縁部に連設された前後一対の桟板40,40と、を備えている。
【0018】
本実施形態のトレイ1は、図2に示すように、一枚の段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートSを各罫線において山折りまたは谷折りすることで形成される。図2に示すブランクシートSは内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートSの各罫線(折線)は、ブランクシートSの表面を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。なお、罫線上に断続的なスリットを形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートSを折り曲げ易くなる。
【0019】
底板10は、図2に示すように、四角形の平板である。底板10の前後の縁部には、図1に示すように、前後の端壁20,20が連設されている。また、底板10の左右の縁部には、左右の側壁30,30が連設されている。
【0020】
底板10の左右の縁部には、それぞれ二つの取付穴11が形成されている(図2参照)。各取付穴11は、前後方向に間隔を空けて配置されている。
底板10の前後の縁部には、それぞれ二つの底穴12が形成されている(図2参照)。各底穴12は、左右方向に間隔を空けて配置されている。
【0021】
左右の側壁30,30は、底板10の左右の縁部にそれぞれ立ち上げられている。側壁30は、図3に示すように、底板10に対して垂直に形成されている。側壁30は、外壁31と内壁33とが内外に並べられた二重壁である。
【0022】
左側の側壁30は、底板10の左縁部に立ち上げられている。左側の側壁30は、底板10の左縁部に連設された外壁31と、外壁31の上縁部に連設された頂縁板32と、頂縁板32の内縁部に連設された内壁33と、を備えている。
【0023】
外壁31は、四角形の平板であり(図2参照)、底板10の左縁部に罫線を介して連設されている。外壁31は、底板10の左縁部から上方に向けて延びている。外壁31は、底板10に対して垂直に形成されている。
【0024】
外壁31の上縁部には、罫線を介して頂縁板32が連設されている。頂縁板32は、外壁31の上縁部に沿って帯状に形成されており(図1参照)、外壁31の上縁部から内方に向けて延びている。頂縁板32は、外壁31に対して垂直に形成されている。
【0025】
頂縁板32の内縁部には、罫線を介して内壁33が連設されている。内壁33は、四角形の平板であり(図2参照)、頂縁板32の内縁部から下方に向けて延びている。内壁33は、頂縁板32に対して垂直に形成されている。
内壁33の下縁部は、底板10の上面に当接している。内壁33の下縁部には、底板10の取付穴11に差し込まれる係合片33aが突設されている(図2参照)。
【0026】
右側の側壁30は、底板10の右縁部に立ち上げられている。右側の側壁30と左側の側壁30とは左右対称な構成である。
【0027】
前側の端壁20は、図2に示すように、四角形の平板であり、底板10の前縁部に罫線を介して連設されている。前側の端壁20は、図1に示すように、底板10の前縁部から上方に向けて延びている。前側の端壁20は、底板10に対して垂直に形成されている。
【0028】
前側の端壁20の左右の縁部には、罫線を介して左右のフラップ21,21が連設されている(図2参照)。フラップ21は、前側の端壁20から後方に向けて延びている。フラップ21は、図3に示すように、側壁30の外壁31と内壁33との間に挟み込まれている。このように、フラップ21によって端壁20が側壁30に連結されている。
【0029】
フラップ21の上縁部には、当接板22が連設されている。当接板22は、切れ込みを断続的に配置した折線を介してフラップ21に連設されている。当接板22は、フラップ21の上縁部に沿って帯状に形成されている。当接板22は、フラップ21に対して内側に折り曲げられており、当接板22の上面は側壁30の頂縁板32の下面に当接している。
【0030】
前側の端壁20の上縁部には、図1に示すように、切断誘導線Lを介して、前側の桟板40が連設されている。
切断誘導線Lは、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の線であり、切断誘導線Lの各切れ込みはブランクシートS(図2参照)を貫通している。切断誘導線Lは、桟板40を端壁20から切り離すときの境界となる部位である(図6参照)。
【0031】
前側の端壁20の上縁部の中央部には、半円状の切断開始部23が開口している。また、前側の端壁20の上縁部において、切断開始部23の左右両側には、左右の突出片24,24が上方に向けて突出している。
突出片24は、図2に示すブランクシートSの状態において、切断誘導線Lよりも桟板40に入り込んだ位置に形成されている。そして、図1に示すように、端壁20に対して桟板40を折り曲げたときに、桟板40から切り離されて、桟板40の上面よりも上方に突出する。
【0032】
前側の桟板40は、前側の端壁20の上縁部に沿って帯状に形成された平板である。前側の桟板40は、前側の端壁20の上縁部から後方に向けて延びている。前側の桟板40は、前側の端壁20に対して垂直に形成されている。
前側の桟板40の左右の縁部は、左右の側壁30,30の頂縁板32,32の上面の前部に載置されている。前側の桟板40は、トレイ1の上面の開口部の前端部を塞いでいる。前側の桟板40の先端縁部の中央部は凹状に窪んでいる。
【0033】
後側の端壁20は、底板10の後縁部から上方に向けて延びている。後側の端壁20と前側の端壁20とは前後対称な構成である。
後側の端壁20の上縁部には、後側の桟板40が連設されている。後側の桟板40と前側の桟板40とは前後対称な構成である。
【0034】
本実施形態のトレイ1では、図5に示すように、側壁30の上端部に前後二つの連結穴60,60が形成されている。前側の連結穴60は側壁30の前部に配置され、後側の連結穴60は側壁30の後部に配置されている。
【0035】
前側の連結穴60と後側の連結穴60とは前後対称である。また、左側の側壁30の二つの連結穴60,60と、右側の側壁30の二つの連結穴60,60とは左右対称な構成である。以下の説明では、左側の側壁30に形成された前側の連結穴60について説明し、他の連結穴60の説明は省略する。
【0036】
連結穴60は、頂縁板32と外壁31との角部に形成されている。連結穴60には、頂縁板32に形成された上面開口部61と、外壁31に形成された側面開口部62と、が形成されている。
【0037】
上面開口部61は、頂縁板32に形成された略四角形の開口部である。上面開口部61は、頂縁板32の左縁部から頂縁板32の左右方向の中央部まで左右方向に形成されている。上面開口部61の前縁部は左右の縁部に対して垂直に配置されている。
【0038】
上面開口部61の後縁部は、左端部よりも右端部が前方に配置されるように傾斜している。これにより、上面開口部61の前後方向の幅は、外側(左側)から内側(右側)に向かうに連れて狭くなっている。
【0039】
側面開口部62は、外壁31の上端部に形成された四角形の開口部である。側面開口部62は、外壁31の上縁部から下方に向けて延びている。側面開口部62は、上面開口部61に連続している。側面開口部62の前後方向の幅は、上面開口部61の外端部(左端部)の前後方向の幅と同じである。
【0040】
側面開口部62の下縁部の前後の端部には、下方に向けて延びている前後二本のスリット63,63が形成されている。スリット63は、外壁31を貫通している直線状の切れ込みである。外壁31の内面において、両スリット63,63の下端部同士の間には罫線が形成されている。
【0041】
本実施形態のトレイ1では、端壁20に連設されたフラップ21の上縁部に凹部21aが形成されている(図2参照)。凹部21aは、上面開口部61の直下かつ側面開口部62の内側に配置されている。
【0042】
本実施形態のトレイ1では、桟板40の左右の縁部に差込片41,41が形成されている。左右の差込片41,41は左右対称な構成である。差込片41は、側壁30の連結穴60に挿入される部位である(図1参照)。
【0043】
差込片41は、桟板40の左右の縁部の前端部に罫線を介して連設されている。差込片41は、図1に示すように、桟板40の縁部から下方に向けて延びている。差込片41の下端縁部は、図4に示すように、半円形状に湾曲している。
差込片41の上下方向の長さは、側面開口部62の上下方向の長さよりも大きい。したがって、差込片41を連結穴60に挿入した状態では、差込片41は側面開口部62の下縁部よりも下方に延びている。
【0044】
前側の差込片41の後縁部の上端部には、前方に向けて窪んだ係合部42が形成されている。差込片41を連結穴60に挿入した状態では、係合部42の縁部が上面開口部61の後縁部の内面側に係合している。
【0045】
差込片41の係合部42が上面開口部61の後縁部に係合した状態において、差込片41の前縁部と、上面開口部61の前縁部との間に隙間が形成されるように、上面開口部61の前後方向の幅が設定されている。
【0046】
本実施形態のトレイ1では、図1に示すように、桟板40に形成された差込片41を側壁30の連結穴60に挿入することで、桟板40が側壁30の上縁部に連結されている。
【0047】
以上のようなトレイ1を組み立てるときには、図5に示すように、底板10に対して両端壁20,20および両側壁30,30を立ち上げた後に、端壁20に対して桟板40を内側に向けて折り曲げる。
【0048】
続いて、図1に示すように、桟板40を両側壁30,30の上縁部に載せた状態で、桟板40に対して差込片41を下方に向けて折り曲げ、差込片41を外壁31の外面側から連結穴60の側面開口部62に押し込む。このとき、差込片41の下端部によって側面開口部62の下縁部が押されると、前後のスリット63,63が開いて側面開口部62の下縁部が内側に傾くため、差込片41を側面開口部62に対してスムーズに挿入できる。
【0049】
連結穴60の上面開口部61の前後方向の幅は、外側から内側に向かうに連れて狭くなっている。したがって、差込片41を連結穴60の内側に押し込んでいくと、図4に示すように、差込片41の係合部42が上面開口部61の後縁部の下側に入り込み、係合部42が上面開口部61の後縁部の内面側に係合する。
【0050】
このように、本実施形態のトレイ1では、差込片41を連結穴60に横から挿入して、差込片41の係合部42を連結穴60の縁部に確実に係合できる。したがって、トレイ1では、連結穴60の上面開口部61を小さくしなくても、差込片41が連結穴60から抜け難くい。
また、差込片41の下端部が側面開口部62の下縁部の内面側に当接するため、差込片41が外側に開き難くなり、差込片41が連結穴60から抜け難くい。
【0051】
本実施形態のトレイ1では、図1に示すように、桟板40を両側壁30,30の上縁部に載せて、差込片41を連結穴60に対して位置決めした状態で、差込片41を連結穴60に横から挿入できるため、桟板40を側壁30に対して容易に連結できる。
なお、連結穴60の上面開口部61の直下および側面開口部62の側方には、フラップ21の凹部21aが配置されるため、差込片41がフラップ21に干渉するのを防ぐことができる。
【0052】
本実施形態のトレイ1では、前後の桟板40,40によって内容物を抑えることができるため、内容物がトレイ1から飛び出してしまうのを防ぐことができる。
また、トレイ1では、左右の側壁30,30の頂縁板32,32および前後の桟板40,40に他のトレイ1の底板10を載置することで、複数のトレイ1を安定して積み重ねることができる。
また、トレイ1の上面に他のトレイ1を載置すると、端壁20の突出片24が他のトレイ1の底板10の底穴12に差し込まれるため、下側のトレイ1に対して上側のトレイ1がずれるのを防ぐことができる。
【0053】
本実施形態のトレイ1の側壁30では、図3に示すように、頂縁板32から下方に向けて延びている内壁33の下縁部が底板10の上面に当接しており、側壁30が二重壁であるため、トレイ1の耐荷重を高めることができる。
【0054】
端壁20から桟板40を切り離す場合には、図1に示すように、切断開始部23に指先を掛けて、桟板40の外縁部を引き上げることで、切断誘導線Lを中央部から左右の端部に向けて容易に切り開くことができる。
【0055】
本実施形態のトレイ1では、連結穴60の上面開口部61が差込片41に対して大きく形成されている。したがって、図4に示すように、差込片41の係合部42が上面開口部61の後縁部に係合した状態において、差込片41の前縁部と、上面開口部61の前縁部との間に隙間が形成されている。
【0056】
この構成では、端壁20から桟板40を取り外すときに、差込片41を連結穴60内で前方に移動させることで、差込片41の係合部42を上面開口部61の後縁部から外し易くなる。これにより、差込片41を連結穴60から容易に引き抜くことができる。
【0057】
本実施形態のトレイ1を陳列するときには、前後の端壁20,20から前後の桟板40,40を切り離すことで、図6に示すように、トレイ1の上面全体を開口させることができる。これにより、トレイ1内の内容物が見え易くなるとともに、トレイ1から内容物を取り出し易くなる。
【0058】
以上のように、本実施形態のトレイ1では、図1に示すように、桟板40を両側壁30,30の上縁部に載せた状態で、差込片41を連結穴60に横から係合できるため、桟板40を側壁30に対して容易に連結できる。したがって、桟板40を有するトレイ1を容易に組み立てることができる。
【0059】
また、本実施形態のトレイ1では、差込片41を連結穴60から引き抜き易くなるため、桟板40を側壁30から容易に取り外すことができる。これにより、トレイ1を陳列するときに、図6に示すように、トレイ1の上面全体を容易に開口させることができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態のトレイ1では、図1に示すように、前後の端壁20,20に前後の桟板40,40がそれぞれ連設されているが、前後の端壁20,20の一方のみに桟板40を連設してもよい。
【0061】
本実施形態のトレイ1では、端壁20の上縁部に切断誘導線Lを介して桟板40が連設されているが、本発明の参考例としては、端壁20の上縁部に罫線を介して桟板40を連設してもよい。
【0062】
本実施形態のトレイ1では、側壁30が二重壁に形成されているが、側壁30に内壁33を設けることなく、外壁31および頂縁板32のみによって構成してもよい。
【0063】
本実施形態のトレイ1は段ボール製であるが、各種公知の板紙によってトレイを形成してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 トレイ
10 底板
20 端壁
21 フラップ
21a 凹部
30 側壁
31 外壁
32 頂縁板
33 内壁
33a 係合片
40 桟板
41 差込片
42 係合部
60 連結穴
61 上面開口部
62 側面開口部
63 スリット
L 切断誘導線
S ブランクシート
図1
図2
図3
図4
図5
図6