(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】調剤支援システム
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20221012BHJP
B65B 1/30 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
A61J3/00 310E
B65B1/30 A
(21)【出願番号】P 2019551132
(86)(22)【出願日】2018-10-22
(86)【国際出願番号】 JP2018039246
(87)【国際公開番号】W WO2019082858
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2017205930
(32)【優先日】2017-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】小池 直樹
(72)【発明者】
【氏名】見谷 光弘
(72)【発明者】
【氏名】萬 隆憲
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-064160(JP,A)
【文献】特開平08-152411(JP,A)
【文献】特開2004-284663(JP,A)
【文献】特開平11-206854(JP,A)
【文献】国際公開第2004/089758(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B65B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤を撮影する撮影処理を実行する撮影処理部と、
前記撮影処理部により撮影された前記錠剤の撮影画像から前記錠剤に刻印又は印刷された錠剤情報を読み取る読取処理部と、
包装材を予め定められた搬送方向へ搬送する搬送部と、
前記搬送方向における前記搬送部の上流側に設けられ、前記包装材へ錠剤を投下する薬剤導入部と、
前記包装材をシールするシール処理を行うシール部と、
を備え、
前記搬送部は、前記包装材を前記搬送方向に搬送した後、前記搬送方向とは逆方向に前記包装材を搬送し、その後に前記薬剤導入部により前記包装材に前記錠剤が投入されてから、前記搬送方向に前記包装材を搬送する、
調剤支援システム。
【請求項2】
前記搬送部及び前記シール部が、前記包装材を予め定められた搬送方向へ搬送しつつ前記包装材をシールするシール処理を行うことが可能なヒートローラーである、
請求項
1に記載の調剤支援システム。
【請求項3】
前記包装材が、短手方向に二つ折りにされた長尺のシートであり、
前記包装材の折り目とは反対側の開放部分を通じて前記薬剤導入部から前記包装材に前記錠剤が投下される、
請求項
1又は請求項
2に記載の調剤支援システム。
【請求項4】
前記薬剤導入部から前記錠剤が投下される位置における前記包装材の搬送方向が、斜め下向きである、
請求項
1~
3のいずれかに記載の調剤支援システム。
【請求項5】
前記薬剤導入部から前記包装材に前記錠剤が投下される位置において、前記包装材の開放部分から前記包装材の内部に送風する送風ファンを更に備える、
請求項
1~
4のいずれかに記載の調剤支援システム。
【請求項6】
前記読取処理部により読み取られた前記錠剤情報に基づいて前記錠剤の有効期限を認識する認識処理部を備える、請求項1~5のいずれかに記載の調剤支援システム。
【請求項7】
錠剤を撮影する撮影処理を実行する撮影処理部と、前記撮影処理部により撮影された前記錠剤の撮影画像から前記錠剤に刻印又は印刷された錠剤情報を読み取る読取処理部と、包装材を予め定められた搬送方向へ搬送する搬送部と、前記搬送方向における前記搬送部の上流側に設けられ、前記包装材へ錠剤を投下する薬剤導入部と、前記包装材をシールするシール処理を行うシール部と、を備える調剤支援システムが備える一又は複数のプロセッサーに、
前記搬送部により前記包装材を前記搬送方向に搬送した後、前記搬送部により前記搬送方向とは逆方向に前記包装材を搬送し、その後に前記薬剤導入部により前記包装材に前記錠剤が投入されてから、前記搬送部により前記搬送方向に前記包装材を搬送する、
処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調剤支援システムに関し、特に錠剤についての調剤業務を支援する調剤支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤カセットから薬剤を払い出す薬剤払出装置において、薬剤カセットに収納されている薬剤の有効期限を記憶することが可能な薬剤払出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記薬剤払出装置では、薬剤カセットへの薬剤補給の際に、利用者による数値入力、又は、薬剤の補給元の容器にバーコードとして記録された有効期限情報をバーコードリーダーで読み取ることによって、薬剤カセットに収納されている薬剤の有効期限を設定する必要がある。
【0005】
また、前記薬剤払出装置では、薬剤カセットごとに薬剤の有効期限が記憶されるため、例えば、同一の薬剤カセットに有効期限が異なる薬剤が混じっている場合には、各薬剤の有効期限を個別に把握することができない。
【0006】
本発明の目的は、錠剤各々の有効期限を認識することが可能な調剤支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る調剤支援システムは、錠剤を撮影する撮影処理を実行する撮影処理部と、前記撮影処理部により撮影された前記錠剤の撮影画像から前記錠剤に刻印又は印刷された錠剤情報を読み取る読取処理部と、前記読取処理部により読み取られた前記錠剤情報に基づいて前記錠剤の有効期限を認識する認識処理部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、錠剤各々の有効期限を認識することが可能な調剤支援システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る鑑査支援システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置の構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置の構成を示す模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置で分包される錠剤の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置で使用される対応関係情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置の回転ユニットの構成を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置の錠剤回転部の斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置の錠剤回転部の一部の斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置の錠剤回転部における一対のローラーの斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置の錠剤回転部における一対のローラーの断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置の分包ユニットの構成を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置の分包ユニットのシール装置の構成を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置の分包ユニットのシール装置の構成を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置の分包ユニットのシール装置の構成を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置から払い出される薬包シートの一例を示す図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置の分包ユニットの構成を示す図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置で実行される分包袋の形成方法の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置で実行される収容空間拡張処理の一例を説明するための図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施形態に係る鑑査支援システムで実行される鑑査支援処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図20】
図20は、本発明の実施形態に係る鑑査支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、本発明の実施形態に係る鑑査支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図22】
図22は、本発明の実施形態に係る鑑査支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図23】
図23は、本発明の実施形態に係る鑑査支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図24】
図24は、本発明の実施形態に係る鑑査支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図25】
図25は、本発明の実施形態に係る鑑査支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図26】
図26は、本発明の実施形態に係る鑑査支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図27】
図27は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置で実行される再撮影処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図28】
図28は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置における刻印・印刷撮影機構の一例を示す図である。
【
図29】
図29は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置における刻印・印刷撮影機構の一例を示す図である。
【
図30】
図30は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置で実行される画像鑑査処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図31】
図31は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置で使用される閾値情報の一例を示す図である。
【
図32】
図32は、本発明の実施形態に係る鑑査支援システムで実行される閾値更新処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図33】
図33は、本発明の実施形態に係る錠剤分包装置の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、下記の実施形態で説明する構成及び処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることも可能である。
【0011】
図1に示されるように、本発明の実施形態に係る鑑査支援システム1は、鑑査支援装置2と、一又は複数のクライアント端末3と、一又は複数の錠剤分包装置4と、一又は複数の調剤機器5とを備える。ここに、鑑査支援システム1は、本発明に係る調剤支援システムの一例である。なお、前記鑑査支援装置2単体を、本発明に係る調剤支援システムとして捉えてもよい。また、前記錠剤分包装置4単体を、本発明に係る調剤支援システムとして捉えてもよい。
【0012】
前記鑑査支援装置2、前記クライアント端末3、前記錠剤分包装置4、及び前記調剤機器5各々は、LAN又はインターネット等の通信網N1を介して無線又は有線で通信可能に接続される。また、前記鑑査支援装置2には、前記鑑査支援装置2に処方データを入力する電子カルテシステム又は処方入力端末などの上位システム6が前記通信網N1を介して接続されている。なお、前記鑑査支援装置2が処方箋から処方データを読み取り可能であること、又は前記鑑査支援装置2においてユーザー操作による処方データの入力が可能であることも考えられる。
【0013】
[鑑査支援装置2]
前記鑑査支援装置2は、制御部21、記憶部22、通信I/F23、表示部24、操作部25、ドライブ装置26、及びコード読取部27等を備えるパーソナルコンピュータである。前記鑑査支援装置2は、前記鑑査支援システム1が使用される医療機関の内部又は外部に配置される。
【0014】
前記制御部21は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROM(登録商標、以下同様)などの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、前記制御部21は、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
【0015】
前記記憶部22は、各種のデータを記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの記憶部である。具体的に、前記記憶部22には、前記制御部21等のコンピュータに後述の鑑査支援処理(
図19参照)を実行させるための鑑査支援プログラムが予め記憶されている。また、前記記憶部22には、例えば医薬品マスター、患者マスター、ユーザーマスターなどの各種のデータベースも記憶されている。さらに、前記記憶部22には、前記医薬品マスターとは別に薬品データベースも記憶されている。
【0016】
前記医薬品マスターには、薬品ID、薬品コード、薬品名、YJコード、JANコード(又はRSSコード)、薬瓶コード、区分(剤形:散薬、錠剤、水剤、外用薬など)、錠剤の形状(カプセル錠、球形錠、平錠(円板状の錠剤)など)、錠剤の色、錠剤のサイズ、比重、薬品種(普通薬、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬など)、配合変化、賦形薬品、注意事項、錠剤の正画像(錠剤の表面及び裏面の外観画像)などの医薬品各々に関する情報が含まれる。例えば、前記正画像は、後述の薬品データベースに登録された正画像が予め取り込まれることによって登録される。
【0017】
前記ユーザーマスターには、薬局名、薬剤師の氏名、薬剤師のID、パスワード、ユーザーグループ、及び処理権限などのユーザーに関する情報が含まれる。前記患者マスターには、患者ID、氏名、性別、年齢、既往歴、処方薬履歴、家族情報、診療科、病棟、及び病室などの患者に関する情報が含まれる。
【0018】
前記薬品データベースには、薬品ごとに、薬品コード、薬品名称、JANコード、RSSコード、薬瓶コード、剤形、単位、比重、薬品種、配合変化、賦形薬品、注意事項、アレルギー情報、添付文書情報などの情報が対応付けて記憶されている。特に、前記薬品データベースにおいて、錠剤については、その錠剤に形成されている錠剤の識別情報(例えば、その錠剤の薬種を識別するための情報)及び錠剤の形状などの情報が記憶されている。前記薬品データベースは、例えば前記ドライブ装置26によってCD又はDVDなどの記録媒体から読み取られ、又は前記通信網N1を介して外部装置から受信され、前記記憶部22に記憶される。なお、前記薬品データベースは、前記鑑査支援システム1において、前記医薬品マスターなどの各種マスターに情報を取り込む際、又は薬品各々の添付文書の情報を参照する際などに使用される。また、前記制御部21が、前記通信網N1を介して外部装置又はウェブサイトから前記薬品データベースを必要に応じて読み出すことが可能な構成であってもよい。なお、前記薬品データベースは前記医薬品マスターの更新などに用いられる。
【0019】
前記通信I/F23は、前記通信網N1を介して前記クライアント端末3、前記錠剤分包装置4、及び前記調剤機器5などの外部機器との間で、予め定められた通信プロトコルに従って無線又は有線でデータ通信を実行するネットワークカード等を有する通信インターフェースである。
【0020】
前記表示部24は、前記制御部21からの制御指示に従って各種の情報及び操作画面を表示する液晶モニター等の表示部である。前記操作部25は、ユーザー操作を受け付けるキーボード、マウス及びタッチパネル等の操作部であり、ユーザー操作に対応する操作信号を前記制御部21に入力する。前記操作部25は、例えば前記表示部24に表示された表示画面における処方データの選択操作、及び前記処方データの調剤開始を要求する処方データの発行操作などの各種操作入力を受け付ける。
【0021】
前記ドライブ装置26は、前記鑑査支援プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体261から前記鑑査支援プログラムを読み取ることが可能である。前記記録媒体261は、CD、DVD、BD、又はUSBメモリーなどであり、前記ドライブ装置26は、CDドライブ、DVDドライブ、BDドライブ、又はUSBポートなどである。前記鑑査支援装置2では、前記制御部21により、前記ドライブ装置26を用いて前記記録媒体261から読み取られた前記鑑査支援プログラムが前記記憶部22に記憶される。
【0022】
前記コード読取部27は、コード情報(バーコード又は二次元コードなど)を読み取ることが可能なバーコードリーダーである。例えば、前記コード読取部27は、処方箋に記載された前記コード情報から処方データを読み取るために用いられる。前記処方箋から読み取られた処方データは前記制御部21によって前記記憶部22に記憶される。
【0023】
このように構成された前記鑑査支援装置2において、前記制御部21は、前記鑑査支援プログラムに従って各種の処理を実行する。なお、前記制御部21は、前記処方データに基づいて前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5による分包処理などの調剤処理を実行させるための調剤用の処方データ(調剤データ)を生成し、その処方データを前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5に入力する機能も有する。これにより、前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5では、前記処方データに基づいて分包処理などの調剤処理が実行される。
【0024】
前記制御部21は、前記錠剤分包装置4において撮影された前記錠剤の撮影画像に含まれる前記錠剤の識別情報(文字又は記号など)と前記処方データとに基づいて実行される自動鑑査処理の鑑査結果を前記クライアント端末3などに表示する。より具体的に、前記制御部21は、前記撮影画像と共に前記撮影画像が撮影されたときの前記自動鑑査処理による鑑査結果を表示することが可能である。
【0025】
[クライアント端末3]
前記クライアント端末3は、制御部31、記憶部32、通信I/F33、表示部34、操作部35、及びコード読取部36などを備えるパーソナルコンピュータである。前記クライアント端末3各々は、前記鑑査支援システム1が使用される医療機関に配置され、薬剤師などのユーザーによって操作される操作端末である。
【0026】
前記制御部31は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、前記制御部31は、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部32に予め記憶された各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
【0027】
前記記憶部32は、前記制御部31によって実行される各種のアプリケーションプログラム及び各種のデータが記憶されるハードディスク又はSSD等の不揮発性の記憶部である。具体的に、前記記憶部32には、オペレーティングシステム(OS)及びブラウザソフトなどのアプリケーションプログラムが記憶される。前記ブラウザソフトは、前記通信網N1を介して前記鑑査支援装置2にアクセスすることにより前記表示部34に各種の操作画面などを表示させると共に、前記操作部35を用いた前記操作画面に対する入力操作を前記鑑査支援装置2に伝達するためのアプリケーションソフトウェアである。具体的に、前記制御部31は、前記ブラウザソフトにより表示される操作画面の所定位置に、前記鑑査支援装置2に対応するURL(Universal Resource Locator)などのアドレス情報が入力された場合に、該アドレス情報に基づいて前記鑑査支援装置2にアクセスする。
【0028】
前記通信I/F33は、前記通信網N1を介して前記鑑査支援装置2などの外部機器との間で、予め定められた通信プロトコルに従って無線又は有線でデータ通信を実行するネットワークカード等を有する通信インターフェースである。
【0029】
前記表示部34は、前記制御部31からの制御指示に従って各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部である。前記操作部35は、前記クライアント端末3に各種の情報を入力するためにユーザーによって操作される操作部である。具体的に、前記操作部35は、前記表示部34に表示される各種の操作画面における入力操作を受け付けるキーボード、マウス(ポインティングデバイス)、及びタッチパネルを含む。
【0030】
前記コード読取部36は、コード情報(バーコード又は二次元コードなど)を読み取ることが可能なバーコードリーダーである。例えば、前記コード読取部36は、薬品が収容されている薬瓶又は薬箱に記載されたコード情報から薬品の情報を読み取るために用いられる。
【0031】
そして、前記鑑査支援システム1では、前記鑑査支援装置2及び前記クライアント端末3によりサーバクライアントシステムが構成されており、前記鑑査支援装置2が前記クライアント端末3のユーザー操作に応じて各種の処理を実行する。例えば、前記鑑査支援装置2の制御部21は、HTMLなどのページ記述言語によって記述されたデータを前記クライアント端末3に送信することにより、前記クライアント端末3の表示部34に各種の画面を表示させる。また、前記クライアント端末3の制御部31は、前記操作部35に対する操作入力に応じて前記鑑査支援装置2に操作信号を送信する。
【0032】
なお、前記鑑査支援装置2、前記クライアント端末3、及び前記錠剤分包装置4のいずれか一つ又は複数に、前記鑑査支援プログラムの一部又は全部がインストールされており、後述の鑑査支援処理(
図19参照)が前記鑑査支援装置2、前記クライアント端末3、又は前記錠剤分包装置4などによって協働して実行されることも考えられる。
【0033】
[調剤機器5]
前記調剤機器5は、処方データに基づいて薬剤を調剤する際に用いられる機器である。前記調剤機器5には、前記錠剤分包装置4のように錠剤を分包する装置の他に、例えば散薬分包装置、水剤分注機、シート払出装置、及びピッキング補助装置などが含まれる。前記散薬分包装置は、複数種類の散薬が収容された複数の散薬カセットを有しており、処方データに従って前記散薬カセットに収容されている散薬を自動的に所定量ずつ分包することが可能である。また、前記水剤分注機は、複数種類の水剤が収容された複数の薬瓶を有しており、処方データに従って前記薬瓶から必要量の水剤を払い出す。前記シート払出装置は、処方データに従って、予め錠剤が包装されたPTPシート又はヒートシールが収容された複数のシートカセットから、PTPシート又はヒートシールを払い出す。前記ピッキング補助装置は、薬剤師が手動で調剤する際に用いられ、薬品棚又は薬瓶などに付された識別情報(バーコードなど)から医薬品名を読み取って、その読み取られた医薬品名と処方データに含まれる医薬品名との照合を行うものである。
【0034】
[錠剤分包装置4]
ここで、
図2~
図18を参照しつつ、前記錠剤分包装置4について説明する。
【0035】
図2及び
図3に示すように、前記錠剤分包装置4は、処方制御ユニット501、錠剤供給ユニット502、分包ユニット504、及びバーコードリーダー506などを備える。前記錠剤分包装置4は、薬剤を調剤するために用いられる調剤機器である。なお、
図3における一点鎖線は、錠剤の移動経路を示している。
【0036】
前記処方制御ユニット501、前記錠剤供給ユニット502、及び前記分包ユニット504は内部バスN2によって接続されている。前記処方制御ユニット501及び前記バーコードリーダー506は、無線LAN又はBluetooth(登録商標)などの通信規格に従って無線通信可能である。そして、前記錠剤分包装置4は、前記処方制御ユニット501によって制御され、前記錠剤供給ユニット502から供給される錠剤を服用時期などの分包単位で前記分包ユニット504により分包して払い出す。
【0037】
[処方制御ユニット501]
前記処方制御ユニット501は、前記錠剤分包装置4を統括的に制御するコンピュータである。
図2に示すように、前記処方制御ユニット501は、制御部510、記憶部520、モニター530、操作部540、及び通信IF550等を備える。
【0038】
前記制御部510は、CPU、RAM、ROM及びEEPROMなどを有する制御手段である。前記制御部510は、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部520などの記憶手段に予め記憶された各種のプログラムに従った各種の処理を前記CPUによって実行する。なお、前記CPUは、各種の処理を実行するプロセッサーであり、前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUによって実行される各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として利用される。なお、前記制御部510は、ASIC又はDSPなどの集積回路であってもよい。
【0039】
前記記憶部520は、各種のデータを記憶するHDD(HARD DISK DRIVE)又はSSD(Solid State Drive)などの記憶手段である。具体的に、前記記憶部520には、前記制御部510等のコンピュータに各種の処理を実行させるための制御プログラムが予め記憶されている。
【0040】
また、前記記憶部520には、例えば医薬品マスター、患者マスター、カセットマスター、及び薬局マスターなどの各種のデータベースも記憶されている。なお、前記制御部510は、例えばCD、DVD、又は半導体メモリーなどの記録媒体から不図示のディスクドライブなどの読取装置によって読み取られたデータに基づいて、前記記憶部520に記憶されている前記各種のデータベースを更新することが可能である。また、前記制御部510は、前記操作部540に対するユーザー操作に応じて前記各種のデータベースの内容を変更することも可能である。
【0041】
また、前記記憶部520には、後述する対応関係情報E1(
図5参照)も記憶されている。
【0042】
前記医薬品マスターには、薬ID、薬品コード、薬品名、JANコード(又はRSSコード)、薬瓶コード、区分(剤形:散薬、錠剤、水剤、外用薬など)、錠剤のサイズ(高さ及び幅)、比重、薬品種(普通薬、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬など)、配合変化、賦形薬品、注意事項などの医薬品各々に関する情報が含まれる。前記患者マスターには、患者ID、氏名、性別、年齢、既往歴、処方薬履歴、家族情報、診療科、病棟、及び病室などの患者に関する情報が含まれる。前記薬局マスターには、薬局名、薬剤師の氏名、薬剤師のIDなどの薬局に関する情報が含まれる。
【0043】
また、前記カセットマスターは、前記錠剤カセット41各々のカセット識別情報と前記錠剤カセット41各々に割り当てられた錠剤の薬品情報との対応関係を示す情報である。前記薬品情報は、錠剤(薬品)の種類を識別可能な情報であって、例えば薬品名、薬ID、薬品コード、JANコード、RSSコード、QRコード(登録商標、以下同様)などである。なお、前記JANコード及び前記RSSコードは、一次元コード(バーコード、GS1コード)で表現される数値又は文字の情報であり、前記QRコードは、二次元コードで示される数値又は文字の情報である。前記カセットマスターは、例えば前記錠剤分包装置4の初期設定における前記操作部540のユーザー操作に応じて前記制御部510によって登録される。
【0044】
前記モニター530は、前記制御部510からの制御指示に従って各種の情報及び操作画面を表示する液晶モニター等の表示手段である。例えば、前記モニター530には、処方データの入力画面及び処方データの選択画面などの各種情報が表示される。
【0045】
前記操作部540は、ユーザー操作を受け付ける操作ボタン、キーボード、マウス及びタッチパネル等の操作手段であり、ユーザー操作に対応する操作信号を前記制御部510に入力する。前記操作部540は、例えば前記モニター530に表示された前記入力画面における処方データの入力操作、前記選択画面における処方データの選択操作、及び前記処方データの分包開始を要求する処方データの発行操作などの各種操作入力を受け付ける。
【0046】
前記通信IF550は、前記錠剤分包装置4をLAN等の通信網N1に接続するための通信インターフェースであって、前記通信網N1を介して接続された前記鑑査支援装置2との間でデータ通信を実行する。また、前記通信IF550は、前記バーコードリーダー506等の各種の無線通信機器との間で無線データ通信を行う無線通信カードなどの無線通信インターフェースも備えている。
【0047】
そして、前記通信IF550は、前記鑑査支援装置2から処方データを取得し、前記処方データを前記記憶部520に記憶させる。例えば、前記通信IF550は、前記鑑査支援装置2に設けられた記憶部22の所定の記憶領域に処方データが新たに記憶されたか否かを監視しており、前記所定の記憶領域に前記処方データが新たに記憶された場合に前記処方データを前記所定の記憶領域から読み出す。もちろん、前記通信IF550は、前記鑑査支援装置2から送信された前記処方データを受信するものであってもよい。
【0048】
[錠剤供給ユニット502]
前記錠剤供給ユニット502は、複数の錠剤カセット41、駆動部42、個別払出部43、回転ユニット44、手撒きユニット45、撮影部46、通過検出部47、印刷ユニット48、描画ユニット49などを備える。
【0049】
前記錠剤カセット41は、錠剤を1錠(単位量)ごとに払出可能である。前記錠剤カセット41により払出可能な前記錠剤は、例えば円盤状、球状、又はカプセル状などの各種形態の固形薬品である。
【0050】
前記錠剤カセット41各々は、前記錠剤供給ユニット502に設けられた装着部各々に着脱可能に構成されている。前記装着部各々には、前記錠剤カセット41を個別に駆動させる駆動部42が設けられている。前記駆動部42各々は、駆動モーター561及びRFIDリーダライタ562を備える。前記駆動モーター561は、前記錠剤カセット41の駆動機構に駆動力を供給する。前記RFIDリーダライタ562は、RFID(Radio Frequency Identification)の無線通信技術を利用して、前記錠剤カセット41に設けられたRFIDタグ(不図示)から情報を読み取ること、又は前記RFIDタグに情報を書き込むことが可能である。
【0051】
なお、前記RFIDタグ及び前記RFIDリーダライタ562の設置箇所は、前記錠剤カセット41が前記装着部に装着された状態で前記RFIDリーダライタ562による前記RFIDタグの情報の読み書きが可能な範囲で相対的に定められていればよい。前記RFIDタグは、前記錠剤カセット41各々を識別するためのカセット識別情報などが記憶される不揮発性の記録媒体であり、前記カセット識別情報は前記錠剤分包装置4の初期設定などにおいて前記処方制御ユニット501により書き込まれる。
【0052】
前記錠剤カセット41は、多数の錠剤が収容される錠剤収容部(不図示)、及び前記錠剤収容部に収容された錠剤を個別に排出する錠剤排出部(不図示)を備えている。
【0053】
前記錠剤排出部は、前記錠剤カセット41の筐体で回転可能に支持されたローターを備えている。前記ローターは、前記錠剤カセット41が前記装着部に装着されたときに、各種のギアなどの駆動伝達系を介して前記駆動部42の前記駆動モーター561に連結される。
【0054】
前記駆動モーター561によって前記ローターが駆動されることにより、前記錠剤収容部に収容された錠剤が、前記ローターの外周を覆う内壁に形成された排出口を通じて1錠単位で払い出される。
【0055】
なお、ここで説明した前記錠剤カセット41の構造は一例に過ぎず、錠剤を1錠ずつ払い出すことが可能なものであれば他の構造であってもよい。また、前記錠剤カセット41は、予め定められた単位量ごとに錠剤を払い出すことが可能であればよく、例えば1錠単位ではなく複数錠ごとの払い出しが可能な構成であってもよい。
【0056】
前記手撒きユニット45は、例えば1錠未満の半錠又は1/4錠の錠剤のように前記錠剤カセット41からの払い出しに適さない錠剤の払い出しに用いられるものであり、前記錠剤分包装置4に対して引き出し可能に設けられている。なお、前記手撒きユニット45は、DTA(Detachable Tablet Adapter)とも称される。前記手撒きユニット45は、マトリクス状(格子状)に設けられた複数のDTAマスを備える。
【0057】
前記個別払出部43は、前記手撒きユニット45のDTAマス各々の位置に対応する複数のマスを備え、前記個別払出部43のマス各々は、前記手撒きユニット45が前記錠剤分包装置4に収容された状態で、前記DTAマス各々の下方に位置する。そして、前記手撒きユニット45が使用される際には、前記錠剤分包装置4の前面から前記手撒きユニット45が引き出され、前記DTAマス各々に例えば1錠未満の半錠又は1/4錠などの錠剤が投入される。その後、前記手撒きユニット45のDTAマス各々に投入された錠剤は前記個別払出部43のマス各々に供給される。例えば、前記手撒きユニット45は、前記DTAマス各々の底面が開閉可能であり、前記底面が開かれることによって前記DTAマス各々に投入されている錠剤が前記個別払出部43のマス各々に落下する。
【0058】
前記個別払出部43は、前記個別払出部43のマス各々に収容された前記錠剤をマス単位で前記回転ユニット44に供給することが可能である。なお、前記手撒きユニット45及び前記個別払出部43と同様にマス単位で錠剤を払出可能な手撒きユニットは、例えば特開2006-110386号公報に開示されている。
【0059】
前記個別払出部43は、前記マス各々の底面を順に開閉可能な開閉機構を備えており、前記開閉機構によって前記マス各々の底面が順に開かれることによって前記マス各々に投入されている錠剤が順に払い出される。より具体的に、前記個別払出部43は、前記マス各々から予め定められた特定の順番で前記マス内の錠剤を前記回転ユニット44に供給することが考えられる。
【0060】
前記撮影部46は、
図3に示されるように、前記錠剤カセット41から前記分包ユニット504までの錠剤の移動経路、及び前記手撒きユニット45から前記分包ユニット504までの錠剤の移動経路に設けられるカメラ461~464を含む。なお、前記カメラ461~464で撮影される画像はカラー又はモノクロである。前記カメラ461~464は、前記錠剤カセット41又は前記手撒きユニット45から払い出された錠剤が前記分包ユニット504によって分包紙で分包される前に前記錠剤を1錠又は複数錠ごとに撮影するために用いられる。そして、前記カメラ461~464により撮影される錠剤の撮影画像は、前記制御部510によって、前記撮影画像が撮影されたときの前記分包処理の対象である前記処方データに対応付けて前記記憶部520に記憶されると共に前記鑑査支援装置2に送信される。
【0061】
図3に示されるように、前記カメラ461は、前記錠剤カセット41から前記回転ユニット44に供給された錠剤を撮影するために用いられる。前記カメラ462及び前記カメラ463は、前記回転ユニット44に設けられた後述の錠剤回転部441で回転している錠剤から、その錠剤の外周の異なる複数の領域(例えば表面及び裏面など)を撮影するために用いられる。前記カメラ462及び前記カメラ463による撮影は、予め設定された撮影間隔(数ms)で複数回行われる。特に、前記カメラ462は、識別情報などが刻印で示される錠剤の撮影に適した環境で当該錠剤を撮影するために用いられ、前記カメラ463は、識別情報などが印刷で示される錠剤の撮影に適した環境で当該錠剤を撮影するために用いられる。前記カメラ464は、前記手撒きユニット45に収容された錠剤を撮影するために用いられる。
【0062】
前記通過検出部47は、前記錠剤カセット41から前記分包ユニット504までの錠剤の移動経路、及び前記手撒きユニット45から前記分包ユニット504までの錠剤の移動経路において前記錠剤の通過を検出する光学式センサーなどの通過検出センサー471~474を含む。そして、前記通過検出センサー471~474による錠剤の検出信号は前記制御部510に入力される。
【0063】
図3に示されるように、前記通過検出センサー471は、前記錠剤カセット41から払い出される錠剤を検出し、前記通過検出センサー472は、前記錠剤カセット41から前記回転ユニット44に落下する錠剤を検出する。また、前記通過検出センサー473は、前記個別払出部43から前記回転ユニット44に落下する錠剤を検出する。また、前記通過検出センサー474は、前記回転ユニット44から前記分包ユニット504に落下する錠剤を検出する。
【0064】
前記制御部510は、前記通過検出部47による錠剤の検出タイミングに応じて前記回転ユニット44を回転させる。例えば、前記制御部510は、前記錠剤カセット41から錠剤が払い出されたことが前記通過検出センサー471により検知された場合に、その時点から予め設定された一定時間(例えば、最上段の前記錠剤カセット41から錠剤が払い出されてから前記錠剤が前記回転ユニット44に到達するのに要する推定移動時間)が経過した時点で前記回転ユニット44を回転させてもよい。
【0065】
もしくは、前記制御部510は、前記回転ユニット44に錠剤が落下したことが前記通過検出センサー472又は前記通過検出センサー473により検知された場合に、前記回転ユニット44を回転させてもよい。これにより、前記回転ユニット44に錠剤が落下した時点で即時に前記回転ユニット44を回転させることができるので、前記通過検出センサー471により錠剤が検知されてから前記一定時間が経過してから前記回転ユニット44を回転させる場合よりも、前記分包処理が高速化される。
【0066】
また、前記制御部510は、例えば前記通過検出部47による錠剤の検出タイミングに応じて前記撮影部46により画像を撮影する撮影処理を実行する。具体的に、前記錠剤カセット41から前記回転ユニット44に落下する錠剤が前記通過検出部47によって検出された場合に、その錠剤が前記撮影部46によって撮影される。
【0067】
一方、前記制御部510は、前記手撒きユニット45への錠剤の手撒き作業が終了した旨を入力するための操作が行われた場合に、前記制御部510が前記カメラ464を用いて前記手撒きユニット45の画像を撮影する。そして、前記制御部510は、前記カメラ464により撮影された手撒き画像を、前記処方データを識別するための情報と共に前記鑑査支援装置2に送信する。
【0068】
前記印刷ユニット48は、前記分包ユニット504において錠剤が収容される前の前記薬包451(より正確には、前記薬包451が形成される前の前記分包紙)に情報を印刷することが可能である。例えば、前記薬包451各々の表面には、前記印刷ユニット48によって患者の氏名、服用タイミング(又は服用時期)、薬品名、又は処方量などの情報が印刷可能である。また、前記分包ユニット504では、一の前記処方データに基づく分包処理によって得られる一連の前記薬包451の最初又は最後に、当該処方データを識別するための処方IDなどの処方識別情報を示す一次元又は二次元のコード情報が印刷された空の薬包451が付加される。前記コード情報は、前記コード読取部27及び前記コード読取部36で読み取り可能である。なお、前記薬包451各々に前記コード情報が印刷されてもよい。
【0069】
前記描画ユニット49は、前記分包ユニット504において錠剤が収容された後の前記薬包451に、インクを用いて予め定められた特定の記号、文字又は図柄を描画することが可能なペン又はスタンプなどの描画部を備える。具体的に、前記描画ユニット49は、後述の自動鑑査処理の鑑査結果を示す記号、文字、又は画像などを前記描画部で前記薬包451に記録することが可能である。
【0070】
[自動鑑査処理]
前記錠剤分包装置4において、前記制御部510は、前記処方データに基づく分包処理の適否を判断する自動鑑査処理を実行することが可能である。具体的に、前記自動鑑査処理では、前記カメラ462又は前記カメラ463によって撮影される錠剤の撮影画像と前記処方データとに基づいて、前記錠剤の薬種のチェックと前記錠剤の有効期限のチェックとが行われる。前記錠剤には、薬種を特定するための識別情報だけでなく、前記錠剤の有効期限を特定するための情報(例えば、ロット番号、有効期限そのもの、ロット番号又は有効期限が記憶されている記憶領域のアドレス情報など)も形成されている。そして、前記自動鑑査処理では、前記カメラ462又は前記カメラ463によって撮影される錠剤の撮影画像に基づいて、前記錠剤の薬種及び有効期限のチェックとが行われる。すなわち、前記錠剤の薬種及び有効期限のチェックは、共通の撮影画像を用いて行われるので、前記錠剤の薬種のチェックと前記錠剤の有効期限のチェックとで、前記錠剤の撮影画像を個別に撮影する必要がない。よって、撮影処理に要する時間を短縮することができると共に、撮影画像を記憶するための記憶容量を節約することができる。
【0071】
前記自動鑑査処理では、前記錠剤の撮影画像に含まれる前記錠剤の識別情報が、前記処方データに含まれる薬品情報と一致するか否かが判断される。より具体的に、前記制御部510は、前記撮影画像に含まれる前記錠剤の識別情報の画像と前記処方データに処方薬として含まれる錠剤に対応付けて記憶されている前記錠剤の識別情報の正画像とを照合する画像鑑査処理を実行することが考えられる。なお、照合に使用される正画像は、前記処方データに含まれる錠剤に対応する正画像ではなく、前記錠剤が払い出された錠剤カセット41に対応する薬品の正画像であってもよい。また、手撒きユニット45が使用され、手撒きユニット45の各マスに1錠ずつ錠剤が割り付けられる場合は、前記錠剤が払い出されたマスに割り付けられた錠剤の正画像が、照合に使用されてもよい。なお、前記正画像は、前記医薬品マスターにおいて前記錠剤の種類ごとに対応して予め登録されている。また、前記画像鑑査処理では、パターンマッチング処理又は文字認証処理などによって前記撮影画像から前記錠剤の識別情報が読み取られ、前記錠剤の識別情報と前記処方データに処方薬として含まれる錠剤の識別情報とが照合されてもよい。
【0072】
そして、前記画像鑑査処理における照合結果として、例えばパターンマッチング処理におけるマッチング率(一致度)が予め設定された第1閾値以上である場合は、前記自動鑑査処理の鑑査結果が「適正(画像)」であると判定される。また、マッチング率が前記第1閾値よりも低い予め設定された第2閾値以上である場合は、前記自動鑑査処理の鑑査結果が「要チェック(画像)」であると判定される。さらに、前記照合結果としてマッチング率が前記第2閾値未満である場合は、前記自動鑑査処理の鑑査結果が「エラー(画像)」であると判定される。即ち、前記制御部510は、前記画像鑑査処理による一致度を3段階で判定する。
【0073】
このように、前記制御部510は、前記分包処理において錠剤が薬包451で分包される前に前記カメラ462又は前記カメラ463によって撮影される撮影画像と前記処方データとに基づいて、薬種の適否を鑑査することが可能である。そして、前記制御部510は、前記自動鑑査処理の鑑査結果を前記鑑査支援装置2に送信する。なお、前記自動鑑査処理として前記画像鑑査処理が実行される場合には、前記制御部510は、前記錠剤の撮影画像の一部又は全部を前記鑑査支援装置2に送信する。例えば、前記画像鑑査処理において照合に用いられた画像、又は前記錠剤の識別情報が読み取られたときの画像だけが送信されてもよい。
【0074】
ところで、本実施形態に係る鑑査支援システム1に関連する関連技術として、薬剤カセットに収納されている薬剤の有効期限を記憶することが可能な薬剤払出装置が知られている。しかしながら、前記薬剤払出装置では、薬剤カセットへの薬剤補給の際に、利用者による数値入力、又は、薬剤の補給元の容器にバーコードとして記録された有効期限情報をバーコードリーダーで読み取ることによって、薬剤カセットに収納されている薬剤の有効期限を設定する必要がある。また、前記薬剤払出装置では、薬剤カセットごとに薬剤の有効期限が記憶されるため、例えば、同一の薬剤カセットに有効期限が異なる薬剤が混じっている場合には、各薬剤の有効期限を個別に把握することができない。これに対して、本実施形態に係る鑑査支援システム1では、以下で説明するように、錠剤各々の有効期限を認識することが可能である。
【0075】
[有効期限鑑査処理]
前記画像鑑査処理には、前記カメラ462又は前記カメラ463によって撮影される撮影画像と前記処方データとに基づいて、錠剤の有効期限の適否を判断する有効期限鑑査処理が含まれる。以下、前記有効期限鑑査処理に関する構成について説明する。
【0076】
図2に示されるように、前記制御部510は、撮影処理部511、読取処理部512、認識処理部513、及び判定処理部514を含む。具体的に、前記制御部510は、記憶部520に記憶されている有効期限鑑査プログラムに従って各種の処理を実行することにより、前記撮影処理部511、前記読取処理部512、前記認識処理部513、及び前記判定処理部514として機能する。
【0077】
前記撮影処理部511は、錠剤を撮影する撮影処理を実行する。例えば、前記撮影処理部511は、後述の錠剤回転部441で回転している錠剤を、前記カメラ462又は前記カメラ463で、予め設定された撮影間隔(例えば、数ms)で複数回撮影する。これにより、前記錠剤に刻印又は印刷されている錠剤情報を含む画像が撮影される。なお、前記錠剤情報は、前記錠剤に刻印又は印刷された任意の情報であって、例えば、前記錠剤の薬種を識別するための識別情報、前記錠剤の有効期限を示す有効期限情報、前記錠剤のロット番号を示すロット番号情報などである。
図4に示される錠剤Mには、前記錠剤情報として、錠剤Mの有効期限を示す数字が刻印又は印刷されている。なお、
図4に示される例では、前記錠剤情報が数字により錠剤Mに刻印又は印刷されているが、他の実施形態では、前記錠剤情報が、文字、記号、バーコード、二次元コードなどにより錠剤Mに刻印又は印刷されていてもよい。
【0078】
なお、錠剤Mに前記錠剤情報が刻印されている場合には、前記撮影処理部511は、前記カメラ462で錠剤Mを撮影する。一方、錠剤Mに前記錠剤情報が印刷されている場合には、前記撮影処理部511は、前記カメラ463で錠剤Mを撮影する。
【0079】
前記読取処理部512は、前記撮影処理部511により撮影された錠剤Mの撮影画像から前記錠剤情報を読み取る。具体的に、前記読取処理部512は、パターンマッチング処理又は文字認証処理などによって前記撮影画像から前記錠剤情報(例えば、前記識別情報、前記有効期限情報、前記ロット番号情報など)を読み取る。
【0080】
前記認識処理部513は、前記読取処理部512により読み取られた前記錠剤情報に基づいて錠剤Mの有効期限を認識する。例えば、前記読取処理部512により前記有効期限情報が読み取られた場合には、前記認識処理部513は、当該読み取られた有効期限情報を錠剤Mの有効期限として認識する。このように、本実施形態では、錠剤各々の有効期限を認識することが可能である。なお、このようにして錠剤各々の有効期限を認識する構成は、錠剤分包装置4に限らず、錠剤を扱う任意の装置に適用することができる。
【0081】
なお、前記読取処理部512により前記ロット番号情報が読み取られた場合には、前記認識処理部513は、当該読み取られたロット番号情報と、
図5に示される対応関係情報E1とに基づいて、錠剤Mの有効期限を認識する。前記対応関係情報E1は、ロット番号と有効期限との対応関係を示す情報である。前記対応関係情報E1は、例えば、操作部540に対するユーザー操作に応じて随時に更新される。
【0082】
なお、他の実施形態では、前記対応関係情報は、錠剤Mの識別情報と有効期限との対応関係を示す情報であってもよい。この場合、前記認識処理部513は、前記読取処理部512により読み取られた錠剤Mの識別情報と、前記対応関係情報とに基づいて、錠剤Mの有効期限を認識すればよい。
【0083】
前記判定処理部514は、前記認識処理部513により認識される錠剤Mの有効期限が特定条件を満たすか否かを判定する。例えば、前記判定処理部514は、前記処方データが示す錠剤Mの最終服用日が、前記認識処理部513により認識される錠剤Mの有効期限内であるか否かを判断する。例えば、錠剤Mの服用開始日が2014年7月1日であり、錠剤Mの服用日数が7日間である場合、錠剤Mの最終服用日は2014年7月7日である。よって、前記判定処理部514は、2014年7月7日が錠剤Mの有効期限内であるか否かを判断する。そして、前記判定処理部514は、前記認識処理部513により認識される錠剤Mの有効期限が錠剤Mの最終服用日以降である場合は、錠剤Mの有効期限が適正であると判定する。一方、前記判定処理部514は、前記認識処理部513により認識される錠剤Mの有効期限が錠剤Mの最終服用日よりも早い場合は、錠剤Mの有効期限が適正ではないと判定する。前記判定処理部514の判定結果は、前記自動鑑査処理の鑑査結果として前記鑑査支援装置2に送信される。
【0084】
なお、他の実施形態では、前記判定処理部514は、前記処方データが示す錠剤M各々について、当該錠剤Mの服用日が、前記認識処理部513により認識される錠剤Mの有効期限内であるか否かを判断してもよい。すなわち、前記判定処理部514は、錠剤Mが収容される薬包451に対応する服用日と、前記認識処理部513により認識される錠剤Mの有効期限とに基づいて、錠剤Mの有効期限が適正であるか否かを判定してもよい。例えば、前記判定処理部514は、前記7日間のうちの1日目(すなわち、2014年7月1日)用の薬包451に収容される錠剤Mについては有効期限が2014年7月1日以降であるか否かを判断し、2日目(すなわち、2014年7月2日)用の薬包451に収容される錠剤Mについては有効期限が2014年7月2日以降であるか否かを判断する。なお、錠剤情報には、錠剤が真正品であるかどうかを判断するために利用する真贋判定情報が含まれていてもよい。真贋判定情報は、例えば、錠剤を識別する番号、錠剤を包装していたPTPシートまたは瓶などを識別する番号である。前記画像鑑査処理には、前記カメラ462又は前記カメラ463によって撮影される撮影画像と、真正品の各錠剤に割り当てられた真贋判定情報とに基づいて、錠剤の真贋判定をする処理が含まれてもよい。例えば、パターンマッチング処理又は文字認証処理などによって前記撮影画像から真贋判定情報を読み取る。読み取った真贋判定情報が、真製品の錠剤に割り当てられた真贋判定情報のいずれかと一致すれば、錠剤を真正品であると判断し、一致しなければ、錠剤を偽物と判断する。真正品の各錠剤に割り当てられた真贋判定情報は、例えば権限ある当局が管理するサーバーに記憶されていてもよい。また、錠剤情報は、錠剤に付されたICチップなどに記録されていてもよい。この場合、錠剤分包装置4は、自身に備えられたアンテナなどによって、ICチップから錠剤情報を取得して認識してもよい。
【0085】
[回転ユニット44]
前記回転ユニット44は、
図3及び
図6に示すように、6つの錠剤回転部441と、ユニット回転部442と、薬剤導入部80とを備える。前記ユニット回転部442は、不図示の基台部により回転可能に支持されている。なお、
図6は、前記回転ユニット44を上方から見た状態を示す模式図である。
【0086】
前記錠剤回転部441各々は、前記錠剤カセット41又は前記手撒きユニット45から供給される1錠の錠剤を回転させることにより前記錠剤の姿勢を変位させることが可能である。前記ユニット回転部442には、6つの前記錠剤回転部441が所定の回転軸回りに60°間隔で配置されており、前記ユニット回転部442は、前記錠剤回転部441を前記所定の回転軸回りに回転させることが可能である。具体的に、前記ユニット回転部442は、前記錠剤回転部441各々を、前記個別払出部43からの錠剤の落下位置P1、前記錠剤カセット41からの錠剤の落下位置P2、前記カメラ462による撮影可能位置P3、前記カメラ463による撮影可能位置P4、予備位置P5、及び前記薬剤導入部80への排出位置P6の6箇所に順に移動させることが可能である。
【0087】
そして、前記錠剤分包装置4では、前記錠剤カセット41から払い出された1つの錠剤が前記落下位置P1の前記錠剤回転部441に落下した場合、又は前記手撒きユニット45から払い出された1つの錠剤が前記落下位置P2の前記錠剤回転部441に落下した場合に、前記ユニット回転部442によって前記錠剤回転部441が60°回転される。これにより、前記錠剤カセット41又は前記手撒きユニット45から払い出された錠剤各々は、個別に前記錠剤回転部441に載置された状態で、前記落下位置P1又は前記落下位置P2から前記排出位置P6に向けて順に移動する。
【0088】
そして、前記撮影可能位置P3及び前記撮影可能位置P4では、前記錠剤が前記カメラ462及び前記カメラ463によって撮影される。
【0089】
なお、
図6に示されているように、前記回転ユニット44の上方には、前記カメラ462及び前記カメラ463による撮影可能位置において前記錠剤を照明する照明装置468及び照明装置469が固定されている。前記照明装置468及び前記照明装置469は、前記カメラ462及び前記カメラ463により照明環境の異なる画像が撮影されるように、相互に異なる角度又は異なる照度で前記錠剤回転部441に光を照射するものである。具体的に、前記照明装置468は、前記錠剤情報が刻印で示された錠剤の撮影に適した照明環境が実現される角度又は距離から撮影対象の当該錠剤を照明する。例えば、前記照明装置468は、前記錠剤に対して側方又は斜め上方から光を照射するものであることが考えられる。また、前記照明装置469は、前記錠剤情報が印刷で示された錠剤の撮影に適した照明環境が実現される角度又は距離から撮影対象の当該錠剤を照明する。例えば、前記照明装置469は、前記錠剤に対して上方から光を照射するものであることが考えられる。なお、前記錠剤に形成される文字又は符号などの前記錠剤情報が刻印及び印刷のいずれによって前記錠剤に形成されているかについては前記医薬品マスターなどに予め登録されている。
【0090】
その後、前記錠剤回転部441に載置された前記錠剤は、前記排出位置P6から前記錠剤の落下経路を形成する薬剤導入部80を介して前記分包ユニット504に落下し、前記分包ユニット504内で薬包451に投入される。
【0091】
ここで、
図7~
図10を参照しつつ、前記錠剤回転部441の一例について説明する。
図7に示されるように、前記錠剤回転部441の上部には、導入部103と、反射部104とが設けられている。前記導入部103は、前記錠剤カセット41又は前記手撒きユニット45から払い出された錠剤Mを前記錠剤回転部441の内部へと導くための、透光性を有する筒状の部材である。前記反射部104は、前記錠剤回転部441が前記撮影可能位置P4に位置しているときに、前記錠剤回転部441の上方に配置されている照明装置469(例えば、環状光源)から発せられた光を反射する。前記反射部104で反射した光は、前記導入部103を透過して、錠剤Mに対して横方向から照射される。なお、前記錠剤回転部441が前記撮影可能位置P3に位置しているときは、前記錠剤回転部441の上方に配置されている照明装置468から発せられた光が錠剤Mに対して直接照射される。
【0092】
図8は、前記導入部103及び前記反射部104を取り外した状態の前記錠剤回転部441を示している。前記錠剤回転部441は、第1ローラー100aと、第2ローラー100bと、前記第1ローラーを回転可能に支持する固定支持部101aと、前記第2ローラー100bを回転可能に支持する揺動支持部101bとを備える。前記固定支持部101aは、前記ユニット回転部442に固定されている。一方、前記揺動支持部101bは、揺動軸101cを中心として揺動可能に前記固定支持部101aに支持されている。前記第1ローラー100a及び前記第2ローラー100bは、互いに対向して配置されている。通常の状態では、
図8に示されるように、前記第1ローラー100a及び前記第2ローラー100bが相互に接触又は接近した状態となり、前記第1ローラー100a及び前記第2ローラー100bによって錠剤Mが回転可能に支持される。一方、前記揺動支持部101bが例えば不図示のカム部材によって前記揺動軸101c周りに回動されると、前記第1ローラー100aと前記第2ローラー100bとの隙間が広がり、錠剤Mが前記隙間から前記薬剤導入部80に向けて落下する。
【0093】
また、前記第1ローラー100a及び前記第2ローラー100bの各々の回転軸の一端部には従動ギア(不図示)がそれぞれ一体化されている。前記従動ギア各々は、不図示の中継ギアを介して、駆動軸105の一端側に一体化した駆動ギア(不図示)と連結されている。前記駆動軸105の他端側には、従動ローラー106が一体化されている。前記従動ローラー106は、マグネットギアで構成されている。また、前記回転ユニット44の下方には、所定の駆動モーターに連結された不図示の連結マグネットギアが設けられている。
【0094】
そして、前記錠剤回転部441が前記撮影可能位置P3又は前記撮影可能位置P4に移動すると、前記駆動モーターからの駆動力が前記連結マグネットギアを介して前記従動ローラー106に伝達される。これにより、前記駆動モーターの駆動力が前記従動ローラー106及び前記駆動軸105を介して前記第1ローラー100a及び前記第2ローラー100bに伝達され、前記第1ローラー100a及び前記第2ローラー100bが同一方向に回転する。従って、前記第1ローラー100a及び前記第2ローラー100bに錠剤Mが載置されている場合には、錠剤Mが回転する。従って、前記錠剤回転部441では、前記カメラ462及び前記カメラ463によって撮影される錠剤Mの姿勢を変化させることが可能であり、錠剤Mの外周面を異なる方向から撮影可能である。即ち、前記錠剤回転部441により回転されている錠剤Mが前記カメラ462及び前記カメラ463によって断続的又は連続で撮影されることにより、錠剤Mに刻印などで形成された前記錠剤情報を含む外周面が撮影可能である。
【0095】
次に、
図9及び
図10を参照して、前記第1ローラー100a及び前記第2ローラー100bについて詳細に説明する。
【0096】
前記第1ローラー100aは、その上に載置された錠剤Mを前記第2ローラー100b側に移動させる方向に回転する。前記第2ローラー100bは、前記第1ローラー100aと同一方向に回転する。前記第2ローラー100bの回転軸は、前記第1ローラー100aの回転軸よりも高い位置で前記揺動支持部101bにより支持されている。よって、前記第2ローラー100bは、前記第1ローラー100aによって前記第2ローラー100b側に移動される錠剤Mの端部を上方に移動させる方向に回転する。これにより、錠剤Mは、前記第1ローラー100a及び前記第2ローラー100bの回転方向とは反対方向に回転される。
【0097】
図9に示されるように、前記第1ローラー100aは、軸方向における両端部から中央部に向かうにつれて外径が大きくなる太鼓状(クラウン型)のローラーである。一方、前記第2ローラー100bは、軸方向における両端部から中央部に向かうにつれて外径が小さくなる鼓状(逆クラウン型)のローラーである。よって、前記第1ローラー100aによって前記第2ローラー100b側に移動された錠剤Mは、前記第2ローラー100bにおける軸方向中央部へと移動して、当該軸方向中央部において回転される。
【0098】
ところで、太鼓状のローラーを用いて錠剤を回転させる場合、ローラーと錠剤との接触が点接触となるため、ローラーに対して錠剤が滑りやすくなってしまう。そこで、本実施形態では、前記第1ローラー100aにおける軸方向中央部の外周面に、周方向に等間隔に複数の平坦部11が形成されている。すなわち、
図10に示されるように、前記第1ローラー100aにおける軸方向中央部の断面(軸方向に直交する断面)の輪郭形状が、略正多角形となっている。その結果、前記平坦部11と錠剤Mとが面接触することにより、前記第1ローラー100aに対して錠剤Mが滑りにくくなる。前記平坦部11は、本発明の面接触部の一例である。また、前記輪郭形状が非円形状であるため、前記第1ローラー100aによって錠剤Mが振動され、錠剤Mが回転しやすくなる。
【0099】
また、前記第2ローラー100bの外周面には、周方向に等間隔に複数の溝部12が形成されている。すなわち、
図10に示されるように、前記第2ローラー100bにおける軸方向に直交する断面の輪郭形状が、周方向に複数の溝部12を有する形状となっている。その結果、前記第2ローラー100bに対して錠剤Mの端部が滑りにくくなる。特に、前記溝部12の段差12aによって錠剤Mの端部をより確実に上方に移動させることができ、錠剤Mをより確実に回転させることができる。前記段差12aは、本発明の錠剤押出部の一例であって、前記第2ローラー100bの回転方向下流側へと錠剤Mを押し出す機能を有する。また、錠剤Mの回転中に錠剤Mから粉状の薬剤が分離しても、当該粉状の薬剤が溝部12に溜まりやすいため、当該粉状の薬剤によって錠剤Mが滑りやすくなってしまうことを抑制することができる。また、前記輪郭形状が非円形状であるため、前記第2ローラー100bによって錠剤Mが振動され、錠剤Mが回転しやすくなる。
【0100】
なお、
図9及び
図10に示される前記第1ローラー100a及び前記第2ローラー100bの形状は単なる一例に過ぎない。他の実施形態では、前記第1ローラー100a及び前記第2ローラー100bの少なくとも一方の断面(軸方向に直交する断面)の輪郭形状が、非円形状であってもよい。
【0101】
[分包ユニット504]
前記分包ユニット504は、前記錠剤供給ユニット502の前記錠剤カセット41及び前記手撒きユニット45の一方又は両方から供給された錠剤Mを服用時期などの分包単位で分包紙Sに収容する。前記分包紙Sは、本発明における包装材の一例である。例えば、前記分包ユニット504は、透明又は半透明のロール状の分包紙Sに前記分包単位で錠剤Mを供給して溶着等により分包紙Sを封止して、服用時期と同じ数の薬包451を形成する。これにより、前記分包単位で前記薬包451各々に錠剤Mが収容された薬包シート(
図15参照)が前記分包ユニット504から排出される。前記薬包シートには、前記分包単位で複数の錠剤Mが包装された複数の薬包451が連続して形成されており、前記薬包451各々の間には前記薬包451各々を容易に切り離すための切り取り点線(ミシン目)が形成されている。
【0102】
ところで、前記分包ユニット504において前記薬包451に投入された錠剤Mの少なくとも一部が当該薬包451の次の前記薬包451に移動して包装される後ずれ異常が発生するおそれがある。これに対し、前記錠剤分包装置4は、前記後ずれ異常を抑制する後ずれ抑制機能を有する。以下、
図11~
図18を参照しつつ前記後ずれ抑制機能に関する構成について説明する。
【0103】
図11に示すように、前記分包ユニット504は、前記回転ユニット44の下方に設けられており、前記回転ユニット44から払い出される錠剤Mを分包することが可能である。前記分包ユニット504は、分包紙供給部504Aと包装機構504Bとを有する。前記分包紙供給部504Aは、ロール軸504Cに巻かれた分包紙Sを繰り出して前記包装機構504B側に送る機構である。前記分包紙Sは、シート状で長尺の熱融着性シートであり、短手方向に二つ折りにした状態でロール軸504Cに巻かれている。前記包装機構504Bは、シート支持部504Dとガイド部材504Eとシール装置504Fとを有する。前記包装機構504Bは、前記分包紙供給部504Aから送られた前記分包紙Sを圧着して袋状とすることにより、前記回転ユニット44側から供給されてきた薬剤Mを分包することが可能である。
【0104】
さらに具体的に、前記ガイド部材504Eは、分包紙供給部42から送られてくる分包紙Sを案内するガイドとしての機能を有する。シール装置504Fは、前記ガイド部材504Eによってガイドされつつ供給されてきた分包紙Sの長手方向一端側(下流側)の部位等を圧着して半袋状とすること、及び半袋状になった分包紙Sの開放部分を圧着して閉じて袋状に形成することができる。さらに具体的には、シール装置504Fにより分包紙Sを圧着することにより、
図15に示すように薬剤Mを収容した薬包451を形成できる。シール装置504Fは、作成しようとしている薬包451において分包紙Sの進行方向下流側の部分を分包紙Sの短手方向に閉塞する縦シール(第一縦シールAS1あるいは第二縦シールAS3)を形成すると共に、横シールWS2を形成する。これにより、分包紙Sの進行方向上流側の部分に開放部分を有する半袋状の分包紙S(薬包451)が形成される。この状態において半袋状の分包紙S(薬包451)内に薬剤Mを投入した後、開放部分をシール装置504Fによって閉塞する。すなわち、横シールWS2の一部が未封止である場合はその未封止部分をシール装置504Fによって閉じると共に、分包紙Sの進行方向上流側において分包紙Sの短手方向に閉塞する縦シール(第二縦シールAS3)を形成して封止する。
【0105】
図12に示されるように、前記シール装置504Fは、一対のローラーフレーム450a、450bにより主要部が構成されている。前記シール装置504Fは、前記ローラーフレーム450a側に保護カバー450cが設けられているが、保護カバー450cを取り除いた状態では、
図13に示すように、前記ローラーフレーム450a、450bが、互いに突き合わせた状態においてほぼ左右対称となる。
【0106】
図13等に示すように、ローラーフレーム450a、450bは、正面視がほぼ「コ」字型(門型)で金属製のフレームによって構成されている。ローラーフレーム450a、450bには、上下方向に延びる支軸450dが設けられており、これに対して縦シール部材450eと、横シール部材450fとが取り付けられている。縦シール部材450eおよび横シール部材450fは、それぞれ支軸450dに対して回転可能なように取り付けられている。また、縦シール部材450eおよび横シール部材450fは、それぞれ別々の動力源(図示せず)に対し、別々の動力伝達機構(図示せず)を介して接続されており、互いに独立的に回転可能であり、縦シール部材450eの回転速度と横シール部材450fとの回転速度を変える事によって前記薬包451の袋長を変更する事が可能になっている。
【0107】
縦シール部材450eは、金属製であり、
図13に示すように、正面視がほぼ直線型の形状である。縦シール部材450eは、
図14に示すように、円板状の下端部450iと、板状の加熱部450kとを有する。加熱部450kは、後述する横シール部材450fをなす上端部450gと下端部450iとの間に位置しており、両者に対してほぼ垂直である。加熱部450kの両側面には、ヒータ450hと、切取線形成部450jとが上端部450g側から下端部450i側に向けて直線状に配されている。ヒータ450h、450hは、分包紙Sを熱融着可能なものである。そのため、並行に配置された縦シール部材450e、450eを回転させ、両者の間に二つ折りにした分包紙Sを通過させることにより、分包紙Sの短手方向に延びるシール(縦シール)を形成できる。
【0108】
また、切取線形成部450jは、分包紙Sの第二縦シールAS3にミシン目を形成可能なものである。本実施形態では、ローラーフレーム450b側の切取線形成部450jがミシン目を形成するためのカッターによって構成されており、ローラーフレーム450a側の切取線形成部450jが前記カッターに対応して設けられた受け刃によって構成されている。
【0109】
図13に示すように、横シール部材450fは、前述した上端部450gとヒータ450mとを備えている。上端部450gは、縦シール部材450eの加熱部450kの上方側に設けられた円板状の部材である。上端部450gの外周には、全周にわたってヒータ450mが設けられている。そのため、並行に配置された横シール部材450f、450fを回転させ、上端部450g、450gの間に二つ折りにした分包紙Sを通過させることにより、分包紙Sの長手方向に延びるシール(横シール)を形成できる。
【0110】
なお、縦シール部材450e及び横シール部材450fは、分包紙Sをシールする機能と分包紙Sを搬送する機能との2つの機能を兼ね備えている。すなわち、縦シール部材450e及び横シール部材450fは、本発明におけるシール部の一例であると共に、本発明における搬送部の一例でもある。また、縦シール部材450e及び横シール部材450fは、本発明におけるヒートローラーの一例でもある。
【0111】
図13に示すように、シール装置504Fでは、ローラーフレーム450a、450bによって囲まれたほぼ「ロ」字型(矩形)の領域内に、縦シール部材450e、450eと横シール部材450f、450fとが所定のクリアランスを介して略平行に配置されている。シール装置504Fは、縦シール部材450e、450eと横シール部材450f、450fとを回転させ、これらのクリアランスに分包紙Sを通過させて横シール及び縦シールを形成することにより薬包451を形成することが可能である。
【0112】
図3に示されるように、前記回転ユニット44には、前記回転ユニット44から個別に払い出される錠剤Mを分包ユニット504に供給するための薬剤導入部80が設けられている。前記薬剤導入部80は、錠剤Mを分包紙S内に供給可能なものであればいかなるものであっても良いが、本実施形態ではホッパーによって構成されている。
図16に示すように、前記薬剤導入部80は、前記シール装置504Fによって前記分包紙Sで形成された未封止状態の薬包451の開放部分に差し込まれ、薬包451内に錠剤Mを導入可能である。具体的には、前記薬剤導入部80は、基端部が前記回転ユニット44側に向き、前記シール装置504Fによって形成過程にある未封止状態の薬包451内に先端部が差し込まれるように配置されている。すなわち、前記薬剤導入部80は、前記シール装置504Fに対して分包紙Sの搬送方向上流側において二つ折りにされた分包紙Sの内側に差し込まれている。なお、図示は省略するが、前述したように、前記通過検出センサー474は、前記薬剤導入部80の下端よりも下側の位置に配置され、前記薬剤導入部80の先端から前記分包紙S内に落下する錠剤Mを検出することが可能である。
【0113】
なお、前記錠剤分包装置4では、前記薬包451に収容されている前記薬包451が前記ヒータ450h及び450mからの熱の影響を受けることがある。そのため、
図16に示されているように、前記錠剤分包装置4では、前記薬剤導入部80から前記分包紙Sに錠剤Mが供給される位置において前記分包紙Sに送風することが可能な送風ファン51が設けられている。これにより、前記分包紙Sが前記送風ファン51からの送風によって冷却され、前記ヒータ450h及び450mからの熱の影響が抑制される。具体的に、
図16に示されるように、前記送風ファン51は、前記分包紙Sの通過経路の上方に配置されており、前記分包紙Sの開放箇所から前記分包紙Sの内部にも送風可能である。なお、前記送風ファン51は前記分包紙Sの通過経路の下方などの他の方向から送風可能な位置に配置されていてもよい。
【0114】
続いて、
図17及び
図18を参照しつつ、前記錠剤分包装置4において行われる前記シール装置504Fによる薬包451の形成方法について説明する。
【0115】
[薬包451の形成方法について]
前記制御部510は、
図17に示した制御フローに則って薬包451を形成する。以下、
図17に従って具体的な動作及び制御について説明する。
【0116】
<ステップS11>
薬包451を形成する際には、先ずステップS11において分包紙Sの進行方向先頭位置において薬包451の下流端を閉塞するための第一縦シールAS1が縦シール部材450e、450eによって形成される(
図15参照)。その後、制御フローがステップS12に進められる。
【0117】
<ステップS12>
ステップS12においては、前記薬剤導入部80により分包紙Sに錠剤Mが投入される直前に、前記薬剤導入部80から前記分包紙Sに錠剤Mが供給される位置における前記分包紙S内の空間を拡張させるための収容空間拡張処理が行われる。以下、
図18を参照して、前記収容空間拡張処理について具体的に説明する。なお、
図18では、第二縦シールAS3が形成された直後に実行される前記収容空間拡張処理が示されているが、第一縦シールAS1が形成された直後についても同様の処理が実行される。
【0118】
図18における時刻T1は、縦シール部材450e、450eによって第二縦シールAS3が形成された直後のタイミングを示している。
【0119】
その後、前記制御部510は、横シール部材450f、450fを順方向(すなわち、分包紙Sを搬送方向下流側へ搬送する方向)に所定角度だけ回転させて、分包紙Sを搬送方向へ所定距離(例えば、2mm)だけ搬送する。
図18における時刻T2は、横シール部材450f、450fによって分包紙Sが搬送方向へ所定距離だけ搬送された直後のタイミングを示している。このとき、シール装置504Fよりも上流側の部分の分包紙Sは、横シール部材450f、450fによって搬送方向下流側へ引っ張られるため、弛みのない状態である。なお、縦シール部材450e、450eについては、例えば、ヒータ450hが分包紙Sから十分に離れる位置まで回転される。
【0120】
その後、前記制御部510は、横シール部材450f、450fを逆方向(すなわち、分包紙Sを搬送方向上流側へ搬送する方向)に所定角度だけ回転させて、前記搬送方向とは逆方向に分包紙Sを所定距離(例えば、2mm)だけ搬送する。
図18における時刻T3は、横シール部材450f、450fによって分包紙Sが搬送方向とは逆方向へ所定距離だけ搬送された直後のタイミングを示している。このとき、シール装置504Fよりも上流側の部分の分包紙Sが弛み、分包紙S内の空間が拡張される。
【0121】
特に、本実施形態では、前記送風ファン51により分包紙Sの内部に送風されるため、前記収容空間拡張処理によって弛んだ分包紙Sが、前記送風ファン51からの風によって押し広げられる。よって、前記分包紙S内の空間がより確実に拡張される。
【0122】
ところで、分包紙S内の空間が狭い場合、前記薬剤導入部80により分包紙Sに複数の錠剤Mが投入されたときに、錠剤Mが積み上がりやすくなる。特に、
図16に示されるように、前記薬剤導入部80から錠剤Mが投下される位置における分包紙Sの搬送方向が斜め下向きである場合は、錠剤Mが積み上がると、一部の錠剤Mの収容位置が理想位置よりも搬送方向上流側にずれてしまう。そのため、前記後ずれ異常が発生しやすくなる。これに対して、本実施形態では、前記収容空間拡張処理によって分包紙S内の空間が拡張されるので、分包紙Sに投入された錠剤Mが積み上がりにくくなるため、前記後ずれ異常が抑制される。
【0123】
前記ステップS12において前記空間拡張処理が終了すると、前記薬剤導入部80により分包紙Sに錠剤Mが投入されて、制御フローがステップS13に進められる。
【0124】
<ステップS13>
ステップS13においては、二つ折りの状態で供給される分包紙Sの折り目とは反対側の端部を閉じるための横シールWS2(
図15参照)が形成される。具体的には、前記制御部510は、横シール部材450f、450fを回転させ、両者の間に分包紙Sを通過させることにより横シールWS2を形成する。
【0125】
<ステップS14>
ステップS14においては、薬包451において分包紙Sの進行方向上流側の端部を閉塞するための第二縦シールAS3が形成される。具体的には、前記制御部510は、第二縦シールAS3を形成すべく、加熱部450k、450k同士が対向する位置関係になるように縦シール部材450e、450eの回転を開始させて、第二縦シールAS3を形成する。ここで、第二縦シールAS3は、次に形成される薬包451の第一縦シールAS1としても機能する。そのため、第二縦シールAS3は、分包紙Sの長手方向に連続的に形成される薬包451の境界をなすシールとして機能する。第二縦シールAS3が形成されると、ステップS15に制御フローが進められる。
【0126】
<ステップS15>
ステップS15では、前記ステップS14において第二縦シールAS3で封止された薬包451が最終のものであるか否かが確認される。前記ステップS14で封止された薬包451が最終のものでない場合(ステップS15:NO)には制御フローが前記ステップS12に戻され、最終のものである場合(ステップS15:YES)には、一連の制御フローが完了する。
【0127】
なお、本実施形態では、長さの異なる薬包451にも対応可能とすべく、シール装置504Fとして、ローラー状の縦シール部材450e、450e及び横シール部材450f、450fを個別に駆動制御可能とした例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、薬包451の袋長が一定で良い場合には、シール装置504Fを、縦シール部材450e、450e及び横シール部材450f、450fが一体的に駆動するようなものとしてもよい。
【0128】
また、本実施形態では、シール装置504Fとして縦シール部材450e、450e及び横シール部材450f、450fからなるローラー状の部材で分包紙Sを挟み込んで接合可能なものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の方式により分包紙Sを接合可能なものをシール装置504Fの代わりに採用可能である。具体的には、T字型などの平面形状を有する板状の加熱体を一対設け、加熱体同士の間に分包紙Sを挟み込んで接合可能なものを本実施形態のシール装置504Fの代わりに用いても良い。
【0129】
また、本実施形態では、分包紙Sを二つ折りにして二重になった部分にシールを施すことにより薬包451を形成する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、二枚の分包紙Sを供給し、これらを重ね合わせて接合することで薬包451を形成するようなものであっても良い。
【0130】
[バーコードリーダー506]
前記バーコードリーダー506は、薬局の薬品棚などに設けられた錠剤の収容容器(箱、瓶など)又はPTPシートなどに記載されたJANコード、RSSコード、又はQRコードから薬品を識別するコードを読み取り可能である。また、前記バーコードリーダー506は、前記薬包451に印刷された前記処方識別情報を示す前記コード情報の読み取りにも用いられる。前記バーコードリーダー506により読み取られた情報は、前記バーコードリーダー506から無線通信により前記処方制御ユニット501に入力される。なお、前記バーコードリーダー506は、例えばPDA又はスマートフォンなどの携帯端末である。
【0131】
ところで、病院又は薬局などの医療施設では、前記錠剤分包装置4により分包された錠剤が処方データに対応する適切なものであるか否かを確認する鑑査業務が薬剤師によって実施される。これに対し、前記鑑査支援システム1では、後述の鑑査支援処理(
図19参照)が実行されることによって薬剤師の鑑査業務が支援される。なお、前記鑑査支援処理は、前記錠剤分包装置4の制御部510によって実行されてもよい。
【0132】
[鑑査支援処理]
以下、
図19を参照しつつ、前記鑑査支援システム1おいて、前記鑑査支援装置2の前記制御部21により実行される鑑査支援処理の手順の一例について説明する。前記鑑査支援処理は、前記クライアント端末3に対して、予め設定された最終鑑査権限を有する薬剤師による前記鑑査支援装置2へのログイン操作が行われた場合、又は前記ログイン操作後に最終鑑査処理を行うための鑑査開始操作が行われた場合などに実行される。なお、前記鑑査支援装置2へのログイン認証は、前記記憶部22に記憶されている前記ユーザーマスターに基づいて行われる。以下で説明する当該鑑査支援処理における「表示」及び「操作」などは前記ログイン操作が行われた前記クライアント端末3の前記表示部34及び前記操作部35を用いて行われる。もちろん、同様の操作及び表示が前記鑑査支援装置2で行われてもよい。
【0133】
<ステップS21>
まず、ステップS21において、前記制御部21は、鑑査対象の候補となる処方データの一覧を表示するための鑑査待ち一覧画面D1を前記クライアント端末3に表示させる。ここに、
図20は、前記鑑査待ち一覧画面D1の一例を示す図である。
【0134】
図20に示されるように、前記鑑査待ち一覧画面D1には、鑑査対象となる処方データの一覧が表示される一覧表示領域A11が表示されている。具体的に、前記一覧表示領域A11には、処方データに含まれる処方ID(処方識別情報)、患者名(患者識別情報)、服用開始日、及び日数の情報と共に、前記鑑査支援システム1に接続されている前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5などの複数の調剤機器のステータス情報が表示される。
【0135】
また、前記鑑査待ち一覧画面D1には、ユーザー操作を受け付けるための操作キーK11、K12等が表示されている。前記操作キーK11は、前記鑑査支援装置2における鑑査履歴を表示するための鑑査履歴画面D2を表示させるための操作キーであり、前記操作キーK12は、前記鑑査支援装置2において鑑査処理を実行するための鑑査画面D3を表示させるための操作部である。即ち、前記制御部21は、前記鑑査待ち一覧画面D1における操作に応じて、前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5などの複数の機器で行われた調剤についての鑑査を開始することが可能である。
【0136】
<ステップS22>
ステップS22において、前記制御部21は、前記鑑査履歴画面D2の表示操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記制御部21は、前記鑑査待ち一覧画面D1における前記操作キーK11が操作された場合に、前記鑑査履歴画面D2の表示操作が行われたと判断する。そして、前記制御部21は、前記鑑査履歴画面D2の表示操作が行われたと判断すると(S22:Yes)、処理をステップS23に移行させ、前記鑑査履歴画面D2の表示操作が行われていなければ(S22:No)、処理をステップS24に移行させる。
【0137】
<ステップS23>
ステップS23において、前記制御部21は、前記鑑査履歴画面D2を前記クライアント端末3に表示させる。このように、前記制御部21は、前記鑑査待ち一覧画面D1におけるユーザー操作に応じて、前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5などの複数の調剤機器で行われた調剤についての鑑査履歴を表示させることが可能である。
【0138】
ここに、
図21は、前記鑑査履歴画面D2の一例を示す図である。
図21に示されるように、前記鑑査履歴画面D2には、既に鑑査が完了した処方データの一覧が表示される一覧表示領域A21が表示されている。前記一覧表示領域A21には、処方データに含まれる処方ID(処方識別情報)、患者名(患者識別情報)、服用開始日、鑑査者、及び鑑査日時などの情報が表示される。また、前記一覧表示領域A21には、前記鑑査支援システム1に接続されている前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5各々で調剤された薬剤の鑑査結果が適正であった旨を示す「OK」、又は鑑査結果がエラーであった旨を示す「NG」などが表示される。具体的に、前記錠剤分包装置4に対応する鑑査結果は、前記自動鑑査処理の結果である。なお、「OK」は、背景又は文字が予め定められた青色又は白色などの第1特定色で表示され、「NG」は、背景又は文字が予め定められた赤色などの第2特定色で表示される。また、「NG」が表示される場合には、判定結果がエラーであることに対応して行われた処置の内容(例えば「修正済」など)が表示される。
【0139】
<ステップS24>
ステップS24において、前記制御部21は、前記鑑査開始操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記制御部21は、前記鑑査待ち一覧画面D1において、鑑査対象となる前記処方データが選択された状態で前記操作キーK12が操作された場合に、前記鑑査開始操作が行われたと判断する。そして、前記制御部21は、前記鑑査開始操作が行われたと判断すると(S24:Yes)、処理をステップS25に移行させ、前記鑑査開始操作が行われていなければ(S24:No)、処理をステップS26に移行させる。なお、前記制御部21は、例えば前記コード読取部27により前記薬包451に記載されているコード情報が読み取られ、前記コード情報に基づいて前記処方データが特定された場合にも、当該処方データを鑑査対象とする前記鑑査開始操作が行われたと判断する。
【0140】
<ステップS25>
ステップS25において、前記制御部21は、前記鑑査待ち一覧画面D1において選択されていた前記処方データについて鑑査を行うための前記鑑査画面D3を前記クライアント端末3に表示させる。ここに、
図22は、前記鑑査画面D3の一例を示す図である。
図22に示されるように、前記鑑査画面D3には、基本情報領域A31及び鑑査結果領域A32が表示されている。前記基本情報領域A31には、処方データに含まれる処方ID(処方識別情報)、患者名(患者識別情報)、性別、年齢、服用日、及び用法などの情報が表示される。
【0141】
前記鑑査結果領域A32には、前記鑑査待ち一覧画面D1で選択されていた前記処方データの内容及び前記処方データについての鑑査結果などがレコード(Rp1~Rp3)ごとに表示される。なお、前記処方データに複数のレコードが含まれる場合に、前記レコード各々を処方データと称することがある。
【0142】
そして、前記鑑査結果領域A32には、薬品名、用量、形態、調剤機器の号機番号、用量、及び判定結果が表示される。なお、前記判定結果は、例えば前記錠剤分包装置4で実行される前記自動鑑査処理による前記処方データごとの鑑査結果であり、前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5各々から前記鑑査支援装置2に適宜入力される。また、前記自動鑑査処理は、前記錠剤分包装置4及び前記調剤機器5から画像、前記有効期限情報、前記ロット番号情報などの各種の情報を取得した前記鑑査支援装置2の前記制御部21によって実行されてもよい。
【0143】
<ステップS26>
ステップS26において、前記制御部21は、前記鑑査画面D3に表示されている判定結果についての詳細を確認するための詳細確認操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記鑑査画面D3には、前記鑑査画面D3に表示されている前記処方データに含まれる前記レコードのいずれかに対応する判定結果の表示箇所が選択された場合に、前記詳細確認操作が行われたと判断する。ここで、前記制御部21は、前記詳細確認操作が行われたと判断すると(S26:Yes)、処理をステップS27に移行させ、前記詳細確認操作が行われていなければ(S26:No)、処理をステップS28に移行させる。
【0144】
<ステップS27>
ステップS27において、前記制御部21は、前記鑑査画面D3に表示されている判定結果についての詳細が表示される鑑査詳細画面D303を表示させる鑑査表示制御処理を実行する。
【0145】
ここに、
図23、
図25、及び
図26は、鑑査詳細画面D303を示す図である。具体的に、
図23は、前記自動鑑査処理による鑑査結果が適正である場合の表示例、
図25は、前記自動鑑査処理による鑑査結果がエラーである場合の表示例、
図26は、前記自動鑑査処理による鑑査結果が要チェックである場合の表示例である。
【0146】
前記鑑査詳細画面D303には、基本情報領域A311、調剤詳細領域A322、及び鑑査結果領域A313が表示されている。前記基本情報領域A311は、前記基本情報領域A31と同様に、患者情報及び処方データなどが表示される領域である。より具体的に、前記基本情報領域A311には、前記処方データにおける処方ID、患者名、及び用法などの処方関連情報が表示されている。なお、前記基本情報領域A311に前記処方データにおける用量などの他の情報が前記処方関連情報として表示されてもよい。前記調剤詳細領域A322では、前記薬包451の単位(服用タイミング単位)で前記薬包451に分包されている錠剤の内容が予め定められた方向に沿って並べて表示される。
【0147】
なお、前記調剤詳細領域A322において、前記薬包451の包数を示す1包目、2包目、・・・などの包数情報が表示される表示領域A320には、前記包数情報と共に、又は前記包数情報に代えて、服用タイミング(服用日及び服用時期)が表示されることも考えられる。
【0148】
また、前記制御部21は、前記錠剤分包装置4で前記通過検出センサー474により前記服用タイミングごとに対応する錠剤数がカウントされている場合には、その錠剤数を前記鑑査詳細画面D303に表示させることも考えられる。これにより、ユーザーは、前記錠剤数に問題ないことを容易に把握することが可能である。さらに、前記錠剤分包装置4が、前記分包ユニット504における前記錠剤の分包後の前記薬包451を撮影する撮影部を備えている場合には、前記制御部21が、そのカメラによって撮影された分包後の撮影画像を前記鑑査詳細画面D303に表示させることも考えられる。
【0149】
前記調剤詳細領域A322には、薬品名、種別、結果、及び正画像が表示される。具体的に、前記種別には、前記薬品名に対応する錠剤が前記錠剤カセット41及び前記手撒きユニット45のいずれから払い出されたものであるかが識別可能に表示される。例えば、前記錠剤の払い出し元が前記錠剤カセット41である場合には「C」又は「カ」などが識別符号として表示され、前記手撒きユニット45である場合には「D」又は「手」などが識別符号として表示される。また、前記結果には、前記薬品名に対応する錠剤についての鑑査結果が適正であるか否かが個別に表示される。前記正画像は、錠剤の正しい画像として予め前記医薬品マスターなどに登録された登録画像である。例えば、前記医薬品マスターでは、錠剤各々に対応付けてその錠剤の表裏面に対応する2枚の画像が前記登録画像として登録されている。なお、前記登録画像は、前記錠剤の外周面のうち前記錠剤の識別情報を含む領域が撮影された1枚の画像であってもよい。
【0150】
また、前記調剤詳細領域A322では、錠剤ごとに対応付けて、前記薬包451各々に分包される前に前記撮影部46で撮影された錠剤の撮影画像が表示されている。
【0151】
また、前記制御部21は、前記自動鑑査処理として前記画像鑑査処理が実行された場合には、前記錠剤分包装置4で前記錠剤の識別情報が読み取られた元画像、又は、前記正画像と比較された元画像を少なくとも表示させる。一方、前記制御部21は、前記錠剤分包装置4において前記錠剤ごとに撮影された前記錠剤の異なる外周面に対応する複数の撮影画像を更に表示させてもよい。これにより、薬剤師は、例えば1枚の前記錠剤の撮影画像だけでは前記錠剤の適否の判断が難しい場合に、複数枚の前記錠剤の撮影画像を参照して適否を判断することが可能である。また、前記制御部21は、前記画像鑑査処理において前記有効期限鑑査処理が実行された場合には、前記錠剤分包装置4で前記有効期限情報が読み取られた元画像を表示させてもよい。
【0152】
例えば、
図23に示されている前記調剤詳細領域A322では、1包目の前記薬包451に分包されている錠剤の撮影画像として、「トランサミンカプセル250mg」、「セファランチン錠1mg」、及び「リフレックス錠15mg」の3つの錠剤の撮影画像が1枚ずつ表示されている。なお、前記錠剤が平らな錠剤である場合には、前記錠剤の表裏面の2枚の画像が表示され、前記錠剤がカプセル錠などの形状である場合には、前記錠剤の識別情報が含まれる面と前記錠剤の識別情報が含まれない面との2枚の画像が表示されてもよい。
【0153】
また、
図25に示されているように、前記調剤詳細領域A322では、前記鑑査詳細画面D303に表示されている前記処方データに含まれる薬品の前記自動鑑査処理の結果がエラーである場合、その薬品に対応する一又は複数の領域A314及び領域A315の背景が予め定められた赤色などの前記第2特定色で表示される。これにより、ユーザーは、前記領域A314及び前記領域A315の位置を確認することにより前記自動鑑査処理の結果がエラーである薬品を容易に把握することができる。
【0154】
また、前記鑑査結果領域A313には、前記鑑査詳細画面D303に表示されている前記処方データに含まれる全ての薬品についての前記自動鑑査処理の結果が表示される。具体的に、
図23に示される例では、前記自動鑑査処理の鑑査結果が適正である旨を示す「承認待ち」が、前記第1特定色の背景と共に前記鑑査結果領域A313に表示されている。さらに、前記鑑査詳細画面D303には、表示中の鑑査結果を承認する旨の操作が行われる承認キーK311が表示されている。そして、前記制御部21は、前記承認キーK311が操作された場合に、
図24に示すように前記鑑査結果領域A313を「承認OK」に変更する。
【0155】
また、
図25に示される例では、前記自動鑑査処理の鑑査結果がエラーである旨を示す「NG」が、前記第2特定色の背景と共に前記鑑査結果領域A313に表示されている。さらに、
図26に示される例では、前記自動鑑査処理の鑑査結果が要チェックである旨を示す「CHECK」が、前記第1特定色及び前記第2特定色とは異なる予め定められた黄色などの第3特定色の背景と共に前記鑑査結果領域A313に表示されている。
【0156】
特に、前記調剤詳細領域A322では、前記処方データに含まれる前記錠剤ごとについて前記自動鑑査処理の鑑査結果を示す個別結果表示領域A323が個別に表示されている。具体的に、
図25に示す例では、「トランサミンカプセル250mg」及び「セファランチン錠1mg」については、鑑査処理の結果が適正である旨を示す「○」が表示されており、「リフレックス錠15mg」については、鑑査処理の結果にエラーが生じている旨を示す「×」が表示されている。これにより、薬剤師は、例えば前記鑑査処理の結果がエラーの原因となった前記錠剤を容易に把握することができる。なお、
図26に示されるように、鑑査処理の結果が要チェックである場合には、その旨を示す「△」が前記個別結果表示領域A323に表示される。
【0157】
ところで、前記自動鑑査処理では、前記画像鑑査処理に限らず、形状鑑査処理及び計数鑑査処理などが実行されることがある。前記調剤詳細領域A322では、前記処方データに含まれる前記錠剤の種別ごとに、当該錠剤について実行された前記自動鑑査処理の種別が表示されるモード表示領域A324が表示される。前記モード表示領域A324では、例えば画像鑑査処理、形状鑑査処理、数量鑑査処理などの自動鑑査処理の種別が表示される。これにより、ユーザーは、前記処方データに処方薬として含まれる錠剤各々について実行された前記自動鑑査処理の種別を容易に把握することが可能である。
【0158】
また、前記鑑査詳細画面D303には、操作キーK312が表示されている。前記操作キーK312は、一又は複数の前記薬包451についての前記分包処理を再実行させるための操作キーである。前記操作キーK312が操作されると、前記分包処理を再実行すべき前記薬包451を指定するための再発行操作画面(不図示)が表示される。そして、指定された前記薬包451の前記分包処理を再実行させるための前記再実行データ及び前記再実行指示などを含む制御指示が前記錠剤分包装置4に送信される。これにより、前記錠剤分包装置4では、前記制御指示に従って前記再発行操作画面で指定された前記薬包451についての前記分包処理が再実行される。
【0159】
<ステップS28>
ステップS28において、前記制御部21は、前記処方データについての前記自動鑑査処理の結果の承認操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記制御部21は、前記鑑査詳細画面D303において前記承認キーK311が操作されたか否かを判断する。ここで、前記制御部21は、前記承認操作が行われたと判断すると(S28:Yes)、処理をステップ29に移行させ、前記承認操作が行われていなければ(S28:No)、処理をステップS30に移行させる。
【0160】
<ステップS29>
ステップS29において、前記制御部21は、前記処方データの前記自動鑑査処理の結果を承認するための承認処理を実行する。例えば、前記承認処理において、前記制御部21は、前記処方データの前記自動鑑査処理の結果が承認された旨と、その承認操作を行った薬剤師であるユーザーの識別情報(氏名又はID)とを、前記自動鑑査処理の結果と共に前記処方データに対応付けて前記記憶部22に記憶させる。また、前記制御部21は、
図24に示されるように、前記鑑査詳細画面D303における前記鑑査結果領域A313に、前記自動鑑査処理の鑑査結果として「承認OK」を表示させる。
【0161】
<ステップS30>
ステップS30において、前記制御部21は、当該鑑査支援処理を終了するための予め設定された鑑査終了操作が行われたか否かを判断する。例えば、前記制御部21は、前記鑑査待ち一覧画面D1における「終了」に対応する操作キーが操作された場合に、前記鑑査終了操作が行われたと判断する。ここで、前記制御部21は、前記鑑査終了操作が行われたと判断すると(S30:Yes)、当該鑑査支援処理を終了させ、前記鑑査終了操作が行われていなければ(S30:No)、処理を前記ステップS22に戻す。
【0162】
[他の実施形態]
以下、前記鑑査支援システム1が備える他の機能又は前記鑑査支援システム1の他の実施形態について説明する。
【0163】
[再撮影機能]
前述の実施形態では、前記錠剤分包装置4において、錠剤回転部441で回転している錠剤が、前記カメラ462又は前記カメラ463で複数回撮影される。そして、当該撮影された複数の画像から前記錠剤情報(前記錠剤の識別情報、前記有効期限情報、前記ロット番号情報など)が読み取られる。しかしながら、例えば、錠剤回転部441における前記錠剤の回転速度が速すぎる場合、前記錠剤が十分に照明されていない場合などにおいて、前記錠剤情報の読み取りに失敗することがある。
【0164】
そこで、前記錠剤分包装置4は、前記錠剤情報の読み取りに失敗した場合に撮影条件を変更して前記錠剤を再撮影する再撮影機能を備えていてもよい。以下、
図27を参照しつつ、前記錠剤分包装置4の前記制御部510で実行される再撮影処理について説明する。
【0165】
<ステップS41>
ステップS41において、前記制御部510は、錠剤回転部441で回転している錠剤を、予め定められた撮影条件で、前記カメラ462又は前記カメラ463で複数回撮影する。
【0166】
<ステップS42>
ステップS42において、前記制御部510は、撮影された複数の画像から、パターンマッチング処理又は文字認証処理などによって前記錠剤情報(前記錠剤の識別情報、前記有効期限情報、前記ロット番号情報など)を読み取る。
【0167】
<ステップS43>
ステップS43において、前記制御部510は、前記ステップS42で前記錠剤情報の読み取りに成功したか否かを判断する。そして、前記制御部510は、前記錠剤情報の読み取りに成功したと判断すると(S43:Yes)、当該再撮影処理を終了させ、前記錠剤情報の読み取りに失敗したと判断すると(S43:No)、処理をステップS44に移行させる。
【0168】
<ステップS44>
ステップS44において、前記制御部510は、直前に錠剤が撮影されたときの撮影条件から、錠剤の撮影条件を変更する。例えば、前記制御部510は、錠剤回転部441における第1ローラー100a及び第2ローラー100bの回転速度をより低くすると共に前記錠剤の撮影回数をより多くしてもよい。もしくは、前記制御部510は、照明装置468又は照明装置469から発せられる光の強さをより高くしてもよい。これにより、前記錠剤情報の読み取りに成功する可能性をより高めることができる。
【0169】
<ステップS45>
ステップS45において、前記制御部510は、錠剤回転部441で回転している錠剤を、前記ステップS44で変更された撮影条件で、前記カメラ462又は前記カメラ463で複数回撮影する。そして、前記制御部510は、処理を前記ステップS42に戻す。
【0170】
[刻印・印刷撮影機構]
前述の実施形態では、前記錠剤情報が刻印された錠剤Mを撮影するためのカメラ462及び照明装置468と、前記錠剤情報が印刷された錠剤Mを撮影するためのカメラ463及び照明装置469とが独立して設けられている。そのため、2組のカメラ及び照明装置が必要となる。
【0171】
そこで、前述の実施形態の変形例として、前記錠剤分包装置4は、前記錠剤情報が刻印された錠剤Mと前記錠剤情報が印刷された錠剤Mとを1組のカメラ及び照明装置を用いて撮影することが可能な刻印・印刷撮影機構を備えていてもよい。以下、
図28及び
図29を参照しつつ、前記刻印・印刷撮影機構について説明する。
【0172】
本変形例では、前記錠剤情報が刻印された錠剤Mと前記錠剤情報が印刷された錠剤Mとが、1組のカメラ465及び照明装置466を用いて撮影される。
図28は、前記錠剤情報が印刷された錠剤Mが撮影されるときの様子を示しており、
図29は、前記錠剤情報が刻印された錠剤Mが撮影されるときの様子を示している。
【0173】
照明装置466は環状光源である。
図28及び
図29に示されるように、照明装置466から発せられる光の光軸は概ね下向きとなっている。
【0174】
撮影対象の錠剤Mは、上下方向に昇降可能な昇降台13に載置される。なお、昇降台13は、前記錠剤回転部441のように錠剤Mを回転させる機構を備えていてもよい。昇降台13は、例えばカム機構のような昇降機構16によって昇降される。
【0175】
前記昇降台13には、環状の反射部14が固定されている。反射部14は、照明装置466から発せられる光を錠剤Mに向けて反射する。
【0176】
ユニット回転部442には、環状の遮光部15が固定されている。遮光部15は、反射部14で反射した光を遮光する。
【0177】
前記錠剤情報が印刷された錠剤Mが撮影される場合、昇降機構16によって昇降台13が
図28に示される位置(以下、下降位置と称す)へと下降される。昇降台13が前記下降位置に位置する状態では、照明装置466から発せられた光が錠剤Mに直接照射される。また、錠剤Mと反射部14との間に遮光部15が位置するため、反射部14で反射した光は遮光部15によって遮光される。すなわち、昇降台13が前記下降位置に位置する状態では、錠剤Mに対して上から光が照射される。よって、前記錠剤情報が印刷で示される錠剤Mの撮影に適した環境で、カメラ465で錠剤Mを撮影することが可能である。
【0178】
一方、前記錠剤情報が刻印された錠剤Mが撮影される場合、昇降機構16によって昇降台13が
図29に示される位置(以下、上昇位置と称す)へと上昇される。昇降台13が前記上昇位置に位置する状態では、照明装置466から発せられた光が錠剤Mに直接には照射されない。その代わりに、錠剤Mと反射部14との間から遮光部15が退避するため、反射部14で反射した光が錠剤Mに照射される。すなわち、昇降台13が前記上昇位置に位置する状態では、錠剤Mに対して横方向から光が照射される。よって、前記錠剤情報が刻印で示される錠剤Mの撮影に適した環境で、カメラ465で錠剤Mを撮影することが可能である。
【0179】
なお、本変形例では、昇降機構16によって昇降台13が昇降されるが、他の実施形態では、昇降台13が昇降される代わりに、照明装置466が昇降されてもよい。
【0180】
また、本変形例では、昇降台13が前記下降位置に位置する状態において、錠剤Mと反射部14との間に遮光部15が位置するが、他の実施形態では、照明装置466と反射部14との間に遮光部15が位置するように構成されてもよい。そして、昇降台13が前記上昇位置に位置する状態では、照明装置466と反射部14との間から遮光部15が退避するように構成されてもよい。
【0181】
また、本変形例では、前記反射部14が前記昇降台13に固定されているが、他の実施形態では、前記反射部14が
図29に示される位置(以下、固定位置と称す)に固定的に設置されていてもよい。すなわち、前記昇降台13の位置に関わらず、前記反射部14が前記固定位置に固定されていてもよい。この場合、昇降台13が前記下降位置に位置する状態において、前記固定位置に設置されている反射部14で反射した光は、錠剤Mに対して照射されない。よって、この場合は遮蔽部15が不要である。
【0182】
また、他の実施形態では、遮蔽部15が省略されてもよい。
【0183】
[判定閾値学習機能]
前述の実施形態では、前記撮影画像に含まれる前記錠剤の識別情報の画像と前記処方データに処方薬として含まれる錠剤に対応付けて記憶されている前記錠剤の識別情報の正画像との照合が行われる。そして、照合された画像間のマッチング率(一致度)に基づいて、前記画像鑑査処理の鑑査結果が「適正」、「要チェック」、「エラー」のいずれかに判定される。以下、
図30を参照しつつ、前記画像鑑査処理の一例について説明する。
【0184】
前述したように、前記錠剤分包装置4では、前記画像鑑査処理の実行前に、前記錠剤分包装置4によって実行される前記分包処理において分包対象の錠剤の撮影画像が取得される。そして、前記錠剤分包装置4の前記制御部510は、前記撮影画像の中から前記錠剤の識別情報が存在する前記錠剤の正面及び裏面のいずれか一方又は両方の撮影画像を前記画像鑑査処理で用いる撮影画像として特定する。なお、前記画像鑑査処理で用いられる撮影画像は、前記カメラ462又は前記カメラ463で撮影される画像のうち少なくとも前記錠剤の識別情報が含まれる画像であって、例えば前記撮影画像の一部がトリミングされた画像、又は前記撮影画像自体である。
【0185】
<ステップS51>
まず、ステップS51において、前記制御部510は、前記撮影画像と前記正画像とを照合し、前記撮影画像と前記正画像との一致度を算出する。具体的に、前記制御部510は、当該画像鑑査処理の対象となっている前記錠剤に対応付けて前記医薬品マスターに登録されている前記正画像と、前記分包処理で撮影された前記錠剤の撮影画像とを対象にしてマッチング処理を実行することにより前記一致度を取得する。なお、前記マッチング処理における照合対象は、前記正画像及び前記撮影画像各々のうち前記識別情報が存在する予め設定された識別情報領域であってもよい。
【0186】
<ステップS52>
ステップS52において、前記制御部510は、前記ステップS51で取得された前記一致度が予め設定された第1閾値以上であるか否かを判断する。前記第1閾値は、前記マッチング処理の照合結果が一致であると判断するために予め設定された値である。ここで、前記一致度が前記第1閾値以上であると判断されると(S52:Yes)、処理がステップS54に移行し、前記一致度が前記第1閾値未満であると判断されると(S52:No)、処理がステップS53に移行する。
【0187】
<ステップS53>
ステップS53において、前記制御部510は、前記ステップS51で取得された前記一致度が予め設定された第2閾値以上であるか否かを判断される。前記第2閾値は、前記第1閾値よりも低い値であって、前記マッチング処理の照合結果が不一致であると判断するために予め設定された値である。ここで、前記一致度が前記第2閾値以上であると判断されると(S53:Yes)、処理がステップS55に移行し、前記一致度が前記第2閾値未満であると判断されると(S53:No)、処理がステップS56に移行する。
【0188】
<ステップS54>
前記ステップS51で取得された前記一致度が前記第1閾値以上である場合には、前記正画像と前記撮影画像との照合結果が一致であると明確に判定することができる状況である。そのため、ステップS54において、前記制御部510は、照合結果が一致である旨(適正)を示す情報と前記ステップS51で取得された前記一致度とを、前記画像鑑査処理の対象の錠剤と対応付けて、前記画像鑑査処理の鑑査結果として前記記憶部520に記録する。
【0189】
<ステップS55>
前記ステップS51で取得された前記一致度が前記第1閾値未満であり且つ前記第2閾値以上である場合には、前記正画像と前記撮影画像との照合結果が一致又は不一致のいずれであるかを明確に判定することができない状況である。そのため、ステップS55において、前記制御部510は、目視によるチェックが必要である旨(要チェック)を示す情報と前記ステップS51で取得された前記一致度とを、前記画像鑑査処理の対象の錠剤と対応付けて、前記画像鑑査処理の鑑査結果として前記記憶部520に記録する。
【0190】
<ステップS56>
前記ステップS51で取得された前記一致度が前記第2閾値未満である場合には、前記正画像と前記撮影画像との照合結果が不一致であると明確に判定することができる状況である。そのため、ステップS56において、前記制御部510は、照合結果が不一致である旨(エラー)を示す情報と前記ステップS51で取得された前記一致度とを、前記画像鑑査処理の対象の錠剤と対応付けて、前記画像鑑査処理の鑑査結果として前記記憶部520に記録する。
【0191】
ところで、前記第1閾値及び前記第2閾値が大きすぎる場合、実際には正しい錠剤が分包されているにも関わらず、前記鑑査結果が「要チェック」又は「エラー」となる可能性が高くなる。一方、前記第1閾値及び前記第2閾値が小さすぎる場合、間違った錠剤が分包されているにも関わらず、前記鑑査結果が「適正」又は「要チェック」となる可能性が高くなる。よって、前記第1閾値及び前記第2閾値が適切な値に設定されていなければ、前記鑑査結果の精度が低下し、前記鑑査結果に対して承認操作を行うユーザー(薬剤師)の負担が増大してしまう。
【0192】
そこで、前述の実施形態の変形例として、前記鑑査支援システム1は、前記鑑査結果に対する承認操作に応じて前記第1閾値及び前記第2閾値を自動的に調整することが可能な判定閾値学習機能を備えていてもよい。以下、
図31及び
図32を参照しつつ、前記判定閾値学習機能について説明する。
【0193】
本変形例では、前記錠剤分包装置4の前記記憶部520に、
図31に示されるような閾値情報E2が記憶される。前記閾値情報E2では、前記第1閾値及び前記第2閾値が錠剤ごとに記憶されている。なお、
図31に示される閾値情報E2では、前記第1閾値及び第2閾値として予め定められた初期値(90及び80)が記憶されている。
図30に示される前記画像鑑査処理では、前記閾値情報E2に含まれている前記第1閾値及び前記第2閾値が使用される。
【0194】
また、前記鑑査支援装置2の前記制御部21は、前記閾値情報E2に含まれている前記第1閾値及び前記第2閾値を更新する閾値更新処理を実行する。以下、
図32を参照しつつ、前記閾値更新処理について説明する。
【0195】
<ステップS61>
ステップS61において、前記制御部21は、前記承認操作が行われたか否かを判断する。例えば、前記制御部21は、
図19に示される鑑査支援処理の実行中に、鑑査詳細画面D303に含まれる承認キーK311が操作された場合に、前記承認操作が行われたと判断する。そして、前記制御部21は、前記承認操作が行われたと判断されると(S61:Yes)、処理をステップS62に移行させる。一方、前記承認操作が行われていないと判断されると(S61:No)、前記承認操作が行われたと判断されるまで、当該ステップS61の処理が繰り返される。
【0196】
<ステップS62>
ステップS62において、前記制御部21は、前記承認操作の対象となる一又は複数の錠剤の中に、前記画像鑑査処理の鑑査結果が「要チェック」である錠剤が含まれているか否かを判断する。そして、前記制御部21は、前記鑑査結果が「要チェック」である錠剤が含まれている場合は(S61:Yes)、処理をステップS63に移行させ、前記鑑査結果が「要チェック」である錠剤が含まれていない場合は(S61:No)、処理をステップS64に移行させる。
【0197】
<ステップS63>
ステップS63において、前記制御部21は、前記鑑査結果が「要チェック」である錠剤に対応する前記一致度に応じて、前記閾値情報E2における前記錠剤に対応する前記第1閾値を更新する。例えば、前記閾値情報E2における前記錠剤に対応する前記第1閾値が90であり、前記錠剤に対応する前記一致度が85である場合、前記制御部21は、前記第1閾値を90から85に更新する。これにより、今後実行される前記画像鑑査処理では、前記一致度が85以上である場合に前記鑑査結果が「適正」であると判定されるようになる。
【0198】
<ステップS64>
ステップS64において、前記制御部21は、前記承認操作の対象となる一又は複数の錠剤の中に、前記画像鑑査処理の鑑査結果が「エラー」である錠剤が含まれているか否かを判断する。そして、前記制御部21は、前記鑑査結果が「エラー」である錠剤が含まれている場合は(S64:Yes)、処理をステップS65に移行させ、前記鑑査結果が「エラー」である錠剤が含まれていない場合は(S64:No)、処理を前記ステップS61に戻す。
【0199】
<ステップS65>
ステップS65において、前記制御部21は、前記鑑査結果が「エラー」である錠剤に対応する前記一致度に応じて、前記閾値情報E2における前記錠剤に対応する前記第2閾値を更新する。例えば、前記閾値情報E2における前記錠剤に対応する前記第2閾値が80であり、前記錠剤に対応する前記一致度が76である場合、前記制御部21は、前記第2閾値を80から76に更新する。これにより、今後実行される前記画像鑑査処理では、前記一致度が前記第1閾値未満であり且つ76以上である場合に、前記鑑査結果が「要チェック」であると判定されるようになる。
【0200】
なお、前記閾値更新処理における前記第1閾値及び前記第2閾値の更新方法は、上記方法に限定されない。例えば、前記一致度が所定値である錠剤に対する前記承認操作が特定期間(例えば、過去全期間、過去1年間、過去1ヶ月間など)に所定回数(例えば、2回、5回など)行われた場合に、前記所定値に応じて前記第1閾値又は前記第2閾値が更新されてもよい。また、前記鑑査結果が「要チェック」である錠剤に対して前記承認操作が行われるごとに、前記第1閾値が1ずつ小さくされてもよい。また、前記鑑査結果が「エラー」である錠剤に対して前記承認操作が行われるごとに、前記第2閾値が1ずつ小さくされてもよい。
【0201】
また、他の実施形態では、前記画像鑑査処理において、前記錠剤カセット41から払い出された錠剤と前記手撒きユニット45から払い出された錠剤とで、前記第1閾値及び前記第2閾値を異ならせてもよい。例えば、前記手撒きユニット45から払い出された錠剤は、前記錠剤カセット41から払い出された錠剤と比べて、間違った錠剤である可能性が高い。そこで、前記錠剤カセット41から払い出された錠剤については、前記閾値更新処理によって更新された前記第1閾値及び前記第2閾値を使用し、前記手撒きユニット45から払い出された錠剤については、前記第1閾値及び前記第2閾値の初期値(例えば、90及び80)を使用してもよい。
【0202】
[撮影条件調整機能]
他の実施形態では、前記錠剤分包装置4の前記制御部510は、前記画像鑑査処理の鑑査結果を錠剤ごとに画像鑑査履歴として前記記憶部520に記録してもよい。そして、前記制御部510は、前記画像鑑査履歴に基づいて、錠剤ごとに撮影条件を変更してもよい。例えば、前記制御部510は、前記画像鑑査処理において算出される前記一致度の平均値を錠剤ごとに算出し、当該平均値に応じて前記錠剤の撮影条件を変更してもよい。例えば、前記制御部510は、前記平均値が低い錠剤を撮影する場合は、前記平均値が高い錠剤を撮影する場合に比べて、錠剤回転部441における第1ローラー100a及び第2ローラー100bの回転速度をより低くすると共に前記錠剤の撮影回数をより多くしてもよい。また、例えば、前記制御部510は、前記画像鑑査処理において前記鑑査結果が「要チェック」又は「エラー」であると判定される比率を錠剤ごとに算出し、当該比率に応じて前記錠剤の撮影条件を変更してもよい。例えば、前記制御部510は、前記比率が高い錠剤を撮影する場合は、前記比率が低い錠剤を撮影する場合に比べて、錠剤回転部441における第1ローラー100a及び第2ローラー100bの回転速度をより低くすると共に前記錠剤の撮影回数をより多くしてもよい。これにより、前記画像鑑査処理において前記鑑査結果が「要チェック」又は「エラー」であると判定されやすい錠剤について、撮影条件を変更することによって、前記照合処理の精度を高めることができる。
【0203】
[分包処理中断機能]
前述の実施形態では、前記画像鑑査処理の鑑査結果が「要チェック」又は「エラー」である場合に、前記鑑査結果が「要チェック」又は「エラー」である旨を示す情報が、前記画像鑑査処理の対象の錠剤と対応付けて、前記画像鑑査処理の鑑査結果として前記記憶部520に記録される。そして、前記鑑査結果が「要チェック」又は「エラー」である錠剤は、分包ユニット504によって分包紙Sで分包される。
【0204】
ところで、もしユーザーが、前記錠剤カセット41又は前記手撒きユニット45に対して本来セットすべき多数の錠剤の代わりに多数の間違った錠剤をセットしてしまった場合、当該間違った錠剤に関する前記鑑査結果が「エラー」になるだけでなく、当該間違った錠剤が分包された多数の薬包451が無駄に形成されてしまう。
【0205】
そこで、前述の実施形態の変形例として、分包処理が終了するまでの間に鑑査結果が出る場合においては、前記錠剤分包装置4は、前記画像鑑査処理の鑑査結果に応じて前記分包処理を中断させる分包処理中断機能を備えていてもよい。例えば、前記錠剤分包装置4の前記制御部510は、前記画像鑑査処理の鑑査結果が所定条件を満たした場合に、前記分包処理を一時的に中断させると共に、前記分包処理を継続するか中止するかをユーザーに問い合わせる継続確認画面をモニター530に表示させてもよい。そして、前記制御部510は、前記継続確認画面に対するユーザーの回答内容を操作部540を通じて取得し、前記回答内容に応じて前記分包処理を継続又は中止してもよい。もしくは、前記制御部510は、前記画像鑑査処理の鑑査結果が所定条件を満たした場合に、前記分包処理を自動的に中止すると共に、前記分包処理が自動的に中止された旨をモニター530に表示させてもよい。
【0206】
なお、前記所定条件の例としては、前記画像鑑査処理の鑑査結果が、予め定められた回数(例えば、3回、5回など)以上連続して「エラー」と判定されることが挙げられる。また、前記所定条件の他の例としては、前記画像鑑査処理の鑑査結果が、予め定められた頻度(例えば、過去5回中3回の頻度、過去10回中3回の頻度など)以上の頻度で「エラー」と判定されることが挙げられる。
【0207】
[錠剤除電機能]
前述の実施形態では、前記錠剤分包装置4において、前記錠剤カセット41から払い出された錠剤が、前記移動経路の途中で当該移動経路を形成するガイド部材などに静電気によって付着してしまうことがある。また、前記錠剤が帯電した状態で前記錠剤カセット41に投入された場合、前記錠剤が静電気によって前記錠剤カセット41の内部に付着して、前記錠剤カセット41から前記錠剤が正常に払い出されないことがある。
【0208】
そこで、前述の実施形態の変形例として、前記錠剤分包装置4が、前記錠剤を除電する錠剤除電機能を備えていてもよい。
【0209】
図33に示されるように、本変形例に係る前記錠剤分包装置4は、補給テーブル91及び除電器92(イオナイザー)を備える。前記補給テーブル91は、前記錠剤分包装置4に対して引き出し可能である。
【0210】
前記錠剤供給ユニット502に設けられた装着部に装着されている錠剤カセット41に錠剤を補給する場合、ユーザーは、前記錠剤カセット41を前記装着部から取り外して前記補給テーブル91上に載置する。前記補給テーブル91にはRFIDリーダライタ(不図示)が設けられており、前記制御部510は、前記錠剤カセット41に設けられたRFIDタグ(不図示)から前記RFIDリーダライタを通じて前記カセット識別情報を取得する。
【0211】
また、ユーザーが、前記錠剤カセット41に補給すべき錠剤の収容容器(箱、瓶など)又はPTPシートなどに記載されたコードを前記バーコードリーダー506にかざすと、前記制御部510は、前記バーコードリーダー506を通じて前記錠剤の識別情報を取得する。
【0212】
前記制御部510は、前記RFIDリーダライタを通じて取得される前記カセット識別情報と、前記バーコードリーダー506を通じて取得される前記錠剤の識別情報と、前記カセットマスターとに基づいて、前記錠剤カセット41に補給される錠剤が正しい錠剤であるか否かを判定し、当該判定結果をモニター530などを通じてユーザーに通知することが可能である。
【0213】
ユーザーは、前記補給テーブル91に載置された前記錠剤カセット41の上蓋を開放して、前記錠剤カセット41に前記錠剤を補給する。
【0214】
前記除電器92は、前記補給テーブル91の上方に設置されており、前記補給テーブル91に載置された前記錠剤カセット41に向けてイオン化された空気を送風する。これにより、イオン化された空気によって前記錠剤カセット41内の錠剤が除電される。
【0215】
なお、前記除電器92の電源が、前記RFIDリーダライタによる前記カセット識別情報の読み取りと連動してオン又はオフされてもよい。例えば、前記RFIDリーダライタによる前記カセット識別情報の読み取りが可能な状態(すなわち、前記錠剤カセット41が前記補給テーブル91に載置されている状態)では前記除電器92の電源が自動的にオンされ、そうでない状態では前記除電器92の電源が自動的にオフされてもよい。
【0216】
[補給支援機能]
前述の実施形態では、前記錠剤分包装置4の前記錠剤供給ユニット502に設けられた複数の装着部に前記錠剤カセット41が装着される。前記錠剤分包装置4には、
図3に示されるように、鉛直方向に沿った回転軸を有する円筒状の回転支持部93が、前記回転軸周りに回転可能に設けられている。そして、前記回転支持部93の外周面に前記複数の装着部が設けられている。
【0217】
前記錠剤分包装置4に装着されている前記錠剤カセット41に錠剤を補給する場合、ユーザーは、錠剤を補給すべき錠剤カセット41が正面に来るように前記回転支持部93を手で回転させて、前記錠剤カセット41を前記装着部から取り外す。しかしながら、前記回転支持部93に多数の前記錠剤カセット41が装着されている場合、前記回転支持部93を手で回転させつつ、これらの多数の前記錠剤カセット41の中から所望の錠剤カセット41を探し出すことはユーザーにとって手間である。
【0218】
そこで、前述の実施形態の変形例として、前記錠剤分包装置4が、錠剤を補給すべき錠剤カセット41を自動的に正面に移動させる補給支援機能を備えていてもよい。
【0219】
本変形例において、前記錠剤分包装置4は、前記回転支持部93を回転させるためのモーターを備える。そして、前記制御部510は、前記モーターを駆動することによって、前記回転支持部93を所望角度だけ回転させることが可能である。
【0220】
ユーザーが、前記錠剤カセット41に補給すべき錠剤の収容容器(箱、瓶など)又はPTPシートなどに記載されたコードを前記バーコードリーダー506にかざすと、前記制御部510は、前記バーコードリーダー506を通じて前記錠剤の識別情報を取得する。
【0221】
そして、前記制御部510は、前記カセットマスターに基づいて、前記回転支持部93に装着されている錠剤カセット41のうち、前記バーコードリーダー506を通じて取得された前記錠剤の識別情報に対応する錠剤カセット41を特定する。
【0222】
上記のようにして錠剤を補給すべき錠剤カセット41が特定されると、前記制御部510は、前記モーターを駆動して、前記錠剤カセット41が着脱可能位置(例えば、前記錠剤分包装置4の正面側)に来るように前記回転支持部93を回転させる。
【0223】
このようにして、ユーザーは、補給すべき錠剤の収容容器又はPTPシートなどに記載されたコードを前記バーコードリーダー506にかざすだけで、前記錠剤に対応する錠剤カセット41を前記錠剤分包装置4から容易に取り出すことができる。
【0224】
[発明の概要]
以下、上述の各実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下で説明する各構成及び各処理機能を取捨選択して任意に組み合わせることも可能である。
【0225】
<付記1>
錠剤を撮影する撮影処理を実行する撮影処理部と、
前記撮影処理部により撮影された前記錠剤の撮影画像から前記錠剤に刻印又は印刷された錠剤情報を読み取る読取処理部と、
前記読取処理部により読み取られた前記錠剤情報に基づいて前記錠剤の有効期限を認識する認識処理部と、
を備える調剤支援システム。
【0226】
<付記2>
前記認識処理部により認識される前記錠剤の有効期限が特定条件を満たすか否かを判定する判定処理部を更に備える、
付記1に記載の調剤支援システム。
【0227】
<付記3>
前記特定条件は、処方データが示す前記錠剤の最終服用日が前記認識処理部により認識される前記錠剤の有効期限内であることを含む、
付記2に記載の調剤支援システム。
【0228】
<付記4>
前記錠剤情報は、前記錠剤の有効期限を示す有効期限情報を含む、
付記1~3のいずれかに記載の調剤支援システム。
【0229】
<付記5>
前記錠剤情報は、前記錠剤のロット番号を示すロット番号情報を含み、
前記認識処理部は、ロット番号と有効期限との対応関係を示す対応関係情報と、前記読取処理部により読み取られる前記ロット番号情報とに基づいて、前記錠剤の有効期限を認識する、
付記1~3のいずれかに記載の調剤支援システム。
【0230】
<付記6>
包装材を予め定められた搬送方向へ搬送する搬送部と、
前記搬送方向における前記搬送部の上流側に設けられ、前記包装材へ前記錠剤を投下する薬剤導入部と、
前記包装材をシールするシール処理を行うシール部とを更に備え、
前記搬送部は、前記薬剤導入部により前記包装材に前記錠剤が投入される直前に前記搬送方向とは逆方向に前記包装材を搬送し、前記薬剤導入部により前記包装材に前記錠剤が投入された後に前記搬送方向に前記包装材を搬送する、
付記1~5のいずれかに記載の調剤支援システム。
【0231】
<付記7>
前記搬送部及び前記シール部が、前記包装材を予め定められた搬送方向へ搬送しつつ前記包装材をシールするシール処理を行うことが可能なヒートローラーである、
付記6に記載の調剤支援システム。
【0232】
<付記8>
前記包装材が、短手方向に二つ折りにされた長尺のシートであり、
前記包装材の折り目とは反対側の開放部分を通じて前記薬剤導入部から前記包装材に前記錠剤が投下される、
付記6又は付記7に記載の調剤支援システム。
【0233】
<付記9>
前記薬剤導入部から前記錠剤が投下される位置における前記包装材の搬送方向が、斜め下向きである、
付記6~8のいずれかに記載の調剤支援システム。
【0234】
<付記10>
前記薬剤導入部から前記包装材に前記錠剤が投下される位置において、前記包装材の開放部分から前記包装材の内部に送風する送風ファンを更に備える、
付記6~9のいずれかに記載の調剤支援システム。
【0235】
<付記11>
前記錠剤を回転させる錠剤回転部を更に備え、
前記錠剤回転部は、第1ローラーと、前記第1ローラーに対向して配置され、前記第1ローラーと同一方向に回転する第2ローラーとを含み、
前記撮影処理部は、前記第1ローラーの周面及び前記第2ローラーの周面に接触して回転中の前記錠剤を撮影する撮影処理を実行し、
前記第1ローラー及び前記第2ローラーの少なくとも一方の、軸方向に直交する断面の輪郭形状が非円形状である、
付記1~10のいずれかに記載の調剤支援システム。
【0236】
<付記12>
前記第1ローラー及び前記第2ローラーの少なくとも一方のローラーの周面に、当該ローラーの回転方向下流側へと前記錠剤を押し出す錠剤押出部が設けられている、
付記11に記載の調剤支援システム。
【0237】
<付記13>
前記第1ローラー及び前記第2ローラーの少なくとも一方の周面に、前記錠剤と面接触する面接触部が設けられている、
付記11又は付記12に記載の調剤支援システム。
【0238】
<付記14>
前記輪郭形状が、周方向に等間隔に形成された複数の溝部を有する形状である、
付記11又は付記12に記載の調剤支援システム。
【0239】
<付記15>
前記輪郭形状が、略正多角形である、
付記11又は付記13に記載の調剤支援システム。
【0240】
<付記16>
前記第1ローラー及び前記第2ローラーのいずれか一方のローラーの前記輪郭形状が、周方向に等間隔に形成された複数の溝部を有する形状であり、他方のローラーの前記輪郭形状が、略正多角形である、
付記11~13のいずれかに記載の調剤支援システム。
【0241】
<付記17>
前記一方のローラーは、前記溝部が前記錠剤の端部に接触して前記薬剤の端部を上方に移動させる方向に回転する、
付記16に記載の調剤支援システム。
【符号の説明】
【0242】
1 鑑査支援システム
11 平坦部
100a 第1ローラー
100b 第2ローラー
12 溝部
2 鑑査支援装置
3 クライアント端末
4 錠剤分包装置
41 錠剤カセット
43 個別払出部
44 回転ユニット
441 錠剤回転部
442 ユニット回転部
45 手撒きユニット
450e 縦シール部材
450f 横シール部材
451 薬包
5 調剤機器
501 処方制御ユニット
504 分包ユニット
504F シール装置
506 バーコードリーダー
51 送風ファン
510 制御部
511 撮影処理部
512 読取処理部
513 認識処理部
514 判定処理部
80 薬剤導入部
M 錠剤
S 分包紙