IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 豊田合成株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車両の表示装置 図1
  • 特許-車両の表示装置 図2
  • 特許-車両の表示装置 図3
  • 特許-車両の表示装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】車両の表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20221012BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20221012BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20221012BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
G09F9/30 349C
B60R11/02 C
G09F9/00 313
G09F9/00 362
G09F9/33
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019139348
(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公開番号】P2021021866
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2021-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大豊 公志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一久
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-117215(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0180654(US,A1)
【文献】特開2002-108261(JP,A)
【文献】特開2014-002228(JP,A)
【文献】特開2016-218354(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0157247(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 9/00-11/06
G09F 9/00-9/46
13/00-13/46
19/00-27/00
H01L27/32
51/50
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示するための表示部が車両の外装として設けられており、前記表示部には、水平方向と交差する方向に延びていて多数のLEDが互いに間隔をおいて取り付けられている基板と、その基板における前記LED側の面を覆っており且つ互いに平行となるように水平方向に延びる多数の庇部を有しているプライバシーフィルタと、が設けられている車両の表示装置において、
前記表示部における前記基板の前記LEDの間の部分には、赤色に相当する波長の光線を吸収する顔料を混ぜ込んだ樹脂によって形成され、太陽光に含まれる赤色に相当する波長の光線を吸収する赤色吸収層が形成されていることを特徴とする車両の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示される車両の表示装置には、広告等の映像を表示するための表示部が車両の外装として設けられている。こうした表示部としては、例えばLEDディスプレイを用いることが考えられる。LEDディスプレイには、水平方向と交差する方向に延びる基板、及び、その基板に対し互いの間に間隔をおいて取り付けられた多数のLED(発光ダイオード)が設けられる。そしてLEDディスプレイでは、基板に取り付けられた多数のLEDの発光を制御することにより、静止画や動画といった映像が表示されるようになる。
【0003】
LEDディスプレイでは、互いに平行となるように水平方向に延びる多数の庇部を有するプライバシーフィルタを、上記基板におけるLED側の面を覆うように設けることも考えられる。このプライバシーフィルタを設ければ、基板等に向けた太陽光の入射が多数の庇部によって抑制されるため、その太陽光が基板等に当たって反射することにより、LEDの発光が外部から見えにくくなることを抑制できる。その結果、基板に取り付けられた多数のLEDの発光を通じてLEDディスプレイに表示される映像が、上述した太陽光の基板等での反射に起因して見えにくくなることも抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6477856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、昼間など太陽が比較的高い位置にあるときには、基板側に向かう太陽光の入射がプライバシーフィルタの庇部に対しある程度の傾斜角をもって行われるため、その太陽光の入射を庇部によって遮ることができるようにはなる。しかし、朝方や夕方など太陽が比較的低い位置にあるときには、基板側に向かう太陽光の入射がプライバシーフィルタの庇部に対し平行に近い状態で行われる。このため、太陽光がプライバシーフィルタの各庇部の間を通過しやすくなり、各庇部の間を通過した太陽光が基板等で反射することにより、LEDの発光が外部から見えにくくなるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、早朝や夕方に表示部に表示される映像が外部から見えにくくなることを抑制できる車両の表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する車両の表示装置は、映像を表示するための表示部が車両の外装として設けられている。上記表示部には、水平方向と交差する方向に延びていて多数のLEDが互いに間隔をおいて取り付けられている基板と、その基板におけるLED側の面を覆っており且つ互いに平行となるように水平方向に延びる多数の庇部を有しているプライバシーフィルタと、が設けられている。そして、上記表示部における基板のLED側の面とプライバシーフィルタとの間には、赤色に相当する波長の光線を吸収する赤色吸収層が形成されている。
【0008】
朝方や夕方など太陽が比較的低い位置にあるときの太陽光は、赤色に相当する波長の光線となる。上記構成によれば、プライバシーフィルタにおける各庇部の間を通過した太陽光、すなわち赤色に相当する波長の光線は、基板のLED側の面とプライバシーフィルタとの間に形成された赤色吸収層で吸収される。このため、上記太陽光が基板等で反射することにより、基板に取り付けられたLEDの発光が外部から見えにくくなることは抑制される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、早朝や夕方に表示部に表示される映像が外部から見えにくくなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】表示装置が適用される車両を示す側面図。
図2】同装置のLEDディスプレイを示す断面図。
図3】昼間における太陽光の入射態様を示す模式図。
図4】朝方又は夕方における太陽光の入射態様を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、車両の表示装置の一実施形態について、図1図4を参照して説明する。
図1は、車両をその幅方向の側方から見た状態を示している。図1から分かるように、車両の表示装置は、車両における幅方向の側面に車両の外装として設けられたLEDディスプレイ1を備えている。なお、このLEDディスプレイ1は、広告等の映像を表示するための表示部として機能する。
【0012】
図2は、LEDディスプレイ1を図1の矢印A-A方向から見た状態を示している。図2から分かるように、LEDディスプレイ1には、水平方向と交差する方向に延びている基板2、及び、その基板2に対し互いの間に間隔をおいて取り付けられている多数のLED3が設けられている。基板2には、各LED3に対する通電を行うための導電体からなる配線パターンが形成されている。そして、LEDディスプレイ1は、基板2に取り付けられた多数のLED3の発光を制御することにより、静止画や動画といった映像を表示する。
【0013】
LEDディスプレイ1において、基板2におけるLED3側の面であって各LED3の間の部分には、赤色に相当する波長の光線を吸収する赤色吸収層4が形成されている。この赤色吸収層4は、赤色に相当する波長の光線を吸収する顔料を混ぜ込んだ樹脂によって形成されている。
【0014】
また、LEDディスプレイ1には、各LED3及び赤色吸収層4を覆うようにプライバシーフィルタ5が設けられている。このプライバシーフィルタ5は、各LED3及び赤色吸収層4に対し貼り付けられている薄膜状の貼付部5aと、その貼付部5aから基板2とは反対側に突出するとともに互いに平行となるように水平方向に延びる多数の庇部5bと、を有している。なお、LEDディスプレイ1には、プライバシーフィルタ5における庇部5b側の部分を覆うように、且つ、透明な材料で形成されている透明層6が設けられている。
【0015】
次に、本実施形態における車両の表示装置の作用について説明する。
図3に示すように、昼間など太陽が比較的高い位置にあるときには、基板2側に向かう太陽光の入射が、図3に矢印で示されるようにプライバシーフィルタ5の庇部5bに対しある程度の傾斜角をもって行われる。このため、基板2側に向かう太陽光の入射を庇部5bによって遮ることができる。その結果、基板2等に向けて太陽光が入射することを多数の庇部5bによって抑制することができるため、太陽光が基板2等に当たって反射することにより、LED3の発光が外部から見えにくくなることは抑制されるようになる。
【0016】
一方、図4に示すように、朝方や夕方など太陽が比較的低い位置にあるときには、太陽光が赤色に相当する波長の光線となる。そして、太陽が比較的低い位置にあるときの基板2側に向かう太陽光の入射は、図4に矢印で示されるようにプライバシーフィルタ5の庇部5bに対し平行に近い状態で行われる。このため、太陽光がプライバシーフィルタ5の各庇部5bの間を通過しやすくなり、仮に各庇部5bの間を通過した太陽光が基板2等で反射したとすると、その太陽光の反射に起因してLED3の発光が外部から見えにくくなる。
【0017】
しかし、この実施形態の表示装置では、プライバシーフィルタ5における各庇部5bの間を通過した上記太陽光、すなわち赤色に相当する波長の光線は、基板2のLED3側の面とプライバシーフィルタ5との間に形成された赤色吸収層4で吸収される。このため、上記太陽光が基板2等で反射することにより、基板2に取り付けられたLED3の発光が外部から見えにくくなることは抑制される。
【0018】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
太陽が高い位置にある昼前であれ、太陽が低い位置にある朝方や夕方であれ、基板2に取り付けられた多数のLED3の発光を通じてLEDディスプレイ1に表示される映像が、上述した太陽光の基板2等での反射に起因して見えにくくなることを抑制できるようになる。
【0019】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・LEDディスプレイ1の取り付け位置は、車両における幅方向の側面に限らず、車両の前端面や後端面であってもよい。
【符号の説明】
【0020】
1…LEDディスプレイ、2…基板、3…LED、4…赤色吸収層、5…プライバシーフィルタ、5a…貼付部、5b…庇部、6…透明層。
図1
図2
図3
図4