(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
B65G1/04 505F
(21)【出願番号】P 2019189371
(22)【出願日】2019-10-16
【審査請求日】2020-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】松島 正浩
(72)【発明者】
【氏名】貝沼 博之
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-116304(JP,U)
【文献】特開2008-105844(JP,A)
【文献】特開2016-016934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に走行する走行台車と、
第1方向に水平方向で直交する第2方向に荷を移載する移載装置と、
前記移載装置の支持面に置かれた荷の第1方向前側を下方から支持可能な複数の第1支持部材と、
前記移載装置の前記支持面に置かれた荷の第1方向後側を下方から支持可能な複数の第2支持部材と、
駆動装置を有し、前記移載装置の前記支持面に対して、前記第1支持部材及び前記第2支持部材の支持面を下降位置と上昇位置との間で移動させる上下動装置と、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、速度又は加速度に応じて、前記第1支持部材及び前記第2支持部
材の一方を上昇位置に位置するように前記上下動装置を制御し、
前記上下動装置は、
第1方向に離間して第2方向に延在するように設けられ、前記駆動装置と連結する一対の連結軸部材と、
前記第1支持部材及び前記第2支持部材の各々に設けられ、高さ方向に延在する第1ラックギヤと、
前記一対の連結軸部材に連結され、各前記第1ラックギヤに噛み合う第1ピニオンギヤと、
前記第1支持部材及び前記第2支持部材を高さ方向にガイドするガイドと、を有する、搬送装置。
【請求項2】
前記第1ラックギヤ及び前記ガイドは、第1方向において内側に凹となるように湾曲している、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記移載装置を昇降させる昇降台をさらに備え、
前記コントローラは、前記昇降台の昇降に合わせて、前記上下動装置に前記荷を傾斜させ、
前記コントローラは、前記昇降台の上昇時には、速度又は加速度に応じた上昇位置よりも前記第1支持部材及び前記第2支持部材の一方の上昇位置を低くし、
前記コントローラは、前記昇降台の降下時には、速度又は加速度に応じた下降位置よりも前記第1支持部材及び前記第2支持部材の一方の下降位置を高くする、請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
第1方向に走行する走行台車と、
第1方向に水平方向で直交する第2方向に荷を移載する移載装置と、
前記移載装置の支持面に置かれた荷の第1方向前側を下方から支持可能な複数の第1支
持部材と、
前記移載装置の前記支持面に置かれた荷の第1方向後側を下方から支持可能な複数の第
2支持部材と、
駆動装置を有し、前記移載装置の前記支持面に対して、前記第1支持部材及び前記第2
支持部材の支持面を下降位置と上昇位置との間で移動させる上下動装置と、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、速度又は加速度に応じて、前記第1支持部材及び前記第2支持部
材の一方を上昇位置に位置するように前記上下動装置を制御し、
前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、前記移載装置の前記支持面に対して第1方向の外側に立設する立設部を有しており、
前記立設部は、前記第1支持部材及び前記第2支持部材が下降位置にあってかつ前記荷が前記移載装置の前記支持面に置かれた状態で、第1方向において前記荷に対して接近することで前記荷を前記移載装置の前記支持面上で位置決めする、搬送装置。
【請求項5】
前記上下動装置は、
前記第1支持部材及び前記第2支持部材の各々に設けられ、高さ方向に延在する第1ラックギヤと、
前記第1ラックギヤに噛み合って用いられ、前記駆動装置によって駆動される第1ピニオンギヤと、
前記第1支持部材及び前記第2支持部材の各々に設けられ第1方向に延在する第2ラックギヤと、
前記第1ピニオンギヤより低い位置でかつ前記第2ラックギヤの下方に設けられ、前記駆動装置によって駆動される第2ピニオンギヤと、を有し、
前記第1ピニオンギヤの回転によって、前記第2ラックギヤが前記第2ピニオンギヤに噛み合った下側位置と、前記第2ラックギヤが前記第2ピニオンギヤから上方に離れた上側位置との間で移動され、
前記第2ラックギヤが前記第2ピニオンギヤに噛み合った下側位置にある状態で、前記第2ピニオンギヤの回転によって、前記第1ピニオンギヤが前記第1ラックギヤに噛み合った噛み合い位置と、前記第1ピニオンギヤが前記第1ラックギヤから離れた非噛み合い位置との間で移動される、請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
第1方向に走行する走行台車と、
第1方向に水平方向で直交する第2方向に荷を移載する移載装置と、
前記移載装置の支持面に置かれた荷の第1方向前側を下方から支持可能な複数の第1支
持部材と、
前記移載装置の前記支持面に置かれた荷の第1方向後側を下方から支持可能な複数の第
2支持部材と、
駆動装置を有し、前記移載装置の前記支持面に対して、前記第1支持部材及び前記第2
支持部材の支持面を下降位置と上昇位置との間で移動させる上下動装置と、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、速度又は加速度に応じて、前記第1支持部材及び前記第2支持部
材の一方を上昇位置に位置するように前記上下動装置を制御し、
前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、前記移載装置の前記支持面に対して第1方向の外側に立設し、第1方向において外側から内側に向けて下降する傾斜面を有している、搬送装置。
【請求項7】
前記上下動装置の前記駆動装置に接続されたバッテリをさらに備え、
前記コントローラは、電源遮断時に前記バッテリを用いて前記上下動装置の前記駆動装置を制御する、請求項1~6のいずれかに記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関し、特に、荷を支持する支持部材を走行方向に傾斜させることで荷の落下や荷くずれを防止する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送装置は、支持台の上に荷を載せた状態で走行する。そして、搬送装置が高速/高加減速度にて走行すると、空気抵抗や重力との力の釣り合いの関係により、荷が支持台からずれやすくなり、落下したり崩れたりすることがある。そのような問題は、特に、複数の荷がパレット上にランダムに段積みされた場合に顕著である。
上記問題を解決して荷を崩さずに目的の位置まで搬送するために、加減速に応じて支持台を走行方向に傾ける技術が開発されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のスタッカクレーンでは、前後一対の支持装置(枢軸20と作動装置22)が設けられている。この場合、合計2つの支持装置しかないので、1つの支持装置に対する負荷が大きく、移載方向に長い1つの支持体を上昇させると、支持体を上昇させるための機構全ての上昇量、タイミングを同期させないと1つの支持体に対して大きな負荷がかかる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、搬送装置において、搬送時の速度や加速度の影響による荷くずれを安定的に防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係る搬送装置は、走行台車と、移載装置と、複数の第1支持部材と、複数の第2支持部材と、上下動装置と、コントローラと、を備えている。
走行台車は、第1方向に走行する。
移載装置は、第1方向に水平方向で直交する第2方向に荷を移載する。
複数の第1支持部材は、移載装置の支持面に置かれた荷の第1方向前側を下方から支持可能である。
複数の第2支持部材は、移載装置の支持面に置かれた荷の第1方向後側を下方から支持可能である。
上下動装置は、駆動装置を有し、移載装置の支持面に対して、第1支持部材及び第2支持部材の支持面を下降位置と上昇位置との間で移動させる。
コントローラは、速度又は加速度に応じて、第1支持部材及び第2支持部材の一方を上昇位置に位置するように上下動装置を制御する。
この装置では、支持部材が少なくとも4台となっている。このように支持部材が複数に分割されているので、1台の支持部材に作用する負荷を小さくできる。
【0008】
上下動装置は、一対の連結軸部材と、第1ラックギヤと、第1ピニオンギヤと、ガイドと、を有していてもよい。
一対の連結軸部材は、第1方向に離間して第2方向に延在するように設けられ、駆動装置と連結していてもよい。
第1ラックギヤは、第1支持部材及び第2支持部材の各々に設けられ、高さ方向に延在していてもよい。
第1ピニオンギヤは、一対の連結軸部材に連結され、各第1ラックギヤに噛み合っていてもよい。
ガイドは、第1支持部材及び第2支持部材を高さ方向にガイドしてもよい。
この装置では、第1ラックギヤ及び第1ピニオンギヤとガイドにより、省スペースな構成によって、第1支持部材及び第2支持部材の確実な昇降動作が可能になる。
【0009】
第1ラックギヤ及びガイドは、第1方向において内側に凹となるように湾曲していてもよい。
この装置では、第1ラックギヤ及びガイドを湾曲させることで、上昇位置に位置する支持部材の支持面を荷に沿わすことができる。つまり、荷が支持面によって安定的に支持される。
【0010】
搬送装置は、移載装置を昇降させる昇降台をさらに備えていてもよい。
コントローラは、昇降台の昇降に合わせて、上下動装置に荷を傾斜させてもよい。
コントローラは、昇降台の上昇時には、速度又は加速度に応じた上昇位置よりも第1支持部材及び第2支持部材の一方の上昇位置を低くしてもよい。
コントローラは、昇降台の降下時には、速度又は加速度に応じた下降位置よりも第1支持部材及び第2支持部材の一方の下降位置を高くしてもよい。
この装置では、例えば、下降時は荷にかかる重力が低減するので、単なる走行時よりも荷の傾斜角度を大きくする。そして、昇降時は荷にかかる重力が増加するので、単なる走行時よりも荷の傾斜角度を小さくする。
【0011】
第1支持部材及び第2支持部材は、移載装置の支持面に対して第1方向の外側に立設する立設部を有していてもよい。
立設部は、第1支持部材及び第2支持部材の支持面が下降位置にあってかつ荷が移載装置の支持面に置かれた状態で、第1方向において荷に対して接近することで荷を移載装置の支持面上で位置決めしてもよい。
この装置では、荷が移載装置の支持面の第1方向基準位置からずれていても、第1支持部材及び第2支持部材の立設部が荷に対して第1方向に接近することで、荷を支持面の第1方向基準位置に載せることができる。
【0012】
上下動装置は、第2ラックギヤと、第2ピニオンギヤを有していてもよい。
第2ラックギヤは、第1支持部材及び第2支持部材の各々に設けられ第1方向に延在していてもよい。
第2ピニオンギヤは、第1ピニオンギヤより低い位置でかつ第2ラックギヤの下方に設けられ、駆動装置によって駆動されてもよい。
第1ピニオンギヤの回転によって、第2ラックギヤが第2ピニオンギヤに噛み合った下側位置と、第2ラックギヤが第2ピニオンギヤから上方に離れた上側位置との間で移動されてもよい。
第2ラックギヤが第2ピニオンギヤに噛み合った下側位置にある状態で、第2ピニオンギヤの回転によって、第1ピニオンギヤが第1ラックギヤに噛み合った噛み合い位置と、第1ピニオンギヤが第1ラックギヤから離れた非噛み合い位置との間で移動されてもよい。この結果、第1支持部材と第2支持部材が、第1方向において荷に対して接近する。
この装置では、上下動装置を利用して第1支持部材と第2支持部材を第1方向において荷に対して接近させることで、荷を移載装置の支持面上で位置決めできる。したがって、搬送装置全体の構成が簡単になる。
【0013】
第1支持部材及び第2支持部材は、移載装置の支持面に対して第1方向の外側に立設し、第1方向において外側から内側に向けて下降する傾斜面を有していてもよい。
この装置では、例えば相手方のコンベヤのクリアランスが大きいことが原因で荷が支持装置の支持面の基準位置からずれていて端部が傾斜面に載っていたとしても、第1支持部材及び第2支持部材の傾斜面を利用し、移載装置が荷を支持面の第1方向基準位置に戻すことができる。
【0014】
搬送装置は、上下動装置の駆動装置に接続されたバッテリをさらに備えていてもよい。
コントローラは、電源遮断時にバッテリを用いて上下動装置の駆動装置を制御してもよい。
この装置では、電源遮断時に上下動装置が制御可能であるので、搬送装置が急停止するときにも荷が落下したり崩れたりしないように上下動装置が第1支持部材及び第2支持部材を動作可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る搬送装置では、搬送時の速度や加速度の影響による荷くずれを安定的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図4】スライドフォークと傾斜機構の模式的平面図。
【
図5】スライドフォークと傾斜機構の模式的正面図(移載時)。
【
図6】スタッカクレーンの制御構成を示すブロック図。
【
図7】スライドフォークと傾斜機構の模式的正面図(加速時)。
【
図8】スライドフォークと傾斜機構の模式的正面図(減速時)。
【
図9】第2実施形態のスライドフォークと傾斜機構の部分模式的正面図。
【
図10】第2実施形態のスライドフォークと傾斜機構の部分模式的正面図。
【
図11】第2実施形態のスライドフォークと傾斜機構の部分模式的正面図。
【
図12】第2実施形態のスライドフォークと傾斜機構の部分模式的正面図。
【
図13】第2実施形態のスライドフォークと傾斜機構の部分模式的正面図。
【
図14】第2実施形態のスライドフォークと傾斜機構の部分模式的正面図。
【
図15】第3実施形態のスライドフォークと傾斜機構の模式的正面図(移載時)。
【
図16】第3実施形態のスライドフォークと傾斜機構の模式的正面図(加速時)。
【
図17】第3実施形態のスライドフォークと傾斜機構の模式的正面図(減速時)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.第1実施形態
(1)自動倉庫全体
図1~
図3を用いて、本発明に係る一実施形態としての自動倉庫1を説明する。
図1は、第1実施形態に係る自動倉庫の概略平面図である。
図2は、
図1に示す自動倉庫1のII-II矢視図である。
図3は、
図1に示す自動倉庫1のIII-III矢視図である。
本実施形態において、
図1の左右方向が自動倉庫1において荷Wが搬送される方向(矢印Y)であり、以下では「第1水平方向」(第1方向の一例)と呼ぶ。また、
図1の上下方向が自動倉庫1において荷Wの移載を行う際に荷Wが移動する方向(矢印X)であり、以下では「第2水平方向」(第2方向の一例)と呼ぶ。第1水平方向と第2水平方向は平面視で直交している。
また、荷Wの種類は限定されないが、軽量で段積みされたものの場合に、本実施形態において顕著な効果が得られる。
図1において、自動倉庫1は、主に、第1ラック2a及び第2ラック2bと、その間を走行するスタッカクレーン3(搬送装置の一例)とから構成される。自動倉庫1においては、第2水平方向において、スタッカクレーン3から第1ラック2a若しくは第2ラック2b側に又はその逆側に荷Wが移載される。
【0018】
(2)ラック
第1ラック2a及び第2ラック2bは、第1水平方向に延びるスタッカクレーン3の走行通路5を挟むよう第2水平方向に並んで配置されている。第1ラック2a及び第2ラック2bは、走行通路5側に所定間隔で第1水平方向に並ぶ多数の第1支柱7と、走行通路5と反対側に所定間隔を空けて並ぶ第2支柱9と、第1支柱7と第2支柱9との間に配置された中間支柱8と、隣り合う第1支柱7及び第2支柱9の間に設けられた多数の棚部11とを有している。各棚部11には、一対の荷支承部材13が設けられている。一対の荷支承部材13に荷Wを載置することで、棚部11に荷Wを収納できる。なお、各荷Wは、
図2に示すように、パレットP上に載置され、パレットPと共に移動させられる。また、左右一対の荷支承部材13の間は、スライドフォーク29(後述)の第2水平方向の移動を許容するフォーク通過間隙15となっている。なお、以下の説明では、説明の簡便化のために、荷WとパレットPを合わせて「荷W」と呼ぶ場合がある。
【0019】
第1ラック2aの第1水平方向片側に、荷Wを入庫するための入庫ステーション17が配置されている。第2ラック2bの第1水平方向片側に、荷Wを出庫するための出庫ステーション19が配置されている。入庫ステーション17及び出庫ステーション19においては、荷Wを入出庫可能である。なお、これらステーションは、コンベヤを有している。
【0020】
(3)スタッカクレーン
スタッカクレーン3は、第1水平方向に沿って走行可能であり、入庫ステーション17又は出庫ステーション19から所望の棚部11側に又はその逆側に荷Wを搬送する。具体的には、
図2及び
図3に示すように、走行通路5に沿って、上ガイドレール21a及び下ガイドレール21bが設けられており、上ガイドレール21a及び下ガイドレール21bにスタッカクレーン3が走行方向に移動可能に案内されている。
【0021】
スタッカクレーン3は、走行台車23(走行台車の一例)と、走行台車23に設けられた第1マスト25a及び第2マスト25bに昇降自在に装着された昇降台27(昇降台の一例)と、昇降台27に進退機構(図示せず)によって移載方向に摺動自在に設けられたスライドフォーク29(移載装置の一例)とを有している。走行台車23は、下ガイドレール21b上を走行可能である。第1マスト25a及び第2マスト25bは上部で連結されており、連結部分が上ガイドレール21aに案内される。
昇降台27は、走行台車23に対向して配置されており、その上にスライドフォーク29と傾斜機構31が設置される(後述)。
【0022】
(4)傾斜機構
スタッカクレーン3は、傾斜機構31をさらに有している。
図4及び
図5を用いて、傾斜機構31を説明する。
図4は、スライドフォークと傾斜機構の模式的平面図である。
図5は、傾斜機構の模式的正面図(移載時)である。
傾斜機構31は、荷Wを第1水平方向に傾斜させることで荷Wの落下や荷崩れを防止する機構である。具体的には、傾斜機構31は、例えば、速度や加減速に応じて荷Wを傾ける。例えば、加速時には荷Wの第1水平方向後側(つまり、走行方向後側)を第1水平方向前側(つまり、走行方向前側)より高くなるように持ち上げ、減速時には荷Wの第1水平方向前側を第1水平方向後側より高くなるように持ち上げる。
【0023】
傾斜機構31は、一対の第1支持部材33A、33B(複数の第1支持部材の一例)と、一対の第2支持部材35A、35B(複数の第2支持部材の一例)と、上下動装置37(上下動装置の一例)とを有している。
一対の第1支持部材33A、33Bは、スライドフォーク29の支持面29aに置かれた荷Wの第1水平方向前側を下方から支持可能である。具体的には、
図4に示すように、一対の第1支持部材33A、33Bは、第2水平方向において互いに離れて配置されている。
一対の第2支持部材35A、35Bは、スライドフォーク29の支持面29aに置かれた荷Wの第1水平方向後側を下方から支持可能である。具体的には、
図4に示すように、一対の第2支持部材35A、35Bは、第2水平方向において互いに離れて配置されている。
【0024】
図4に示すように、一対の第1支持部材33A、33Bは、一対の第2支持部材35A、35Bに対して、第1水平方向前側に配置されている。このようにして、
図4に示すように、一対の第1支持部材33A、33B及び一対の第2支持部材35A、35Bが平面視でスライドフォーク29の支持面29a(支持面の一例であり、スライドフォーク29のトップ部が昇降台27に収納されている状態での支持部)の外側を囲むように配置されており、荷Wの4隅に対応している。なお、
図5に示すように、スライドフォーク29が荷Wを移載するときは、一対の第1支持部材33A、33B及び一対の第2支持部材35A、35Bの平坦な支持面33a、35aは、スライドフォーク29の支持面29aより下方の位置にあり、荷Wの下面から離れている。
【0025】
一対の第1支持部材33A、33B及び一対の第2支持部材35A、35Bは、スライドフォーク29の支持面29aに対して第1水平方向の外側に立設し、第1水平方向において外側から内側に向けて下降する傾斜面33b、35b(立設部の一例)を有している。この場合、例えば相手方のコンベヤのクリアランスが大きいことが原因で荷Wがスライドフォーク29の支持面29aの第1水平方向基準位置からずれていて端部が傾斜面33b、35bに載っていたとしても、一対の第1支持部材33A、33B及び一対の第2支持部材35A、35Bの上昇時に傾斜面33b、35bを利用し、スライドフォーク29が荷Wを支持面29aの第1水平方向基準位置に戻すことができる。
【0026】
上下動装置37は、スライドフォーク29の支持面29aに対して、一対の第1支持部材33A、33B及び一対の第2支持部材35A、35Bの支持面33a、35aを下降位置と上昇位置との間で移動させる(後述)。
図4に示すように、上下動装置37は、第1モータ41A及び第2モータ41B(駆動装置の一例)を有している。
【0027】
図4に示すように、上下動装置37は、第1連結軸部材43A及び第2連結軸部材43B(一対の連結軸部材の一例)を有している。第1連結軸部材43A及び第2連結軸部材43Bは、第1水平方向に互いに離間して第2水平方向に延在するように設けられている。第1連結軸部材43A及び第2連結軸部材43Bは、第1モータ41A及び第2モータ41Bとそれぞれ連結されている。したがって、第1モータ41A及び第2モータ41Bによって、第1連結軸部材43A及び第2連結軸部材43Bはそれぞれ回転させられる。具体的には、第1モータ41A及び第2モータ41Bは、それぞれ、第1ギヤボックス42A及び第2ギヤボックス42Bを介して第1連結軸部材43A及び第2連結軸部材43Bに連結されている。
【0028】
図5に示すように、上下動装置37は、一対の第1ラックギヤ45A、45B(ラックギヤの一例)を有している。一対の第1ラックギヤ45A、45Bは、第1支持部材33A、33Bのそれぞれに設けられ、高さ方向に延在する。さらに詳細には、一対の第1ラックギヤ45A、45Bは、第1水平方向において内側に凹となるように湾曲している。なお、一対の第1ラックギヤ45A、45Bは、第1支持部材33A、33Bが下側位置にあるときに、上端が下端に対して第1水平方向前側(外側)に位置している。
図5に示すように、上下動装置37は、一対の第2ラックギヤ47A、47B(ラックギヤの一例)を有している。一対の第2ラックギヤ47A、47Bは、一対の第2支持部材35A、35Bのそれぞれに設けられ、高さ方向に延在する。さらに詳細には、一対の第2ラックギヤ47A、47Bは、第1水平方向において内側に凹となるように湾曲している。なお、一対の第2ラックギヤ47A、47Bは、第2支持部材35A、35Bが下側位置にあるときに、上端が下端に対して第1水平方向後側(外側)に位置している。
【0029】
上下動装置37は、一対の第1ピニオンギヤ49A、49B(ピニオンギヤの一例)を有している。一対の第1ピニオンギヤ49A、49Bは、第1連結軸部材43Aの両端に連結され、第2水平方向に延びる回転軸を有し、一対の第1ラックギヤ45A、45Bにそれぞれ噛み合っている。
上下動装置37は、一対の第2ピニオンギヤ51A、51B(ピニオンギヤの一例)を有している。一対の第2ピニオンギヤ51A、51Bは、第2連結軸部材43Bの両端に連結され、第2水平方向に延びる回転軸を有し、一対の第2ラックギヤ47A、47Bにそれぞれ噛み合っている。
【0030】
上下動装置37は、一対の第1ガイド53A、53B(ガイドの一例)を有している。一対の第1ガイド53A、53Bは、一対の第1支持部材33A、33Bを高さ方向にガイドする。一対の第1ガイド53A、53Bは、昇降台27に固定されたレール53aと一対の第1支持部材33A、33Bに固定されたブロック53bとを有している。さらに具体的には、一対の第1ガイド53A、53Bのレールは、第1水平方向において内側に凹となるように湾曲している。なお、上記レール53aは上端が下端に対して第1水平方向前側(外側)に位置している。
上下動装置37は、一対の第2ガイド55A、55B(ガイドの一例)を有している。一対の第2ガイド55A、55Bは、一対の第2支持部材35A、35Bを高さ方向にガイドする。一対の第2ガイド55A、55Bは、昇降台27に固定されたレール55aと一対の第2支持部材35A、35Bに固定されたブロック55bとを有している。さらに具体的には、一対の第2ガイド55A、55Bのレールは、第1水平方向において内側に凹となるように湾曲している。なお、上記レール55aは上端が下端に対して第1水平方向前側(外側)に位置している。
【0031】
以上に述べたように、同じ連結軸部材によって第1方向の同じ側の複数の支持部材が連結されているで、第2方向に離間する複数の支持部材が同時に昇降可能である。
以上に述べたように、このスタッカクレーン3では、支持部材が合計4台となっている。したがって、1台の支持部材に作用する負荷を小さくできる。
また、以上の構成では、一対の第1ラックギヤ45A、45B及び一対の第2ラックギヤ47A、47B並びに一対の第1ピニオンギヤ49A、49B及び一対の第2ピニオンギヤ51A、51Bと一対の第1ガイド53A、53B及び一対の第2ガイド55A、55Bにより、省スペースな構成によって、荷Wの確実な昇降動作が可能になる。
【0032】
一般的に、直線のガイドにより荷を上昇させる場合、下降位置に荷が位置する場合よりも、上昇位置に荷が位置する方が、走行方向における荷の幅(上面視における荷の幅)が短くなる。そのため、場合によっては、荷を傾斜させる際に、上昇させている支持部材(又は下降位置に位置する支持部材)から荷がずれ落ちてしまう場合がある。
上記を防ぐために、本実施形態では、湾曲したガイドとして一対の第1ガイド53A、53B及び一対の第2ガイド55A、55Bを設け、上昇させた支持部材が反対側の支持部材に近づくようにすることで、荷の傾斜方向における支持部材間の距離を一定に保つことができる。
さらに、一対の第1ラックギヤ45A、45B及び一対の第2ラックギヤ47A、47Bが第1方向において内側に凹となるように湾曲しているので、上昇位置に位置する一対の第1支持部材33A、33B又は一対の第2支持部材35A、35Bの支持面33a、35aを荷Wに沿わすことができる。つまり、荷Wがそれら支持面によって安定的に支持される。
なお、一対の第1ラックギヤ45A、45B及び一対の第2ラックギヤ47A、47B並びに一対の第1ガイド53A、53B及び一対の第2ガイド55A、55Bの円弧の中心は、スライドフォーク29の支持面29aに置かれた荷Wの第1水平方向反対側の端部又はその近傍である。
【0033】
スタッカクレーン3は、
図6に示すように、第1モータ41A及び第2モータ41Bに接続されたバッテリ59をさらに備えている。
【0034】
(5)制御構成
次に、
図6を用いて、スタッカクレーン3の制御構成を説明する。
図6は、スタッカクレーンの制御構成を示すブロック図である。
スタッカクレーン3は、コントローラ61を有している。コントローラ61は、自動倉庫1全体を制御するコントローラ(図示せず)と通信可能である。
コントローラ61は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。コントローラ61は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、各種制御動作を行う。
【0035】
コントローラ61は、単一のプロセッサで構成されていてもよいが、各制御のために独立した複数のプロセッサから構成されていてもよい。
コントローラ61の各要素の機能は、一部又は全てが、制御部を構成するコンピュータシステムにて実行可能なプログラムとして実現されてもよい。その他、制御部の各要素の機能の一部は、カスタムICにより構成されていてもよい。
【0036】
コントローラ61は、走行制御部63と、昇降制御部65と、移載制御部67とを有している。
走行制御部63は、走行台車23の走行・停止を制御するための制御部であり、走行台車23を走行させる走行用モータ71と、走行用モータの回転量を測定する第1ロータリエンコーダ73とに接続されている。
【0037】
昇降制御部65は、昇降台27を第1マスト25a及び第2マスト25bに沿って上下動させるための制御部であり、昇降台27を昇降させる昇降用モータ75と、昇降用モータ75の回転量を測定する第2ロータリエンコーダ77とに接続されている。
移載制御部67は、スライドフォーク29のトップ部を移載方向に移動させるための制御部であり、トップ部を移載方向に移動させる移載用モータ79と、移載用モータ79の回転量を測定する第3ロータリエンコーダ81とに接続されている。
【0038】
コントローラ61は、傾斜装置制御部69をさらに有している。傾斜装置制御部69は、速度又は加速度(例えば、加速指令又は減速指令)に応じて、一対の第1支持部材33A、33B及び一対の第2支持部材35A、35Bの一方を上昇位置に位置するように上下動装置37を制御する。具体的には、傾斜装置制御部69は、第1モータ41A及び第2モータ41Bに接続されている。
コントローラ61には、図示しないが、荷Wの大きさ、形状及び位置を検出するセンサ、各装置の状態を検出するためのセンサ及びスイッチ、並びに情報入力装置が接続されている。
【0039】
(6)傾斜駆動動作
例えばスタッカクレーンの走行時の加減速度と重力加速度の力の釣り合いに合わせて、搬送中の荷Wを傾斜させることによって荷崩れ対策を行う。なお、以下の制御動作は、傾斜装置制御部69が実行する。
(6-1)加速時
図7を用いて、加速時に荷Wを傾斜駆動する動作を説明する。
図7は、スライドフォークと傾斜機構の模式的正面図(加速時)である。
図5の状態から、第
2モータ41
Bを駆動することで、第
2連結軸部材43
B、第
2ピニオンギヤ
51A、
51Bを回転させ、それにより
図7に示すように、第
2支持部材
35A、
35Bを上昇させる。その結果、荷Wの第1水平方向
後側が高く持ち上げられる。なお、このとき、荷Wの第1水平方向
後側の下面は、第
2支持部材
35A、
35Bの支持面
35aによって面同士が当接して支持されている。
【0040】
(6-2)減速時
図8を用いて、減速時に荷Wを傾斜駆動する動作を説明する。
図8は、スライドフォークと傾斜機構の模式的正面図(減速時)である。
図5の状態から、第
1モータ41
Aを駆動することで、第
1連結軸部材43
A、第
1ピニオンギヤ
49A、
49Bを回転させ、それにより
図8に示すように、第
1支持部材
33A、
33Bを上昇させる。その結果、荷Wの第1水平方向
前側が高く持ち上げられる。なお、このとき、荷Wの第1水平方向
前側の下面は、第
1支持部材
33A、
33Bの支持面
33aによって面同士が当接して支持されている。
【0041】
(6-3)電源遮断時
コントローラ61は、電源遮断時にバッテリ59を用いて第1モータ41A及び第2モータ41Bを制御可能である。
バッテリ59は、第1モータ41A及び第2モータ41B並びに走行制御部63及び傾斜装置制御部69に接続されている。これにより、電源遮断時には、走行制御部63からの速度信号により得られる速度又は加速度(加速度、減速度)に基づいて、傾斜装置制御部69が第1モータ41A及び第2モータ41Bを制御する。
このように電源遮断時に上下動装置37を制御可能であるので、スタッカクレーン3が急停止するときにも荷Wが落下したりくずれたりしないように、上下動装置37が一対の第1支持部材33A、33B及び一対の第2支持部材35A、35Bを動作可能である。
なお、走行動作は、加速時、定速時、減速時に分けられる。加速時であれば、走行方向前側の支持部材を下げて走行方向後側の支持部材を上げる。そして、定速時であれば、走行方向後側の支持部材を上げる。さらに、減速時であれば、支持部材の上昇を保持する。バッテリ59の容量は、最も多く電力を消費する上記加速時の動作が可能であればよい。 なお、走行制御部にバッテリを接続せずに、バッテリに別途加速度計が接続されていてもよい。
【0042】
2.第2実施形態
図9~
図14を用いて、第2実施形態の傾斜機構131を説明する。
図9~
図14は、第2実施形態のスライドフォークと傾斜機構の部分模式的正面図である。なお、第2実施形態は、基本的な構成が第1実施形態と同じである。したがって、共通部分の説明は適宜省略される。以下の説明において、図の左側が第1水平方向前側であり、図の右側が第1水平方向後側である。
傾斜機構131は、荷Wを傾斜させることで荷Wの落下や荷崩れを防止する機構である。
傾斜機構131は、一対の第1支持部材及び一対の第2支持部材(後述)を有している。
【0043】
傾斜機構131は、上下動装置137を有している。以下、第1水平方向後側の1つの支持部材135に対応する上下動装置137の構成を説明する。
支持部材135は、支持面135aを有している。
上下動装置137は、ラック部材145を有している。ラック部材145は、支持部材135に固定されている。ラック部材145は、各々、高さ方向に延在する第1ラックギヤ151と、第1ラックギヤ151に固定され第1水平方向に延在する第2ラックギヤ153とを有している。
【0044】
上下動装置137は、第1ピニオンギヤ155を有している。第1ピニオンギヤ155は、第2水平方向に延びる回転軸を有しており、ラック部材145の第1ラックギヤ151に噛み合っている。第1ピニオンギヤ155は、モータ141(駆動装置の一例)によって駆動される。具体的には、モータ141、スプロケット161、第1駆動ギヤ163、第2駆動ギヤ165などからなる駆動機構において、第1ピニオンギヤ155は第1駆動ギヤ163に噛み合っている。
上下動装置137は、第2ピニオンギヤ157を有している。第2ピニオンギヤ157は、第2水平方向に延びる回転軸を有しており、第1ピニオンギヤ155より低い位置で、かつ、ラック部材145の第2ラックギヤ153の下方に設けられている。第2ピニオンギヤ157は、モータ141によって駆動される。具体的には、上記の駆動機構において、第2ピニオンギヤ157は第2駆動ギヤ165に噛み合っている。
【0045】
第1ピニオンギヤ155の回転によって、第2ラックギヤ153が第2ピニオンギヤ157に噛み合った下側位置(第1実施形態の一対の第1支持部材33A、33B又は一対の第2支持部材35A、35Bが下側位置にある状態に対応している)(
図9~
図11、
図14)と、第2ラックギヤ153が第2ピニオンギヤ157から上方に離れた上側位置(第1実施形態の一対の第1支持部材33A、33B又は一対の第2支持部材35A、35Bが上側位置にある状態に対応している)(
図12~
図13)との間で上下方向に移動するように、ラック部材145が駆動される。
第2ラックギヤ153が第2ピニオンギヤ157に噛み合った下側位置にある状態で、第2ピニオンギヤ157の回転によって、第1ピニオンギヤ155が第1ラックギヤ151に噛み合った噛み合い位置(
図11、
図14)と、第1ピニオンギヤ155が第1ラックギヤ151から離れた非噛み合い位置(
図9~
図10)との間で第1水平方向に移動するように、ラック部材145が駆動される。この結果、支持部材135が、第1水平方向において荷Wに対して接近する。その結果、本実施形態では、荷Wが第1水平方向にずれていれば、傾斜面135bにより荷Wが押される。
【0046】
図9の状態では、ラック部材145は下側位置にあり、第2ラックギヤ153が第2ピニオンギヤ157に噛み合っている。ただし、第1ラックギヤ151は第1ピニオンギヤ155から第1水平方向前側に離れている。このとき、支持部材135の支持面135aは、荷Wの下方に離れた位置にある。
図9に示す状態からモータ141が
図10に示すように正側に回転を開始すると、
図11に示すように、ラック部材145が第1水平方向後側に移動する。そして、第1ラックギヤ151が第1ピニオンギヤ155に噛み合う。この状態では、支持部材135がスライドフォーク129の支持面129aに載った荷Wから第1水平方向において最も離れるので、荷Wの移載動作において支持部材135が荷Wに干渉しにくい。
さらにモータ141が正側に回転を続けると、
図12に示すように、ラック部材145が上昇して、
図13に示す上側位置に位置する。上記の動作中に、支持部材135の支持面135aが荷Wの第1水平方向後側部分を押し上げていく。そのため、
図12に示すように、荷Wが傾いた状態になる。
【0047】
図13に示す状態からモータら141が逆側に回転を開始すると、
図14に示すように、ラック部材145が下降して下側位置に位置する。このとき、支持部材135の支持面135aは、荷Wの下方に離れた位置にある。
さらにモータ141が逆側に回転を続けると、
図9に示すように、ラック部材145が第1水平方向前側に移動する。
【0048】
以上の構成では、支持部材135は、支持部材135の支持面135aが下降位置にあってかつ荷Wがスライドフォーク129の支持面129aに第1水平方向にずれて置かれた状態であれば、第1水平方向において荷Wに対して接近することで荷Wをスライドフォーク129の支持面129a上で位置決めする。
なお、支持部材135の支持面135aが下側位置かつ非噛み合い位置に位置するときは、第1ピニオンギヤ155は空転している。そして、支持部材135の支持面135aが下側位置にある状態で噛み合い位置に移動することで第1ラックギヤ151と第1ピニオンギヤ155が噛み合うと、支持部材135が上側位置に移動させられる。
さらに、支持部材135の支持面135aが上側位置かつ噛み合い位置に位置するときは、第2ピニオンギヤ157が空転している。そして、支持部材135の支持面135aが上側位置にある状態で下側位置に移動することで第2ラックギヤ153と第2ピニオンギヤ157が噛み合うと、支持部材135が非噛み合い位置に移動させられる。
第2実施形態の変形例として、第1支持部材を第1部材と第2部材の別体の構造にしてもよい。その場合、第1部材は、下部に第2ラックギヤを有しており、噛み合い位置と非噛み合い位置との間で移動可能である。第2部材は、荷Wの支持面を有しており、第1ラックギヤを有している。第1部材に対して第2部材及び第1ラックギヤが上下方向に移動可能である。第1支持部材には、例えば、第2部材及び第1ラックギヤを上下方向にガイドするガイドが設けられていてもよい。
【0049】
3.第3実施形態
図15~
図17を用いて、第3実施形態を説明する。
図15は、第3実施形態のスライドフォークと傾斜機構の模式的正面図(移載時)である。
図16は、第3実施形態のスライドフォークと傾斜機構の模式的正面図(加速時)である。
図17は、第3実施形態のスライドフォークと傾斜機構の模式的正面図(減速時)である。
なお、第3実施形態の基本構成は第1実施形態と同じであるので、異なる点を中心に説明する。
【0050】
(1)傾斜機構
スタッカクレーンは、傾斜機構231を有している。
傾斜機構231は、荷Wを第1水平方向に傾斜させることで荷Wの落下や荷崩れを防止する機構である。
傾斜機構231は、一対の第1支持部材233A、233B(複数の第1支持部材の一例)と、一対の第2支持部材235A、235B(複数の第2支持部材の一例)と、上下動装置237(上下動装置の一例)とを有している。
【0051】
一対の第1支持部材233A、233Bは、スライドフォーク229の支持面229aに置かれた荷Wの第1水平方向前側を下方から支持可能である。
一対の第2支持部材235A、235Bは、スライドフォーク229の支持面229aに置かれた荷Wの第1水平方向後側を下方から支持可能である。
【0052】
図15に示すように、一対の第1支持部材233A、233Bは、一対の第2支持部材235A、235Bに対して、第1水平方向前側に配置されている。このようにして、一対の第1支持部材233A、233B及び一対の第2支持部材235A、235Bが平面視でスライドフォーク229の支持面229a(支持面の一例であり、スライドフォーク229のトップ部が昇降台227に収納されている状態での支持部)の外側を囲むように配置されており、荷Wの4隅に対応している。なお、
図15に示すように、スライドフォーク229が荷Wを移載するときは、一対の第1支持部材233A、233B及び一対の第2支持部材235A、235Bの平坦な支持面233a及び支持面235aは、スライドフォーク229の支持面229aより下方の位置にあり、荷Wの下面から離れている。
【0053】
上下動装置237は、スライドフォーク229の支持面229aに対して、一対の第1支持部材233A、233B及び一対の第2支持部材235A、235Bの支持面233a、235aを下降位置と上昇位置との間で移動させる(後述)。
上下動装置237は、モータ241(駆動装置の一例)を有している。
【0054】
上下動装置237は、一対の第1アーム243A、243B及び一対の第2アーム245A、245Bを有している。一対の第1アーム243A、243B及び一対の第2アーム245A、245Bは、第1水平方向に離間して配置されている。一対の第1アーム243A、243B及び一対の第2アーム245A、245Bは、基端が第2水平方向に延びる軸中心に昇降台227に対して回動可能であり、先端が一対の第1支持部材233A、233B及び一対の第2支持部材235A、235Bをそれぞれ下方から押して上昇させるようになっている。一対の第1アーム243A、243B及び一対の第2アーム245A、245Bの基端は、モータ241に連結されている(後述)。したがって、モータ241によって、一対の第1アーム243A、243B及び一対の第2アーム245A、245Bの基端はそれぞれ回転させられる。
【0055】
上下動装置237は、第1連結軸部材242A及び第2連結軸部材242Bを有している。一対の第1アーム243A、243B及び一対の第2アーム245A、245Bの基端は、第1連結軸部材242A及び第2連結軸部材242Bにそれぞれ接続されている。
上下動装置237は、モータ241に連結された一対の第1スプロケット247A、247Bと、第1連結軸部材242Aに設けられた一対の第2スプロケット249A、249Bと、第2連結軸部材242Bに設けられた一対の第3スプロケット251A、251Bとを有している。
一対の第1スプロケット247A、247Bは、それぞれ別のチェーンを介して一対の第2スプロケット249A、249B及び一対の第3スプロケット251A、251Bそれぞれに接続されている。
【0056】
以上の構成により、モータ241の駆動の方向に従って、一対の第1アーム243A、243Bが上側に回動するときに一対の第2アーム245A、245Bが下側に回動し(
図16)、それにより一対の第1支持部材233A、233Bが上側に移動する。このとき、一対の第1アーム243A、243Bが上昇位置に位置し、一対の第2アーム245A、245Bは上下逆の下降位置に位置する。つまり、一方のアームが回転した量だけ、他方のアームは逆回転する。さらに、一対の第2支持部材235A、235Bは一対の第2アーム245A、245Bによって支持されなくなるが、ストッパ(図示せず)によって水平位置から下降しないよう支持されている。
また、一対の第1アーム243A、243Bが下側に回動するときに第2アーム245A、245Bが上側に回動し(
図17)、それにより一対の第2支持部材235A、235Bが上側に移動する。このとき、一対の第2アーム245A、245Bが上昇位置に位置し、一対の第1アーム243A、243Bは上下逆の下降位置に位置する。さらに、一対の第1支持部材233A、233Bは一対の第1アーム243A、243Bによって支持されなくなるが、ストッパ(図示せず)によって水平位置から下降しないよう支持されている。
なお、上昇位置にある支持部材は、アーム先端が下降することで下方からの支持がなくなれば、重力により下降する。
【0057】
上下動装置237は、一対の第1ガイド253A、253B(ガイドの一例)を有している。一対の第1ガイド253A、253Bは、一対の第1支持部材233A、233Bを高さ方向にガイドする。一対の第1ガイド253A、253Bは、昇降台227に固定されたガイド溝253aと、ガイド溝253a内に配置されたカムフォロワ253bと、カムフォロワ253bが連結された連結部材253cとを有している。連結部材253cは、一対の第1支持部材233A、233Bを下方から支持している。また、連結部材253cと一対の第1支持部材233A、233Bは互い固定されている。ガイド溝253aは、第1水平方向において内側に凹となるように湾曲している溝部分である。なお、ガイド溝253aは、上端が下端に対して第1水平方向後側(内側)に位置している。なお、本実施形態では、ガイド溝253aは、一定の曲率を有する湾曲ではなく、上昇の初めは直線で、途中から曲線となっている。
【0058】
上下動装置237は、一対の第2ガイド255A、255B(ガイドの一例)を有している。一対の第2ガイド255A、255Bは、昇降台227に固定されたガイド溝255aと、ガイド溝255a内に配置されたカムフォロワ255bと、カムフォロワ255bが連結された連結部材255cとを有している。連結部材255cは、一対の第2支持部材235A、235Bを下方から支持している。また、連結部材255cと一対の第2支持部材235A、235Bは互いに固定されている。ガイド溝255aは、第1水平方向において内側に凹となるように湾曲している。なお、ガイド溝255aは、上端が下端に対して第1水平方向前側(内側)に位置している。
【0059】
以上に述べたように、このスタッカクレーン3では、支持部材が合計4台となっている。したがって、1台の支持部材に作用する負荷を小さくできる。
さらに、一対の第1ガイド253A、253B及び一対の第2ガイド255A、255Bに合わせて一対の第1支持部材233A、233B及び一対の第2支持部材235A、235Bは傾斜角度を変化せることができるので、上昇位置に位置する一対の第1支持部材233A、233B又は一対の第2支持部材235A、235Bの支持面233a又は235aを荷Wに沿わすことができる。つまり、荷Wが支持面233a又は235aによって安定的に支持される。
なお、一対の第1アーム243A、243B及び一対の第2アーム245A、245Bの先端にはフリーローラが設けられていることが好ましい。
さらに、一対の第1支持部材233A、233B及び一対の第2支持部材235A、235Bの底面には、静音化のために緩衝部材を設けることが好ましい。
さらに、一対の第1アーム243A、243B及び一対の第2アーム245A、245Bの先端の底面にも、静音化のために緩衝部材を設けることが好ましい。
【0060】
(2)傾斜駆動動作
例えばスタッカクレーンの走行時の加減速度と重力加速度の力の釣り合いに合わせて、搬送中の荷Wを傾斜させることによって荷崩れ対策を行う。なお、以下の制御動作は、傾斜装置制御部が実行する。
【0061】
(2-1)加速時
図16を用いて、加速時に荷Wを傾斜駆動する動作を説明する。
図16は、第3実施形態のスライドフォークと傾斜機構の模式的正面図(加速時)である。
図15の状態から、
モータ241を駆動することで、第1スプロケット247A、247B及び第
3スプロケット
251A、
251Bを回転させ、それにより
図16に示すように、第
2支持部材
235A、
235Bを上昇させる。その結果、荷Wの第1水平方向
後側が高く持ち上げられる。
なお、このとき、荷Wの第1水平方向前側の下面は、第
2支持部材
235A、
235Bの支持面
235aによって面同士が当接して支持されている。
【0062】
(2-2)減速時
図17を用いて、減速時に荷Wを傾斜駆動する動作を説明する。
図17は、第3実施形態のスライドフォークと傾斜機構の模式的正面図(減速時)である。
図15の状態から、モータ241を駆動することで、第1スプロケット247A、247B及び第2スプロケット249A、249Bを回転させ、それにより
図17に示すように、第
1支持部材
233A、
233Bを上昇させる。その結果、荷Wの第1水平方向
前側が高く持ち上げられる。なお、このとき、荷Wの第1水平方向
前側の下面は、第
1支持部材
233A、
233Bの支持面
233aによって面同士が当接して支持されている。
【0063】
4.第4実施形態
第1~第3実施形態では、傾斜機構の上下動装置によるに傾斜において、コントローラは昇降台の昇降を考慮していなかったが、コントローラは、昇降台の昇降に合わせて、上下動装置に荷を傾斜させてもよい。
そのような実施例を第4実施形態として説明する。なお、装置の構成は第1~第3実施形態のいずれでもよい。
コントローラは、昇降台の上昇時には、速度又は加速度に応じた上昇位置よりも、第1支持部材及び前記第2支持部材の一方の上昇位置を低くする。これにより、荷の傾斜角度は小さくなる。なお、「速度又は加速度に応じた上昇位置」とは、昇降台が上昇しない時に速度又は加速度によって定まる上昇位置である。
コントローラは、昇降台の降下時には、速度又は加速度に応じた下降位置よりも、第1支持部材及び第2支持部材の一方の下降位置を高くする。これにより、荷の傾斜角度は大きくなる。なお、「速度又は加速度に応じた下降位置」とは、昇降台が下降しない時に速度又は加速度によって定まる下降位置である。
この装置では、例えば、下降時は荷にかかる重力が低減するので、単なる走行時よりも荷の傾斜角度を大きくする。そして、昇降時は荷にかかる重力が増加するので、単なる走行時よりも荷の傾斜角度を小さくする。 変形例として、上記の制御は、昇降台の上昇時、下降時の一方の時に行う制御であってもよい。
【0064】
5.実施形態の共通事項
上記第1~第3実施形態は、下記の構成及び機能を共通に有している。
搬送装置(例えば、スタッカクレーン3)は、走行台車(例えば、走行台車23)と、移載装置(例えば、スライドフォーク29、スライドフォーク129、スライドフォーク229)と、複数の第1支持部材(例えば、一対の第1支持部材33A、33B、一対の第1支持部材133A、133B、一対の第1支持部材233A、233B)と、複数の第2支持部材(例えば、一対の第2支持部材35A、35B、一対の第2支持部材135A、135B、一対の第2支持部材235A、235B)と、上下動装置(例えば、上下動装置37、上下動装置137、上下動装置237)と、コントローラ(例えば、コントローラ61)と、を備えている。
走行台車は、第1方向(例えば、第1水平方向(矢印Y))に走行する。
移載装置は、走行台車に設けられ、第1方向に水平方向で直交する第2方向(例えば、第2水平方向(矢印X))に荷(例えば、荷W)を移載する。
複数の第1支持部材は、移載装置の支持面(例えば、支持面29a)に置かれた荷の第1方向前側を下方から支持可能である。
複数の第2支持部材は、移載装置の支持面に置かれた荷の第1方向後側を下方から支持可能である。
上下動装置は、駆動装置(例えば、第1モータ41A、第2モータ41B、モータ141、モータ241)を有し、移載装置の支持面に対して、第1支持部材及び第2支持部材の支持面(例えば、支持面33a、35a、支持面133a、135a、支持面233a、235a)を下降位置と上昇位置との間で移動させる。
コントローラは、速度又は加速度に応じて、第1支持部材及び第2支持部材の一方を上昇位置に位置するように上下動装置を制御する。
この装置では、支持部材が少なくとも4台となっている。したがって、1台の支持部材に作用する負荷を小さくできる。
【0065】
6.他の実施形態
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
昇降台上で2つ荷物を支持できる場合、移載方向に対して支持部材を4つとしてもよいし、真ん中の2つを共通化させることで3つとしてもよい。
荷を支持する支持部が支持部材に対して回動可能とすることで、支持部を荷に沿わすことができる。また、支持部は回動不能であってもよい。
支持面の上昇位置は、多段階でもよい。
【0066】
搬送装置は、自動倉庫のスタッカクレーンに限定されず、他の種類であってもよい。例えば、搬送装置は、シャトル倉庫の走行台車でもよい。
移載装置は、サイドアーム式でもよい。
この場合、支持部材と移載装置の支持面は同一の高さになる。
スタッカクレーンの種類は特に限定されない。懸垂式のスタッカクレーンでもよい。
きる。
【0067】
支持部材を第2方向に移動させる機構は、ラック&ピニオンではなく、シリンダでもよい。
ガイドの構造、位置、数は特に限定されない。
駆動装置は、モータでなく、シリンダでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、荷を支持する支持台を走行方向に傾斜させることで荷の落下や荷くずれを防止する搬送装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0069】
1 :自動倉庫
2a :第1ラック
2b :第2ラック
3 :スタッカクレーン
5 :走行通路
7 :第1支柱
8 :中間支柱
9 :第2支柱
11 :棚部
13 :荷支承部材
15 :フォーク通過間隙
17 :入庫ステーション
19 :出庫ステーション
21a :上ガイドレール
21b :下ガイドレール
23 :走行台車
25a :第1マスト
25b :第2マスト
27 :昇降台
29 :スライドフォーク
29a :支持面
31 :傾斜機構
33A :第1支持部材
33B :第1支持部材
33a :支持面
33b :傾斜面
35A :第2支持部材
35B :第2支持部材
35a :支持面
35b :傾斜面
37 :上下動装置
41A :第1モータ
41B :第2モータ
43A :第1連結軸部材
43B :第2連結軸部材
45A :第1ラックギヤ
45B :第1ラックギヤ
47A :第2ラックギヤ
47B :第2ラックギヤ
49A :第1ピニオンギヤ
49B :第1ピニオンギヤ
51A :第2ピニオンギヤ
51B :第2ピニオンギヤ
53A :第1ガイド
53B :第1ガイド
55A :第2ガイド
55B :第2ガイド
61 :コントローラ
63 :走行制御部
65 :昇降制御部
67 :移載制御部
69 :傾斜装置制御部
71 :走行用モータ
73 :第1ロータリエンコーダ
75 :昇降用モータ
77 :第2ロータリエンコーダ
79 :移載用モータ
81 :第3ロータリエンコーダ
P :パレット
W :荷
X :矢印
Y :矢印