(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】電子部品包装体、電子部品連および電子部品連形成装置
(51)【国際特許分類】
B65D 85/86 20060101AFI20221012BHJP
B65D 73/02 20060101ALI20221012BHJP
B65B 15/04 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
B65D85/86 300
B65D73/02 A
B65B15/04 K
(21)【出願番号】P 2019188101
(22)【出願日】2019-10-11
【審査請求日】2021-04-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】清水 保弘
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-034849(JP,A)
【文献】特開2007-246113(JP,A)
【文献】特開2000-344210(JP,A)
【文献】実開平01-103502(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0027382(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0019784(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/86
B65D 85/90
B65D 73/02
B65B 15/04
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収容する複数の収容部が設けられた長尺状のベーステープと、前記ベーステープを覆うように形成されるカバーテープとからなる電子部品包装体であって、
前記電子部品包装体は、前記収容部を挟むように、かつ、前記電子部品包装体の長手方向と並行に溶着された第1シール部と第2シール部とを備え、
前記電子部品包装体に設けられた溶着部分は前記第1シール部および前記第2シール部のみであり、
前記第1シール部のベーステープとカバーテープとの間の剥離強度は、前記第2シール部のベーステープとカバーテープとの間の剥離強度よりも強い剥離強度を有する、電子部品包装体。
【請求項2】
前記第1シール部のベーステープとカバーテープとの間の剥離強度をAとし、前記第2シール部のベーステープとカバーテープとの間の剥離強度をBとしたとき、1.2≦A/B≦5.0である、請求項1に記載の電子部品包装体。
【請求項3】
前記電子部品包装体の短手方向を幅方向としたとき、前記第1シール部の幅方向の長さは、前記第2シール部の幅方向の長さよりも長い、請求項1または請求項2に記載の電子部品包装体。
【請求項4】
前記第1シール部の平均深さは、前記第2シール部の平均深さよりも深い、請求項1ないし請求項3
のいずれか一項に記載の電子部品包装体。
【請求項5】
前記電子部品包装体は、前記ベーステープと前記カバーテープの全長にわたってシールされている、請求項1ないし請求項4
のいずれか一項に記載の電子部品包装体。
【請求項6】
前記ベーステープは、樹脂または紙からなる、請求項1ないし請求項5
のいずれか一項に記載の電子部品包装体。
【請求項7】
前記ベーステープの樹脂の材質は、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレンの中の1つである、請求項1ないし請求項6
のいずれか一項に記載の電子部品包装体。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7
のいずれか一項に記載の電子部品包装体に設けられた前記収容部に電子部品を備える電子部品連。
【請求項9】
電子部品を自動供給するテープフィーダーに適用される、請求項8に記載の電子部品連。
【請求項10】
電子部品と、前記電子部品を収容する収容部が設けられたベーステープと、前記ベーステープを覆うように形成されるカバーテープとを備える電子部品連を製造する電子部品連形成装置であって、
前記カバーテープと前記ベーステープとを溶着する溶着部と、
前記カバーテープと前記ベーステープとを溶着部まで搬送するテープ送り部と、
前記電子部品を前記ベーステープの前記収容部に投入する部品投入部と、
前記カバーテープと前記ベーステープとを溶着した電子部品連を巻き取るテープ巻取り部と、
を含み、
前記溶着部は、前記カバーテープと前記ベーステープとを溶着するためのヒートシールコテを備え、
前記ヒートシールコテは前記電子部品の搬送方向と並行に第1押圧部と第2押圧部とを有し、
前記ヒートシールコテは前記第1押圧部および前記第2押圧部のみであり、
前記第1押圧部によって溶着される前記ベーステープと前記カバーテープとの間の剥離強度は、前記第2押圧部の前記ベーステープと前記カバーテープとの間の剥離強度よりも強い剥離強度となるように形成される、電子部品連形成装置。
【請求項11】
前記第1押圧部によって溶着される前記ベーステープと前記カバーテープとの間の剥離強度をAとし、前記第2押圧部の前記ベーステープと前記カバーテープとの間の剥離強度をBとしたとき、1.2≦A/B≦5.0となるように形成される、請求項10に記載の電子部品連形成装置。
【請求項12】
前記第1押圧部および前記第2押圧部がそれぞれ前記カバーテープに当接したときに、前記第1押圧部が前記カバーテープを介して前記ベーステープと接触する面積は、前記第2押圧部が前記カバーテープを介して前記ベーステープと接触する面積よりも大きい、請求項10または請求項11に記載の電子部品連形成装置。
【請求項13】
前記第1押圧部は、前記第2押圧部よりも幅方向の長さが長い、請求項12に記載の電子部品連形成装置。
【請求項14】
前記第1押圧部は、前記第2押圧部よりも搬送方向と同一の方向である長さ方向の長さが長い、請求項12に記載の電子部品連形成装置。
【請求項15】
前記第1押圧部および前記第2押圧部がそれぞれ前記カバーテープに当接したときに、前記第1押圧部が前記カバーテープを介して前記ベーステープにかかる押圧力は、前記第2押圧部が前記カバーテープを介して前記ベーステープにかかる押圧力よりも大きい、請求項10または請求項11に記載の電子部品連形成装置。
【請求項16】
前記ヒートシールコテの基準面からの前記第1押圧部の高さは、前記ヒートシールコテの基準面からの前記第2押圧部の高さよりも高い、請求項15に記載の電子部品連形成装置。
【請求項17】
前記ヒートシールコテは、第1シール部の押圧力が第2シール部の押圧力よりも大きくなるように傾斜して設けられている、請求項15に記載の電子部品連形成装置。
【請求項18】
前記第1押圧部または前記第2押圧部の溶着面と、前記電子部品連とは傾斜して配置される、請求項15に記載の電子部品連形成装置。
【請求項19】
前記第1押圧部と前記第2押圧部とは、一体となって設けられる、請求項10ないし請求項18
のいずれか一項に記載の電子部品連形成装置。
【請求項20】
前記第1押圧部と前記第2押圧部とは、それぞれ別々に設けられる、請求項10ないし請求項18
のいずれか一項に記載の電子部品連形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品包装体、電子部品連および電子部品連形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板に電子部品を実装する部品実装装置のノズルに電子部品を供給するための自動部品供給機として、例えば特許文献1や
図12のようなキャリアテープの供給装置(自動部品供給機)が使用されている。例えば、
図12のような自動部品供給機200は、リールに巻回された電子部品連202を装填し、電子部品連202の残量がなくなると、リールを自動交換することができる。また、
図12の自動部品供給機200は、
図13に示すように、電子部品連202のカバーテープ202dの一方側を剥離してベーステープ202bの収容部202cを露出させる。そして、収容部202cに収められている電子部品202aは、部品実装装置(不図示)のノズルによってピックアップ(例えば、吸着)されて、基板に実装される。
【0003】
自動部品供給機200に用いられる電子部品連202は、例えば、特許文献2、特許文献3および
図13に示すように、電子部品202aと、電子部品202aを収容する収容部202cが設けられたベーステープ202bと、ベーステープ202bを覆うように形成されるカバーテープ202dとから構成される。また、電子部品連202は、収容部202cを挟むように、かつ、電子部品の搬送方向と並行に設けられたシール部(不図示)において溶着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-211169号公報
【文献】特開2014-34405号公報
【文献】特開平8-40548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ベーステープとカバーテープとを溶着する際に、両側のシール部が同じシール強度である場合、自動部品供給機によって剥離されるカバーテープの一方側を自動部品供給機が剥離することができず、ベーステープの収容部を露出させることができないという問題があった。ベーステープの収容部が露出されていないと、電子部品は部品実装装置のノズルによってピックアップすることができないため、実装不良が生じる場合があった。
【0006】
それゆえに、本発明の主たる目的は、自動部品供給機を使用する場合に、実装不良が生じない電子部品包装体および電子部品連および電子部品連形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる電子部品包装体は、電子部品を収容する複数の収容部が設けられた長尺状のベーステープと、ベーステープを覆うように形成されるカバーテープとからなる電子部品包装体であって、電子部品包装体は、収容部を挟むように、かつ、電子部品包装体の長手方向と並行に溶着された第1シール部と第2シール部とを備え、電子部品包装体に設けられた溶着部分は第1シール部および第2シール部のみであり、第1シール部のベーステープとカバーテープとの間の剥離強度は、第2シール部のベーステープとカバーテープとの間の剥離強度よりも強い剥離強度を有することを特徴とする。
【0008】
本発明にかかる電子部品包装体によれば、電子部品包装体の一方側である第1シール部の剥離強度が他方側である第2シール部の剥離強度よりも強いため、自動部品供給機は第2シール部側を剥離しやすくなる。第2シール部側が剥離しやすくなるため、容易にベーステープの収容部を露出させることができ、実装不良が発生することを抑制することができる。また、カバーテープとベーステープとは接着した状態で搬送されるため、自動部品供給機内にカバーテープが張り付くことによる詰まりを予防することができる。さらに、カバーテープはベーステープと接着した状態で搬送されるため、廃棄性もよい。
【0009】
本発明にかかる電子部品連形成装置は、電子部品と、電子部品を収容する収容部が設けられたベーステープと、ベーステープを覆うように形成されるカバーテープとを備える電子部品連を製造する電子部品連形成装置であって、カバーテープとベーステープとを溶着する溶着部と、カバーテープとベーステープとを溶着部まで搬送するテープ送り部と、電子部品をベーステープの収容部に投入する部品投入部と、カバーテープとベーステープとを溶着した電子部品連を巻き取るテープ巻取り部と、を含み、溶着部は、カバーテープとベーステープとを溶着するためのヒートシールコテを備え、ヒートシールコテは電子部品の搬送方向と並行に第1押圧部と第2押圧部とを有し、ヒートシールコテは第1押圧部および第2押圧部のみであり、第1押圧部によって溶着されるベーステープとカバーテープとの間の剥離強度は、第2押圧部のベーステープとカバーテープとの間の剥離強度よりも強い剥離強度となるように形成されることを特徴とする。
【0010】
本発明にかかる電子部品連形成装置によれば、ヒートシールコテの第1押圧部によって溶着されるベーステープとカバーテープとの間の剥離強度が、ヒートシールコテの第2押圧部のベーステープとカバーテープとの間の剥離強度よりも強い剥離強度となるように形成されるため、本発明に係る電子部品連形成装置によって製造された電子部品連の一方側の剥離強度が強くなり、容易にベーステープの収容部を露出させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、自動部品供給機を使用する場合に、実装不良が生じない電子部品包装体および電子部品連および電子部品連形成装置を提供することができる。
【0012】
本発明の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電子部品包装体の平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る電子部品連の斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る電子部品連形成装置の図解図である。
【
図6】(a)本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第1の実施形態における正面図である。(b)本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第1の実施形態における底面図である。
【
図7】(a)本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第2の実施形態における正面図である。(b)本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第2の実施形態における底面図である。
【
図8】(a)本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第3の実施形態における正面図である。(b)本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第3の実施形態における底面図である。
【
図9】(a)本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第4の実施形態における正面図である。(b)本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第4の実施形態における底面図である。
【
図10】(a)本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第5の実施形態における正面図である。(b)本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第5の実施形態における底面図である。
【
図11】(a)本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第6の実施形態における正面図である。(b)本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第6の実施形態における底面図である。
【
図12】従来から使用されている自動部品供給機の図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る電子部品包装体10、電子部品連50および電子部品連形成装置100について、図を参照して説明する。以下の実施形態の説明において、図中の同一または相当する部分には同一の符号を付して説明する。
【0015】
電子部品14の搬送方向をx方向とする。また、x方向に直交する方向をy方向とする。したがって、電子部品包装体10の長手方向はx方向と同一方向であり、電子部品包装体10の短手方向はy方向と同一方向である。
【0016】
1.電子部品包装体
本発明の一実施形態に係る電子部品包装体10について、
図1および
図2を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子部品包装体の平面図である。
図2は、
図1のII-II線における断面図である。
【0017】
本発明の一実施形態に係る電子部品包装体10は、電子部品14を収容する複数の収容部20が設けられた長尺状のベーステープ16と、ベーステープ16を覆うように形成されるカバーテープ18とから構成される。
【0018】
ベーステープ16は、長尺状であり、ベーステープ16の長手方向に沿って、所定の間隔に一列に並ぶように電子部品14を収容する収容部20と送り穴22とが設けられている。収容部20は、ベーステープ16の幅方向yにおいて一方側に偏って配置されている。収容部20の内部は、略直方体状の空間が形成されている。収容部20の開口は、平面視において略矩形である。送り穴22は、自動部品供給機において、自動搬送するために設けられている。送り穴22は、自動部品供給機の自動搬送するために設けられている歯と係合し、ベーステープ16を搬送方向xに向かって搬送する。
【0019】
ベーステープ16は、樹脂または紙から構成される。ベーステープ16は、特に、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレンの中の1つによって構成されることが好ましい。このような素材で形成されることにより、収容部20の成型が容易であり、かつ、クリーンルームでの作業が可能である。
【0020】
カバーテープ18は、ベーステープ16の収容部20を覆うようにベーステープ16の一方側の面上に貼り付けられる。カバーテープ18はベーステープ16の送り穴22を塞がないように配置される。
【0021】
カバーテープ18は、例えば、ポリエチレンテレフタレートによって構成される。カバーテープ18は、ベーステープ16と同一の素材で形成されていてもよいが、電気抵抗値が低い材料で形成されていることが好ましい。電気抵抗値が低い素材で形成することにより、カバーテープ18の帯電を防止することができる。
【0022】
電子部品包装体10は、収容部20を挟むように、かつ、電子部品包装体10の長手方向xと並行に溶着された第1シール部30と第2シール部40とを備える。第1シール部30は、ベーステープ16の送り穴22と近接する側の溶着部分である。また、第2シール部40は、ベーステープ16の送り穴22と離間する側の溶着部分である。
【0023】
第1シール部30のベーステープ16とカバーテープ18との間の剥離強度Aとし、第2シール部40のベーステープ16とカバーテープ18との間の剥離強度Bとする。第1シール部30のベーステープ16とカバーテープ18との間の剥離強度Aは、第2シール部40のベーステープ16とカバーテープ18との間の剥離強度Bよりも強い剥離強度を有する。第1シール部30の剥離強度Aは第2シール部40の剥離強度Bよりも強い剥離強度を有することにより、第2シール部40を剥離することが容易となる。第2シール部40側が剥離しやすくなるため、容易にベーステープ16の収容部20を露出させることができ、実装不良が発生することを抑制することができる。さらに、第1シール部30は剥離強度が強いため、カバーテープ18が剥離することなく、カバーテープとベーステープとは接着した状態で搬送され、自動部品供給機内にカバーテープ18が張り付くことによる詰まりを予防することができる。また、カバーテープとベーステープとは接着した状態で搬送されるため、廃棄性もよい。さらに、第1シール部30のベーステープ16とカバーテープ18との間の剥離強度Aと、第2シール部40のベーステープ16とカバーテープ18との間の剥離強度Bとは、1.2≦A/B≦5.0であることが好ましい。このような剥離強度とすることで、剥離強度Aと剥離強度Bとの間に差を生じさせることができるので、より第2シール部40を剥離しやすくすることができる。
【0024】
また、第1シール部30のベーステープ16とカバーテープ18との間の剥離強度Aと第2シール部40のベーステープ16とカバーテープ18との間の剥離強度Bとの合計は0.1N以上1.0N以下であることが好ましい。
【0025】
さらに、第1シール部30の幅方向の長さ30aは、第2シール部40の幅方向40aの長さよりも長くすることが好ましい。第1シール部30および第2シール部の幅方向の長さ30a、40aを調整することで、剥離強度を調整することが可能になる。そして、第1シール部30の幅方向の長さ30aは、第2シール部40の幅方向の長さ40aよりも長いため、第1シール部30の剥離強度Aは、第2シール部40の剥離強度Bよりも強くなる。
【0026】
また、第1シール部30の平均深さ30bは、第2シール部40の平均深さ40bよりも深くすることが好ましい。このようにすることで、第1シール部30と第2シール部40との剥離強度を調整することが可能になる。第1シール部30の平均深さ30bが第2シール部の平均深さ40bよりも深くすることで、第1シール部30の剥離強度Aは、第2シール部40の剥離強度Bよりも強くなる。第1シール部30の平均深さ30bおよび第2シール部40の平均深さ40bは、一定範囲の第1シール部30および第2シール部40を、レーザー変位計を用いて測定する。
【0027】
また、電子部品包装体10は、ベーステープ16とカバーテープ18の全長にわたってシールされていることが好ましい。このようにすることで、自動部品供給機において、電子部品連を設置する際に、作業担当者が電子部品14を収納した部分まで切断する作業をなくすことができる。
【0028】
2.電子部品連
本発明の一実施形態に係る電子部品連50について、
図3を参照して説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る電子部品連の斜視図である。
【0029】
本発明の一実施形態に係る電子部品連50は、上述の電子部品包装体10のベーステープ16と、ベーステープ16の収容部20に収容された電子部品14と、上述の電子部品包装体10のカバーテープ18とを備える。
【0030】
電子部品14は、例えば、抵抗器、コンデンサ、インダクタ、スイッチ、コネクター、コイル等である。電子部品14の一例として積層セラミックコンデンサ14について説明する。なお、本実施形態では、電子部品14の一例として積層セラミックコンデンサ14を説明するが、電子部品14が積層セラミックコンデンサ14に限定されるものではない。
【0031】
積層セラミックコンデンサ14について、
図4を参照して説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの斜視図である。
【0032】
積層セラミックコンデンサ14は直方体状の外形を有する積層体14aと、積層体14aの両端に設けられた一対の外部電極14bとを備える。
【0033】
積層セラミックコンデンサ14の外部電極14bを含む外形は、例えば、積層セラミックコンデンサ14の長手方向Lの寸法が0.25mm以上3.2mm以下、幅方向Wの寸法が0.125mm以上2.5mm以下、高さ方向Tの寸法が0.125mm以上2.5mm以下である。
【0034】
また、電子部品連50は、電子部品14を自動供給するテープフィーダーに適用されることが好ましい。
【0035】
3.電子部品連形成装置
次に、本発明の一実施形態に係る電子部品連形成装置100について
図5を参照して説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係る電子部品連形成装置の図解図である。
【0036】
本発明の一実施形態に係る電子部品連形成装置100は、電子部品14と、電子部品14を収容する収容部20が設けられたベーステープ16と、ベーステープ16を覆うように形成されるカバーテープ18とを備える電子部品連50を製造するために使用される。
【0037】
電子部品連形成装置100は、ベーステープ16とカバーテープ18とを溶着する溶着部110と、ベーステープ16とカバーテープ18とを溶着部110まで搬送するテープ送り部112と、電子部品14をベーステープ16の収容部20に投入する部品投入部114と、ベーステープ16とカバーテープ18とを溶着した電子部品連50を巻き取るテープ巻取り部116と、を含む。
【0038】
溶着部110は、ベーステープ16とカバーテープ18とを溶着するためのヒートシールコテ120を備える。ヒートシールコテ120は、ヒーターによって所定の温度に加熱され、一定時間間隔で移動するベーステープ16とカバーテープ18とを溶着する。溶着部110は、一定時間間隔で移動するベーステープ16とカバーテープ18にあわせて、電子部品連形成装置100の高さ方向zに上下運動して、ベーステープ16とカバーテープ18とを溶着する。
【0039】
ヒートシールコテ120は、例えば
図6のように、電子部品14の搬送方向xと並行に第1押圧部122と第2押圧部124とを有する。第1押圧部122と第2押圧部124とは、基材126に接続されている。第1押圧部122によって溶着されるベーステープ16とカバーテープ18との間の剥離強度は、第2押圧部124のベーステープ16とカバーテープ18との間の剥離強度よりも強い剥離強度となるように形成される。このような装置を用いることで、第1押圧部122によって溶着される剥離強度Aは、第2押圧部124によって溶着される剥離強度Bよりも強い剥離強度を有するように形成することができるため、本発明に係る電子部品連形成装置100によって製造された電子部品連50の一方側の剥離強度が強くなり、容易にベーステープ16の収容部20を露出させることができる。さらに、第1押圧部122によって溶着されるベーステープ16とカバーテープ18との間の剥離強度をAとし、第2押圧部124のベーステープ16とカバーテープ18との間の剥離強度をBとしたとき、1.2≦A/B≦5.0となるように形成されることが好ましい。このような剥離強度とすることで、剥離強度Aと剥離強度Bとの間に差を生じさせることができるので、より第2シール部40を剥離しやすくすることができる。
【0040】
テープ送り部112は、ベーステープ16を搬送方向xに搬送する送り歯が設けられている。テープ送り部112の送り歯は、ベーステープ16に設けられた送り穴22と係合して、ベーステープ16を搬送方向xに搬送するために設けられている。
【0041】
部品投入部114は、ベーステープ16の複数の収容部20のそれぞれに電子部品14を投入する部分である。ベーステープ16は、部品投入部114において電子部品14が投入された後、ベーステープ16の電子部品14が収容された収容部20を覆うようにカバーテープ18が供給され、溶着部110においてカバーテープ18と溶着される。カバーテープ18は、上方に設けられたカバーテープ供給部118から連続的に供給される。収容部20に電子部品14が収容されたベーステープ16に対してカバーテープ18が溶着されることにより、電子部品連50が作製される。
【0042】
テープ巻取り部116は、作製された電子部品連50を巻回する部分である。溶着部110で溶着され、作製された電子部品連50はさらに搬送されて、テープ巻取り部116に設けられたリールに巻回される。
【0043】
また、第1押圧部122によって溶着されるベーステープ16とカバーテープ18との間の剥離強度を、第2押圧部124のベーステープ16とカバーテープ18との間の剥離強度よりも強い剥離強度となるように形成するために、以下のようにヒートシールコテ120を設けることが好ましい。
以下において、ヒートシールコテ120の第1押圧部122の幅方向yの長さを122aとし、第2押圧部124の幅方向yの長さ124aとする。また、ヒートシールコテ120の第1押圧部122の長さ方向xの長さを122bとし、第2押圧部124の長さ方向xの長さ124bとする。さらに、ヒートシールコテ120の第1押圧部122の高さ方向zの長さを122cとし、第2押圧部124の高さ方向zの長さ124cとする。
【0044】
第1押圧部122および第2押圧部124がそれぞれカバーテープ18に当接したときに、第1押圧部122がカバーテープ18を介してベーステープ16と接触する面積は、第2押圧部124がカバーテープ18を介してベーステープ16と接触する面積よりも大きくすることが好ましい。このように第1押圧部122および第2押圧部124を設けることにより、第1押圧部122によって溶着されるベーステープ16とカバーテープ18との間の剥離強度を、第2押圧部124のベーステープ16とカバーテープ18との間の剥離強度よりも強い剥離強度とすることができる。
【0045】
(ヒートシールコテの第1の実施形態)
ヒートシールコテ120の第1の実施形態として、
図6を参照して説明する。
図6(a)は、本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第1の実施形態における正面図である。また、
図6(b)は、本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第1の実施形態における底面図である。
【0046】
第1押圧部122の幅方向yの長さ122aは、第2押圧部124の幅方向yの長さ124aよりもヒートシールコテ120の幅方向yの長さが長いことが好ましい。このように第1押圧部122および第2押圧部124を設けることにより、第1押圧部122によって溶着されるベーステープ16とカバーテープ18との間の剥離強度を、第2押圧部124のベーステープ16とカバーテープ18との間の剥離強度よりも強い剥離強度とすることができる。
【0047】
(ヒートシールコテの第2の実施形態)
ヒートシールコテ120の第2の実施形態として、
図7を参照して説明する。
図7(a)は、本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第2の実施形態における正面図である。
図7(b)は、本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第2の実施形態における底面図である。
【0048】
第1押圧部122の長さ方向(搬送方向)xの長さを122bは、第2押圧部124の長さ方向xの長さ124bが長いことが好ましい。このように第1押圧部122および第2押圧部124を設けることにより、第1押圧部122によって形成される第1シール部30の溶着回数が、第2押圧部124によって形成される第2シール部32の溶着回数よりも多くなる。したがって、第1押圧部122によって溶着されるベーステープ16とカバーテープ18との間の剥離強度を、第2押圧部124のベーステープ16とカバーテープ18との間の剥離強度よりも強い剥離強度とすることができる。
【0049】
また、第1押圧部122および第2押圧部124がそれぞれカバーテープ18に当接したときに、第1押圧部122がカバーテープ18を介してベーステープ16にかかる押圧力は、第2押圧部124がカバーテープ18を介してベーステープ16にかかる押圧力よりも大きいことが好ましい。このように第1押圧部122および第2押圧部124を設けることにより、第1押圧部122によって溶着されるベーステープ16とカバーテープ18との間の剥離強度を、第2押圧部124のベーステープ16とカバーテープ18との間の剥離強度よりも強い剥離強度とすることができる。
【0050】
(ヒートシールコテの第3の実施形態)
ヒートシールコテ120の第3の実施形態として、
図8を参照して説明する。
図8(a)は、本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第3の実施形態における正面図である。
図8(b)は、本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第3の実施形態における底面図である。
【0051】
ヒートシールコテ120の第1押圧部122および第2押圧部124が、基材126と接続する面を基準面S1とする。ヒートシールコテ120の基準面S1からの第1押圧部122の長さ122cは、ヒートシールコテ120の基準面S1からの第2押圧部124の長さ124cよりも高いことが好ましい。このように第1押圧部122および第2押圧部124を設けることにより、第1押圧部122がカバーテープ18を介してベーステープ16にかかる押圧力は、第2押圧部124がカバーテープ18を介してベーステープ16にかかる押圧力より大きくすることができる。
【0052】
(ヒートシールコテの第4の実施形態)
ヒートシールコテ120の第4の実施形態として、
図9を参照して説明する。
図9(a)は、本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第4の実施形態における正面図である。
図9(b)は、本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第4の実施形態における底面図である。
【0053】
ヒートシールコテ120は、ベーステープ16の第1シール部30の押圧力が第2シール部40の押圧力よりも大きくなるように傾斜して設けられていることが好ましい。このように第1押圧部122および第2押圧部124の溶着面と、ベーステープ16およびカバーテープ18とを傾斜して設けることにより、第1押圧部122がカバーテープ18を介してベーステープ16にかかる押圧力は、第2押圧部124がカバーテープ18を介してベーステープ16にかかる押圧力より大きくすることができる。
【0054】
(ヒートシールコテの第5の実施形態)
ヒートシールコテ120の第5の実施形態として、
図10を参照して説明する。
図10(a)は、本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第5の実施形態における正面図である。
図10(b)は、本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第5の実施形態における底面図である。
【0055】
第1押圧部122または第2押圧部124の溶着面と、電子部品連50とは傾斜して配置されていることが好ましい。このように第1押圧部122および第2押圧部124の溶着面と、ベーステープ16の搬送面とは傾斜して設けることにより、第1押圧部122がカバーテープ18を介してベーステープ16にかかる押圧力は、第2押圧部124がカバーテープ18を介してベーステープ16にかかる押圧力より大きくすることができる。
【0056】
第1押圧部122と第2押圧部124とは、一体となって設けられることが好ましい。第1押圧部122と第2押圧部124とを一体として設けることによって、ヒートシールコテ120の形状を複雑にすることなく設置することができる。
【0057】
(ヒートシールコテの第6の実施形態)
ヒートシールコテ120の第6の実施形態として、
図11を参照して説明する。
図11(a)は、本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第6の実施形態における正面図である。
図11(b)は、本発明の一実施形態に係るヒートシールコテの第6の実施形態における底面図である。
【0058】
第1押圧部122と第2押圧部124とは、それぞれ別々に設けられていてもよい。例えば、ヒートシールコテ120は、第1押圧部122を有する第1ヒートシールコテ120Aと、第2押圧部124を有する第2ヒートシールコテ120Bとを備えていてもよい。ヒートシールコテ120を別々に設けることによって、第1押圧部122および第2押圧部124の溶着温度、押圧力および押圧時間を個別に制御することができる。
【0059】
4.実験データ
本発明に係る電子部品連形成装置100を使用して、本発明に係る電子部品包装体10に電子部品14として積層セラミックコンデンサ14を収納し製造した電子部品連50を、自動部品供給機に充填し、電子部品連50の剥離性を測定した。
【0060】
ヒートシールコテ120の第1押圧部122の幅方向yの長さと第2押圧部124の幅方向yの長さを変更することによって、第1シール部30と第2シール部40との剥離強度の比(A/B)を調整した。第1シール部30と第2シール部40との剥離強度の比(A/B)は剥離試験機を用いて測定した。剥離試験機はPTS-5000(株式会社イーピーアイ社製)を用いた。剥離スピードは300cm/分、剥離する角度は175度とした。
また、第1シール部30と第2シール部40との剥離強度の比(A/B)を測定した電子部品連50を10リールずつ準備した。第2シール部40の剥離性として、それぞれの電子部品連50を自動部品供給機に充填して、実装不良が発生した積層セラミックコンデンサ14の個数を測定した。さらに、第1シール部30の剥離性として、それぞれの電子部品連50を自動部品供給機に充填して、自動部品供給機の内部でカバーテーテープ18が剥がれ、部品実装装置において実装するまでに、電子部品連50から積層セラミックコンデンサ14が落下した個数を測定した。結果を表1に示す。
【0061】
【0062】
表1の結果より、第1シール部30と第2シール部40との剥離強度の比(A/B)を1.2≦A/B≦5.0とした場合、実装不良が発生しなかった。
【0063】
以上のように、本発明の実施形態は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0064】
10 電子部品包装体
14 電子部品
14a 積層体
14b 一対の外部電極
16 ベーステープ
18 カバーテープ
20 収容部
22 送り穴
30 第1シール部
30a 第1シール部の幅方向の長さ
30b 第1シール部の深さ
40 第2シール部
40a 第2シール部の幅方向の長さ
40b 第2シール部の深さ
50 電子部品連
100 電子部品連形成装置
110 溶着部
112 テープ送り部
114 部品投入部
116 テープ巻取り部
118 カバーテープ供給部
120 ヒートシールコテ
122 第1押圧部
122a 第1押圧部の幅方向の長さ
122b 第1押圧部の長さ方向の長さ
122c 第1押圧部の高さ方向の長さ
124 第2押圧部
124a 第2押圧部の幅方向の長さ
124b 第2押圧部の長さ方向の長さ
124c 第2押圧部の高さ方向の長さ
126 基材
200 自動部品供給機
202 従来の電子部品連
202a 従来の電子部品
202b 従来のベーステープ
202c 従来のカバーテープ
A 第1シール部の剥離強度
B 第2シール部の剥離強度
S1 溶着部の基準面
L 積層セラミックコンデンサの長手方向の寸法
W 積層セラミックコンデンサの幅方向の寸法
T 積層セラミックコンデンサの高さ方向の寸法
x 搬送方向(電子部品包装体の長手方向、ベーステープの長手方向)
y ベーステープの幅方向(ベーステープの短手方向)